説明

直接トンネルにトラフィックを割り当てるための方法、装置、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体

トラフィックを直接トンネルに割り当てるための方法及び装置が与えられる。ここにおいて、上記トラフィックは、サービングノードによって、及び/又はゲートウェイノードによって与えられる優先順位付けに基づいて直接トンネルに割り当てられる。加えて、コンピュータプログラム製品及びコンピュータ読取可能な媒体が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接トンネルにトラフィックを割り当てるための方法、装置、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
直接トンネルは、3GPP TS 23.060(汎用パケット無線サービス(GPRS);サービス記述)によって規定される。SGSNは、UMTSネットワーク内でGGSNとUTRANとの間に直接トンネルを確立することを可能とするべく、この機能を実行する。
【0003】
直接トンネルは、SGSNがPSドメイン内でRANとGGSNとの間に直接ユーザプレーントンネルを確立することを可能とする、Iuモードにおけるオプション機能である。
【0004】
直接トンネルを処理することができるSGSNは、直接ユーザプレーン接続を使用できるか否かについて、GGSNごと、及びRNCごとの基準で設定する機能を有していなければならない。
【0005】
SGSNは制御プレーンシグナリングを処理して、直接トンネルをいつ確立するかをPDPごとに決定する。現行の直接トンネル実行メカニズムは、直接トンネルを確立するか否かの決定において、どちらかといえば非効率的である。
【0006】
ある数の、又はあるパーセンテージの直接トンネルのみが確立することを許される(例えば、ライセンス制限により)と仮定したとき、直接トンネルの割り当てにおける、そのような効率性の欠如は、Iuユーザプレーン処理にあたるハードウェアの利用率が乏しいものになるという結果に繋がる。
【0007】
例えば、ライブネットワークにおいて、オペレータは依然としてSGSNユーザプレーン容量を使用しているかもしれない。SGSNは、SGSNユーザプレーンを通ってユーザプレーントラフィックが流れることを避けるべく、直接トンネルの解決法を実行する。(近い)将来、データトラフィックが大量になると予期されるため、追加のユーザプレーン容量に対する深刻な要求が生じるであろう。直接トンネルの解決法は、オペレータにおける、更なるSGSN容量の購入を必要ないものとするための、重要なツールである。代替的に、ユーザプレーンを迂回して、GGSNからRNCに対してトラフィックを直接的に運ぶことも可能である。
【0008】
データトラフィックはますます増加しているため、オペレータは、直接トンネルのライセンスを段階的に購入する傾向にある。
【0009】
トンネル作成過程は、SGSNにおけるRABの割り当てに直接的に比例する。ライブネットワークにおいて、PDPコンテクストとの間の割合は、RABを考慮すれば5−10%に達するのであり、すなわち、SGSNにおける各々100のPDPコンテクストに対して5−10のRABが存在する。この数字は、「常にオンである」ような端末、ブロードバンドのアクセスタイプに起因して、約20−30%まで上昇すると予測されている。
【0010】
ライブネットワークにおいては、加入者の20−30%がユーザプレーン容量の60−70%を使用しており、加入者のうち残りの70−80%が30−40%のユーザプレーン容量を使用していると観測することができる。不都合なことに、特定のタイプのユーザに対して直接トンネルを任意に割り当てるということに関し、現在のメカニズムは非効率的である。
【0011】
3GPP標準(TR 23.809)は、直接トンネルを作成し、更新し、又は削除するためのメカニズムを定義する。また、3GPP標準は、直接トンネルを作成すべきではないときについても定義している。言及されるとおり、存在する、またはこれから生じるトラフィックに関して、直接トンネルを如何にして効率的に利用するかは上記標準において規定されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
解決すべき課題とは、上述の不都合を克服し、特に、直接トンネルの効率的な利用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立形式請求項の特徴に従って解決される。更なる実施態様が、引用形式の請求項の結果として生じる。
【0014】
この課題を克服するため、直接トンネルに対してトラフィックを割り当てるための方法が提供されるのであり、ここにおいて、上記トラフィックは、サービングノードによって、及び/又はゲートウェイノードによって与えられる優先順位付けに基づいて直接トンネルに割り当てられる。
