説明

発電透光防音板およびそれを用いた防音壁

【課題】透光性を有しかつ吸音性、遮音性を備えたうえ、発電機能をも付加した発電透光防音板およびこれを用いた防音壁。
【解決手段】発電透光防音板6は、その全体を例示する図1において、音源側に配置される透光性吸音材1と、背面側に配置される、太陽電池を組み込んだ透光性遮音材4と、この透光性吸音材1と透光性遮音材4とを空間5を設けてその四周を固定するパネル枠材2とからなる。本発明の発電遮音材4の基本的構成は、太陽電池の両面に透光性板材を配置した積層構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機能を備えた透光性防音板および防音壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防音壁に用いられる防音板としては、グラスウール等の多孔質吸音材を金属等の枠に入れて音源側を吸音性とし反対側を遮音性の板で構成した吸音性の遮音板や、ポリカーボネートなどの透明プラスチック板を用いた透光性の遮音板が用いられている。
【0003】
また、防音壁に発電機能をもたせるため、これらの防音板に太陽電池を取り付けた防音壁が提案されている。例えば、特許文献1には、透光性フィルム状のアモルファス太陽電池を透光性の樹脂板(アクリル、ポリカーボネート)またはガラス板などの透光性遮音板の表面に貼り付けた太陽電池付の透光性遮音板が開示されている。
また、特許文献2には、ポリアクリル板など透光性遮音板の表面に帯状の太陽電池を距離を空けて配置し、太陽電池相互の間から光を通すようにした太陽電池付の透光性遮音板が開示されている。ところが、これらの遮音板を設置した防音壁は、透光性と遮音性と発電機能を有するものの、吸音性に乏しいため、道路側での音の反射により騒音レベルの上昇が起こる問題があった。
【0004】
また、特許文献3には、多数のスリットを設けた金属板などの背面にグラスウールなどの吸音材を配置し、さらに裏面に太陽電池パネルを配置した太陽電池パネル一体型遮音パネルが開示されているが、この遮音板を設置した防音壁は、吸音性、遮音性、発電機能もあるが、透光機能を全く備えていないので、日照や視界が阻害されるという従来からの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−253914号公報 発明の名称「太陽電池パネル一体型遮音パネル」:特許請求の範囲、図1など
【特許文献2】特開平7−259022号公報 発明の名称「発電透光板および交通騒音防止システム」:特許請求の範囲、図1(太陽電池帯状配置タイプ)など
【特許文献3】特開平8−199512号公報 発明の名称「太陽電池パネル一体型遮音パネル」:特許請求の範囲、図3(グラスウール内蔵金属製遮音板タイプ)など。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、透光性を有しかつ吸音性、遮音性を備えたうえ、発電機能をも付加した発電透光防音板およびこれを用いた防音壁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機能を付与した透光性遮音材と、透光性吸音材とを空間を隔ててパネル枠材に取り付けたことを特徴とする本発明の発電透光防音板およびこれを壁面として配置した本発明の発電透光防音壁によって、解決することができる。
【0008】
また、本発明は、次の形態に好ましく具体化される。
1)前記発電機能を付与した透光性遮音材が、太陽電池と透光性板材の積層体である前記した発電透光防音板。
2)前記透光性吸音材が透光性の膜状材料と多孔板とを積層した透光性吸音材である前記した発電透光防音板。
3)前記透光性吸音材に発電機能を付与した発電透光防音板。例えば透光性吸音材を構成する膜状材料又は多孔板の少なくともいずれか一方が、太陽電池との積層体である前記した発電透光防音板。
4)前記空間を換気する通気口を設けた前記した発電透光防音板。
5)前記パネル枠材にソケット部又はコンセント部を設けた発電透光防音板。
6)発電透光防音板のパネル枠材の空間部に蓄電装置を設けた発電透光防音板。
【発明の効果】
【0009】
本発明はこのように構成されているので、以下に列挙するような優れた効果がある。よって本発明は、従来の問題点を解消した発電透光防音板およびそれを用いた防音壁として、実用的価値はきわめて大なるものがある。
1)本発明の発電透光防音板は、透光性、透視性を有するうえ、吸音性、遮音性も備えた防音板であり、防音壁として設置した場合、防音効果を高めるため壁を高くしても日照や視界(透視性)を保持することが可能である。さらに、音源側での音の反射を抑制できるので、音源側においても適正な防音効果が確保できるうえ、太陽電池など発電機能により、よりクリーンエネルギーを提供できる。
