説明

監視カメラ

【構成】イメージセンサ14は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する。パン回転機構32および/またはチルト回転機構34は、メインCPU30から発行されたパン/チルト回転指示またはパン/チルト停止指示に従って、撮像面の向きを変更する。撮像面の方向を示すパン/チルト角情報は、メインCPU30からカメラCPU28に転送される。パン/チルト情報を転送する処理は、周期的に実行されるとともに、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行される指示の内容に変化が生じたときに実行される。カメラCPU28は、イメージセンサ14から出力された被写界像に、メインCPU30からのパン/チルト角情報を参照したマスク処理を施す。
【効果】マスク処理の精度を維持しつつ、マスク処理に要する負荷を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラに関し、特にたとえばドーム型の監視カメラに適用され、監視ゾーンに配置された保護対象物を表す物体像にマスク処理を施す、監視カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、PTZ操作に応答して画面が移動すると、画面の移動量が算出される。移動後の画面に現れるマスキングエリアの座標は、算出された移動量に基づいて算出される。画像データに対するマスキング処理は、算出されたマスキングエリアの座標を参照して実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−304122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術では、マスキングエリアの座標の算出周期は、画面の移動量の算出周期に依存する。したがって、画面の移動量の算出周期を延長すると、画面の移動に対するマスキングエリアの追従性が低下する。一方、画面の移動量の算出周期を短縮すると、マスキング処理に要する負荷が増大する。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、マスク処理の精度を維持しつつ、マスク処理に要する負荷を低減することができる、監視カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う監視カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段(14)、変更指示に従って撮像面の向きを変更する変更手段(32, 34)、撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成手段(S33)、撮像手段から出力された被写界像に作成手段によって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理手段(S41~S45, S61~S67)、周期的に作成手段を起動する第1起動手段(S31)、および変更指示の内容に変化が生じたとき作成手段を起動する第2起動手段(S29)を備える。
【0007】
好ましくは、変更指示は変更方向および変更速度をパラメータとして含み、第2起動手段は変更方向および変更速度の少なくとも1つが変化したとき起動処理を実行する。
【0008】
好ましくは、処理手段は、方向情報によって示される撮像面の方向の変更履歴を参照して現時点の撮像面の方向を予測する予測手段(S45, S61)、および予測手段によって予測された方向に特定物体が存在するとき被写界像に現れた特定物体像をマスクするマスク手段(S65~S67)を含む。
【0009】
ある局面では、処理手段は作成手段によって方向情報が作成された時刻を検出する検出手段(S43)をさらに含み、予測手段は検出手段によって検出された時刻を参照して予測処理を実行する。
【0010】
他の局面では、マスク手段は予測手段によって予測された方向と現時点のズーム倍率とを参照して特定物体の有無を判別する判別手段(S65)を含む。
【0011】
この発明に従う撮像制御プログラムは、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段(14)と変更指示に従って撮像面の向きを変更する変更手段(32, 34)とを備える監視カメラ(10)のプロセッサ(28, 30)に、撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成ステップ(S33)、撮像手段から出力された被写界像に作成ステップによって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理ステップ(S41~S45, S61~S67)、周期的に作成ステップを起動する第1起動ステップ(S31)、および変更指示の内容に変化が生じたとき作成ステップを起動する第2起動ステップ(S29)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0012】
この発明に従う撮像制御方法は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段(14)と変更指示に従って撮像面の向きを変更する変更手段(32, 34)とを備える監視カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成ステップ(S33)、撮像手段から出力された被写界像に作成ステップによって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理ステップ(S41~S45, S61~S67)、周期的に作成ステップを起動する第1起動ステップ(S31)、および変更指示の内容に変化が生じたとき作成ステップを起動する第2起動ステップ(S29)を備える。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、方向情報は、周期的に作成されるだけでなく、変更指示の内容に変化が生じたときにも作成される。こうして作成される方向情報を参照してマスク処理を実行することで、マスク処理の精度を維持しつつ、マスク処理に要する負荷を低減することができる。
