説明

監視用センサ

【課題】どのような方向に対しても監視用センサの向きを変える妨害行為を検出可能な監視用センサを提供する。
【解決手段】監視用センサ2は、監視領域全体にわたる複数の走査方位と各走査方位に対応する物体までの距離とを対応付けた測距データを生成する検知部21と、過去の測距データを基準データとして記憶する記憶部23と、現在の測距データと基準データとを走査方位の角度方向に沿ってずらしつつ比較して現在の測距データと基準データ間で同一物体に対応する走査方位がずれていることを検出すると、探査信号が走査される探査面に平行な方向において監視用センサの向きが変化したと判定する第1の向き変化判定部242と、現在の測距データと基準データにおける同一方位間で距離値が変化した走査方位の数が所定閾値を超えると探査面に平行な方向とは異なる方向において監視用センサの向きが変化したと判定する第2の向き変化判定部243とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、探査信号を監視領域内に照射して、その反射信号を受信することで、監視領域内へ侵入した物体を検出する監視用センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋外などの広域な監視領域に侵入した物体を検出するために、赤外光線、可視光線、超音波などの探査信号を監視領域内に照射して、監視領域内の物体からの反射信号を受信することにより、監視領域内の物体を検出する監視用センサが開発されている。
そのような監視用センサの一例は、光距離計の光を2次元スキャンさせるスキャン角度によって監視領域を設定し、監視領域内の侵入者を検知したとき、侵入者までの距離データ及び角度データを求め、その距離データ及び角度データにより侵入者の位置を算出する(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−241062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視用センサは、セキュリティ性を担保するために、監視機能が無効化されることを防止しなければならない。特にこのような監視用センサが、監視領域内に侵入した不審人物、不審車両といった不審物体を検出して異常通報する警備システムに利用される場合には、監視機能が無効化されてしまうと、警備システムが不審物体の検知に失敗してしまうので、そのような事態を防止することは非常に重要である。
例えば、不審人物が監視用センサを物理的に回転させて向きを変えるといった妨害行為を行うと、監視領域の少なくとも一部へ探査信号が照射されなくなるので、その探査信号が照射されなくなった範囲は警備上の死角となってしまう。
また、例え監視用センサが監視領域内へ侵入した不審物体を検出していなくても、監視用センサに対する妨害行為が行われたという事象そのものが、検出すべき異常事態である。しかし、特許文献1に開示されたような従来の監視用センサは、上記のような妨害行為を検知する手立てを持たないので、その監視用センサの用途は、そのような妨害行為の検出を要しない限定的な監視機能が求められるものに限定されていた。
さらに、監視用センサの設置状態によっては、監視用センサは、どのような方向にも向きを変えられるおそれがある。例えば、監視用センサは、探査信号で走査される探査面に平行な方向だけでなく、その探査面に対して垂直な方向に沿って向きが変えられるおそれもある。
【0005】
そこで、本発明は、どのような方向に対しても、監視用センサの向きを変える妨害行為を検出可能な監視用センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの形態として、監視領域を監視する監視用センサが提供される。この監視用センサは、監視領域の一端から他端までを含む走査範囲を探査信号で走査して、監視領域内に存在する物体により反射された探査信号を受信することにより、複数の走査方位と複数の走査方位のそれぞれに対応する物体までの距離とを対応付けた測距データを生成する検知部と、過去の測距データを基準データとして記憶する記憶部と、現在の測距データと基準データとを走査方位の角度方向に沿ってずらしながら比較して、現在の測距データと基準データとの間で監視領域内の同一物体に対応する走査方位がずれていることを検出すると、探査信号が走査される探査面に平行な方向において監視用センサの向きが変化したと判定する第1の向き変化判定部と、現在の測距データと基準データにおける同一走査方位間で距離値を比較して、距離値が変化した走査方位の数が所定閾値を超えると、探査面に平行な方向とは異なる方向において監視用センサの向きが変化したと判定する第2の向き変化判定部とを有する。
【0007】
また検知部は、一定周期で測距データを生成し、第2の向き変化判定部は、測距データが生成される度に距離値が変化した走査方位の数を求め、その走査方位の数が全走査方位数の少なくとも過半数以上である上記の所定閾値を超える期間が所定期間にわたって継続すると、探査面に平行な方向とは異なる方向において監視用センサの向きが変化したと判定することが好ましい。
【0008】
また、第2の向き変化判定部は、第1の向き変化判定部が監視用センサの向きが変化したと判定しない場合に、探査面に平行な方向とは異なる方向において監視用センサの向きが変化したか否かを判定することが好ましい。
【0009】
さらに、第1の向き変化判定部は、現在の測距データと基準データとの間で比較する距離値を角度方向に相対的に所定角度ずつずらしながら比較する距離値の差の統計量を現在の測距データと基準データとの相違度として算出し、その相違度が最小となる角度ずれ量を監視用センサの変位角度として検出し、第2の向き変化判定部は、相違度の最小値が現在の測距データと基準データとが一致しないことに相当する値となる場合、または変位角度が探査面に平行な方向における監視用センサの向き変化として検出される最小値未満となる場合に限り、探査面に平行な方向とは異なる方向において監視用センサの向きが変化したか否かを判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る監視用センサは、どのような方向に対しても、監視用センサの向きを変える妨害行為を検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る監視用センサを備えた警備システムの全体構成図である。
【図2】本発明の一つの実施形態に係る監視用センサの概略構成図である。
【図3】侵入判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図4】横向き変化判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】(a)は、監視領域内で探査信号を反射する物体の配置の一例を示す図であり、(b)は、監視用センサの向きが探査面に対して略垂直な方向に変わった場合における、探査信号を反射する物体の配置の一例を示す図である。
【図6】縦向き変化判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】物体検出処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】警備装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一つの実施形態である監視用センサを、図を参照しつつ説明する。この監視用センサは、所定周期で監視領域の一端から他端までを含む範囲を探査信号で走査して、物体により反射された探査信号である反射信号を受信することにより、監視用センサから見た方位を表す走査方位ごとに物体までの距離を測定した測距データを、1回の走査ごとに作成する。そしてこの監視用センサは、測距データに基づいて、探査信号で走査される探査面と平行な方向に沿った監視用センサの向きの変化と、その探査面と平行な方向とは異なる方向(その探査面に対して垂直な方向を含む。以下、この方向を、便宜的に探査面に対して垂直な方向という)に沿った監視用センサの向きの変化とをそれぞれ検出することで、どのような方向に対しても監視用センサの向きを変える妨害行為を検出する。
