説明

直管型LEDランプ

【課題】 LED素子の発光像が見えることによる眩しさを防ぎ、しかも照明の照度と光の拡散が十分に得られる直管型LEDランプの実現。
【解決の手段】 LED基板11を覆うカバー13(樋状部材)を透明とし、カバー13とLED基板11の間に、基板の面に平行に、透明な平板から成る光拡散板14を設ける。光拡散板14の、LED基板11から遠い面14aに、互いに平行な反復する凹凸を有し、凹凸(14g)の等高線は円弧状で、円弧はLED素子11aの列に対し垂直な接線を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は直管型LEDランプに関するもので、特に個別のLEDの発光像が前面から見えず、かつ前面の広い範囲に高い照度が得られる直管型LEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー効率のよいLEDランプは、電球型の商品化が先行しているが、近年いわゆる「直管型」のものも急速に商品化が進み、LED基板、それを支持する骨材、LED基板の保護と光拡散のための円筒または半円筒状のカバーから成るものが主流になっている。代表的な従来の直管型LEDランプは、一方の面にLED素子の列が装着された細長いLED基板と、それを支持する細長い支持部材(骨材)と、半透明で、長さ方向に垂直な断面が円弧から成る樋状部材とから成り、(1)LED基板、支持部材、および樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、(2)樋状部材は、LED基板の面を遠隔して覆うように、かつ長さ方向に延びる開口部が支持部材によって閉塞されるように配置され、(3)LED基板は、LED素子の面が樋状部材の内面に臨むように、支持部材で支持されている。
【0003】
図11は、そのような従来の直管型LEDランプを示す。LEDランプ90は、LED基板91、支持部材92、樋状部材93から成る。LED基板91にはLED素子91aの列が装着され、支持部材92に固定されている。樋状部材93は半透明で、軸方向に垂直な断面が円弧から成る。樋状部材93は支持部材92に、それらの軸が平行になるように支持される。樋状部材93は軸方向に垂直な断面が半円より大きい円弧から成り、その縁が支持部材92の縁のスリット92aにはめ込まれて固定されている。LED素子からの光をランプの前面に適当に拡散させるため、また光源が直接見えて眩しいことがないように、樋状部材93は半透明とされている。
【0004】
図12は、LEDランプ90の長さ方向に垂直の断面での、主な光束の進行状況を示す。LED素子91aから発した光は、支持部材92と反対の方向に進み、半透明の樋状部材93を通過し、大部分は散乱され、一部はほぼ直進して、ランプの前方に放出される。
【0005】
図11に示したもの以外に、特開2010−165647(特許文献1)に開示された照明装置がある。この照明装置は、固体発光素子と、それを支持する支持体と、少なくとも固体発光素子の発光方向に光透過性を有する円筒形の筐体を具え、この筐体の中空構造の内壁の「所定の領域」に密着するように、支持体が配置され、この「所定の領域」は、筐体の長手方向に垂直な断面の中心軸に関し対称に位置することが、特徴とされている。
【0006】
図13は、特許文献1に記載された直管型LEDランプの、長手方向に垂直な断面を示す。固体発光素子126は基板122に搭載され、後者は支持体121で支持されている。支持体121はその両端の部分131a,131b,132a,132bにおいて筐体103の内壁に密着・保持されている。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2010−165647
【特許文献2】 特開2011−60719
【特許文献3】 特開2011−100744
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし従来の直管型LEDランプでは、カバー部材(図11の樋状部材93、図13の筐体103)の実体または少なくとも一方の面を光散乱性のものとすることにより、ランプ前面での照度分布を平坦化している。その結果、カバー部材による散乱と吸収のため光が減衰し、得られる照度が低下する。この減衰は、同じ厚さの透明なカバー部材を用いた場合に比べて約3割にも達する。
