監視装置、画像形成装置、それらを接続したシステム、及びその監視方法
【課題】縮退動作により停止する機能に対してユーザが即座に復旧することを望んでいるであろう場合には、優先的な対応作業を可能とするよう対応優先度を決定する。
【解決手段】画像形成装置を監視する監視装置は、画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信し、縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定し、決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録し、登録された縮退情報及び関連付けられた優先度を出力する。ここで受信した利用情報が受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、縮退情報に対応する優先度を受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【解決手段】画像形成装置を監視する監視装置は、画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信し、縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定し、決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録し、登録された縮退情報及び関連付けられた優先度を出力する。ここで受信した利用情報が受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、縮退情報に対応する優先度を受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を監視する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置の保守を目的として、画像形成装置で発生する動作障害を常時監視するシステムが存在している。このシステムでは、発生した動作障害の情報を画面表示などを通じて保守作業者へ提供し、保守作業の実施を促すことを行っている。複数の画像形成装置で動作障害が同時期に発生した場合、通常保守作業者は動作障害の発生順、若しくは障害内容によって予め決めている優先順位に従って保守作業を実施する。更に、画像形成装置の貢献度を利用ユーザ数、ユーザ毎の重要度、提供機能毎の重要度で重み付けして判断し、その貢献度に従って保守作業の順番を決定する方法が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。この方法によれば、動作障害が発生する以前の画像形成装置の使用状況を元にして、保守作業の順番を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−313130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年の画像形成装置では、一部の機能で障害が発生しやすい状態にある場合などに、その機能のみを停止し、それ以外の機能は継続的に使用できるようにしたものがある。このように画像形成装置において、特定の機能の提供を停止し、それ以外の機能を提供する動作を縮退動作と呼ぶ。保守作業者は、縮退動作中の画像形成装置に関しても通常通り機能が提供できるよう、停止している機能に関する保守作業を行う必要がある。
【0005】
また、保守作業者は、通常、多数の画像形成装置を担当している。こういった場合、障害で全ての機能が停止している画像形成装置と、縮退動作中の画像形成装置とが同時に保守対象になることがあり得る。しかしながら前述した従来技術では、縮退動作中の画像形成装置に関しては想定しておらず、的確な保守作業の優先順位を決定することはできない。
【0006】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、縮退動作が可能な画像形成装置を含むシステムにおいて、的確な保守作業の優先順位を決定する手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記受信手段により受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
優先度決定手段は、前記受信手段により受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【0008】
あるいは他の観点によれば本発明は以下の構成を有する。上記監視装置と接続された、機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置であって、
縮退モードで動作する場合に、縮退モードで動作していることを示す縮退情報を前記監視装置へ送信する手段と、
利用者により行われた操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された操作を利用情報として前記監視装置に送信する手段とを備える。
【0009】
あるいは他の観点によれば本発明は以下の構成を有する。縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムであって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
優先度決定手段は、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、縮退動作が可能な画像形成装置を含むシステムにおいて、保守作業を行う際に対するユーザの使用状況に応じて、的確な保守の優先度を決定することができる。そして、その優先度に従って保守作業を実施することが可能となるため、ユーザの満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るシステム全体を示す構成図
【図2】画像形成装置100内のコントローラ200のハードウェア構成を示す図
【図3】監視装置101のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】画像形成装置100と監視装置101間の通信のシーケンスを表す図
【図5】画像形成装置100内のコントローラ200の機能ブロック構成を表す図
【図6】動作状態を検知した際の画像形成装置100の処理フロー図
【図7】使用形跡情報を検知した際の画像形成装置100の処理フロー図
【図8】縮退定義テーブル800を示す図
【図9】縮退管理テーブル900を示す図
【図10】監視装置101内の機能ブロック構成を表す図
【図11】監視装置101の処理フロー図
【図12】使用状況管理テーブル1200を示す図
【図13】イベント管理テーブル1300を示す図
【図14】障害情報画面1400の表示例を示す図
【図15】監視装置101が画像形成装置100から使用状況情報、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
<システム構成>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシステム全体を示す図である。この図において、画像形成装置100は、具体的にはネットワークプリント機能やファクシミリ機能、コピー機能等を併せ持つ複合複写機である。本図では、複数の画像形成装置100と、画像形成装置の動作状態を監視する監視装置101とがネットワーク102(以下、LANと呼ぶ)に接続されている。画像形成装置100は、LAN102を介して受信する画像データを印刷したり、状態を監視装置101へ通信したりするよう動作する。なお、監視装置101がインターネットを介した外部ネットワーク上にあり、画像形成装置100と監視装置101とがインターネットを介して接続された構成であってもよい。
【0013】
<画像形成装置の制御部ハードウエア構成>
図2は、画像形成装置100内で装置全体の制御を司るコントローラ200のハードウェア構成を表す図である。コントローラ200の各構成要素は、システムバス215及び画像バス216に接続されている。CPU207は画像形成装置100全体の制御を行う。CPU207は、HDD219に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行し、画像形成装置100としての全般の処理を行う。本実施形態の説明にて画像形成装置100が行う処理として述べるものは、全てこのCPU207の制御によるものである。
【0014】
ROM204には基本I/Oプログラム等のプログラムが格納されており、コントローラ200起動時にCPU207はこのROM204から基本I/Oプログラムを読み出して実行する。RAM205は、プログラムを実行するためのワークメモリエリアであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。蓄積メモリ206は不揮発性メモリであり、画像形成装置100の再起動後も保持しておく必要のある情報を記憶する。この情報とは、各種動作モード設定やアドレス帳、カウンタ値、個々の画像形成装置100を識別するためのデバイスID、製品名などである。HDD219はハードディスクドライブであり、画像形成装置100内で扱う画像データの大量蓄積や、エラー/ジャム/アラームなどの障害情報、画像形成装置100の制御プログラムの記憶に用いる。Network I/F202は、LAN102と接続するためのインターフェース部であり、LAN102を介してPC(Personal Computer)や監視装置101などの外部機器と通信を行う。回線I/F部203は、ISDN網や公衆電話網(以下、WAN214と呼ぶ)に接続され、ROM204内の通信制御プログラムにより制御され、遠隔の端末とデータの送受信を行う。FAXの送受信もこの回線I/F部203を使用して行う。操作部201には表示手段やキー入力手段が内蔵されており、これらはCPU207にて制御される。操作者は、キー入力手段を通してスキャナ読み取りやプリント出力に関する各種設定指示や、作動/停止指示を行う。また、前述の蓄積メモリ206やHDD219に記憶している情報を操作部201に表示するための指示を行う。以上の構成要素がシステムバス215上に配置される。
【0015】
IO制御部208は、システムバス215と画像データを高速で転送する画像バス216とを接続するためのバスブリッジである。画像バス216上には以下の機能部が配置される。デジタルI/F部211は、画像形成装置100のスキャナ部217やプリンタ部218とコントローラ200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、スキャナ部217やプリンタ部218内の各所に配置した前述の各種センサが検出した情報は、このデジタルI/F部211、及びIO制御部208を介してシステムバス215へ流れる。画像処理部209は、入力及び出力画像データに対し補正/加工/編集を行う。画像回転部210は画像データの回転を行う。画像圧縮伸長部212は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG/MMR/MR/MHの圧縮伸張処理を行う。画像密度変換部213は、出力用画像データに対して解像度変換等を行う。
【0016】
