説明

直流電源装置

【課題】電力容量の異なる複数のDC/DCコンバータを並列接続した構成において、電力容量の小さいDC/DCコンバータを保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータのそれぞれを最適な状態に制御する。
【解決手段】許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータ11,12が並列接続され、各DC/DCコンバータ11,12の出力に対してスイッチング素子13,14と整流素子15,16とが直列接続され、各整流素子15,16の出力を平滑化させる積分回路17を有し、スイッチング素子13,14を個別に駆動することによって各DC/DCコンバータ11,12を制御する制御部20を備える。制御部20は、各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力を超えないように、各DC/DCコンバータ11,12のスイッチング素子13,14のオンデューティ比を個別に設定して制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のDC/DCコンバータを並列接続して構成される直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電圧を昇圧又は降圧させる複数の変換回路を並列接続することにより大電流にも対応し得るようにした直流電源装置が公知である。例えば特許文献1には、DC/DCコンバータにおいて複数のスイッチング電源が並列接続されており、DC/DCコンバータが駆動するCPUの数に応じて、内部で動作させるスイッチング電源の数を変動させる技術が開示されている。また、特許文献2には、複数の昇圧回路を並列接続したDC/DCコンバータにおいて、負荷の電力に応じていずれか1つの昇圧回路のオンデューティ比を調整し、残りの昇圧回路のオンデューティ比を最大または最小に制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−38289号公報
【特許文献2】特開2009−11102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、直流電源装置において複数のDC/DCコンバータを並列接続することによって大電力を消費する負荷を駆動できるようにした構成が採用されることもある。この場合、一般的には、並列接続される複数のDC/DCコンバータは、同一の電力容量であるものが使用される。
【0005】
しかしながら、直流電源装置の効率性、コスト、サイズなどの制約により、複数のDC/DCコンバータのうち、少なくとも1つのDC/DCコンバータは他のDC/DCコンバータよりも電力容量の小さいものが使用されることがある。この場合、電力容量の小さいDC/DCコンバータと電力容量の大きいDC/DCコンバータとの並列接続形態を、同一電力容量のDC/DCコンバータを用いて構成する並列接続形態と同様にしてしまうと、電力容量の小さいDC/DCコンバータは許容電力を超えてしまうことがある。
【0006】
そのため、従来は電力容量の小さいDC/DCコンバータの出力に抵抗を接続して電流を制限することにより、電力容量の小さいDC/DCコンバータを使用する場合であってもその許容電力の範囲内で使用するように構成される。
【0007】
ところが、DC/DCコンバータの出力に抵抗を接続して電流を制限するだけでは、負荷の変動に応じて各DC/DCコンバータの出力比を制御することができない。それ故、電力容量の異なる複数のDC/DCコンバータのそれぞれを最適な状態に制御することができないという問題がある。
【0008】
一方、上述した各特許文献1,2の技術は、負荷の電力に応じて最適な出力を得るための技術であり、電力容量の異なる複数のDC/DCコンバータを並列接続した場合に電力容量の小さいDC/DCコンバータを保護する点に関しては何ら開示するものではない。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、電力容量の異なる複数のDC/DCコンバータを並列接続した構成において、電力容量の小さいDC/DCコンバータを保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータのそれぞれを最適な状態に制御することが可能な直流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、直流電源装置であって、入力に対して許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータが並列接続され、各DC/DCコンバータの出力に対してスイッチング素子と整流素子とが直列接続され、各整流素子の出力を統合して平滑化させる積分回路を有し、前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれに直列接続された前記スイッチング素子を個別に駆動することによって各DC/DCコンバータを制御する制御手段を備える構成であり、前記制御手段は、各DC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないように、各DC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を個別に設定して制御を行うことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2にかかる発明は、請求項1記載の直流電源装置において、前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータの許容電力の比率に応じて、各DC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする構成である。
