説明

監視カメラシステム

【課題】公共施設等の屋内外には多数の監視用のカメラが設置され、これらの映像は、それぞれの監視システムによって記録、管理されている。この場合、いくつかのシステムに分散記録されている監視対象移動体の映像を検索、集約するためには多大な労力と時間を必要としていた。
【解決手段】監視用のカメラの映像を伝送する無線伝送装置と、当該無線装置から監視対象移動体に装着された携帯型の映像記録装置に伝送し、該映像記録装置にカメラの映像を記録するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラで撮影した監視対象移動体の映像を、無線伝送装置を用いて当該監視対象移動体に装備した映像記録装置に記録する監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全の確保、パトロールの強化、犯罪発生の抑制、または発生した犯罪の捜査等のために、監視カメラシステムが利用されている。監視カメラシステムにおいては、商店街や公園などの街頭や、公共施設等の屋内外に多数の監視用カメラや防犯カメラが設置され、運用されている。従来、監視カメラシステムにおけるこれらのカメラ(以降、本書では、監視カメラと称する)は、カメラそれぞれの監視領域(撮像視野範囲)を定めて、監視カメラシステム全体として監視領域が監視可能になように設置される。当該監視カメラが撮像した映像データは、監視カメラシステムの監視拠点に設置された記録装置や、監視カメラシステムの上位のデータセンタに設置された大規模のアーカイブシステム、または、監視カメラシステムとは別のシステムのデータセンタに設置された大規模のアーカイブシステムに蓄積される。蓄積された映像データは、後日、撮影日時等のメタ情報に基づいて蓄積された映像から、必要な映像の検索や集約を行う(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−080156号公報
【特許文献2】特開2008−198135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の監視カメラシステムでは、事件などで特定の監視対象移動体の映像を検索や集約するためには多大な労力と時間を必要としていた。例えば、特許文献2においても、その発明の目的は、任意に取得された写真や映像といった情報を、関連するユーザそれぞれに対して共通的に、且つ、効率的に提供できるような情報配信システム、情報配信装置および情報配信方法である。しかし、目的の写真や映像を検索する必要が残っていることに変わりはない。
さらに、通常、監視カメラシステムのそれぞれのカメラで撮影された映像は、例えば個人情報保護の観点などから、第三者に公開されることはなく、それらを横断的に検索することは困難であった。
本発明の目的は、上記のような問題に鑑み、個人情報の保護が可能で、監視対象移動体を検索する労力が軽減可能な監視カメラシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の監視カメラシステムは、監視対象移動体が存在する監視領域を撮像するカメラと、前記撮像した映像データを、それぞれ、伝送する前記カメラに対応する無線伝送装置と、前記伝送された映像データを受信し保存する前記監視対象移動体が装着した携帯型の映像記録装置とを備えるものである。
また、前記無線伝送装置は、前記カメラの映像データの記録先となる前記映像記録装置を認識する機能を有し、前記映像データの伝送には暗号化技術を用いて伝送するものである。
さらに、既存の監視カメラに対応するため、無線伝送装置には映像信号の入力機能を設けるほか、IPネットワークでの映像配信のためTCP(Transmission Control Protocol)、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)等のプロトコルを実装する。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の監視カメラシステムは、監視領域内を撮像するカメラと、該カメラが撮像した映像に、少なくとも位置情報および日時情報を含むメタ情報を付加した映像データを伝送する無線伝送装置と、前記映像データを受信し、受信した映像データを記録する、監視対象移動体に装着された映像記録装置とを備えたものである。
また上記発明の監視カメラシステムにおいて、前記カメラの前記監視領域と、前記無線伝送装置と前記映像記録装置間の通信エリアとが略一致するものである。
【0007】
さらに、上記発明の監視カメラシステムにおいて、前記映像記録装置は、接続要求信号とID番号を送信し、前記無線伝送装置は、前記接続要求信号があった場合に前記ID番号に基づいて認証を行い、認証が成功した場合に、前記認証が成功した映像記録装置に前記映像データを伝送するものである。
またさらに、上記発明の監視カメラシステムにおいて、前記メタ情報の前記位置情報は、あらかじめ設定された前記無線伝送装置の位置情報またはGPSから取得する位置情報であり、前記メタ情報の前記日時情報は、前記GPS、FM放送、または電波時計から取得する日時情報である。
【0008】
また、本発明の監視カメラシステムは、施設内に配設され、それぞれ、監視領域内を撮像するカメラと、該カメラが撮像した映像にメタ情報を付加した映像データを伝送する無線伝送装置とを有する複数の撮像伝送ユニットと、該撮像伝送ユニットが撮像し伝送した映像を受信し、受信した映像データを記録する、利用者に装着された映像記録装置と、入場口に設けられ該利用者の顔の画像を撮像する端末装置と、前記端末装置が撮像した前記顔の画像から前記利用者の身体的特徴を作成して前記利用者に貸し出す映像記録装置と関連付けしてデータテーブルに登録し、前記複数の撮像伝送ユニットおよび前記端末装置間をネットワーク回線を介して接続し、前記利用者の前記身体的特徴を前記カメラに送信する情報管理サーバとを備えた監視カメラシステムであって、前記カメラは、前記監視領域を撮像した映像および前記情報管理サーバからの前記利用者の前記身体的特徴から、映っている全ての人物の顔画像を抽出し、人物の特定を行い、前記映っている全ての人物のうち利用者と関係のない人の顔にモザイク処理を施すものである。
さらに上記発明の監視カメラシステムにおいて、前記情報管理サーバは、前記利用者と同一グループのメンバの身体的特徴を作成して前記利用者と共に前記データベースに登録し、かつ前記利用者の前記身体的特徴を前記カメラに送信し、前記カメラは、前記監視領域を撮像した映像および前記情報管理サーバからの前記利用者の前記身体的特徴から、映っている全ての人物の顔画像を抽出し、人物の特定を行い、前記映っている全ての人物のうち利用者および利用者と同一グループのメンバ以外の人の顔にモザイク処理を施すものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、監視カメラが撮像した監視対象移動体の映像を、当該監視対象移動体が装着している携帯型の映像記録装置に、連続して(時系列的に)記録することができる。この結果、監視対象移動体が撮像された映像が当該映像記録装置に保存されているため、記録監視対象移動体を検索する労力と時間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の監視システムの一実施例の運用形態を説明するための模式図である。
