説明

皮膚の荒れ防止用繊維製品

【課題】米糠成分を含有し、皮膚の荒れの防止、改善に有効な繊維製品を提供する。また、洗濯等しても効果が持続し、米糠成分の腐敗も発生しない繊維製品を得る。
【解決手段】米糠油を化学繊維原料に5%〜10%配合して製造した化学繊維を含む繊維製品とする。または米糠よりエタノール、イソプロピルアルコール又はヘキサン等によって抽出した成分を繊維表面にバインダーによって固定した化学繊維を含む繊維製品とする。または米糠成分もしくは米糠を含む樹脂粒を繊維表面に設けた繊維製品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚の荒れを防止し、またこれを緩和する効果が期待される繊維製品に関するものである。前記繊維製品には、例えば肌着類や手袋、靴下やストッキング類が舎まれる。
【背景技術】
【0002】
膝や踵等の皮膚の荒れを防止する方法については、従来より種々な試みがなされている。これらの一例として患部にクリーム状の薬剤を塗布したり、薬液剤を滴下したりするものがある。
【0003】
しかし、この方法は患者が自ら定期的に患部に薬剤を塗布等する必要があり、手間がかかって煩わしいものであった。また、皮膚の荒れの予防は皮膚が正常である時より継続して行うことが肝要であるが、皮膚の荒れの生じていない時に薬剤を定期的に塗布することは失念しやすいばかりか、心理的抵抗を伴うものである。また、特に患者が子供である場合には、定期的に患部に薬剤塗布することはさらに困難である。
【0004】
また、別の方法として衣類の一部分に非通気性シートを取り付けることで皮膚の乾燥を防止し、これにより皮膚の荒れを防止する発明がなされており、このような発明の一例が、例えば特開2002−235203中に開示されている。この発明によれば、例えば靴下の踵部分に設けられた非通気性シートにより、当該靴下の踵部分からの水分の発散は完全に抑制され、当該靴下を着用する者の踵部分の乾燥が抑制されることによって踵部分の角質化等の荒れが防止できる。
【特許文献1】特開2002−235203号公報
【0005】
しかし非通気性シートによる皮膚の乾燥防止は、これを備えた靴下の着用直後は良いが、時間を経過するにつれ汗が靴下内部にたまり蒸れる等する為、着用者に不快感を与える。
【0006】
実際、本願発明の発明者は前記非通気性シートによる皮膚の荒れを防止する発明に類似の市販製品を用いた実験により、該発明品を着用すると数時間以内に当該靴下の踵部分付近の湿度がほとんど100%となることを確かめている。このような過度な湿気は、水虫等の皮膚疾患を悪化させることが懸念されるものであり、前記先行技術の課題のひとつである。
【0007】
ところで、米糠は皮膚の状態を整える効果に優れることが知られており、従来より入浴時に糠袋で皮膚をこすって洗う等して利用されてきた。前記米糠の効果は、米糠に含まれる油脂、タンパク質、ビタミン B1等の成分(以下、米糠成分という)によるものと考えられる。具体的には、米糠成分が皮膚から吸収されることによる皮膚状態の改善効果や、米糠成分の有する保湿性による皮膚の乾燥防止効果が皮膚の荒れの防止、緩和に有効に作用するものと考えられる。従って、米糠成分を肌着等の繊維製品に含ませ、これを着用することで皮膚の荒れを防止する効果が期待できる。
【0008】
しかし、米糠成分を含ませた肌着等は殆ど実用化されていない。本願発明の発明者は、この理由を分析した結果、米糠成分を含ませた繊維製品には以下のような課題があることを見出した。
【0009】
まず、米糠成分のような成分を肌着等に含ませた発明としては、特開平09−021001中に開示されている方法がある。すなわち、植物からアルコール抽出されるエキスを綿糸等に含浸、乾燥させた編糸を靴下に編み込むというものである。なお、該公開特許公報に開示されている発明では、前記植物としてムクゲが使用されているが、同様の手法は米糠についても適用しうるものである。
【特許文献2】特開平09−021001号公報
【0010】
しかし、植物から抽出されるエキスを含浸させた衣類は洗濯によって前記エキスが洗い流される為、効果を喪失してしまう。肌着類は頻繁に洗濯を繰り返して使用することが通常であるため、該発明品は事実上使い捨てにならざるを得ず、コスト上の大きな課題を有している。
【0011】
なお、洗濯によって繊維に付与された効果が直ちに喪失しないように工夫された発明として特開平08−209448がある。当該発明は、スクワランという有効成分を繊維の芯部に含有保持させ、その周囲を繊維形成重合体で包囲することで、繊維に付与された有効成分が洗濯によって直ちに洗い流されることを防止している。
【特許文献3】特開平08−209448号公報
【0012】
しかし、米糠成分への適用例はない。
【0013】
また、芯部に含有保持された有効成分は周囲を強い繊維形成重合体で包囲されているため、繊維から有効成分が放出されるためには繊維を短繊維状にして繊維の切断面を多く確保する必要がある。このため、当該繊維を使用することで十分な効果を得られる繊維製品が限られるという課題がある。
【0014】
さらに、米糠成分は、水分と空気(主に酸素)に触れていると腐敗するという性質がある。つまり、米糠成分を含む肌着等は、汗等によって水分を含んだ状態におかれると、短時間に腐敗してしまう恐れがあるという課題を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明が解決しようとする課題は、皮膚の荒れ防止・改善に効果を有する、米糠成分を有する繊維製品を提供することにある。
【0016】
