説明

直流配電システム並びに回路遮断器

【課題】直流電力系統からの電力供給が中断した場合でも必要な分岐路には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能な直流配電システム並びに回路遮断器を提供する。
【解決手段】例えば、分岐路Lp2に接続されている分岐開閉器BR2(回路遮断器)の設定部7に「00」を設定し、他の分岐路Lp1に接続されている分岐開閉器BR1(回路遮断器)の設定部7には「11」を設定する。こうすれば、直流電力系統の停電時に分岐路Lp1が遮断されても分岐路Lp2は遮断されず、分岐路Lp2に接続されている負荷Lのみをバックアップ電源BAから供給される直流電力で動作させることができる。その結果、停電が発生した場合でも必要な分岐路Lp2には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流配電システム並びに当該直流配電システムに用いられる回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直流配電システムの回路遮断器として特許文献1に記載されているような直流開閉器が用いられていた。特許文献1に記載されている回路遮断器(直流開閉器)は、基本的な構成が交流配電用の回路遮断器と共通であって、直流電圧が印加される一次側端子と、負荷に接続される二次側端子と、一次側端子と二次側端子を繋ぐ電路に設けられた主接点と、主接点を開閉する開閉機構と、電路に過電流が流れたときに開閉機構を釈放して主接点を開放させる引き外し手段とを備え、過電流(過負荷電流や短絡電流)が電路に流れた際に引き外し手段が引き外し動作することで自動的に電路を遮断するものである。
【0003】
また、従来の直流配電システムとして、電力系統(商用電力系統)から供給される交流電力を直流電力に変換してなる直流電力系統と、直流電力系統からの電力供給が中断されたとき(例えば、商用電力系統が停電したとき)に直流電力系統の代わりに直流電力を供給するバックアップ電源とを備え、それぞれに上述のような回路遮断器が接続された複数の分岐路が直流電力系統並びにバックアップ電源に並列接続され、直流電力系統からの電力系統が中断した場合にバックアップ電源から直流電力を供給することで分岐路に接続されている負荷を動作させるものがあった。
【特許文献1】特開平10−154448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では直流電力系統からの電力供給が中断されたとき(停電時)に全ての分岐路にバックアップ電源から直流電力が供給されるため、停電時に動作させる必要のない不要な負荷にもバックアップ電源から直流電力が供給されてしまっていた。その結果、停電時に動作させる必要のある負荷にバックアップ電源から供給可能な電力が減少し、停電が長時間に及んだ場合においては必要な負荷を復電まで動作させ続けることができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、直流電力系統からの電力供給が中断した場合でも必要な分岐路には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能な直流配電システム並びに回路遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、直流電力系統と、直流電力系統からの電力供給が中断されたときに直流電力を供給するバックアップ電源と、直流電力系統並びにバックアップ電源に並列接続された複数の分岐路にそれぞれ設けられ当該分岐路に過電流が流れたときに分岐路に挿入されている主接点を開放させる引き外し手段を具備した複数の回路遮断器とを有し、複数の回路遮断器の内の少なくとも一つは、分岐路を通して供給される直流電力がバックアップ電源から供給されていると判断したときに引き外し手段により主接点を開放させる制御手段を具備することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明によれば、直流電力系統からの電力供給が中断されたときに複数の回路遮断器の内で停電時の電力供給が不要な負荷が接続されている分岐路を回路遮断器によって選択的に遮断することができる。