説明

白金触媒組成物、その製造方法及び含フッ素硬化性組成物

【解決手段】 (A)下記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、
(B)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーと
からなり、かつ(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように(A),(B)成分を混合、加熱処理してなることを特徴とする白金触媒組成物。
【化1】


(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜8の非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基を示し、aは1以上の整数、bは0以上の整数であるが、a+bは3〜8である。)
【効果】 本発明の白金触媒組成物は、特に付加反応硬化型の含フッ素硬化性組成物のヒドロシリル化反応の触媒として用いられて、均一分散性及び長期保存安定性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロシリル化反応に用いられる均一分散性及び長期保存安定性に優れた白金触媒組成物、その製造方法及び該白金触媒組成物を含む含フッ素硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビニル基を含有するオルガノポリシロキサンとケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとからなる組成物の付加反応(ヒドロシリル化反応)触媒としては、特公昭46−28795号公報(特許文献1)に記載されているような白金アルケニルシロキサン錯体が硬化速度に優れているため広く使用されている。更に、特公昭55−423号公報(特許文献2)には、ハロゲンをほとんど含まない白金アルケニルシロキサン錯体が触媒活性に優れることが開示されている。しかし、これら触媒は、高温下は勿論、室温下においても長期に亘る保存安定性に劣る問題があった。
このような欠点を改良する方法として、特開平3−88947号公報(特許文献3)は、一分子中にアリール基とアルケニル基を含有するシロキサンが白金錯体の安定性を高めるために有効であることを開示している。しかし、この方法でも高温化での安定性が短く、また各種添加剤の自動酸化生成物(アルデヒド、過酸化物)や充填剤中の不純物によって被毒を受けて触媒活性が低下し、室温下での硬化性が重要視されるような用途では大きな問題があった。更に、特公昭48−10947号公報(特許文献4)は、高ビニル基含有シロキサンが付加反応の可使時間を延長するのに効果があることを開示しているが、その効果はなお充分でない。
【0003】
これに対し、特開平9−141107号公報(特許文献5)は、高ビニル基含有シロキサン成分を白金錯体と加熱することで保存安定性に効果があることを開示している。
一方、一分子中に2個のアルケニル基を有する二価のパーフルオロポリエーテル基を主剤とし、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金系触媒を含むフッ素ゲル組成物並びにそれを硬化させてなるフッ素ゲル状硬化物が提案されている(特許文献6:特開平11−116685号公報参照)。
しかしながら、上記記載の白金触媒組成物はパーフルオロポリエーテルを主成分とする含フッ素硬化性組成物には均一分散しないため、安定した保存性が得られないという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特公昭46−28795号公報
【特許文献2】特公昭55−423号公報
【特許文献3】特開平3−88947号公報
【特許文献4】特公昭48−10947号公報
【特許文献5】特開平9−141107号公報
【特許文献6】特開平11−116685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、均一分散性に優れ、かつ長期保存安定性に優れた白金触媒組成物、その製造方法及び該白金触媒組成物を含む含フッ素硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、(A)下記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、(B)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーとを(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように混合し、次いで40〜100℃の温度で1時間以上加熱することにより、アルケニル基含有フッ素ポリマー組成物に対する均一分散性及び長期保存安定性に有効な白金触媒組成物が得られることを知見したものである。
【0007】
【化1】

(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜8の非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基を示し、aは1以上の整数、bは0以上の整数であるが、a+bは3〜8である。)
【0008】
従って、本発明は、第一に、(A)上記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、
(B)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーとからなり、かつ(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように(A),(B)成分を混合、加熱処理してなることを特徴とする白金触媒組成物、第二に、上記(A)成分と(B)成分とを(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように混合した後、40〜100℃の温度で1時間以上加熱熟成することを特徴とする白金触媒組成物の製造方法、及び第三に、−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーと1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンシロキサン化合物とを含む組成物中に、上記白金触媒組成物を添加してなることを特徴とする含フッ素硬化性組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の白金触媒組成物は、特に付加反応硬化型の含フッ素硬化性組成物のヒドロシリル化反応の触媒として用いられて、均一分散性及び長期保存安定性を与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の白金触媒組成物は、(A)成分として下記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体を用いる。
【0011】
【化2】