なお制御部以外には、スキャナ部、プリンタ部、通信部(ファクシミリ送受信およびデータ送受信)があり、これらが制御部により制御されている。また画像形成装置の使用は、不図示の操作パネルから行われる他、通信で接続されたコンピュータ等を等して可能である。コンピュータからは、リモートプリントやリモートスキャン、ファクシミリ送信や後述するボックス送受信等が可能である。画像形成装置はまた、ネットワークなどから受信あるいはスキャンした文書データをハードディスク等の記憶媒体(ボックス)に格納するボックス機能と呼ばれる機能を持つ。ボックス機能とさらにスキャナ部とプリンタ部とを用いたファクシミリ送受信、及びボックスから文書データを送信あるいは印刷することが可能である。これらボックスからの送受信をボックス送受信と呼ぶ。またスキャナには、原稿を載置するプラテンが備えられ、スキャナは、プラテン上に原稿圧板で固定された原稿を、移動する光学系でスキャンする圧板スキャンと、自動用紙搬送機構(ADF)に載置した原稿を搬送しつつ固定された光学系でスキャンするADFスキャンとが可能である。さらに、ADFには原稿センサが設けられ、また圧板の開閉を検知する圧板開閉センサも設けられている。これらセンサにより原稿の載置あるいは圧板の開閉が検知されると、その検知結果は後述する使用形跡情報として監視装置に送信される。
【0017】
<縮退動作>
画像形成装置には、「縮退動作」が可能である。縮退とは、たとえば障害の発生や、発生しやすいと想定される機能がある場合に、それを操作不能とする機能すなわち提供を停止させる機能であり、障害の発生の有無に関わらず管理者などの操作に応じて実行される。また、本実施形態ではある機能の障害の発生に応じて、画像形成装置で他の機能が利用可能な場合に自動的に画像形成装置の縮退動作が発動されるものとしている。なお、縮退動作している状態(動作モード)を縮退モードとも呼ぶ。これに対して提供する全ての機能が利用可能な動作モードを通常モードと呼び、縮退動作の原因となった障害を解消して通常モードに復帰させることを、縮退の解消と呼ぶ。
【0018】
<監視装置のハードウェア構成>
図3は、監視装置101のハードウェア構成を示す図である。CPU301は監視装置101全体の制御を行う。CPU301は、ハードディスクコントローラ312を介してバス305に接続されたHDD308に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行し、監視装置101としての全般の処理を行う。監視装置101は、例えば汎用コンピュータに監視装置として機能させるためのプログラムを実行させることで実現できる。すなわち、本実施形態の説明にて画像形成装置100が行う処理として述べるものは、全てこのCPU301の制御によるものである。
【0019】
ROM302には基本I/Oプログラム等のプログラムが格納されており、監視装置101起動時にCPU301はこのROM302から基本I/Oプログラムを読み出して実行する。RAM303は、プログラムを実行するためのワークメモリエリアである。Network I/F部304は、画像形成装置100とLAN102を介して通信を行うためのNetwork I/F部である。表示制御部306は、その先に接続されるモニタ309への画面表示を制御する。入力制御部307は、その先に接続されるポインティングデバイス310とキーボード311からの入力制御を行う。そして、これらのハードウェアがシステムバス305上に配置された構成をとっている。
【0020】
<画像形成装置から監視装置への通報>
図4は、画像形成装置100から監視装置101に対する通信のシーケンスを表す図である。この図に示す全ての通信は、画像形成装置100のNetwork I/F202、若しくは回線I/F部203を介して行う。
【0021】
画像形成装置100は、ユーザにより使用される様々な機能の使用量を、機能毎に使用した用紙の枚数などで計数したカウンタの形式で、使用状況情報として、常時管理している。ここで述べる様々な機能とは、具体的には以下のものを指す。
・スキャナ部217の自動原稿送り装置(以後、ADFと呼ぶ)を使用して原稿をスキャンするADF Scan機能(自動用紙搬送スキャン機能)
・ADFを用いずにスキャナ部217の原稿台に置かれた原稿をスキャンする圧板スキャン機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をファクシミリ送信(FAX送信)するFAX Send機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をE−mail送信やFTP送信によりLAN102を介して機器外へ送信するScan Send機能
・HDD219内に蓄積した画像データをE−mail送信やFTP送信によりLAN102を介して機器外へ送信するBOX Send機能
・ファクシミリ受信(FAX受信)した画像データをHDD219内に蓄積するFAX Receive機能
・LAN102を介して機器外から受信した画像データをHDD219内に蓄積するNetwork Receive機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するCopy機能(複写機能)
・Fax受信した画像データをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するFAX Print機能
・LAN102を介して機器外から受信したデータをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するNetwork Print機能
・HDD219内に蓄積した画像データをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するBOX Print機能
なお、本例では、Scan Send機能とBOX Send機能とを合わせてデータ送信とも呼ぶ。
【0022】
さて図4に戻ると、画像形成装置100は、予め定められた通信スケジュール設定に従って使用状況情報401を定期的に監視装置101へ送出する。画像形成装置100は、各個体を一意に特定するためのID(例えば、機番)を予め蓄積メモリ206内に保持している。画像形成装置100は、使用状況情報の送出の際には機番も同時に送出する。
【0023】
また画像形成装置100は、内部で動作エラーが発生した際、エラー情報402として、機番、エラー発生日時、エラー内容を監視装置101へ送出する。
【0024】
更に画像形成装置100は、内部で発生した動作エラーや特定の操作などにより縮退動作を行う際、その縮退情報403として、機番、縮退発生日時、縮退内容を監視装置101へ送出する。
【0025】
画像形成装置100における、具体的な縮退動作の例として、ADF縮退、Scanner縮退、FAX縮退、Printer縮退の4種類のモードがある。ADF縮退とは、前述したADFスキャン機能およびそれを伴う複合的な機能の提供を停止するよう動作するモードである。Scanner縮退とは、スキャナ部217によるスキャン動作およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。FAX縮退とは、回線I/F部203を介したFAX通信機能およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。Printer縮退とは、プリンタ部218での印刷機能およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。
【0026】
続いて、図4のシーケンス中の404で示す使用形跡情報の送出について説明する。画像形成装置100は、利用者によって機能が使用されたり、何らかの操作が行われたりした場合、それらのうちの特定の機能や操作の内容を使用形跡として検知して使用形跡情報として送出する。この使用形跡情報の送出は、縮退動作を行っている間のみ行うよう動作する。
【0027】
ここで、使用形跡情報の具体的な内容について図8を用いて詳細に説明する。図8は、前述した画像形成装置100の4種類の縮退動作の種別と、各縮退動作において使用を停止する機能すなわち提供が停止される機能と、各縮退動作中に送出する使用形跡情報との関係を模式的に示した例である。この情報を縮退定義テーブル800と呼ぶ。
【0028】
画像形成装置100及び監視装置101は、縮退定義テーブル800をそれぞれのHDD内に保持している。縮退定義テーブル800の縮退機能種別802において"●"を付けているのは、各縮退動作において使用を停止する対象機能を表している。具体的には、ADF縮退においては、ADFを使用するADF Scan機能のみが使用を停止する対象機能となる。Scanner縮退においては、スキャナ部217によるスキャンを使用する機能としてADF Scan機能、圧板Scan機能、FAX Send機能、Scan Send機能、Copy機能が使用を停止する対象機能となる。FAX縮退においては、FAX送受信機能であるFAX Send機能とFAX Receive機能が使用を停止する対象機能となる。Printer縮退においては、プリンタ部218による印刷出力を行うCopy機能、FAX Print機能、Network Print機能、Box Print機能が使用を停止する対象機能となる。
【0029】
また、使用形跡情報とは、各縮退動作において使用を停止している機能に関する操作をユーザが行った形跡、若しくは停止している機能の代替となる機能をユーザが使用した結果に関する情報である。縮退定義テーブル800の使用形跡種別803に記載している情報がこれに該当する。具体的には、ADF縮退においては、ADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、若しくは圧板Scan機能が使用された結果が使用形跡情報に該当する。Scanner縮退においては、ADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、若しくは圧板の開閉が行われた結果が使用形跡情報に該当する。FAX縮退においては、Scan Send機能、若しくはBox Send機能が使用された結果が使用形跡情報に該当する。Printer縮退においては、外部機器からNetwork Printジョブ、若しくはFAX Printジョブを受信した結果が使用形跡情報に該当する。
【0030】
<画像形成装置の機能ブロック>
図5は、本発明に係る画像形成装置100内の機能ブロックの関係を模式的に表した図である。本図に示す各機能ブロックは、画像形成装置100内のCPU207がHDD219に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行することで行われる処理を、仮想的な機能ブロックとして表したものである。
【0031】
ジョブ管理部501は、ユーザが使用する機能をジョブとして管理する処理を行う。前述した圧板Scan機能、Scan Send機能、Box Send機能などの使用結果、及びNetwork Printジョブ、FAX Printジョブの受信結果は、このジョブ管理部501に集められ、保存され、管理される。ジョブ管理部501は、画像形成装置100内の全てのジョブに関する結果について、ジョブ完了のタイミングで縮退管理部503へ通知する。スキャナ管理部502は、スキャナ部217の動作制御を行う。前述したADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、および圧板の開閉が行われた結果は、このスキャナ管理部502にて検知する。センサにより検知するのは、後述する対応優先度の決定のために参照される一定の操作でよい。スキャナ制御部502は、スキャナ部217のセンサで検知した全ての結果を縮退管理部503へ通知する。縮退管理部503は、画像形成装置100がいずれの縮退状態にあるかを管理し、後述する動作状態検知部504から縮退動作の発生、及び解消の通知を受けた際、後述する縮退管理テーブル900にその旨を格納する。また、発生、若しくは解消した縮退動作に応じた画面表示を操作部201にて行わせるよう表示制御部506に対して指示する。更に、ジョブ管理部501やスキャナ管理部502からの通知に基づいて、通信部505に対して使用形跡情報の送出指示を行う。その際に縮退管理部503は、縮退定義テーブル800と縮退管理テーブル900を参照し、何れの通知に基づいて使用形跡情報の送出を指示するかの判断も行う。動作状態検知部504は、画像形成装置100にて動作エラーが発生しているか否かを検知し、エラー内容に応じて全ての機能を停止するか、何れの縮退動作を行うか、縮退動作を解消するかを判断して画像形成装置100全体の動作を制御する。また、縮退動作の発生、若しくは解消の通知を縮退管理部503に対して行う。更に、通信部505に対してエラー情報、及び縮退情報の送出指示を行う。通信部505は、縮退管理部503、及び動作状態検知部504からの指示に基づき、Network I/F304を介して監視装置101に対してエラー情報、縮退情報、使用形跡情報の送出を行う。
