説明

監視カメラシステム

【課題】監視員の負担を軽減し、かつ、不審者の追尾に集中することのできる監視カメラシステムを得る。
【解決手段】監視画像表示手段11は、複数台の監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3のうち、選択された監視カメラの監視画像を監視モニタ2に表示する。カメラ位置重畳表示手段12は、複数台の監視カメラの設置位置を含む監視対象とするエリアの地図を監視画像に重畳表示する。重畳表示された地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合、監視画像表示手段11は、選択された監視カメラの監視画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリア内に複数台配置された監視カメラのうち、いずれかの監視カメラの画像を監視モニタ上に表示する監視カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数台の監視カメラを用いて不審者を検出するための監視カメラシステムが用いられている。このような監視カメラシステムにおいて、監視員は、監視モニタに不審者を検出した場合、不審者の挙動を追尾する為、その不審者が監視モニタの範囲外に移動した場合、移動先の画像を撮像しているカメラに切り替えて追尾を行っている。そのため、従来では、監視員は、予め監視エリア内に配置された複数台の監視カメラに対して各カメラ毎の視野(監視範囲)を記憶しておく必要があった。また、監視員のそのような負荷を軽減する為、監視エリア内の監視カメラの配置図を用いて視覚的にカメラを選択できるようなシステムも考えられているが、この場合、カメラを選択するために一瞬、監視モニタから視線を外さなければならなかった。
【0003】
また、例えば特許文献1に示されるように、監視カメラで取得した映像に対して、無停電電源装置の電力供給時間を重畳表示するようにした監視カメラシステムがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−213047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、監視員は、予め監視エリア内に配置された複数台の監視カメラに対して各カメラ毎の視野(監視範囲)を記憶しておく必要があり、監視員への負担が大きいという問題があった。また、監視カメラの配置図を用いて視覚的にカメラを選択できるようにした場合でも、監視モニタ上に表示させる画像を切り替える為に、一瞬、監視モニタから視線を外す必要があり、不審者の追尾に集中することが出来なかった。さらに、このような問題を解決するためには、監視カメラの画像に対して複数台のカメラの位置等を重畳表示させることが考えられるが、従来では、監視カメラシステムとして、無停電電源装置の電力供給時間を重畳表示するといったことしかなされていなかった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、監視員の負担を軽減し、かつ、不審者の追尾に集中することのできる監視カメラシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る監視カメラシステムは、監視対象とするエリアに設けられた複数台の監視カメラのうち、いずれかの監視カメラの画像を表示する監視カメラシステムにおいて、複数台の監視カメラのうち、選択された監視カメラの監視画像を表示する監視画像表示手段と、複数台の監視カメラの設置位置を含む監視対象とするエリアの地図を監視画像表示手段で表示された画像に重畳表示するカメラ位置重畳表示手段とを備え、カメラ位置重畳表示手段で表示された地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合、監視画像表示手段に対して、監視カメラが選択されたことを通知するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の監視カメラシステムは、複数台の監視カメラの設置位置を含む監視対象とするエリアの地図を監視画像に重畳表示し、地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合は、その監視カメラの画像を表示するようにしたので、監視員の負担を軽減することができると共に、監視員は不審者の追尾に集中することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による監視カメラシステムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による監視カメラシステムの重畳表示する半透明な地図を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1による監視カメラシステムの監視カメラ画像と半透明な地図とを重畳表示したモニタ画像を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2による監視カメラシステムの監視カメラ画像と半透明な地図とを重畳表示したモニタ画像を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2による監視カメラシステムの他の監視カメラを選択した場合のモニタ画像を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による監視カメラシステムのさらに他の監視カメラを選択した場合のモニタ画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による監視カメラシステムを示す構成図である。