【0013】
図1は、一つの実施形態に係る監視用センサを備えた警備システムの全体システム構成を示す図である。図1に示すように、警備システム1は、建物101の敷地の一部に設定された監視領域102a〜102cをそれぞれ監視するように、建物101の周囲の3面において、それぞれ、建物101の屋外壁面またはポールなどに固定設置された3台の監視用センサ2と、各監視用センサ2と通信回線4を通じて接続され、建物101内に設置される警備装置3とを有する。
【0014】
各監視用センサ2は、監視領域102a〜102c内に侵入した不審人物、不審車両といった不審物体を検知すると、その旨を表す侵入異常信号を警備装置3へ送信する。また各監視用センサ2は、監視用センサ2の向きが、設定時と異なる向きに変えられたことを検知すると、その旨を表す向き変化異常信号を警備装置3へ送信する。本実施形態では、向き変化異常信号には、探査面に平行な方向において監視用センサ2の向きが変えられた横向き変化異常信号と、探査面に垂直な方向において監視用センサ2の向きが変えられた縦向き変化異常信号との2種類がある。さらに各監視用センサ2は、侵入異常信号または向き変化異常信号とともに、監視用センサ2の識別番号を警備装置3へ送信してもよい。
警備装置3は、公衆通信回線5を介して監視センタ内に配置された監視センタ装置6と通信可能となっている。そして警備装置3は、何れかの監視用センサ2から侵入異常信号または向き変化異常信号を受信すると、その侵入異常信号または向き変化異常信号を、警備装置3の識別番号または警備装置3が設置された建物の識別番号とともに、監視センタ装置6へ送信する。
【0015】
なお、警備システム1が有する監視用センサ2の数は3台に限られない。監視用センサ2の数は、監視しようとする領域の形状、大きさ及びその領域内に予め存在する遮蔽物などに応じて適宜決定される。また監視用センサ2の設置位置も、監視しようとする領域の形状または建物の位置及び形状などに応じて適宜設定される。
【0016】
監視用センサ2は、監視領域内に侵入した不審物体を検出する。また監視用センサ2は、例えば、不審人物により、あるいは強風などで飛来した物体などと監視用センサ2が衝突することにより、監視用センサ2が設置時の向きと異なる方向を向けられたことを検知する。
【0017】
図2は、監視用センサ2の概略構成図である。監視用センサ2は、検知部21と、通信部22と、記憶部23と、制御部24とを有する。これらの各部は、金属または樹脂などによって形成された筺体25に収容される。筺体25の前面、すなわち、監視領域に向けられる側の面には、ガラスまたは透明プラスチックといった透光性を有する部材よりなる監視窓26が設けられている。本実施形態では、監視窓26は、検知部21を略中心とする円弧状に形成されており、検知部21を通る水平面における監視窓26の表面上の各点と検知部21間の距離は略同一となっている。しかし、他の実施形態では、監視窓26は、平面状に形成されてもよい。
【0018】
検知部21は、探査信号を監視領域内へ照射し、反射信号を受光する。そして検知部21は、反射信号を解析することにより、走査方位ごとに、監視用センサ2から探査信号を反射した物体までの距離の測定値を含む測距データを作成する。そのために、検知部21は、例えば、レーザ発振部211と、走査鏡212と、駆動部213と、受光部214と、測距データ生成部215とを有する。
【0019】
レーザ発振部211は、探査信号として、例えば、約890nmの波長を持つ近赤外線のパルスレーザを発振する。そしてこのパルスレーザは走査鏡212へ向けて出力される。またレーザ発振部211は、測距データ生成部215へ、パルスレーザの位相情報を出力する。
走査鏡212は、例えば、ガルバノミラーまたはポリゴンミラーであり、駆動部213により駆動されてその反射面の向きを変えることにより、一定周期(例えば、30msec)ごとにパルスレーザで監視領域全体を走査する。
【0020】
本実施形態では、レーザ発振部211及び走査鏡212は、監視用センサ2を中心とする所定の中心角度を持つ扇状の監視領域を、パルスレーザで水平に走査するように配置される。なお、所定の中心角度は、例えば、180°に設定される。走査鏡212で反射されたパルスレーザは、監視用センサ2の筺体25の前面に設けられた監視窓26を通って、監視用センサ2の外部へ向けて照射される。
なお、レーザ発振部211及び走査鏡212は、探査信号であるパルスレーザが、水平面に対して所定の俯角を持ち、監視用センサ2から離れるほどパルスレーザが地面に近づくように配置されてもよい。
また、監視領域の走査は、監視領域の一方の端部から他方の端部まで同一方向に繰り返しパルスレーザを走査することによって行ってもよく、あるいは、1回の走査ごとにパルスレーザを走査する向きを反転させて行ってもよい。
【0021】
さらに、レーザ発振部211及び走査鏡212によって走査可能な走査範囲は監視領域よりも広くてもよい。例えば、監視領域が監視用センサ2を中心とする180°の中心角度を持つ扇状の領域である場合、走査範囲は監視用センサ2を中心とする190°の中心角度を持つ扇状の領域であってもよい。なお、走査範囲は、例えば、走査鏡212の構造及びレーザ発振部211と走査鏡212の配置によって決定される。
【0022】
駆動部213は、例えば、モータと、そのモータにより生じた回転駆動力を走査鏡212の回転軸に伝達する機構と、モータを制御するための回路とを有し、走査鏡212を走査周期に応じた等回転速度で回転駆動する。
また駆動部213は、現時点でパルスレーザが照射されている方向を表す角度情報を測距データ生成部215へ通知する。
【0023】
受光部214は、例えば、CCD、CMOSまたはフォトダイオードといった受光素子を有し、レーザ発振部211の近傍に配置される。そして受光部214は、監視窓26及び走査鏡212を介して、探査信号が照射された走査方位に沿って到来する反射信号を受光する。そして受光部214は、反射信号の強度に応じた値を持つ受光信号を測距データ生成部215へ出力する。
【0024】
測距データ生成部215は、走査方位ごとに、監視用センサ2から反射信号を反射した物体までの距離を測定し、走査方位とその距離との関係を表す測距データを生成する。そのために、測距データ生成部215は、プロセッサ及びその周辺回路を有する。そして測距データ生成部215は、例えば、Time Of Flight法に従って、受光信号から求めた反射信号の位相とレーザ発振部211から出力されたパルスレーザの位相との差を求め、その差に基づいて距離を測定する。なお、ある走査方位において受光部214が所定時間以内に反射回帰光を受光しない場合には、測距データ生成部215は、その走査方位にはパルスレーザの到達可能範囲内に物体が存在しないと判断し、その走査方位についての距離を、その旨を表す予め設定された擬似値とする。この擬似値は、例えば、監視用センサ2から監視領域の外縁までの距離、またはパルスレーザ光による有効測定距離以上の適当な値に設定される。
【0025】
測距データ生成部215は、1回の走査ごとに1個の測距データを生成する。そして1個の測距データには、例えば、走査範囲全体に相当する角度範囲を所定の角度間隔で割った数に1を加えた数の走査角度と、その走査角度における距離が含まれる。本実施形態では、走査範囲全体に相当する角度範囲を180°、隣接する走査角度間の間隔を0.25°としており、一つの測距データには、721個の走査角度と距離の組が含まれる。走査角度は、監視用センサ2の設置位置を原点とし、所定の基準方位と走査方位とがなす角を表す。基準方位は、監視用センサ2から監視領域を向いたときの正面方向に設定され、基準方位に対して左右均等に90°ずつの角度範囲となるように監視領域が設定されており、走査角度は-90°〜90°の範囲内の値となる。ここで、負の値は、正面方向(基準方位)に対して左側の走査角度であり、正の値は、正面方向(基準方位)に対して右側の走査角度であることを示すものである。
