皮膚強化用アロエ製剤
有効量の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を治療が必要な個体に投与することによって、該個体に皮膚の強化および痛みの軽減を提供するための方法。経口および局所方法ならびに経口および局所組成物を提供する。アロエベラ由来免疫賦活性組成物および該組成物の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、その開示内容を参照によって本明細書に組み込まれる2007年5月11日出願の米国仮特許出願第60/928,924号の出願日の利益を主張する。
【0002】
一態様では、本発明は、皮膚の強化および痛みの軽減のための、アロエベラ植物もしくはその一部から製造、単離、もしくは抽出され、またはそれらに基づくかもしくは由来する生理活性組成物の使用に関する。本発明は、免疫賦活性組成物、安定化免疫賦活性組成物、ならびに該組成物の製造および使用方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
アロエ属(ユリ科(Liliaceae))は低木の熱帯/亜熱帯植物であり、多肉多汁の細長い葉を有する。360を超える既知のアロエ種のうち、Aloe barbadensis Miller(Aloe vera Linne)は、商業的にもその治療特性のためにも最も広く利用されている。アロエベラ植物は2つの主要な汁材(juice material)を含み、第1の汁材は、数世紀にわたって下剤としておよび薬物の下剤のために使用されている高濃度のアントラキノン化合物を含有する黄色浸出液であり、第2の汁材は、古代以来、やけどおよび他の創傷を治療するために使用されている清澄な粘液質ゲルであり、治癒の速度を増し、感染のリスクを低減すると考えられる。Grindlay,D.Reynolds,T.,J.Ethnopharmcol.1986,16(2〜3),117〜151;およびJoshi,S.P.,J.Med.Aromat.Plant Sci.1998,20(3),768〜773を参照されたい。
【0004】
数世紀の間、アロエ植物は、その薬用特性および治療特性を有するとみなされ、このような特性の基礎についていかなる明白な理解または科学的分析もなく、該特性のために使用されてきた。アリストテレスは、アロエの治癒特性が戦闘で負傷した兵士に非常に有益であることに気づき、彼の生徒アレキサンダー三世(「大王」)に、アロエを栽培しているすべての領土、特に東アフリカの海岸沖のソコトラ島を征服するように助言した。ローマ軍の医師であるペダニウス・ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides)は、彼の百科事典ギリシア薬草薬物誌(Greek herbal De Materia Medica)(紀元前約75年)で薬物アロエに言及した。さらに、新鮮なアロエ植物の生物学的活性は非常に速く衰退することが知られている。
【0005】
過去数十年にわたって、免疫機能強化に関するその有益な効果の原因であるアロエの活性成分の理解を発展させることに高いレベルの関心があった。この分野の調査は主に多糖および他の炭水化物含有物質、例えば糖タンパク質に集中していた。
【0006】
米国特許第7,196,072号(「’072特許」、第5,902,796号、第4,735,935号、第4,851,224号、第4,917,890号、第4,957,907号、第4,959,214号、および第4,966,892号に記載されているように、例えば、アロエ葉の多糖または他の炭水化物含有物質を含めた活性化学物質および混合物が同定、単離および安定化されている。
【0007】
ある活性化学物質群はアロエベラ粘液質多糖と呼ばれており、多糖の混合物で構成されている。用語「多糖」は、炭水化物または単糖のオリゴマーおよびポリマーの両方を含めて大雑把に使用されており、本明細書でも同様に使用する。このような多糖の1群はエースマンナン(acemannan)と命名されている。
【0008】
文献によれば、エースマンナンは、Carrington Laboratories,Inc.(Irving,Tex.)から入手可能な実質的にアセチル化されたマンノースモノマーの規則性直鎖ポリマーであり、実験室研究において、組織培養で線維芽細胞の複製を48時間で300%まで増やすことが示されており、線維芽細胞は皮膚および胃腸内面のやけど、潰瘍ならびに他の創傷を治癒させる役を担っていることが分かっている。
【0009】
3年間にわたり、その胃がヒトの胃と同様に反応する実験室ラットを試験した。エースマンナンは、胃潰瘍の治療に使われている当時最新の薬物と等価またはそれより優れていることが分かった。大部分のそのような製品は胃内の塩酸を抑制するように作用した。エースマンナンは異なる原理に基づいて働き、一見したところ消化酸の自然の流れを変えなかった。米国特許第5,902,796号、2欄、20〜25行を参照されたい。
【0010】
エースマンナンは、培養内におけるヒト末梢血接着細胞によるIL−IおよびプロスタグランジンE2(PEG2)の産生の誘導物質であることが分かっている。IL−Iは、リンパ球、線維芽細胞、Bリンパ球および内皮細胞の活性および産生に影響を及ぼすと文献で報告された重要なマクロファージ産物である。かつてのScientific American,258(5):59〜60,69〜75(1988)を参照されたい。
【0011】
IL−1は、創傷治癒にとって基本的である線維芽細胞の増殖を誘発する。またIL−1は、(1)骨髄活性を強化し(それは骨髄が低下している個体にとって治療的であり得る)、(2)一般的に免疫系を強化する。
【0012】
文献によれば、混合リンパ球培養(MLC)を用いた一連の実験は、エースマンナンが用量関連様式でこれらのリンパ球の同種抗原反応を増強することを示した。エースマンナンと単球をインキュベーションすると、単球駆動型シグナルがレクチン(leetin)に対するTリンパ球の反応を強化することができた。エースマンナンがMLCに及ぼす効果についての関連研究は、ナチュラルキラー細胞の食作用と活性の増加を示した。これらのインビトロ試験システムでは、エースマンナンは無毒であり、免疫エンハンサーであると言われていた。
【0013】
エースマンナンがリンパ球を刺激してリンホカインを分泌し、かつグルコシダーゼIインヒビターの機構と同様の機構でHIV感染リンパ球に変性糖タンパク質(GP−120)を生じさせるとも言われている。Grutersら、Nature 330:74〜77(1987)およびPalら、Intervirol.30:27〜35(1989)を参照されたい。エースマンナンは貪食され、外見上ポンプ式に単球のゴルジ/糖タンパク質器官に動かされて、そこでエースマンナンは糖タンパク質合成を直接妨害する。
【0014】
アロエ産物の他の用途は、例えば、米国特許第5,106,616号、第5,118,673号、第5,308,838号、第5,441,943号、および第5,443,830号に記載されている。これらの記載されている研究は、主に抗ウイルス薬、抗腫瘍薬、免疫賦活薬、免疫調節薬、ワクチンアジュバント、日和見感染を減少させる手段、炎症を制御する手段、免疫系および創傷治癒プロセスを刺激する手段としてのアロエベラの生理活性化学物質の活性に集中していた。
【0015】
アロエベラから単離された多糖含有画分に基づく他のいくつかの産物が特許文献などで公開されている。例えば、分子量が275,000〜374,000ダルトンのポリウロニドが表面創傷の治療で有用であると報告されている。(Farkas,A.、米国特許第3,103,466号(1963)参照)。
【0016】
70kDの多糖、アロエフェロン(Aloeferon)も治療薬の可能性があると報告されている。(Madis,V.H.、Omar,M.M.、Madis,V.、米国特許第4,861,761号(1989)参照)。
【0017】
アロエから単離された他の活性成分として、等量のグルコースとマンノースを含む420,000〜520,000ダルトンの多糖が挙げられる。(Farkas,A.、米国特許第3,362,951号(1968)参照)。
【0018】
さらに、アロエ中に天然に存在する炭水化物から数群の変性多糖組成物が酵素的に調製されている(Strickland,F.M.、Pelley,R.P.、Kripke,M.L.、米国特許第5,824,659号(1998)参照)。
【0019】
アロエベラ多糖は、対照試験で動物の治癒速度を高めることも示されている。アロエベラ多糖は、動物試験で胃潰瘍にとっても有効な治療薬であることも示されている。
【0020】
アロエベラゲルの抗炎症活性は、口頭証言および評価の高い科学雑誌の両方で報告されている。Rubel[Cosmetics and Toiletries,98:109〜114(1983)]は、アロエゲルの抗炎症作用の考えられる機構について論じた。Ukaiら[Journal of Pharmacobio−Dynamics、6(12):983〜990(1983)]は、数種の真菌の子実体から抽出された多糖の抗炎症活性に注目した。多糖は、カラギーナン誘発水腫に対して有意な阻害作用を示したと言われている。該ポリマーの1つであるO−アセチル化−D−マンナン(T−2−HN)はさらに、熱傷痛覚過敏に対してフェニルブタゾンより顕著な阻害作用を示した(Ukaiら、上記)。この多糖がタンパク質と脂質を含まないとされているこの論文の主張は、抗炎症作用がアセチル化マンナンのみに起因することを示唆している。
【0021】
他の研究者らも、複合多糖[Saekiら、Japanese Journal of Pharmacology、24(1):109〜118(1974)]、糖タンパク質[Aritaら、Journal of Biochemistry、76(4):861〜869(1974)]および硫酸化多糖[Rochaら、Biochemical Pharmacology、18:1285〜1295(1969)]の抗炎症作用について報告している。
【0022】
したがって、本質的に多糖である、アロエベラ植物の成分である粘液質ゲル、およびその中の成分は、アロエベラの薬用特性に一部関与している可能性がある。この多糖がグルコマンナン、マンナン、ペクチン、または何らかの他の組成のものであるかどうかについての議論は、一連の化学的精製ステップによって解決されると言われている。Yagiらは[Planta Medica、31(1):17〜20(1977)]、わずかに改変した抽出方法を用いて、キダチアロエ(Aloe arborescens Miller var. natalensis)由来のアセチル化マンナン(アロエマンナン)を単離した。しかし、Ovodova[Khim、Prior、Soedin、11(1):325〜331(1975)]はさらに早く、同一アロエ種の主成分としてペクチンを単離した。
【0023】
最近、アロエベラゲルについていくつかの他の薬理学研究が行われた。結果は、放射線によるやけどのより迅速な治癒[Rowe、J.Am.Rharm.Assoc.、29:348〜350(1940)]および創傷の短時間治癒[Lushbaughら、Cancer、6:690〜698(1953)]を含んでいた。アロエベラゲルで治療した熱傷は、未治療熱傷よりずっと速く治癒する[Ashleyら、Plast.Reconstr.Surg.、20:383〜396(1957)、Rovatto、上記、Rodriguez−Bigasら、J.Plast.Reconstr.Surg.、81:386〜389(1988)]。ゲルは、下腿潰瘍の治療[El Zawahryら、Int.J.Dermatol.、12:68〜73(1973)]および術後治癒の促進(Payne、Thesis submitted to Faculty of Baylor University、Waco、Tex.、MS Degree)に有用である。実験の証拠は、アロエベラの抽出物は抗感染特性を有すること[Solar、Arch.Inst.Pasteur Madagascar、47:9〜39(1979)]および食作用を強化すること[Stepanova、Fiziol.Akt.Veshchestva、9:94〜97(1977)]を示唆している。
【0024】
アロエ製品の商業的加工および品質管理中には、微生物学的分析が重要問題として認識されている(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。微生物学的生物は、環境などの外因性源とアロエ植物自体内の両方に由来し得る。内因性細菌叢は、アロエ内に天然に存在する微生物であり、当該ユニークな環境でよく成長するように進化している。内因性細菌への主な関心は、収穫後の不適当な加工法(例えばパスツール殺菌法の欠如または不正確)によって起こる可能性のある細菌の異常増殖を制御することについてだった。さらに、アロエ製品の高い細菌負荷は生理活性の損失をもたらす可能性があることが強調されていた。このことは、高い細菌含量(>100,000の生物/1グラムのゲル)は、皮膚免疫系をUVB誘導抑制から保護するアロエの能力の損失と関係があるという観察によって報告されている(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。
【0025】
当技術分野の参考文献は、活性物質とされている該エースマンナン多糖の生理活性を評価する際の交絡因子として内毒素(リポ多糖とも称する)汚染に関連してアロエ中の細菌成分について記載している。例えば、この点をTizardは強調した(Tizard IRおよびRamamoorthy L.In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第13章、311〜332ページ):「内毒素汚染のないアロエ炭水化物溶液を製造することは困難である。この材料に関する初期の研究は、少量だが有意な量の細菌内毒素を含んでいたので、エースマンナンの結果とみなされていた生理活性の一部が内毒素の作用だった可能性がある」。このように、アロエ製剤中の細菌産物は汚染物質とみなされている。
【0026】
米国特許第5,902,796号は、アロエベラから異なる因子を得るための種々の方法および分離プロセスについて記載している。記載されている1つの因子は、「微粒子因子」と呼ばれ、アロエ溶液の低速遠心分離(180g)から得られた上清の20,000gでの遠心分離によってペレットとして得られる。ろ過を利用してこの因子を得る方法も記載されている。この微粒子因子はマクロファージの活性化因子である。この微粒子因子の大きさは約1μmと推定される。
【0027】
微粒子の特徴づけは、後の論文に記載された(Ni Yら、International Immunopharmacology、2004、4:1745〜1755)。微粒子は、以下の組成のガラクトースに富む多糖を含むと報告された:40.2%のガラクトース、32.2%のマンノース、20.6%のグルコースおよび他の少量の糖。この論文は、「均質化によるパルプの崩壊後、連続遠心分離によって3成分が単離された。それらは、形態学および化学分析に基づいて葉肉細胞の細胞壁、退化細胞小器官および液体量に相当する、薄いクリアシート、微粒子および粘性液体ゲルだった」と要約しているように、微粒子を葉肉細胞の退化細胞小器官と同定している。明らかにこれらの微粒子は細菌ではなく、むしろ明確な炭水化物組成を有すると考えられ、植物の構造成分(すなわち葉肉細胞の退化細胞小器官)である。
【0028】
グラム陽性ミクロコッカス細菌種は最も広く用いられているアロエ関連生物である。これらの細菌はアロエ植物内でよく成長するように進化しており、他の環境内ではあまりよく成長しない(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。
【0029】
最近の研究は、一定のグラム陽性細菌を含有する食品の消費が免疫系に有益な作用を及ぼし得ることを指摘する。このことは、ヨーグルトおよび同様の食品で見られるプロバイオティック乳酸菌ラクトバシラス(Lactobacillus)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株の消化に関して最も広範に研究されている(Nutr Rev.、2006、64:1〜14参照)。これらの免疫強化作用の多くは、加熱死生物の消費によって模倣され得るので、生細菌細胞を必要としない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
老化に伴うことが多い問題として、皮膚の弾力性の損失および筋肉痛または関節痛が挙げられる。これらの症状は関連していていることもいないこともあり、かなりのステップが老化プロセスの理解内で起こっているが、まだあまり分かっていない。皮膚の弾力性の治療は、事実上、化粧品によってのみであることが多い。皮膚を化粧品でカバーすることによって、より若い外観を得られる場合もある。一部の製品は、実際に、たるんだ皮膚を糊付けして、よりピンと張ったように見せる。一般的に「フェイスリフト」と呼ばれる手順で過剰の皮膚を除去し、および/または皮膚を引き締めることを含み得る外科的方法もある。しかし、摂取するかまたは局所適用し、実際に皮膚の弾力性に直接作用する製剤を用いて皮膚の弾力性を改善できたら、外科術を延期または完全に回避することができ、化粧品が少なくてすむであろう。
【0031】
同様に、関節炎などの関節痛には多くの原因が考えられ、それを治療するための多くの戦略がある。これらの戦略には、局所製品、医薬製剤および関節置換術さえ含まれる。関節痛、または皮膚の弾力性に関しては、まだ治療方法の改善が必要である。活性成分がすべて天然の製品を用いて一次解放をもたらすことができるか、または他の戦略と併用できれば、その結果は非常に望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、一態様では、少なくとも一定量の免疫賦活活性を示すアロエベラ由来材料に関する(「IAvD」)。約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定した場合にIAvDとみなすのに必要な免疫賦活活性の度合は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%である。この測定の標準物質は粗製細菌リポ多糖「ELPS」(Sigma Chemical Co.から得た大腸菌血清型026:B6)である。
【0033】
本発明の別の態様は、リポタンパク質と、リポ多糖と、必要に応じて少なくとも1種の多糖との混合物を含む組成物である。これらをすべてアロエベラから単離することができるが、混合物を合成によって製造することもできる。本明細書では、この混合物を「PLL」と称する。IAvDおよびPLL混合物は、2種以上の材料をいずれの組合せによって含んでもよい。これらの混合物を医薬担体または賦形剤とブレンドしてよい。
【0034】
好ましい実施形態では、免疫賦活性組成物は、(1)アロエ由来多糖、(2)アロエ由来リポタンパク質、および(3)アロエ由来リポ多糖の少なくともいずれか2種の混合物を含み、この混合物は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される。
【0035】
混合物は、アロエ由来多糖、アロエ由来リポタンパク質、およびアロエ由来リポ多糖を含んでよい。
【0036】
好ましい実施形態では、PLLが、1)その開示内容を参照によって本明細書に引用したものとする’072特許で開示されたアロエベラ由来多糖、2)アロエ由来リポタンパク質「ALP」、および3)アロエ由来リポ多糖「ALPS」を含む、本明細書で「AloeEx」と称する特定混合物である。好ましくは、この混合物は、本明細書で述べるようにIAvDとみなすのに十分な免疫賦活活性を含む。
【0037】
好ましくは、PLLは、約0.01重量%〜約50重量%のAloeride多糖と、約0.0001重量%〜約10重量%のALPおよびALPS(ALPとALPSの合計量)を含む。他の実施形態では、Aloeride多糖が約1重量%〜約15重量%を構成し、約0.0001重量%〜約10重量%のALPおよびALPSを含む。別の実施形態では、Aloeride多糖がIAvDの約10〜15重量%であり、ALPおよびALPSが約0.0001重量%〜約10重量%である。
【0038】
これらのALPおよびALPSは、実際にはアロエベラと関連する微生物由来であると考えられる。ALPおよびALPSは、独立の免疫賦活特性を有するとも考えられる。これらを、例えば、’072特許の免疫賦活性アロエ由来多糖などの免疫賦活性アロエ由来多糖に加えて、またはその代わりに使用して、とりわけ、先行するアロエ誘導体と関連する技術分野で以前に記載されているいずれかの状態の治療または予防、例えばやけどおよび創傷の治療、皮膚および胃腸管の潰瘍の治療、骨髄が低下している個体の骨髄活性の強化、一般的な免疫系の強化において、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬、免疫賦活薬、免疫調節薬、ワクチンアジュバント、感染を低減させるための手段、炎症を制御する手段、創傷治癒プロセスを刺激する手段、治癒速度を高めるための手段、熱傷痛覚過敏の抑制、放射線によるやけどおよび熱傷の迅速な治癒、下腿潰瘍の治療、術後治癒の促進、抗感染適用、食作用の強化、免疫不全障害、癌、感染性疾患または他の疾患および状態の治療、症状の緩和、筋肉痛および関節痛の軽減、代謝プロセスの改善、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性の改善において、ならびに栄養補助食品または栄養助剤として種々の利益をもたらし得る。
【0039】
本発明の別の態様では、免疫賦活性組成物はアロエ由来リポタンパク質を含む。このアロエ由来リポタンパク質は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される。
【0040】
本発明の別の態様では、本組成物は1種以上のIAvDを含む医薬組成物である。一実施形態では、本組成物は、1種以上のPLLを医薬担体または賦形剤と共に含む医薬組成物である。好ましい実施形態では、PLLがAloeExである。これらの医薬組成物は、PLLに関連して直前で述べたいずれの目的のためにも使用し得る。
【0041】
本発明で有用な一定のIAvDは、細工および調製するのが困難なことがある。特定のIAvDを分散または溶解させ、その均質混合物を製造するという問題があり得る。このことは、剤形を調製するときに特に問題となり得る。不均質な混合物は、剤形ごとに、ひいては用量ごとに許容できないレベルで用量が変化するリスクがある。したがって、IAvDと適合し、かつIAvDの免疫賦活特性または安定性に負の効果を及ぼさず、なおさらに好ましくは不必要にその活性を希釈せず、ひいてはより高価な材料を大量に必要としない適切な加工助剤、溶媒または賦形剤を見出すことが非常に望ましいだろう。
【0042】
本発明の別の態様により、種々の「第2の」材料をPLLまたはIAvDと関連して使用することができる。「第2の」材料と併用すると、PLLまたはIAvDの均質なディスパーション、エマルション、サスペンションまたは溶液などを製造することができることが発見されている。これらの「第2の」材料はアロエ由来材料であってもなくてもよく、実際にはIAvDであってもなくてもよい(例えば、それらは本明細書で定義されるようにIAvDとみなすのに十分な免疫賦活性でなくてよい)。
【0043】
しかし、1つの好ましい実施形態では、これらの第2の材料がアロエベラ由来である。特に、一定の非常に活性な第1のIAvDを第2のアロエ由来材料を用いて分散、懸濁、乳化および/または可溶化できることが分かった。一部の好ましい実施形態では、この第2のアロエ由来材料が第2のIAvD、例えば、本明細書でIAvDについて述べた活性要件を満たすアロエ由来材料である。
【0044】
他の好ましい実施形態では、第2の材料は、それらが少しでも免疫賦活活性を有する場合、IAvDの活性未満のレベルの活性を示すアロエ由来材料である。これらの第2の非IAvDアロエ由来材料は一般的に有意な多糖含量を有し、多糖の約50%以上が約1,500,000ダルトン以下の分子量のものである。例えば、250μg/mlのMagnAloe AGは25%未満の活性化を示す。
【0045】
さらに、これらの第2の材料は、第1のIAvDの加工性を改善または強化をもすべきである。使用するこの第2のアロエ由来材料(第2のIAvDであれ第2の非IAvDであれ)の量は、要望通りに、第1のIAvDの均質なディスパーション、溶液、サスペンション、またはエマルションを製造するのに十分な量であるべきである。一般的にこの第2のアロエ由来材料は、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料の重量%に対して、少なくとも約10重量%必要である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、第1の材料がPLLであり、第2の材料が、IAvDでなく、上述した多糖含量を有し(一般的に少なくとも50%が1,500,000ダルトン未満)、かつ安定した均質のディスパーション、溶液、サスペンション、またはエマルションの形成を可能にするアロエ由来材料である。特に好ましい実施形態では、PLLがAloeExであり、第2の材料がMagnAloe AGである。これらの配合物を製造する方法をも考慮する。
【0047】
本発明のさらに別の態様では、筋肉痛または関節痛を治療する方法、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/もしくは弾力性を改善するための方法、および/または新しい皮膚細胞の促進的成長を与えるための方法であって、該方法が必要な個体に、治療用量のIAvDまたはPLL組成物を投与するステップを含む方法を提供する。1日に1回または数回、本組成物を経口、局所または経皮投与してよく、また本組成物を単独で、医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤と共に、および/または他の活性もしくは不活性成分と共に投与してよい。
【0048】
この態様の一実施形態では、IAvDがPLLである。
【0049】
特定の実施形態では、PLLがAloeExである。
【0050】
別の実施形態では、IAvD組成物がアロエ由来多糖または多糖の混合物、例えば、限定ではなく、’072特許に記載されているものなどのアロエ由来多糖を含む。
【0051】
本発明の別の態様は、アロエベラ源材料を準備するステップと、このアロエベラ源材料から液状アロエ溶液を抽出するステップと、この液状アロエ溶液をろ過するステップと、凝集剤を添加することによって、微生物または微生物成分/フラグメントを含有する凝集体を作製するステップと、この凝集体を収集するステップとを含む、IAvDの調製方法である。
【0052】
別の実施形態では、アントラキノンが存在する場合、収集した凝集体を加工してアントラキノンを除去することができる。
【0053】
一実施形態では、アロエベラ源材料が、アロエベラゲル、全葉アロエベラ、アロエベラ皮、アロエベラ粘液およびアロエベラ新芽(pup)から成る群より選択される。アロエベラパップは、通常、廃棄物とみなされる小さいアロエベラ植物である。
【0054】
好ましい実施形態では、アロエベラ源材料は、アロエベラ皮およびアロエベラ粘液を含む。典型的に他のプロセスからの廃棄材料とみなされる使用済みアロエ材料などの他のアロエベース材料を使用してよい。
【0055】
本発明の別の態様では、化学的に標準化されたアロエベラ由来材料の調製方法は、アロエベラ由来材料を準備するステップと、このアロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの含量を決定するステップと、このアロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量を標準製剤中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量と比較することによって、該アロエベラ由来材料の標準化値を決定するステップとを含む。
【0056】
一実施形態では、本方法は、アロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの含量を決定する前に、アロエベラ由来材料を精製するステップをさらに含む。
【0057】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に標準化されたアロエベラ由来材料の調製方法は、アロエベラ由来材料を準備するステップと、このアロエベラ由来材料の免疫細胞の活性化レベルを決定するステップと、このアロエベラ由来材料の活性レベルを標準免疫賦活性値と比較することによって、該アロエベラ由来材料の標準化活性値を決定するステップとを含む。
【0058】
一実施形態では、本方法は、アロエベラ由来材料の免疫細胞の活性化レベルを決定する前に、アロエベラ由来材料を精製するステップをさらに含む。
【0059】
本発明の別の態様では、免疫機能を強化する方法は、該方法が必要な個体に、治療用量の少なくとも1種のIAvDを投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】全炭水化物のモル%によるAloeExバッチ56(ALOE056)のグルコシル残基の組成を示す図である。
【図2】平均皮膚反発時間の統計的に有意な減少(皮膚の弾力性または堅さの増加の指標)を秒で示す図である。
【図3】性別および年齢別の皮膚の弾力性試験の人口統計学的データを同定する図である。
【図4】試験パネリストの人口統計学的データを示す図である。
【図5】測定のランダム化パラメーターを同定する図である。
【図6】治療/群ランダム化を同定する図である。
【図7A】被験物質群のキュートメーター(Cutometer)測定値の統計解析を示す図である。
【図7B】プラセボ群のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図7C】被験物質群およびプラセボ群の両者のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図7D】被験物質群のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図8A】活性治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図8B】活性治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図9A】プラセボ治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図9B】プラセボ治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図10A】TLR2がAloeExによるNF−κBの活性化に関与することを示す図である。
【図10B】TLR2がAloeExによるNF−κBの活性化に関与することを示す図である。
【図11】AloeEx(バッチ056)およびAloeEx粗製画分に対するTHP−1細胞の反応を示す図である。
【図12】AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出液のプロテイナーゼK消化およびSDSポリアクリルアミドゲル分析を示す図である。
【図13】AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出液のリポタンパク質リパーゼ消化を示す図である。
【図14】異なるアロエベラ葉部に対するTHP−1細胞の反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ明瞭に主張する特許請求の範囲で締めくくるが、本発明は、以下の説明からさらによく理解されるものと考えられる。
【0062】
本明細書で使用するすべての百分率および比は、特に断らない限り、組成物全体の重量についてであり、すべての測定は25℃および常圧で行われる。
【0063】
すべての温度は、特に断らない限り、摂氏温度である。
【0064】
本発明は、本発明の成分および本明細書で述べる他の成分もしくは要素を含み得る(オープンエンド)、または本質的に本発明の成分および本明細書で述べる他の成分もしくは要素から成り得る。本明細書で使用する場合、「含む」とは、列挙した要素、またはそれらの構造もしくは機能等価物、および列挙していないいずれの他の要素(複数可)をも意味する。用語「有する」および「包含する」も、その文脈が他の意味を示唆しない限り、オープンエンドと解釈するものとする。本明細書で使用する場合、「本質的に〜から成る」という表現は、本発明は請求項で列挙した当該成分に加えて成分を包含し得るが、主張した発明の基本的および新規な特徴をその追加成分が実質的に変えない場合にのみ包含し得ることを意味する。好ましくは、このような添加物が全く存在しないかまたは痕跡量のみ存在する。しかし、本組成物の有用性を維持する限り(有用性の度合に対抗するように)、本発明の基本的および新規な特徴を実質的に変え得る物質を約10重量%まで包含することができる。
【0065】
本明細書で列挙するすべての範囲は、2つの値「の間」の範囲を示す当該値を含めて両端を包含する。「約」、「一般的に」、「実質的に」などの用語は、ある用語または値が絶対でないが、先行技術で読めないように用語または値を加減するものと解釈する。このような用語はその状況によって定義され、当業者には状況が当該用語として加減する用語が分かる。これには、最低限でも、値を測定するために使用する所定の技術について予測される実験的エラー、技術的エラーおよび設備上のエラーの度合が含まれる。
【0066】
本明細書および特許請求の範囲は、本発明の錠剤または他の剤形が、例えば、一定の粒径もしくは粒度分布を有する粒子、または一定タイプの、例えば、充填剤を含有すると言及することがあるが、この記述を満足していることを最終剤形から判別することが困難な場合があることに留意されたい。しかし、このような記述は、例えば、最後の調合および配合の前に使用する材料が当該記述を満たす場合に満足され得る。
【0067】
別の例では、完成剤形中に実際にコーティングが存在するときに該コーティングがコーティング粒子またはその粒度分布に寄与する重量増加を知ることは困難であり得るが、例えば、錠剤の場合、剤形を作るために使用するコーティング粒子が、最後の調合および圧縮ステップ前に、所望のコーティングレベルおよび/または粒径を示したことが決定されれば十分である。
【0068】
ここで実際には、特定配合物中の特定成分の含量または最終配合物中の特定成分の活性を確立することは困難であり得る。これを出発材料または中間材料に基づいて確立できれば、十分である。実際には、完成製品から直接確認し得ないいずれの特性についても、最終生産直前に該配合物中に当該特性が存在すれば十分である。当然のことながら、配合前後のいずれの時に、本明細書で述べるIAvDを定義するのに十分な免疫賦活活性を確立してもよいことが認識されよう。
【0069】
本明細書で使用する場合、治療および/または改善という表現は、関節痛もしくは皮膚の弾力性または実際には本明細書で述べる他の状態に関連して使用する場合、永久的であれ一時的であれ、持続的であれ過渡的であれ、PLLおよび/またはIAvD組成物の投与に帰するかまたは該投与と関連し得る、関節痛もしくは筋肉痛のいかなる低減または皮膚の弾力性のいかなる増加をも意味する。治療および改善は、ある状態またはその再発を予防するために本明細書で述べる製品を使用することをも包含する。本文または文脈がそうでないと指示しない限り、改善および治療は相互交換可能に使用されることにも留意されたい。
