説明

盲締結具

ダブルブラインドジョイントを作り出すための、可視又はアクセス可能でない締結具が提供される。締結具は、締結具を加熱し、締結具の元の永久的形状の回復を誘発することによってワークピースを締結するために使用され得る、形状記憶ポリマーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第61/175485号(2009年5月5日出願)及び米国特許仮出願第61/168342号(2009年4月10日)に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、締結具が可視又はアクセス可能でないブラインドジョイントを作り出すための締結具を目的とする。締結具は、締結具を加熱することによって2つのワークピースを締結するために使用することができる形状記憶ポリマーを有する。
【背景技術】
【0003】
組立品の1つの面だけにアクセスすることができる2つのワークピースを、永久的又は半永久的に接続することが必要な場合が多く存在する。例としては、航空機、船舶、自動車等の構造物中の下地フレーム又は支持体への、パネル又はプレートの取り付けが挙げられる。係留ボルト、ブラインドリベット、リベットナット等のような装置を、そのような用途で使用することができる。しかしながら、そのような装置には欠点が存在する。例えば、リベット及び係留ナットを使用すると、パネルの表面は、リベット又はボルトのヘッドによって中断される。
【0004】
ブラインドジョイントを作り出すことが必要な場合がある。ブラインドジョイントは、ジョイントが組み立てられた後、ワークピースが透明である場合は締結具は可視であり得るが、締結具及び/又はワークピースを破壊することなしに、締結具が観察者にとって可視及び/又はアクセス可能でなくなるジョイントである。これらのジョイントは、実際のジョイントそのものの外観を隠すので、他のタイプのジョイントよりも好ましい。くぎ及びねじなどの機械的締結具を、ジョイントを作り出すために使用することもできる。機械的締結具は、一般に取り扱いが簡単であり(ほとんど技能を必要としない)、また、ジョイントを迅速に作り出すために使用され得る。しかしながら、機械的締結具単独では、ブラインドジョイントを作り出すために使用することはできない。換言すれば、機械的締結具を使用してジョイントが組み立てられた後、これらの機械的締結具は、通常、露出しておりかつ可視である。ある物、例えば、高品質の家具及びトリムワーク(trimwork)では、くぎ及びねじなどの露出した機械的締結具が見えるのは不適切である。電子回路及びコンピュータの構成要素といった他の用途では、小型であること及び複雑性により、構成部品を締結するためにブラインドジョイントの使用を必要とする場合が多い。
【0005】
ブラインドジョイントは現在も存在しているが、従来技術のブラインドジョイントは、高価な工具、治具、及び取付具を必要とし、通常、製造が困難である。家具及びその他の業界における既存のブラインドジョイントのいくつかの例としては、ほぞ継ぎ、ハーフブラインド・ダブテールジョイント、ダブルブラインド・ダブテール、だぼ継ぎ、及びビスケットジョイントが挙げられる。別のブラインドジョイントとしては、隣接部分にだぼが挿入されて、圧縮及び/又は接着剤で固定される、家具製造で使用されるだぼ型締結具が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において既知であるように、これらジョイントは、ほぞ継ぎ、ハーフブラインド・ダブテールジョイント及びダブルブラインド・ダブテールジョイントの場合には相当な機械加工及び技能、又はだぼ継ぎ及びビスケットジョイントの場合には、高価な治具及び取付具、専用工具及び接着剤を必要とする。
【0007】
専用工具に加え、これらジョイントを適切に形成するためには、相当な技能もまた求められる。また、これらジョイントを適切に切断するための種々の工具を設計しかつ準備するのに、相当な時間が必要となる。このように、これら従来技術のジョイントは、熟練工がジョイントを作り出すために必要な技能を訓練しかつ高めるのに時間がかかり、熟練工がジョイントの形成技術を習得した時点でジョイント自体を実際に形成する、及び、多くの場合接着剤を硬化させるのには時間がかかる、といった2つの事情から多大な時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、従来技術の制限及び欠点の1つ以上を実質的に未然に回避するブラインドジョイントを作り出すための締結具を目的とする。本開示は、2つの対向する部材を接合してブラインドジョイントをもたらすことができる締結具提供する、即ち、ジョイントが形成された後は、ワークピース(1つ又は複数)又は締結具を破損することなしに締結具自体にアクセス可能でない締結具を提供する。更に、締結具は、一般に、ワークピースが透明でない限り、締結具の長手方向軸に沿って可視でない。本開示は更に、取り付けが簡単で、技能をほとんど必要とせず、2つの対向する部材を迅速に接合することができる締結具を提供する。
【0009】
本開示は、ブラインドジョイントの製造方法を提供し、前記方法は、それぞれがその表面に開口を備える空洞を有する2つワークピースを提供する工程と;対応の空洞に締結具を挿入する工程であって、前記締結具が配向形状記憶ポリマーを有し;締結具が横方向に膨張し、かつ軸方向に縮小して、空洞の表面と係合して、2つのワークピースを一緒に保持するように、盲締結具を加熱する工程と、を含む。締結具はまた、2つのワークピースが共に引き寄せられるように、締結具の長手方向軸に沿って軸方向に収縮又は縮小する。
【0010】
簡潔に述べると、本開示は、アクセス不可能な形状記憶ポリマーの締結具によってブラインドジョイント形式で締結された第1のワークピースと第2のワークピースとを含む組立品を提供する。より詳細には、本開は、アクセス不可能な形状記憶ポリマーの締結具によってブラインドジョイント形式で締結された第1のワークピースと第2のワークピースとを含む組立品を更に提供する。ワークピースは、熱に反応した形状記憶ポリマーの回復によって確実に締結され、締結具は、横方向に膨張してワークピースの空洞に係合し、かつ、各面がブラインドジョイントになるように共に引き寄せられるように、長手方向軸に沿って収縮又は縮小する。貫通孔を有する追加のワークピースが、第1のワークピースと第2のワークピースとの間に挿入されてもよい。
【0011】
本開示は、ブラインドジョイント形式で締結された第1のワークピースと第2のワークピースとを含む組立品を更に提供し、各ワークピースは、各ワークピースの表面内に開口部を画定する空洞を有し、更に、各空洞は空洞表面を含み、形状記憶ポリマーの締結具は、空洞のそれぞれの少なくとも一部分に確実に取り付けられる。
【0012】
本開示は、それぞれが内部表面と、各ワークピースの表面内の開口部とを有する、少なくとも2つのワークピースの間にアタッチメントを形成する方法を更に提供し、当該方法は、第1の変形した形状を有する配向形状記憶ポリマーの締結具を、空洞のそれぞれの少なくとも一部の中に設置する工程と;形状記憶ポリマーの締結具の少なくとも一部分を加熱し、それによって、形状記憶ポリマーの締結具を元の永久的形状に回復させる工程と、を含み、形状記憶ポリマーは横方向に膨張して空洞の表面と噛み合い係合し、それによって、ワークピースを互いに対して確実に取り付ける。本方法は、ワークピースの表面の間にブラインドジョイントをもたらす。
【0013】
形状記憶ポリマー(SMP)は、元の永久的形状を「記憶する」固有の能力を有し、適切な刺激への暴露によって、変形した又は変化した形状から、永久的形状へと移行する。工業化という点から見て重要ないくつかの使用法が、形状記憶ポリマーにおいて開発されている。例えば、形状記憶ポリマーは、多種多様な商品のために様々な医療、歯科、機械的及び他の技術分野で一般に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】開示される方法の実施形態を示す。
【図2】開示される方法の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、締着装置、及びブラインドジョイントの締結方法を提供する。
【0016】
形状記憶ポリマーは、事前に設定された形状に設定され、変化した形状に変形され、次いで適切な刺激(例えば、温度変化、溶媒の塗布等)に暴露された際に事前に設定された形状に戻るという特有な能力を有することが既知である。本明細書に開示される締結具は形状記憶ポリマーを有するため、形状記憶ポリマーを有する物品の一部(又は、完全に形状記憶ポリマーから作られる場合は物品の全部)は、この性質を利用するように構成され得る。例えば、締結具は、永久的形状又は配置をとるように鋳造、ないしは別の方法で成型された形状記憶ポリマー表面を含んでもよい。この表面は、変化した又は変形した形状に変形し、その後、適切に誘導されると、永久的形状に再び移行する又は回復することができる。変形した形状から永久的形状への移行のきっかけは、用いた特定のポリマー、又はその他要因によって変わり得る。しかしながら、本明細書に開示される形状記憶ポリマーの少なくとも幾つかは、上昇した温度及び/又は適切な溶媒への暴露によって変化してもよい。