【図2】本発明の監視カメラシステムのカメラの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の監視カメラシステムの撮像伝送ユニットの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の監視カメラシステムの映像記録装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置に用いる管理テーブルの一実施例を示す図である。
【図7】本発明の監視カメラシステムの映像記録装置に用いる管理テーブルの一実施例を示す図である。
【図8A】本発明の監視カメラシステムのカメラの動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図8B】本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図8C】本発明の監視カメラシステムの映像記録装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の監視カメラシステムを用いたアミューズメント施設の一実施例を示す模式図である。
【図10】本発明の監視カメラシステムのカメラの一実施例の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の監視カメラシステムによって入場者の映像を提供するサービスの一実施例の処理動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の監視カメラシステムの実施例2の顔認識用のデータの作成手段を説明するための模式図である。
【図13】実施例2の監視カメラシステムのカメラが、ある監視領域を撮像した映像について、第三者のプライバシー保護を実行した映像を示す図である。
【図14】実施例2の監視カメラシステムのカメラの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の監視カメラシステムは、例えば、商店街や公園などの街頭や、駅などの公共施設に設置されている監視カメラや防犯カメラ(以下、監視カメラと称する)が撮像した映像を、無線伝送装置を介して監視対象移動体(例えば、子ども、被後見人に登録されている老人、あるいはペットなど)に携帯させた記録装置に伝送し、記録する。これにより、監視対象移動体ごとに系統的に記録可能なため、大きなデータ領域にばらばらに蓄積された複数の監視対象移動体の映像の中から、特定の監視対象移動体の映像を検索する必要が無く、特定の監視対象移動体の行動を簡単に把握できるようにしたものである。
【0012】
以下に本発明の一実施形態について、図面等を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避ける。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を、図1〜図5を用いながら説明する。
図1によって、まず、本発明の監視カメラシステムの一実施例について説明する。図1は、本発明の監視システムの一実施例の運用形態を説明するための模式図である。100は監視対象移動体、101は監視対象移動体100が装着している映像記録装置、102は監視視野範囲(監視領域)を撮像して撮像した映像データを出力するカメラ、103は無線伝送装置、104はネットワーク回線、105は監視拠点、110はカメラ102および無線伝送装置を取り付けたポール、111はカメラ102と無線伝送装置103を接続するLAN(Local Area Network)ケーブルまたは映像ケーブル、112は撮像伝送ユニットである。また、監視拠点105において、106はルータ、107は映像アーカイブ装置、108は情報管理サーバ、109はGPS(Global Positioning System)である。無線装置103は、例えば、無線LAN、Bluetooth3.0、Wireless USB、Wireless HD(IEEE802.15.3C)、あるいはWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、LTE(Long Term Evolution)、IMT−Advanced(第4世代移動通信システム)等のアクセスポイント(親局)あるいは微小基地局(フェムトセル)装置である。
【0014】
図1において、監視対象移動体100は、例えば、市街地の道路を歩いている。監視対象移動体100の腕には、映像記録装置101が装着されている。図1の実施例では、腕時計のように監視対象移動体100のベルト状の保持具に取り付けて装着するものとしているが、例えば、肩や腰にベルト状の保持具で装着したり、カード状またはディスク状の形態の映像記録装置として、バッグ等に収納したりするようにしても良い。
カメラ102と無線伝送装置103は、映像ケーブルまたはLANケーブル111で接続されている。カメラ102は、ネットワーク回線104を介して監視拠点105と接続されている。またカメラ102と無線伝送装置103は、一対になっており、図1の実施例では、道路脇に設置されたポール110毎にカメラ102と無線伝送装置103が設けられている。ここで、撮像伝送ユニット112は、ポール111に取り付けられたカメラ102、無線伝送装置103およびLANケーブル111を纏めて一組の撮像伝送ユニットを称したものである。
【0015】
カメラ102は、それぞれ、道路の所定の撮像視野範囲(監視領域)を撮像するように配置され、所定のフレームレートでその監視領域を撮像し、ネットワーク回線104を介して撮像した映像を圧縮し、映像データとして監視拠点105に適宜送信している。また、カメラ102は、撮像した映像を映像データとしてLANケーブル111を介して無線伝送装置103に送信している。
無線伝送装置103は、受信した映像を自装置内のバッファメモリ(後述する)に蓄積する。
なお、カメラ102が、アナログのカメラあるいはモニタ出力機能を備えたカメラであった場合には、撮像された映像データを、LANケーブル111ではなく映像ケーブルを介して、無線伝送装置103に伝送している。
【0016】
また、無線伝送装置103は、GPS109からの電波を用いて現在日時を取得する。
また、無線伝送装置103は、当該無線伝送装置の設置されている位置情報(例えば、緯度や経度情報)を記録している。なお、位置情報をGPS109から取得するようにしても良く、この場合には、カメラ102および無線伝送装置103の新設や移設に伴う位置情報の設定作業が不要となる。
無線伝送装置103は、映像データを日時情報、位置情報等のメタ情報と関連付けし、当該メタ情報を映像データと共に、監視対象移動体100が装着している映像記録装置101に伝送する。
