説明

直鎖状アミン官能化ポリ(トリメチレンエーテル)組成物

本発明は、直鎖状アミン官能化ポリ(トリメチレンエーテル)組成物、およびこれらの組成物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直鎖状アミン−官能化ポリ(トリメチレンエーテル)組成物、およびその組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールは、熱可塑性エラストマーにおいて中間体として広く使用されている。ラネーニッケル触媒の存在下にて、アンモニアおよび水素と共にポリオキシアルキレングリコールを使用して、ポリオキシアルキレンポリアミンを製造するプロセスが米国特許第3,236,895号明細書に開示されている。ポリ(エチレングリコール)誘導体もまた、J.Milton Harris(J.Macromolecular Science Reviews in Macromolecular Chemistry,1985,vol C−25,No.3,P325−373)によって報告されている。
【0003】
ポリ(トリメチレンエーテル)アミンは、ポリウレタン尿素ポリマーの鎖延長剤、エポキシ樹脂、ポリウレタンコーティングの硬化剤、ポリアミドを製造するための成分、ポリオールを製造するための開始剤、またはヘルスケア製品の添加剤など、様々な用途において有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、次式
【化1】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミン化合物である。
【0005】
本発明の他の態様は、次式
【化2】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化3】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールをチオニルハロゲン化物と、任意にジメチルホルムアミドと、任意に溶媒の存在下にて、約25℃未満の温度で接触させ、反応混合物を形成する工程;
b)反応混合物の温度を50〜150℃の温度に上昇させ、その上昇温度で反応混合物を約2〜24時間保持する工程;
c)次式
【化4】

(式中、XはClまたはBrである)
のポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を形成させる工程;
d)ポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物をアルカリ金属アジ化物1〜10モル当量と溶媒の存在下にて温度25〜200℃にて合わせ、次式
【化5】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドを形成する工程;
e)溶媒または溶媒混合物中で、圧力約15〜500psiおよび温度25〜200℃にて、ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを還元剤と、または水素ガス下にて触媒量の触媒と接触させ、以下の構造
【化6】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)アミンを形成する工程;
を含む方法である。
【0006】
本発明の更なる態様は、次式
【化7】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化8】

の鎖末端ヒドロキシル基を有するポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを提供し、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基を転化して、次式
【化9】

(式中、Zは、メシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレート、ヨージド(−I)からなる群から選択される)
の化合物を形成する工程;
b)工程(a)からの化合物をアルカリ金属アジ化物1〜10モル当量と溶媒の存在下にて温度25〜200℃にて合わせ、次式
【化10】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドを形成する工程;
c)溶媒または溶媒混合物中で、圧力約15〜500psiおよび温度25〜200℃にて、ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを還元剤と、または水素ガス下にて触媒量の触媒と接触させ、以下の構造
【化11】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)アミンを形成する工程;
を含む方法である。
【0007】
本発明の他の態様は、次式
【化12】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化13】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールをチオニルハロゲン化物と、任意に触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)と、任意に溶媒の存在下にて約25℃未満の温度で接触させ、反応混合物を形成する工程;
b)反応混合物の温度を50〜150℃の温度に上昇させ、反応混合物をその上昇温度で約2〜24時間保ち、次式
【化14】

(式中、Xは、ClまたはBrである)
のポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を形成する工程;
c)15〜500psiの圧力下および温度25〜150℃にて、ポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を無水アンモニアまたはアンモニア水と適切な溶媒との混合物と接触させ、次式
【化15】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む方法である。
【0008】
本発明の他の態様は、次式
【化16】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化17】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを次式
【化18】

(式中、Zは、メシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレートおよびヨージド(−I)からなる群から選択される)
の化合物へと転化する工程;
b)約15〜500psiの圧力下および温度25〜150℃にて、工程(a)からの化合物を無水アンモニアまたはアンモニア水と適切な溶媒との混合物と合わせ、次式
【化19】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む方法である。
【0009】
本発明の他の態様は、次式
【化20】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化21】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを提供し、その鎖末端ヒドロキシル基を転化して、次式
【化22】

のニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)を形成する工程;
b)水素および触媒の存在下にて温度50〜250℃、圧力80〜4000psiにて、そのニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)を還元し、次式
【化23】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む方法である。
【0010】
本発明のこれらのおよび他の態様は、本発明の開示内容および添付の特許請求の範囲に鑑みて、当業者には明らかであるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的かつ科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、本明細書は、定義、調整を包含する。
【0012】
本発明は、直鎖状アミン官能化ポリ(トリメチレンエーテル)組成物、およびそれを製造する方法を提供する。
【0013】
一般に、本明細書で開示される方法に従って製造される組成物は、ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンとして知られ、以下の構造
【化24】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
を有する。
【0014】
ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造するための、本明細書で開示される方法は一般に、以下の構造
【化25】