【0017】
形状記憶ポリマーは、エラストマーに分類され得る。分子レベルでは、それらは、網交点によって接続されるセグメント鎖を含むポリマー網状組織を示す。網交点は、ポリマー鎖のもつれ又は特定のポリマーブロックの分子間相互作用によって形成され得る。これらの架橋は、物理的網交点と称される。共有結合の形態の架橋は、化学的網交点を形成する。エラストマーは、特定の用途に関連する温度範囲において材料を変形した状態に安定化させることができる場合、形状記憶機能性を呈する。これは、網目鎖をある種の分子スイッチとして使用することによって達成することができる。この目的のために、温度に応じてセグメントの可撓性を制限することが可能であるべきである。このプロセスは、可逆的であると考えられる。制御機能を材料に組み込む能力は、特定用途のための対象となる温度範囲における網目鎖の熱遷移T転移を提供する。T転移を上回る温度では、鎖セグメントが可撓性であるのに対して、本熱遷移を下回る鎖の可撓性は、少なくとも部分的に制限される。ゴム弾性、すなわち粘稠からガラス状態への遷移の場合、セグメント全体の可撓性が制限される。
【0018】
理論に束縛されるものではないが、共重合体網状組織は、エラストマー位相又は構成要素、及び「ガラス状」若しくは高ガラス転移温度位相あるいは構成要素を含むと考えられる。ガラス状の相は、基材が変形した形状に変形され、その形状を留めることができるように、エラストマー構成要素を保持又は拘束する。変形した形状から元の又は永久的形状への変化は、エラストマー構成要素が「スプリングバック」ないしは別の方法で元の永久的形状に変わることができるようにするために、通常、形状記憶ポリマーのガラス相を可動化することを含む。この理論によれば、可動化は、適切な外部刺激の適用によるガラス状相の可動化であると理解される。
【0019】
SMPは、明確な融点(T)又はガラス転移温度(T)を有する。総じて、融点(T)又はガラス転移温度(T)は、転移温度又はT転移と呼ばれる。ポリマーは、T転移を超える温度ではエラストマーの性質を有し、高いひずみにより変形することができる。ポリマーのエラストマー挙動は、化学的又は物理的架橋のいずれかにより(多くの場合、ミクロ相分離の結果)生じる。したがって、SMPは、ガラス質又は結晶質であり得、また熱硬化性物質又は熱可塑性物質のいずれかであり得る。
【0020】
SMPの永久的形状は、架橋が最初のキャスティング又は成形プロセスで形成された際に確立される。SMPは元の形状から一時的な形状に変形され得る。この工程は、多くの場合、ポリマーをそのT転移を超えて加熱し、その試料を変形した後、この変形をSMPが冷却する間に固定することにより行われる。あるいは、ある場合には、ポリマーはそのT転移未満の温度で変形され、その一時的形状が維持され得る。その後、この材料は、融点又はガラス転移温度を超えて加熱されて、元の形状が回復される。
【0021】
温度の上昇により誘導され得る元の形状の回復は、熱形状記憶効果と呼ばれる。材料の形状記憶能力を説明する特性は、元の形状の回復、及び一時的形状の形状固定性である。SMPの利点は、SMPのネットワーク構造と、剛性とゴム状態とを分離する転移の明確さとに密接に関連する。SMPは、700%までの高いひずみ能力という利点を有する。
【0022】
締結具を作製する際には、任意の形状記憶ポリマーを使用することができる。いくつかの実施形態において、形状記憶ポリマー組成物は、永久的形状に鋳込まれ、T転移未満の温度で一時的形状に変形され、それにより変形された一時的な形状が維持され得る。あるいは、形状記憶ポリマー組成物は、永久的形状に鋳込まれ、T転移を越える温度で変形された後、T転移未満の温度に冷却され、それにより変形された一時的な形状が維持され得る。いずれの変形方法でも、変形物品がT転移を超えて加熱されると、変形物品は永久的形状を弾性的に回復する。
【0023】
有用なSMPは、物理的又は化学的に架橋されてもよい。化学的に架橋された熱硬化性形状記憶ポリマーが好ましい。好適な物理的に架橋されたSMPの例としては、永久的形状としてハードセグメント、及び移行している一時的形状としてソフトセグメントを有する、熱可塑性ポリウレタンエラストマーなどの直鎖ブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。マルチブロックコポリマー、例えば、ポリウレタンとポリスチレン及びポリ(1,4−ブタジエン)、ポリ(テトラヒドロフラン)及びポリ(2−メチル−2−オキサゾリン)のABA型トリブロックコポリマー、ポリノルボルネン、多面体オリゴマシルセスキオキサン(POSS)修飾ポリノルボルネン、PE/ナイロン−6グラフトコポリマーなどもまた、SMPとして機能することができる。
【0024】
形状記憶ポリマーの硬質相及び軟質相で使用されてきたポリマーの例としては、ポリウレタン、ポリノルボルネン、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリシロキサン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、トランス−ポリイソプレン、ポリメチルメタクリレート、架橋トランス−ポリオクチレン、架橋ポリエチレン、架橋ポリイソプレン、架橋ポリシクロオクテン、無機−有機ハイブリッドポリマー、ポリエチレン及びスチレン−ブタジエンコポリマー、ウレタン−ブタジエンコポリマー、PMMA、ポリカプロラクトン又はオリゴカプロラクトンコポリマー、PLLA又はPL/D LAコポリマー、PLLA PGAコポリマーのコポリマーブレンド、及び光架橋性ポリマー、例えばアゾ染料、双極性イオン、及びその内容が参照により本明細書に組み込まれる「Shape Memory Materials」by Otsuka and Wayman,Cambridge University Press 1998に記載されているもののような他のフォトクロミック材料が挙げられる。好適な化学架橋された形状記憶ポリマーの例としては、HDPE、LDPE、PE及びポリ酢酸ビニルのコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
好適な形状記憶ポリマーとしては、その内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる、国際公開特許WO 03/084489;米国特許第5,506,300号(Wardら)、米国特許第5,145,935号(Hayashi)、米国特許第5,665,822号(Bitlerら)、及びGorden、「Applications of Shape Memory Polyurethanes」、Proceedings of the First International Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies,SMST International Committee,pp.115〜19(1994);米国特許第6,160,084号(Langer)、米国特許6,388,043号(Langer)、Kimら、「Polyurethanes having shape memory effect」、Polymer 37(26):578I−93(1996);Liら、「Crystallinity and morphology of segmented polyurethanes with different soft−segment length」、J Applied Polymer 62:631〜38(1996);Takahashiら、「Structure and properties of shape−memory polyurethane block polymers」、J.Applied Polymer Science 60:1061〜69(1996);Tobushi H.ら、「Thermomechanical properties of shape memory polymers of polyurethane series and their applications」、J Physique IV(Colloque C1)6:377〜84(1996)),に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。その他のSMPは、米国特許第5,155,199号(Hayashi)、米国特許第7,173096号(Matherら)、米国特許第4,436,858号(Klosiewicz)、日本特許第07126125号、日本特許第2959775号、米国特許出願第2005/244353号(Lendleinら)、及び米国特許出願第2007/009465号(Lendleinら)に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。アクリル系SMPは、米国特許出願第2006/041089号(Matherら)、C.M.Yakachiら、in Advanced Functional Materials,18(2008),2428〜2435、及びD.L.Safranskiら、Polymer 49(2008)4446〜4455に開示されている。