【0017】
同様に、無線伝送装置における日時の取得に関しては、GPS109を用いて取得するものとしたが、FM(Frequency Modulation)放送や電波時計を用いる手段でも良い。また、図1に示したネットワーク等の伝送路104を介して接続されている場合には、ネットワーク上の時刻同期(NTP:Network Time Protocol)サーバを使用した手段であっても良い。
さらには、カメラ102の画角(監視領域)と、無線伝送装置103と映像記録装置101の通信エリアを略一致させるように無線伝送装置103の通信エリアを設定することによって、当該映像記録装置101が、他の無線伝送装置(換言すれば、他のカメラ)の映像データを受信することを未然に防止することができる。
【0018】
映像記録装置101は、少なくとも1フレーム分の映像データと対応するメタ情報とを受信し、受信した映像データおよびメタ情報を保存する。
なお、映像記録装置101に保存されたそれらのデータは、ネットワーク回線104あるいは携帯電話通信網(不図示)等を経由して外部へ取出すことも可能であり、記録部がSDメモリカード等のリムーバブルな記録媒体であっても良い。
【0019】
次に、監視拠点105は、ルータ106を介して、映像アーカイブ装置107や情報管理サーバ108が、ネットワーク回線104やインターネット(不図示)等へ接続された構成である。
映像アーカイブ装置107は、ZFS等のファイルシステムを用いたファイルサーバであり、カメラ102の映像データ等を長期間に渡って記録する。基本的には、本例の監視カメラシステムに属するカメラ102全ての映像を、映像記録装置101への保存の有無に関わらず、所定の品質で2週間以上記録する。
情報管理サーバ108は、基本的には映像アーカイブ装置107の映像データ等の管理(検索や廃棄等)を行うものであり、アプリケーションに対し保存、読出し、検索等を提供する。本例ではさらに、利用者毎に該利用者へのサービス種別を管理し、サービス種別に応じて、上記映像データ等の管理の様態(保存期間)を制御すると共に、Webサーバ機能により利用者(およびその関係者)へ記録映像および行動履歴のダウンロードやその内容の電子的証明等のサービスを提供する。
GPS109は、本発明の映像記録装置101および無線伝送装置103が、位置情報や日時情報を取得する際に使用することができる。
なお、本発明の監視カメラシステムにおいて、カメラがネットワーク回線104を介して監視拠点105に接続している。しかし、他の手段で接続していても良い。
【0020】
本発明の監視カメラシステムのカメラの一実施例を、図2によって説明する。図2は、本発明の監視カメラシステムのカメラの一実施例の構成を示すブロック図である。200はカメラ102の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)、201はカメラ102の各部を接続するデータバス、202はメモリ、203は撮像部、204は映像圧縮部、205は記録部、206は雲台制御部、207はネットワーク制御部、210は映像処理部である。
なお、雲台制御部206は、可動型の(パン、チルト、ズーム等の動作が可能な)カメラの場合に使用する。カメラ102が可動型でない場合には、構成から除外するものである。
【0021】
図2において、CPU200は、データバス201を介して接続されている各部(メモリ202、撮像部203、映像圧縮部204、記録部205、雲台制御部206、ネットワーク制御部207、映像出力部208、映像認識部209、および映像処理部210)を制御して、本発明の監視カメラシステムのカメラ102の機能を実現する。
メモリ202は、カメラ102のプログラムを格納し、CPU200は、当該プログラムをメモリ202から逐次読み出して実行する。
撮像部203は、監視領域を撮像して監視対象移動体100の映像を取得する。映像圧縮部204は、撮像部203で撮像した映像を圧縮処理する。なお、圧縮方式は、JPEG方式、MPEG方式等、任意で良い。
記録部205は、撮像部203が撮像した映像データを一定期間(所定のフレーム数)分、蓄積する。
映像出力部208は、映像圧縮部204で圧縮された映像データを、LANケーブル111を介して無線伝送装置103に出力する。
ネットワーク制御部207は、映像圧縮部204で圧縮された映像データを、ネットワーク回線104を介して監視拠点105に送信する。またあるいは、ネットワーク制御部207は、映像圧縮部204で圧縮された映像データを、ネットワーク回線104上にある映像アーカイブ装置107等に配信および蓄積する。映像認識部209や映像処理部210は、映像から動体検知、物体識別等の処理を行う。
【0022】
なお、この圧縮された映像データは、同時に、一定期間、記録部205に蓄積されるようにしても良い。記録部205に蓄積する場合には、スキップバック(映像配信の要求が来る前の所定期間に撮影した映像データを送信および蓄積する機能)用のデータ等として使用できる。
次に雲台制御部206は、可動型のカメラの場合には、監視対象移動体が移動する場合に、カメラが取り付けられた雲台(図示しない)のパン、チルト、ズーム、等の機能を制御することによって、当該移動体を追跡する。
なお、映像圧縮機能を持たないカメラの場合、あるいはモニタ出力機能を持つカメラの場合には、映像出力部208は、撮像部203が撮像した映像データを記録部205から映像ケーブルを介して無線伝送装置103に出力する(出力信号の形式は、NTSC方式、PAL方式等、任意である)。
【0023】
図3と図4によって、本発明の無線伝送装置の一実施例を説明する。図3は、本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置の一実施例の構成を示すブロック図である。また、図4は、本発明の監視カメラシステムの撮像伝送ユニットの一実施例の構成を示すブロック図である。300は無線伝送装置103の各部を制御するCPU、301は無線伝送装置103の各部を接続するデータバス、302はメモリ、303は映像圧縮部、304は日時情報受信部、305はメタ情報生成・管理部、306はバッファメモリ、307は映像受信部、308はネットワーク制御部、309はデータ受信部、310は暗号化部である。
【0024】
図3および図4において、CPU300は、データバス301を介して接続されている各部(メモリ302〜暗号化部310)を制御して、本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置103の機能を実現する。CPU300の主な処理はプロトコル変換(パケットヘッダの書き換え、等)である。
メモリ302は、無線伝送装置103のプログラムを格納し、CPU300は、当該プログラムをメモリ302から逐次読み出して実行する。
ネットワーク制御部308は、LANケーブル111を介してカメラ102から映像データを受信する。ネットワーク制御部308は、LANケーブル111およびカメラ103のネットワーク制御部207を介して、ネットワーク回線104と接続している。受信する際には、カメラ102との間でHTTP等のプロトコルに従って、映像データや物体検知結果の受け渡しを行う(図示しない)。