その結果、直流電力系統からの電力供給が中断した場合でも必要な分岐路には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能になる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、バックアップ電源の出力電圧レベルと直流電力系統の出力電圧レベルとが異なっており、制御手段は、分岐路に印加される電圧レベルの違いによって直流電力がバックアップ電源から供給されているか否かを判断することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明によれば、直流電力がバックアップ電源から供給されているか否かを判断するために別途伝送線を配線する必要がないからコストダウンと省配線化が図れる。
【0010】
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、直流電力系統並びにバックアップ電源に接続される一次側端子と、負荷に接続される二次側端子と、一次側端子と二次側端子の間の電路に挿入された主接点と、主接点を開閉する開閉機構と、電路に過電流が流れたときに開閉機構を釈放して主接点を開放させる引き外し手段と、電路を通して負荷に供給される直流電力がバックアップ電源から供給されているか否かを判断する制御手段と、バックアップ電源から直流電力が供給されているときの動作内容を設定するための設定手段とを備え、制御手段は、バックアップ電源から直流電力が供給されているときに主接点を開放させるように設定手段に設定されているときに引き外し手段を制御して主接点を開放させることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明によれば、直流電力系統からの電力供給が中断されたときに複数の回路遮断器の内で停電時の電力供給が不要な負荷が接続されている分岐路を回路遮断器によって選択的に遮断することができる。その結果、直流電力系統からの電力供給が中断した場合でも必要な分岐路には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能になる。しかも、停電時に電力供給を行うか否かを設定手段によって簡単に設定できるので、分岐回路毎(負荷毎)の設定作業が容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直流電力系統からの電力供給が中断した場合でも必要な分岐路には従来よりも長時間に亘って電力供給を継続することが可能な直流配電システム並びに回路遮断器が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本実施形態の直流配電システムは、図1(a)に示すように直流電力系統(図示せず)と、直流電力系統からの電力系統が中断したとき(例えば、商用電力系統が停電したとき)に直流電力を供給するバックアップ電源BAと、直流電力系統及びバックアップ電源BAと並列に接続された複数(図示例では3つ)の分岐路Lp1,Lp2,Lp3と、各分岐路Lp1〜Lp3に挿入された複数(図示例では3台)の分岐開閉器(回路遮断器)BR1,BR2,BR3とを備えている。直流電力系統は、商用電力系統から供給される交流電力を交流/直流変換装置(AC/DCコンバータ)で直流電力に変換することで実現される。また、直流電力系統には主開閉器MBが接続され、主開閉器MBの2次側に複数の分岐路Lp1〜Lp3が接続されている。尚、主開閉器MB並びに分岐開閉器BR1〜BR3は分電盤PB内に収納されている。ここで、直流電力系統及びバックアップ電源BAに分岐路Lp1〜Lp3が並列接続されているというのは、複数の分岐路Lp1〜Lp3同士が並列に接続されているという意味である。
【0015】
バックアップ電源BAは二次電池や二次電池を充電する充電器などで構成され、直流電力系統が電力供給を中断していない(非停電時)ときは直流電力系統から給電される直流電力により充電器が二次電池を充電し、直流電力系統が電力供給を中断したとき(停電時)には二次電池を放電することで各分岐路Lp1〜Lp3に直流電力を供給するものである。
【0016】
