説明

直動軸受

【課題】軸体の安定で精密な支持を実現することができる直動軸受を提供すること。
【解決手段】樹脂材料製の筒体11からなり、その筒体の周方向に、球体を筒体の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口12aを有する直線状の球体保持孔12と、筒体の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路13とが交互に配設されてなる軸受外筒14;軸受外筒の両端面の各々に付設されている、上記球体保持孔及び球体通路のうちの互いに隣接する保持孔と通路とを一組として、各組の保持孔及び通路の各端部に接続して球体循環路を形成する球体旋回溝を複数備える環状の蓋材;および各球体循環路に配置された複数個の球体18、18、〜からなる直動軸受であって、上記軸受外筒14の外周面に、互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13との間の位置にて前記外筒の長さ方向に延びる直線溝14aが形成されていることを特徴とする直動軸受。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の機械装置が備える軸体を滑動可能に支持する直動軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の機械装置の軸体(例、直動駆動装置の駆動軸)を直線方向の滑動が可能なように支持するため、筒体と、筒体に収容された筒状の球体保持器と、前記保持器に保持された複数個の球体とを備える直動軸受が広く用いられている。通常、前記の筒体や球体は金属材料から形成され、そして筒状球体保持器は樹脂材料から形成される。
【0003】
直動軸受の軽量化あるいは簡易な製造を実現するため、上記の筒体と筒状球体保持器とを、樹脂材料を用いて一体に成形する検討が行なわれている。
【0004】
特許文献1には、樹脂材料製の筒体からなり、その筒体の周方向に、球体を前記筒体の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口を有する直線状の球体保持孔(負荷領域を構成する直線溝)と、筒体の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路(無負荷領域を構成する直線溝)とが交互に配設されてなる軸受外筒(軸受本体)、軸受外筒の両端面の各々に付設されている、上記球体保持孔及び球体通路のうちの互いに隣接する保持孔と通路とを一組として、各組の保持孔及び通路の各端部に接続して球体循環路(無限循環溝)を形成する球体旋回溝を複数備える環状の蓋材(エンドキャップ)、および各球体循環路に配置された複数個の球体(軸受ボール)からなる直動軸受(リニアボールベアリング)が開示されている。
【0005】
支持対象の軸体は、軸受外筒に収容されていて、この軸受外筒の内周面の内側に突き出る複数個の球体によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−133131号公報(請求項3、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の直動軸受では、軸受外筒を樹脂材料を用いて一体に成形することにより、その軽量化と簡易な製造とが実現される。
【0008】
しかしながら、本願発明者等が検討を進めると、この直動軸受は、以下に説明するように、例えば、支持対象の軸体の高速での移動が繰り返されると、軸体の支持が不安定になり易いことが判明した。
【0009】
上記のように、前記の直動軸受において、軸体の高速での移動が繰り返されると、軸体と球体との接触位置にて発熱を生じ、その熱が軸受外筒へと伝わる。
【0010】
この直動軸受の軸受外筒は、樹脂材料から形成されているため、前記のように金属材料から形成された筒体を用いる場合と比較して熱伝導率が小さい。このため、前記のように軸受外筒に伝わる熱が、軸受外筒の周囲の空気に速やかには伝わり難い。また、軸受外筒が、筒体と筒状保持器とが一体化された構成を有していて、その体積が大きい。このため、前記のように軸受外筒に伝わる熱が、軸受外筒に蓄積され易い。これらの理由により、特許文献1の直動軸受は、その軸受外筒の温度が上昇し易い。
【0011】
軸受外筒の温度が上昇すると、軸受外筒が熱膨張して、軸受外筒に保持された球体と軸体との間、そして前記球体と球体保持孔の内壁面との間に僅かに間隙を生じる。このため、特許文献1の直動軸受は、前記のように軸体の高速での移動が繰り返されると、軸体の支持が不安定になり易い。同様の問題は、例えば、駆動装置が作動時に発生する熱が、この駆動装置に接続された軸体、そして前記球体を介して軸受外筒へと伝わる場合にも生じる。
【0012】
