説明

皮膚に適用するためのドロスピレノン含有医薬調製物

本発明は、皮膚への適用のためのドロスピレノンを含む医薬調製物に関する。初期段階における前記調製物に含まれるドロスピレノンの量は、飽和溶解度を越えない。しかしながら、調製物が皮膚に適用されると、ドロスピレノンの飽和溶解度が越える。医薬調製物は、中でも避妊的に効果的な量のドロスピレノンの経皮適用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロスピレノン含有物を皮膚に適用するための医薬調製物に関する。調製物の初期状態に含まれるドロスピレノン量が、飽和溶解度を越えないが、皮膚へ調製物を皮膚に適用塗布した後では、可溶化成分の流出を介し、ドロスピレノンの飽和溶解度を越える。
【背景技術】
【0002】
ステロイド・ホルモンは、現在でも数多く経皮的投与がされている。これは、男性や女性のホルモン置換治療中に、又は女性の避妊用に行われている。多数の経皮的医薬形状体があるにもかかわらず、今まで少数のステロイド活性成分しか、この方法において投与することができない、すなわちこれは、活性成分としてエストロゲン群からの、エストラジオール、およびエチニルエストラジオール(たとえば、Estraderm,Climara(登録商標)、Fem7、OrthoEVRA (登録商標)、EstraDOTなど)の場合に妥当し、そしてプロゲストロンの場合に、レボノルゲステレル、ノレスイステロンおよびノレスイステロン・アセテイト(たとえばFem7 Combi,ComiPachなど)、およびノレルゲストロミンである。
【0003】
男性疾患において、テストステロンが、経皮医薬剤(たとえばAndroderm(登録商標)、Testoderm(登録商標)、Testogel(登録商標))にて利用できる。しかしながら、経皮投与の可能性は、ステロイドホルモンによる良好な皮膚への浸透に基くものではなく、ステロイドホルモンの高い効能のみに基づくものである。エチニルエステラジオール、およびレボノルゲステロールは、投与量が1日当り20〜50μgの範囲である場合でも、それらの性能を示している。ノルエチステロン・アセテイトは、活性の弱い物質に1つであり、典型的には経皮的な日用量は、125〜250μg/dの範囲である。
【0004】
現在治療に使用されているプロゲストゲンのうち、ジエノゲストおよびドロスピレノンは、必要な日用量に基いて特に効果の低い物質であり、その理由は、これらは、避妊効果を示すためにたとえば典型的な経口投与による日用量が2〜3mgの範囲ででなければ成らないからである。たとえば、ゲストデン又はノレルゲストロミンなど、日用量が2桁も低いマイクログラムの範囲であるのいわゆる高い効力のプロゲストゲンと対照的に、ドロスピレノンおよびジエノゲストは経皮的投与するためには不適切であるとみなすことが、今日まで必要であった。
【0005】
現在、日用量がミリグラムの範囲で経皮的に投与される唯一のステロイドホルモンは、テストステロンである。しかしながら、商業的な貼布剤としてのTestoderm (登録商標)およびAndroderm(登録商標)は、それらの低い局所寛容性、及び患者へ低い受容性が知られており、その理由は、使用部位が陰のう(Tesyoderm(登録商標)であること、および必要サイズが74cm2 であること(Androderm(登録商標)、同時に2枚を貼布する貼布剤(patch))などのためである。
【0006】
他方では、ゲル製品Testogel(登録商標)は、経皮用テストステロン療法のために利用でき、そして同様に、低い局部刺激能力及び改良された使用便利性を伴って、1日当たり約5〜10mgのテストステロンの吸収を可能にする。
特許文献は、一定含有量のプロゲストゲンを有する、皮膚への適用のための多数の医薬調製物を開示している。
WO97/11680A1号は、プロゲストゲン及びエストロゲンの投与のためのディスペンザーを記載する。
【0007】
DE特許19906152A1号は、活性成分が発揮性溶媒、例えばエタノールに溶解されている外部開始の溜めシステムを請求している。接着性マトリックスシステムによる活性成分の経皮投与が記載されている。
WO99/15156A1号は、活性成分がステロイドホルモンであり、そしてそれらが飽和又は過飽和状態で支持体上のマトリックスに存在する、経皮用投与形の製造方法を記載する。
【発明の開示】
【0008】
発明の記載:
より低い可能性のプロゲストゲンについて皮膚への適用のための経皮投与形を見出すことが本発明の目的である。
本発明の目的は、調製物のその初期状態に含まれるドロスピレノンの量は飽和溶解度よりも高くないが、調製物を皮膚に適用した後、調製物からの可溶化成分の流出を介し、ドロスピレノンの飽和溶解度を越えることを特徴とする、ドロスピレノン含有物を有する皮膚に適用するための医薬調製物により達成される。