【0032】
<画像形成装置のエラー対応処理>
図6は、前述した画像形成装置100にて動作エラーの発生、若しくは解消、すなわちエラー状態の変化を検知した際の処理フロー図である。特に、図6(A)では動作状態検知部504における処理を、図6(B)では縮退管理部503における処理を説明する。
【0033】
≪図6(A)≫
S601にて、動作状態検知部504は、画像形成装置100にて動作エラーが発生したことを検知すると、全ての機能を停止する必要があるエラーか、何れかの縮退動作が可能なエラーかを判断する。全ての機能を停止する必要があるエラーと判断した場合、続くS602にて通信部505に対して監視装置へのエラー情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対してエラー情報を送出する。
【0034】
一方、動作状態検知部504が縮退動作可能なエラーであると判断した場合、若しくは縮退動作の解消を判断した場合、続くS603にて縮退動作の発生、若しくは解消と縮退種別を縮退管理部503に対して通知する。この通知を受けた縮退管理部503における処理は図6(B)にて説明する。最後に動作状態検知部504は、縮退動作が発生した場合に、S605にて通信部505に対して縮退情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対して縮退情報を送出して本処理を終了する。
【0035】
≪図6(B)≫
S611にて、縮退管理部503は、動作状態検知部504から受けた通知(S603)に基づき、縮退管理テーブル900内の該当する縮退フラグ902を更新する。具体的には、発生した縮退種別に相当する縮退フラグ902には"1"、解消した縮退種別に相当する縮退フラグ902には"0"をセットする。
【0036】
ここで図9は、画像形成装置100がHDD219内に保持する縮退管理テーブル900を模式的に示したものである。縮退管理部503は、縮退管理テーブル900の縮退フラグ902に対し、発生した縮退に応じてフラグを立てることで、画像形成装置100がいずれの縮退状態にあるかを管理する。また、縮退管理テーブル900は画像形成装置100の機番毎に別々に管理するよう構成されている。
【0037】
その後、S612にて、縮退管理部503は、発生、若しくは解消した縮退動作に応じた画面表示を操作部201にて行わせるよう表示制御部506に指示する。そして、縮退動作の状態変化が起きた際の縮退管理部503の処理が終了する。
【0038】
尚、エラー検出に応じて縮退動作に入った場合以外にも、管理者などの操作により意図的に縮退動作に入った場合でも、縮退管理テーブル900において同様に発生した縮退に応じたフラグが立てられることになる。
【0039】
<画像形成装置の縮退管理処理>
図7は、縮退管理部503がジョブ管理部501やスキャナ管理部502からの通知を受けた際の処理フロー図である。ここで受ける通知とは、スキャナ管理部502からのセンサによる検知結果の通知、若しくはジョブに関する通知である。
【0040】
S701にて、縮退管理部503は、ジョブ管理部501からのスキャナ制御部502からのセンサ検知結果の通知、若しくはジョブに関する結果を受けると、その通知内容を一次テーブル(不図示)へ格納する。続いてS702にて、縮退管理テーブル900から縮退フラグの状態を読み出す。そして、S703にて、読み出した縮退フラグの状態より画像形成装置100が縮退動作中であるか否かを判断する。縮退動作中ではないと判断した場合、そのまま本処理を終了する。一方、縮退動作中であると判断した場合、S704に移る。
【0041】
S704にて、縮退管理部503は、縮退フラグの状態より特定した縮退種別に対応する使用形跡種別の内容を縮退定義テーブル800から読み出す。そして、S705にて、S701で一次テーブルへ格納した通知内容と、S704で読み出した使用形跡種別の内容とが一致するか否かを判断する。具体的には、例えば画像形成装置100がADF縮退状態にある場合、ADF原稿積載が検知されたか、圧板Scan機能が使用された際にのみ一致すると判断する。一致しないと判断した場合、そのまま本処理を終了する。一方、一致すると判断した場合、縮退管理部503は最後にS706にて、通信部505に対して使用形跡情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対して使用形跡情報を送出して本処理を終了する。
【0042】
<監視装置の機能ブロック>
図10は、本発明に係る監視装置101内の機能ブロックの関係を模式的に表した図である。本図に示す各機能ブロックは、監視装置101内のCPU301がHDD308に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行することで行われる処理を、仮想的な機能ブロックとして表したものである。
【0043】
通知処理部1001は、画像形成装置100から送出されるユーザが行った操作の履歴を示す利用情報(使用状況情報及び使用形跡情報)、エラー情報、及び縮退情報などをNetwork I/F304を介して受信する。そして、画像形成装置が提供する各機能が操作された回数を示す使用状況情報を受信した場合、後述する使用状況管理テーブル1200に受信した使用状況情報を格納する。また、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した場合、優先度決定部1002へ受信した情報を通知する。
【0044】
優先度決定部1002は、通知処理部1001からエラー情報、縮退情報を受信した場合、それらの情報を後述するイベント管理テーブル1300に格納する。更に、イベント管理テーブル1300を更新した旨を表示制御部1003へ通知する。また、使用形跡情報を受信した場合、縮退定義テーブル800の使用形跡種別803と、使用状況管理テーブル1200のカウンタ値1202を読み出し、別途既に受信している縮退情報に対する対応優先度を決定する。この判断処理の詳細にては後述する。次に優先度決定部1002は、決定した対応優先度をイベント管理テーブル1300に格納すると共に、イベント管理テーブル1300を更新した旨を表示制御部1003へ通知する。
【0045】
表示制御部1003は保守作業者による画面操作を検知し、その操作に応じて監視装置101のモニタ309上に後述する障害情報画面1400を表示する。また、既に障害情報画面1400を表示している状態において、優先度決定部1002からイベント管理テーブル1300の更新通知を受けた場合、障害情報画面1400の表示を更新する。その際、表示制御部1003は、イベント管理テーブル1300からエラー情報、縮退情報を読み出し、その情報に従って障害情報画面1400の表示、及び更新を行う。
【0046】
図12は、監視装置101がHDD308内に保持する使用状況管理テーブル1200を模式的に示したものである。監視装置101は、画像形成装置100から受信した使用状況情報をこの使用状況管理テーブル1200に格納して保持する。使用状況管理テーブル1200は、使用状況情報である用紙の枚数カウンタを縮退対象機能毎に管理する構成をとる。また、画像形成装置100の機番毎に別々に管理するよう構成されている。
【0047】
図13は、監視装置101がHDD308内に保持するイベント管理テーブル1300を模式的に示したものである。監視装置101は、画像形成装置100から受信したエラー情報や縮退情報をこのイベント管理テーブル1300に格納して保持する。具体的には、画像形成装置100の機番を1301に格納し、発生日時を1302に格納する。イベント種別1303には、各情報がエラー情報なのか、何れの縮退情報なのかの識別情報を格納する。イベント内容1304には、エラー内容、若しくは縮退内容を格納する。更に対応優先度1305には、監視装置101の優先度決定部1002にて判断した縮退情報に対する対応優先度を格納する。
【0048】
<監視装置による画像形成装置に対する対応優先度の決定処理>
図11は、監視装置101の通知処理部1001が画像形成装置100からのエラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図である。
【0049】
S1100にて、通知処理部1001は、受信した情報(通知)が使用状況情報であるか否かを判断する。使用状況情報である場合、S1103にて通知処理部1001はその情報を使用状況管理テーブル1200に格納して本処理を終了する。一方、使用状況情報ではない場合、S1101にて、通知処理部1001は受信した情報を優先度決定部1002へ通知する。
【0050】
S1102にて、通知処理部1001からの通知を受信した優先度決定部1002は、受信した情報がエラー情報であるか否かを判断する。エラー情報である場合、S1104にて、優先度決定部1002はその情報をイベント管理テーブル1300に格納して本処理を終了する。一方、エラー情報ではない場合、S1113にて、受信した情報が縮退情報であるか否かを更に判断する。縮退情報である場合、優先度決定部1002は、S1114にて受信した縮退情報の対応優先度を所定優先度、本例では"低"(低優先度)と決定する。そしてステップS1104で、イベント管理テーブル1300に、受信した縮退情報を格納する。ここで縮退情報を格納する際には、対応優先度1305として、ステップS1114で決定された優先度が登録される。
【0051】
S1113にて縮退情報ではない場合、S1105にて、優先度決定部1002は受信した情報が使用形跡情報であるか否かを判断する。使用形跡情報ではない場合、優先度決定部1002は本処理を終了する。一方、使用形跡情報である場合、S1106にて、優先度決定部1002は、使用形跡情報内の画像形成装置100の機番に対応する最新の縮退情報をイベント管理テーブル1300から読み出す。そして、読み出した縮退情報の対応優先度が"高"か否かをS1107にて判断する。優先度決定部1002は、対応優先度が"高"(すなわち高優先度)の場合には本処理を終了し、対応優先度が"高"ではない場合にはS1108に移行する。
【0052】
S1108にて、優先度決定部1002は、S1106で読み出した縮退情報内の縮退種別に対応する使用形跡種別を縮退定義テーブル800から読み出す。そして、受信した使用形跡情報とS1108にて読み出した使用形跡種別とをS1109にて比較し、受信した使用形跡情報が縮退機能に関する使用形跡種別と一致するか否かを判定する。具体的には、例えばS1106で読み出した縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、S1108にて使用形跡種別としてADF原稿積載と圧板Scanの2つの種別を読み出す。そして、受信した使用形跡情報がADF原稿積載であった場合、S1109にて一致すると判定する。
【0053】
