説明

直条部材の切断装置

【課題】 配線ダクト等の直条部材を回転カッターを高速回転して切断する切断装置において、直条部材を破損せずに容易に切断可能とし、正確な寸法で切断可能とする直条部材の切断装置を提供することである。
【解決手段】 ダクト等の直条部材Wを切断するための回転カッター2と、前記直条部材を載置して前記回転カッターに接離する方向に摺動自在とされるワーク載置台34とを備える直条部材の切断装置Kにおいて、ワーク載置台34に、載置する前記直条部材を当接して切断長さを規定する第一位置決め手段S1と前記直条部材が備える底部の取付長孔部の切断部からの長さを規定する第二位置決め手段S2を設ける構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線ダクト等の直条部材を任意の長さに切断する切断装置に関し、特に、部材を破損せずに正確な寸法に切断可能な直条部材の切断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御盤内配線や屋内配線の際には、一般的に樹脂製の配線ダクトが使用されている。該配線ダクトは長尺な樹脂押出し成形品を所定の長さに切断して使用するものであり、ニッパやカッター等の切断具を用いて人手にて切断することができる。
【0003】
また、駆動モータにより切断刃(回転カッター)を回転して、直条部材を機械的に切断する切断装置も開発されており、本出願人によって、配線ダクト等の直条部材を所定長さに切断することができる切断装置が既に出願されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
さらには、管材や棒材などの切断装置であって、切断時の粉塵の飛散を防止するためにカバー部材を設けた切断装置も既に公開されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−195295号公報(第1−4頁、第2図)
【特許文献2】実開平5−78462号公報(第1−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂製の配線ダクト等は人手にて切断することも可能であるが、その数量が増えてくると作業時間が多大となり、またニッパやカッター等の切断具を用いるために、怪我や事故が発生するという問題がある。
【0006】
また、切断装置を用いて機械的に直条部材を切断する際には、切断操作の際に直条部材を割ったり破損しないと共に、切断する前記直条部材を挿通する開口部からの粉塵の飛散を防止することが必要である。さらに、切断する長さを規制する位置決め手段を設けることで所望される一定長さに切断することができる。
【0007】
しかし、前記配線ダクトには種々の大きさがあり、その寸法は一定ではない。また、ダクトの底部には取り付けのための長孔が断続的に設けられており、前述した切断する長さを規制する位置決め手段だけでは、切断部から前記長孔までの距離を揃えることは困難である。
【0008】
特に、配線経路として、取付ネジ孔が所定ピッチで連続して予め設けられている場合には、取付長孔が所定位置にくるように配線ダクトを切断する必要がある。さらに、回転カッターを高速回転させて切断部に挿通される配線ダクト等の直条部材を切断する際には、回転カッターの衝撃により割れが生じる問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点を解消するために、配線ダクト等の直条部材を回転カッターを高速回転して切断する切断装置において、直条部材を破損せずに容易に切断可能とし、正確な寸法で切断可能とする直条部材の切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、ダクト等の直条部材を切断するた
めの回転カッターと、前記直条部材を載置して前記回転カッターにて切断する位置まで摺動自在とされるワーク載置台とを備える直条部材の切断装置であって、前記ワーク載置台に、載置する前記直条部材を当接して切断長さを規定する第一位置決め手段と、前記直条部材が等ピッチに複数備える取付長孔部の切断面からの長さを規定する第二位置決め手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、第一位置決め手段を介して切断長さを所定長さに揃えることができる。また、第二位置決め手段を介して底部の取付長孔部の位置を予め規定しておくことができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、前記第一位置決め手段が、前記直条部材の切断長さを規定する第一目盛と、締着部材とストッパーを有する採寸手段を備え、前記第二位置決め手段が、前記ワーク載置台に載置された直条部材の取付長孔部を視認可能な開口窓部と、切断面位置から所定長さ離れた位置を基準とする第二目盛を備えていることを特徴としている。