【0009】
適用の間、調製物におけるドロスピレノンの飽和溶解度を、少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍越えることが、本発明によれば可能である。
適用の間、調製物におけるドロスピレノンの飽和溶解度を、わずか1時間後、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍越えることがまた可能である。
医薬調製物は、エタノール又はイソプロパノール含有物を有することができる。
【0010】
医薬調製物は、ドロスピレノンに関して、結晶化阻害添加剤及び/又は少なくとも1つの浸透促進剤含有物を含んで成る。
前記結晶化阻害添加剤は、可溶性ポリビニルピロリドンの形を取ることが見出されている。
医薬調製物は、アルコール含有ゲルの形状の半固体調製物、又はローション形状、泡形状又は噴霧形状の液体のアルコール含有調製物であり得る。
【0011】
溜めシステム型の経皮的な貼布剤の一部を形成する液体又は半固体のアルコール含有調製物が可能である。
ドロスピレノンの飽和溶解度が、適用の間、調製物において少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍越え、そしてアルコール調製物が少なくとも60%(m/m)、好ましくは少なくとも65%(m/m)のアルコール含有率を有することがさらに見出された。
【0012】
ドロスピレノンの他に、エストロゲンがまた存在することができる。
皮膚への適用の間、亜飽和又は丁度飽和した状態から過飽和状態へのエストロゲン含有量の遷移が存在することがまた見出された。
エストロゲンはエチニルエストラジオールであり得る。
【0013】
本発明の特に好ましい態様は、エタノール及び水の含量を有する経皮用ゲルの形を取る。活性成分ドロスピレノンは完全に溶解される。ゲルにおける好ましくは0.2〜2%(m/m)、特に好ましくは0.5〜1%(m/m)の含量を有するドロスピレノンの適切な溶解度を確保するために、さらに、少なくとも60%(m/m)、特に好ましくは少なくとも65%(m/m)のエタノール含量が提供される。
【0014】
高いアルコール含量のために、適切なゲル形成体は、ポリアクリル酸に基づいてイオン性形成体(カルボマー又はCarbopols, 例えばCarbopol 970, 941又は980)のみならず、またセルロース誘導体、例えばヒドロキシメチル−、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース群からのゲル形成体でもある。
特に適切であるさらなる添加剤は、浸透促進剤、リファッティング剤(refatting agent)及び酸化防止剤である。
【0015】
使用の間、ドロスピレノンによる本発明のシステムの過飽和を可能にするためには、一方では、ドロスピレノンのための良好な溶解能力を有し、そしてさらに、高い揮発性又は特に良好な皮膚浸透性を通して使用の条件下で調製物から流出し、従ってドロスピレノンにおける過飽和を達成する、低分子量賦形剤群を使用することが好ましい。それらの好ましい賦形剤は最終的にまた、皮膚上での使用のための良好な毒物学的許容性を有する。
【0016】
そのような物質は好ましくは、エタノール、イソプロパノール(2−プロパノール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノメチル及びモノエチルエーテル、プロピレンカーボネート及びイソプロピリデングリコール、及び精油のモノテルペン構成成分から成る群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない。
【0017】
蒸発又は経皮吸収による製剤から容易に流出する、ドロスピレノンのためのそれらの可溶化剤は、必要とされる場合、容易に揮発できず、又は良好な皮膚吸収できない1又は複数の補助溶媒と組合され得る。
溜め型の経皮システムは、本発明のさらなる好ましい態様である。
経皮ゲルと同じことが、含有される半固体調製物に適用される。
溜めシステムは、既知の態様で生成され、そして充填され得る。
【0018】
ヒドロエタノール性ビークルにおける適用のドロスピレノン、及びテストステロンは、インビトロでマウス皮膚を浸透することが見出されている。これから、テストステロンに類似する低いmg範囲でドロスピレノンの毎日の用量がまた、ヒトへの適用上で達成され得ることが結論づけられ得る。この予測できない発見はたぶん、同時使用に基づいてビークルからの乾燥の間、非常に高い程度の活性成分の過飽和に関連している。経皮用ゲル、ローション又はスプレーからのアルコール含量の蒸発を通しての過飽和の機構は論じられているが、本発明の製剤の場合、予測できない高い程度の過飽和がドロスピレノンに好都合であり、且つ実施可能であることが判明した。