【0012】
上記式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜8の非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基を示し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、クロロメチル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、クロロフェニル基等のハロゲン置換アルキル基及びアリール基などを挙げることができるが、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基、ビニル基であることが好ましい。また、aは1以上の整数、bは0以上の整数であるが、a+bは3〜8である。
【0013】
このような(A)成分は公知であり、例えば特公昭47−23679号公報に開示されており、塩化白金酸と上記低分子シロキサンとを塩基性塩存在下加熱反応させて製造することができる。
【0014】
次に、使用する(B)成分は、−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーで、これは上記(A)成分の白金錯体の安定化のための必須成分である。
このアルケニル基含有フッ素ポリマーとしては、下記一般式(3)で表されるものが好ましい。
CH2=CH−(X)a−Rf1−(X’)a−CH=CH2 (3)
[式中、Xは、式:−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR1−CO−(式中、Yは、式:−CH2−又は式:
【0015】
【化3】

で表される二価の基であり、R1は、水素原子又はハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)で表される二価の基であり、X’は、式:−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR1−Y’−(式中、Y’は、式:−CH2−又は式:
【0016】
【化4】

で表される二価の基であり、R1は上記と同じである。)で表される二価の基であり、aは独立に0又は1であり、Rf1は、下記一般式(i):
【0017】
【化5】

(式中、p及びqは1〜150の整数であって、かつ、pとqの和の平均は2〜200である。また、rは0〜6の整数、tは2又は3である。)、及び/又は、下記一般式(ii):
【化6】

(式中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数である。また、tは上記と同じである。)で表される二価の基である。]
【0018】
ここで、上記X又はX’に係るR1としては、水素原子以外の場合、炭素数1〜12、特に1〜10のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した置換一価炭化水素基などが挙げられる。
【0019】
この場合、式(i)の具体例として、下記式(i’)のものを挙げることができる。
【化7】

(式中、s及びtは1以上の整数であって、かつ、s+tの和の平均は2〜200である。)
【0020】
f1基の具体例としては、例えば、下記の3つのものが挙げられる。好ましくは1番目の式の構造の二価の基である。
【0021】
【化8】

(式中、m及びnは1以上の整数、m+n(平均)=2〜200である。)
【0022】
【化9】

(式中、m及びnは1以上の整数、m+n(平均)=2〜200である。)
【0023】
【化10】

(式中、mは1〜200の整数、nは1〜50の整数である。)
【0024】
次に、上記一般式(3)で表されるポリフルオロジアルケニル化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【0025】
【化11】

