説明

発電電動機および作業機械

【課題】配置自由度を高めることができるとともに、軽量化を図ることができる発電電動機および当該発電電動機を搭載した作業機械を提供すること。
【解決手段】作業機械に搭載されたエンジンの出力軸に接続された発電電動機は、発電電動機に外部の電力供給ケーブル9を接続するための複数のコネクタ83A,83Bを収容したターミナルボックス8を備え、ターミナルボックス8が発電電動機に設けられた状態で、複数のコネクタ83A,83Bは、発電電動機の回転軸に直交する直行面と交わる方向に並設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電電動機および作業機械に係り、特に作業機械に搭載されたエンジンに接続された発電電動機の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械として、エンジンによって発電電動機と油圧ポンプとを駆動するとともに、発電電動機で発電された電力により、キャブ等が設けられた上部旋回体用の電動モータを駆動し、また、油圧ポンプからの圧油によって作業機の油圧アクチュエータや走行装置の油圧モータを駆動するハイブリッド建設機械が知られている。
【0003】
ハイブリッド建設機械では、発電電動機とインバータとが電力供給ケーブルを介して電気的に接続されており、電力供給ケーブルに対して発電電動機やインバータがそれぞれコネクタを介して接続されている。このようなハイブリッド建設機械において、発電電動機側のコネクタを収容するために、発電電動機のハウジングにターミナルボックスを設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−272254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ターミナルボックスが設けられた発電電動機は、エンジンの出力軸に接続されており、エンジンとともにエンジンルーム内に配置される。ここで、エンジンルーム内のスペースには制限があるため、ターミナルボックスを小型化し、発電電動機からのターミナルボックスの張り出しを抑制することが望まれる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発電電動機では、複数のコネクタが発電電動機の回転軸に直行する面内に一直線状に配置されているため、その分ターミナルボックスが当該面内方向に大きくなってしまい、ターミナルボックスが発電電動機から大きく張り出してしまう。従って、ターミナルボックスの張り出しを考慮して発電電動機を配置せざるを得ず、発電電動機の配置の自由度が十分に確保できないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の発電電動機では、ターミナルボックスが大きくなる分、ターミナルボックスの重量が重くなってしまい、ターミナルボックス含む発電電動機の重量が重くなってしまう。このため、発電電動機の重心が回転軸からずれてターミナルボックス側に位置してしまい、走行時の衝撃や作業機からの衝撃に伴う振動を助長したり、エンジンや油圧ポンプの駆動に伴う振動を助長したりするおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、配置自由度を高めることができるとともに、軽量化を図ることができる発電電動機および当該発電電動機を搭載した作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る発電電動機は、作業機械に搭載されたエンジンの出力軸に接続された発電電動機であって、前記発電電動機に外部の電力供給ケーブルを接続するための複数のコネクタを収容したターミナルボックスを備え、前記ターミナルボックスが前記発電電動機に設けられた状態で、前記複数のコネクタは、前記発電電動機の回転軸に直交する直行面と交わる方向に並設されていることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る発電電動機では、前記ターミナルボックスが前記発電電動機に設けられた状態で、前記複数のコネクタは、前記発電電動機の回転軸方向に並設され、かつ下向きに配置されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る発電電動機では、前記複数のコネクタは、前記ターミナルボックスの側面部に固定された第1コネクタと、前記第1コネクタを挟んで前記側面部の反対側に配置され、前記側面部に支持部材を介して固定された第2コネクタとを備え、前記支持部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの並設方向に直行する面内で前記ターミナルボックスの内面に当接する当接端縁を備えていることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る発電電動機では、前記第2コネクタは、前記電力供給ケーブルが接続される側に前記電力供給ケーブルとの接続状態を検出する接点端子を備え、前記支持部材の当接端縁は、前記ターミナルボックスの内面に対して前記電力供給ケーブルの着脱方向に当接することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る発電電動機では、前記発電電動機の内部は、冷却媒体により冷却され、前記ターミナルボックスは、前記発電電動機の回転軸よりも上方の位置で前記発電電動機に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る発電電動機では、前記ターミナルボックスは、前記発電電動機の上面よりも下方の位置で前記発電電動機に取り付けられていることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る発電電動機では、前記作業機械の作業機を駆動する油圧ポンプが設けられていることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る作業機械は、作業機と、前記作業機との重量バランス用に内部に重量物が充填されたカウンタウェイトと、前述した発電電動機とを備え、前記発電電動機は、前記カウンタウェイトの近傍に設けられ、前記ターミナルボックスは、前記発電電動機における前記カウンタウェイト側の側面に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1発明によれば、発電電動機では、ターミナルボックスに収容された複数のコネクタが、発電電動機の回転軸の直行面と交わる方向に並設されているため、ターミナルボックスがコネクタの配置に伴って発電電動機の回転軸に直行する面内方向に大きくなってしまうことを防止でき、ターミナルボックスを小型化することができる。