3台の分岐開閉器BR1〜BR3の内で分岐開閉器BR1,BR2の2台が本発明に係る回路遮断器からなり、残り1台の分岐開閉器BR3は本発明に係る回路遮断器ではない一般の回路遮断器からなる。一般の回路遮断器からなる分岐開閉器BR3は、図2に示すように直流電圧が印加される一次側端子1と、負荷に接続される二次側端子2と、一次側端子1と二次側端子2を繋ぐ電路に設けられた主接点3と、主接点3を開閉する開閉機構4と、電路に過電流(過負荷電流や短絡電流)が流れたときに開閉機構4を釈放して主接点3を開放させる引き外し部5と、これらの構成要素を収納した絶縁性の容器(図示せず)とを備えている。
【0017】
一方、本発明に係る回路遮断器からなる分岐開閉器BR1,BR2は、図1(b)に示すように一次側端子1と、二次側端子2と、主接点3と、開閉機構4と、引き外し部5と、一次側端子1に印加される電圧レベルを検出する電圧検出部6と、停電時の動作内容を設定するための設定部7と、電圧検出部6で検出する電圧レベルから停電が否かを判断し、停電時には設定部7に設定されている設定内容(動作内容)に従って引き外し部5を制御する制御部8と、これらの構成要素を収納した絶縁性の容器(図示せず)とを備えている。ここで、設定部7に設定する設定内容(動作内容)は、停電時に主接点3を開放するという動作内容と、停電時に主接点3を開放しないという動作内容の2種類であって、設定部7において上記2種類の動作内容の何れかが択一的に設定される。
【0018】
開閉機構4は容器の外に露出する操作ハンドル(図示せず)の手動操作によって主接点3を開放・投入するとともに、引き外し部5によって釈放されることで自動的に主接点3を開放するものである。引き外し部5は、いわゆる電子式(半導体式)過電流引き外し装置(JIS C 8370参照)からなり、電路に流れる過電流を検出して開閉機構4を釈放するだけでなく、制御部8からトリップ信号を受け取ったときにも開閉機構4を釈放するように構成されている。但し、このような開閉機構4並びに引き外し部5は従来周知であるから詳細な構造についての図示並びに説明を省略する。
【0019】
ここで、バックアップ電源BAの電源電圧V2は直流電力系統の電源電圧V1よりも低く設定されており、制御部8では、電圧検出部6で検出する電圧レベルがV1とV2の何れに一致するかによって直流電力が直流電力系統とバックアップ電源BAの何れから供給されているのかを判断している。
【0020】
設定部7は、例えばディップスイッチからなり、停電時に分岐路Lpn(n=1,2)を遮断する場合は「11」、遮断しない場合は「00」に設定される。
【0021】
制御部8は、マイクロコンピュータ若しくはロジック回路で構成され、電圧検出部6で検出する電圧レベルに基づいてバックアップ電源BAから直流電力が供給されている、すなわち、停電であると判断した場合に設定部7の設定値(「00」又は「11」)を確認し、設定値が「00」であれば何もせず、設定値が「11」であれば引き外し部5に対してトリップ信号を出力して引き外し部5に引き外し動作を行わせて電路を遮断(主接点3を開放)する。
【0022】
例えば、分岐路Lp2,Lp3には停電時にも動作させたい負荷Lが接続されており、分岐路Lp1には停電時に特に動作させる必要のない負荷Lが接続されているとした場合、分岐路Lp2に接続されている分岐開閉器BR2(回路遮断器)の設定部7に「00」を設定し、他の分岐路Lp1に接続されている分岐開閉器BR1(回路遮断器)の設定部7には「11」を設定する。そして、図3(a)に示すように、時刻t=t1に直流電力系統からの電力供給が中断した場合、直ちにバックアップ電源BAから直流電力(電源電圧V2)が供給される(図3(b)参照)。分岐開閉器BR1,BR2では制御部8が電圧検出部6で検出する電圧レベルから直流電力系統の電力供給が中断(停電)したと判断し、設定部7に「11」が設定されている分岐開閉器BR1においては制御部8が引き外し部5を制御して電路を遮断することで分岐路Lp1の印加電圧はゼロとなるが(図3(c)参照)、設定部7に「00」が設定されている分岐開閉器BR2においては制御部8が何もしないので電路は遮断されず、分岐路Lp2にはバックアップ電源BAの電源電圧V2が印加される(図3(d)参照)。また、一般の回路遮断器からなる分岐開閉器BR3においても電路は遮断されないから、分岐路Lp3にもバックアップ電源BAの電源電圧V2が印加される(図3(e)参照)。従って、停電時には3つの分岐路Lp1〜Lp3に接続されている負荷Lの内で停電時に動作させる必要のある負荷Lのみをバックアップ電源BAから供給される直流電力で動作させることができる。
