説明

発電装置

【課題】発電電流の検出を不要とし、電力損失の増加、部品の故障率が高くなることを回避する。
【解決手段】少なくとも一つの発電モジュールの出力電圧および温度を測定する測定部と、測定部によって測定された出力電圧および温度の情報から電力を計算する電力計算部と、電力計算部によって計算された電力の情報を出力する出力部とを備える。電力計算部は、発電モジュールの等価回路のモデルに基づいて出力電圧および温度の情報を使用して電力を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば太陽電池モジュール等の発電モジュールを使用する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、再生可能なエネルギーを利用する太陽電池、風力発電などの新エネルギーシステムが実用化されている。一例として、住宅の屋根に太陽光発電の太陽電池モジュールを設ける住宅発電設備が普及しつつある。太陽電池モジュールは、単体の太陽電池(セル)を数十個接続した構成を有するものである。具体的には、太陽電池セルを内部配線によって接続し、受光面となる強化ガラス上に配し、さらに、反対面を樹脂で覆う構成とされている。1または複数の太陽電池モジュールの出力電圧をパワーコンディショナに供給し、パワーコンディショナから交流電力を取り出し、交流電力を電力系統に送り出すようになされている。このようなシステムが太陽光発電装置と称される。
【0003】
使用中の太陽光発電装置の出力電力の表示は、家庭のユーザに対して現在の太陽光発電の電力を知らせることができる。さらに、発電状態をモニターすることによって、発電装置の異常を検出することができる。
【0004】
例えば特許文献1には、太陽電池モジュールの出力電流と温度を計測し、温度に応じた理想電流値と発電電流値とを比較して太陽電池モジュールの劣化を検出することが記載さこれている。特許文献2には、バイパスダイオードを電源とする電流リレーをバイパスダイオードと直列に接続し、リレー通電状態が一定時間以上継続したことを、太陽電池の故障として検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−287608号公報
【特許文献2】特開平9−102622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、太陽電池モジュールの発電電流値を測定することが必要であり、電流値測定のための抵抗等を電流パスに挿入する必要があり、電力損失が増加する問題があった。さらに、発電電流が比較的大きな値であるため、電流、発熱によって、部品の故障率が高くなる問題があった。
【0007】
特許文献2においても、電流リレーを電流パスに挿入する構成のために、電力損失の増加、電流、発熱による部品の故障率が高くなる問題があった。さらに、太陽電池モジュールが発電できるか否かの情報しか得ることができず、電力情報の管理に使用することができない問題があった。
【0008】
したがって、本開示は、これらの問題点が解消された発電装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本開示は、少なくとも一つの発電モジュールの出力電圧および温度を測定する測定部と、
測定部によって測定された出力電圧および温度の情報から電力を計算する電力計算部と、
電力計算部によって計算された電力の情報を出力する出力部とを備え、
電力計算部は、発電モジュールのモデルに基づいて出力電圧および温度の情報を使用して電力を計算する発電装置である。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、発電電流を検出する必要がなく、電力損失の増加、電流、発熱による部品の故障率が高くなる問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本開示による発電装置の概略的ブロック図である。
【図2】本開示による発電装置の第1の実施の形態の概略的ブロック図である。
【図3】太陽電池の等価回路の一例の接続図である。
【図4】本開示による発電装置の変形例の概略的ブロック図である。
【図5】本開示による発電装置の第1の実施の形態の送信側の構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施の形態の送信側の動作の説明に用いるフローチャートである。
【図7】本開示による発電装置の第1の実施の形態の受信側の構成を示すブロック図である。
【図8】第1の実施の形態の受信側の動作の説明に用いるフローチャートである。
【図9】本開示による発電装置の第2の実施の形態の送信側の構成を示すブロック図である。
【図10】本開示による発電装置の第3の実施の形態の概略的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において、特に限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