(式中、nは、4〜170、好ましくは4〜100である)
を有するポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを、そのグリコールと反応する化学化合物と接触させることによって開始される。
【0015】
別段の指定がない限り、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールまたはそれから誘導される化合物と接触される、特に反応物および触媒などの化合物に関して、本明細書で示される重量%は、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール化合物または誘導された化合物の重量に対するものである。
【0016】
一実施形態において、混合していない状態で、またはポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと相溶性の溶媒の存在下にて、一般に−78℃〜室温(例えば、約25℃)、通常約−20〜10℃、より通常には約0℃の範囲内の制御温度で、任意に理論量(80重量%まで)、または好ましくは触媒量(0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%)のジメチルホルムアミドを含有する塩化チオニルまたは臭化チオニルとポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを接触させ、反応混合物を形成する。適切な相溶性溶媒としては、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチル、エチルエーテル、エタノール、メタノール、アセトン、ジオキサン、テトラヒドロフランヘキサン、およびシクロヘキサンが挙げられる。溶媒の選択は一部、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの分子量に応じて異なる。アルコール、エステル、およびエーテルなどの極性溶媒は一般に、低分子量ポリマーに好ましく、ペンタン、石油エーテルおよびヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶媒は、高分子量ポリマーに好ましい。次いで、反応混合物の温度を50〜150℃、一般に50〜100℃の温度に上昇させ、攪拌しながらその上昇温度で約2〜約24時間保持し、それによって、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと反応させたチオニル化合物から誘導される、以下の構造
【化26】

(式中、Xは、ClまたはBrである)
を有する二ハロゲン化物化合物が形成される。
【0017】
次いで、得られたポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を適切な量のアルカリ金属アジ化物、例えば、アジ化ナトリウムと合わせ、ジメチルホルムアミド溶媒中で一般に25〜200℃、さらに一般的には50〜150℃の高温にて、溶媒、温度、および触媒の選択に応じて大気圧または圧力15〜150psiで、ハロゲン化物官能基をアジ化物官能基へと転化させ、以下の構造
【化27】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドを形成する。
【0018】
アルカリ金属アジ化物の好ましい量は、ハロゲン化物官能基に対して1〜10モル当量である。他の溶媒、好ましくは極性溶媒、例えば、水、アセトン、メタノール、イソプロパノール、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)およびその混合物などをこの反応に使用することができる。
【0019】
次いで、水素ガスの存在下で、周囲温度または高温、一般に25〜200℃、さらに一般的には50〜150℃にて、かつ大気圧または高圧、一般に15〜500psi、好ましくは20〜100psiにて、ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを触媒(一般に0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%)にさらし、目的のポリ(トリメチレンエーテル)アミンが形成される。適切な触媒は、活性炭に10重量%担持されたパラジウムであり、Sigma−Aldrichなどの製品供給業者から市販されている。しかしながら、コバルト−ニッケル、コバルトマンガン、ホウ化コバルト、銅コバルト、酸化鉄、亜鉛、ラネーニッケル、木炭担持またはアルミナ担持ロジウム、水酸化ロジウム、白金−ロジウム酸化物、または炭素担持白金等の様々な触媒を使用することができる。例えば、溶媒、反応圧力および共触媒の選択などの反応条件は、当業者によって変えることができる。代わりに、例えば、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素ナトリウム、および水素化アルミニウムリチウムなどの他の還元剤を単独で用いて、アジ化物をアミンへと転化することができる。
【0020】
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールは、反応して、他の基へと転化される鎖末端ヒドロキシル基を有する。一部の実施形態において、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基は、求核置換反応に対してより良い脱離基へと転化される。本明細書で使用される「より良い脱離基」とは、ヒドロキシル基より良い脱離基を意味する。求核置換反応と関連する脱離基は、March’s Advanced Organic Chemistry(4th Edition)by Michael B.Smith and Jerry March,John Wiley and Son’s Incの352−357ページに考察されている。かかるより良い脱離基を有する化合物としては、反応性エステル、オキソニウムイオン、および次式:
【化28】

