説明

直流を用いるスパッタリング堆積のための方法および装置

直流電力供給装置を用いるプラズマベースのスパッタリング堆積の装置と方法が開示される。一実施形態において、プラズマは、複数の電極を電流の供給装置に接続することによって発生され、プロセシングチャンバー内の複数の電極の各々に印加される電圧の極性は、複数の電極の少なくとも一つの電極が材料を基板上にスパッタリングするように周期的に逆転される。そして、複数の電極の少なくとも一つの電極に印加される電力の量は、調節されることにより、静止した基板上に材料を所望の特質を備えて堆積する。一部の実施形態において、基板は、プロセシングの間、チャンバー内に静的に配置される。そして、多くの実施形態は、堆積の状態を示すフィードバックを利用することにより、一つ以上の電極に印加される電力の量を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマベースのスパッタリング堆積に関する。限定するわけではないが、特に、本発明は、直流電力供給装置を用いるプラズマベースのスパッタリング堆積のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマプロセス技術は、プラズマ蒸着、スパッタリングなどのような商業目的のプロセスのために、産業において広範に使用されてきた。これらのプロセスは、薄膜の用途において特に有用となってきた。プラズマを発生させるために、電力供給装置は、カソードと、プラズマを形成するプロセスガスを含むプラズマチャンバーに配置された一つ以上のアノードとの間に、電位を作り出す。堆積のためのこれらのプロセスを用いる場合には、プラズマは、通常はカソード表面を含むプラズマチャンバーに配置された標的の材料(また、スパッタリング源としても参照される)に作用する。プラズマイオンは、標的に向けて加速され、標的材料が衝突時にカソード表面から除去されるようにする。除去された標的材料は、次いで、基板の上に堆積されて膜(例えば、薄膜)を形成する。膜は、上記に開示されたように、標的表面からプラズマによってスパッタリングされた材料を構成し得るか、または、標的材料と、プラズマまたはプロセスガスに含まれた何らかの他の要素との間の反応の結果であり得る。
【0003】
高周波数電圧源(例えば、交流(AC)電力源)は、プラズマチャンバー内にプラズマを生成する高電位を発生させるために用いられてきた。これらの高周波数電圧源は、作動させるのが面倒であるとともに、組み立てて、維持するのに費用がかかる。加えて、堆積材料が、プラズマまたはプロセスガス内の要素との反応によって形成され、さらに、電気的に絶縁体である場合には、チャンバー内のアノードは、絶縁体によってコーティングされ得る。この堆積は、次いで、堆積プロセス中にアノードがプラズマから電子を収集する機能を果たすことを妨げ得る。
【0004】
高周波数電圧源に関連した不都合を克服するために、交互パルス化された直流電力源は、特許文献1に開示されたもののようなアノードのないデュアルマグネトロンタイプのシステムに使用されてきており、特許文献1は、参照によって全体として本明細書に組み込まれている。極性を逆にするプロセスは、電極が交互にアノードとして、および、カソードとして作用することを可能にし、カソードフェーズの間に生じるスパッタリングプロセスは、全ての堆積された絶縁材料を取り去り、アノードフェーズの間にアノードとしての電極の制約されない作動を可能にする。加えて、極性を逆にするプロセスは、両方の電極の表面が標的材料を提供できるように、両方の電極が交互にカソードとして作用することを可能にする。
【0005】
現在のパルス化された直流電力源は機能的であるが、それらは、例えば均一性および/または粒子の発生閾値を達成するのに十分に正確ではないか、他の態様で多くの薄膜プロセス用途において満足でない。任意の化学量論の同時スパッタリングはまた、標準的な技術では達成不可能である。したがって、現在の技術の不足に対処し、他の新しい革新的な特徴を提供するために、方法および装置が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,917,286号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
図面に示される本発明の例示的な実施形態は、以下に要約される。これらおよび他の実施形態は、詳細な説明のセクションでより十分に記載される。しかしながら、本発明をこの発明の概要において、または詳細な説明において記載される形態に限定する意図がないことは、理解されるべきである。当業者は、請求の範囲に表されるような本発明の精神と範囲のうちに入る多数の修正、均等物および代わりの構築物があることを認め得る。
【0008】
本発明は、プラズマベースのスパッタリング堆積の方法と装置のためのシステムと方法を提供し得る。一つの例示的な方法において、基板は、プラズマプロセシングチャンバー内の静止した位置に配置され、プラズマは、複数の電極を電流の供給装置に接続することによって発生される。基板がプラズマプロセシングチャンバー内の静止した位置にある間、プロセシングチャンバー内の複数の電極の各々に印加される電圧の極性は、周期的に逆転され、複数の電極の少なくとも一つに印加される電力の量は、調節されることにより、静止した基板上に材料を所望の特質を備えて堆積する。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、材料をプラズマプロセシングチャンバー内の基板上に堆積するシステムとして特徴付けられ得、システムは、プラズマスパッタリングチャンバー内の電極に第一の極性を有する第一の直流電力パルスおよび第二の極性を有する第二の直流電力パルスを伝達するように構成された直流電力源を含む。加えて、この実施形態におけるシステムは、チャンバーからのフィードバックラインと、第一の直流電力パルスがトリガーされた後で第二の直流電力パルスをトリガーするように構成されたプロセッサーとを含む。そして、プロセッサーは、フィードバックライン上のフィードバック信号に応答して、第一の直流電力パルスにより電極に印加される電力の量を調節するように構成される。
【0010】
さらに別の実施形態において、直流電力は、少なくとも一つの直流電力源からプラズマスパッタリングチャンバー内の複数の電極の各々にパルスで伝達され、基板上の材料の少なくとも一つのモニタリングされた特質を示すフィードバックが受信される。この実施形態において、複数の電極のうちの少なくとも一つの電極に伝達される電力の量は、フィードバックに応答して制御されることにより、材料の堆積を変更する。
【0011】
別の実施形態において、直流電力源は、プラズマスパッタリングチャンバーに電力を伝達するように構成され、電力制御コンポーネントは、第一の期間中にプラズマスパッタリングチャンバー内の第一の電極に電力を向けるように、そして、第二の期間中にプラズマスパッタリングチャンバー内の第二の電極に電力を向けるように、構成される。この実施形態において、第二の電極に対する第一の電極に印加される電力は、静止した基板上の堆積された材料の所望の特質によって規定される。
【0012】
先に述べられたように、上に記載された実施形態および実装は、単に図示のためである。本発明の多数の他の実施形態、実装および詳細は、以下の詳細な説明および請求の範囲から当業者によって容易に認められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の多様な目的、利点および、より完全な理解は、以下の添付の図面とともに考慮される場合には、以下に続く詳細な説明および添付の特許請求の範囲への参照によって、明らかであり、より容易に認識される。
【図1】図1は、本発明の一実施形態による、直流(DC)電力源、電力制御コンポーネント、およびプラズマスパッタリングチャンバーの概念図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態による、DC電力源と、プラズマスパッタリングチャンバー用に超低周波数のDC電力パルスを生成するように構成された電力制御コンポーネントとを図示する概略図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による、ボリュームによって分離された一組の同心の電極を図示する概略図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による、プラズマスパッタリングチャンバーの電極用にDC電力供給装置によって生成されたDC電力パルスの例を図示するグラフである。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による、ゼロより大きい遷移期間を含むデューティサイクルを図示するグラフである。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による、パルスパラメーターおよびパルスパラメーター値の例を図示する表である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態による、DC電力供給装置と結合されたプラズマスパッタリングチャンバーを図示する概略図である。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態による、図7に示された電極に伝達されたDC電力パルスを図示するグラフである。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態による、図7に示された電極に伝達されたDC電力パルスを図示するグラフである。