【0013】
<第1の実施の形態>
「発電装置の概略」
本開示の第1の実施の形態について説明する。図1に示すように、第1の実施の形態では、太陽電池モジュールMと送信機Txとが接続され、太陽電池モジュールMの電圧、温度の情報が送信機Txに供給され、通信路COMを介して受信機Rxに送信される。
【0014】
受信機Rxには、受信された温度および電圧の情報を使用して太陽電池または太陽電池モジュールのモデル例えば等価回路に基づいて電力が計算される。さらに、受信機Rxには、表示部が設けられており、計算された電力量の表示が可能とされている。よりさらに、受信機Rxには、電力量から発電モジュールMの状態を判定する判定部が設けられており、発電モジュールMの劣化、故障等を判定することが可能とされている。
【0015】
通信路COMは、有線または無線の何れであっても良い。通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等
の通信インターフェースを使う方法、Bluetooth、ZigBee、Wi−Fi、ANT+等の無線通信を利用する方法がある。さらに、有線通信方式として、太陽電池モジュールの送電経路を利用した電力線通信や、別のケーブルを使用した通信例えばイーサネット(登録商標)等を使用しても良い。
【0016】
送信側の構成は、図2に示すように、太陽電池モジュールMの出力電圧(発電電圧を意味する)Vを測定する電圧測定器1と、太陽電池モジュールMの温度Tを測定する温度測定器2とを有し、測定された電圧Vおよび温度Tが送信機Txを介して無線または有線の通信で送信される。送信側では、電流を測定する必要がなく、電流検出用の抵抗による電力損失等の問題が発生しない。
【0017】
受信側では、測定された太陽電池モジュールの電圧Vおよび温度Tを使用して太陽電池モジュールの発電電力を計算する。この場合、図3に示すような太陽電池モジュールのモデル(例えば等価回路)が使用される。以下、発電電力の計算方法について説明する。
【0018】
「発電電力の算出」
電圧Vと温度Tから電力を算出するために、例えば太陽電池モジュールを事前にモデル化しておく。図3は,太陽電池モジュールを等価回路にモデル化した例である。等価回路は、電流源と、ダイオードと、抵抗とを並列接続し、さらに抵抗を直列接続した構成とされている。図3において、電流源が起電力に対応し、Iphが電流源成分である。太陽電池モジュールの基板、受光層、電極部の抵抗の総和が直列抵抗Rsで表されている。太陽電
池モジュールの損失抵抗が並列抵抗Rshで表されている。
【0019】
これらの電流源成分Iph、直列抵抗成分Rs、並列抵抗成分Rshおよびダイオードの特
性を事前に求めておく。なお、ダイオードの特性は、ショックレーのダイオード方程式(式(1))を使ってモデル化できる。
【0020】
【数1】

【0021】
式(1)において、各項は、下記の通りである。
Io:逆方向飽和電流(A)
n:理想ダイオード因子
q:電気素量(1.60217733x10^(-19)(C))
k:ボルツマン定数(1.3806504x10^(-23) (JK-1))
T:温度(K)
【0022】
図3の等価回路にキルヒホッフの法則を用いることで、以下の式(2)を得る。
【0023】
【数2】

【0024】
(式1)と(式2)から,以下の式(3)が得られる。
【数3】

【0025】
未知変数のうちIo、n、Rs、Rshは、環境によらず一定のため、既知の(I,V,T)の組の実測データを未知数の数以上用意すれば、連立方程式を解くことで求めることができる。Iphは、照度依存の変数であるが、例えば照度に線形に比例すると仮定すれば、(I,V,T、照度)の組の実測データを未知数の数以上用意することで、連立方程式を解くことができる。
【0026】
以上のようにして、上記方程式のI、V、T以外の未知数を求めることができるので,VとTとIph(または照度)が得られればIを求めることができ、(電圧V×電流I=発電電力)を求めることが可能になる。
【0027】
Iphまたは照度を求めるために、例えば図4に示すように、照度センサ3を設け、照度にほぼ比例するパラメータである太陽電池モジュールの端子を短絡したときの短絡電流や、太陽電池モジュールの端子を開放したときの開放電圧を測るといった方法がある。但し、この方法では,照度を測るためのセンサが別途必要になる。
【0028】
一方、太陽電池のパワーコンディショナには、MPP(Maximum Power Point)(最大動
作点制御)機能が付いているものが多く普及している。MPPは、太陽電池の電流電圧特性において、電力が最大となる最大動作点を得るための制御である。パワーコンディショナにMPP機能がついているものとすると、TとVとが分かればIphを求めることができ、結果としてIを求めることができる。これは、例えば以下のように説明できる。