【0019】
適切な調製物の適用の間に生じる過飽和因子の決定:
−半固体ゲル、ローション、発泡体及びスプレーに関して:
調査及び特に、分析用サンプル処理を単純にするためにそれらの調製物におけるドロスピレノンの溶解度の決定、及び乾燥によりそれらから得られる残渣は、半理論的に管理される。半理論的アプローチは、この試験のための配合物の液体成分のみの考慮から成る。ゲル、ローション及びスプレーの場合、ゲル−又はフィルム−形成又は増粘ポリマーは通常、量的には無視できるが、しかし時折、サンプルの分析処理を少なからず妨げる。液体成分のみから構成される試験溶液が、前記調製物の代表物として本発明に使用される。
【0020】
例2からの配合物の特定の場合、次の混合物が代表物として調べられる:
−試験溶液サンプル(乾燥の前):
部(m/m)
イソプロピルミリステート 1.00
精製水 23.55*
96%エタノール 73.50
*:20.0gの水+3.70gの0.1NのNaOHからの3.55の水(NaOHは使用されてない。なぜならば、これは、ポリマーの存在下でのみ実際的であるが、しかしその不在下で、媒体を分解する高いアルカリ性を創造するからである)。
【0021】
乾燥の前、試験溶液におけるドロスピレノンの溶解度の決定を、次の通りに行う:
ドロスピレノンを、約10gの重量の試験溶液に、磁気撹拌機棒により撹拌しながら、明白に見える沈殿物が形成されるまで添加する。この溶液を少なくとも24時間、撹拌し、その後、沈殿物はまだ存在すべきである。他方では、さらなるドロスピレノンを添加し、そして前記工程を反復する。撹拌工程の完結の後、約1.0mlの試験溶液を除き、そしてスクリュウキャップを備えた1.5mlのオートサンプラーに移す。最終的に、サンプルを、サンプルの底で溶解されていないドロスピレノンを沈殿するために、少なくとも3000Gで10分間、遠心分離する。次に、ドロスピレノンの濃度を、適切なHPLC方法を用いて、得られる上清液のアリコートにおいて決定する。その結果は、乾燥の前、試験混合物におけるドロスピレノンの濃度を、適切なHPLC方法を用いて、得られる上清液のアリコートにおいて決定する。その結果は、乾燥の前、試験混合物におけるドロスピレノンの飽和溶解度に対応する(ドロスピレノンS1[mg/ml])。
【0022】
本発明の調製物に適用する条件は、ドロスピレノンS1以下か、又は等しいドロスピレノンinitであり、ここでドロスピレノンinit[mg/ml]は、調製物におけるドロスピレノンの初期濃度である。
【0023】
−乾燥の後、液体試験混合物におけるドロスピレノンの溶解度の決定を次の通りに行う:
試験溶液を、平らな不活性支持体上に約50μmの層厚で広げ、そしてカバーをしないで、周囲条件下で約32℃(皮膚の表面温度)で一定期間、乾燥する。その期間は、使用の意図される持続期間に依存し;それは一回の毎日の適用に関して、24時間に対応する。より短い期間がまた、例えば乾燥の程度が適用の最終よりも早い期間で確められる場合、選択され得る。50μmの層の厚さが、ゲル、ローション又はスプレーの経皮適用のための標準の層の厚さとして本発明の有効性の範囲に関して定義される。市販のTestogelの場合、例えば5mlのゲルが上方アームに適用される。本明細書に定義される50μmの標準の厚さに関しては、5mlの理論的適用面積は、約90cm2(約0.9g/cm3のゲルの推定される密度)であり、従って、インビボでの適用への適切な近似を達成する。
【0024】
上記試験溶液例の場合、正確に計算された4.36gの試験溶媒(重量=WT1)が、直接10cm(78,53cm2に対応する)を有する、計算されたペトリ皿に広げられ50μmの厚い層をもたらす。
このバッチは、24時間(1日1度の適用に対応する)にわたって、ホットプレート上で約32℃で乾燥される。試験溶液の量及び皿の直径は、例示的且つ非制限的である。その値は、記載される関係内で変化され得る。試験混合物は、機械的には、撹拌されず又は混合されないが、しかし試験の間、静置される。サンプル上の空気の特別な循環は取られない。
【0025】
試験の最後で、試験溶液の乾燥された残渣の重量を確める(重量=WT2)。
試験溶液の乾燥因子は、次の等式1により、得られる他から計算される:
等式1:FD=WT1/WT2
乾燥の前、組成物における、正確に計算された50.0g(重量=WR1)の試験溶液を、計算された500mlの広口フラスコ中に導入する。
