説明

皮膚疾患治療剤

【課題】 炎症性角化症(乾癬、類乾癬、苔癬など)、角化症(魚鱗癬、Darier病など)または炎症性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など)の治療剤の提供。
【解決手段】 式(I)
【化1】


[式中、R1はハロゲンで置換されたベンゾフラニル、またはハロゲンで置換されたスチリルを示し;R2は置換されたヒドロキシ、置換されたメルカプト、または置換されたスルホニルを示し;Xは
【化2】


を示す。]で表される化合物、または医薬として許容されるその塩を活性成分として含有する、ヒトまたは動物における炎症性角化症、角化症または炎症性皮膚疾患の治療剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚疾患治療剤に関し、より詳細には、炎症性角化症、角化症または炎症性皮膚疾患の治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性角化症の代表的疾患である乾癬は、生命に対する危険はほとんどないものの、発病後寛解憎悪を繰り返し一生続く難治性皮膚疾患である。乾癬における典型的皮疹は厚い鱗屑を伴う紅斑から紅斑性局面であり、全身に分布するが特に肘、膝、外陰部(外的刺激を受けやすい部位)や頭、体幹(光線被爆の少ない部位)に好発する。典型的な組織像としては、基底角化細胞(ケラチノサイト)の異常増殖による表皮肥厚、真皮および表皮への炎症性細胞(リンパ球や多核白血球)の浸潤、真皮乳頭層の血管拡張を伴う浮腫性変化が特徴である。このように乾癬はケラチノサイトの異常増殖と皮膚炎症を二大特徴とする疾患である。
【0003】
今日まで、炎症性角化症、特に乾癬治療剤として、ステロイド外用剤、ビタミンD3誘導体の外用剤が第一選択されてきた。これらの薬剤に抵抗する症例では光線療法であるPUVA/UVB療法、エトレチナート内服、さらには重症例ではシクロスポリンやメトトレキセートの内服も行われているが、いずれの治療法についても未だ満足しうる治療効果が得られていないのが現状であり、炎症性角化症に対する有効で安全性に優れた治療法の開発が待ち望まれている。
【0004】
乾癬の発症原因は未だ明確に解明されていないが、乾癬患者の病理像で認められる表皮や真皮層に浸潤している多数の炎症細胞(好中球、単球およびT細胞など)や病変部で産生亢進しているIL−1、TNF、IL−6、IL−8などのサイトカインおよびアラキドン酸代謝物のエイコサノイドなどの炎症メディエーターが、乾癬における炎症反応や表皮肥厚に重要な役割を演じていることが推察される。
【0005】
したがって、乾癬に伴う炎症反応や表皮肥厚の抑制作用を有する薬剤は、炎症性角化症、特に乾癬の有効な治療薬の一つになりうると考えられる。
【0006】
一方、式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、R1はハロゲンで置換されたベンゾフラニル、またはハロゲンで置換されたスチリルを示し;
2は置換されたヒドロキシ、置換されたメルカプト、または置換されたスルホニルを示し;
Xは
【0009】
【化2】

【0010】
を示す]で表される化合物または医薬として許容されるその塩は、一酸化窒素(NO)産生阻害作用を有し、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、喘息、心血管虚血、心筋炎、心不全、低血圧、アテローム性動脈硬化症などのヒトまたは動物における一酸化窒素(NO)媒介疾患の治療に有用であることが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、上記式(I)の化合物が炎症性角化症(乾癬、類乾癬、苔癬など)、炎症性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など)に有効であることはこれまで知られていなかった。
【特許文献1】国際公開第02/055541号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、新規な皮膚疾患治療剤、中でも炎症性角化症、角化症または炎症性皮膚疾患の治療剤、特に乾癬の治療剤およびアトピー性皮膚炎の治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、NO産生阻害作用を有する上記式(I)の化合物が、病理学的に乾癬に類似している種々の動物モデル(TPA誘発皮膚炎、A23187誘発皮膚炎)において炎症反応および表皮肥厚を抑制することを確認し、乾癬、類乾癬、苔癬などの炎症性角化症の治療剤として有効であることを見出した。
また本発明者らは、NO産生阻害作用を有する上記式(I)の化合物が、アトピー性皮膚炎動物モデル(DNFB誘発皮膚炎モデル)において皮膚炎および痒みを抑制することを確認し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療剤として有効であることを見出した。
本発明は、乾癬、類乾癬、苔癬などの炎症性角化症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療剤を提供することを目的とする。
さらに本発明は、今回見出された知見から、角化症(魚鱗癬、Darier病など)の治療剤を提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、下記(1)から(5)に示す治療剤に関する。
(1) 式(I)
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、R1はハロゲンで置換されたベンゾフラニル、またはハロゲンで置換されたスチリルを示し;
2は置換されたヒドロキシ、置換されたメルカプト、または置換されたスルホニルを示し;
Xは
【0016】
【化4】