同様に、本発明は、オリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油のいずれかまたはこれらの組み合わせを含有することで前記米糠成分を有する繊維製品に類似の効果を奏する繊維製品を提供することである。
【0017】
また、本発明が解決しようとする別の課題は、洗濯しても皮膚の荒れ防止・改善効果が持続する、米糠成分を有する繊維製品を提供することである。
【0018】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、通常の使用状態において米糠成分の腐敗が発生しない、米糠成分を有する繊維製品を提供することである。
【0019】
加えて、本発明は通常の使用状態において使用者の皮膚の血行を促進し、米糠成分による皮膚の荒れ防止・改善効果をさらに高めることのできる繊維製品を提供することをも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するため、本発明は繊維製品であって、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる。
【0021】
また、本発明は繊維製品であって、化学繊維原料にオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油のいずれかまたはこれらの組み合わせを配合して製造された化学繊維を含んでいる。
【0022】
化学繊維は任意のものを選択できるが、化学繊維のなかでもっとも吸湿性、放湿性に優れたもののひとつであるレーヨンを用い、これの原料に米糠油を5%〜10%配合することが望ましい。
【0023】
また、本発明に係る繊維製品は、前記のように化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を用いる代わりに、米糠成分がバインダーによって固定されている化学繊維または天然繊維を含んでいてもよい。
【0024】
また、本発明に係る繊維製品は、前記のように米糠成分をバインダーによって固定されている化学繊維または天然繊維を用いる代わりに、米糠をバインダーによって繊維に固定した化学繊維または天然繊維を含んでいてもよい。
【0025】
なお、前記バインダーによって繊維に固定する米糠は、粒径が100μm以下に粉砕されたものであることが望ましい。
【0026】
前記本発明に係る繊維製品は肌着類、手袋、靴下、ストッキング、タイツ類であることが好ましい。
【0027】
前記本発明に係る肌着類、手袋、靴下は、米糠成分を有する繊維が皮膚に直接接触するように編まれていることが好ましい。
【0028】
前記本発明に係る肌着類、手袋、靴下は、米糠成分を有する繊維が皮膚の荒れを生じ易い部分のみに使用されていることが好ましい。
【0029】
前記本発明に係る手袋、靴下は、皮膚に触れる側の繊維表面に樹脂粒が設けられているされていることが好ましい。
【0030】
前基本発明に係る靴下に設けられる樹脂粒は樹脂粒が設けられている繊維面の50%以下の面積のみを占めていることが望ましい。
【0031】
前記本発明に係る靴下に設けられる樹脂粒は、ゴムのような滑り止め効果が期待できるものであることが好ましい。
【0032】
本発明に係る別の形態においては、本発明は繊維製品であって、米糠油を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられていることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係る繊維製品は、米糠油を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている代わりに、米糠成分を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられていても良い。
【0034】
また、本発明に係る繊維製品は、米糠油を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている代わりに、オリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油のいずれかまたはこれらの組み合わせを含有する樹脂粒が繊維表面に設けられていても良い。
【0035】
また、本発明に係る繊維製品は、米糠油を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている代わりに、米糠を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられていても良い。
【0036】
前記本発明に係る繊維製品に設けられる樹脂粒は、繊維製品の皮膚に接触する面に設けられていることが好ましい。
【0037】
前記本発明に係る繊維製品は手袋または靴下であることが好ましい。
【0038】
前記本発明に係る繊維製品に設けられている樹脂粒は樹脂粒が設けられている繊維面の50%以下の面積のみを占めていることが望ましい。
【0039】
前記本発明に係る靴下に設けられる樹脂粒は、直径が2mm〜5mm、厚みが0.5mm程度とすることが好ましい。
【0040】
前記本発明に係る靴下に設けられる樹脂粒は、ゴムのような滑り止め効果が期待できるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品であれば、該識維製品より除々に米糠成分が放出され、これに触れる皮膚の荒れ防止効果を奏する。
【0042】
なお、米糠油とは米糠を圧搾して採取される油であり、米油、こめぬかあぶらとも言われる。米糠油には米糠に含まれるさまざまな成分の多くが含まれており、米糠の有するさまざまな効果は米糠油においてもほぼ同様に期待できる。
【0043】