S1109にて一致すると判定した場合、優先度決定部1002は、S1110にて、S1106で読み出した縮退情報の対応優先度を"高"と決定する。一方、S1109にて一致しないと判定した場合、即ち受信した使用形跡情報が代替機能に関する使用形跡種別と一致する場合、S1111にて、S1106で読み出した縮退情報の対応優先度を"中"(中優先度)と決定する。その後、S1112にて、優先度決定部1002は、S1106で読み出した縮退情報に相当するイベント管理テーブル1300内の縮退情報の対応優先度1305に対して、S1110、若しくはS1111で決定した対応優先度に変更し、本処理を終了する。
【0054】
S1105〜S1112の優先度決定部1002の処理により、対応優先度="低"と判断した受信済みの縮退情報に対して、その後、受信した使用形跡情報の内容に応じてより高い対応優先度を割り当てることを実現する。
【0055】
<本実施例における効果の補足>
基本的には、同じ時期に複数の画像形成装置で動作障害などが発生した場合、全ての機能が停止している画像形成装置の保守作業を優先され、縮退動作中の画像形成装置に対する保守作業の優先度は下げられる。これは、縮退動作中の画像形成装置は一応、一部機能以外は正常動作している画像形成装置とみなせるからである。しかし、縮退動作中に停止している機能がどうしても利用したいなど、ユーザが即座に復旧することを望んでいる場合も十分に考えられる。例えば、ユーザのシステム環境でFAX機能を備えている画像形成装置が1台であった場合にFAX縮退された場合がある。他にも、大量のドキュメントをコピーする機会が多いユーザ環境であれば、ADF縮退されると業務効率が著しく低下する。こういった場合を考慮すると、縮退動作中の装置であっても、その保守対応の優先度を高くして、迅速に保守作業を行われるようにすることが望ましい。
【0056】
本実施例では、縮退状態の画像形成装置に対してどのような機能が使用されたか、またどの機能の使用が試みられたかを示す形跡情報に基づいて、その画像形成装置に対する保守対応の優先度が決定される。具体的には、縮退により提供が停止されている機能の使用が試みられた場合、または、その代替と成り得る機能が使用された場合には、優先度は相対的に高くなるよう設定される。そのため、縮退動作している装置の保守を行う保守作業者に対して、縮退により制限された機能の必要性を当該機能の使用形跡に即して判断し、その必要性に応じた保守の優先度の提示が可能となる。
【0057】
図14は、監視装置101の表示制御部1003が表示制御部306に表示する障害情報画面1400の表示例を示す図である。
【0058】
表示制御部1003は、保守作業者による障害情報画面1400の表示指示を検知した際、イベント管理テーブル1300に格納しているエラー情報や縮退情報に基づいてモニタ309上に障害情報画面1400を表示する。また、前述した通り、既に障害情報画面1400を表示している状態において、優先度決定部1002からイベント管理テーブル1300の更新通知を受けた場合、障害情報画面1400の表示を更新する。障害情報画面1400の表示内容はイベント管理テーブル1300の内容と等しい。すなわち対応優先度は、対応する縮退情報と関連付けられて出力される。ただし図14ではイベント管理テーブルとは順序が相違している。またレイアウトは図14の通りであるが、特に1405に縮退情報の対応優先度を表示するため、保守作業者は復旧対象となる障害発生や縮退動作を同時に把握するとともに、縮退情報に対する対応優先度をも容易に判断することが可能となっている。なお、この障害情報に関しては、モニタへの表示以外にも、保守作業者の持つ専用機器や、保守作業者を手配する業者に対して電子メールなどを用いて通知することも可能である。
【0059】
[第2実施形態]
以下、本発明を実施するための第2の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、監視装置における優先度の判定において、第1の実施形態の処理に加え、画像形成装置から受信する使用状況情報を参照する。
【0060】
図15は、監視装置101の通知処理部1001が画像形成装置100からの使用状況情報、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図である。図15のフローは、第1の実施形態である図11の処理フロー図のうち優先度決定部1002が行う処理について示している。通知処理部1001によるステップS1100,S1101,S1103は第1の実施形態と共通である。図15では、図11に対してS1115からS1118の処理が追加されている。以下、これらの追加処理について、本図を用いて説明する。
【0061】
優先度決定部1002は、通知処理部1001から受信した情報が縮退情報であるとS1113にて判断した場合、S1115にて、受信した縮退情報内の縮退種別に対応する縮退機能種別を縮退定義テーブル800から読み出す。具体的には、例えば縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、縮退機能種別としてADF Scan機能の種別を読み出す。
【0062】
更にS1116にて、優先度決定部1002は、S1115で読み出した縮退種別に対応する使用状況情報であるカウンタ値を使用状況管理テーブル1200(図12参照)から読み出す。具体的には、例えば縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、カウンタ値として"20305"という値を読み出す。続いてS1117にて、優先度決定部1002は、S1116で読み出したカウンタ値と予め決めている閾値との大小関係を判定する。そしてカウンタ値が閾値以上の場合、S1118にて受信した縮退情報の対応優先度="高"と決定する。カウンタ値が閾値未満の場合、S1114にて受信した縮退情報の対応優先度="低"と決定する。最後に優先度決定部1002は、受信した縮退情報とS1114、S1118での判断結果とをイベント管理テーブル1300に格納して本処理を終了する。
【0063】
ここまでの処理により、優先度決定部1002は、縮退情報受信を受信した際、縮退対象の機能の使用量に応じた対応優先度を判断することを実現する。更に優先度決定部1002は、第1実施例形態にて説明したS1105からS1112の処理により、対応優先度="低"と判断した受信済みの縮退情報に対して、その後受信した使用形跡情報の内容に応じてより高い対応優先度を割り当てることを実現する。
【0064】
以上の手順により本実施形態によれば、機能毎の使用実績に応じて縮退動作時の装置への保守対応の優先度を決定することができる。このため、障害への対応を、その必要性に応じた順序で行うことが可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を監視する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置の保守を目的として、画像形成装置で発生する動作障害を常時監視するシステムが存在している。このシステムでは、発生した動作障害の情報を画面表示などを通じて保守作業者へ提供し、保守作業の実施を促すことを行っている。複数の画像形成装置で動作障害が同時期に発生した場合、通常保守作業者は動作障害の発生順、若しくは障害内容によって予め決めている優先順位に従って保守作業を実施する。更に、画像形成装置の貢献度を利用ユーザ数、ユーザ毎の重要度、提供機能毎の重要度で重み付けして判断し、その貢献度に従って保守作業の順番を決定する方法が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。この方法によれば、動作障害が発生する以前の画像形成装置の使用状況を元にして、保守作業の順番を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−313130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年の画像形成装置では、一部の機能で障害が発生しやすい状態にある場合などに、その機能のみを停止し、それ以外の機能は継続的に使用できるようにしたものがある。このように画像形成装置において、特定の機能の提供を停止し、それ以外の機能を提供する動作を縮退動作と呼ぶ。保守作業者は、縮退動作中の画像形成装置に関しても通常通り機能が提供できるよう、停止している機能に関する保守作業を行う必要がある。
【0005】
また、保守作業者は、通常、多数の画像形成装置を担当している。こういった場合、障害で全ての機能が停止している画像形成装置と、縮退動作中の画像形成装置とが同時に保守対象になることがあり得る。しかしながら前述した従来技術では、縮退動作中の画像形成装置に関しては想定しておらず、的確な保守作業の優先順位を決定することはできない。
【0006】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、縮退動作が可能な画像形成装置を含むシステムにおいて、的確な保守作業の優先順位を決定する手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記受信手段により受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
優先度決定手段は、前記受信手段により受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【0008】
あるいは他の観点によれば本発明は以下の構成を有する。上記監視装置と接続された、機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置であって、
縮退モードで動作する場合に、縮退モードで動作していることを示す縮退情報を前記監視装置へ送信する手段と、
利用者により行われた操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された操作を利用情報として前記監視装置に送信する手段とを備える。
【0009】
あるいは他の観点によれば本発明は以下の構成を有する。縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムであって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
優先度決定手段は、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、縮退動作が可能な画像形成装置を含むシステムにおいて、保守作業を行う際に対するユーザの使用状況に応じて、的確な保守の優先度を決定することができる。そして、その優先度に従って保守作業を実施することが可能となるため、ユーザの満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るシステム全体を示す構成図
【図2】画像形成装置100内のコントローラ200のハードウェア構成を示す図
【図3】監視装置101のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】画像形成装置100と監視装置101間の通信のシーケンスを表す図
【図5】画像形成装置100内のコントローラ200の機能ブロック構成を表す図
【図6】動作状態を検知した際の画像形成装置100の処理フロー図
【図7】使用形跡情報を検知した際の画像形成装置100の処理フロー図
【図8】縮退定義テーブル800を示す図
【図9】縮退管理テーブル900を示す図
【図10】監視装置101内の機能ブロック構成を表す図
【図11】監視装置101の処理フロー図
【図12】使用状況管理テーブル1200を示す図
【図13】イベント管理テーブル1300を示す図
【図14】障害情報画面1400の表示例を示す図
【図15】監視装置101が画像形成装置100から使用状況情報、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