(式中、Zは、例えばメシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレート、ヨージド(−I)である)
のフッ素化化合物が挙げられる。特に好ましい脱離基としては、−OMs(Msはメタンスルホニルである)、−OTs(Tsはトルエンスルホニルである)、−ONs(Nsはp−ニトロベンゼンスルホニルである)、−OBs(Bsはp−ブロモベンゼンスルホニルである)、−OTf(Tfはトリフルオロメタンスルホニルである)、ノナフレート(ノナフルオロブタンスルホネート)、およびトレシレート(2、2,2,−トリフルオロエタンスルホネート)からなる群から選択される基が挙げられる。方法の一実施形態は、ジクロロメタンまたはトルエンなどのポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと相溶性の溶媒の存在下にて、0℃以下の温度(一般に約−78〜0℃、さらに好ましくは約−20〜0℃)で例えば窒素もしくはアルゴンなどの不活性雰囲気下にて、上記に列挙される基などのよりよい脱離基を含む酸のハロゲン化物または無水物および塩基とポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを接触させることを含む。適切な塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、(重)炭酸ナトリウム、(重)炭酸カリウムなどの無機塩基、またはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、およびピリジンなどの有機塩基が挙げられる。ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと酸ハロゲン化物または酸無水物との反応が完了した後、反応混合物は任意に、例えば、HCl、HOAc、H2SO4、HNO3などの希酸で、またはイオン交換樹脂で中和され、次いで任意に濾過され、任意に、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチルなどの溶媒で抽出することによってさらに精製されて、以下の化学構造:
【化29】

のポリ(トリメチレンエーテル)化合物が得られる。
【0021】
好ましい脱離基を有する他の化合物としては、水、アセトン、メタノール、イソプロパノール、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、およびその混合物などの極性溶媒の存在下にて、鎖末端クロリドまたはブロミド官能化ポリ(トリメチレンエーテル)化合物をヨウ化ナトリウムまたはヨウ化カリウムなどのヨージド源でさらに処理することによって製造することができる、次式
【化30】

のヨージド(−I)が挙げられる。
【0022】
ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを直接ヨウ素化し、それによって、鎖末端ヒドロキシル基がヨージド基に転化されることによって、上記の鎖末端ヨージド官能化ポリ(トリメチレンエーテル)化合物を合成することもできる。例えば、Hajipourら(Tetrahedron Letters,2006,47,4191−4196)ならびにそれに参照される参考文献5−18に開示されるように、例えば、BF3−Et2O/NaI、I2、MgI2、トリフェニルホスフィン/ヨウ素/ImHなどの様々な試薬を使用することができる。
【0023】
次いで、より良い脱離基Zを含む、次式
【化31】