【0013】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、第二位置決め手段に設ける窓部に現れる取付長孔部の位置から、切断面から取付長孔部までの長さを確認可能となり、取付長孔部を所定位置に配設した所望の形態に、また、正確な長さに切断可能となる。
【0014】
請求項3に係る発明は、前記ワーク載置台を、装置の上板にスライドガイド手段を介して摺動自在に支持して手押し可能なスライドテーブルとし、前記回転カッターの略上半分を前記上版および前記ワーク載置台から上方に突出させ、前記上版および前記ワーク載置台に前記回転カッターとの干渉を避ける開口溝をそれぞれ設け、前記回転カッターの上部と前記開口溝とを一体的に被覆して切断部を遮蔽すると共に前記直条部材の出入り口となる挿通口を備える切断部カバーを設けたことを特徴としている。
【0015】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、直条部材を載置するワーク載置台を手押ししてスライドしながら切断するので、切断操作を確認しながら確実に行うことができる。また、切断部カバーを設けているので、粉塵の飛び出しを防止する直条部材の切断装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配線ダクト等の直条部材を切断する切断装置において、切断する長さを規定する第一位置決め手段と、取付長孔部の位置を規定する第二位置決め手段とを備えているので、取付長孔部を所定位置に配設した所望の形態に、また、正確な長さに切断可能となる直条部材の切断装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る直条部材の切断装置の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1および図2に示すように本発明に係る直条部材の切断装置Kは、配線ダクト等の直条部材Wを、切断部3を貫通するように差し込んで、装置本体1の内部に装着される回転カッター2により切断する切断装置である。
【0019】
回転カッター2を直接駆動モータに連結して直接回転駆動してもよいが、本実施の形態においては、装置本体内部に設置する駆動モータM1からベルトBLを介して駆動伝達する構成としている。
【0020】
直条部材Wは、スライドテーブル30上のワーク載置台34に載置されている。スライ
ドテーブル30は、装置本体1に装着されるスライド支持手段33を介して支持されており、例えばスライドガイドやリニアガイドを用いて、装置本体1の上板10上を摺動自在となるように構成されている。
【0021】
本実施の形態においては、スライド支持手段33として、図2(a)に示すようにシャフトに沿って摺動するリニアベアリングを備える四個のスライド支持手段33A、33B、33C、33Dを設けている。この構成であれば、前記シャフトを水平に配設することで、スライドテーブル30を水平方向に摺動自在となる。
【0022】
前記スライド支持手段33A、33B、33C、33Dは、スライドテーブル30の切断部3を挟む両側に、それぞれ二個ずつ設けられており、支持する荷重を四等分する構成とされている。そのために、比較的小型のスライド支持手段33を採用可能であり、コンパクトな装置設計が可能となる。
【0023】
スライドテーブル30上には、ワーク載置台34と、切断部3を被覆する切断部カバー31が装着されている。また、切断部カバー31には、直条部材Wの挿通口32となる入口部32Aと出口部32Bが設けられている。
【0024】
また、前記スライドテーブル30のスライド移動の許可と不許可を選別するロック手段18を設けている。このロック手段18は、ワーク載置台34上に載置される直条部材Wにより押下される械式もしくは電気式のリミットスイッチから構成することで、前記直条部材Wがワーク載置台34上に存在していない場合には、ロック手段18が解除されず、ワーク載置台34のスライド移動を許可しない構成とすることができ、直条部材Wの切断操作を行わない場合にはスライドしないので、安全な直条部材の切断装置Kとなる。