【0026】
なお、検知部21は、探査信号を水平及び垂直方向に2次元に走査し、走査方向と測定距離からなる3次元データを得るように構成してもよい。また、測距方法に関しては、公知の様々な方法を採用すればよく、例えば、位相差方式、三角測量方式などが利用できる。
検知部21は、1回の走査が終了する度に、その走査について生成した測距データを制御部24へ出力する。
【0027】
通信部22は、監視用センサ2を通信回線4を介して警備装置3と通信可能に接続する。そのために、通信部22は、監視用センサ2と警備装置3とを接続する通信回線4に応じたインターフェース回路を有する。そして通信部22は、制御部24により生成された侵入異常信号または向き変化異常信号を警備装置3へ送信する。その際、通信部22は、それらの信号とともに、監視用センサ2の識別番号を警備装置3へ送信してもよい。
【0028】
記憶部23は、例えば、不揮発性の半導体メモリなどを有し、監視用センサ2で利用される各種の情報及びプログラムを記憶する。記憶部23に記憶される情報には、例えば、監視領域情報と、背景データと、基準データと、現状態情報とがある。さらに記憶部23は、過去一定期間内に生成された測距データを記憶してもよい。
【0029】
監視領域情報は、各監視用センサ2が監視対象とする監視領域の範囲を示す情報である。監視領域は、警備システム1で監視する敷地内において、監視が必要な領域として設定された場所であり、各監視用センサ2は、各々の監視領域を監視可能な位置に設置されている。そして、各監視用センサ2は、自己が監視する監視領域の範囲を表す相対的な位置情報として監視領域情報を記憶している。監視領域情報は、例えば、監視用センサ2を中心として探査信号を走査する角度範囲と、所定の角度間隔(例えば、0.25°)で隔てられた走査角度ごとの監視用センサ2から監視領域の外縁までの距離が含まれる。あるいは、監視領域情報は、監視用センサ2の設置位置を原点とする2次元座標における、監視領域外縁上の所定距離で隔てられたサンプリング点ごとの位置、または監視領域外縁の座標を表す式の係数を含んでもよい。
監視領域情報は、例えば、監視用センサ2の設置時、監視領域の画定時あるいは変更時などに、例えば通信部22を介して接続される設定用端末(図示せず)または操作部(図示せず)を介して入力される。
【0030】
背景データは、監視領域内に侵入した不審物体を検出するために用いられる、監視領域内に予め存在する物体以外の他の物体が存在しないときに生成された測距データである。 背景データは、監視用センサ2の起動時、あるいは操作部または設定用端末を介して指示されたタイミングにおいて生成された測距データであってもよい。また制御部24が、検知部21により随時生成される測距データに基づいて、走査角度ごとに、過去一定期間内の出現頻度の最も高い距離値を選択し、その選択された距離値に書き換えることにより、背景データを更新してもよい。なお、背景データは、上記の監視領域情報として用いられてもよい。
基準データは、監視用センサ2の現在の向きと設置時の向きとの角度差である変位角度を検出するために用いられる、監視用センサ2の向きが設置時から変化していないときに生成された測距データである。基準データは、例えば、監視用センサ2の起動時、あるいは操作部または設定用端末を介して指示されたタイミングにおいて生成された測距データとすることができる。なお、上記の背景データを基準データとして用いてもよい。
【0031】
現状態情報は、現時点における監視領域の状態を表す情報である。現時点において、監視領域が侵入異常が検知された侵入異常状態、または監視用センサ2の向きが設置時から探査面に平行な方向に変化していることが検知された横向き変化異常状態、若しくは監視用センサ2の向きが設置時から探査面に垂直な方向に変化していることが検知された縦向き変化異常状態になっていれば、現状態情報は、各異常状態を表す値を持つ。一方、現時点において監視領域が何の異常も検知されていない正常状態であれば、現状態情報は、正常状態であることを表す値を持つ。例えば、侵入異常状態であれば、現状態情報の値は'1'に設定され、横向き変化異常状態または縦向き変化異常状態であれば、現状態情報の値は'2'に設定され、正常状態であれば、現状態情報の値は'0'に設定される。なお、現状態情報は、横向き変化異常状態と縦向き変化異常状態とで異なる値を有してもよい。また、現状態情報は、複数種の異常状態が重複して検知されている場合も、異常状態の重複のパターンごとに異なる値を有してもよい。
現状態情報は、制御部24が何れかの異常を検知したとき、あるいは、それ以前に検知されていた何れかの異常状態が解消したことを検知したとき、もしくは警備員などが設定端末あるいは操作部を介して異常状態が解消したことを示す操作を行ったときに、制御部24により書き換えられる。
【0032】
さらに記憶部23は、横向き変化異常及び縦向き変化異常を検出するために使用される変化フラグ、各種計算値などを記憶する。これらのフラグ及び計算値の詳細については、制御部24の関連する機能とともに説明する。
【0033】
制御部24は、少なくとも一つのプロセッサ、タイマ及びその周辺回路を有する。そして制御部24は、監視用センサ2の各部を制御する。また制御部24は、測距データに基づいて、監視領域内に侵入した不審物体を検出したり、監視用センサ2が設定時と異なる方向へ向けられたか否かを判定する。そのために、制御部24は、侵入判定部241と、横向き変化判定部242と、縦向き変化判定部243とを有する。これらの各部は、例えば、制御部24が有するプロセッサ上で実行されるソフトウェアにより実現される機能モジュールとして、監視用センサ2に実装される。
【0034】
侵入判定部241は、最新の測距データを受け取る度に、その最新の測距データと背景データを比較して、物体までの距離が相違しているところを抽出することで、監視領域内に侵入した不審物体を検知する。
図3は、侵入判定部241により実行される侵入判定処理の動作フローチャートである。侵入判定部241は、最新の測距データを受け取る度に、すなわち、検知部21による監視領域の1回の走査が終わる度に以下の侵入判定処理を実行する。
侵入判定部241は、走査角度ごとに、測距データに含まれる距離値と、背景データに含まれる距離値との差を算出する(ステップS101)。そして侵入判定部241は、背景データに示された距離値よりも最新の測距データに示された距離値が所定距離以上監視用センサ2に近く、かつ監視領域内となる走査角度を侵入物体候補点として抽出する(ステップS102)。なお、所定距離は、例えば、検知対象となる物体の厚さの最小値、例えば、15cmに設定される。
【0035】
侵入判定部241は、侵入物体候補点が存在するか否か判定する(ステップS103)。侵入物体候補点が存在しなければ、侵入判定部241は、監視領域内に侵入物体は存在しないと判定する。そして侵入判定部241は、侵入異常が無いことを制御部24へ通知し、侵入物体判定処理を終了する。
一方、侵入物体候補点が存在する場合、侵入判定部241は、隣接する侵入物体候補点についての距離値の差が所定値以内であれば、その隣接する侵入物体候補点を一つのグループにまとめるよう、ラベリング処理を行う(ステップS104)。なお、この所定値は、例えば10cmに設定される。
そして侵入判定部241は、グループごとの幅を求める(ステップS105)。例えば、グループの幅Wgは、余弦定理に従って、次式で算出される。
【数1】

ただし、d1は、グループの一方の端の侵入物体候補点における距離値であり、d2は、他方の端の侵入物体候補点における距離値である。またθは、測距データに含まれる、隣接する走査角度間の間隔である。そしてnは、そのグループに含まれる侵入物体候補点の数である。
【0036】
侵入判定部241は、ラベリング処理によって作成されたグループのうち、グループの幅Wgが所定幅以上となるグループを、不審物体の可能性がある侵入物体候補グループとして選択する(ステップS106)。この所定幅も、例えば、検知対象となる物体の厚さの最小値、例えば、15cmに設定される。