【0026】
市販の熱可塑性SMPとしては、PMMA及びJTbuシリーズ(Polymer Expert)などのポリアクリレート、脂環式ポリエーテルウレタンTecoflex(TFX)(Noveo N)、ポリエーテルポリオールシリーズのポリウレタンフォーム−Diary、例えば、MMタイプ、MPタイプ、MSタイプ及びMB(マイクロビーズ粉末)タイプシリーズ(Diaplex Co.Ltd.)、Polymer Technical Groupの「Calo−MER」、Composite Technology Development,Incの弾性記憶複合材(「EMC」)又はCornerstone Research Group(「CRG」)の「Veriflex」が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
一般に、SMPは、T転移が、ワークピースを締結するのに好適な温度であり、かつ締結されたワークピースが暴露させることが予想され得る任意の温度より高くなるように、選択される。いくつかの実施形態では、T転移は、少なくとも50℃、少なくとも100℃、又は少なくとも125℃である。一般に、形状記憶ポリマーは、80℃で少なくとも0.5MPaの弾性率を有する。
【0028】
SMP締結具は、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーに用いられる任意の好適な技術によって、形状記憶ポリマー組成物から作製されてもよい。成形物品は好適な鋳型内に流し込まれて硬化されもよく、又は、ポリマー組成物が鋳型内に射出されて硬化される反応射出成形(RIM)等により射出成形されてもよい。あるいは、熱可塑性ポリマーの場合、物品は押し出されてもよい。
【0029】
SMP締結具の永久的形状及び変形した形状は、一般に、長さと幅とを有し、かつリベットのようにヘッドを有さない棒状である。締結具の好ましく成形された形状は、円形断面及び事前に選択された長さを有する公称上円柱形である。正方形、矩形、高次多角形及び卵形などの他の断面も考えられる。いくつかの実施形態において、SMP締結具は、予め形成された空洞の開口部への挿入、及びそれに続く膨張に適合するために、円筒の表面に縦溝又は隆起部を更に含んでもよい。締結具は、棒状であり、かつ中空でなく中実であるのが好ましい。
【0030】
締結具の元の成形された形状及び寸法は、(予め選択された変形した形状を有する)締結具がワークピースの空洞に挿入され、ワークピースが確実に取り付けられた状態に保持されるように、形状記憶ポリマーの回復を誘導するために加熱されることができるように選択される。配向された締結具を加熱することにより、締結具を横方向に(幅を)膨張させ、長さを収縮させる。「確実に取り付けられた」とは、ワークピース又は締結具を破損せずに、2つのワークピースを正常に分離することができないことを意味する。しかしながら、転移温度(T転移)を超える温度で締結具を加熱して、締結具が柔軟になることによって、ワークピースを分離することが可能である。
【0031】
一実施形態では、SMPは、最初に名目上の棒状形状に形成された後、ワークピースの空洞に挿入するのに好適な幅及び長さを有する一時的形状に変形される。加熱されると、ないしは別の方法で永久的形状を回復するように誘導されると、締結具のSMPは膨張して、ワークピースの空洞表面及び/又は開口部に側圧を加える。
【0032】
好適な鋳型は、可撓性又は剛性であり得る。鋳型に有用な材料としては、金属、スチール、セラミック、ポリマー材料(熱硬化性及び熱可塑性ポリマー材料を含む)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。鋳型を形成する材料は、十分な完全性及び耐久性を有して特定のモノマー組成物の使用に耐え、またそこに適用され又は重合反応で生成され得るいかなる熱にも耐える必要がある。いくつかの実施形態において、鋳型は射出鋳型を含んでもよい。この場合、鋳型は、互いに一致する2つの部分を含んでもよい。射出成形では、SMPモノマー組成物は、射出ポートを介して鋳型の空洞(1つ又は複数)に注入され、典型的には、空気、窒素等を逃すためのいくつかの出力ポート(output port)が存在する。空洞の充填は、出力ポートを介して取り付けられたバキュームにより促進され得る。
【0033】
形状記憶を有する締結具を作製するために、締結具を(適切な熱硬化性SMPで)成形及び任意に架橋して、永久的形状を形成することができる。締結具がその後第2の形状に変形される場合、対象物をT転移以上で加熱することによって、締結具はその元の永久的形状に戻ることができる。別の実施形態では、例えば、アルキルアルコール、アセトン等の溶媒は、熱可塑性SMPの結晶相を部分的に溶解又は可塑化することができ、同一の回復を引き起こすことができる。
【0034】
第1の永久的形状を有する元の定形物品は、2つの方法のいずれかによって締結具に変形されてもよい。第1の方法では、成形された棒状物品をT転移を超えて加熱し、一時的な形状を付与するために変形させた後、T転移未満に冷却して一時的な形状に固定化する。第2の方法では、成形棒状物品をT転移未満の温度で機械的な力を適用することにより変形させ、それによって成形物品は、強制変形、即ち低温延伸を介して第2の一時的な形状をとる。強制的な機械的変形をもたらす有意な応力がT転移未満の温度で適用された場合、ひずみはポリマー中に保持され、ポリマーの弾性によるひずみの部分的な解放の後であっても、一時的な形状変化が維持される。
【0035】
この定形物品は、続いて、一次元、二次元、又は三次元に変形されてもよい。成形物品の全部又は一部は、機械的変形により変形され得る。成形物品は、エンボス加工、圧縮、捻り、剪断、湾曲、冷間成形、鍛造、延伸、均一若しくは不均一延伸、又はそれらの組み合わせを含む任意の所望の方法により変形され得る。一般に、締結具は、第1の略円筒形状に形成され、続いて、軸配向(延伸)によって変形される。軸配向は、最初に形成されたものよりもより長く、かつより狭い円筒形を作り出す。これは、特定のブラインドジョイントを形成するのに好適な、事前に選択された長さに切断されることができる。第1の棒状成形物品は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%、及びより好ましくは少なくとも200%軸配向(延伸)することによって変形されてもよい。このような延伸はまた、元の幅より狭くなる結果となる。
【0036】
元の又は永久的形状は、締結具をT転移を超えて加熱することにより回復され、ここで応力及びひずみが緩和され、材料が元の形状に戻る。締結具の元の又は永久的形状は、多様なエネルギー源を使用して回復され得る。締結具(及びそれに関連するワークピース)を、その冷たい状態又は暖かい状態のいずれでも溶解しない、又は膨潤させない好適な不活性液体(例えば、水又はフルオロケミカル流体)を収容する加熱浴内に浸漬してもよい。また、締結具をホットエアガン、ホットプレート、水蒸気、従来型のオーブン、赤外線ヒーター、無線周波(R)源又はマイクロ波源等の熱源を使用して軟化させてもよい。組成物をプラスチックパウチ、注射器又は他の容器内に入れ、これを次に(例えば、電気的に)加熱し、又は上記の加熱方法の1つ以上に供してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、締結具は、締結具の加熱及び永久的形状への回復を容易にするために、伝導スリーブを含んでもよい。スリーブは、抵抗加熱又は誘導加熱され得る材料を含んでもよい。好ましくは、スリーブは、加熱時に回復を遅らせない形態、例えば、締結具の回復形状に適合するスクリムなどである。
【0038】
いくつかの実施形態では、締結具は、組立品の密閉を容易にするために、エラストマースリーブを含んでもよい。熱を適用して締結具が回復した後、エラストマースリーブは、組み立てられたワークピースとその空洞との境界面に密閉を形成することができる。
【0039】
あるいは、締結具の元の形状は、可塑剤として作用する、溶媒等の低分子量有機化合物に暴露することにより回復され得る。低分子量有機化合物はポリマーバルク中に拡散し、熱可塑性SMPの結晶化度を乱すことにより回復を引き起こす。
