説明

相互作用的なライブメッシュの区分けのためのシステム及び方法

解剖学的構造の区分けのためのシステム及び方法であって、一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT、MRI等を通して取得される体積の画像における、標準的な生体構造の区分けのためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
区分け(Segmentation)とは、画像から解剖学的構造を抽出する過程である。医学の分野における多くのアプリケーションは、CT、MRI及び他の医用画像の形態を通して取得される体積の画像(volumetric image)において、標準的な生体構造の区分けを必要とする。臨床医又は他の専門家は、治療計画のために区分けをよく用いる。区分けは、手動で実行され得る。ここで臨床医は、個々の画像の断片(slice)を調査し、それぞれの断片において関係のある臓器の二次元の輪郭を描く。次に、手描きの輪郭は、その関係する臓器の三次元表現を生成するために組み合わされる。あるいは、臨床医は、臨床医の関与なしに、画像の断片を調査して関係のある臓器の二次元の輪郭を決定する自動区分けアルゴリズムを用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
画像の断片の手描きによる輪郭を用いる区分けは、しかしながら、多大な時間を必要とし、一般的な正確さはおよそ2から3ミリメートル以下ほどである。輪郭を手描きするとき、臨床医は、しばしば多くの画像を調査する必要がある。また、手描きによる輪郭は、臨床医によって異なり得る。さらに、自動化アルゴリズムは、全ての標準的な区分けの課題を解くためには、しばしば十分に信頼できない。自動化アルゴリズムによって取得された結果に修正を施すことは困難であり、直感に反する可能性がある。
【0004】
多くの自動区分けアルゴリズムの結果、多数の三角形からなるメッシュとして表現される、三次元表面が得られる。その結果に修正を加えるために、直感的なメッシュの相互作用(interaction)のツールが必要である。例えば、頂点の明示的な変異(explicit displacement)のような、メッシュとの相互作用に対するいくつかのアプローチは、特定の領域において、不規則な表面あるいは大きな三角形/ポリゴン(polygon)を有するメッシュをしばしばもたらす。さらに、画像の二次元の再配列された(reformatted)断片の表示において修正を行うことが好ましいため、画像における望ましくない変更が、しばしば再配列された面から離れて発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
解剖学的構造を区分けする方法は:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネ(pull spring)を前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を有する。
【0006】
解剖学的構造を区分けするシステムは:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始し;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる;プロセッサと、前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する;ディスプレイと;ユーザが前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加できるよう構成され、一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させるユーザインターフェースと;を有する。
【0007】
コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、コンピュータに:一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;を実行させるためのプログラムを記録する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一つの例示的な実施形態に従うシステムの概略図である。
【図2】一つの例示的な実施形態に従う方法のフローチャートである。
【図3】他の一つの実施形態に従う方法のフローチャートである。
【図4】他の一つの実施形態に従う方法のフローチャートである。