従って、ターミナルボックスが発電電動機から大きく張り出すことを防止できるので、発電電動機の配置の自由度を向上することができる。
また、ターミナルボックスを小型化することができるので、ターミナルボックスの重量を軽減することができる。従って、ターミナルボックスが設けられた発電電動機の重心位置を回転軸に近付けることができるので、発電電動機の振動および発電電動機が接続されたエンジンの振動を抑制することができる。
【0018】
第2発明によれば、発電電動機では、ターミナルボックス内のコネクタが発電電動機の回転軸方向に並設されているため、発電電動機の回転軸の直行面内でのターミナルボックスの大きさを最小限にすることができる。また、コネクタが下向きに配置されているため、コネクタに接続された電力供給ケーブルが、ターミナルボックスから発電電動機に沿って下方に延出する。従って、発電電動機からのターミナルボックスおよび電力供給ケーブルの張り出しを抑制できるので、発電電動機の配置の自由度をより向上することができる。また、ターミナルボックスの大きさを最小限にすることができるので、ターミナルボックスをより軽量化することができ、発電電動機の軽量化を促進することができる。
【0019】
第3発明によれば、第2コネクタを支持する支持部材は、第1コネクタと第2コネクタとの並設方向に直行する面内でケースの内面に当接する当接端縁を備えているため、当接端縁がケース内面に当接することで、並設方向に直行する面内での支持部材の位置決めを行うことができる。このため、支持部材の位置決めを介して、並設方向に直行する面内での第2コネクタの位置決めを行うことができる。従って、電力供給ケーブルを第2コネクタに接続する際に互いのずれを防止することができ、第2コネクタに電力供給ケーブルを確実に接続させることができる。
【0020】
第4発明によれば、ターミナルボックス内の第2コネクタは、電力供給ケーブルが接続される側に電力供給ケーブルとの接続状態を検出する接点端子を備えているため、コネクタと電力供給ケーブルとの接続状態を検出することができる。ここで、支持部材の当接端縁は、ケースの内面に対して電力供給ケーブルの着脱方向に当接するため、着脱方向への支持部材の位置決めを介して、着脱方向への第2コネクタの位置決めを行うことができる。これにより、第2コネクタの接点端子を所定の位置に配置することができるので、電力供給ケーブルが第2コネクタに接続されたか否かを確実に検出することができる。
【0021】
第5発明によれば、発電電動機の内部が冷却媒体により冷却されているため、発電電動機内の軸受やステータコイル等を冷却することができる。この際、ターミナルボックスは、発電電動機の回転軸よりも上方の位置で前記発電電動機に取り付けられているため、発電電動機の内部の冷却媒体が、発電電動機内とターミナルボックス内との連通部分からターミナルボックス内に侵入することを抑制することができる。
【0022】
第6発明によれば、ターミナルボックスが発電電動機の上面よりも下方の位置で発電電動機に取り付けられているため、ターミナルボックスが発電電動機の上方に張り出すことを抑制できる。このため、ターミナルボックスが、発電電動機の上方に配置された機器や部材等と干渉することを防止できるので、発電電動機の配置の自由度をさらに向上することができる。
【0023】
第7発明によれば、作業機械の作業機を駆動する油圧ポンプが発電電動機に設けられている。この場合、油圧ポンプの駆動に伴う振動が発電電動機に伝達されるが、前述したように、ターミナルボックスの軽量化に伴って発電電動機の重心を回転軸側に寄せることができるので、油圧ポンプの駆動に伴う振動を効果的に抑制することができる。
【0024】
第8発明によれば、前記ターミナルボックスを備えることにより、発電電動機とカウンタウェイトとの干渉を防止できるとともに、前述した本発明の効果を奏する作業機械を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド油圧ショベルを示す斜視図。
【図2】ハイブリッド油圧ショベルの駆動系の全体構成を示す図。
【図3】ハイブリッド油圧ショベルの旋回体内部の構成および配置を示す図。
【図4】ハイブリッド油圧ショベルに搭載された発電電動機の正面図。
【図5】発電電動機、エンジン、および油圧ポンプの側面図。
【図6】発電電動機のポンプ側ハウジングの斜視図。
【図7】ポンプ側ハウジングの部分拡大図。
【図8】図4のVIII−VIII断面図。
【図9】ターミナルボックスのケースの斜視図。
【図10】ターミナルボックスに固定された支持プレートの平面図。
【図11】図5のXI−XI断面図。
【図12】ターミナルボックスを底面部側から見た図。
【図13】図11のXIII−XIII断面図。
【図14】ターミナルボックスに接続されるプラグの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることが可能である。
〔1〕全体構成
図1には、本実施形態に係る作業機械としてのハイブリッド油圧ショベル1が示されている。このハイブリッド油圧ショベル1は、車両本体2と作業機3とを備えている。
【0027】