【0017】
を示す]で表される化合物または医薬として許容されるその塩(以下、化合物(I)という)を活性成分として含有する、ヒトまたは動物における炎症性角化症、角化症または炎症性皮膚疾患の治療剤。
(2) ヒトまたは動物における炎症性角化症の治療剤である(1)記載の治療剤。
(3) ヒトまたは動物における乾癬の治療剤である(1)記載の治療剤。
(4) ヒトまたは動物における炎症性皮膚疾患の治療剤である(1)記載の治療剤。
(5) ヒトまたは動物におけるアトピー性皮膚炎の治療剤である(1)記載の治療剤。
【発明の効果】
【0018】
化合物(I)を活性成分として含有する本発明の医薬製剤は、炎症性角化症(乾癬、類乾癬、苔癬など)、角化症(魚鱗癬、Darier病など)、炎症性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など)の治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
式(I)で表される化合物の好適な医薬として許容される塩は慣用の無毒性塩であり、例えば、塩基との塩または酸付加塩が含まれ、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩などの無機塩基との塩;例えば、有機アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など)などの有機塩基との塩;無機酸付加塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など);有機カルボン酸またはスルホン酸付加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩など);塩基性または酸性アミノ酸(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など)との塩などが挙げられる。
【0020】
化合物(I)は、不斉炭素原子および二重結合に基づく光学異性体および幾何異性体のような1個またはそれ以上の立体異性体を含むことがあるが、そのような異性体およびそれらの混合物はすべて本発明の範囲に包含される。
【0021】
化合物(I)は、溶媒和化合物の形態であることもあり、これも本発明の範囲に含まれる。好ましい溶媒和化合物としては、水和物、エタノレートなどを挙げることができる。
【0022】
本明細書の前記または後記の記載において用いられる本発明の範囲に包含される種々の定義の好適な例および具体例を以下に詳細に説明する。
【0023】
「低級」とは特に断りのない限り1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する基を意味する。
【0024】
好適な「ハロゲン」としては、例えば、フッ素、臭素、塩素およびヨウ素が挙げられる。
【0025】
「ハロゲンで置換されたスチリル」は、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子を有するスチリルを意味する。「ハロゲンで置換されたスチリル」の好適な例としては、2−(2−クロロフェニル)エテニル、2−(3−クロロフェニル)エテニル、2−(4−クロロフェニル)エテニル、2−(2−ブロモフェニル)エテニル、2−(3−ブロモフェニル)エテニル、2−(4−ブロモフェニル)エテニル、2−(2−フルオロフェニル)エテニル、2−(3−フルオロフェニル)エテニル、2−(4−フルオロフェニル)エテニルなどが挙げられる。
【0026】
「置換されたヒドロキシ」は、式−Y−R3(式中、Yは−O−を示し、R3は適当な有機基を示す)で表される基を意味する。
【0027】
「置換されたメルカプト」は、式−Y−R3(式中、Yは−S−を示し、R3は適当な有機基を示す)で表される基を意味する。
【0028】
「置換されたスルホニル」は、式−Y−R3(式中、Yは−SO2−を示し、R3は適当な有機基を示す)で表される基を意味する。
【0029】
上記の「適当な有機基」の例としては、低級アルキル、ハロ(低級)アルキル、置換されていてもよい複素環基および置換されていてもよいアリールが挙げられる。当該複素環基およびアリールは、それぞれ、1またはそれ以上、好ましくは1〜3個の置換基(例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、ハロ(低級)アルキルなど)で置換されていてもよい。
【0030】
式−Y−R3において、Yは好ましくは−O−である。
【0031】
「複素環基」としては、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群より選ばれるヘテロ原子を含む、飽和または不飽和の複素単環基または縮合複素環基が挙げられる。
【0032】
「複素環基」の好適な例としては、
1〜4個の窒素原子を含む不飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ジヒドロピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリル)、テトラゾリル(例、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル)など;
1〜4個の窒素原子を含む飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニルなど;
1〜4個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルなど;
1または2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル)など;
1または2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、モルホリニル、シドノニルなど;