【0015】
特に、少なくとも1つのサービングノード、及び/又は少なくとも1つのゲートウェイノードを与えることができる。
【0016】
実施態様に従えば、サービングノードはSGSNである。更なる実施形態に従えば、ゲートウェイノードはGGSNである。
【0017】
ここにおいて、GGSNはゲートウェイノードの一例として言及されており、SGSNはサービングノードの一例として言及されていることに留意する。
【0018】
上記サービングノード、及び/又は上記ゲートウェイノードは、パケットデータ切り替え機能を備えるネットワークにおける、如何なる構成要素であってもよい。
【0019】
そのような割り当ては、トラフィック、特にPDPトラフィック(PDPセッション内のPDPコンテクストとして編成されうる。)の再割り当てを含んでもよいことに留意する。
【0020】
与えられるアプローチは、UMTSネットワークにおけるGGSNとUTRAN(特にRNC)との間で少なくとも1つの直接トンネルを設定し、修正し、解放することを可能とする。直接トンネルのそのような処理は、優先順位付けされた方法において与えられる。すなわち、効率的な優先順位付けを可能にするべく、ある特徴及び情報を利用することができる。それゆえ、直接トンネルを介したスループットが上昇しうる(例えば、最大化される。)のであり、これにより、通常の2トンネルアプローチを介して与えられるスループットの必要性は最小化されうる。
【0021】
有益なことに、提示される解決法は、直接トンネルを確立するか否かを決定するための基礎としうるような、差別化、及び/又は優先順位付けメカニズムを提供する。それゆえ、直接トンネルを選択的な方法で作成(削除、補正、等)することができるのであり、例えば帯域幅への要求が高いユーザのトラフィックを、直接トンネルを通って運ぶなどの方法による、ユーザトラフィックの効率的な利用が可能となる。
【0022】
このアプローチは、パラメータを用いて直接トンネルのスループットを最大化することを提案するものであり、ここにおいて多数の直接トンネルはライセンス制御により制限されていてもよい。それゆえ、SGSNにおける2トンネルユーザプレーンスループット要件が低減される。そのような最適化は、オペレータにとっては商業的及び技術的な節約という結果を生じる。
【0023】
有益なことに、優先順位付けをせずに2つのトンネルを処理するケースに比較して、ここで与えられる解決法が要求するSGSN容量は低い。
【0024】
1つの実施態様において、上記直接トンネルは、UMTSネットワークにおけるUTRANとゲートウェイノードとの間のトンネルである。
【0025】
別の実施態様において、与えられる優先順位付けは、PDPコンテクストに対して作成される、及び/又は割り当てられる少なくとも1つのRABに関する情報を含む。
【0026】
さらなる実施態様において、上記優先順位付けは、ユーザプロフィール、特にアクセスポイント名(APN)ごとのユーザプロフィールに基づく。
【0027】
それゆえ、優先順位付けの目的のために、ユーザ固有の情報を利用することが可能である。
【0028】
次の実施態様において、上記ユーザプロフィールは、加入者情報を格納するデータベースに記憶され、及び/又は関連付けられる。
【0029】
そのような加入者情報を格納するデータベースは、HLR又はHSS(IMSの場合)を含むか、その一部であるか、又はそれに関連付けられていてよい。
【0030】
ユーザプロファイルが直接トンネルの好みを含むということも、1つの実施態様である。
【0031】
そのような直接トンネルの好みは、例えば、ユーザの加入によって与えられる、又は関連付けられる、タグ又はフラグであってよいし、あるいは、(事前に設定された、又は事前に定義された)オペレータの好みに基づくものであってもよい。
【0032】
別の実施態様に準じれば、与えられる優先順位付けは、セル識別を含む。
【0033】
それゆえ、直接トンネルを利用するか否かの決定において、ローカル又は地域的情報(例えば、ホームゾーン、及び/又はオフィスゾーンの場所)を利用することができる。そのようなセル識別(ID)は、PDPコンテクスト作成手続きの間にRNCから受信することが可能である。
【0034】
1つの実施態様に従えば、与えられる優先順位付けは、端末の機能、又はその身元に基づく。
【0035】
例えば、IMEI又はIMEISVのような端末の識別を用いることができる。端末の能力は、この装置によって利用することができるサービスのタイプを示しうるものである。
【0036】
端末とは、モバイルインターフェースを含みうる任意の種類のモバイル端末又は装置を指す(例えば、コンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、スマートフォン、モバイルフォン、ユーザ装置(UE)等)ことに留意する。
