説明

目地材

【課題】建物の外壁パネル間の目地に取付けられる一次及び二次目地材よりなる目地材において、外壁パネルを取付けたのちに取付けられると共に、目地幅が拡開するようなことがあってもシールが維持され、しかもメンテナンス時の一次目地材や外壁パネルの取換えが容易に行えるようにする。
【解決手段】目地上端より上実下に挿入される二次目地材21が断面山形状の押出成形品よりなり、頂部21aと両端のリップ21cが軟質の熱可塑性樹脂、上記以外の部分が硬質の熱可塑性樹脂からなっており、リップ21cと反対側には突部21dが突設されている。二次目地材21は挿入後、目地24を通して頂部21aを柱11に当たるまで押込んで平坦にされ、この状態でリップ21cが上実下面に接する点mが突部21dよりも内側に位置する。その後、一次目地材3が目地24に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁パネル間に形成される目地に取付けられる目地材に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、図2に示す外壁パネル1間に形成される目地2に取付けられる従来の一次目地材3aについて示すもので、柱部4と、該柱部4の上端から横向きに突設される頭部リップ5と、柱部4の中間部から斜め上向きに突設される中間リップ6と、柱部下端から斜め上向きに突設される下部リップ7と、頭部リップ5と中間リップ6を連結するブリッジ8よりなり、目地2への施工は図2に示すように、外壁パネル1を取付後、目地2の室内側にポリエチレンやEPDM等の発泡体よりなる丸棒の二次目地材3Bを押込んで取付け、ついでその上から一次目地材3aを押込んで取付けることにより行われるようになっている。
【0003】
図3は、従来の目地材の別の例を示すもので、目地2に取付けられる一次目地材3aと、斜め上向きに突設されるリップ9を有し、該リップ9が外壁パネル1の端縁裏面に押し当てられる二次目地材10よりなり、その施工は、二次目地材10を柱11上に固定したのち、外壁パネル1を取付け、ついでパネル間の目地2に上述する一次目地材3aを押込むことにより行われるようになっている。
【0004】
図3に示す目地材では、目地幅が拡開するようなことがあっても、二次目地材10のリップ9が外壁パネル1裏面に押付けられることによりシールされるが、二次目地材10は外壁パネル1を取付ける前に取付けておかねばならないが、外壁パネル1を取付ける際には、リップ9を押込みながら取付けるため必要な目地幅の確保が難しく、作業性が悪い、という難点があった。
【0005】
こうした問題に対処するため、下記特許文献1に開示されるような目地材が提案されている。この目地材は図4に示すように、柱部12と、該柱部12の上端から横向きに突設される頭部リップ13と、柱部下端部から斜め上向きに突設される中間リップ14と、柱部下端から斜め下向きに突設され、先端に上向きに突出する鉤状部15を形成した下部リップ16よりなり、その施工は、図5に示すように、側端縁の段付部分20に断面コ形の溝形鋼17を固定した外壁パネル18を取付後、目地上端から溝形鋼内に目地材19を挿入し、挿入後、屋外側から目地を通して目地材19を押込んで下部リップ16を押し拡げることにより行われるようになっている。
【0006】
この目地材19によれば、外壁パネルを取付けて必要な目地幅を確保したのちに取付けることができるため、作業性を改善することができる。
【特許文献1】特開2001−262724号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述する目地材19について改良を加え、メンテナンス時の目地材の取換えが容易に行えるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、建物の外壁パネル間に形成される目地に取付けられる目地材であって、上記目地の室内側に押込んで取付けられる二次目地材と、目地上端より挿入されて室外側に取付けられる一次目地材よりなり、上記二次目地材は、断面略山形状をなして、頂部が可撓性を有して屈折ないし屈曲可能であり、両端にはリップを有し、二次目地材を外壁パネル裏面の側縁部に挿入したのち、目地を通して頂部を柱或いは下地材に押込んだとき、上記リップの先端が外壁パネル裏面の側縁部に弾接することを特徴とする。
【0009】
本発明において用いられる一次目地材としては、目地に押込まれる既知の種々のものを用いることができる。こうしたものとしては、例えば図1に示されるゴム又は樹脂製の目地材3よりなるものを挙げることができる。
【0010】
断面略山形状をなす二次目地材の頂部に可撓性を持たせて屈折ないし屈曲可能とするためには、例えば頂部の肉厚を薄くしたり、頂部の材質を硬度の小さなものとするとよい。
【0011】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明の二次目地材は、高剛性を有し、リップが柔軟性を有することを特徴とする。
【0012】
二次目地材の材質としては、オレフィン系やスチレン系等の熱可塑性樹脂、EPDM等のゴムを用いることができ、その硬度は、オレフィン系やスチレン系の熱可塑性樹脂の場合、ショアD硬度が好ましくは40度以上、EPDM等のゴムの場合、デュロA高度が好ましくは90度以上とされる。またリップの硬度は、上述する熱可塑性樹脂、EPDM等のゴム共に、デュロA硬度が好ましくは60〜75度とされる。