1または2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリルなど;
1または2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル(例、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル)、ジヒドロチアジニルなど;
1または2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、チアゾリジニルなど;
1または2個の硫黄原子を含む不飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、チエニル、ジヒドロジチイニルなど;
1または2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾチアジアゾリルなど;
酸素原子を含む不飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例え、フリルなど;
酸素原子を含む飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルなど;
酸素原子および1または2個の硫黄原子を含む飽和3〜8員(より好ましくは5または6員)複素単環基、例えば、ジヒドロオキサチイニルなど;
1または2個の硫黄原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾチエニル、ベンゾジチイニル等;
酸素原子および1または2個の硫黄原子を含む不飽和縮合複素環基、例えば、ベンゾオキサチイニルなど;などが挙げられる。
【0033】
複素環基の好ましい例としては、1〜4個の窒素原子を含む不飽和5または6員複素単環基;および1または2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和5または6員複素単環基が挙げられる。
【0034】
複素環基のより好ましい例としては、ピリジル、ピラジニル、チアゾリル、ピリダジニルおよびピリミジニルが挙げられ、複素環基の特に好ましい例としてはピリジル、ピラジニルおよびチアゾリルが挙げられる。
【0035】
好適な「アリール」としては、フェニルおよびナフチルなどのC6−C12アリールが挙げられ、中でもより好ましいものはフェニルである。
【0036】
好適な「低級アルキル」および「ハロ(低級)アルキル」における「低級アルキル」部分としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチルおよびヘキシルなどの1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルキルが挙げられ、中でもより好ましいものはC1−C4アルキルである。
【0037】
好適な「低級アルコキシ」としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシおよびヘキシルオキシなどの1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アルコキシが挙げられ、中でもより好ましいものはC1−C4アルコキシである。
【0038】
好適な「ハロ(低級)アルキル」としては、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよび3,3,3−トリフルオロプロピルなどの1またはそれ以上、より好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された低級アルキルが挙げられ、より好ましいものはトリハロ(低級)アルキルである。
【0039】
置換されていてもよい複素環基の好適な例としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、6−メトキシ−2−ピリジル、6−メチル−2−ピリジル、5−クロロ−2−ピリジル、6−クロロ−2−ピリジル、3−クロロ−2−ピリジル、3,5−ジクロロ−2−ピリジル、3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル、5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル、2−ピラジニル、5−クロロ−2−ピラジニル、6−クロロ−2−ピラジニル、1,3−チアゾール−2−イル、1,3−チアゾール−4−イル、1,3−チアゾール−5−イル、5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル、5−クロロ−1,3−チアゾール−2−イル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、6−クロロ−3−ピリダジニル、6−メトキシ−3−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−クロロ−4−ピリミジニル、6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル、2−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニルなどが挙げられる。
【0040】
置換されていてもよいアリールの好適な例としては、フェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−(トリフルオロメチル)フェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニルなどが挙げられる。
【0041】
式(I)において、式:
【0042】
【化5】