また、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維であれば、米糠成分は繊維中に半ば閉じ込められた状態であり、洗濯等によって容易に洗い流されることがない。
【0044】
なお、米糠油に変えてオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかまたはこれらの組み合わせを配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品とすることも出来る。
【0045】
植物性油脂の中でも前記のオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油は食用に供せられる安全なものであり、それぞれ特有の有効成分を含むことが報告されているものであるので、これらのいずれかまたは組み合わせによって皮膚の荒れ防止効果が期待できるものである。
【0046】
従って、以下ではもっとも皮膚の荒れ防止・改善効果に優れると考えられる米糠油の例について説明をするが、米糠油に代えて前記オリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかまたは組み合わせについても同様に考えることが出来る。
【0047】
なお、化学繊維としてレーヨンを使用すれば、繊維がもともと吸湿性、放湿性を有していることから本発明に係る繊維製品の効果がより優れたものとなる。
【0048】
また、前記化学繊維原料には米糠油を5%〜10%配合することが好ましい。これよりも米糠油が少ないと本発明の効果が不十分となることがあり、これよりも米糠油が多いと出来上がった繊維の強度が不十分となるからである。なお、化学繊維原料に米糠油を配合することにより、製造される繊維の強度は多少は低下するが、適度の強度低下は本発明にむしろ好都合である。これについては後述する。
【0049】
さらに使用時においても、米糠成分は長時間を掛けて除々に放出される為、その効果が長期間に渡って持続するという効果を奏する。
【0050】
加えて、米糠油は油であり水となじみにくく、また空気(特に酸素)も溶解しにくい。つまり、米糠油中に溶解している成分は水や空気に触れることが無いため、これを配合して製造した化学繊維においても、米糠成分の腐敗が防止される。
【0051】
また、本発明は繊維製品であるのでそもそも通気性を有するが、米糠成分により繊維自体が程度な保湿作用を備えている。保湿効果によって皮膚の乾燥が防止され、皮膚の荒れの防止、改善効果を奏する。
【0052】
また、前記の通り米糠成分は除々に放出されるのであり、比較的低濃度の状態に保たれる。また、そもそも本発明は繊維製品であるので本質的に通気性を有する。従って、過度に水分を保持することによって利用者に不快感を与えたり、あるいは水虫等の皮膚病を悪化させることもほとんど無い。
【0053】
前記本発明に係る繊維製品が肌着類であれば、これを着用する者の皮膚と前記本発明に係る肌着類が長時間接触した状態に保たれ、これにより前記本発明の効果が大いに発揮される。
【0054】
また、汗等の水分に繊維中の米糠油に溶解している成分が拡散し、これによって米糠成分が皮膚に運ばれて作用するという効果も期待できる。
【0055】
なお、肌着は着用する者の体の動き等によって、該肌着に使用されている繊維が少しずつ損傷するが、この時に生じる新しい繊維の断面等から米糠成分が新たに放出される。つまり、洗濯時によって繊維表面の米糠成分の多くは洗い流されると考えられるものの、着用時に繊維内部から新たに米糠成分が供給されることとなり、洗濯しても皮膚の荒れ防止・改善効果が持続することとなる。この現象は本発明の効果を長期間に渡って持続させる上で甚だ好都合なものである。
【0056】
つまり、前記特開平08−209448号公報に開示された発明においては、繊維周囲を包囲する繊維形成重合体によって、繊維に有効成分であるスクワランが洗濯等によって直ちに洗い流されることを防止するとともに、前記有効成分を含有させることによって低下する繊維の強度を補うことが行われていた。
【0057】
これに対し、本発明においてはむしろ繊維が部分的に損傷することを積極的に活用することによって、新鮮な米糠成分が持続的に放出されることを狙ったものということが出来る。
【0058】
前記本発明に係る繊維製品が手袋であれば、本質的に手袋に使用される繊維は大きな変形等を受けるものである為、前記繊維から持続的に米糠油等の成分が放出される効果に優れ、手の荒れ防止・改善に大きな効果が見込まれるばかりか、手袋を着用して触れた体の他の部位(例えば顔等)にも同様の効果を期待し得る。
【0059】
前記本発明に係る繊維製品が靴下であれば、着用者の歩行時に前記繊維は大きな力を受ける為、前記手袋の場合と同様に米糠成分の持続的放出が期待される。特に、足において角質化等の荒れが生じやすい部位は、踵やつま先付近など歩行時に体重がかかる部分であるが、前記理由よりこのような体重がかかる部位において特に米糠成分が放出され易く、この点においても靴下は本発明の効果を存分に発揮できる非常に好都合なものである。
【0060】
さらに、前記本発明に係る肌着類、手袋、靴下は、前記繊維が皮膚に直接接触するように編まれていれば、繊維から放出された米糠成分が皮膚に直接作用するので、本発明の効果がより顕著なものとなる。
【0061】
前記のような繊維製品の織り方として、例えばパイル織がある。パイル織であれば、当該部分は比較的厚みのある生地となるため、米糠成分の放出も十分な量が確保される。従って、本発明の効果がますます発揮される。
【0062】
