説明

発電装置

【課題】姿勢を変更して利用可能な発電装置を提供する。
【解決手段】発電装置は、燃料液を貯留する液貯留部11と、燃料液から発電を行う発電部12と、液貯留部11と発電部12とを収容した筐体2と、発電部12からの電力を外部に出力する出力部14と、運搬移動用の移動機構部とを備え、移動機構部が、前記筐体2に対して回転する車輪42と、車輪42の回転中心となる車軸43とを備え、筐体2を車輪42の軸回りに回転させて姿勢が切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式の発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電装置として、例えば、特許文献1に示すように、アンダカバーにエンジンが設けられたエンジン駆動発電機等がある。当該エンジン駆動発電機は、アンダカバーの前端に運搬用の車輪が車軸を介して設けられ、後端に脚部が設けられ、脚部及び車輪を接地した状態で、アンダカバーが略水平に配置可能に構成されており、この姿勢で発電機として使用(利用)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−7577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した構成のエンジン駆動発電機では、姿勢を変更しての外部への給電(装置の利用)を想定しておらず、上述のアンダカバーを略水平に配置した姿勢のみでしか利用することができない。
【0005】
そこで、この事情を鑑み、姿勢を変化して利用可能な発電装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の発電装置は、燃料液を貯留する液貯留部と、前記燃料液から発電を行う発電部と、前記液貯留部と前記発電部とを収容した筐体と、前記発電部からの電力を外部に出力する出力部と、運搬移動用の移動機構部とを備え、前記移動機構部が、前記筐体に対して回転する車輪と、前記車輪の回転中心となる車軸とを備え、前記筐体を前記車輪の軸回りに回転させて姿勢が切り替わることを特徴とする。
【0007】
この発電装置として、前記筐体が、前記移動機構部を一端に設けた床部と、当該床部の前記一端から立ち上がる後壁部とを有し、前記出力部が外部の負荷装置を接続する接続面を有すると共に、前記接続面の向きが前記床部側向きと前記後壁部側向きとに切り替わることが好ましい。
【0008】
この発電装置として、前記出力部が、前記負荷装置と前記発電部とを電気的に接続する本体部と、前記本体部を軸回りに回転させる回転軸とを備え、前記本体部が、前記回転軸の径外方向を向く外面を有すると共に、前記外面に前記接続面を備えることが好ましい。
【0009】
この発電装置として、前記筐体が、前記床部と対向する天井部と、前記後壁部に対向する前壁部とを更に有し、前記出力部が前記天井部と前記前壁部との少なくとも一方に設けられると共に、前記回転軸の軸方向が前記車軸の軸方向と平行に位置することが好ましい。
【0010】
この発電装置として、前記筐体が、前記床部の前記車軸の軸方向の端部から立ち上がる側壁部を更に有し、前記出力部が前記側壁部に設けられると共に、前記回転軸の前記軸方向が前記車軸の軸方向と交差することが好ましい。
【0011】
この発電装置として、前記接続面が前記外面に傾斜して設けられることが好ましい。
【0012】
この発電装置として、前記発電部が燃料電池部を主体とするものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
このような構成としたことで、姿勢に変更して利用可能になり、発電装置を利用し易くなる。そして、雨天での屋外利用時等に、出力部の接続面等を雨水の落下方向の斜め外下方等に向けることで、当該接続面等に雨水が当たり難くすることができ、雨水による漏電等の動作不良を回避し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の発電装置の筐体の一部を透過した斜視図である。