【0010】
2)発電透光防音板に設けた空気層により吸音効果を向上させ、さらに前記空気層は通気口により換気可能であるから、空気層の温度上昇を抑制でき、発電効率低下、すなわち、光エネルギーを電気エネルギーに変換する効率の低下を防止できる利点もある。
3)表裏両面から受光発電可能な太陽電池を配設した場合には、発電透光防音板の設置方向に関りなく発電可能であるので、高速道路などに沿った任意の場所に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の発電透光防音板の概要を示す平面図(A)、正面図(B)、側面断面図(C)。
【図2】本発明の発電遮音材の1例の概要を示す正面図(A)、側面断面図(B)。
【図3】本発明の発電遮音材の太陽電池の配置例の概要を示す正面図(A)、(B)。
【図4】本発明の発電遮音材の太陽電池の他の配置例の概要を示す正面図(A)、側面断面図(B)。
【図5】本発明の透光性吸音材を説明するための要部展開図(A)、断面略図(B)、(C)。
【図6】本発明の発電透光防音板の実施形態を示す側面要部断面図(A)、水平要部断面図(B)。
【図7】本発明の発電透光防音板の他の実施形態を示す側面要部断面図(A)、水平要部断面図(B)。
【図8】本発明の防音壁を示す一部切り欠き要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の発電透光防音板およびそれを用いた防音壁に係る実施形態について、図1〜8を参照しながら説明する。
本発明の発電透光防音板6は、その全体を例示する図1において、音源側に配置される透光性吸音材1と、背面側に配置される、太陽電池を組み込んだ透光性遮音材4と、この透光性吸音材1と透光性遮音材4とを空間5を設けてその四周を固定するパネル枠材2とからなる。以下、この太陽電池を組み込んだ透光性遮音材4を単に発電遮音材4という。
【0013】
(発電遮音材)
本願発明における発電遮音材4の基本的構成は、太陽電池41の両面に透光性板材42を配置した積層構造である。
【0014】
(透光性板材42)
この透光性板材42には、ポリカーボネート、フッ化エチレン樹脂、アクリル樹脂などの透光性、透視性を有する合成樹脂板材、あるいは半透明、透明なガラスなどの透光性、透視性を有する板材の単板または複数枚積層した複層板が用いられる。
透光性板材42の縦横サイズは出来上がりの発電透光防音板6のサイズにより決まる。また、その厚さは必要とする遮音性能(音響透過損失)、強度(耐風圧強度など)を考慮して設定するが、道路防音壁に用いる場合は、3〜15mm(太陽電池の厚さを含む)が好ましい。
【0015】
(太陽電池)
透光性板材42と積層される太陽電池41は、結晶シリコンタイプ、アモルファスタイプ、あるいは薄膜タイプなど公知の太陽電池が利用される。また、ここでは、太陽電池とは透明電極+シリコン層+裏面電極で構成されたものをいい、ガラス基板等の基材に支持されて使用される。
【0016】
用いられる太陽電池41が、それ自体、透光性タイプの場合は、図2に例示するように、透光性板材42のほぼ全面に配置してもよいが、発電遮音材4全体の透光性を高めるため、透光性太陽電池のユニットを図3(A)(B)のように間隔を設けて配置して透光性板材42と積層してもよい。
【0017】
非透光性の太陽電池41の場合は、図4に例示するように帯状に複数列、配置する、あるいは、図3(A)のように格子状に配置して透光性板材と積層する必要がある。かくして、太陽電池の間に透光性のある部位を設けて、全体の透光性を確保することできる。
【0018】
(発電透光防音板6全体から見た太陽電池と透光性板材の組合せ事例)
本発明の発電透光防音板6の構成における太陽電池と透光性板材の組合せには、以下のいくつかの構成が例示できる。
a)片面受光の場合(括弧内が発電遮音材4の構成)
a1:光→[(透光性板材・太陽電池)+空間+透光性吸音材]
a2:光→[(透光性板材・太陽電池・透光性板材)+空間+透光性吸音材]
この事例は、太陽電池の受光面を発電遮音材4の外側方向に向けて配置して積層するが、透光性吸音材側からも受光可能なので、太陽電池の受光面を反対方向(透光性吸音材側)に向けて配置することも可能である。つまり、発電透光防音板6の設置場所における日照方向に合わせて適宜に選択するのがよい。
【0019】
b)両面受光の場合
b1:光→[(太陽電池・透光性板材・太陽電池)+空間+透光性吸音材]←光