【図9】図9は、本発明の一実施形態による、DC電力供給装置によって伝達されたDC電力パルスを受信するように構成されたプラズマスパッタリングチャンバーを図示するブロック図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態による、一つ以上のセンサーからの一つ以上のフィードバック信号によってトリガーされるDC電力パルスの変化を図示するグラフの概略図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態による、堆積層に関連した特性に応答してDC電力パルスを修正する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
ここで、同様または類似の要素がいくつかの図にわたって同一の参照番号によって示されている図面を参照し、特に図1を参照すると、図1は、本発明の一実施形態による、直流(DC)電力源100、電力制御コンポーネント110、およびプラズマスパッタリングチャンバー130を描くブロック図である。プラズマスパッタリングチャンバー130は、二つ以上の電極140を含み、二つ以上の電極140のそれぞれが、アノードとして、およびカソード(カソードは、スパッタリングの標的として参照され得る)として機能するように構成されている。DC電力源100および電力制御コンポーネント110は、まとめてDC電力供給装置170として参照され得る。しかしながら、ブロック図1が論理的なものに過ぎず、一部の実施形態において電力源100および電力制御コンポーネント110が分離したコンポーネントとして実現されることは、認識されるべきである。例えば、一つの実施形態において、電力制御コンポーネント110は、既存のDC電力源への付加的なコンポーネントとして実装される。
【0015】
一般的に、DC電力源100は、電力制御コンポーネント110にDC電力を供給するように構成される。いくつかの実施形態において、DC電力源100は、20kWから200kWの範囲で電力を提供するが、他の電力レベルは、確実に考慮されている。多くの実施形態において、DC電力源100は、複数のDC発生器によって実現され、複数のDC発生器は、互いに結合されている。例えば、一つの実施形態において、DC電力源は、三つの50kWのDC発生器によって実現され、150kWの電力供給装置を提供する。
【0016】
プラズマ150は、希ガス(例えば、アルゴン)または他のガス種を含む一つ以上のガスから形成され、特定の組成を有する化合物から形成され得る。一部の実施形態において、(図示されていない)磁界が、プラズマスパッタリングチャンバー130(例えば、電極140の周りの位置にある)の中および/または外に印加されて、ガスのイオン化、場合によってはプラズマ150のプラズマイオンの電極140のいずれかおよび/または基板160への方向付けを促進する。
【0017】
プラズマ150が電極140間の電位に応答して点火および保持される場合には、プラズマイオンは、カソードとして機能する電極140に向けて加速され、その電極に衝突して、原子を電極140からの原子が基板160に向けて噴出されるようにする。一部の実施形態において、電極140は、標的として参照され、基板に向けて噴出される原子(例えば、材料)は、標的原子(例えば、標的材料)として参照される。多くの実装において、標的材料は、アルミニウムのような金属性の物質またはセラミックのような異なる物質を含む。そして、一部の実装(例えば、同時スパッタリング)において、各個別の電極140のための標的材料は、異なる材料または異なる組成を含み得る。
【0018】
必須ではないが、多くの実施形態において、DC電力源100は、プラズマスパッタリングチャンバー130の中に形成する一つ以上のアーク(例えば、マイクロアークおよび/またはハードアーク)を検出するように構成される。アークを扱う能力とともに構成されている例示的な電力供給装置は、Fort Collins,CO.にあるAdvanced Energy Incorporatedから入手可能なSUMMITモデルDC発生器である。他の実施形態において、アーク検出は、電力制御コンポーネント110によって行われる。当業者が理解するように、アークは、例えば、プラズマスパッタリングチャンバー130および/またはプラズマスパッタリングチャンバー130の中の物(例えば、半導体基板)に対して有害な影響を有し得る。
【0019】
電力制御コンポーネント110は、一般的に、DC電力源100によって生成される電力を管理し、管理された電力をスパッタリングチャンバー130に提供するように構成されている。特に、電力制御コンポーネント110は、プラズマ150が点火および/または保持されるように、DC電力源100から電極140への電力を管理するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態において、電力制御コンポーネント110は、電極140の各々が、ある期間の間はカソードとして、そして、ある期間の間はアノードとして作動するように、交互する極性を有する電力のDCパルスを電極140に送信する。
【0020】
事実上、専用のアノードがないため、多くの実施形態の利点は、電力制御コンポーネント110によって電極に印加されたDCパルスの交互する極性による、電極の間隔に関する柔軟性である。その結果、この「アノードなしの」DCスパッタリングは、電極が所望されるように(例えば、膜の均一性を高めるために、および/またはプラズマがチャンバー130の中で発生することを所望される場所にプラズマを発生させるために)設置されることを可能にし、この「アノードなしの」DCスパッタリングは、多くの実装において、汚染の源を低減し、より複雑でない機械システムをもたらす。
【0021】
有益なことに、いくつかの実施形態における電力制御コンポーネント110は、少なくとも電極140の部分の各々に対して電力の量を調節するように構成されている。その結果、多くの実施形態における電力制御コンポーネント110は、電極のうちの一つ以上からスパッタリングされる標的材料の量が変化することを可能にして、標的材料が所望の方法で基板160の上に堆積されることを可能にする。例えば、いくつかの実施形態において、電極140のうちの一つ以上への電力は、材料が、所望の位相、抵抗、強度などで堆積されることを可能にするように、独立して制御可能である。さらには、多くの実装において、電極のうちの一つ以上に伝達される電力は、プラズマチャンバー130からのフィードバック(例えば、堆積された層の厚さ、層の抵抗、層の光学特性などを示すフィードバック)に応答して調節される。
【0022】
さらなる例として、多くの実装における電力制御コンポーネント110は、標的材料が基板上に堆積されている間に、電極140のうちの一つ以上への電力を調節することによって、基板160への標的材料の均一な堆積を可能にするように構成される。さらには、一部の実施形態において、電極上に残る標的材料の量は、モニタリングされ得、その電極に印加される電力は、残っている標的材料の量に基づいて、電極から不要な材料を除去しないで最大化されるように利用される標的材料の量を可能にするように、調節され得る。このことは、標的材料がしばしば非常に高価であり、(電極からの不要な材料の除去を回避している間に)用いられる標的材料の量を増やすことが実質的な金額を節約するため、加えて、必要なメンテナンスの間の期間もまた、増やされ得る――ここでも、電極材料の不要な除去からのより少ない汚染に起因して時間と資金を節約する――ため、主要な利点である。
【0023】
多くの実施形態において、材料が基板160に堆積されている間、基板160は、静止した位置に保持されている。その結果、これらの静止した堆積の実施形態において、動く部分に起因してプラズマ150に混入されるようになった所望されない粒子の量は、実質的に低減され、したがって、基板上に堆積された層における不純物に起因する欠陥の数は低減される。さらには、粒子に誘導されたアークもまた、低減され、そのことはプロセスの質を改善する。
【0024】
本明細書に開示された多くの実施形態の別な利点は、DC電力(例えば、交互する極性を有するDC電力)で金属のスパッタリングを行う能力である。例えば、本明細書に記載された多くの実施形態は、電力を電極の一つ以上に対して調節する技術を利用して、静止した基板上における金属のスパッタリングを可能にする。
【0025】
いくつかの実施形態において、電力制御コンポーネント110は、約10Hzから約20kHzの周波数で、電力の交互するDCパルスをトリガーするように構成される。一部の実施形態において、電力制御コンポーネント110は、10Hzから2kHzあたりのDCパルスを提供するように作動し、他の実装において、電力制御コンポーネント110は、10Hzから500HzあたりのDCパルスを提供するように作動する。一つの例示的な実施形態において、電力制御コンポーネントは、周波数60HzのDC電力パルスを伝達し、さらに他の実施形態において、電力制御コンポーネント110は、10Hzから50HzあたりのDCパルスを提供するように作動する。多くの変形において、交互する電力パルスの各々のパルス幅は、少なくともDC電力源100の検出時間より長い。
【0026】