【図2】発電機のブロック図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】第2載置姿勢に変更した図1のB−B断面図である。
【図6】発電装置の変形例の簡略化した正面図である。
【図7】同上を左側から視た側面図である。
【図8】発電装置の他の変形例の正面図である。
【図9】発電装置の更に他の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて例示して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
本例の発電装置1は、図1に示すように、外殻を構成する箱状の筐体2と、筐体2に搭載された発電機10とで主体が構成され、外殻には、運搬移動用の車輪42を有した移動機構部と、運搬移動時に把持される移動用操作部とを備える。そのため、本発電装置1は、例えば、建築現場等に持ち込まれ、当該現場で使用される電動工具の外部電源や、当該工具の電池パックを充電する充電用電源として好適に用いられる可搬式の電源装置となっている。
【0017】
また、筐体2は、略長方形の板状の床部3と、床部3と略同形で床部3に対向する板状の天井部4と、床部3の端辺から各々立ち上がり天井部4の端辺に接続された四つの外壁部とで構成される。
【0018】
以下の説明において、四つの外壁部を、床部3の一方の長辺から立ち上がる後壁部6と、他方の長辺から立ち上がる前壁部5と、一方の短辺から立ち上がる右壁部7と、他方の短辺から立ち上がる左壁部8とに区別する。なお、右壁部7と左壁部8を特に区別しない際には、単に側壁部と記載する。また、床部3の長辺に沿った方向を長手方向Lとすると共に、長手方向Lにおいて左壁部8側を左側方、右壁部7側を右側方とし、底部の長手方向Lに直交する短辺に沿った方向において前壁部5側を前方、後壁部6側を後方とする。そして、図3の状態を基準に、天井部4側を上方、床部3側を下方とする。
【0019】
発電機10は、図2に示すように、燃料液を貯留する液貯留部11と、燃料液から発電を行う発電部12と、発電部12で発電した電力を調整する調整部13と、電力を外部に出力する出力部14とを備える。そして、液貯留部11と発電部12と調整部13とが筐体2内に配置され、出力部14が外殻から露出する。なお、発電機10は発電した電力を蓄える蓄電部を更に備え、蓄電部から出力部14に給電してもよく、発電機10の発電動作を制御する制御部を更に備えてもよい。
【0020】
液貯留部11は、図3に示すように、燃料液を内部に溜める二つのタンク15を備え、タンク15は筐体2に対して脱着自在で筐体2内に配置されており、筐体2はタンク15取出用の取出口19(図1参照)を天井部4に備える。
【0021】
タンク15は、図4に示すように、上下方向に沿って面を有する筒状の周壁18と、周壁18(筒)の下端を閉塞する底16と、周壁18(筒)の上端を閉塞する天井17とを有した容器形状となっている。タンク15は底16の内面が、後方に向けて下向き傾斜した第1傾斜面20となっており、周壁18の後方側の内面が、下方に向けて後向きに傾斜した第2傾斜面21となっている。そのため、タンク15内の燃料液は当該燃料液の自重(重力)によって底16の後端側に流動し易くなっている。なお、タンク15は矩形筒状の容器に限らず、円筒状の容器等であってもよい。
【0022】
また、タンク15は、第1傾斜面20の後端である底16の内面の後端と、第2傾斜面21の下端である周壁18の後方側の内面の下端との稜線上に、供給路22が突出して設けられ、タンク15内の燃料液は供給路22を介して発電部12に供給される。
【0023】
供給路22は下向き且つ後向きに傾斜してタンク15から突出し、下端が外部に開口した供給口23となっており、供給口23から発電部12に燃料液が流入される。なお、供給路22は、タンク15を筐体2に取り付けることで、供給路22内を開成する弁を備えることが好ましい。
【0024】