侵入判定部241は、侵入物体候補グループの中心の侵入物体候補点に相当する走査角度及びその侵入物体候補点における距離値を、監視用センサ2を原点とするその侵入物体候補グループの位置とし、その侵入物体候補グループの位置及び対応する測距データの取得時間を記憶部23に記憶する。
【0037】
侵入判定部241は、最新の測距データから求めた侵入物体候補グループのうち、未だ着目する侵入物体候補グループに設定されていないグループの中から着目する侵入物体候補グループを決定する(ステップS107)。そして侵入判定部241は、着目する侵入物体候補グループと、1回〜数回前の測距データについて求められた侵入物体候補グループである過去候補グループとの間でトラッキング処理を行って、着目する侵入物体候補グループに相当する物体と同一の物体に相当する過去候補グループが存在するか否か判定する(ステップS108)。なお、トラッキング処理として、公知の様々なトラッキング処理の何れかを採用できる。例えば、侵入判定部241は、着目する侵入物体候補グループの位置に最も近い過去候補グループの位置を求め、それらの位置の差が、検出しようとする不審物体の想定される移動速度とそれら二つの候補グループの取得時刻の差との積として定められる移動可能距離以下であれば、着目する侵入物体候補グループとその過去候補グループは同一の物体に対応すると判定する。
【0038】
着目する侵入物体候補グループに相当する物体と同一の物体に相当する過去候補グループが存在する場合、侵入判定部241は、着目する侵入物体候補グループに対して、その過去候補グループに割り当てられた物体識別番号と同一の物体識別番号を割り当て、その物体識別番号を着目する侵入物体候補グループの位置と関連付けて記憶部23に記憶する(ステップS109)。そして侵入判定部241は、同一の物体識別番号が割り当てられた、着目する侵入物体候補グループの位置と最も古い侵入物体候補グループの位置間の距離を、着目する侵入物体候補グループに相当する物体の移動距離として算出する(ステップS110)。
侵入判定部241は、その移動距離が所定値以上か否か判定する(ステップS111)。移動距離が所定値以上であれば、侵入判定部241は、着目する侵入物体候補グループは、監視領域に侵入した不審物体によるものであり、侵入異常が生じたと判定する(ステップS112)。そして侵入判定部241は、侵入異常信号を生成し、その侵入異常信号を制御部24へ通知する。そして侵入判定部241は、侵入判定処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS108において、着目する侵入物体候補グループに対応する物体と同一の物体に対応する過去候補グループが存在しない場合、侵入判定部241は、着目する侵入物体候補グループに対して、何れの過去候補グループに割り当てられた物体識別番号とも異なる新規な物体識別番号を関連付け、記憶部23に記憶する(ステップS113)。
ステップS113の後、あるいはステップS111において移動距離が所定値未満である場合、侵入判定部241は、未着目の侵入物体候補グループが存在するか否か判定する(ステップS114)。未着目の侵入物体候補グループが存在する場合(ステップS114−Yes)、侵入判定部241は、ステップS107以降の処理を繰り返す。
一方、全ての侵入物体候補グループが既に着目する侵入物体候補グループに設定されている場合(ステップS114−No)、侵入判定部241は、侵入異常は発生していないと判定する。そして侵入判定部241は、侵入異常が無いことを制御部24へ通知し、侵入判定処理を終了する。
【0040】
横向き変化判定部242は、第1の向き変化判定部の一例であり、探査信号で走査される探査面と平行な方向において監視用センサ2が設定時の向きと異なる方向へ向けられた横向き変化異常が生じたか否かを判定する。この横向き変化判定部242が判定する探査面に平行な方向とは、具体的には、検知部21が走査を行う走査方向に平行な方向である。
そのために、横向き変化判定部242は、探査面における、現在の監視用センサ2の向きと設置時の監視用センサ2の向きとがずれている角度量を表す変位角度を求める。
【0041】
図4は、横向き変化判定部242により実行される横向き変化判定処理の動作を示すフローチャートである。なお、横向き変化判定部242は、最新の測距データを受け取る度に、すなわち、検知部21による監視領域の1回の走査が終わる度に以下の横向き変化判定処理を実行する。
横向き変化判定部242は記憶部23から基準データを読み込む(ステップS201)。横向き変化判定部242は、最新の測距データと基準データとの間で、距離値の差を求める走査角度の組を設定するための角度ずれ量を、変位角度の探索範囲の最小値である-Thrに設定する(ステップS202)。なおThrは、例えば、走査範囲全体の一端から他端までの走査方位の差に相当する角度よりも若干小さい値、例えば、走査範囲が監視用センサ2を中心として中心角度180°を持つ扇状であれば、170°に設定される。この場合、探索範囲は-170°〜170°となる。また角度ずれ量が正であれば、基準データの着目する走査角度と、その着目する走査角度よりも角度ずれ量だけ大きい最新の測距データの走査角度(例えば、基準方位に対して右廻り方向が正となるように走査角度が設定されていれば、右廻り方向にその角度ずれ量だけずれた走査角度)との間で距離値の差が求められることになる。なお、この角度ずれ量が0°に設定されているときには、最新の測距データと基準データとで同じ走査角度同士が組となって距離値の差が求められることになる。
【0042】
横向き変化判定部242は、最新の測距データと基準データとの間で、上記の角度ずれ量だけずれた走査角度の距離値の差の絶対値を両データの走査角度の組ごとに求め、その差の絶対値の平均値を両データ間の相違度として算出する(ステップS203)。そして横向き変化判定部242は、角度ずれ量と相違度とを対応させて記憶部23に書き込む。なお、本実施形態では、距離値の差の絶対値を求める走査角度の組に関して、基準データの走査角度を基準とし、最新の測距データの走査角度を上記の角度ずれ量だけずらして組としたが、逆に、最新の測距データの走査角度を基準とし、基準データの走査角度を上記の角度ずれ量だけずらしてもよい。また相違度は、最新の測距データと基準データとの間の距離値の相違度合いを表す指標となる統計量であればよく、例えば、上記の距離値の差の絶対値の平均値の代わりに、距離値の差の2乗平均が相違度として用いられてもよい。
さらに、本実施形態では、値が高いほどデータ間で相違している度合いが高い指標を相違度として用いているが、これに限らず、値が高いほどデータ間で相違している度合いが低い指標(一致度)を相違度として用いてもよい。この場合、本実施形態における相違度の逆数をとった値を一致度(ただし、本実施形態における相違度が0のとき、一致度は、相違度の取り得る、予め定めた最大値)とすることができる。
【0043】
その後、横向き変化判定部242は、角度ずれ量を所定のオフセット角度だけ大きくする(ステップS204)。オフセット角度は、例えば、測距データに含まれる隣接する走査角度の間隔、例えば、0.25°、あるいは隣接する走査角度の間隔の2倍〜4倍程度に設定される。そして横向き変化判定部242は角度ずれ量が探索範囲の最大値Thrよりも大きくなったか否か判定する(ステップS205)。
【0044】
角度ずれ量が探索範囲の最大値Thr以下である場合、横向き変化判定部242は、ステップS203以降の処理を繰り返す。一方、角度ずれ量がその最大値Thrよりも大きい場合、横向き変化判定部242は、記憶部23に記憶された最小の相違度が所定の閾値Thd以下か否か判定する(ステップS206)。閾値Thdは、例えば、最新の測距データと基準データとが、一致しないとみなせる相違度のうちの最小の値、例えば、50cmに設定される。したがって、横向き変化判定部242は、最小の相違度が閾値Thd(50cm)よりも大きければ、最新の測距データと基準データとを探査面にそって平行にずらして両データが一致する位置を調べたが、そのような位置はないと判断することになる。そのため、監視用センサ2は、探査面と異なる方向に回転させられている可能性がある。そこで横向き変化判定部242は、横向き変化判定処理を終了する。