【0040】
いくつかの実施形態では、締結具の一部のみを回復することが望ましい場合がある。例えば、熱及び/又は溶媒を基体の変形表面の一部のみに適用して、これらの部分内のみで形状記憶回復を引き起こしてもよい。
【0041】
一実施形態において、締結具は、締結具で封入された抵抗型加熱要素等の加熱要素を含んでもよい。抵抗型加熱要素は、スリーブの形態であってもよい。変形後、抵抗型加熱要素をポリマーのバルクに熱を電気的に付与する源に接続してもよく、この源は、変形物品が元の永久的形状を呈するように温度をT転移を超えて上昇させる。ワークピースは、導線の接続を可能にするために、空洞に通じる開口を有してもよい。別の実施形態では、回復を生じさせるために、熱針などの熱要素が、開口を利用して締結具に挿入されてもよい。
【0042】
別の実施形態では、締結具は、締結具の機械的特性を改善するための材料、例えば、その中に埋め込まれた高張力材料などを有してもよい。このような材料は、繊維又は細線の形態であってもよい。
【0043】
別の実施形態では、加熱工程は、変形ポリマーが赤外線放射等の照射により暖められる、間接的な加熱工程であってもよい。形状記憶ポリマーの応答性は熱容量及び熱伝導率により制限されているため、伝熱は、伝導性セラミックス、カーボンブラック及びカーボンナノチューブ等の伝導性充填剤の追加により向上されてもよい。そのような伝導性充填剤は、熱伝導性及び/又は導電性であり得る。導電性充填剤を用いた場合、ポリマーは、ポリマーに電気を通すことにより加熱され得る。いくつかの実施形態では、形状記憶ポリマーを伝導性充填剤と混ぜ合わせ、ポリマーを交番磁界内に配置して電流を誘導することにより、ポリマーが誘導的に加熱されてもよい。いくつかの実施形態において、伝導性充填剤は、締結具の中の芯の形態であってもよい。
【0044】
ワークピースは、ガラス、セラミック、メーソンリー、コンクリート、天然石、人造石、金属、木材、及びプラスチックなどの任意の材料を含んでもよい。ワークピースは、その中に少なくとも1つの空洞を有し、この空洞は、各ワークピースの表面に開口部を有する。空洞の開口部は、円形、正方形、矩形、高次多角形及び卵形などの任意の断面形状であってもよく、好ましくは、締結具の断面形状と一致するように選択される。好ましくは、空洞の開口部は円形である。空洞の幅は、締結具が加熱されると横方向に膨張して、締結具と、空洞の開口部及び壁との間を充満するように選択される。
【0045】
一般に、空洞の幅は、締結具の幅の100〜200%であり、又は逆に言うと、締結具の幅は、空洞の幅の50〜100%である。空洞の幅は、深さを通じて一定であってもよく、又は変化してもよい。一実施形態において、空洞は、ワークピースの表面上の空洞の開口部に第1の幅を有し、空洞の開口部に隣接する部分に第2のより広い幅を有する。言い換えれば、空洞は、開口部に第1の幅を有し、空洞深さの中間点又は空洞の底部といった開口部の遠位地点に、第2のより広い幅を有する。有利には、締結具は、開口部に位置する第1の幅まで空洞の中に横方向に膨張し、空洞の第2の幅の部分まで更に膨張し、それによって、引き抜きを阻止するショルダー部を形成する。同時に、第1及び第2の幅の当接部に形成された収縮した軸方向に係合するショルダー部を備える締結具は、これによって、2つのワークピースを引き寄せる。いくつかの実施形態において、空洞は、開口部に第1の幅を有し、空洞の遠位端に位置するより広い第2の幅に向かってテーパが付けられてもよい。
【0046】
空洞は、任意の好適な深さであってもよく、空洞のそれぞれは、ワークピースの表面の開口部の開口端と、盲端とを有する。空洞は貫通孔でなく、ワークピースの厚さに至るまで延びてもよい。空洞の盲端は、締結具を挿入させないが、加熱要素を挿入させることができる。一般に、空洞の深さは、ワークピースの厚さの10〜90%であり、開口部の平面に対して垂直である。
【0047】
第2のワークピースは、同一寸法又は異なる寸法の空洞を有してもよい。一般に、その断面形状及び幅は略同一であるが、それぞれの深さは異なってもよい。一般に、各空洞は、締結具を確実に取り付けるための寸法を有する。一般に、第1及び第2の空洞の組み合された深さは、挿入及び長手方向の収縮を可能にするために、締結具の長さ以上である。好ましくは、各空洞は、対応の表面の開口部に第1の幅を有し、空洞の開口部に隣接する部分に第2のより広い幅を有する。
【0048】
第1及び/又は第2のワークピースは、加熱要素を挿入するために、ワークピースの表面まで延びる空洞内に通じる小さな開口を有してもよい。開口の寸法及び形状は、抵抗型加熱要素(又はそのための導線)が締結具に挿入されることができるようなものであるが、その幅は、締結具の幅よりも狭い。一般に、ワークピースは、締結具の挿入に好適な寸法の単一開口部のみを有する。
【0049】
追加のワークピースが、本発明の方法によって更に締結されてもよい。一実施形態では、それぞれが貫通孔をその中に有する1つ以上の追加のワークピースが、第1のワークピースと第2のワークピースとの間に挿入されてもよく、この貫通孔は、締結具が第1のワークピースの空洞に挿入され、1つ以上の任意のワークピースの貫通孔(though-holes)を通り、第2のワークピースの空洞に挿入されるのを可能にする。第1及び第2のワークピース並びに締結具を含む組立品は、それぞれが空洞の代わりに貫通孔を有する1つ以上のワークピースを更に含んでもよく、この貫通孔は、(1つ又は複数の)追加のワークピースの第1の表面上の第1の開口部と、その第2の表面上の第2の開口部と、それらの間の通路とを有する。この貫通孔の幅は、第1のワークピースの空洞の幅と略同一である。締結具は、第1のワークピースの空洞に挿入され、追加のワークピースの貫通孔(though-holes)を通り、第2のワークピースの空洞に挿入されてもよい。
【0050】
締結具を加熱することにより、外側への膨張、及び長手方向軸に沿った収縮が生じて、複数のワークピースを一緒に締結する。締め具が元の永久的形状を回復すると、締結具を収容している開口部及び空洞は、もはやアクセス可能でなくなる。締結具及び/又はワークピースを破損させずに締結具にアクセスすることはできない。
【0051】
本発明の実施形態は、図を参照して図式的に説明される。図1には、それぞれが盲空洞21及び31を有する2つのワークピース20及び30が断面で示されている。盲空洞31は、ワークピースの表面上の開口部に第1の幅32を有し、開口部から遠位で開口部に隣接している部分に、より大きな第2の幅33を有する。ワークピース20は、図のように第1の幅と第2の幅とを有してもよく、又は、空洞の深さを通じて一定の幅を有してもよい。この空洞は深さ34を有している。ワークピース20は、抵抗型加熱要素が締結具10に挿入されるのを可能にする任意の開口22を有して更に示されている。ワークピース30もまた、開口を有して構成されてもよい。開口22の幅は、締結具10の幅より小さい。
【0052】
ワークピース20の空洞21の深さ及び幅は、ワークピース30のそれと同じであっても、異なっていてもよい。一般に、空洞の断面形状は同じである。締結具10は空洞21及び31に挿入され、ワークピース20及び30は、合体されて物品40を形成する。締結具10は、空洞21及び31の開口部の幅より小さいか又は等しい幅を有する。締結具10は、空洞の深さの合計以下の長さ、及び空洞21及び31の深さの合計の75%以上の長さを有する。
【0053】
図1はまた、任意の接着剤層24を図示しており、この接着剤層24は、締結具10で固定されるまで、ワークピース20及び30を定位置に接着固定するために使用されてもよい。
【0054】
転移温度を上回る温度まで加熱すると、締結具10は、第1の幅32まで横方向に膨張し、締結具50で示されるように、空洞に制約されているので、部分的に元の形状に回復する。第2の幅33はより大きいので、締結具50は、空洞の開口部に隣接する部分の中に更に膨張して、第1の幅と第2の幅の当接部に、ワークピースの分離を更に遅らせることが可能なショルダー部51を形成する。締結具は、軸次元に沿って更に後退して、ワークピースを更に共に圧縮する。
【0055】
図1は、アクセス不可能な形状記憶ポリマーの締結具によってブラインドジョイント形式で締結された、第1のワークピースと第2のワークピースとを含む組立品53を更に示している。ワークピースは、熱に反応した形状記憶ポリマーの回復によって確実に締結されており、締結具は、横方向に膨張して空洞の表面に係合し、かつ長手方向軸に沿って収縮又は縮小して、ワークピースの各表面は、ブラインドジョイントになるように共に引き寄せられている。図のように、締結具はアクセス不可能である。更に、ワークピースが透明である場合を除いて、締結具は可視でない。第1のワークピースと第2のワークピースとの間に、貫通孔を有する追加のワークピースが更に挿入されてもよい。