一部の実施形態において、交互する電力パルスの各々のパルス幅は、電極140の一つ以上に関連した熱時定数より短く、堆積(例えば、均一性、膜の質、堆積レート)に影響し得る電極140の一つ以上の電極の温度の変化を実質的に防ぐ。そして、一部の変形において、パルスは、熱閾値条件に基づく特性(例えば、幅、周波数など)を有する。熱閾値条件は、プラズマスパッタリングチャンバー130に関連したコンポーネント(例えば、配線、コネクターなど)またはプラズマスパッタリングチャンバー130に関連した電極140に関連し得る。例えば、一部の実施形態において、熱閾値条件は、プラズマスパッタリングチャンバー130に関連した特定のコンポーネントまたは電極140が指定された温度を超える、または下回ることを防ぐように、定義される。
【0027】
多くの実施形態における電力制御コンポーネント110は、例えば絶縁されたゲートバイポーラートランジスター(IGBT)のような一つ以上のスイッチ(図示されていない)および/または制御モジュール(図示されていない)を含む。一部の実施形態において、制御モジュールは、制御アルゴリズム(例えば、開ループアルゴリズムまたは閉ループアルゴリズム)を含み、その制御アルゴリズムは、一つ以上のスイッチとともに用いられて、パルスパラメーター値に従ってDC電力パルスを生成する。一部の実施形態において、パルスパラメーター値は、電力制御コンポーネント110および/またはDC電力源100に関連したメモリー(図示されていない)からアクセスされる。
【0028】
一部の実施形態において、電力制御コンポーネント110の機能の一つ以上は、DC電力源100に組み込まれ、他の実施形態において、DC電力源100の機能の一つ以上は、電力制御コンポーネント110に組み込まれる。そして、一部の変形において、本明細書に開示されたモジュールは、動的に修正および/または静的に構成されるソフトウェア、ファームウェアおよび/またはハードウェアによって実装される。
【0029】
次に図2を参照すると、図2は、本発明の一実施形態による、DC電力源250(例えば電流源)と、プラズマスパッタリングチャンバー240用に超低周波数でDC電力パルスを生成するように構成された電力制御コンポーネント230とを図示する概略図である。特に、電流252のプラズマスパッタリングチャンバー240への経路は、電力制御コンポーネント230によって制御され、DC電力パルスを作り出す。電力制御コンポーネント230は、並列構成で正の極性のノード264に接続されているスイッチ232およびスイッチ234を含む。電力制御コンポーネント230はまた、並列構成で負の極性のノード266に接続されているスイッチ236およびスイッチ238を含む。
【0030】
スイッチ232、スイッチ234、スイッチ236およびスイッチ238は、プラズマスパッタリングチャンバー240の電極244および電極242に、プラズマがプラズマ形成領域270内で点火および/または保持されるように交互する態様で、電力を印加するように交互に閉じられる。プラズマがプラズマ形成領域270内で点火および/または保持されるときに、少なくとも、プラズマによって電極242および電極244から除去されるいくらかの材料が、堆積層262内の基板260上に堆積されるように、基板260がプラズマスパッタリングチャンバー240内に配置される。一部の実施形態において、スイッチ232、スイッチ234、スイッチ236およびスイッチ238のうちの少なくとも二つは、実質的に同時に(例えば、実質的に一斉に)閉じられる。堆積層262は、一部の実施形態において、薄膜トランジスター(TFT)堆積層であるが、このことは確かに必須ではなく、多くの他の用途が意図される。
【0031】
電極242および電極244への電流を交互化することによって、電極機能の一つは、ある期間の間はカソードとして機能し、他方の機能は、その期間中はアノードとして機能する。例えば、第一の作動状態において、電流がDC電力源250から電極242を流れ、次いで電極244を流れるように、スイッチ232およびスイッチ236は、閉じており、その間にスイッチ234およびスイッチ238は、開いている。この第一の作動状態において、電極242は、アノードとして機能し、その間に電極244は、カソードとして機能する。プラズマは、プラズマ形成領域270内で点火および/または保持され、基板260は、電極242から除去された材料によってコーティングされる。
【0032】
第二の作動状態において、電流がDC電力源250から電極244を流れ、次いで電極242を流れるように、スイッチ234およびスイッチ238は、閉じており、その間にスイッチ232およびスイッチ236は、開いている。この第二の作動状態において、電極242は、カソードとして機能し、その間に電極244は、アノードとして機能する。プラズマは、プラズマ形成領域270内で点火および/または保持され、基板260は、電極244から除去された材料によってコーティングされる。多くの実施形態において、DC電力源250に関連した制御モジュール254(例えば、格納された命令を実行するプロセッサー)は、パルスパラメーター値に従ってスイッチ232、スイッチ234、スイッチ236およびスイッチ238のスイッチングをトリガーするように構成される。
【0033】
一部の実装において、電極242と電極244とは、スペース220によって分離され、スペース220は、(図2に示された)ボリューム222を規定し、ボリューム222は、ボリューム222中の電流放電密度が、プラズマスパッタリングチャンバー240の作動中に、プラズマ形成領域270内の電流放電密度よりも有意に小さいように規定される。ボリューム222の大きさおよび/または形は、一部の実施形態において、指定された電流放電密度を有するように規定される。
【0034】
ボリューム222のようなボリュームにおける電流放電密度は、そのボリューム内のプラズマの点火と対応する。例えば、ボリューム222内の低い電流放電密度は、ボリューム222内のプラズマの点火の低い確率と対応する。言い換えれば、ボリューム222は、ボリューム222内の高密度プラズマの点火の確率がプラズマ形成領域270内の高密度プラズマの点火の確率よりも実質的に低いように規定され得る。一部の変形において、ボリューム222は、プラズマ形成領域270および/またはボリューム222に関連したプラズマ形成基準(例えば、閾値、条件)を満たすように規定される。論じられているように、アノードなしの作動の利点は、所望のスパッタリングの特質を引き起こすように電極間のスペース220を変更する柔軟性である。
【0035】
電極242と電極244との間の電流の流れ、したがってプラズマ点火は、例えばプラズマチャンバー240内で(示されていない)磁石を用いて、修正される。例えば、一部の実施形態において、電極242と電極244との間の電流の流れは、一つ以上の磁石または電気的に誘導される磁界を用いて修正されて電流の放電を起こし、したがってプラズマ点火の確率は、プラズマ形成領域270中でボリューム222中よりもはるかに高い。
【0036】
一部の実施形態において、ボリューム222の大きさ、プロセスガスの圧力、電極に印加される電圧、および/または磁界の方向は、プラズマ形成領域270とボリューム222との間の電流放電密度の指定された比率を生成するように規定される。一部の実装において、スペーシング220は、カソードダークスペースより有意に小さい。
【0037】
一部の変形において、スペーシング220の大きさは、堆積層262中の基板260上の電極242および電極244からの材料の堆積に関連した標的堆積プロフィール(また、堆積プロフィール標的としても参照される)に基づいて規定される。言い換えれば、標的堆積プロフィールを達成し、その結果、少なくとも部分的には、スペーシング220を、それゆえボリューム222を規定するように、電極242および電極244は、位置を定められる。一部の実施形態において、標的堆積プロフィールは、堆積層262に関連した異なる位置(例えば、異なる空間的位置、異なるエリア)に関連した一つ以上の堆積プロフィール基準(例えば、閾値、条件)に従って規定される。
【0038】
一部の変形において、例えば、スペース220および/またはボリューム222は、堆積層262中で電極242および電極244から基板260上に堆積される材料が、薄膜トランジスタープロセスに関連した一組の堆積プロフィール基準(例えば、堆積均一性基準)を満たすように規定される。一部の実装において、標的堆積プロフィールは、標的化学組成および/または標的の厚さ(例えば、基板260の至る所で実質的に均一な厚さ)を含む。
【0039】
多くの実施形態におけるスペース220および/またはボリューム222は、電極242および電極244からの異方性スパッタリングを補償するように規定される。例えば、スペーシング220およびボリューム222は、基板260上で堆積層262の標的堆積プロフィールを達成するために、異方性スパッタリングの効果を低減するように規定され得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、スペーシング220(例えば、ボリューム222)ならびに電極242および/または電極244と基板260との間の距離210は、基板260上で特定の標的堆積プロフィールを達成するように規定される。電極242および/または電極244と基板260との間の距離210を減らすことは、多くの実施形態において、堆積層262の質を高め、かつ/または、電極242および/または電極244からの材料の堆積レートを高める。例えば、一部の実施形態において、スペース220(およびボリューム222)は、距離210が基板260上で堆積の均一性を増すために減らされるにつれて、減らされる。一部の実施形態において、スペース220(およびボリューム222)は、距離210が基板260上で堆積層262の厚さの均一性を増すために減らされるにつれて、増やされる。加えて、プロセスガスの圧力はまた、所望の均一性および所望の膜特性を達成するように、調整され得る。