【0037】
別の実施態様に従えば、与えられる優先順位付けは、ネットワークの少なくとも一部分の負荷因子に基づく。
【0038】
負荷因子は、例えばSGSNによって、及び/又はGGSNによって評価することができる。
【0039】
さらなる別の実施態様において、与えられる優先順位付けは、データボリューム、特にサービングノードのデータボリュームカウントに基づく。
【0040】
次の実施形態に従えば、サービングノードは、データボリュームに基づき、2つのトンネルを介して運ばれるトラフィックを優先順位付けする。
【0041】
さらなる別の実施態様に準じれば、高い優先順位を与えられた2トンネルトラフィックは、2つのトンネルから直接トンネルへと割り当てられる。
【0042】
SGSNは、特に、上記2つのトンネルを介してPDPコンテクストごとに運ばれるトラフィックの量によってソートされるリストを保持することができる。直接トンネルのリソースが利用可能である場合、トラフィック量が最も高いPDPコンテクストを、2つのトンネルから直接トンネルに割り当てることができる。
【0043】
直接トンネルのトラフィックが解放されているというイベントは、RAB非活動タイマーによって指示することが可能である。
【0044】
この手続きは、反復的に適用することができる。すなわち、直接トンネルのリソースが利用可能となったとき、上記2つのトンネルを介して運ばれる、高い優先順位を与えられたトラフィックは直接トンネルへと移動する。これにより、直接トンネル(単数又は複数)が効率的な方法で利用されるということが保証される。
【0045】
与えられる優先順位付けが、データボリューム、及び/又は監視されるトラフィック分析に基づくこと、及び/又はゲートウェイノードによって提供されることも、1つの実施態様である。
【0046】
GGSNを用いて、すべてのアクティブなPDPコンテクストに対し、データボリュームカウンタを与えることができる。GGSNは(SGSNにより供給される、直接トンネルの指示及びデータボリュームに基づき)、2トンネルトラフィックを直接トンネルへと切り替えるための更新PDPコンテクスト手続きを開始することを決定できる。
【0047】
別の実施態様に従えば、直接トンネルのライセンスが利用可能な場合に、上記トラフィックが直接トンネルに割り当てられる。
【0048】
上述の課題は、ここにおいて説明される方法がその上で実行可能であるように構成された、プロセッサユニット、及び/又は配線で接続された回路、及び/又は論理装置を備えた、又はそれに関連付けられた装置によっても解決される。
【0049】
1つの実施態様に従えば、その装置は通信装置であり、特に、例えばSGSNやGGSN等のUMTSネットワークのネットワーク構成要素であるか、又はそれに関連付けられた装置である。
【0050】
上記述べられた課題は、更に、ここにおいて説明される装置を備えた通信システムによって解決される。
【0051】
加えて、上述の課題は、デジタルコンピュータの内部メモリに直接的にロード可能であって、コンピュータ上で実行されたときに、ここにおいて説明される方法に従うステップを遂行するためのソフトウェアコード部分を備える、コンピュータプログラム製品によって解決される。
【0052】
さらに、上記述べられた課題は、ここにおいて説明される方法のステップをコンピュータシステムに遂行させるよう適合させた、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ読取可能な媒体によっても解決される。
【0053】
そのようなコンピュータは、上記コンピュータプログラム製品によって、及び/又はコンピュータ読取可能な媒体上に記憶された命令によって動作可能な、少なくとも1つのプロセッサ、及び/又は少なくとも1つの配線で接続された回路を備え、及び/又はそれに関連付けられた、任意の装置であってよいことに留意する。上記プログラム又は命令は、特にGGSN又はSGSNのネットワーク構成要素又はノードを更新する目的のため、特に用いられるものであってよい。
【0054】
発明の実施態様が、以下の図面中で示され、及び描かれる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、1トンネルトラフィック、及び2トンネルトラフィックを利用するPDPトラフィックを時間とともに可視化するダイアグラムを示す。
【図2】図2は、スループットを時間とともに可視化するダイアグラムを示す。ここにおいて、直接トンネルを効率的に利用することにより、従来の2トンネルアプローチによって与えるべきスループットを低減させることができる。