【0056】
図2では、2つのワークピース61及び71が提供されており、それぞれ盲空洞62及び72を有している。空洞62及び72は、大きな空洞を有するワークピース又は用途を表すことができ、例えば、矩形管などの中空のワークピースとジョイントを形成する場合、又はワークピースを中空壁に装着する場合などである。ワークピース61は、第1の幅63を有するその表面上の開口部、及び開口部に隣接するワークピースの部分に第2の幅64を有する。空洞62は深さ65を有する。ワークピース71は、ワークピース61と(図示のように)同じ、又は異なる開口部、幅、及び深さを有する。締結具80は、空洞62及び72の開口部に挿入される。貫通孔を有する任意の追加のワークピース75は、ワークピース61とワークピース71との間に挿入されてもよい。1つ以上の追加のワークピースが使用されてもよく、これらは任意の厚さ、並びに任意の幅及び長さであってもよい。
【0057】
転移温度を上回る温度まで加熱されると、締結具80は開口部63の幅まで横方向に膨張し、空洞に制約されているので、及び回復した締結具90によって図示されているように、部分的に元の形状に回復する。第2の幅64は大きいので、形状回復した締結具90は、空洞の開口部に隣接する部分を更に大きく膨張させて、第1の幅と第2の幅の当接部に、ワークピースの分離を更に遅らせることが可能なショルダー部91を形成する。締結具は、軸次元に沿って更に後退して、ワークピースを更に共に圧縮する。
【0058】
図2は、抵抗スクリム(resistive scrim)などの任意のスリーブ81を更に図示している。図示された実施形態では、図のように、スリーブ81は締結具90の形状に適合する。スリーブはまた、非適合性の管を含んでもよい。
【0059】
図2は、アクセス不可能な形状記憶ポリマーの締結具によってブラインドジョイント形式で締結された、第1及び第2のワークピースを含む組立品を更に示している。矩形管ワークピースで示されるように、締結具はアクセス可能でなく、締結具の軸に沿って見た場合に可視でない。
【実施例】
【0060】
一般試験法
1000lbf(4.4kN)最大ロードセルを備えたSintech負荷枠で引張剪断試験を実施した。自動締めつけつかみ具(Self-tightening grips)を使用した。
【0061】
準備的実施例1:W触媒溶液の調製
窒素雰囲気でオーブン乾燥した500mLフラスコに、WCl(2.00g、0.005モル、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)、及び100mLのトルエン(無水、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を投入した。この混合物を窒素をパージしながら1時間撹拌した。ノニルフェノール(1.1g、0.005モル、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を注射器で加え、この溶液を窒素をパージしながら4時間撹拌した。次に、注射器を使用して、2,4−ペンタンジオン(0.77g、0.008モル、Acros Organics)を加え、この溶液を窒素をパージしながら17時間撹拌した。無水ジシクロペンタジエン(Anhydrous dicyclopentadiene)(250mL、1.84モル、TCI America、エチリデンノルボルネン含有量4%)を添加した。フラスコを60℃油浴の中に置き、真空を1.5時間適用してトルエン(及びいくつかのジシクロペンタジエンなどのその他の揮発物)を除去した。この時点で、追加のジシクロペンタジエン106mLを加えて、溶液の総重量を最大247gに戻し、2,4−ペンタンジオンの追加充填分(0.77g、0.008モル、Acros Organics)を加えた。
【0062】
製造例2:ジシクロペンタジエン−エチリデンノルボルネン処方
オーブン乾燥した125mL三角フラスコを隔壁で塞ぎ、窒素をパージした。注射器を使用して、ジシクロペンタジエン(16.9mL、0.12モル)、エチリデンノルボルネン(30.0mL、0.22モル)及び製造例1の触媒液13.1mLを加えた。この溶液は混合物2Aと表わされる。
【0063】
Irganox 1010(0.60g、Ciba Specialty Chemical Corp,Tarrytown,NY)及びIrgafos 168(0.60g、Ciba)をオーブン乾燥した125mL三角フラスコの中に入れた後、これを隔壁で塞ぎ、窒素でパージした。エチリデンノルボルネン(45.7mL、0.0.34モル)及びSanticizer 261A(12.0mL、Ferro Corporation,Bridgeport,NJ)を加えた。この混合物を数分撹拌して固形物を溶解した。次に、ジエチルアルミニウムクロリド(1.1mL、0.009モル、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を加えた。この溶液は混合物2Bと表わされる。
【0064】
製造例3:ジシクロペンタジエン処方
オーブン乾燥した125mL三角フラスコを隔壁で塞ぎ、窒素でパージした。注射器を使用して、ジシクロペンタジエン(75mL、0.55モル)、その後、製造例1の触媒液24.6mLを加えた。この溶液は混合物3Aと表わされる。
【0065】
Irganox 1010(1.94g、Ciba Specialty Chemical Corp,Tarrytown,NY)をオーブン乾燥した125mL三角フラスコの中に入れた後、これを隔壁で塞ぎ、窒素でパージした。DCPD(91mL、0.67モル)及びブチル・エーテル(1.2mL、0.007モル、TCI America)を加えた。次に、10vol%のジエチルアルミニウムクロリドのジシクロペンタジエン溶液(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)を6.1mL加えた。この溶液は混合物3Bと表わされる。
【0066】
実施例1:締結具の引張性能
6mLの混合物2A及び6mLの混合物2Bを、それぞれ6mLの注射器に装填した。2種類の溶液を静的ミキサーを介して内径が5/16インチ(7.94mm)のタイゴンチューブに注入した。試料は2分以内に発熱した。得られたポリマー棒をチューブから取り外し、100℃の炉に約20分間入れて後硬化させた。最終直径は0.28〜0.30インチ(7.1〜7.6mm)の範囲であった。
【0067】
この試料の複数片を140℃の炉の中で加熱した。熱いうちに、棒を直径が0.17〜0.18インチ(4.3〜4.6mm)になるまで手で引き延ばした。この材料の長さ1.25インチ(31.75mm)片を6個切断した。軸線方向延長は約200%であった。
【0068】
12個のポリカーボネートワークピース(3×1×3/8インチ(約76.2×25.4×9.5mm))の最小面(1インチ×3/8インチ(約25.4×9.5mm))にドリルで穴を開けて、深さ5/8インチ(15.9mm)及び直径3/16インチ(4.8mm)の空洞を設けた。次に、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して、開口部から1/8インチ(3.2mm)隣接した領域の穴の直径を広げた。次に、締結具を2つのワークピースの穴に挿入して突き合わせジョイントを作製した。組立品を138℃の炉の中で20分加熱し、その間に締結具は元の成形された形状に(部分的に)回復した、即ち、長さが減少し、直径が増大した。締結された組立品を、2インチ/分(51mm/分)の引張荷重で破損するかどうか試験した。6個の試料の平均ピーク荷重は263重量ポンド(lbf、約(1170N))であった(32lbf(=142N)の標準偏差)。
【0069】
実施例2:締結具の剪断性能
15mLの混合物2A及び15mLの混合物2Bを、それぞれ25mLの注射器に装填した。2種類の溶液を静的ミキサーを介して内径が5/16インチ(7.94mm)のタイゴンチューブに注入した。試料は2分以内に発熱した。得られたポリマーをチューブから取り外し、120℃の炉に約10分間入れて後硬化させた。
【0070】
この試料を6インチ(152mm)の片に切断した。負荷枠を使用して、これらの片を80℃に加熱し、1分間にわたって180%伸長まで延伸して、変形した形状を付与した。棒状の試料を、負荷枠のつかみ具から取り外す前に部分的に冷却した。完全に冷却した後、引き延ばされたロッド締結具の直径は0.21インチ(5.3mm)未満であった。この材料の6個の片を長さ0.44インチ(11.2mm)に切断した。
【0071】