【0014】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例に適用される監視カメラの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】この発明の一実施例に適用されるコントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】(A)はパン回転動作の一部を示す図解図であり、(B)はチルト回転動作の一部を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用されるテーブルの構成の一例を示す図解図である。
【図6】(A)はフレームの予測動作の一例を示す図解図であり、(B)はフレームの予測動作の他の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は撮像面のパン/チルト動作の一例を示す図解図であり、(B)はマスク処理を施された被写界像の一例を示す図解図であり、(C)はマスク処理を施された被写界像の他の一例を示す図解図である。
【図8】図3実施例に適用されるコントローラCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるメインCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるカメラCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるカメラCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図12】図2実施例に適用されるカメラCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0017】
図1を参照して、この発明の監視カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する。変更手段2は、変更指示に従って撮像面の向きを変更する。作成手段3は、撮像面の方向を示す方向情報を作成する。処理手段4は、撮像手段から出力された被写界像に作成手段によって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す。第1起動手段5は、周期的に作成手段を起動する。第2起動手段6は、変更指示の内容に変化が生じたとき、作成手段を起動する。
【0018】
したがって、方向情報は、周期的に作成されるだけでなく、変更指示の内容に変化が生じたときにも作成される。こうして作成される方向情報を参照してマスク処理を実行することで、マスク処理の精度を維持しつつ、マスク処理に要する負荷を低減することができる。
[実施例]
【0019】
図2を参照して、この実施例の監視カメラ10は、屋内の天井に設置されて屋内を上方から監視するドーム型のカメラであり、ズームレンズ12およびイメージセンサ14を含む。監視ゾーンの一部である被写界を表す光学像は、ズームレンズ12を経てイメージセンサ14の撮像面に照射される。
【0020】
電源が投入されると、カメラCPU28は、露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しをドライバ16bに命令する。ドライバ16bは、周期的に発生するタイミング信号に応答して、撮像面の露光とこれによって生成された電荷の読み出しとを実行する。イメージセンサ14からは、撮像面から読み出された電荷に基づく生画像データが繰り返し出力される。
【0021】
カメラ処理回路18は、イメージセンサ14から出力された生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換などの処理を施し、これによって生成されたYUV形式の画像データをメモリ制御回路20を通してSDRAM22に書き込む。こうして周期的にSDRAM22に取り込まれる画像データは、カメラCPU28によって後述するマスク処理を施される。映像I/F24は、マスク処理を施された画像データをメモリ制御回路20を通してSDRAM22から読み出し、読み出された画像データを図3に示す外部コントローラ40に向けて送出する。
【0022】
図3を参照して、監視カメラ10から送出された画像データは、映像I/F44によって受信され、メモリ制御回路46によってDRAM48に書き込まれる。映像出力回路54は、DRAM48に格納された画像データをメモリ制御回路46を通して読み出し、読み出された画像データに基づく画像を映像モニタ56に表示する。この結果、監視ゾーンを表すリアルタイム動画像をモニタ画面に表示される。
【0023】
操作パネル52には、ジョイスティック52jおよびズームレバー52zが設けられる。ジョイスティック52jは、監視カメラ10のパン/チルト回転を指示するためのスティックである。また、ズームレバー52zは、ズーム倍率の変更を指示するためのレバーである。
【0024】
操作者がジョイスティック52jを傾けると、コントローラCPU50は、ジョイスティック52jの傾斜方向に対応する方向パラメータとジョイスティック52jの傾斜角度に対応する速度パラメータとが記述されたパン/チルト操作情報を繰り返し作成し、作成されたパン/チルト操作情報を通信I/F42を介して監視カメラ10に送出する。
【0025】
