説明

白抜け検出装置、画像形成装置および白抜け検出プログラム

【課題】検査用画像が形成された記録材を画像読み取りして得た読取画像から画像欠陥を検出する技術に関し、濃度ムラが発生している場合でも白抜け検出を精度良く行えるようにする。
【解決手段】画像欠陥検出部21において、画像分割処理部22が、故障診断のための検査用画像が形成された記録材から画像読取部11により画像読み取りされた読取画像を、当該読取画像における副走査方向(或いは主走査方向)の画素列毎の濃度平均に基づいて、各分割領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割し、白抜け検出処理部23が、分割領域毎に白抜け検出用閾値を設定して、当該設定した分割領域毎の白抜け検出用閾値に基づいて、分割領域毎にその分割領域内における白抜けの有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白抜け検出装置、画像形成装置および白抜け検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置(プリンタ)や複写機(コピー機)等の画像形成装置において記録材に出力(形成)した画像に白抜けや濃度ムラ等の画像欠陥が発生した場合に、予め用意した検査用画像(テストチャート)をその画像形成装置により記録材に出力し、これをスキャナ等で画像読み取りして読取画像の特徴量を抽出し、画像欠陥の発生状態を解析することで画像形成装置の不具合箇所を診断する故障診断方法が知られている。
【0003】
このような故障診断方法においては、白点や白筋などの白抜けは、例えばハーフトーンベースの検査用画像を用いて検出される。
ここで、図6(a)に例示するように、ハーフトーン部が正常な場合(濃度ムラが発生していない場合)には、白抜け部分と正常部分との濃度差が顕著なため白抜けの検出が容易である。
これに対し、図6(b)に例示するように、部品の劣化や経時変化等でハーフトーン部に全体的に濃度ムラが発生している場合には、濃度ムラの方が発生範囲が広いため主要な欠陥として濃度ムラが検出される。一方、白抜けについては、濃度ムラによって高輝度となった領域部分(図中右側の領域部分)においての検出が困難であり、工夫が求められる。なお、図7には、或る方向の画素列毎に輝度を積算した輝度積算値と白抜け検出用閾値(固定値)とを単純に比較する方式を例示してあるが、この方式は、濃度ムラと白抜けが同時に発生した場合には対応していない。
【0004】
画像欠陥を検出する技術としては、例えば、液晶パネル等の表示デバイスやその応用製品であるプロジェクタの製造における検査工程において、縦或いは横方向に連続して現れる線欠陥を精度よく自動的に検出するパネルの線欠陥検出方法及び装置に関する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−172559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、検査用画像が形成された記録材を画像読み取りして得た読取画像から画像欠陥を検出する技術に関し、濃度ムラが発生している場合でも白抜け検出を精度良く行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、記録材上の画像を読み取る画像読取手段と、検査用の画像が形成された記録材から前記画像読取手段により読み取られた読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する手段であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内の画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割手段と、前記分割手段により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出手段と、を備えたことを特徴とする白抜け検出装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の白抜け検出装置において、前記設定手段は、前記分割手段により分割された領域毎の閾値として、その領域全体の濃度平均と前記濃度幅との合計値を設定する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の白抜け検出装置において、前記分割手段は、前記読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均を、対象の画素列を中心とした予め定められた列数の複数の画素列からなる画素列群に基づいて算出する、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の白抜け検出装置において、前記分割手段は、第1方向を前記境界線の方向として前記読取画像の分割を行い、当該分割の結果に対する更なる分割を第1方向に直交する第2方向を前記