ポリカーボネートワークピース(2×1×3/8、約51×25.4×9.5mm)にドリルで穴を開けて、深さ1/4インチ(6.3mm)及び直径7/32インチ(0.22mm)の空洞を設けた。空洞は、ワークピースの平面の一端から1/2インチ(12.7mm)の中心線上にあった。次に、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して、空洞の開口部から1/8インチ(3.2mm)の領域の空洞の直径を広げた。これらポリカーボネートワークピースのうちの2個を、それらの平面内の穴が位置合わせされるように重ね合わせ、前段落に記載のように引き延ばされた締結具を位置合わせされた空洞に挿入した。組立品を138℃の炉の中で20分加熱し、その間に、締結具が元の永久的形状に(部分的に)回復するにつれて、締結具の長さは減少し、直径は増大した。
【0072】
これら完全なブラインドオーバーラップジョイントの剪断試験を可能にするために、ねじを使用してアルミニウムクーポン(4インチ×1インチ×1/16インチ(約102×25.4×1.6mm))をポリカーボネート組立品の各末端部に取り付けた。アルミニウムクーポンは負荷枠のつかみ具に保持され、試料が2インチ/分(51mm/分)の剪断力下で破損するかどうか試験した。6個の試料の平均ピーク荷重は241lbf(1072N)であった(35lbf(156N)の標準偏差)。
【0073】
実施例3:スチールにより補強された締結具の引張性能
内径が5/16インチ(7.9mm)のタイゴンチューブを静的ミキサーの一端に取り付けた。チューブの他端には、0.059インチ(1.5mm)スチールピアノ線の長さ3.5インチ(89mm)の片が、チューブの中心線に沿ってチューブの中に延びるようにクランプされた。6mLの混合物2A及び6mLの混合物2Bを、それぞれ6mLの注射器に装填した。2種類の溶液を、静的ミキサーを介してタイゴンチューブに注入した。試料は2分未満で発熱した。得られたポリマーをチューブから取り外し、120℃の炉に約10分間入れて後硬化させた。得られた試料は、一片のワイヤがその中に埋め込まれたポリマー棒であった。
【0074】
この試料を6インチ(152mm)の片に切断した。Sintech負荷枠を使用して、これらの片を80℃に加熱し、1分間にわたって180%伸長まで延伸して、変形した形状を付与した。延伸の間、最初埋め込まれたワイヤの上にあったポリマーは延伸され、同様にワイヤに沿って摺動した。試料を、負荷枠のつかみ具から取り外す前に部分的に冷却した。得られた引き延ばされた棒の一部は、その中に埋め込まれたワイヤを有し、この棒のこの部分の直径は0.22インチ(5.6mm)未満であった。ワイヤが埋め込まれたこの材料の6個の片を、長さ1.25インチ(31.75mm)の締結具に切断した。
【0075】
これら締結具を、実施例1に記載の通りにポリカーボネートワークピースの空洞に挿入した。組立品を138℃の炉の中で20分加熱した。締結された組立品を、2インチ/分(51mm/分)の引張荷重で破損するかどうか試験した。6個の試料の平均ピーク荷重は207lbf((921N)(20lbf(89N)の標準偏差)であった。
【0076】
実施例4:スチールで強化された締結具の剪断性能
実施例3に記載のようにワイヤが埋め込まれた締結具を、長さ0.44インチ(11.2mm)に切断した。これらリベットを、実施例2に記載の通りにポリカーボネートワークピースの空洞に挿入した。試料を138℃の炉で20分間加熱し、その間に締結具の長さは減少し、直径は増大した。締結された組立品を、2インチ/分(51mm/分)の引張荷重で破損するかどうか試験した。5個の試料の平均ピーク荷重は251lbf(約1117N)(36lbf(160N)の標準偏差)であった。
【0077】
実施例5:6個の締結具を有する組立品
ポリカーボネートワークピース(6インチ×1.5インチ×0.375インチ(約152×38.1×9.5mm))の表面約6×0.375インチ(152×9.5mm)にドリルで穴を開けて、互いに1インチ離間した6個の空洞を設けた。空洞は、直径0.188インチ(4.8mm)、深さ0.63インチ(16mm)であった。次に、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して、開口部に隣接した深さ0.12インチ〜0.38インチ(3〜9.6mm)の穴の部分の直径だけを広げた。実施例1で使用したものと同一である長さ1.25インチ(31.75mm)の6個の締結具を、2つのこれらポリカーボネートワークピースの穴に挿入した。次に、ワークピースの表面を、締結具のいずれの部分も露出しないように位置合わせした。組立品を120℃の炉で20分間加熱し、その間に締結具の長さは減少し、直径は増大した。空洞の開口部に隣接する領域内にショルダー部が形成された。
【0078】
得られた組立品は、支持スパン2インチ(51mm)及び速度0.2インチ/分(約5mm/分)で三点曲げ試験に供された。555lbf(2469N)のピーク荷重が認められた。0.9インチ(23mm)の変位に達した後、試験を中止した。試験中に1つのリベットは壊れ、残りは壊れないままで組立品の両半分の中に維持された。
【0079】
実施例6:木材及びアルミニウムを有するブラインド締結具
外形寸法1.5×0.75インチ(38.1×19mm)及び壁厚約0.125インチ(3.2mm)のアルミニウムの矩形チューブの一片を、長さ4インチ(102mm)に切断した。直径0.188インチ(4.8mm)の4個の空洞を、アルミニウムチューブの一方の面にドリルで開けた。これにより、0.188インチ(4.8mm)の開口部に位置する第1の幅と、矩形チューブの容量によって規定される開口部に隣接した第2の幅とを有する空洞を提供した。
【0080】
直径0.188インチ(4.8mm)の4個の空洞の整合パターンを、オーク材木材の3×2.5×0.5インチ(76.2×63.5×12.7mm)片にドリルで穴を開けたが、0.38インチ(9.7mm)の深さまでであった。木材の穴の直径を、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して広げたが、空洞の深さ0.12インチ(3mm)を超えた部分のみであった。実施例1で使用したのと同一である4個の締結具を木材の空洞に挿入し、締結具がアルミニウムの空洞の中に入るように、アルミニウムを木材に接触して設置した。次に、組立品をヒートガンで加熱し、その間に締結具の長さは減少し、直径は増大した。冷却後、木材はアルミニウムにしっかりと締結されており、木材の表面上に締結具の形跡がないことは明らかであった。ショルダー部は、締結具上のアルミニウムワークピースの空洞部分の中に形成された。
【0081】
実施例7:0.010インチ(0.25mm)ピアノ線を有する締結具の抵抗加熱
混合物3A(12.5mL)を注射器に充填した。別の注射器に混合物3B(12.5mL)を充填した。注射器を注射器ポンプに装填し、静的ミキサーに接続した。スチールピアノ線(直径0.010インチ(約25mm))の単一ストランドは、内径0.25インチ(6.4mm)のNalgeneチューブに通された。この線とチューブの組立品を静的ミキサーの末端部に接続し、きつく引っ張って線をチューブの中央に張架した。30秒未満の間に、2種類の溶液を可撓性チューブの中及び線の周囲に射出した。試料は4分未満で発熱し、次に、得られたポリマー棒をNalgeneチューブから取り外した。次に、ポリマーを100℃の炉に約20分間入れて後硬化させた。
【0082】
それぞれ長さ4インチ(102mm)の3つの部分をこの試料から切り取った。これらを負荷枠のつかみ具が入った80℃の炉の中に置いた。20分間平衡化した後、次に、試料を2インチ(51mm)の初期分離でつかみ具に別々に装填した。次に、各試料を装填した後、試料を更に2分間再均衡化させた。つかみ具の滑りの程度を明らかにするために、いくつかの試料につかみ具の底部でインクマークを付けた。つかみ具の離間距離が5.5インチ(140mm)になるまで、試料を2インチ/分(51mm/分)で引き延ばした。4個の試料は、0.10〜0.20インチ(2.54〜5.1mm)の変位で114〜143lbf(507〜636N)の最大の力に達し、その時点で、試料はネッキングし始め、比較的一定力で伸長が増加し始めた。最終配向に達した後、試料を<20秒放置し、その後2インチ/分(51mm)で除荷した。試料を取り外し冷却した後、試料の平均直径は6.1mmから4.4mmに減少した。線は試料内を摺動し、2個の試料では、線は一か所で壊れていた。
【0083】
これらの試料を、埋め込まれた線を収容している部分のみを含むように注意して、それぞれ長さ0.75インチ(19mm)の片に切断した。長さ0.5インチ(12.7mm)のポリマーリベットの各末端部から突き出ている1/8インチ(3.2mm)の線を残すために、1/8インチ(3.2mm)のポリマーを各試料の各末端部から剥ぎ取った。
【0084】