【図3】図3は、2つのトンネルを作成すべきか、又は直接トンネルを作成すべきかを決定するためのステップを含む、フローダイアグラムを示す。
【図4】図4は、直接トンネルへの移動が有用であると判明しうるかどうかを決定するためのボリュームカウンタの概念を可視化するフローダイアグラムを示す。
【図5A】図5Aは、GGSNボリュームカウンタに基づき、2つのトンネルを直接トンネルに移動するべきかどうかの例を含むフローダイアグラムを示す。
【図5B】図5Bは、GGSNボリュームカウンタに基づき、直接トンネルを2つのトンネルに移動するべきかどうかの例を示す。
【図6】図6は、GGSNによって与えられるトラフィック分析に基づき、PDPコンテクストを直接トンネルに移動するべきかどうかを決定するためのステップを含む、フローダイアグラムを示す。
【図7】図7は、直接トンネルと2トンネルのアプローチを比較するための構成要素の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、ある数のアクティブなPDP(ライセンスにより制限される。)が直接トンネル(DT)を介して届けられることを許可されており、残りの全てのPDP(DTライセンス制限を超過する。)は、従来どおり2つのトンネルを介して運ばれるような状況を図示している。2つのトンネルと直接トンネルとの数の間の比に関わらず、ここにおいて与えられるアプローチは、2トンネルスループットの必要性を最小化するべく、高いデータボリュームが直接トンネルを通って送られることを目標とする。
【0057】
特に、ここにおいて提案するアプローチは、特にトラフィックのある部分(PDPコンテクスト、RAB割り当て)に対して直接トンネルを使用するか否かを決定するためのルールを提供する。
【0058】
特に、直接トンネルに対するスループット容量を改善する(例えば、最大化する)べく、SGSNにおいて実行する(又はSGSNと関連付ける)ことができるようなアルゴリズムが提供される。それゆえ、直接トンネルは、より効率的な方法で活用されるのであり、これにより、図2に描写されているとおり、残りの2つのトンネルに対するスループットの必要性が最小化される。
【0059】
直接トンネルに対する同一のライセンス制限を維持し、提案されている新たな直接トンネル選択ルール、及び/又はSGSNアルゴリズムを適用することにより、
−少なくとも1つの直接トンネルを使用する、平均ユーザプレーンスループットの上昇、及び、
−(2つのトンネルのために要求されるか、残される)SGSNユーザプレーン容量の減少、
という結果を生むことができる。
【0060】
図7は、直接トンネル及び2トンネルのアプローチを比較するために、構成要素の配置を示している。例えば、RABがPDPコンテクストに対して割り当てられている、又は再割り当てされているとき、SGSNは、RNCとGGSNとの間の直接ユーザプレーントンネルを使用可能とするか否か、あるいは、2つのトンネルを介してユーザプレーンデータを処理できるか、を決定することができる。さらに、PDPコンテクストに対して割り当てられたRABが解放される(すなわち、PDPコンテクストが保持される)ときはいつでも、ダウンリンクパケットを処理可能とするべく、GGSNとSGSNとの間にGTP−Uトンネルを確立することができる。
【0061】
SGSNベースの解決法
新たなRAB作成の間に適用されるルール(アクティブPDP)
【0062】
a)HLRユーザプロフィールベースのルール:
SGSNにおける直接トンネルルールを選択するためのルールは、APNごとのユーザプロフィールに基づくものとすることが可能である。代替的に、ユーザプロフィールは、「直接トンネルの好み」(加入によるか、又は、オペレータの好みに基づく)を示すべく、HLRプロフィール内に追加的な情報要素を備えてもよい。
−GRPSアタッチ手続きの間、SGSNは、HLRからユーザプロフィールを受信する。APNごとのユーザプロフィールは、直接トンネルを選択するために利用することが可能である。すなわち、アタッチ手続きの間、SGSNは、直接トンネルを利用することができる加入者を認識する。
−代替案として、ユーザプロフィールは、「直接トンネルの好み」を示すべく、HLRプロフィール内に追加的な情報要素を備えることができる。例えば、そのような目的のために、HLR内に直接トンネルのタグを与えることが可能である。
【0063】
b)無線ネットワーク:セルID(ホーム&オフィスの場所):
PDPコンテクスト作成手続きの間、RNCからセルID情報を受信することができる。ホームゾーン、及び/又はオフィスゾーンの場所の情報は、直接トンネルを作成する(又は選択する)ためのルールを定義するべく、使用することができる。
【0064】