【0009】
反面、カバー部材の散乱性が十分でないと、前面から見たとき、個別のLED素子の発光像が直接見えるために眩しく感じられ、照明としての品質が著しく損なわれる。
【0010】
それ故本発明の目的は、個別のLED素子の発光像が全く見えない程度に光が拡散され、しかも前面に広い角度で高い照度が得られる直管型LEDランプを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明の直管型LEDランプは、一方の面にLED素子の列が装着された細長いLED基板と、このLED基板を支持する細長い支持部材と 光透過性で、軸方向に垂直な断面が円弧等から成る樋状部材とから成り、LED基板、支持部材、および樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、樋状部材は、LED基板の発光面(LED素子の列が装着された面。以下同じ)を遠隔して覆うように、かつ軸方向に延びる開口部が支持部材によって閉塞されるように配置され、LED基板は、発光面が樋状部材に臨むように、支持部材で支持されている直管型LEDランプにおいて、樋状部材が、所定の領域を除き透明であり、樋状部材で囲まれる空間に、LED基板の発光面に平行に配置された透明な平板から成る光制御部材を具え、この光制御部材は、LED基板から遠い第一の面に、互いに平行な等高線を有する反復する凹凸を有し、この等高線はLED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、そしてLED基板に臨む第二の面が粗面であることを特徴とする。
【0012】
光制御部材が第一の面(LED基板から遠い面)に有する凹凸は、凹凸の等高線が円弧から成り、円弧の半径方向において高低がある、互いに平行な反復する凹凸であり、縞状の起伏を形成する。円弧のいずれかの接線は、LED素子の列の方向(基板の長さ方向)に垂直である。特に、円弧の中心が、LED素子の列を含みLED基板に垂直な面と光制御部材との交わる線上(通常は光制御部材の幅の中央)に、位置するのが有利である。縞状の起伏のピッチは2mm未満が好ましく、0.5mm未満が特に好ましい。反復する凸部(または凹部)の間は等間隔とは限らないが、製作上は、通常、等間隔が有利である。個別の凹凸部の、等高線に垂直な断面は任意で、例えば円弧、1辺を欠く三角形、底辺を欠く台形、正弦波形、その他から成る。凸部または凹部の間に平面の部分を有してもよい。起伏の凹部は、ピッチに比べて浅くても有効である。
【0013】
光制御部材はLED基板に臨む面(第二の面)に、第一の面と異なる凹凸を有してもよい。二次元的に分布する凹凸が有利で、例えば梨地が好ましい。梨地その他の粗面の凹凸のピッチは、0.5mm未満が好ましい。
【0014】
第二の面も、互いに平行な等高線を有する、第二の反復する凹凸を有してもよい。例えば、反復する平行な凹凸の等高線が、LED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、第一の面の凹凸の等高線の投影と交叉するようなものでもよい。第一の面の凹凸とピッチが異なってもよい。
【0015】
第二の面は、上述の凹凸とともに、互いに平行な等高線を有する第三の反復する凹凸を有してもよい。この第三の反復する凹凸は、平行な等高線が、LED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、第一の面の凹凸の等高線の投影と重なるものである。この第三の反復する凹凸のみを有することは望ましくなく、本発明から除外される。
【0016】
光制御部材の実体部は、透明度が高い材料で構成することが望ましい。ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル系合成樹脂、ガラスなどから選ぶことができる。光制御部材の厚さは、通常、0.2mmから2mm程度である。
【0017】
光制御部材の第一の面(LED基板から遠い面)の有する起伏は、個別のLED素子の発光像を隠すために欠かせない。LED基板に近い第二の面の粗面だけでは、照度を犠牲にせずにLED素子の発光像を隠すことができない。
【0018】