b2:光→[(透光性板材・太陽電池・透光性板材・太陽電池・透光性板材)+空間+透光性吸音材]←光)
このように、透光性吸音材側からも受光できるので、太陽電池41を透光性遮音材4の両面から受光できるように配置すれば、太陽との位置関係を考慮することなく、本発明の発電透光防音板6を設置することができる。また、本発明の透光性遮音材4はこのように構成されるので、太陽電池を強化ガラスなどに積層した太陽電池モジュールが利用できる。
なお、後述するように透光性吸音材に発電機能を付与した場合には、前述のa1、a2の構成であっても、両面受光が可能となる。
【0020】
(透光性吸音材)
本発明において、透光性遮音材4と空間5を設けて配置される透光性吸音材1として、図5に示すように、透光性、透視性のある厚さ6μm〜2000μmのフッ素樹脂フィルムなどの膜状体11と金属、ガラスまたは合成樹脂からなる網状板あるいは孔明き板などの多孔板12、13とからなり、膜状体11の両側または片側に、その多孔板12、13を配置して構成される。
【0021】
また、透光性吸音材にも発電機能を付与した形態に具体化できる。この場合、前記膜状材料または多孔板の少なくともいずれか一方に太陽電池を積層して構成すればよい。
即ち、図5に示す透光性吸音材において、
a)膜状体11に膜状のアモルファス太陽電池を積層した複合材料。
b)多孔板13に太陽電池を積層した複合材料。
これらの何れか、または両方を構成材料として用いることができる。
【0022】
この透光性吸音材1は、膜状体11の振動、膜状体11と多孔板12、13との摩擦、透光性吸音材1自体の振動などによって、音のエネルギーを吸収することによって吸音効果を発揮する吸音材である。
【0023】
膜状体11と多孔板12、13との組合せは、単層の膜状材料に対して、その両側に多孔板12、13を配置して積層するケース(図5(A)(B))、または片側に配置するケース(図示せず)があり、膜状体11が2層の場合は、多孔板・膜状体・多孔板・膜状体の順に配置する(図5(C))、多孔板・膜状体・多孔板・膜状体・多孔板(図示せず)などの組合せがある。
【0024】
(パネル枠材)
以上説明した透光性吸音材1と発電遮音材4とを四周で固定するためのパネル枠材2は、図6、図7を事例に説明すると、アルミニウム、鉄などの金属材料または塩化ビニルなどの合成樹脂材料から形成され、透光性吸音材1を取付けるための上部取付け縁部21a、下部取付け縁部21b、側部取付け縁部21cおよび発電遮音材4を取付けるため上部凹溝22a、下部凹溝22b、側部凹溝22cなどが設けられている。
【0025】
パネル枠材2に取付けられる発電遮音材4の四周部分には太陽電池を配置しなくてもよい。また、パネル枠材2が音源側と反対側とが異なった断面形状をしている場合には、音源側(パネル外側)に透光性吸音材1を配置するものとする。
さらに、透光性吸音材1をパネル枠材2へ取付け固定する場合、透光性吸音材1の端部や中間部を長い距離に渡って固定するのではなく、間隔を設けて部分的に固定し、音波による膜状体11の振動が阻害されないように配慮するのがよい。
【0026】
(発電透光防音板の組立て)(図6、図7参照)
パネル枠材2の音源側の反対側に設けられた上部凹溝22a、下部凹溝22b、側部凹溝22cなどに発電遮音板4を嵌め合わせて取付け、空間5を隔てて、音源側に透光性吸音材1を配置し、上部取付け縁部21a、下部取付け縁部21b、側部取付け縁部21cなどにボルト、リベット、ビス、接着剤などで固定することにより本発明の発電透光防音板が組立てられる。なお、図6には、太陽電池を連続した形態の例4a、隙間を設けた例4bを例示した。
【0027】
この発電透光防音板6の厚さは、防音したい音源の周波数に合わせて設定する。厚さを薄くすると高周波領域の吸音率が向上し、厚くすると低周波領域の吸音率が向上するが、一般的には50〜200mm厚さのものが用いられる。
なお、図6(B)のように、パネル枠材2の縦部材の左右、上下部分に通気口23aを設けたり、図7(B)のように、透光性吸音材1とパネル枠材2との取付け個所に通気口23bを設けるなどして、防音板の内部空間と外部の空気が流通できるようにするのが好ましい。
【0028】
このように構成された本発明の発電透光防音板6では、透光性吸音材1を構成する膜状体11が車両の走行風や自然風によって振動することにより、空気を効率よく循環、換気することで防音板内部の太陽光による温度上昇を抑制し、発電効率低下(出力低下)を防止することができる。
通気口の大きさは、0.02m2×2ヵ所(高低差0.5m)にすれば、内部空間の温度上昇を10度以下にすることができるので、発電効率の低下を5%以下に抑えることが出来る。