例えば、加入者は、家庭用及びオフィス用のサービスのブロードバンドタイプに対して定額制をとることができる。代替案として、家庭から、又はオフィスからのサービスを使用している加入者は、最小の移動度と最大のデータ利用度とをとることができる。静止しているユーザに対するセッション持続時間は、高度に移動性を有するユーザに比べて比較的高いため、直接トンネルの恩恵は、そのような静止しているユーザにあてることが可能である。
【0065】
c)直接トンネルの作成又は選択のための、端末の身元(IMEI、IMEISV)ベースのルール:
そのような端末に関連する特定の加入者におけるサービスの性質を統計学的に予測するべく、セッションの間に、端末の機能に関する情報を用いることができる。例えば、3G PCMCIAカードがデータネットワークへアクセスするために用いられる場合、これにより、そのような加入者は、データトラフィックの要求程度が高い傾向にあるということを予測することが可能であり、それゆえ、直接トンネルへと有益に割り当てることができる。
【0066】
d)ネットワーク計画、及びオペレータにより定義されるルール:
直接トンネルの差別化を、パケットコアネットワーク内のGGSNに基づいて提供することができる。オペレータのネットワークにおいて、直接トンネルのみを処理するために少なくとも1つのGGSNを割り当てることができる。オペレータは、ネットワーク負荷因子に基づいて直接トンネルを確立するべく、オペレーション及びメンテナンス(O&M)のルールを定義することができる。
【0067】
SGSNにおけるデータボリュームカウントに基づく、RABに対する直接トンネルの選択アルゴリズム
一旦、直接トンネルのライセンスが超過したならば、更なるPDPトラフィックは全て、2つのトンネルを介して確立されうる。それゆえSGSNは、特に、以下の態様のうち少なくとも1つを考慮することにより、直接トンネルを用いてPDPセッションの優先順位付けを開始することができる。
【0068】
a)SGSNは、例えば全ての2トンネルPDPトラフィックに対するデータボリュームの優先順位リスト内でデータボリュームをカウントし、最も高いボリュームカウントに基づき、優先順位上のトラックを維持することができる(すなわち、最も高いデータボリュームの2トンネルPDPトラフィックが、常にそのようなリストのトップにあるものとすることができる。)。
【0069】
b)RAB非活動タイマーに基づいて直接トンネルPDPトラフィックを解放することができるのであり、SGSNによって更新及び/又は維持される上記データボリューム優先順位リストによって識別される、最も高い優先順位の(すなわち、最も高いデータボリュームの)2トンネルPDPトラフィックによって(即座に)置換されるであろう。
【0070】
c)特に、直接トンネル作成ルール(単数又は複数)を満たす、それら2トンネルPDPトラフィックは、ボリュームの優先度リストから、直接トンネルを介して運ばれるように用いることができる。
【0071】
d)この反復を、直接トンネルライセンスに対する制限を超過する限りにおいて処理する(繰り返す)ことができる。
【0072】
GGSNベースの解決法
GGSNにおけるデータボリューム
GGSNは、全てのアクティブなPDPコンテクストに対してデータボリュームカウンタを保持する。GGSNは、セッションごとにデータボリュームを監視する(例えば、アップリンクとダウンリンクの両方向において)。さらに、GGSNは、(SGSNによって供給される、データボリューム及び直接トンネルの指示に基づいて)2トンネルトラフィックを直接トンネルに切り替えるべく、更新PDPコンテクスト手続きを開始することを決定できる。
【0073】
実行例
SGSNは、ここにおいて述べられるルールのうち少なくとも1つに基づき、直接トンネル選択論理を実行することができる。
【0074】
初期のGRPSアタッチ、及び/又はPDP作成手続きの間に用いられる手続き
図3は、2つのトンネルを作成すべきか、又は直接トンネルを作成すべきか、を決定するためのステップを含むフローダイアグラムを示す。開始301の次に、SGSNは、直接トンネルのライセンスが利用可能であるかをステップ302においてチェックする。そのような利用可能なライセンスが存在しない場合、SGSNは2トンネルを作成する(ステップ303)。それ以外の場合、1トンネルライセンスを割り当てるために少なくとも1つのルールを利用することができる。それゆえ、直接トンネル(DT)ライセンス制限に達していない場合、ステップ302から、GPRSアタッチの間、及び/又はPDP作成の間にルールの適用、及び/又は処理を行うステップ304へと分岐する。そのようなルールのうち、少なくとも1つを適用することができる。
【0075】