【0070】
特に、本明細書でIAvDとみなすためには、材料は本組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与しなければならない。本明細書で使用する場合、本組成物の免疫賦活特性に「実質的に寄与する」という表現は、本明細書で述べる免疫賦活作用を意味する。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「免疫賦活性」、「免疫賦活作用」または「免疫賦活特性」および/または「活性」は、本発明のIAvDの、マクロファージ活性化を引き起こす能力、特に、前述したようにTHP−1単球内のNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の増加によって表される免疫賦活活性に関する(250μg/mL以下の濃度での10μg/mLのELPSの当該発現の約50%に等しい)。いずれの個々のアロエ由来成分またはその集合物もしくは混合物に基づいてこれを測定してもよい。したがって、活性は、例えば、アロエ由来多糖またはそのALPおよび/もしくはALPSとの組合せの活性を反映することができる。このタイプのマクロファージの活性化を測定するための方法は、その内容を参照によって本明細書に引用したものとする’072特許、5欄の12行目〜6欄の22行目に開示されている。
【0072】
一般的に、THP−1ヒト単球細胞内のルシフェラーゼ受容体遺伝子アッセイを利用してマクロファージの活性化を測定することができる。このアッセイは、NF−κβ駆動型ルシフェラーゼ受容体の発現の増加によって表される免疫賦活活性を測定する。ウシ胎児血清(10%v/v)およびアミカシン(60mg/L)で補充したRPMI1640培地内で5%CO2および95%空気下、37℃でTHP−1細胞を培養する。活発に成長する細胞を、DEAE−デキストラン(10μg/1×106細胞)と、NF−κβ用の2つの結合部位を含むpBIIXLUC受容体プラスミド(1μg/1×106細胞)とを用いて一時的にトランスフェクトする。THP−1細胞を含むトランスフェクション溶液を37℃の水浴内で7分間インキュベートする。次に、トランスフェクトされた細胞を10%FBS、RPMI1640培地に再懸濁させ、96ウェルプレート内に1ウェル当たり2×105個の細胞の細胞密度でプレートアウトする。24時間後、トランスフェクトされた細胞に試験サンプルを添加する。サンプルの添加4時間後、細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を測定する。Packardろ過プレートを用いて細胞を収集し、30μLのルシフェラーゼミックス(1:1、LucLite(商標)ルシフェラーゼ:1×PBS、1mMのCaおよびMg)を用いて溶解させる。Packardマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いて単一光子モードでルシフェラーゼの発光を測定する。正対照として使用する10μg/mLのELPSによるNF−κβの最大活性化に対する百分率として活性化を報告する。他のアッセイ法も考えられる。
【0073】
本明細書で使用する場合、非免疫賦活性アロエベラ由来材料という用語およびこの概念を暗示する他の語は、本明細書で定義するIAvDの免疫賦活性要件を満たさないアロエベラ由来材料と定義される。
【0074】
用語アロエ由来リポタンパク質または「ALP」は、アロエベラ内在性細菌由来の細菌リポタンパク質を表す。細菌を別々に培養または栽培してもよいので、この用語は、細菌がアロエベラ由来でなければならないことを意味しない。グラム陽性ミクロコッカス細菌種は最も広く用いられているアロエ関連生物である。これらの細菌はアロエ植物内でよく成長するように進化しており、他の環境内ではあまりよく成長しない(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。グラム陽性細菌はリポタンパク質を含有するが、リポ多糖を含まない。本明細書で開示するように、リポタンパク質は、グラム陽性細菌由来の、インビトロマクロファージ活性化に対する有意な寄与物質であると考えられる。グラム陽性細菌はアロエ中で最も多く見られるタイプの細菌なので、リポタンパク質はアロエに由来する重要な活性を代表している。
【0075】
最近の研究は、一定のグラム陽性細菌を含有する食品の消費が免疫系に有益な作用を及ぼし得ることを指摘する。これは、ヨーグルトおよび同様の食品で見られるプロバイオティック乳酸菌ラクトバシラスおよびビフィドバクテリウム株の消化に関して最も広範に研究されている(Ezendamおよびvan Loveren、Nutr.Rev.、2006、64:1〜14で精査されている)。これらの免疫強化作用の多くは、加熱死生物の消費によって模倣され得るので、生細菌細胞を必要としない。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語アロエベラ由来リポ多糖およびALPSは、共有結合によって連結された脂質と多糖(炭水化物)とを含む大型分子を表す。ALPSは、アロエベラ中で見られるかまたはアロエベラと関連するグラム陰性細菌の外膜の主成分であり、細菌の構造的完全性に大いに寄与し、かつ一定種類の化学的攻撃から膜を保護する。ALPSは内毒素であり、正常な動物の免疫系から強い反応を誘発する。
【0077】
LPSは、多くの細胞型内、特にマクロファージ内で炎症誘発性サイトカインの分泌を促進するCD14/TLR4/MD2受容体複合体に結合するので、一般的に原型内毒素として作用する。免疫学における「LPS誘発」とは、毒素として作用し得るLPSに対象をさらすことである。LPSは、細胞膜の負電荷をも増やし、膜構造全体の安定化を助ける。LPSはさらに外因性ピロゲン(外部熱誘導組成物)である。ALPの免疫賦活作用はトール様受容体2によって媒介されると考えられるが、ALPSはトール様受容体4によって媒介されると考えられる点で、ALPは、やはり本発明のPLLの望ましい成分であるALPSとは異なる。
【0078】
一部のIAvD組成物には、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPまたはALPSが存在しない。しかし、他のIAvD組成物は、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPS以外の多糖を包含しない。さらに他のIAvD組成物は、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPのみを有する。
【0079】
好ましくは、2種以上の多糖、ALPおよび/またはALPSがあり、そのいずれかまたはすべてが個々にまたは相乗的にIAvD組成物の免疫賦活活性に実質的に寄与する。
【0080】
一部のIAvD組成物は、アロエベラ中で見られるか、そうでなくてもアロエベラと関連する一定の細菌、酵母菌、真菌、カビなどの微生物に由来する免疫賦活活性を有するALPおよび/またはALPSを包含する。これらのALPおよびALPSは、当該属および種がアロエベラ上で見られるかまたはアロエベラと関連する限り、培養された微生物から回収されてもよい。アロエベラ植物上またはアロエベラ植物内で見られ、濃縮または合成されてもよいこれらのALPおよびALPSを多糖に加えて、または多糖の代わりに使用して、とりわけ、関節痛および筋肉痛の治療、ならびに皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性の強化において種々の利益をもたらし得る。’072特許に記載されているもののような、アロエ由来多糖を含有するPLL、およびALPとAPLSの両者が、これらの用途のために考えられる。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語アロエ由来材料は、アロエベラ中に含まれるかまたはアロエベラ上に存在するいずれの材料をも表し、限定するものではないが、アロエ由来多糖、リポタンパク質およびリポ多糖が挙げられる。該材料は、アロエ植物から単離され、および/または合成され得る。
【0082】
本明細書で使用する場合、合成または合成されたという用語は、人工および/または製造された材料、かつ本来見られる当該材料と組成が同一または類似している材料を指す。ALPおよびALPSの場合、それは別々に培養された材料をも指す。
【0083】
本明細書で使用する場合、用語「AloeEx」は、’072特許の多糖ならびにALPおよびALPSを含む、アロエベラから抽出されたかまたは合成によって製造された免疫賦活性PLL混合物を表す。AloeExのようなPLLは、アロエベラ葉の皮および/または粘液(すなわち内部ゲルと外皮の間の部分)から単離され、またアロエ廃棄材料(すなわち他のプロセスで使用され、現在の産業基準によって廃棄物とみなされる使用済みの皮)から得られる。
【0084】
AloeExは、本明細書で述べる技術で測定した場合、5μg/mLの免疫賦活活性を有することが多い。このことは、約5μg/mLの濃度のAloeExは、THP−1単球におけるNF−κB誘導ルシフェラーゼ発現を10μg/mLの濃度のELPSを用いて実現される当該レベルの50%以上に匹敵するレベルに高めることを意味する。当然に、このレベルの活性内でバッチごとの変化が生じ得る。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語Aloeride(後述する商標名ALOERIDE(登録商標)とは区別されるように)は、アロエベラから単離されたかまたは合成によって製造された免疫賦活性多糖組成物を表す。ここで、この多糖は、’072特許で報告されたように、約200万ダルトンを超える見掛け分子量を有し、かつグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを含む。特に、Aloeride多糖組成物は、約25%〜約70%のグルコース、約0.5%〜35%のラムノース、約5%〜約30%のガラクトース、約3%〜約25%のマンノースおよび約0%〜約15%のアラビノースを含み得る(モル%で)。’072特許では、Aloeride多糖はNP18298とも呼ばれる。本発明の目的では、AloerideとNP18298は同一組成物を表す。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語MagnAloe AGは、http://www.firstAloevera.com/magnAloe_information.htmに示される分子量分布を有するアロエ由来多糖の粉末混合物を表す。本明細書で述べるIAvDまたは非IAvDの目的では、高分子量のアロエ由来多糖材料を含むいずれの混合物をも考慮する。
【0087】
’072特許につながる予備所見は、粗製アロエ汁およびゲル中で検出可能なレベルの免疫賦活は、既知のアロエ成分によっては説明できないことを示唆した。市販のアロエ製剤(200μg/mL)は、マクロファージアッセイにおいて無視できるほどのNF−κβ活性化をもたらすだけだった。この活性の原因となるAloeride「NP18298」は多糖含有画分を含み、この画分に存在する多糖の見掛け分子量は200万ダルトンを超えることが分かった。’072特許で報告されたその主要グリコシル成分はグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを包含した。’072特許で使用かつ報告された精製の度合および方法に基づき、Aloerideが実質的レベルのALPおよび/またはALPSを包含したとは考えられない。
【0088】
Aloeride含有材料の代替源およびスケールアップ生産方法を調査する際に、他の画分、’072特許に記載の画分を包含し得る画分が、ALPおよびALPSなどの他の材料と共に、望ましい免疫賦活活性を所有することを引き続き発見した。
【0089】
記載された出発材料を使用する’072特許に記載の方法は、有意のさらなる免疫賦活活性をもたらすのに十分なALPおよびALPSを欠いている、相対的に純粋な多糖含有画分を与えた。
【0090】
作用のいかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、ALPおよびALPSは別々の免疫賦活特性を所有し、多糖に加えて、または多糖の代わりにALPおよびALPSを使用して、とりわけ、関節痛および筋肉痛の治療、ならびに皮膚の弾力性の強化において種々の利益をもたらし得ると考えられる。
【0091】
試験の結果は、Aloeride多糖、ALPおよびALPSを含むAloeExは、Aloeride多糖、ALPおよびALPSが集合的にAloeExのマクロファージ活性化特性(免疫賦活特性)の原因であることを示唆している。
【0092】
IAvDとしては、PLL、AloeEx、ALPとALPSの混合物、多糖およびAloeride多糖(実質的にALPおよびALPSがない)が挙げられる。IAvDには他の材料も含まれ、免疫賦活性誘導組成物を有し、かつTHP−1細胞内でNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現を、本明細書で述べるIAvDの基準を満たす程度に活性化させることが分かっている市販の多糖製剤が挙げられる。
【0093】
IAvDの安定化配合物および組成物が望ましい場合、該配合物は、IAvD材料と共に第2のアロエ由来非IAvD材料を含んでよい。第2のアロエ由来非IAvD材料は、免疫賦活活性がより低い材料および分子量が一般的に1,500,000ダルトン以下の多糖を少なくとも50%含む。
【0094】
IAvDを第2のアロエ由来材料と混合する場合、第2のアロエ由来材料が第2のIAvDであっても非IAvDであっても、当然、個々の炭水化物の割合、および実際には総分子量が変化し得る。さらに、混合物の全活性が変化してよい。例えば、AloeExとMagnAloe AGの20%:80%混合物は、一般的に多糖ではより低い総分子量を有し、AloeExより低い全活性を有し、かつ最も多く見られる炭水化物としてマンノースを有するだろう。
【0095】
これらの第2の非IAvDアロエ由来材料の非限定例として、MagnAloe AG、アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolから成る群より選択される当該材料が挙げられる。
【0096】
配合物中に存在する第2のアロエ由来材料の量は、一般的に第2のアロエ由来材料と第1のIAvDの総量に対して少なくとも約10重量%〜約90重量%である。第2のアロエ由来材料の、第1のIAvDを可溶化、懸濁、乳化および/または分散させる能力が大きいほど、また第2のアロエ由来材料の活性が大きいほど、第2のアロエ由来材料の量は少なくてよい。1つの好ましい実施形態では、第2のアロエ由来材料がMagnAloe AGであり、MagnAloe AGの量がAloeExの量より多く、特に好ましい実施形態では、MagnAloe AG対AloeExの重量比が4:1で供給される。この2つの材料によって結果として形成された均質混合物中、MagnAloe AGがその約80%を形成するだろう。本明細書で記載および定義するように、MagnAloe AGは、本明細書で定義するIAvDとみなすものとは考えられない。
【0097】
他のIAvDおよび非IAvDとして、免疫賦活誘導組成物を有し、かつ200μg/mLのTHP−1細胞内でNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現を活性化させることが分かっている市販の多糖製剤、例えばCarrington Laboratories Inc.(Irving、TX)から入手可能なアロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolが挙げられる。特に、AVMPおよびManapolは、10μg/mLのELPSによるNF−κβの最大活性化に対して2〜4%の範囲の活性化が報告されている非IAvDであると考えられる。
【0098】
本発明では、上記いずれの組成物をも単独で、または組み合わせて利用してよい。
【0099】
皮膚の治療
本発明の一態様は、皮膚の改善または治療が必要な対象の皮膚の外観、テクスチャー、堅さ、および/もしくは弾力性を改善する方法または低下した皮膚の弾力性を治療する方法である。皮膚の改善または治療が必要な対象はいずれの哺乳動物でもあり、特に、皮膚の弾力性の強化または改善が必要なヒトである。これは、皮膚の弾力性の強化または改善が必要な対象に、この対象の皮膚の弾力性の改善を果たすのに十分な時間、有効量のIAvD組成物を投与することによって達成される。皮膚の弾力性の文脈における本発明の改善も治療も、主観的な基礎について何らかの認識できる測定可能以上の改善は必要ない。特に断らない限り、これは、いずれの対象にとっても、例えば、視覚および触覚観察に基づく主観的な基礎に関する改善であってよい。
【0100】
しかし、多くの場合、統計的に有意な改善に基づいて改善を測定する。ANOVAで判断する場合、臨床試験の規定群の被験者で本方法を利用するとき、本明細書で述べるいずれか1つの試験で測定するように試験する。例えば、皮膚の弾力性は伸縮に関係するので、キュートメーターパラメーターUr/Ueは皮膚の弾力性を表す。群1の被験者の70パーセントがキュートメーターパラメーターUr/Ueの改善を示した。ベースラインに対して、パラメーターUr/Ueのこの有意な増加は、本発明の栄養補助食品を摂取した被験者の第12週における29%の改善に相当する。
【0101】
統計的有意性を達成するのに必要な改善の量は、いくつかの因子によって決定される。該因子としては、限定ではなく、対象の数、試験の長さ、弾力性の改善を測定するために使用する技術、対象の状態、剤形のタイプ、使用する1日の用量などが挙げられる。さらに、統計的有意性が少なくとも1つの弾力性試験で得られる限り、ありとあらゆる試験方法論を用いて統計的有意性が達成されることは本発明の要件でない。
【0102】
いずれの通常の経路を介しても本発明のIAvD組成物を投与することができる。しかし、経口および経皮経路を含めた局所経路が好ましい。当然に、投与経路は、投与を達成するために使用する剤形の設計の多くを決定し得る。
【0103】
単一用量に含まれるIAvD組成物の量は、局所適用するかまたは摂取するか否かによって、また何の目的で使用するかによって影響を受ける。しかし、一般的に、選択した剤形に関係なく、皮膚の弾力性を治療するために本発明に従って使用するIAvD組成物の量は、1日当たり約0.0025mg〜約1gの範囲である。これは、アロエ由来材料の総量ではなく、IAvDの量を意味する。IAvD配合物の個々の成分を区別できないことがある。これらの目的のためには、他の材料と混合する前にIAvDがこれらの特性を所有すれば十分である。
【0104】
例えば、IAvDとアロエ由来非IAvDが存在してもよく、またはIAvDが存在してよい。
【0105】
皮膚の弾力性を改善するためのIAvD配合物を単一用量としてまたは1日全体で分割した用量として与えてよく、一般的に投与する用量の数は、1日1〜約6、さらに好ましくは1日1〜4、最も好ましくは1日1〜2の範囲である。これは、本明細書で述べるように、約5μg/mLの濃度で試験した場合に約10μg/mLの濃度を有するELPSで達成される(一般的にAloeEx中で見られる)当該発現レベルの約50%のレベルにTHP−1細胞内のNF−κB誘導ルシフェラーゼ発現を増加させることで特徴づけられるIAvDが示す活性に基づく。この単球/マクロファージ活性化のレベルは、バッチごとに変化するので、同等レベルの活性をもたらすために、より多いかまたはより少ないPLLが必要なことがあることに留意されたい。さらに、他のIAvDは、PLLと比較した場合、より多いかまたはより少ない免疫賦活性であってよい。PLLに匹敵する活性を与えるであろう量のこれらの各IAvDが必要なこともある。
【0106】
したがって、本発明の各剤形に含まれるIAvD組成物の量は、約0.0005mg〜約1gの範囲であってよく、1日の用量、用量の数および投与経路によって決まる。
【0107】
最も好ましくは、経口投与による皮膚の弾力性改善および/または皮膚細胞の再生促進の観点では、IAvD組成物の量は、1日当たり約0.2mg〜約5g、さらに好ましくは約5mg〜約1g、最も好ましくは約10mg〜約500mgの範囲である。また、局所投与する場合、この量は約0.0005mg〜約2.5mg、さらに好ましくは約0.0025mg〜約0.25mg、なおさらに好ましくは約0.0025mg〜約0.025mgの範囲である。これらの量は、約5μg/mLの活性のAloeExの使用に基づく。同様の結果をもたらす他のIAvDの量が考えられる。
【0108】
本発明の好ましい実施形態では、IAvD組成物の毎日の投与を少なくとも7日間、さらに好ましくは少なくとも2週間、さらに好ましくは少なくとも2ヶ月間続ける。最も好ましくは、本発明の材料を対象の生涯を通じて継続的に投与して、皮膚の弾力性を改善かつ維持する。しかし、治療のために投与する量を最終的に減らして、一定の所望レベルの皮膚の弾力性の維持または促進的皮膚細胞再生を達成し得る。したがって、ある治療期間後に一旦皮膚の弾力性が改善されたら、その維持のためにより少ない用量の投与でよい。
【0109】
局所適用の場合、患部の上に直接薬用量を広げてよい。場合によっては、皮膚にこすりつけてよい。他の場合には、薬用量を操作せずに、適用したまま適用域上で吸収させるかまたはそこに残す。IAvDを密封包帯またはIAvDの上に置く何らかの他のタイプの覆いの上にIAvDを適用してもよい。
【0110】
これとは別に、IAvDをパッチ中に配合してよい。IAvDを皮膚の表面または皮膚自体の一部の層もしくは複数の層に送達するように、これらの局所適用を設計することができる。あるいは、より深い局所的または全身的分布のためIAvDを経皮送達するようにIAvDを配合することができる。経口および局所剤形を調製するために使用できる材料のタイプについてはさらに本明細書で論じる。
【0111】
経口投与する場合、錠剤、カプセル剤、散剤、サシェ剤、ロゼンジ剤、ガムキャンディーまたはいずれの他の摂取形態でIAvD組成物を与えてもよい。液体としてまたは摂取前にまず液体に溶かすかまたは液体と混合する固体としてIAvDを提供してもよい。飲み込める剤形であってもよく、または摂取前に口内で固体であり、口内で崩壊してもよい。IAvDを食品上に振り掛けて、食品と一緒に摂取してさえもよい。
【0112】
「促進的細胞再生」はそれ自体で終点であり、促進的細胞再生を強化する方法およびIAvD組成物を用いてこれを達成する製品も企図していることに留意されたい。促進的細胞再生は、望ましくは剥脱している、皮膚の死んだ層下の皮膚細胞の再生である。これは、皮膚の弾力性に関連して述べたのと同じ技術および製品を利用して達成される。
【0113】
関節/筋肉痛
本発明の別の態様は、本発明のIAvD組成物を用いた、改善または治療が必要な被験者の関節痛および/もしくは筋肉痛の改善または治療である。一般的に、皮膚の弾力性に合わせて前述した投与経路および剤形はこれらの方法に同様によく当てはまる。局所適用は、特定の筋肉もしくは筋肉群および/または特定の関節に作用し得る。全身投与(経口または経皮)は、当該同位置の痛みを減らし、かつ/または多くの筋肉群および/もしくは関節にわたるより広範な痛みの軽減をもたらし得る。
【0114】
皮膚の弾力性との関連でも前述したように、本発明のこの態様の治療は、対象ごとの基礎について主観的に測定できる関節痛および/または筋肉痛の減少を意味する。しかし、さらに好ましくは、本発明の成功製品は、長期間にわたって対象群に投与すると、統計的に有意な仕方で十分な治療をもたらすだろう。望ましくは、少なくとも75%の対象が、12週間の治療後に筋肉痛および/または関節痛の頻度の減少、痛み強度の低下または痛みの持続時間の減少を証明するであろう。これは全身または特有の筋肉もしくは関節の痛みであってよい。
【0115】
関節痛および/もしくは筋肉痛の文脈における対象の状態の改善は、治療前、治療中および/または治療後に、それぞれ個々に特定部位でのまたは全身での自分の痛みを評定することによってスコア化する主観的評定システムで決定されることが多い。
【0116】
以前にも注意したように、本発明のこの態様に従って投与するIAvD組成物の量は、投与経路、治療すべき領域、痛みの度合およびタイプなどによって変化するだろう。しかし、この量は、一般的に皮膚の弾力性を改善する方法に関連して前述したのと同じ範囲内であろう。この方法および皮膚の弾力性の改善方法の両方法では、同時または同日内にIAvD組成物を経口と局所の両方で、あるいは何らかの代替または補足計画に基づいて投与することによって、全身およびより特異的に目標とした軽減または改善をもたらすこともできる。
【0117】
本発明によれば、いずれのIAvD組成物を使用してもよい。例えば、本明細書で述べる免疫賦活特性を示すいずれのPLL、いずれのAloeExまたはいずれのAloeride多糖配合物をも使用し得る。本発明は、必要に応じて許容し得る医薬担体または賦形剤と共にIAvDを使用する医薬組成物および方法を包含する。
【0118】
組成物
本発明で使うのに適した医薬組成物は、その意図した目的を果たすために有効な量で活性成分を含有する組成物を包含する。さらに詳細には、治療的に有効な量は、治療する対象の症状の発生を予防するかまたは現存症状を軽減するために有効な量を意味する。この有効な量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力範囲内である。
【0119】
投与する組成物の量は、治療する状態、治療する対象、対象の体重、苦痛の重症度、投与様式および個々の医師または個人の判断によって決まるだろう。
【0120】
上述したように、適切な投与経路として、例えば、経口、経粘膜、局所または経皮が挙げられる。
【0121】
それ自体既知の方法、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、ゲル化、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスを用いて、本発明の医薬組成物を製造することができる。
【0122】
したがって、組成物および化合物を医薬的に使用可能な製剤に加工するのを容易にする賦形剤および補助剤を含む1または複数の生理学的に許容し得る担体を用いて、通常の様式で、本発明で使う医薬組成物を調製することができる。適切な処方は、選択した投与経路によって決まる。
【0123】
経口投与のため、組成物を単独で投与することができ、または活性組成物を技術上周知の医薬的に許容し得る担体と組み合わせて容易に調製することができる。該担体により、治療すべき患者による経口摂取のため、本発明の組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、サスペンションなどとして調製することができる。
【0124】
固体賦形剤を用いて、必要に応じて製剤および/または結果混合物の個々の成分を粉砕または製粉し、所望により、例えば、クリーム、ローション、セラム、散剤、発泡配合物、錠剤または糖衣錠コアを得るため、適切な補助剤を添加した後、成分および/または顆粒混合物を加工することによって、経口および/または局所使用のための医薬製剤を得ることができる。しかし、顆粒化は、使用し得る多くの既知技術の1つにすぎない。
【0125】
適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールなどの糖;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤である。
【0126】
所望により、PVP、ナトリウムデンプングリコラート、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加してよい。
【0127】
糖衣錠コアは適切なコーティングを備える。この目的のため、濃縮糖溶液を使用することができ、必要に応じてアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでよい。識別のためまたは活性組成物用量の異なる組合せを特徴づけるため、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してよい。
【0128】
経口使用できる医薬製剤として、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤、およびゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた軟らかい密封カプセル剤が挙げられる。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、および必要に応じて安定剤との混合物に活性成分を含有し得る。軟カプセル剤では、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に活性組成物を溶解または懸濁させてよい。さらに、安定剤を添加してよい。経口投与用のすべての配合物は、該投与に適した薬用量を成しているべきである。
【0129】
頬側投与のため、組成物は通常の様式で調製した錠剤またはロゼンジ剤の形態を取ってよい。
【0130】
局所投与のため、エマルション、マイクロエマルション、または他の局所クリーム、ローション、ミルク、洗浄液、軟膏、セラムまたはゲルを調製してもよい。AloeExの直接乳化、例えば、AloeEx水中油エマルションの製剤が可能であり、この疎水性コアまたは油相は大部分がAloeExで構成される。他の界面活性剤または処方賦形剤を添加してエマルションを物理的に安定化することができる。
【0131】
局所投与に適した医薬製剤は、約0.05〜約5重量%のIAvD組成物を含有する特にクリーム、軟膏およびゲル、またペースト、フォーム、チンキ剤および溶液である。好ましくは製剤は約0.5重量%のIAvD組成物である。これらの組成物は、必要に応じて、少なくとも1種のIAvDおよびいずれの他のアロエベース材料をも含め、合計量のアロエ由来材料を包含する。臨床試験で論じられた処方では、例えば、0.5%のIAvD組成物はAloeExとMagnAloe AGの1:4混合物で構成された。
【0132】
クリームまたはローションは、典型的に水を50%より多く含有する水中油エマルションであってよい。油性基剤として、特に脂肪アルコール、特に12〜18個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例えばラウリル、セチルもしくはステアリルアルコール、脂肪酸、特に10〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばパルミチン酸もしくはステアリン酸、液状乃至固形ワックス、例えばミリスチン酸イソプロピル、羊毛脂または蜜蝋、および/または炭化水素、特に液状、半固形もしくは固形物質またはその混合物、例えば石油ゼリー(ワセリン)もしくはパラフィン油が使用される。好適な乳化剤は、主に親水特性を有する表面活性物質、例えば対応する非イオン性乳化剤、例えばポリアルコールの脂肪酸エステルまたはそのエチレンオキシド付加物、特に(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールもしくはソルビトールとの対応する脂肪酸エステル(該脂肪酸部分は特に10〜18個の炭素原子を含有する)、特にポリヒドロキシエチレンソルビタンの部分グリセリル脂肪酸エステルもしくは部分脂肪酸エステル、例えばポリグリセロール脂肪酸エステルもしくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、またポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルまたは脂肪酸エステル(該脂肪アルコール部分は特に12〜18個の炭素原子を含有し、かつ該脂肪酸部分は特に10〜18個の炭素原子を含有する)、特に約2〜23個のエチレングリコールもしくはエチレンオキシド単位を有するもの、例えばポリヒドロキシエチレンセチルステアリルエーテル(例えばCetomacrogol)、ポリヒドロキシエチレン−(4)−ラウリルエーテルおよびポリヒドロキシエチレングリセロール脂肪酸エステル(例えばTagat S)、または対応するイオン性乳化剤、例えば脂肪アルコールスルファートのアルカリ金属塩(特に該脂肪アルコール部分中に12〜18個の炭素原子を有する)、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムもしくはステアリル硫酸ナトリウム(通常、脂肪アルコール、例えばセチルアルコールまたはステアリルアルコールの存在下で使用する)である。
【0133】
水相への添加剤は、クリームが乾燥してしまうのを防止する薬剤、例えば湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに保存剤、香料などである。
【0134】
軟膏またはローションは、典型的に70%まで、好ましくは約20%〜約50%の水または水相を含有する油中水エマルションであってよい。脂肪相としては、特に、水結合能を改善するため、好ましくは適切なヒドロキシ化合物、例えば脂肪アルコールまたはそのエステル(例えばセチルアルコールもしくは羊毛脂アルコール)、または羊毛脂を含有する炭化水素、例えば石油ゼリー、パラフィン油および/または硬質パラフィンが好適である。
【0135】
乳化剤は、対応する親脂性物質、例えばソルビタン脂肪酸エステル(Spans)、例えばオレイン酸ソルビタンおよび/またはイソステアリン酸ソルビタンである。水相への添加剤は、とりわけ、湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに保存剤、香料などである。
【0136】
マイクロエマルションは、下記4成分を基礎とする等方系である:水、乳化剤(例えば上述したタイプの乳化剤、例えば界面活性剤、例えばエマルギン(emulgin))、脂質(例えば無極性油、例えばパラフィン油)、および親油性基を含有するアルコール、例えば2−オクチルドデカノール。所望により、他の添加剤をマイクロエマルションに添加してよい。
【0137】
脂肪性軟膏は水を含まず、基材として特に炭化水素、例えばパラフィン、石油ゼリーおよび/または液体パラフィンを含み、また天然もしくは部分合成脂肪、例えばグリセロールの脂肪酸エステル、例えばココナツ脂肪酸トリグリセリド、または好ましくは硬化油、例えば水素化落花生油もしくはひまし油、またグリセロールの脂肪酸部分エステル、例えばモノおよびジステアリン酸グリセロール、ならびに例えば、水吸収能を高める脂肪アルコール、乳化剤および/または軟膏に関連して言及した添加剤をも含有する。
【0138】
