説明

皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法

【課題】 従来の皮膚貼付用シールの貼付剤では主に石油系高分子材料を使用しており、皮膚への長時間接触による肌のかぶれ、化学物質アレルギーによる炎症等が発生し、また皮膚からシールを剥がした際、貼付剤がその強い粘着力に起因して皮膚表面上で残渣となりネバネバ感やかぶれ等を起したり、皮膚へ損傷を与えたりし、更にはホコリや雑菌等が残渣に吸着されたりし、これらの問題を解決する皮膚貼付用シールの開発が重要課題であった。
【解決手段】 本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、主たる素材に自然由来の水溶性多糖類であるプルランを用いており、長時間の使用でもかぶれや炎症等の発生がなく、またマルトース等との混合によりシールの粘着力の制御が可能である為、皮膚表面に残渣がなく、皮膚損傷やホコリ等の吸着もなく、更には所定条件により疎水性基板上でシールを作製する製造方法の為、低コスト、高精度かつ簡便に製造し得るという効果を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の皮膚に対して種々の機能を与え、かつ皮膚表面との親和性を有する皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法に関するものである。詳しくは、本発明は、皮膚表面のゴミ、皮脂等の除去を行なう皮膚の衛生保持機能、皮膚表面の皺伸ばしや伸延を行なう皮膚表面形状の改善機能、医薬剤や化粧剤の経皮浸透投与機能、また皮膚表面の凹凸部への本糖質シールの充填や皮膚表面のレプリカの作製を行なう皮膚表面形状の固定化機能、更には磁気治療器や円筒型灸器の皮膚貼付用シールとして皮膚貼付機能を有し、かつ皮膚への本糖質シール装着後は皮膚表面に優しく親和し、皮膚からの本糖質シール除去後は皮膚表面に滑々感を与える皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚表面に祭祀、お札等の紙や布、又は膏薬を貼付する際、貼付剤として自然由来の物質としてデンプン系の糊剤を使用したり、膏薬の薬剤自体の粘着力を利用したりしてきた。しかし、これらは皮膚の汗、皮脂等により剥がれ易くなったり、あるいは乾燥すると粘着性が極度に低下したりして、十分な貼付機能を有するものではなかった。従って、貼付機能を基礎とした、お札等の皮膚表面への固定化機能や医薬剤の経皮浸透投与機能も不完全なものにならざるを得なかった。
【0003】
それ故、近年においては、強力な皮膚への粘着特性を利用するべく、皮膚表面に貼付させるシールや付着させるテープは、その貼付剤の素材の多くが石油系化学物質を用いることとなった。その為、これらのシール等を使用すると、人によっては肌のかぶれ、化学物質アレルギーによる炎症等の皮膚生理上の問題が発生し、これら諸問題を改善するため、様々な素材を使用した皮膚貼付用シールが開発されてきた。
【0004】
かかる開発状況の下、経皮を対象としたテープ剤においてかぶれ等の副作用を著しく低減させることを目的とした経皮投与用テープ剤(例えば、特許文献1参照)が提供されている。ここでは、経皮投与剤におけるトレハロース又はトレハロース誘導体のカブレの副作用低減の効果が開示されている。しかしながら、上記テープ剤では皮膚安全性を考慮し、粘着剤としてアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が使用されているものの、それらは石油系、有機系化学物質であり、化学物質アレルギーによる皮膚の炎症等に対して必ずしも十分に安全であるとは言い得ないものである。
【特許文献1】 特開平8−208459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚表面に貼付させるシールの貼付剤については、前述の通り、石油系化学物質、即ちその多くは石油系高分子材料を使用しているので、貼付剤が皮膚に長時間接していると、肌ムレ等による肌のかぶれ、化学物質アレルギーによる炎症等が発生し、これらを防止することが大きな課題となっていた。更に、皮膚表面の衛生保持、皮膚表面の皺伸ばし等を行なう皮膚表面形状の改善、医薬剤、化粧剤の経皮浸透投与、また皮膚表面の凹凸部へのシールの充填や皮膚表面のレプリカの作製を行なう皮膚表面形状の固定化、更には磁気治療器や円筒型灸器の皮膚貼付用シールの材料開発を目的とした場合でも、石油系高分子材料を使用した貼付剤では、前記の皮膚かぶれ、炎症等の諸問題が解決すべき課題となっていた。そこで、上記の課題を解決し得る貼付剤の開発が必要とされていた。
【0006】
石油系高分子材料を使用した皮膚貼付用シールについては、使用後に皮膚から貼付用シールを剥がした際、皮膚表面に貼付剤である石油系高分子材料がその強力な粘着力に起因してカス(残渣)として残留しており、これが皮膚上ではネバネバ感として残り、そのまま皮膚にかぶれ等を起こし、またシールの強引な引き剥がしにより皮膚へ損傷を与えたりし、更にはホコリや雑菌等をも吸着させることになり、使用感、安全性及び衛生の観点からは決して好ましいことではなかった。従って、これらの課題をも解決し得る貼付剤の開発も必要とされていた。
【0007】
前述の化学物質以外の貼付剤の素材、すなわち自然由来の貼付剤の素材としては、デンプン系糊剤の他に粘着性を有する糖質系物質が考えられ、特には強い粘着力を有する水溶性多糖類が想定されるが、皮膚への安全性を考慮して多糖類を皮膚粘着剤として使用する場合、皮膚損傷の防止や皮膚への多糖類のカス(残渣)の解消を行なうため、その粘着性を如何に制御するかが重要な課題であった。また、水溶性多糖類については、乾燥するのに時間がかかるため、カビが生えることが多々あり、衛生面においても課題であった。
【0008】
また、上述の水溶性多糖類を用いて皮膚貼付用シールを製作する場合、理想的には、シールの未使用状態において粘着性がなく、かつカビの発生もなく、シールの使用時には適度な粘着性を有し、かつシールとして十分な厚さを持ち、更にはシール形成も容易であるという条件を満足する、水溶性多糖類を用いた皮膚貼付用シールの製造方法を開発することが重要な課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の諸々の課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究開発を行い、本発明においてこれらの課題を解決するための手段として、
(1)プルランからなる皮膚親和性糖質シールにおいて、前記シールの平均厚さを0.1mm〜5mm、前記シール端部の平均幅を0.5mm〜5mm及びその平均厚さを0.2mm〜8mmとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シール、並びに、
(2)プルラン及びマルトース、又はプルラン及びグルコース、又はプルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シールにおいて、前記シールの平均厚さを0.1mm〜5mm、前記シール端部の平均幅を0.5mm〜5mm及びその平均厚さを0.2mm〜8mmとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シール、並びに、
(3)前記(1)又は(2)記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、医薬剤又は化粧剤が含有されていることを特徴とする皮膚親和性糖質シール、並びに、
(4)前記シール端部に、前記シールの操作用ノブが取付けられていることを特徴とする前記(1)から(3)いずれか記載の皮膚親和性糖質シール、並びに、
(5)前記シール端部が切除され、前記シール全体が均一な厚さであることを特徴とする、前記(1)から(3)いずれか記載の皮膚親和性糖質シール、並びに、
(6)5重量%〜40重量%のプルラン水溶物を、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法、並びに、
(7)5重量%〜40重量%のプルラン水溶物を、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることにより製造される前記(1)又は(2)記載の皮膚親和性糖質シール、並びに、
(8)5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に、医薬剤又は化粧剤を混合させた後の前記混合物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする前記(3)記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法、並びに、
(9)5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に、医薬剤又は化粧剤を混合させた後の前記混合物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることにより製造される前記(3)記載の皮膚親和性糖質シール、並びに、
(10)前記(6)又は(8)記載の製造方法において、前記疎水性基板上で前記軟性膜に形成した後、前記シール端部に操作用ノブを挿入した状態で前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする前記(4)記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法、並びに、
(11)前記(6)又は(8)記載の製造方法において、乾燥させて前記硬性膜とした後、前記硬性膜端部を切除することを特徴とする前記(5)記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法、並びに、