【0025】
ロック手段18としては、機械式でも電気式でもよいが、例えば図2(b)に示すように、ワーク載置台34の底面と側面の一部を切り欠いた部分に突出するレバー18Aとスライドテーブル30の下方に突出するロックアーム18Bを有する揺動式のロック手段18とすることができる。また、ロック手段18を、図示しない付勢手段を介して支軸18Cを回転中心として、レバー18Aを上方に突出する方向に付勢する構成としている。そのために、ワーク載置台34に直条部材Wが載置されていない状態では、図中の実線に示すようにレバー18Aが上方に突出してロックアーム18Bが下方に突出して、上板10に設けるロック部材10Aと係合する構成とし、スライドテーブル30のスライド移動を禁止する構成とすることができる。また、直条部材Wが挿入されると図中の破線に示すように、レバー18Aが直条部材Wの下面に当接して下方に揺動しロックアーム18Bが揺動して前記ロック部材10Aから離反することで、スライドテーブル30のスライドが可能となる。
【0026】
上記した構成であれば簡易な機械式のロック手段18となり複雑な電気制御が不要となって好適であると共に、直条部材Wの切断操作を行わない場合、ワーク載置台34をスライドさせる必要のない場合には、スライドテーブル30がスライドしないので、安全な直条部材の切断装置Kとなる。
【0027】
次に、切断する長さを規定する第一位置決め手段S1と、取付長孔部の位置を規定する第二位置決め手段S2について図5より説明する。
【0028】
図5(a)には、切断する直条部材Wの切断長さを規定するための第一位置決め手段S1の一例を示し、図5(b)に、直条部材に設けられている取付長孔部の位置を規定するための第二位置決め手段S2の一例を示している。
【0029】
第一位置決め手段S1は、直条部材Wの切断長さを規定する第一目盛38Aと、締着部材36とストッパーSTを有する採寸手段を備えている。締着部材36は締付レバー36Aを介してワーク載置台34に着脱自在とされており、締付レバー36Aを緩めてストッパーSTを移動し、所定位置で締着部材36を締めて固定することができる。また、前記ワーク載置台34上に設ける第一目盛38Aを介して、直条部材Wの切断長さを規定することができる。つまり、この第一目盛38Aは、切断され切り離される直条部材Wの長さを規定するよう、回転カッター2の一方の側面からの距離を示している。
【0030】
そのために、所定寸法位置にストッパーSTを固定させた後で、前述した切断部3を貫通するように直条部材Wを差し込み、その先端部を前記ストッパーSTに押し当てることで、切断長さを正確に規定することができる。このように、直条部材Wの先端をストッパーSTに押し当てた後で、回転カッター2を駆動してスライドテーブル30をスライドすると、直条部材Wを所定寸法にて切断することができる。
【0031】
第二位置決め手段S2は、ワーク載置台34に載置された直条部材Wの取付長孔部61を視認可能な開口窓部39と、切断面位置から所定長さ離れた位置を基準とする第二目盛38Bを備えている。
【0032】
ダクト等の直条部材Wには、取り付けのための取付長孔部61が所定ピッチ毎に断続的に設けられている。そのために、所定の配線位置に直条部材を正確に取り付けていくには、取付長孔部61の切断面からの位置を規定しておく必要がある。
【0033】
そのために、図に示すように、第二目盛38Bを、切断面位置から所定長さL1離れた位置から目盛られた目盛とし、所定ピッチ毎に断続的に設けられている取付長孔部61の位置を算出可能としている。このように、取付長孔部61の端部位置が切断部端部と一致する目盛を基準点とする第二目盛38Bとしておくことで、開口窓部39から視認される取付長孔部61の配設長さL2が、切断面からの取付長孔部61の配設長さと同等となる。つまり、第二位置決め手段S2を用いることで、切断時の取付長孔部61の配設長さL2を規定可能となる。
【0034】
そのために、予め、取付長孔部61の配設長さL2を所望される所定長さとして長尺な直条部材Wを切断し、その後で前述した第一位置決め手段S1を用いて所定長さの直条部材に切断することができる。
【0035】