<システム構成>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシステム全体を示す図である。この図において、画像形成装置100は、具体的にはネットワークプリント機能やファクシミリ機能、コピー機能等を併せ持つ複合複写機である。本図では、複数の画像形成装置100と、画像形成装置の動作状態を監視する監視装置101とがネットワーク102(以下、LANと呼ぶ)に接続されている。画像形成装置100は、LAN102を介して受信する画像データを印刷したり、状態を監視装置101へ通信したりするよう動作する。なお、監視装置101がインターネットを介した外部ネットワーク上にあり、画像形成装置100と監視装置101とがインターネットを介して接続された構成であってもよい。
【0013】
<画像形成装置の制御部ハードウエア構成>
図2は、画像形成装置100内で装置全体の制御を司るコントローラ200のハードウェア構成を表す図である。コントローラ200の各構成要素は、システムバス215及び画像バス216に接続されている。CPU207は画像形成装置100全体の制御を行う。CPU207は、HDD219に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行し、画像形成装置100としての全般の処理を行う。本実施形態の説明にて画像形成装置100が行う処理として述べるものは、全てこのCPU207の制御によるものである。
【0014】
ROM204には基本I/Oプログラム等のプログラムが格納されており、コントローラ200起動時にCPU207はこのROM204から基本I/Oプログラムを読み出して実行する。RAM205は、プログラムを実行するためのワークメモリエリアであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。蓄積メモリ206は不揮発性メモリであり、画像形成装置100の再起動後も保持しておく必要のある情報を記憶する。この情報とは、各種動作モード設定やアドレス帳、カウンタ値、個々の画像形成装置100を識別するためのデバイスID、製品名などである。HDD219はハードディスクドライブであり、画像形成装置100内で扱う画像データの大量蓄積や、エラー/ジャム/アラームなどの障害情報、画像形成装置100の制御プログラムの記憶に用いる。Network I/F202は、LAN102と接続するためのインターフェース部であり、LAN102を介してPC(Personal Computer)や監視装置101などの外部機器と通信を行う。回線I/F部203は、ISDN網や公衆電話網(以下、WAN214と呼ぶ)に接続され、ROM204内の通信制御プログラムにより制御され、遠隔の端末とデータの送受信を行う。FAXの送受信もこの回線I/F部203を使用して行う。操作部201には表示手段やキー入力手段が内蔵されており、これらはCPU207にて制御される。操作者は、キー入力手段を通してスキャナ読み取りやプリント出力に関する各種設定指示や、作動/停止指示を行う。また、前述の蓄積メモリ206やHDD219に記憶している情報を操作部201に表示するための指示を行う。以上の構成要素がシステムバス215上に配置される。
【0015】
IO制御部208は、システムバス215と画像データを高速で転送する画像バス216とを接続するためのバスブリッジである。画像バス216上には以下の機能部が配置される。デジタルI/F部211は、画像形成装置100のスキャナ部217やプリンタ部218とコントローラ200とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、スキャナ部217やプリンタ部218内の各所に配置した前述の各種センサが検出した情報は、このデジタルI/F部211、及びIO制御部208を介してシステムバス215へ流れる。画像処理部209は、入力及び出力画像データに対し補正/加工/編集を行う。画像回転部210は画像データの回転を行う。画像圧縮伸長部212は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG/MMR/MR/MHの圧縮伸張処理を行う。画像密度変換部213は、出力用画像データに対して解像度変換等を行う。
【0016】
なお制御部以外には、スキャナ部、プリンタ部、通信部(ファクシミリ送受信およびデータ送受信)があり、これらが制御部により制御されている。また画像形成装置の使用は、不図示の操作パネルから行われる他、通信で接続されたコンピュータ等を等して可能である。コンピュータからは、リモートプリントやリモートスキャン、ファクシミリ送信や後述するボックス送受信等が可能である。画像形成装置はまた、ネットワークなどから受信あるいはスキャンした文書データをハードディスク等の記憶媒体(ボックス)に格納するボックス機能と呼ばれる機能を持つ。ボックス機能とさらにスキャナ部とプリンタ部とを用いたファクシミリ送受信、及びボックスから文書データを送信あるいは印刷することが可能である。これらボックスからの送受信をボックス送受信と呼ぶ。またスキャナには、原稿を載置するプラテンが備えられ、スキャナは、プラテン上に原稿圧板で固定された原稿を、移動する光学系でスキャンする圧板スキャンと、自動用紙搬送機構(ADF)に載置した原稿を搬送しつつ固定された光学系でスキャンするADFスキャンとが可能である。さらに、ADFには原稿センサが設けられ、また圧板の開閉を検知する圧板開閉センサも設けられている。これらセンサにより原稿の載置あるいは圧板の開閉が検知されると、その検知結果は後述する使用形跡情報として監視装置に送信される。
【0017】
<縮退動作>
画像形成装置には、「縮退動作」が可能である。縮退とは、たとえば障害の発生や、発生しやすいと想定される機能がある場合に、それを操作不能とする機能すなわち提供を停止させる機能であり、障害の発生の有無に関わらず管理者などの操作に応じて実行される。また、本実施形態ではある機能の障害の発生に応じて、画像形成装置で他の機能が利用可能な場合に自動的に画像形成装置の縮退動作が発動されるものとしている。なお、縮退動作している状態(動作モード)を縮退モードとも呼ぶ。これに対して提供する全ての機能が利用可能な動作モードを通常モードと呼び、縮退動作の原因となった障害を解消して通常モードに復帰させることを、縮退の解消と呼ぶ。
【0018】
<監視装置のハードウェア構成>
図3は、監視装置101のハードウェア構成を示す図である。CPU301は監視装置101全体の制御を行う。CPU301は、ハードディスクコントローラ312を介してバス305に接続されたHDD308に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行し、監視装置101としての全般の処理を行う。監視装置101は、例えば汎用コンピュータに監視装置として機能させるためのプログラムを実行させることで実現できる。すなわち、本実施形態の説明にて画像形成装置100が行う処理として述べるものは、全てこのCPU301の制御によるものである。
【0019】
ROM302には基本I/Oプログラム等のプログラムが格納されており、監視装置101起動時にCPU301はこのROM302から基本I/Oプログラムを読み出して実行する。RAM303は、プログラムを実行するためのワークメモリエリアである。Network I/F部304は、画像形成装置100とLAN102を介して通信を行うためのNetwork I/F部である。表示制御部306は、その先に接続されるモニタ309への画面表示を制御する。入力制御部307は、その先に接続されるポインティングデバイス310とキーボード311からの入力制御を行う。そして、これらのハードウェアがシステムバス305上に配置された構成をとっている。
【0020】
<画像形成装置から監視装置への通報>
図4は、画像形成装置100から監視装置101に対する通信のシーケンスを表す図である。この図に示す全ての通信は、画像形成装置100のNetwork I/F202、若しくは回線I/F部203を介して行う。
【0021】
画像形成装置100は、ユーザにより使用される様々な機能の使用量を、機能毎に使用した用紙の枚数などで計数したカウンタの形式で、使用状況情報として、常時管理している。ここで述べる様々な機能とは、具体的には以下のものを指す。
・スキャナ部217の自動原稿送り装置(以後、ADFと呼ぶ)を使用して原稿をスキャンするADF Scan機能(自動用紙搬送スキャン機能)
・ADFを用いずにスキャナ部217の原稿台に置かれた原稿をスキャンする圧板スキャン機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をファクシミリ送信(FAX送信)するFAX Send機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をE−mail送信やFTP送信によりLAN102を介して機器外へ送信するScan Send機能
・HDD219内に蓄積した画像データをE−mail送信やFTP送信によりLAN102を介して機器外へ送信するBOX Send機能
・ファクシミリ受信(FAX受信)した画像データをHDD219内に蓄積するFAX Receive機能
・LAN102を介して機器外から受信した画像データをHDD219内に蓄積するNetwork Receive機能
・スキャナ部217にてスキャンした原稿をダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するCopy機能(複写機能)
・Fax受信した画像データをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するFAX Print機能
・LAN102を介して機器外から受信したデータをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するNetwork Print機能
・HDD219内に蓄積した画像データをダイレクトにプリンタ部218で印刷出力するBOX Print機能
なお、本例では、Scan Send機能とBOX Send機能とを合わせてデータ送信とも呼ぶ。
【0022】
さて図4に戻ると、画像形成装置100は、予め定められた通信スケジュール設定に従って使用状況情報401を定期的に監視装置101へ送出する。画像形成装置100は、各個体を一意に特定するためのID(例えば、機番)を予め蓄積メモリ206内に保持している。画像形成装置100は、使用状況情報の送出の際には機番も同時に送出する。
【0023】
また画像形成装置100は、内部で動作エラーが発生した際、エラー情報402として、機番、エラー発生日時、エラー内容を監視装置101へ送出する。
【0024】
更に画像形成装置100は、内部で発生した動作エラーや特定の操作などにより縮退動作を行う際、その縮退情報403として、機番、縮退発生日時、縮退内容を監視装置101へ送出する。
【0025】
画像形成装置100における、具体的な縮退動作の例として、ADF縮退、Scanner縮退、FAX縮退、Printer縮退の4種類のモードがある。ADF縮退とは、前述したADFスキャン機能およびそれを伴う複合的な機能の提供を停止するよう動作するモードである。Scanner縮退とは、スキャナ部217によるスキャン動作およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。FAX縮退とは、回線I/F部203を介したFAX通信機能およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。Printer縮退とは、プリンタ部218での印刷機能およびそれを伴う複合機能の提供を停止するよう動作するモードである。