【0012】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の直流電源装置において、前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータのうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達するまで、前記複数のDC/DCコンバータの許容電力の比率に応じて各スイッチング素子のオンデューティ比を設定することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の直流電源装置において、前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータのうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達した場合、当該一のDC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を一定に保持することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の直流電源装置において、前記積分回路の出力電流を検出する電流検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される電流値に基づいて各DC/DCコンバータが許容電力を超えないように各スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする構成である。
【0015】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の直流電源装置において、前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれの出力電流を検出する電流検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される各DC/DCコンバータの出力電流に基づいて各DC/DCコンバータが許容電力を超えないように各スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする構成である。
【0016】
請求項7にかかる発明は、請求項5又は6に記載の直流電源装置において、前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される電流値に基づいて設定される各スイッチング素子のオンデューティ比を、前記電圧検出手段によって検出される各DC/DCコンバータの出力電圧に基づいて補正することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる直流電源装置によれば、各DC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないように、各DC/DCコンバータに直列接続されているスイッチング素子のオンデューティ比を個別に設定して制御を行うので、電力容量の異なる複数のDC/DCコンバータを並列接続した構成において、電力容量の小さいDC/DCコンバータを保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータのそれぞれを最適な状態に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態における直流電源装置の一構成例を示す図である。
【図2】制御部が複数のDC/DCコンバータのそれぞれを制御するために出力する制御信号の一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態における直流電源装置の一構成例を示す図である。
【図4】制御部における詳細な構成の一例を示す図である。
【図5】負荷電力に応じて決定される制御信号のオンデューティ比の例を示す図である。
【図6】第3の実施の形態における直流電源装置の一構成例を示す図である。
【図7】第4の実施の形態における直流電源装置の一構成例を示す図である。
【図8】制御部における詳細な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する幾つかの実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における直流電源装置1の一構成例を示す図である。直流電源装置1は、入力する直流電圧Vinを昇圧又は降圧する複数のDC/DCコンバータ11,12を備えており、それら複数のDC/DCコンバータ11,12が入力に対して並列接続されている。以下、本実施形態および他の実施形態では、説明を簡単にするため、並列接続されるDC/DCコンバータ11,12の数が2つである場合を例示する。
【0021】
これらDC/DCコンバータ11,12はそれぞれの許容電力(電力容量)が異なっている。例えば、DC/DCコンバータ11の許容電力がDC/DCコンバータ12の許容電力よりも大きくなっている。
【0022】
そして直流電源装置1は、各DC/DCコンバータ11,12の出力に対して直列に接続されたスイッチング素子13,14と整流素子15,16とを備え、さらに各整流素子15,16の出力を統合して平滑化させるためのRC回路などで構成された積分回路17を備えている。また直流電源装置1は、スイッチング素子13,14のスイッチング動作を制御する制御部20を備えている。
【0023】
制御部20は、スイッチング素子13に対して制御信号SG1を出力することにより、スイッチング素子13をオンオフさせてDC/DCコンバータ11の電流を制御する。これと同様に、制御部20は、スイッチング素子14に対して制御信号SG2を出力することにより、スイッチング素子14をオンオフさせてDC/DCコンバータ12の電流を制御する。このようにして制御される各DC/DCコンバータ11,12からの出力は、各整流素子15,16で整流された後、積分回路17で平滑化されて出力される。
【0024】
図2は、制御部20が出力する各制御信号SG1,SG2の一例を示す図である。制御信号SG1は、一定周期TAの信号となっており、各周期で所定時間TA1の間、オン状態となって出力される信号である。スイッチング素子13はこの制御信号SG1に基づいてスイッチング動作を行う。例えば、制御信号SG1がオンであれば、スイッチング素子13はオン状態となり、DC/DCコンバータ11から出力される電流を流す。一方、制御信号SG2もまた、一定周期TBの信号となっており、各周期で所定時間TB1の間、オン状態となって出力される信号である。スイッチング素子14はこの制御信号SG2に基づいてスイッチング動作を行う。例えば、制御信号SG2がオンであれば、スイッチング素子14はオン状態となり、DC/DCコンバータ12から出力される電流を流す。尚、制御信号SG1の周期TAと、制御信号SG2の周期TBとは、同じ周期(すなわちTA=TB)であっても構わない。また図例では、2つの制御信号SG1,SG2が同時にオン状態となる場合を例示しているが、これら2つの制御信号SG1,SG2はなるべく交互にオン状態となるように出力することが好ましい。