【0043】
で表される基は、好ましくは
【0044】
【化6】

【0045】
であり、より好ましくは
【0046】
【化7】

【0047】
であり、特に好ましくは
【0048】
【化8】

【0049】
である。
【0050】
化合物(I)の好適な態様として以下のものが挙げられる。
(1)R2が式:−Y−R3(式中、R3は低級アルキル、ハロ(低級)アルキル、置換されていてもよい複素環基、または置換されていてもよいアリールであり、Yが−O−、−S−または−SO2−である)で表される基である式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0051】
(2)R3が低級アルキル;ハロ(低級)アルキル;低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい複素環基;または低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよいアリールである(1)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0052】
(3)R3が低級アルキル;ハロ(低級)アルキル;ピリジル、ピラジニル、チアゾリル、ピリダジニルおよびピリミジニルからなる群より選ばれる複素環基であって、当該複素環基は低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい;または低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである(2)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0053】
(4)Xが
【0054】
【化9】

【0055】
である式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0056】
(5)R2が置換されたヒドロキシである(4)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0057】
(6)R2が式:−O−R3(式中、R3は低級アルキル、ハロ(低級)アルキル、置換されていてもよい複素環基、または置換されていてもよいアリールである)で表される基である(5)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0058】
(7)R3が低級アルキル、ハロ(低級)アルキル、ピリジル、ピラジニル、チアゾリルまたはフェニルであり、当該ピリジル、ピラジニル、チアゾリルおよびフェニルは、それぞれ、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい、(6)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0059】
(8)R3が低級アルキル、ハロ(低級)アルキル、ピリジル、ピラジニル、チアゾリルまたはフェニルであり、当該ピリジルは低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンおよびハロ(低級)アルキルからなる群より選ばれる1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい、(7)記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0060】
(9)R1が塩素で置換されたベンゾフラニル、または塩素で置換されたスチリルである式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0061】
(10)R1が5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−イルまたは2−(4−クロロフェニル)エテニルである式(I)の化合物または医薬として許容されるその塩。
【0062】
化合物(I)の例として以下の化合物が挙げられる。
(1) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(1,3−チアゾール−2−イルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(2) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(1,3−チアゾール−2−イルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(3) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピラジニルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(4) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピラジニルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(5) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(4−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(6) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(4−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(7) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(3−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(8) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(3−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(9) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メトキシ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(10) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メトキシ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0063】
(11) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(12) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(13) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(14) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルオキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(15) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メチル−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(16) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メチル−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(17) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(18) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(19) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(20) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0064】
(21) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(22) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(23) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−フェノキシ−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(24) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−フェノキシ−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(25) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(26) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(27) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[[2−(4−イソプロポキシ−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル]アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]アクリルアミド
(28) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[[2−(4−イソプロポキシ−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル]アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(29) (2E)−N−[(1S)−2−[[2−(4−ブトキシ−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル]アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−3−(4−クロロフェニル)アクリルアミド
(30) N−[(1S)−2−[[2−(4−ブトキシ−1−ピペリジニル)−2−オキソエチル]アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−5−クロロ−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0065】