【0023】
上述のように本実施形態の回路遮断器を分岐開閉器BR1,BR2に用いる直流配電システムによれば、直流配電システムの複数の分岐路Lp1〜Lp3のうちで停電時に給電不要となる分岐路Lp1を選択的に遮断することができ、その結果、停電が発生した場合でも必要な分岐路Lp2,Lp3には従来よりも長時間に亘って給電を継続することが可能となる。また、本実施形態では直流電力系統の電源電圧V1と分散電源BAの電源電圧V2との電圧レベルの違いを利用することで直流電力系統の停電を判断しているので、例えば、制御部8に対して外部から停電を知らせる信号を伝送するために専用の伝送線を配線する必要がないからコストダウンと省配線化が図れるという利点がある。しかも、分岐開閉器BR1,BR2では設定部7において容易に動作内容が設定できるから、例えば、分岐路Lp1に接続されている負荷Lを停電時にも動作させる必要のある負荷Lに変更したり、分岐路Lp2に接続されている負荷Lを停電時に動作させる必要のない負荷Lに変更する場合においても各分岐路Lp1,Lp2の分岐開閉器BR1,BR2の動作内容を簡単に変更することができる。
【0024】
ところで、本実施形態の回路遮断器を用いた直流配電システムの別のシステム構成例を図4に示す。当該システムは、戸建て住宅や集合住宅などの種々の住宅Hに適用されるものである。この住宅Hには、直流電力を出力する直流電力供給部101と、直流電力により駆動される負荷としての直流機器102とが設けられ、直流電力供給部101の出力端部に接続した直流供給線路Wdcを通して直流機器102に直流電力が供給される。そして、直流電力供給部101と直流機器102との間に、本実施形態の回路遮断器(以下では「直流ブレーカ」と呼ぶ。)114が設けられる。
【0025】
直流供給線路Wdcは、直流電力の給電路であるとともに通信路としても兼用されており、高周波の搬送波を用いてデータを伝送する通信信号を直流電圧に重畳することにより直流供給線路Wdcに接続された機器間での通信を可能にしている。この技術は、交流電力を供給する電力線において交流電圧に通信信号を重畳させる電力線搬送技術と類似した技術である。
【0026】
直流供給線路Wdcは、直流電力供給部101を介して宅内サーバ116に接続される。宅内サーバ116は、宅内の通信網(以下、「宅内網」という)を構築する主装置であり、宅内網において直流機器102が構築するサブシステムなどと通信を行う。
【0027】
図示例では、サブシステムとして、パーソナルコンピュータ、無線アクセスポイント、ルータ、IP電話機のような情報系の直流機器102からなる情報機器システムK101、照明器具のような照明系の直流機器102からなる照明システムK102,K105、来客対応や侵入者の監視などを行う直流機器102からなるインターホンシステムK103、火災感知器のような警報系の直流機器102からなる住警器システムK104などがある。各サブシステムは、自立分散システムを構成しており、サブシステム単独でも動作が可能になっている。
【0028】
上述した直流ブレーカ114は、サブシステムに関連付けて設けられており、図示例では、情報機器システムK101、照明システムK102およびインターホンシステムK103、住警器システムK104、照明システムK105に関連付けて5個の直流ブレーカ114を設けている。1台の直流ブレーカ114に複数個のサブシステムを関連付ける場合には、サブシステムごとに直流供給線路Wdcの系統を分割する接続ボックス121が設けられる。図示例においては、照明システムK102とインターホンシステムK103との間に接続ボックス121が設けられている。
【0029】
情報機器システムK101としては、壁コンセントあるいは床コンセントの形態で住宅Hに先行配置(住宅Hの建築時に施工)される直流コンセント131に接続される直流機器102からなる情報機器システムK101が設けられる。
【0030】
照明システムK102、K105としては、住宅Hに先行配置される照明器具(直流機器102)からなる照明システムK102と、天井に先行配置される引掛シーリング132に接続する照明器具(直流機器102)からなる照明システムK105とが設けられる。引掛シーリング132には、住宅Hの内装施工時に施工業者が照明器具を取り付けるか、または家人自身が照明器具を取り付ける。