本発明の直管型LEDランプは、主要部分が透明な樋状部材を用いることが重要な特徴の一つであり、広い照度分布を得るため、また個別のLED素子の発光像が見えないようにするため、半透明(乳濁等)の樋状部材を用いる必要がない。主要部分とは、樋状部材の側面の開口部の開口端付近を除く領域、すなわちLED素子の発光面に臨む部分を、意味する。
【0019】
樋状部材の側面開口部の開口端の付近の領域を光散乱性とすれば、浅い角度(LED基板の面に近い方向)からランプを見るときに、LED素子の個々の発光像が見えるおそれがない。この領域は不透明又は遮光性としてもよい。この領域は、側面の開口部の開口端から、光制御部材の第二の面の延長の高さに至る範囲に設定される。この範囲全体にわたらなくても、開口部の開口端の近傍から光制御部材の第二の面の延長の高さ又はその付近(例えば2mm下)に至る範囲でも、横方向からのLED素子の像の眩しさを防げればよい。
【0020】
樋状部材の材料は透明度が高いものが望ましく、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル系合成樹脂などから選ぶことができる。
【0021】
LED素子の列は、色温度の異なる白色発光LED素子から成ってもよく、また白色発光LED素子と有色発光LED素子、あるいは異なる色の有色発光LED素子から成ってもよい。
【0022】
支持部材は通常、LED基板から発する熱の放散の機能も果たすので、金属などの熱良導体で構成される。照明装置全体の重量増大を避けるため、軽量の金属材料が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金等から選ばれる。炭素繊維を用いることもできる。強度および剛性を保つため補強部材を設けてもよい。放熱を助けるための任意の方向に延びるひだ(襞)等を、外面に設けてもよい。
【0023】
列を構成するLED素子の間隔(中心間の。以下同じ)は、狭くすると放熱の密度が高くなり、点燈中の温度の上昇が著しく、遠くすると面積当たりの発光量が小さくなるので、通常、7ないし20mmの範囲に選ばれる。このようなLED素子の間隔に対し、光制御部材の第一の面とLED素子との距離は、5ないし10mmとするのがよく、6ないし9mmの間隔が最も有効である。この範囲外では、大小いずれでも、個別のLED素子の発光像を隠す効果が乏しくなる。
【0024】
樋状部材は、内面に長さ方向に延びる一対の溝を設け、この溝に光制御部材の側縁を挿入することにより、光制御部材を、LED基板の面に対し平行に支持するようにしてもよい。この溝は、樋状部材の内面に、互いに平行な1組の突起を設けて、その間に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の直管型LEDランプでは、LED基板の前面を広く覆うカバー部材に透明な樋状部材を用い、一方、LED基板の発光面に接近して、それに平行に、両面をそれぞれ所定の粗面とした透明な板状の光制御部材を具えるため、個別のLED素子の発光像がランプ前方から見えることなく、しかも、ランプ前面で従来よりも高い照度が得られる。必要な角度範囲での照度の均等性も確保できる。
【0026】
本発明は、LED以外の固体発光素子を用いた直管型ランプでも有用である(この場合、前段までの説明で「LED素子」を「固体発光素子」と、「LED基板」を「配線基板」と、それぞれ読み替える)。また本発明の光制御部材は、直管型ランプ以外の、LED等の固体発光素子を用いた照明装置に広く有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明の第一の実施の形態の斜視図
【図2】 本発明の第一の実施の形態の分解斜視図。
【図3】 本発明の第一の実施の形態の断面図
【図4】 光制御部材(光拡散板)の平面図(実施の形態)(a)第一の面、(b)第二の面
【図5】 光制御部材(光拡散板)の断面図
【図6】 主な光の進路を示す断面説明図(第一の実施の形態)
【図7】 樋状部材の断面図(第一の実施の形態)
【図8】 本発明の第二の実施の形態の断面図
【図9】 樋状部材の断面図(第二の実施の形態)
【図10】 光制御部材の第二の面の平面図(第三の実施の形態)
【図11】 従来の典型的な直管型LEDランプの断面説明図
【図12】 従来の直管型LEDランプでの光の進路を示す断面説明図
【図13】 従来の直管型LEDランプの断面図(特許文献1)