(12)前記(1)から(5)いずれか記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面に付着しているゴミ、皮膚表面の角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを前記粘着性糖質シール側に粘着させた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより、皮膚表面のゴミ、角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを皮膚表面から除去し、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(13)前記(1)から(5)いずれか記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面の皺を伸ばしながら皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面の皺を伸ばした状態で固定化させた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより皮膚表面の皺を目立たなくし、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(14)前記(3)から(5)いずれか記載の医薬剤又は化粧剤を含有した皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、前記粘着性糖質シールから皮膚表面へ前記医薬剤又は前記化粧剤を経皮浸透投与させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(15)前記(1)から(5)いずれか記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、前記粘着性糖質シールを皮膚表面の凹凸部に貼ることにより、皮膚表面の凹凸部に前記柔軟層を充填させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(16)前記(1)から(5)いずれか記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、前記粘着性糖質シールに皮膚表面の形状を転写させた後、皮膚表面から前記粘着性糖質シールを剥がすことにより皮膚表面のレプリカとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(17)前記(1)から(5)いずれか記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、前記糖質シール表面に複数の突起を設け、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面及び前記突起表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面を伸延させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、並びに、
(18)磁気治療器又は円筒型灸器に使用される皮膚貼付用シールとして、前記(1)又は(2)記載の皮膚親和性糖質シールを使用し、前記器の使用前に前記糖質シール表面を水分塗布することにより、前記糖質シール表面に粘着性を与えた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼付し、皮膚表面をかぶれさせることなく前記器を皮膚表面に貼付することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法、
としたものである。
【0010】
本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、自然由来物質の多糖類であるプルランを素材とするので、皮膚に対して親和性であるため、長時間使用し続けても、肌ムレによる皮膚のかぶれ、化学物質アレルギーによる炎症等のような皮膚問題の発生を防止することが可能となった。また、本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、シールを水で湿潤させて、容易に皮膚に貼付した後、短時間で容易に乾燥するので、カビの発生はなく、衛生的に保てる糖質シールとして防腐剤を必要としない。前記の湿潤には、本糖質シールを所定の時間水中へ浸漬したり、又は本糖質シール表面を水分塗布したりすることで対応することになる。更には、本発明の皮膚親和性糖質シールを用いて、皮膚表面のゴミ、皮脂の除去や皮膚表面の皺伸ばしを行なっても、長時間の使用でも前述のかぶれ等はなく、使用後に本糖質シールを皮膚から引き剥がしても皮膚上にプルランかす(残渣)も皮膚損傷もなく、むしろ皮膚上には滑々感を与えることが可能となった。尚、本糖質シールについては、従来の皮膚貼付用シールが主としてシール材と貼付剤とで構成されていることと異なり、シール材自体が貼付剤の役目を果たすことも大きな特徴である。また本発明においては、主に素材として水溶性多糖類であるプルランを用いるので、肌ムレの原因となる汗をプルランが吸収してかぶれ等を防止することが可能となった。
【0011】
本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、皮膚表面との接触の際、多糖類のプルランの性質である水湿潤時の柔軟性を利用して皮膚表面への密着性が高く、また皮膚表面の凹凸に沿い十分に皮膚表面に本糖質シールを密着させることが可能になった。これにより、従来の石油系高分子材料を素材とする貼付剤では密着性が低く、皮膚表面とシールとの間に不接触部が残るという問題点を克服することとなった。更には、前記の高密着性により、皮膚表面への医薬剤、化粧剤投与においても十分な経皮浸透が可能となった。
【0012】
本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、前述の柔軟性を活用して、皮膚表面形状のレプリカの作製を高精度に行なうことが可能になった。すなわち、本糖質シールを用いて指紋採取を行なった場合、指紋については従来のシートを用いた2次元データに対して3次元データが得られることとなり、これらデータより指の全体形状、大きさまでも把握することが可能となった。
【0013】
本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、主素材であるプルランに対して、糖質素材であるマルトース、グルコース、トレハロースをそれぞれ別個に混合させることにより、これらの混合比を制御して、その貼付剤としての粘着性を制御することが可能となった。すなわち、プルランに対して、マルトース、グルコースは増粘剤として、トレハロースは減粘剤として作用することとなる。尚、本発明において、増粘剤とは前記混合物の水溶物における増粘作用をもたらすが、これは本皮膚親和性糖質シールを水で湿潤させた際のシール表面の粘着性が増粘剤により増加することも意味するものであり、同様に減粘剤とは前記混合物の水溶物における減粘作用をもたらすが、これは本皮膚親和性糖質シールを水で湿潤させた際のシール表面の粘着性が減粘剤により減少することも意味するものである。
【0014】
本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法においては、水溶性多糖類であるプルランを基本素材として、プルラン水溶物を疎水性基板上で軟性膜とし、所定の乾燥条件により乾燥して硬性膜として製作するので、シールの未使用状態において粘着性がなく、かつカビの発生もなく、シールの使用時には適度な粘着性を有し、かつシールとして十分な厚さを持ち、更にはシール形成も容易であるという条件を満足することが可能になった。また、本製造方法においては、水と疎水性基板界面との濡れ角を確認した上で、疎水性基板上でプルラン水溶物の軟性膜を形成するので、本糖質シールを製作する際、十分なシール厚さにすることが可能となった。すなわち、本発明において好適な濡れ角は50度〜140度であるが、その範囲内で濡れ角が大きくなるに従ってシール及びシール端部が圧膜となり、その範囲内で濡れ角が小さくなるに従ってシール及びシール端部が薄膜となるように制御することが可能になった。更には、本製造方法により、従来困難とされてきた多糖類のシール化(膜化)について、低コスト、高精度、かつ簡便に行なうことが可能となった。尚、前記の水と疎水性基板界面との濡れ角とは、標準状態である20℃、1atmの条件下での濡れ角を指し、本発明においては疎水性基板を種々選択することにより、すなわち濡れ角を選択することによりシールの厚さ、シール端部の厚さ、シール端部の幅を制御することが可能となった。
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚親和性糖質シールにより、長時間使用し続けても、皮膚のかぶれ、化学物質アレルギーによる炎症等のような皮膚問題の発生を防止するという効果が得られた。また、本糖質シールを水で湿潤させて容易に皮膚に貼付した後、短時間で容易に乾燥するので、カビの発生はなく、衛生的に保てる糖質シールとして防腐剤を必要としないことになった。更には、本糖質シールを用いて、皮膚表面のゴミ、皮脂の除去や皮膚表面の皺伸ばしを行なっても、長時間の使用でも前述のかぶれ等はなく、使用後に本糖質シールを皮膚から引き剥がしても皮膚上に糖質かす(プルランの残渣)も皮膚損傷もなく、皮膚上には滑々感を与え得るという効果が得られた。尚、本糖質シールについては、主にシール材と貼付剤とで構成される従来の皮膚貼付用シールと異なり、シール材自体が貼付剤の役目を果たすため、省資源化の効果も得られた。
