説明

発音処理装置、発音処理方法、及び発音処理プログラム

【課題】
本発明は、仮想三次元空間に音源・音場を配置形成する際に、基本構成の単純な音源種の組み合わせを単一の音源として処理することにより、処理速度の向上を実現することを目的とする。
【解決手段】
川21に対応する音源オブジェクトとして、長方体の音源オブジェクト21a、21c、21eと、三角柱の音源オブジェクト21b、21dから構成される複雑形状の音源オブジェクト21xが配置されている。21a〜21eはすべて同じ識別番号を有しており、また、川のせせらぎの音に関する音声データを有している。音源オブジェクト21cがプレイヤキャラクタとの距離が最も近い場合は、音源オブジェクト21cをもとに発音処理が実行されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想三次元空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プレイヤが仮想世界のプレイヤキャラクタに成り代わって、プレイヤキャラクタを仮想空間内のフィールド上で移動させながら、課題を解決してゆくことでゲームが進行してゆく、ロールプレイングゲームやアクションゲームが各種提供されている。これらのゲームでは、プレイヤキャラクタが仮想空間内のフィールドを移動している場合に、川や滝などの音源が存在する場合は、これらの川のせせらぎの音や滝壺に落ちる水の音などを発音させて、臨場感を高めることが行なわれている。
【0003】
しかし、複雑な形状の音源を仮想空間内に配置するためには、三次元モデルを作成するかのような高度なツール機能とそれに対応するゲーム装置の解析機能が必要である。そのためプログラマの作業コストがかかったり、ゲーム装置の処理速度が遅くなる等の問題が存在した。
【0004】
ところで、仮想三次元空間内にオブジェクトを配置し、所定の発音位置から発音される音を所定の聴取位置において音響シミュレーションをすることで音響信号を生成する音響信号処理装置において、音響シミュレーションの対象となる音場空間を、空間オブジェクトを組み合せることで構成することが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−267675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1は、音響シミュレーションの対象となる音場空間を、空間オブジェクトを組み合わせることで構成するものであり、発音処理の対象となる音源オブジェクトを組み合わせるものではない。本発明は、仮想三次元空間に音源・音場を配置形成する際に、地形や領域に沿った複雑な形状を1つの音源として設定するのではなく、基本構成の単純な音源種を組み合わせて単一の音源として処理することにより、処理速度の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理装置であって、該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、音源の識別子及び発音される音声データを関連付けて記憶する音源情報記憶手段と、同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定する発音対象音源特定手段と、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行する発音処理手段とを備える発音処理装置に関する。
【0008】
本発明にかかる発音処理装置は、主にゲーム装置に好適に用いられるものである。前記単純形状は立方体、立方体、長方体、円柱、円錐、角柱、角錐、部分球及び球から選択されるいずれかの形状が用いられる。このような単純な形状の音源を複数配置することで、仮想空間内の地形や領域に合わせた複雑形状の音源を自由に設計することが可能となる。また、プログラム処理において複雑な形状を扱うのでは無く単純形状を扱う為、複雑な形状の音源をもとに出力音量や音像定位を実現するための複雑な演算を行う必要がなく、処理負荷が軽減できる。さらには、基本的な単純形状の組み合わせで音場の構成が出来るため、サウンドデザイナーが直観的かつ簡便に音場領域の作成が出来るというメリットもある。
【0009】
本発明では、さらに、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源が、直前の処理期間において発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源と同一の識別子を有するものであるか否かを判定する発音対象音源判定手段とを備え、発音処理手段は、発音対象音源判定手段により同一の識別子を有するものであると判定された場合は、該特定された発音対象音源に対応する音声データによる発音処理を継続して実行することが好ましい。
【0010】
同一の識別子を有する音源は、異なる位置に配置された音源が他に存在したとしても、これらの音源からの発音はあくまで一つとみなされる。そのため、単純形状の音源を単に複数配置した場合に生じる、繋ぎ目の発音が途切れるという問題が解決される。例えば、鳥のさえずりを発音する単純な形状の音源を複数、仮想空間内に配置し、これらを異なる音源として捉えると、ユーザの操作により受音する位置が変わることで、鳥のさえずりの音が途中で途切れ、全く同じ鳥のさえずりの音の発音が新たに開始されるといった不自然な現象が発生する。直前の処理期間(直前のフレーム)において発音対象であった音源と同一の識別子を有する音源が発音される場合は、途中まで発音されている音声データをもとに継続して発音処理することで、このような途切れの問題を解決することが出来る。
【0011】