車両本体2は、走行体21と、走行体21上に旋回可能に設けられた旋回体22とを備えている。走行体21は、一対の走行装置211を備えている。各走行装置211は、履帯212を備え、後述する油圧モータ213で履帯212を駆動することによってハイブリッド油圧ショベル1を走行させる。
【0028】
旋回体22は、キャブ23、カウンタウェイト24、およびエンジンルーム25を備えている。カウンタウェイト24は、作業機3との重量バランス用に設けられ、内部に重量物が充填されている。エンジンルーム25を覆うエンジンフード26には、格子状の開口部261が設けられ、外部からの冷却空気が開口部261を通してエンジンルーム25内に取り込まれる。
【0029】
作業機3は、旋回体22の前部中央位置に取り付けられており、ブーム31、アーム32、バケット33、ブームシリンダ34、アームシリンダ35、およびバケットシリンダ36を備えている。ブーム31の基端部は、旋回体22に回転可能に連結されている。また、ブーム31の先端部はアーム32の基端部に回転可能に連結されている。アーム32の先端部は、バケット33に回転可能に連結されている。
【0030】
ブームシリンダ34、アームシリンダ35、およびバケットシリンダ36は、油圧ポンプ6から吐出された作動油によって駆動される油圧シリンダである。そして、ブームシリンダ34はブーム31を動作させ、アームシリンダ35はアーム32を動作させる。バケットシリンダ36は、バケット33を動作させる。
【0031】
図2には、ハイブリッド油圧ショベル1の駆動系の全体構成が示されている。
図2において、ハイブリッド油圧ショベル1は、駆動源としてエンジン4を備えている。エンジン4の出力軸には、発電電動機5および一対の油圧ポンプ6,6が直列に連結され、それぞれエンジン4によって駆動される。
【0032】
油圧ポンプ6から圧送された作動油は、コントロールバルブ7を介して作業機3に供給され、作業機3が油圧によって動作する。また、走行体21は、クローラに噛合するスプロケットを駆動するための油圧モータ213を有しており、これらの油圧モータ213に対して、油圧ポンプ6からの作動油がコントロールバルブ7を介して供給される。
【0033】
一方、発電電動機5には、ターミナルボックス8を介して電力供給ケーブルとしてのパワーケーブル9が接続されており、パワーケーブル9を介して発電電動機5とインバータ10とが接続されている。インバータ10には別のパワーケーブル9の一端が接続されており、パワーケーブル9の他端が、旋回体22を駆動するための旋回電動モータ11に接続されている。また、インバータ10には蓄電用のキャパシタ12が接続されており、発電電動機5で発電された電力は、インバータ10を通して旋回電動モータ11に供給されたり、キャパシタ12に蓄電されたりする。旋回電動モータ11は、遊星歯車機構等を有した減速機11Aを介して、下部走行体の上部に旋回自在に設置された旋回体22を駆動する。また、旋回動作中の旋回体22の減速時は、回生により旋回電動モータ11で発電が行われ、この電力がキャパシタに蓄電される。キャパシタ12に充電された電力は、昇圧器10Aで昇圧されるとともに、旋回操作時にキャパシタ12からインバータ10を通して旋回電動モータ11に供給されたり、エンジン4の駆動をアシストするために発電電動機5に供給されたりする。
【0034】
図3には、旋回体22内部の構成および配置が示されている。
図3において、インバータ10およびキャパシタ12は、旋回体22の車両前方側に設けられている。また、旋回電動モータ11は、旋回体22の中央部に設けられている。旋回体22の車両後方側には、エンジンルーム25が設けられ、エンジンルーム25のさらに後方にカウンタウェイト24が設けられている。エンジンルーム25内には、エンジン4、発電電動機5、および油圧ポンプ6が、それぞれカウンタウェイト24に沿って並設されている。なお、エンジン4、発電電動機5、および油圧ポンプ6は、旋回体22等の車両の限られた空間内への配置が求められることや、動力伝達効率の観点から、それぞれの回転軸が一直線上となるように配置されることが好ましい。
【0035】
図4に示すように、発電電動機5のハウジング51の外側面には、ターミナルボックス8が設けられている。具体的に、ターミナルボックス8は、ハウジング51におけるカウンタウェイト24側の位置であって、発電電動機5の回転軸とハウジング51の上面51Aとの間の位置で、ハウジング51に固定されている。このターミナルボックス8は、発電電動機5のハウジング51とは別体で形成され、ハウジング51に着脱自在に取り付けられている。
【0036】
図4および図5に示すように、ターミナルボックス8の上方には、マフラ13が配置されている。マフラ13は、発電電動機5の上部にブラケット13Aを介して固定されている。このように、ターミナルボックス8は、周囲をカウンタウェイト24やマフラ13に囲まれている。このターミナルボックス8の底面部813には、パワーケーブル9用の挿抜開口813A(図9および図11参照)が設けられ、パワーケーブル9の一端側が、ターミナルボックス8に下方から着脱自在に接続できるようになっている。パワーケーブル9の他端側は、ターミナルボックス8から下方に延設されてエンジン4の下方を通りインバータ10に接続される。
【0037】
ここで、旋回体22におけるエンジン4下方の床部分には、開閉式のアンダーカバーが設けられ、アンダーカバーを開ければ、オペレータや整備者が、上半身をエンジンルーム25内にもぐり込ませることができるようになっている。このため、エンジンルーム25内の機器の整備時には、ターミナルボックス8へのパワーケーブル9の接続または取外しを、ターミナルボックス8の下方側から容易に行うことができる。
【0038】
〔2〕発電電動機の構成
発電電動機5は、3相SR(Switched Reluctance)モータであり、図5に示すように、分割式のハウジング51を備えている。ハウジング51は、エンジン4に固定されてフライホイール4Aを収容するエンジン側ハウジング52と、エンジン側ハウジング52に固定されるポンプ側ハウジング53とを備えている。