例えば、HLRユーザプロフィール内の直接トンネルタグ、又は無線ネットワークにおける端末の身元(例えば、IMEI、IMEISV)、又はセルIDを利用することができる。更に、ネットワーク計画によって、及び/又はオペレータによって定義されるルール(DTライセンスベース、ネットワーク負荷因子、アクセスの詳細)を適用することもできる。加えて、CAMEL(Customized Application for Mobile Network Enhanced Logic)、LI(Lawful Interception)、ローミングのような、その他の基準を、ルール(の一部)として使用することができる。
【0076】
ステップ304に準拠するステップ305において、直接トンネルのルールが適用されるかのチェックが行われ、それが肯定されるとき、ステップ306で直接論ネルが作成される。それ以外の場合には、ステップ303へ分岐し、2つのトンネルが作成される。
【0077】
直接トンネルのライセンスが超過した場合、SGSNは全ての新たな要求に対して2つのトンネルを作成しうることに留意する。
【0078】
SGSNは、2つのトンネルを有する全てのRABに対する、アップリンク及びダウンリンクのデータボリューム、及びセッション持続時間を含むボリュームカウンタテーブルを保持することができる。直接トンネルの利用可能性に基づき、最も高いデータボリューム、及び/又は最も高いセッション持続時間を有するRABが、2つのトンネルから直接トンネルへと移される。この手続きにより、(データボリューム、及び/又はセッション時間の観点から)最もアクティブなRABの直接トンネル(単数又は複数)への割り当てを補助することができる。
【0079】
図4は、直接トンネルへの移動が有用であると判明しうるかどうかを決定するためのボリュームカウンタの概念を可視化するフローダイアグラムを示す。
【0080】
開始401に従い、ステップ402において、アップリンク(UL)及びダウンリンク(DL)トラフィックのための、及びセッション持続時間のためのSGSNボリュームカウンタが処理、及び/又は保持される。そのような目的のために、各々の基準に対して少なくとも1つのカウンタを与えることができる。ステップ403において、直接トンネルのライセンスが存在するか、すなわち直接トンネルが利用可能であるかどうかがチェックされる。存在しない場合、ステップ402への分岐が行われる。直接トンネルが利用可能である場合、ステップ404において、最も高いデータボリュームに基づき、及び/又はセッション持続時間に基づき、好ましくはステップ402において保持される上記カウンタ(単数又は複数)を利用することによって、RABが選択される。ステップ404の次に、ステップ405において、2つのトンネルを直接トンネルへと移動させるべくPDPコンテクスト更新が開始される。
【0081】
GGSNベースのボリュームカウンタ
1つのオプションとして、GGSNは、全てのアクティブなPDPコンテクストに対する、アップリンク及びダウンリンクのデータボリューム、及び/又はセッション持続時間を含むボリュームカウンタテーブルを保持することができる。GGSNは、SGSNにおける負荷因子、及び利用可能な直接トンネルライセンスを認識していないので、これらカウンタに対して閾値が定義される。
【0082】
割り当てられた直接トンネルが十分に利用されているか否か、を評価するために3GPP内で定義される直接トンネルインジケータ(DTI)を用いることができる。
【0083】
GGSNにおける少なくとも1つの規定の閾値に基づいて、GGSNは、
1)PDPを介して高いボリュームトラフィックのために2つのトンネルを直接トンネルに移すための、PDPコンテクストの更新、
2)PDPを介して低いボリュームトラフィックのために直接トンネルを2つのトンネルに移すための、PDPコンテクストの更新
を開始することができる。
【0084】
図5Aは、GGSNボリュームカウンタに基づき、2つのトンネルを直接トンネルに移動するべきかどうかの例を含むフローダイアグラムを示し、図5Bは、GGSNボリュームカウンタに基づき、直接トンネルを2つのトンネルに移動するべきかどうかの例を示す。
【0085】
図5Aに関しては、開始501aの後、アップリンク(UL)及びダウンリンク(DL)トラフィックのための、及びセッション持続時間のためのGGSNボリュームカウンタは、ステップ502aにおいて処理され、及び/又は保持される。ステップ503aにおいて、カウンタの閾値に到達したかどうかがチェックされる。到達していない場合、ステップ502aへと分岐する。カウンタの閾値に到達した場合、ステップ504aにおいて、DTIが利用可能であるかどうかがチェックされる。DTIが利用可能でない場合、GGSNは、2つのトンネルを直接トンネルに移動させるべく、PDP更新手続きを開始する(ステップ506a)。しかしながら、そのようなDTIがステップ504aにおいて利用可能である場合、ステップ505aへの分岐がなされ、データトラフィックは直接トンネルを介して運ばれ続ける。
【0086】