本発明では、ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段とを備え、発音対象音源特定手段は、音源とオブジェクトとの距離をもとに、音源ごとに優先度を特定する優先度特定手段を備え、優先度特定手段により特定された優先度が高い音源を発音対象音源として特定することが好ましい。
【0012】
例えば、ゲーム装置では、プレイヤは入力装置を操作することで仮想空間内のプレイヤキャラクタ(オブジェクト)の位置を移動させることができるが、音を受音するプレイヤキャラクタの位置に応じて、発音処理を実行する音源を特定できるため、複雑形状の音源をもとに発音処理を実行する場合に比べ、処理負荷が軽減できる。
【0013】
また、本発明では、ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段とを備え、発音対象音源特定手段は、音源とオブジェクトとの間に障害物が存在するか否かをもとに、音源ごとに優先度を特定する優先度特定手段を備え、優先度特定手段により特定された優先度が高い音源を発音対象音源として特定することが好ましい。
【0014】
例えば、ゲーム装置では、プレイヤキャラクタの位置と音源との間に障害物が存在する場合があるが、障害物が存在することを反映しつつ、発音処理される音源が特定されるため、より現実世界に近いかたちで発音処理を実行することが可能となる。
【0015】
本発明では、ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段と、オブジェクト移動手段により移動したオブジェクトと、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源との距離を測定する距離測定手段とを備え、発音処理手段は、距離測定手段により測定された距離に応じて出力音量を制御して、発音処理を実行することが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、ユーザが操作するオブジェクトと音源との距離に応じて、出力される音量が制御されるため、オブジェクトの移動により出力される音量に変化が生じ、仮想空間内の移動に、より臨場感を持たせることが可能となる。
【0017】
本発明は、コンピュータ装置において、仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理方法であって、該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、音源の識別子及び発音される音声データを記憶領域に関連付けて記憶させ、同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定させ、特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行させる発音処理方法に関する。
【0018】
本発明は、コンピュータ装置に、仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理プログラムであって、該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、コンピュータ装置を、音源の識別子及び発音される音声データを関連付けて記憶する音源情報記憶手段と、同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定する発音対象音源特定手段と、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行する発音処理手段として機能させることを特徴とする発音処理プログラムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる実施の形態で適用されるゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるゲーム装置における表示画面の一例を表す図である。
【図3】仮想三次元空間内に配置された音源オブジェクトを表す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる音源テーブルを表す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる発音対象音源特定処理を実行する際のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態にかかる発音対象音源テーブルを表す図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる発音処理を実行する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明にかかる実施の形態で適用されるゲーム装置の構成を示すブロック図である。図示するようにゲーム装置は、CPU(Central Processing Unit)101と、メインメモリ102と、入力装置103と、表示装置104と、ハードディスクドライブ(HDD)105と、CD−ROM/DVDドライブ106とを備えている。また、表示装置104は表示画面114を備え、CD−ROM/DVDドライブ106には、記録媒体121を着用し得る。
【0021】
CPU101は、HDD105や記録媒体121上に格納されたプログラムを実行し、装置本体の制御を行なう。メインメモリ102は、CPU101のワークエリアである。また、HDD105は、プログラムやデータを保存するための記憶領域として用いられるもので、画像データや音声データが記憶されている。
【0022】
CD−ROM/DVDドライブ106は、記録媒体121に対しプログラム及びデータの読み出しを行なう。入力装置103は方向キー及びボタンを備えている。ポインティングデバイスとして使用されるマウス及び方向キーを備えているキーボード等を入力装置103として用いてもよい。入力装置103からの入力データはメインメモリ102に出力され、CPU101がそれを解釈して演算処理を実行する。
