説明

盗難用撮影装置

【課題】持ち去られたり、破壊されたりすることなく、侵入者の映像を残すことができる盗難用撮影装置を得る。
【解決手段】車室内に設けられ少なくとも一部をハーフミラー部6としたルームミラー1内にハーフミラー部6を通して車室内を撮影するイメージセンサ10を設けると共に、振動センサ22や赤外線センサ24等の車室内への侵入を検出する侵入検出センサを設ける。
侵入検出センサが車室内への侵入を検出したときに、イメージセンサ10を制御して、車室内を撮影して映像をメモリカード20に記憶し、侵入を検出しなくなったときには撮影を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盗難時に車室内を撮影する盗難用撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の盗難防止のために、イモビライザーが普及しており、車両の盗難が減少しているが、車室内に取り付けたカーナビや音響機器等の高額な装備品の盗難が依然多発している。
【0003】
このような盗難を防止するために、特許文献1にあるように、車両の周囲への接近や車室内への侵入を検出して、警報を発するようにしたものが知られているが、短時間で装備品を持ち去られた場合、警報を聞いて駆けつけても、侵入者を捕まえることができず、侵入者を特定することもできない。
【0004】
特許文献2にあるように、車両にカメラを搭載して、車両に衝撃が加わった前後の映像をメモリに記憶させるものも知られており、カメラを車室内に向けて配置し、侵入者を撮影してメモリに記憶させるようにすると、侵入者を特定することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−89346号公報
【特許文献2】特開2008−305254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、こうした従来のものでは、侵入者を撮影してメモリに記憶することができるが、メモリを持ち去られたり、破壊されたりすると、撮影した映像を見ることができず、結局、侵入者を特定することができないという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、持ち去られたり、破壊されたりすることなく、侵入者の映像を残すことができる盗難用撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
車室内に設けられ少なくとも一部をハーフミラー部としたルームミラー内に前記ハーフミラー部を通して前記車室内を撮影するイメージセンサを設けると共に、前記車室内への侵入を検出する侵入検出センサを設け、かつ、前記侵入検出センサが前記車室内への侵入を検出したときに、前記イメージセンサを制御して、前記車室内を撮影して映像を記憶手段に記憶し、侵入を検出しなくなったときには撮影を停止する制御手段を備えたことを特徴とする盗難用撮影装置がそれである。
【0009】
前記侵入検出センサは、車両の振動を検出する振動センサ、または、前記車室内の赤外線を検出する赤外線センサの一方、または、両方を備えている構成でもよい。また、前記記憶手段は着脱可能なメモリカードでもよい。前記制御手段は、更に、無線通信により侵入があったことを報知する構成でもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の盗難用撮影装置は、イメージセンサがルームミラー内からハーフミラー部を通して車室内を撮影するので、侵入者がイメージセンサに気が付かず、映像が記憶されたと認識できないので、持ち去られたり、破壊されたりすることなく、侵入者の映像を残すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態としてのルームミラーの正面図である。
【図2】本実施形態のルームミラーの断面図である。
【図3】本実施形態の盗難用撮影装置の概略構成図である。
【図4】本実施形態のCPUで行われる映像記憶制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1はルームミラーで、ルームミラー1はガラス及び金属蒸着膜等からなるミラー体2と、ミラー体2の裏側を覆うカバー体4とを備えており、ミラー体2とカバー体4との間には収納空間8が形成されている。ルームミラー1は図示しない車両の車室内に金具等を介して取り付けられている。
【0013】
ミラー体2は一部がハーフミラー部6として形成されており、ハーフミラー部6は入射光の一部を透過させるように、金属蒸着膜等が薄く形成されている。尚、ミラー体2の全体をハーフミラー部として形成しても実施可能である。
【0014】
ハーフミラー部6に対向して、ミラー体2とカバー体4との間の収納空間8内にCMOSやCCD等を用いたイメージセンサ10が配置されている。イメージセンサ10はハーフミラー部6を通して車室内を撮影できるように配置され、イメージセンサ10は収納空間8内に収納された基板12に取り付けられている。
【0015】
基板12には、図3に示すように、CPU14が搭載されると共に、ビデオ入出力回路16やビデオエンコーダ18が設けられており、イメージセンサ10からの映像信号がビデオ入出力回路16に入力されると、ビデオ入出力回路16はCPU14やビデオエンコーダ18に映像信号を出力する。ビデオエンコーダ18は、入力された映像信号をエンコードして、記憶手段としての着脱可能なメモリカード20に映像信号を記憶させる。尚、メモリカード20の挿入スロットは外部から見えにくいように、蓋等をするとよい。
【0016】
CPU14には、ドアの開閉や人の乗車等による車体の振動を検出する振動センサ22が接続されると共に、人体等が発する赤外線を検出する赤外線センサ24が接続されている。また、CPU14には送信機26が接続されており、信号を無線送信できるように構成されている。送信機26は必要に応じて設ければよい。
【0017】
尚、本実施形態では、振動センサ22と赤外線センサ24とが侵入検出センサとして働くが、少なくともどちらか一方を設ければ実施可能である。また、侵入検出センサとして、これらに限らず、光路の遮断を検出する光電センサ等を用いてもよい。
【0018】
次に、CPU14において行われる映像記憶制御処理について、図4に示すフローチャートによって説明する。