例えば、図6に示す実測例では、取付長孔部61が50mmピッチ(P=50)で明いている直条部材W2を示している。そのために、切断端面から第二目盛38Bの基準点(ゼロ位置)までの寸法L1(ここでは100mm)が、長孔ピッチP(=50)の倍数になるようにしておけば、例えば、切断端面から一つ目の長孔の中心までの寸法L2を20mmとしたい場合、開口窓部39に見えてくる長孔(ここでは切断端面より三つ目の長孔)の中心を、第二目盛38Bの20mm位置に合わせると、必然的に切断端面から一つ目の長孔までの寸法が20mmに設定されることになる。
【0036】
上記したように、本発明に係る第一位置決め手段S1と第二位置決め手段S2を備えた直条部材の切断装置Kとすることで、取付長孔部61を所定位置に配設し所望の形態に、また、正確な長さに切断可能となる。次に切断工程について、図1によりさらに詳細に説明する。
【0037】
切断部カバー31はスライドテーブル30と共に図中の矢印D1方向にスライド自在であって、スライド方向の奥部には、前記切断部カバー31を収納する後部カバー11が設けられている。後部カバー11は、スライドする切断部カバー31のスライド位置に拘ら
ずに被覆可能な構成とされており、切断部3を遮蔽することができる。さらに、後部カバー11の後方の上部に排気ダクト12を設けており、吸引管13を介して吸引手段14に接続している。また、排気ダクト12の下部に位置する後部カバー11の内部に、整流板17を水平方向に設けている。この整流板17により、回転カッター2の随伴気流を排気ダクト12の吸引流方向に整流することができ、前記回転カッター2の上向きの回転による切断時に生じる粉塵の殆どを吸引する構成としている。
【0038】
回転カッター2は図中の矢印D2方向に回転しており、切断部3を回転カッター2までスライドして切断作業を行う際には、回転カッター2が上向きに回転している部分で切断することにしている。また、前記回転カッター2の回転による随伴気流は前記整流板17により図中の矢印D3方向に整流されて、排気ダクト12から排出する。この際に吸引手段14の吸引流を作用させることで、この随伴気流に乗っている切断時に発生する粉塵の殆ど全てを吸引排出することが可能となる。
【0039】
また、一部の粉塵は切断部内部の装置下部に堆積するが、落下する粉塵を、回転カッター2の下部に設置する傾斜板15から装置前面側に落下させ、装置前面側に設ける取出口16から取り出すことができる。しかし、前述したように発生する粉塵の殆どを排気ダクト12から排出するので、切断部内部に堆積する粉塵の量は非常に少なく、メンテナンスの周期を長くすることが可能である。
【0040】
直条部材Wは、切断部カバー31に設ける挿通口32から切断部3に挿通している。挿通口32は、入口部32Aと出口部32Bからなり、前記入口部32Aから挿通した直条部材Wは、切断部カバー31を貫通して出口部32Bから外に出る。また、入口部32Aの手前側と出口部32Bの後方側にワーク載置台34が延設されており、入口部32Aと出口部32Bを備える切断部3内を貫通するようにして、ワーク載置台34に直条部材Wを載置することができる。
【0041】
さらに、直条部材Wを出し入れする開口部となる入口部32Aと出口部32Bを封止するために、板ばね状ガイドに毛羽状ブラシを付着した防塵手段4をそれぞれ設けている。この構成であれば、切断の際に生じる粉塵の飛散を防止すると共に騒音を減少することができる。
【0042】
また、スライドテーブル30の下面にブラシ部材37を装着し、装置の上板10と前記スライドテーブル30との隙間を埋める構成とすると、摺動移動するスライドテーブル30の下面と装置上面間の空隙を封止することができるので、粉塵の飛び出しと騒音の漏洩を同時に防止可能となり、作業環境を良好に保つことができる。
【0043】
さらに、切断部カバー31内部の所定位置に吸音部材35を装着する構成とすれば、回転カッター2が高速回転することで発生する高音領域の騒音を減音することができ、切断作業時の作業環境を良好に保つことができる。吸音部材35を装着する部位は、切断部カバー31の後方の下方部辺りが好適である。
【0044】
図3の平面図に示すように、ワーク載置台34を切断作業前の待機位置34Aとして直条部材Wを挿通口32に貫通した後で、矢印D4方向(D1方向と同一)にスライドして、ワーク載置台34を切断位置34Bに摺動移動する。この摺動移動により、切断部3が回転カッター2部を通過して直条部材Wの切断が完了する。
【0045】