本発明の課題は、軸体の安定で精密な支持を実現することができる直動軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、樹脂材料製の筒体からなり、その筒体の周方向に、球体を筒体の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口を有する直線状の球体保持孔と、筒体の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路とが交互に配設されてなる軸受外筒;軸受外筒の両端面の各々に付設されている、上記球体保持孔及び球体通路のうちの互いに隣接する保持孔と通路とを一組として、各組の保持孔及び通路の各端部に接続して球体循環路を形成する球体旋回溝を複数備える環状の蓋材;および各球体循環路に配置された複数個の球体からなる直動軸受であって、上記軸受外筒の外周面に、互いに隣接する球体保持孔と球体通路との間の位置にて前記外筒の長さ方向に延びる直線溝が形成されていることを特徴とする直動軸受にある。
【0014】
本発明の直動軸受の好ましい態様は、次の通りである。
(1)直線溝の数が、球体保持孔の数と球体通路の数との和に等しい。
(2)軸受外筒の各端面の外周縁部に、蓋材の外周面に嵌め合いとなる周壁が形成されていて、この周壁の内周面に前記外筒の長さ方向に延びる突起もしくは溝が設けられ、そして蓋材の外周面に前記周壁の突起もしくは溝と対応する溝もしくは突起が設けられている。更に好ましくは、軸受外筒の周壁にその厚み方向に貫通する孔部が形成されていて、蓋材の外周面に前記孔部と係合する突起が形成されている。
(3)軸受外筒の内周面に、球体通路の長さ方向の少なくとも一部分を開口させるスリットが形成されている。
【0015】
本発明はまた、上記本発明の直動軸受の軸受外筒に、軸体をその外周面が前記外筒の内周面の内側に突き出る球体と接触した状態で収容してなる直動案内装置にもある。
【0016】
本発明の直動案内装置においては、軸体の外周面に長さ方向に延びる複数本の溝が形成されていて、軸受外筒の内周面の内側に突き出る各球体が軸体の各溝に係合していることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の直動軸受では、軸受外筒の昇温がその外周面に形成された直線溝からの放熱により効果的に抑制される。このため、本発明の直動軸受は、使用の際の軸受外筒の熱膨張が抑制されるため、支持対象の軸体の安定で精密な支持を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の直動軸受の構成例を示す正面図である。この直動軸受10と軸体19とにより本発明の直動案内装置が構成される。
【図2】図1の直動軸受10の右側面図である。
【図3】図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した直動軸受10の断面図である。
【図4】図3に記入した切断線IV−IV線に沿って切断した直動軸受10の断面図である。
【図5】図3に記入した切断線V−V線に沿って切断した軸受外筒14の断面図である。
【図6】図5の軸受外筒14の右側面図である。
【図7】図5の軸受外筒14の左側面図である。
【図8】図4に示す右側の蓋材17の左側面図である。
【図9】図8に記入した切断線IX−IX線に沿って切断した蓋材17の断面図である。
【図10】図4に示す左側の蓋材17の右側面図である。
【図11】軸受外筒の別の構成例を示す断面図である。
【図12】軸受外筒の更に別の構成例を示す断面図である。
【図13】本発明の直動案内装置の別の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の直動軸受を、添付の図面を用いて説明する。
【0020】
図1〜図4は、本発明の直動軸受の構成例を示す図である。
【0021】
図1は、本発明の直動軸受の構成例を示す正面図である。図2は、図1の直動軸受10の右側面図である。図3は、図1に記入した切断線III−III線に沿って切断した直動軸受10の断面図である。そして図4は、図3に記入した切断線IV−IV線に沿って切断した直動軸受10の断面図である。
【0022】
図5〜図7は、図1の直動軸受10が備える軸受外筒14の構成を示す図である。
【0023】
図5は、図3に記入した切断線V−V線に沿って切断した軸受外筒14の断面図である。図6は、図5の軸受外筒14の右側面図である。そして図7は、図5の軸受外筒14の左側面図である。
【0024】
図8〜図10は、図1の直動軸受10が備える環状の蓋材17の構成を示す図である。
【0025】
図8は、図4に示す右側の蓋材17の左側面図である。図9は、図8に記入した切断線IX−IX線に沿って切断した蓋材17の断面図である。そして図10は、図4に示す左側の蓋材17の右側面図である。
【0026】