図1に示す監視カメラシステムは、監視エリア100aに設けられた複数の監視カメラ1a−1,1a−2と、監視エリア100bに設けられた複数の監視カメラ1b−1,1b−2,1b−3と、監視室200に設けられた監視モニタ2、入力装置3、制御装置4とからなる。
【0011】
監視エリア100a,100bは、それぞれ異なる監視エリアであり、監視カメラ1a−1,1a−2と監視カメラ1b−1〜1b−3によって、その監視エリア内の撮像を行う。監視モニタ2は、複数の監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3のうち、いずれかの監視カメラの監視画像と監視エリアの地図(フロア見取り図等)を重畳表示するためのモニタである。入力装置3は、監視員等が操作するためのキーボードやマウスといったユーザインタフェースである。制御装置4は、入力装置3からの指示に応じて監視モニタ2への画像の制御を行う装置であり、監視画像表示手段11、カメラ位置重畳表示手段12を備えている。
【0012】
監視画像表示手段11は、いずれかの監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3の画像を表示するための手段である。カメラ位置重畳表示手段12は、監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3の設置位置を含む監視エリアの地図を監視画像表示手段11で表示された画像に重畳表示し、重畳表示した地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合は、監視画像表示手段11に対して、監視カメラが選択されたことを通知する手段である。尚、制御装置4はコンピュータを用いて実現され、監視画像表示手段11〜カメラ位置重畳表示手段12は、それぞれの機能に対応したソフトウェアとこれを実行するためのCPUやメモリといったハードウェアで構成されるか、専用のハードウェアで構成されている。また、制御装置4は、監視モニタ2や入力装置3と共に、監視室200に設けられるとしたが、これら監視モニタ2や入力装置3と通信接続されていれば、別の場所に設けられていてもよい。
【0013】
次に、監視カメラの監視画像と監視エリアの地図の重畳表示について説明する。
カメラアイコンを配置した半透明な地図(フロア見取り図等)の登録は、監視エリア100a,100b内に監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3を配置する時点で登録しておく。図2では、カメラアイコン21a,21b,21cを配置した半透明な地図20(フロア見取り図等)の一例を示している。尚、これらカメラアイコン21a,21b,21cは、図1におけるいずれかの監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3の位置を示している。
【0014】
図3では、監視モニタ2に画面表示されるモニタ画像30として、監視カメラ画像40と、図2で示した地図20との重畳表示した例を示している。監視カメラ画像40は、カメラアイコン21aに対応した監視カメラで撮像した画像であり、室内に不審者41が存在している状態を示している。
【0015】
監視員は、入力装置3を用いて、モニタ画像30上に重畳された地図20上のカメラアイコン21aを選択することで監視モニタ2に表示する監視カメラ画像40を選択する。この時、選択中のカメラアイコンはマーキングされる(図3では太線枠で表示されているが、選択中であることを視認できればどのような表示であってもよい)。すなわち、監視員によって選択された位置がカメラアイコン21aの位置であった場合、カメラ位置重畳表示手段12は、そのカメラ位置情報に基づいて、選択された監視カメラの情報を監視画像表示手段11に通知する。これにより監視画像表示手段11は、その監視カメラの画像を選択して表示する。
【0016】
監視員は、モニタ画像30上に不審者41を検出すると、重畳表示されている地図20のカメラアイコン21aの位置から不審者41の所在を確認し、監視モニタ2上に表示されたモニタ画像30から視点をずらすことなく、不審者41の追尾を行うことができる。
【0017】
この時、監視モニタ2上に映し出された不審者41の移動方向と監視モニタ2上に重畳表示された半透明な地図20から不審者41が次に映し出される監視カメラのカメラアイコンを選択することで監視カメラ画像40を切り替えることが出来る。
【0018】
このように、実施の形態1の監視カメラシステムによれば、従来のように、監視員が、監視エリア100a,100b内に配置された各監視カメラ1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3の視野を記憶する必要がなく、また、監視モニタ2を見ながら表示画像の切替が行え、従来のように監視モニタ2から視線を外す必要がなく、監視員は不審者の追尾に集中することができる。
【0019】
以上説明したように、実施の形態1の監視カメラシステムによれば、監視対象とするエリアに設けられた複数台の監視カメラのうち、いずれかの監視カメラの画像を表示する監視カメラシステムにおいて、複数台の監視カメラのうち、選択された監視カメラの監視画像を表示する監視画像表示手段と、複数台の監視カメラの設置位置を含む監視対象とするエリアの地図を監視画像表示手段で表示された画像に重畳表示するカメラ位置重畳表示手段とを備え、カメラ位置重畳表示手段で表示された地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合、監視画像表示手段に対して、監視カメラが選択されたことを通知するようにしたので、監視員の負担を軽減することができ、かつ、不審者の追尾に集中することができる。
【0020】
実施の形態2.