装置に固定される回転カッター2との干渉を避けてスライド可能とするために、前記上板10と前記スライドテーブル30と前記ワーク載置台34には、回転カッター2との干渉を避ける開口溝6がそれぞれ設けられている。また、前記回転カッター2の略上半分を
前記上版10および前記ワーク載置台34から上方に突出させている。
【0046】
そのために、切断部3を貫通するように直条部材Wをワーク載置台34に載置すると、直条部材Wが前記開口溝6を跨ぐようにして設置され、この開口溝6部で切断されることになる。
【0047】
スライドテーブル30上にワーク載置台34を設けているので、ワーク載置台34に載置した直条部材Wを手で押し込んでいくことで、直条部材Wとスライドテーブル30とを一体的にスライドさせることができる。また、このときのスライドテーブル30のスライド範囲を、直条部材Wを完全に切断する長さ範囲に予め定めておくことは明らかである。この構成であれば、スライドテーブル30を一回押し込んで引き戻す操作で、ワーク載置台34に載置した直条部材Wの切断を完了することができる。
【0048】
このためには、前記待機位置34Aを直条部材Wを切断部3に貫通可能な位置とし、前記切断位置34Bを直条部材Wを完全に切断完了する位置とするストッパー(不図示)を、予めスライドテーブル30側に設けておけばよい。
【0049】
次に、図4から挿通口32に設ける防塵手段について説明する。
【0050】
前記挿通口32には、図4に示すような板ばね状ガイド41に毛羽状ブラシ42を付着した防塵手段4を設けている。この構成であれば、直条部材Wを挿通する開口部を、毛羽状ブラシを備える防塵手段4を用いて封止することができ、直条部材挿通口からの粉塵の飛び出しと騒音の漏洩を同時に防止可能となる。
【0051】
直条部材Wが断面コの字状の配線ダクト等の直条部材W1の場合には、断面コの字状の底面部50を鉛直方向とし、折り曲げ部となる側面部51、52を水平方向とした横向きとすることで、水平方向に配設される複数の板ばね状ガイド41を備える防塵手段4を用いることができる。また、毛羽状ブラシ42を付着した板ばね状ガイド41を複数備える構成の防塵手段4とすることで、側面部51、52の間の空隙部を封止可能である。
【0052】
そのためには、上下の隣り合う毛羽状ブラシ42の先端部同士が当接する構成であればよい。さらに、柔軟な毛羽状ブラシ42を用いることで、上下の隣り合う毛羽状ブラシ42間に直条部材Wの折り曲げ部51、52を挿通可能である。
【0053】
断面コの字状の配線ダクト等の直条部材W1であれば、その外形形状は所定の複数種類に予め定められている。そのために、その寸法に応じた間隔に複数の板ばね状ガイド41を予め設けた構成としておけばよい。このように、毛羽状ブラシ42を付着した板ばね状ガイド41を複数備える構成の防塵手段4とすることで、複数種類のサイズに対応可能であると同時に、断面コの字状の側面部51、52間の空隙を封止して、粉塵の飛び出しと騒音の漏洩を同時に防止可能となる。
【0054】
前述したように、回転カッター2の回転方向が上向きとなる位置で配線ダクト等の直条部材Wを切断するので、回転の衝撃が前記直条部材Wを押圧することがなく、例え、樹脂製の割れやすい直条部材Wであっても、破損することがない。また、直条部材Wを載置するワーク載置台34を手押ししてスライドしながら切断するので、切断状態を確認しながら確実に操作することができる。そのために、自動化が進んだ切断装置のように、作業者の待ち時間を生じることがないので、切断操作を実感しながらリズム感のある快適な作業を行うことができる。
【0055】
また、粉塵を切断部から外部に排出せず、高速回転する回転カッターの高周波騒音を減
音する構成としているので、さらに快適な作業環境を実現可能となる。
【0056】
切断作業は、断面コの字状の配線ダクト等の直条部材W1やその他の直条部材Wを切断部3に設置し、切断装置Kに配設した操作パネルに配設している操作ボタンSW等を操作して、駆動モータM1を回転駆動して切断作業を行う。
【0057】
例えば操作ボタンSWが押下されると、回転カッター2が回転開始する。この時に、別に設ける吸引手段14の駆動が同時に開始される構成としてもよい。回転カッター2が回転開始した後で、作業者が、所定位置に載置された直条部材Wを押して、スライドテーブル30を一往復させて、切断作業が完了する。さらに、切断作業を続行する場合には、切断した所定長さの直条部材を取り外して、再度直条部材の位置合わせを行い、そのまま再度切断すればよい。全ての切断作業が終了した後で、操作ボタンSWを操作して駆動モータM1を停止する。