操作者がジョイスティック52jを解放すると、ジョイスティック52jは復元力によって初期状態(スティックが正立する状態)に戻る。コントローラCPU50は、パン/チルト操作情報に代えてパン/チルト停止情報を1回だけ作成し、作成されたパン/チルト停止情報を通信I/F42を介して監視カメラ10に送出する。
【0026】
操作者がズームレバー52zを所望の方向に操作すると、コントローラCPU50は、ズームレバー52zの操作方向に対応する倍率パラメータが記述されたズーム操作情報を繰り返し作成し、作成されたズーム操作情報を通信I/F42を介して監視カメラ10に送出する。
【0027】
図2に戻って、通信I/F36は、外部コントローラ40から送信されたパン/チルト操作情報,パン/チルト停止情報およびズーム操作情報を取り込み、パン/チルト操作情報およびパン/チルト停止情報をメインCPU30に与える一方、ズーム操作情報をカメラCPU28に与える。
【0028】
カメラCPU28は、ズーム操作情報に記述された倍率パラメータに沿うように、ドライバ16aを通してズームレンズ12を光軸方向に移動させる。これによって、撮像面に照射される光学像のズーム倍率が変化する。
【0029】
メインCPU30は、パン/チルト操作情報に記述された方向パラメータおよび速度パラメータに沿うパン/チルト回転指示を、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する。パン/チルト回転指示もまたパラメータとして回転方向および回転速度を含み、この結果、撮像面の向きが所望の方向に所望の速度で変更される。メインCPU30はまた、パン//チルト停止情報が与えられたときパン/チルト停止指示をパン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する。この結果、撮像面の向きの変更動作が停止される。
【0030】
図4(A)を参照して、パン角θpは、撮像面に直交する光軸の水平角を定義するパラメータであり、撮像面を真北に向けたときの水平角を0°(または360°)として、時計回り方向に沿って増大する。したがって、パン角θpは、真東,真南および真西に対応してそれぞれ90°,180°および270°を示す。なお、パン角θpの可変範囲は0°≦θp≦360°である。
【0031】
図4(B)を参照して、チルト角θtは、撮像面に直交する光軸の垂直角を定義するパラメータであり、イメージセンサ14の上端を上にして撮像面を水平方向に向けたときの垂直角を0°として、下方向に沿って増大する。チルト角θtは、撮像面を真下に向けたとき90°を示し、イメージセンサ14の上端を下にして撮像面を水平方向に向けたとき180°を示す。なお、チルト角θtの可変範囲は−5°≦θt≦185°である。
【0032】
図2に戻って、メインCPU30は、現時点のパン角θpおよびチルト角θtを既定周期(=75ミリ秒)で検出し、検出されたパン角θpおよびチルト角θtをパン/チルト角情報としてカメラCPU28に転送する。メインCPU30は、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する指示の内容が変化したときにも、現時点のパン角θpおよびチルト角θtを検出し、検出されたパン角θpおよびチルト角θtをパン/チルト角情報としてカメラCPU28に転送する。
【0033】
なお、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する指示の内容は、ジョイスティック52jの傾斜方向および/または傾斜角度の変更あるいはジョイスティック52jの解放に起因して変化する。
【0034】
カメラCPU28は、パン/チルト角情報をメインCPU30から受信したとき現在時刻を検出し、受信したパン/チルト角情報を検出された現在時刻とともに図5に示すテーブルTBL1に記述する。カメラCPU28はまた、テーブルTBL1に記述されたパン/チルト角および時刻つまりパン/チルト角の変更履歴を参照して現時点のパン/チルト角を予測し、ズーム倍率を参照して現時点の画角を算出する。
【0035】
したがって、ズーム倍率が固定されているとして、メインCPU30から受信したパン/チルト角情報によって定義されるフレームが図7(A)に示すF1→F2→F3の順で移動した場合、予測されたパン/チルト角によって定義されるフレームは、P1→P2→P3→P4の順で移動する。また、メインCPU30から受信したパン/チルト角情報によって定義されるフレームが図7(B)に示すように“F3”から“F4”に移動した場合、予測されたパン/チルト角によって定義されるフレームは、P5→P6→P7→P8の順で移動する。
【0036】
カメラCPU28は、レジスタRGST1に登録された保護対象物が撮像面によって捕捉しているか否かを、上述の要領で予測ないし算出されたパン/チルト角および画角を参照して判別する。撮像面が保護対象物を捕捉していると判別されれば、カメラCPU28は、保護対象物画像を覆う一部のエリアをマスクエリアとして定義し、SDRAM24に格納された画像データのうちマスクエリアに対応する部分画像データをマスクする。なお、マスクエリアのサイズは、保護対象物画像のサイズよりも大きい。
【0037】
図7(A)を参照して、監視ゾーンの壁面に設置された絵画PCT1が保護対象物としてレジスタRGST1に登録されている状態で、監視カメラ10がフレームFP1またはFP2を捉えた場合、フレームFP1に対応する画像データに現れる絵画PCT1の画像は図7(B)に示す要領でマスクされ、フレームFP2に対応する画像データに現れる絵画PCT1の画像は図7(C)に示す要領でマスクされる。
【0038】
外部コントローラ40に設けられたコントローラCPU50は、図8に示すフロー図に従う処理を実行する。なお、このフロー図に対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ58に記憶される。
【0039】