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第一の実施の形態)
図1ないし図7は、本発明の第一の実施の形態による直管型LEDランプを示す。図1はランプ全体の斜視図、図2は同じく分解斜視図、図3は軸に垂直の断面図、図4は光制御部材(光拡散板)の平面図、図5は同じくランプの軸に垂直の断面図、図7は樋状部材(カバー)の断面図である。図6は主な光の進路を示す。図1に示すように、LEDランプ10は、カバー13(樋状部材)、支持部材12その他(図示を省略)から成る本体と、キャップ15と電源接続端子16から成る一対のキャップ部とで、構成される。複雑さを避けるため、図1ではカバー13の透明な部分の図示を省略した。
【0029】
図2に示すように、LEDランプ10は、LED基板11、支持部材12、カバー13、光拡散板(光制御部材)14、及び一対のキャップ15を有する。LED基板11は、基板(符号なし)の面に複数のLED素子11aが装着されており、支持部材12の上面の凹部12aに固定されている。カバー13は透明なポリカーボネート製で、内側に凸部13a,13b(図3参照)が設けられている。光拡散板14は、その上面に、反復する円弧状の溝14gを有する。光拡散板14の詳細は図4および図5に示す。図1に示すように、キャップ15にはそれぞれ電源接続端子16が設けられ、支持部材12の両端に、補強材12cの間の溝12d(図3参照)を利用して、ねじ15aで固定されている。
【0030】
図3にランプ本体の断面の詳細を示す。カバー13の内側には、長さ方向に平行に凸部13aと同13bが設けられ、それらの間に溝13cが形成されている。一対の溝13cに光拡散板14を挿入することにより、光拡散板14はカバー13の内側に固定される。一方、カバー13は、その縁の屈曲部13dを支持部材12の縁の溝12bに挿入することにより、支持部材12に固定される。カバー13の内側の、凸部13bと屈曲部13dの間の部分には、光拡散層13eが設けられている(図2では符号を省略した)。
【0031】
支持部材12は扁平な管状で、内側に長さ方向に平行に設けた一対の補強材12cを有し、その間に溝12dが形成されている。溝12dの両端には、キャップ15を固定するためのねじ15aが挿入される(図2参照)。支持部材12の外面には、放熱のため、軸方向に延びるひだ(襞)12eを具える。
【0032】
図4(a)は光拡散板14の上面14aを、図4(b)は下面14bを、それぞれ示す。図5は、図4中の線分X1−X2(長さ方向の軸)に沿った光拡散板14の断面を示す。上面14a(カバー13側)は、互いに平行な、反復する円弧状の溝14gを有し、円弧の中心は光拡散板14の中央線又はその延長上に位置する。下面14b(LED基板11側)は梨地状の粗面である。
【0033】
図7にカバー13の断面(軸に垂直の)の詳細を示す。図3についての説明が援用できるため、説明は省略する。
【0034】
(第一の実施の形態の作用)
LED素子11aは、電源接続端子16から図示しない配線および電源制御回路を介して供給される電力により、発光する。LED素子11aから発した光の一部は、光拡散板14を通過して直進または直進に近い方向へ進行し、さらに透明なカバー13(樋状部材)を通過して、照明光として管外に放出される。これらの光束はカバー13ではほとんど散乱されないので、減衰は極めて少ない。一部の光は、光拡散板14の下面14bの粗面での屈折により拡散された上で、光拡散板14の内部に進む。光拡散板14の内部を通過した拡散光は、上面14aに達すると、ここで主としてランプの軸方向に散乱され、カバー13の内側の空間へと拡散する。光の一部は、上面14aから光拡散板14の内部に向けて反射され、再び下面14bに達するであろう。光拡散板14の内部で面に沿って横に進む光は、各面で繰り返し反射されるであろう。光拡散板14の内部への拡散光の挙動は極めて複雑と思われる。LED素子11aから光拡散板14の下面14bに達した光の一部は、反射され、再びLED基板11に向かい、そこで反射される。
【0035】
