説明

白水供給弁機構及び白水の供給方法

【課題】 白水に含まれる成分が挟まり堆積することのない新規な文書細断屑用古紙再生装置用の白水供給弁機構及び白水の供給方法を提供する。
【解決手段】 古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水供給弁機構であり、前記抄紙機と前記白水被供給部との間に、白水が通過する配管と該配管に設けられた電磁弁と、を設け、白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにされてなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス文書などの古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水供給弁機構及び白水の供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、文書細断屑のリサイクルが充分に図られていないことに鑑み、比較的小型で高熱とならず且つ乾燥能力の劣らない新たな抄紙工程のドライヤーパートを実現し、また、系内の使用水量を最小限とし、併せて、古紙再生工程の省略化及び装置の小型化・簡略化によって、文書細断屑の再生を企業、官庁、組合、団地或いは地方公共団体等の各組織単位で行い得るようにして、焼却・埋め立て処分とされていた文書細断屑をリサイクル可能とし、省資源・省エネルギー化、古紙回収にかかる時間短縮や労力軽減を図ることのできる文書細断屑用古紙再生装置(特許文献1)を提案し、好評を得ている。
【0003】
一般的に、製紙装置では弁に電動ボールバルブなどの電動弁が採用されている。しかしながら、電動弁は比較的高価であり、また、レスポンス性の面に若干問題があった。一方、電磁弁(ソレノイドバルブ)は比較的廉価であり、レスポンス性に優れるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4202359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような文書細断屑用古紙再生装置の場合、白水が通る配管の呼び径が最大でも1/2インチ程度と狭いため、電磁弁を用いたとしても、通常の1回だけ行う弁動作で白水を供給した場合、弁の間に白水に含まれる成分(セルロース繊維や炭酸カルシウム等の填料)が詰まってしまい、弁の開成時の流量が不足したり、或いは弁の閉成時に隙間が出来てしまい、漏れを起こしたりするという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた結果、白水を供給する際に、メイン弁動作の他に、少量の白水を通過させる寸弁動作を行うと、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消されることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、白水に含まれる成分が挟まり堆積することのない新規な文書細断屑用古紙再生装置用の白水供給弁機構及び白水の供給方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の白水供給弁機構は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水供給弁機構であり、前記抄紙機と前記白水被供給部との間に、白水が通過する配管と該配管に設けられた電磁弁と、を設け、白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにされてなることを特徴とする。
【0009】
前記白水被供給部は、白水が供給される箇所であり、特に限定はない。前記白水被供給部としては、パルパー又はパルパーからの再生パルプ懸濁液を貯めておくパルプタンク(マシンチェストとも呼ばれる)などが挙げられる。また、白水をヘッドボックスに供給してヘッドボックスの洗浄を行うようにしてもよく、このようなヘッドボックスも前記白水被供給部の概念に含まれる。本願明細書で言う白水とは、抄紙工程で排出される白い水を指す。
【0010】
電磁弁は電動弁と異なり、弁を途中で止めることはできないため、全開か全閉のどちらかしか保持できない。したがって、通電させた場合の弁動作は全開か全閉のどちらかの動作を指す。
【0011】
電磁弁には、パイロット方式と直動式とがあるが、本発明では、直動式が好適である。
【0012】
前記電磁弁の種類としては、通電させたときに弁が開く通電開形と、通電させたときに弁が閉まる通電閉形とがある。そして、電磁弁に電気信号がきて弁が働いた後にその電気信号が遮断されると弁が自動的に元に戻るシングルソレノイド(単動操作方式)がある。シングルソレノイドの弁を自動的に戻すには、スプリングや圧力が使われる。また、電磁弁に電気信号がきて弁が働いた後、その電気信号が遮断されても弁のその状態を保持するタイプのものをダブルソレノイド(復動操作方式)という。ダブルソレノイドの場合、弁を元に戻すには反対側の電磁石を働かせることが必要になる。
【0013】
ここで、本明細書で言う寸弁動作とは、少量の白水を供給せしめる弁動作、すなわち通過させる弁動作を指す。本明細書で言うメイン弁動作とは、寸弁動作以外の大部分の白水を供給せしめる弁動作、すなわち通過させる弁動作を指す。本発明では、通電開形と通電閉形のいずれのタイプも使用できるため、弁動作としては、開成状態→閉成状態でも閉成状態→開成状態の順序のいずれでもかまわない。また、シングルソレノイド弁でもダブルソレノイド弁でも使用可能である。ダブルソレノイド弁の場合には、開成状態又は閉成状態の一方向に弁を作動させるとその状態を保持するので、逆作動の電気信号を入れる必要がある。
【0014】