境界線の方向として行う、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、記録材上の画像を読み取る画像読取手段と、前記画像形成手段により検査用の画像が形成された記録材から前記画像読取手段により読み取られた読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する手段であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割手段と、前記分割手段により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出手段と、前記検出手段による白抜けの検出結果に基づいて、前記画像形成手段の故障診断を行う故障診断手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、コンピュータに、検査用の画像が形成された記録材から読み取られた読取画像を取得する取得機能と、前記取得機能により取得された読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する機能であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割機能と、前記分割機能により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定機能と、前記設定機能により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出機能と、を実現させるための白抜け検出プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明によると、濃度ムラが発生している場合における白抜け検出を、本発明を適用しない場合に比べて精度良く行うことが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の本発明によると、分割された各領域における白抜け検出を他の領域の影響を排除して行うことが可能になる。
【0015】
請求項3に記載の本発明によると、読取画像の領域分割を効果的に行うことが可能になる。
【0016】
請求項4に記載の本発明によると、濃度ムラの発生方向に関わらずに、白抜け検出を精度良く行うことが可能になる。
【0017】
請求項5に記載の本発明によると、画像形成装置の故障診断を、本発明を適用しない場合に比べて精度良く行うことが可能になる。
【0018】
請求項6に記載の本発明によると、濃度ムラが発生している場合における白抜け検出を、本発明を適用しない場合に比べて精度良く行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機能構成を例示する図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における故障診断部の機能構成を例示する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置における画像欠陥検出部の機能構成を例示する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置による画像欠陥検出の処理フローを例示する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画像形成装置におけるハードウェア構成を例示する図である。
【図6】ハーフトーンベースの検査用画像を用いた場合における画像欠陥を例示する図である。
【図7】白抜けを検出できない状況を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の機能構成を例示してある。
本例の画像形成装置1は、用紙等の記録材に形成された画像を光学的に読み取る画像読取部11と、出力対象の画像(例えば、外部の装置から送信された印刷対象の画像、画像読取部11により読み取った複写対象の画像)を記録材に形成して出力するプリントエンジン部12と、記録材の搬送状況(各部位の通過時間など)、駆動電流、装置内部の温度及び湿度といった内部状態情報を得るためのセンサ部13と、操作ボタンやタッチパネル等の操作部を有して操作者から故障診断に必要な情報の入力を受け付ける診断情報入力部14と、各種データに基づいて故障診断を行う故障診断部15と、上記処理を実行するために用いられる種々のデータを記憶する記憶部16と、を備えている。
【0021】
画像形成装置1としては、例えば、印刷装置(プリンタ)、複写機(コピー機)、ファクシミリ装置、或いは、印刷・複写・ファクシミリ等の機能を複合的に備えた複合機などが用いられる。
本例では、画像読取部11、故障診断部15、記憶部16などの故障診断に用いる各機能部を画像形成装置1に設けることで、画像形成装置1が故障箇所を自己診断できるように構成(すなわち、画像形成装置1と白抜け検出装置とを一体に構成)してあるが、これらの機能を外部の装置に設け(すなわち、画像形成装置1と白抜け検出装置とを別体に構成)、当該外部の装置(白抜け検出装置)が、画像形成装置1により検査用画像が形成された記録材を画像読み取りして画像形成装置1の故障診断を行うようにしてもよい。