【0029】
一般的に,太陽電池の最大動作点電圧Vpmは、比較的照度の高い環境では開放電圧Vocにほぼ線形に比例することが知られている。例えば結晶シリコン型太陽電池の場合、Vpmは、Vocの約8割である。このことを念頭において、まず式(3)でI=0とした場合の式は、Vocを用いて以下のように表される。
【0030】
【数4】

【0031】
上記の式(4)を、係数c=Vpm/Voc(例えば、0.8)を用いて変形すると,以下のようにIphが求まる。
【0032】
【数5】

【0033】
式(3)と式(5)とから、VpmとTからIpmを導出するための式(6)を得ることができる。
【数6】

【0034】
式(6)において,未知の変数は、Ipmただ一つであり,他の変数は前述のように事前に求めておくか、送信機からデータをもらうことで値を得ることができる。よって式(6)から,例えばニュートン法などで、Ipmを求めることができる。または、指数をテイラー展開した後で多項式の方程式を解くことによっても、Ipmを求めることができる。
【0035】
「送信側の構成の一例」
図5を参照して送信側の構成の一例について説明する。一例として、二つの太陽電池モジュールM1およびM2が直列接続されている。太陽電池モジュールM1およびM2の直列接続から取り出される出力電圧がパワーコンディショナPWに供給される。パワーコンディショナPWは、発電された直流電圧を交流電圧に変換し、商用電源系統に発電電力を供給するためのものである。パワーコンディショナPWは、MPP(最大動作点制御)機能を有するものである。MPPは、太陽電池の電流電圧特性において、電力が最大となる最大動作点を得るための制御である。
【0036】
太陽電池モジュールM1およびM2のそれぞれに関して電圧・温度測定部101 および102 が接続されている。電圧・温度測定部101 および102 は、同様の構成を有するので、図5には、電圧・温度測定部101 の構成のみが詳細に示されている。
【0037】
太陽電池モジュールM1の出力電圧がレギュレータ11に供給されると共に、抵抗12および抵抗13によって分圧される。レギュレータ11は、太陽電池モジュールM1の出力を安定化して直流電圧+Vcc1を出力する。太陽電池モジュールM1の出力電圧がレギュレータ11の定格電圧より高い場合には、太陽電池モジュールM1の出力電圧を分圧し
てからレギュレータ11に供給するようになされる。
【0038】
抵抗11および抵抗12の接続点の電圧が過電圧保護回路(図では、OVP(Over Voltage Protection)と表記する)14に入力される。過電圧保護回路14は、抵抗12およ
び抵抗13の接続点の電圧が次段のA/Dコンバータ(図では、ADCと表記する)15の入力定格電圧以上とならないように制限するための回路である。A/Dコンバータ15から電圧データV1が得られる。
【0039】
レギュレータ11の出力電圧が抵抗16およびサーミスタ17の直列接続に供給される。サーミスタ17は、例えば負特性サーミスタであり、太陽電池モジュールM1の温度と対応する抵抗値を有する。温度検出素子は、太陽電池モジュールの表面温度を測定できるように配置するのが望ましい。温度検出素子としては、サーミスタ以外の素子を使用しても良い。さらに、複数の温度検出素子を太陽電池モジュールM1の複数の位置に設けて複数の温度検出素子の検出出力を利用してより正確な温度検出を行うようにしても良い。抵抗16およびサーミスタ17の接続点の電圧がA/Dコンバータ18に供給される。A/Dコンバータ18から温度データT1が得られる。A/Dコンバータ15および18の電源として、レギュレータ11の出力電圧+Vcc1が供給される。
【0040】
さらに、ID(識別子)記憶部19が設けられており、ID記憶部18から太陽電池モジュールM1のID1が出力される。太陽電池モジュールM1に関する電圧データV1、温度データT1およびID1がマルチプレクサ20に供給される。
【0041】
太陽電池モジュールM2に関連する電圧・温度測定部102 が上述した電圧・温度測定部101 と同様に、太陽電池モジュールM2に関する電圧データV2、温度データT2、ID2および電圧+Vcc2を発生し、データがマルチプレクサ20に供給される。マルチプレクサ20および送信機Txの電源電圧+Vccは、+Vcc1および+Vcc2の何れか一方から得られる。
【0042】
マルチプレクサ20は、太陽電池モジュールM1に関するデータと、太陽電池M2に関するデータとを多重化例えば時分割多重化して、多重化データを送信機Txに供給する。送信機Txは、無線送信機であって、アンテナを有する。なお、電圧および温度の測定は、所定の周期でもってなされる。
【0043】
なお、マルチプレクサを設けることによって、複数の太陽電池モジュールのデータを一つの送信機によって送信するようにしている。しかしながら、各太陽電池モジュールに関連して送信機を設けるようにしても良い。太陽電池モジュール間の位置が離れている場合には、配線を簡単とするために、太陽電池モジュール毎に送信機を設ける方が好ましいこともある。