まずステップS1でフラグFLGptを“0”に設定する。フラグFLGptはジョイスティック52jが操作状態および解放状態のいずれにあるかを表明するためのフラグであり、“1”が操作状態を示す一方、“0”が解放状態を示す。
【0040】
ステップS3ではジョイスティック52jが操作状態にあるか否かを判別し、YESであればステップS5でフラグFLGptを“1”に設定する。続くステップS7では、ジョイスティック52jの操作状態に対応するパン/チルト操作情報を作成し、作成されたパン/チルト操作情報を監視カメラ10に向けて送出する。
【0041】
ステップS3でNOであれば、つまりジョイスティック52jが開放状態にあれば、フラグFLGptが“1”であるか否かをステップS9で判別する。ここでYESであれば、ステップS11でフラグFLGptを“0”に設定し、ステップS13でパン/チルト停止情報を監視カメラ10に向けて送出する。
【0042】
ステップS7またはS13の処理が完了するか、或いはステップS3およびS9のいずれもNOであれば、ズームレバー52zが操作状態にあるか否かをステップS15で判別する。判別結果がNOであればステップS3に戻り、判別結果がYESであればステップS17に進む。ステップS17では、ズームレバー52zの操作状態に対応するズーム操作情報を作成し、作成されたズーム操作情報を監視カメラ10に向けて送出する。ステップS17の処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0043】
監視カメラ10に設けられたメインCPU30は、図9に示すフロー図に従う処理を実行する。また、監視カメラ10に設けられたカメラCPU28は、図10〜図12に示すフロー図に従う処理を並列的に実行する。なお、これらのフロー図に対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ26に記憶される。
【0044】
図9を参照して、ステップS21ではパン/チルト操作情報を受信したか否かを判別し、ステップS23ではパン/チルト停止情報を受信したか否かを判別する。ステップS21でYESであればステップS23に進み、パン/チルト回転指示をパン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する。ステップS25でYESであればステップS27に進み、パン/チルト停止指示をパン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行する。
【0045】
ステップS23またはS27の処理が完了すると、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行された指示に変化が生じたか否か(つまり、今回の指示の内容が前回の指示の内容と相違するか否か)を、ステップS29で判別する。判別結果がNOであればステップS21に戻り、判別結果がYESであればステップS33に進む。ステップS33では、現時点のパン/チルト角を検出し、検出されたパン/チルト角が記述されたパン/チルト角情報をカメラCPU26に転送する。ステップS33の処理が完了すると、ステップS21に戻る。
【0046】
ステップS21およびS25のいずれもNOであれば、パン/チルト角情報の転送周期(周期の間隔:75ミリ秒)が到来したか否かをステップS31で判別する。ここでNOであればそのままステップS21に戻り、YESであればステップS33の処理を経てステップS21に戻る。
【0047】
図10を参照して、ステップS41ではパン/チルト角情報をメインCPU30から受信したか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS43で現在時刻を検出する。ステップS45では、パン/チルト角情報を検出された現在時刻とともにテーブルTBL1に記述する。記述処理が完了すると、ステップS41に戻る。
【0048】
図11を参照して、ステップS51ではズーム操作情報が通信I/F36から与えられたか否かを判別する。判別結果がNOからYESに更新されるとステップS53に進み、ズーム倍率を変更するべくドライバ16aを通してズームレンズ12を光軸方向に移動させる。ステップS53の処理が完了すると、ステップS51に戻る。
【0049】
図12を参照して、ステップS61ではテーブルTBL1の記述を参照して現時点のパン/チルト角を予測し、ステップS63ではズーム倍率を参照して現時点の画角を算出する。ステップS65では、ステップS61で予測されたパン/チルト角とステップS63で算出された画角とを参照して、撮像面がレジスタRGST1に登録された保護対象物を捕捉しているか否かを判別する。判別結果がNOであればステップS61に戻り、判別結果がYESであればステップS67に進む。
【0050】
ステップS67では、保護対象物画像を覆う一部のエリアをマスクエリアとして定義し、SDRAM24に格納された画像データのうちマスクエリアに対応する部分画像データをマスクする。ステップS67の処理が完了すると、ステップS61に戻る。
【0051】
以上の説明から分かるように、イメージセンサ14は、被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する。パン回転機構32および/またはチルト回転機構34は、メインCPU30から発行されたパン/チルト回転指示またはパン/チルト停止指示に従って、撮像面の向きを変更する。撮像面の方向を示すパン/チルト角情報は、メインCPU30からカメラCPU28に転送される(S33)。ここで、パン/チルト情報を転送する処理は、周期的に実行されるとともに(S31)、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行される指示の内容に変化が生じたときに実行される(S29)。カメラCPU28は、イメージセンサ14から出力された被写界像に、メインCPU30からのパン/チルト角情報を参照したマスク処理を施す(S41~S45, S61~S67)。