図6は、ランプ10の長さ方向に垂直な断面(図3に対応)における主な光束の進路を示す。LED素子11aから発した光のうち光拡散板14およびカバー13(樋状部材)を通過して直進する光束をB0及びB2、光拡散板14の下面14bの粗面で屈折により散乱され、光拡散板14を通過し、さらに透明なカバー13(樋状部材)を通過して直進する光束をB1及びB3で示す。B2及びB3はLED素子11aからやや斜め方向に出た光束に由来する、それぞれ直進および散乱光束である。光束B1及びB3は、光拡散板14の上面14aで図6の面内には若干散乱されるだけである。これらの光束、すなわちB0,B1,B2及びB3がランプ10の前面における照明光を形成するであろう。これが、角度の広い範囲で均等な、しかも高い照度が得られる理由であろうと推定(発明後に)しても、あながち不合理ではなかろう。
【0036】
(第一の実施の形態の効果)
LED基板11の前面を覆うカバー13として透明な樋状部材を用い、一方、LED基板11の発光面に近い位置に、それと平行に、上面14aおよび下面14bにそれぞれ特定の凹凸を有する光拡散板14を設けることにより、個別のLED素子11aの発光像がランプ前方から見えず、しかも、ランプ前面で従来の構造のものより高い照度が得られる。必要な角度範囲での照度の均等性も確保できる。また、カバー13の内側の特定部分に光拡散層13eを設けたので、LED基板11から光拡散板14との間を斜め方向に進む光は光拡散層13eで散乱され、ランプ側面からもLED素子11aの発光像は見えない。
【0037】
(第二の実施の形態)
図8及び図9は、本発明の第二の実施の形態に相当する直管型LEDランプを示す。図8はランプの長さ方向に垂直な断面(図3に対応する)を、図9は樋状部材(カバー)の同じく断面を示す。内側に光拡散層を有するカバー13の代わりに、外側に光拡散層を有するカバー23を用いる以外は、第二の実施の形態の構成は第一の実施の形態と同じである。カバー13に対応する部分については、便宜上同じ符号を用いた。
【0038】
図8および図9に示すように、ランプ20はカバー23を具え、カバー23は、外側の一部に光拡散層23eを有する。光拡散層23eの位置は、内側にある凸部23bと屈曲部23dの間の領域の外側に相当する。この領域は、ランプ10においてカバー13の内側に光拡散層13eを設けた位置である。
【0039】
(第二の実施の形態の効果)
LEDランプ20がカバー23の外面に有する光拡散層23eの効果は、それを設けた位置が異なっても、LEDランプ10における光拡散層13eと同様である。それ以外については、LEDランプ20はLEDランプ10と同じ効果を有する。
【0040】
(第三の実施の形態)
第一の実施の形態において光拡散板14の下面14bを、梨地状の粗面ではなく、図10に示すように、図4(a)と類似の溝14hを有する面とした。ただし、等高線の円弧は図4(a)のそれと逆方向であり、上面14aの凹凸の円弧の投影(光拡散板14の面に垂直方向の)とは交叉する。
【実施例】
【0041】
第一の実施の形態においてカバー13として、厚さ0.8mmの透明なポリカーボネート(PK)から成る、断面半径が26mmの樋状部材を用い、LEDランプ10を製作した。光拡散板14の実体を厚さ0.8mmの透明なPKで構成し、その上面14aの全面に、半径25mmの円弧に沿ってピッチ0.4mmで平行に並んだ幅0.4mmの溝14gを刻み、起伏を形成させた。下面14bは不規則な凹凸から成る梨地面とした。この光拡散板14を、LED素子11aの発光面から6mmの距離(面14bまで)に配置した。LED基板11は、LED素子11aとして、消費電力0.4Wの白色発光LED素子130個を約8.5mmの間隔(中心間)で直線上に配置したものである。光拡散層13eはLED素子の発光像が見えない程度の光拡散性を有する。
【0042】
(比較例)
比較のため、カバー13の代わりに同じ材質(PK)、同じ厚さ、同じ形状の、しかし内面に乳白質の光拡散層を密着して設けた半透明の樋状部材(図8の93に相当)を用い、光拡散板14を省いて、直管LEDランプ(90Aとする)を製作した。それ以外はLEDランプ10と同じとした。乳白質の光拡散層は、LED素子の像が認識できない最小限度を若干超える程度の拡散性を有する。
【0043】
実施例のLEDランプ10、比較例のLEDランプ90Aとも、LED素子の発光像は視認できなかった。LEDランプ10の正面の、距離100cmの面での照度は550ルックスであった。これに対し、同じ位置で比較例のランプ90Aにより得られる照度は460ルックスであった。すなわち本発明実施例により得られる照度は、比較例より約20%高かった。