ゲルについては、水性ゲル、無水ゲルおよび少量の水を含むゲルの間で区別され、ゲルは膨潤性のゲル形成材料から成る。特に、無機または有機巨大分子を基礎とする透明のヒドロゲルを使用する。ゲル形成特性を有する高分子量の無機成分は、主に含水ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、例えばVeegum、またはコロイドケイ酸、例えばAerosilである。高分子量の有機物質としては、例えば、天然、半合成または合成巨大分子を使用する。天然および半合成ポリマーは、例えば、多種の炭水化物成分、例えばセルロース、デンプン、トラガカント、アラビアガムおよび寒天、ならびにゼラチン、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ならびにそれらの誘導体、例えば低級アルキルセルロース、例えばメチルもしくはエチルセルロース、カルボキシもしくはヒドロキシ低級アルキルセルロース、例えばカルボキシメチルもしくはヒドロキシエチルセルロースを含有する多糖から誘導される。合成ゲル形成巨大分子の成分は、例えば、適宜置換されている不飽和脂肪族化合物、例えばビニルアルコール、ビニルピロリジン、アクリル酸またはメタクリル酸である。該ポリマーの例は、ポリビニルアルコール誘導体、例えばポリビオール、ポリビニルピロリジン、例えばコリドン、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート(特に約80,000〜約1,000,000の分子量を有する)、またはその塩、例えばRohagit S、EudispertもしくはCarbopolである。慣例の添加剤、例えば保存剤、安定剤、または香料をゲルに添加してよい。
【0139】
フォームは、例えば、加圧容器から投与され、エアロゾル形態の液状水中油エマルションであり;噴霧剤として無置換基またはハロゲン化炭化水素、例えばアルカン、例えばプロパンもしくはブタン、またはクロロフルオロ低級アルカン、例えばジクロロジフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタンが用いられる。油相としては、とりわけ、炭化水素、例えばパラフィン油、脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、および/または他のワックスが用いられる。乳化剤としては、とりわけ、主に親水特性を有する乳化剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および主に親脂特性を有する乳化剤、例えばソルビタン脂肪酸エステルの混合物が用いられる。慣例の添加剤、例えば保存剤なども添加される。
【0140】
チンキ剤および液剤は、一般的にエタノール性基剤を有し、この基剤に水を加えてよく、これにとりわけ、蒸発を減少させるための湿潤剤としてポリアルコール、例えばグリセロール、グリコールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに脂肪復元物質(例えば低分子量のポリエチレングリコールとの脂肪酸エステル)、すなわちエタノールによって皮膚から除去された脂肪物質の置換として、水性混合物に溶ける親脂性物質、ならびに、必要な場合、他の補助物質および添加剤を加える。適切なチンキ剤または液剤を適切な装置を用いて噴霧形態で適用してもよい。
【0141】
局所投与できる医薬製剤の製造は、それ自体既知の方法、例えば、基剤に、または必要な場合は基剤の一部に活性成分を溶解または懸濁させることによって行われる。活性成分を液剤の形態で投与する場合、一般的に、乳化前の二相の一方に活性成分を溶かし;活性成分をサスペンションの形態で投与する場合、乳化後の基剤の一部と活性成分を混合してから残りの配合物に加える。
【0142】
皮膚の弾力性の向上および/または皮膚細胞の成長もしくは再生の促進などの局所作用のための局所薬物として、IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを適用し得る。これは、皮膚に適用し、その適用部位で直接作用する治療薬である。病原の部位に治療薬を置かなければならず、皮膚を通して直接吸収され、その効果を発揮する。効果を生じさせるために全身吸収は必要ないと考えられる。
【0143】
全身作用のための局所薬物として、IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを適用し得る。これは、皮膚に適用し、その適用部位から離れた部位で作用して筋肉痛または関節痛を軽減し、皮膚の弾力性を高め、または両方を行う治療薬である。この薬物は体のどこに適用しても、その効果をもたらし得る。配合物は皮膚を通して吸収され、血流に入り、血中で有効レベルに達してからその作用部位に移動して、その効果を発揮しなければならない。
【0144】
当業者には、皮膚浸透向上剤を用いてIAvD組成物(複数可)の全身送達またはより深い筋肉もしくは関節への浸透さえも容易にできることが分かるだろう。この点に関して、浸透向上剤を用いて薬物への皮膚表面の浸透性を高めており、浸透向上剤は、多くの場合ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルアセトアミドなどのプロトン受容溶媒である。研究され、有効であると報告されている他の浸透向上剤として、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(Deet)、1−ドデカル−アザシクロヘプタン−2−オンおよびN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジン、チオグリコール酸カルシウム、ヘキサノール、脂肪酸およびエステル、ピロリドン誘導体、1,3−ジオキサンおよび1,3−ジオキソランの誘導体、1−N−ドデシル−2−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ペンチル−2−オキソ−ピロリジン酢酸、2−ドデシル−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸、1−アザシクロヘプタン−2−オン−2−ドデシル酢酸、およびアミノアルコール誘導体、例えば1,3−ジオキサンの誘導体、その他多数が挙げられる。
【0145】
IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを、使用する剤形に含めて、関節痛、筋肉痛、皮膚の弾力性の損失または皮膚のしわなどのいずれの反応性状態をも治療することができる。
【0146】
医薬組成物は、適切な固相もしくはゲル相担体または賦形剤を含んでもよい。このような担体または賦形剤の例として、限定するものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。
【0147】
状態、疾患、苦痛、創傷などのいずれか、限定するものではないが、関節痛または筋肉痛の1つまたは複数の症状の治療、予防、または改善するための、および皮膚の弾力性を向上させるための安定組成物を提供する。本明細書で提供する組成物は、長期貯蔵中に安定な薬理学的に適切な流体中の、免疫賦活性アロエベラ抽出物またはその誘導体の安定配合物である。本組成物は、投与が必要な対象に直接投与するのに適していてよく、または濃縮形態でもよい。薬理学的に適切な流体としては、限定するものではないが、プロトン性流体を含めた極性流体が挙げられる。本明細書の特定の実施形態では、組成物が水溶液である。他の実施形態では、組成物は非水性またはエマルションである。
【0148】
IAvD組成物を薬理学的に適切な流体または溶媒と配合することができる。薬理学的に適切な流体として、限定するものではないが、極性溶媒が挙げられ、例えば、ヒドロキシル基または他の極性基を含有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。該溶媒として、限定するものではないが、水またはアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、およびグリコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールが挙げられる。
【0149】
極性溶媒には、プロトン性溶媒も含まれ、限定するものではないが、水、食塩水(1種または複数の医薬的に許容し得る塩と共に)、アルコール、グリコールまたはそれらの混合物が挙げられる。溶媒としてかまたは溶媒の成分としての食塩水のためには、特に適切な塩は、投与後に薬理活性を示さないかまたは無視できる薬理活性しか示さない当該塩である。
【0150】
本明細書で提供する組成物は賦形剤および添加剤をも包含し得る。本明細書で提供する長期貯蔵用組成物で使う特定の賦形剤または添加剤は、当業者に周知の方法を利用して経験的に決定され得る。賦形剤および添加剤は、活性物質でないいずれかの薬理学的に適切かつ治療的に有用な物質である。賦形剤および添加剤には一般的に薬理活性がないか、または少なくとも望ましくない薬理活性がない。賦形剤および添加剤としては、限定するものではないが、界面活性剤、安定剤、錯化剤、抗酸化剤、または完成医薬配合物の使用期間を延長する保存剤、香味料、ビタミン、または当技術分野で既知の他の添加剤が挙げられる。
【0151】
錯化剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩、例えば二ナトリウム塩、クエン酸、ニトリロ三酢酸およびそれらの塩が挙げられる。一実施形態では、錯化剤がEDTAである。保存剤としては、限定するものではないが、病原粒子による汚染から溶液を保護するもの、例えば塩化ベンザルコニウムまたは安息香酸、または安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムが挙げられる。抗酸化剤としては、限定するものではないが、ビタミン、プロビタミン、アスコルビン酸、ビタミンEまたはそれらの塩もしくはエステルが挙げられる。
【0152】
本明細書で提供する組成物は、添加剤または活性成分の溶解度を高める共溶媒を含んでもよい。本明細書で提供する長期貯蔵用組成物で使う特定の共溶媒は、当業者に周知の方法を利用して経験的に決定され得る。本明細書で使う共溶媒として、限定するものではないが、ヒドロキシル化溶媒または他の極性溶媒、例えばアルコール、例えばイソプロピルアルコール、グリコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、およびポリオキシエチレンアルコールが挙げられる。
【0153】
他の実施形態では、本組成物はさらにバッファーを含む。バッファーとしては、限定するものではないが、クエン酸/ホスファート、アセタート、バルビタール、ボラート、Britton−Robinson、カコジラート、シトラート、コリジン、ホルマート、マレアート、McIlvaine、phFosphate、Prideaux−Ward、スクシナート、シトラート−ホスファート−ボラート(Teorell−Stanhagen)、酢酸ベロナール、MES(2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸)、BIS−TRIS(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス−(ヒドロキシメチル)メタン)、ADA(N−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸)、ACES(N−(カルバモイルメチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸))、MOPSO(3−(N−モルフォリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、BISTRIS PROPANE(1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MOBS(4−(N−モルフォリノ)−ブタンスルホン酸)、TAPSO(3−(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TRIZMA.RTM.(トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TEA(トリエタノールアミン)、EPPS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、TRICINE(N−トリス(ヒドロキシ−メチル)メチルグリシン)、GLY−GLY(グリシルグリシン)、BICINE(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)、AMPD(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)、および/または当業者に既知のいずれの他のバッファーをも挙げられる。
【0154】
本明細書で提供する所定組成物の特定のバッファーおよびバッファー濃度は、当業者に周知の標準的安定性アッセイを利用して経験的に決定され得る。
【0155】
本組成物は、所望により、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有し得るパックまたは調剤装置で提供されることもある。パックは、例えばブリスターパックのような金属またはプラスチック箔を含んでよい。パックまたは調剤装置は、投与の説明書を付随してよい。適合性医薬担体中で配合された本発明の組成物を含む組成物を調製し、適切な容器内に入れ、指示状態の治療についてラベルを付けてもよい。ラベル上に指示される適切な状態が、ある状態の治療を包含し得る。
【0156】
配合物は、任意成分、例えば、ハーブ、ビタミン、ミネラル、エンハンサー、着色剤、甘味料、香味料、不活性成分などを含んでもよい。このような任意成分は天然に存在する形態でも濃縮形態でもよい。これらの成分の1種または数種の選択は、処方、設計、消費者の好みおよび最終使用者の問題である。
【0157】
本発明の別の態様により、種々の材料を用いて、IAvDの均質なディスパーション、エマルション、サスペンション、溶液などを製造できることが分かった。特に、第2のアロエ由来材料を使用することによって、一定の高活性であるが、一般的に不溶性のIAvDを分散、懸濁、乳化および/または可溶化できることが分かった。当該第2のアロエ由来材料は、第2のIAvDであってよく、またはIAvDとみなすには不十分な活性の材料であってもよい。第2のアロエ由来材料の量は、要望通りに、第1のIAvDの均質ディスパーション、溶液、均質サスペンション、または均質エマルションの製造を可能にするのに十分な量であるべきである。一般的に、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との総量の重量%に対して、少なくとも約10重量%の第2のアロエ由来材料が必要である。
【0158】
本発明の特に好ましい実施形態では、第1のIAvDがAloeExである。第1のIAvDの加工性を改善できるいずれのアロエ由来材料を使用してもよい。第2のアロエ由来材料は一般的に多糖で構成され、該多糖の少なくとも50%が1,500,000ダルトン以下の分子量を有する。この第2のアロエ由来材料として、限定するものではないが、MagnAloe AG、アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolから成る群より選択されるアロエベース材料が挙げられる。MagnAloe AGは、Costa Rica、S.A.のFirst Aloeから入手可能な粉末である。www.firstAloevera.com/magnAloe_information.htmで情報を得ることができる。MagnAloe AGの多糖レベルは、以下に示すように800キロダルトン(KDa)を超える。これは、市販されている噴霧乾燥200−1アロエベラ粉末より平均40%高い。MagnAloe AGは全部で683.1mg/gの多糖を含み、そのうち42.65mg/gの多糖の分子量(MW)が50〜200KDaであり、118.5mg/gの多糖のMWが200〜800KDaであり、366.2mg/gの多糖のMWが800〜1400KDaであり、155.8mg/gの多糖のMWが1400〜2000KDaであると報告されている。MagnAloeの水に対する溶解度は、一般的に約15%である。
【0159】
アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)は、Improve USA、Inc.、215 Dalton Drive、Suite D、DeSoto、TX 75115から入手可能である。アロエベラゲル200xの水に対する溶解度は、一般的に約90〜100%である。
【0160】
エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolは、Carrington Laboratories、Irving、TXから入手可能である。1つの特に好ましい実施形態では、IAvD中の単一の最も優勢な炭水化物がグルコースであり、第2のアロエ由来材料中の単一の最も優勢な炭水化物がマンノースである。
【0161】
一実施形態では、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との総量に基づいて第1のIAvDの量が約10重量%〜約90重量%の範囲であり、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との量に基づいて第2の材料の量が約90%〜約10%の範囲である。1つの好ましい実施形態では、第2の材料の量が第1のIAvDの量より多く、特に好ましい実施形態では、第2の材料対第1のIAvDの重量比が4:1で第1のIAvDと第2の材料を供給する。この両者によって結果として形成される均質混合物中、第2の材料は該混合物の約80%を形成するであろう。さらに別の好ましい態様では、第1のIAvDがAloeExであり、第2の材料が多糖を含むアロエ由来材料(該多糖の少なくとも50%が約1,500,000ダルトン以下の分子量を有する)、例えばMagnAloe AGであり、AloeExの量が、AloeExとMagnAloeの量に基づいて約10重量%〜約90重量%の範囲であり、MagnAloe AGの量が、AloeExとMagnAloe AGの量に基づいて約90%〜約10%の範囲である。1つの好ましい実施形態では、MagnAloe AGの量がAloeExの量より多く、特に好ましい実施形態では、MagnAloe AG対AloeExの重量比が4:1でAloeExとMagnAloe AGを供給する。この両者によって結果として形成される均質混合物中、MagnAloe AGは該混合物の約80%を形成するであろう。
【0162】
一実施形態では、原料AloeExを約80℃に加熱した水と混合することによって、AloeExおよび第2の材料、好ましくは第2のアロエ由来材料を配合することができる。混合物を少なくとも10分間撹拌して材料を均質にする。次いで、好ましくは孔径が15μm以下のフィルターを用いて混合物をろ過する。結果として生じたろ液を本明細書で述べる種々のIAvD組成物を調製する際に利用することができる。
【0163】
AloeExの均質化は、利用する装置によって、熱が必要な場合もあるし、必要でない場合もある。例えばプロセスの一部としてホモジナイザーを用いて均一な粒子サスペンションとすることができる。周知の「カラー」ホモジナイザーを用いて、AloeEx粒径を小さくして、水性のAloeExサスペンションおよび/またはエマルションを調製することができる。
【0164】
AloeExの特徴づけを図1に示す。この材料は褐色から緑色のフレーク状散剤を形成する。
【0165】
図1を参照すると、チャートは、1ロットのAloeEx材料(バッチ56)を炭水化物全体のモル%に基づいて関連糖含量と共に示している。
【0166】
図1は、酸メタノリシスによってサンプルから生成した単糖メチルグリコシドのペル−O−トリメチルシリル(TMS)誘導体の混合ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によって、ジョージア大学、複合炭水化物研究センター(Complex Carbohydrate Research Center)が行ったグリコシル組成物分析の結果を示す。
【0167】
まず、発明者らが提供した乾燥サンプルから、メタノール中1MのHCl中80℃(18〜22時間)でのメタノリシスによってメチルグリコシドを調製し、次にメタノール中のピリジンおよび無水酢酸で再びN−アセチル化した(アミノ糖の検出のため)。そしてサンプルをTri−Sil(Pierce)で80℃にて処理して(0.5時間)ペル−O−トリメチルシリル化した。[これらの手順は、以前にMerkleおよびPoppe(1994) Methods Enzymol.230:1〜15;Yorkら(1985)Methods Enzymol.118:3〜40に記載されている通りに行った。]Tri−Silを添加すると即座に有意レベルの沈殿物に気づいた。5970MSDに連結したHP5890GCで、All Tech EC−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID)を用いてTMSメチルグリコシドのGC/MS分析を行った。
【0168】
単糖を標準物質と比較したその保持時間によって同定し、これらの炭水化物特性をその質量スペクトルによって確証した。質量スペクトルデータを解釈するため、フラグメントイオン73はすべてのTMSメチルグリコシドの特徴的基本フラグメントであり、204および217は中性糖の特徴的フラグメントであり、173はアミノ糖の特徴的フラグメントである。フラグメント217はウロン酸の特徴的フラグメントでもあり、フラグメントイオン298はシアル酸の特徴的フラグメントである。
【0169】
図1は、モル%でグリコシル残基組成を同定する。値は炭水化物全体のモルパーセントとして表されている。炭水化物全体のパーセントを計算すると8.6%だった。測定した構成成分の値は、グルコース61.1%、アラビノース9.5%、ガラクトース9.2%、ガラクツロン酸7.9%、マンノース6.6%、キシロース1.6%、リボース1.5%、ラムノース1.4%およびフコース1.1%だった。
【0170】
臨床試験−皮膚の弾力性−局所配合物
以下に概要を述べる1つの臨床試験は、商標名ALOERIDE(登録商標)のもとで販売されている1つのIAvD組成物の効果を実証する。ALOERIDE(登録商標)を局所投与して皮膚の弾力性を改善することができ、かつ栄養補助食品の成分として使用することもできる。
【0171】
ALOERIDE(登録商標)ゲル0.5%製品#10849LL、ロット#11939の皮膚の弾力性または堅さに及ぼす効果をFairfield、NJのConsumer Product Testing、Inc.による臨床試験で判断した。試験配合物(ALOERIDE(登録商標)ゲル0.5%)はMagnAloe AGとAloeExの重量で4:1の混合物を含み、これを水、アルコール(10%)および少量のカルボポール(Carbopol)(0.5%)と混合してからホモジナイザーを用いて分散させた。AloeEx、水、アルコールおよび少量のカルボポールのディスパーションを用いて、試験ゲルサスペンションを調合した。
【0172】
被験品を規定顔面域に適用する場合に8週間保つのに十分な小型容器に供給した(アルコールは保存剤として働く)。
【0173】
臨床試験はAloeEx機能の二重試験(double test)だった:カルボポールは乾燥しやすく、負の試験性能因子(negative test performance factor)を(−)15%で推定した。臨床試験はAloeEx/MagnAloe AGの、1)4週間および8週間で被験者の統計的多数で細線およびしわを減少させる能力、2)カルボポールに関連するいずれのマイナスの乾燥(negative dryness)をも克服するAloeExの能力を証明した。
【0174】
この臨床試験で用いたAloeExは非分散性/不溶性であり、均質化し難かった。しかし、MagnAloe AGと1:4で混合すると、均質なゲル/エマルションが実現した。
【0175】
40〜65歳の範囲の31人の有資格の男性および女性被験者を試験のために選択した。被験物質は4週間および8週間の評価間隔の両方で皮膚の反発時間の有意な減少を示した。試験参加者には、試験終了時に皮膚の弾力性または堅さの72%までの改善が認められ(図2)、試験参加者の100%に皮膚の弾力性の全般的改善が認められた。年齢と性別に基づいた試験人口統計学的データを図3に示す。
【0176】
被験者は、基礎測定のために試験の初日の洗顔をして検査室に出頭した。いずれの測定(reading)またはスコアリングを行う前にも、周囲条件(21℃±2℃の温度、40%±2%の相対湿度)で環境制御した室内で15分間被験者を平衡させた(equilibrated)。
【0177】
Shanahan.R.W.ら、Parameters for Assessing the Efficacy of Skin Care Products.Drug&Cosmetic Industry、140、第1号、42〜48、1987で開示されているつまみ試験を使用して皮膚の弾力性(堅さ)を測定した。熟練試験者が目の側面、眼窩下域の皮膚を親指と人差し指でつまむことによって、皮膚の弾力性または堅さのスコアを得た。結果として生じた折り目を解放し、解放したときからさらに動かなくなるまで、皮膚の目に見えるすべての動きのタイミングを観察し、1秒の100分の1まで測定した。スコアを測定値の統計解析用データ記録用紙に記録した。
【0178】
ベースライン測定と、それに続く治療後4週間および8週間のスコアリング間隔との間の平均スコアの統計的に有意な(対応のあるt検定を用いてPが0.05以下)減少がある場合に、皮膚の弾力性の改善の存在が立証されたとみなす。
【0179】
図2は、皮膚の平均反発時間(秒)の統計的に有意な減少(皮膚の弾力性または堅さの増加の指標)を示す。すべてのベースライン測定値の平均は、左右の測定でそれぞれ2.09秒および1.96秒だった。4週間の試験間隔で有意な減少が観察され、それぞれ1.60および1.53秒をもたらした。8週間の試験間隔では、皮膚の平均反発時間のさらなる減少が測定され、左右について1.19および1.18秒だった。以前に論じたように、すべての測定間隔についてpを計算するとゼロ以下だったので、結果は統計的に有意だった(図2)。
【0180】
以下に概要を述べる別の臨床試験は、筋肉痛および/または関節痛ならびに皮膚の弾力性を改善するために経口投与した別のIAvD組成物の効果を実証する。
【0181】
臨床試験−皮膚の弾力性−関節/筋肉痛−経口配合物
12週間で皮膚の堅さおよび弾力性を改善し、かつ筋肉痛および関節痛を軽減するように設計された本発明の経口栄養補助食品の有効性を評価するため、Clinical Research Laboratories,Inc.で試験を行った。(その内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする、加齢を軽減するようにデザインされた経口栄養補助食品の安全性と有効性を評価するための二重盲検プラセボ対照パイロット試験(A Double−Blind Placebo Controlled Pilot Study to Assess the Safety and Efficacy of an Oral Supplement Designed to Diminish Aging)、試験番号CRL34706)。この臨床試験で用いたプラセボ錠剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸、二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含有した。実錠剤は、プラセボ錠剤と同じ不活性成分と、MagnAloe AGとAloeExの4:1混合物50mgとを含有した。これらの錠剤を1日2回、起床時および就寝時に経口投与した。
【0182】
本試験は2006年8月30日に開始し、2006年12月15日に終了した。最初に、各被験者について以下のように安全性スクリーニングを行った。
【0183】
安全性評価血液分析
指定された試験来院時に各被験者から採血し、以下の血液試験を行った。
【0184】
白血球分画および血小板数を含む全血球数(CBC)。
【0185】
化学パネル+HDL AST(GOT)、ALT(GPT)、γGt、LDH(LD)、全タンパク質(TP)、尿酸、(UA)、全ビリルビン、尿素窒素(UN)、全コレステロール(HDL、LDL、TG)、Na、K、Ca、Cl
【0186】
尿分析
指定された試験来院時に各被験者から尿試料を得、以下の尿試験を行った。
グルコース、タンパク質、ウロビリノーゲン、血液、pH
【0187】
座位バイタルサイン
スクリーニング来院時に座位バイタルサイン(すなわち、脈拍、血圧および呼吸数)の評価を記録した。
【0188】
妊娠試験
スクリーニング来院時にすべてのパネリスト(閉経後の女性を除く)について尿妊娠試験を行った。
【0189】
皮膚の評価
治療が皮膚に及ぼす効果を判断するため、各被験者の顔面についてCRL技師が皮膚の評価を行って紅斑、水腫および乾燥の有無を調べた。以下のスコアリングスケールを用いて皮膚刺激の証拠の程度および/または重症度を記録した。
【0190】
紅斑、水腫および乾燥のスコアリングスケール
0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度
【0191】
有効性の評価
キュートメーター
可変真空ポンプで吸引力を生じさせ、プローブ中への皮膚の浸透の深さを0.01mmの正確度で光学的に測定する。真空適用を制御し、皮膚の変形を時間の関数としてプロットするコンピュータにプローブを取り付ける。結果として生じた曲線から、即時、遅延および最終伸張(distention)ならびに即時収縮(retraction)などのいくつかの変数を推定することができる(Elsner 1990)。
【0192】
これらの可変値は、皮膚の弾力性、粘弾性および純粋な粘性挙動を予測する(Barelら 1995)。
【0193】
以下のパラメーターを測定した。
10秒で測定した最終膨張、Uf。0.1秒で測定した即時膨張、Ue。遅延膨張、Uv。即時収縮、Ur。
【0194】
変形パラメーターは、皮膚厚に依存性の外因性パラメーターである。
【0195】
皮膚厚の測定を迂回するため、以下の比を用いて皮膚の弾力的性質を評価した(Elsner 1990、Cuaら 1990、KrusheおよびWonet 1995ならびにDobrev 1995)。
【0196】
Ur/Ueは皮膚の生物学的弾力性である。Ur/Ueは、変形後にその最初の形状を回復する皮膚の能力を測定する。値1が100%の弾力性を示す。
【0197】
Uv/Ueは遅延変形と即時変形の比であり、すなわち、Uv/Ueは粘弾性対弾性の比である。この比の値の増加は、変形の粘弾性部分の増加および/または弾性部分の相対的減少があったことを示す。
【0198】
Ur/Ufは皮膚の正味の弾性力の尺度である。
【0199】
本試験は予備スクリーニング来院を含み、この間に臨床試験技師(Clinical Research Technician)が被験者を検査して適格性を判断した。適格な被験者は、顔の目尻に軽度から中等度の細線およびしわを示し、慢性の筋肉痛および/または関節痛があった。この時、血液および尿の分析に備えて、予定されたスクリーニング来院前夜の午後9:00以降は何も飲食しないように被験者に通知した。
【0200】
試験開始前、被験者は予定されたスクリーニング来院のためCRL検査室に到着した。各見込み被験者から採血し、採血に用いた前腕を症例報告書に記録した。尿分析のため各パネリストから尿試料を得、座位バイタルサイン(すなわち、脈拍、血圧および呼吸数)の評価を行って記録し、すべてのパネリスト(閉経前の被験者を除く)について尿妊娠試験を行った。被験者は、コンディショニング期間の残りの期間および試験期間には、試験中に各被験者に与えられる経口栄養補助食品を除き、すべての経口栄養補助食品の使用を中断した。
【0201】
ベースライン時で試験対象集団の皮膚状態を標準化し、異なるスキンケアレジメンの使用に起因するばらつきを最小限にするため、1週間のコンディショニング期間で試験を始めた。被験者は1週間のコンディショニング期間を経る必要があり、この期間、試験開始前のすべての洗顔のためグリセリン石鹸を使用した。スクリーニング来院時、各被験者に詳細な試験の説明書、すべての洗顔に使うための1個のグリセリン石鹸、1日1回使うためのCetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザー(Daily Facial Moisturizer) SPF15、および石鹸の使用を記録し、コンプライアンスを立証するための日誌(Daily Diary)を与えた。被験者は、ベースライン来院前7日に開始して、この石鹸で1日2回(朝と夜)洗顔し始めた。このスクリーニング来院時に、すべての被験者はスクリーニングアンケートに回答した。
【0202】
有資格被験者は、先に言及したスクリーニング来院の安全性評価の結果として、血液および尿試験の結果が正常であり、各パネリストのバイタルサインは正常範囲内であった。さらに、フォローアップ来院および試験要件に同意し、すべての組み入れ/除外基準を満たす適格被験者を試験用の名簿に載せた。
【0203】
ベースライン来院のためCRL試験施設に戻ったら、評価前の30分間周囲の検査室条件に被験者を馴化させた。馴化時間後、紅斑、水腫および乾燥の有無について、熟練CRL専門技術者が各被験者の顔の皮膚の評価を行った。各被験者について、コンピュータ生成ランダム化コードによる決定通りに、測定のため顔の右または左側を選択した(図4)。測定の選定は試験を通して一貫したままだった。顔の同側の眼下の頬骨部分からキュートメーターの示度を得た。すべての測定を適切に記録した。各被験者は、筋肉痛および関節痛のタイプと頻度を評価するため、ベースライン消費者知覚アンケートに回答した。
【0204】
特定の被験物質を各被験者にランダムに割り当てて、群1のパネリストは実錠剤を受け、群2のパネリストはプラセボ錠剤を受けた。被験者群への指定はコンピュータ生成ランダム化コードに従って決定された。治療の指定/群の割当ては、試験を通して一貫したままだった(図5〜6)。
【0205】
各被験者に指定被験物質と、詳細な試験説明書と、栄養補助食品の毎日の使用回数、Cetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザーSPF15の毎日の適用、および栄養補助食品の使用に関連するいずれの示唆コメントをも記録するための新しい日誌とを与えた。
【0206】
印刷された試験説明書には各来院の試験手順およびClinical Research Laboratories,Inc.への再来院の予約日時が詳述された。被験者は、支給されたグリセリン石鹸の1日2回の使用、およびCetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザーSPF15の1日1回の使用を続けるように指導された。
【0207】
各被験者は、電話経由で、CRL技師によって第4週コンプライアンスチェックを受けた。指定経口栄養補助食品を8週間摂取後に、被験者はCRL試験施設に報告し、各パネリストを30分間周囲の温度と湿度に馴化させた。馴化後、熟練CRL技師がすべての被験者の顔の皮膚の評価を行った。キュートメーターで測定した。ベースライン試験間隔について先に説明したように、これらの手順および評価を行って記録した。