さらに、前記本発明に係る肌着類、手袋、靴下は、米糠油を配合して製造された化学繊維が皮膚の荒れを生じ易い部分のみに使用されていれば、不要な部分にまで保湿性を有することによる不快感が生じることを防止できる。たとえば、靴下であれば、踵部等のみに米糠成分を有する繊維を使用すれば、足の他の部分の蒸れを防止できる。
【0063】
また、特に本発明に係る繊維製品が靴下の場合は、樹脂粒が繊維表面に設けられていれば、前記靴下を着用して歩行等すると、樹脂粒によって足底が剌激される。すなわち、指圧効果により、血行が促進されるという付加的効果も生じる。
【0064】
前記樹脂粒は繊維製品の皮膚に接触する面に設けられていれば、前記指圧効果もさらに大なるものとなる。
【0065】
なお、靴下に付着させる樹脂粒は直径が2mm〜5mm、厚みが0.5mm程度とすることが好ましい。これよりも樹脂粒が小さいと前記指圧効果が不十分となり、またこれよりも樹脂粒が大きいと着用者に不快感を与えるからである。
【0066】
樹脂粒の付着方法は、樹脂粒を個別に靴下に接着してもよいが、原料樹脂を靴下表面に印刷した後にこれを硬化させることが好ましい。技術的に製造が容易であり、かつ必要なコストも安価ですむからである。
【0067】
樹脂粒の材質は、ゴムのような滑り止め効果が期待できるものであることが望ましい。米糠成分によって繊維表面がすべり易い状態になる場合があるが、このような場合の滑り止め効果が得られるからである。
【0068】
また、前記樹脂粒は樹脂粒が設けられている繊維面の50%以下の面積のみを占めていることが望ましい。繊維面の50%を超える領域を樹脂粒が占めていると、繊維面の繊維製品としての風合いが失われて樹脂製品に近い着用感となる。つまり、着用者に不快感を与えてしまう場合があるからである。
【0069】
本発明に係る、米糠成分がバインダーによって繊維に固定されている繊維製品であれば、該繊維製品より除々に米糠成分が放出され、これに触れる皮膚の荒れ防止効果を奏する。
【0070】
前記のような繊維製品とすることで、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品の奏する効果の多くと同様の効果を得られる。
【0071】
なぜなら、このような繊維製品とすることで繊維表面に薄く米糠成分とバインダーの積層構造またはこれらの混合した物質の層が形成されると考えられるが、これは前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維としての性質を、繊維表面近くのみが有している状態と考えられるからである。
【0072】
すなわち、繊維製品の洗濯時に直ちに効果を喪失しない洗濯耐性、米糠成分が徐々に放出されることによる効果の持続性、米糠成分が容易には腐敗しない保存性および繊維製品としての通気性と適度な保湿性を併せ持つ性質等である。
【0073】
また、前記米糠成分がバインダーによって繊維に固定されている繊維製品では、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品と比較してその製造が比較的容易である。
【0074】
米糠成分を米糠より抽出する方法としては、例えば米糠をエタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類に浸けることによる、いわゆるアルコール抽出法を用いることが出来る。または、ヘキサン等の溶剤を代替に使用しても良い。このような方法であれば、米糠成分の抽出に大掛かりな設備を要せず、少量の米糠成分を抽出する際には製造コストが安価になる利点がある。
【0075】
米糠成分を繊維に固定するには、前記の方法等で得た米糠成分を溶融する溶液に繊維製品を含浸させて乾燥後、さらに該繊維製品をバインダー溶液に含浸、再乾燥すればよい。または、前記米糠成分を抽出した溶液とバインダー溶液を混合した溶液に繊維製品を含浸、乾燥させても良い。
【0076】
このような製造方法であれば、本発明に係る繊維製品の製造に専用化した製造設備が必ずしも必要ではなく、従って本発明にかかる繊維製品の少量生産に適する。化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品については、化学繊維を製造する都合上かなりの量を一時に製造する必要があるため、比較的大量生産を行う場合に適する。
【0077】
バインダーとは、樹脂材料を含む液体状物質であり、繊維に含浸後乾燥させる等して繊維に固定する。さまざまな種類のものが市販されており、任意のものを使用できるが、繊維の風合いを損ねないものが繊維製品の使用感を損なわないために望ましい。
【0078】
また、前記発明に係る繊維製品の好ましい用途についても、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品の場合と同様の用途について好ましい結果を得られる。
【0079】
なお、米糠を溶剤に浸してその成分を抽出し、これに繊維製品を含浸させることにより、繊維製品に薄黄色ないし薄褐色の色がつくことがある。
【0080】
特に、米糠を浸して成分を抽出した溶剤を精製等せずに使用すると、米糠成分そのままを繊維製品に含ませることができる点では望ましいものの、前記のような着色は避け難い。
【0081】
このように着色した繊維製品は、繊維製品の種類によっては美観上好ましくない。
【0082】
従って、米糠より抽出した成分をバインダーによって繊維に固定した繊維製品では、当該繊維製品が濃色に染められていることが好ましい。実質的に米糠成分による着色を視認できなくできるからである。
【0083】
本発明に係る、米糠をバインダーによって繊維に固定した化学繊維または天然繊維を含んでいる繊維製品であれば、該繊維に固定された米糠より徐々に米糠成分が放出され、これに触れる皮膚の荒れ防止効果を奏する。