一方、最小の相違度が所定の閾値Thd以下であれば、監視領域内の同一物体に対応する(すなわち、その同一物体までの距離を表す)、最新の測距データにおける走査角度と基準データにおける走査角度とが、その最小の相違度に対応する角度分だけずれていると考えられる。そこで横向き変化判定部242は、記憶部23に記憶された複数の相違度のうちの最小の相違度に相当する角度ずれ量を変位角度とする(ステップS207)。そして横向き変化判定部242は、最新の測距データの取得時刻とともに変位角度を記憶部23に書き込む。
【0045】
なお、ステップS206の判定において、値が高いほど相違していることを示す指標(一致度)を相違度として用いる場合、横向き変化判定部242は、記憶部23に記憶された最大の一致度が所定の閾値Thd以上か否かを判定するようにすればよい。そして、所定の閾値Thdは、例えば、最新の測距データと基準データとが一致しているとみなせる一致度のうちの最小の値とすればよい。
【0046】
横向き変化判定部242は、変位角度の絶対値が所定角度Thaよりも大きいか否か判定する(ステップS208)。なお所定角度Thaは、監視用センサ2の向き変化により、監視領域内に侵入した侵入物体を全く検出できなくなる領域が生じる最小値、例えば、30°に設定される。変位角度の絶対値が所定角度Tha以下であれば、探査面に平行な方向の監視用センサ2の向きの設置時からのずれは、監視用センサ2が監視領域内で侵入物体を検出できない死角が存在しない程度である。そのため、横向き変化判定部242は、横向き変化異常は発生していないことを制御部24へ通知し、横向き変化判定処理を終了する。
【0047】
一方、変位角度の絶対値が所定角度Thaよりも大きければ、探査面に平行な方向の監視用センサ2の向きの設置時からのずれにより、監視用センサ2が監視領域内で侵入物体を検出できない死角が生じている。そこで横向き変化判定部242は、横向き変化異常が発生したと判定する(ステップS209)。そして横向き変化判定部242は、横向き変化異常信号を生成し、その横向き変化異常信号を制御部24へ通知する。その後、横向き変化判定部242は、横向き変化判定処理を終了する。
なお、ステップS207において、横向き変化判定部242は、監視用センサ2の変位角度に基づいて、監視領域情報及び背景データに含まれる走査角度を補正してもよい。例えば、変位角度が+30°、すなわち、監視用センサ2が反時計廻り(左廻り)に30°回転している場合、回転前に設定された監視領域情報及び背景データに含まれる各距離値は、回転後における走査角度で考えると、これら距離値と関連付けられた走査角度よりも30°大きい走査角度における距離値を表すことになる。そこでこの場合、横向き変化判定部242は、監視領域情報及び背景データに含まれる走査角度を一律に30°加算する。したがって、例えば、補正前(回転前)の-60°の走査角度の距離値は、補正後(回転後)における-30°の走査角度の距離値となる。また補正前の90°の走査角度の距離値は、補正後における120°の走査角度の距離値となる。この場合は、監視用センサ2の走査範囲が90°までであるので、120°ではなく、90°と補正する。このように監視領域情報及び背景データを補正することにより、制御部24は、監視領域情報及び背景データを再取得することなく、侵入異常判定などに利用できる。
【0048】
縦向き変化判定部243は、第2の向き変化判定部の一例であり、横向き変化異常が検出されていない場合に、探査信号で走査される探査面に平行な方向とは異なる方向(探査面と垂直な方向を含む)において監視用センサ2が設定時と異なる方向へ向けられた縦向き変化異常が生じたか否かを判定する。
【0049】
図5(a)は、監視領域内で探査信号を反射する物体の配置の一例を示す図である。図5(a)において、監視用センサ2は、壁200に取り付けられている。そして監視領域は、監視用センサ2を中心とし、かつ、壁200に対する法線方向を基準方位として、左右それぞれ90°ずつの角度範囲を持つ半円状の領域に設定されている。そして、監視領域内に物体211〜218が存在しており、監視用センサ2から照射された探査信号は、矢印で示されるように、各物体211〜218で反射される。そのため、基準データには、監視用センサ2からそれらの物体211〜218までの距離が記録される。
【0050】
一方、図5(b)は、図5(a)の物体の配置状態において、監視用センサ2の向きが探査面に対して略垂直な方向に変わった場合を示す図である。図5(b)において、点線で示された物体は、探査信号を反射していないことを表す。監視用センサ2が上方へ向けて回転させられると、探査信号もまた監視用センサ2から上方へ向けて照射されることになる。そのため、図5(b)において、物体212〜218は、矢印で示される探査信号を反射せず、その結果、探査信号は反射されることなく直進するので、この場合に生成された測距データでは、各走査角度における距離値は無限遠と認識されるので、予め設定された擬似値となる。
また、監視用センサ2が下方へ向けて回転させられると、探査信号もまた監視用センサ2から下方へ向けて照射されることになる。この場合、例えば、図5(b)において点線の矢印で示される探査信号は、円弧220で示される位置で地面に突き当たる。そして監視用センサ2から円弧220までの距離は、監視用センサ2から各物体211〜218までの距離よりも近い。そのため、この場合に生成された測距データでは、各走査角度における距離値は、基準データに記録された距離値よりも小さい値となる。
【0051】
このように、監視用センサ2の向きが、探査面に対して垂直な方向に変えられると、測距データに含まれる各走査角度における距離値は、設置時の値よりも全体的に大きくなるか、あるいは全体的に小さくなる。さらに、監視用センサ2の向きが探査面に対して垂直な方向に変化することで、探査信号を反射する物体も異なる物体になるか、反射する物体そのものがなくなるので、基準データと、監視用センサ2の向きが変わった後に生成された測距データとの相関性は小さい。
そこで、縦向き変化判定部243は、走査方位ごとに、現在の走査で作成された測距データに含まれる距離値と基準データに含まれる距離値との差を求め、距離値に差があると認められる走査方位数が一定数以上となる状態が所定期間継続したことを検出することで、探査面と垂直な方向に監視用センサ2の向きが変化したことを検出する。
【0052】
図6は、縦向き変化判定部243により実行される縦向き変化判定処理の動作を示すフローチャートである。なお、縦向き変化判定部243は、横向き変化異常が検出されていない場合において、最新の測距データを受け取る度に以下の縦向き変化判定処理を実行する。
【0053】
縦向き変化判定部243は、最新の測距データ及び記憶部23から読み出した基準データに対して、未だに着目されていない走査方位の中から着目する両データで同一の走査方位を設定する(ステップS301)。そして縦向き変化判定部243は、着目する走査方位について、最新の測距データに含まれる距離値と基準データに含まれる距離値との差の絶対値を算出する(ステップS302)。
【0054】
縦向き変化判定部243は、その差の絶対値が所定の閾値以上か否か判定する(ステップS303)。なお、所定の閾値は、例えば、基準データに含まれる、着目する走査方位の距離値の80%の値とすることができる。その差の絶対値が所定の閾値以上であれば、縦向き変化判定部243は、着目する走査方位に対応する変化フラグの値を、距離値に差異が認められることを示す値(本実施形態では、便宜上'ON'と表記する)に設定する(ステップS304)。
ステップS304の後、またはステップS303にて距離値の差の絶対値が所定の閾値未満であれば、基準データ及び測距データにおいて距離値が求められている全ての走査方位が既に着目する走査方位に設定されたか否か判定する(ステップS305)。何れか一つの走査方位でも着目する走査方位に設定されていない場合、縦向き変化判定部243は、ステップS301以降の処理を繰り返す。