本発明の直動軸受10は、樹脂材料製の筒体11からなり、その筒体11の周方向に、球体を筒体11の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口12aを有する直線状の球体保持孔12と、筒体11の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路13とが交互に配設されてなる軸受外筒14;軸受外筒14の両端面の各々に付設されている、上記球体保持孔12及び球体通路13のうちの互いに隣接する保持孔12と通路13とを一組として、各組の保持孔12及び通路13の各端部に接続して球体循環路15を形成する球体旋回溝16を複数備える環状の蓋材17;および各球体循環路15に配置された複数個の球体18、18、〜などから構成されている。
【0027】
直動軸受10は、上記軸受外筒14の外周面に、互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13との間の位置にて外筒14の長さ方向に延びる直線溝14aが形成されていることに主な特徴がある。
【0028】
このような構成の採用により、例えば、支持対象の軸体19の高速での移動が繰り返されることにより、軸体19と球体18との接触位置にて発生した熱が、球体18を介して軸受外筒14へと伝わった際に、この熱が軸受外筒14の外周面と、更には軸受外筒14の外周面に形成された直線溝14aの内側面を介して、軸受外筒14の周囲の空気へと速やかに伝わる。また、この軸受外筒14の直線溝14aが形成された部位の厚み(従って、体積)が小さくなるため、前記部位での蓄熱が抑制される。これらの理由により、軸受外筒14の昇温が抑制され、従って、軸受外筒14の熱膨張が抑制される。このため、本発明の直動軸受10は、軸受外筒14の内周面の内側に突き出る複数個の球体18、18、〜を介して、支持対象の軸体19を安定に且つ精密に支持することができる。
【0029】
軸受外筒14の直線溝14aは、互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13との間の位置に形成される。
【0030】
軸受外筒14の球体保持孔12及び球体通路13、特に球体保持孔12の内壁面には、球体18から大きな荷重が付与されることがある。このため、軸受外筒14の球体保持孔12あるいは球体通路13が形成された部位に前記の直線溝を形成すると、前記部位にて軸受外筒14の機械的強度が低下する。本発明の直動軸受10では、軸受外筒14の機械的強度の低下が比較的に問題とならない部位、すなわち、軸受外筒14の互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13との間の部位に直線溝14aを形成している。これにより、軸受外筒14に実用上問題となる機械的強度の低下を生じさせることなく、軸受外筒14の昇温の抑制を実現している。
【0031】
直線溝14aの数は、球体保持孔12の数と球体通路13の数との和に等しいことが好ましい。これにより、互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13との間のそれぞれに直線溝14aが配置されるため、軸受外筒14の昇温を効果的に抑制することができる。
【0032】
直線溝14aの長さは、球体保持孔12の長さの0.5〜1.5倍(特に、0.8〜1.2倍)の範囲内にあることが好ましい。直線溝14aの長さを概ね球体保持孔12の長さと等しくすることにより、軸受外筒14の昇温を更に効果的に抑制することができる。
【0033】
この直線溝14aの深さを調節して、軸受外筒14の直線溝14aが形成された部位の厚み(最小値)を、球体保持孔12が形成された部位の厚み(最小値)の0.5〜1.5倍(特に、0.7〜1.3倍)の範囲内の値に設定することが好ましい。これにより、軸受外筒14の直線溝14aが形成された部位の機械的強度の低下が抑制される。また、軸受外筒14の周方向における均一な蓄熱と放熱とが実現される。従って、軸受外筒14の部分的な熱膨張により、軸受外筒14がその周方向にて不均一に変形することが抑制されるため、支持対象の軸体19の更に安定で精密な支持が実現される。
【0034】
以下、本発明の直動軸受10の構成について詳しく説明する。
【0035】
軸受外筒14を構成する筒体11は、公知の樹脂材料から形成される。樹脂材料の代表例としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、そしてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂に代表される熱可塑性の樹脂材料、あるいはフェノール樹脂に代表される熱硬化性の樹脂材料が挙げられる。
【0036】
軸受外筒14は、上記の筒体11の周方向に、球体18を筒体11の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口12aを有する直線状の球体保持孔12と、筒体11の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路13とが交互に配設された構成を有している。