【符号の説明】
【0044】
10,20 LEDランプ
11 LED基板
11a LED素子
12 支持部材
12a 凹部
12b 溝
12c 補強材
12d 溝
12e ひだ(襞)
13 カバー(樋状部材)
13a,13b 凸部
13c 溝
13d 屈曲部
13e 光拡散層
14 光拡散板
14a 上面
14b 下面
14g、14h 溝
14M 中央線(光拡散板の)
15 キャップ
15a ねじ
16 電源接続端子
23 カバー(樋状部材)
23a,23b 凸部
23c 溝
23e 光拡散層
90 LEDランプ
91 LED基板
91a LED素子
92 支持部材
92a スリット
93 樋状部材
B0,B1,B2,B3 光束
L0,L1 光束
103 筐体
121 支持体
122 基板
126 固体発光素子
131a,131b,132a,132b 支持体の両端の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面にLED素子の列が装着された細長いLED基板と、
このLED基板を支持する細長い支持部材と、
光透過性で、軸方向に垂直な断面が円弧から成る樋状部材とから成り、
前記LED基板、前記支持部材、および前記樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、
前記樋状部材は、前記LED基板の前記面を遠隔して覆うように、かつ軸方向に延びる開口部が前記支持部材によって閉塞されるように配置され、
前記LED基板は、前記面が前記樋状部材に臨むように、前記支持部材で支持されている直管型LEDランプにおいて、
前記樋状部材が、所定の領域を除き透明であり、
前記樋状部材で囲まれる空間に、前記LED基板の前記面に平行に配置された、透明な平板から成る光制御部材を具え、
この光制御部材は、前記LED基板から遠い第一の面に、互いに平行な等高線を有する反復する凹凸を有し、前記等高線は前記LED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、
前記光制御部材の前記LED基板に臨む第二の面が、粗面であることを特徴とする、直管型LEDランプ。
【請求項2】
前記円弧が、前記LED素子の列を含む前記LED基板に垂直な面と前記光制御部材との交わる線上に中心を有する、請求項1の直管型LEDランプ。
【請求項3】
前記第二の面の前記粗面が、二次元的に連続して分布する凹凸から成る、請求項1または2の直管型LEDランプ。
【請求項4】
前記第二の面が、互いに平行な等高線を有する、第二の反復する凹凸を有し、この第二の反復する凹凸の前記等高線は、前記LED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、前記第一の面の凹凸の等高線の投影と交叉する、請求項2の直管型LEDランプ。
【請求項5】
前記第二の面が、前記第二の反復する凹凸を有するとともに、互いに平行な等高線を有する第三の反復する凹凸を有し、この第三の反復する凹凸の前記等高線は、前記LED素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、前記第一の面の凹凸の等高線の投影と重なる、請求項4の直管型LEDランプ。
【請求項6】
前記列を構成する前記LED素子の間隔(中心間)が7ないし20mmであり、前記第一の面と前記LED素子との距離が5ないし10mmである、請求項1、2、または3の直管型LEDランプ。
【請求項7】
前記所定の領域が、前記樋状部材の前記開口部の開口端付近であり、光散乱性を有する、請求項1ないし6いずれかの直管型LEDランプ。
【請求項8】
前記領域が、前記開口端から、前記光制御部材の前記第二の面の延長に至る範囲にある、請求項7の直管型LEDランプ。
【請求項9】
前記LED素子の列が、色温度の異なる白色発光LED素子、白色発光LED素子と有色発光LED素子、又は異なる色の有色発光LED素子から成る、請求項1または2の直管型LEDランプ。
【請求項10】
一方の面に固体発光素子の列が装着された細長い配線基板と、
この配線基板を支持する細長い支持部材と
光透過性の樋状部材とから成り、