【0039】
ポンプ側ハウジング53の油圧ポンプ6側は円形状に開口している。この開口は、ロータ56を回転自在に支持する円板状の支持部材54(図6参照)で覆われる。支持部材54により開口を塞ぐことでロータ56がステータ55内に収容され、これと同時にロータ56の回転中心に設けられた軸部材の一端が、エンジン4の出力軸または出力軸に連結する部材と例えばスプライン結合により接続される。また、そのような軸部材の他端は支持部材54の中心孔に対応して設けられており、中心孔を通して油圧ポンプ6の入力軸とスプライン結合等される。
【0040】
ハウジング51の下方部には油溜部57が設けられ、この油溜部57に冷却媒体としての冷却油が溜められている。油溜部57の冷却油は、外部の配管を通して図示しないフィルタ、ポンプを経由してオイルクーラ57A(図4および図6参照)に回され、オイルクーラ57Aからポンプ側ハウジング53の上部に戻される。ポンプ側ハウジング53の上部からハウジング51内部に戻された冷却油は、エンジン4の出力軸、ロータ56、および油圧ポンプ6間のスプライン結合部分や、ロータ56の軸受部分を潤滑しながら、遠心力により回転軸中心側から径方向外側に向かって流れていく。そして、冷却油は、それぞれ回転するロータ56やフライホイール4Aによって撥ね散らされて霧状となり、ステータ55に設けられたステータコイル551を冷却する。その後の冷却油は、冷却部分から油溜部57に滴下する。
【0041】
図6および図7には、ポンプ側ハウジング53が示されている。
図6および図7において、ポンプ側ハウジング53におけるターミナルボックス8の固定位置には、ターミナルボックス8を固定するための固定部531が設けられている。この固定部531には、ターミナルボックス8の固定用のボルト孔532と、ステータコイル551からの導電線14を挿通するためのケーブル挿通孔533(図7参照)と、ケーブル挿通孔533からターミナルボックス8内に侵入した油を発電電動機5内に戻す連通孔としての油戻し孔534とが設けられている。
【0042】
ここで、発電電動機5には、ステータコイル551の温度を検出する温度センサや、発電電動機5のロータ56の回転数を検出する回転数センサ等のセンサが設けられている。これらセンサからの複数の信号ライン15は、ステータコイル551からの導電線14とともに、ケーブル挿通孔533からターミナルボックス8内に引き込まれている。
【0043】
図7に示すように、ケーブル挿通孔533には、閉塞部材としてのグロメット58が嵌め込まれている。このグロメット58は、第1部材581と第2部材582とに分割形成されている。第1部材581および第2部材582には、それぞれの端縁に鍔部583,584が設けられている。また、第2部材582における第1部材581との当接面585には、導電線14や信号ライン15を挿通するための3つの挿通溝586が形成されている。そして、グロメット58は、ポンプ側ハウジング53のケーブル挿通孔533にはめ込まれて、ケーブル挿通孔533における導電線14および信号ライン15以外の部分を塞いだ状態で、表面を押え部材59で押えられている。押え部材59には、導電線14および信号ライン15を挿通するためのケーブル挿通孔591と、ポンプ側ハウジング53の油戻し孔534に対応する位置が切り欠かれた切欠部592とが設けられている。この状態で、ターミナルボックス8が、ポンプ側ハウジング53の固定部531に固定されている。
【0044】
〔3〕ターミナルボックスの構成
図8に示すように、ターミナルボックス8は、筐体部8Aと、筐体部8Aの内部空間に収容され、ステータ55からの導電線14が接続されたコネクタとしてのソケット83A,83Bと、一方のソケット83Bを支持する支持部材としての支持プレート84とを備え、第1コネクタとしてのソケット83Aと第2コネクタとしてのソケット83Bとを発電電動機5の回転軸方向に二段重ねで収容している。
【0045】
筐体部8Aは、内部空間を有するケース81と、ケース81の内部空間を塞ぐ蓋部材82とを備えている。ケース81および蓋部材82は、それぞれ発電電動機5のハウジング51とは異なる材質の材料で構成されている。具体的には、ハウジング51が鋳鉄で構成されているのに対し、ケース81は、耐食材料としてのアルミニウムで構成されている。一方、蓋部材82は、鋼材の表面に亜鉛メッキを施したもので構成されている。ケース81と蓋部材82との隙間は、シール部材としてのOリング80によりシールされている。
【0046】
図9に示すように、ケース81は、側面視で略五角形状に形成されている。このケース81は、ポンプ側ハウジング53に固定される固定面部811と、ターミナルボックス8がポンプ側ハウジング53に固定された状態でそれぞれ上下に対向する上面部812および底面部813と、固定面部811、上面部812、および底面部813のそれぞれに直交する側面部814と、内部空間を挟んで側面部814の反対側に設けられた開口部815とを備えている。
【0047】
固定面部811は、ターミナルボックス8がポンプ側ハウジング53に固定された状態で、底面部813が略水平となるように、底面部813に対して傾斜して設けられている。この固定面部811には、ポンプ側ハウジング53のケーブル挿通孔533と連通し、導電線14および信号ライン15を挿通するためのケーブル挿通孔811Aが形成されている。このケーブル挿通孔811Aと発電電動機5のケーブル挿通孔533とにより、ターミナルボックス8の内部空間が、発電電動機5のハウジング51内に直接接続される。また、固定面部811におけるケーブル挿通孔811Aの周囲には、フランジ811Bが形成されている。フランジ811Bには、ターミナルボックス8をポンプ側ハウジング53に固定するためのボルト孔811Cが形成されている。
【0048】