バッファメモリ306は、入力された映像データを蓄積する。
【0025】
一方、カメラ102が、従来のアナログのカメラあるいはモニタ出力機能を備えたカメラであった場合には、撮像された映像データを、映像ケーブル111を介して無線伝送装置103に送信している。この場合、監視対象移動体100を撮像した映像データは、映像出力部208を介して映像ケーブルを用いて無線伝送装置103の映像受信部307に入力される。映像圧縮部303は、入力された映像データを圧縮処理(圧縮方式は、例えば、JPEG方式、MPEG方式、等)し、同様にバッファメモリ306に蓄積する。
なお、本発明の実施の形態では、カメラ102からの映像データが、LANケーブル111や映像ケーブル111を用いて無線伝送装置103に入力されるとしたが、無線による伝送や、光ケーブルを使用する等、どの手段であっても良い。
【0026】
次に、図3において、日時情報受信部304は、GPS109からの電波を用いて現在日時を取得する。
また、メタ情報生成・管理部305は、当該無線伝送装置103の設置されている位置情報(緯度および経度度情報)を管理テーブル(図7)として保有・管理する。
なお、位置情報は、GPS109を用いて取得および配信するようにしても良い。
上記のようにして取得された現在日時および位置情報は、バッファメモリ306に記録される。
暗号化部310は、バッファメモリ306に記録された映像データ、およびメタ情報(日時情報や位置情報等)を暗号化したり、電子署名を付したりする。データ送受信部309は、暗号化されたデータを監視対象移動体100に装着されている映像記録装置101に伝送する。
【0027】
図5によって、本発明の映像記録装置の一実施例を説明する。図5は、本発明の監視カメラシステムの映像記録装置の一実施例の構成を示すブロック図である。500は映像記録装置101の各部を制御するCPU、501は映像記録装置101の各部を接続するデータバス、502はメモリ、503はGPS受信部、504は位置・日時情報解析部、505はメタ情報生成・管理部、506は大容量記録装置、507は無線通信部、508はネットワーク制御部である。
CPU500は、データバス501を介して接続されている各部(メモリ502、GPS受信部503、位置・日時情報解析部504、メタ情報生成・管理部505、大容量記録装置506、無線通信部507、およびネットワーク制御部508)を制御して、本発明の監視カメラシステムの映像記録装置101の機能を実現する。
また、メモリ502は、本発明の映像記録装置101のプログラムを格納し、CPU500は、当該プログラムをメモリ502から逐次読み出して実行する。
GSP受信部503は、GPS109から電波を受信し、位置・日時情報解析部504は、GSP受信部503が受信した電波から、位置情報および日時情報を取り出す。
【0028】
メタ情報生成・管理部505は、当該記録装置固有の情報(例えば、ID番号等)を保有および管理する。
無線通信部507は、無線伝送装置103との間の映像データ等のデータ伝送の制御を行う。
【0029】
次に、大容量記録装置506は、無線通信部507を経由して受信した映像データと、それに関連するメタ情報を記録する。メタ情報の内容については、図6および図7にその内容に一実施例を示す。図6は、本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置103に用いる管理テーブルの一実施例を示す図である。また図7は、本発明の監視カメラシステムの映像記録装置に用いる管理テーブルの一実施例を示す図である。600は監視対象移動体100のID(監視対象ID)、601は無線伝送装置103のID(無線機ID)、602は撮像日時情報、603は無線伝送装置103の位置情報、603は映像データの圧縮方式、604は映像ケーブルを介してカメラ102から無線伝送装置103に入力された映像信号形式である。また、700はファイル番号、701は映像の送信元の無線伝送装置103のID(無線機ID)、702は撮像日時情報、703は無線伝送装置103の位置情報であり、映像を受信する都度、追記される。
なお、それらのデータは、ネットワーク制御部508を介してネットワーク(LAN)で外部に取り出すようにしても良く、大容量記録装置506は、SDカード等のリムーバブルな記録媒体であっても良い。
【0030】
次に、図8A、図8B、および図8Cによって、本発明の監視カメラシステムの一実施例の動作について説明する。図8A〜図8Cは、カメラ102が監視領域を撮像し、撮像された映像データおよびメタ情報が監視対象移動体100に装着(携帯)されている映像記録装置101に伝送され、記録されるまでの動作手順を記載している。図8Aは、本発明の監視カメラシステムのカメラ102の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャート、図8Bは、本発明の監視カメラシステムの無線伝送装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャート、図8Cは、本発明の監視カメラシステムの映像記録装置の動作手順の一実施例を説明するためのフローチャートである。
【0031】
図8Aにおいて、カメラ102は、ステップ8001〜ステップ8004の動作を実行する。
ステップ8001では、起動中に所定の周期または所定のフレームレートで、監視領域(撮像視野範囲)の撮像を行う。
ステップ8002では、映像データを圧縮する機能を有するカメラか、圧縮しないタイプのカメラか、で手順が異なる。
例えばネットワーク型のカメラのように、映像を圧縮して送信するタイプのカメラの場合には、ステップ8003において、撮像と同時に撮像した映像データの圧縮処理を行ってからステップ8004の処理を実行する。
一方、アナログ型のカメラや、ネットワーク型のカメラであってもモニタ出力機能を使用する場合には、圧縮処理せず、そのままの映像信号で出力し、ステップ8004の処理を実行する。
【0032】
そして、このようにして、ステップ8004では、カメラ側での映像データ(1フレーム)が完成する。
以降、カメラ102は、撮像するフレーム毎または所定のフレーム毎に、この一連の動作を繰り返し、監視対象移動体100を撮像し、撮像した映像データを出力する。映像データは、図8Bの映像取得ステップ8035の処理動作で使用される(接続点C1)。
また、カメラ102および無線伝送装置103における圧縮方式は、当該圧縮方式の情報が、図6に示すテーブル情報として常に映像データと共に移動し、最終的に伸張(表示)できるようにすることで、JPEG方式やMPEG方式等、どのような圧縮方式でも用いることができる。
【0033】
次に図8Cにおいて、映像記録装置101は、ステップ8051〜ステップ8059の処理を実行する。