【図5】一つの例示的な実施形態に従う表面メッシュ(surface mesh)の一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで説明される例示的な実施形態は、以下の説明及び添付される図面への参照とともに、さらに理解され得る。図面において、同様の要素は、同一の参照番号と共に参照される。例示的な実施形態は、CT、MRI等を通して取得される体積の画像における、標準的な生体構造の区分けのためのシステム及び方法に関する。特に、例示的な実施形態は、直感的な方法で、二次元(2D)の再配列された表示において、おおよその区分けに対して修正を加えるための方法を説明する。当業者は、例示的な実施形態が臓器の区分けについて説明するが、以下のシステム及び方法が体積の画像から、あらゆる三次元(3D)の解剖学的構造を区分けするために用いられ得ることを理解するだろう。
【0010】
図1における一つの例示的な実施形態によると、システム100は、臓器又は他の解剖学的構造の最初の区分けに対する修正を加えることができる。システム100は、最初の区分けを完了するため、(例えば、MRI、CTを通して取得される)一連の体積の画像に関する区分けアルゴリズムを処理することができる、プロセッサ102を有する。区分けアルゴリズムは、最初の区分けを完了するために、(ユーザの関与しない)自動か半自動かいずれかで動作する。自動の動作においては、区分けアルゴリズムは画像の断片を分析し、最初の区分けを完了するために、ユーザの関与なく画像の断片の中の関係のある臓器の二次元の輪郭を決定する。半自動の動作においては、ユーザは輪郭又は画像の詳細を選択することができ、次に、アルゴリズムはこの選択に基づき最初の区分けを完了することができる。最初の区分けは、表面メッシュ(surface mesh)によって表現される。プロセッサ102は、システム100のユーザインターフェース104を通じてユーザ入力をさらに解釈することができる。システム100は、表面メッシュの表現を表示するためのディスプレイ106及び区分けアルゴリズムと、体積の画像と、最初の表面メッシュの表現との少なくとも一つを保管するためのメモリ108をさらに有する。メモリ108は、あらゆる既知の種類のコンピュータが読み取り可能な記憶媒体である。当業者は、システム100がパーソナルコンピュータ、サーバ又はあらゆる他の処理装置であることを理解するだろう。
【0011】
図2に示されるように、方法200は、ステップ210において、一連の体積の画像の中の、画像化された臓器又は他の解剖学的構造の最初の区分けを完了するために、区分けアルゴリズムを開始する段階を有する。最初の区分けは、頂点とエッジから形成される三角形のポリゴンからなる表面メッシュによって表現される。例えば、図5は、頂点とエッジを有する表面メッシュの一部分の例を示す。当業者は、表面メッシュが一つのモデルの役割を果たし、あるいはユーザインターフェース104を通じて相互作用的に修正されることのできる臓器を意味することを理解するだろう。ステップ220において、プロセッサ102は、体積のメッシュをさらに生成する。体積のメッシュは、体積のメッシュの頂点及びエッジが区分けアルゴリズムによって形成される表面メッシュの頂点及びエッジの中に存在するように、表面メッシュの中に含まれる。体積のメッシュは、表面メッシュの頂点及びエッジのそれぞれに対応する頂点及びエッジを含む。
【0012】
ステップ230において、プロセッサ102は、表面メッシュの頂点及びエッジに、質点及びバネ(spring)をそれぞれ割り当てる。表面メッシュのそれぞれの頂点が質点に対応するとともに、表面メッシュのそれぞれのエッジはバネに対応する。それぞれのバネの静止長は、表面メッシュの対応するエッジの長さと実質的に等しくなり得る。簡単なバージョンでは、それぞれの質点は単位質量を有し、それぞれのバネは同一のバネ係数を有する。しかしながら、当業者は、質点とバネ係数は、表面メッシュが表現する臓器又は他の解剖学的構造についての予備知識に従って変化し得ることを理解するだろう。例えば、臓器又は構造のいくつかの部分は、他の部分より、より堅く、あるいはより強固であり得る。さらに、鏡像力(image force)が、画像勾配に基づき、頂点の質点の重み付けにより追加され得る。画像勾配は、高い質点が高い画像勾配である頂点に割り当てられるような一つの対象境界を表し、頂点が画像化された臓器の表面に対応する場合には不要な移動を防ぐ。ステップ240において、再配列された2Dの表示は、ディスプレイ106上に表示される。再配列された2Dの表示は、画像化された臓器とともに表面メッシュの2Dの表示を含む。当業者は、再配列された2Dの表示が、表面メッシュ及び画像化された臓器の2D画像を表示するために再配列されている、一連の体積の画像からの一画像であることを理解するだろう。当業者は、表面メッシュが、表示される画像の中の画像化された臓器の位置に対応する位置に表示されることも理解するだろう。
【0013】