【0023】
本発明に係るゲーム装置で実行されるプログラム及びデータはHDD105又は記録媒体121に記憶されている。記憶媒体121に記憶されたプログラム及びデータは、実行時にCD−ROM/DVDドライブ106により読み出されて、メインメモリ102にロードされる。CPU101は、メインメモリ102にロードされたプログラム及びデータを処理し、描画命令を表示装置104に出力する。CPU101が処理を行っている間の中間的なデータは、メインメモリ102に記憶される。
【0024】
CPU101は画像データを展開し、それを表示装置104の表示画面114上に画像を表示する。CPU101から出力される画像の1フレーム時間は、例えば60分の1秒である。画像データは、仮想三次元空間を、仮想カメラを視点として仮想スクリーン上に透視変換して生成され、表示画面114に表示される。
【0025】
CPU101は、進行中のゲームに必要なデータをメインメモリ102から読み出して処理を行なうが、HDD105に比べて記憶容量が小さいので、ゲームの進行状況に応じて必要なデータのみがメインメモリ102にロードされる。
【0026】
CPU101は、メインメモリ102にロードされたプログラム及びデータを処理し、サウンド出力の指示をサウンド処理部107に出力する。サウンド処理部107は、スピーカーであるサウンド出力装置108に接続されている。CPU101がサウンド出力の指示をサウンド処理部107に出力すると、サウンド処理部107はサウンド出力装置108にサウンド信号を出力する。サウンド処理部107には、D/Aコンバータ、アンプ等が含まれる。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態にかかるゲーム装置における表示画面の一例を表す図である。図3は、図2の表示画面の一例により表示されている仮想三次元空間内に配置された音源オブジェクトを表す図である。表示画面114にはプレイヤが入力装置103への入力により操作するプレイヤキャラクタ20と、その上側に蛇行しながら表示画面114上を横断する川21が表示され、さらには、川21の上側に樹木22が表示されている。川21に対応する音源オブジェクトとして、図3のように長方体の音源オブジェクト21a、21c、21eと、三角柱の音源オブジェクト21b、21dから構成される複雑形状の音源オブジェクト21xが配置されている。21a〜21eはすべて同じ識別番号を有しており、また、川のせせらぎの音に関する音声データを有している。また、同様に、樹木22に対応する音源オブジェクトとして、円錐状の音源オブジェクト22a、22b、22cから構成される複雑形状の音源オブジェクト22xが配置されている。22a〜22cはすべて同じ識別番号を有しており、また、鳥のさえずりの音に関する音声データを有している。
【0028】
複雑形状を有する音源オブジェクト21xを構成する音源オブジェクトのうち、音源オブジェクト21cはプレイヤキャラクタ20との距離が最も近い。そのため、発音処理の対象である発音対象音源を特定する際に、音源オブジェクト21cの優先度が最も高くなる。したがって、音源オブジェクト21cをもとに、発音処理が実行されることになる。プレイヤキャラクタが左側へ移動すると、最も優先度の高い音源オブジェクトが、音源オブジェクト21cから音源オブジェクト21b、21aへと順次変わることになるが、識別番号が同じ音源は1つの音源として取り扱われるため、音声が途中で途切れることなく再生されることになる。
【0029】
本発明で用いられる単純形状の音源オブジェクトとしては、例えば、立方体、長方体、円柱、円錐、角柱、角錐、部分球及び球から選択されるいずれかの形状があげられるが、これらの形状以外の形状を有するものを用いることも可能である。これらの音源オブジェクトが複数組み合わせられることにより複雑形状の音源オブジェクトが生成される。複雑形状の音源オブジェクトは、仮想三次元空間の地形や領域、グラフィックデータに合わせて配置される。したがって、川のせせらぎの音を音声として出力したい場合は、仮想三次元空間の川の形状に合わせて、川のせせらぎの音についての音声データを有する音源オブジェクトを配置することになる。
【0030】
ここで、円柱・円錐は、底面が完全な真円でなくても良く、例えば、底面が楕円形であっても良い。角柱・角錐は、底面が三角形、四角形等の多角形であれば良い。また、球は、完全な真球でなくても良く、例えば、楕円球も含む概念である。部分球とは、真球、楕円球を任意の断面で分割して得られる立体を含む概念である。
【0031】
これらの単純形状の音源の大きさ、長さの比は任意に設定することが可能である。したがって、複雑形状の音源の構成要素となる単純形状の音源の大きさ、長さの比は、同じ識別番号を有するものであっても、それぞれ異なっていてもよい。したがって、同じ識別番号を有する長方体の音源であっても、その大きさや長方体を構成する各辺の長さの比は任意に設定可能であり、同様に、円柱や円錐等の音源においても、底面の径の長さと高さの比は任意に設定可能である。また、長方体状の音源や球状の音源など、異なる形状の音源について、同一の識別番号を付与することも可能である。
【0032】
これらの音源にはそれぞれ識別番号が付与される。例えば、同じ、川のせせらぎの音を表現するための音源で、川という一つの複雑形状の音源の構成要素として管理する場合は同一の識別番号が付与される。仮想三次元空間内に複数の川が存在する場合は、同じ川のせせらぎの音であっても、一つの複雑形状の音源の構成要素として捉えられない場合もあるから、異なる識別番号を付与することも可能である。同一の識別番号を有する音源の場合は、優先度が高い音源をもとに優先して発音処理が行なわれるため、単純形状の音源を単に複数配置した場合に生じる音の途切れの問題が解決される。識別番号の付与がされない音源、又は、他に同一の識別番号を有する音源が存在しないものについては、それぞれ単一の音源として扱われる。