【0208】
栄養補助食品を12週間使用後に、被験者はClinical Research Laboratories,Inc.に出頭し、各被験者を30分間周囲の温度と湿度に馴化させた。各被験者から採血し、採血のために用いた前腕を症例報告書に記録した。最後の尿試料を各パネリストから得た。熟練CRL技師が、紅斑、水腫および乾燥の有無について顔の皮膚の評価を行った。顔の同一側の眼下の頬骨部分からキュートメーターの測定値を得た。すべての測定値を適切に記録した。
【0209】
第12週時、すべての被験者は最終アンケートに回答し、被験物質および日誌の未使用分を返却した。
【0210】
統計的方法
本試験の有意な結果をもたらす主要な有効性パラメーターは、キュートメーター測定値および消費者知覚アンケートである。
【0211】
一元配置ANOVA検定(反復測定)を各群に適用して、すべてのパラメーターについてベースラインと第8週の間およびベースラインと第12週の間に差があるかを判断した。全体的なF検定が有意な場合、チューキー(Tukey)の多重比較検定をさらに適用してどこに有意差が存在するかを判断した。ANOVA検定は、F検定を利用して治療の手段または時間間隔の間に有意差が存在するかを判断する。F検定が帰無仮説を棄却する場合、通常、因子水準効果の性質の徹底解析を行う必要がある。チューキー検定は多重比較手順である。これは、同時に1対より多くの手段または割合を調査または比較するが、全体の有意水準が単一対の比較の場合に指定されるものと同じになるように全体の有意水準を制御する方法である。
【0212】
群1(本発明の被験物質栄養補助食品に割り当てられた被験者)と群2(プラセボ被験物質栄養補助食品に割り当てられた被験者)との間の比較は、各時間間隔(第8週および第12週)におけるベースラインからのパーセント変化率に基づいた。2サンプルt検定を適用して、群1と群2の間に有意差が存在するかを判断した(図8A〜8D)。
【0213】
0.05以下の両側p値は、信頼水準95%に相当する有意性の基準だった。すべての統計的コンピュータ処理はマイクロソフトのExcelまたはSAS(登録商標)統計解析ソフトウェアを用いて行った。
【0214】
結果
20名の被験者が試験を完了した。1名の被験者(#7)は、被験物質と無関係の理由で試験参加を途中で中止した。
【0215】
有害事象
2006年11月20日、被験者#6(プラセボ製品に割り当てられた)は、プラセボ錠剤を摂取してから約9週間後の2006年11月17日に、彼女の顔の両側の頬域内および上胸部上に赤い発疹および蕁麻疹様の隆起に気づいたことを報告した。この被験者は、これらの領域にかゆみがあったことも報告した。2006年11月20日に、CRL認定皮膚科医による検査時に、この被験者はツタうるしかぶれと診断された。被験者#6は試験参加を継続した。治験責任医師は、この中等度の重症度の有害事象は被験物質の使用とは全く関係ないと判断した。CRL技師がフォローアップの電話をかけ、各会話からの情報を以下のように記録した:2006年11月22日、被験者は蕁麻疹が消失し、顔面発赤が縮小しつつあると報告した。
【0216】
2006年11月27日に、被験者#6は、蕁麻疹が乾燥しつつあり、ほぼすべての発赤がなくなったことを示した。2006年12月8日に、この被験者は、毒素がなくなり、有害な顔面皮膚状態が完全に解消されたと報告した。
【0217】
機器測定、皮膚評価およびアンケートへの回答
両被験者群について、図7A〜Dは、各指定試験間隔での各パネリストのキュートメーター測定を要約する。表VIは、ベースラインに対する第8週と第12週の測定間の差を比較するために決定した統計的変数を列挙する。各被験者について、表VIIは、紅斑、水腫および乾燥の存在についてベースライン、第8週および第12週の皮膚の評価スコアを列挙する。表VIIIは、スクリーニングアンケート[両被験者群を合わせて]に対する百分率に基づいたアンケートデータを列挙する。表IXおよびXは、群1(実錠剤に割り当てられた被験者)および群2(プラセボ錠剤に割り当てられた被験者)のベースラインおよび第12週(最終)の消費者知覚アンケートに対する百分率に基づいたアンケートデータを列挙する。これらのアンケート表には、オープンエンドの質問も含まれる。
【0218】
結論
各被験者について、試験手順は、血液および尿の分析、座位バイタルサイン、妊娠試験(閉経前のパネリストを除く)、キュートメーター測定および消費者知覚アンケートを包含した。
【0219】
血液分析
各被験者について、上述したように、ベースラインおよび第12週の試験間隔で血液分析を行った。ベースラインで認められた所見については第12週では臨床的に有意な所見は認められなかった。
【0220】
尿分析
上述したように、ベースラインおよび第12週の試験間隔で各被験者から尿試料を得た。ベースラインで認められた所見については第12週では臨床的に有意な所見は認められなかった。
【0221】
有効性の評価
キュートメーターパラメーターUr/Ueによって評価した場合、群1の被験者(原成分被験物質栄養補助食品10853LLAに割り当てられた)ではベースラインと第12週との間に統計的有意差が存在した。キュートメーターパラメーターUr/Ueは伸張および収縮に関連するので、皮膚の弾力性を表す。群1の被験者の70%がキュートメーターパラメーターUr/Ueの改善を示した。ベースラインに対して、パラメーターUr/Ueのこの有意な増加は、第12週で29%の改善に相当し、本発明の栄養補助食品である10853LLAを摂取した群1の被験者では皮膚の弾力性および伸展性が改善したことを示唆している。図7A〜8Dは、試験結果の統計解析を要約する。図7Dは、ベースライン乃至第12週のUr/Ueの統計的に有意な改善を示す(p=0.0109)。
【0222】
Zスコア解析によって解析したアンケートへの回答は、第12週(最終)アンケートでの質問番号10〜15から成っていた。後述するように、Zスコア解析に適用できる、第12週(最終来院)における試験対象集団の消費者知覚アンケートへの好ましい回答を分析すると、各被験者が回答したアンケートに統計的有意性(絶対値1.96以上のZスコア)があった。
【0223】
実錠剤である10853LLAに割り当てられた群I試験対象集団の有意な割合が栄養補助食品を12週間使用した後に改善を認め、被験者は以下の治療効果に関して好ましい回答をした。
【0224】
約85%の被験者が、本品を12週間使用した後、筋肉痛および/または関節痛の頻度が減ったことを認めた。
【0225】
約85%の被験者が、本品を12週間使用した後、全体的な痛みの強度が低減していることを認めた。
【0226】
約90%の被験者が、本品を12週間使用した後、痛みがそれほど長くは続かなかったことを認めた。
【0227】
約85%の被験者が、自分の関節痛および/または筋肉痛に本品がプラスの効果があることを認めた。詳細な統計結果を図8A〜Bに示す。
【0228】
プラセボ錠剤である10853LLBに割り当てられた群2試験対象集団では、栄養補助食品を12週間使用した後に好ましくない回答が報告された。結果を図9A〜Bに示す。
【0229】
試験参考文献
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BlichmanおよびSerup、Acta Derm Venereol、1988。
Cua、MaibachおよびWilhelm、Dermatologica Research、1990。
Dobrev、Sixth Congress of Dermatology and Venerology、Pleve、Bulgaria、May 11〜13、1995。
Elsner、Eighth International Symposium “Bioengineering and the skin”、Stresa/ltalia、June 1990。
Frankowski、ChenおよびHuth、Photonics West Annual Symposium、Electronics Imaging 2000、San Jose、January 23〜28、2000。
Fiorentini、Becheroni、Iorio.Int.J.Cosmet.Sci.26〜29、1988。
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Randeau、Kurdian、Sirvent、ClossおよびGirard、Cosmetics and Toiletries Manufacture Worldwide 2002。
Simon、Arzliche Kosmetologie、256〜259、1984。
【0230】
上述したすべての参考文献は、その内容を参照によって本出願に明白に組み込むものとする。
【0231】
単球活性化アッセイの方法
単球活性化アッセイを用いて免疫賦活活性を評価した。THP−1ヒト単球細胞系を、前述したように、HIV/IgKのためのNF−κBモチーフの2つのコピーを含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物でトランスフェクトした。この単球活性化アッセイは、アロエベラ抽出物および製品材料の生物活性に基づいた標準化のために使用できるインビトロ試験システムの例である。
【0232】
トール様受容体2(TLR2)発現ベクター実験の方法
ウシ胎児血清(10%)および1%ペニシリン−ストレプトマイシンで補充したDMEM/F12培地内で5%CO2下、37℃にてHEK293細胞を培養した。活発に成長する細胞をエレクトロポレーションを利用して適切なプラスミドで一時的にトランスフェクトした(150Vおよび1回の70msパルスで)。エレクトロポレーション後、細胞を200μl/ウェルの培養培地内で5×104個の細胞密度にてプレートした。48時間後、トランスフェクトされた細胞に被験薬剤を添加した。サンプルの添加6時間後に細胞を収集してルシフェラーゼ活性を測定した。NF−κBプラスミド構築物(pBIIXLUC)は、HIV/IgK由来のNF−κBモチーフの2つのコピーを含有した。ヒトCD14とヒトTLR2を同時発現しているプラスミド(pDUO−hCD14/TLR2)はInvivoGenから購入した。ザイモサン(Zymosan)はSigmaから購入し、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)ペプチドグリカンはFlukaから購入し、超純粋なサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)LPSはList Biological Laboratories,Inc.から購入した。
【0233】
AloeExはTLR2依存性プロセスを介してNF−κBをインビトロで活性化する。
図10A〜10Bは、AloeEx(バッチ2−5−05)がTLR2を介して作用することを示す。NF−κBのための2つの結合部位を含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物のみで(図10A)、またはpDUO−hCD14/TLR2発現プラスミドと併用して(図10B)、HEK293細胞(TLR発現が最小限の細胞系)を一時的にトランスフェクトした。pDUO−hCD14/TLR2発現プラスミドはTLR2−(CD14およびTLR2)依存性NF−κB活性化を支持するタンパク質を発現する。トランスフェクション48時間後に細胞をAloeEx TLR2アゴニストペプチドグリカン(PG)もしくはザイモサン(Z)、またはTLR4アゴニスト超純粋S.ミネソタリポ多糖(LPS)で指示濃度(μg/ml)にて処理した。薬剤の添加6時間後にルシフェラーゼ活性を決定した。
【0234】
TLR2特異性(ペプチドグリカンもしくはザイモサン)またはTLR4特異性(超純粋LPS)リガンドもAloeExも、レポータープラスミドのみでトランスフェクトされたHEK293細胞内のNF−κB依存性ルシフェラーゼ発現を活性化しなかった(図10A)。AloeExは、TLR2依存性(CD12およびTLR2を発現する)活性化を支持する細胞内のNF−κBを活性化した(図10B)。ペプチドグリカンおよびザイモサンも、TLR2およびCD14を発現している細胞内のNF−κBを活性化した。それに比べて超純粋LPSは活性化しなかった。
【0235】
AloeEx中のALPSおよびALPの存在
発明者らは、AloeExがアロエベラと関連する微生物に由来する可能性が最も高い細菌LPSおよび細菌リポタンパク質を含有することを実証した。AloeEx中のこれらの細菌成分の存在は、AloeEx由来の製品の治療特性に寄与すると考えられる。
【0236】
AloeExを90%の水性フェノール:水(1:1)で70℃にて抽出した。抽出物を冷却し、引き続き遠心分離すると、2層(水とフェノール)および不溶性材料のペレットが形成された。水層はALPSを含む。リポタンパク質上の非極性脂質部分のため、フェノール層はALPを含む。この手順を利用して、AloeEx(バッチ056)を水層画分、フェノール層画分および不溶性材料中に分けた。水層画分を凍結乾燥させた(収率8.9%)。2体積のエーテル:アセトン(1:5)と4体積の酢酸エチルを添加して、フェノール層中の材料を沈殿させた。フェノール層沈殿物を酢酸エチルおよびイソプロパノールで広範囲に洗浄してから60℃で乾燥させた(収率45%)。元のAloeEx材料、水層画分、フェノール層画分および不溶性材料をすべて単球アッセイで試験した(図11)。NF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドによるトランスフェクション24時間後に細胞を指示サンプル(μg/mlの濃度)で4時間処理した。ルシフェラーゼ活性を決定し、LPS処理細胞からの最大光出力のパーセントとして記録する。水層とフェノール層は両方ともそれぞれ細菌ALPSおよびALPに起因すると考えられる実質的な単球の活性化を示した。不溶性材料も、5μg/mlで試験した場合に35%だけNF−κB活性化を促進するその能力によって示されるように活性だった。
【0237】
AloeExフェノール層画分中のALPの特徴づけ
フェノール層画分材料を3回4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(26mg/ml)で100℃にて30分間抽出した。SDSに溶けない材料を遠心分離で除去して単球アッセイで試験すると、元のフェノール層画分中に存在する全活性の約1〜2%だけ含有した。
【0238】
フェノール層画分のSDS抽出物を、50mMのTRIS(pH7.5)中のTritirachium album(Sigma)由来プロテイナーゼK0.1mg/ml(3.9単位/ml)、5mMのβ−メルカプトエタノール、および5mMのCaCl2と2時間50℃でインキュベートした。次にその消化物を98℃で10分間加熱した。プロテイナーゼKのない対照サンプルを同一条件下で試験した。SDSポリアクリルアミドゲル分析のため、抽出物(プロテイナーゼK処理および未処理)を1体積のトリス−トリシン(Tris−Tricine)サンプルバッファー(Bio−Rad)と混合し、16.5%トリス−トリシンプレキャストゲル(Ready Gel、Bio−Rad)の非隣接レーン内に装填した。装填されたサンプルの量は、130μgのAloeExフェノール層画分中に存在するSDS抽出可能材料に相当した。広い分子量範囲のタンパク質マーカー(Sigma)をゲルに流した。個々のゲルレーンを12等区分に切断し(0.5cm/区分)、150μlの1.5%オクチルグルコシド、2.5mMのTRIS(pH7.5)、5mMのCaCl2で95℃にて5分間抽出した。サンプルの上清を収集し、単球活性化アッセイで活性について評価した。
【0239】
図12は、タンパク質がAloeExフェノール層画分による単球の活性化の直接の原因であるとは思われないが、むしろタンパク質はこの活性の原因である分子の一部であることを示す。このことは、SDS−ポリアクリルアミドゲル上の分別法によって決定されるように、プロテイナーゼK処理後の活性化合物の見掛けの大きさの減少によって示される。プロテイナーゼK処理後に66〜6.5kDaの領域では活性の実質的な減少があり、6.5kDa〜ゲル前部の領域では活性の増加があった。この結果は、プロテイナーゼKの消化はリポタンパク質の活性を低減しない(すなわちリポタンパク質のタンパク質成分は単球活性化に必要ない)が、プロテイナーゼK処理は、SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分別するとき、リポタンパク質の大きさを減少させるという点で、細菌リポタンパク質によって得られた結果に類似している。図12中、「C」および「PK」と標識した黒棒は、ゲル上での分別前の、それぞれ未処理およびプロテイナーゼK処理AloeExフェノール層画分の活性を表す。
【0240】
AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出物のリポタンパク質リパーゼに対する感度を決定するため、0.88%オクチルグルコシドの存在下でSDS排出試薬(Pierce)を用いてSDSを除去した。このサンプルを次に10μMのAEBSFプロテアーゼインヒビターカクテル溶液(Sigma)および0.2%BSA(Sigma、番号A−9418)の最終濃度に調整した。このサンプルをシュードモナス(Pseudomonas)種(Sigma、番号L9656)由来のリポタンパク質リパーゼ39,600単位/ml(1mg/ml)と37℃で16時間インキュベートした。対照サンプル(リポタンパク質リパーゼなし)を同一条件下で処理した。リポタンパク質リパーゼ処理サンプルおよび未処理サンプルの活性を単球活性化アッセイを利用して評価した。
【0241】
図13に示す結果は、AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出物中に存在する活性がリポタンパク質リパーゼによる処理で完全に阻害されることを示す。図12で示した結果と共にこの結果は、AloeExフェノール層画分中の活性がALPに起因することを確証する。この手順は、AloeExがアロエベラと関連する微生物由来であると考えられるALPを含有することを実証した。AloeEx中の他成分と併せたこの細菌成分の存在がこの製品の治療特性に有意に寄与すると考えられる。
【0242】
AloeEx中のALPSの特徴づけ
以下にAloeEx(バッチ056)中に存在するALPSの量およびこの材料由来の2つの画分(水層画分およびフェノール層画分)の量を要約する。
AloeEx(バッチ056) 625〜6250EU/mg
AloeEx水層画分 62,500〜625,000EU/mg
AloeExフェノール層画分 <4.8EU/mg
【0243】
Pyrosate LALアッセイキット(Associates of Cape Cod Inc)を用いて製造業者の使用説明書に従ってALPSの量を見積もった。予想通りに、水層画分は、フェノール層画分に比し、AloeEx中に存在するALPSの本質的にすべてを含有した。このデータは、AloeExがアロエベラと関連する微生物由来であると考えられるALPSを含有することを実証した。AloeEx中の他成分と併せたこの細菌成分の存在がこの製品の治療特性に寄与すると考えられる。
【0244】
皮および粘液がアロエベラ中の単球活性成分の大部分を含有する
アロエベラ葉を3つの基本構造部分、すなわちゲル、外皮および粘液(ゲルと外皮の間の層)に分割することができる。アロエ葉のどの部分が最高レベルの単球活性化成分を含有するかを決定するため実験を行った。1枚のアロエベラ葉から、内皮表面に平行にナイフを通すことによって、慎重にゲルを切り抜いた。ゲルの除去後、バイアルの縁上に葉をこすりつけて粘液部分を収集し、それを外皮から分けた。3成分すべておよび全葉アロエの切片を凍結乾燥させ、粉砕して微粉末にした。次に各サンプルを広範囲にメタノールで抽出して、アントラキノンなどの単球活性化アッセイで阻害作用を及ぼす無極性物質を除去した。無極性物質を除去したサンプルを水中の微細サスペンションとして調製した。NF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドによるトランスフェクションの24時間後に、THP−1細胞を調製サンプルで4時間処理した。ルシフェラーゼ活性を決定し、ELPS処理細胞からの最大光出力のパーセントとして記録する。図14は、異なるアロエベラ葉部分の反応および全葉材料の反応を示す。このデータは、粘液層と外皮がアロエ葉中の単球活性化成分の大部分を含有することを示唆している。この実験では、各葉部分がアロエ葉の総乾燥重量に占めるパーセントは、ゲル(8.7%)、粘液層(6.2%)および皮(85.1%)だった。
【0245】
外皮と粘液層が単球活性化成分の大部分を含有し、かつこれらの部分がアロエ葉中の乾燥固体の大部分をも含むので、発明者らは、外皮と粘液層が商業的利益を持つと結論を下す。典型的に、外皮は、ゲルを除去した後かまたは全アロエ葉を加工してアロエジュースを作製した後に廃棄物として捨てられる。別の廃棄物はアロエパップ(より大きい植物から生じる小さいアロエ植物)である。アロエパップは大部分はゲルがほとんどない皮を含むので、商業的価値は少ないとみなされている。皮およびアロエパップ廃棄物を加工して、例えば、免疫機能を高める栄養補助食品を製造できる。乾燥した皮を粉砕して粉末にして加工してアントラキノンを除去できた。この材料をさらに抽出によって加工して粗製抽出物および精製画分を製造できた。粗製抽出物および精製画分の目的は、AloeExおよび/またはアロエベラと関連する微生物および微生物フラグメント/成分の量を濃縮することであろう。
【0246】
AloeEx中の単球活性化成分は洗浄剤で抽出可能かつ溶ける
種々の製品(例えば化粧品用)の開発のため、AloeEx材料中の免疫強化成分を可溶化することが望ましいだろう。免疫強化成分は、アロエベラと関連する微生物由来のAloeride多糖、ALPおよびALPSを包含するだろう。既に述べたように、AloeEx材料の免疫強化成分の有意部分を水層画分とフェノール層画分に分別することができる。フェノール層画分中に存在する免疫強化活性(ALP)を4%SDSで100℃にて完全に抽出/可溶化することができる。水層中に存在する免疫強化活性(ALPSおよびAloeride多糖)は水に溶け、SDSにも溶ける。
【0247】
AloeExのSDSによる抽出は、この材料中に存在する免疫強化成分の有意部分を可溶化する、可能性のある方法であることを意味する。このデータは、他の既知洗浄剤(製品配合物とさらに適合性のものを含めて)もAloeEx材料中の免疫強化成分の抽出/可溶化に役立つ可能性があることを示唆している。この洗浄剤抽出方法を用いて、全葉、皮、アロエパップなどの原材料由来の単球活性化成分(すなわちAloeride多糖およびアロエベラと関連する微生物成分)を可溶化することもできた。
【0248】
アロエベラと関連する微生物および微生物成分/フラグメントの単離による抽出物の製造方法
実証したように、アロエベラと関連する微生物由来の細菌産物はAloeExの免疫強化特性のかなりの部分の原因である。AloeExがアロエベラのインビトロ単球/マクロファージ活性化の可能性の大部分を占めることが分かる。したがって、微生物由来の細菌産物はアロエベラの免疫強化特性のかなりの部分の原因であると考えられる。
【0249】
廃棄物材料(例えば残り物の皮、アロエパップなど)を含めた粗製アロエ材料および/またはアロエベラ原材料から、アロエベラと関連する微生物および/または微生物成分/フラグメントの量を濃縮する抽出物を調製することができる。溶媒を用いて細菌リポタンパク質および/または他の細菌成分を抽出することによって、粗製抽出物を加工して精製画分を作製することができる。これらの画分に含まれるアロエベラと関連する細菌成分レベルは向上しているだろう。精製画分を調製するために使用し得る溶媒として、洗浄剤、例えばSDS、水、水混和性溶媒、例えばアルコール、およびこれら溶媒の組合せまたは当技術分野で周知の他の溶媒が挙げられる。
【0250】
以下の手順を用いて、アロエベラと関連する微生物および/または微生物成分/フラグメントの量を濃縮する抽出物を調製することができた。当技術分野で既知の方法を用いてアロエベラ原材料(ゲル、全葉、皮、パップなど)を液化することができる。この液体を粗ろ過に供して繊維材料を除去することができる。食品グレードの凝集剤(清澄剤または同様の物質)を液化アロエに添加して粒子(細菌、他の微生物、微生物フラグメント/成分)の凝集体を作製することができる。次にこれらの凝集粒子を当技術分野で既知の方法を用いて残存液体から分離することができた。該方法として、遠心分離、ろ過、沈降法後のデカンテーション、ネットを用いて液体から凝集体をろ過する方法などが挙げられる。存在する場合、アントラキノンを除去するため、アルコールによる洗浄/抽出などの技術を利用して最終収集材料を加工することもできる。所望により、結果として生じた材料を乾燥させることができる。
【0251】
標準化アロエベラ製品の製造方法
生物学的および化学的標準化は、本発明で述べる免疫強化薬剤を含有するアロエベラ製品を標準化するために使用できる2つの方法に相当する。両方法を抽出材料または原材料のどちらかを標準化するために使用することができる。標準化の目的は、各バッチの製品材料が確実に同レベルの活性成分を含有するようにすることである。
【0252】
一方法では、有効量の免疫賦活活性を含有する生理活性標準化アロエベラ製品を調製する。この方法では、免疫細胞の活性化についてアロエベラ製品材料をインビトロで試験してから生理活性を標準製剤の免疫賦活値と比較して該製品の標準化活性値を決定する。インビトロ試験システムの例は、前述した単球活性化アッセイである。製品材料の生理活性に基づいた標準化は、活性成分の化学的含量が未知の構造−活性関係および/または複数の活性間の複雑な相互作用による生理活性と関係がない場合に重要である。このような状況下では、活性物質の量は製品材料の効能を反映するには十分でなく、生物学的アッセイを利用した標準化が望ましい。インスリンおよびサイトカインなどの生物学的薬剤の製薬業界では生理活性標準化を使用している。
【0253】
別の方法では、アロエベラと関連する微生物に由来する有効量の免疫賦活性リポタンパク質を含有する、化学的に標準化したアロエベラ製品を調製する。標準化のために使用し得る化学マーカーは2,3−ジヒドロキシプロピルシステインである。この修飾されたシステインアミノ酸は、原核生物由来の免疫賦活性であるリポタンパク質に独特であると考えられる。この方法では、2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量についてアロエベラ製品材料を試験してから標準製剤中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量と比較して、該製品の標準化値を決定する。
【0254】
ある実施形態では、食品グレードの凝集剤、清澄剤または凝固剤を用いて微生物凝集体を形成してよい。例としては、限定するものではないが、例えば、明礬、水和塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化カルシウム、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、ポリアクリルアミド、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムおよびそれらの組合せが挙げられる。凝集剤としても使用できる天然製品としては、キトサン、ワサビノキ(Moringa oleifera)種子、パパイン、マチン属(Strychnos)の種(種子)、アイシングラス(Isinglass)およびそれらの組合せが挙げられる。他のこのような材料は当業者に周知である。
【0255】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明について述べたが、これらの実施形態は本発明の原理および適用の単なる例示であるものと解釈すべきである。したがって、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの例示実施形態に多くの修正を加えることができ、かつ他のアレンジメントを案出できるものと解釈すべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、その開示内容を参照によって本明細書に組み込まれる2007年5月11日出願の米国仮特許出願第60/928,924号の出願日の利益を主張する。
【0002】
一態様では、本発明は、皮膚の強化および痛みの軽減のための、アロエベラ植物もしくはその一部から製造、単離、もしくは抽出され、またはそれらに基づくかもしくは由来する生理活性組成物の使用に関する。本発明は、免疫賦活性組成物、安定化免疫賦活性組成物、ならびに該組成物の製造および使用方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
アロエ属(ユリ科(Liliaceae))は低木の熱帯/亜熱帯植物であり、多肉多汁の細長い葉を有する。360を超える既知のアロエ種のうち、Aloe barbadensis Miller(Aloe vera Linne)は、商業的にもその治療特性のためにも最も広く利用されている。アロエベラ植物は2つの主要な汁材(juice material)を含み、第1の汁材は、数世紀にわたって下剤としておよび薬物の下剤のために使用されている高濃度のアントラキノン化合物を含有する黄色浸出液であり、第2の汁材は、古代以来、やけどおよび他の創傷を治療するために使用されている清澄な粘液質ゲルであり、治癒の速度を増し、感染のリスクを低減すると考えられる。Grindlay,D.Reynolds,T.,J.Ethnopharmcol.1986,16(2〜3),117〜151;およびJoshi,S.P.,J.Med.Aromat.Plant Sci.1998,20(3),768〜773を参照されたい。
【0004】
数世紀の間、アロエ植物は、その薬用特性および治療特性を有するとみなされ、このような特性の基礎についていかなる明白な理解または科学的分析もなく、該特性のために使用されてきた。アリストテレスは、アロエの治癒特性が戦闘で負傷した兵士に非常に有益であることに気づき、彼の生徒アレキサンダー三世(「大王」)に、アロエを栽培しているすべての領土、特に東アフリカの海岸沖のソコトラ島を征服するように助言した。ローマ軍の医師であるペダニウス・ディオスコリデス(Pedanius Dioscorides)は、彼の百科事典ギリシア薬草薬物誌(Greek herbal De Materia Medica)(紀元前約75年)で薬物アロエに言及した。さらに、新鮮なアロエ植物の生物学的活性は非常に速く衰退することが知られている。
【0005】
過去数十年にわたって、免疫機能強化に関するその有益な効果の原因であるアロエの活性成分の理解を発展させることに高いレベルの関心があった。この分野の調査は主に多糖および他の炭水化物含有物質、例えば糖タンパク質に集中していた。
【0006】
米国特許第7,196,072号(「’072特許」、第5,902,796号、第4,735,935号、第4,851,224号、第4,917,890号、第4,957,907号、第4,959,214号、および第4,966,892号に記載されているように、例えば、アロエ葉の多糖または他の炭水化物含有物質を含めた活性化学物質および混合物が同定、単離および安定化されている。
【0007】
ある活性化学物質群はアロエベラ粘液質多糖と呼ばれており、多糖の混合物で構成されている。用語「多糖」は、炭水化物または単糖のオリゴマーおよびポリマーの両方を含めて大雑把に使用されており、本明細書でも同様に使用する。このような多糖の1群はエースマンナン(acemannan)と命名されている。
【0008】
文献によれば、エースマンナンは、Carrington Laboratories,Inc.(Irving,Tex.)から入手可能な実質的にアセチル化されたマンノースモノマーの規則性直鎖ポリマーであり、実験室研究において、組織培養で線維芽細胞の複製を48時間で300%まで増やすことが示されており、線維芽細胞は皮膚および胃腸内面のやけど、潰瘍ならびに他の創傷を治癒させる役を担っていることが分かっている。
【0009】
3年間にわたり、その胃がヒトの胃と同様に反応する実験室ラットを試験した。エースマンナンは、胃潰瘍の治療に使われている当時最新の薬物と等価またはそれより優れていることが分かった。大部分のそのような製品は胃内の塩酸を抑制するように作用した。エースマンナンは異なる原理に基づいて働き、一見したところ消化酸の自然の流れを変えなかった。米国特許第5,902,796号、2欄、20〜25行を参照されたい。
【0010】
エースマンナンは、培養内におけるヒト末梢血接着細胞によるIL−IおよびプロスタグランジンE2(PEG2)の産生の誘導物質であることが分かっている。IL−Iは、リンパ球、線維芽細胞、Bリンパ球および内皮細胞の活性および産生に影響を及ぼすと文献で報告された重要なマクロファージ産物である。かつてのScientific American,258(5):59〜60,69〜75(1988)を参照されたい。
【0011】
IL−1は、創傷治癒にとって基本的である線維芽細胞の増殖を誘発する。またIL−1は、(1)骨髄活性を強化し(それは骨髄が低下している個体にとって治療的であり得る)、(2)一般的に免疫系を強化する。
【0012】
文献によれば、混合リンパ球培養(MLC)を用いた一連の実験は、エースマンナンが用量関連様式でこれらのリンパ球の同種抗原反応を増強することを示した。エースマンナンと単球をインキュベーションすると、単球駆動型シグナルがレクチン(leetin)に対するTリンパ球の反応を強化することができた。エースマンナンがMLCに及ぼす効果についての関連研究は、ナチュラルキラー細胞の食作用と活性の増加を示した。これらのインビトロ試験システムでは、エースマンナンは無毒であり、免疫エンハンサーであると言われていた。
【0013】
エースマンナンがリンパ球を刺激してリンホカインを分泌し、かつグルコシダーゼIインヒビターの機構と同様の機構でHIV感染リンパ球に変性糖タンパク質(GP−120)を生じさせるとも言われている。Grutersら、Nature 330:74〜77(1987)およびPalら、Intervirol.30:27〜35(1989)を参照されたい。エースマンナンは貪食され、外見上ポンプ式に単球のゴルジ/糖タンパク質器官に動かされて、そこでエースマンナンは糖タンパク質合成を直接妨害する。
【0014】
アロエ産物の他の用途は、例えば、米国特許第5,106,616号、第5,118,673号、第5,308,838号、第5,441,943号、および第5,443,830号に記載されている。これらの記載されている研究は、主に抗ウイルス薬、抗腫瘍薬、免疫賦活薬、免疫調節薬、ワクチンアジュバント、日和見感染を減少させる手段、炎症を制御する手段、免疫系および創傷治癒プロセスを刺激する手段としてのアロエベラの生理活性化学物質の活性に集中していた。
【0015】
アロエベラから単離された多糖含有画分に基づく他のいくつかの産物が特許文献などで公開されている。例えば、分子量が275,000〜374,000ダルトンのポリウロニドが表面創傷の治療で有用であると報告されている。(Farkas,A.、米国特許第3,103,466号(1963)参照)。