(式中、m及びnは1以上の整数、m+n(平均)=2〜200である。)
【0026】
なお、上記式(3)のポリフルオロジアルケニル化合物の粘度(23℃)は、回転粘度計による粘度測定法で5〜100,000mPa・sの範囲内にあるものである。
【0027】
(B)成分の使用量は、(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基(ビニル基)が3モル以上となる量で、3モル未満では(A)成分の白金触媒を安定化する効果を得ることができない。好ましくは、(B)成分のビニル基が(A)成分中の白金原子1モルに対して3〜20モル、特に5〜10モルとなる量である。
【0028】
本発明においては、(A),(B)成分をこのように混合した後、これを加熱熟成する。加熱温度は、40〜100℃、好ましくは50〜80℃、加熱時間は1時間以上、好ましくは5〜24時間である。加熱温度が40℃より低かったり、加熱時間が1時間より短い場合は、十分に安定な白金触媒組成物が得られず、加熱温度が100℃を超えると白金錯体が白金黒として沈澱する。
このようにして得られる白金触媒組成物は、ヒドロシリル化反応の触媒として使用され、公知の付加反応硬化性ポリフルオロ組成物中に配合することができる。
このポリフルオロ組成物は、−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマー(C)と1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンシロキサン化合物(D)とを含むものである。
−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマー(C)は、前記(B)成分と同一であり、上記式(3)にて示されるものが好適である。
オルガノハイドロジェンシロキサン化合物(D)は、1分子中に、ケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)を2個以上、好ましくは3個以上有し、架橋剤乃至鎖長延長剤として機能するものであり、また、アルケニル基含有フッ素ポリマー(C)との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、1分子中に1個以上のフッ素含有基を有するものが好ましい。
【0029】
かかる付加反応硬化性ポリフルオロ組成物に用いる(C),(D)成分としては、具体的には特開平11−116685号公報(特許文献6)及び特開2002−20615号公報、特開2002−167502号公報、特開2002−327110号公報、特開2003−327820号公報に記載のアルケニル基含有フッ素ポリマー及びオルガノハイドロジェンシロキサン化合物等が挙げられる。
【0030】
上記オルガノハイドロジェンシロキサン化合物(D)の配合量は、アルケニル基含有フッ素ポリマー(C)を硬化する有効量であり、特に本組成物中の上記アルケニル基含有フッ素ポリマー(C)が有するアルケニル基の合計の1モルに対し、オルガノハイドロジェンシロキサン化合物(D)のヒドロシリル基(Si−H基)が好ましくは0.2〜2モル、より好ましくは0.5〜1.3モルとなる量である。ヒドロシリル基(Si−H基)が少なすぎると、架橋度合が不十分となる結果、硬化物が得られない場合があり、また、多すぎると硬化時に発泡してしまう場合がある。
【0031】
本組成物には、各種配合剤を添加することは任意である。ヒドロシリル化反応触媒の制御剤として、例えば1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノールなどのアセチレンアルコールや、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等、あるいはポリメチルビニルシロキサン環式化合物、有機リン化合物等が挙げられ、その添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。補強性充填剤としてフュームドシリカ、沈降シリカ等の比表面積が50〜1,000m2/g(BET)程度のシリカ粉末を配合することができるほか、無機質充填剤として、例えば酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック等が挙げられ、その添加により本組成物から得られる硬化物の硬さ・機械的強度等を調整することができる。中空無機質充填剤又はゴム質の球状充填剤も添加できる。
【0032】
また、接着性を付与するためにエポキシ基、アルコキシ基等を含有する、公知の接着性付与剤を添加することもできる。
【0033】
更には、無官能のポリフルオロポリエーテルオイルや一価のアルケニル基含有フッ素ポリマーを添加することもでき、本組成物から得られる硬化物の硬さ・機械的強度等を調整することができる。これらの配合成分の使用量は、得られる組成物の特性及び硬化物の物性を損なわない限りにおいて任意である。
【0034】
本発明の硬化性組成物の用途としては、耐薬品性、耐溶剤性等を必要とする、シール剤、ポッティング材、コーティング材等が挙げられる。
【0035】
なお、本発明による白金触媒組成物をポリフルオロ組成物に添加するに際し、その添加量は触媒量であり、好ましくは白金原子の質量として組成物中、特には前記したアルケニル基含有フッ素ポリマーに対して1〜500ppm、特に3〜100ppmである。
また、この組成物の硬化条件は、通常80〜180℃にて0.5〜4時間であるが、これに制限されるものではない。
【実施例】
【0036】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例において%は質量%を示す。
【0037】
[実施例1]
16gの塩化白金酸(H2PtCl6)(白金含有量40%)、80gのエタノール、34gの1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、34gの炭酸水素ナトリウムを混合し、75℃で4時間加熱反応させた。次に、生成した塩をろ過し、更に20gのエタノールで洗浄して、白金含有量4.7%の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを配位子とした白金錯体のエタノール溶液を得た。過剰のエタノールを減圧下で除去し、析出してきた塩を更にろ過した後、白金含有量が0.5%になるようにトルエンで25℃にて希釈し、白金触媒(A)を製造した。
10gの白金触媒(A)に5gの下記構造式(I)で示されるポリマー(粘度2,100mPa・s)を加え、80℃で24時間加熱処理した後、過剰のトルエンを減圧下で除去し、白金触媒(B)を得た。この白金触媒(B)における、白金1モルに対する式(I)のポリマーのビニル基の割合は6.15である。
【0038】
【化12】

【0039】
[比較例1]
実施例1中の構造式(I)で示されるポリマーを2gとした以外は実施例1と同様にして白金触媒を製造したが、多量の白金黒が生成した。この場合、白金1モルに対する式(I)のポリマーのビニル基の割合は2.46であった。
【0040】
[比較例2]
実施例1の白金触媒(A)と上記構造式(I)で示されるポリマーを23℃で1時間混合した以外は実施例1と同様にして白金触媒(C)を製造した。この白金触媒(C)における、白金1モルに対する式(I)のポリマーのビニル基の割合は6.15である。
【0041】
[実施例2]
下記式(I)で示されるポリマー(粘度2,100mPa・s)100質量部、実施例1にて調製した白金触媒(B)0.1質量部、エチニルシクロヘキサノールの50%トルエン溶液0.3質量部、下記式(II)で示される化合物6.7質量部、下記式(III)で示される化合物1.4質量部を加え、混合して組成物を調製した。
得られた組成物は外観上透明であることが確認された。
また、23℃での長期の粘度変化を測定した。結果を表1に示す。なお、粘度は、回転粘度計による値である。
【0042】
【化13】