【0026】
続いて、図4のシーケンス中の404で示す使用形跡情報の送出について説明する。画像形成装置100は、利用者によって機能が使用されたり、何らかの操作が行われたりした場合、それらのうちの特定の機能や操作の内容を使用形跡として検知して使用形跡情報として送出する。この使用形跡情報の送出は、縮退動作を行っている間のみ行うよう動作する。
【0027】
ここで、使用形跡情報の具体的な内容について図8を用いて詳細に説明する。図8は、前述した画像形成装置100の4種類の縮退動作の種別と、各縮退動作において使用を停止する機能すなわち提供が停止される機能と、各縮退動作中に送出する使用形跡情報との関係を模式的に示した例である。この情報を縮退定義テーブル800と呼ぶ。
【0028】
画像形成装置100及び監視装置101は、縮退定義テーブル800をそれぞれのHDD内に保持している。縮退定義テーブル800の縮退機能種別802において"●"を付けているのは、各縮退動作において使用を停止する対象機能を表している。具体的には、ADF縮退においては、ADFを使用するADF Scan機能のみが使用を停止する対象機能となる。Scanner縮退においては、スキャナ部217によるスキャンを使用する機能としてADF Scan機能、圧板Scan機能、FAX Send機能、Scan Send機能、Copy機能が使用を停止する対象機能となる。FAX縮退においては、FAX送受信機能であるFAX Send機能とFAX Receive機能が使用を停止する対象機能となる。Printer縮退においては、プリンタ部218による印刷出力を行うCopy機能、FAX Print機能、Network Print機能、Box Print機能が使用を停止する対象機能となる。
【0029】
また、使用形跡情報とは、各縮退動作において使用を停止している機能に関する操作をユーザが行った形跡、若しくは停止している機能の代替となる機能をユーザが使用した結果に関する情報である。縮退定義テーブル800の使用形跡種別803に記載している情報がこれに該当する。具体的には、ADF縮退においては、ADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、若しくは圧板Scan機能が使用された結果が使用形跡情報に該当する。Scanner縮退においては、ADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、若しくは圧板の開閉が行われた結果が使用形跡情報に該当する。FAX縮退においては、Scan Send機能、若しくはBox Send機能が使用された結果が使用形跡情報に該当する。Printer縮退においては、外部機器からNetwork Printジョブ、若しくはFAX Printジョブを受信した結果が使用形跡情報に該当する。
【0030】
<画像形成装置の機能ブロック>
図5は、本発明に係る画像形成装置100内の機能ブロックの関係を模式的に表した図である。本図に示す各機能ブロックは、画像形成装置100内のCPU207がHDD219に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行することで行われる処理を、仮想的な機能ブロックとして表したものである。
【0031】
ジョブ管理部501は、ユーザが使用する機能をジョブとして管理する処理を行う。前述した圧板Scan機能、Scan Send機能、Box Send機能などの使用結果、及びNetwork Printジョブ、FAX Printジョブの受信結果は、このジョブ管理部501に集められ、保存され、管理される。ジョブ管理部501は、画像形成装置100内の全てのジョブに関する結果について、ジョブ完了のタイミングで縮退管理部503へ通知する。スキャナ管理部502は、スキャナ部217の動作制御を行う。前述したADF上への原稿積載をADF内のセンサで検知した結果、および圧板の開閉が行われた結果は、このスキャナ管理部502にて検知する。センサにより検知するのは、後述する対応優先度の決定のために参照される一定の操作でよい。スキャナ制御部502は、スキャナ部217のセンサで検知した全ての結果を縮退管理部503へ通知する。縮退管理部503は、画像形成装置100がいずれの縮退状態にあるかを管理し、後述する動作状態検知部504から縮退動作の発生、及び解消の通知を受けた際、後述する縮退管理テーブル900にその旨を格納する。また、発生、若しくは解消した縮退動作に応じた画面表示を操作部201にて行わせるよう表示制御部506に対して指示する。更に、ジョブ管理部501やスキャナ管理部502からの通知に基づいて、通信部505に対して使用形跡情報の送出指示を行う。その際に縮退管理部503は、縮退定義テーブル800と縮退管理テーブル900を参照し、何れの通知に基づいて使用形跡情報の送出を指示するかの判断も行う。動作状態検知部504は、画像形成装置100にて動作エラーが発生しているか否かを検知し、エラー内容に応じて全ての機能を停止するか、何れの縮退動作を行うか、縮退動作を解消するかを判断して画像形成装置100全体の動作を制御する。また、縮退動作の発生、若しくは解消の通知を縮退管理部503に対して行う。更に、通信部505に対してエラー情報、及び縮退情報の送出指示を行う。通信部505は、縮退管理部503、及び動作状態検知部504からの指示に基づき、Network I/F304を介して監視装置101に対してエラー情報、縮退情報、使用形跡情報の送出を行う。
【0032】
<画像形成装置のエラー対応処理>
図6は、前述した画像形成装置100にて動作エラーの発生、若しくは解消、すなわちエラー状態の変化を検知した際の処理フロー図である。特に、図6(A)では動作状態検知部504における処理を、図6(B)では縮退管理部503における処理を説明する。
【0033】
≪図6(A)≫
S601にて、動作状態検知部504は、画像形成装置100にて動作エラーが発生したことを検知すると、全ての機能を停止する必要があるエラーか、何れかの縮退動作が可能なエラーかを判断する。全ての機能を停止する必要があるエラーと判断した場合、続くS602にて通信部505に対して監視装置へのエラー情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対してエラー情報を送出する。
【0034】
一方、動作状態検知部504が縮退動作可能なエラーであると判断した場合、若しくは縮退動作の解消を判断した場合、続くS603にて縮退動作の発生、若しくは解消と縮退種別を縮退管理部503に対して通知する。この通知を受けた縮退管理部503における処理は図6(B)にて説明する。最後に動作状態検知部504は、縮退動作が発生した場合に、S605にて通信部505に対して縮退情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対して縮退情報を送出して本処理を終了する。
【0035】
≪図6(B)≫
S611にて、縮退管理部503は、動作状態検知部504から受けた通知(S603)に基づき、縮退管理テーブル900内の該当する縮退フラグ902を更新する。具体的には、発生した縮退種別に相当する縮退フラグ902には"1"、解消した縮退種別に相当する縮退フラグ902には"0"をセットする。
【0036】
ここで図9は、画像形成装置100がHDD219内に保持する縮退管理テーブル900を模式的に示したものである。縮退管理部503は、縮退管理テーブル900の縮退フラグ902に対し、発生した縮退に応じてフラグを立てることで、画像形成装置100がいずれの縮退状態にあるかを管理する。また、縮退管理テーブル900は画像形成装置100の機番毎に別々に管理するよう構成されている。
【0037】
その後、S612にて、縮退管理部503は、発生、若しくは解消した縮退動作に応じた画面表示を操作部201にて行わせるよう表示制御部506に指示する。そして、縮退動作の状態変化が起きた際の縮退管理部503の処理が終了する。
【0038】
尚、エラー検出に応じて縮退動作に入った場合以外にも、管理者などの操作により意図的に縮退動作に入った場合でも、縮退管理テーブル900において同様に発生した縮退に応じたフラグが立てられることになる。
【0039】
<画像形成装置の縮退管理処理>
図7は、縮退管理部503がジョブ管理部501やスキャナ管理部502からの通知を受けた際の処理フロー図である。ここで受ける通知とは、スキャナ管理部502からのセンサによる検知結果の通知、若しくはジョブに関する通知である。
【0040】
S701にて、縮退管理部503は、ジョブ管理部501からのスキャナ制御部502からのセンサ検知結果の通知、若しくはジョブに関する結果を受けると、その通知内容を一次テーブル(不図示)へ格納する。続いてS702にて、縮退管理テーブル900から縮退フラグの状態を読み出す。そして、S703にて、読み出した縮退フラグの状態より画像形成装置100が縮退動作中であるか否かを判断する。縮退動作中ではないと判断した場合、そのまま本処理を終了する。一方、縮退動作中であると判断した場合、S704に移る。
【0041】
S704にて、縮退管理部503は、縮退フラグの状態より特定した縮退種別に対応する使用形跡種別の内容を縮退定義テーブル800から読み出す。そして、S705にて、S701で一次テーブルへ格納した通知内容と、S704で読み出した使用形跡種別の内容とが一致するか否かを判断する。具体的には、例えば画像形成装置100がADF縮退状態にある場合、ADF原稿積載が検知されたか、圧板Scan機能が使用された際にのみ一致すると判断する。一致しないと判断した場合、そのまま本処理を終了する。一方、一致すると判断した場合、縮退管理部503は最後にS706にて、通信部505に対して使用形跡情報の送出を指示する。この指示を受けた通信部505は、Network I/F304を介して監視装置101に対して使用形跡情報を送出して本処理を終了する。
【0042】
<監視装置の機能ブロック>
図10は、本発明に係る監視装置101内の機能ブロックの関係を模式的に表した図である。本図に示す各機能ブロックは、監視装置101内のCPU301がHDD308に格納されているOSやアプリケーションプログラム等を実行することで行われる処理を、仮想的な機能ブロックとして表したものである。
【0043】
通知処理部1001は、画像形成装置100から送出されるユーザが行った操作の履歴を示す利用情報(使用状況情報及び使用形跡情報)、エラー情報、及び縮退情報などをNetwork I/F304を介して受信する。そして、画像形成装置が提供する各機能が操作された回数を示す使用状況情報を受信した場合、後述する使用状況管理テーブル1200に受信した使用状況情報を格納する。また、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した場合、優先度決定部1002へ受信した情報を通知する。
【0044】
優先度決定部1002は、通知処理部1001からエラー情報、縮退情報を受信した場合、それらの情報を後述するイベント管理テーブル1300に格納する。更に、イベント管理テーブル1300を更新した旨を表示制御部1003へ通知する。また、使用形跡情報を受信した場合、縮退定義テーブル800の使用形跡種別803と、使用状況管理テーブル1200のカウンタ値1202を読み出し、別途既に受信している縮退情報に対する対応優先度を決定する。この判断処理の詳細にては後述する。次に優先度決定部1002は、決定した対応優先度をイベント管理テーブル1300に格納すると共に、イベント管理テーブル1300を更新した旨を表示制御部1003へ通知する。
【0045】