実施の形態2の監視カメラシステムは、選択された監視カメラの軌跡を含めて地図を重畳するようにしたものであり、図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1を用いて説明する。実施の形態2のカメラ位置重畳表示手段12は、監視カメラの選択履歴を記憶し、カメラアイコンの選択の軌跡を含めて不透明の地図を重畳表示するようにしたものである。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0021】
監視員は、不審者41を検出した場合、実施の形態1で示したようにモニタ画像30上に重畳表示された半透明な地図20上のカメラアイコン21a〜21cを選択することで不審者41を追尾する。実施の形態2では、モニタ画像30上に重畳表示された半透明な地図20上のカメラアイコン21a〜21cを監視員の選択順に線で結ぶことで不審者41の行動(軌跡)を半透明な地図20上に示す。図4は、監視エリア内に3台の監視カメラが設置されている例であり、それぞれの監視カメラに対応した位置にカメラアイコン21a〜21cが表示されている。尚、以下、カメラアイコン21a〜21cの監視カメラは監視カメラA〜Cであるとする。今、図4に示す状態は、カメラアイコン21aの監視カメラAが選択され、その監視カメラAによる不審者41を含む監視画像が表示され、監視員による監視が行われているものである。
【0022】
次に、監視員は、不審者41が監視カメラAのエリアから監視カメラBのエリアに移動したと判断した場合、監視カメラBのカメラアイコン21bを選択する。図5は、この状態を示している。ここで、選択中の監視カメラが監視カメラAから監視カメラBに移動した為、図5に示すように監視モニタ2上に配置された半透明な地図20上に軌跡22を残す。その後、不審者41が監視カメラCの方向に移動すると、監視員は、半透明な地図20上の監視カメラCを選択するため軌跡22は図6に示すようになる。
【0023】
このように、実施の形態2では、監視員の監視カメラの選択順を記憶し、半透明な地図20上にその軌跡22を表示することで不審者の行動を記録することが出来る。また、この軌跡22の情報(監視カメラを選択している時間及び監視カメラの選択順)を元に記録された画像を再生することで監視員の不審者検知時の操作を再現することができる。
【0024】
実施の形態1では、監視員が監視画像から視点をずらすことなく監視に集中することができたが、記録された画像を再生し、検証する場合、監視員の事故発生当時の記憶が必要となる。これに対して、実施の形態2では、事故発生当時の監視員の操作を記憶している為、容易に記録画像の再生ができ、監視員の操作性がさらに向上する。
【0025】
以上説明したように、実施の形態2の監視カメラシステムによれば、カメラ位置重畳表示手段は、複数回異なる監視カメラの選択が行われた場合、選択された監視カメラの軌跡を含めて地図を重畳するようにしたので、監視者は、不審者の行動といった監視内容を容易に把握することができる。
【0026】
尚、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1a−1,1a−2,1b−1〜1b−3 監視カメラ、2 監視モニタ、3 入力装置、4 制御装置、11 監視画像表示手段、12 カメラ位置重畳表示手段、100a,100b 監視エリア、200 監視室。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象とするエリアに設けられた複数台の監視カメラのうち、いずれかの監視カメラの画像を表示する監視カメラシステムにおいて、
前記複数台の監視カメラのうち、選択された監視カメラの監視画像を表示する監視画像表示手段と、
前記複数台の監視カメラの設置位置を含む前記監視対象とするエリアの地図を前記監視画像表示手段で表示された画像に重畳表示するカメラ位置重畳表示手段とを備え、
前記カメラ位置重畳表示手段で表示された地図上でいずれかの監視カメラが選択された場合、前記監視画像表示手段に対して、監視カメラが選択されたことを通知することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
カメラ位置重畳表示手段は、複数回異なる監視カメラの選択が行われた場合、選択された監視カメラの軌跡を含めて地図を重畳することを特徴とする請求項1記載の監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−21595(P2013−21595A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154726(P2011−154726)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】