【0031】
照明システムK102を構成する直流機器102である照明器具に対する制御の指示は、赤外線リモコン装置を用いて与えるほか、直流供給線路Wdcに接続されたスイッチ141から通信信号を用いて与えることができる。すなわち、スイッチ141は直流機器102とともに通信の機能を有している。また、スイッチ141の操作によらず、宅内網の別の直流機器102あるいは宅内サーバ116から通信信号により制御の指示がなされることもある。照明器具への指示には、点灯、消灯、調光、点滅点灯などがある。
【0032】
上述した直流コンセント131、引掛シーリング132には、任意の直流機器102を接続することができ、接続された直流機器102に直流電力を出力するから、以下では直流コンセント131、引掛シーリング132を区別する必要がない場合には「直流アウトレット」と呼ぶ。
【0033】
これらの直流アウトレットは、直流機器102に直接設けた接触子(図示せず)または接続線を介して設けた接触子(図示せず)が差し込まれる差込式の接続口が器体に開口し、接続口に差し込まれた接触子に直接接触する接触子受けが器体に保持された構造を有している。すなわち、直流アウトレットは接触式で給電を行う。直流アウトレットに接続された直流機器102が通信機能を有する場合には、直流供給線路Wdcを通して通信信号を伝送することが可能になる。直流機器102だけではなく直流アウトレットにも通信機能が設けられている。
【0034】
宅内サーバ116は、宅内網に接続されるだけではなく、インターネットを構築する広域網NTに接続される接続口を有している。宅内サーバ116が広域網NTに接続されている場合には、広域網NTに接続されたコンピュータサーバであるセンタサーバ200によるサービスを享受することができる。
【0035】
センタサーバ200が提供するサービスには、広域網NTを通して宅内網に接続された機器(主として直流機器102であるが通信機能を有した他の機器も含む)の監視や制御を可能にするサービスがある。このサービスにより、パーソナルコンピュータ、インターネットTV、移動体電話機などのブラウザ機能を備える通信端末(図示せず)を用いて宅内網に接続された機器の監視や制御が可能になる。
【0036】
宅内サーバ116は、広域網NTに接続されたセンタサーバ200との間の通信と、宅内網に接続された機器との間の通信との両方の機能を備え、宅内網の機器に関する識別情報(ここでは、IPアドレスを用いるものとする)の取得の機能を備える。
【0037】
宅内サーバ116は、センタサーバ200との通信機能を用いることにより、広域網NTに接続された通信端末からセンタサーバ200を通して宅内の機器の監視や制御を可能にする。センタサーバ200は、宅内の機器と広域網NT上の通信端末とを仲介する。
【0038】
通信端末から宅内の機器の監視や制御を行う場合は、監視や制御の要求をセンタサーバ200に記憶させ、宅内の機器は定期的に片方向のポーリング通信を行うことにより、通信端末からの監視や制御の要求を受信する。この動作により、通信端末から宅内の機器の監視や制御が可能になる。
【0039】
また、宅内の機器において火災検知など通信端末に通知すべきイベントが生じたときには、宅内の機器からセンタサーバ200に通知し、センタサーバ200から通信端末に対して電子メールによる通知を行う。
【0040】
宅内サーバ116における宅内網との通信機能のうち重要な機能は、宅内網を構成する機器の検出と管理である。宅内サーバ116では、UPnP(Universal Plug and Play)を応用して宅内網に接続された機器を自動的に検出する。宅内サーバ116はブラウザ機能を有する表示器117を備え、検出した機器の一覧を表示器117に表示する。この表示器117はタッチパネル式もしくは操作部が付設された構成を有し、表示器117の画面に表示された選択肢から所望の内容を選択する操作が可能になっている。したがって、宅内サーバ116の利用者(施工業者あるいは家人)は、表示器117の画面上で機器の監視ないし制御が可能になる。表示器117は宅内サーバ116とは分離して設けてもよい。
【0041】