【0084】
前記バインダーによって繊維に固定する米糠は、粒径が100μm以下に粉砕されたものであることが望ましい。米糠の粒子が大きいと、バインダーで繊維に該米糠粒子を固定しても繊維製品使用時に繊維から該米糠粒子が剥離しやすくなるからである。また、該米糠粒子の粒径を100μm以下とすることで、繊維と繊維の隙間に該米糠粒子が入り込み、より安定して繊維に固定されるからである。
【0085】
米糠粒子の粉砕は任意の方法を使用できるが、例えばジェットミルによる粉砕を行うことが出来る。具体例として、ホソカワミクロン株式会社のカウンタジェットミルを使用すれば粒径100μm程度に粉砕した米糠を得ることは容易である。
【0086】
前記米糠をバインダーによって繊維に固定した化学繊維または天然繊維を含んでいる繊維製品では、繊維に固定された米糠成分が米糠から徐々に放出されることで皮膚の荒れ防止効果を奏するのであるが、この時に放出される成分には米糠油として放出される成分に加えて、汗などの水分によって抽出されることにより水溶性の米糠成分も多く含まれることになる。
【0087】
水溶性の米糠成分には、例えば近年人体に対して有用なさまざまな効果を有することが明らかになってきているイノシトール6リン酸等が含まれる。
【0088】
米糠油や溶剤で米糠から抽出した米糠成分は主に油溶性の米糠成分であり、前記水溶性の米糠成分は比較的少ないので、前記の通り米糠を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている繊維製品とすることでより本発明の効果をさらに大なるものとすることが出来る。
【0089】
前記米糠成分がバインダーによって繊維に固定されている繊維製品は、その他の点においては前記米糠をバインダーによって繊維に固定した化学繊維または天然繊維を含んでいる繊維製品と同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0090】
本発明に係る、米糠油を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている繊維製品であれば、該樹脂粒より徐々に米糠成分が放出され、これに触れる皮膚の荒れ防止効果を奏する。
【0091】
米糠油を含有する樹脂粒に代えて米糠から溶剤などで抽出した米糠成分を樹脂に練り込んだものを用いても良い。
【0092】
また、米糠油を含有する樹脂粒に代えてオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかまたはこれらの組み合わせを樹脂に練り込んだものを用いることも可能である。
【0093】
さらに、樹脂に米糠を直接練りこむことも可能であり、このようにして製造した米糠を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている繊維製品であれば、該樹脂粒に含まれる米糠より徐々にその成分が放出され、これに触れる皮膚の荒れ防止効果を奏する。
【0094】
また、樹脂に米糠が直接練りこまれている場合、米糠成分が米糠から徐々に放出されることで皮膚の荒れ防止効果を奏するのであるが、この時に放出される成分には米糠油として放出される成分に加えて、汗などの水分によって抽出されることにより水溶性の米糠成分も多く含まれることになる。
【0095】
水溶性の米糠成分には、例えば近年人体に対して有用なさまざまな効果を有することが明らかになってきているイノシトール6リン酸等が含まれる。
【0096】
米糠油や溶剤で米糠から抽出した米糠成分は主に油溶性の米糠成分であり、前記水溶性の米糠成分は比較的少ないので、前記の通り米糠を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている繊維製品とすることでより本発明の効果をさらに大なるものとすることが出来る。
【0097】
前記樹脂粒は繊維製品の皮膚に接触する面に設けられていれば、前記樹脂粒に含まれる米糠成分が直接皮膚に作用する。
【0098】
米糠を含有する樹脂粒が繊維表面に設けられている繊維製品が靴下であれば、着用者の歩行時等に樹脂粒に大きなカがかかり、樹脂粒に小さな割れ等を生じて常に新しい米糠粒から成分が放出される。
【0099】
また、前記靴下を着用して歩行等すると、樹脂粒によって足底が剌激される。すなわち、指圧効果により、血行が促進されるという付加的効果も生じる。
【0100】
なお、靴下に付着させ樹脂粒は直径が2mm〜5mm、厚みが0.5mm程度とすることが好ましい。これよりも樹脂粒が小さいと前記指圧効果が不十分となり、またこれよりも樹脂粒が大きいと着用者に不快感を与えるからである。
【0101】
樹脂粒の付着方法は、樹脂粒を個別に靴下に接着してもよいが、原料樹脂を靴下表面に印刷した後にこれを硬化させることが好ましい。技術的に製造が容易であり、かつ必要なコストも安価にすむからである。
【0102】
樹脂粒の材質は、ゴムのような滑り止め効果が期待できるものであることが望ましい。米糠成分によって繊維表面がすべり易い状態になる場合があるが、このような場合の滑り止め効果が得られるからである。
【0103】
また、前記樹脂粒は樹脂粒が設けられている繊維面の50%以下の面積のみを占めていることが望ましい。繊維面の50%を超える領域を樹脂粒が占めていると、繊維面の繊維製品としての風合いが失われて樹脂製品に近い着用感となる。つまり、着用者に不快感を与えてしまう場合があるからである。
【0104】
前記樹脂粒を、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含んでいる繊維製品または米糠成分がバインダーによって繊維に固定されている繊維製品に設けることもできる。