接着結合がAlワークピースの1つの端の1×1インチ(25.4×25.4mm)区域になるように、DP 100エポキシ(3M)を使用して、ポリカーボネートワークピース(1×1×3/8インチ(約25.4×25.4×9.5mm))をアルミニウムワークピース(4×1×1/16インチ(約102×25.4×1.6mm))に接着して、試験基材を調製した。試料の末端部の3/8×1インチ(9.5×25.4mm)ポリカーボネート面の中心にドリルで穴を開けて、直径3/16インチ(4.8mm)及び深さ3/8インチ(9.5mm)の空洞を設けた。次に、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して穴の直径を広げたが、広げた領域は、開口部に隣接する1/16インチ(1.6mm)以内の部分だけであった(即ち、開口部の直径は3/16インチ(4.8mm)、開口部に隣接した直径は1/4インチ(6.35mm))。次に、露出した1×1インチ(25.4×25.4mm)ポリカーボネート面から空洞の最も深い部分まで、1/16インチ(1.6mm)の開口をドリルで開けた。上記のような締結具の両端を、単一ストランドの銅線(長さ1インチ(約25.4mm))に取り付けた。次に、締結具の各末端部をポリカーボネートワークピースの3/16インチ(4.8mm)空洞に挿入し、各末端部の1/16インチ(1.6mm)開口を通して銅線を送り込んだ。銅線を単3電池(1.5V)1個に90秒間取り付けた。銅線が熱くなると、締結具の長さは減少し、直径は増加した。冷却後、銅線を組立品から取り外した。4個の試料を準備し、それらを2インチ/分(51mm/分)の張力下で室温で試験した。試料のうち2個は、組立品の1つから抜け出すことによって不合格となり、2個の組立品は、アルミニウム−ポリカーボネート境界面の接着破壊によって不合格となった。4個の試料の平均ピーク荷重は79lbf(351N)であった。
【0085】
製造例4:光硬化性アクリル締結具
アクリル酸イソボルニル(65g、Sartomer,Exton,PA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(25g、Sartomer,Exton,PA)、二官能性脂肪族ウレタンオリゴマーCN9009(10g、Sartomer Exton,PA)、及びTPO−L(商標)光開始剤(0.33g、BASF,Mt.Olive,NJ)を、アンバージャーの中で電磁攪拌棒で1時間十分に混合した。
【0086】
実施例8:アクリル締結具の引張性能
長さ5インチ(127mm)及び内径0.25インチ(6.35mm)の透明なプラスチックチューブの一端をクリップを使用して密閉し、製造例4のアクリル溶液を充填した後、チューブ内部の気泡形成を排除するように第2のクリップを使用して密閉した。充填されたチューブをLEDアレイ(380nm、100mW/cm、10分)の下に水平に置いて、試料を光硬化させた。重合の後、プラスチックチューブを得られたポリマー棒から切り取った。
【0087】
Sintech(商標)負荷枠を使用して、製造例4のポリマー棒を55℃に加熱し、2分間にわたって100%伸長まで引き延ばした。Sintechつかみ具から取り外す直前に、棒を冷却した。棒の直径は、伸長の間に0.24インチ(6.1mm)から0.18インチ(4.57mm)に減少した。6個の1.25インチ(31.75mm)片を引き延ばされた棒から切断し、実施例1で製造した2つのポリカーボネートワークピースの間に挿入した。組立品を90℃で30分加熱し、締結具をその元の成形された形状に回復させた。締結された組立品を、2インチ/分(51mm/分)の引張荷重で破損するかどうか試験した。5個の試料の平均ピーク荷重は83.7lbf(372N)(10.3lbf(45.8N)の標準偏差)であった。
【0088】
実施例9:アクリル締結具の剪断性能
長さ5インチ(127mm)及び内径0.25インチ(6.35mm)の透明なプラスチックチューブの一端をクリップを使用して密閉し、製造例4のアクリル溶液を充填し、次に、チューブ内部の気泡形成を排除するように第2のクリップを使用して密閉した。充填されたチューブをLEDアレイ(380nm、100mW/cm、10分)の下に水平に置いて、試料を光硬化させた。重合の後、プラスチックチューブを得られたポリマー棒から切り取った。
【0089】
Sintech負荷枠を使用して、製造例4のポリマー棒を55℃に加熱し、2分間にわたって50%伸長まで引き延ばした。Sintechつかみ具から取り外す直前に、棒を冷却した。棒の直径は、伸長の間に0.24インチ(6.1mm)から0.2インチ(5.1mm)に減少した。6個の0.5インチ(12.7mm)片を引き延ばされた棒から切断し、実施例2で製造した2つのポリカーボネートワークピースの間に挿入した。組立品を90℃で20分加熱し、締結具を元の成形された形状に回復させた。締結された組立品を、2インチ/分(51mm/分)の引張荷重で破損するかどうか試験した。5個の試料の平均ピーク荷重は110.2lbf(490N)(9.2lbf(40.9N)の標準偏差)であった。
【0090】
実施例10:熱可塑性ポリウレタン締結具
DiARY MM9020(商標)熱可塑性ポリウレタン形状記憶ポリマー(DiAPLEX Co.Ltd,Tokyo,Japan)を、厚さ2.8mmの飾り板に射出成形した。この飾り板の一部を、2.9mm×2.8mmの矩形断面を有する公称長さ80mmのストリップに切断した。これらストリップを100℃の炉で加熱し、約150%伸長まで手で延伸した。試料の矩形断面は1.8mm×1.7mmまで減少した。
【0091】
引張試験試料をポリプロピレンワークピース(88mm×25mm×0.6.2mm)から作製した。各ワークピース(25mm×6.2mm面)の1つの面の中心に、円筒形の空洞(直径2.3mm、深さ13mm)を有する表面に垂直にドリルで穴を開けた。次に、追加の穴(直径2.3mm、深さ7mm)を、試料の面の同じ位置であるが、元の穴の内側(bore)と約15°異なる角度でドリルで穴を開けた。次に、第3の穴(直径2.3mm、深さ7mm)を同じ位置にドリルで穴を開けたが、この穴は、元の穴の内側と約15°異なる角度で、第2の穴の反対方向に向けられた。3つのドリル工程の結果は、表面における直径約2.3mm、表面からの深さ7mmにおける幅4mm〜5mmの単一空洞であった。
【0092】
引き延ばされたポリウレタン形状記憶ポリマー試料を長さ25mmに切断し、2つの位置合わせされたポリプロピレンクーポンの空洞に挿入した。次に、これらの組立品を熱湯の中に10分間置き、その間に締結具の長さは減少し、横方向に膨張した。室温まで冷却した後、試料を2インチ/分(51mm/分)の張力下で試験した。2個の試料の平均ピーク荷重は22lbf(97.9N)であった。
【0093】
製造例5:ジシクロペンタジエン−エチリデンノルボルネン処方
オーブン乾燥した125mL三角フラスコを隔壁で塞ぎ、窒素でパージした。注射器を使用して、エチリデンノルボルネン(23.2mL、0.17モル)及び製造例1の触媒液24.5mLを加えた。トリクロロ酢酸エチル(0.32mL、0.002モル)を加えた。この溶液は混合物4Aと表わされる。
【0094】
Irganox(商標)1010(0.24g、Ciba Specialty Chemical Corp,Tarrytown,NY)及びIrgafos(商標)168(0.72g、Ciba)をオーブン乾燥した125mL三角フラスコの中に入れた後、これを隔壁で塞ぎ、窒素でパージした。エチリデンノルボルネン(35.6mL、0.26モル)を加え、この混合物を数分撹拌して固形物を溶解した。次に、ブチル・エーテル(2.4mL)及び10vol%のジエチルアルミニウムクロリドのジシクロペンタジエン溶液9.1mL加えた。この溶液は混合物4Bと表わされる。
【0095】
実施例11:3/4インチ(19.1mm)木材組立品の引張試験
等量の混合物4A及び混合物4Bを、それぞれ注射器に装填した。2種類の溶液を静的ミキサーを介して内径が5/16インチ(7.94mm)のタイゴンチューブに注入した。発熱した試料及び得られたポリマーをチューブから取り外し、100℃の炉に約10分間入れて後硬化させた。
【0096】
この試料を6インチ(152mm)の片に切断した。負荷枠を使用して、これらの片を100℃に加熱し、1分間にわたって200%伸長まで延伸して、変形した形状を付与した。棒状の試料を、負荷枠のつかみ具から取り外す前に部分的に冷却した。この材料を長さ1.1インチ(29mm)の片に切断した。
【0097】
3インチ(76.2mm)の寸法に平行な木目を有するオーク材ワークピース(3×1×3/4インチ(約76.2×25.4×19.1mm))にドリルで穴を開けて、深さ5/8インチ(15.9mm)及び直径13/64インチ(5.16mm)の空洞を設けた。空洞はワークピースの最小面の中央であった。次に、高速カッティングビット(Dremel(商標)#192)を使用して、空洞の開口部から1/8インチ(3.2mm)離れた全領域の空洞の直径を広げた。前段落で記載の引き延ばされた締結具を、2つのワークピースの位置合わせされた空洞に挿入した。組立品を120℃の炉の中で40分加熱し、その間に、締結具が元の永久的形状に(部分的に)回復するにつれて、締結具の長さは減少し、直径は増大した。3個のそのような試料を準備した。