(式中、Zは、例えばメシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレート、またはヨージド(−I)である)
のポリ(トリメチレンエーテル)化合物を、溶媒(一般に、極性溶媒およびアルコール溶媒)の存在下にて高温(25〜200℃、さらに一般的には50〜150℃)で15〜150psiの圧力下または気圧下にて、十分な量のアジド源、一般にアルカリ金属アジ化物、例えばアジ化ナトリウムと合わせて、所望の程度のアジド官能基の転化を達成し、次式
【化32】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドが形成される。
【0024】
次いで、水素ガスの存在下にて高圧(15〜500psi、一般に20〜100psi)および周囲温度で、ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを触媒などの還元剤にさらし、それによって目的のポリ(トリメチレンエーテル)アミンが形成される。有用な還元剤としては、Pt、Pd、PtO2、Pd/C、およびラネーニッケル;トリフェニルホスフィン;水素化アルミニウムリチウムからなる群から選択される金属触媒;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、および水素化アミノホウ素リチウム(そのアミンは、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピロリジン、ピペリジン、およびモルホリンからなる群から選択される)からなる群から選択されるホウ化水素;亜鉛および塩化スズ(II)からなる群から選択される金属および金属塩;およびギ酸アンモニウム;などの触媒が挙げられる。好ましい反応溶媒は、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドなどの極性非プロトン性溶媒、またはメタノール、エタノール、およびイソプロパノールなどのアルコール溶媒である。触媒は好ましくは、木炭またはシリカ上に分散される。触媒および/または他の残存する還元剤は、還元工程が完了した後に除去することが望ましい。
【0025】
他の実施形態において、溶媒の存在下にて触媒量のジメチルホルムアミドを任意に含有するチオニルハロゲン化物とポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを反応させて、上述の二ハロゲン化物が形成され、次いでそれを高圧(15〜500psi)および高温(25〜150℃、好ましくは40〜100℃)でアンモニア水と適切な溶媒との混合物に溶解し、目的のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンが形成される。適切な溶媒は、好ましくはアンモニアと反応せず、ポリ(トリメチレンエーテル)中間体の可溶化を可能にする溶媒である。適切な溶媒としては、例えばアルコール溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびトルエンが挙げられる。
【0026】
さらに他の実施形態において、溶媒の存在下にて、理論量の、好ましくは触媒量のジメチルホルムアミドを任意に含有するチオニルハロゲン化物とポリ(トリメチレンエーテル)グリコールを反応させて、上述の二ハロゲン化物が形成され、次いでそれを高圧(15〜500psi)および高温(25〜150℃、好ましくは40〜100℃)で無水アンモニアにさらし、目的のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンが形成される。溶媒は好ましくは、アンモニアと反応せず、ポリ(トリメチレンエーテル)中間体の可溶化を可能にする。適切な溶媒としては、アルコール溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびトルエンが挙げられる。
【0027】
他の実施形態において、鎖末端ヒドロキシル基は、より良い脱離基へと転化される。特に好ましいより良い脱離基としては、−OMs(Msはメタンスルホニルである)、−OTs(Tsはトルエンスルホニルである)、−OTf(Tfはトリフルオロメタンスルホニルである)、トレシレート(2,2,2,−トリフルオロエタンスルホネート)、および−Iからなる群から選択される基が挙げられる。次いで、高圧(15〜500psi)下および周囲温度または高温(25〜150℃、好ましくは25〜80℃)にて、生成物をアンモニア水と適切な溶媒との混合物に溶解し、目的のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンが形成される。溶媒は好ましくは、アンモニアと反応せず、ポリ(トリメチレンエーテル)中間体の可溶化を可能にする。適切な溶媒としては、アルコール溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびトルエンが挙げられる。
【0028】
さらに他の実施形態において、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールと上述のより良い脱離基との反応によって形成される生成物は、高圧(15〜500psi)下および高温(25〜150℃、好ましくは25〜80℃)にて、無水アンモニアにさらされて、目的のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンが形成される。溶媒は好ましくは、アンモニアと反応せず、ポリ(トリメチレンエーテル)中間体の可溶化を可能にする。適切な溶媒としては、アルコール溶媒、極性非プロトン性溶媒、およびトルエンが挙げられる。
【0029】
さらに他の実施形態において、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基は、シアノエチル化反応によってニトリル基へと転化され、次式
【化33】

のニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)が形成される。
【0030】
シアノエチル化反応は一般に、触媒量の塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムおよびppmレベルのラジカル抑制剤、例えばモノメチルエーテルヒドリキノン(MEHQ)、ブチル化ヒドロキシルトルエン(BHT)などの存在下にて、アクリロニトリルを用いて行われる。シアノエチル化のプロセスは、例えばHarperらによるKirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Ed,1979,volume 7,page 370−385ならびにHarperらの文献に記載の参考文献に開示されている。
【0031】
次いで、ニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)化合物を還元して、次式
【化34】