宅内サーバ116では、機器の接続に関する情報を管理しており、宅内網に接続された機器の種類や機能とアドレスとを把握する。したがって、宅内網の機器を連動動作させることができる。機器の接続に関する情報は上述のように自動的に検出されるが、機器を連動動作させるには、機器自身が保有する属性により自動的に関係付けを行うほか、宅内サーバ116にパーソナルコンピュータのような情報端末を接続し、情報端末のブラウザ機能を利用して機器の関係付けを行うこともできる。
【0042】
機器の連動動作の関係は各機器がそれぞれ保持する。したがって、機器は宅内サーバ116を通すことなく連動動作することができる。各機器について、連動動作の関係付けを行うことにより、たとえば、機器であるスイッチの操作により、機器である照明器具の点灯あるいは消灯の動作を行うことが可能になる。また、連動動作の関係付けはサブシステム内で行うことが多いが、サブシステムを超える関係付けも可能である。
【0043】
ところで、直流電力供給部101は、基本的には、商用電源のように宅外から供給される交流電源(商用電力系統)ACの電力変換により直流電力を生成する。図示する構成では、交流電源ACは、分電盤110に内器として取り付けられた主幹ブレーカ(主開閉器)111を通して、スイッチング電源を含むAC/DCコンバータ112に入力される。AC/DCコンバータ112から出力される直流電力は、協調制御部113を通して各直流ブレーカ114に接続される。
【0044】
直流電力供給部101には、交流電源ACから電力が供給されない期間(たとえば、商用電源ACの停電期間)に備えてバックアップ電源たる二次電池162が設けられている。また、直流電力を生成する太陽電池161や燃料電池163を併用することも可能になっている。交流電源ACから直流電力を生成するAC/DCコンバータ112を備える主電源(直流電力系統)に対して、太陽電池161や二次電池162や燃料電池163は分散電源になる。なお、図示例において、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163は出力電圧を制御する回路部を含み、二次電池162は放電だけではなく充電を制御する回路部も含んでいる。
【0045】
二次電池162は主電源や他の分散電源により適時充電され、二次電池162の放電は、交流電源ACから電力が供給されない期間に行われる。二次電池162の充放電や主電源と分散電源との協調は、協調制御部113により行われる。すなわち、協調制御部113は、直流電力供給部101を構成する主電源および分散電源から直流機器102への電力の配分を制御する直流電力制御部として機能する。なお、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163の出力を交流電力に変換し、AC/DCコンバータ112の入力電力として用いる構成を採用してもよい。
【0046】
直流機器102の駆動電圧は機器に応じた複数種類の電圧から選択されるから、協調制御部113にDC/DCコンバータを設け、主電源および分散電源から得られる直流電圧を必要な電圧に変換するのが望ましい。通常は、1系統のサブシステム(もしくは1台の直流ブレーカ114に接続された直流機器102)に対して1種類の電圧が供給されるが、1系統のサブシステムに対して3線以上を用いて複数種類の電圧を供給するように構成してもよい。あるいはまた、直流供給線路Wdcを2線式とし、線間に印加する電圧を時間経過に伴って変化させる構成を採用することも可能である。DC/DCコンバータは、直流ブレーカと同様に複数に分散して設けてもよい。
【0047】
上述の構成例では、AC/DCコンバータ112を1個だけ図示しているが、複数個のAC/DCコンバータ112を並設することが可能であり、複数個のAC/DCコンバータ112を設けるときには、負荷の大きさに応じて運転するAC/DCコンバータ112の台数を増減させるのが望ましい。
【0048】
上述したAC/DCコンバータ112、協調制御部113、直流ブレーカ114、太陽電池161、二次電池162、燃料電池163には通信機能が設けられており、主電源および分散電源や直流機器102を含む負荷の状態に対処する連携動作を行うことを可能にしている。この通信に用いる通信信号は、直流機器2に用いる通信信号と同様に直流電圧に重畳する形式で伝送する。
【0049】
上述の例では主幹ブレーカ111から出力された交流電力をAC/DCコンバータ112により直流電力に変換するために、AC/DCコンバータ112を分電盤110内に配置しているが、主幹ブレーカ111の出力側において分電盤110内に設けた分岐ブレーカ(図示せず)で交流供給線路を複数系統に分岐し、各系統の交流供給線路にAC/DCコンバータを設けて系統ごとに直流電力に変換する構成を採用してもよい。