底面部813には、パワーケーブル9用の2つの挿抜開口813Aが、ソケット83A,83Bの位置に対応して設けられている。具体的に、挿抜開口813Aは、ターミナルボックス8がポンプ側ハウジング53に固定された状態で、発電電動機5の回転軸方向に並設されている。また、底面部813の内面には、当該内面から突出して形成され、支持プレート84の先端が当接する凸部813Bが設けられている。
【0049】
側面部814は、ターミナルボックス8がポンプ側ハウジング53に固定された際に、エンジン4側に位置する。この側面部814の内面には、ソケット83Aが固定されるソケット固定部814Aと、支持プレート84が固定されるプレート固定部814Bと、導電線14の保持ブラケット85(図11参照)が固定される導電線保持部814Cと、信号ライン15の保持ブラケット86(図11参照)が固定される信号ライン保持部814Dとが設けられている。
【0050】
ソケット固定部814Aは、側面部814のプレート固定部814Bよりも底面部813側の位置に設けられ、側面部814の内面から一段上がった形状とされている。このソケット固定部814Aには、ソケット83Aを固定するためのボルト孔814Eが形成されている。
プレート固定部814Bは、ソケット固定部814Aを挟んで底面部813の反対側に設けられ、側面部814の内面からの高さがソケット固定部814Aの高さよりも高い円柱状に形成されている。
【0051】
導電線保持部814Cは、プレート固定部814Bよりも上面部812側の位置であって、プレート固定部814Bよりも固定面部811側の位置に設けられ、側面部814の内面からの高さがプレート固定部814Bの高さよりも低い楕円柱状に形成されている。
信号ライン保持部814Dは、側面部814に複数設けられ、その一部が図9に示されている。これら信号ライン保持部814Dは、ソケット固定部814A、プレート固定部814B、および導電線保持部814Cを上面部812側から囲む位置に配置されている。
【0052】
開口部815は、ターミナルボックス8がポンプ側ハウジング53に固定された際に、油圧ポンプ6側に開口する。この開口部815の周囲には、Oリング80用のOリング溝816が設けられている。
【0053】
図10に示すように、支持プレート84は、幅狭部841および幅広部842を備え、幅狭部841側の幅寸法が幅広部842側の幅寸法よりも小さく形成されている。幅狭部841には、ソケット83Bを固定するためのボルト孔841Aが幅方向の両側に形成されている。また、幅狭部841の先端には、ケース81の凸部813Bに当接する当接端縁841Bが設けられている。一方、幅広部842には、支持プレート84をケース81のプレート固定部814Bに固定するためのボルト孔842Aが幅方向の両側に形成されている。
【0054】
図8および図11に示すように、ソケット83A,83Bは、金属製のL字状のブラケット831と、ブラケット831に固定された樹脂製のレセプタクル832とを備え、ブラケット831のボルト孔に挿通されるボルトによりケース81に固定される。レセプタクル832では、ブラケット831との固定部分を境にして一方側には、ステータ55からの導電線14が接続された端子833が設けられ、他方側には、パワーケーブル9の後述するプラグ90が嵌合される3つのホルダ834が設けられている。ホルダ834内には、金属製で導電性を有した筒状のソケットコンタクト835が埋設されている。ソケット83A,83Bは、このソケットコンタクト835が下向きになるように、ターミナルボックス8内に配置されている。
【0055】
図12に示すように、ソケット83A,83Bには、ターミナルボックス8とパワーケーブル9との接続状態を検出するためのインターロックスイッチの一部を構成する接点端子836が設けられている。接点端子836は、弾性を有する板バネ状の金属部材で構成され、ブラケット831に固定された樹脂製の支持部材837に設けられるとともに、信号ライン15Aを介してインバータ10に電気的に接続されている。ソケット83A,83Bおよびプラグ90が正常に嵌合している状態では、プラグ90の後述する接点導体971(図14参照)が各接点端子836の両方に機械的に接触し、接点端子836同士を電気的に導通させる。また、この状態では、各接点端子836が接点導体971で押圧されて弾性変形しており、その弾発力にて互いの接触状態が良好に維持されるようになっている。
【0056】
このようなソケット83A,83Bをターミナルボックス8内に二段重ねに配置する際は、一方のソケット83Aをケース81のソケット固定部814Aにボルト固定した後、プレート固定部814Bに支持プレート84をボルト固定する。そして、固定された支持プレート84上に他方のソケット83Bをボルト固定することで、一対のソケット83A,83Bが支持プレート84を挟んで二段重ねに配置される。
【0057】
ところで、インバータ10の検出手段からは、嵌合状態検出のための検出パルスが信号ライン15Aを通して出力されており、この検出パルスが、接点端子836、接点導体971(図14参照)を通り、信号ライン15Aを通してインバータ10に戻る。戻った検出パルスがインバータ10内に設けられたパルス波形検出用の検出手段で検出されることにより、ソケット83A,83Bとプラグ90とが正常に嵌合していると判断される。
【0058】
ここで、例えば、ソケット83Bが、上面部812側に引っ込んで固定されていたり、挿抜開口813Aの軸方向に対して斜めに固定されていたりした場合、ソケット83Bの接点端子836とプラグ90の接点導体971との間、およびソケットコンタクト835とプラグ90の後述するピンコンタクト95との間で接触不良が生じるおそれがある。この場合、接点導体971が各接点端子836に適切に接触しないため、インバータ10に検出パルスが戻ることがなく、検出手段で検出されることがない。このため、ソケット83A,83Bとプラグ90との嵌合が不完全であるか、または完全に外れていると判断され、ハイブリッド油圧ショベル1を停止させる等のフェールセーフ上の処理が行われてしまうことになる。従って、このような誤検出を防ぐために、ターミナルボックス8内でのソケット83A,83Bの位置決め、特に、支持プレート84を介してケース81に固定されるソケット83Bの位置決めが重要となる。