【0026】
次に、このバッチを、量の重量比が、乾燥の後、定義された期間、ペトリ皿に見出されるその比と同じであるまで、すなわちフラスコに残存する重量よる量(重量=WR2)が次の等式2を満たすまで、減圧下で32℃でRotavaporにおいて濃縮される:
等式2:WR2=WR1/FD
Rotavaporにおける試験溶液の拡大されたバッチを、ドロスピレノンの溶解度の続く決定のために、十分に多量の残渣を得るために使用する。操作を、定量的に促進されているが、しかし定性的に最少に変造された形で皮膚表面上で蒸発条件を再生するために、32℃で再びもう1度、行う。
【0027】
1.0kg*を、フラスコにおいて最終的に得られた残渣の量から除き、そしてスクリューキャップを備えた1.5mlのオートサンプラーバイアルに移す。100mgのドロスピレノンを、この残渣に添加する。この混合物を、続いて超音波槽において1時間、処理する。次に、サンプルを、周囲温度で24時間、静置する。サンプルを最終的に、サンプルの底で溶解されていないドロスピレノンを沈殿するために、少なくとも3000Gで10分間、遠心分離する。次に、ドロスピレノンの濃度を、適切なHPLC方法を用いて、得られる上清液のアリコートにおいて決定する。得られる値は、乾燥された試験溶液におけるドロスピレノンの飽和溶解度に対応する(ドロスピレノンS2[mg/ml])。
【0028】
*:1g以下が除かれる場合、典型的にはFDが200以上である場合、Rotovaporにおけるバッチは、相応じて拡大されるか、又は最終決定が例えば、0.5gの乾燥された試験溶液における50mgのドロスピレノンに低められる。
乾燥の間、試験溶液におけるドロスピレノンに基づく過飽和因子FSSを、下記等式3により計算し、そして調製物におけるドロスピレノンの初期濃度は、ドロスピレノンinit[mg/ml]として入力される:
【0029】
等式3:FSS=ドロスピレノンinit[mg/ml]×FDドロスピレノンS2[mg/ml]
この手段において見出される過飽和因子FSSは、本特許出願の請求項に言及される。
FSSについての5の値は例えば、ドロスピレノンの飽和溶解度が調製物の使用の間、5倍超えることを意味する。
【0030】
−溜め型経皮用パッチに関して:
活性成分溜めの配合におけるドロスピレノンの溶解度が考慮される。
半固体状溜め配合物の代表物として液体成分からのみ構成される試験溶液を調べる半理論的アプローチが再びもう1度、適用される。
溜め調製物における飽和溶解度を、上記のようにゲル、ローション及びスプレーにおけるドロスピレノンS1[mg/ml]の決定に類似して、これに基づいて決定する。
【0031】
乾燥因子FDは、溜めが液体成分の経皮浸透を通して乾燥するので、濃度因子FCの決定のために本明細書において存在する。
溜めシステムの活性成分−供給面積は、このフィルムにより被覆され、そして溜めシステムは、この集成装置(WRS1)において計算される。次に、溜めシステムは、32℃の温度で意図される期間、受容体液体として純粋水に暴露される。この意図される期間は、1日1度の適用のシステムに関しては、24時間である。
次に、システムが計量される(WRS2)。
【0032】
溜め調製物における乾燥因子FDは、下記等式4により見出される重量損失から得られる:
等式4:FD=WRF/(WRF−(WRS1−WRS2))、ここでWRFは、試験の前、溜めシステムン含まれる活性成分−含有溜めの配合物の量の重量である。
濃縮された溜めの配合物(ドロスピレノンS2)及び過飽和因子FSSにおけるドロスピレノンの飽和溶解度を、ゲル、ローション及びスプレーに関する言及に類似して、等式1(FCがFDの代わりに存在する)から決定する。
【実施例】
【0033】
例1ヒドロエタノール性ゲル:
部(m/m)
ドロスピレノン 1.0
Testogel(登録商標) 99.0
ドロスピレノンを、市販のTestogelと共に直接的に混合し、そしてそこにおいて完全に溶解する。
【0034】
Testogelは、その組成において、Androgel(登録商標)に対応する:
100gのゲルは、次の成分を含む:
テストステロン 1.0g
Carbopol 980 0.90g
イソプロピル ミリステート 0.50g
0.1NのNaOH 4.72g
エタノール(95%w/w) 72.5g*
精製水 100gまで
*:67gのエタノールに等しい。
【0035】
例2ポリアクリレート基材のヒドロエタノール性ゲル:
部(m/m)
ドロスピレノン 1.0
エチニルエストラジオール 0.1
イソプロピルミリステート 1.0
Carbopol 940 0.7