【0041】
さらには、一部の実装において、電極242と電極244との間のスペーシング220は、圧力閾値条件に基づいて規定される。例えば、一部の実施形態において、電極242および電極244は、見込まれるプロセスガスの化学種および圧力の範囲に基づいて、ボリューム220中でプラズマを形成する確率が最小化されるように、位置を定められる。プラズマの開始は、ガスの圧力および電極のスペーシングに依存し、そのようなものとして、このことは、プラズマ形成の確率を低減するように最適化され得る。
【0042】
従来技術のDCプロセス技術と比べたときに、より柔軟な電極のスペーシングを有することの利点に加えて、多くの実施形態におけるDC電力パルスが超低周波数で伝達されるため、基板260の加熱の確率は、例えば基板260の確率論的な加熱が有力な問題であり得る類似したAC動力を備えたシステム中の基板260の加熱の確率よりも低い。したがって電極242および/または電極244と基板260との間の距離210は、一部の実施形態において、類似したAC動力を備えたシステム中のその距離よりも小さい。距離210を減らすことによって、類似したAC電力システムと比べたときに、堆積層262の堆積プロフィールは、より容易に制御され得、膜特性は、改善され得る。これらの実施形態中の交互するDC電力パルスが超低周波数で伝達され、電極242および電極244が本来はアノードとカソードとの両方であるため、アノードの冷却およびプラズマスパッタリングチャンバー240の冷却の必要性は、実質的に低減されるか、または一部の実施形態において排除される。
【0043】
堆積プロフィールに影響を与えるために電極242、電極244に間隔を置くことに加えて、スペーシング220は、一部の実施形態において、電極242と電極244との間のアークまたはショートの確率が実質的にゼロに近いか、または例えばアークレベル基準(例えば、閾値、条件)に従って許容し得るように低レベル(例えば、最大レベルより下)で維持されるように規定される。電極242と電極244との間でアークまたはショートが生じる場合には、プラズマ形成領域270でのプラズマの形成は有害な影響を受け得るが、一部の用途において電極242と電極244との間の低レベルのアークは許容され得る。
【0044】
一部の実施形態において、電極242と電極244との間のスペース220および/またはボリューム222は、アーク(例えば、アークの数、アーク電流)が基板260上の堆積層262の標的堆積プロフィールに実質的に影響を与えないで指定されたレベルに維持され得るように規定される。例えば、一部の実施形態において、ボリューム222は、アークが指定されたレベルより下で、一つ以上の標的堆積基準が満たされるように、規定される。
【0045】
電極242と電極244との間のスペーシング220(例えば、ボリューム222)を減らすことは、多くの実施形態において、堆積層262の至る所で増した均一性(例えば、堆積層262の至る所で均一な厚さ)を促進し、電極242と電極244との間の不要なプラズマの形成の確率を低めるが、電極242と電極244との間の所望でないアークの確率は高まる。その結果、電極242と電極244との間のスペーシング220は、一つ以上の堆積プロフィール基準、一つ以上のアークレベル基準、および/または一つ以上のプラズマ形成基準を満たす(例えば、バランスをとる)ように、規定される。
【0046】
ボリューム222は図2に長方形のボリュームとして示されているが、このことは、確かに必須ではなく、変形において、ボリューム222は、多くの可能な異なる形(例えば、指定された厚さを有する多くの辺がある多角形)のもう一つである。例えば、図3は、本発明の一実施形態による、ボリューム322によって分離された一組の同心電極344および342を図示する概略図である。この実施形態において、電極342は、環状の電極である。図2に示された電極242および電極244のように、電極342および電極344へ電流を交互化することによって、電極の一つはある期間の間はカソードとして機能し、その間に他の電極はその期間の間はアノードとして機能する。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態に従って、DC電力供給装置(例えば、DC供給装置170)によってプラズマスパッタリングチャンバーの電極に印加されたDC電圧の例を図示するグラフである。図4に示されたDC電圧は、例えば、図2に示された電極242または電極244のいずれか、もしくは図3に示された電極342または電極344のいずれかに印加され得る。グラフは、+zから−zまでの目盛りを有するy軸に電圧を図示し、x軸は、右に向かって増える時間を図示している。
【0048】
示されているように、正のDCパルス410は、パルス幅482(例えば、パルス持続時間)を有し、負のDCパルス420は、パルス幅484を有する。正のパルス410は、+zのパルス波高486を有し、負のパルス420は、−zのパルス波高488を有する。一部の実施形態において、正のパルス410および負のパルス420は、同一または異なる電圧レベルを有する。正のパルス410のデューティサイクルは、サイクル478の持続時間(例えば、正のパルスのパルス幅+負のパルスのパルス幅)によって正のパルス482の持続時間を割ったものとして規定される。そして、負のDCパルス420のデューティサイクルは、サイクル478の持続時間によって負のパルス484の持続時間を割ったものとして規定される。
【0049】
多くの実施形態において、正のパルス410のパルス幅482および負のパルス420のパルス幅484の各々は、DC電力パルス410およびDC電力パルス420を正確に生成する時間を可能にするために、DC電力供給装置(例えば、DC電力供給装置170)に関連した制御ループ(例えば、比例積分微分(PID)制御ループ、開ループ制御ループ)の応答時間より長い持続時間を有するように規定される。
【0050】
必須ではないが、一部の実施形態において、正のDCパルス410のパルス幅482および負のDC電力パルス420のパルス幅484の各々は、DC電力供給装置のアーク検出時間より長い持続時間、および/または堆積(例えば、堆積の均一性、堆積レート)に影響を与え得る電極の温度の変化を実質的に防ぐために電極(例えば、基板の端の近くにある端の電極)に関連した熱時定数より短い持続時間を有するように規定される。
【0051】
図4に示されるように、極性は、正のDCパルス410から負のDCパルス420へ実質的に瞬時に変わる。一部の実施形態において、正のDCパルス410から負のDCパルス420への変化または遷移、およびその逆は、遷移期間430として参照される。電力は、遷移期間430が(図4に示されるように)実質的にゼロに等しい場合には、正のDCパルス410から負のDCパルス420へ、およびその逆へ、実質的に瞬時に変わる。
【0052】
例えば負のDCパルス420と正のDCパルス410との間の、実質的に瞬時の変化を達成するために、図1に示されるもののようなDC電力供給装置内の一つ以上のスイッチは、スイッチング時間の遅延を補償するために、変化の前にトリガーされる。例えば一部の実施形態において、DC電力供給装置内のFETまたはIGBTトランジスターのようなスイッチングコンポーネントは、10ナノ秒から数百ナノ秒(ns)のスイッチング時間の遅延を有し得る(例えば、オン状態からオフ状態へ変化するために10nsから数百nsを要する)。したがって、FETまたはIGBTトランジスターは、スイッチング時間の遅延を補償するために、負のDCパルス420から正のDCパルス410への指定されたスイッチング時間の前にスイッチングするように、およびその逆にスイッチングするように、トリガーされ得る。
【0053】
図4に示されるように、スイッチは、負のDCパルス420から正のDCパルス410への遷移が時刻T2で瞬時に生じ得るように、スイッチング時間の遅延に基づいて時刻T1でトリガーされる。一部の実施形態において、電圧降下は、交互する極性間でスイッチングするとき、DC電力供給装置に関連したアークを消す機構の誤ったトリガリングを実質的に防ぐために、DC電力供給装置のアーク電圧検出能力より小さい。
【0054】
本発明の一部の実施形態において、遷移期間は、実質的にゼロより大きい。例えば、図5は、本発明の一実施形態に従った、ゼロより大きい遷移期間を含むデューティサイクルを図示するグラフである。この実施形態において、遷移期間は、電力がプラズマスパッタリングチャンバーに伝達されない期間590を含む。期間590は、オフ期間として参照され得、一部の実施形態において、オフ期間590は、オフ期間590がDC電力供給装置によって誤って所望でないアークとして示されないように、アーク検出期間より短い。それ以外の場合では、電力制御コンポーネント110および/またはDC電力源100の間の通信が、アークの誤った検出を排除し得る。
【0055】