のアミン末端ポリ(トリメチレンエーテル)化合物が形成される。
【0032】
ニトリルをアミンへと還元する一般的な反応条件は、de BellefonらによるCatalysis Reviews,Science and Engineering,1994,volume 36,issue 3,page 459−506ならびにBellefonらの文献に記載の参考文献に詳述されている。この反応に適した溶媒としては:水、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール)、エーテル溶媒(例えば、THF、ジオキサン)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼンおよびトルエン)、炭化水素溶媒(例えば、ヘキサンおよびオクタン)、またはその混合物が挙げられる。コバルト−ニッケル、コバルトマンガン、臭化コバルト、銅コバルト、酸化鉄、ラネーニッケル、木炭またはアルミナ担持ロジウム、水酸化ロジウム、白金−ロジウム酸化物、または炭素担持パラジウムまたは白金等の様々な触媒をこの反応に使用することができる。触媒の量は一般に、0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜10重量%である。反応温度は一般に、50〜250℃、さらに一般的には80〜150℃である。反応圧力は一般に、80〜4000psi、さらに一般的には150〜1500psiである。第2級アミンおよび第3級アミンの形成を最小限に抑えるために、塩基、酸、または無水物などの添加剤を使用することが望ましい。例としては、アンモニア、水酸化物、塩化水素、および無水酢酸が挙げられる。反応条件は、溶媒、反応圧力および共触媒の選択、当業者などによって異なる。
【0033】
本明細書に記載の方法によって生成されるポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンは、当業者に公知の簡便な方法によって精製することができる。特に有用な方法としては、溶媒で洗浄および抽出すること、1つまたは複数のイオン交換カラムに材料を通すこと、または分離膜を備えた透析装置を使用して、ジアミンを溶媒に対して透析にかけること、または活性炭で処理すること、または上記の組み合わせが挙げられる。精製に適している溶媒としては、ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンと相溶性である溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、イソプロパノール、エタノール、メタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、水、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)およびその混合物が挙げられる。
【0034】
本明細書に記載の方法では、直鎖状ジアミン部位を形成するために、出発成分としてポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(PO3G)が使用される。PO3Gという用語が本明細書で使用されている場合、それは、その反復単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位である、オリゴマーまたはポリマーエーテルグリコールを表す。反復単位のさらに好ましくは約75〜100%、またさらに好ましくは約90〜100%、さらに好ましくは約99〜100%が、トリメチレンエーテル単位である。
【0035】
PO3Gは好ましくは、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合によって、好ましくは酸触媒の存在下で製造され、その結果、−(CH2CH2CH2O)−結合(例えば、トリメチレンエーテル反復単位)を含有するポリマーまたはコポリマーが形成される。上記で示されるように、その反復単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位である。1,3−プロパンジオールの好ましい源は、再生可能な生体源を用いた発酵プロセスによるものである。再生可能な源からの出発原料の説明的な例として、トウモロコシ供給原料などの生物学的かつ再生可能な資源から生成される供給原料を用いた、1,3−プロパンジオール(PDO)への生化学的経路が記述されている。
【0036】
トリメチレンエーテル単位に加えて、それより少ない量の他の単位、他のポリアルキレンエーテル反復単位などが存在し得る。この開示内容の文脈において、「ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール」という用語は、実質的に純粋な1,3−プロパンジオールから製造されたPO3G、ならびにコモノマーを約50重量%まで含有するオリゴマーおよびポリマー(以下に記載されるものを含む)を包含する。
【0037】
PO3Gは、米国特許第7161045号明細書および米国特許第7164046号明細書に開示されるプロセスなど、当技術分野で公知の多くのプロセスによって製造することができる。
【0038】
上記で示されるように、PO3Gは、トリメチレンエーテル単位に加えて、それより少ない量の他のポリアルキレンエーテル反復単位を含有し得る。したがって、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの製造に使用されるモノマーは、1,3−プロパンジオール反応物に加えて、コモノマーポリオールを50重量%(好ましくは約20重量%以下、さらに好ましくは約10重量%以下、またさらに好ましくは約2重量%以下)まで含有し得る。PO3Gを製造するプロセスで使用するのに適しているコモノマーポリオールとしては、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、および3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール;脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビド;およびポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリトリトールが挙げられる。コモノマージオールの好ましい群は、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C6−C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオールなど)およびイソソルビド、およびその混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオール以外の特に好ましいジオールはエチレングリコールであり、さらにC6−C10ジオールが特に有用である。
【0039】
コモノマーを含有する好ましいPO3Gは、ポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールである。好ましいポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールは、1,3−プロパンジオール50〜約99モル%(好ましくは約60〜約98モル%、さらに好ましくは約70〜約98モル%)と、エチレングリコール50〜約1モル%まで(好ましくは約40〜約2モル%、さらに好ましくは約30〜約2モル%)との酸触媒重縮合によって製造される。
【0040】
好ましくは、PO3Gは、少なくとも約250、さらに好ましくは少なくとも約500、またさらに好ましくは少なくとも約1000のMn(数平均分子量)を有する。Mnは、好ましくは約10000未満、さらに好ましくは約5000未満、またさらに好ましくは約2500未満である。PO3Gのブレンドを使用することもできる。例えば、PO3Gは、高分子量PO3Gと低分子量PO3Gとのブレンドを含むことができ、好ましくは、高分子量PO3Gは数平均分子量約1000〜約5000を有し、低分子量PO3Gは数平均分子量約200〜約950を有する。ブレンドされたPO3GのMnは好ましくは、上記の範囲内である。
【0041】
好ましいPO3Gは、好ましくは約1.0〜約2.2、さらに好ましくは約1.2〜約2.2、またさらに好ましくは約1.5〜約2.1の多分散度(すなわちMw/Mn)を有する多分散PO3Gである。多分散度は、PO3Gのブレンドを使用することによって調節することができる。
【0042】
本明細書で開示される官能化ポリアミンは、ポリウレタン尿素ポリマーの鎖延長剤、エポキシ樹脂、ポリウレタンコーティングの硬化剤、ポリアミドを製造するための成分、ポリオールを製造するための開始剤、またはヘルスケア製品の添加剤など、様々な用途で使用するのに適している。
【実施例】
【0043】
TA Instruments Q2000でDSC測定を行った。窒素下にて速度10℃/分で−90〜100℃の加熱、冷却、および再加熱サイクルに試料をかけた。TGA測定をTA Instruments Q500で行った。窒素下にて速度5℃/分で試料を室温から500℃に加熱した。
【0044】
実施例1:
【化35】

ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(化合物1)(50.0g,Mn,NMR=652g/mol,Mn,SEC=699g/mol,PDI=1.44)をトルエン(150mL)およびDMF(0.237mL)に溶解した。その溶液混合物を0℃に冷却した。これに、塩化チオニル(73.1g,44.8mL)のトルエン(50mL)溶液をゆっくりと1.5時間にわたって添加した。混合物を0℃で1時間、周囲温度(約25℃)で30分間、85℃で3時間攪拌した。余分な塩化チオニルを真空下で除去した。粗生成物を塩化メチレン(150mL)に中性アルミナと共に再懸濁し、濾過し、濃縮して、化合物2(49.0g)を得た:1H NMR(CDCl3,500MHz)δ3.63(t,J=6.5Hz,4H),3.54(t,J=6.1Hz,4H),3.48(m,約34H),2.01(五重項,J=6.2Hz,4H),1.82(m,約17H);13C NMR(CDCl3,500MHz)δ68.62,68.53,68.37,67.80,42.60,33.44,30.78,30.73;IR:2804−2949,1489,1452,1375,1300,1256,1117,927,660cm-1;SEC:Mn=684g/mol,PDI=1.41;IV:0.043mL/g;Tg:−86℃;Tc:−50℃;Tm:−7,4℃;T50:204℃(TGAデータに基づく50%減量の温度)。TA Instruments Q2000でDSC測定を行った。窒素下にて速度10℃/分で−90℃〜100℃の加熱、冷却、および再加熱サイクルに試料をかけた。TGA測定をTA Instruments Q500で行った。窒素下にて速度5℃/分で試料を室温から500℃に加熱した。
【0045】
化合物2(40.0g)をDMF(200mL)に溶解し、アジ化ナトリウム(30.2g)を添加した。反応混合物を窒素下にて4時間、100℃に加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、定量的収率で化合物3を得た:1H NMR(DMSO−d6,500MHz)δ3.39(m,約42H),1.75(五重項,J=6.5Hz,4H),1.69(m,約17H);13C NMR(DMSO−d6,500MHz)δ67.52,67.43,67.39,67.27,48.34,30.34,29.98,28.97;IR:3518(DMF),2803−2949,2096,2063(DMF),1665(DMF),1489,1446,1373,1280,1115,941,779cm-1;SEC:Mn=701g/mol,PDI=1.38。
【0046】
化合物3(4.0g)のエタノール(10mL)溶液を圧力容器(100mL)に添加し、続いてパラジウム(活性炭担持10重量%,0.24g)を添加した。溶液混合物を水素(20psi)下にて周囲温度(約25℃)で一晩置いた。反応混合物を濾過し、濃縮して、化合物4を得た:1H NMR(DMSO−d6,500MHz)δ3.38(m,約42H),2.57(t,J=6.8Hz,4H),1.69(m,約20H),1.55(t,J=6.7Hz,4H);IR:3580(DMF),3392,3318,2804−2947,2056(DMF),1682(DMF),1627,1489,1445,1371,1328,1256,1115,933,771cm-1;SEC:Mn=701g/mol,PDI=1.38。
【0047】
実施例2:
【化36】

ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(化合物1)(80.0g)をトリエチルアミン(50.8mL)およびジクロロメタン(DCM)(800mL)と合わせた。窒素下で攪拌しながら、反応混合物を−10℃に冷却した。塩化メシル(23.7mL)のDCM(400mL)溶液をこれにゆっくりと添加した。40分後、反応混合物を濾過し、濾液を希HCl(0.5M)で洗浄した。合わせた有機層を重炭酸ナトリウム溶液(8重量%)、脱イオン水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物5(90.9g)を得た:1H NMR(CDCl3,500MHz)δ4.33(t,J=6.3Hz,4H),3.52(t,J=5.9Hz,4H),3.48(m,約36H),3.00(s,6H),2.00(五重項,J=6.1Hz,4H),1.82(m,約18H);13C NMR(CDCl3,500MHz)δ68.60,68.28,68.24,68.06,66.46,37.60,30.52,30.43,29.94;IR:2810−2957,1487,1445,1358,1265,1177,1115,980,951,845,530cm-1
【0048】
化合物5(10.0g)をメタノール(40mL)に溶解し、続いてアジ化ナトリウム(4.83g)を添加した。反応混合物を窒素下にて36時間、50〜55℃に加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、化合物3(9.2g)を得た:1H NMR(CDCl3,500MHz)δ3.48(m,約42H),3.38(t,J=6.7Hz,4H),1.82(m,約23H);13C NMR(CDCl3,500MHz)δ68.08,68.00,67.83,67.47,30.22,30.16,29.62;IR:2804−2949,2099,1486,1439,1373,1304,1265,1117,943,777cm-1;SEC:Mn=675g/mol,PDI=1.44;Tg:<−100℃;Tc:−63℃;Tm:−9,5℃;T50:354℃。
【0049】
実施例1に記載の条件と同様な条件下にて、化合物3を化合物4に転化した:1H NMR(CDCl3,500MHz)δ3.48(m,約42H),2.79(t,J=6.8Hz,4H),1.82(m,約19H),1.71(五重項,J=1.71Hz,4H),1.19(br s,4H);13C NMR(CDCl3,500MHz)δ69.42,68.29,67.96,39.82,33.73,30.36,30.22;IR:3397,3337,2806−2947,1628,1487,1485,1444,1373,1117,934,835cm-1;Tg:−83℃;Tc:−48℃;Tm:−5,7,10℃;T50:345℃。
【0050】
実施例3
【化37】

化合物2をアンモニア水/イソプロパノールの混合物に溶解する。反応混合物を圧力容器に入れ、60℃に加熱する。反応が完了した後、溶媒および試薬を真空下で除去する。イオン交換樹脂で、または透析により処理した後に、化合物4がその遊離アミン形で形成される。
【0051】
実施例4
【化38】

化合物2および無水アンモニアを密閉圧力容器内で合わせる。反応混合物を60℃に加熱する。粗製材料を水とイソプロパノールとの混合物に溶解し、続いてイオン交換樹脂で、または透析によって処理して、その遊離アミン形の化合物4が得られる。
【0052】
実施例5
【化39】

化合物5をアンモニア水/イソプロパノールの混合物に溶解する。反応混合物を圧力容器に入れ、60℃に加熱する。反応が完了した後、溶媒および試薬を真空下で除去する。イオン交換樹脂で、または透析により処理した後に、その遊離アミン形の化合物4が形成される。
【0053】
実施例6
【化40】

化合物5および無水アンモニアを密閉圧力容器内で合わせる。反応混合物を60℃に加熱する。粗製材料を水とイソプロパノールとの混合物に溶解し、続いてイオン交換樹脂で、または透析によって処理して、その遊離アミン形の化合物4が得られる。
【0054】
実施例7
【化41】

トルエン、ジオキサン、THFなどの適切な溶媒中で、化合物1を触媒量の水酸化ナトリウムおよびラジカル抑制剤モノメチルエーテルヒドロキノン(MEHQ)(10〜100ppm)と合わせる。次いで、0〜20℃で適切に冷却しながら、アクリロニトリル(化合物1のOH基に対して2〜10当量)を溶液混合物にゆっくりと添加して、発熱反応による過熱を避ける。反応混合物を30〜80℃で加熱して、完全に転化する。次いで、反応混合物を室温に冷却し、酢酸を一滴ずつ添加することによってクエンチする。溶媒ならびに未反応アクリロニトリルを真空下で除去し、反応混合物を塩化メチレンと水の間に分配する。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、化合物6が得られる。粗製化合物6を任意に、還元前にさらに精製する。
【0055】
アンモニアで飽和されたメタノールに化合物6を溶解し、続いて触媒量のラネーニッケルを添加する。溶液混合物を水素(150psi)下にて室温で一晩置く。触媒を濾過し、反応混合物を濃縮し、化合物4が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式
【化1】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミン。
【請求項2】
前記ポリ(トリメチレンエーテル)アミンが、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの重縮合から得られるポリ(トリメチレンエーテル)グリコールから形成される、請求項1に記載のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミン。
【請求項3】
次式
【化2】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化3】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールをチオニルハロゲン化物と、任意にジメチルホルムアミドと、任意に溶媒の存在下にて、約25℃未満の温度で接触させて、反応混合物を形成する工程;
b)前記反応混合物の温度を50〜150℃の温度に上昇させ、前記反応混合物を前記上昇温度で約2〜24時間保持する工程;
c)次式
【化4】