【0055】
一方、全ての走査方位が既に着目する走査方位に設定されている場合、縦向き変化判定部243は、'ON'に設定された変化フラグの数を求める(ステップS306)。そして縦向き変化判定部243は、'ON'に設定された変化フラグの数が、変化フラグの総数、すなわち、基準データに含まれる走査方位の総数の所定割合(距離値が変化した走査方位数に対する所定閾値)以上か否か判定する(ステップS307)。なお、所定割合は、例えば、少なくとも過半数(50%)よりも大きい値、例えば、80%に設定される。
変化フラグの総数に対する'ON'に設定された変化フラグの数の割合が所定割合以上である場合、すなわち、測距データに含まれる走査方位の総数に対する距離値が変化したことが検知された走査方位の数の割合が所定割合以上である場合、縦向き変化判定部243は、探査面に対して垂直な方向に監視用センサ2の向きが変わったと判定する。そして縦向き変化判定部243は、探査面に対して垂直な方向に監視用センサ2の向きが変わったと最初に判定されてからの継続時間を計時中か否か判定する(ステップS308)。継続時間を計時中でなければ、縦向き変化判定部243は、タイマを起動し、探査面に対して垂直な方向に監視用センサ2の向きが変わったと最初に判定されてからの継続時間の計時を開始する(ステップS309)。また縦向き変化判定部243は、記憶部23に記憶されている縦向き変化判定フラグの値を、探査面に対して垂直な方向に監視用センサ2の向きが変化したことを表す値(以下では、便宜上'ON'と表記する)に書き換える。
【0056】
ステップS309の後、あるいはステップS308にて継続時間が既に計時中である場合(ステップS308−Yes)、縦向き変化判定部243は、その継続時間が所定時間に達したか否か判定する(ステップS310)。なお、所定時間は、強風などの自然要因による一時的な監視用センサ2の向き変化が生じる最大期間、例えば1分間に設定される。そして継続時間が所定時間に達していれば、すなわち、その所定時間の間、継続して監視用センサ2の向きが探査面に対して垂直な方向に変化したままとなっている場合、縦向き変化判定部243は、縦向き変化異常が生じたと判定する(ステップS311)。そして縦向き変化判定部243は縦向き変化異常信号を生成し、制御部24へ渡す。
ステップS311の後、あるいはステップS310にて、継続時間が所定時間に達していない場合、縦向き変化判定部243は縦向き変化判定処理を終了する。
【0057】
またステップS307にて、変化フラグの総数に対する'ON'に設定された変化フラグの数の割合が所定割合未満である場合、縦向き変化判定部243は、監視用センサ2の向きは、探査面に対して垂直な方向には変化していないと判定する。そして縦向き変化判定部243は、継続時間の計時を終了し、タイマをリセットする(ステップS312)。また縦向き変化判定部243は、縦向き変化判定フラグの値を、監視用センサ2の向きが探査面に対して垂直な方向には変化が無いことを表す値(以下では、便宜上'OFF'と表記する)に書き換える。そして縦向き変化判定部243は、縦向き変化異常が検出されていないことを制御部24へ通知する。これにより、縦向き変化判定部243は、例えば、強風によって瞬間的に監視領域内の植栽などが移動したり、監視用センサ2自体が揺れることによる測距データの変動を、監視用センサ2の向きが変化したことと誤認識することを防止できる。
その後、縦向き変化判定部243は縦向き変化判定処理を終了する。
【0058】
図7は、制御部24により実行される物体検出処理の動作を示すフローチャートである。制御部24は、検知部21による監視領域の1回の走査が終わる度に物体検出処理を実行する。
制御部24は、検知部21から測距データを受け取る(ステップS401)。そして制御部24は、測距データを記憶部23に記憶する。また制御部24は、測距データを侵入判定部241及び横向き変化判定部242へ渡す。
侵入判定部241は、侵入判定処理を実行する(ステップS402)。そして侵入判定部241は、監視領域内に侵入した不審物体を検出すると、侵入異常信号を生成し、制御部24へ渡す。制御部24は、侵入異常信号を受け取ったことを示すフラグを記憶部23に記憶する。また侵入判定部241は、侵入異常が生じていないと判定すると、侵入異常が無いことを制御部24へ通知する。そして制御部24は、その通知を受けた時刻を、侵入異常に関する正常復帰時刻として記憶部23に記憶する。なお、侵入判定処理の詳細は、図3とともに上述したとおりである。
【0059】
次に、横向き変化判定部242は、横向き変化判定処理を実行する(ステップS403)。なお、横向き変化判定処理の詳細は、図4とともに上述したとおりである。その後、制御部24は、横向き変化判定処理によって横向き変化異常が検出されたか否か判定する(ステップS404)。横向き変化異常が検出された場合、制御部24は、横向き変化判定部242から横向き変化異常を受け取ったことを示すフラグを記憶部23に記憶するとともに、探査面に対して垂直な方向における監視用センサ2の向きの変化が最初に検知されてからの継続時間の計時を停止し、タイマをリセットする(ステップS405)。なお、探査面に対して垂直な方向における監視用センサ2の向きの変化が検知されていなければ、制御部24はステップS405において上記のタイマリセットは行わなくてもよい。
一方、横向き変化異常が検出されていない場合、制御部24は、横向き変化判定部242からこの旨の通知を受けた時刻を横向き変化異常に関する正常復帰時刻として記憶部23に記憶するとともに、最新の測距データを縦向き変化判定部243へ渡す。そして縦向き変化判定部243は、縦向き変化判定処理を実行する(ステップS406)。縦向き変化判定部243は、縦向き変化異常が生じたと判定すると、縦向き変化異常信号を生成し、制御部24へ渡す。制御部24は、縦向き変化異常信号を受け取ったことを示すフラグを記憶部23に記憶する。なお、縦向き変化判定処理の詳細は、図6とともに上述したとおりである。また、縦向き変化判定部243にて、監視用センサ2が探査面に対して垂直な方向には変化していないと判定された場合、制御部24は、縦向き変化判定部243からこの旨の通知を受けた時刻を縦向き変化異常に関する正常復帰時刻として記憶部23に記憶する。
【0060】
ステップS405またはS406の後、制御部24は、各部から受け取った侵入異常信号、横向き変化異常信号または縦向き変化異常信号などの異常信号のうち、未出力の異常信号があるか否か判定する(ステップS407)。例えば、制御部24は、受け取った異常信号ごとに、記憶部23に記憶されている、異常信号の前回送信時刻及び正常復帰時刻を参照する。そして制御部24は、前回送信時刻後(初期状態においては初期時刻後)に正常復帰時刻が記録されていない異常信号を、未出力の異常信号とする。
未出力の異常信号がある場合、制御部24は、その未出力の異常信号を通信部22を介して警備装置3へ出力する(ステップS408)。そして制御部24は、その出力時刻を、出力した異常信号に対応する前回送信時刻として記憶部23に記憶する。
ステップS408の後、あるいはステップS407にて未出力の異常信号がない場合、制御部24は、物体検知処理を終了する。
なお、ステップS402とS403〜S406の処理の実行順序は上記に限定されず、ステップS402よりも先にS403〜S406の処理が実行されてもよい。
【0061】
さらに、制御部24は、監視用センサ2が正常動作中か故障中かを表すセンサ状態情報を含むセンサ状態信号を、定期的あるいは不定期的に、通信部22を介して警備装置3へ送信してもよい。
【0062】
図8は、警備装置3の概略構成図である。警備装置3は、操作部31と、センサインターフェース部32と、記憶部33と、制御部34と、センタ通信部35とを有する。
【0063】
操作部31は、例えば、複数の操作ボタンを有する。そしてその操作ボタンの何れかを利用者が押下することにより、操作部31はその操作ボタンに割り当てられた所定の操作信号、または利用者の識別番号及び暗証番号といった各種の入力情報を制御部34へ出力する。そして利用者は、操作部31を操作することで、監視対象建物の警備状態を表す警備モードを変更できる。なお、警備モードの詳細については後述する。