【0033】
次に、メインメモリ102に設定される音源テーブルについて、説明する。図4は、本発明の実施の形態にかかる音源テーブルを表す図である。図4は、音源テーブル30には、仮想3次元空間内に配置されうる音源オブジェクトの識別番号32、各音源オブジェクトにより発音される音声データ33、音声データ33を発音する際の基準音量V34が記憶されている。サウンド処理部107による発音処理は、音源テーブル30に記憶された音声データ33及び基準音量V34を参照することで実行される。
【0034】
発音される出力音量は、受音点であるプレイヤキャラクタの位置と音源との距離に応じて変化する。例えば、出力音量を距離の2乗に反比例して小さく設定することができる。すなわち、出力音量Vは下記の式により表わされる。
【数1】

【0035】
ここで、基準音量Vは、プレイヤキャラクタと音源との距離が基準距離rである場合の基準の出力音量をいい、V、rともに音源ごとにあらかじめ設定された値である。したがって、プレイヤキャラクタと音源との距離rが決まれば、出力音量Vも特定される。また、発音対象の音源とプレイヤキャラクタとの間に障害物が存在する場合は、後述する、障害物による出力音量の減衰率Dを、式(1)の右辺にさらに乗じることで出力音量が定められる。
【0036】
次に、発音対象音源特定処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態にかかる発音対象音源特定処理を実行する際のフローチャートである。ここで、ステップS1〜S3の処理は、発音する音源の対象となりうる、すべての音源について実行される。発音の対象となりうる音源は、プレイヤキャラクタが存在する仮想空間の所定の範囲(例えば、特定のエリア)や、プレイヤキャラクタから所定の距離の範囲内に配置された音源のみとすることができる。また、図6は、本発明の実施の形態にかかる発音対象音源テーブル31を表す図である。発音対象音源テーブル31はメインメモリ102に設定される。発音対象音源テーブル31には、ステップS3において、発音対象音源として特定された音源の識別番号32と、その音源の位置情報35が直交座標系にて記憶されている
【0037】
まず、処理の対象となっている音源と同一の識別番号を有する発音対象音源が、発音対象音源テーブル31に存在するか否かについての判定が行なわれる(ステップS1)。同一の識別番号を有する発音対象音源が存在しない場合は(ステップS1において、NO)、処理の対象となっている音源が、発音対象音源として特定され(ステップS3)、発音対象音源テーブル31に記憶される。
【0038】
一方、同一の識別番号を有する発音対象音源が存在する場合は(ステップS1において、YES)、すでに発音対象音源となっている音源と、処理の対象となっている音源のうち、いずれの優先度が高いか否かが判定される。処理の対象となっている音源の優先度が高い場合は(ステップS2において、YES)、この処理の対象となっている音源が、発音対象音源として特定され(ステップS3)、発音対象音源テーブル31が更新される。すでに発音対象音源となっている音源の方が、優先度が高い場合は(ステップS2において、NO)、発音対象音源はそのままで変更は行なわれない。
【0039】
ステップS3の処理が終了すると、発音する音源の対象となりうる、すべての音源について、ステップS1〜S3の処理が実行されたか否かの判定が行なわれる(ステップS4)。すべての音源について処理がまだ実行されていない場合は(ステップS4においてNO)、まだ、これらの処理の実行が終了していない音源について、ステップS1〜S3の処理が繰り返し、実行される。すべての音源について処理の実行が行なわれた場合は(ステップS4においてYES)、一連の処理が終了する。ステップS1〜S4までの一連の処理は1フレームごとに実行され、1フレームごとに発音対象音源が特定されることになる。
【0040】
優先度の判定の基準としては、音源とプレイヤキャラクタとの距離が短いものの優先度が高くすることができる。すなわち、同一の識別番号を有する音源の場合は、受音点であるキャラクタの位置に最も近い音源を発音対象とすることができる。また、音源とプレイヤキャラクタとの間に障害物が存在しないものの優先度を高くすることができる。例えば、音源Aとプレイヤキャラクタとの距離がrであり、音源Bとプレイヤキャラクタとの距離がrであるような場合に、各音源の位置と受音点であるプレイヤキャラクタの位置との間に障害物が存在するか否かについての判定を行なう。音源Aとプレイヤキャラクタとの間に障害物が存在し、音源Bとプレイヤキャラクタとの間に障害物が存在しなかった場合は、例えば、r/(障害物による出力音量の減衰率D)とrを比較し、値の小さい方に対応する音源を発音対象として特定する。なお、障害物による出力音量の減衰率Dは0〜1までの値をとる。また、障害物の種類に応じて減衰率Dを適宜変更することも可能である。
【0041】
次に、発音処理について説明する。図7は、本発明の実施の形態にかかる発音処理を実行する際のフローチャートである。まず、ステップS4にて発音対象音源として特定された音源について、直前のフレームにおいて、発音対象音源として特定されたものか否かを判定する(ステップS5)。メインメモリ102には、直前のフレームにおいて、発音処理の対象となった発音対象音源の識別番号が記憶されており、この識別番号をもとにステップS5における判定が実行される。
【0042】