(31) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−2−ピラジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(32) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−2−ピラジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(33) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−3−ピリダジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(34) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−3−ピリダジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(35) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メトキシ−3−ピリダジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(36) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−メトキシ−3−ピリダジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(37) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(3−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(38) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(3−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(39) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(40) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(6−クロロ−4−ピリミジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0066】
(41) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(42) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(43) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[2−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(44) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−2−ピラジニル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(45) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(46) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(47) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(48) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(49) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(50) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0067】
(51) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[(3S)−3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(52) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[(3S)−3−[(5−クロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(53) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(6−クロロ−2−ピラジニル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(54) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(6−クロロ−2−ピラジニル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(55) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(56) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[(3R)−3−[(5−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)オキシ]−1−ピロリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(57) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(3−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−アゼチジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(58) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−アゼチジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(59) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(3,5−ジクロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(60) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(3,5−ジクロロ−2−ピリジル)オキシ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0068】
(61) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(62) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[3−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(63) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−([2−[4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]アミノ)−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(64) 5−クロロ−N−[(1S)−2−([2−[4−(4−フルオロフェノキシ)−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]アミノ)−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(65) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[(2−オキソ−2−[4−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−1−ピペリジニル]エチル)アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(66) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[(2−オキソ−2−[4−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−1−ピペリジニル]エチル)アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(67) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−([2−[4−(4−クロロフェノキシ)−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]アミノ)−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(68) 5−クロロ−N−[(1S)−2−([2−[4−(4−クロロフェノキシ)−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル]アミノ)−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(69) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルチオ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(70) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルチオ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0069】
(71) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルスルホニル)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(72) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(2−ピリジルスルホニル)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(73) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−2−ピリジル)チオ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(74) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(5−クロロ−2−ピリジル)チオ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(75) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(4−ピリジルチオ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(76) 5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−([2−オキソ−2−[4−(4−ピリジルチオ)−1−ピペリジニル]エチル]アミノ)−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(77) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(4−クロロフェニル)チオ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(78) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(4−クロロフェニル)チオ]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