【0022】
図2には、画像形成装置1に設けられた故障診断部15の機能構成を例示してある。
本例の故障診断部15は、故障診断のための検査用画像が形成された記録材を画像読取部11により画像読み取りして得られた読取画像に基づいて、当該読取画像における画像欠陥を検出する画像欠陥検出部21と、画像欠陥検出部21により検出された画像欠陥の特徴量を抽出する特徴量抽出部25と、特徴量抽出部25により抽出された画像欠陥の特徴量に基づいて画像欠陥の種類を判定する欠陥種類判定部26と、センサ部13、診断情報入力部14、記憶部16、特徴量抽出部25、欠陥種類判定部26から得た各種データに基づいて故障原因を推定する故障原因推定部27と、故障原因推定部27により推定された故障原因を診断結果として画面表示や印刷出力し、或いは特定の宛先(例えば管理センタ)へ送信出力する診断結果通知部30と、を備えている。
【0023】
故障原因推定部27は、故障を引き起こすと考えられる各故障原因候補が、発生した故障の主原因である確率を各取得情報に基づいて算出する推論エンジン29と、推論エンジン29により算出された確率を元にして故障原因候補を絞り込む故障候補抽出部28と、を有しており、センサ部13により取得された内部状態情報、診断情報入力部14により取得された操作者からの入力情報、記憶部16に記憶された画像形成装置10の使用状況の監視結果などの履歴情報(例えば、用紙サイズ別の出力枚数など)、特徴量抽出部25により抽出された画像欠陥の特徴量、欠陥種類判定部26により判定された画像欠陥の種類などの各種データに基づいて故障原因の推定を行う。
【0024】
本例では、故障原因の発生確率の算出を行う推論エンジン29に、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)を利用している。ベイジアンネットワークとは、因果関係が複雑な問題領域を表すため、複数の変数間の因果関係を順次結び、グラフ構造を持つネットワークとして表現したものであり、変数間の依存関係を有向グラフにより表している。なお、事例ベースに基づくエキスパートシステムを用いて故障原因を推定する構成としても良いし、ニューラルネットワークを用いた診断方法を用いても良い。
【0025】
画像欠陥検出部21は、画像読取部11により取得された読取画像を複数の領域に分割する画像分割処理部22と、画像分割処理部22による分割結果の分割領域毎に白抜け検出処理を行う白抜け検出処理部23と、画像分割処理部22による分割結果の各分割領域に基づいて濃度変動検出処理を行う濃度変動検出処理部24と、を有する。
【0026】
図3には、画像欠陥検出部21の機能構成をより具体的に例示してある。
画像分割処理部22は、画像読取部11により取得された読取画像における副走査方向(或いは主走査方向)の各画素列について、各画素の濃度(輝度)を表す階調値を積算した階調積算値を算出するプロファイル処理部41と、プロファイル処理部41により算出された画素列毎の階調積算値に基づいて、画素列毎の平均階調値を移動平均によって算出する移動平均処理部42と、移動平均処理部42により算出された画素列毎の平均階調値に基づいて、比較する2つの画素列について平均階調値の差分絶対値を算出する積算階調差分値算出部43と、積算階調差分値算出部43により算出された画素列同士の平均階調値の差分絶対値に基づいて、読取画像を副走査方向(或いは主走査方向)の境界線で区分けして短冊状の複数の領域に分割する画像分割判定部44と、を有する。
【0027】
白抜け検出処理部23は、画像分割処理部22による分割結果の分割領域毎に平均階調値を算出する平均階調値算出部45と、平均階調値算出部45により算出された分割領域毎の平均階調値に基づいて、分割領域毎に白抜け検出用閾値を設定する白抜け閾値設定部46と、白抜け閾値設定部46により設定された分割領域毎の白抜け検出用閾値に基づいて、分割領域毎にその領域内における白抜けの有無を判定する白抜け領域検出部47と、を有する。
【0028】
濃度変動検出処理部24は、白抜け検出処理部23において算出された分割領域毎の平均階調値に基づいて、比較する2つの分割領域について平均階調値の差分絶対値を算出する平均階調差分値算出部48と、平均階調差分値算出部48により算出された分割領域同士の平均階調値の差分絶対値に基づいて、読取画像における濃度変動(濃度ムラ)の有無を判定する濃度変動領域検出部49と、を有する。
【0029】
画像欠陥検出部21を構成する各機能部による処理を、図4に例示する画像欠陥検出の処理フローを参照して具体的に説明する。
画像欠陥検出の前処理として、操作者による指示等に応じて画像形成装置1を故障診断モードに移行させる。故障診断モードに移行した画像形成装置1では、記憶部16に予め用意されている検査用画像を読み出して、プリントエンジン部12により用紙等の記録材に形成して出力する。本例では、白抜け検出のためにハーフトーンベースの検査用画像を用いる。