また、本明細書において、白水が電磁弁を通過する際とは、白水供給開始時から白水供給停止時までをいう。また、本明細書において、白水を供給せしめるそれぞれの弁動作又は白水を通過させるそれぞれの弁動作は、それぞれの弁動作による白水供給開始時から白水供給停止時までを指す。
【0015】
また、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われるようにするのが好適である。すなわち、白水供給開始にあたって、寸弁動作を行ってからメイン弁動作を行うようにすることもできる。このようにすると、寸弁動作が白水供給開始の事前弁動作として作用し、弁動作(例えば弁を開いた)をしたときに最初に出てくる電磁弁に溜まっていた初溜を流してから、メイン弁動作で残りの白水を流すことが可能となる。
【0016】
全体として所定量の白水を供給する場合、寸弁動作で供給せしめる白水は、供給する白水の全体量の0.1%〜10%程度である。すなわち、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われる場合、全体量の0.1%〜10%程度の白水を供給せしめてから、残りの白水(99.9%〜90%程度)をメイン弁動作で供給せしめるわけである。
【0017】
そして、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われる場合、前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッ(例えば、シングルソレノイド弁の場合)と複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0018】
さらに、前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われるようにすることもできる。すなわち、メイン弁動作の後に寸弁動作を行って白水供給停止とすることもできる。このような弁動作であっても、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0019】
全体として所定量の白水を供給する場合、寸弁動作で供給せしめる白水は、全体量の0.1%〜10%程度である。すなわち、前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われる場合、99.9%〜90%程度の白水をメイン弁動作で供給せしめた(通過させた)後、全体量の0.1%〜10%程度の白水を供給せしめる(通過させる)わけである。
【0020】
そして、前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われる場合、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッと複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0021】
さらに、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われるようにしてもよい。すなわち、白水供給開始にあたって、寸弁動作を行ってからメイン弁動作を行い、メイン弁動作の後に寸弁動作を行って白水供給停止とすることもできる。このような弁動作であっても、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0022】
全体として所定量の白水を供給する場合、寸弁動作で供給せしめる白水は、全体量の0.1%〜10%程度である。すなわち、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われる場合、全体量の0.1%〜10%程度の白水を供給せしめてから、残りの白水(99.8%〜80%程度)をメイン弁動作で供給せしめ、その後、全体量の0.1%〜10%程度の白水をさらに供給せしめるわけである。
【0023】
そして、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われる場合、前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われ、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッと複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0024】
本発明の文書細断屑用古紙再生装置は、前記白水供給弁機構を組み入れたことを特徴とする。
【0025】
本発明の白水の供給方法は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水の供給方法であり、前記抄紙機と前記白水被供給部との間に、白水が通過する配管と該配管に設けられた電磁弁と、を設け、白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにしたことを特徴とする。
【0026】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われるようにするのが好ましい。
【0027】