【0105】
このようにすれば、繊維にのみ米糠成分を含む場合や樹脂粒のみに米糠成分を含む場合と比較して、より大きな効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0106】
以上説明した本発明の実施例を、本発明の効果がもっとも有効に発揮される繊維製品のひとつである靴下について説明する。
【実施例1】
【0107】
図1は、本発明に係る靴下の例を示す説明図である。
【0108】
靴下本体1は通常の綿糸で織られている。靴下の踵部分2及び靴下のつま先部分3は、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を50%と綿糸を50%とによって織られている。
【0109】
前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維は、レーヨン材料に米糠油を5%配合して製糸したものである。
【0110】
なお、米糠油として築野食品工業株式会社製造のこめ油を使用した。
【0111】
さらに、前記靴下の踵部分2及び靴下のつま先部分3はパイル織によって形成されており、米糠油を配合して製造された化学繊維が該靴下の着用時に着用者の皮膚に触れるように形成されている。
【0112】
また、図2は本発明に係る靴下の内側を示す説明図である。
【0113】
本発明に係る靴下の内側下面には、樹脂粒4が設けられている。樹脂粒4はそれぞれが直径3mm、厚み0.5mm程度に形成されており、樹脂粒4によって前記靴下内面の下部表面は約50%程度が覆われている。
【0114】
樹脂粒は、硬化前のポリウレタン(液状)を前記靴下の該当部にシルクスクリーン印刷にて印刷後、硬化させて形成した。
【0115】
以上のような靴下であれば、該靴下の着用者の踵とつま先には徐々に米糠成分が供給され、また米糠成分の保湿性によって適度な湿度が保たれる。これによって、踵とつま先の皮膚の角質化や荒れが防止され及び改善される。
【0116】
また、米糠成分は前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維中に半ば閉じ込められた状態であり、加えて米糠油の水や空気を遮断する効果により、米糠成分の腐敗も通常の使用状態では発生しない。
【0117】
また、踵部分2とつま先部分3以外の部分は通気性に優れた綿糸によって織られているため、該靴下の着用によって湿気がこもることもない。よって、足が蒸れるなどにより着用者に不快感を与えることがない。
【0118】
さらに、踵部分2とつま先部分3は、化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を50%と綿糸を50%とによって織られているため、適度な保湿性と放湿性を兼ね備えており、当該部位の乾燥を防止しつつも足が蒸れてしまうほどには至らない。
【0119】
なお、前記靴下の着用者の状態によって前記米糠油を配合して製造された化学繊維と綿糸との割合は変更することが出来ることは言うまでもない。
【0120】
すなわち、皮膚が健全な状態であり荒れの発生を予防することが目的の者には米糠油を配合して製造された化学繊維の割合を少なくすることで当該靴下の保湿性よりも通気性を優先し、逆に皮膚の荒れが進行しておりこれの改善が目的の者には前記割合を多くすることで当該靴下の通気性よりも保湿性を優先すればよい。
【0121】
次に、前記靴下の踵部分2とつま先部分3はパイル織によって形成されており、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維が直接皮膚に接触するように形成されているから、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維より直接に着用者の皮膚へ米糠成分が移行、作用する。
【0122】
また、パイル織により生地が比較的厚く形成されているため、前記靴下の踵部分2とつま先部分3には十分な量の前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維が存在することになり、本発明の効果を大なるものとする。
【0123】
さらに、前記靴下の踵部分2とつま先部分3は、着用者の歩行時などに大きな力を受け、当該部分の繊維が少しずつ損傷するが、この時に生じる新しい繊維の断面等から米糠成分が新たに放出される。これにより、着用時に繊維内部から新たに米糠成分が供給されることとなり、洗濯しても皮膚の荒れ防止・改善効果が長期間にわたって持続する。
【0124】
また、前記靴下の内側下面にはポリウレタン製の樹脂粒が設けられているため、米糠油によって該靴下と着用者の足がすべってしまうことが防止される。
【0125】
前記ポリウレタン製の樹脂粒は、該靴下の着用者の歩行時には該樹脂粒が着用者の足の裏を押す指圧効果を発揮する。これによって、着用者の皮膚の血行が促進され、本発明の効果をさらに高めることになる。
【0126】
また、前記ポリウレタン製の樹脂粒は、該靴下の繊維面の約50%のみを覆っているので、該靴下の繊維感を損なうことなく、快適に使用できる。
【実施例2】
【0127】
図3は、本発明に係る靴下の別の例を示す説明図である。
【0128】
靴下本体1は黒色に染色された通常の綿糸で織られているものである。これに米糠成分を抽出した溶液を含浸、乾燥したのちにさらにバインダー溶液を含浸、乾燥することによって米糠成分を該靴下に固定した。
【0129】