ステップ8051では、監視対象移動体100に携帯(装着)される形態で移動する。移動中に、映像記録装置は、不特定の無線伝送装置に向けて、接続要求信号を所定の周期で送信する。
監視対象移動体100と一緒に移動して行く中で、ステップ8052では、映像記録装置101が無線伝送装置102と通信可能か否かを判定している。無線伝送装置102と通信可能な位置に到達した場合には、ステップ8053の処理を実行し、到達していなければステップ8051の処理に戻る。なお、ステップ8052では、無線伝送装置から、接続要求信号に対する応答信号の有無を判定し、応答信号がある場合にステップ8053の処理を実行し、応答信号が無い場合にはステップ8051の処理に戻る。
ステップ8053では、無線伝送装置103に自映像記録装置101固有のIDを送信する。
ステップ8054では、無線伝送装置103との間で、ID情報により映像記録装置101(監視対象移動体100)の認証が行われ、認証が成功した場合には、ステップ8055の動作を実行し、認証に失敗した場合には、ステップ8051の処理に戻る。なお認証が成功した場合には、無線伝送装置103から、認証成功の通知信号が送信され、映像記録装置101がその通知信号を受信した時に認証成功と判定する。
認証に成功すると、ステップ8055では、映像データ等を伝送するためのコネクションを確立する。
【0034】
次にステップ8056では、GPS109を使用して位置情報および日時情報を取得する。
ステップ8057では、無線伝送装置103から、映像データおよびメタデータ(図6参照)を取得する(接続点C2)。
ステップ8058では、無線伝送装置103から取得した映像データおよびメタデータに、映像記録装置101で作成したメタデータ(図7参照)を付加して記録する。
なお、映像記録装置101で作成および付加するメタデータは、図7に示すように、映像ファイル(静止画像1枚あるいは、一連の動画像の場合がある)の識別番号700、通信した(映像情報等を受信した)無線伝送装置103のID番号701、映像情報等の取得日時702、位置情報703、等である。
これら、図6および図7のメタ情報を用いることで記録した映像情報の管理が行えるので、カメラ102が監視対象移動体100を含む監視領域を撮像した際の日時と位置情報を特定することができる。
【0035】
次に図8Bにおいて、無線伝送装置103は、ステップ8031〜ステップ8041の動作を実行する。
ステップ8031では、起動中に所定の周期で、映像記録装置102から接続要求信号の有無を確認する。ここで、接続要求信号は、映像記録装置102が図8Cのステップ8051の動作で監視対象移動体100が移動中にて送信される。接続要求信号があった場合には、応答信号を映像記録装置102に送信する。また接続要求信号がない場合には、ステップ8031の処理に戻る。
ステップ8032では、映像記録装置101からID信号を受信し、当該映像記録装置101のID番号(図8Cのステップ8053参照)を確認し、その認証を行う。認証をパスした場合には、当該映像記録装置101に認証成功の通知信号を送信し、ステップ8033の処理を実行する。また、認証ができなかった場合には、ステップ8031の処理に戻る。
【0036】
ステップ8033では、当該記録装置101との間で映像データ等の伝送のためのコネクションを確立する。
なお、図8Cのステップ8052の接続要求信号とステップ8053をID番号の送信の処理、図8Bのステップ8031の接続要求信号の有無の確認、ステップ8032のID番号の認証、およびステップ8033のコネクション確率の処理、並びに、図8Cのステップ8054の認証成功の確認とステップ8055のコネクションの確立の処理を、それぞれ同時に実行するようにしても良い。
【0037】
ステップ8034では、GPS109を利用して、現在の日時を取得する。なお、前述のように、例えば当該無線伝送装置103がネットワーク回線104に接続されている場合には、ネットワーク回線104上の時刻同期サーバ(NTPサーバ)、あるいはFM放送を利用しても良い。また他の手段として、電波時計等を利用する方法でも良い。
次にステップ8035では、カメラ102の映像を取得する(接続点C1)。
【0038】
ステップ8036では、カメラ102から受信した映像データが圧縮されたデータであるか、非圧縮されたデータであるかを判定する。圧縮されたデータである場合には、ステップ8038の処理を実行する。また、非圧縮されたデータである場合には、ステップ8037の処理を実行する。
ステップ8037では、受信した映像データの圧縮処理を行う。
即ち、映像記録装置101に送信する場合の伝送効率と記録時のデータ容量の縮減のため、カメラ102で映像データが圧縮されている場合には、そのまま使用し、非圧縮データがカメラ102から送信された場合には、圧縮処理を行う。
このようにして、ステップ8038では、映像記録装置101に伝送するためのファイルが作成される。なお、一般的に映像データは、そのデータ量や種々の特徴から、圧縮処理を行って運用することが多いが、圧縮処理を行うことが本発明の必須条件ではない。
【0039】
ステップ8039では、さらに、当該無線伝送装置103に関連するメタ情報を付加する。メタ情報の項目としては、図6に示すように。通信を行っている監視対象移動体100(映像記録装置101)固有のID600、自無線伝送装置のID番号602、現在の日時602、位置情報603、圧縮形式604、および映像信号の形式605である。
次に、ステップ8040では、このようにして作成した映像情報等送信データ(映像、および映像と関連するメタ情報)を、監視対象移動体100の映像記録装置101に送信する(接続点C2)。なお、この時、送信データに対して、暗号化部310の機能を用いて暗号化処理を行うことで、盗聴による情報漏洩に対応する。
ステップ8041では、監視対象移動体100(または映像記録装置101)が、当該無線伝送装置103の通信エリア内に存在している間は、この一連の動作を繰り返す。即ち、通信エリア内の場合にはステップ8034の処理に戻り、監視対象移動体100が通信エリア外に移動した場合には、ステップ8031の処理に戻る。なお、監視対象移動体100が通信エリア外に移動した場合には、データを伝送するためのコネクションを切断する。ステップ8042では、映像記録装置101へ映像伝送したことを監視拠点105へ報告する。具体的には、映像記録装置101のIDを含むメタ情報、伝送した映像を映像アーカイブ装置107で特定できるようにするための情報(映像ID)、映像に付与した電子署名等を情報管理サーバ108へ報告する。
【0040】
上述の図8A、図8Bおよび図8Cの処理動作と同様に、市中に設置されているカメラ(換言すると、無線伝送装置)と通信が可能になった場合には、監視対象移動体100が装着した映像記録装置に、当該映像データとそのメタ情報が随時記録されていく。
なお、上述の実施例1では、映像記録装置のID情報によって、データの伝送の可否を認証したが、例えば、「顔認証」等の画像認識の技術によって特定するようにしても良い。
【0041】