0.1NのNaOH 3.7
精製水 20
96%エタノール 100.0まで
調製は、すべての成分を溶解し/混合し、そして最終的に、希水酸化ナトリウム溶液によりゲル形成体を中和し、それによりゲル形成を開始することにより、当業者に知られている態様で生じる。イソプロピルミリステートは、皮膚上でリファッチング剤として作用する。
ドロスピレノンは、エタノールの蒸発を通して、適用の間、過飽和になる。
【0036】
例3結晶化阻害添加を伴ってのセルロース基材のヒドロエタノール性ゲル:
部(m/m)
ドロスピレノン 0.5
オレイン酸エチル 2.0
Collidon 12 PF 0.5
ヒドロキシエチルセルロース 1.0
水 30.0
96%エタノール 100.0まで
【0037】
調製は、ゲル形成体メチルセルロースと水及びアルコールとを混合し、そして最終的に、賦形剤及び活性成分を添加することにより、当業者に知られている態様で生じる。
オレイン酸エチルは、浸透促進剤として作用する。
ドロスピレノンは、エタノールの蒸発を通して、適用の間、過飽和になる。
【0038】
例4溜めシステム型の経皮用パッチ:
ドロスピレノン 5.0mg*
96%エタノール 約196μl
Androderm 1×2.5mgのパッチ
保護膜を、前もって正確に計量されたAndrodermパッチから除去し、そして上部に存在するその現在暴露される膜により、内容物が、約180mgの内容物が蒸発するまで、周囲条件下で蒸発される。次に、溜めが再び、保護膜により被覆される。この前処理は、ドロスピレノン溶液の続く記載される添加のために溜めに十分な空間を創造するために必要である。
【0039】
100mgのドロスピレノンを、超音波への暴露により、4mlの96%エタノールに溶解する。約500μlの溶液を、固定された鋼針(0.9×40mm)を備えた1mlの使い捨て注射器中に吸い取る。
次に、Androdermパッチの溜めを、この注射器により突き刺して、そして約200μlの溶液を、溜め中に注入する。これは、気泡が半固体状溜めに存在する場所で追加の通気穴を開けることにより可能にされる。
【0040】
次に試験フィルム断片を、2つの刺し穴部位上に付着する。溜めの内容物を、数分間、指により注意してこねることにより混合する。システムを、実験への使用の前、少なくとも24時間、周囲条件下で平衡化する。
ドロスピレノンは、ドロスピレノンの吸収よりも相当によりすばやく進行する、エタノールの経皮吸収を通して実質的にシステムの適用の間、過飽和になる。
【0041】
例5経皮用スプレー:
部(m/m)
ドロスピレノン 0.5
エチニルエストラジオール 0.1
オレイルアルコール 1.0
1,2−プロパンジオール 0.5
96%エタノール 60.0
ジメチルエーテル 100.0まで
ドロスピレノンは、エタノールの蒸発を通して実質的に、適用の間、過飽和になる。ジメチルエーテルは、スプレーのための噴射剤として作用する。
【0042】
例6
例1の配合物を、マウス皮膚を通してのテストステロンに比較して、ドロスピレノンの浸透に関して調べた−図1を参照のこと。
約200mgの例1の調製物を、変性されたFranz浸透細胞において浸透膜として固定されているヌードマウス皮膚に適用した。
図1における結果は、n=7の実験の平均である。
【0043】
皮膚:ヌードマウス皮膚、HsdCpb NMRI-nu/nuk, Harlan Bioservice, Walsrode。
Franz細胞のための受容体媒体:
塩化カリウム 0.6g
リン酸二水素カリウム 0.09g
塩化ナトリウム 10.905g
リン酸水素ナトリウム・二水和物 0.09g
HEPES 8.94g
ゲンタマイシンスルフェート 0.075g
γ−シクロデキストリン 7.5g
精製水 1500gまで
【0044】
個々のサンプル100μlを、時間3,6,9,12,15及び18時間で自動サンプリングシステムによりFranz細胞の受容体媒体から採取し、そして自動HPLC中に注入した。
HPLC方法:
カラム L1Chrospher 100RP1g, 5μm、125×3mm
移動相 アセトニトリル/水(40/60)
流速 1ml/分
温度 40℃
注入される体積 100μl
検出波長(UV) 244nm(テストステロン)
261nm(ドロスピレノン)
【0045】
例7
例1の配合物を、ヒト皮膚(約450μmの層の厚さにダーマトマイズ(dermatomize)された、化粧品削減からの女性の腹部皮膚)上でのテストステロンと比較して、ドロスピレノンの浸透に関して調べた−図2を参照のこと。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