図4に戻って参照すると、多くの実施形態における遷移期間430は、プラズマスパッタリングチャンバー内のプラズマの再点火が防がれ、電圧過渡現象が最小化されるように、規定され得る。特に、DC電力源(例えば、DC電力源100)および電力制御コンポーネント(例えば、電力制御コンポーネント110)によって生成された交互するパルス間の遷移期間は、遷移期間がプラズマ減衰期間より短く、その結果、プラズマが交互するDC電力パルスの間に再点火される必要がないように、規定され得る。このことは、ACサイクル(特に、周波数が比較的小さい場合)における極性の逆転ごとに、スパッタリングチャンバー内のプラズマが再点火されるか、プラズマが実質的に減衰するか、実質的な電圧過渡現象があるAC電力源による動力を備えたプラズマスパッタリングチャンバーと、対照的である。さらには、一部のAC電力システムは、ACの半分のサイクルごとに、比較的高い点火電圧、または電圧過渡現象を要する。なぜなら、プラズマは、完全に消され得、そして、これらの高い点火電圧、または電圧過渡現象は、上記で論じられたように遷移期間を低減するように作動する多くの実施形態において回避され得るからである。
【0056】
図5に示されたもののように、ゼロより大きい遷移期間を有するデューティサイクルに関してさえ、遷移期間は、プラズマが遷移期間中に実質的に減衰しない、および/または消されないように、規定され得る。例えば一部の実施形態において、プラズマが電力の交互する極性パルス間で消されるために、遷移期間は、プラズマに関連した減衰時間より長いように、規定される。
【0057】
一部の実施形態において、パルス幅482およびパルス幅484、遷移期間430、パルス波高486およびパルス波高488、および/またはデューティサイクルなどは、パルスパラメーター値であって、メモリーに格納され、かつ/またはDC電力供給装置またはDC電力供給装置のコンポーネント(例えば、電力制御コンポーネント110および/またはDC電力源100)に関連したプロセッサーによってアクセスされるパルスパラメーター値によって、規定される。そして、これらのパルスパラメーター値は、正のDC電力パルス410および/または負のDC電力パルス420を規定し得る。
【0058】
DC電力供給装置170は、一部の変形において、アークを検出することに応答してアークを消すために、パルスの極性を逆転するように構成される。一部の実施形態において、DC電力供給装置170は、交互する電力パルスを伝達するとき、別の正のDCパルスに続いて一つよりも多くの正のDCパルスを伝達するか、または別の負のDCパルスに続いて一つよりも多くの負のDCパルスを伝達するように構成される。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態による、パルスパラメーター620およびパルスパラメーター値630の例を図示する表610である。表610は、パルス電力、オフ時間、パルス持続時間(幅)、パルス電圧、サイクル時間、および極性というパルスパラメーター620を含むが、これらに限定されない。パルスパラメーター値630は、例示的な値に過ぎず、一部の実施形態において、パルスパラメーター値630は、表610に示されたパルスパラメーター値630から広範に変化する。
【0060】
次に図7を参照すると、本発明の一実施形態による、DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742と結合されたプラズマスパッタリングチャンバー710を図示する概略図が示されている。DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742は、基板720上に堆積層722(例えば、薄膜トランジスター層)の堆積をもたらすために用いられるプラズマを点火および/または保持するためにDC電力パルスをプラズマスパッタリングチャンバー710に伝達するように構成される。特に、DC電力供給装置740は、交互するDCパルスを電極752および電極754に伝達するように構成され、DC電力供給装置742は、交互するDC電力パルスを電極756、電極758、および電極760に伝達するように構成される。DC電力供給装置740、DC電力供給装置742は一まとまりのデバイスのように描かれているが、DC電力供給装置740、DC電力供給装置742が分散されたコンポーネントの集積によって実現され得ることは、認識されるべきである。例えば、電力供給装置740、電力供給装置742の各々は、一つよりも多くのDC電力源を含み得、電力制御コンポーネント(例えば、スイッチング電力制御コンポーネント)は、DC電力源から分離して収納され得る。
【0061】
確かに必須ではないが、いくつかの実施形態において、チャンバー710は、層722の堆積中に基板720が静止したままでいることを可能にするように構成され、パルスは、堆積層722の堆積を静止した基板720上の標的堆積プロフィール768(例えば、所望の形態(例えば、位相)、厚さ、抵抗、光学特性、膜応力、密度、結晶性および/または粘着性など)に従って引き起こすように、電極730に印加される。
【0062】
例えば多くの実施形態において、電極730のうちの一つ以上への電力は、電極間の差別スパッタリングを可能にするように調節される。この方法で、標的堆積プロフィール768は、基板720を動かすことなしに所望の堆積プロフィールを完遂するように達成され得る。その結果、所望の堆積プロフィール768を備えた層722を堆積するために基板720の動きに依存する従来技術と違って、本発明のいくつかの実施形態は、静的基板堆積を可能にし、静的基板堆積は、所望でない粒子がコンベヤー機構によって発生され、動く基板の表面に所望でなく運ばれる可能性を低減する。このように、静的基板堆積は、層722中のアークおよび不純物の可能性を低減する。
【0063】
明確さのために、図7は、光学フィードバックラインおよびセンサーを描いていないが、多くの実施形態において、層722の一つ以上の特質(例えば、形態、厚さ、抵抗、光学特性、膜応力、密度、および/または粘着性など)が、モニタリングされ、特質を示す情報は、DC供給装置740、DC供給装置742のうちの一方または両方にフィードバックされ、材料が基板720上に標的堆積プロフィール768に従って堆積されるように電極730のうちの一つ以上の電極への電力を調節するために用いられる。
【0064】
図7に描かれた例示的な実施形態において、DC電力供給装置740、DC電力供給装置742の両方は、電極740および電極742からの材料が指定された標的堆積プロフィール768を備えて堆積層722の中に堆積されることをもたらすように規定された交互するDC電圧を印加するように、構成される。図7に描かれた標的堆積プロフィール768は均一な厚さの堆積プロフィールであるが、一部の変形において、標的堆積プロフィール768は、均一でない厚さおよび/または均一でない組成のプロフィールである。言い換えれば、一部の変形において、標的堆積プロフィール中の異なる点における厚さおよび/または組成は、異なっている。
【0065】
図7に示されるように、破線764は、本明細書に記載された技術を欠く基板720の端近くの均一な厚さの堆積プロフィール768からそれる典型的なテーパー堆積プロフィール(また、厚さのロールオフ(roll−off)としても参照される)を図示している。基板の端は、図7に示された電極752のような基板の端に近い電極が、端での堆積に寄与し得る隣の電極を有さないため、厚さのロールオフの影響を受けやすい。
【0066】
多くの変形において、電極730の各々に印加される交互するDCパルスは、堆積プロフィール768を生成するスパッタリングを引き起こすように規定されるパルスパラメーター値(例えば、デューティサイクル、パルス幅、パルスの大きさなどを規定するパラメーター値)に従って生成される。例えば多くの実装において、電極752および電極754に印加されるDCパルス(例えば、負のDCパルスおよび/または正のDCパルス)は、基板720の端で(例えば、テーパー堆積プロフィールなしで)実質的に均一な堆積を達成するように調整される。
【0067】
例えば、電極752がカソードとして機能する時間は、電極754がカソードとして機能する時間より長くあり得る。また、電極752がカソードとして機能する間に電極752へ伝達されるDC電力パルスの電力レベルは、電極754がカソードとして機能する間に電極754へ伝達されるDC電力パルスの電力レベルより大きくあり得る。図8Aおよび図8Bは、本発明の一つの例示的実施形態による、図7に示されたDC電力供給装置740から電極752および電極754へそれぞれ伝達されるDCパルスを図示する概略のグラフである。
【0068】
示されているように、図8Aおよび図8Bは、それぞれの縦軸上にDC電圧を図示し、それぞれの横軸上に右方向に増える時間を図示している。グラフは、指定された極性のDCパルスが指定された期間にわたって一つの電極へ伝達されるときに、測定が縦軸上に表示された電極上のプローブの正端子、および対の他方の電極の負端子によって行われるため、反対の極性のDCパルスが同一の期間中に他方の電極へ伝達されることを図示している。
【0069】
例えば、時刻P1から始めると+xの電圧での正のDCパルスは、期間882中にDC電力供給装置740から電極752へ伝達され、−xの電圧での負のDCパルスは、期間882中に電極754へ伝達される。同様に、時刻P2から始めると−yの電圧での負のDCパルスは、期間884中にDC電力供給装置740から電極752へ伝達され、+yの電圧での負のDCパルスは、期間884中に電極754へ伝達される。