【0064】
センサインターフェース部32は、警備装置3と監視用センサ2とを通信可能に接続する。そのために、センサインターフェース部32は、例えば、警備装置3と監視用センサ2とを接続する通信回線4に応じたインターフェース回路を有する。そしてセンサインターフェース部32は、各種の異常信号及び監視用センサ2の識別コードなどを監視用センサ2から通信回線4を介して受信し、制御部34へ渡す。
また警備装置3は、センサインターフェース部32を介して、監視対象建物またはその周囲に設置された他のセンサ、例えば、建物の出入口に設置される開閉センサ、建物内に設置される人感センサと接続されていてもよい。この場合、センサインターフェース部32は、他のセンサからの異常信号を受信して、制御部34へ渡してもよい。
さらにセンサインターフェース部32は、監視用センサ2または他のセンサから、そのセンサが正常動作中か故障中かを表すセンサ状態情報を含むセンサ状態信号を、定期的あるいは不定期的に受信し、そのセンサ状態情報を記憶部33に記憶させてもよい。
【0065】
記憶部33は、例えば、不揮発性の半導体メモリなどを有し、警備装置3で利用される各種の情報及びプログラムを記憶する。
例えば、記憶部33は、現在設定されている警備モードを表す警備モード情報、警備装置3の識別番号または警備装置3が設置された監視対象建物の識別番号、利用者の識別番号及び暗証番号を記憶する。また記憶部33は、何れかの監視用センサ2から受信した各種異常信号及びその異常信号の受信時刻と、異常信号を発した監視用センサ2の識別番号とを関連付けた異常検知ログを記憶してもよい。さらに記憶部33は、警備装置3に接続された各監視用センサ2の現状態を表す現状態情報を記憶してもよい。この現状態情報は、例えば、監視用センサ2が侵入異常または横向き変化異常若しくは縦向き変化異常が検出された状態となっているか、または何の異常も検知されていない正常状態となっているかを表す。さらに記憶部33は、センサ状態情報を記憶してもよい。
【0066】
制御部34は、少なくとも一つのプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部34は、警備装置3の各部を制御する。また制御部34は、異常処理部341と、操作部31からの操作信号に従って警備モードを設定するモード設定部342とを有する。
【0067】
異常処理部341は、現在設定されている警備モードにしたがって異常処理を行う。
本実施形態では、警備モードには、警備セットモードと警備解除モードが含まれる。
警備セットモードは、例えば、夜間、休日など、警備システム1が設置された建物及びその周囲に設定された監視領域を含む監視区域が無人となるときに設定される。
異常処理部341は、記憶部33に記憶されている警備モード情報が警備セットモードであることを示している場合、何れかの監視用センサ2または他のセンサから何らかの異常信号を受信したとき、受信した異常信号と、警備装置3または警備装置3が設置された建物の識別コードとを含む異常通報信号を生成する。そして異常処理部341は、センタ通信部35を介して監視センタ装置6へ異常通報信号を送信する。また異常処理部341は、記憶部33に記憶されている異常検知ログに、受信した異常信号に関する情報を書き込む。また異常処理部341は、記憶部33に記憶されている現状態情報を、受信した異常信号に応じて修正する。あるいは、異常処理部341は、操作部31を介して何れかの監視用センサ2の異常が解消されたことを示す操作信号を受信した場合、その監視用センサ2に対応する現状態情報を、正常状態であることを示すように修正してもよい。
【0068】
一方、警備解除モードは、例えば、平日の昼間など、監視区域内に正当な権限を有する利用者が居る場合に設定される。異常処理部341は、記憶部33に記憶されている警備モード情報が警備解除モードであることを示している場合、何れかの監視用センサ2または他のセンサから何らかの異常信号を受信すると、記憶部33に記憶されている異常検知ログに、受信した異常信号に関する情報を書き込む。しかし異常処理部341は、監視センタ装置6への異常通報信号を送信しない。また異常処理部341は、記憶部33に記憶されている現状態情報を修正しない。ただし、異常処理部341は、現在の警備モードが警備解除モードである場合でも、何れかの監視用センサ2から横向き変化異常信号または縦向き変化異常信号を受け取った場合は、その向き変化異常信号を含む異常通報信号を生成し、その異常通報信号を監視センタ装置6へ送信してもよい。これにより、警備装置3は、警備解除モード設定中に監視用センサ2の向きを変える妨害行為が行われることにより監視用センサ2が監視不能となった場合でも、その旨を監視センタ装置6へ通報できるので、警戒解除モード設定中に監視用センサ2に生じた向き変化異常の原因を警備員などに確認させることが可能となる。
【0069】
モード設定部342は、操作部31からの操作信号に従って警備モードを設定する。具体的には、モード設定部342は、操作部31から受け取った利用者の識別番号及び暗証番号が、記憶部33に記憶されている何れかの利用者の識別番号及び暗証番号と一致すると、警備モードの変更を許可する。そしてモード設定部342は、警備モードの変更が許可された状態で、操作部31から警備モードを警備セットモードにする操作信号を受け取ると、記憶部33に記憶されている警備モード情報を警備セットモードを表す値に書き換える。一方、モード設定部342は、警備モードの変更が許可された状態で、操作部31から警備モードを警備解除モードにする操作信号を受け取ると、記憶部33に記憶されている警備モード情報を警備解除モードを表す値に書き換える。
【0070】
なお、記憶部33が、センサ状態情報を記憶している場合、モード設定部342は、そのセンサ状態情報を参照して、各センサが正常動作している場合に限り警備モードを警備セットモードに設定してもよい。さらに、モード設定部342は、何れかの監視用センサ2について横向き変化異常または縦向き変化異常が発生している場合、警備解除モードから警備セットモードに変更することを禁止してもよい。そしてセンサ状態情報が、何れかのセンサが故障中であることを表している場合、あるいは、横向き変化異常または縦向き変化異常が発生している場合、モード設定部342は、図示しないモニタまたはスピーカを通じて、警備セットモードに設定できないこと、及び故障中であるセンサまたは横向き変化異常または縦向き変化異常が発生している監視用センサ2を通知してもよい。
【0071】
センタ通信部35は、警備装置3を公衆通信回線5に接続するためのインターフェース回路を有する。そしてセンタ通信部35は、例えば、監視センタ装置6へ異常通報する場合、制御部34の制御に従って、警備装置3と監視センタ装置6間の接続処理を行う。そしてセンタ通信部35は、警備装置3と監視センタ装置6間で接続が確立された後、制御部34から受け取った異常通報信号を公衆通信回線5を介して監視センタ装置6へ送信する。センタ通信部35は、異常通報信号の送信が終わると、警備装置3と監視センタ装置6間の接続を開放する処理を行う。
【0072】
以上説明してきたように、本発明の一つの実施形態に係る監視用センサは、探査面に対して平行な方向と垂直な方向の両方について監視用センサの向きが変わったことを検出できるので、監視用センサの向きがどのように変えられても妨害行為を検出できる。またこの監視用センサは、探査面に対して平行な方向に監視用センサの向きが変化すると、向き変化の前後に取得された測距データ間で、走査角度を変えながらパターンマッチングすれば一致するところがある点に着目して、横向き変化異常が生じたか否かを判定する。一方、この監視用センサは、探査面に対して垂直な方向に監視用センサの向きが変化すると広範囲にわたって探査信号を反射する物体までの距離が変化する点に着目して、縦向き変化異常が生じたか否か判定する。このように、この監視用センサは、探査面に平行な方向と垂直な方向とで、それぞれに適した方法で監視用センサの向きが変わったことを検出するので、それぞれの方向において監視用センサの向きが変わったか否かを正確に判定できる。