表示制御部1003は保守作業者による画面操作を検知し、その操作に応じて監視装置101のモニタ309上に後述する障害情報画面1400を表示する。また、既に障害情報画面1400を表示している状態において、優先度決定部1002からイベント管理テーブル1300の更新通知を受けた場合、障害情報画面1400の表示を更新する。その際、表示制御部1003は、イベント管理テーブル1300からエラー情報、縮退情報を読み出し、その情報に従って障害情報画面1400の表示、及び更新を行う。
【0046】
図12は、監視装置101がHDD308内に保持する使用状況管理テーブル1200を模式的に示したものである。監視装置101は、画像形成装置100から受信した使用状況情報をこの使用状況管理テーブル1200に格納して保持する。使用状況管理テーブル1200は、使用状況情報である用紙の枚数カウンタを縮退対象機能毎に管理する構成をとる。また、画像形成装置100の機番毎に別々に管理するよう構成されている。
【0047】
図13は、監視装置101がHDD308内に保持するイベント管理テーブル1300を模式的に示したものである。監視装置101は、画像形成装置100から受信したエラー情報や縮退情報をこのイベント管理テーブル1300に格納して保持する。具体的には、画像形成装置100の機番を1301に格納し、発生日時を1302に格納する。イベント種別1303には、各情報がエラー情報なのか、何れの縮退情報なのかの識別情報を格納する。イベント内容1304には、エラー内容、若しくは縮退内容を格納する。更に対応優先度1305には、監視装置101の優先度決定部1002にて判断した縮退情報に対する対応優先度を格納する。
【0048】
<監視装置による画像形成装置に対する対応優先度の決定処理>
図11は、監視装置101の通知処理部1001が画像形成装置100からのエラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図である。
【0049】
S1100にて、通知処理部1001は、受信した情報(通知)が使用状況情報であるか否かを判断する。使用状況情報である場合、S1103にて通知処理部1001はその情報を使用状況管理テーブル1200に格納して本処理を終了する。一方、使用状況情報ではない場合、S1101にて、通知処理部1001は受信した情報を優先度決定部1002へ通知する。
【0050】
S1102にて、通知処理部1001からの通知を受信した優先度決定部1002は、受信した情報がエラー情報であるか否かを判断する。エラー情報である場合、S1104にて、優先度決定部1002はその情報をイベント管理テーブル1300に格納して本処理を終了する。一方、エラー情報ではない場合、S1113にて、受信した情報が縮退情報であるか否かを更に判断する。縮退情報である場合、優先度決定部1002は、S1114にて受信した縮退情報の対応優先度を所定優先度、本例では"低"(低優先度)と決定する。そしてステップS1104で、イベント管理テーブル1300に、受信した縮退情報を格納する。ここで縮退情報を格納する際には、対応優先度1305として、ステップS1114で決定された優先度が登録される。
【0051】
S1113にて縮退情報ではない場合、S1105にて、優先度決定部1002は受信した情報が使用形跡情報であるか否かを判断する。使用形跡情報ではない場合、優先度決定部1002は本処理を終了する。一方、使用形跡情報である場合、S1106にて、優先度決定部1002は、使用形跡情報内の画像形成装置100の機番に対応する最新の縮退情報をイベント管理テーブル1300から読み出す。そして、読み出した縮退情報の対応優先度が"高"か否かをS1107にて判断する。優先度決定部1002は、対応優先度が"高"(すなわち高優先度)の場合には本処理を終了し、対応優先度が"高"ではない場合にはS1108に移行する。
【0052】
S1108にて、優先度決定部1002は、S1106で読み出した縮退情報内の縮退種別に対応する使用形跡種別を縮退定義テーブル800から読み出す。そして、受信した使用形跡情報とS1108にて読み出した使用形跡種別とをS1109にて比較し、受信した使用形跡情報が縮退機能に関する使用形跡種別と一致するか否かを判定する。具体的には、例えばS1106で読み出した縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、S1108にて使用形跡種別としてADF原稿積載と圧板Scanの2つの種別を読み出す。そして、受信した使用形跡情報がADF原稿積載であった場合、S1109にて一致すると判定する。
【0053】
S1109にて一致すると判定した場合、優先度決定部1002は、S1110にて、S1106で読み出した縮退情報の対応優先度を"高"と決定する。一方、S1109にて一致しないと判定した場合、即ち受信した使用形跡情報が代替機能に関する使用形跡種別と一致する場合、S1111にて、S1106で読み出した縮退情報の対応優先度を"中"(中優先度)と決定する。その後、S1112にて、優先度決定部1002は、S1106で読み出した縮退情報に相当するイベント管理テーブル1300内の縮退情報の対応優先度1305に対して、S1110、若しくはS1111で決定した対応優先度に変更し、本処理を終了する。
【0054】
S1105〜S1112の優先度決定部1002の処理により、対応優先度="低"と判断した受信済みの縮退情報に対して、その後、受信した使用形跡情報の内容に応じてより高い対応優先度を割り当てることを実現する。
【0055】
<本実施例における効果の補足>
基本的には、同じ時期に複数の画像形成装置で動作障害などが発生した場合、全ての機能が停止している画像形成装置の保守作業を優先され、縮退動作中の画像形成装置に対する保守作業の優先度は下げられる。これは、縮退動作中の画像形成装置は一応、一部機能以外は正常動作している画像形成装置とみなせるからである。しかし、縮退動作中に停止している機能がどうしても利用したいなど、ユーザが即座に復旧することを望んでいる場合も十分に考えられる。例えば、ユーザのシステム環境でFAX機能を備えている画像形成装置が1台であった場合にFAX縮退された場合がある。他にも、大量のドキュメントをコピーする機会が多いユーザ環境であれば、ADF縮退されると業務効率が著しく低下する。こういった場合を考慮すると、縮退動作中の装置であっても、その保守対応の優先度を高くして、迅速に保守作業を行われるようにすることが望ましい。
【0056】
本実施例では、縮退状態の画像形成装置に対してどのような機能が使用されたか、またどの機能の使用が試みられたかを示す形跡情報に基づいて、その画像形成装置に対する保守対応の優先度が決定される。具体的には、縮退により提供が停止されている機能の使用が試みられた場合、または、その代替と成り得る機能が使用された場合には、優先度は相対的に高くなるよう設定される。そのため、縮退動作している装置の保守を行う保守作業者に対して、縮退により制限された機能の必要性を当該機能の使用形跡に即して判断し、その必要性に応じた保守の優先度の提示が可能となる。
【0057】
図14は、監視装置101の表示制御部1003が表示制御部306に表示する障害情報画面1400の表示例を示す図である。
【0058】
表示制御部1003は、保守作業者による障害情報画面1400の表示指示を検知した際、イベント管理テーブル1300に格納しているエラー情報や縮退情報に基づいてモニタ309上に障害情報画面1400を表示する。また、前述した通り、既に障害情報画面1400を表示している状態において、優先度決定部1002からイベント管理テーブル1300の更新通知を受けた場合、障害情報画面1400の表示を更新する。障害情報画面1400の表示内容はイベント管理テーブル1300の内容と等しい。すなわち対応優先度は、対応する縮退情報と関連付けられて出力される。ただし図14ではイベント管理テーブルとは順序が相違している。またレイアウトは図14の通りであるが、特に1405に縮退情報の対応優先度を表示するため、保守作業者は復旧対象となる障害発生や縮退動作を同時に把握するとともに、縮退情報に対する対応優先度をも容易に判断することが可能となっている。なお、この障害情報に関しては、モニタへの表示以外にも、保守作業者の持つ専用機器や、保守作業者を手配する業者に対して電子メールなどを用いて通知することも可能である。
【0059】
[第2実施形態]
以下、本発明を実施するための第2の実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態では、監視装置における優先度の判定において、第1の実施形態の処理に加え、画像形成装置から受信する使用状況情報を参照する。
【0060】
図15は、監視装置101の通知処理部1001が画像形成装置100からの使用状況情報、エラー情報、縮退情報、使用形跡情報を受信した際の処理フロー図である。図15のフローは、第1の実施形態である図11の処理フロー図のうち優先度決定部1002が行う処理について示している。通知処理部1001によるステップS1100,S1101,S1103は第1の実施形態と共通である。図15では、図11に対してS1115からS1118の処理が追加されている。以下、これらの追加処理について、本図を用いて説明する。
【0061】
優先度決定部1002は、通知処理部1001から受信した情報が縮退情報であるとS1113にて判断した場合、S1115にて、受信した縮退情報内の縮退種別に対応する縮退機能種別を縮退定義テーブル800から読み出す。具体的には、例えば縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、縮退機能種別としてADF Scan機能の種別を読み出す。
【0062】
更にS1116にて、優先度決定部1002は、S1115で読み出した縮退種別に対応する使用状況情報であるカウンタ値を使用状況管理テーブル1200(図12参照)から読み出す。具体的には、例えば縮退情報内の縮退種別がADF縮退である場合、カウンタ値として"20305"という値を読み出す。続いてS1117にて、優先度決定部1002は、S1116で読み出したカウンタ値と予め決めている閾値との大小関係を判定する。そしてカウンタ値が閾値以上の場合、S1118にて受信した縮退情報の対応優先度="高"と決定する。カウンタ値が閾値未満の場合、S1114にて受信した縮退情報の対応優先度="低"と決定する。最後に優先度決定部1002は、受信した縮退情報とS1114、S1118での判断結果とをイベント管理テーブル1300に格納して本処理を終了する。
【0063】
ここまでの処理により、優先度決定部1002は、縮退情報受信を受信した際、縮退対象の機能の使用量に応じた対応優先度を判断することを実現する。更に優先度決定部1002は、第1実施例形態にて説明したS1105からS1112の処理により、対応優先度="低"と判断した受信済みの縮退情報に対して、その後受信した使用形跡情報の内容に応じてより高い対応優先度を割り当てることを実現する。
【0064】
以上の手順により本実施形態によれば、機能毎の使用実績に応じて縮退動作時の装置への保守対応の優先度を決定することができる。このため、障害への対応を、その必要性に応じた順序で行うことが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記受信手段により受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
前記優先度決定手段は、前記受信手段により受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記利用情報は、該画像形成装置が縮退モードで動作している際の提供が停止されている機能に対する操作及び提供が停止されている機能の代替となる機能に対する操作の少なくとも何れかの情報が含まれる使用形跡情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記利用情報は、前記受信手段により定期的に受信する前記画像形成装置の提供する各機能の操作の回数を示す使用状況情報が含まれることを特徴とする請求項2または3に記載の監視装置。