【0037】
軸受外筒14は、例えば、圧縮成形法や射出成形法に代表される樹脂成形方法、切削や研削に代表される機械加工方法、あるいは両者を組み合わせた方法を利用して簡易に作製することができる。特に、樹脂成形方法を利用すると、軸受外筒14の作製が極めて容易になる。
【0038】
図3に示すように、この軸受外筒14には、球体保持孔12と球体通路13との組21が、合計で4組備えられている。
【0039】
図4に示すように、軸受外筒14の両端面の各々には、環状の蓋材17が付設されている。図8〜図10に示すように、各蓋材17には、四本の球体旋回溝16、16、16、16が備えられている。
【0040】
蓋材17は、軸受外筒14と同様に樹脂材料から形成することができる。蓋材17は、鋼に代表される金属材料、あるいはセラミック材料から形成することもできる。
【0041】
蓋材17の各球体旋回溝16は、図3に示す互いに隣接する球体保持孔12と球体通路13とを一組として、各組21の保持孔12及び通路13の各端部に接続している。各組21の球体保持孔12と球体通路13と、その両端の球体旋回溝16、16とにより球体循環路(図4:15)が形成される。
【0042】
球体循環路15の数は、2〜10個の範囲内にあることが好ましい。球体循環路15の数を10個以下にすると、軸受外筒14の作製が容易になる。また、軸受外筒14に形成される孔(球体保持孔12及び球体通路13)の数が少なくなるため、軸受外筒14の機械的強度が増加する。軸体19を、軸受外筒14の内周面の内側に突き出る複数個の球体18、18、〜の表面によって安定に支持するため、球体循環路15の数は3〜10個の範囲内にあることが更に好ましい。
【0043】
図4に示すように、各球体循環路15には、複数個の球体18、18、〜が配置される。なお、図4においては、直動軸受10の構成の理解を容易とするため、複数個の球体のうちの5個のみを記入してある。
【0044】
各球体循環路15の球体保持孔12に収容されていて、軸体19を支持する球体18の数は、2〜30個(特に、3〜20個)の範囲内にあることが好ましい。
【0045】
球体18は、鋼に代表される金属材料、セラミック材料、あるいは樹脂材料から形成される。
【0046】
前記のように樹脂材料から形成された軸受外筒と、例えば、樹脂材料から形成された蓋材と、そしてセラミック材料から形成された球体とを用いることにより、耐腐食性に優れる直動軸受を構成することができる。このような直動軸受は、水中あるいは高湿度の環境下での使用に特に適している。
【0047】
図2及び図4〜図7に示すように、軸受外筒14の各端面の外周縁部に、蓋材17の外周面に嵌め合いとなる周壁24が形成されていて、この周壁24の内周面に前記外筒14の長さ方向に延びる突起24a(あるいは溝)が設けられ、そして図2、図8及び図10に示すように、蓋材17の外周面に前記周壁24の突起24a(あるいは溝)と対応する溝17a(あるいは突起)が設けられていることが好ましい。
【0048】
軸受外筒14の周壁24の突起24aに、蓋材17の溝17aを嵌め合わせた状態にて、蓋材17を周壁24の内部に押し込むことにより、軸受外筒14の球体保持孔12及び球体通路13に対して、蓋材17の球体旋回溝16の位置決めを容易に行なうことができる。
【0049】
図1、図4及び図5に示すように、軸受外筒14の周壁24にその厚み方向に貫通する孔部24bが形成されていて、そして図1、図4、図8及び図10に示すように、蓋材17の外周面に前記孔部24bと係合する突起17bが形成されていることが更に好ましい。
【0050】
これにより、上記のように軸受外筒14の周壁24の内部に蓋材17を押し込む際に、周壁24の孔部24bに蓋材17の突起17bが挿入され、この突起17bと孔部24bとが係合する。このため、蓋材17を軸受外筒14に取り付ける作業が極めて容易になる。
【0051】
図5及び図6に示すように、軸受外筒14の内周面に、球体通路13の長さ方向の少なくとも一部分を開口させるスリット23が形成されていることが好ましい。
【0052】
直動軸受10の保守管理においては、軸受外筒14から軸体19を抜き出して、球体保持孔12の開口12aから突き出る球体18、18、〜にグリースなどの潤滑剤を塗布することがある。軸受外筒14の内周面にスリット23が形成されていると、前記のように球体保持孔12の開口12aから突き出る球体18、18、〜に潤滑剤を塗布する際に、このスリット23から球体通路13に収容された球体18、18、〜にも潤滑剤を塗布することができる。このため、直動軸受10の保守管理の際に、簡単な作業によって、各球体18に潤滑剤を確実に塗布することができる。
【0053】
スリット23により、球体通路13の長さ方向の一部分を開口させると、スリット23の両側の壁体が球体通路13の残りの部分にて互いに連結される。前記各壁体を連結する連結部14bにより、球体18から荷重が付与された際の前記各壁体の変形が抑制される。このため、軸体を更に安定に且つ精密に支持することが可能になる。