【0016】
70kDの多糖、アロエフェロン(Aloeferon)も治療薬の可能性があると報告されている。(Madis,V.H.、Omar,M.M.、Madis,V.、米国特許第4,861,761号(1989)参照)。
【0017】
アロエから単離された他の活性成分として、等量のグルコースとマンノースを含む420,000〜520,000ダルトンの多糖が挙げられる。(Farkas,A.、米国特許第3,362,951号(1968)参照)。
【0018】
さらに、アロエ中に天然に存在する炭水化物から数群の変性多糖組成物が酵素的に調製されている(Strickland,F.M.、Pelley,R.P.、Kripke,M.L.、米国特許第5,824,659号(1998)参照)。
【0019】
アロエベラ多糖は、対照試験で動物の治癒速度を高めることも示されている。アロエベラ多糖は、動物試験で胃潰瘍にとっても有効な治療薬であることも示されている。
【0020】
アロエベラゲルの抗炎症活性は、口頭証言および評価の高い科学雑誌の両方で報告されている。Rubel[Cosmetics and Toiletries,98:109〜114(1983)]は、アロエゲルの抗炎症作用の考えられる機構について論じた。Ukaiら[Journal of Pharmacobio−Dynamics、6(12):983〜990(1983)]は、数種の真菌の子実体から抽出された多糖の抗炎症活性に注目した。多糖は、カラギーナン誘発水腫に対して有意な阻害作用を示したと言われている。該ポリマーの1つであるO−アセチル化−D−マンナン(T−2−HN)はさらに、熱傷痛覚過敏に対してフェニルブタゾンより顕著な阻害作用を示した(Ukaiら、上記)。この多糖がタンパク質と脂質を含まないとされているこの論文の主張は、抗炎症作用がアセチル化マンナンのみに起因することを示唆している。
【0021】
他の研究者らも、複合多糖[Saekiら、Japanese Journal of Pharmacology、24(1):109〜118(1974)]、糖タンパク質[Aritaら、Journal of Biochemistry、76(4):861〜869(1974)]および硫酸化多糖[Rochaら、Biochemical Pharmacology、18:1285〜1295(1969)]の抗炎症作用について報告している。
【0022】
したがって、本質的に多糖である、アロエベラ植物の成分である粘液質ゲル、およびその中の成分は、アロエベラの薬用特性に一部関与している可能性がある。この多糖がグルコマンナン、マンナン、ペクチン、または何らかの他の組成のものであるかどうかについての議論は、一連の化学的精製ステップによって解決されると言われている。Yagiらは[Planta Medica、31(1):17〜20(1977)]、わずかに改変した抽出方法を用いて、キダチアロエ(Aloe arborescens Miller var. natalensis)由来のアセチル化マンナン(アロエマンナン)を単離した。しかし、Ovodova[Khim、Prior、Soedin、11(1):325〜331(1975)]はさらに早く、同一アロエ種の主成分としてペクチンを単離した。
【0023】
最近、アロエベラゲルについていくつかの他の薬理学研究が行われた。結果は、放射線によるやけどのより迅速な治癒[Rowe、J.Am.Rharm.Assoc.、29:348〜350(1940)]および創傷の短時間治癒[Lushbaughら、Cancer、6:690〜698(1953)]を含んでいた。アロエベラゲルで治療した熱傷は、未治療熱傷よりずっと速く治癒する[Ashleyら、Plast.Reconstr.Surg.、20:383〜396(1957)、Rovatto、上記、Rodriguez−Bigasら、J.Plast.Reconstr.Surg.、81:386〜389(1988)]。ゲルは、下腿潰瘍の治療[El Zawahryら、Int.J.Dermatol.、12:68〜73(1973)]および術後治癒の促進(Payne、Thesis submitted to Faculty of Baylor University、Waco、Tex.、MS Degree)に有用である。実験の証拠は、アロエベラの抽出物は抗感染特性を有すること[Solar、Arch.Inst.Pasteur Madagascar、47:9〜39(1979)]および食作用を強化すること[Stepanova、Fiziol.Akt.Veshchestva、9:94〜97(1977)]を示唆している。
【0024】
アロエ製品の商業的加工および品質管理中には、微生物学的分析が重要問題として認識されている(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。微生物学的生物は、環境などの外因性源とアロエ植物自体内の両方に由来し得る。内因性細菌叢は、アロエ内に天然に存在する微生物であり、当該ユニークな環境でよく成長するように進化している。内因性細菌への主な関心は、収穫後の不適当な加工法(例えばパスツール殺菌法の欠如または不正確)によって起こる可能性のある細菌の異常増殖を制御することについてだった。さらに、アロエ製品の高い細菌負荷は生理活性の損失をもたらす可能性があることが強調されていた。このことは、高い細菌含量(>100,000の生物/1グラムのゲル)は、皮膚免疫系をUVB誘導抑制から保護するアロエの能力の損失と関係があるという観察によって報告されている(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。
【0025】
当技術分野の参考文献は、活性物質とされている該エースマンナン多糖の生理活性を評価する際の交絡因子として内毒素(リポ多糖とも称する)汚染に関連してアロエ中の細菌成分について記載している。例えば、この点をTizardは強調した(Tizard IRおよびRamamoorthy L.In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第13章、311〜332ページ):「内毒素汚染のないアロエ炭水化物溶液を製造することは困難である。この材料に関する初期の研究は、少量だが有意な量の細菌内毒素を含んでいたので、エースマンナンの結果とみなされていた生理活性の一部が内毒素の作用だった可能性がある」。このように、アロエ製剤中の細菌産物は汚染物質とみなされている。
【0026】
米国特許第5,902,796号は、アロエベラから異なる因子を得るための種々の方法および分離プロセスについて記載している。記載されている1つの因子は、「微粒子因子」と呼ばれ、アロエ溶液の低速遠心分離(180g)から得られた上清の20,000gでの遠心分離によってペレットとして得られる。ろ過を利用してこの因子を得る方法も記載されている。この微粒子因子はマクロファージの活性化因子である。この微粒子因子の大きさは約1μmと推定される。
【0027】
微粒子の特徴づけは、後の論文に記載された(Ni Yら、International Immunopharmacology、2004、4:1745〜1755)。微粒子は、以下の組成のガラクトースに富む多糖を含むと報告された:40.2%のガラクトース、32.2%のマンノース、20.6%のグルコースおよび他の少量の糖。この論文は、「均質化によるパルプの崩壊後、連続遠心分離によって3成分が単離された。それらは、形態学および化学分析に基づいて葉肉細胞の細胞壁、退化細胞小器官および液体量に相当する、薄いクリアシート、微粒子および粘性液体ゲルだった」と要約しているように、微粒子を葉肉細胞の退化細胞小器官と同定している。明らかにこれらの微粒子は細菌ではなく、むしろ明確な炭水化物組成を有すると考えられ、植物の構造成分(すなわち葉肉細胞の退化細胞小器官)である。
【0028】
グラム陽性ミクロコッカス細菌種は最も広く用いられているアロエ関連生物である。これらの細菌はアロエ植物内でよく成長するように進化しており、他の環境内ではあまりよく成長しない(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。
【0029】
最近の研究は、一定のグラム陽性細菌を含有する食品の消費が免疫系に有益な作用を及ぼし得ることを指摘する。このことは、ヨーグルトおよび同様の食品で見られるプロバイオティック乳酸菌ラクトバシラス(Lactobacillus)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株の消化に関して最も広範に研究されている(Nutr Rev.、2006、64:1〜14参照)。これらの免疫強化作用の多くは、加熱死生物の消費によって模倣され得るので、生細菌細胞を必要としない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
老化に伴うことが多い問題として、皮膚の弾力性の損失および筋肉痛または関節痛が挙げられる。これらの症状は関連していていることもいないこともあり、かなりのステップが老化プロセスの理解内で起こっているが、まだあまり分かっていない。皮膚の弾力性の治療は、事実上、化粧品によってのみであることが多い。皮膚を化粧品でカバーすることによって、より若い外観を得られる場合もある。一部の製品は、実際に、たるんだ皮膚を糊付けして、よりピンと張ったように見せる。一般的に「フェイスリフト」と呼ばれる手順で過剰の皮膚を除去し、および/または皮膚を引き締めることを含み得る外科的方法もある。しかし、摂取するかまたは局所適用し、実際に皮膚の弾力性に直接作用する製剤を用いて皮膚の弾力性を改善できたら、外科術を延期または完全に回避することができ、化粧品が少なくてすむであろう。
【0031】
同様に、関節炎などの関節痛には多くの原因が考えられ、それを治療するための多くの戦略がある。これらの戦略には、局所製品、医薬製剤および関節置換術さえ含まれる。関節痛、または皮膚の弾力性に関しては、まだ治療方法の改善が必要である。活性成分がすべて天然の製品を用いて一次解放をもたらすことができるか、または他の戦略と併用できれば、その結果は非常に望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、一態様では、少なくとも一定量の免疫賦活活性を示すアロエベラ由来材料に関する(「IAvD」)。約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定した場合にIAvDとみなすのに必要な免疫賦活活性の度合は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%である。この測定の標準物質は粗製細菌リポ多糖「ELPS」(Sigma Chemical Co.から得た大腸菌血清型026:B6)である。
【0033】
本発明の別の態様は、リポタンパク質と、リポ多糖と、必要に応じて少なくとも1種の多糖との混合物を含む組成物である。これらをすべてアロエベラから単離することができるが、混合物を合成によって製造することもできる。本明細書では、この混合物を「PLL」と称する。IAvDおよびPLL混合物は、2種以上の材料をいずれの組合せによって含んでもよい。これらの混合物を医薬担体または賦形剤とブレンドしてよい。
【0034】
好ましい実施形態では、免疫賦活性組成物は、(1)アロエ由来多糖、(2)アロエ由来リポタンパク質、および(3)アロエ由来リポ多糖の少なくともいずれか2種の混合物を含み、この混合物は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される。
【0035】
混合物は、アロエ由来多糖、アロエ由来リポタンパク質、およびアロエ由来リポ多糖を含んでよい。
【0036】
好ましい実施形態では、PLLが、1)その開示内容を参照によって本明細書に引用したものとする’072特許で開示されたアロエベラ由来多糖、2)アロエ由来リポタンパク質「ALP」、および3)アロエ由来リポ多糖「ALPS」を含む、本明細書で「AloeEx」と称する特定混合物である。好ましくは、この混合物は、本明細書で述べるようにIAvDとみなすのに十分な免疫賦活活性を含む。
【0037】
好ましくは、PLLは、約0.01重量%〜約50重量%のAloeride多糖と、約0.0001重量%〜約10重量%のALPおよびALPS(ALPとALPSの合計量)を含む。他の実施形態では、Aloeride多糖が約1重量%〜約15重量%を構成し、約0.0001重量%〜約10重量%のALPおよびALPSを含む。別の実施形態では、Aloeride多糖がIAvDの約10〜15重量%であり、ALPおよびALPSが約0.0001重量%〜約10重量%である。
【0038】
これらのALPおよびALPSは、実際にはアロエベラと関連する微生物由来であると考えられる。ALPおよびALPSは、独立の免疫賦活特性を有するとも考えられる。これらを、例えば、’072特許の免疫賦活性アロエ由来多糖などの免疫賦活性アロエ由来多糖に加えて、またはその代わりに使用して、とりわけ、先行するアロエ誘導体と関連する技術分野で以前に記載されているいずれかの状態の治療または予防、例えばやけどおよび創傷の治療、皮膚および胃腸管の潰瘍の治療、骨髄が低下している個体の骨髄活性の強化、一般的な免疫系の強化において、抗ウイルス薬、抗腫瘍薬、免疫賦活薬、免疫調節薬、ワクチンアジュバント、感染を低減させるための手段、炎症を制御する手段、創傷治癒プロセスを刺激する手段、治癒速度を高めるための手段、熱傷痛覚過敏の抑制、放射線によるやけどおよび熱傷の迅速な治癒、下腿潰瘍の治療、術後治癒の促進、抗感染適用、食作用の強化、免疫不全障害、癌、感染性疾患または他の疾患および状態の治療、症状の緩和、筋肉痛および関節痛の軽減、代謝プロセスの改善、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性の改善において、ならびに栄養補助食品または栄養助剤として種々の利益をもたらし得る。
【0039】
本発明の別の態様では、免疫賦活性組成物はアロエ由来リポタンパク質を含む。このアロエ由来リポタンパク質は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される。
【0040】
本発明の別の態様では、本組成物は1種以上のIAvDを含む医薬組成物である。一実施形態では、本組成物は、1種以上のPLLを医薬担体または賦形剤と共に含む医薬組成物である。好ましい実施形態では、PLLがAloeExである。これらの医薬組成物は、PLLに関連して直前で述べたいずれの目的のためにも使用し得る。
【0041】
本発明で有用な一定のIAvDは、細工および調製するのが困難なことがある。特定のIAvDを分散または溶解させ、その均質混合物を製造するという問題があり得る。このことは、剤形を調製するときに特に問題となり得る。不均質な混合物は、剤形ごとに、ひいては用量ごとに許容できないレベルで用量が変化するリスクがある。したがって、IAvDと適合し、かつIAvDの免疫賦活特性または安定性に負の効果を及ぼさず、なおさらに好ましくは不必要にその活性を希釈せず、ひいてはより高価な材料を大量に必要としない適切な加工助剤、溶媒または賦形剤を見出すことが非常に望ましいだろう。
【0042】
本発明の別の態様により、種々の「第2の」材料をPLLまたはIAvDと関連して使用することができる。「第2の」材料と併用すると、PLLまたはIAvDの均質なディスパーション、エマルション、サスペンションまたは溶液などを製造することができることが発見されている。これらの「第2の」材料はアロエ由来材料であってもなくてもよく、実際にはIAvDであってもなくてもよい(例えば、それらは本明細書で定義されるようにIAvDとみなすのに十分な免疫賦活性でなくてよい)。
【0043】
しかし、1つの好ましい実施形態では、これらの第2の材料がアロエベラ由来である。特に、一定の非常に活性な第1のIAvDを第2のアロエ由来材料を用いて分散、懸濁、乳化および/または可溶化できることが分かった。一部の好ましい実施形態では、この第2のアロエ由来材料が第2のIAvD、例えば、本明細書でIAvDについて述べた活性要件を満たすアロエ由来材料である。
【0044】
他の好ましい実施形態では、第2の材料は、それらが少しでも免疫賦活活性を有する場合、IAvDの活性未満のレベルの活性を示すアロエ由来材料である。これらの第2の非IAvDアロエ由来材料は一般的に有意な多糖含量を有し、多糖の約50%以上が約1,500,000ダルトン以下の分子量のものである。例えば、250μg/mlのMagnAloe AGは25%未満の活性化を示す。
【0045】
さらに、これらの第2の材料は、第1のIAvDの加工性を改善または強化をもすべきである。使用するこの第2のアロエ由来材料(第2のIAvDであれ第2の非IAvDであれ)の量は、要望通りに、第1のIAvDの均質なディスパーション、溶液、サスペンション、またはエマルションを製造するのに十分な量であるべきである。一般的にこの第2のアロエ由来材料は、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料の重量%に対して、少なくとも約10重量%必要である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、第1の材料がPLLであり、第2の材料が、IAvDでなく、上述した多糖含量を有し(一般的に少なくとも50%が1,500,000ダルトン未満)、かつ安定した均質のディスパーション、溶液、サスペンション、またはエマルションの形成を可能にするアロエ由来材料である。特に好ましい実施形態では、PLLがAloeExであり、第2の材料がMagnAloe AGである。これらの配合物を製造する方法をも考慮する。
【0047】
本発明のさらに別の態様では、筋肉痛または関節痛を治療する方法、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/もしくは弾力性を改善するための方法、および/または新しい皮膚細胞の促進的成長を与えるための方法であって、該方法が必要な個体に、治療用量のIAvDまたはPLL組成物を投与するステップを含む方法を提供する。1日に1回または数回、本組成物を経口、局所または経皮投与してよく、また本組成物を単独で、医薬的に許容し得る担体もしくは賦形剤と共に、および/または他の活性もしくは不活性成分と共に投与してよい。
【0048】
この態様の一実施形態では、IAvDがPLLである。
【0049】
特定の実施形態では、PLLがAloeExである。
【0050】
別の実施形態では、IAvD組成物がアロエ由来多糖または多糖の混合物、例えば、限定ではなく、’072特許に記載されているものなどのアロエ由来多糖を含む。
【0051】
本発明の別の態様は、アロエベラ源材料を準備するステップと、このアロエベラ源材料から液状アロエ溶液を抽出するステップと、この液状アロエ溶液をろ過するステップと、凝集剤を添加することによって、微生物または微生物成分/フラグメントを含有する凝集体を作製するステップと、この凝集体を収集するステップとを含む、IAvDの調製方法である。
【0052】
別の実施形態では、アントラキノンが存在する場合、収集した凝集体を加工してアントラキノンを除去することができる。
【0053】
一実施形態では、アロエベラ源材料が、アロエベラゲル、全葉アロエベラ、アロエベラ皮、アロエベラ粘液およびアロエベラ新芽(pup)から成る群より選択される。アロエベラパップは、通常、廃棄物とみなされる小さいアロエベラ植物である。
【0054】
好ましい実施形態では、アロエベラ源材料は、アロエベラ皮およびアロエベラ粘液を含む。典型的に他のプロセスからの廃棄材料とみなされる使用済みアロエ材料などの他のアロエベース材料を使用してよい。
【0055】
本発明の別の態様では、化学的に標準化されたアロエベラ由来材料の調製方法は、アロエベラ由来材料を準備するステップと、このアロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの含量を決定するステップと、このアロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量を標準製剤中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量と比較することによって、該アロエベラ由来材料の標準化値を決定するステップとを含む。
【0056】
一実施形態では、本方法は、アロエベラ由来材料中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの含量を決定する前に、アロエベラ由来材料を精製するステップをさらに含む。
【0057】
本発明のさらに別の態様では、生物学的に標準化されたアロエベラ由来材料の調製方法は、アロエベラ由来材料を準備するステップと、このアロエベラ由来材料の免疫細胞の活性化レベルを決定するステップと、このアロエベラ由来材料の活性レベルを標準免疫賦活性値と比較することによって、該アロエベラ由来材料の標準化活性値を決定するステップとを含む。
【0058】
一実施形態では、本方法は、アロエベラ由来材料の免疫細胞の活性化レベルを決定する前に、アロエベラ由来材料を精製するステップをさらに含む。
【0059】
本発明の別の態様では、免疫機能を強化する方法は、該方法が必要な個体に、治療用量の少なくとも1種のIAvDを投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】全炭水化物のモル%によるAloeExバッチ56(ALOE056)のグルコシル残基の組成を示す図である。
【図2】平均皮膚反発時間の統計的に有意な減少(皮膚の弾力性または堅さの増加の指標)を秒で示す図である。
【図3】性別および年齢別の皮膚の弾力性試験の人口統計学的データを同定する図である。
【図4】試験パネリストの人口統計学的データを示す図である。
【図5】測定のランダム化パラメーターを同定する図である。
【図6】治療/群ランダム化を同定する図である。
【図7A】被験物質群のキュートメーター(Cutometer)測定値の統計解析を示す図である。
【図7B】プラセボ群のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図7C】被験物質群およびプラセボ群の両者のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図7D】被験物質群のキュートメーター測定値の統計解析を示す図である。
【図8A】活性治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図8B】活性治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図9A】プラセボ治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図9B】プラセボ治療に割り当てられた被験者のアンケート結果を示す図である。
【図10A】TLR2がAloeExによるNF−κBの活性化に関与することを示す図である。
【図10B】TLR2がAloeExによるNF−κBの活性化に関与することを示す図である。
【図11】AloeEx(バッチ056)およびAloeEx粗製画分に対するTHP−1細胞の反応を示す図である。
【図12】AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出液のプロテイナーゼK消化およびSDSポリアクリルアミドゲル分析を示す図である。
【図13】AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出液のリポタンパク質リパーゼ消化を示す図である。
【図14】異なるアロエベラ葉部に対するTHP−1細胞の反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ明瞭に主張する特許請求の範囲で締めくくるが、本発明は、以下の説明からさらによく理解されるものと考えられる。
【0062】
本明細書で使用するすべての百分率および比は、特に断らない限り、組成物全体の重量についてであり、すべての測定は25℃および常圧で行われる。
【0063】
すべての温度は、特に断らない限り、摂氏温度である。
【0064】
本発明は、本発明の成分および本明細書で述べる他の成分もしくは要素を含み得る(オープンエンド)、または本質的に本発明の成分および本明細書で述べる他の成分もしくは要素から成り得る。本明細書で使用する場合、「含む」とは、列挙した要素、またはそれらの構造もしくは機能等価物、および列挙していないいずれの他の要素(複数可)をも意味する。用語「有する」および「包含する」も、その文脈が他の意味を示唆しない限り、オープンエンドと解釈するものとする。本明細書で使用する場合、「本質的に〜から成る」という表現は、本発明は請求項で列挙した当該成分に加えて成分を包含し得るが、主張した発明の基本的および新規な特徴をその追加成分が実質的に変えない場合にのみ包含し得ることを意味する。好ましくは、このような添加物が全く存在しないかまたは痕跡量のみ存在する。しかし、本組成物の有用性を維持する限り(有用性の度合に対抗するように)、本発明の基本的および新規な特徴を実質的に変え得る物質を約10重量%まで包含することができる。
【0065】
本明細書で列挙するすべての範囲は、2つの値「の間」の範囲を示す当該値を含めて両端を包含する。「約」、「一般的に」、「実質的に」などの用語は、ある用語または値が絶対でないが、先行技術で読めないように用語または値を加減するものと解釈する。このような用語はその状況によって定義され、当業者には状況が当該用語として加減する用語が分かる。これには、最低限でも、値を測定するために使用する所定の技術について予測される実験的エラー、技術的エラーおよび設備上のエラーの度合が含まれる。
【0066】
本明細書および特許請求の範囲は、本発明の錠剤または他の剤形が、例えば、一定の粒径もしくは粒度分布を有する粒子、または一定タイプの、例えば、充填剤を含有すると言及することがあるが、この記述を満足していることを最終剤形から判別することが困難な場合があることに留意されたい。しかし、このような記述は、例えば、最後の調合および配合の前に使用する材料が当該記述を満たす場合に満足され得る。
【0067】
別の例では、完成剤形中に実際にコーティングが存在するときに該コーティングがコーティング粒子またはその粒度分布に寄与する重量増加を知ることは困難であり得るが、例えば、錠剤の場合、剤形を作るために使用するコーティング粒子が、最後の調合および圧縮ステップ前に、所望のコーティングレベルおよび/または粒径を示したことが決定されれば十分である。
【0068】
ここで実際には、特定配合物中の特定成分の含量または最終配合物中の特定成分の活性を確立することは困難であり得る。これを出発材料または中間材料に基づいて確立できれば、十分である。実際には、完成製品から直接確認し得ないいずれの特性についても、最終生産直前に該配合物中に当該特性が存在すれば十分である。当然のことながら、配合前後のいずれの時に、本明細書で述べるIAvDを定義するのに十分な免疫賦活活性を確立してもよいことが認識されよう。
【0069】
本明細書で使用する場合、治療および/または改善という表現は、関節痛もしくは皮膚の弾力性または実際には本明細書で述べる他の状態に関連して使用する場合、永久的であれ一時的であれ、持続的であれ過渡的であれ、PLLおよび/またはIAvD組成物の投与に帰するかまたは該投与と関連し得る、関節痛もしくは筋肉痛のいかなる低減または皮膚の弾力性のいかなる増加をも意味する。治療および改善は、ある状態またはその再発を予防するために本明細書で述べる製品を使用することをも包含する。本文または文脈がそうでないと指示しない限り、改善および治療は相互交換可能に使用されることにも留意されたい。
【0070】
特に、本明細書でIAvDとみなすためには、材料は本組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与しなければならない。本明細書で使用する場合、本組成物の免疫賦活特性に「実質的に寄与する」という表現は、本明細書で述べる免疫賦活作用を意味する。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「免疫賦活性」、「免疫賦活作用」または「免疫賦活特性」および/または「活性」は、本発明のIAvDの、マクロファージ活性化を引き起こす能力、特に、前述したようにTHP−1単球内のNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の増加によって表される免疫賦活活性に関する(250μg/mL以下の濃度での10μg/mLのELPSの当該発現の約50%に等しい)。いずれの個々のアロエ由来成分またはその集合物もしくは混合物に基づいてこれを測定してもよい。したがって、活性は、例えば、アロエ由来多糖またはそのALPおよび/もしくはALPSとの組合せの活性を反映することができる。このタイプのマクロファージの活性化を測定するための方法は、その内容を参照によって本明細書に引用したものとする’072特許、5欄の12行目〜6欄の22行目に開示されている。
【0072】
一般的に、THP−1ヒト単球細胞内のルシフェラーゼ受容体遺伝子アッセイを利用してマクロファージの活性化を測定することができる。このアッセイは、NF−κβ駆動型ルシフェラーゼ受容体の発現の増加によって表される免疫賦活活性を測定する。ウシ胎児血清(10%v/v)およびアミカシン(60mg/L)で補充したRPMI1640培地内で5%CO2および95%空気下、37℃でTHP−1細胞を培養する。活発に成長する細胞を、DEAE−デキストラン(10μg/1×106細胞)と、NF−κβ用の2つの結合部位を含むpBIIXLUC受容体プラスミド(1μg/1×106細胞)とを用いて一時的にトランスフェクトする。THP−1細胞を含むトランスフェクション溶液を37℃の水浴内で7分間インキュベートする。次に、トランスフェクトされた細胞を10%FBS、RPMI1640培地に再懸濁させ、96ウェルプレート内に1ウェル当たり2×105個の細胞の細胞密度でプレートアウトする。24時間後、トランスフェクトされた細胞に試験サンプルを添加する。サンプルの添加4時間後、細胞を収集し、ルシフェラーゼ活性を測定する。Packardろ過プレートを用いて細胞を収集し、30μLのルシフェラーゼミックス(1:1、LucLite(商標)ルシフェラーゼ:1×PBS、1mMのCaおよびMg)を用いて溶解させる。Packardマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いて単一光子モードでルシフェラーゼの発光を測定する。正対照として使用する10μg/mLのELPSによるNF−κβの最大活性化に対する百分率として活性化を報告する。他のアッセイ法も考えられる。
【0073】
本明細書で使用する場合、非免疫賦活性アロエベラ由来材料という用語およびこの概念を暗示する他の語は、本明細書で定義するIAvDの免疫賦活性要件を満たさないアロエベラ由来材料と定義される。
【0074】
用語アロエ由来リポタンパク質または「ALP」は、アロエベラ内在性細菌由来の細菌リポタンパク質を表す。細菌を別々に培養または栽培してもよいので、この用語は、細菌がアロエベラ由来でなければならないことを意味しない。グラム陽性ミクロコッカス細菌種は最も広く用いられているアロエ関連生物である。これらの細菌はアロエ植物内でよく成長するように進化しており、他の環境内ではあまりよく成長しない(Waller TAら、In Aloes:The genus Aloe;Reynolds T編;CRC Press:NY、2004;第8章、139〜205ページ)。グラム陽性細菌はリポタンパク質を含有するが、リポ多糖を含まない。本明細書で開示するように、リポタンパク質は、グラム陽性細菌由来の、インビトロマクロファージ活性化に対する有意な寄与物質であると考えられる。グラム陽性細菌はアロエ中で最も多く見られるタイプの細菌なので、リポタンパク質はアロエに由来する重要な活性を代表している。
【0075】
最近の研究は、一定のグラム陽性細菌を含有する食品の消費が免疫系に有益な作用を及ぼし得ることを指摘する。これは、ヨーグルトおよび同様の食品で見られるプロバイオティック乳酸菌ラクトバシラスおよびビフィドバクテリウム株の消化に関して最も広範に研究されている(Ezendamおよびvan Loveren、Nutr.Rev.、2006、64:1〜14で精査されている)。これらの免疫強化作用の多くは、加熱死生物の消費によって模倣され得るので、生細菌細胞を必要としない。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語アロエベラ由来リポ多糖およびALPSは、共有結合によって連結された脂質と多糖(炭水化物)とを含む大型分子を表す。ALPSは、アロエベラ中で見られるかまたはアロエベラと関連するグラム陰性細菌の外膜の主成分であり、細菌の構造的完全性に大いに寄与し、かつ一定種類の化学的攻撃から膜を保護する。ALPSは内毒素であり、正常な動物の免疫系から強い反応を誘発する。
【0077】
LPSは、多くの細胞型内、特にマクロファージ内で炎症誘発性サイトカインの分泌を促進するCD14/TLR4/MD2受容体複合体に結合するので、一般的に原型内毒素として作用する。免疫学における「LPS誘発」とは、毒素として作用し得るLPSに対象をさらすことである。LPSは、細胞膜の負電荷をも増やし、膜構造全体の安定化を助ける。LPSはさらに外因性ピロゲン(外部熱誘導組成物)である。ALPの免疫賦活作用はトール様受容体2によって媒介されると考えられるが、ALPSはトール様受容体4によって媒介されると考えられる点で、ALPは、やはり本発明のPLLの望ましい成分であるALPSとは異なる。
【0078】
一部のIAvD組成物には、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPまたはALPSが存在しない。しかし、他のIAvD組成物は、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPS以外の多糖を包含しない。さらに他のIAvD組成物は、該組成物の免疫賦活特性に実質的に寄与するALPのみを有する。
【0079】
好ましくは、2種以上の多糖、ALPおよび/またはALPSがあり、そのいずれかまたはすべてが個々にまたは相乗的にIAvD組成物の免疫賦活活性に実質的に寄与する。
【0080】
一部のIAvD組成物は、アロエベラ中で見られるか、そうでなくてもアロエベラと関連する一定の細菌、酵母菌、真菌、カビなどの微生物に由来する免疫賦活活性を有するALPおよび/またはALPSを包含する。これらのALPおよびALPSは、当該属および種がアロエベラ上で見られるかまたはアロエベラと関連する限り、培養された微生物から回収されてもよい。アロエベラ植物上またはアロエベラ植物内で見られ、濃縮または合成されてもよいこれらのALPおよびALPSを多糖に加えて、または多糖の代わりに使用して、とりわけ、関節痛および筋肉痛の治療、ならびに皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性の強化において種々の利益をもたらし得る。’072特許に記載されているもののような、アロエ由来多糖を含有するPLL、およびALPとAPLSの両者が、これらの用途のために考えられる。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語アロエ由来材料は、アロエベラ中に含まれるかまたはアロエベラ上に存在するいずれの材料をも表し、限定するものではないが、アロエ由来多糖、リポタンパク質およびリポ多糖が挙げられる。該材料は、アロエ植物から単離され、および/または合成され得る。