【0025】
ここで、各制御信号SG1,SG2のそれぞれが各周期TA,TBに対してオンとなる時間の比をオンデューティ比と呼ぶ。すなわち、制御信号SG1のオンデューティ比R1は、R1=TA1/TAとなる。また制御信号SG2のオンデューティ比R2は、R2=TB2/TBとなる。したがって、各制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2が増加すると、それに伴い、各DC/DCコンバータ11,12が出力する電流が増加するようになる。
【0026】
本実施形態の制御部20は、複数のDC/DCコンバータ11,12のそれぞれの許容電力の比率に応じて、各DC/DCコンバータ11,12に直列接続されているスイッチング素子13,14に出力する各制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を設定する。例えば、DCコンバータ11の許容電力がP1であり、DCコンバータ12の許容電力がP2である場合、制御部20は、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2が、R1:R2=P1:P2の関係を満たすように設定する。
【0027】
そして制御部20は、上記のようにして設定したオンデューティ比R1,R2に基づいて各制御信号SG1,SG2をスイッチング素子11,12のそれぞれに出力することにより各DC/DCコンバータ11,12が許容電力を超えないように制御する。これにより、各DC/DCコンバータ11,12の許容電力P1,P2の比に応じてそれぞれのDC/DCコンバータ11,12を動作させることができるようになり、特に許容電力の小さいDC/DCコンバータ12だけがその許容電力をオーバーしてしまうことを良好に防止することができるようになる。そのため、本実施形態の直流電源装置1では、許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータ11,12を並列接続した構成において許容電力の小さいDC/DCコンバータ12を保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータ11,12のそれぞれを最適な状態に制御することが可能である。
【0028】
(第2の実施の形態)
次に図3は、第2の実施の形態における直流電源装置1aの一構成例を示す図である。直流電源装置1aは、第1の実施の形態と同様に、直流電圧Vinを昇圧又は降圧する2つのDC/DCコンバータ11,12を備えており、これら2つのDC/DCコンバータ11,12が入力に対して並列接続されている。これらDC/DCコンバータ11,12はそれぞれの許容電力(電力容量)が異なっており、例えば第1の実施の形態と同様に、DC/DCコンバータ11の許容電力がDC/DCコンバータ12の許容電力よりも大きくなっている。
【0029】
また本実施形態の直流電源装置1aは、積分回路17の出力側に、負荷に流れる電流を検出する電流検出回路31を備えている。そして制御部20は、電流検出回路31によって検出される電流に基づいて負荷で消費される電力を算出し、その算出結果に基づいて各スイッチング素子13,14のオンデューティ比R1,R2を決定するように構成されている。尚、その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0030】
図4は、本実施形態における制御部20の詳細な構成の一例を示す図である。本実施形態の制御部20は、図4に示すように、負荷電力算出部21、オンデューティ比決定部22および制御信号出力部23として機能する。負荷電力算出部21は、電流検出回路31によって検出される電流に基づいて負荷で消費される電力を算出する。オンデューティ比決定部22は、負荷電力算出部21により算出された負荷電力に基づいて、スイッチング素子13を制御するための制御信号SG1のオンデューティ比R1と、スイッチング素子14を制御するための制御信号SG2のオンデューティ比R2とを決定する。
【0031】
オンデューティ比決定部22は、各DC/DCコンバータ11,12の出力がそれぞれの許容電力P1,P2を超えない範囲内では、負荷電力に応じて各制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を予め定められた比率で変化させることにより、負荷の変動に対応させて各DC/DCコンバータ11,12の出力を変動させる。つまり、各DC/DCコンバータ11,12の出力がそれぞれの許容電力P1,P2を超えない範囲内では、負荷電力の増加に比例して各制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2が決定される。
【0032】
これに対し、複数のDC/DCコンバータ11,12のうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達した場合、オンデューティ比決定部22は、その後さらに負荷電力が増加する場合でも当該一のDC/DCコンバータのオンデューティ比を増加させることなく、一定のオンデューティ比を保持するようにして、当該一のDC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないようにする。
【0033】
図5は、負荷電力に基づいて決定される制御信号SG1,SG2のいくつかの例を示す図である。図5(a)の例では、負荷電力が所定電力Pthに達するまで、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比が同じ値となるように設定される。ここで所定の電力Pthは、DC/DCコンバータ12の出力がその許容電力P2とほぼ等しくなる負荷の電力を示している。それ故、負荷電力が所定電力Pthに達すると、許容電力の小さいDC/DCコンバータ12は、その許容電力P2にほぼ一致する出力を行っている状態となる。したがって、オンデューティ比決定部22は、負荷電力が所定電力Pthに達するまでは、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を同じ比率で増加させていき、負荷電力が所定電力Pthに達すれば、制御信号SG2のオンデューティ比R2を一定の値に保持する。そしてその後、負荷電力が所定電力Pthを超えてさらに増加する場合には、許容電力の大きなDC/DCコンバータ11のスイッチング信号に対応する制御信号SG1のオンデューティ比R1のみを増加させることにより、負荷電力の増加に対応した出力を行うように制御する。このとき、制御信号SG2のオンデューティ比R2を一定値で保持することにより、DC/DCコンバータ12の出力が許容電力P2を超えることを防止する。