【請求項4】
前記優先度決定手段は、前記受信手段により受信した使用状況情報に基づき、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作の回数が閾値を超える場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作の回数が閾値より少ない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記画像形成装置から保守作業の対象となる障害情報をさらに受信し、
前記出力手段は、前記縮退情報に加えて前記受信した障害情報も出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記画像形成装置においては、自動用紙搬送、スキャナ、ファクシミリ、及びプリンタの少なくとも何れかの機能の提供を縮退モードにおいて停止することができ、
前記優先度決定手段により、前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示していると判定されるのは、
縮退モードにおいて提供が停止された機能が自動用紙搬送であるなら、前記利用情報が前記画像形成装置の自動用紙搬送機構への原稿の載置を示す場合であり、
縮退モードにおいて提供が停止された機能がスキャナであるなら、前記利用情報が前記画像形成装置の自動用紙搬送機構への原稿の載置又は原稿圧板の開閉を示す場合であり、
縮退モードにおいて提供が停止された機能がプリンタであるなら、前記利用情報が前記画像形成装置によるジョブの受信を示す場合であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視装置と接続された、機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置であって、
縮退モードで動作する場合に、縮退モードで動作していることを示す縮退情報を前記監視装置へ送信する手段と、
利用者により行われた操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された操作を利用情報として前記監視装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムであって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
前記優先度決定手段は、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とするシステム。
【請求項9】
機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置における監視方法であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信工程と、
前記受信工程で前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定工程と、
前記受信工程で受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定工程で決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力工程とを備え、
前記優先度決定工程においては、前記受信工程で受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視方法。
【請求項10】
縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムにおける監視方法であって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定工程と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定工程で決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録工程と、
前記管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力工程とを備え、
前記優先度決定工程においては、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視方法。
【請求項11】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の監視装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記受信手段により受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
前記優先度決定手段は、前記受信手段により受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記利用情報は、該画像形成装置が縮退モードで動作している際の提供が停止されている機能に対する操作及び提供が停止されている機能の代替となる機能に対する操作の少なくとも何れかの情報が含まれる使用形跡情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記利用情報は、前記受信手段により定期的に受信する前記画像形成装置の提供する各機能の操作の回数を示す使用状況情報が含まれることを特徴とする請求項2または3に記載の監視装置。
【請求項4】
前記優先度決定手段は、前記受信手段により受信した使用状況情報に基づき、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作の回数が閾値を超える場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作の回数が閾値より少ない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記画像形成装置から保守作業の対象となる障害情報をさらに受信し、
前記出力手段は、前記縮退情報に加えて前記受信した障害情報も出力することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記画像形成装置においては、自動用紙搬送、スキャナ、ファクシミリ、及びプリンタの少なくとも何れかの機能の提供を縮退モードにおいて停止することができ、
前記優先度決定手段により、前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示していると判定されるのは、
縮退モードにおいて提供が停止された機能が自動用紙搬送であるなら、前記利用情報が前記画像形成装置の自動用紙搬送機構への原稿の載置を示す場合であり、
縮退モードにおいて提供が停止された機能がスキャナであるなら、前記利用情報が前記画像形成装置の自動用紙搬送機構への原稿の載置又は原稿圧板の開閉を示す場合であり、
縮退モードにおいて提供が停止された機能がプリンタであるなら、前記利用情報が前記画像形成装置によるジョブの受信を示す場合であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視装置と接続された、機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置であって、
縮退モードで動作する場合に、縮退モードで動作していることを示す縮退情報を前記監視装置へ送信する手段と、
利用者により行われた操作を検知する検知手段と、
前記検知手段により検知された操作を利用情報として前記監視装置に送信する手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムであって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定手段と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定手段により決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記登録手段により管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力手段とを備え、
前記優先度決定手段は、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とするシステム。
【請求項9】
機能の提供を停止する縮退モードで動作が可能な画像形成装置と接続され、該画像形成装置を監視する監視装置における監視方法であって、
前記画像形成装置から、利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を受信する受信工程と、
前記受信工程で前記縮退情報を受信した場合、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定工程と、
前記受信工程で受信した縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定工程で決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録手段と、
前記管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力工程とを備え、
前記優先度決定工程においては、前記受信工程で受信した前記利用情報が前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記受信した縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視方法。
【請求項10】
縮退モードにおいて機能の提供を停止することが可能な画像形成装置と、複数の該画像形成装置を監視する監視装置とを接続したシステムにおける監視方法であって、
前記画像形成装置において利用者が行った操作の履歴を示す利用情報、及び当該画像形成装置が縮退モードで動作していることを示す縮退情報を用いて、当該縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する保守作業の優先度を決定する優先度決定工程と、
前記縮退情報及び当該縮退情報に基づき前記優先度決定工程で決定された優先度を関連付けて管理テーブルに登録する登録工程と、
前記管理テーブルに登録された前記縮退情報及び関連付く優先度を出力する出力工程とを備え、
前記優先度決定工程においては、前記利用情報が前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作を示している場合に、当該縮退情報に対応する優先度を、前記縮退情報が示す提供が停止されている機能に関する操作がない場合に比べて相対的に高くなるように決定することを特徴とする監視方法。
【請求項11】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の監視装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−166451(P2011−166451A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27000(P2010−27000)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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