【0029】
また、前記パネル枠材にソケット部およびコンセント部を設けることが好ましい。
特に、ソケット部とコンセント部を、防音壁H形支柱に建て込んだときに上段発電透光防音板のコンセント部と下段の発電透光防音板のソケット部が嵌合できるように配置しておくと、発電透光防音板の建て込みと同時に上下の発電透光防音板同士を電気的に導通させることができる。
なお、発電透光防音板の建て込み位置の底面に最下段の発電透光防音板のソケット部と嵌合するように上向きにコンセントを設け、同様に配置された隣接するコンセント同士を電気的に導通させておけば、隣接する最下段の発電透光防音板を建て込みと同時に電気的に導通させることができる。
【0030】
さらに、発電透光防音板のパネル枠材内の空間部に蓄電装置を設置することが好ましい。
このようにすれば、透光性を阻害することなく太陽電池で発電した電力を発電透光防音板内部で蓄電し、標識などの夜間電力として供給することができる。
また、発電透光防音板の前面(パネル枠材前面)に電力供給用のコンセント部を設けておけば、建て込んだ防音壁の任意の発電透光防音板から電力を供給できる。コンセント部は蓋付とし、蓋を開けて使用する。
【0031】
また、防音壁に設置する場合は、全て蓄電装置を設置した発電透光防音板で構成してもよく、蓄電装置を設置した発電透光防音板と設置していない発電透光防音板とを適宜組み合わせて構成してもよい。
例えば、防音壁の最下段にのみ蓄電装置を設けた発電透光防音板を設置して、1列毎に蓄電してもよい。
【0032】
その他、本発明の発電透光防音板の好ましい形態について述べる。
a)発電透光防音板は、各構成部材を曲面加工してアール形状、波形状に形成してもよい。この場合、透光性吸音材、発電遮音材、パネル枠材をそれぞれに曲面加工してパネル化する。
【0033】
b)発電透光防音板の表面、裏面、内部に汚れ防止や窒素酸化物浄化のために二酸化チタンなどの光触媒を塗布、付着させておけば、汚れによる発電効率の低下を防ぐことができる。
c)発電透光防音板の上端および下端には、積み上げて防音壁を構成する際のはめ込み部あらかじめ設けておく、また、両端部に落下防止用のワイヤーロープを通す孔を設けても良い。
【0034】
d)発電透光防音板の内部に、吸音性を更に向上させることなどのために、多孔質吸音材のなどの非透明で吸音性材料3(図7(A)参照)を透視性を阻害しない程度に装着してもよい。
e)透光性吸音材や発電遮音材の表面に、透視性、透光性の調整やデザインのためにスリット加工、模様加工、レンズ加工などを施しても良い。
【0035】
(発電透光防音壁)
本発明の発電透光防音壁7(図8参照)は、例えば、所定の間隔に立設したH型支柱(H型鋼)71に発電透光防音板6を透光性吸音材1を音源側にして上方から落とし込み、固定バネや金具など(図示せず)で固定して所定の高さに積み上げて立設する。そして、同時に上下または左右の発電透光防音板6を相互に電気的に接続する。
【0036】
また、概ね東西に延びる道路に沿って防音壁を設置する場合は、南側に透光性遮音材に発電機能を付与した発電透光防音板を、北側に透光性吸音材に発電機能を付与した発電透光防音板を使用すれば、効果的に発電できる。
南北に走る道路においては、前記発電透光防音板の構成、組合せの中から効率発電を考慮して適宜選択してもよいし、透光性遮音材の両面に発電機能を付与した発電透光防音板(透光性吸音材は発電機能ないものを使用)や、透光性吸音材及び透光性遮音材の片面に発電機能を付与した発電透光防音板を用いてもよい。
【実施例1】
【0037】
透光性吸音材1:厚さ25μmと12μmのフッ素樹脂フィルム2枚と孔ピッチが5×10mmと10×20mmのアルミニウム製エキスパンドメタルA、Bを用いて音源側から、エキスパンドメタル(A)+25μm厚フッ素樹脂フィルム+エキスパンドメタル(B)+12μm厚フッ素樹脂フィルムの組合せで積層した。なお、この透光性吸音材1をパネル枠材2へ固定するには、押さえ板を当ててリベットで固定する方法を用いた。
【0038】
パネル枠材2:2〜3mm厚さのアルミニウム板を折り曲げ加工して形成した。
内部吸音材3:25mm厚さのメラミン樹脂発泡吸音材を図7(A)に示すように配置した。
発電遮音板4:非透光性の太陽電池を5mm厚さの透明ポリカーボネート製の透光性板材42の表面に、透光性部分の面積率を50%となるように帯状配置し、その表面に5mm厚さの透明ポリカーボネート製の透光性板材42を配置して、積層成形して厚さが約10mm発電遮音板を作成した。
なお、出来上がり発電透光防音板の大きさは1000mm×1960mm、厚さ125mmとした。
【実施例2】