次いで、検査用画像が形成された記録材を画像読取部11により画像読み取り(スキャン)して、その読取画像を被検査対象として取得する(ステップS11)。
その後、故障診断部15の画像欠陥検出部21において、以下の処理が行われる。
【0030】
画像欠陥検出部21は、まず、画像分割処理部22により画像分割処理(ステップS12〜S21)を行う。
すなわち、プロファイル処理部41が、画像読取部11により被検査対象として取得された読取画像における副走査方向の画素列について、各画素の濃度(輝度)を表す階調値を積算した階調積算値を算出する(ステップS12)。
そして、移動平均処理部42が、プロファイル処理部41により算出された副走査方向の画素列毎の階調積算値に基づいて、画素列毎の平均階調値を移動平均によって算出する(ステップS13)。具体的には、主走査方向(X軸方向)に沿って対象範囲を移動させながら対象範囲内の画素列群の階調積算値を総和して対象範囲内の画素列数で除算することで、副走査方向の画素列毎の平均階調値を算出する。すなわち、或る画素列の平均階調値を、当該画素列を中心とした予め定められた列数の複数の画素列からなる画素列群の階調積算値に基づいて算出する。
【0031】
そして、画像分割処理に用いる変数i、nをともに0に初期化した後に(ステップS14)、積算階調差分値算出部43が、i番目の画素列Xiの平均階調値とn番目の画素列Xnの平均階調値との差分の絶対値Δを算出する(ステップS15)。なお、変数iは分割領域の開始画素列位置を特定するために用いており、変数nは分割領域の終了画素列位置を特定するために用いている。
【0032】
その後、画像分割判定部44が、積算階調差分値算出部43により算出された差分絶対値Δが予め設定された白抜け検出幅(白抜け検出用の基準閾値)以下(或いは白抜け検出幅未満)であるか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16の判定を行った結果、差分絶対値Δが白抜け検出幅以下(或いは白抜け検出幅未満)と判定された場合には、分割領域の終了画素列位置を1つ進めた位置に変更(n=n+1)した後に(ステップS19)、差分絶対値Δの算出処理(ステップS15)に戻る。
一方、ステップS16の判定を行った結果、差分絶対値Δが白抜け検出幅以下(或いは白抜け検出幅未満)でないと判定された場合には、読取画像における画素列Xi〜Xnの領域を分割領域として切り出し(ステップS17)、現在の分割領域の終了画素列位置の次の画素列位置を次回の分割領域の開始画素列位置及び終了画素列位置に変更(i=n+1、n=n+1)した後に(ステップS18、19)、差分絶対値Δの算出処理(ステップS15)に戻る。
つまり、画像分割判定部44では、分割領域内における画素列毎の平均階調値の幅(最大の平均階調値と最小の平均階調値との差分)が白抜け検出幅以下(或いは白抜け検出幅未満)となるように、すなわち、分割領域内における(画素列方向(本例では副走査方向)に直交する方向の)濃度変動が白抜け検出幅に収まるように読取画像を分割する。
【0033】
なお、ステップS19において分割領域の終了画素列位置を変更(n=n+1)した結果、その画素列位置が読取画像における主走査方向の最大値(読取画像の主走査方向の幅)を超える場合には(ステップS20)、差分絶対値Δの算出処理(ステップS15)には戻らずに、読取画像における画素列Xi〜Xnの領域を分割領域として切り出す(ステップS21)。
【0034】
画像欠陥検出部21は、画像分割処理部22による画像分割処理(ステップS12〜S21)が終了すると、白抜け検出処理部23により白抜け検出処理(ステップS22〜S25)を行う。
すなわち、平均階調値算出部45が、画像分割判定部44により読取画像から切り出された分割領域毎に、その分割領域内の各画素の階調値を平均して平均階調値を算出する(ステップS22)。
そして、白抜け閾値設定部46が、平均階調値算出部45により算出された分割領域毎の平均階調値に前述の白抜け検出幅(白抜け検出用の基準閾値)を加算して、分割領域毎に白抜け検出用閾値を設定する(ステップS23)。
【0035】
そして、白抜け領域検出部47が、白抜け閾値設定部46により設定された分割領域毎の白抜け検出用閾値に基づいて、画像分割判定部44により読取画像から切り出された分割領域毎に、その領域内における白抜け欠陥が存在するか否かを判定する(ステップS24)。
ステップS24の判定を行った結果、白抜け欠陥が存在すると判定された場合には、特徴量抽出部25が、白抜け欠陥が存在すると判定された各分割領域について白抜け欠陥の特徴量を抽出する処理を行い(ステップS26)、当該抽出された白抜け欠陥の特徴量に基づいて、欠陥種類判定部26や故障原因推定部27等により故障診断処理を行って(ステップS33)、推定結果の故障原因を診断結果として診断結果通知部30により出力する。
【0036】