【0082】
本明細書で使用する場合、合成または合成されたという用語は、人工および/または製造された材料、かつ本来見られる当該材料と組成が同一または類似している材料を指す。ALPおよびALPSの場合、それは別々に培養された材料をも指す。
【0083】
本明細書で使用する場合、用語「AloeEx」は、’072特許の多糖ならびにALPおよびALPSを含む、アロエベラから抽出されたかまたは合成によって製造された免疫賦活性PLL混合物を表す。AloeExのようなPLLは、アロエベラ葉の皮および/または粘液(すなわち内部ゲルと外皮の間の部分)から単離され、またアロエ廃棄材料(すなわち他のプロセスで使用され、現在の産業基準によって廃棄物とみなされる使用済みの皮)から得られる。
【0084】
AloeExは、本明細書で述べる技術で測定した場合、5μg/mLの免疫賦活活性を有することが多い。このことは、約5μg/mLの濃度のAloeExは、THP−1単球におけるNF−κB誘導ルシフェラーゼ発現を10μg/mLの濃度のELPSを用いて実現される当該レベルの50%以上に匹敵するレベルに高めることを意味する。当然に、このレベルの活性内でバッチごとの変化が生じ得る。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語Aloeride(後述する商標名ALOERIDE(登録商標)とは区別されるように)は、アロエベラから単離されたかまたは合成によって製造された免疫賦活性多糖組成物を表す。ここで、この多糖は、’072特許で報告されたように、約200万ダルトンを超える見掛け分子量を有し、かつグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを含む。特に、Aloeride多糖組成物は、約25%〜約70%のグルコース、約0.5%〜35%のラムノース、約5%〜約30%のガラクトース、約3%〜約25%のマンノースおよび約0%〜約15%のアラビノースを含み得る(モル%で)。’072特許では、Aloeride多糖はNP18298とも呼ばれる。本発明の目的では、AloerideとNP18298は同一組成物を表す。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語MagnAloe AGは、http://www.firstAloevera.com/magnAloe_information.htmに示される分子量分布を有するアロエ由来多糖の粉末混合物を表す。本明細書で述べるIAvDまたは非IAvDの目的では、高分子量のアロエ由来多糖材料を含むいずれの混合物をも考慮する。
【0087】
’072特許につながる予備所見は、粗製アロエ汁およびゲル中で検出可能なレベルの免疫賦活は、既知のアロエ成分によっては説明できないことを示唆した。市販のアロエ製剤(200μg/mL)は、マクロファージアッセイにおいて無視できるほどのNF−κβ活性化をもたらすだけだった。この活性の原因となるAloeride「NP18298」は多糖含有画分を含み、この画分に存在する多糖の見掛け分子量は200万ダルトンを超えることが分かった。’072特許で報告されたその主要グリコシル成分はグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを包含した。’072特許で使用かつ報告された精製の度合および方法に基づき、Aloerideが実質的レベルのALPおよび/またはALPSを包含したとは考えられない。
【0088】
Aloeride含有材料の代替源およびスケールアップ生産方法を調査する際に、他の画分、’072特許に記載の画分を包含し得る画分が、ALPおよびALPSなどの他の材料と共に、望ましい免疫賦活活性を所有することを引き続き発見した。
【0089】
記載された出発材料を使用する’072特許に記載の方法は、有意のさらなる免疫賦活活性をもたらすのに十分なALPおよびALPSを欠いている、相対的に純粋な多糖含有画分を与えた。
【0090】
作用のいかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、ALPおよびALPSは別々の免疫賦活特性を所有し、多糖に加えて、または多糖の代わりにALPおよびALPSを使用して、とりわけ、関節痛および筋肉痛の治療、ならびに皮膚の弾力性の強化において種々の利益をもたらし得ると考えられる。
【0091】
試験の結果は、Aloeride多糖、ALPおよびALPSを含むAloeExは、Aloeride多糖、ALPおよびALPSが集合的にAloeExのマクロファージ活性化特性(免疫賦活特性)の原因であることを示唆している。
【0092】
IAvDとしては、PLL、AloeEx、ALPとALPSの混合物、多糖およびAloeride多糖(実質的にALPおよびALPSがない)が挙げられる。IAvDには他の材料も含まれ、免疫賦活性誘導組成物を有し、かつTHP−1細胞内でNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現を、本明細書で述べるIAvDの基準を満たす程度に活性化させることが分かっている市販の多糖製剤が挙げられる。
【0093】
IAvDの安定化配合物および組成物が望ましい場合、該配合物は、IAvD材料と共に第2のアロエ由来非IAvD材料を含んでよい。第2のアロエ由来非IAvD材料は、免疫賦活活性がより低い材料および分子量が一般的に1,500,000ダルトン以下の多糖を少なくとも50%含む。
【0094】
IAvDを第2のアロエ由来材料と混合する場合、第2のアロエ由来材料が第2のIAvDであっても非IAvDであっても、当然、個々の炭水化物の割合、および実際には総分子量が変化し得る。さらに、混合物の全活性が変化してよい。例えば、AloeExとMagnAloe AGの20%:80%混合物は、一般的に多糖ではより低い総分子量を有し、AloeExより低い全活性を有し、かつ最も多く見られる炭水化物としてマンノースを有するだろう。
【0095】
これらの第2の非IAvDアロエ由来材料の非限定例として、MagnAloe AG、アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolから成る群より選択される当該材料が挙げられる。
【0096】
配合物中に存在する第2のアロエ由来材料の量は、一般的に第2のアロエ由来材料と第1のIAvDの総量に対して少なくとも約10重量%〜約90重量%である。第2のアロエ由来材料の、第1のIAvDを可溶化、懸濁、乳化および/または分散させる能力が大きいほど、また第2のアロエ由来材料の活性が大きいほど、第2のアロエ由来材料の量は少なくてよい。1つの好ましい実施形態では、第2のアロエ由来材料がMagnAloe AGであり、MagnAloe AGの量がAloeExの量より多く、特に好ましい実施形態では、MagnAloe AG対AloeExの重量比が4:1で供給される。この2つの材料によって結果として形成された均質混合物中、MagnAloe AGがその約80%を形成するだろう。本明細書で記載および定義するように、MagnAloe AGは、本明細書で定義するIAvDとみなすものとは考えられない。
【0097】
他のIAvDおよび非IAvDとして、免疫賦活誘導組成物を有し、かつ200μg/mLのTHP−1細胞内でNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現を活性化させることが分かっている市販の多糖製剤、例えばCarrington Laboratories Inc.(Irving、TX)から入手可能なアロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolが挙げられる。特に、AVMPおよびManapolは、10μg/mLのELPSによるNF−κβの最大活性化に対して2〜4%の範囲の活性化が報告されている非IAvDであると考えられる。
【0098】
本発明では、上記いずれの組成物をも単独で、または組み合わせて利用してよい。
【0099】
皮膚の治療
本発明の一態様は、皮膚の改善または治療が必要な対象の皮膚の外観、テクスチャー、堅さ、および/もしくは弾力性を改善する方法または低下した皮膚の弾力性を治療する方法である。皮膚の改善または治療が必要な対象はいずれの哺乳動物でもあり、特に、皮膚の弾力性の強化または改善が必要なヒトである。これは、皮膚の弾力性の強化または改善が必要な対象に、この対象の皮膚の弾力性の改善を果たすのに十分な時間、有効量のIAvD組成物を投与することによって達成される。皮膚の弾力性の文脈における本発明の改善も治療も、主観的な基礎について何らかの認識できる測定可能以上の改善は必要ない。特に断らない限り、これは、いずれの対象にとっても、例えば、視覚および触覚観察に基づく主観的な基礎に関する改善であってよい。
【0100】
しかし、多くの場合、統計的に有意な改善に基づいて改善を測定する。ANOVAで判断する場合、臨床試験の規定群の被験者で本方法を利用するとき、本明細書で述べるいずれか1つの試験で測定するように試験する。例えば、皮膚の弾力性は伸縮に関係するので、キュートメーターパラメーターUr/Ueは皮膚の弾力性を表す。群1の被験者の70パーセントがキュートメーターパラメーターUr/Ueの改善を示した。ベースラインに対して、パラメーターUr/Ueのこの有意な増加は、本発明の栄養補助食品を摂取した被験者の第12週における29%の改善に相当する。
【0101】
統計的有意性を達成するのに必要な改善の量は、いくつかの因子によって決定される。該因子としては、限定ではなく、対象の数、試験の長さ、弾力性の改善を測定するために使用する技術、対象の状態、剤形のタイプ、使用する1日の用量などが挙げられる。さらに、統計的有意性が少なくとも1つの弾力性試験で得られる限り、ありとあらゆる試験方法論を用いて統計的有意性が達成されることは本発明の要件でない。
【0102】
いずれの通常の経路を介しても本発明のIAvD組成物を投与することができる。しかし、経口および経皮経路を含めた局所経路が好ましい。当然に、投与経路は、投与を達成するために使用する剤形の設計の多くを決定し得る。
【0103】
単一用量に含まれるIAvD組成物の量は、局所適用するかまたは摂取するか否かによって、また何の目的で使用するかによって影響を受ける。しかし、一般的に、選択した剤形に関係なく、皮膚の弾力性を治療するために本発明に従って使用するIAvD組成物の量は、1日当たり約0.0025mg〜約1gの範囲である。これは、アロエ由来材料の総量ではなく、IAvDの量を意味する。IAvD配合物の個々の成分を区別できないことがある。これらの目的のためには、他の材料と混合する前にIAvDがこれらの特性を所有すれば十分である。
【0104】
例えば、IAvDとアロエ由来非IAvDが存在してもよく、またはIAvDが存在してよい。
【0105】
皮膚の弾力性を改善するためのIAvD配合物を単一用量としてまたは1日全体で分割した用量として与えてよく、一般的に投与する用量の数は、1日1〜約6、さらに好ましくは1日1〜4、最も好ましくは1日1〜2の範囲である。これは、本明細書で述べるように、約5μg/mLの濃度で試験した場合に約10μg/mLの濃度を有するELPSで達成される(一般的にAloeEx中で見られる)当該発現レベルの約50%のレベルにTHP−1細胞内のNF−κB誘導ルシフェラーゼ発現を増加させることで特徴づけられるIAvDが示す活性に基づく。この単球/マクロファージ活性化のレベルは、バッチごとに変化するので、同等レベルの活性をもたらすために、より多いかまたはより少ないPLLが必要なことがあることに留意されたい。さらに、他のIAvDは、PLLと比較した場合、より多いかまたはより少ない免疫賦活性であってよい。PLLに匹敵する活性を与えるであろう量のこれらの各IAvDが必要なこともある。
【0106】
したがって、本発明の各剤形に含まれるIAvD組成物の量は、約0.0005mg〜約1gの範囲であってよく、1日の用量、用量の数および投与経路によって決まる。
【0107】
最も好ましくは、経口投与による皮膚の弾力性改善および/または皮膚細胞の再生促進の観点では、IAvD組成物の量は、1日当たり約0.2mg〜約5g、さらに好ましくは約5mg〜約1g、最も好ましくは約10mg〜約500mgの範囲である。また、局所投与する場合、この量は約0.0005mg〜約2.5mg、さらに好ましくは約0.0025mg〜約0.25mg、なおさらに好ましくは約0.0025mg〜約0.025mgの範囲である。これらの量は、約5μg/mLの活性のAloeExの使用に基づく。同様の結果をもたらす他のIAvDの量が考えられる。
【0108】
本発明の好ましい実施形態では、IAvD組成物の毎日の投与を少なくとも7日間、さらに好ましくは少なくとも2週間、さらに好ましくは少なくとも2ヶ月間続ける。最も好ましくは、本発明の材料を対象の生涯を通じて継続的に投与して、皮膚の弾力性を改善かつ維持する。しかし、治療のために投与する量を最終的に減らして、一定の所望レベルの皮膚の弾力性の維持または促進的皮膚細胞再生を達成し得る。したがって、ある治療期間後に一旦皮膚の弾力性が改善されたら、その維持のためにより少ない用量の投与でよい。
【0109】
局所適用の場合、患部の上に直接薬用量を広げてよい。場合によっては、皮膚にこすりつけてよい。他の場合には、薬用量を操作せずに、適用したまま適用域上で吸収させるかまたはそこに残す。IAvDを密封包帯またはIAvDの上に置く何らかの他のタイプの覆いの上にIAvDを適用してもよい。
【0110】
これとは別に、IAvDをパッチ中に配合してよい。IAvDを皮膚の表面または皮膚自体の一部の層もしくは複数の層に送達するように、これらの局所適用を設計することができる。あるいは、より深い局所的または全身的分布のためIAvDを経皮送達するようにIAvDを配合することができる。経口および局所剤形を調製するために使用できる材料のタイプについてはさらに本明細書で論じる。
【0111】
経口投与する場合、錠剤、カプセル剤、散剤、サシェ剤、ロゼンジ剤、ガムキャンディーまたはいずれの他の摂取形態でIAvD組成物を与えてもよい。液体としてまたは摂取前にまず液体に溶かすかまたは液体と混合する固体としてIAvDを提供してもよい。飲み込める剤形であってもよく、または摂取前に口内で固体であり、口内で崩壊してもよい。IAvDを食品上に振り掛けて、食品と一緒に摂取してさえもよい。
【0112】
「促進的細胞再生」はそれ自体で終点であり、促進的細胞再生を強化する方法およびIAvD組成物を用いてこれを達成する製品も企図していることに留意されたい。促進的細胞再生は、望ましくは剥脱している、皮膚の死んだ層下の皮膚細胞の再生である。これは、皮膚の弾力性に関連して述べたのと同じ技術および製品を利用して達成される。
【0113】
関節/筋肉痛
本発明の別の態様は、本発明のIAvD組成物を用いた、改善または治療が必要な被験者の関節痛および/もしくは筋肉痛の改善または治療である。一般的に、皮膚の弾力性に合わせて前述した投与経路および剤形はこれらの方法に同様によく当てはまる。局所適用は、特定の筋肉もしくは筋肉群および/または特定の関節に作用し得る。全身投与(経口または経皮)は、当該同位置の痛みを減らし、かつ/または多くの筋肉群および/もしくは関節にわたるより広範な痛みの軽減をもたらし得る。
【0114】
皮膚の弾力性との関連でも前述したように、本発明のこの態様の治療は、対象ごとの基礎について主観的に測定できる関節痛および/または筋肉痛の減少を意味する。しかし、さらに好ましくは、本発明の成功製品は、長期間にわたって対象群に投与すると、統計的に有意な仕方で十分な治療をもたらすだろう。望ましくは、少なくとも75%の対象が、12週間の治療後に筋肉痛および/または関節痛の頻度の減少、痛み強度の低下または痛みの持続時間の減少を証明するであろう。これは全身または特有の筋肉もしくは関節の痛みであってよい。
【0115】
関節痛および/もしくは筋肉痛の文脈における対象の状態の改善は、治療前、治療中および/または治療後に、それぞれ個々に特定部位でのまたは全身での自分の痛みを評定することによってスコア化する主観的評定システムで決定されることが多い。
【0116】
以前にも注意したように、本発明のこの態様に従って投与するIAvD組成物の量は、投与経路、治療すべき領域、痛みの度合およびタイプなどによって変化するだろう。しかし、この量は、一般的に皮膚の弾力性を改善する方法に関連して前述したのと同じ範囲内であろう。この方法および皮膚の弾力性の改善方法の両方法では、同時または同日内にIAvD組成物を経口と局所の両方で、あるいは何らかの代替または補足計画に基づいて投与することによって、全身およびより特異的に目標とした軽減または改善をもたらすこともできる。
【0117】
本発明によれば、いずれのIAvD組成物を使用してもよい。例えば、本明細書で述べる免疫賦活特性を示すいずれのPLL、いずれのAloeExまたはいずれのAloeride多糖配合物をも使用し得る。本発明は、必要に応じて許容し得る医薬担体または賦形剤と共にIAvDを使用する医薬組成物および方法を包含する。
【0118】
組成物
本発明で使うのに適した医薬組成物は、その意図した目的を果たすために有効な量で活性成分を含有する組成物を包含する。さらに詳細には、治療的に有効な量は、治療する対象の症状の発生を予防するかまたは現存症状を軽減するために有効な量を意味する。この有効な量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力範囲内である。
【0119】
投与する組成物の量は、治療する状態、治療する対象、対象の体重、苦痛の重症度、投与様式および個々の医師または個人の判断によって決まるだろう。
【0120】
上述したように、適切な投与経路として、例えば、経口、経粘膜、局所または経皮が挙げられる。
【0121】
それ自体既知の方法、例えば、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、ゲル化、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスを用いて、本発明の医薬組成物を製造することができる。
【0122】
したがって、組成物および化合物を医薬的に使用可能な製剤に加工するのを容易にする賦形剤および補助剤を含む1または複数の生理学的に許容し得る担体を用いて、通常の様式で、本発明で使う医薬組成物を調製することができる。適切な処方は、選択した投与経路によって決まる。
【0123】
経口投与のため、組成物を単独で投与することができ、または活性組成物を技術上周知の医薬的に許容し得る担体と組み合わせて容易に調製することができる。該担体により、治療すべき患者による経口摂取のため、本発明の組成物を錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、サスペンションなどとして調製することができる。
【0124】
固体賦形剤を用いて、必要に応じて製剤および/または結果混合物の個々の成分を粉砕または製粉し、所望により、例えば、クリーム、ローション、セラム、散剤、発泡配合物、錠剤または糖衣錠コアを得るため、適切な補助剤を添加した後、成分および/または顆粒混合物を加工することによって、経口および/または局所使用のための医薬製剤を得ることができる。しかし、顆粒化は、使用し得る多くの既知技術の1つにすぎない。
【0125】
適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールなどの糖;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤である。
【0126】
所望により、PVP、ナトリウムデンプングリコラート、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加してよい。
【0127】
糖衣錠コアは適切なコーティングを備える。この目的のため、濃縮糖溶液を使用することができ、必要に応じてアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含んでよい。識別のためまたは活性組成物用量の異なる組合せを特徴づけるため、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してよい。
【0128】
経口使用できる医薬製剤として、ゼラチン製の押し込み型カプセル剤、およびゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とで作られた軟らかい密封カプセル剤が挙げられる。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、および必要に応じて安定剤との混合物に活性成分を含有し得る。軟カプセル剤では、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に活性組成物を溶解または懸濁させてよい。さらに、安定剤を添加してよい。経口投与用のすべての配合物は、該投与に適した薬用量を成しているべきである。
【0129】
頬側投与のため、組成物は通常の様式で調製した錠剤またはロゼンジ剤の形態を取ってよい。
【0130】
局所投与のため、エマルション、マイクロエマルション、または他の局所クリーム、ローション、ミルク、洗浄液、軟膏、セラムまたはゲルを調製してもよい。AloeExの直接乳化、例えば、AloeEx水中油エマルションの製剤が可能であり、この疎水性コアまたは油相は大部分がAloeExで構成される。他の界面活性剤または処方賦形剤を添加してエマルションを物理的に安定化することができる。
【0131】
局所投与に適した医薬製剤は、約0.05〜約5重量%のIAvD組成物を含有する特にクリーム、軟膏およびゲル、またペースト、フォーム、チンキ剤および溶液である。好ましくは製剤は約0.5重量%のIAvD組成物である。これらの組成物は、必要に応じて、少なくとも1種のIAvDおよびいずれの他のアロエベース材料をも含め、合計量のアロエ由来材料を包含する。臨床試験で論じられた処方では、例えば、0.5%のIAvD組成物はAloeExとMagnAloe AGの1:4混合物で構成された。
【0132】
クリームまたはローションは、典型的に水を50%より多く含有する水中油エマルションであってよい。油性基剤として、特に脂肪アルコール、特に12〜18個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例えばラウリル、セチルもしくはステアリルアルコール、脂肪酸、特に10〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばパルミチン酸もしくはステアリン酸、液状乃至固形ワックス、例えばミリスチン酸イソプロピル、羊毛脂または蜜蝋、および/または炭化水素、特に液状、半固形もしくは固形物質またはその混合物、例えば石油ゼリー(ワセリン)もしくはパラフィン油が使用される。好適な乳化剤は、主に親水特性を有する表面活性物質、例えば対応する非イオン性乳化剤、例えばポリアルコールの脂肪酸エステルまたはそのエチレンオキシド付加物、特に(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールもしくはソルビトールとの対応する脂肪酸エステル(該脂肪酸部分は特に10〜18個の炭素原子を含有する)、特にポリヒドロキシエチレンソルビタンの部分グリセリル脂肪酸エステルもしくは部分脂肪酸エステル、例えばポリグリセロール脂肪酸エステルもしくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、またポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルまたは脂肪酸エステル(該脂肪アルコール部分は特に12〜18個の炭素原子を含有し、かつ該脂肪酸部分は特に10〜18個の炭素原子を含有する)、特に約2〜23個のエチレングリコールもしくはエチレンオキシド単位を有するもの、例えばポリヒドロキシエチレンセチルステアリルエーテル(例えばCetomacrogol)、ポリヒドロキシエチレン−(4)−ラウリルエーテルおよびポリヒドロキシエチレングリセロール脂肪酸エステル(例えばTagat S)、または対応するイオン性乳化剤、例えば脂肪アルコールスルファートのアルカリ金属塩(特に該脂肪アルコール部分中に12〜18個の炭素原子を有する)、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムもしくはステアリル硫酸ナトリウム(通常、脂肪アルコール、例えばセチルアルコールまたはステアリルアルコールの存在下で使用する)である。
【0133】
水相への添加剤は、クリームが乾燥してしまうのを防止する薬剤、例えば湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに保存剤、香料などである。
【0134】
軟膏またはローションは、典型的に70%まで、好ましくは約20%〜約50%の水または水相を含有する油中水エマルションであってよい。脂肪相としては、特に、水結合能を改善するため、好ましくは適切なヒドロキシ化合物、例えば脂肪アルコールまたはそのエステル(例えばセチルアルコールもしくは羊毛脂アルコール)、または羊毛脂を含有する炭化水素、例えば石油ゼリー、パラフィン油および/または硬質パラフィンが好適である。
【0135】
乳化剤は、対応する親脂性物質、例えばソルビタン脂肪酸エステル(Spans)、例えばオレイン酸ソルビタンおよび/またはイソステアリン酸ソルビタンである。水相への添加剤は、とりわけ、湿潤剤、例えばポリアルコール、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに保存剤、香料などである。
【0136】
マイクロエマルションは、下記4成分を基礎とする等方系である:水、乳化剤(例えば上述したタイプの乳化剤、例えば界面活性剤、例えばエマルギン(emulgin))、脂質(例えば無極性油、例えばパラフィン油)、および親油性基を含有するアルコール、例えば2−オクチルドデカノール。所望により、他の添加剤をマイクロエマルションに添加してよい。
【0137】
脂肪性軟膏は水を含まず、基材として特に炭化水素、例えばパラフィン、石油ゼリーおよび/または液体パラフィンを含み、また天然もしくは部分合成脂肪、例えばグリセロールの脂肪酸エステル、例えばココナツ脂肪酸トリグリセリド、または好ましくは硬化油、例えば水素化落花生油もしくはひまし油、またグリセロールの脂肪酸部分エステル、例えばモノおよびジステアリン酸グリセロール、ならびに例えば、水吸収能を高める脂肪アルコール、乳化剤および/または軟膏に関連して言及した添加剤をも含有する。
【0138】
ゲルについては、水性ゲル、無水ゲルおよび少量の水を含むゲルの間で区別され、ゲルは膨潤性のゲル形成材料から成る。特に、無機または有機巨大分子を基礎とする透明のヒドロゲルを使用する。ゲル形成特性を有する高分子量の無機成分は、主に含水ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、例えばVeegum、またはコロイドケイ酸、例えばAerosilである。高分子量の有機物質としては、例えば、天然、半合成または合成巨大分子を使用する。天然および半合成ポリマーは、例えば、多種の炭水化物成分、例えばセルロース、デンプン、トラガカント、アラビアガムおよび寒天、ならびにゼラチン、アルギン酸およびその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、ならびにそれらの誘導体、例えば低級アルキルセルロース、例えばメチルもしくはエチルセルロース、カルボキシもしくはヒドロキシ低級アルキルセルロース、例えばカルボキシメチルもしくはヒドロキシエチルセルロースを含有する多糖から誘導される。合成ゲル形成巨大分子の成分は、例えば、適宜置換されている不飽和脂肪族化合物、例えばビニルアルコール、ビニルピロリジン、アクリル酸またはメタクリル酸である。該ポリマーの例は、ポリビニルアルコール誘導体、例えばポリビオール、ポリビニルピロリジン、例えばコリドン、ポリアクリラートおよびポリメタクリラート(特に約80,000〜約1,000,000の分子量を有する)、またはその塩、例えばRohagit S、EudispertもしくはCarbopolである。慣例の添加剤、例えば保存剤、安定剤、または香料をゲルに添加してよい。
【0139】
フォームは、例えば、加圧容器から投与され、エアロゾル形態の液状水中油エマルションであり;噴霧剤として無置換基またはハロゲン化炭化水素、例えばアルカン、例えばプロパンもしくはブタン、またはクロロフルオロ低級アルカン、例えばジクロロジフルオロメタンおよびジクロロテトラフルオロエタンが用いられる。油相としては、とりわけ、炭化水素、例えばパラフィン油、脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、脂肪酸エステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、および/または他のワックスが用いられる。乳化剤としては、とりわけ、主に親水特性を有する乳化剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および主に親脂特性を有する乳化剤、例えばソルビタン脂肪酸エステルの混合物が用いられる。慣例の添加剤、例えば保存剤なども添加される。
【0140】
チンキ剤および液剤は、一般的にエタノール性基剤を有し、この基剤に水を加えてよく、これにとりわけ、蒸発を減少させるための湿潤剤としてポリアルコール、例えばグリセロール、グリコールおよび/またはポリエチレングリコール、ならびに脂肪復元物質(例えば低分子量のポリエチレングリコールとの脂肪酸エステル)、すなわちエタノールによって皮膚から除去された脂肪物質の置換として、水性混合物に溶ける親脂性物質、ならびに、必要な場合、他の補助物質および添加剤を加える。適切なチンキ剤または液剤を適切な装置を用いて噴霧形態で適用してもよい。
【0141】
局所投与できる医薬製剤の製造は、それ自体既知の方法、例えば、基剤に、または必要な場合は基剤の一部に活性成分を溶解または懸濁させることによって行われる。活性成分を液剤の形態で投与する場合、一般的に、乳化前の二相の一方に活性成分を溶かし;活性成分をサスペンションの形態で投与する場合、乳化後の基剤の一部と活性成分を混合してから残りの配合物に加える。
【0142】
皮膚の弾力性の向上および/または皮膚細胞の成長もしくは再生の促進などの局所作用のための局所薬物として、IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを適用し得る。これは、皮膚に適用し、その適用部位で直接作用する治療薬である。病原の部位に治療薬を置かなければならず、皮膚を通して直接吸収され、その効果を発揮する。効果を生じさせるために全身吸収は必要ないと考えられる。
【0143】
全身作用のための局所薬物として、IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを適用し得る。これは、皮膚に適用し、その適用部位から離れた部位で作用して筋肉痛または関節痛を軽減し、皮膚の弾力性を高め、または両方を行う治療薬である。この薬物は体のどこに適用しても、その効果をもたらし得る。配合物は皮膚を通して吸収され、血流に入り、血中で有効レベルに達してからその作用部位に移動して、その効果を発揮しなければならない。
【0144】
当業者には、皮膚浸透向上剤を用いてIAvD組成物(複数可)の全身送達またはより深い筋肉もしくは関節への浸透さえも容易にできることが分かるだろう。この点に関して、浸透向上剤を用いて薬物への皮膚表面の浸透性を高めており、浸透向上剤は、多くの場合ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルアセトアミドなどのプロトン受容溶媒である。研究され、有効であると報告されている他の浸透向上剤として、2−ピロリジン、N,N−ジエチル−m−トルアミド(Deet)、1−ドデカル−アザシクロヘプタン−2−オンおよびN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジン、チオグリコール酸カルシウム、ヘキサノール、脂肪酸およびエステル、ピロリドン誘導体、1,3−ジオキサンおよび1,3−ジオキソランの誘導体、1−N−ドデシル−2−ピロリドン−5−カルボン酸、2−ペンチル−2−オキソ−ピロリジン酢酸、2−ドデシル−2−オキソ−1−ピロリジン酢酸、1−アザシクロヘプタン−2−オン−2−ドデシル酢酸、およびアミノアルコール誘導体、例えば1,3−ジオキサンの誘導体、その他多数が挙げられる。
【0145】
IAvD組成物またはIAvD組成物の組合せを、使用する剤形に含めて、関節痛、筋肉痛、皮膚の弾力性の損失または皮膚のしわなどのいずれの反応性状態をも治療することができる。
【0146】
医薬組成物は、適切な固相もしくはゲル相担体または賦形剤を含んでもよい。このような担体または賦形剤の例として、限定するものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー、例えばポリエチレングリコールが挙げられる。
【0147】
状態、疾患、苦痛、創傷などのいずれか、限定するものではないが、関節痛または筋肉痛の1つまたは複数の症状の治療、予防、または改善するための、および皮膚の弾力性を向上させるための安定組成物を提供する。本明細書で提供する組成物は、長期貯蔵中に安定な薬理学的に適切な流体中の、免疫賦活性アロエベラ抽出物またはその誘導体の安定配合物である。本組成物は、投与が必要な対象に直接投与するのに適していてよく、または濃縮形態でもよい。薬理学的に適切な流体としては、限定するものではないが、プロトン性流体を含めた極性流体が挙げられる。本明細書の特定の実施形態では、組成物が水溶液である。他の実施形態では、組成物は非水性またはエマルションである。
【0148】
IAvD組成物を薬理学的に適切な流体または溶媒と配合することができる。薬理学的に適切な流体として、限定するものではないが、極性溶媒が挙げられ、例えば、ヒドロキシル基または他の極性基を含有する化合物が挙げられるが、これに限定されない。該溶媒として、限定するものではないが、水またはアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、およびグリコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールおよびポリオキシエチレンアルコールが挙げられる。
【0149】
極性溶媒には、プロトン性溶媒も含まれ、限定するものではないが、水、食塩水(1種または複数の医薬的に許容し得る塩と共に)、アルコール、グリコールまたはそれらの混合物が挙げられる。溶媒としてかまたは溶媒の成分としての食塩水のためには、特に適切な塩は、投与後に薬理活性を示さないかまたは無視できる薬理活性しか示さない当該塩である。
【0150】