(79) (2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
(80) 5−クロロ−N−[(1S)−2−[(2−[4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−1−ピペリジニル]−2−オキソエチル)アミノ]−2−オキソ−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0070】
化合物(I)および上記した特定の化合物は既知の化合物であり、下記の刊行物に記載されている方法またはそれと類似の方法によって調製できる(この公報を引用し、これをもって本明細書の一部とする。)。
国際公開第02/055541号パンフレット
【0071】
本発明の皮膚疾患治療薬は、医薬製剤の形態、例えば、化合物(I)を活性成分として含有し、経直腸、経肺(経鼻または経口腔吸入)、経鼻、眼内、外用(局所)、経口または非経口(皮下、静脈内および筋肉内を含む)投与または吹入れに適した固体、半固体または液体(例えば錠剤、ペレット剤、トローチ剤、カプセル剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤など)の形態で使用できる。中でも外用(局所)投与が好ましく、クリーム剤、軟膏剤の形態が好ましい。
【0072】
本発明の医薬組成物は、製薬目的で慣用されている種々の有機または無機担体、例えば賦形剤(例えばスクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなど)、結合剤(例えばセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、デンプンなど)、崩壊剤(例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、香味剤(例えばクエン酸、メントール、グリシン、橙皮末など)、保存剤(例えば安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベンなど)、安定剤(例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸など)、懸濁剤(例えばメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウムなど)、分散剤、水性希釈剤(例えば水)、基剤ワックス(例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、白色ワセリンなど)を含有することができる。
【0073】
化合物(I)は、通常、単位用量0.01mg/kg〜500mg/kgで1日1〜4回投与すればよい。しかしながら、上記の用量は、患者の年齢、体重、状態または投与法に応じて、増減することができる。
【0074】
化合物(I)をローション、ゲル、クリームまたは軟膏として投与する場合は、0.001〜50重量%(好ましくは、0.01〜10重量%)濃度の化合物(I)を毎日数回、例えば毎日1〜5回局所に投与することができる。
【実施例】
【0075】
化合物(I)の代表的な例の薬理試験結果を次に示す。
[1]試験化合物
化合物(a):(2E)−3−(4−クロロフェニル)−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−2−プロペンアミド
化合物(b):5−クロロ−N−[(1S)−2−オキソ−2−[[2−オキソ−2−(4−[[6−(トリフルオロメチル)−4−ピリミジニル]オキシ]−1−ピペリジニル)エチル]アミノ]−1−(2−ピリジルメチル)エチル]−1−ベンゾフラン−2−カルボキサミド
【0076】
[2]乾癬における炎症実験動物モデル(TPA誘発マウス皮膚炎モデル)に対する作用
試験方法
BDF1系雌性マウス(7週齢)の耳介部に、0日目にTPA(12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート)を2μg/ear塗布して皮膚炎を誘発した。試験薬剤を溶剤(エタノール)に0.3%、1.0%、3.0%(w/v%)の濃度で溶解して、連日(0日目はTPA塗布の15分前)耳介部に40μlを塗布した。TPA塗布の6時間後に耳介部の厚さをPeacock dial thickness gageで測定し、耳介腫脹を炎症反応の指標とした。正常耳介部の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の厚さを0%抑制として、試験薬剤の耳介腫脹の抑制率(%)を計算した。試験動物を4日目に屠殺して耳介部を切断し、10%ホルマリン緩衝液で固定後、パラフィンに包埋し、薄切して、ヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製した。この標本を顕微鏡下写真撮影し、表皮層の厚さを測定した。正常耳介部の表皮の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の表皮の厚さを0%抑制として、試験薬剤の表皮肥厚の抑制率(%)を計算した。
【0077】
試験結果:
結果を表1および表2に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
[3]乾癬における炎症実験動物モデル(TPA誘発マウス皮膚炎モデル)に対する作用
試験方法
BDF1系雌性マウス(5週齢)の耳介部に、0日目および2日目にTPAを2μg/ear塗布して皮膚炎を誘発した。試験薬剤を溶剤(DMSO:エタノール:アセトン=5:45:50)に1.0%、3.0%(w/v%)の濃度で溶解して、連日(0日目および2日目はTPA塗布の15分前)耳介部に40μlを塗布した。0日目および2日目のTPA塗布の6時間後、および4日目に耳介部の厚さをPeacock dial thickness gageで測定し、耳介腫脹を炎症反応の指標とした。正常耳介部の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の厚さを0%抑制として、試験薬剤の耳介腫脹の抑制率(%)を計算した。試験動物を4日目に屠殺して耳介部を切断し、10%ホルマリン緩衝液で固定後、パラフィンに包埋し、薄切して、ヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製した。この標本を顕微鏡下写真撮影し、表皮層の厚さを測定した。正常耳介部の表皮の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の表皮の厚さを0%抑制として、試験薬剤の表皮肥厚の抑制率(%)を計算した。
【0081】
試験結果:
結果を表3および表4に示す。
【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
[4]乾癬における炎症実験動物モデル(TPA誘発マウス皮膚炎モデル)に対する作用
試験方法
BDF1系雌性マウス(7週齢)の耳介部に、0日目、2日目、4日目、7日目および9日目にTPAを1μg/ear塗布して皮膚炎を誘発した。試験薬剤を溶剤(DMSO:エタノール:アセトン=5:45:50)に0.3%、1.0%、3.0%(w/v%)の濃度で溶解して、7日目から10日目まで連日(7日目および9日目の1回目投与はTPA塗布の15分前)、耳介部に1回40μl、1日2回(10日目は1回)塗布した。10日目に耳介部の厚さをPeacock dial thickness gageで測定し、耳介腫脹を炎症反応の指標とした。正常耳介部の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の厚さを0%抑制として、試験薬剤の耳介腫脹の抑制率(%)を計算した。試験動物を10日目に屠殺して耳介部を切断し、10%ホルマリン緩衝液で固定後、パラフィンに包埋し、薄切して、ヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製した。この標本を顕微鏡下写真撮影し、表皮層の厚さを測定した。正常耳介部の表皮の厚さを100%抑制、TPAを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の表皮の厚さを0%抑制として、試験薬剤の表皮肥厚の抑制率(%)を計算した。
【0085】
試験結果:
結果を表5および表6に示す。
【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
[5]乾癬における炎症実験動物モデル(A23187誘発マウス皮膚炎モデル)に対する作用
このA23187誘発マウス皮膚炎モデルにおいて、浮腫(耳介腫脹)および炎症細胞の浸潤が認められる。これらの炎症反応は、A23187刺激で産生されるエイコサノイド、特にLTB4(ロイコトリエンB4)に起因すると考えられている。このLTB4は単に炎症メディエーターとして浮腫や好中球の浸潤などの炎症反応を誘発するだけでなく、ケラチノサイト増殖因子としても作用することが知られている。したがって、このモデルが単純な薬剤の抗炎症作用を見る評価系ではなく、乾癬における炎症反応を評価する実験動物モデルとして適切であると考えられる(E.J.P.139:11−18,1987参照)。
【0089】
試験方法
BALB/c系雌性マウス(8週齢)の右耳介部に10%DMSO−アセトン溶液に溶解したカルシウムイオノフォア(A23187)を20μg/ear塗布して皮膚炎を誘発した。試験薬剤を溶剤(DMSO:エタノール:アセトン=5:45:50)に0.3%、1.0%、3.0%(w/v%)の濃度で溶解して、誘発の15分前にマウス右耳介部に40μlを塗布した。誘発6時間後および24時間後に耳介部の厚さをPeacock dial thickness gageで測定し、耳介腫脹を炎症反応の指標とした。正常耳介部の厚さを100%抑制、A23187を塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の厚さを0%抑制として、試験薬剤の耳介腫脹の抑制率(%)を計算した。また、誘発24時間後に耳介部のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を測定し、好中球浸潤の指標とした。正常群のMPO活性を100%抑制、A23187を塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)のMPO活性を0%抑制として、試験薬剤の好中球浸潤の抑制率(%)を計算した。
【0090】
試験結果:
結果を表7および表8に示す。
【0091】
【表7】