【0070】
この実施形態において、DC電力供給装置740によって伝達される全電力は、期間884中の方が期間882中より小さい。電極752がカソードとして機能しているときに、正のDCパルスをより高い電力レベルで、より長い期間にわたり伝達することによって、基板720の端近くでの堆積レート(例えば、電極752に対応する堆積レート)は、電極754に対応する堆積レートより高くなる。
【0071】
図7に戻って参照すると、DC電力供給装置740に類似したDC電力供給装置742は、一部の実施形態において、電極760がカソードとして機能しているときに、電極756および電極758より長い持続時間およびより大きな電力のDCパルスを電極760へ伝達するように構成される。一部の実施形態において、電極760へ伝達されるDC電力パルスの持続時間は、電極756および電極758の結合されたDC電力パルスの持続時間より長い。
【0072】
基板720および/または堆積層722への電極の相対的距離は、一部の変形において、別の電極とは異なっている。例えば、電極752および電極754は、均一な標的堆積プロフィールのような特定の標的堆積プロフィールの堆積を容易にするように、基板720から異なる距離であり得る。そして、一部の実施形態において、電極に印加されるパルス(例えば、デューティサイクル)は、基板720および/または堆積層722からの電極の距離に基づいて規定される。
【0073】
一部の実施形態において、電極730のうちの一つ以上の大きさ(例えば、幅、高さ)、形(例えば、環状、矩形)、および/または組成(例えば、金属、金属性化合物、またはセラミックの所定の化学組成)は、特定の堆積プロフィールの堆積を容易にするように、規定される。一部の実施形態において、電極730のうちの一つ以上は、電極730のうちの別のものとは異なる大きさ、形、および/または組成であり得る。一部の実施形態において、電極に印加されるパルス(例えば、デューティサイクル)のうちの一つ以上は、電極の大きさ、形、および/または組成に基づいて、規定される。
【0074】
一部の実施形態において、電極730のうちの二つは、異なる材料(例えば、異なる標的材料)を含み、DCパルスは、特定の化学組成(例えば、指定された化学量論)の堆積層722を達成するように、規定され得、異なる材料で構築された電極730に印加され得る(例えば、パルスパラメーター値を用いて規定される)。一つの例は、酸化インジウムスズを金属スパッタリングするために、インジウム標的材料およびスズ標的材料を酸素およびアルゴンガスと組み合わせることである。このタイプのスパッタリングは、一部の変形において、同時スパッタリングとして参照され、この技術は、この技術が材料の制御された混合物で膜を堆積するように用いられ得るので、魅力的である。このことは、化学量論を制御するために行われ得るか、または化合物標的材料がスパッタリングするのに困難、または作り出すのに高価かつ/または困難であるので、行われ得る。別の例として、Alは、約1.66の屈折率で堆積され得、TiOは、約2.4の屈折率で堆積され得る。Al標的およびTi標的、ならびに反応性ガスとしての酸素を用いた反応性同時スパッタリングプロセスは、原則として、1.66と2.4との間の屈折率で膜を堆積することが可能である。
【0075】
多くの実施形態において、図7に描かれた実施形態中の電極730は、DCパルスを超低周波数で印加する二つの異なるDC電力供給装置740および742によって動力を与えられ、その結果、DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742は、一部の実装において、負荷が整合される。言い換えれば、例えば、プラズマのアークを低減し、標的堆積プロフィールに従って堆積制御を高め、プラズマスパッタリングチャンバー710内の熱の不調和を低減するように、DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742によって発生されるDCパルスが調整され得る。
【0076】
一部の変形において、さらなる例として、DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742は、位置774で電極754および電極756の両方からの材料を同時に堆積することを回避するために電極754および電極756が同時にカソードとして機能しないように、DCパルスを伝達するように構成される。一部の変形において、DC電力供給装置740およびDC電力供給装置742は、電極754および電極756が同時にカソードとして、またはアノードとして機能するようにDC電力パルスを伝達するように構成される。
【0077】
この実施形態において、電極730は二つの異なるDC電力供給装置740および742からパルスを受信するが、一部の実施形態において、電極は、単一のDC電力供給装置から電力パルスを受信した。この単一のDC電力供給装置は、例えば、DCパルス中の電力の配分を制御および/または規定する電力制御コンポーネント中の多相ブリッジを含むこのタイプの配置は、多重マグネトロン配置として参照され得、一部の実施形態において、電極730は、二つよりも多くのDC電力供給装置(例えば、各電極に一つのDC電力供給装置)からDC電力パルスを受信する。そして、他の実施形態において、DCパルスは、隣接していない電極間で規定/調整される。
【0078】
図9は、本発明の一実施形態による、DC電力供給装置930によって印加されたDCパルスを受信するように構成されたプラズマスパッタリングチャンバー910を図示する概略のブロック図である。DC電力供給装置930は、センサー940によって生成された少なくとも一つのプロセスフィードバック信号(例えば、電圧信号または電流信号のようなセンサー測定値に関連した信号)に基づいて、プラズマスパッタリングチャンバー910に伝達されたDC電力パルスを修正するように構成される。
【0079】
プロセッサー936は、センサー940からフィードバック信号を受信し、フィードバック信号に基づいてDC電力供給装置930によってプラズマスパッタリングチャンバー910に印加される一つ以上のDCパルスの修正をトリガーするように構成される。プラズマスパッタリングチャンバー910は、プラズマスパッタリングチャンバー910内に配置された基板920上の堆積層922をスパッタリングするために用いられる。一部の実施形態において、堆積層922は、薄膜トランジスタープロセスと関連している。センサー940はチャンバー910内に描かれているが、これは確かに必須ではなく、当業者は、一部の例におけるセンサー940がチャンバーの外に設置され得ることを認識する。
【0080】
一部の実施形態において、プロセッサー936は、フィードバック信号についてセンサー940にクエリするように構成される。一部の実施形態において、センサー940は、例えばセンサー940に関連したセンサー測定値(例えば、電圧信号)の変化が検出されるときに、フィードバック信号をプロセッサー936へ送信するように構成される。一部の実施形態において、プロセッサー936は、センサー940から周期的にまたは不規則にフィードバック信号を受信するように構成され、モニタリングされたパラメーターの変化(例えば、閾値条件を超える変化)が生じるときに、DC電力供給装置930によって伝達されるDC電力パルスの一つ以上の変化をトリガーするように構成される。
【0081】
一部の実施形態において、センサー940は、堆積層922の厚さをモニタリングして厚さを示す情報をプロセッサー936へ送信するように構成された厚さのモニタリングデバイス(例えば、電気および/または光学測定デバイス)である。一部の実施形態において、センサー940は、堆積層922の厚さの一部分(例えば、指定されたエリア、所定の位置)をモニタリングするように構成され、センサーからの情報に基づいて、プロセッサー936は、DC電力供給装置930が電極952、電極954、電極956のうちの一つ以上へ印加する電力を調節するように構成される。一部の実装において、プロセッサー936は、DCパルスのうちの一つ以上を規定するために用いられる一つ以上のパルスパラメーター値を修正するように構成される。一部の実装において、センサー940は、圧力センサー、堆積レートセンサー、伝導性センサーまたは温度センサーである。
【0082】
一部の実施形態において、多重センサー(示されていない)は、フィードバック信号をプロセッサー936に送信するように構成され、プロセッサー936は、フィードバック信号の組み合わせに基づいてDCパルスを変えるように構成される。一部の実装において、フィードバック信号のうちの一つ以上は、堆積層922の異なる空間的位置に関連し、プロセッサー936は、必要な場合には、空間的位置の各々と対応するDCパルスを修正するように構成される。
【0083】
一部の実装において、プロセッサー936は、一つ以上のフィードバック信号(例えば、堆積レートフィードバック信号、温度フィードバック信号、圧力フィードバック信号)に基づいてDCパルスの変化をもたらすために、DCパルスに関連した(例えば、メモリー(示されていない)に格納された)パルスパラメーター値を変える(例えば、修正する)またはパルスパラメーター値の変化をトリガーするように構成される。例えば、プロセッサー936は、一つ以上のセンサーからの一つ以上のフィードバック信号に基づいて、パルスパラメーター値のライブラリーから、メモリーに格納された一つ以上の組のパルスパラメーター値を選ぶように構成され得る。一部の代わりの実施形態において、プロセッサー936は、メモリーに格納された式(例えば、アルゴリズム)を用いて、(例えば、センサー940からのフィードバックに基づいて)一つ以上の電極に印加されるべきDCパルスの特質を計算するように構成される。DC電力パルスは、一部の実装において、電極952、電極954、電極956のうちの一つ以上への電流、デューティサイクル、および/または電圧を変える、および/または管理する(例えば、制御する)ことによって修正される。