更に、タンク15は、炭化水素系の原料液を貯留する原料タンク24と、原料液希釈用の水を貯留する水タンク25とに区別され、原料タンク24の貯留容量が水タンク25の貯留容量に比べて大きいものとなっている。なお、タンク15の数は二つに限らず、一つであってもよく、三つ以上であってもよい。また、原料液は炭化水素系の液体に限らず、原料液希釈用の液体は水に限らない。
【0025】
発電部12は、図3に示すように、長手方向Lに沿って長辺を有する略長方体状のケース26で外殻が形成され、ケース26には受入口27が設けられる。
【0026】
受入口27はケース26の上面の前端に形成されると共に、ケース26から前方上向きに開口する。そして、受入口27は長手方向Lに二つ並んで配置され、原料タンク24の供給口23に対向する原料受入口と、水タンク25の供給口23に対向する水受入口とに区別される。各受入口27は、各々対応するタンク15と供給路22を介して連通しており、タンク15内の燃料液をケース26内に受け入れる。
【0027】
また、ケース26内には、図2に示すように、燃料液と空気とを用いて発電を行う燃料電池部28と、原料液と水とを混合する混合部29と、外気をケース26内に取り入れる空気ポンプ30(詳細は後述する)とを備える。そのため、本発電機10は所謂燃料電池式の発電機10となっている。
【0028】
混合部29は受入口27と燃料電池部28との間に配置され、例えば、燃料ポンプで構成され、当該燃料ポンプは、原料液と水とを混合して原料液を希釈した後、当該混合希釈した液を燃料電池部28に供給する。なお、例えば、原料タンク24の供給路22と水タンク25の供給路22とを下流で合流させて、供給路22内で原料液と水とを混合し、混合部29を備えなくてもよい。また、受入口27と燃料電池部28との間には、原料液を改質する改質部等を更に配置してもよい。
【0029】
燃料電池部28は、例えば、発電セルを集積した燃料電池スタック(図示せず)を備え、燃料電池スタック内で燃料液と空気とを反応させて電力を発生させる。そのため、当該燃料電池スタックは、燃料液と空気とを反応させる反応部となっており、燃料電池部28は反応部で直接電力を発生させる構成となっている。
【0030】
なお、上述の燃料電池スタックの発電セルは、例えば、燃料液が供給されるアノード電極と、空気が供給されるカソード電極と、アノード電極とカソード電極との間に配置された電解質板とで主体が構成される。そして、燃料電池部28として、例えば、イオン交換膜を電解質板に用いた固体高分子形燃料電池や、燐酸を含む部材を電解質板に用いた燐酸形燃料電池や、溶融炭酸塩を電解質板に用いた溶融炭酸塩形や、セラミックスを電解質板に用いた固体酸化物形等がある。
【0031】
調整部13は、図2に示すように、燃料電池部28と出力部14との間に配置され、例えば、発電部12で発生された直流の電力を交流の電力に変換するインバータとなっている。なお、発電装置1は、調整部13がインバータに限らないのはもちろん、調整部13を備えない装置であってもよい。
【0032】
また、筐体2は天井部4の前端に、後方に凹んだ凹所32を備え、凹所32は上方に開口し、内部に出力部14が収容される。出力部14は、図1又は図4に示すように、矩形箱状の本体部33と、本体部33を軸回りに回転自在で支持する回転軸34とを備え、回転軸34は略円柱状で、回転軸34の軸方向における両端部が、筐体2に回転不能で固定される。そして、回転軸34は凹所32内に配置されると共に、回転軸34の軸方向が長手方向Lと略平行に位置する。
【0033】
本体部33は、長方形状の四つの外面と、略正方形状の二つの端面とを有し、内部に回転軸34が挿通され、各端面の対角線の交点に回転軸34の軸心が位置する。そのため、本体部33の外面は回転軸34の径外方向を向くと共に、当該外面の長辺が回転軸34の軸方向と略平行に並んで位置し、回転軸34の軸回りに本体部33を回転させることで、各外面の向きが変更される。
【0034】