【0092】
【表8】

【0093】
[6]アトピー性皮膚炎における炎症実験動物モデル(DNFB誘発マウス皮膚炎モデル)に対する作用
試験方法
NC/Nga系雌性マウス(9週齢)の腹腔内に、0日目にアラムと混合したDNP−アスカリスを10μg注射して感作した。DNFB(ジニトロフルオロベンゼン)を溶剤(アセトン)に0.15%(v/v%)の濃度で溶解して、7日目から週に1回、3週連続で右耳介部に20μlを塗布した。試験薬剤を溶剤(アセトン)に1.0%、3.0%(w/v%)の濃度で溶解して、DNFBを塗布する前日、当日(当日はDNFB塗布の1時間前)および翌日に右耳介部に20μlを塗布した。DNFB最終塗布の1時間前(試験薬剤の最終塗布前)に、右耳介部皮膚炎の程度を肉眼的に観察して、0(正常)、1(紅斑・鱗屑)、2(腫脹・創傷)、3(硬化・かさぶた)、4(萎縮・欠損)の5段階にスコア付けし、スコアを皮膚炎の指標とした。DNFBの代わりに溶剤を塗布した耳介部のスコアの平均値を100%抑制、DNFBを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)のスコアの平均値を0%抑制として、試験薬剤の皮膚炎スコアの抑制率(%)を計算した。DNFB最終塗布の30分後に、痒み測定装置(コイル感応式アクティビティメーター)で掻破回数を60分間測定し、掻痒の指標とした。DNFBの代わりに溶剤を塗布した耳介部の掻破回数の平均値を100%抑制、DNFBを塗布して試験薬剤の代わりに溶剤を塗布した耳介部(vehicle群)の掻破回数の平均値を0%抑制として、試験薬剤の掻破回数の抑制率(%)を計算した。試験動物は1群7匹から14匹を使用した。
【0094】
試験結果:
結果を表9および表10に示す。
【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

【0097】
上述のように、NO産生阻害作用を有する化合物(I)は乾癬における炎症実験動物モデル(TPA誘発皮膚炎モデル、A23187誘発皮膚炎モデル)において、表皮の肥厚および炎症組織への炎症細胞の浸潤を抑制し、抗炎症作用を有することが明らかとなった。さらに、化合物(I)はアトピー性皮膚炎動物モデル(DNFB誘発皮膚炎モデル)において、アトピー性皮膚炎の症状を改善し、痒みを抑制する作用を有することが明らかとなった。
【0098】
従って、化合物(I)を活性成分として含有する医薬製剤は、炎症性角化症(乾癬、類乾癬、苔癬など)、炎症性皮膚疾患(アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎など)の治療薬として有効であることが示された。更には、今回見出された知見から、化合物(I)を活性成分として含有する医薬製剤は、角化症(魚鱗癬、Darier病など)の治療薬として有効であることが強く示唆された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


[式中、R1はハロゲンで置換されたベンゾフラニル、またはハロゲンで置換されたスチリルを示し;
2は置換されたヒドロキシ、置換されたメルカプト、または置換されたスルホニルを示し;
Xは
【化2】


を示す]で表される化合物、または医薬として許容されるその塩を活性成分として含有する、ヒトまたは動物における炎症性角化症、角化症または炎症性皮膚疾患の治療剤。
【請求項2】
ヒトまたは動物における炎症性角化症の治療剤である請求項1記載の治療剤。
【請求項3】
ヒトまたは動物における乾癬の治療剤である請求項1記載の治療剤。
【請求項4】
ヒトまたは動物における炎症性皮膚疾患の治療剤である請求項1記載の治療剤。
【請求項5】
ヒトまたは動物におけるアトピー性皮膚炎の治療剤である請求項1記載の治療剤。

【公開番号】特開2006−8621(P2006−8621A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190070(P2004−190070)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】