【0044】
なお、図5では、省略されているが、発電装置を含む送信側を制御する制御部が設けられている。制御部は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。制御部は、プログラムを実行することにより、送信側の各部を統括的に制御する。
【0045】
「送信側の処理」
送信側例えば太陽電池モジュールM1に関して、制御部の制御の下で、図6に示すフローチャートのように処理がなされる。ステップST1において、電圧・温度測定部101 によって、太陽電池モジュールM1の電圧と温度とが測定される。
【0046】
ステップST2において、測定結果の電圧データおよび温度データがID1と共にマルチプレクサ20に供給される。ステップST3において、他のモジュール(太陽電池モジュールM2)のID2、電圧データおいて温度データと多重化され、送信機Txによって送信される。このようにして、測定された電圧データおよび温度データがIDと共に受信機Rxに対して送信される。
【0047】
「受信機の構成の一例」
図7を参照して受信機の構成の一例について説明する。受信機Rxが送信機Txからの信号を受信し、受信処理を行い、処理後のデータをデマルチプレクサ30に供給する。デマルチプレクサ0は、多重化されているデータを分解し、IDと測定データとを出力する。
【0048】
デマルチプレクサ30から出力されるID1が電力計算および状態判定部311 の認証部32に供給される。認証部32は、予めID1が登録されており、受信されたIDと登録されているIDの一致の有無によって認証を行う。相互認証等のより複雑な認証方式を使用しても良い。
【0049】
デマルチプレクサ30からの電圧データV1および温度データT1が電力計算部33に供給される。電力計算部33は、上述した太陽電池モジュールの等価回路のモデルを使用して式(1)〜式(6)で示すように、太陽電池モジュールの発電する電流Iphを計算し、求められた電流と電圧とから太陽電池モジュールM1の発電電力情報P1を計算するものである。
【0050】
電力計算部33によって求められた電力情報P1が状態判定部34に供給される。状態判定部34は、電力情報P1の量から太陽電池モジュールM1の状態の良否を判定するものである。状態判定部34は、太陽電池モジュールM1の故障、その劣化の状態等を判定する。状態判定部34が判定信号St1(例えば数ビットのデジタルデータ)を出力する。
【0051】
状態判定部34が電力情報から発電状態を判定するために、例えば以下の方法を用いる。これらの一つの方法を使用しても良く、複数の方法を組合せても良い。
1.発電電力が所定値以下の状態が所定時間以上続く場合、発電異常状態と判定する。
2.近傍モジュールに対して発電電力が所定値以下の場合、発電異常状態と判定する。
3.所定時間の総発電電力が過去と比べて所定以上少ない場合、発電異常状態と判定する。
【0052】
電力計算および状態判定部311 から出力される電力情報P1および判定信号St1が表示部40に供給される。表示部40は、表示素子例えばLCD(Liquid Crystal Display)と表示制御部等からなる。
【0053】
デマルチプレクサ30から出力されるID2、電圧データV2および温度データT2が電力計算および状態判定部311 に対して供給される。電力計算および状態判定部312 は、上述した電力計算および状態判定部311 と同様の構成を有し、電力情報P2および判定信号St2を出力する。これらの電力情報P2および判定信号St2が表示部40に供給される。
【0054】
表示部40は、太陽電池モジュール毎の発電電力を表示し、さらに、太陽電池モジュール毎の情報判定結果を表示する。さらに、必要に応じて、全太陽電池モジュールの発電電力の合計等を表示しても良い。ユーザは、表示部40の表示を見て、現在の太陽電池モジュールの発電状態を知ることができる。なお、求められた電力量および状態を表示することは、必ずしも必要ではなく、表示以外の処理、制御に使用するようにしても良い。例えば出力される電力情報を使用して、太陽の方向に太陽電池モジュールのパネル面が向くように、自動追尾の制御を行うようにしても良い。
【0055】
なお、図7では、省略されているが、受信側を制御する制御部が設けられている。制御部は、例えばマイクロコンピュータによって構成される。制御部は、プログラムを実行することにより、送信側の各部を統括的に制御する。さらに、電力計算および状態判定部の機能は、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のソフ
トウェア処理によって実現することができる。
【0056】
「受信側の処理」
受信側に関して、制御部の制御の下で、図8に示すフローチャートのように処理がなされる。ステップST11において、受信機Rxがデータを受信し、受信データをデマルチプレクサ30に出力する。ステップST12において、デマルチプレクサ30によって、データが分離される。