【0059】
このため、支持プレート84上のソケット83Bは、ケース81内での支持プレート84の位置決めを行った上で、支持プレート84に固定される。具体的に、支持プレート84は、図13に示すように、側面部814のプレート固定部814Bに固定されるとともに、当接端縁841Bが、底面部813に設けられた凸部813Bにパワーケーブル9の着脱方向に沿って当接することで、図の上下方向および紙面直交方向の位置決めがなされる。すなわち、ケース81のソケット固定部814Aに設けられたボルト孔814Eと、支持プレート84の当接端縁841B側に設けられたボルト孔841Aとは、それぞれ挿抜開口813Aからの距離が同じとなるように位置することになり、これらボルト孔814E,841Aに固定されたソケットの位置が揃うことになる。このようにターミナルボックス8内で位置決めされた支持プレート84にソケット83Bが固定されることで、ターミナルボックス8内でのソケット83Bの位置決めが正確に行われる。
【0060】
〔4〕パワーケーブルのプラグの構成
図14に示すように、プラグ90は、パワーケーブル9の3本のケーブルが挿通される導電性を有したプラグハウジング91と、プラグハウジング91の前面側(ケーブル挿入側とは反対側)の開口部分を覆う金属製のプレート92とを備えている。
【0061】
プラグハウジング91は、プラグ90をターミナルボックス8のソケット83A,83Bに嵌合した際にターミナルボックス8のケース81外面に当接する当接部911と、この当接部911から突出して形成され、ターミナルボックス8の挿抜開口813Aに挿入される凸部912とを備えている。
当接部911には、凸部912の周囲を囲むようにシールリング93が設けられ、プラグ90がターミナルボックス8のソケット83A,83Bに嵌合した際は、当接部911とターミナルボックス8のケース81の外面との間が、シールリング93によりシールされる。
【0062】
プラグハウジング91内には、ケーブル毎に設けられたホルダ94が配置され、ホルダ94にケーブルが挿入される。ホルダ94内に挿入されるケーブルの先端には導電性を有したピンコンタクト95が取り付けられ、ホルダ94に設けられた丸孔から突設されている。
【0063】
プレート92は、複数のスクリュウ921によってプラグハウジング91に固定される。プレート92は、その表裏両面、四周の端面、スクリュウ921用挿通孔の内周面、およびホルダ94挿通用の開口孔の内面の全域が絶縁コーティングで覆われている。絶縁コーティングとしては、耐熱性、耐摩耗性、撥水性を考慮し、例えば、フッ素系の塗料が用いられる。この絶縁コーティングによりプレート92は、電気的に接地されたプラグハウジング91に対して絶縁されることになる。
【0064】
プレート92の表面には、ガラエポ(ガラスーエポキシの複合材料)にて形成された絶縁プレート96を介して導電ターミナル97が固定されている。絶縁プレート96および導電ターミナル97のプレート92への固定は、前記のスクリュウ921によって行われる。導電ターミナル97の材質は導電性を有していればよく、特に限定されるものではないが、本実施形態では黄銅である。
【0065】
導電ターミナル97には、ソケット83A,83Bへの嵌合方向に向けて折り返された四角片状の接点導体971が一体に設けられている。この接点導体971は前述したように、ソケット83A,83Bにプラグ90が嵌合された場合に、ソケット83A,83Bの各接点端子836に接触する部分である。
【0066】
導電ターミナル97は、接点導体971での接点端子836との接触領域を除き、プレート92と同様に絶縁コーティングされている。従って、プレート92と導電ターミナル97とは、その間の絶縁プレート96によって絶縁されているのみならず、それぞれが絶縁コーティングされていることでも確実に絶縁され、ひいては導電ターミナル97とプラグハウジング91との間が確実に絶縁される。
【0067】
このようなプラグ90において、プラグハウジング91の当接部911には、プラグ90をターミナルボックス8に固定するためのボルト孔913が設けられている。プラグ90は、このボルト孔913に挿通されたボルト914により、ターミナルボックス8のケース81に固定される。この際、ボルト914のねじ部には、ゴムや樹脂等で構成されたリング状のボルト抜け止め部材915が嵌め込まれ、このボルト抜け止め部材915により、プラグ90からのボルト914の抜け落ちが防止される。
【0068】
〔5〕実施形態の作用および効果
以上のような構成のハイブリッド油圧ショベル1では、大型かつ大容量の発電電動機5が使用されるため、例えば、乗用車の場合と比べて、ステータ55の重量が非常に重くなる。しかしながら、ターミナルボックス8のケース81が、発電電動機5のポンプ側ハウジング53に着脱自在に設けられているため、ポンプ側ハウジング53からターミナルボックス8を外した状態で、発電電動機5のポンプ側ハウジング53内にステータ55を収容しつつ、ステータコイル551の導電線14をケーブル挿通孔533から容易に引き出すことができる。そして、導電線を一旦引き出してしまえば、後は引き出した導電線を容易にターミナルボックス内に引き込むことができるので、十分な組立性を確保することができる。
【0069】
また、ターミナルボックス8が発電電動機5のハウジング51よりも軽量の材質で構成されているため、発電電動機5の重心を回転軸側に寄せることができ、発電電動機5および発電電動機5に直結されたエンジン4の振動を抑制することができる。
【0070】
また、ターミナルボックス8では、複数のソケット83A,83Bが発電電動機5の回転軸方向に並設されているため、発電電動機5の回転軸に直交する面内でのターミナルボックス8の大きさを小さくすることができる。このため、ターミナルボックス8が、発電電動機5から大きく張り出してしまうことを防止でき、ターミナルボックス8の配置の自由度を確保することができる。