前記米糠成分を抽出した溶液は、イソプロピルアルコール50%、水50%の混合液に乾燥米糠を10時間つけて放置することによって得た。米糠の量は多いほど、抽出液に抽出される米糠成分も多くなるので効果の点では望ましいが、あまりにも米糠成分が多く抽出されると製品である靴下の保湿性が強くなりすぎる懸念があるため、本実施例ではイソプロピルアルコールと水それぞれ15000gの混合液に乾燥米糠1200gを使用した。
【0130】
バインダーとしては、共栄社化学株式会社製のアクリルポリマー系バインダーであるライトエポックBX−71を使用した。
【0131】
また、図4は本発明に係る靴下の内側を示す説明図である。
【0132】
本発明に係る靴下の内側下面には、米糠を含有する樹脂粒5が設けられている。樹脂粒5はそれぞれが直径3mm、厚み0.5mm程度に形成されており、樹脂粒5によって前記靴下内面の下部表面は約50%程度が覆われている。
【0133】
樹脂粒は、硬化前のポリウレタン(液状)に乾燥米糠を3%程度混合したものを前記靴下の該当部にシルクスクリーン印刷にて印刷後、硬化させて形成した。
【0134】
以上のような靴下であれば、該靴下の着用者の足には徐々に米糠成分が供給され、また米糠成分の保湿性によって適度な湿度が保たれる。これによって、足の皮膚の角質化や荒れが防止され及び改善される。
【0135】
また、米糠成分は前記バインダーによって繊維表面に形成された樹脂層に半ば閉じ込められた状態であるため、米糠成分の腐敗も通常の使用状態では発生しない。
【0136】
また、米糠成分の濃度が過大とならない程度に米糠成分の抽出時に使用する米糠の量を設定したため、過度の保湿性を発揮することもない。また、そもそも繊維製品であってある程度の通気性は確保されるため、足が蒸れるなどにより着用者に不快感を与えることがほとんどない。
【0137】
なお、前記米糠成分の濃度は靴下の着用者の状態によって変更することが出来ることは言うまでもない。
【0138】
すなわち、皮膚が健全な状態であり荒れの発生を予防することが目的の者には米糠成分の濃度を少なくすることで当該靴下の保湿性よりも通気性を優先し、逆に皮膚の荒れが進行しておりこれの改善が目的の者には前記割合を多くすることで当該靴下の通気性よりも保湿性を優先すればよい。
【0139】
次に、前記靴下の踵部分2とつま先部分3はパイル織によって形成されており、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維が直接皮膚に接触するように形成されているから、前記化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維より直接に着用者の皮膚へ米糠成分が移行、作用する。
【0140】
さらに、前記靴下は、着用者の歩行時などに変形等を受け、当該部分の繊維が少しずつ損傷する。当然、繊維表面に形成された米糠成分とバインダーより成る層にも亀裂などが生じると考えられるが、この時に生じる新しい断面等から米糠成分が新たに放出される。これにより、着用時に繊維表面から新たに米糠成分が供給されることとなり、洗濯しても皮膚の荒れ防止・改善効果が長期間にわたって持続する。
【0141】
また、米糠成分が繊維表面にバインダーによって固定されることにより繊維が薄褐色に着色するのであるが、原繊維が黒色に染色されているものを使用しているため、このような着色は事実上視認することが不可能であり、美観上の問題も生じない。
【0142】
また、前記靴下の内側下面にはポリウレタン製の樹脂粒が設けられているため、米糠油によって該靴下と着用者の足がすべってしまうことが防止される。
【0143】
さらに、前記ポリウレタン製の樹脂粒には米糠が含まれており、樹脂粒表面の米糠から前記靴下の着用者の汗等の水分によって米糠成分が抽出され、着用者の皮膚に米糠成分が供給される。これにより、本発明の効果がさらに大なるものとなる。
【0144】
前記ポリウレタン製の樹脂粒は、該靴下の着用者の歩行時には大きな力を受け、徐々に損傷を受ける。しかし、これによって生じた割れ目等によりポリウレタンに閉じ込められていた米糠が露出し、これより新たな米糠成分が供給される。
【0145】
従って、洗濯等によっても効果が直ちに喪失することなく、長期間にわたって本発明の効果が持続する。
【0146】
前記ポリウレタン製の樹脂粒は、該靴下の着用者の歩行時には該樹脂粒が着用者の足の裏を押す指圧効果を発揮する。これによって、着用者の皮膚の血行が促進され、本発明の効果をさらに高めることになる。
【0147】
ところで、前記ポリウレタン製の樹脂粒中には米糠が分散しており、表面に露出する米糠は、米糠の粒子がポリウレタン中でほぼ1つ1つ独立した状態となっている。米糠粒子は非常に小さいため、これらが独立している場合にはたとえ水分を含んでも直ちに乾燥してしまう。従って、通常の使用状態すなわち洗濯後直ちに干される場合には速やかに米糠粒子が乾燥するため、米糠が腐敗するようなことがない。
【0148】
また、前記ポリウレタン製の樹脂粒は、該靴下の繊維面の約50%のみを覆っているので、該靴下の繊維感を損なうことなく、快適に使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上のように、本発明は繊維製品に広く適用できるものである。なお、実施例での説明では本発明の効果が特に大きく発揮される靴下に本発明を実施した例について記載したが、本発明の実施はこれに限られるものではない。特に手袋に適用した場合には靴下の場合と同様、非常に大きな効果が得られることは明白であり、そのほかにも肌着類等、皮膚に直接接触して使用される繊維製品では本発明の効果が発揮されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の第一の実施例である靴下を示した説明図である。