以上のような運用を行い、一定期間が経過すると、映像記録装置101には監視対象移動体100が撮影された時系列の映像データ等が記録されている。なお、本発明の監視システムでは、監視対象移動体を特定(認証)することが可能であるため、監視拠点105で蓄積される映像データは、例えば、利用者(監視対象移動体)別に蓄積可能である。この結果、当該データを監視拠点105からあるいは公衆網を通じて映像記録装置101に直接アクセスしダウンロードして確認することで、データベース内での当該監視対象移動体100の検索負荷を軽減し、その期間の行動を把握することが可能となる。
【0042】
最後に、音声データの記録について説明する。
音声データについては、カメラ102、あるいは無線伝送装置103にマイクを設置し、映像データと同様の経路で映像記録装置101に伝送することが考えられる。しかしながら、カメラ102あるいは無線伝送装置103の設置されている位置は、通常、被写体の位置からは離れており、監視対象移動体100が話している内容を収集することは困難である。
そこで、本発明の一実施例では、音声については、映像記録装置101で直接記録を行うようにする。なお、音声データのデータ量は、映像データに比べて非常に小さいため、映像データを記録する期間の間中つねに録音することが可能であり、日時あるいは場所のメタデータによる検索機能を実装することで、映像データとの関連付けを行うことが可能である。
【実施例2】
【0043】
次に、本発明の実施例2について、図9〜図14を用いて説明する。
実施例2では、本発明の監視カメラシステムをテーマパークのようなアミューズメント施設で使用する場合について説明する。
具体的には、図9に示すように、アミューズメント施設内に監視用の複数のカメラ102’を設置し、当該カメラ102’が撮像した入場者の映像を提供するサービスを実現するものである。例えば、提供される入場者の映像は、入場してから退場するまでの映像を所定の周期または所定のフレームレートで撮像される。
しかし、カメラ102’の映像そのままでは、入場者自身とは全く関係の無い第三者の姿も映像として映り込んでしまう可能性が高い。
近年、個人情報の取り扱いについては厳格な管理が要求されるようになり、これに伴って自身の姿が撮像され、さらに撮像された自身の映像を第三者が所有することに抵抗を覚えるケースも増えてきている。
そこで、実施例2では、実施例1の発明に加えて、プライバシーの保護を可能にした。
【0044】
図9は、本発明の監視カメラシステムを用いたアミューズメント施設の一実施例を示す模式図である。図9は、図1において、監視対象移動体100が市街地の道路を歩いているのに対し、監視対象移動体100がアミューズメント施設内を移動しているものである。また、監視対象移動体100、映像記録装置101、ネットワーク回線104、GPS109、LANケーブルまたは映像ケーブル111、および監視拠点105は図示していない。102’はカメラ、900はアミューズメント施設、901は池、902はアトラクション設備、903は通路、911は入場口、909はデータの引き渡し方向を示す矢印である。
【0045】
図9において、当該施設900の敷地内には、池901などの地形を利用して幾つかのアトラクション設備902が設けられている。また、これらのアトラクション設備902間は、通路903が設けられており、入場者(監視対象移動体)100は、当該通路903を通って、アトラクション設備902や池901などに移動する。
さらに、当該施設900内の各所には監視用のカメラ102’(または、本サービスを提供するための監視用途ではないカメラ)と無線伝送装置103とを対にして複数設置する。なおこれらのカメラは、通路903はもちろんアミューズメント施設900のアトラクション設備902内や休憩施設等、入場者が移動する領域(監視領域)をくまなく撮像できるような位置に設置する。
【0046】
なお、図10は、本発明の監視カメラシステムのカメラの一実施例の構成を示すブロック図である。図2と異なることは、さらに、データバス201に映像処理部1010と映像認識部1009を追加している構成としたことである。また、実施例2に使用する無線伝送装置および映像記録装置の構成は、図3〜図5の構成と同様であり、カメラ、無線伝送装置および映像記録装置間の通信の内容についても、基本的に図8A、図8Bおよび図8Cと同様である。実施例2では、実施例1と異なる部分について、特に説明している。
図10において、CPU200は、データバス201を介して接続されている各部(メモリ202、撮像部203、映像圧縮部204、記録部205、雲台制御部206、ネットワーク制御部207、映像出力部1008、映像認識部1009、および映像処理部210)を制御して、本発明の監視カメラシステムのカメラ102’の機能を実現する。
なお、映像認識部1009、および映像処理部1010についての説明は、後述する。
【0047】
以下、本サービスを利用する際の処理動作手順を説明する。図11は、本発明の監視カメラシステムによって入場者の映像を提供するサービスの一実施例の処理動作手順を説明するためのフローチャートである。また図12は、本発明の監視カメラシステムの実施例2の顔認識用のデータを作成する手段を説明するための模式図である。図12(a)は、カメラによる撮像を説明する図であり、図12(b)は、撮像した映像から利用者の身体的特徴のデータであり、図12(c)は、情報管理サーバ108に保存された入場者データテーブルである。
なお、図11のステップ1101〜ステップ1103の処理は、情報管理サーバ108が実行する。
【0048】
ステップ1100では、入場者が、入場口911を通って入場する。
ステップ1101では、利用者が本サービスの提供を申し込むか否かを判定する。申し込まない場合には、図11の処理を終了する。サービスの提供を申し込まれた場合には、ステップ1102の処理を実行する(以降、このサービスを提供される入場者を利用者と称する)。
【0049】
ステップ1102では、まず始めに顔認識用のデータを作成する。
図12に示すように、利用者100の様々な角度の顔の画像をカメラ1200で撮像する。カメラ1200は、例えば、入場口911を監視領域とする図9で説明した監視用のカメラ102’で兼用しても良い。図9と同様に、カメラ1200と対となった無線伝送装置(図示しない)が接続され、無線伝送装置から撮像した映像データ(映像データ1201)が利用者100の装着された映像記録装置101に送信され、記録される。
そして、情報管理サーバ108は、周知の画像処理技術を用いて、それぞれの顔の向きにおける身体的特徴(例えば、目の間隔,鼻の高さ、口の大きさ等)を計測し、数値化する。数値化されたデータの一実施例を図12(b)にデータ1202として示す。
【0050】
ステップ1103では、これらのデータ1202を当該利用者100に実際に貸し出す映像記録装置101と対応付けて、情報管理サーバ108に登録する。当該利用者100は、貸し出された映像記録装置101を装着し、アミューズメント施設900内を移動する。
【0051】