一方、ステップS24の判定を行った結果、白抜け欠陥が存在しないと判定された場合には、画像欠陥検出部21は、濃度変動検出処理部24により濃度変動(濃度ムラ)検出処理(ステップS27〜S31)を行う。
すなわち、濃度変動検出処理に用いる変数j、mをともに0に初期化した後に(ステップS27)、平均階調差分値算出部48が、j番目の分割領域内の各画素の階調値を平均して得られる平均階調値Ajと、m番目の分割領域内の各画素の階調値を平均して得られる平均階調値Amとの差分の絶対値ΔAveを算出する(ステップS28)。なお、変数jは比較の基準となる分割領域を特定するために用いており、変数mは比較の対象となる分割領域を特定するために用いている。
【0037】
そして、濃度変動領域検出部49が、平均階調差分値算出部48により算出された差分絶対値ΔAveが予め設定された濃度ムラ検出幅(濃度ムラ検出用の閾値)以下(或いは濃度ムラ検出幅未満)であるか否かを判定する(ステップS29)。つまり、濃度変動領域検出部49では、分割領域単位の各平均階調値を基準の分割領域の平均階調値と比較して主走査方向における平均階調値の変化量を求め、その変化量と濃度ムラ検出幅とを比較することで、濃度ムラの発生有無を判定する。
【0038】
ステップS29の判定を行った結果、差分絶対値ΔAveが白抜け濃度ムラ検出幅以下(或いは濃度ムラ検出幅未満)と判定された場合には、比較の対象となる分割領域を次の分割領域に変更(m=m+1)した後に(ステップS30)、差分絶対値ΔAveの算出処理(ステップS28)に戻る。
一方、ステップS29の判定を行った結果、差分絶対値ΔAveが白抜け濃度ムラ検出幅以下(或いは濃度ムラ検出幅未満)でないと判定された場合には、特徴量抽出部25が、濃度ムラ欠陥の特徴量を抽出する処理を行い(ステップS32)、当該抽出された濃度ムラ欠陥の特徴量に基づいて、欠陥種類判定部26や故障原因推定部27等により故障診断処理を行って(ステップS33)、推定結果の故障原因を診断結果として診断結果通知部30により出力する。
なお、ステップS28において比較の対象となる分割領域を変更(m=m+1)した結果、変数mが分割領域の数を超える場合(すなわち、全ての分割領域についての比較が終了した場合)には、白抜け欠陥及び濃度ムラ欠陥のいずれも検出されなかったため、故障診断処理(ステップS33)を行うことなく処理を終了する。
【0039】
ここで、本例では、まず白抜け検出処理を行い、白抜け欠陥が検出されなかった場合に濃度変動(濃度ムラ)検出処理を行うようにしているが、これに限定するものではなく、例えば、白抜け欠陥の有無に関わらずに濃度変動(濃度ムラ)検出処理を行うようにしてもよく、濃度変動(濃度ムラ)検出処理を行った後で白抜け検出処理を行うようにしてもよく、他の画像欠陥の検出処理を行うようにしてもよい。
【0040】
また、本例では、読取画像を副走査方向の境界線により区分けされる短冊状の複数の領域に分割しているが、主走査方向の境界線により区分けされる短冊状の複数の領域に分割するようにしてもよく、或いは、第1方向(例えば副走査方向)の境界線により区分けされる短冊状の複数の領域に分割した後に、更に、当該分割後の各領域を、第1方向に直交する第2方向(例えば主走査方向)の境界線により区分けされるブロック状の複数の領域に分割するようにしてもよい。
【0041】
また、本例では、分割領域を切り出すための画素列同士の濃度比較に用いる値として、移動平均により求めた平均階調値を用いているが、これに限定するものではなく、例えば、単なる平均階調値を用いるようにしてもよく、或いは他の集計関数により得られる値を用いるようにしてもよい。
【0042】
図5には、本例に係る画像形成装置1のコンピュータにおける主要なハードウェアを例示してある。
本例では、各種演算処理を行うCPU61、CPU61の作業領域となるRAM62や基本的な制御プログラムを記録したROM63等の主記憶装置、本発明の一実施形態に係るプログラムや各種データを記憶する補助記憶装置(例えば、HDD等の磁気ディスクや、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリなど)64、各種情報を表示出力するための表示装置や操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインターフェースである入出力I/F65、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインターフェースである通信I/F66、等のハードウェア資源を有するコンピュータにより構成されている。
そして、本発明の一実施形態に係るプログラムを補助記憶装置64等から読み出してRAM62に展開し、これをCPU61により実行させることで、本発明の一実施形態に係る白抜け検出装置の各機能を画像形成装置1のコンピュータ上に実現している。
【0043】
なお、1台のコンピュータにより白抜け検出装置(或いは画像形成装置1)を実現してもよく、各機能部を複数台のコンピュータに分散して設けて白抜け検出装置(或いは画像形成装置1)を実現してもよい。