(式中、Xは、ClまたはBrである)
のポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を形成する工程;
d)溶媒の存在下にて、温度25〜200℃で前記ポリ(トリメチレンエーテル)をアルカリ金属アジ化物1〜10モル当量と合わせて、次式
【化5】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドを形成する工程;
e)溶媒または溶媒混合物中で、圧力約15〜500psiおよび温度25〜200℃にて、還元剤と、または水素ガス下で触媒量の触媒と前記ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを接触させて、以下の構造
【化6】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)アミンを形成する工程;
を含む、方法。
【請求項4】
工程(a)の前記溶媒がトルエンであり;工程(d)の前記アジ化物がアジ化ナトリウムであり、かつ工程(d)の前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールから選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(e)の前記触媒がパラジウム/炭素である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
次式
【化7】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化8】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基を脱離基へと転化して、次式
【化9】

(式中、Zは、メシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレート、ヨージド(−I)からなる群から選択される)
の化合物を形成する工程;
b)工程(a)からの前記化合物をアルカリ金属アジ化物1〜10モル当量と溶媒の存在下にて温度25〜200℃にて合わせ、次式
【化10】

のポリ(トリメチレンエーテル)アジドを形成する工程;
c)溶媒または溶媒混合物中で、圧力約15〜500psiおよび温度25〜200℃にて、前記ポリ(トリメチレンエーテル)アジドを還元剤と、または水素ガス下にて触媒量の触媒と接触させ、以下の構造
【化11】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)アミンを形成する工程;
を含む方法。
【請求項7】
次式
【化12】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化13】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールをチオニルハロゲン化物と、任意に触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)と、任意に溶媒の存在下にて、約25℃未満の温度で接触させて、反応混合物を形成する工程;
b)前記反応混合物の温度を50〜150℃の温度に上昇させ、前記反応混合物を前記上昇温度で約2〜24時間保持して、ポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物;
【化14】

(式中、Xは、ClまたはBrである)
を形成する工程;
c)前記ポリ(トリメチレンエーテル)ハロゲン化物を無水アンモニアと、またはアンモニア水と適切な溶媒との混合物と、圧力15〜500psi下にて、温度25〜150℃で接触させ、次式
【化15】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む、方法。
【請求項8】
次式
【化16】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化17】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基をより良い脱離基に転化し、次式
【化18】

(式中、Zは、メシレート(−OMs)、トシレート(−OTs)、ノシレート(−ONs)、ブロシレート(−OBs)、トリフレート(−OTf)、ノナフレート、トレシレートおよびヨージド(−I)からなる群から選択される)
の化合物を形成する工程;
b)圧力約15〜500psiおよび温度25〜150℃にて、工程(a)の前記化合物を無水アンモニアまたはアンモニア水と溶媒との混合物と合わせ、次式
【化19】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む方法。
【請求項9】
次式
【化20】

のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを製造する方法であって:
a)次式
【化21】

のポリ(トリメチレンエーテル)グリコールの鎖末端ヒドロキシル基をニトリル基へと転化し、次式
【化22】

のニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)を形成する工程;
b)水素および触媒の存在下にて、温度50〜250℃、圧力80〜4000psiにて、前記ニトリル末端ポリ(トリメチレンエーテル)を還元し、次式
【化23】

(式中、nは、4〜170である)
のポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを形成する工程;
を含む方法。
【請求項10】
前記ポリ(トリメチレンエーテル)グリコールが生物学的に誘導されている、請求項3から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを精製することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記精製が、
(a)溶媒で洗浄し、かつ抽出することによって、前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを処理すること;
(b)1つまたは複数のイオン交換カラムに通すことによって、前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを処理すること;
(c)膜を通して溶媒に対して透析することによって、前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを処理すること;
(d)活性炭で前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを処理すること;
(e)(a)〜(d)の組み合わせを用いて、前記ポリ(トリメチレンエーテル)ジアミンを処理すること;
からなる群から選択される方法を含む、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513465(P2012−513465A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543516(P2011−543516)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/062286
【国際公開番号】WO2010/074804
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】