【0071】
ところで、例えば、エンジンフード26の開口部261や発電電動機5のハウジング51内から、ターミナルボックス8内に水分を含んだ空気や水滴が入り込むと、ソケット83A,83Bの端子833やソケットコンタクト835、パワーケーブル9のプラグ90におけるピンコンタクト95等に水滴が付着して、発電電動機5とインバータ10との間の電力供給ラインが短絡または地絡する可能性がある。また、水分がソケット83A,83Bの接点端子836やプラグ90の接点導体971に付着すると、信号ライン15Aが短絡または地絡して、誤検出する可能性がある。さらに、ケース81や蓋部材82に水分が付着すると、これらに錆が発生し、錆による短絡や地絡が発生する可能性がある。
【0072】
これに対して、ターミナルボックス8では、パワーケーブル9用の挿抜開口813Aがターミナルボックス8の底面部813に設けられているため、例えば、エンジンフード26の開口部261から水や砂塵がエンジンルーム25内に入り込んだ場合でも、上方から落ちてくる水滴がターミナルボックス8に入り込もうとすることを防ぐことができる。従って、電力供給ラインや信号ライン15,15Aが短絡または地絡することを防止できる。
【0073】
また、ターミナルボックス8のケース81がアルミニウムで構成されるとともに、蓋部材82の表面に亜鉛メッキが施されているため、ターミナルボックス8での錆の発生を抑制することができる。従って、錆による短絡や地絡の発生を防止することができるとともに、ケースの腐食を防止することができる。
【0074】
さらに、ターミナルボックス8は、ケース81が発電電動機5の外面に設けられた状態で、ソケット83A,83Bが下向きに配置され、ターミナルボックス8の下方からパワーケーブル9の一端を挿抜開口813Aに差し込んでソケット83A,83Bに接続できるように構成されている。このため、ターミナルボックス8に接続されたパワーケーブル9が、ターミナルボックス8から発電電動機5に沿って下方に延出し、ターミナルボックス8の上方や側方に張り出すことがない。従って、例えば、マフラ13やカウンタウェイト24がターミナルボックス8の近傍に配置されている場合でも、パワーケーブル9が、マフラ13やカウンタウェイト24と干渉することを防止できる。また、パワーケーブル9は、ターミナルボックス8を挟んでマフラ13の反対側に位置することになるため、パワーケーブル9がマフラ13の熱の影響を受けにくくなり、熱によるパワーケーブル9の劣化を防止することができる。
【0075】
また、図11に示すように、ターミナルボックス8の内部空間は、ケース81のケーブル挿通孔811Aとポンプ側ハウジング53のケーブル挿通孔533とによりハウジング51内と連通している。このため、ハウジング51内部で撥ね散らされて霧状になった冷却油がターミナルボックス8内に入り込むことがないよう、ポンプ側ハウジング53のケーブル挿通孔533が、グロメット58によって塞がれている。この際、グロメット58の鍔部583,584は、ケーブル挿通孔533の縁に係止されるため、グロメット58がポンプ側ハウジング53のケーブル挿通孔533内に落ち込むことが防止される。
【0076】
このグロメット58により、ハウジング51内は、ターミナルボックス8側に冷却油や水分が漏れないよう密閉されているが、霧状となった一部の冷却油や水分が、ケーブル挿通孔533,811Aからターミナルボックス8に侵入することがある。このため、ポンプ側ハウジング53に、ターミナルボックス8内に侵入した油や水分を発電電動機5内に戻す油戻し孔534を設けている。
【0077】
また、ターミナルボックス8の底面部813の内面は、発電電動機5のポンプ側ハウジング53側に向かって、水平方向に対して所定角度αだけ下方に傾斜している。このような構成とすることで、ターミナルボックス8内に入り込んで底面部813に溜まった冷却油が、底面部813をポンプ側ハウジング53に向けて流れ、矢印Aで示すように、ターミナルボックス8の油戻し孔をも兼ねるケーブル挿通孔811Aおよびポンプ側ハウジング53の油戻し孔534を通りハウジング51内に戻るようになる。従って、ターミナルボックス8内に侵入した油を滞留させることなく、ハウジング51内に戻すことができる。
【0078】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、ターミナルボックス8のケース81はアルミニウムで構成され、蓋部材82は鋼材の表面に亜鉛メッキを施したもので構成されていたが、ターミナルボックス8の筐体部8Aの材質としてはこれに限られず、例えば、ケース81や蓋部材82を樹脂で構成したり、蓋部材82を含め筐体部8A全体をアルミニウムで構成してもよい。
【0079】
また、筐体部8Aをハウジング51と同一の材料で構成してもよい。例として、ターミナルボックス8の筐体部8Aと発電電動機5のハウジング51とを、それぞれアルミニウム鋳物で別体に形成し、筐体部8Aをハウジング51に着脱自在に取り付けることが考えられる。この場合、発電電動機5のハウジング51がアルミニウムで構成されるため、発電電動機5の放熱性をより高めることができる。
【0080】
また、ターミナルボックス8の筐体部8Aは、耐食材料または表面に耐食処理が施された材料で構成されることが好ましく、例えば、ケース81や蓋部材82をチタンを用いて構成してもよい。
【0081】
前記実施形態では、ターミナルボックス8のケーブル挿通孔811Aが油戻し孔を兼ねていたが、ケース81にもケーブル挿通孔811Aとは別に油戻し孔を設け、この油戻し孔とポンプ側ハウジング53の油戻し孔534とにより、ターミナルボックス8内に入り込んだ冷却油をハウジング51内に戻すように構成してもよい。
【0082】
前記実施形態では、ターミナルボックス8のケース81が発電電動機5の外面に設けられた状態で、ソケット83A,83Bは、発電電動機5の回転軸方向に並設されていたが、ソケット83A,83Bの並設方向としてはこれに限られない。ソケット83A,83Bは、発電電動機5の回転軸に直交する直交面と交わる方向に並設されていればよく、例えば、当該直交面に斜めに交わる方向にソケット83A,83Bを並設してもよい。