【0084】
一例として、一部の実施形態において、DCパルスに関するデータは、電極952、電極954、電極956のうちの一つ以上に対する平均スパッタリング電力を計算するために収集されて用いられ、DCパルスは、指定された期間にわたって、指定された平均スパッタリング電力を維持するように修正される。指定された平均スパッタリング電力は、多くの実施形態において、一つ以上の電極に関連し、一部の実施形態において、平均スパッタリング電力の閾値または平均スパッタリング電力の条件は、所望の標的堆積プロフィールに基づいて規定される。
【0085】
プロセッサー936は図9で独立したコンポーネントとして示されているが、一部の実装において、プロセッサー936(またはプロセッサー936の機能性)は、DC電力供給装置930またはセンサー940の一部として含まれる。一部の実施形態におけるプロセッサー936は、ハードウェアのモジュールおよび/またはプロセッサー936上で実行されるソフトウェアのモジュールであり得る一つ以上のモジュールを含む。
【0086】
図10は、本発明の一実施形態による、一つ以上のセンサーからの一つ以上のフィードバック信号によってトリガーされたDCパルスの例示的な変化を描くグラフである。図10に描かれたパルス調節が所望の堆積プロフィールを引き起こすように行われ得るタイプのパルス調節(例えば、パルス幅および大きさ)の例示に過ぎず、所定の調節が多くのファクター(例えば、標的材料、電極スペーシング、堆積プロフィールなど)に潜在的に依存することは、認められるべきである。加えて、一部の実施形態において、パルス調節は、特定の標的の利用を引き起こすように(例えば、標的材料の利用を最適化するように)行われる。示されるように、グラフは、y軸上にDC電圧を図示し、x軸上に右に向かって増える時間を図示している。
【0087】
図10に示されるように、DCパルスは、第一の期間1002と第二の期間1004との間のフィードバック信号に応答して時刻Q1で修正される。第一の期間1002中に、正のDCパルス1020は、Aのパルス波高および1022のパルス幅を有し、負のDCパルス1030は、Dのパルス波高および1032のパルス幅を有する。期間1004中に、正のDCパルス1040は、Bのパルス波高および1042のパルス幅を有し、負のDCパルス1050は、Cのパルス波高および1052のパルス幅を有する。
【0088】
描かれるように、第二の期間1004中に、正のDCパルス1040のパルス幅1042は、第一の期間1002中の正のパルス1020のパルス幅1022より広く、第二の期間1004中のパルスのパルス波高Bは、第一の期間1002中の正のパルス1020のパルス波高Aより低い。
【0089】
次に図11を参照すると、本発明の一実施形態による、堆積層に関連した特性(また、特質としても参照され得る)に応答してDCパルスを修正する方法を図示するフローチャートが示されている。示されるように、基板上の堆積層の標的堆積プロフィールは、最初に一つ以上の特質(例えば、厚さ、抵抗、光学特性、膜応力、密度、および粘着性)に関して規定される(ブロック1100)。論じられるように、標的堆積プロフィールは、指定された化学組成を有する均一または均一でない厚さのプロフィールであり得、標的堆積プロフィールは、堆積層中の異なる位置で変化する化学組成を指定し得る。
【0090】
描かれるように、一部の実施形態において、パルスパラメーター値は、標的堆積プロフィールに基づいてプラズマスパッタリングチャンバー内の少なくとも一つの電極について規定される(ブロック1110)。パルスパラメーター値は、標的堆積プロフィールに従って堆積をもたらすように規定される。論じられるように、一部の実施形態において、パルスパラメーター値は、堆積中に計算され得、他の実施形態において、パルスパラメーター値は、予め規定され得、表からアクセスされ得る。
【0091】
いったんパルスパラメーター値が規定されると、DCパルスは、パルスパラメーター値に基づいて印加され、プラズマは、プラズマスパッタリングチャンバー内でDCパルスに応答して点火される(ブロック1120および1130)。
【0092】
示されるように、いったんプラズマが点火されると、堆積層は、プラズマスパッタリングチャンバー内の基板上に形成される(ブロック1140)。先に上記で論じられたように、多くの実施形態において、堆積層が形成される間に、基板は、実質的に一つの位置に静的に維持され、他の実施形態において、基板は、堆積中に動かされる。
【0093】
図11に描かれるように、多くの実施形態において、堆積層に関連した特性(例えば、厚さ、抵抗、化学組成、光学的特質、膜応力、密度、粘着性、温度および/またはチャンバー内の圧力)を示す情報は、堆積層が形成される間に受信される(ブロック1150)。
【0094】
チャンバーからのフィードバックに応答して、多くの実装において、パルスパラメーター値は、受信された情報および所望の標的堆積プロフィールに基づいて修正される(ブロック1160)。例えば、特性が化学組成であり、情報が、堆積層の化学組成が標的堆積プロフィールに関連したその指定された標的特性と異なることを示す場合には、パルスパラメーター値は、標的堆積プロフィールに関連した標的特性を満たすスパッタリングをもたらすように修正され得る。示されるように、パルスパラメーター値が修正された(ブロック1160)後で、DCパルスは、修正されたパルスパラメーター値に基づいて電極に印加される(ブロック1170)。
【0095】
一部の実施形態は、多様なコンピューター実装の作動を実施するために命令またはコンピューターコードをその上に有するコンピューター読み取り可能な媒体(また、プロセッサー読み取り可能な媒体としても参照される)を備えたコンピューター格納製品に関する。媒体およびコンピューターコード(また、コードとしても参照される)は、所定の一つまたは複数の目的のために特別に設計および構築されたものであり得る。
【0096】
当業者は、本明細書に記載された実施形態が、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよびそれらの組み合わせの組み合わせによって実現され得ることを認識する。一部の実施形態において、プロセッサー読み取り可能な媒体は、本明細書に記載されたプロセスを引き起こすように符号化された命令を格納するために利用される。プロセッサー読み取り可能な媒体の例は、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、および磁気テープのような磁気格納媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(「CD/DVD」)、コンパクトディスク・リードオンリーメモリー(「CD−ROM」)、およびホログラフィーデバイスのような光学格納媒体、フロプティカルディスクのような磁気光学格納媒体、搬送波信号、ならびに、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)、ROMデバイス、およびRAMデバイスのようなプログラムコードを格納および実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0097】
コンピューターコードの例は、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラーによって生成されるような機械語命令、およびインタープリターを用いてコンピューターによって実行されるより高いレベルの命令を含むファイルを含むが、これらに限定されない。例えば、本発明の実施形態は、Java(登録商標)、C++、または他のオブジェクト指向のプログラム言語および開発ツールを用いて実装され得る。コンピューターコードの付加的な例は、制御信号、暗号化されたコード、および圧縮されたコードを含むが、これらに限定されない。
【0098】
最後に、本開示は、とりわけ、DC電力を用いるプラズマベースのスパッタリング堆積の方法および装置を記載する。当業者は、多数の変形および代替が、本明細書に記載された実施形態によって達成されたものと実質的に同一の結果を達成するように本発明、その使用、およびその構成において行われ得ることを容易に認め得る。したがって、開示された例示的な形態に本発明を限定する意図はない。多くの変形、修正および代わりの構築物は、特許請求の範囲に表されるように、開示された発明の範囲と精神のうちに入る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を基板上に堆積する方法であって、該方法は、
プラズマプロセシングチャンバー内の静止した位置に該基板を配置することであって、プラズマは、複数の電極を電流の供給装置に接続することによって発生される、ことと、