【0050】
この場合、住宅Hの各階や各部屋を単位として直流電力供給部101を設けることができるから、直流電力供給部101を系統別に管理することができ、しかも、直流電力を利用する直流機器102との間の直流供給線路Wdcの距離が小さくなるから、直流供給線路Wdcでの電圧降下による電力損失を低減させることができる。また、主幹ブレーカ111および分岐ブレーカを分電盤110に収納し、AC/DCコンバータ112と協調制御部113と直流ブレーカ114と宅内サーバ116とを分電盤110とは別の盤に収納してもよい。
【0051】
而して本システム構成においては、協調制御部113にて交流電源ACの停電を検出すると通信機能を使って各直流ブレーカ114にトリガ信号を送信し、当該トリガ信号を受信した直流ブレーカ114において、制御部8が設定部7の設定値を確認し、設定値が「00」であれば何もせず、設定値が「11」であれば引き外し部5に対してトリップ信号を出力して引き外し部5に引き外し動作を行わせて電路を遮断するのである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)は本発明に係る直流配電システムの実施形態を示すシステム構成図であり、(b)は本発明に係る回路遮断器を示すブロック図である。
【図2】同上における一般の回路遮断器を示すブロック図である。
【図3】同上の停電時の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】同上を用いる他の直流配電システムのシステム構成図である。
【符号の説明】
【0053】
MB 主開閉器
BR1〜BR3 分岐開閉器(回路遮断器)
BA バックアップ電源
Lp1〜Lp3 分岐路
L 負荷
1 一次側端子
2 二次側端子
3 主接点
4 開閉機構
5 引き外し部(引き外し手段)
6 電圧検出部
7 設定部(設定手段)
8 制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力系統と、直流電力系統からの電力供給が中断されたときに直流電力を供給するバックアップ電源と、直流電力系統並びにバックアップ電源に並列接続された複数の分岐路にそれぞれ設けられ当該分岐路に過電流が流れたときに分岐路に挿入されている主接点を開放させる引き外し手段を具備した複数の回路遮断器とを有し、
複数の回路遮断器の内の少なくとも一つは、分岐路を通して供給される直流電力がバックアップ電源から供給されていると判断したときに引き外し手段により主接点を開放させる制御手段を具備することを特徴とする直流配電システム。
【請求項2】
バックアップ電源の出力電圧レベルと直流電力系統の出力電圧レベルとが異なっており、
制御手段は、分岐路に印加される電圧レベルの違いによって直流電力がバックアップ電源から供給されているか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の直流配電システム。
【請求項3】
直流電力系統並びにバックアップ電源に接続される一次側端子と、負荷に接続される二次側端子と、一次側端子と二次側端子の間の電路に挿入された主接点と、主接点を開閉する開閉機構と、電路に過電流が流れたときに開閉機構を釈放して主接点を開放させる引き外し手段と、電路を通して負荷に供給される直流電力がバックアップ電源から供給されているか否かを判断する制御手段と、バックアップ電源から直流電力が供給されているときの動作内容を設定するための設定手段とを備え、
制御手段は、バックアップ電源から直流電力が供給されているときに主接点を開放させるように設定手段に設定されているときに引き外し手段を制御して主接点を開放させることを特徴とする回路遮断器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−153340(P2009−153340A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330912(P2007−330912)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】