さらに、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われる場合、前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッと複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0028】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われるようにしてもよい。すなわち、メイン弁動作の後に寸弁動作を行って白水供給停止とすることもできる。このような弁動作であっても、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0029】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われる場合、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッと複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0030】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われるようにしてもよい。すなわち、白水供給開始にあたって、寸弁動作を行ってからメイン弁動作を行い、メイン弁動作の後に寸弁動作を行って白水供給停止とすることもできる。このような弁動作であっても、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0031】
そして、前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われる場合、前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われ、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われるようにするのが好適である。このように、短時間でカチカチッと複数回のスイッチング動作で複数回の弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、白水に含まれる成分が挟まり堆積することのない新規な文書細断屑用古紙再生装置用の白水供給弁機構及び白水の供給方法を提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の白水供給弁機構の一つの実施の形態を示す概念説明図である。
【図2】白水供給弁機構の通電操作を示す概念説明図であって、(a)は従来の白水供給弁機構の通電操作、(b)は本発明に係る白水供給弁機構の通電操作の一つの実施の形態を示す。
【図3】本発明の文書細断屑用古紙再生装置の全体構成を示す概念説明図である。
【図4】本発明に係る白水供給弁機構の通電操作の実施の形態を示す概念説明図であって、(a)は寸弁動作がメイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われる場合、(b)は寸弁動作がメイン弁動作の前に2回及びメイン弁動作の後に1回行われる場合、をそれぞれ示す。
【図5】白水供給弁機構における種々の弁動作の結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことは言うまでもない。
【0035】
図1及び図3において、符号100は白水供給弁機構を示す。白水供給弁機構100は、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパー2と前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機3を含み、上流側に抄紙機3、下流側に白水被供給部102が設けられた文書細断屑用古紙再生装置111において用いられ、該抄紙機3から排出された白水104を白水被供給部102に間欠的に供給するための白水供給弁機構であり、前記抄紙機3と前記白水被供給部との間に、白水104が通過する配管106と該配管106に設けられた電磁弁112と、を設け、少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにされてなるように構成されている。
【0036】
図3において、文書細断屑用古紙再生装置111の基本的構成は、特許文献1と同様であるため、再度の詳細な説明は省略する。符号110は第1パルパー6から第2パルパー8(パルプタンクでもある)へとパルプ懸濁液を供給するための配管であり、符号108は第2パルパー8(パルプタンクでもある)からヘッドボックス12へとパルプ懸濁液を供給するための配管である。符号114は白水を送るための白水ポンプである。図3の例では、さらに、白水104をヘッドボックス12に供給してヘッドボックス12の洗浄を行うように構成されている。
【0037】
次に図2に基づき、通電の仕方を説明する。図2に示すように、本発明では、白水104が弁を通過する際にON/OFFのスイッチング動作に基づく弁動作によって、大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作の他に、少量の白水を供給せしめる寸弁動作を行う点に特徴がある。
【0038】
図2の(a)に示す如く、従来は、例えば、通電(ONにする)すると弁が開いて自動的に戻るタイプの電磁弁(つまり、通電開形のシングルソレノイド弁)の場合、白水を白水被供給部に供給するには、OFFの状態(弁閉成状態)からONの状態(弁開成状態)に1回の弁動作116をさせるだけであった。
【0039】
本発明では、例えば、通電(ONにする)すると弁が開いて自動的に戻るタイプの電磁弁(つまり、通電開形のシングルソレノイド弁)の場合、白水を白水被供給部に供給するには、OFFの状態(弁閉成状態)からONの状態(弁開成状態)にして大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作の他に、OFFの状態(弁閉成状態)からONの状態(弁開成状態)にして少量の白水を供給せしめる寸弁動作を行う。
【0040】
図2(b)に基づき説明すると、まず、OFFの状態(弁閉成状態)からONの状態(弁開成状態)にして少量の白水を供給せしめる寸弁動作120aを行う。そして、寸弁動作120aの直後に、OFFの状態(弁閉成状態)からONの状態(弁開成状態)にして大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作118を行う。前記寸弁動作120aの開始から前記メイン弁動作118の開始は1秒以内に行われる。所定量の白水を供給する場合、寸弁動作120aで供給せしめる白水は、供給する白水の全体量の0.1%〜10%程度である。