本明細書で提供する組成物は賦形剤および添加剤をも包含し得る。本明細書で提供する長期貯蔵用組成物で使う特定の賦形剤または添加剤は、当業者に周知の方法を利用して経験的に決定され得る。賦形剤および添加剤は、活性物質でないいずれかの薬理学的に適切かつ治療的に有用な物質である。賦形剤および添加剤には一般的に薬理活性がないか、または少なくとも望ましくない薬理活性がない。賦形剤および添加剤としては、限定するものではないが、界面活性剤、安定剤、錯化剤、抗酸化剤、または完成医薬配合物の使用期間を延長する保存剤、香味料、ビタミン、または当技術分野で既知の他の添加剤が挙げられる。
【0151】
錯化剤としては、限定するものではないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩、例えば二ナトリウム塩、クエン酸、ニトリロ三酢酸およびそれらの塩が挙げられる。一実施形態では、錯化剤がEDTAである。保存剤としては、限定するものではないが、病原粒子による汚染から溶液を保護するもの、例えば塩化ベンザルコニウムまたは安息香酸、または安息香酸塩、例えば安息香酸ナトリウムが挙げられる。抗酸化剤としては、限定するものではないが、ビタミン、プロビタミン、アスコルビン酸、ビタミンEまたはそれらの塩もしくはエステルが挙げられる。
【0152】
本明細書で提供する組成物は、添加剤または活性成分の溶解度を高める共溶媒を含んでもよい。本明細書で提供する長期貯蔵用組成物で使う特定の共溶媒は、当業者に周知の方法を利用して経験的に決定され得る。本明細書で使う共溶媒として、限定するものではないが、ヒドロキシル化溶媒または他の極性溶媒、例えばアルコール、例えばイソプロピルアルコール、グリコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、およびポリオキシエチレンアルコールが挙げられる。
【0153】
他の実施形態では、本組成物はさらにバッファーを含む。バッファーとしては、限定するものではないが、クエン酸/ホスファート、アセタート、バルビタール、ボラート、Britton−Robinson、カコジラート、シトラート、コリジン、ホルマート、マレアート、McIlvaine、phFosphate、Prideaux−Ward、スクシナート、シトラート−ホスファート−ボラート(Teorell−Stanhagen)、酢酸ベロナール、MES(2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸)、BIS−TRIS(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノ−トリス−(ヒドロキシメチル)メタン)、ADA(N−(2−アセトアミド)−2−イミノ二酢酸)、ACES(N−(カルバモイルメチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸))、MOPSO(3−(N−モルフォリノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、BISTRIS PROPANE(1,3−ビス(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)プロパン)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルフォリノ)プロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、HEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)、DIPSO(3−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MOBS(4−(N−モルフォリノ)−ブタンスルホン酸)、TAPSO(3−(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TRIZMA.RTM.(トリス(ヒドロキシメチルアミノメタン)、HEPPSO(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、POPSO(ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TEA(トリエタノールアミン)、EPPS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、TRICINE(N−トリス(ヒドロキシ−メチル)メチルグリシン)、GLY−GLY(グリシルグリシン)、BICINE(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、HEPBS(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(4−ブタンスルホン酸))、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)、AMPD(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール)、および/または当業者に既知のいずれの他のバッファーをも挙げられる。
【0154】
本明細書で提供する所定組成物の特定のバッファーおよびバッファー濃度は、当業者に周知の標準的安定性アッセイを利用して経験的に決定され得る。
【0155】
本組成物は、所望により、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有し得るパックまたは調剤装置で提供されることもある。パックは、例えばブリスターパックのような金属またはプラスチック箔を含んでよい。パックまたは調剤装置は、投与の説明書を付随してよい。適合性医薬担体中で配合された本発明の組成物を含む組成物を調製し、適切な容器内に入れ、指示状態の治療についてラベルを付けてもよい。ラベル上に指示される適切な状態が、ある状態の治療を包含し得る。
【0156】
配合物は、任意成分、例えば、ハーブ、ビタミン、ミネラル、エンハンサー、着色剤、甘味料、香味料、不活性成分などを含んでもよい。このような任意成分は天然に存在する形態でも濃縮形態でもよい。これらの成分の1種または数種の選択は、処方、設計、消費者の好みおよび最終使用者の問題である。
【0157】
本発明の別の態様により、種々の材料を用いて、IAvDの均質なディスパーション、エマルション、サスペンション、溶液などを製造できることが分かった。特に、第2のアロエ由来材料を使用することによって、一定の高活性であるが、一般的に不溶性のIAvDを分散、懸濁、乳化および/または可溶化できることが分かった。当該第2のアロエ由来材料は、第2のIAvDであってよく、またはIAvDとみなすには不十分な活性の材料であってもよい。第2のアロエ由来材料の量は、要望通りに、第1のIAvDの均質ディスパーション、溶液、均質サスペンション、または均質エマルションの製造を可能にするのに十分な量であるべきである。一般的に、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との総量の重量%に対して、少なくとも約10重量%の第2のアロエ由来材料が必要である。
【0158】
本発明の特に好ましい実施形態では、第1のIAvDがAloeExである。第1のIAvDの加工性を改善できるいずれのアロエ由来材料を使用してもよい。第2のアロエ由来材料は一般的に多糖で構成され、該多糖の少なくとも50%が1,500,000ダルトン以下の分子量を有する。この第2のアロエ由来材料として、限定するものではないが、MagnAloe AG、アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolから成る群より選択されるアロエベース材料が挙げられる。MagnAloe AGは、Costa Rica、S.A.のFirst Aloeから入手可能な粉末である。www.firstAloevera.com/magnAloe_information.htmで情報を得ることができる。MagnAloe AGの多糖レベルは、以下に示すように800キロダルトン(KDa)を超える。これは、市販されている噴霧乾燥200−1アロエベラ粉末より平均40%高い。MagnAloe AGは全部で683.1mg/gの多糖を含み、そのうち42.65mg/gの多糖の分子量(MW)が50〜200KDaであり、118.5mg/gの多糖のMWが200〜800KDaであり、366.2mg/gの多糖のMWが800〜1400KDaであり、155.8mg/gの多糖のMWが1400〜2000KDaであると報告されている。MagnAloeの水に対する溶解度は、一般的に約15%である。
【0159】
アロエベラゲル1X(天然の粉砕フィレ、微粒子フィレまたは脱色)、アロエベラゲル10X(天然または脱色)、アロエベラゲル200x(脱水粉末または噴霧乾燥粉末)、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液(1X、2X、4X、または10X)は、Improve USA、Inc.、215 Dalton Drive、Suite D、DeSoto、TX 75115から入手可能である。アロエベラゲル200xの水に対する溶解度は、一般的に約90〜100%である。
【0160】
エースマンナン、アロエベラ粘質多糖(AVMP)およびManapolは、Carrington Laboratories、Irving、TXから入手可能である。1つの特に好ましい実施形態では、IAvD中の単一の最も優勢な炭水化物がグルコースであり、第2のアロエ由来材料中の単一の最も優勢な炭水化物がマンノースである。
【0161】
一実施形態では、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との総量に基づいて第1のIAvDの量が約10重量%〜約90重量%の範囲であり、第1のIAvDと第2のアロエ由来材料との量に基づいて第2の材料の量が約90%〜約10%の範囲である。1つの好ましい実施形態では、第2の材料の量が第1のIAvDの量より多く、特に好ましい実施形態では、第2の材料対第1のIAvDの重量比が4:1で第1のIAvDと第2の材料を供給する。この両者によって結果として形成される均質混合物中、第2の材料は該混合物の約80%を形成するであろう。さらに別の好ましい態様では、第1のIAvDがAloeExであり、第2の材料が多糖を含むアロエ由来材料(該多糖の少なくとも50%が約1,500,000ダルトン以下の分子量を有する)、例えばMagnAloe AGであり、AloeExの量が、AloeExとMagnAloeの量に基づいて約10重量%〜約90重量%の範囲であり、MagnAloe AGの量が、AloeExとMagnAloe AGの量に基づいて約90%〜約10%の範囲である。1つの好ましい実施形態では、MagnAloe AGの量がAloeExの量より多く、特に好ましい実施形態では、MagnAloe AG対AloeExの重量比が4:1でAloeExとMagnAloe AGを供給する。この両者によって結果として形成される均質混合物中、MagnAloe AGは該混合物の約80%を形成するであろう。
【0162】
一実施形態では、原料AloeExを約80℃に加熱した水と混合することによって、AloeExおよび第2の材料、好ましくは第2のアロエ由来材料を配合することができる。混合物を少なくとも10分間撹拌して材料を均質にする。次いで、好ましくは孔径が15μm以下のフィルターを用いて混合物をろ過する。結果として生じたろ液を本明細書で述べる種々のIAvD組成物を調製する際に利用することができる。
【0163】
AloeExの均質化は、利用する装置によって、熱が必要な場合もあるし、必要でない場合もある。例えばプロセスの一部としてホモジナイザーを用いて均一な粒子サスペンションとすることができる。周知の「カラー」ホモジナイザーを用いて、AloeEx粒径を小さくして、水性のAloeExサスペンションおよび/またはエマルションを調製することができる。
【0164】
AloeExの特徴づけを図1に示す。この材料は褐色から緑色のフレーク状散剤を形成する。
【0165】
図1を参照すると、チャートは、1ロットのAloeEx材料(バッチ56)を炭水化物全体のモル%に基づいて関連糖含量と共に示している。
【0166】
図1は、酸メタノリシスによってサンプルから生成した単糖メチルグリコシドのペル−O−トリメチルシリル(TMS)誘導体の混合ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)によって、ジョージア大学、複合炭水化物研究センター(Complex Carbohydrate Research Center)が行ったグリコシル組成物分析の結果を示す。
【0167】
まず、発明者らが提供した乾燥サンプルから、メタノール中1MのHCl中80℃(18〜22時間)でのメタノリシスによってメチルグリコシドを調製し、次にメタノール中のピリジンおよび無水酢酸で再びN−アセチル化した(アミノ糖の検出のため)。そしてサンプルをTri−Sil(Pierce)で80℃にて処理して(0.5時間)ペル−O−トリメチルシリル化した。[これらの手順は、以前にMerkleおよびPoppe(1994) Methods Enzymol.230:1〜15;Yorkら(1985)Methods Enzymol.118:3〜40に記載されている通りに行った。]Tri−Silを添加すると即座に有意レベルの沈殿物に気づいた。5970MSDに連結したHP5890GCで、All Tech EC−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID)を用いてTMSメチルグリコシドのGC/MS分析を行った。
【0168】
単糖を標準物質と比較したその保持時間によって同定し、これらの炭水化物特性をその質量スペクトルによって確証した。質量スペクトルデータを解釈するため、フラグメントイオン73はすべてのTMSメチルグリコシドの特徴的基本フラグメントであり、204および217は中性糖の特徴的フラグメントであり、173はアミノ糖の特徴的フラグメントである。フラグメント217はウロン酸の特徴的フラグメントでもあり、フラグメントイオン298はシアル酸の特徴的フラグメントである。
【0169】
図1は、モル%でグリコシル残基組成を同定する。値は炭水化物全体のモルパーセントとして表されている。炭水化物全体のパーセントを計算すると8.6%だった。測定した構成成分の値は、グルコース61.1%、アラビノース9.5%、ガラクトース9.2%、ガラクツロン酸7.9%、マンノース6.6%、キシロース1.6%、リボース1.5%、ラムノース1.4%およびフコース1.1%だった。
【0170】
臨床試験−皮膚の弾力性−局所配合物
以下に概要を述べる1つの臨床試験は、商標名ALOERIDE(登録商標)のもとで販売されている1つのIAvD組成物の効果を実証する。ALOERIDE(登録商標)を局所投与して皮膚の弾力性を改善することができ、かつ栄養補助食品の成分として使用することもできる。
【0171】
ALOERIDE(登録商標)ゲル0.5%製品#10849LL、ロット#11939の皮膚の弾力性または堅さに及ぼす効果をFairfield、NJのConsumer Product Testing、Inc.による臨床試験で判断した。試験配合物(ALOERIDE(登録商標)ゲル0.5%)はMagnAloe AGとAloeExの重量で4:1の混合物を含み、これを水、アルコール(10%)および少量のカルボポール(Carbopol)(0.5%)と混合してからホモジナイザーを用いて分散させた。AloeEx、水、アルコールおよび少量のカルボポールのディスパーションを用いて、試験ゲルサスペンションを調合した。
【0172】
被験品を規定顔面域に適用する場合に8週間保つのに十分な小型容器に供給した(アルコールは保存剤として働く)。
【0173】
臨床試験はAloeEx機能の二重試験(double test)だった:カルボポールは乾燥しやすく、負の試験性能因子(negative test performance factor)を(−)15%で推定した。臨床試験はAloeEx/MagnAloe AGの、1)4週間および8週間で被験者の統計的多数で細線およびしわを減少させる能力、2)カルボポールに関連するいずれのマイナスの乾燥(negative dryness)をも克服するAloeExの能力を証明した。
【0174】
この臨床試験で用いたAloeExは非分散性/不溶性であり、均質化し難かった。しかし、MagnAloe AGと1:4で混合すると、均質なゲル/エマルションが実現した。
【0175】
40〜65歳の範囲の31人の有資格の男性および女性被験者を試験のために選択した。被験物質は4週間および8週間の評価間隔の両方で皮膚の反発時間の有意な減少を示した。試験参加者には、試験終了時に皮膚の弾力性または堅さの72%までの改善が認められ(図2)、試験参加者の100%に皮膚の弾力性の全般的改善が認められた。年齢と性別に基づいた試験人口統計学的データを図3に示す。
【0176】
被験者は、基礎測定のために試験の初日の洗顔をして検査室に出頭した。いずれの測定(reading)またはスコアリングを行う前にも、周囲条件(21℃±2℃の温度、40%±2%の相対湿度)で環境制御した室内で15分間被験者を平衡させた(equilibrated)。
【0177】
Shanahan.R.W.ら、Parameters for Assessing the Efficacy of Skin Care Products.Drug&Cosmetic Industry、140、第1号、42〜48、1987で開示されているつまみ試験を使用して皮膚の弾力性(堅さ)を測定した。熟練試験者が目の側面、眼窩下域の皮膚を親指と人差し指でつまむことによって、皮膚の弾力性または堅さのスコアを得た。結果として生じた折り目を解放し、解放したときからさらに動かなくなるまで、皮膚の目に見えるすべての動きのタイミングを観察し、1秒の100分の1まで測定した。スコアを測定値の統計解析用データ記録用紙に記録した。
【0178】
ベースライン測定と、それに続く治療後4週間および8週間のスコアリング間隔との間の平均スコアの統計的に有意な(対応のあるt検定を用いてPが0.05以下)減少がある場合に、皮膚の弾力性の改善の存在が立証されたとみなす。
【0179】
図2は、皮膚の平均反発時間(秒)の統計的に有意な減少(皮膚の弾力性または堅さの増加の指標)を示す。すべてのベースライン測定値の平均は、左右の測定でそれぞれ2.09秒および1.96秒だった。4週間の試験間隔で有意な減少が観察され、それぞれ1.60および1.53秒をもたらした。8週間の試験間隔では、皮膚の平均反発時間のさらなる減少が測定され、左右について1.19および1.18秒だった。以前に論じたように、すべての測定間隔についてpを計算するとゼロ以下だったので、結果は統計的に有意だった(図2)。
【0180】
以下に概要を述べる別の臨床試験は、筋肉痛および/または関節痛ならびに皮膚の弾力性を改善するために経口投与した別のIAvD組成物の効果を実証する。
【0181】
臨床試験−皮膚の弾力性−関節/筋肉痛−経口配合物
12週間で皮膚の堅さおよび弾力性を改善し、かつ筋肉痛および関節痛を軽減するように設計された本発明の経口栄養補助食品の有効性を評価するため、Clinical Research Laboratories,Inc.で試験を行った。(その内容全体を参照によって本明細書に組み込むものとする、加齢を軽減するようにデザインされた経口栄養補助食品の安全性と有効性を評価するための二重盲検プラセボ対照パイロット試験(A Double−Blind Placebo Controlled Pilot Study to Assess the Safety and Efficacy of an Oral Supplement Designed to Diminish Aging)、試験番号CRL34706)。この臨床試験で用いたプラセボ錠剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸、二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムを含有した。実錠剤は、プラセボ錠剤と同じ不活性成分と、MagnAloe AGとAloeExの4:1混合物50mgとを含有した。これらの錠剤を1日2回、起床時および就寝時に経口投与した。
【0182】
本試験は2006年8月30日に開始し、2006年12月15日に終了した。最初に、各被験者について以下のように安全性スクリーニングを行った。
【0183】
安全性評価血液分析
指定された試験来院時に各被験者から採血し、以下の血液試験を行った。
【0184】
白血球分画および血小板数を含む全血球数(CBC)。
【0185】
化学パネル+HDL AST(GOT)、ALT(GPT)、γGt、LDH(LD)、全タンパク質(TP)、尿酸、(UA)、全ビリルビン、尿素窒素(UN)、全コレステロール(HDL、LDL、TG)、Na、K、Ca、Cl
【0186】
尿分析
指定された試験来院時に各被験者から尿試料を得、以下の尿試験を行った。
グルコース、タンパク質、ウロビリノーゲン、血液、pH
【0187】
座位バイタルサイン
スクリーニング来院時に座位バイタルサイン(すなわち、脈拍、血圧および呼吸数)の評価を記録した。
【0188】
妊娠試験
スクリーニング来院時にすべてのパネリスト(閉経後の女性を除く)について尿妊娠試験を行った。
【0189】
皮膚の評価
治療が皮膚に及ぼす効果を判断するため、各被験者の顔面についてCRL技師が皮膚の評価を行って紅斑、水腫および乾燥の有無を調べた。以下のスコアリングスケールを用いて皮膚刺激の証拠の程度および/または重症度を記録した。
【0190】
紅斑、水腫および乾燥のスコアリングスケール
0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度
【0191】
有効性の評価
キュートメーター
可変真空ポンプで吸引力を生じさせ、プローブ中への皮膚の浸透の深さを0.01mmの正確度で光学的に測定する。真空適用を制御し、皮膚の変形を時間の関数としてプロットするコンピュータにプローブを取り付ける。結果として生じた曲線から、即時、遅延および最終伸張(distention)ならびに即時収縮(retraction)などのいくつかの変数を推定することができる(Elsner 1990)。
【0192】
これらの可変値は、皮膚の弾力性、粘弾性および純粋な粘性挙動を予測する(Barelら 1995)。
【0193】
以下のパラメーターを測定した。
10秒で測定した最終膨張、Uf。0.1秒で測定した即時膨張、Ue。遅延膨張、Uv。即時収縮、Ur。
【0194】
変形パラメーターは、皮膚厚に依存性の外因性パラメーターである。
【0195】
皮膚厚の測定を迂回するため、以下の比を用いて皮膚の弾力的性質を評価した(Elsner 1990、Cuaら 1990、KrusheおよびWonet 1995ならびにDobrev 1995)。
【0196】
Ur/Ueは皮膚の生物学的弾力性である。Ur/Ueは、変形後にその最初の形状を回復する皮膚の能力を測定する。値1が100%の弾力性を示す。
【0197】
Uv/Ueは遅延変形と即時変形の比であり、すなわち、Uv/Ueは粘弾性対弾性の比である。この比の値の増加は、変形の粘弾性部分の増加および/または弾性部分の相対的減少があったことを示す。
【0198】
Ur/Ufは皮膚の正味の弾性力の尺度である。
【0199】
本試験は予備スクリーニング来院を含み、この間に臨床試験技師(Clinical Research Technician)が被験者を検査して適格性を判断した。適格な被験者は、顔の目尻に軽度から中等度の細線およびしわを示し、慢性の筋肉痛および/または関節痛があった。この時、血液および尿の分析に備えて、予定されたスクリーニング来院前夜の午後9:00以降は何も飲食しないように被験者に通知した。
【0200】
試験開始前、被験者は予定されたスクリーニング来院のためCRL検査室に到着した。各見込み被験者から採血し、採血に用いた前腕を症例報告書に記録した。尿分析のため各パネリストから尿試料を得、座位バイタルサイン(すなわち、脈拍、血圧および呼吸数)の評価を行って記録し、すべてのパネリスト(閉経前の被験者を除く)について尿妊娠試験を行った。被験者は、コンディショニング期間の残りの期間および試験期間には、試験中に各被験者に与えられる経口栄養補助食品を除き、すべての経口栄養補助食品の使用を中断した。
【0201】
ベースライン時で試験対象集団の皮膚状態を標準化し、異なるスキンケアレジメンの使用に起因するばらつきを最小限にするため、1週間のコンディショニング期間で試験を始めた。被験者は1週間のコンディショニング期間を経る必要があり、この期間、試験開始前のすべての洗顔のためグリセリン石鹸を使用した。スクリーニング来院時、各被験者に詳細な試験の説明書、すべての洗顔に使うための1個のグリセリン石鹸、1日1回使うためのCetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザー(Daily Facial Moisturizer) SPF15、および石鹸の使用を記録し、コンプライアンスを立証するための日誌(Daily Diary)を与えた。被験者は、ベースライン来院前7日に開始して、この石鹸で1日2回(朝と夜)洗顔し始めた。このスクリーニング来院時に、すべての被験者はスクリーニングアンケートに回答した。
【0202】
有資格被験者は、先に言及したスクリーニング来院の安全性評価の結果として、血液および尿試験の結果が正常であり、各パネリストのバイタルサインは正常範囲内であった。さらに、フォローアップ来院および試験要件に同意し、すべての組み入れ/除外基準を満たす適格被験者を試験用の名簿に載せた。
【0203】
ベースライン来院のためCRL試験施設に戻ったら、評価前の30分間周囲の検査室条件に被験者を馴化させた。馴化時間後、紅斑、水腫および乾燥の有無について、熟練CRL専門技術者が各被験者の顔の皮膚の評価を行った。各被験者について、コンピュータ生成ランダム化コードによる決定通りに、測定のため顔の右または左側を選択した(図4)。測定の選定は試験を通して一貫したままだった。顔の同側の眼下の頬骨部分からキュートメーターの示度を得た。すべての測定を適切に記録した。各被験者は、筋肉痛および関節痛のタイプと頻度を評価するため、ベースライン消費者知覚アンケートに回答した。
【0204】
特定の被験物質を各被験者にランダムに割り当てて、群1のパネリストは実錠剤を受け、群2のパネリストはプラセボ錠剤を受けた。被験者群への指定はコンピュータ生成ランダム化コードに従って決定された。治療の指定/群の割当ては、試験を通して一貫したままだった(図5〜6)。
【0205】
各被験者に指定被験物質と、詳細な試験説明書と、栄養補助食品の毎日の使用回数、Cetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザーSPF15の毎日の適用、および栄養補助食品の使用に関連するいずれの示唆コメントをも記録するための新しい日誌とを与えた。
【0206】
印刷された試験説明書には各来院の試験手順およびClinical Research Laboratories,Inc.への再来院の予約日時が詳述された。被験者は、支給されたグリセリン石鹸の1日2回の使用、およびCetaphil(登録商標)デイリーフェイシャルモイスチャライザーSPF15の1日1回の使用を続けるように指導された。
【0207】
各被験者は、電話経由で、CRL技師によって第4週コンプライアンスチェックを受けた。指定経口栄養補助食品を8週間摂取後に、被験者はCRL試験施設に報告し、各パネリストを30分間周囲の温度と湿度に馴化させた。馴化後、熟練CRL技師がすべての被験者の顔の皮膚の評価を行った。キュートメーターで測定した。ベースライン試験間隔について先に説明したように、これらの手順および評価を行って記録した。
【0208】
栄養補助食品を12週間使用後に、被験者はClinical Research Laboratories,Inc.に出頭し、各被験者を30分間周囲の温度と湿度に馴化させた。各被験者から採血し、採血のために用いた前腕を症例報告書に記録した。最後の尿試料を各パネリストから得た。熟練CRL技師が、紅斑、水腫および乾燥の有無について顔の皮膚の評価を行った。顔の同一側の眼下の頬骨部分からキュートメーターの測定値を得た。すべての測定値を適切に記録した。
【0209】
第12週時、すべての被験者は最終アンケートに回答し、被験物質および日誌の未使用分を返却した。
【0210】
統計的方法
本試験の有意な結果をもたらす主要な有効性パラメーターは、キュートメーター測定値および消費者知覚アンケートである。
【0211】
一元配置ANOVA検定(反復測定)を各群に適用して、すべてのパラメーターについてベースラインと第8週の間およびベースラインと第12週の間に差があるかを判断した。全体的なF検定が有意な場合、チューキー(Tukey)の多重比較検定をさらに適用してどこに有意差が存在するかを判断した。ANOVA検定は、F検定を利用して治療の手段または時間間隔の間に有意差が存在するかを判断する。F検定が帰無仮説を棄却する場合、通常、因子水準効果の性質の徹底解析を行う必要がある。チューキー検定は多重比較手順である。これは、同時に1対より多くの手段または割合を調査または比較するが、全体の有意水準が単一対の比較の場合に指定されるものと同じになるように全体の有意水準を制御する方法である。
【0212】
群1(本発明の被験物質栄養補助食品に割り当てられた被験者)と群2(プラセボ被験物質栄養補助食品に割り当てられた被験者)との間の比較は、各時間間隔(第8週および第12週)におけるベースラインからのパーセント変化率に基づいた。2サンプルt検定を適用して、群1と群2の間に有意差が存在するかを判断した(図8A〜8D)。
【0213】
0.05以下の両側p値は、信頼水準95%に相当する有意性の基準だった。すべての統計的コンピュータ処理はマイクロソフトのExcelまたはSAS(登録商標)統計解析ソフトウェアを用いて行った。
【0214】
結果
20名の被験者が試験を完了した。1名の被験者(#7)は、被験物質と無関係の理由で試験参加を途中で中止した。
【0215】
有害事象
2006年11月20日、被験者#6(プラセボ製品に割り当てられた)は、プラセボ錠剤を摂取してから約9週間後の2006年11月17日に、彼女の顔の両側の頬域内および上胸部上に赤い発疹および蕁麻疹様の隆起に気づいたことを報告した。この被験者は、これらの領域にかゆみがあったことも報告した。2006年11月20日に、CRL認定皮膚科医による検査時に、この被験者はツタうるしかぶれと診断された。被験者#6は試験参加を継続した。治験責任医師は、この中等度の重症度の有害事象は被験物質の使用とは全く関係ないと判断した。CRL技師がフォローアップの電話をかけ、各会話からの情報を以下のように記録した:2006年11月22日、被験者は蕁麻疹が消失し、顔面発赤が縮小しつつあると報告した。
【0216】
2006年11月27日に、被験者#6は、蕁麻疹が乾燥しつつあり、ほぼすべての発赤がなくなったことを示した。2006年12月8日に、この被験者は、毒素がなくなり、有害な顔面皮膚状態が完全に解消されたと報告した。
【0217】
機器測定、皮膚評価およびアンケートへの回答
両被験者群について、図7A〜Dは、各指定試験間隔での各パネリストのキュートメーター測定を要約する。表VIは、ベースラインに対する第8週と第12週の測定間の差を比較するために決定した統計的変数を列挙する。各被験者について、表VIIは、紅斑、水腫および乾燥の存在についてベースライン、第8週および第12週の皮膚の評価スコアを列挙する。表VIIIは、スクリーニングアンケート[両被験者群を合わせて]に対する百分率に基づいたアンケートデータを列挙する。表IXおよびXは、群1(実錠剤に割り当てられた被験者)および群2(プラセボ錠剤に割り当てられた被験者)のベースラインおよび第12週(最終)の消費者知覚アンケートに対する百分率に基づいたアンケートデータを列挙する。これらのアンケート表には、オープンエンドの質問も含まれる。
【0218】
結論
各被験者について、試験手順は、血液および尿の分析、座位バイタルサイン、妊娠試験(閉経前のパネリストを除く)、キュートメーター測定および消費者知覚アンケートを包含した。
【0219】
血液分析
各被験者について、上述したように、ベースラインおよび第12週の試験間隔で血液分析を行った。ベースラインで認められた所見については第12週では臨床的に有意な所見は認められなかった。
【0220】
尿分析
上述したように、ベースラインおよび第12週の試験間隔で各被験者から尿試料を得た。ベースラインで認められた所見については第12週では臨床的に有意な所見は認められなかった。
【0221】
有効性の評価
キュートメーターパラメーターUr/Ueによって評価した場合、群1の被験者(原成分被験物質栄養補助食品10853LLAに割り当てられた)ではベースラインと第12週との間に統計的有意差が存在した。キュートメーターパラメーターUr/Ueは伸張および収縮に関連するので、皮膚の弾力性を表す。群1の被験者の70%がキュートメーターパラメーターUr/Ueの改善を示した。ベースラインに対して、パラメーターUr/Ueのこの有意な増加は、第12週で29%の改善に相当し、本発明の栄養補助食品である10853LLAを摂取した群1の被験者では皮膚の弾力性および伸展性が改善したことを示唆している。図7A〜8Dは、試験結果の統計解析を要約する。図7Dは、ベースライン乃至第12週のUr/Ueの統計的に有意な改善を示す(p=0.0109)。
【0222】
Zスコア解析によって解析したアンケートへの回答は、第12週(最終)アンケートでの質問番号10〜15から成っていた。後述するように、Zスコア解析に適用できる、第12週(最終来院)における試験対象集団の消費者知覚アンケートへの好ましい回答を分析すると、各被験者が回答したアンケートに統計的有意性(絶対値1.96以上のZスコア)があった。
【0223】
実錠剤である10853LLAに割り当てられた群I試験対象集団の有意な割合が栄養補助食品を12週間使用した後に改善を認め、被験者は以下の治療効果に関して好ましい回答をした。
【0224】
約85%の被験者が、本品を12週間使用した後、筋肉痛および/または関節痛の頻度が減ったことを認めた。
【0225】
約85%の被験者が、本品を12週間使用した後、全体的な痛みの強度が低減していることを認めた。
【0226】
約90%の被験者が、本品を12週間使用した後、痛みがそれほど長くは続かなかったことを認めた。
【0227】
約85%の被験者が、自分の関節痛および/または筋肉痛に本品がプラスの効果があることを認めた。詳細な統計結果を図8A〜Bに示す。
【0228】
プラセボ錠剤である10853LLBに割り当てられた群2試験対象集団では、栄養補助食品を12週間使用した後に好ましくない回答が報告された。結果を図9A〜Bに示す。
【0229】
試験参考文献
Basel、CourageおよびClarys、Handbook of Non−Invasive Methods and the Skin、SerupおよびJemec編、1995。
BlichmanおよびSerup、Acta Derm Venereol、1988。
Cua、MaibachおよびWilhelm、Dermatologica Research、1990。