図5Bに関しては、開始501bの後、アップリンク(UL)及びダウンリンク(DL)トラフィックのための、及びセッション持続時間のためのGGSNボリュームカウンタは、ステップ502bにおいて処理され、及び/又は保持される。ステップ503bにおいて、データトラフィックが閾値、あるいは、既定の又はオペレータによって定義することができる値よりも下であるかどうかがチェックされる。下ではない場合、502bへの分岐がなされる。データトラフィックが上記閾値又は値に到達した場合、ステップ504bにおいて、DTIが利用可能であるかどうかがチェックされる。そのようなDTIが利用可能である場合、GGSNは、直接トンネルを2つのトンネルに移動させるべく、PDP更新手続きを開始する(ステップ505b)。しかしながら、そのようなDTIがステップ504bにおいて利用可能でない場合、ステップ506bへの分岐がなされ、データトラフィックは2つのトンネルを介して運ばれ続ける。
【0087】
トンネルの作成&削除ルールは、トラフィック分析ルールに基づき、GGSNによって押し進めることができる。
GGSNにおけるトラフィックの分析は、サービスタイプの利用度を示しうるものである。そのような、GGSNに基づくトラフィック分析は、SGSNによっては利用されない。GGSNによって与えられる、P2P/VoIPトラフィックセッションの検出は、SGSNが直接トンネルを確立することを補助しうるものである。これは、そのようなトラフィックに対する平均のセッション持続時間が、他のトラフィックよりも著しく長く、またそれにより、(さらに)高いデータボリュームが示唆されるためである。
【0088】
PDPコンテクストのアクティブ化、及び/又は修正手続きの間、SGSNは、GGSNにDTIを送ることができる。GGSNは、トラフィック分析の結果を、直接トンネルメカニズムの使用を推奨するため、(又は推奨しないため)に利用することができる。GTP−Cにおいて、オプション情報要素を提供することが可能であり、これは直接トンネルメカニズムの不使用/使用(=用いるか、又は用いないか)を推奨する。代替案として、GGSNは、直接トンネルの不使用/使用の推奨を任意に指示しつつ、L3/L4/L7トラフィックに基づき、「ネットワークにより開始されるPDP修正」を開始することができる。
【0089】
図6は、GGSNによって与えられるトラフィック分析に基づき、PDPコンテクストを直接トンネルに移動するべきかどうかを決定するためのステップを含む、フローダイアグラムを示す。
【0090】
開始601の後、ステップ602において、サービスを認識したGGSNがトラフィックを解析する。その後のステップ603において、例えばポイントツーポイント(P2P)トラフィック等、トラフィックのタイプがチェックされる。そのようなタイプのトラフィックが存在しない場合、ステップ602への分岐がなされる。それ以外の場合、ステップ604において、DTIが利用可能であるかどうかがチェックされる。DTIが利用可能でない場合、ステップ605において、GGSNは、2つのトンネルを直接トンネルに移動させるべく、PDP更新手続きを開始する。ステップ604において利用可能なDTIが存在しない場合、ステップ606への分岐がなされ、データは2つのトンネルを介して運ばれ続ける。
【0091】
略称のリスト
APN アクセスポイント名
DPI ディープパケットインスペクション
DT 直接トンネル
DTI 直接トンネルインジケータ
GGSN ゲートウェイGPRSサポートノード
GTP GPRSトンネリングプロトコル
GTP−C GTP制御プレーン
GTP−U GTPユーザプレーン
HLR ホームロケーションレジスタ
HSS ホーム加入者サーバ
IMEI 国際移動体装置識別番号
IMEISV IMEI及びソフトウェアバージョン番号
IP インターネットプロトコル
IMS IPマルチメディアサブシステム
Iu RNS及びコアネットワーク間のインターフェース
L3/L4/L7 レイヤ3/レイヤ4/レイヤ7
O&M オペレーション及びメンテナンス
P2P ピアツーピア
PDP パケットデータプロトコル、例えばIP
PS パケット交換
RAB 無線アクセスベアラ
RAN 無線アクセスネットワーク
RANAP RANアプリケーション部分
RNC 無線ネットワークコントローラ
RNS 無線ネットワークサブシステム
SGSN サービングGPRSサポートノード
UTRAN UMTS地上波無線アクセスネットワーク
VoIP ボイスオーバーインターネットプロトコル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフィックを直接トンネルに割り当てるための方法であって、
前記トラフィックが、サービングノードによって、及び/又はゲートウェイノードによって与えられる優先順位付けに基づいて前記直接トンネルへと割り当てられる