【0041】
このようにして、白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うことで、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消される。
【0042】
本発明の白水供給弁機構100を組み込んだ文書細断屑用古紙再生装置111を図3に示す。図3において、文書細断屑用古紙再生装置111は、古紙(文書細断屑)Pを離解して再生パルプ懸濁液とするパルパー2と前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機3を含み、上流側に抄紙機3、下流側にパルパー2やヘッドボックス12などの白水被供給部102が設けられた文書細断屑用古紙再生装置である。文書細断屑用古紙再生装置111の基本的構成は、特許文献1と同様であるため、再度の詳細な説明は省略する。
【0043】
なお、古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側にパルパー、パルプタンクやストックインレット部などの白水被供給部102が設けられた文書細断屑用古紙再生装置であればよいものであるから、図3に示した構成以外の構成とすることができることは勿論である。
【実施例】
【0044】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0045】
(実施例1)
図3に示した文書細断屑用古紙再生装置111に、文書細断屑Pを投入し、抄紙工程を経て、白水104を得た。この白水104を白水被供給部102に供給した。配管106としては呼び径が1/2インチの塩化ビニル製ホース(内径15mm)を使用した。電磁弁112としては、シングルソレノイド弁の通電開形のものを使用した。
【0046】
2〜10Lの白水104がシングルソレノイド弁の電磁弁112を通過する際に、図4(a)に示す如く、少量の白水を通過させる寸弁動作120aと残りの大部分の白水を通過させるメイン弁動作118を行い、メイン弁動作118の後に寸弁動作120bを行って白水供給停止とした(n=2)。なお、ここで、nは寸弁動作の回数を示す。本実施例では数秒〜1分程度の給水に対して0.1秒間だけONとする寸弁動作120a,120bを行った。この寸弁動作120a,120bで通過させた少量の白水は、供給する白水の全体量の0.2%〜5%程度であった。
【0047】
寸弁動作120aの開始からメイン弁動作118の開始は1秒以内とし、メイン弁動作118で30秒間弁を開き、メイン弁動作118の終了から前記寸弁動作120bの終了も1秒以内とした。
【0048】
1日にペーパロールを10個作製するペースで1ヶ月以上運転させた。図5に示すように、1ヶ月以上経っても弁詰まり不具合が発生せずに使用できた。
【0049】
(実施例2)
2〜10Lの白水104がシングルソレノイド弁で通電開形の電磁弁112を通過する際に、図4(b)に示す如く、少量の白水を通過させる寸弁動作120aとさらにもう一度同様の寸弁動作120cを行い、残りの大部分の白水を通過させるメイン弁動作118を行い、メイン弁動作118の後に寸弁動作120bを行って白水供給停止とした(n=3)。本実施例では数秒〜1分程度の給水に対して0.1秒間だけONとする寸弁動作120a,120b,120cを行った。この寸弁動作120a,120b,120cで通過させた少量の白水は、供給する白水の全体量の0.2%〜5%程度であった。寸弁動作120aの開始からメイン弁動作118の開始は1秒以内とし、メイン弁動作118で30秒間弁を開き、メイン弁動作118の終了から前記寸弁動作120bの終了も1秒以内とした。
【0050】
その他は、上記した実施例1と同様の条件で運転した。図5に示すように、1ヶ月以上経っても弁詰まり不具合が発生せずに使用できた。
【0051】
(実施例3)
2〜10Lの白水104がシングルソレノイド弁で通電開形の電磁弁112を通過する際に、図2(b)に示す通電動作で、少量の白水を通過させる寸弁動作120aと残りの大部分の白水を通過させるメイン弁動作118を行い供給停止とした(n=1)。本実施例では数秒〜1分程度の給水に対して0.1秒間だけONとする寸弁動作120aを行った。この寸弁動作120aで通過させた少量の白水は、供給する白水の全体量の0.2%〜5%程度であった。寸弁動作120aの開始からメイン弁動作118の開始は1秒以内とし、メイン弁動作118で30秒間弁を開いて供給停止とした。その他は、上記した実施例1と同様の条件で運転した。1ヶ月以上経っても弁詰まり不具合が発生せずに使用できた。
【0052】
(実施例4)
2〜10Lの白水104がシングルソレノイド弁で通電開形の電磁弁112を通過する際に、最初に大部分の白水を通過させるメイン弁動作118を行い、メイン弁動作118の後に寸弁動作120bを行って白水供給停止とした(n=1)。本実施例では数秒〜1分程度の給水に対して0.1秒間だけONとする寸弁動作120bを行った。この寸弁動作120bで通過させた少量の白水は、供給する白水の全体量の0.2%〜5%程度であった。メイン弁動作118で30秒間弁を開き、メイン弁動作118の終了から前記寸弁動作120bの終了も1秒以内とした。その他は、上記した実施例1と同様の条件で運転した。1ヶ月以上経っても弁詰まり不具合が発生せずに使用できた。1ヶ月以上経っても弁詰まり不具合が発生せずに使用できた。
【0053】
(比較例1)
2〜10Lの白水104がシングルソレノイド弁で通電開形の電磁弁112を通過する際、寸弁動作をさせることなく、図2(a)に示す如く、通常の弁動作116を行った。その他は、上記した実施例1と同様の条件で運転した。図5に示すように、1ヶ月経った頃から弁がつまってしまい、弁動作に不具合が生じるようになってしまった。