さらに、映像記録装置101を持ち歩いている(装着して、移動している)利用者100の顔の識別情報を、実施例2の監視カメラシステムに登録する。ここで、利用者が複数で構成されたグループ(例えば、家族、同伴者等)のメンバである場合には、グループのメンバである各利用者に貸し出した映像記録装置の端末番号を関連付けて登録することができる(入場者データテーブル1203参照。)。
なお、これらの情報は、アミューズメント施設900内に設置された監視用のカメラ102’にも配信される。
以上の手続きが完了した時点で、映像記録装置101は、利用者に貸し出され、利用者100が通路903等、アミューズメント施設900内を移動すると、各所に設置されたカメラ102’で撮像されることになる。
【0052】
次に、図11のステップ1104〜ステップ1106によって、監視用のカメラ102’の処理動作について説明する。
まず始めに、カメラ102’は、本発明の実施例2のサービスの機能を実現するために、実施例1で説明した機能に加えて、図10に示すように、映像認識部1009および映像処理部1010を設けた。
ステップ1104では、カメラ102’は、実施例1の図8Aのステップ8001と同様に、常に所定のフレームレートで監視領域を撮像している。
ステップ1105では、撮像された映像は、メタ情報と共に無線伝送装置を介して当該監視領域圏内に存在する利用者100が装着する映像記録装置101に伝送され記録される。
ステップ1106では、利用者100が引き続きアミューズメント施設900内にいるかまたは退場するかを判定する。引き続きアミューズメント施設900内にいる場合には、ステップ1104の処理に戻る。また、利用者100がアミューズメント施設900を退場する場合にはステップ1107の処理に移動する。
ステップ1107では、利用者100は、入場口911または出口等の所定の端末または受付に、借りた記録装置101を返却する。
このとき、ステップ1108では、返却された当該映像記録装置101のデータをコピーし、利用者に、コピーしたリムーバルな記録媒体を引き渡す。この結果、利用者100に、アミューズメント施設900に入場中の映像を提供することができる。
【0053】
なお、上記提供された映像データには、利用者またはその利用者を含むグループの人物以外の人物が撮像されていることがある。それらの人物、即ち、第三者のプライバシーを保護する必要がある。
図13と図14によって、上記第三者のプライバシーを保護するための、本発明の監視カメラシステムのカメラの動作の一実施例を説明する。図13は、実施例2の監視カメラシステムのカメラが、ある監視領域を撮像した映像について、第三者のプライバシー保護を実行した映像を示す図である。また図14は、実施例2の監視カメラシステムのカメラの処理動作の一実施例を説明するためのフローチャートである。1300はある監視領域を撮像した映像である。映像1300において、1301は利用者100の顔部分、1302は利用者100と同じグループの人物、1303〜1307は利用者ではない人物、1308は利用者1302の顔部分、1309は人物1303の顔部分、1310は人物1304の顔部分、1311は人物1305の顔部分、1312は人物1306の顔部分、1313は人物1307の顔部分である。
【0054】
ステップ8001では、カメラ102’は、常に所定のフレームレートで監視領域を撮像しており、図13の映像1301のような映像が撮像される。
ステップ1401では、ここでカメラ102’に対して、映像記録装置103から映像配信の要求がある(つまり、カメラ102’の撮影範囲(監視領域)に入場者がいる場合)か否かを判定する。映像配信の要求がある場合にはステップ1402以降の処理を実行し、要求が無い場合にはステップ8001に戻る。
ステップ1402〜ステップ1405では、カメラ102’が撮像した当該映像1300に対して、映像認識部1009(図10参照)に写っている全ての人物(人物100および1302〜1307)の顔(顔部分1301および1308〜1313)を全数抽出し、全ての人物の特定を行う。
【0055】
例えば、ステップ1402では、当該映像から全ての顔画像の抽出および人物の特定(入場者の特定)が終わったか否かを判定し、全ての人物について顔画像の抽出と人物の特定が終わった場合にはステップ1405の処理を実行する。また、全ての人物について顔の抽出と人物の特定が終わっていない場合には、ステップ1403の処理に進む。
ステップ1403では、映像1300から、順に1人ひとりの人物の顔の画像を抽出する。
ステップ1404では、抽出した顔の画像から入場者を特定する。即ち、映像認識部1109では、図12で説明したように作成した各人の身体的特徴のデータ1202を用いて、映っている人物の特定を行う。
ステップ1405では、ステップ1402〜1404の処理で特定された人物に対して、関係情報のチェックを行う。関係情報とは、上述の入場手続き時に設定した同一グループのメンバの情報である。
以上の一連の処理を行うことで、ある映像に映っている人とその関係を特定することができる。
【0056】
例えば、図13の映像1300を例にとって説明する。まず、ステップ1405の処理が終わった時点で、以下の(1)〜(3)と特定されている。
(1)当該映像1300を伝送する先は、中央の利用者100の持っている映像記録装置101である。
(2)当該利用者100と隣の人物1302は、同一グループのメンバである。
(3)その他の人物1303〜1307は、利用者100とは関係の無い人たちである。
【0057】
次に、ステップ1406〜1410では、カメラ102’の映像処理部1010は、当該映像1300の配信先である利用者100と、そのグループのメンバである人物1302以外の人の顔にモザイク処理を行う(顔画像1309〜1313)。勿論、画像の配信対象(利用者100)が1人で来場している場合には、当該人物以外の顔にモザイク処理を施す。
このようにして作成された配信用の映像は、映像記録装置101に伝送するために、無線伝送装置103に出力される。
以上の処理が繰り返され、映像記録装置101に映像データが記録されていく。
なお、利用者100が移動し、携帯している映像記録装置101が無線伝送装置103との間で認証を繰り返しながら当該カメラ102’の映像を記録する一連の動作は、前述の実施例1の説明した内容と同様である。
【0058】
即ち、ステップ1406では、抽出された利用者以外の全ての人物に対して、モザイク処理が終わったか否かを判定する。終わった場合には図14の処理を終了する。また終わっていなければステップ1407の処理を実行する。
ステップ1407では、利用者に同伴者がいるか否かを判定する。同伴者がいない場合には、ステップ1408の処理を実行し、同伴者がいれば、ステップ1409の処理を実行する。
ステップ1408では、利用者には同伴者等のグループのメンバがいないので、他の全ての人物の顔部分にモザイク処理を施す。
ステップ1409では、利用者には同伴者等のグループのメンバがいるので、利用者および同伴者等のグループのメンバではない人物の顔部分にモザイク処理を施す。
【0059】