【0073】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、横向き変化判定部は、横向き変化異常が生じたか否かを判定するために、検出された変位角度において、監視領域全体の面積Sに占める、監視領域内で探査信号が照射される領域である監視可能領域の面積Spの割合を調べてもよい。この場合、監視可能領域の面積Spは、例えば、次式によって算出される。
【数2】

ここでpは、隣接する走査角度間の間隔(角度単位、例えば、0.25°)である。Mは、補正後の監視領域情報に含まれ、かつ、監視領域の角度範囲及び監視用センサの走査範囲に相当する角度範囲に含まれる、距離値が求められた走査角度の総数である。例えば、監視領域及び走査範囲の角度範囲が±90°であり、変位角度が+30°であれば、補正後の監視領域情報及び走査範囲に含まれる走査角度の範囲は-60°から+90°の範囲となる。従って、Mは、((90-(-60))/p+1)となる。diは、補正後の監視領域情報に含まれるi番目の走査角度についての距離値である。また、監視領域全体の面積Sは、(2)式における各走査角度の距離値diの代わりに、補正前の監視領域情報に含まれる各走査角度の距離値を代入することで求められる。
この場合、横向き変化判定部は、例えば、監視領域全体の面積Sに占める監視可能領域の面積Spの割合が所定割合(例えば、50%)以下となったとき、あるいは監視領域全体の面積Sに占める監視可能領域の面積Spの割合が所定割合以下となった状態が所定期間継続すると、横向き変化異常が生じたと判定する。
【0074】
あるいは、横向き変化判定部は、連続して取得される測距データ同士で角度方向の距離値のエッジなどの距離値の特徴点が一致する角度方向のずれを検出して、一致度として特徴点ごとのずれている方向が一致する割合を求めて閾値処理し、左右何れの方向にずれているかを判定して監視用センサが回転している最中の状態を検知することで、探査面に沿って監視用センサの向きが変化したことを検出してもよい。
また、縦向き変化判定部は、連続して取得される複数の測距データの同一方位において距離値が連続的に増加(または減少)する走査方位の数を検出し、この検出した走査方位の数が走査範囲における全走査方位数の少なくとも過半数以上である閾値を超えると、探査面に対して垂直に監視用センサの向きが変化したことを検出してもよい。
【0075】
また、横向き変化判定部において、最新の測距データについて求めた最小の相違度が、上記の閾値Thd以下であり、かつ、最小の相違度に対応する変位角度が実質的に監視用センサの向きが変化していないことを示す値(例えば、変位角度が5°以下である場合)、監視用センサの向きはどの方向にも変化していない可能性が高い。そこでこのような場合、監視用センサの制御部は、処理負荷を軽減するために、その最新の測距データについて縦向き変化判定処理を行わなくてもよい。
【0076】
また監視用センサの制御部は、処理負荷を軽減したり、あるいは横向き異常の誤判定を防止するために、縦向き変化判定処理を横向き変化処理よりも先に行って、監視用センサが探査面に対して垂直な方向には回転していないと判定された場合(図6のステップS307でNoと判定された場合)に、走査角度の総数に対する測距データと基準データ間で距離値の差がある走査角度の数の割合が第2の所定割合(例えば、20%)以上となったときに、横向き変化判定処理を実行するようにしてもよい。
【0077】
さらにまた、縦向き変化判定部は、図6のステップS311において、走査角度ごとに最新の測距データの距離値から基準データの距離値を減算した値の平均値が正の値であれば、監視用センサが上方に向けて回転移動させられたと判定し、一方、その平均値が負の値であれば、監視用センサが下方に向けて回転移動させられたと判定してもよい。そして縦向き変化判定部は、上方または下方に向けて回転したとの判定結果を制御部へ通知してもよい。
また検知部は、近赤外光線以外の探査信号、例えば、可視光線、超音波、またはミリ波などを探査信号として照射するものでもよい。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 警備システム
2 監視用センサ
3 警備装置
4 通信回線
5 公衆通信回線
6 監視センタ装置
21 検知部
22 通信部
23 記憶部
24 制御部
25 筺体
26 監視窓
211 レーザ発振部
212 走査鏡
213 駆動部
214 受光部
215 測距データ生成部
241 侵入判定部
242 横向き変化判定部(第1の向き変化判定部)
243 縦向き変化判定部(第2の向き変化判定部)
31 操作部
32 センサインターフェース部
33 記憶部
34 制御部
35 センタ通信部
341 異常処理部
342 モード設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を監視する監視用センサであって、
前記監視領域の一端から他端までを含む走査範囲を探査信号で走査して、前記走査範囲内に存在する物体により反射された探査信号を受信することにより、複数の走査方位と該複数の走査方位のそれぞれに対応する前記物体までの距離とを対応付けた測距データを生成する検知部と、
過去の測距データを基準データとして記憶する記憶部と、
現在の測距データと前記基準データとを走査方位の角度方向に沿ってずらしながら比較して、当該現在の測距データと前記基準データとの間で、前記監視領域内の同一物体に対応する走査方位がずれていることを検出すると、前記探査信号が走査される探査面に平行な方向において前記監視用センサの向きが変化したと判定する第1の向き変化判定部と、
前記現在の測距データと前記基準データにおける同一走査方位間で距離値を比較して、距離値が変化した走査方位の数が所定閾値を超えると、前記探査面に平行な方向とは異なる方向において前記監視用センサの向きが変化したと判定する第2の向き変化判定部と、
を有することを特徴とする監視用センサ。
【請求項2】
前記検知部は、一定周期で前記測距データを生成し、
前記第2の向き変化判定部は、前記測距データが生成される度に前記距離値が変化した走査方位の数を求め、当該走査方位の数が全走査方位数の少なくとも過半数以上である前記所定閾値を超える期間が所定期間にわたって継続すると、前記探査面に平行な方向とは異なる方向において前記監視用センサの向きが変化したと判定する、請求項1に記載の監視用センサ。
【請求項3】
前記第2の向き変化判定部は、前記第1の向き変化判定部が前記監視用センサの向きが変化したと判定しない場合に、前記探査面に平行な方向とは異なる方向において前記監視用センサの向きが変化したか否かを判定する、請求項1または2に記載の監視用センサ。
【請求項4】
前記第1の向き変化判定部は、前記現在の測距データと前記基準データとの間で比較する距離値を角度方向に相対的に所定角度ずつずらしながら比較する距離値の差の統計量を前記現在の測距データと前記基準データとの相違度として算出し、当該相違度が最小となる角度ずれ量を前記監視用センサの変位角度として検出し、
前記第2の向き変化判定部は、前記相違度の最小値が前記現在の測距データと前記基準データとが一致しないことに相当する値となる場合、または前記変位角度が前記探査面に平行な方向における前記監視用センサの向き変化として検出される最小値未満となる場合に限り、前記探査面に平行な方向とは異なる方向において前記監視用センサの向きが変化したか否かを判定する、請求項1〜3の何れか一項に記載の監視用センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32918(P2012−32918A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170392(P2010−170392)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】