【0083】
前記実施形態では、ソケット83Bを支持する支持部材として支持プレート84を用いたが、支持部材の形状としてはこれに限られない。この支持部材は、ソケット83Bを支持するとともに、ソケット83Bの位置決めができればよく、支持部材に板状以外の形状の部材を用いてもよい。
【0084】
前記実施形態では、発電電動機5のケーブル挿通孔533にグロメット58が嵌め込まれていたが、例えば、ターミナルボックス8のケーブル挿通孔811Aにグロメット58を嵌め込むようにしたり、ケーブル挿通孔533およびケーブル挿通孔811Aのそれぞれにグロメット58を嵌め込むようにしてもよい。また、グロメット58は必須ではなく、グロメット58を設けない構成としてもよい。
【0085】
前記実施形態では、マフラ13が発電電動機5に固定されていたが、マフラ13の配置としてはこれに限られず、例えば、旋回体22に設けてもよい。
前記実施形態では、エンジン4および発電電動機5は、それぞれの回転軸がスプライン結合等により結合されていたが、互いの出力軸の接続方法としてはこれに限られず、例えば、エンジン4の出力軸をいわゆるPTO(Power Take Off)を介して発電電動機5に接続してもよい。
前記実施形態では、発電電動機5にSRモータが用いられていたが、発電電動機5としてはこれに限られず、例えば、PM(Permanent Magnet)モータ等の他の発電電動機に本発明を適用してもよい。
【0086】
前記実施形態では、本発明をハイブリッド油圧ショベル1に適用した場合を説明したが、ホイルローダブルドーザ、ダンプトラック等の他の作業機械に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、ハイブリッド油圧ショベル以外の土木機械、農業機械、走行車両、運搬車両等の作業機械にも利用できる。
【符号の説明】
【0088】
1…ハイブリッド油圧ショベル(作業機械)、3…作業機、4…エンジン、5…発電電動機、6…油圧ポンプ、8…ターミナルボックス、9…パワーケーブル(電力供給ケーブル)、24…カウンタウェイト、83A…ソケット(コネクタ、第1コネクタ)、83B…ソケット(コネクタ、第2コネクタ)、84…支持プレート(支持部材)、841B…当接端縁、836…接点端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載されたエンジンの出力軸に接続された発電電動機であって、
前記発電電動機に外部の電力供給ケーブルを接続するための複数のコネクタを収容したターミナルボックスを備え、
前記ターミナルボックスが前記発電電動機に設けられた状態で、前記複数のコネクタは、前記発電電動機の回転軸に直交する直行面と交わる方向に並設されている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の発電電動機において、
前記ターミナルボックスが前記発電電動機に設けられた状態で、前記複数のコネクタは、前記発電電動機の回転軸方向に並設され、かつ下向きに配置されている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発電電動機において、
前記複数のコネクタは、前記ターミナルボックスの側面部に固定された第1コネクタと、前記第1コネクタを挟んで前記側面部の反対側に配置され、前記側面部に支持部材を介して固定された第2コネクタとを備え、
前記支持部材は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの並設方向に直行する面内で前記ターミナルボックスの内面に当接する当接端縁を備えている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項4】
請求項3に記載の発電電動機において、
前記第2コネクタは、前記電力供給ケーブルが接続される側に前記電力供給ケーブルとの接続状態を検出する接点端子を備え、
前記支持部材の当接端縁は、前記ターミナルボックスの内面に対して前記電力供給ケーブルの着脱方向に当接する
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の発電電動機において、
前記発電電動機の内部は、冷却媒体により冷却され、
前記ターミナルボックスは、前記発電電動機の回転軸よりも上方の位置で前記発電電動機に取り付けられている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項6】
請求項5に記載の発電電動機において、
前記ターミナルボックスは、前記発電電動機の上面よりも下方の位置で前記発電電動機に取り付けられている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の発電電動機において、
前記作業機械の作業機を駆動する油圧ポンプが設けられている
ことを特徴とする発電電動機。
【請求項8】
作業機と、
前記作業機との重量バランス用に内部に重量物が充填されたカウンタウェイトと、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の発電電動機とを備え、
前記発電電動機は、前記カウンタウェイトの近傍に設けられ、
前記ターミナルボックスは、前記発電電動機における前記カウンタウェイト側の側面に設けられている
ことを特徴とする作業機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−213280(P2012−213280A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77699(P2011−77699)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】