【0043】
[比較例3]
実施例2の白金触媒(B)の代わりに比較例2にて使用した白金触媒(C)0.1質量部を使用した以外は実施例2と同様に組成物を調製した。
得られた組成物は外観上微濁であることが確認された。顕微鏡にて観察した結果、白色状のミセルが組成物中に多数分散していることが観察された。
また、23℃での長期の粘度変化を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
[実施例3]
下記式(IV)で示されるポリマー(粘度5,600mPa・s)100質量部と下記式(V)で示されるポリマー25質量部に実施例1にて使用した白金触媒(B)0.1質量部、エチニルシクロヘキサノールの50%トルエン溶液0.3質量部、下記式(VI)で示される化合物8.2質量部を加え、混合して組成物を調製した。
得られた組成物は外観上透明であることが確認された。
また、23℃での長期の粘度変化を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
【化14】

【0046】
[比較例4]
実施例3の白金触媒(B)の代わりに比較例3にて使用した白金触媒(C)0.1質量部を使用した以外は実施例2と同様に組成物を調製した。
得られた組成物は外観上微濁であることが確認された。顕微鏡にて観察した結果、白色状のミセルが組成物中に多数分散していることが観察された。
また、23℃での長期の粘度変化を測定した。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
次に、上記実施例2,3、比較例2,3の組成物を150℃で1時間硬化させ、JIS K6249により硬さ、引張り強さ、切断時伸びを測定した。結果を表2に示す。
【0049】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、
(B)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーと
からなり、かつ(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように(A),(B)成分を混合、加熱処理してなることを特徴とする白金触媒組成物。
【化1】

(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜8の非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基を示し、aは1以上の整数、bは0以上の整数であるが、a+bは3〜8である。)
【請求項2】
(B)成分が、下記一般式(3)
CH2=CH−(X)a−Rf1−(X’)a−CH=CH2 (3)
[式中、Xは、式:−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR1−CO−(式中、Yは、式:−CH2−又は式:
【化2】

で表される二価の基であり、R1は、水素原子又はハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)で表される二価の基であり、X’は、式:−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR1−Y’−(式中、Y’は、式:−CH2−又は式:
【化3】

で表される二価の基であり、R1は上記と同じである。)で表される二価の基であり、aは独立に0又は1であり、Rf1は、下記一般式(i):
【化4】

(式中、p及びqは1〜150の整数であって、かつ、pとqの和の平均は2〜200である。また、rは0〜6の整数、tは2又は3である。)、及び/又は、下記一般式(ii):
【化5】

(式中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数である。また、tは上記と同じである。)で表される二価の基である。]
で表されるポリフルオロジアルケニル化合物であることを特徴とする請求項1記載の白金触媒組成物。
【請求項3】
付加反応硬化型の含フッ素硬化性組成物用である請求項1又は2記載の白金触媒組成物。
【請求項4】
(A)下記式(1)又は(2)で示されるビニル基含有オルガノシロキサンを配位子とする白金錯体と、
(B)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーとを(A)成分中の白金原子1モルに対して(B)成分中のアルケニル基が3モル以上となるように混合した後、40〜100℃の温度で1時間以上加熱熟成することを特徴とする白金触媒組成物の製造方法。
【化6】

(式中、Rは互いに同一又は異種の炭素数1〜8の非置換又はハロゲン置換一価炭化水素基を示し、aは1以上の整数、bは0以上の整数であるが、a+bは3〜8である。)
【請求項5】
(B)成分が、下記一般式(3)
CH2=CH−(X)a−Rf1−(X’)a−CH=CH2 (3)
[式中、Xは、式:−CH2−、−CH2O−、−CH2OCH2−又は−Y−NR1−CO−(式中、Yは、式:−CH2−又は式:
【化7】

で表される二価の基であり、R1は、水素原子又はハロゲン置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)で表される二価の基であり、X’は、式:−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR1−Y’−(式中、Y’は、式:−CH2−又は式:
【化8】

で表される二価の基であり、R1は上記と同じである。)で表される二価の基であり、aは独立に0又は1であり、Rf1は、下記一般式(i):
【化9】

(式中、p及びqは1〜150の整数であって、かつ、pとqの和の平均は2〜200である。また、rは0〜6の整数、tは2又は3である。)、及び/又は、下記一般式(ii):
【化10】

(式中、uは1〜200の整数、vは1〜50の整数である。また、tは上記と同じである。)で表される二価の基である。]
で表されるポリフルオロジアルケニル化合物であることを特徴とする請求項3記載の白金触媒組成物。
【請求項6】
(C)−(CF(CF3)−CF2−O)−単位を含むアルケニル基含有フッ素ポリマーと
(D)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を2個以上有するオルガノハイドロジェンシロキサン化合物と
を含む組成物中に、
(E)請求項1又は2記載の白金触媒組成物を添加してなることを特徴とする含フッ素硬化性組成物。

【公開番号】特開2006−249356(P2006−249356A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70825(P2005−70825)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】