【0058】
上記したように、本発明に係る直条部材の切断装置は、切断する長さを規定する第一位置決め手段と、取付長孔部の位置を規定する第二位置決め手段とを備えているので、取付長孔部を所定位置に配設した所望の形態に、また、正確な長さに切断可能となる。
【0059】
また、手押し式のスライドテーブルに直条部材を載置して、回転カッターの回転方向が上向きとなる位置に押し込んで切断するので、回転の衝撃が直条部材を押圧することがなく直条部材を破損しない。また、直条部材を手押ししながら切断するので、手待ち時間を生じず、切断状態を直接に確認しながら確実に実行可能となる。
【0060】
さらには、ワーク載置台のスライド移動の許可と不許可を選別するロック手段を設けたので、直条部材がワーク載置台上に存在していない場合には、ロック手段が解除されず、ワーク載置台のスライド移動を許可しない構成とすることができる。
【0061】
このように、本発明に係る直条部材の切断装置を用いることで、直条部材を破損せずに正確な寸法に切断可能となり、切断時に生じる粉塵を外部に飛散させずに、安全な切断操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る切断装置の全体構成を示す正面断面図である。
【図2】本発明に係る切断装置を示し、(a)は全体構成を示す側面断面図であり、(b)は要部の拡大説明図である。
【図3】本発明に係る切断装置の平面図である。
【図4】切断部の挿通口の拡大説明図である。
【図5】本発明に係る位置決め手段を示しており、(a)は第一位置決め手段の概略説明図であり、(b)は第二位置決め手段の概略説明図である。
【図6】第二位置決め手段による実測例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 装置本体
2 回転カッター
3 切断部
4 防塵手段
10 上板
11 後部カバー
18 ロック手段
30 スライドテーブル
31 切断部カバー
32 挿通口
33 スライド支持手段
34 ワーク載置台
36 ブラシ部材
38A 第一目盛
38B 第二目盛
39 開口窓部
K (直条部材の)切断装置
W 直条部材
S1 第一位置決め手段
S2 第二位置決め手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト等の直条部材を切断するための回転カッターと、前記直条部材を載置して前記回転カッターにて切断する位置まで摺動自在とされるワーク載置台とを備える直条部材の切断装置であって、
前記ワーク載置台に、載置する前記直条部材を当接して切断長さを規定する第一位置決め手段と、前記直条部材が等ピッチに複数備える取付長孔部の切断面からの長さを規定する第二位置決め手段を設けたことを特徴とする直条部材の切断装置。
【請求項2】
前記第一位置決め手段が、前記直条部材の切断長さを規定する第一目盛と、締着部材とストッパーを有する採寸手段を備え、
前記第二位置決め手段が、前記ワーク載置台に載置された直条部材の取付長孔部を視認可能な開口窓部と、切断面位置から所定長さ離れた位置を基準とする第二目盛を備えていることを特徴とする請求項1に記載の直条部材の切断装置。
【請求項3】
前記ワーク載置台を、装置の上板にスライドガイド手段を介して摺動自在に支持して手押し可能なスライドテーブルとし、
前記回転カッターの略上半分を前記上版および前記ワーク載置台から上方に突出させ、前記上版および前記ワーク載置台に前記回転カッターとの干渉を避ける開口溝をそれぞれ設け、
前記回転カッターの上部と前記開口溝とを一体的に被覆して切断部を遮蔽すると共に前記直条部材の出入り口となる挿通口を備える切断部カバーを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の直条部材の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−188714(P2008−188714A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26280(P2007−26280)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】