【0052】
したがって、パン/チルト角情報は、周期的に作成されるだけでなく、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行される指示の内容に変化が生じたときにも作成される。こうして作成されるパン/チルト角情報を参照してマスク処理を実行することで、マスク処理の精度を維持しつつ、マスク処理に要する負荷を低減することができる。
【0053】
なお、この実施例では、ドーム型の監視カメラを用いて説明しているが、パン回転動作およびチルト回転動作が可能である限り、ドーム型と異なる型の監視カメラでもよい。
【0054】
また、この実施例では、図2に示す通信I/F36は、外部コントローラ40から送信されたパン/チルト操作情報,パン/チルト停止情報およびズーム操作情報のうち、パン/チルト操作情報およびパン/チルト停止情報をメインCPU30に与える一方、ズーム操作情報をカメラCPU28に与える。しかし、パン/チルト操作情報,パン/チルト停止情報およびズーム操作情報の全てをメインCPU30に与え、メインCPU30の制御の下でズーム処理を実行するようにしてもよい。
【0055】
さらに、この実施例によれば、パン/チルト操作情報およびパン/チルト停止情報はジョイスティック52jに対する手動操作に応答して作成され、監視カメラ10のパン/チルト動作はこうして作成されたパン/チルト操作情報およびパン/チルト停止情報に基づいて制御される。しかし、監視カメラ10のパン/チルト動作を外部コントローラ40にプリセットし、このプリセットに従ってコントローラCPU50がパン/チルト操作情報およびパン/チルト停止情報を生成するようにすれば、操作者の手動操作は不要となる。
【0056】
なお、この場合でも、監視カメラ10のメインCPU30は、パン回転機構32および/またはチルト回転機構34に向けて発行される指示の内容が変化する毎にパン/チルト角情報をカメラCPU28に与える。
【符号の説明】
【0057】
10 …監視カメラ
14 …イメージセンサ
22 …SDRAM
28 …カメラCPU
30 …メインCPU
32 …パン回転機構
34 …チルト回転機構
50 …コントローラCPU
52j …ジョイスティック
52z …ズームレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段、
変更指示に従って前記撮像面の向きを変更する変更手段、
前記撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成手段、
前記撮像手段から出力された被写界像に前記作成手段によって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理手段、
周期的に前記作成手段を起動する第1起動手段、および
前記変更指示の内容に変化が生じたとき前記作成手段を起動する第2起動手段を備える、監視カメラ。
【請求項2】
前記変更指示は変更方向および変更速度をパラメータとして含み、
前記第2起動手段は前記変更方向および前記変更速度の少なくとも1つが変化したとき起動処理を実行する、請求項1記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記処理手段は、前記方向情報によって示される前記撮像面の方向の変更履歴を参照して現時点の前記撮像面の方向を予測する予測手段、および前記予測手段によって予測された方向に特定物体が存在するとき前記被写界像に現れた特定物体像をマスクするマスク手段を含む、請求項1または2記載の監視カメラ。
【請求項4】
前記処理手段は作成手段によって前記方向情報が作成された時刻を検出する検出手段をさらに含み、
前記予測手段は前記検出手段によって検出された時刻を参照して予測処理を実行する、請求項3記載の監視カメラ。
【請求項5】
前記マスク手段は前記予測手段によって予測された方向と現時点のズーム倍率とを参照して前記特定物体の有無を判別する判別手段を含む、請求項3または4記載の監視カメラ。
【請求項6】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段と変更指示に従って前記撮像面の向きを変更する変更手段とを備える監視カメラのプロセッサに、
前記撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成ステップ、
前記撮像手段から出力された被写界像に前記作成ステップによって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理ステップ、
周期的に前記作成ステップを起動する第1起動ステップ、および
前記変更指示の内容に変化が生じたとき前記作成ステップを起動する第2起動ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項7】
被写界を捉える撮像面を有して被写界像を繰り返し出力する撮像手段と変更指示に従って前記撮像面の向きを変更する変更手段とを備える監視カメラによって実行される撮像制御方法であって、
前記撮像面の方向を示す方向情報を作成する作成ステップ、
前記撮像手段から出力された被写界像に前記作成ステップによって作成された方向情報を参照したマスク処理を施す処理ステップ、
周期的に前記作成ステップを起動する第1起動ステップ、および
前記変更指示の内容に変化が生じたとき前記作成ステップを起動する第2起動ステップを備える、撮像制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−226265(P2010−226265A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69172(P2009−69172)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】