方法。
【請求項2】
前記サービングノードはSGSNである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ゲートウェイノードはGGSNである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記直接トンネルは、ゲートウェイノードと、UMTSネットワークのUTRANとの間のトンネルである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記与えられる優先順位付けは、PDPコンテクストに割り当てられる、及び/又はPDPコンテクストに対して作成される、少なくとも1つのRABに関する情報を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記優先順位付けは、ユーザプロフィール、特に、アクセスポイント名ごとのユーザプロフィールに基づく、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザプロフィールは、加入者情報を格納するデータベースに記憶され、及び/又は関連付けられる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザプロフィールは直接トンネルの好みを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記与えられる優先順位付けはセル識別を含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記与えられる優先順位付けは、端末の機能又は身元に基づく、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記与えられる優先順位付けは、ネットワークの少なくとも一部分の負荷因子に基づく、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記与えられる優先順位付けは、データボリューム、特にサービングノードの、又はサービングノードにおけるデータボリュームカウントに基づく、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記サービングノードは、前記データボリュームに基づき、2つのトンネルを介して運ばれるトラフィックに優先順位付けをする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
高い優先順位を与えられるトラフィックが、前記2つのトンネルから前記直接トンネルへと割り当てられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記与えられる優先順位付けは、データボリューム、及び/又は監視されるトラフィック分析に基づき、及び/又はゲートウェイノードによって与えられる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
直接トンネルのライセンスが利用可能である場合に、前記トラフィックは前記直接トンネルに割り当てられる、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法がその上で実行可能であるように構成された、プロセッサユニット、及び/又は配線で接続された回路、及び/又は論理装置を備えた、又はそれに関連付けられた装置。
【請求項18】
デジタルコンピュータの内部メモリに直接的にロード可能であって、該コンピュータ上で実行されたときに請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法に従うステップを遂行するための、ソフトウェアコード部分を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法をコンピュータシステムに遂行させるよう適合させた、コンピュータにより実行可能な命令を有するコンピュータ読取可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509628(P2012−509628A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536743(P2011−536743)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065891
【国際公開番号】WO2010/057529
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(507142063)ノキア シーメンス ネットワークス オサケユキチュア (81)
【Fターム(参考)】