ヒト皮膚への適用に基づいて、ドロスピレノンの浸透がテストステロンの浸透の40%までであることがそれらのデータから結論づけられ得る。Testogelは1日当たり5〜10mgを投与することが許可されているので、約3〜5mg/日のドロスピレノンがまた、この形で経皮投与され得ることが結論づけられ得る。従って避妊的に効果的な量のドロスピレノンの経皮適用が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、テストステロンとドロスピレノンとの浸透性の比較を示す。
【図2】図2は、テストステロンとドロスピレノンとの浸透性の比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調製物のその初期状態に含まれるドロスピレノンの量は飽和溶解度より多くないが、調製物を皮膚に適用した後、調製物からの可溶化成分の流出を介し、ドロスピレノンの飽和溶解度を越えることを特徴とする、ドロスピレノン含有物を有する皮膚に適用するための医薬調製物。
【請求項2】
適用中の調製物において、ドロスピレノンの飽和溶解度を、少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍越えることを特徴とする、請求項1記載の医薬調製物。
【請求項3】
適用中の調製物において、ドロスピレノンの飽和溶解度を、わずか1時間後、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍越えることを特徴とする、請求項2記載の医薬調製物。
【請求項4】
エタノール又はイソプロパノール含有物を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項5】
ドロスピレノンに関する結晶化阻害添加物が存在することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項6】
前記結晶化阻害添加物が、可溶性ポリビニルピロリドンであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項7】
少なくとも1の浸透促進剤の含有物を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項8】
アルコール含有ゲルの形状の半固体調製物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項9】
ローション形状、泡形状又は噴霧形状の液体のアルコール含有調製物であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項10】
溜めシステム型の経皮的な貼布剤の構成要素として液体又は半固体の、アルコール含有調製物であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項11】
塗布中の調製物において、ドロスピレノン飽和溶解度を、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍を越えることを特徴とする、請求項10記載の医薬調製物。
【請求項12】
アルコール含有調製物が、少なくとも60%(m/m)、好ましくは少なくとも65%(m/m)のアルコール含量を有することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項13】
ドロスピレノンに加えてエストロゲンが存在することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の医薬調製物。
【請求項14】
皮膚への適用の間、亜飽和又は丁度飽和した形状から過飽和状態へのエストロゲン含量の遷移が存在することを特徴とする、請求項13記載の医薬調製物。
【請求項15】
前記エストロゲンがエチニルエストラジオールであることを特徴とする、請求項13又は14のいずれか1項記載の医薬調製物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−530615(P2007−530615A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505441(P2007−505441)
【出願日】平成17年3月19日(2005.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002971
【国際公開番号】WO2005/097196
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】