該基板が該プラズマプロセシングチャンバー内の静止した位置にある間に、該プロセシングチャンバー内の複数の電極の各々に印加される電圧の極性を周期的に逆転することであって、該複数の電極のうちの少なくとも一つの電極は、材料を該基板上にスパッタリングする、ことと、
該複数の電極のうちの少なくとも一つの電極に印加される電力の量を調節することにより、該材料を該静止した基板上に所望の特質を備えて堆積することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記特質は、厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特質は、材料特性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記材料特性は、抵抗、光学特性、膜応力、密度、および粘着性からなるグループから選ばれる材料特性を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調節することは、材料を前記基板上にスパッタリングする少なくとも二つの電極への前記電力を調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調節することは、少なくとも二つの電力供給装置を利用して電力を調節することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調節することは、前記印加される電力のデューティサイクルを調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記調節することは、前記印加される電力の大きさを調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板上の前記材料の実際の特質を示すフィードバックを受信することであって、前記複数の電極のうちの前記少なくとも一つの電極に印加される電力の量を調節することは、該フィードバックに応答して行われる、ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記材料は、金属性である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記材料は、セラミックである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
プラズマプロセシングチャンバー内の基板上に材料を堆積するシステムであって、該システムは、
第一の極性を有する第一の直流電力パルスおよび第二の極性を有する第二の直流電力パルスをプラズマスパッタリングチャンバー内の電極に伝達するように構成された直流電力源と、
該チャンバーからのフィードバックラインと、
該第一の直流電力パルスがトリガーされた後で、該第二の直流電力パルスをトリガーし、該フィードバックライン上のフィードバック信号に応答して、該第一の直流電力パルスにより該電極に印加される電力の量を調節するように構成されたプロセッサーと
を含む、システム。
【請求項13】
前記プロセッサーは、前記第一の直流電力パルスと前記第二の直流電力パルスとの間の期間が前記直流電力源に関連したアーク検出時間よりも短くなるように該第二の直流電力パルスをトリガーするように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第一の電力パルスにより前記電極に印加される前記電力の量は、前記第二の電力パルスに対する該第一の電力パルスが該電極に印加される時間の長さを調節することによって調節される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記第一の電力パルスにより前記電極に印加される前記電力の量は、前記第二の電力パルスの大きさに対する該第一の電力パルスの大きさを調節することによって調節される、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサーは、前記フィードバック信号に基づいて、前記第一の直流電力パルスまたは前記第二の直流電力パルスのうちの少なくとも一つを規定するために用いられるパルスパラメーター値を修正するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
材料を基板上に堆積する方法であって、該方法は、
少なくとも一つの直流電力源からプラズマスパッタリングチャンバー内の複数の電極の各々に直流電力パルスを伝達することであって、該複数の電極のうちの少なくとも一つの電極は、材料を該基板上に堆積する、ことと、
該基板上の該材料の少なくとも一つのモニタリングされた特質を示すフィードバックを受信することと、
該フィードバックに応答して該複数の電極のうちの該少なくとも一つの電極に伝達される電力の量を制御することにより、該材料の堆積を変更することと
を含む、方法。
【請求項18】
前記制御することは、前記複数の電極のうちの前記少なくとも一つの電極に伝達される前記電力のデューティサイクルを修正することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御することは、前記複数の電極のうちの前記少なくとも一つの電極に伝達されるものの大きさを調節することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記伝達することは、少なくとも一つの直流電力源からプラズマスパッタリングチャンバー内の少なくとも三つの電極の各々に直流電力パルスを伝達することであって、該少なくとも三つの電極の各々は、材料を前記基板上に堆積する、ことと、
該基板を該チャンバー内の静止した位置に配置することと、
該少なくとも三つの電極のうちの少なくとも二つの電極への電力を調節することにより、該材料を該基板上に均一に堆積することと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
材料をプラズマプロセシングチャンバー内の静止した基板上に堆積するシステムであって、該システムは、
プラズマスパッタリングチャンバーに電力を伝達するように構成された直流電力源と、
該直流電力源と通信する電力制御コンポーネントであって、該電力制御コンポーネントは、第一の期間中に該プラズマスパッタリングチャンバー内の第一の電極に該電力を向けるように構成され、該電力制御コンポーネントは、第二の期間中に該プラズマスパッタリングチャンバー内の第二の電極に該電力を向けるように構成され、該第二の電極に対する該第一の電極に印加される該電力は、該静止した基板上の該堆積された材料の所望の特質によって規定される、電力制御コンポーネントと
を含む、システム。
【請求項22】
プラズマスパッタリングチャンバーに電力を伝達するように構成された第二の直流電力源と、
該第二の直流電力源と通信する第二の電力制御コンポーネントであって、該第二の電力制御コンポーネントは、第三の期間中に該プラズマスパッタリングチャンバー内の第三の電極に該電力を向けるように構成され、該電力制御コンポーネントは、第四の期間中に該プラズマスパッタリングチャンバー内の第四の電極に該電力を向けるように構成され、該第四の電極に対する該第三の電極に印加される該電力は、前記静止した基板上の前記堆積された材料の前記所望の特質によって規定される、第二の電力制御コンポーネントと
を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
材料をプラズマプロセシングチャンバー内の基板上に堆積するシステムであって、該システムは、
プラズマスパッタリングチャンバー内の電極に第一の極性を有する第一の直流電力パルスおよび第二の極性を有する第二の直流電力パルスを伝達するように構成された直流電力制御コンポーネントと、
該電極上での標的材料の利用を示す信号を提供するように構成されたフィードバックラインと、
該第一の直流電力パルスがトリガーされた後で該第二の直流電力パルスをトリガーし、該標的材料の利用を示す該信号に応答して、該第一の直流電力パルスにより該電極に印加される電力の量を調節するように構成されたプロセッサーと
を含む、システム。
【請求項24】
前記プロセッサーは、前記標的材料の利用を示す前記信号に応答して、前記第一の直流電力パルスにより前記電極に印加される電力の量を調節することにより、利用される標的材料の量を最適化するように構成される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記標的材料の利用を示す前記信号は、該標的材料の厚さを示す信号である、請求項23に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−503362(P2011−503362A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534232(P2010−534232)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083640
【国際公開番号】WO2009/065039
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(597112542)アドバンスト・エナジー・インダストリーズ・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Energy Industries, Inc.
【Fターム(参考)】