【図2】本発明の第一の実施例である靴下の内側を示した説明図である。
【図3】本発明の第二の実施例である靴下を示した説明図である
【図4】本発明の第二の実施例である靴下の内側を示した説明図である。
【符号の説明】
【0151】
1 靴下本体
2 靴下の踵部分
3 靴下のつま先部分
4 樹脂粒
5 樹脂粒(米糠を含むもの)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製品であって、
化学繊維原料に米糠油を配合して製造された化学繊維を含む
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項2】
前記化学繊維はレーヨンである
ことを特徴とする、請求項1記載の繊維製品。
【請求項3】
前記米糠油は前記化学繊維原料に重量比5%ないし10%配合されている
ことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の繊維製品。
【請求項4】
前記米糠油を配合して製造された化学繊維が前記繊維製品が皮膚に接する面に露出するように織られている
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項3記載の繊維製品。
【請求項5】
前記米糠油を配合して製造された化学繊維が前記繊維製品の皮膚の荒れを生じやすい部位のみに設けられている
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項4記載の繊維製品。
【請求項6】
繊維製品であって、
化学繊維原料にオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかを配合して製造された化学繊維を含む
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項7】
前記化学繊維はレーヨンである
ことを特徴とする、請求項6記載の繊維製品。
【請求項8】
前記オリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかは前記化学繊維原料に重量比5%ないし10%配合されている
ことを特徴とする、請求項6または請求項7記載の繊維製品。
【請求項9】
繊維製品であって、
繊維表面に米糠成分がバインダーによって固定されている繊維を含む
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項10】
前記米糠成分は、米糠からアルコール類によって抽出された成分である
ことを特徴とする、請求項9記載の繊維製品。
【請求項11】
前記繊維表面に米糠成分がバインダーによって固定されている繊維が前記繊維製品の皮膚に接する面に露出するように織られている
ことを特徴とする、請求項9または請求項10記載の繊維製品。
【請求項12】
前記繊維表面に米糠成分がバインダーによって固定されている繊維が前記繊維製品の皮膚の荒れを生じやすい部位のみに設けられている
ことを特徴とする、請求項9ないし請求項11記載の繊維製品。
【請求項13】
前記繊維製品は、
肌着、手袋、靴下、ストッキング、タイツのいずれかである
ことを特徴とする、請求項1ないし請求項12記載の繊維製品。
【請求項14】
前記手袋、靴下は、
該手袋または該靴下の繊維表面に樹脂粒が設けられている
ことを特徴とする、請求項13記載の手袋または靴下。
【請求項15】
前記樹脂粒は、
前記手袋または前記靴下の皮膚に接する側の繊維表面に設けられている
ことを特徴とする、請求項14記載の手袋または靴下。
【請求項16】
前記樹脂粒によって覆われる繊維表面の割合が50%以下である
ことを特徴とする、請求項15記載の手袋または靴下。
【請求項17】
繊維製品であって、
前記繊維製品表面に樹脂粒が設けられており、
前記樹脂粒には米糠油が含有されている
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項18】
繊維製品であって、
前記繊維製品表面に樹脂粒が設けられており、
前記樹脂粒には米糠成分が含有されている
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項19】
繊維製品であって、
前記繊維製品表面に樹脂粒が設けられており、
前記樹脂粒にはオリーブ油、グレープシードオイル、菜種油、コーン油、ごま油のいずれかが含有されている
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項20】
繊維製品であって、
前記繊維製品表面に樹脂粒が設けられており、
前記樹脂粒には米糠が含有されている
ことを特徴とする、繊維製品。
【請求項21】
前記繊維製品は、
手袋または靴下である
ことを特徴とする、請求項17ないし請求項20記載の繊維製品。
【請求項22】
前記樹脂粒は、
前記手袋または前記靴下の皮膚に接する側の繊維表面に設けられている
ことを特徴とする、請求項21記載の手袋または靴下。
【請求項23】
前記樹脂粒によって覆われる繊維表面の割合が50%以下である
ことを特徴とする、請求項22記載の手袋または靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−161210(P2006−161210A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353481(P2004−353481)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(596040149)株式会社鈴木靴下 (3)
【Fターム(参考)】