【0054】
以上より、白水が電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作を行うと、弁の間に白水に含まれる成分が挟まり堆積して問題を引き起こすことが解消されることがわかった。
【符号の説明】
【0055】
111:文書細断屑用古紙再生装置、2:パルパー、3:抄紙機、4:ホッパー、6:第1パルパー、6a:ロータ、7:ポンプ、8:第2パルパー、8a:ロータ、9:ポンプ、10:ストックインレット部、12:ヘッドボックス、20:ワイヤーパート部、22:丸網ドラム、24:回動軸、26:ドレン容器(白水受け)、30:プレスパート部、32:フェルト帯、34a,34b,34c,34d:ロール、36:ドレン容器(白水受け)、38a,38b:プレスロール、40:ドライヤーパート部、42:乾燥チャンバー、44:キャンバス、45:吸気管、46a,46b,46c,46d,46e,46f,46g,46h,46i,46j,46k,46l,46m:ロール、47:排気管、50:除湿乾燥機、53:ドレン容器(白水受け)、60:リールパート部、62:リール、70:給水タンク、80:光学式検出器(レーザセンサ)、100:白水供給弁機構、102:白水被供給部、104:白水、106,108,110:配管、112:電磁弁、114:白水ポンプ、116:弁動作、118:メイン弁動作、120a,120b,120c:寸弁動作、P:文書細断屑、P1:高濃度再生パルプ懸濁液、P2:低濃度再生パルプ懸濁液、P3:再生パルプ湿潤シート、P4:搾水後の再生パルプ湿潤シート、P5:再生紙、W:水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水供給弁機構であり、
前記抄紙機と前記白水被供給部との間に、白水が通過する配管と該配管に設けられた電磁弁と、を設け、
白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにされてなることを特徴とする白水供給弁機構。
【請求項2】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われることを特徴とする請求項1記載の白水供給弁機構。
【請求項3】
前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われることを特徴とする請求項2記載の白水供給弁機構。
【請求項4】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われることを特徴とする請求項1記載の白水供給弁機構。
【請求項5】
前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われることを特徴とする請求項4記載の白水供給弁機構。
【請求項6】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われることを特徴とする請求項1記載の白水供給弁機構。
【請求項7】
前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われ、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われることを特徴とする請求項6記載の白水供給弁機構。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載の白水供給弁機構を組み入れたことを特徴とする文書細断屑用古紙再生装置。
【請求項9】
古紙を離解して再生パルプ懸濁液とするパルパーと前記再生パルプ懸濁液から再生紙を抄造する抄紙機を含み、上流側に抄紙機、下流側に白水被供給部が設けられた文書細断屑用古紙再生装置において用いられ、該抄紙機から排出された白水を白水被供給部に間欠的に供給するための白水の供給方法であり、
前記抄紙機と前記白水被供給部との間に、白水が通過する配管と該配管に設けられた電磁弁と、を設け、
白水が前記電磁弁を通過する際に少量の白水を供給せしめる寸弁動作と大部分の白水を供給せしめるメイン弁動作を行うようにしたことを特徴とする白水の供給方法。
【請求項10】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前に行われることを特徴とする請求項9記載の白水の供給方法。
【請求項11】
前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われることを特徴とする請求項10記載の白水の供給方法。
【請求項12】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の後に行われることを特徴とする請求項9記載の白水の供給方法。
【請求項13】
前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われることを特徴とする請求項12記載の白水の供給方法。
【請求項14】
前記寸弁動作が、メイン弁動作の前及びメイン弁動作の後に行われることを特徴とする請求項9記載の白水の供給方法。
【請求項15】
前記寸弁動作の開始から前記メイン弁動作の開始が1秒以内に行われ、前記メイン弁動作の終了から前記寸弁動作の終了が1秒以内に行われることを特徴とする請求項14記載の白水の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−32615(P2011−32615A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182707(P2009−182707)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000170347)合資会社オリエンタル (21)
【Fターム(参考)】