また、本体部33は外面の一つである第1外面に接続面35を有し、接続面35は、例えば、電動工具のコード等の外部の負荷装置60(図2中の外部負荷に相当)の端部61を接続するコネクタやジャックや、所謂コンセント口等となっている。そして、本体部33は内部に、負荷装置60と電気的に接続される導線部材(図示せず)を有する。当該導電部材は本体部33から筐体2内に突出して、調整部13と電気的に接続される。
【0035】
そのため、本体部33は接続面35で負荷装置60の端部61を保持すると共に、保持した端部61と導電部材で電気的に接続され、発電部12で発電された電力は調整部13で調整された後、出力部14を介して負荷装置60に供給される。なお、外面は四つに限らず、三つであってもよく、五つ以上有してもよい。
【0036】
また、発電部12は、図2に示すように、燃料電池部28で発生した水や発電後に燃料電池部28に残留する水を水タンク25に還流する還流部31を更に備える。そして、還流部31を介して燃料電池部28内の水を水タンク25に戻すことで、水タンク25内の水の消耗を抑え易くなり、水タンク25を小容量化(小型軽量化)し易くなる。
【0037】
また、筐体2には、図3に示すように、発電部12のケース26内と筐体2外部とを連通させる給気部及び排気部を更に備え、給気部から筐体2内に外気が流入されると共に、筐体2内の空気が排気部から外部に排出される。
【0038】
給気部は、右壁部7に開口した給気口36と、給気口36とケース26の給気用開口とを繋ぐ給気流路37と、給気流路37の上流端に配置されたエアフィルター38とを備える。そして、給気部は空気ポンプ30の駆動によって内部に空気(外気)が流入され、当該外気は給気口36から給気流路37を介して給気用開口に流動される。また、外気に混じって給気口36に導入された異物はエアフィルター38によって給気流路37の下流側への流動が阻害され、発電部12に浸入し難くなっている。
【0039】
排気部は、左壁部8に開口した排気口39と、排気口39とケース26の排気用開口とを繋ぐ排気流路40と、排気流路40の下流端に配置されたエアフィルター41とを備える。そして、排気部は二酸化炭素等の発電部12で生じた排気が内部に流入され、当該排気は排気用開口から排気流路40を介して排気口39に流動され、筐体2外部に排出される。また、筐体2外部からの風等に混じる異物はエアフィルター41によって排気流路40内への流動が阻害され、排気部が排気動作を行っていない際や筐体2外部に強風が吹いた際等においても、異物が発電部12に浸入し難くなっている。
【0040】
移動機構部は、図3に示すように、長手方向Lに沿って軸心を有した車軸43と、車軸43の端部に各々設けられた円板状の車輪42と、車軸43を筐体2に保持する保持部(図示せず)とを備える。
【0041】
車軸43は、図1に示すように、床部3の短辺の中間より後方に位置して保持部に保持され、軸心(軸方向)が長手方向Lと平行に並ぶ。そして、車軸43は、図3に示すように、軸心(軸方向)の一方の端部が右壁部7から突出し、他方の端部が左壁部8から突出し、各端部に車輪42が略同心で取り付けられる。
【0042】
車輪42は、図4に示すように、円の中心から床部3の後端までの径方向における寸法より半径が大きく、側面視において車輪42の外周が筐体2より後方及び下方に突出しており、車輪42は構造体の床面(図示せず)等に筐体2を支持可能となっている。
【0043】
そして、車輪42は筐体2に対して回転自在となっており、構造体の床面上に車輪42を当接して転がすことで、筐体2を容易に前方或いは後方に向けて運搬移動させることができる。また、車輪42の軸周りに筐体2を回転させることで、床面に対する筐体2の向き(発電装置1の姿勢)を変更することができる。そして、発電装置1は、床部3の外面を床面に対向する下面とした第1載置姿勢と、図5に示すような後壁部6の外面を床面に対向する下面とした第2載置姿勢とのいずれかを選択して、載置姿勢を切り替えることができる。
【0044】