【0098】
引張試験をするために、試料を各ワークピースにドリルで開けられた直径8mmの穴を通して負荷枠にピンで装填した。試料が2インチ/分(51mm/分)で破損するかどうか試験した。3個の試料の平均ピーク荷重は313lbf(1390N)であった。
【0099】
実施例12:テーパが付けられた空洞を有する木材組立品の引張試験
3インチ(76.2mm)の寸法に平行な木目を有するオーク材ワークピース(3×1×1/2インチ,(約76.2×25.4×12.7mm))にドリルで穴を開けて、深さ5/8インチ(15.9mm)及び直径13/64インチ(5.16mm)の空洞を設けた。空洞はワークピースの最小面の中央であった。次に、高速カッティングビット(Dremel #192)を使用して、空洞の開口部から1/8インチ(3.2mm)離れたワークピースの最大面に平行な平面内のみの空洞の直径を広げた。実施例12で記載の引き延ばされた締結具を、2つのワークピースの位置合わせされた空洞に挿入した。組立品を145℃の炉の中で20分加熱し、その間に、締結具が元の永久的形状に(部分的に)回復するにつれて、締結具の長さは減少し、直径は増大した。8個のこのような試料を準備した。
【0100】
引張試験をするために、試料を各ワークピースにドリルで開けられた直径8mmの穴を通して負荷枠にピンで装填した。試料が2インチ/分(51mm/分)で破損するかどうか試験した。8個の試料の平均ピーク荷重は177lbf(787N)(48lbf(214N)の標準偏差)であった。
【0101】
実施例13:誘導加熱を有するポリカーボネートの組立品
12個のポリカーボネートワークピース(3×1×3/8インチ(約76.2×25.4×9.5mm))の最小面(1インチ×3/8インチ(約25.4×9.5mm))に、深さ5/8インチ(15.9mm)及び直径3/16インチ(4.8mm)の円筒形の空洞を有する表面に垂直に、ドリルで穴を開けた。次に、試料の面と同じ位置であるが、元の穴の内側と約15°異なる角度で追加の穴(直径4.8mm、深さ15.9mm)をドリルで開けた。次に、第3の穴(直径4.8mm、深さ15.9mm)を同じ位置にドリルで穴を開けたが、この穴もまた、元の穴の内側と約15°異なる角度で、第2の穴の反対方向に向けられた。
【0102】
実施例12に記載の引き延ばされた締結具を厚さ0.001インチ(0.025mm)のアルミホイルで包んだ。2つのワークピースの位置合わせされた空洞に締結具を挿入した。組立品の中心はMini−Ductor誘導加熱器(Model # IDIMD−600)のコイルに接近して置かれた。コイルは平らで、4つの一巻きを有し、直径は約1.5インチ(38mm)であった。誘導加熱器を45秒間作動させ、その間に、締結具が元の永久的形状に(部分的に)回復するにつれて、締結具の長さは減少し、厚さは増大した。このような試料を4個用意した。冷却後、これら試料を116lbf(516N)の平均ピーク荷重で破損するかどうか試験した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結方法であって、
a)それぞれが空洞に通じる開口を表面に有する、第1のワークピース及び第2のワークピースを提供する工程と、
b)対応する前記空洞及び開口部に締結具を挿入する工程であって、前記締結具が配向形状記憶ポリマーを有し、
c)前記締結具が横方向に膨張して前記ワークピースの前記空洞と係合するように、前記締結具を加熱する工程と、を含む締結方法。
【請求項2】
その中に貫通孔を有する1つ以上の追加のワークピースを更に含み、前記追加のワークピースが、前記第1のワークピースと第2のワークピースとの間に挿入される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記締結具が、棒状である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記空洞の前記開口部が、円形である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記締結具が、少なくとも50%軸方向に配向される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形状記憶ポリマーが、架橋熱硬化性ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋熱硬化性ポリマーが、ジシクロペンタジエンコポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記形状記憶ポリマーが、結晶質熱可塑性ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記形状記憶ポリマーが、0℃で少なくとも90MPaの弾性率、及び80℃で少なくとも0.5MPaの弾性率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記締結具が、
前記形状記憶ポリマーを鋳型に鋳造する工程と、これを硬化する工程と、得られた成形物品をT転移より低い温度で変形させる工程と、によって作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記鋳造物品を前記T転移を超える温度で変形させ、次に、前記変形物品の形状を維持するために、前記得られた変形物品を前記ポリマーの前記T転移より低く冷却する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記空洞が、前記ワークピースの前記表面に位置する第1の幅と、前記第1の幅に隣接した第2のより大きな幅と、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のワークピースの前記空洞の深さが、前記ワークピースの厚さの10〜90%であり、前記空洞の前記開口部の平面に対して垂直である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記締結具の長さが、前記第1の空洞の前記深さよりも長く、前記第1及び第2の空洞の組み合された深さ以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記空洞のそれぞれが、前記ワークピースの表面上の開口部と、遠位盲端と、を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記空洞の前記遠位端の幅が、前記開口部での半径よりも大きい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記締結具が、加熱されると横方向に膨張し、その両末端部が前記盲端の中にショルダー部を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記締結具が、その中に埋め込まれた抵抗型加熱要素を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記開口部での前記空洞の前記幅が、前記締結具の幅の100〜200%である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記締結具が、誘導加熱によって加熱される伝導スリーブを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
第1の空洞を有する第1のワークピースと、第2の空洞を有する第2のワークピースと、前記第1の空洞及び前記第2の空洞に確実に挿入され、かつそれらに取り付けられる形状記憶ポリマーの締結具と、を有する締着装置。
【請求項22】
アクセス不可能な形状記憶ポリマーの締結具によってブラインドジョイント形式で締結された第1のワークピースと第2のワークピースとを含む、組立品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−523530(P2012−523530A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504796(P2012−504796)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030160
【国際公開番号】WO2010/118082
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】