【0034】
次に図5(b)の例では、負荷電力が所定電力(P1+P2)に達するまで、第1の実施の形態と同様に、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を、各DC/DCコンバータ11,12のそれぞれの許容電力P1,P2の比率に応じて決定する。つまり、負荷電力が所定電力(P1+P2)に達するまでは、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2は、R1:R2=P1:P2の関係を満たすように決定される。そして負荷電力が所定電力(P1+P2)になると、2つのDC/DCコンバータ11,12は、それぞれの許容電力P1,P2にほぼ一致する出力を行っている状態となる。したがって、オンデューティ比決定部22は、負荷電力が所定電力(P1+P2)に達するまでは、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を、それぞれの許容電力P1,P2に応じた比率で増加させていき、負荷電力が所定電力(P1+P2)となれば、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を一定の値に保持する。このように制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2が一定の値を保持するようになると、各DC/DCコンバータ11,12は出力可能な略最大の出力で負荷を駆動する状態となる。そしてそれ以上の出力は抑制されるので、各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力P1,P2を超えることを防止できる。
【0035】
尚、上記においては図5(a)と(b)との2つの態様を示したが、オンデューティ比決定部22において制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を決定する際には、上記2つの態様のうちのいずれを採用しても良い。
【0036】
図4に戻り、制御信号出力部23は、上記のようにして決定されるオンデューティ比R1,R2に基づいて制御信号SG1,SG2を生成し、スイッチング素子13,14に出力することにより、各DC/DCコンバータ11,12の出力を制御するように構成される。
【0037】
以上のように本実施形態の制御部20は、積分回路17の出力電流に基づいて負荷電力を算出し、その負荷電力に基づいて各DC/DCコンバータ11,12の出力電力を調整する。そして複数のDC/DCコンバータ11,12のうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達した場合には、当該一のDC/DCコンバータに対して接続されているスイッチング素子13又は14のオンデューティ比を一定に保持することで、当該一のDC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないように制御する。これにより、各DC/DCコンバータ11,12を許容電力P1,P2の範囲内で動作させることができるようになり、特に許容電力の小さいDC/DCコンバータ12だけがその許容電力をオーバーしてしまうことを良好に防止することができるようになる。そのため、本実施形態の直流電源装置1aにおいても、許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータ11,12を並列接続した構成において許容電力の小さいDC/DCコンバータ12を保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータ11,12のそれぞれを最適な状態に制御することが可能である。
【0038】
(第3の実施の形態)
次に図6は、第3の実施の形態における直流電源装置1bの一構成例を示す図である。直流電源装置1bは、第1の実施の形態と同様に、直流電圧Vinを昇圧又は降圧する2つのDC/DCコンバータ11,12を備えており、これら2つのDC/DCコンバータ11,12が入力に対して並列接続されている。これらDC/DCコンバータ11,12はそれぞれの許容電力(電力容量)が異なっており、例えば第1の実施の形態と同様に、DC/DCコンバータ11の許容電力がDC/DCコンバータ12の許容電力よりも大きくなっている。
【0039】
また本実施形態の直流電源装置1bは、各DC/DCコンバータ11,12の出力側に、各DC/DCコンバータ11,12が出力する電流を検出するための電流検出回路32,33を備えている。そして制御部20は、各電流検出回路32,33によって検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力を超えないように、各スイッチング素子13,14のオンデューティ比R1,R2を決定するように構成されている。
【0040】
例えば、各電流検出回路32,33によって検出される電流に基づいて負荷電力を算出することができる。そのため、制御部20は、第2の実施の形態と同様に負荷電力に基づいて各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力P1,P2を超えないように、制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を決定する。ただし本実施形態では、各DC/DCコンバータ11,12から出力される電流を直接検出するので、必ずしも第2の実施の形態のように負荷電力を算出する必要はなく、各電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を決定するようにしても良い。
【0041】
このようにして本実施形態の制御部20は、各電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12の出力電力を調整する。そして複数のDC/DCコンバータ11,12のうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達した場合には、当該一のDC/DCコンバータに対して接続されているスイッチング素子13又は14のオンデューティ比を一定に保持することで、当該一のDC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないように制御する。これにより、各DC/DCコンバータ11,12を許容電力P1,P2の範囲内で動作させることができるようになり、特に許容電力の小さいDC/DCコンバータ12だけがその許容電力をオーバーしてしまうことを良好に防止することができるようになる。そのため、本実施形態の直流電源装置1bにおいても、許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータ11,12を並列接続した構成において許容電力の小さいDC/DCコンバータ12を保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータ11,12のそれぞれを最適な状態に制御することが可能である。