また、床部3には、図4に示すように、移動機構部に加えて、第1載置姿勢時に車輪42と共に筐体2を支持する第1脚部44を更に有する。なお、上述の説明と同様に、特に規定しない限り、第1載置姿勢における上下方向及び前後方向で構成を説明する。
【0045】
第1脚部44は下方に突出して床部3の前端側に設けられ、第1載置姿勢時に床面に当接される。そのため、第1脚部44を床面に当接させることで、第1脚部44と車輪42とで筐体2を床面に対して支持することができる。そして、本発電装置1は第1載置姿勢から車軸43を支点に筐体2を後方に傾けて(後傾させて)、第1脚部44を床面から離すことで、移動可能な運搬姿勢となり、移動機構部を介した運搬移動が可能となる。
【0046】
また、後壁部6には、第2載置姿勢時に車輪42と共に筐体2を支持する第2脚部45と、運搬移動時に移動操作を行うための移動操作部46とを有する。なお、上述の説明と同様に、特に定義しない限り、第1載置姿勢における上下方向及び前後方向で構成を説明する。
【0047】
移動操作部46は、後壁部6から上方に突出した二本の棒状部47と、棒状部47の上端を繋ぐ架橋部48とで構成され、棒状部47は上方への突出量が調整可能となっており、架橋部48は外面が、使用者に把持される把持面となっている。
【0048】
そのため、運搬姿勢に切り替える際に、移動操作部46を把持して筐体2の姿勢を変更することができ、姿勢を切り替え易くなる。そして、移動操作部46を介して筐体2を引き回して車輪42を走行させることができ、筐体2を運搬移動させ易くなる。また、棒状部47の突出量を小さく変更調整することで、外部電源としての利用時等の運搬移動時以外の際に、移動操作部46が発電装置1の利用の邪魔になり難くすることができる。
【0049】
第2脚部45は、図4に示すように、後方に突出して後壁部6の上端側に設けられ、図5に示すように、第2載置姿勢時に床面に当接される。そのため、第2脚部45を床面に当接させることで、第2脚部45と車輪42とで筐体2を床面に対して支持することができる。また、本発電装置1は第2載置姿勢から車軸43を支点に筐体2を前方に傾けて(前傾させて)、第2脚部45を床面から離すことで、運搬姿勢となる。そのため、本運搬姿勢は、第1載置姿勢と第2載置姿勢とを切り替える際に生じる中間姿勢となっている。
【0050】
また、左壁部8には、発電部12の発電動作の入り切りを外部操作するための電源スイッチ49等の発電操作部を更に備える。そのため、本発電装置1は、電源スイッチ49が入り操作されることで、発電部12の発電動作が開始され、発電動作中に切り操作されることで、発電動作が停止され、当該入り操作後は切り操作がなされるまで発電動作が継続される。
【0051】
上述のように構成した本発電装置1は、以下の作用効果を奏する。なお、前後の方向の定義において、姿勢を特定しない記載は第1載置姿勢とし、姿勢を特定した記載では特定した姿勢に準じる。
【0052】
移動機構部を床部3の後端に設けたことで、筐体2の姿勢変更が車輪42の回転方向に規制され、筐体2の載置面が、床部3の外面と後壁部6の外面との、車軸43の周方向を向く二面に規定される。そのため、発電装置1は、床部4の外面を下面とした第1載置姿勢と、後壁部6の外面を下面とした第2載置姿勢とを選択的に有する。
【0053】
そして、出力部14を前壁部5の上端に設けたことで、各載置姿勢や移動姿勢時に、出力部14が床面等に閉塞され難い位置をとり、負荷装置60を出力部14に接続し易くすることができる。そして、出力部14の本体部33を筐体2に対して回転自在とすると共に、回転軸34の軸心を車軸43と略平行に配置したことで、本体部33を回転させることで、接続面35の向きを床部3側向きと後壁部6側向きとに切り替えることができる。そのため、雨天での屋外利用時等に、接続面35を前後の筐体2外方や斜め外下方や雨水の落下方向に対する斜め下方等に向けることで、接続面35に雨水が当たり難くすることができ、雨水による漏電等の動作不良を回避し易くなる。
【0054】