【0016】
本発明の皮膚親和性糖質シールにより、皮膚表面の凹凸に沿い十分に皮膚表面に本糖質シールを密着させ得るという効果が得られ、これにより皮膚への医薬剤、化粧剤投与においても十分な経皮浸透が行ない得ることになった。また、本糖質シールにより、皮膚表面形状のレプリカの作製を高精度かつ3次元的に行ない得るという効果が得られ、これら3次元データより指の全体形状、大きさまでも把握することが可能となった。更には、本発明の皮膚親和性糖質シールにより、主素材であるプルランに対してマルトース、グルコース、トレハロースをそれぞれ別個に混合させ、これらの混合比を制御することにより、その貼付剤としての粘着性を制御し得るという効果が得られた。
【0017】
本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法により、シールの未使用状態において粘着性がなく、かつカビの発生もなく、シールの使用時には適度な粘着性を有し、かつシールとして十分な厚さを持ち、更にはシール形成も容易であるという条件を満足するという効果が得られた。また、本製造方法により、水と疎水性基板界面との濡れ角を考慮しつつ、本糖質シールの厚さを制御し得ることとなった。更には、本製造方法により、従来困難とされてきた多糖類のシール化(膜化)における低コスト化、高精度化、かつ簡便化について実現化し得るという効果が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明における皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法の実施形態について以下詳述するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0019】
本発明において、皮膚親和性糖質シールとは糖質であるプルラン、プルラン及びマルトース、プルラン及びグルコース、プルラン及びトレハロースの各4素材からなる、皮膚表面に対して優しい、すなわち皮膚親和性を有する皮膚貼付用シールを意味し、シールを真上から見た時の形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形、四角形、多角形、その他不定形が使用され得るが、貼付対象とする皮膚形状に合わせて適宜形状を選択すれば良い。図1は皮膚表面に貼付した従来の皮膚貼付用シールの断面を示す概略図であるが、従来の皮膚貼付用シール材1は石油系高分子材料からなる貼付剤2を介して、皮膚3の表面と接しており、その接触面において汗による肌ムレ、皮脂汚れ、化学物質アレルギー等により皮膚上にかぶれや炎症を引き起こすこととなる。尚、図1では物質の違いを明瞭にする為、石油系高分子材料からなる貼付剤2、及び皮膚3については敢えて斜線表示及び多点表示しているが、以下の各図においても同様である。また、図2は疎水性基板上に形成された本発明の皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図である。図2において、疎水性基板8上では、水溶性の前記各4素材からなる皮膚親和性糖質シール4が一定の濡れ角によりシールの端周辺が膨らみ、シール端部5が形成されることを示している。ここでは操作用ノブ6が示されているが、これは本糖質シールを水で湿潤させる際、この操作用ノブ6を掴んで本糖質シールを水中へ浸漬する時に使用されるものである。この操作用ノブ6の材質は皮膚に優しいものであれば特に限定されないが、例えば、糸、ひも、化学繊維等の軽くて柔らかいものが好適に使用され得る。図2では操作用ノブ6として掴み易いように輪部7を作ったひも状の操作用ノブが示されている。本発明の皮膚親和性糖質シールをこの輪部7に指をかけて持ちながら水中へ浸漬することが容易であり、その他にも輪部7を利用すれば直接手をふれることがないので衛生的でもある。
【0020】
本発明の皮膚親和性糖質シールにおいては、そのシールの平均厚さが0.1mm〜5mm、そのシール端部の平均幅が0.5mm〜5mm及びその平均厚さが0.2mm〜8mmであることが好適である。ここでシール端部の幅とは、図2において、疎水性基板8の上面に対して平行な方向のシール端部の最大長さを意味し、シール端部の厚さとは疎水性基板8の上面に対して垂直な方向のシール端部の最大長さを意味するものである。そのシールの平均厚さが0.1mmより小さい場合は、糖質シールに皺や穴ができたりして形状保持ができなくなるという理由から、前記平均厚さが5mmより大きい場合は、皮膚表面形状に沿わすべく湾曲させることが困難になるという理由から好ましくない。また、そのシール端部の平均幅が0.5mmより小さい場合は、シール端部が掴みにくく操作が不便になるという理由から、前記平均幅が5mmより大きい場合は、皮膚表面に沿わせて湾曲させる場合に障害になるという理由から好ましくない。更には、そのシール端部の平均厚さが0.2mmより小さい場合は、シール端部が掴みにくく操作が不便になるという理由から、前記平均厚さが8mmより大きい場合は、皮膚表面に沿わせて湾曲させる場合に障害になるという理由から好ましくない。尚、図3は本発明の操作用ノブを有する皮膚親和性糖質シールの外形を示す概略図であり、ここでは円形状シールが示されているが、その端周辺にはシール端部5が円周状に形成され、またシールの中程にはシール中央部9が示されている。このシール中央部におけるシールの厚さは、前記円周に沿うシール端部5の厚さよりも小さく、その厚さもほぼ均一なものとなる。
【0021】
本発明において、シール端部が切除された皮膚親和性糖質シールとは、図3の場合においてはシール端部5をはさみ、カッター、ナイフ等により円周(シール端部5の内側の円周)に沿って切り取り、シールの厚さがシール全体でほぼ均一となった皮膚親和性糖質シールを意味する。これにより、シール端部がないのでシールの外観が均一な厚さでシャープな印象になり、特にシールを顔肌に貼付する場合にはこのシール端部が切除された皮膚親和性糖質シールが見栄えも良く、かつ均一なシール厚さであるから皮膚表面へも貼付し易い。また、図4は皮膚表面に貼付された本発明のシール端部が切除された皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図である。ここでは、シール端部を切除された皮膚親和性糖質シール10が皮膚3の表面に隙間なく貼付することが示されている。更に、図5は顔肌表面に貼付された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略図である。ここでは、額と頬にシール端部を切除された皮膚親和性糖質シール10が貼付されているが、他方、別の頬と顎側面には本糖質シール引き剥がし後の滑々感のある皮膚部位11が示されている。尚、この指で触った際の滑々感であるが、これは本糖質シールの主素材であるプルランに起因して皮膚に与える滑々感であり、主としてプルランの化学的特性によるものであると考えられる。
【0022】
本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法においては、5重量%〜40重量%のプルラン水溶物を、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴としており、これにより、プルラン、プルラン及びマルトース、プルラン及びグルコース、プルラン及びトレハロースの各4素材からなる皮膚親和性糖質シールが、低コスト、高精度、かつ簡便に製造されることとなる。また、本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法においては、5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に、医薬剤又は化粧剤を混合させた後の前記混合物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる前記疎水性基板上で軟性膜に形成し、前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴としており、これにより、プルラン、プルラン及びマルトース、プルラン及びグルコース、プルラン及びトレハロースの各4素材に医薬剤又は化粧剤を混合したものからなる皮膚親和性糖質シールが、低コスト、高精度、かつ簡便に製造されることとなる。ここで、前述の両製造方法において、プルラン水溶物濃度が5重量%より小さい場合には、前記軟性膜の乾燥に長時間かかり過ぎるという理由から、また前記水溶物濃度が40重量%より大きい場合には、前記水溶物の粘度が高過ぎて軟性膜の形成が困難になるという理由から好ましくない。また、5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1において0.1より小さい場合には、マルトース、グルコース又はトレハロースの増粘効果又は減粘効果が発揮されないという理由から、また前記重量比が10:2.5において2.5より大きい場合には、主素材であるプルランの特徴が損なわれるという理由から好ましくない。更には、前記軟性膜を乾燥させる雰囲気の温度が50℃より小さい場合には、前記軟性膜の乾燥に長時間かかり過ぎるという理由から、また前記雰囲気の温度が100℃より大きい場合には、乾燥温度が高すぎて、乾燥後の糖質シールが変形し過ぎる、又はひずみ過ぎるという理由から好ましくない。尚、本製造方法において使用する疎水性基板は特に限定されないが、一般的には樹脂基板が好適に用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレイト、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスロフォン樹脂、ポリフェニール樹脂、ポリメタクリル樹脂等の樹脂基板が好適に使用される。