まず、侵入検出開始か否かを判断する(ステップ50。以下S50という。以下同様。)。侵入検出開始か否かは、例えば、イグニッションスイッチがOFFにされ、ドアロックが検出されて、所有者が車両から降りたことが検出されたときに、侵入検出開始と判断し、ドアロックの開放がキーにより正常になされたと判断したときには、侵入検出開始を解除するようにしてもよい。あるいは、単に、図示しない侵入検出スタートスイッチを設け、侵入検出スタートスイッチが操作されたか否かにより判断するようにしてもよい。
【0019】
侵入検出開始でないときには待機し(S50:NO)、侵入検出開始のときには、振動センサ22により振動が検出されたか否かを判断する(S52)。侵入者が窓を破ってドアを開けたり、車室内に侵入したりすると、車体が振動するので、振動センサ22により車体の振動を検出することで、侵入者を検出できる。
【0020】
振動センサ22により振動が検出されないときには(S52:NO)、赤外線センサ24により侵入者が検出されたか否かを判断する(S54)。侵入者が車室内に侵入すると、侵入者が発する赤外線を赤外線センサ24により検出することで、侵入者を検出できる。赤外線センサ24により侵入者が検出されないときには(S54:NO)、S50以下の処理を繰り返す。
【0021】
S52の処理の実行で、振動センサ22により振動が検出され(S52:YES)、あるいは、S54の処理の実行で、赤外線センサ24により侵入者が検出されたときには(S54:YES)、撮影を開始する処理を実行する(S56)。
【0022】
撮影開始の処理では、イメージセンサ10によりハーフミラー部6を介して車室内の撮影を開始し、映像信号をビデオ入出力回路16を介してビデオエンコーダ18に出力する。ビデオエンコーダ18は映像信号をメモリカード20に記憶する形式にエンコードして、映像信号をメモリカード20に記憶させる。
【0023】
撮影を開始すると、次に、前述したS52,S54と同様に、振動センサ22により振動が検出されたか否かを判断し(S58)、振動センサ22により振動が検出されないときには(S58:NO)、赤外線センサ24により侵入者が発する赤外線が検出されたか否かを判断する(S60)。
【0024】
振動センサ22により振動が検出され(S58:YES)、あるいは、赤外線センサ24により侵入者が発する赤外線が検出されたときには(S60:YES)、侵入者が車室内に留まっていると判断して、イメージセンサ10による車室内の撮影を継続し、その映像をメモリカード20に記憶し続ける。
【0025】
また、イメージセンサ10により車室内の撮影を開始すると共に、送信機26から侵入者が検知された旨の信号やメッセージ等を外部の携帯電話やパソコンに送信するようにしてもよい。その際、イメージセンサ10により撮影された車室内の映像を、動画として、あるいは静止画として送信してもよい。この無線送信された動画や静止画を携帯電話やパソコンに記憶させるようにしてもよい。
【0026】
一方、振動が検出されなくなり(S58:NO)、また、侵入者が発する赤外線も検出されなくなったときには(S60:NO)、侵入者が車室内から立ち去ったと判断して、タイマをスタートする(S62)。タイマには予め一定時間をセットし、その時間が経過したか否かを判断し(S64)、一定時間が経過したときには(S64:YES)、イメージセンサ10による撮影とメモリカード20への記憶を終了する(S66)。そして、S50以下の処理を繰り返す。
【0027】
車室内への侵入があったときには、メモリカード20を抜き出して、パソコン等により記憶された映像を再生することにより、侵入者を特定することができる。
このように、イメージセンサ10がルームミラー1内からハーフミラー部6を通して車室内を撮影するので、侵入者がイメージセンサ10に気が付かず、映像が記憶されたと認識できないので、持ち去られたり、破壊されたりすることなく、侵入者の映像を残すことができる。
【0028】
また、侵入者が検出されたときに、イメージセンサ10により車室内を撮影すると共に、メモリカード20に記憶するので、侵入者が検出されない待機時の電力消費量が少なく、長時間にわたって侵入検知を行っても、バッテリの電力消費を抑制することができる。
【0029】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0030】
1…ルームミラー 2…ミラー体
4…カバー体 6…ハーフミラー部
8…収納空間 10…イメージセンサ
12…基板 14…CPU
16…ビデオ入出力回路 18…ビデオエンコーダ
20…メモリカード 22…振動センサ
24…赤外線センサ 26…送信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられ少なくとも一部をハーフミラー部としたルームミラー内に前記ハーフミラー部を通して前記車室内を撮影するイメージセンサを設けると共に、前記車室内への侵入を検出する侵入検出センサを設け、かつ、前記侵入検出センサが前記車室内への侵入を検出したときに、前記イメージセンサを制御して、前記車室内を撮影して映像を記憶手段に記憶し、侵入を検出しなくなったときには撮影を停止する制御手段を備えたことを特徴とする盗難用撮影装置。
【請求項2】
前記侵入検出センサは、車両の振動を検出する振動センサ、または、前記車室内の赤外線を検出する赤外線センサの一方、または、両方を備えていることを特徴とする請求項1に記載の盗難用撮影装置。
【請求項3】
前記記憶手段は着脱可能なメモリカードであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の盗難用撮影装置。
【請求項4】
前記制御手段は、更に、無線通信により侵入があったことを報知することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の盗難用撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159109(P2011−159109A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−20312(P2010−20312)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(391019681)株式会社コムテック (11)
【Fターム(参考)】