【0042】
(第4の実施の形態)
次に図7は、第4の実施の形態における直流電源装置1cの一構成例を示す図である。直流電源装置1cは、第1の実施の形態と同様に、直流電圧Vinを昇圧又は降圧する2つのDC/DCコンバータ11,12を備えており、これら2つのDC/DCコンバータ11,12が入力に対して並列接続されている。これらDC/DCコンバータ11,12はそれぞれの許容電力(電力容量)が異なっており、例えば第1の実施の形態と同様に、DC/DCコンバータ11の許容電力がDC/DCコンバータ12の許容電力よりも大きくなっている。
【0043】
また本実施形態の直流電源装置1cは、第3の実施の形態と同様に、各DC/DCコンバータ11,12の出力側に、各DC/DCコンバータ11,12が出力する電流を検出するための電流検出回路32,33を備えている。さらに本実施形態では、各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧を検出する電圧検出回路34,35を備えている。
【0044】
ここで各DC/DCコンバータ11,12は、入力電圧Vinを所定の基準電圧Voutに変換して出力するものであるが、各DC/DCコンバータ11,12の固有の特性などにより、厳密には基準電圧Voutとは若干異なる電圧が出力されることがある。例えば、DC/DCコンバータ11,12が基準電圧として直流5Vを出力する場合でも、DC/DCコンバータ11の実際の出力電圧が4.9Vとなり、DC/DCコンバータ12の実際の出力電圧が5.2Vとなる可能性がある。
【0045】
このような場合、DC/DCコンバータ12の実際の出力電圧が基準電圧であると仮定し、第2および第3の実施の形態で説明したように電流のみを検出してスイッチング素子14のオンデューティ比R2を決定してしまうと、実際のDC/DCコンバータ12の出力電圧が基準電圧よりも高いため、DC/DCコンバータ12の出力が許容電力P2を超えてしまう可能性がある。
【0046】
そこで本実施形態の制御部20は、第2又は第3の実施の形態と同様に、電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を決定し、さらに電圧検出回路34,35で検出される実際の出力電圧に基づいて各制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を補正するように構成される。
【0047】
図8は、本実施形態における制御部20の詳細構成の一例を示す図である。本実施形態の制御部20は、図8に示すように、負荷電力算出部21、オンデューティ比決定部22、オンデューティ比補正部24および制御信号出力部23として機能する。負荷電力算出部21は、電流検出回路32,33によって検出される電流に基づいて負荷で消費される電力を算出する。そしてオンデューティ比決定部22は、負荷電力算出部21により算出された負荷電力に基づいて、スイッチング素子13を制御するための制御信号SG1のオンデューティ比R1と、スイッチング素子14を制御するための制御信号SG2のオンデューティ比R2とを決定する。ただし、これに限られず、例えば負荷電力算出部21が電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12から出力される電力を算出し、オンデューティ比決定部22において各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力P1,P2を超えないようにオンデューティ比R1,R2を決定するようにしても良い。
【0048】
オンデューティ比補正部24は、各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧に基づいて制御信号SG1,SG2のオンデューティ比R1,R2を補正する。例えば、各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧が基準電圧よりも低い場合には、オンデューティ比決定部22で決定されるオンデューティ比R1,R2を増加させて補正する。また各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧が基準電圧よりも高い場合には、オンデューティ比決定部22で決定されるオンデューティ比R1,R2を減少させて補正する。したがって、上述したように、例えば許容電力の小さいDC/DCコンバータ12の出力電圧が基準電圧5Vよりも高い5.2Vであった場合には、スイッチング素子14に出力される制御信号SG2のオンデューティ比R2が、オンデューティ比決定部22で決定されたオンデューティ比よりも小さな値となり、DC/DCコンバータ12の出力が許容電力P2を超えてしまうことを防止することができる。
【0049】
そして制御信号出力部23は、上記のようにして補正されたオンデューティ比R1,R2に基づいて制御信号SG1,SG2を生成し、各スイッチング素子13,14に出力することにより、各DC/DCコンバータ11,12の出力を調整する。
【0050】
以上のように本実施形態の制御部20は、各電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12に接続されたスイッチング素子13,14のオンデューティ比R1,R2を決定し、さらに各DC/DCコンバータ11,12の実際の出力電圧に基づいてその決定されたオンデューティ比R1,R2を補正する。これにより、各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧が基準電圧とは異なる場合でも、各DC/DCコンバータ11,12の出力電圧に応じた制御が可能となり、各DC/DCコンバータ11,12の出力が許容電力を超えないように制御することができる。その結果、各DC/DCコンバータ11,12を許容電力P1,P2の範囲内で高精度に動作させることができるようになり、特に許容電力の小さいDC/DCコンバータ12だけがその許容電力をオーバーしてしまうことを良好に防止することができる。そのため、本実施形態の直流電源装置1cにおいても、許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータ11,12を並列接続した構成において許容電力の小さいDC/DCコンバータ12を保護しつつ、負荷の変動に応じて複数のDC/DCコンバータ11,12のそれぞれを最適な状態に制御することが可能である。