また、水と前記の疎水性基板界面との濡れ角が50度〜140度の疎水性基板が好適に用いられるが、この濡れ角が50度未満の場合、疎水性の低下を意味し、軟性膜の形成が困難になるという理由から好ましくなく、この濡れ角が140度以上の場合、疎水性というよりむしろ撥水性の発現により前記水溶物である軟性膜の形成が著しく困難となる。更に、硬性膜の水分が10重量%以下となるまで乾燥することが好ましいが、前記水分が10重量%以上の場合には、十分なシール強度をもった硬性膜にならないという理由から好ましくない。尚、前記のプルラン水溶物に対する医薬剤、化粧剤の混合割合については、プルラン水溶物:医薬剤又は化粧剤の重量比が10:0.001〜1が好ましい。ここで、前記の重量比が10:0.001において0.001より小さい場合には、医薬剤又は化粧剤の効果が発揮できないという理由から、また1より大きい場合には、医薬剤又は化粧剤の濃度が高すぎて硬性膜の特性や形状を損なうという理由から好ましくない。また、前記のプルラン水溶物にマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に対する医薬剤、化粧剤の混合割合については、前記の混合水溶物:医薬剤又は化粧剤の重量比が10:0.001〜1が好ましい。ここで、前記の重量比が10:0.001において0.001より小さい場合には、医薬剤又は化粧剤の効果が発揮できないという理由から、また1より大きい場合には、医薬剤又は化粧剤の濃度が高すぎて硬性膜の特性や形状を損なうという理由から好ましくない。
【0023】
本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法においては、前記の製造方法により、前記疎水性基板上で前記軟性膜に形成した後、前記シール端部に操作用ノブを挿入した状態で前記軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴としており、この製造方法により、操作用ノブが取付けられている皮膚親和性糖質シールが、低コスト、高精度、かつ簡便に製造されることとなる。また、本発明の皮膚親和性糖質シールの製造方法においては、前記の製造方法により、乾燥させて前記硬性膜とした後、前記硬性膜端部を切除することを特徴としており、これによりシール端部が切除された皮膚親和性糖質シールが、低コスト、高精度、かつ簡便に製造されることとなる。
【0024】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、本皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面に付着しているゴミ、皮膚表面の角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを前記粘着性糖質シール側に粘着させた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより、皮膚表面のゴミ、角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを皮膚表面から除去し、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴としており、この使用方法により、前記のゴミ、皮膚表面の角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを除去が、簡便に、かつ確実に行なえることとなる。ここで、前記の水中への浸漬が1秒間より短い場合には、シールの軟化が困難であり粘着性がないという理由から、また前記の浸漬が5分間より長い場合には、軟化し過ぎてシールが水溶化するという理由から好ましくなく、この使用法とは別の以下に述べる使用方法においても、これと同様の理由である。尚、図7は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上のゴミの除去前の状態を示す概略断面図である。ここでは、シール表面が水分塗布され十分に湿潤して粘着性のある軟性膜となった皮膚親和性糖質シール4を皮膚3の表面に貼付した状態について示しており、皮膚表面上の凹部である皺13の中にあったゴミ14が前記軟性膜内部に取り込まれた状況が示されている。これは、軟性膜の表面が水で湿潤して十分に柔らかい状態にあり、皺13内部の奥まで軟性膜が入り込んだ結果、ゴミ14をも軟性膜が取り込んでしまうからであり、同様に、皮膚表面の角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミの場合でも軟性膜が取り込んでしまうこととなる。また、図8は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上のゴミの除去後の状態を示す概略断面図であり、これは前記軟性膜である本糖質シールにゴミ14を粘着させた後、その粘着性糖質シールを皮膚表面から引き剥がした際、ゴミ14が皺13の内部から除去されている状況を示している。次に、図9は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上の産毛の除去前の状態を示す概略断面図であるが、前述のゴミ除去の場合と同様、皮膚表面上の産毛15は、シール表面が水分塗布され十分に湿潤して軟性膜となった皮膚親和性糖質シール4の内部に取り込まれている状態にある。また、図10は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上の産毛の除去後の状態を示す概略断面図であり、これは前記軟性膜である本糖質シールに産毛15を粘着させた後、その粘着性糖質シールを皮膚表面から引き剥がした際、産毛15が皮膚表面から除去されている状況を示している。ちなみに、前記のゴミ、産毛粘着後からシール引き剥がしまでの時間については特に限定されないが、その目安としては30秒〜30分程度が好適であるが、それ以上の時間でも問題はない。尚、前述のシール引き剥がし後の皮膚親和性糖質シール4については、図8、図10に示されたように、皮膚表面形状のレプリカとなっている。
【0025】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、本皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面の皺を伸ばしながら皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面の皺を伸ばした状態で固定化させた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより皮膚表面の皺を目立たなくし、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴としており、この使用方法により、皮膚表面の皺を簡便かつ確実に目立たなくすることとなる。尚、図11は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面の皺伸ばし前の状態を示す概略断面図であり、ここでは皮膚3の表面にある皺13が断面的に図示されているが、皮膚親和性糖質シールの図示は省略されている。次に、図12は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面の皺伸ばし後の状態を示す概略断面図であり、ここではシール表面が水分塗布され十分に湿潤して粘着性のある軟性膜となった皮膚親和性糖質シール4について、前記の皺13を伸ばしながら皮膚表面に貼付した状態について示しており、本糖質シールにより引き伸ばされた皺16のように皮膚表面上の皺が目立たなくなっている状況が示されている。その後、この皮膚親和性糖質シール4を皮膚から引き剥がした場合でも、前記の皺引き伸ばし効果により、皺は目立たなくなり、皺の改善に効果を発揮するものである。
【0026】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、医薬剤又は化粧剤を含有した本発明の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、前記粘着性糖質シールから皮膚表面へ前記医薬剤又は前記化粧剤を経皮浸透投与させることを特徴としており、この使用方法により、前記の経皮浸透投与を簡便かつ確実に行えることとなる。本発明において、皮膚親和性糖質シールに含有される医薬剤は特に限定されないが、例えば、局所麻酔剤としてリドカイン、消炎鎮痛剤としてインドメタシン、風邪薬としてアセトアミノフィン、アトピー治療薬としてステロイド、角質溶解剤としてサルチル酸、殺菌剤としてティートリー、ヘルペス治療薬としてアシクロビル、水虫治療薬として塩酸テルビナフィン、育毛剤として塩化ジフェンヒドラミン、消炎剤として塩化リゾチウム、車酔い止め薬として塩酸メクリジン、等が好適に使用され、また本糖質シールに含有される化粧剤は特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、コラーゲン、ヒアルロン酸、プラセンタ、リノール酸、ケラチミン、マヌーカ蜂蜜、等が好適に使用され得る。尚、図14は皮膚表面に貼付された本発明の皮膚親和性糖質シールにより医薬剤を経皮浸透投与する状態を示す概略断面図である。ここではシール表面が水分塗布され十分に湿潤して粘着性のある軟性膜となった、医薬剤を含有する皮膚親和性糖質シール18を皮膚3の表面に貼付した状態について示しており、皮膚表面上の凹部である皺13の中にまで前記軟性膜が入り込み、皺13内面も含めた皮膚表面全体にまで、この軟性膜となった皮膚親和性糖質シール18が密着し、更には、その密着面を介して本糖質シール側から皮膚表面側へ医薬剤が移動、すなわち経皮浸透投与している状況が示されている。ちなみに、化粧剤を含有する皮膚親和性糖質シールを使用した場合でも前述と同様であり、この場合には化粧剤の皮膚表面への美容効果が皺内面も含めた皮膚表面全体にまで及ぶものである。