【0013】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、二次目地材には、両端にリップとは逆向きをなして柱或いは下地材に当たる突部を有し、リップが外壁パネル裏面の側縁部に弾接した状態で該弾接位置が突部よりも頂部側の内側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係わる発明によると、一次及び二次目地材共、外壁パネルを取付けたのちに取付けられ、外壁パネルを取付ける際の必要な目地幅の確保が容易で、外壁パネル取付けの作業性がよいこと、目地幅が拡開するようなことがあっても二次目地材のリップが外壁パネル裏面の側縁部に弾接することによりシールが維持されること、屋外水露による経時劣化に伴うメンテナンス時の一次目地材の取換えが容易に行える。
【0015】
請求項2に係わる発明によると、二次目地材が高剛性を有するため目地上端からの挿入が容易に行え、またリップが柔軟性を有するため外壁パネル裏面の側縁部に弾接してシールを確実に行うことができる。
【0016】
請求項3に係わる発明によると、リップの外壁パネル裏面の側縁部への弾接位置が柱或いは下地材に当たる突部よりも内側に位置するため、上実及び柱或いは下地材から受ける反力による偶力によって頂部が柱或いは下地材に押付けられようとし、山形に復元しようとするのを阻止して外壁パネル裏面の側縁部に弾接するリップによるシールを確実に維持させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図6は、本発明に係わる目地材の二次目地材21について示すもので、断面略山形状の押出成形品よりなり、頂部21aと、両端の折返し部分21bより突設される嘴状をなすリップ21cを除く部分がショアD高度40度以上の高剛性をなす硬質の熱可塑性樹脂からなり、頂部21aとリップ21cは、デュロA硬度60〜75度の柔軟性を有する軟質の熱可塑性樹脂製からなっている。そして両端には、リップ21cと逆向きに突部21dが突設されている。
【0018】
図7は、上述する二次目地材21を目地上端より挿入した状態を示すもので、挿入後、図8に示すように目地24を通して頂部21aを柱11に当たるまで押込んで平坦にする。この状態でリップ21cが外壁パネル裏面の側縁部に弾接する点mは、柱11に当たる突部21dよりも頂部側の内側に位置する。このため外壁パネル裏面の側縁部からリップ21cに作用する反力Rと、柱11から突部21dに作用する反力Rによる偶力によって頂部21cは柱11に押付けられ、山形への復元を阻止されるとともに、リップ21cが外壁パネル裏面の側縁部に弾接し、その状態を維持する。
【0019】
次に上述する一次目地材3を目地24に押込んで取付ける。図9は、一次目地材3を取付けた状態を示す。
【産業上の利用可能性】
【0020】
建物の外壁パネル間に形成される目地に取付けるのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の目地材の断面図。
【図2】図1に示す目地材を目地に取付けた状態を示す断面図。
【図3】従来の目地材の別の例を示す断面図。
【図4】従来の目地材の更に別の例を示す断面図。
【図5】図4に示す目地材を取付けた状態を示す断面図。
【図6】本発明に係わる目地材の二次目地材の断面図。
【図7】図6に示す二次目地材を目地に挿入した状態を示す断面図。
【図8】図76に示す二次目地材の頂部を押込んで平坦にした状態を示す断面図。
【図9】本発明に係わる目地材の断面図。
【符号の説明】
【0022】
1、18、23・・外壁パネル
2、24・・目地
3・・一次目地材
4、12・・柱部
5、13・・頭部リップ
6、14・・中間リップ
7、16・・下部リップ
8・・ブリッジ
9・・リップ
10、21・・二次目地材
11・・柱
15・・鉤状部
17・・溝形鋼
19・・目地材
20、22・・上実
21a・・頂部
21b・・折返し部
21c・・リップ
21d・・突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁パネル間に形成される目地に取付けられる目地材であって、上記目地の室内側に押込んで取付けられる二次目地材と、目地上端より挿入されて室外側に取付けられる一次目地材よりなり、上記二次目地材は、断面略山形状をなして、頂部が可撓性を有して屈折ないし屈曲可能であり、両端にはリップを有し、二次目地材を外壁パネル裏面の側縁部に挿入したのち、目地を通して頂部を柱或いは下地材に押込んだとき、上記リップの先端が外壁パネル裏面の側縁部に弾接することを特徴とする目地材。
【請求項2】
上記二次目地材21は、高剛性を有し、リップ21cが柔軟性を有することを特徴とする請求項1記載の目地材。
【請求項3】
上記二次目地材には、両端にリップとは逆向きをなして柱或いは下地材に当たる突部を有し、リップが外壁パネル裏面の側縁部に弾接した状態で該弾接位置が突部よりも頂部側の内側に位置することを特徴とする請求項1又は2記載の目地材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−57400(P2006−57400A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242728(P2004−242728)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】