【0051】
尚、本実施形態では、各DC/DCコンバータ11,12の出力側に設けられた電流検出回路32,33で検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12に接続されたスイッチング素子13,14のオンデューティ比R1,R2を決定し、さらに各DC/DCコンバータ11,12の実際の出力電圧に基づいてその決定されたオンデューティ比R1,R2を補正する場合を例示した。しかし、これに限らず、例えば第2の実施の形態で示したように、積分回路17の出力側に設けられた電流検出回路31(図3参照)で検出される電流に基づいて各DC/DCコンバータ11,12に接続されたスイッチング素子13,14のオンデューティ比R1,R2を決定し、さらに各DC/DCコンバータ11,12の出力側に設けられる各電圧検出回路34,35で検出される実際の出力電圧に基づいてその決定されたオンデューティ比R1,R2を補正する構成としても良い。
【0052】
(変形例)
以上、本発明に関する代表的な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態では、入力に対して並列接続されるDC/DCコンバータが2つである場合を例示したが、DC/DCコンバータを3つ以上並列接続したものであっても構わない。またこの他にも、本発明には、種々の変形例が適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1,1a,1b,1c 直流電源装置
11,12 DC/DCコンバータ
13,14 スイッチング素子
15,16 整流素子
17 積分回路
20 制御部(制御手段)
21 負荷電力算出部
22 オンデューティ比決定部
23 制御信号出力部
24 オンデューティ比補正部
31,32,33 電流検出回路(電流検出手段)
34,35 電圧検出回路(電圧検出手段)
SG1,SG2 制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力に対して許容電力の異なる複数のDC/DCコンバータが並列接続され、各DC/DCコンバータの出力に対してスイッチング素子と整流素子とが直列接続され、各整流素子の出力を統合して平滑化させる積分回路を有し、
前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれに直列接続された前記スイッチング素子を個別に駆動することによって各DC/DCコンバータを制御する制御手段を備える構成であり、
前記制御手段は、各DC/DCコンバータの出力が許容電力を超えないように、各DC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を個別に設定して制御を行うことを特徴とする直流電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータの許容電力の比率に応じて、各DC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする請求項1記載の直流電源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータのうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達するまで、前記複数のDC/DCコンバータの許容電力の比率に応じて各スイッチング素子のオンデューティ比を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の直流電源装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記複数のDC/DCコンバータのうちの少なくとも一のDC/DCコンバータの出力が当該一のDC/DCコンバータの許容電力に達した場合、当該一のDC/DCコンバータに直列接続されている前記スイッチング素子のオンデューティ比を一定に保持することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の直流電源装置。
【請求項5】
前記積分回路の出力電流を検出する電流検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される電流値に基づいて各DC/DCコンバータが許容電力を超えないように各スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の直流電源装置。
【請求項6】
前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれの出力電流を検出する電流検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される各DC/DCコンバータの出力電流に基づいて各DC/DCコンバータが許容電力を超えないように各スイッチング素子のオンデューティ比を設定して制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記複数のDC/DCコンバータのそれぞれの出力電圧を検出する電圧検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記電流検出手段によって検出される電流値に基づいて設定される各スイッチング素子のオンデューティ比を、前記電圧検出手段によって検出される各DC/DCコンバータの出力電圧に基づいて補正することを特徴とする請求項5又は6に記載の直流電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109871(P2011−109871A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264915(P2009−264915)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】