【0027】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、本皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、前記粘着性糖質シールを皮膚表面の凹凸部に貼ることにより、皮膚表面の凹凸部に前記柔軟層を充填させることを特徴としており、これにより、皮膚表面の凹凸部に前記柔軟層を簡便かつ確実に充填させることとなる。尚、図6は皮膚表面の凹凸部に充填された本発明の皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図であり、ここではシール表面が水分塗布され十分に湿潤して粘着性のある軟性膜となった皮膚親和性糖質シール4を皮膚3の表面に貼付した状態について示しており、皮膚表面上の凹部である皺13の中にまで前記軟性膜が入り込み、皺13内面も含めた皮膚表面全体にまで、この軟性膜となった皮膚親和性糖質シール4が密着している状況が示されている。このように本糖質シールは皮膚表面の凹凸部にまで充填されることとなる。
【0028】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、本皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、前記粘着性糖質シールに皮膚表面の形状を転写させた後、皮膚表面から前記粘着性糖質シールを剥がすことにより皮膚表面のレプリカとすることを特徴としているが、この使用方法により、皮膚表面のレプリカを簡便かつ確実に得ることとなる。尚、図15は本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面形状のレプリカを示す概略断面図である。ここでは、シール表面が水分塗布され十分に湿潤して粘着性のある柔軟層を有した皮膚親和性糖質シールを皮膚表面に貼付することにより、皮膚表面上の凹部である皺の中にまで前記柔軟層が入り込み、皺内面も含めた皮膚表面全体にまで、この柔軟層を有する皮膚親和性糖質シールが密着して皮膚表面形状を本糖質シールに転写させた後、この皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面形状のレプリカ19を皮膚から引き剥がしている状況が示されている。これにより、皮膚表面形状について高精度のレプリカが簡便に得られることとなるが、本レプリカには皮膚表面形状について3次元データが転写されていることに留意すべきである。
【0029】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、本皮膚親和性糖質シールにおいて、前記糖質シール表面に複数の突起を設け、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により前記糖質シール表面及び前記突起表面に粘着性を与え、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面を伸延させることを特徴としているが、これにより、簡便かつ確実に皮膚表面を伸延させることとなる。尚、図13は本発明の皮膚親和性糖質シールにより皮膚表面の伸延状態を示す概略断面図であり、ここではシール表面が水分塗布されて湿潤することにより粘着性を有した、シール表面に複数の突起17が設けられた皮膚親和性糖質シールを皮膚表面に貼付することにより、前記突起が皮膚表面へ入り込むために、その入り込んだ分だけ皮膚表面が引っ張られて皮膚表面を伸延させている状態が示される。尚、本糖質シール表面に設けられた突起17については、その素材としてプルラン、プルラン及びマルトース、プルラン及びグルコース、プルラン及びトレハロースから選択されるが、ベースとなる皮膚親和性シールと同素材又は別素材であっても良い。また、その製造方法としては特に限定されないが、例えば、前述の疎水性基板上で軟性膜を形成する際、型枠にはめて突起も含めて一体成型しても良く、又は別に突起部分だけを疎水性基板上で軟性のプルラン水溶物等を型枠で成型後、その突起部分を前記軟性膜上に粘着させて作製しても良く、様々な方法により突起を有する皮膚親和性糖質シールを作ることが可能である。但し、図13では前述の一体成型により作製された突起が示されている。
【0030】
本発明の皮膚親和性糖質シールの使用方法では、磁気治療器又は円筒型灸器に使用される皮膚貼付用シールとして、本皮膚親和性糖質シールを使用し、前記器の使用前に前記糖質シール表面を水分塗布することにより、前記糖質シール表面に粘着性を与えた後、前記粘着性糖質シールを皮膚表面に貼付し、皮膚表面をかぶれさせることなく前記器を皮膚表面に貼付することを特徴としているが、この使用方法により、皮膚表面をかぶれさせることなく前記器を皮膚表面に簡便かつ確実に貼付することとなる。尚、図16は磁気治療器の皮膚貼付用シールとして使用された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略断面図である。ここでは、シール表面が水分塗布されて湿潤することにより粘着性を有した皮膚親和性糖質シールにおいて、そのシールに内包された磁気治療用磁性体、即ち皮膚親和性糖質シールにおいて内蔵配置の磁性体20、またそのシール表面にシールの粘着性を利用して取付けられた磁気治療用磁性体、即ち皮膚親和性糖質シールにおいて突出配置の磁性体21について、シール端部を切除された皮膚親和性糖質シール10を皮膚貼付用シールとして、皮膚表面上で磁気治療器として固定されている状態が示される。また、図17は円筒型灸器の皮膚貼付用シールとして使用された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略断面図であり、ここでは円筒型灸器22の底部に取付けられている、シール端部を切除された皮膚親和性糖質シール10について、そのシール表面が水分塗布されて湿潤することにより粘着性を有し、その粘着性を利用して皮膚表面に円筒型灸器22が貼付している状態が示される。
【0031】
本発明について以下の実施例により更に具体的説明を行なうが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0032】
プルランからなる皮膚親和性糖質シールの作製
水とプルラン粉末を混合撹拌して35重量%プルラン水溶液を調整し、これをプルラン水溶物とした。また疎水性基板として、表面が滑らかなポリスチレン製基板(縦10cm、横10cm、厚さ2mmで、水とその基板界面において濡れ角は85度)を使用した。先ず、前記プルラン水溶物を、シリンジを用いて前記基板上に塗布することにより、プルラン水溶物からなる軟性膜を前記基板上に形成した。次に、その軟性膜の端部内にのみ操作用ノブ(長さ5cmのひも状ノブで輪部を有するノブ)を挿入し、更にその軟性膜を、温風乾燥器を用いて緩やかな温風(60℃)に晒して1時間程度乾燥させて硬性膜(平均直径3.3mmの略円形状で、平均厚さ1.1mm、シール端部の平均幅2.4mm、及びその平均厚さ1.6mm、水分は3重量%)を作製し、この硬性膜をプルランからなる皮膚親和性糖質シール(その外形の概略は図3に示される通り)とした。尚、水分の重量濃度(%)については前記の軟性膜及び硬性膜の重量差より行ない、以下の実施例においても同様に行なった。
【実施例2】
【0033】
プルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールの作製
水とプルラン粉末の混合撹拌により30重量%プルラン水溶液を調整してプルラン水溶物とし、これにプルラン水溶物:マルトースの重量比が10:0.9となるようにマルトースを混合してプルラン及びマルトース混合水溶物とした。本実施例の場合、マルトースは増粘剤として作用し、作製後のシールの粘着性はマルトースを混合させないプルランシールに比べて増加することになる。また疎水性基板として、表面が滑らかなポリスチレン製基板(縦10cm、横10cm、厚さ2mmで、水とその基板界面において濡れ角は85度)を使用した。先ず、前記プルラン及びマルトース混合水溶物をシリンジを用いて前記基板上に塗布することにより、プルラン及びマルトース混合水溶物からなる軟性膜を前記基板上に形成した。次に、その軟性膜の端部内にのみ操作用ノブ(長さ5cmのひも状ノブで輪部を有する)を挿入し、更にその軟性膜を、温風乾燥器を用いて緩やかな温風(60℃)に晒して1時間程度乾燥させて硬性膜(平均直径3.3mmの略円形状で、平均厚さ1.1mm、シール端部の平均幅2.4mm、及びその平均厚さ1.6mm、水分は3.5重量%)を作製し、この硬性膜をプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シール(その外形の概略は図3に示される通り)とした。
【実施例3】
【0034】
プルラン及びグルコースからなる皮膚親和性糖質シールの作製
水とプルラン粉末の混合撹拌により35重量%プルラン水溶液を調整してプルラン水溶物とし、これにプルラン水溶物:グルコースの重量比が10:1.5となるようにグルコースを混合してプルラン及びグルコース混合水溶物とした。本実施例の場合、グルコースは増粘剤として作用し、作製後のシールの粘着性はグルコースを混合させないプルランシールに比べて増加することになる。また疎水性基板として、表面が滑らかなポリプロピレン製基板(縦10cm、横10cm、厚さ1.7mmで、水とその基板界面において濡れ角は65度)を使用した。先ず、前記プルラン及びグルコース混合水溶物を、シリンジを用いて前記基板上に塗布することにより、プルラン及びグルコース混合水溶物からなる軟性膜を前記基板上に形成し、次にその軟性膜を温風乾燥機を用いて緩やかな温風(55℃)に晒して30分間程度乾燥させて硬性膜(平均直径3.4mmの略円形状で、平均厚さ1.4mm、シール端部の平均幅2.8mm、及びその平均厚さ2.3mm、水分は4.2重量%)とし、この硬性膜をカッターにより所定の形状に切除してプルラン及びグルコースからなる皮膚親和性糖質シール(縦1.5cm、横1.5cmの正方形状で、平均厚さ1.6mm)を作製した。