【0057】
分離されたID1からステップST13において、太陽電池モジュールが識別される。認証のステップST14において、IDの一致等によって、管理対象の太陽電池モジュールか否かが判定される。管理対象の太陽電池モジュールでないと判定された場合には、処理が終了する。管理対象のモジュールとステップST14において判定されると、ステップST15において、上述した太陽電池モジュールの等価回路のモデルを使用して電力の計算がなされる。
【0058】
ステップST16において、太陽電池モジュール毎の電力情報が表示部40によって表示される。同時に、ステップST17において、計算された電力情報を使用して上述したような状態判定がなされる。例えば発電電力が殆どない場合には、当該太陽電池モジュールが故障と判定れる。さらに、発電電力が所定の値より小さい場合、太陽電池モジュールの劣化の程度に換算され、劣化の程度が表示される。そして、処理が終了する。
【0059】
上述したステップST13〜ステップST18と同様の処理が他の太陽電池モジュール(例えば太陽電池モジュールM2)に関してもなされる。この処理を図8においては、まとめてステップST20として示している。
【0060】
<第2の実施の形態>
図9は、第2の実施の形態における送信側の構成を示す。第1の実施の形態における図5に示す送信側の構成と対応する部分には同一の参照符号を付する。第2の実施の形態では、太陽電池モジュール毎に設けられている送信側が電力計算部を備えるようにしたものである。例えば太陽電池モジュールM1に関する送信側に電力計算部251 が設けられ、第1の実施の形態と同様に、太陽電池モジュールM1の電力情報P1が計算される。
【0061】
電力計算部251 からの電力情報P1とID1とがマルチプレクサ20に対して供給される。他の太陽電池モジュールM2についても同様に電力計算部252 が設けられている。この電力計算部252 からの電力情報P2とID2とがマルチプレクサ20に供給される。マルチプレクサ20は、電力情報P1およびP2とID1およびID2とを多重化して送信機Txに供給し、これらのデータを送信する。
【0062】
受信側は、図示を省略するが、電力情報そのものを受信できるので、電力計算部を備える必要はない。その他の構成は、図7と同様である。
【0063】
<第3の実施の形態>
第1の実施の形態は、電力計算部を受信側に有し、第2の実施の形態は、電力計算部を送信側に有している。これに対して、第3の実施の形態は、図10に示すように、送信側および受信側以外に電力計算部を備えるようにしたものである。
【0064】
図10は、第3の実施の形態の概略的構成を示している。太陽電池モジュールMの電圧および温度が電圧測定器1および温度測定器2によって測定される。送信機Txによって、これらのデータを送信される。
【0065】
送受信機TRx1は、受信したデータを他の場所(サーバ、クラウドコンピュータ等)にある送受信機TRx2に送信する。送受信機TRx2は、受信した電圧データおよび温度データを電力計算部26に対して供給する。電力計算部26は、第1の実施の形態と同様に、太陽電池モジュールMの電力情報Pを計算する。計算された電力情報Pが送受信機TRx2に戻され、送受信機TRx2から送信される。
【0066】
送受信機TRx1は、送受信機TRx2から送信される電力情報Pを受信する。受信された電力情報Pが表示部40に表示される。一方、電力情報Pが情報判定部34に供給され、故障および劣化の状態が判定され、判定結果が表示部40に供給される。
【0067】
「実施の形態の効果」
上述した実施の形態は、下記のような効果を奏する。
・太陽電池モジュールごとの電力管理ができるので、故障や影、方位ごとの発電量の把握などが容易になる。
・故障の原因となる太陽電池モジュールの特性ができるため、太陽光発電システムのメンテナンスが容易になる。
・個々の太陽電池モジュールに取り付ける装置は部品数が少なく小型で安価なものにできる。
・太陽電池モジュールの送電経路に部品を入れないので、装置が故障しにくい。
【0068】
なお、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
少なくとも一つの発電モジュールの出力電圧および温度を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記出力電圧および温度の情報から電力を計算する電力計算部と、
前記電力計算部によって計算された電力の情報を出力する出力部とを備え、
前記電力計算部は、前記発電モジュールの等価回路のモデルに基づいて前記出力電圧および温度の情報を使用して前記電力を計算する発電装置。
(2)
前記出力部が前記電力計算部によって計算された電力の情報を表示する表示部である(1)に記載の発電装置。
(3)