また、第1載置姿勢を基準に液貯留部11を発電部12の上方且つ前方に配置したことで、第2載置姿勢への変更時に、液貯留部11が発電部12の上方且つ後方に位置し、後傾させた移動姿勢への変更時に、液貯留部11が発電部12の上方に位置する。そのため、燃料液の自重(重力)で液貯留部11から発電部12へ燃料液を供給することができ、発電部12への燃料液供給を簡素な構成で行うことができる。更に、液貯留部11から燃料液を吸い上げる燃料引込装置の廃止や低出力化を行うことができるため、発電装置1の軽量小型化や生産費用の低減を行うことができる。
【0055】
また、第1傾斜面20と第2傾斜面21とをタンク15に設けたことで、各載置姿勢や移動姿勢において、燃料液が供給口23に導入され易くなり、安定して燃料液を供給し易くすることができる。そして、各載置姿勢や移動姿勢や姿勢変更時に、供給路22の上流開口を燃料液で覆った状態に維持し易くなるため、タンク15内の空気等の気体が供給路22に侵入し難くすることができ、燃料液側の流動経路への気体混入による動作不良の発生を抑制し易くなる。更に、発電部12の受入口27をケース26の上面前端に設けたことで、各載置姿勢や移動姿勢や姿勢変更時に、発電部12内の燃料液が受入口27に逆流し難くなる。
【0056】
また、いずれの載置姿勢でも閉塞され難い外壁部(側壁部)が規定され、当該部位に排気口39や給気口36を設けることで、排気口39等の閉塞による動作不良や機能不全等の発生を抑制し易くすることができる。そして、左壁部8に発電操作部を設けたことで、前壁部5や後壁部6に設けたものに比べて運搬移動時に接触し難くなり、また床部3や後壁部6に設けたものに比べて載置時に閉塞され難くなる。
【0057】
また、出力部14は天井部4の前端に限らず、前壁部5の下端より上方や、天井部4の後端より前方に設けてあればよい。
【0058】
例えば、図6又は図7に示す変形例では、前壁部5の左壁部8に連なる側端に凹所を有する。凹所32は側端から右側に凹むと共に前方に開口し、内部に出力部14が配置される。
【0059】
出力部14は、回転軸34が前壁部5の当該側端の辺方向に沿って軸心を有し、当該軸心が車軸43の軸方向に対して交差して位置する。そして、接続面35は本体部33の外面に対して軸方向に傾斜して、下向きに設けられる。
【0060】
そのため、出力部14は、例えば、第1載置姿勢時に、接続面35を設けた外面を左方に向けることで、接続面35が左下方を向き、第2載置姿勢時に、接続面35を設けた外面を下方に向けることで、接続面35が前下方を向く。このように、接続面35を両載置姿勢時に各々上方以外(雨水の落下方向に対向した向き以外)等に向けることができ、両載置姿勢時に雨水が当たり難くすることができる。
【0061】
また、図8に示す変形例では、内側に向けて上り傾斜した傾斜面51を、右壁部7及び左壁部8の上方側の部位に設けると共に、左壁部8の傾斜面51の前端辺に凹所32を有する。凹所32は傾斜面から内側(右下方)に凹むと共に前方に開口し、内部に出力部14が配置される。
【0062】
出力部14は、回転軸34の軸心が傾斜面51の前端辺に沿って位置する。そのため、当該発電装置1では例えば、第1載置姿勢時に、接続面35を右下方に向け、第2載置姿勢時に、接続面35を下方に向けることで、接続面35を両載置姿勢時に各々上方以外等に向けることができ、両載置姿勢時に雨水が当たり難くすることができる。
【0063】
また、図9に示す変形例では、天井部4の前後方向における略中央に、上方に突出した凸部52を二つ備え、凸部52は長手方向Lに沿って所定の間隔離れて並び、当該二つの凸部52の間に出力部14が配置される。
【0064】
出力部14は、回転軸34の一方の端部が一方の凸部52に固定されると共に、他方の端部が他方の凸部52に固定され、回転軸34の軸心が車軸43と平行に位置する。そして、本体部33は、第1載置姿勢において、接続面35を前方に向けた際に、接続面35を設けた外面と天井部4との間に空間を有する。そのため、出力部14は、第1載置姿勢に、接続面35を前方より若干下方に傾けて、負荷装置60の端部61を接続面35に接続することができ、両載置姿勢時に雨水が当たり難くすることができる。