【実施例4】
【0035】
プルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シールの作製
水とプルラン粉末の混合撹拌により30重量%プルラン水溶液を調整してプルラン水溶物とし、これにプルラン水溶物:トレハロースの重量比が10:1.3となるようにトレハロースを混合してプルラン及びトレハロース混合水溶物とした。本実施例の場合、トレハロースは減粘剤として作用し、作製後のシールの粘着性はトレハロースを混合させないプルランシールに比べて減少することになる。また疎水性基板として、表面が滑らかなポリカーボネイト製基板(縦10cm、横15cm、厚さ2.2mmで、水とその基板界面において濡れ角は95度)を使用した。先ず、前記プルラン及びトレハロース混合水溶物を、シリンジを用いて前記基板上に塗布することにより、プルラン及びトレハロース混合水溶物からなる軟性膜を前記基板上に形成し、次にその軟性膜を温風乾燥機を用いて緩やかな温風(55℃)に晒して45分間程度乾燥させて硬性膜(平均直径3.7mmの略円形状で、平均淳さ2.4mm、水分は3.1重量%)とし、この硬性膜をカッターにより所定の形状に切除してプルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シール(縦2cm、横2cmの正方形状で、平均厚さ2.1mm)を作製した。
【実施例5】
【0036】
皮膚親和性糖質シールのかぶれ防止試験
実施例1で作製したプルランからなる皮膚親和性糖質シールと実施例2で作製したプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールについて、各々操作用ノブを掴みながら1分間水中浸漬して各糖質シールを湿潤させ、各シール表面に粘着性を持たせた。各々の粘着性糖質シールを肩及び背中の皮膚部位に貼付すると、3日間使用しても、従来の石油系高分子材料を貼付剤とする皮膚貼付用シールを用いたような皮膚かぶれの発生はなく、前記の皮膚部位に対して粘着効果を十分発揮することとなった。但し、プルランからなる皮膚親和性糖質シールに比べて、プルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールの方が、その皮膚に対する粘着性は強いものであった。また、各々の皮膚親和性糖質シールを皮膚から引き剥がした後、その貼付跡の皮膚部位を指で触ってみると、その皮膚部位には滑々感が付与されていた。
【実施例6】
【0037】
皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面の角質及びゴミ除去試験
実施例4で作製したプルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シールについて、そのシール表面を、脱脂綿を用いて水分塗布して湿潤させ、シール表面に粘着性を帯びさせたところで顔面の額部分の皮膚部位に貼付し、そのまま10分間乾燥した後、丁寧に本糖質シールを引き剥がすと、100μm以下の小さい皮膚表面上の角質およびゴミもほぼ完全にシールに粘着させて除去することができた。その貼付跡の皮膚部位を指で触ってみると、その皮膚部位には滑々感が付与されおり、またその貼付跡において肌表面が艶やかになっていた。
【実施例7】
【0038】
皮膚親和性糖質シールによる産毛の除去試験
実施例4で作製したプルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シールについて、そのシール表面を脱脂綿を用いて水分塗布して湿潤させ、シール表面に粘着性を帯びさせたところで顔面の頬部分の皮膚部位に貼付し、そのまま10分間乾燥した後、丁寧に本糖質シールを引き剥がすと、トレハロースの効果があって剥がし易く、頬部分の皮膚表面に生えていた産毛をほぼ完全に除去することができた。その貼付跡の皮膚部位を指で触ってみると、その皮膚部位には滑々感が付与されおり、またその貼付跡において肌表面は産毛がなく艶やかになっていた。
【実施例8】
【0039】
皮膚親和性糖質シールによるレプリカの作製
実施例1で作製したプルランからなる皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら1分間水中浸漬して糖質シールを湿潤させ、シール表面に粘着性を持たせた。その粘着性糖質シールを親指の指紋部位に貼付し、1分後にそのシールを指紋部位から引き剥がすことよって、親指の皮膚表面形状、すなわち指紋部位のレプリカを作製した。これにより、3次元像のレプリカを撮ることができたので、顕微鏡観察により、従来の指紋より正確に顕微鏡で指紋識別することができた。
【実施例9】
【0040】
皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面上の皺の改善試験
実施例1で作製したプルランからなる皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら30秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、目じりの皺を伸ばしながら、その粘着性糖質シールを目じりの皺部位に貼付した。一晩睡眠中貼付し続け、起床時にこの皮膚親和性糖質シールを皺部位から引き剥がすと、皺部位が伸ばされて皺自体が浅くなっていた。但し、引き剥がして5分経過すると、一見、皺は元に戻るようになるが、この一連の貼付操作を1箇月繰り返したところ、目じりの皺を肉眼で確認できないくらいまで緩和させることができ、すなわち皺の改善効果を確認するに至った。
【実施例10】
【0041】
皮膚親和性糖質シールによるアスコルビン酸リン酸マグネシウムの経皮浸透投与試験
実施例2において、プルラン及びマルトース混合水溶物に化粧剤であるアスコルビン酸リン酸マグネシウムをプルラン及びマルトース混合水溶物:アスコルビン酸リン酸マグネシウムの重量比が10:0.5で混合したものを軟性膜の形成材料とする以外はすべて実施例2と同様の条件にて、アスコルビン酸リン酸マグネシウム含有のプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら30秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、体毛除去処理を行なったラットの背中の皮膚部位に貼付し、30分間放置した後に本糖質シールを引き剥がした。次に、貼付跡の皮膚部位のみを切除して純水にて皮膚部位を洗浄後、その皮膚部位に所定の純水を加えてホモジナイザー処理を行なった。その処理液を所定の遠心分離機にかけて上澄み液を採取し、その上澄み液について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行なった結果、アスコルビン酸リン酸マグネシウムの存在を確認した。従って、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付することにより、ラットの皮膚部位においてアスコルビン酸リン酸マグネシウムの経皮浸透が確認された。
【実施例11】
【0042】
皮膚親和性糖質シールによるヒアルロン酸の経皮浸透投与試験
実施例2において、プルラン及びマルトース混合水溶物に化粧剤であるヒアルロン酸をプルラン及びマルトース混合水溶物:ヒアルロン酸の重量比が10:1.2で混合したものを軟性膜の形成材料とする以外はすべて実施例2と同様の条件にて、ヒアルロン酸含有のプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら60秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、体毛除去処理を行なったラットの背中の皮膚部位に貼付し、45分間放置した後に本糖質シールを引き剥がした。次に、貼付跡の皮膚部位のみを切除して純水にて皮膚部位を洗浄後、その皮膚部位に所定の純水を加えてホモジナイザー処理を行なった。その処理液を所定の遠心分離機にかけて上澄み液を採取し、その上澄み液について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行なった結果、ヒアルロン酸の存在を確認した。すなわち、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付することにより、ラットの皮膚部位においてヒアルロン酸の経皮浸透が確認された。
【実施例12】
【0043】
皮膚親和性糖質シールによるコラーゲンの経皮浸透投与試験
実施例2において、プルラン及びマルトース混合水溶物に化粧剤であるコラーゲンをプルラン及びマルトース混合水溶物:コラーゲンの重量比が10:1.6で混合したものを軟性膜の形成材料とする以外はすべて実施例2と同様の条件にて、コラーゲン含有のプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら45秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、体毛除去処理を行なったラットの背中の皮膚部位に貼付し、60分間放置した後に本糖質シールを引き剥がした。次に、貼付跡の皮膚部位のみを切除して純水にて皮膚部位を洗浄後、その皮膚部位に所定の純水を加えてホモジナイザー処理を行なった。その処理液を所定の遠心分離機にかけて上澄み液を採取し、その上澄み液について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行なった結果、コラーゲンの存在を確認し、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付することにより、ラットの皮膚部位においてコラーゲンの経皮浸透が確認された。