また、本発明の一実施形態に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信回線等を介して受信する形式などにより、本例に係るコンピュータに設定される。
また、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、それぞれの機能部を専用のハードウエアモジュールで実現するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
11:画像読取部、 12:プリントエンジン部、 13:センサ部、 14:診断情報入力部、 15:故障診断部、 16:記憶部、
21:画像欠陥検出部、 22:濃度変動検出処理部、 23:白抜け検出処理部、 24:濃度変動検出処理部、 25:特徴量抽出部、 26:欠陥種類判定部、 27:故障原因推定部、 28:故障候補抽出部、 29:推論エンジン、 30:診断結果通知部、
41:プロファイル処理部、 42:移動平均処理部、 43:積算階調差分値算出部、 44:画像分割判定部、 45:平均階調値算出部、 46:白抜け閾値設定部、 47:白抜け領域検出部、 48:平均階調差分算出部、 49:濃度変動領域検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上の画像を読み取る画像読取手段と、
検査用の画像が形成された記録材から前記画像読取手段により読み取られた読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する手段であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出手段と、
を備えたことを特徴とする白抜け検出装置。
【請求項2】
前記設定手段は、前記分割手段により分割された領域毎の閾値として、その領域全体の濃度平均と前記濃度幅との合計値を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の白抜け検出装置。
【請求項3】
前記分割手段は、前記読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均を、対象の画素列を中心とした予め定められた列数の複数の画素列からなる画素列群に基づいて算出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の白抜け検出装置。
【請求項4】
前記分割手段は、第1方向を前記境界線の方向として前記読取画像の分割を行い、当該分割の結果に対する更なる分割を第1方向に直交する第2方向を前記境界線の方向として行う、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の白抜け検出装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
記録材上の画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像形成手段により検査用の画像が形成された記録材から前記画像読取手段により読み取られた読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する手段であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割手段と、
前記分割手段により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出手段と、
前記検出手段による白抜けの検出結果に基づいて、前記画像形成手段の故障診断を行う故障診断手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータに、
検査用の画像が形成された記録材から読み取られた読取画像を取得する取得機能と、
前記取得機能により取得された読取画像を予め定められた方向の境界線で区分けして複数の領域に分割する機能であり、当該読取画像における前記境界線の方向に沿った画素列毎の濃度平均に基づいて、各領域内における画素列毎の濃度平均の幅が予め定められた濃度幅以下又は当該濃度幅未満となるように分割する分割機能と、
前記分割機能により分割された領域毎に、その領域における白抜けを検出するための閾値を設定する設定機能と、
前記設定機能により設定された領域毎の閾値に基づいて、白抜けの検出処理を領域毎に行う検出機能と、
を実現させるための白抜け検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−137895(P2011−137895A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296512(P2009−296512)
【出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】