【0065】
なお、出力部14は、本体部33を回転軸34に回転自在としたが、回転軸34を筐体2に回転自在とし、回転軸34の回転により本体部33の外面の向きを変更してもよい。また、移動機構部は車輪42毎に各々車軸43を有してもよく、また車輪42を三つ以上或いは一つのみ備えてもよい。また、第1脚部44や第2脚部45に車輪を設けて、第1載置姿勢や第2載置姿勢で運搬移動可能としてもよい。
【0066】
また、発電部12は、反応部での反応によって直接電気を発生させるものに限らず、ガソリンや軽油等の燃料液を燃焼(酸化反応)させる内燃機関式の発電部12であってもよい。この発電装置1では発電部12が、燃料液を燃焼させて生じたエネルギーをピストンやクランク等で回転駆動に変換して出力するエンジン等の反応部と、当該回転駆動を電力に変換するダイナモ等の電力変換部とを備える。そして、反応部は、各載置姿勢及び移動姿勢のいずれの場合でも、液貯留部11より下方に位置するように配置される。
【0067】
また、本発電装置1は電動工具用の電源に限らない。
【符号の説明】
【0068】
1 発電装置
2 筐体
3 床部
6 後壁部
11 液貯留部
12 発電部
14 出力部
33 本体部
34 回転軸
35 接続面
42 車輪
43 車軸
L 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料液を貯留する液貯留部と、前記燃料液から発電を行う発電部と、前記液貯留部と前記発電部とを収容した筐体と、前記発電部からの電力を外部に出力する出力部と、運搬移動用の移動機構部とを備え、
前記移動機構部が、前記筐体に対して回転する車輪と、前記車輪の回転中心となる車軸とを備え、
前記筐体を前記車輪の軸回りに回転させて姿勢が切り替わることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記筐体が、前記移動機構部を一端に設けた床部と、当該床部の前記一端から立ち上がる後壁部とを有し、
前記出力部が外部の負荷装置を接続する接続面を有すると共に、前記接続面の向きが前記床部側向きと前記後壁部側向きとに切り替わることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記出力部が、前記負荷装置と前記発電部とを電気的に接続する本体部と、前記本体部を軸回りに回転させる回転軸とを備え、
前記本体部が、前記回転軸の径外方向を向く外面を有すると共に、前記外面に前記接続面を備えることを特徴とする請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記筐体が、前記床部と対向する天井部と、前記後壁部に対向する前壁部とを更に有し、
前記出力部が前記天井部と前記前壁部との少なくとも一方に設けられると共に、前記回転軸の軸方向が前記車軸の軸方向と平行に位置することを特徴とする請求項3に記載の発電装置。
【請求項5】
前記筐体が、前記床部の前記車軸の軸方向の端部から立ち上がる側壁部を更に有し、
前記出力部が前記側壁部に設けられると共に、前記回転軸の前記軸方向が前記車軸の軸方向と交差することを特徴とする請求項3に記載の発電装置。
【請求項6】
前記接続面が前記外面に傾斜して設けられることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の発電装置。
【請求項7】
前記発電部が燃料電池部を主体とするものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200105(P2012−200105A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63603(P2011−63603)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(509119153)パナソニックESパワーツール株式会社 (107)
【Fターム(参考)】