発音対象音源として特定された音源が、直前のフレームにおいて、発音対象音源として特定されたものである場合は(ステップS5においてYES)、発音処理が継続して実行される(ステップS6)。単に単純形状の音源を組み合わせた場合は、プレイヤキャラクタが移動して位置が変わることで、途中で音が途切れ、全く同じ音声データが新たに再生されるといった不自然な現象が発生するが、直前のフレームにおいて発音対象であった音源と同一の識別子を有する音源が発音される場合は、途中まで発音されている音声データをもとに継続して発音処理を実行することで、このような途切れの問題を解決することが出来る。
【0043】
一方、直前のフレームにおいて、発音対象音源として特定されたものでない場合は(ステップS5においてNO)、音源テーブル30に記憶された音声データ33が読み込まれ(ステップS7)、音声データ33をもとに発音処理が開始される(ステップS8)。
【0044】
上記の実施の形態では、主にゲーム装置に利用することを前提として記載したが、本発明にかかる発音処理装置は、仮想空間内に音源が配置され、受音する位置がユーザにより移動可能なものであれば、特にゲーム用途だけに限定されるものではなく、他の用途にも利用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
101 CPU
102 メインメモリ
103 入力装置
104 表示装置
105 HDD
106 CD−ROM/DVDドライブ
107 サウンド処理部
108 サウンド出力装置
114 表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理装置であって、
該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、
音源の識別子及び発音される音声データを関連付けて記憶する音源情報記憶手段と、
同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定する発音対象音源特定手段と、
発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行する発音処理手段と
を備える発音処理装置。
【請求項2】
さらに、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源が、直前の処理期間において発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源と同一の識別子を有するものであるか否かを判定する発音対象音源判定手段とを備え、
発音処理手段が、
発音対象音源判定手段により同一の識別子を有するものであると判定された場合は、該特定された発音対象音源に対応する音声データによる発音処理を継続して実行する
ことを特徴とする請求項1記載の発音処理装置。
【請求項3】
ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段とを備え、
発音対象音源特定手段が、
音源とオブジェクトとの距離をもとに、音源ごとに優先度を特定する優先度特定手段を備え、優先度特定手段により特定された優先度が高い音源を発音対象音源として特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の発音処理装置。
【請求項4】
ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段とを備え、
発音対象音源特定手段が、
音源とオブジェクトとの間に障害物が存在するか否かをもとに、音源ごとに優先度を特定する優先度特定手段を備え、優先度特定手段により特定された優先度が高い音源を発音対象音源として特定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の発音処理装置。
【請求項5】
ユーザの入力装置への操作に応じてオブジェクトを仮想空間内で移動させるオブジェクト移動手段と、
オブジェクト移動手段により移動したオブジェクトと、発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源との距離を測定する距離測定手段とを備え、
発音処理手段が、
距離測定手段により測定された距離に応じて出力音量を制御して、発音処理を実行する
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の発音処理装置。
【請求項6】
コンピュータ装置において、仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理方法であって、
該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、
音源の識別子及び発音される音声データを記憶領域に関連付けて記憶させ、
同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定させ、
特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行させる
発音処理方法。
【請求項7】
コンピュータ装置に、仮想空間内に配置された音源をもとに、発音処理を実行させる発音処理プログラムであって、
該音源が複数の単純形状の音源であり、且つ、同一か又は異なる識別子を有するものであり、
コンピュータ装置を、
音源の識別子及び発音される音声データを関連付けて記憶する音源情報記憶手段と、
同一の識別子を有する音源のうち、所定の基準をもとに優先度が高い音源を発音対象音源として特定する発音対象音源特定手段と、
発音対象音源特定手段により特定された発音対象音源に対応する音声データにしたがって、発音処理を実行する発音処理手段
として機能させることを特徴とする発音処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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