Dobrev、Sixth Congress of Dermatology and Venerology、Pleve、Bulgaria、May 11〜13、1995。
Elsner、Eighth International Symposium “Bioengineering and the skin”、Stresa/ltalia、June 1990。
Frankowski、ChenおよびHuth、Photonics West Annual Symposium、Electronics Imaging 2000、San Jose、January 23〜28、2000。
Fiorentini、Becheroni、Iorio.Int.J.Cosmet.Sci.26〜29、1988。
Friedman、Skover、PayonkおよびGeronemus、Seminars in Cutaneous Medicine and Surger、200、21(4):266〜273。
KrusheおよびWorre、Archives of Dermatologica Research、287〜293、1995。
Morganti、RandazzoおよびCardillo、Appl.Cosmet、10〜12、1986。
Randeau、Kurdian、Sirvent、ClossおよびGirard、Cosmetics and Toiletries Manufacture Worldwide 2002。
Simon、Arzliche Kosmetologie、256〜259、1984。
【0230】
上述したすべての参考文献は、その内容を参照によって本出願に明白に組み込むものとする。
【0231】
単球活性化アッセイの方法
単球活性化アッセイを用いて免疫賦活活性を評価した。THP−1ヒト単球細胞系を、前述したように、HIV/IgKのためのNF−κBモチーフの2つのコピーを含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物でトランスフェクトした。この単球活性化アッセイは、アロエベラ抽出物および製品材料の生物活性に基づいた標準化のために使用できるインビトロ試験システムの例である。
【0232】
トール様受容体2(TLR2)発現ベクター実験の方法
ウシ胎児血清(10%)および1%ペニシリン−ストレプトマイシンで補充したDMEM/F12培地内で5%CO2下、37℃にてHEK293細胞を培養した。活発に成長する細胞をエレクトロポレーションを利用して適切なプラスミドで一時的にトランスフェクトした(150Vおよび1回の70msパルスで)。エレクトロポレーション後、細胞を200μl/ウェルの培養培地内で5×104個の細胞密度にてプレートした。48時間後、トランスフェクトされた細胞に被験薬剤を添加した。サンプルの添加6時間後に細胞を収集してルシフェラーゼ活性を測定した。NF−κBプラスミド構築物(pBIIXLUC)は、HIV/IgK由来のNF−κBモチーフの2つのコピーを含有した。ヒトCD14とヒトTLR2を同時発現しているプラスミド(pDUO−hCD14/TLR2)はInvivoGenから購入した。ザイモサン(Zymosan)はSigmaから購入し、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)ペプチドグリカンはFlukaから購入し、超純粋なサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)LPSはList Biological Laboratories,Inc.から購入した。
【0233】
AloeExはTLR2依存性プロセスを介してNF−κBをインビトロで活性化する。
図10A〜10Bは、AloeEx(バッチ2−5−05)がTLR2を介して作用することを示す。NF−κBのための2つの結合部位を含有するルシフェラーゼレポーター遺伝子構築物のみで(図10A)、またはpDUO−hCD14/TLR2発現プラスミドと併用して(図10B)、HEK293細胞(TLR発現が最小限の細胞系)を一時的にトランスフェクトした。pDUO−hCD14/TLR2発現プラスミドはTLR2−(CD14およびTLR2)依存性NF−κB活性化を支持するタンパク質を発現する。トランスフェクション48時間後に細胞をAloeEx TLR2アゴニストペプチドグリカン(PG)もしくはザイモサン(Z)、またはTLR4アゴニスト超純粋S.ミネソタリポ多糖(LPS)で指示濃度(μg/ml)にて処理した。薬剤の添加6時間後にルシフェラーゼ活性を決定した。
【0234】
TLR2特異性(ペプチドグリカンもしくはザイモサン)またはTLR4特異性(超純粋LPS)リガンドもAloeExも、レポータープラスミドのみでトランスフェクトされたHEK293細胞内のNF−κB依存性ルシフェラーゼ発現を活性化しなかった(図10A)。AloeExは、TLR2依存性(CD12およびTLR2を発現する)活性化を支持する細胞内のNF−κBを活性化した(図10B)。ペプチドグリカンおよびザイモサンも、TLR2およびCD14を発現している細胞内のNF−κBを活性化した。それに比べて超純粋LPSは活性化しなかった。
【0235】
AloeEx中のALPSおよびALPの存在
発明者らは、AloeExがアロエベラと関連する微生物に由来する可能性が最も高い細菌LPSおよび細菌リポタンパク質を含有することを実証した。AloeEx中のこれらの細菌成分の存在は、AloeEx由来の製品の治療特性に寄与すると考えられる。
【0236】
AloeExを90%の水性フェノール:水(1:1)で70℃にて抽出した。抽出物を冷却し、引き続き遠心分離すると、2層(水とフェノール)および不溶性材料のペレットが形成された。水層はALPSを含む。リポタンパク質上の非極性脂質部分のため、フェノール層はALPを含む。この手順を利用して、AloeEx(バッチ056)を水層画分、フェノール層画分および不溶性材料中に分けた。水層画分を凍結乾燥させた(収率8.9%)。2体積のエーテル:アセトン(1:5)と4体積の酢酸エチルを添加して、フェノール層中の材料を沈殿させた。フェノール層沈殿物を酢酸エチルおよびイソプロパノールで広範囲に洗浄してから60℃で乾燥させた(収率45%)。元のAloeEx材料、水層画分、フェノール層画分および不溶性材料をすべて単球アッセイで試験した(図11)。NF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドによるトランスフェクション24時間後に細胞を指示サンプル(μg/mlの濃度)で4時間処理した。ルシフェラーゼ活性を決定し、LPS処理細胞からの最大光出力のパーセントとして記録する。水層とフェノール層は両方ともそれぞれ細菌ALPSおよびALPに起因すると考えられる実質的な単球の活性化を示した。不溶性材料も、5μg/mlで試験した場合に35%だけNF−κB活性化を促進するその能力によって示されるように活性だった。
【0237】
AloeExフェノール層画分中のALPの特徴づけ
フェノール層画分材料を3回4%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(26mg/ml)で100℃にて30分間抽出した。SDSに溶けない材料を遠心分離で除去して単球アッセイで試験すると、元のフェノール層画分中に存在する全活性の約1〜2%だけ含有した。
【0238】
フェノール層画分のSDS抽出物を、50mMのTRIS(pH7.5)中のTritirachium album(Sigma)由来プロテイナーゼK0.1mg/ml(3.9単位/ml)、5mMのβ−メルカプトエタノール、および5mMのCaCl2と2時間50℃でインキュベートした。次にその消化物を98℃で10分間加熱した。プロテイナーゼKのない対照サンプルを同一条件下で試験した。SDSポリアクリルアミドゲル分析のため、抽出物(プロテイナーゼK処理および未処理)を1体積のトリス−トリシン(Tris−Tricine)サンプルバッファー(Bio−Rad)と混合し、16.5%トリス−トリシンプレキャストゲル(Ready Gel、Bio−Rad)の非隣接レーン内に装填した。装填されたサンプルの量は、130μgのAloeExフェノール層画分中に存在するSDS抽出可能材料に相当した。広い分子量範囲のタンパク質マーカー(Sigma)をゲルに流した。個々のゲルレーンを12等区分に切断し(0.5cm/区分)、150μlの1.5%オクチルグルコシド、2.5mMのTRIS(pH7.5)、5mMのCaCl2で95℃にて5分間抽出した。サンプルの上清を収集し、単球活性化アッセイで活性について評価した。
【0239】
図12は、タンパク質がAloeExフェノール層画分による単球の活性化の直接の原因であるとは思われないが、むしろタンパク質はこの活性の原因である分子の一部であることを示す。このことは、SDS−ポリアクリルアミドゲル上の分別法によって決定されるように、プロテイナーゼK処理後の活性化合物の見掛けの大きさの減少によって示される。プロテイナーゼK処理後に66〜6.5kDaの領域では活性の実質的な減少があり、6.5kDa〜ゲル前部の領域では活性の増加があった。この結果は、プロテイナーゼKの消化はリポタンパク質の活性を低減しない(すなわちリポタンパク質のタンパク質成分は単球活性化に必要ない)が、プロテイナーゼK処理は、SDS−ポリアクリルアミドゲル上で分別するとき、リポタンパク質の大きさを減少させるという点で、細菌リポタンパク質によって得られた結果に類似している。図12中、「C」および「PK」と標識した黒棒は、ゲル上での分別前の、それぞれ未処理およびプロテイナーゼK処理AloeExフェノール層画分の活性を表す。
【0240】
AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出物のリポタンパク質リパーゼに対する感度を決定するため、0.88%オクチルグルコシドの存在下でSDS排出試薬(Pierce)を用いてSDSを除去した。このサンプルを次に10μMのAEBSFプロテアーゼインヒビターカクテル溶液(Sigma)および0.2%BSA(Sigma、番号A−9418)の最終濃度に調整した。このサンプルをシュードモナス(Pseudomonas)種(Sigma、番号L9656)由来のリポタンパク質リパーゼ39,600単位/ml(1mg/ml)と37℃で16時間インキュベートした。対照サンプル(リポタンパク質リパーゼなし)を同一条件下で処理した。リポタンパク質リパーゼ処理サンプルおよび未処理サンプルの活性を単球活性化アッセイを利用して評価した。
【0241】
図13に示す結果は、AloeExフェノール層画分の4%SDS抽出物中に存在する活性がリポタンパク質リパーゼによる処理で完全に阻害されることを示す。図12で示した結果と共にこの結果は、AloeExフェノール層画分中の活性がALPに起因することを確証する。この手順は、AloeExがアロエベラと関連する微生物由来であると考えられるALPを含有することを実証した。AloeEx中の他成分と併せたこの細菌成分の存在がこの製品の治療特性に有意に寄与すると考えられる。
【0242】
AloeEx中のALPSの特徴づけ
以下にAloeEx(バッチ056)中に存在するALPSの量およびこの材料由来の2つの画分(水層画分およびフェノール層画分)の量を要約する。
AloeEx(バッチ056) 625〜6250EU/mg
AloeEx水層画分 62,500〜625,000EU/mg
AloeExフェノール層画分 <4.8EU/mg
【0243】
Pyrosate LALアッセイキット(Associates of Cape Cod Inc)を用いて製造業者の使用説明書に従ってALPSの量を見積もった。予想通りに、水層画分は、フェノール層画分に比し、AloeEx中に存在するALPSの本質的にすべてを含有した。このデータは、AloeExがアロエベラと関連する微生物由来であると考えられるALPSを含有することを実証した。AloeEx中の他成分と併せたこの細菌成分の存在がこの製品の治療特性に寄与すると考えられる。
【0244】
皮および粘液がアロエベラ中の単球活性成分の大部分を含有する
アロエベラ葉を3つの基本構造部分、すなわちゲル、外皮および粘液(ゲルと外皮の間の層)に分割することができる。アロエ葉のどの部分が最高レベルの単球活性化成分を含有するかを決定するため実験を行った。1枚のアロエベラ葉から、内皮表面に平行にナイフを通すことによって、慎重にゲルを切り抜いた。ゲルの除去後、バイアルの縁上に葉をこすりつけて粘液部分を収集し、それを外皮から分けた。3成分すべておよび全葉アロエの切片を凍結乾燥させ、粉砕して微粉末にした。次に各サンプルを広範囲にメタノールで抽出して、アントラキノンなどの単球活性化アッセイで阻害作用を及ぼす無極性物質を除去した。無極性物質を除去したサンプルを水中の微細サスペンションとして調製した。NF−κBルシフェラーゼレポータープラスミドによるトランスフェクションの24時間後に、THP−1細胞を調製サンプルで4時間処理した。ルシフェラーゼ活性を決定し、ELPS処理細胞からの最大光出力のパーセントとして記録する。図14は、異なるアロエベラ葉部分の反応および全葉材料の反応を示す。このデータは、粘液層と外皮がアロエ葉中の単球活性化成分の大部分を含有することを示唆している。この実験では、各葉部分がアロエ葉の総乾燥重量に占めるパーセントは、ゲル(8.7%)、粘液層(6.2%)および皮(85.1%)だった。
【0245】
外皮と粘液層が単球活性化成分の大部分を含有し、かつこれらの部分がアロエ葉中の乾燥固体の大部分をも含むので、発明者らは、外皮と粘液層が商業的利益を持つと結論を下す。典型的に、外皮は、ゲルを除去した後かまたは全アロエ葉を加工してアロエジュースを作製した後に廃棄物として捨てられる。別の廃棄物はアロエパップ(より大きい植物から生じる小さいアロエ植物)である。アロエパップは大部分はゲルがほとんどない皮を含むので、商業的価値は少ないとみなされている。皮およびアロエパップ廃棄物を加工して、例えば、免疫機能を高める栄養補助食品を製造できる。乾燥した皮を粉砕して粉末にして加工してアントラキノンを除去できた。この材料をさらに抽出によって加工して粗製抽出物および精製画分を製造できた。粗製抽出物および精製画分の目的は、AloeExおよび/またはアロエベラと関連する微生物および微生物フラグメント/成分の量を濃縮することであろう。
【0246】
AloeEx中の単球活性化成分は洗浄剤で抽出可能かつ溶ける
種々の製品(例えば化粧品用)の開発のため、AloeEx材料中の免疫強化成分を可溶化することが望ましいだろう。免疫強化成分は、アロエベラと関連する微生物由来のAloeride多糖、ALPおよびALPSを包含するだろう。既に述べたように、AloeEx材料の免疫強化成分の有意部分を水層画分とフェノール層画分に分別することができる。フェノール層画分中に存在する免疫強化活性(ALP)を4%SDSで100℃にて完全に抽出/可溶化することができる。水層中に存在する免疫強化活性(ALPSおよびAloeride多糖)は水に溶け、SDSにも溶ける。
【0247】
AloeExのSDSによる抽出は、この材料中に存在する免疫強化成分の有意部分を可溶化する、可能性のある方法であることを意味する。このデータは、他の既知洗浄剤(製品配合物とさらに適合性のものを含めて)もAloeEx材料中の免疫強化成分の抽出/可溶化に役立つ可能性があることを示唆している。この洗浄剤抽出方法を用いて、全葉、皮、アロエパップなどの原材料由来の単球活性化成分(すなわちAloeride多糖およびアロエベラと関連する微生物成分)を可溶化することもできた。
【0248】
アロエベラと関連する微生物および微生物成分/フラグメントの単離による抽出物の製造方法
実証したように、アロエベラと関連する微生物由来の細菌産物はAloeExの免疫強化特性のかなりの部分の原因である。AloeExがアロエベラのインビトロ単球/マクロファージ活性化の可能性の大部分を占めることが分かる。したがって、微生物由来の細菌産物はアロエベラの免疫強化特性のかなりの部分の原因であると考えられる。
【0249】
廃棄物材料(例えば残り物の皮、アロエパップなど)を含めた粗製アロエ材料および/またはアロエベラ原材料から、アロエベラと関連する微生物および/または微生物成分/フラグメントの量を濃縮する抽出物を調製することができる。溶媒を用いて細菌リポタンパク質および/または他の細菌成分を抽出することによって、粗製抽出物を加工して精製画分を作製することができる。これらの画分に含まれるアロエベラと関連する細菌成分レベルは向上しているだろう。精製画分を調製するために使用し得る溶媒として、洗浄剤、例えばSDS、水、水混和性溶媒、例えばアルコール、およびこれら溶媒の組合せまたは当技術分野で周知の他の溶媒が挙げられる。
【0250】
以下の手順を用いて、アロエベラと関連する微生物および/または微生物成分/フラグメントの量を濃縮する抽出物を調製することができた。当技術分野で既知の方法を用いてアロエベラ原材料(ゲル、全葉、皮、パップなど)を液化することができる。この液体を粗ろ過に供して繊維材料を除去することができる。食品グレードの凝集剤(清澄剤または同様の物質)を液化アロエに添加して粒子(細菌、他の微生物、微生物フラグメント/成分)の凝集体を作製することができる。次にこれらの凝集粒子を当技術分野で既知の方法を用いて残存液体から分離することができた。該方法として、遠心分離、ろ過、沈降法後のデカンテーション、ネットを用いて液体から凝集体をろ過する方法などが挙げられる。存在する場合、アントラキノンを除去するため、アルコールによる洗浄/抽出などの技術を利用して最終収集材料を加工することもできる。所望により、結果として生じた材料を乾燥させることができる。
【0251】
標準化アロエベラ製品の製造方法
生物学的および化学的標準化は、本発明で述べる免疫強化薬剤を含有するアロエベラ製品を標準化するために使用できる2つの方法に相当する。両方法を抽出材料または原材料のどちらかを標準化するために使用することができる。標準化の目的は、各バッチの製品材料が確実に同レベルの活性成分を含有するようにすることである。
【0252】
一方法では、有効量の免疫賦活活性を含有する生理活性標準化アロエベラ製品を調製する。この方法では、免疫細胞の活性化についてアロエベラ製品材料をインビトロで試験してから生理活性を標準製剤の免疫賦活値と比較して該製品の標準化活性値を決定する。インビトロ試験システムの例は、前述した単球活性化アッセイである。製品材料の生理活性に基づいた標準化は、活性成分の化学的含量が未知の構造−活性関係および/または複数の活性間の複雑な相互作用による生理活性と関係がない場合に重要である。このような状況下では、活性物質の量は製品材料の効能を反映するには十分でなく、生物学的アッセイを利用した標準化が望ましい。インスリンおよびサイトカインなどの生物学的薬剤の製薬業界では生理活性標準化を使用している。
【0253】
別の方法では、アロエベラと関連する微生物に由来する有効量の免疫賦活性リポタンパク質を含有する、化学的に標準化したアロエベラ製品を調製する。標準化のために使用し得る化学マーカーは2,3−ジヒドロキシプロピルシステインである。この修飾されたシステインアミノ酸は、原核生物由来の免疫賦活性であるリポタンパク質に独特であると考えられる。この方法では、2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量についてアロエベラ製品材料を試験してから標準製剤中の2,3−ジヒドロキシプロピルシステインの量と比較して、該製品の標準化値を決定する。
【0254】
ある実施形態では、食品グレードの凝集剤、清澄剤または凝固剤を用いて微生物凝集体を形成してよい。例としては、限定するものではないが、例えば、明礬、水和塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化カルシウム、塩化鉄(III)、硫酸鉄(II)、ポリアクリルアミド、アルミン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムおよびそれらの組合せが挙げられる。凝集剤としても使用できる天然製品としては、キトサン、ワサビノキ(Moringa oleifera)種子、パパイン、マチン属(Strychnos)の種(種子)、アイシングラス(Isinglass)およびそれらの組合せが挙げられる。他のこのような材料は当業者に周知である。
【0255】
本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明について述べたが、これらの実施形態は本発明の原理および適用の単なる例示であるものと解釈すべきである。したがって、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの例示実施形態に多くの修正を加えることができ、かつ他のアレンジメントを案出できるものと解釈すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)アロエ由来多糖、(2)アロエ由来リポタンパク質、および、(3)アロエ由来リポ多糖のうちの少なくともいずれか2種の混合物を含む免疫賦活性組成物であって、前記混合物は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される組成物。
【請求項2】
前記混合物が、アロエ由来多糖、アロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物が、約0.01%〜約50%のアロエ由来多糖と、合計で約0.0001%〜約10%のアロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖とを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合物が、約1%〜約20%のアロエ由来多糖を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アロエ由来多糖が、約200万ダルトンを超える見掛け分子量を有し、かつグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物が、アロエ皮、アロエ粘液、アロエゲル、全葉アロエおよびそれらの組合せから成る群より得られる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物とブレンドされた医薬担体または賦形剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合物が約0.01%〜約50%のアロエ由来多糖と、合計で約0.0001%〜約10%のアロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖とを含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
アロエ由来リポタンパク質を含む免疫賦活性組成物であって、前記アロエ由来リポタンパク質は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される組成物。
【請求項10】
関節痛および/または筋肉痛を治療する方法であって、治療が必要な被験者に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される方法。
【請求項11】
前記対象が、ヒトである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、動物である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
関節痛および/または筋肉痛を治療する方法であって、治療が必要な対象に、1日当たり約0.2mg〜約1gの治療用量の少なくとも1種の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項14】
皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性を強化する方法であって、強化が必要な対象に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される方法。
【請求項15】
前記対象がヒトである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が動物である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性を強化する方法であって、強化が必要な個体に、1日当たり約0.0005mg〜約1gの治療用量の少なくとも1種の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項18】
疾患または状態を治療する方法であって、治療が必要な対象に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定され、かつ前記疾患または状態が、免疫不全症、癌、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および創傷から成る群より選択される方法。
【請求項19】
前記対象がヒトである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物と、第2の免疫賦活性アロエベラ由来組成物および非免疫賦活性アロエベラ由来材料から成る群より選択される第2のアロエベラ由来材料とを含むアロエベラ由来組成物であって、
前記第2のアロエベラ由来材料の量が、前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物の量以上であり、かつ
前記組成物が実質的に均質な溶液、サスペンション、ディスパーションまたはエマルションである組成物。
【請求項21】
前記第2のアロエベラ由来材料が、Magnaloe AG、アロエベラゲル1X、アロエベラゲル10X、アロエベラゲル200x、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖およびManapolから成る群より選択される請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
痛みを治療するため、または、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/もしくは弾力性を強化するためのアロエベラ由来組成物を製造する方法であって、
a)第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を第2のアロエベラ由来材料と合わせるステップ、
b)前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物と、前記第2のアロエベラ由来材料と、溶媒とで混合物を形成するステップ、および
c)前記混合物を均質化するステップ
を含み、
前記第2のアロエベラ由来材料の量が前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物の量以上であり、かつ前記組成物が実質的に均質な溶液、サスペンション、ディスパーション、またはエマルションである方法。
【請求項1】
(1)アロエ由来多糖、(2)アロエ由来リポタンパク質、および、(3)アロエ由来リポ多糖のうちの少なくともいずれか2種の混合物を含む免疫賦活性組成物であって、前記混合物は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される組成物。
【請求項2】
前記混合物が、アロエ由来多糖、アロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記混合物が、約0.01%〜約50%のアロエ由来多糖と、合計で約0.0001%〜約10%のアロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖とを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記混合物が、約1%〜約20%のアロエ由来多糖を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記アロエ由来多糖が、約200万ダルトンを超える見掛け分子量を有し、かつグルコース、ガラクトース、マンノースおよびアラビノースを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記混合物が、アロエ皮、アロエ粘液、アロエゲル、全葉アロエおよびそれらの組合せから成る群より得られる請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記混合物とブレンドされた医薬担体または賦形剤をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記混合物が約0.01%〜約50%のアロエ由来多糖と、合計で約0.0001%〜約10%のアロエ由来リポタンパク質およびアロエ由来リポ多糖とを含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
アロエ由来リポタンパク質を含む免疫賦活性組成物であって、前記アロエ由来リポタンパク質は、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示し、この免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される組成物。
【請求項10】
関節痛および/または筋肉痛を治療する方法であって、治療が必要な被験者に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される方法。
【請求項11】
前記対象が、ヒトである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、動物である請求項10に記載の方法。
【請求項13】
関節痛および/または筋肉痛を治療する方法であって、治療が必要な対象に、1日当たり約0.2mg〜約1gの治療用量の少なくとも1種の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項14】
皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性を強化する方法であって、強化が必要な対象に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定される方法。
【請求項15】
前記対象がヒトである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記対象が動物である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/または弾力性を強化する方法であって、強化が必要な個体に、1日当たり約0.0005mg〜約1gの治療用量の少なくとも1種の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項18】
疾患または状態を治療する方法であって、治療が必要な対象に、約10μg/mLの濃度の細菌リポ多糖によって達成される最大NF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現の少なくとも約50%の免疫賦活活性を示す、有効量のアロエベラ由来材料を投与するステップを含み、前記免疫賦活活性は、約250μg/mL以下の濃度のTHP−1単球におけるNF−κβ誘導ルシフェラーゼ発現によって測定され、かつ前記疾患または状態が、免疫不全症、癌、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染および創傷から成る群より選択される方法。
【請求項19】
前記対象がヒトである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物と、第2の免疫賦活性アロエベラ由来組成物および非免疫賦活性アロエベラ由来材料から成る群より選択される第2のアロエベラ由来材料とを含むアロエベラ由来組成物であって、
前記第2のアロエベラ由来材料の量が、前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物の量以上であり、かつ
前記組成物が実質的に均質な溶液、サスペンション、ディスパーションまたはエマルションである組成物。
【請求項21】
前記第2のアロエベラ由来材料が、Magnaloe AG、アロエベラゲル1X、アロエベラゲル10X、アロエベラゲル200x、アロエベラ全葉噴霧乾燥粉末100X、アロエベラ全葉脱色液、エースマンナン、アロエベラ粘質多糖およびManapolから成る群より選択される請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
痛みを治療するため、または、皮膚の外観、テクスチャー、堅さおよび/もしくは弾力性を強化するためのアロエベラ由来組成物を製造する方法であって、
a)第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物を第2のアロエベラ由来材料と合わせるステップ、
b)前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物と、前記第2のアロエベラ由来材料と、溶媒とで混合物を形成するステップ、および
c)前記混合物を均質化するステップ
を含み、
前記第2のアロエベラ由来材料の量が前記第1の免疫賦活性アロエベラ由来組成物の量以上であり、かつ前記組成物が実質的に均質な溶液、サスペンション、ディスパーション、またはエマルションである方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−526881(P2010−526881A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508397(P2010−508397)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/006089
【国際公開番号】WO2008/140820
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509311908)アロエバイオティクス・リサーチ・ラブズ,インコーポレイテッド (1)
【出願人】(509311919)ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ミシシッピ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/006089
【国際公開番号】WO2008/140820
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(509311908)アロエバイオティクス・リサーチ・ラブズ,インコーポレイテッド (1)
【出願人】(509311919)ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ミシシッピ (1)
【Fターム(参考)】
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