前記電力計算部によって計算された電力の情報から前記発電モジュールの状態を判定する状態判定部を有する(1)(2)の何れかに記載の発電装置。
(4)
前記発電モジュールに照射される光の照度を測定する照度測定部を設け、測定される照度の情報を前記電力計算部に供給する(1)(2)(3)の何れかに記載の発電装置。
(5)
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が送信機によって送信され、受信機が前記出力電圧および温度の情報を受信し、受信した出力電圧および温度の情報を前記電力計算部に対して供給し、前記電力計算部からの電力の情報を前記出力部に出力する(1)(2)(3)(4)の何れかに記載の発電装置。
(6)
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が送信機によって送信され、受信機が前記出力電圧および温度の情報を受信し、受信機とは別に設けられている前記電力計算部に対して前記出力電圧および温度の情報を送信し、前記電力計算部からの電力の情報を前記出力部に出力する(1)(2)(3)(4)の何れかに記載の発電装置。
(7)
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が電力計算部に供給され、前記電力計算部によって電力を計算し、計算された電力の情報が送信機によって送信され、受信機が前記電力の情報を受信して前記出力部に前記電力の情報を出力する(1)(2)(3)(4)の何れかに記載の発電装置。
【0069】
「変形例」
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述した実施の形態では、太陽電池モジュールに対して本開示を適用した例であるが、太陽電池モジュール以外の発電素子に対して本開示を適用しても良い。
【符号の説明】
【0070】
M、M1、M2・・・太陽電池モジュール
Tx・・・送信機
Rx・・・受信機
TRx1,TRx2・・・送受信機
1・・・電圧測定器
2・・・温度測定器
3・・・照度センサ
101 ,102 ・・・電圧・温度測定部
19・・・ID記憶部
20・・・マルチプレクサ
251 ,252 ,26,33・・・電力計算部
30・・・デマルチプレクサ
311 ,312 ・・・電力計算および状態判定部
34・・・状態判定部
40・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの発電モジュールの出力電圧および温度を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記出力電圧および温度の情報から電力を計算する電力計算部と、
前記電力計算部によって計算された電力の情報を出力する出力部とを備え、
前記電力計算部は、前記発電モジュールのモデルに基づいて前記出力電圧および温度の情報を使用して前記電力を計算する発電装置。
【請求項2】
前記出力部が前記電力計算部によって計算された電力の情報を表示する表示部である請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記電力計算部によって計算された電力の情報から前記発電モジュールの状態を判定する状態判定部を有する請求項1に記載の発電装置。
【請求項4】
前記発電モジュールに照射される光の照度を測定する照度測定部を設け、測定される照度の情報を前記電力計算部に供給する請求項1に記載の発電装置。
【請求項5】
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が送信機によって送信され、受信機が前記出力電圧および温度の情報を受信し、受信した出力電圧および温度の情報を前記電力計算部に対して供給し、前記電力計算部からの電力の情報を前記出力部に出力する請求項1に記載の発電装置。
【請求項6】
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が送信機によって送信され、受信機が前記出力電圧および温度の情報を受信し、受信機とは別に設けられている前記電力計算部に対して前記出力電圧および温度の情報を送信し、前記電力計算部からの電力の情報を前記出力部に出力する請求項1に記載の発電装置。
【請求項7】
前記測定部により測定された出力電圧および温度の情報が電力計算部に供給され、前記電力計算部によって電力を計算し、計算された電力の情報が送信機によって送信され、受信機が前記電力の情報を受信して前記出力部に前記電力の情報を出力する請求項1に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−113739(P2013−113739A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260771(P2011−260771)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】