前記配線基板、前記支持部材、および前記樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、
前記樋状部材は、前記配線基板の前記面を遠隔して覆い、かつ軸方向に延びる開口部が前記支持部材によって閉塞されるように配置され、
前記配線基板は、前記面が前記樋状部材に臨むように、前記支持部材で支持されている直管型ランプにおいて、
前記樋状部材が、前記開口部付近の所定の領域を除き透明であり、
前記樋状部材で囲まれる空間に、前記配線基板の前記面に平行に配置された、透明な平板から成る光制御部材を具え、
この光制御部材は、前記配線基板から遠い第一の面に、互いに平行な等高線を有する反復する凹凸を有し、前記等高線は前記固体発光素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、前記配線基板に臨む第二の面が粗面であり、
前記所定の領域は、前記開口部の開口端から前記光制御部材の前記第二の面の延長に至る範囲にあり、光散乱性を有することを特徴とする直管型ランプ。
【請求項11】
前記列を構成する前記固体発光素子の間隔(中心間)が7ないし20mmであり、前記光制御部材の前記第一の面と前記固体発光素子との距離が5ないし10mmである、請求項10の直管型ランプ。
【請求項12】
一方の面にLED素子等の固体発光素子の列が装着された細長い配線基板と、
この配線基板の前記面から離れて、この面に平行に配置された、透明な平板から成る光制御部材を具え、
この光制御部材は、前記配線基板から遠い第一の面に、互いに平行な等高線を有する反復する凹凸を有し、前記等高線は前記固体発光素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成り、前記配線基板に臨む第二の面が粗面であることを特徴とする、照明装置。
【請求項13】
前記列を構成する前記固体発光素子の間隔(中心間)が7ないし20mmであり、前記光制御部材の前記第一の面と前記固体発光素子との距離が5ないし10mmである、請求項12の照明装置。
【請求項14】
一方の面に固体発光素子の列が装着された細長い配線基板と、
光透過性で、軸方向に垂直な断面が円弧から成る樋状部材とから成り、
前記配線基板および前記樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、
前記樋状部材は、前記配線基板の前記面を遠隔して覆うように配置されている照明装置において、
前記樋状部材が、所定の領域を除き透明であり、
前記樋状部材で囲まれる空間に、前記配線基板の前記面に平行に配置された、透明な平板から成る光制御部材を具え、
この光制御部材は、前記配線基板から遠い面に、互いに平行な等高線を有する反復する凹凸を有し、前記等高線は前記固体発光素子の列の方向に垂直な接線を有する円弧から成ることを特徴とする、照明装置。
【請求項15】
一方の面にLED素子の列が装着された細長いLED基板と、
このLED基板を支持する細長い支持部材と、
軸方向に垂直な断面が円弧から成り、内面に長さ方向に延びる一対の溝を具え、所定の領域を除き透明である樋状部材と、
光透過性であるが光拡散作用を有する、平板状の光制御部材とから成り、
前記LED基板、前記支持部材、および前記樋状部材は、それぞれの長さ方向の軸が互いに平行に配置され、
前記樋状部材は、前記LED基板の前記面を遠隔して覆うように、かつ軸方向に延びる開口部が前記支持部材によって閉塞されるように配置され、
前記配線基板は、前記面が前記樋状部材に臨むように、前記支持部材で支持され、
前記光制御部材は、その側縁が前記溝に挿入されることにより、前記LED基板の前記面に平行に支持される、直管型LEDランプ。
【請求項16】
前記所定の領域が、前記開口部の開口端付近である、請求項15の直管型LEDランプ。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−69650(P2013−69650A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223379(P2011−223379)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(509333232)株式会社トレンタ (8)
【Fターム(参考)】