一度、表面メッシュが適切に質点及びバネを割り当てられると、引きバネ(pull spring)が、表面メッシュを相互作用的に修正するために、表面メッシュへと追加される。ステップ250において、表面メッシュの一つの表面上の一つの点が選択される。表面メッシュ上の一つの表面上の一つの点は、ユーザインターフェース104を通じて、ユーザにより選択される。例えば、ユーザインターフェース104はマウスを含む。マウスは、表面メッシュ上の一つの点を示し、クリックするために用いられ得る。あるいは、ユーザインターフェース104は、ディスプレイ106上の表面メッシュの表面上の一つの点をタッチすることにより選択できるよう、タッチインターフェースを含み得る。ユーザは、ランダムにか、ユーザが補正又は修正することを望む表面の一部分に一致するかにより、一つの点を選択する。選択された点は、相互作用の点であり得る。
【0014】
他の一つの実施形態において、選択された点は、表面メッシュの表面上の特徴点であり得る。特徴点は、プロセッサ102により、あるいはユーザインターフェース104を通じてユーザにより特定され得る。当業者は、特徴点を特定することにより、鏡像力が表面メッシュに追加されることを理解するだろう。例えば、プロセッサ102は、特徴点の近くにマウスポインタを置くことにより、特徴点に対してポインタが“スナップ(snapping)”し、その結果特徴点を選択できるように、一つの点(例えば、角(corner)の特徴)又は輪郭(例えば、勾配の特徴)の一般的な特性を示す特徴点を特定することができる。当業者は、ユーザが表面メッシュの表面上の一つ以上の点を選択し得ることを理解するだろう。当業者は、選択された点がユーザによって変更可能であるように(例えば、特徴点と一致して)設定され得ることを理解するだろう。
【0015】
ステップ260において、プロセッサは、表面メッシュ上でfast-marching法を実行し、ユーザにより選択された点から開始する。当業者は、fast-marching法が、境界値の公式化(formulation)の方法であることを理解するだろう。fast-marching法は、タイムスタンプを表面メッシュ上の頂点のそれぞれに割り当てる。それぞれの頂点のタイムスタンプは、選択された点からの頂点の距離によって決定される。したがって、選択された点からより遠い頂点は、より高いタイムスタンプが割り当てられるとともに、選択された点により近い頂点は、より低いタイムスタンプが与えられる。fast-marching法は、表面メッシュの表面のポリゴン(例えば、三角形)の局所方向も考慮に入れる。例えば、面法線(surface normal)の差は、高い時間コストを招き得る。一度、fast-marching法が実行されていると、表面メッシュの一区画は、ステップ270において、時間閾値に基づいて選択される。例えば、選択された一区画は、特定の時間の中で到達される全てのポリゴンを含む。当業者は、時間閾値は、使用に先立ってユーザによりあらかじめ定められ得ることを理解するだろう。したがって、プロセッサ102は、所定の閾値に従って、区画を自動的に選択し得る。当業者は、しかしながら、その区画は、使用している間にユーザにより定められる閾値に基づいて、ユーザにより選択され得ることを理解するだろう。
【0016】
ステップ280において、引きバネが区画の中の頂点のそれぞれに付される。引きバネは、引きバネの第一の端部が表面メッシュの頂点に付され、同時に引きバネの第二の端部が体積のメッシュの対応する頂点に付される。それぞれの引きバネの静止長はゼロであるだろう。それぞれの引きバネのバネ係数は、対応する頂点の対応するタイムスタンプに従って重み付けされる。例えば、引きバネは、より近い引きバネに関してダウン加重(down-weighted)であり得る。あるいは、より高いタイムスタンプを有する頂点は、より高い質量と一致し、頂点が移動できないよう固定され得る。当業者は、より高い質量又は固定の頂点は、頂点が移動できないように、相互作用についての選択された点からはかけ離れた表面メッシュへの直感的でない変更を妨げることを理解するだろう。当業者は、ステップ270が必須でないことも理解するだろう。一区画が選択されない場合、引きバネは単に、選択された点から、選択された点に最も近い表面メッシュの頂点に最も近い頂点に付される。
【0017】