【実施例13】
【0044】
皮膚親和性糖質シールによるプラセンタの経皮浸透投与試験
実施例3において、プルラン及びグルコース混合水溶物に化粧剤であるプラセンタをプルラン及びグルコース混合水溶物:プラセンタの重量比が10:1.2で混合したものを軟性膜の形成材料とする以外はすべて実施例2と同様の条件にて、コラーゲン含有のプルラン及びグルコースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、シール表面を脱脂綿を用いて水分塗布して湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、体毛除去処理を行なったラットの背中の皮膚部位に貼付し、60分間放置した後に本糖質シールを引き剥がした。次に、貼付跡の皮膚部位のみを切除して純水にて皮膚部位を洗浄後、その皮膚部位に所定の純水を加えてホモジナイザー処理を行なった。その処理液を所定の遠心分離機にかけて上澄み液を採取し、その上澄み液について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行なった結果、プラセンタの存在を確認した。すなわち、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付することにより、ラットの皮膚部位においてプラセンタの経皮浸透が確認された。
【実施例14】
【0045】
皮膚親和性糖質シールによるリドカインの経皮浸透投与試験
実施例2において、プルラン及びマルトース混合水溶物に医薬剤であるリドカインをプルラン及びマルトース混合水溶物:リドカインの重量比が10:0.3で混合したものを軟性膜の形成材料とする以外はすべて実施例2と同様の条件にて、リドカイン含有のプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら30秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、30才代の男性被験者の左手甲の皮膚部位に貼付し、45分間放置した後に本糖質シールを引き剥がした。その後、針先により前記の皮膚部位へ4、5回刺激を与えたところ、前記被験者はほとんど痛みを感じなかった。すなわち、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付することにより、前記の皮膚部位においてリドカインの経皮浸透が確認された。
【実施例15】
【0046】
皮膚親和性糖質シールによる皮膚伸延試験及び経皮浸透投与試験
実施例2において、プルラン及びマルトース混合水溶物に化粧剤であるアスコルビン酸リン酸マグネシウムをプルラン及びマルトース混合水溶物:アスコルビン酸リン酸マグネシウムの重量比が10:0.5で混合したものを軟性膜の形成材料とし、所定の型枠にはめて皮膚貼付面側に直径100μm高さ300μmの微細な円錐形状の突起を100個設ける以外はすべて実施例2と同様の条件にて、アスコルビン酸リン酸マグネシウム含有のプルラン及びマルトースからなる皮膚親和性糖質シールを作製した。この皮膚親和性糖質シールについて、操作用ノブを掴みながら30秒間水中浸漬して糖質シールを湿潤させてシール表面が粘着性を帯びたところで、体毛除去処理を行なったラットの背中の皮膚部位に貼付し、皮膚部位の表面を部分的に指で加圧して引き伸ばすことにより、加圧された皮膚部位は薄くなり、経皮浸透投与し易い状態とした。この状態にて30分間放置した後、本糖質シールを引き剥がした。次に、貼付跡の皮膚部位のみを切除して純水にて皮膚部位を洗浄後、その皮膚部位に所定の純水を加えてホモジナイザー処理を行なった。その処理液を所定の遠心分離機にかけて上澄み液を採取し、その上澄み液について高速液体クロマトグラフィーによる分析を行なった結果、アスコルビン酸リン酸マグネシウムの存在を確認し、その存在量が実施例10の場合のアスコルビン酸リン酸マグネシウムの存在量の1.5倍であることも確認された。従って、本皮膚親和性糖質シールを皮膚貼付して加圧することにより、前記の突起を設けたことによる皮膚伸延効果、及び経皮浸透量の増加が確認された。
【実施例16】
【0047】
皮膚親和性糖質シールによる皮膚貼付用シールとしての貼付機能試験
磁気治療器の磁性体を入手すべく、市販の磁気治療器(ピップフジモト(株)製突起付きピップエレキバン大粒)について、その磁性体を磁気治療器から分離して2個の磁性体を得た。実施例1において、皮膚親和性糖質シール作製後のシール端部を切除すること以外はすべて実施例1と同様にして、シール端部が切除された皮膚親和性糖質シールを作製した。次に、そのシール表面を脱脂綿を用いて水分塗布して湿潤させ、シール表面に粘着性を帯びさせたところで、前記2個の磁性体をシール表面に粘着させ、室温にて放置してシール表面を乾燥させることにより、シール端部が切除された皮膚親和性糖質シールにおいて突出配置の磁性体を2個有する磁気治療器を作製した。これにより、前記皮膚親和性糖質シールによる磁気治療器における皮膚貼付用シールとしての貼付機能試験を行なった。先ず、前記の糖質シール表面(磁性体が突出配置されているシール表面)を脱脂綿を用いて水分塗布して湿潤させ、シール表面に粘着性を帯びさせたところで、その粘着性糖質シールを肩の皮膚部位へ貼付した。その後、3日間皮膚部位に装着し続けても、元の磁気治療器のシート材と異なり、皮膚かぶれの発生もなく、安定に貼付し続けることとなり、本皮膚親和性糖質シールによる磁気治療器における皮膚貼付用シールとしての貼付機能を果たせることが確認された。
【実施例17】
【0048】
皮膚親和性糖質シールによる皮膚貼付用シールとしての貼付機能試験
円筒型灸器として、市販の円筒型灸器(せんねん灸(株)製せんねん灸レインボー)を使用し、先ずその台座に貼付してある粘着シールを外した。次に、実施例1で得られたプルランからなる皮膚親和性糖質シールを所定の形状(前記台座に貼付してあった粘着シールの形状)に合わせてカッターで切り取り、そのシール片側表面を脱脂綿を用いて水分塗布し、そのシール表面が粘着性を帯びたところで、前記の台座に貼付して10分間放置した。尚、本試験ではシール端部は不要の為、前記のカッターによる切り取りの前段階にて、シール端部をあらかじめ切除しておく。次に、台座に貼付してある本糖質シール表面を前記と同様の方法にて水分塗布し、そのシール表面が粘着性を帯びたところで、前記の円筒型灸器の通常使用方法により、肩においてシール貼付を行なってお灸を施術した。その結果、円筒型灸器が熱を帯びても、そのシールの粘着性は全く変化せず、本皮膚親和性糖質シールは円筒型灸器の皮膚貼付用シールとして十分な貼付機能を保持していることが確認された。更には、お灸の施術後の貼付跡において皮膚かぶれの発生は確認されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法は、前述の通り様々な特徴的効果を有するが、これらの効果により医療分野、皮膚美容分野等において実用的に利用できる。また、本発明の皮膚親和性糖質シール及びその製造方法、並びにその使用方法は量産実施が可能なものであり、産業上利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】 皮膚表面に貼付した従来の皮膚貼付用シールの断面を示す概略図である。
【図2】 疎水性基板上に形成された本発明の皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図である。
【図3】 本発明の操作用ノブを有する皮膚親和性糖質シールの外形を示す概略図である。
【図4】 皮膚表面に貼付された本発明のシール端部が切除された皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図である。
【図5】 顔肌表面に貼付された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略図である。
【図6】 皮膚表面の凹凸部に充填された本発明の皮膚親和性糖質シールの断面を示す概略図である。
【図7】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上のゴミの除去前の状態を示す概略断面図である。
【図8】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上のゴミの除去後の状態を示す概略断面図である。
【図9】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上の産毛の除去前の状態を示す概略断面図である。
【図10】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚上の産毛の除去後の状態を示す概略断面図である。
【図11】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面の皺伸ばし前の状態を示す概略断面図である。
【図12】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面の皺伸ばし後の状態を示す概略断面図である。
【図13】 本発明の皮膚親和性糖質シールにより皮膚表面の伸延状態を示す概略断面図である。
【図14】 皮膚表面に貼付された本発明の皮膚親和性糖質シールにより医薬剤を経皮浸透投与する状態を示す概略断面図である。