【0039】
透光性吸音材1:厚さ25μm、12μmのフッ素樹脂フィルム2枚と、孔ピッチが10×20mm、直径が10mmのポリカーボネート孔明き板(A)、および孔ピッチ16mmで開孔率35%の孔明け加工を施した透明で厚さが2mmのポリカーボネート孔明き板(B)を用いて、音源側から、エキスパンドメタル(A)+25μm厚フッ素樹脂フィルム+ポリカーボネート孔明き板(B)+12μm厚フッ素樹脂フィルムの組み合わせで積層した。なお、透光性吸音材1をパネル枠材2へ固定するには、押さえ板を当ててリベットで固定する方法を用いた。
【0040】
パネル枠材2:2〜3mm厚さのアルミニウム板とした。
内部吸音材3:25mm厚さのメラミン樹脂発泡吸音材を図7(A)に示すように配置した。
発電遮音板4:透光性の太陽電池を6mm厚さの透明ガラス板の表面に帯状(格子状に)配置し、その表面に6mm厚さの透明ガラス板を配置して積層成形して厚さが約12mmの発電遮音板4を構成した。
なお、出来上がり発電透光防音板の大きさは1000mm×1960mm、厚さ125mmとした。
【0041】
実施例の発電透光防音板の特性は次の通りであった。
実施例1、2の発電透光防音板は、透光性、吸音性および遮音性を有する上に、発電機能を有し、その音響特性は、残響室法吸音率が400Hzで0.7以上、1000Hzで0.8以上、音響透過損失が400Hzで25dB以上、1000Hzで30dB以上であった。
また、発電出力は、実施例1の場合、50W/m(90W相当/防音板1枚当たり)、実施例2の場合、30W/m(54W相当/防音板1枚当たり)であった。
【0042】
以上詳述したように、本発明の発電透光防音板は、透光性、透視性や、吸音性、遮音性も備えた上に、発電機能を備えた防音板であり、高速道路などの防音壁として使用した場合は、適正な防音効果が得られる上に、車両運転者などの視認性が格段に良好になることや、道路内の照度も高くなることから安全性が向上する。また、民家側の日照(照度)も十分得られ、更に発電による電力供給もできるから、防音壁による日照問題解消やクリーンエネルギーの低コストの供給にも貢献することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:透光性吸音材、11:膜状体、12、13:多孔板
2:パネル枠材
4:透光性遮音材、41:太陽電池、42:透光性板材
5:空間
6:発電透光防音板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機能を付与した透光性遮音材と、透光性吸音材とを空間を隔ててパネル枠材に取り付けたことを特徴とする発電透光防音板。
【請求項2】
前記発電機能を付与した透光性遮音材が、太陽電池セルと透光性板材の積層体である請求項1に記載の発電透光防音板。
【請求項3】
前記透光性吸音材が透光性の膜状材料と多孔板とを積層した透光性吸音材である請求項1または2に記載の発電透光防音板。
【請求項4】
前記透光性吸音材が、光エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機能を付与した透光性吸音材であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発電透光防音板
【請求項5】
前記空間を換気する通気口を設けた請求項1から4のいずれかに記載の発電透光防音板。
【請求項6】
前記パネル枠材にソケット部及びコンセント部を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の発電透光防音板。
【請求項7】
発電透光防音板のパネル枠材の空間部に蓄電装置を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の発電透光防音板。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の発電透光防音板を配置してなる発電透光防音壁。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−229770(P2010−229770A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81047(P2009−81047)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(505398952)中日本高速道路株式会社 (94)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】