ステップ1410では、カメラ102’が撮像した映像1300について、利用者100以外の全ての人物に対してのモザイク処理が終わった映像データを、当該カメラ102’の無線伝送装置103を介して、利用者100の装着した映像記録装置101に伝送する。
上記ステップ8001、1401〜1410の処理が繰り返されて、カメラ102’が自カメラの監視領域を撮像した映像について、利用者100および利用者100のグループのメンバ以外の人物についてモザイク処理を施し、モザイク処理後の映像データを自カメラに接続された無線伝送装置103を介して、当該無線伝送装置103の通信エリア内の当該利用者100の装着する映像記録装置に送信し、記録させることによって、映像記録装置101に、装着した利用者100の映像データが蓄積される。
なお、モザイク処理される前の映像データは、実施例1と同様に、ネットワーク回線104等の伝送手段によって、監視拠点105に伝送され、監視拠点105にそれらの映像データが蓄積される。監視拠点105に蓄積される映像データは、利用者別に蓄積される。
【0060】
上述のように実施例2によれば、提供する映像データは自分自身およびそのグループのメンバの顔のみが写った状態であるので、第三者のプライバシーの保護を実現することができる。
なお、上述の実施例2では、人物の認証を顔認識技術によって行うものとしたが、服装などを用いて判別するなどの別の画像処理技術を利用したり、あるいは顔認識技術との組合せや、記録装置の位置を測定するなどの方法を利用したりしても良い。
さらに、映像データを伝送する先の人物の判別精度を向上させるために、対象者の足取りをトレースし、各カメラ間で共有するようにしても良い。
また、上記実施例2では、入場口が1つであり、出口も兼ねている。しかし、複数の入場口がある場合でも良い。また、少なくとも1つ以上の出口があっても良い。その場合、監視拠点(即ち、本サービスを実行する主設備)を入場口や出口の1つにおいても良いが、別の場所(アミューズメント施設900内とは限らない)に設置し、ネットワーク回線で入場口や出口にそれぞれ入出力装置を備えるようにしても良い。
【0061】
以上のように、実施例1や実施例2によれば、カメラで撮像された映像は、監視対象移動体が装着している携帯型の映像記録装置に、連続して(時系列的に)記録されるので、監視対象移動体を検索する労力が軽減される。
さらには、認証機能によりデータの送信先は監視対象移動体に装備した記録装置に限定されるので、個人情報の保護も可能である。
【0062】
また、既存のカメラに対しても、実施例1や実施例2の無線伝送装置を接続することで、既存のカメラの映像を伝送および記録することが可能になる。例えば、本発明の映像記録装置を装着した監視対象移動体が、複数の監視カメラシステムの監視領域にわたって移動した場合に、これまで、各監視カメラシステムに分散して記録されていたデータについても、同一の映像記録装置に記録することができる。この結果、これまで、各監視カメラシステムに分散して記録されていたデータを、まとめて保持することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
100:監視対象移動体、 101:映像記録装置、 102、102’:カメラ、 103:無線伝送装置、 104:ネットワーク回線、 105:監視拠点、 106:ルータ、 107:映像アーカイブ装置、 108:情報管理サーバ、 109:GPS、 110:ポール、 111:LANケーブルまたは映像ケーブル、 112:撮像伝送ユニット、 200:CPU、 201:データバス、 202:メモリ、 203:撮像部、 204:映像圧縮部、 205:記録部、 206:雲台制御部、 207:ネットワーク制御部、 210:映像処理部、 300:CPU、 301:データバス、 302:メモリ、 303:映像圧縮部、 304:日時情報受信部、 305:メタ情報生成・管理部、 306:バッファメモリ、 307:映像受信部、 308:ネットワーク制御部、 309:データ受信部、 310:暗号化部、 500:CPU、 501:データバス、 502:メモリ、 503:GPS受信部、 504:位置・日時情報解析部、 505:メタ情報生成・管理部、 506:大容量記録装置、 507:無線通信部、 508:ネットワーク制御部、 600:監視対象ID、 601:無線機ID、 602:撮像日時情報、 603:位置情報、 603:圧縮方式、 604:映像信号形式、 700:ファイル番号、 701:無線機ID、 702:撮像日時情報、 703:位置情報、 900:アミューズメント施設、 901:池、 902:アトラクション設備、 903:通路、 909:データの引き渡し方向を示す矢印、 911:入場口、 1008:映像出力部、 1009:映像認識部、 1200:カメラ、 1201:映像データ、 1202データ、 1203:入場者データテーブル、 1300:映像、 1301:利用者の顔部分、 1302:利用者、 1303〜1307:利用者ではない人物、 1308:利用者の顔部分、 1309〜1313:利用者ではない人物の顔部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域内を撮像するカメラと、該カメラが撮像した映像に、少なくとも位置情報および日時情報を含むメタ情報を付加した映像データを伝送する無線伝送装置と、前記映像データを受信し、受信した映像データを記録する、監視対象の移動体に装着された映像記録装置とを備えたことを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
施設内に配設され、それぞれ、監視領域内を撮像するカメラと、該カメラが撮像した映像にメタ情報を付加した映像データを伝送する無線伝送装置とを有する複数の撮像伝送ユニットと、該撮像伝送ユニットが撮像し伝送した映像を受信し、受信した映像データを記録する、利用者に装着された映像記録装置と、入場口に設けられ該利用者の顔の画像を撮像する端末装置と、前記端末装置が撮像した前記顔の画像から前記利用者の身体的特徴を作成して前記利用者に貸し出す映像記録装置と関連付けしてデータテーブルに登録し、前記複数の撮像伝送ユニットおよび前記端末装置間とネットワーク回線を介して接続し、前記利用者の前記身体的特徴を前記カメラに送信する情報管理サーバとを備えた監視カメラシステムであって、
前記カメラは、前記監視領域を撮像した映像および前記情報管理サーバからの前記利用者の前記身体的特徴から、映っている全ての人物の顔画像を抽出し、人物の特定を行い、前記映っている全ての人物のうち利用者と関係のない人の顔にモザイク処理を施すことを特徴とする監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−186674(P2012−186674A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48578(P2011−48578)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】