ステップ290において、ユーザは、相互作用の点を通じて表面メッシュの表面を相互作用的に移動させる。相互作用の点は、ステップ250において選択された点であり得る。相互作用の点は、点(例えば、角の特徴)又は輪郭(例えば、勾配の特徴)についての一般的な特性を示す特徴点でもあり得る。相互作用の点は、所望の位置へと移動させられる。所望の位置は、再配列された2Dの表示における、画像化された臓器の表面上の対応する点であり得る。当業者は、相互作用の点が特徴点に近い場合、特徴点は相互作用の点の移動を可能にするために削除され得る。相互作用の間に、数値ソルバ(numerical solver)は、選択された点の移動が、頂点のそれぞれに付された引きバネを通じて、表面メッシュの表面を移動させるように、表面メッシュのそれぞれの頂点に対して、継続的にニュートン方程式を解く。それぞれの引きバネは、タイムスタンプに基づいて異なるバネ係数が割り当てられ得るので、当業者は、それぞれの頂点が、表面メッシュの表面が直感的な方法で移動するように、変動する距離を移動させ得ることを理解するだろう。頂点のそれぞれが移動させられる距離は、ニュートン方程式F=maを用いて計算される。ここで、a=d(dx/dt)であり、Fは頂点上で働く力であり、mは頂点の質量であり、xは頂点の位置である。したがって、当業者は、頂点のそれぞれによって移動させられる距離は、選択された点(すなわち、相互作用の点)からの距離に基づいて決定されることを理解するだろう。プロセッサ102は、例えばオイラー ルンゲ・クッタ法のような、あらゆる標準的なソルバを用いる。ソルバは、システム100のメモリ108にプリロードされるか、又は利用可能となっている。当業者は、ステップ250−290が、表面メッシュが要望通り修正されるまで繰り返され得ることを理解するだろう。
【0018】
他の一つの実施形態において、ステップ290の相互作用の点は、表面メッシュの形態に基づいて選択される。例えば、表面メッシュがギザギザである場合、表面メッシュのギザギザの角が選択され、角の端部の距離マップが決定され、ギザギザのエッジを減らすように差し引かれる。さらなる一つの一実施形態において、ステップ290の相互作用の点は、ユーザインターフェース104を通じてユーザによって移動させられる可動型ボール(steerable ball)又は点である。可動型ボールは、二次元か三次元であり、可動型ボールの球の中に収まるあらゆる頂点は、可動型ボールの運動と調和して頂点を移動させるために、引き付けられ、あるいは跳ね返されるように、引力/斥力を作る。例えば、引力/斥力の力は、公式を用いて決定される。
【0019】
【数1】

ここで、xは可動型ボールの位置であり、rmaxは可動型ボールの半径であり、ε=±1であり、r=x-cであり、cは可動型ボールの中心である。
【0020】
図3は、上で説明した方法200と実質的に同様である方法300を示す。方法300は、相互作用の点についてのユーザ選択において異なる。ステップ310−340は、方法200のステップ210−240と実質的に同様である。方法300は、ステップ310において、区分けアルゴリズムを開始する段階を有する。ステップ310は、方法200のステップ210で説明したのと同様に、最初の区分けを完了する。最初の区分けは、頂点とエッジからなる表面メッシュを生成する。ステップ320において、最初の区分けの表面メッシュの中で、体積のメッシュが形成される。ステップ330において、プロセッサ102は、表面メッシュの頂点のそれぞれに質点を割り当て、エッジのそれぞれにバネを割り当てる。ステップ340において、ディスプレイ106は、ユーザが表面メッシュ上でなされるべき変更を決定できるよう、画像化された臓器の2Dの表示と一致する、表面メッシュの2Dの表示の再配列された2Dの表示を表示する。
【0021】
ステップ350において、ユーザは画像化された臓器の輪郭を描画する。2Dの輪郭は、例えばLivewireのような、ユーザが画像化された臓器の表面上で選択された点に基づいて輪郭を描くことができる、描画ツールを用いて描画され得る。Livewireは、画像化された臓器の表面の中で描くため、点のそれぞれの間を接続する線を描画するために、ユーザによって用いられる。当業者は、選択された、画像化された臓器の表面上の点がより多いとき、画像化された臓器の2Dの輪郭はより正確になることを理解するだろう。したがって、当業者は、ユーザが要望通りに、画像化された臓器の表面上のあらゆる数の点を選択し得ることを理解するだろう。
【0022】
ステップ355において、2Dの輪郭の点は、次に、表面メッシュの一つの表面上の点に接続される。2Dの輪郭の点のそれぞれのために、ユーザは、2Dの輪郭が接続されるべき、表面メッシュの表面の点を選択する。ステップ360において、表面メッシュの表面上の選択される点のそれぞれのために、プロセッサ102は、ステップ260と同様にfast-marching法を実行し、タイムスタンプを表面メッシュの頂点のそれぞれに割り当てる。ステップ360−390は、方法200に関して上で説明したように、ステップ260−290と実質的に同様である。したがって、ステップ370において、一区画が時間閾値に基づいて選択され、ステップ380において、引きバネが選択された区画の中の頂点のそれぞれに付される。当業者は、ステップ370が必須でないことを理解するだろう。一区画が選択されないとき、ステップ380において、引きバネは、2Dの輪郭の一つの点から、2Dの輪郭の点に最も近い表面メッシュの頂点へ追加され得る。ステップ390において、プロセッサ102は、表面メッシュの表面上の選択された点が2Dの輪郭の上の点と接続されるとき、頂点が移動する距離を決定するために、そこへ付される引きバネを有する頂点のそれぞれのためにニュートン方程式を計算する。当業者は、ステップ360−390は、2Dの輪郭の上の点と接続されるべき、ユーザによって選択される、表面メッシュの表面上の点のそれぞれのために繰り返され得ることを理解するだろう。