【図15】 本発明の皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面形状のレプリカを示す概略断面図である。
【図16】 磁気治療器の皮膚貼付用シールとして使用された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略断面図である。
【図17】 円筒型灸器の皮膚貼付用シールとして使用された本発明の皮膚親和性糖質シールを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 従来の皮膚貼付用シール材
2 石油系高分子材料からなる貼付剤
3 皮膚
4 皮膚親和性糖質シール
5 シール端部
6 操作用ノブ
7 輪部
8 疎水性基板
9 シール中央部
10 シール端部を切除された皮膚親和性糖質シール
11 本糖質シール引き剥がし後の滑々感のある皮膚部位
12 顔
13 皺
14 ゴミ
15 産毛
16 本糖質シールにより引き伸ばされた皺
17 本糖質シール表面に設けられた突起
18 医薬剤を含有する皮膚親和性糖質シール
19 皮膚親和性糖質シールによる皮膚表面形状のレプリカ
20 皮膚親和性糖質シールにおいて内蔵配置の磁性体
21 皮膚親和性糖質シールにおいて突出配置の磁性体
22 円筒型灸器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルランからなる皮膚親和性糖質シールにおいて、該シールの平均厚さを0.1mm〜5mm、該シール端部の平均幅を0.5mm〜5mm及びその平均厚さを0.2mm〜8mmとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シール。
【請求項2】
プルラン及びマルトース、又はプルラン及びグルコース、又はプルラン及びトレハロースからなる皮膚親和性糖質シールにおいて、該シールの平均厚さを0.1mm〜5mm、該シール端部の平均幅を0.5mm〜5mm及びその平均厚さを0.2mm〜8mmとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シール。
【請求項3】
請求項1又は2記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、医薬剤又は化粧剤が含有されていることを特徴とする皮膚親和性糖質シール。
【請求項4】
該シール端部に、該シールの操作用ノブが取付けられていることを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シール。
【請求項5】
該シール端部が切除され、該シール全体が均一な厚さであることを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シール。
【請求項6】
5重量%〜40重量%のプルラン水溶物を、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる該疎水性基板上で軟性膜に形成し、該軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法。
【請求項7】
5重量%〜40重量%のプルラン水溶物を、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる該疎水性基板上で軟性膜に形成し、該軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることにより製造される請求項1又は2記載の皮膚親和性糖質シール。
【請求項8】
5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に、医薬剤又は化粧剤を混合させた後の該混合物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる該疎水性基板上で軟性膜に形成し、該軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする請求項3記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法。
【請求項9】
5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に、又は5重量%〜40重量%のプルラン水溶物に対してプルラン水溶物:マルトース又はグルコース又はトレハロースの重量比が10:0.1〜2.5となるようにマルトース又はグルコース又はトレハロースを混合した水溶物に、医薬剤又は化粧剤を混合させた後の該混合物を、水と疎水性基板界面において50度〜140度の濡れ角が得られる該疎水性基板上で軟性膜に形成し、該軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることにより製造される請求項3記載の皮膚親和性糖質シール。
【請求項10】
請求項6又は8記載の製造方法において、該疎水性基板上で該軟性膜に形成した後、該シール端部に操作用ノブを挿入した状態で該軟性膜を50℃〜100℃の雰囲気下で水分が10重量%以下となるまで乾燥させて硬性膜とすることを特徴とする請求項4記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法。
【請求項11】
請求項6又は8記載の製造方法において、乾燥させて該硬性膜とした後、該硬性膜端部を切除することを特徴とする請求項5記載の皮膚親和性糖質シールの製造方法。
【請求項12】
請求項1から5いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面に粘着性を与え、該粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面に付着しているゴミ、皮膚表面の角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを該粘着性糖質シール側に粘着させた後、該粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより、皮膚表面のゴミ、角質、皮脂、産毛、毛穴のゴミを皮膚表面から除去し、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項13】
請求項1から5いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面に粘着性を与え、該粘着性糖質シールを皮膚表面の皺を伸ばしながら皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面の皺を伸ばした状態で固定化させた後、該粘着性糖質シールを皮膚表面から剥がすことにより皮膚表面の皺を目立たなくし、皮膚表面に滑々感を付与することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項14】
請求項3から5いずれか一項記載の医薬剤又は化粧剤を含有した皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面に粘着性を与え、該粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、該粘着性糖質シールから皮膚表面へ該医薬剤又は該化粧剤を経皮浸透投与させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項15】
請求項1から5いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、該粘着性糖質シールを皮膚表面の凹凸部に貼ることにより、皮膚表面の凹凸部に該柔軟層を充填させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項16】
請求項1から5いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面に粘着性を有する柔軟層を設け、該粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、該粘着性糖質シールに皮膚表面の形状を転写させた後、皮膚表面から該粘着性糖質シールを剥がすことにより皮膚表面のレプリカとすることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項17】
請求項1から5いずれか一項記載の皮膚親和性糖質シールにおいて、該糖質シール表面に複数の突起を設け、1秒間〜5分間水中へ浸漬又は水分塗布により該糖質シール表面及び該突起表面に粘着性を与え、該粘着性糖質シールを皮膚表面に貼ることにより、皮膚表面を伸延させることを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。
【請求項18】
磁気治療器又は円筒型灸器に使用される皮膚貼付用シールとして、請求項1又は2記載の皮膚親和性糖質シールを使用し、該器の使用前に該糖質シール表面を水分塗布することにより、該糖質シール表面に粘着性を与えた後、該粘着性糖質シールを皮膚表面に貼付し、皮膚表面をかぶれさせることなく該器を皮膚表面に貼付することを特徴とする皮膚親和性糖質シールの使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−22780(P2010−22780A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208771(P2008−208771)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(507192769)
【Fターム(参考)】