【0054】
図11は、軸受外筒の別の構成例を示す断面図である。図11の軸受外筒34の構成は、上記のような球体通路を開口させるスリットが備えられていないこと以外は図5の軸受外筒14と同様である。
【0055】
図12は、軸受外筒の更に別の構成例を示す断面図である。図12の軸受外筒44の構成は、スリット43により球体通路13の長さ方向の全体が開口されていること以外は図5の軸受外筒14と同様である。
【0056】
図3及び図4に示すように、前記の直動軸受10の軸受外筒14に、軸体19をその外周面が前記外筒14の内周面の内側に突き出る球体18、18、〜と接触した状態で収容することにより、本発明の直動案内装置30を構成することができる。
【0057】
本発明の直動案内装置30では、前記の直動軸受10が用いられていて、例えば、軸体19の高速での移動が繰り返された場合にも、軸体19が軸受外筒14の内部に安定に且つ精密に支持される。このため、軸体19の安定で精密な滑動が実現される。
【0058】
図13は、本発明の直動案内装置の別の構成例を示す断面図である。
【0059】
図13の直動案内装置50の構成は、軸体49の外周面に長さ方向に延びる複数本の溝49a、49a、〜が形成されていて、この軸受外筒14の内周面の内側に突き出る各球体18が軸体49の各溝49aに係合していること以外は図3の直動案内装置30と同様である。
【0060】
直動案内装置50では、軸受外筒14に保持された各球体18と軸体49の各溝49aとが係合しているため、この軸体49の周方向への回転が防止される。
【符号の説明】
【0061】
10 直動軸受
11 筒体
12 球体保持孔
12a スリット状の開口
13 球体通路
14 軸受外筒
14a 直線溝
14b 連結部
15 球体循環路
16 球体旋回溝
17 蓋材
17a 溝
17b 突起
18 球体
19 軸体
21 球体保持孔と球体通路との組
23 スリット
24 周壁
24a 突起
24b 孔部
30 直動案内装置
34、44 軸受外筒
43 スリット
49 軸体
49a 溝
50 直動案内装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料製の筒体からなり、その筒体の周方向に、球体を該筒体の内周面の内側に突き出し可能に保持するスリット状の開口を有する直線状の球体保持孔と、該筒体の内周面と外周面との間に位置する直線状の球体通路とが交互に配設されてなる軸受外筒;軸受外筒の両端面の各々に付設されている、上記球体保持孔及び球体通路のうちの互いに隣接する保持孔と通路とを一組として、各組の保持孔及び通路の各端部に接続して球体循環路を形成する球体旋回溝を複数備える環状の蓋材;および各球体循環路に配置された複数個の球体からなる直動軸受であって、
上記軸受外筒の外周面に、互いに隣接する球体保持孔と球体通路との間の位置にて該外筒の長さ方向に延びる直線溝が形成されていることを特徴とする直動軸受。
【請求項2】
直線溝の数が、球体保持孔の数と球体通路の数との和に等しい請求項1に記載の直動軸受。
【請求項3】
軸受外筒の各端面の外周縁部に、蓋材の外周面に嵌め合いとなる周壁が形成されていて、この周壁の内周面に該外筒の長さ方向に延びる突起もしくは溝が設けられ、そして蓋材の外周面に前記周壁の突起もしくは溝と対応する溝もしくは突起が設けられている請求項1もしくは2に記載の直動軸受。
【請求項4】
軸受外筒の周壁にその厚み方向に貫通する孔部が形成されていて、蓋材の外周面に前記孔部と係合する突起が形成されている請求項3に記載の直動軸受。
【請求項5】
軸受外筒の内周面に、球体通路の長さ方向の少なくとも一部分を開口させるスリットが形成されている請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の直動軸受。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の直動軸受の軸受外筒に、軸体をその外周面が軸受外筒の内周面の内側に突き出る球体と接触した状態で収容してなる直動案内装置。
【請求項7】
軸体の外周面に長さ方向に延びる複数本の溝が形成されていて、軸受外筒の内周面の内側に突き出る各球体が軸体の各溝に係合している請求項6に記載の直動案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−276141(P2010−276141A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130352(P2009−130352)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(394000493)ヒーハイスト精工株式会社 (76)
【Fターム(参考)】