【0023】
図4において示されるように、他の実施形態において、方法400は、ステップ410において、ディスプレイ106上の画像化された臓器又は他の解剖学的構造の再配列された2Dの表示を表示する段階を含む。ステップ420において、ユーザは画像化された臓器の2Dの輪郭を描画する。2Dの輪郭は、例えばLivewireのような、ユーザが画像化された臓器の表面上で選択された点に基づいて輪郭を描くことができる、描画ツールを用いて描画され得る。Livewireは、画像化された臓器の表面の中で描くため、点のそれぞれの間を接続する線を描画するために、ユーザによって用いられる。当業者は、選択された、画像化された臓器の表面上の点がより多いとき、画像化された臓器の2Dの輪郭はより正確になることを理解するだろう。したがって、当業者は、ユーザが要望通りに、画像化された臓器の表面上のあらゆる数の点を選択し得ることを理解するだろう。
【0024】
あるいは、Dericheフィルタが、画像の中の構造が描かれ、2Dの輪郭がプロセッサ102によって決定されるように、3Dのエッジと特徴の検出のために用いられる。Dericheフィルタは特徴値を認識する。次に、特徴値は、構造の外形がはっきりと可視になるように、特徴探索の間に補間される(interpolated)。
【0025】
ステップ430において、プロセッサ102は、例えばエッジがぼやけるように2Dの輪郭の解像度を削減することにより、描画された2Dの輪郭をダウンサンプリングする。当業者は、2Dの輪郭のダウンサンプリングが、描画された2Dの輪郭の厚さを増加すると同時に、2Dの輪郭のあらゆる鋭利なエッジを減少することを理解するだろう。プロセッサ102は、次に、ステップ440において、ダウンサンプリングされた2Dの輪郭の厚さの距離マップを生成し、ダウンサンプリングされた2Dの輪郭の外側のエッジ及び内側のエッジの間の距離を測定する。ステップ450において、距離マップは、例えばガウス分布を用いて、距離マップの中の2Dの輪郭の点がステップ460において正規化の勾配の方向に引き寄せられるように、ダウンサンプリングされた2Dの輪郭を正規化するために用いられる。距離マップの中で点を移動させることにより、画像化された構造の表面により近い、2Dの輪郭の滑らかな表面が生成される。当業者は、ステップ420−460は、2Dの輪郭が十分に画像化された臓器の表面に近くなるまで、必要に応じて繰り返され得ることを理解するだろう。
【0026】
例示的な実施形態又は例示的な実施形態の一部は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に保管される命令のセットとして実装されることができることに注意する。ここで、命令のセットは、プロセッサによって実行される。
【0027】
様々な変更及びバリエーションが、ここで説明される構造及び方法でなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本開示書は、添付されるクレーム及びその均等物の範囲内のあらゆる変更及びバリエーションをカバーするよう意図される。クレームは、PCT規則6.2(b)に従って参照符号/参照番号が含まれ得ることにも注意する。しかしながら、本クレームは、参照符号/参照番号に対応する例示的な実施形態に限定されるものとみなされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造を区分けする方法であって:
一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;
バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;
前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;
前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;
一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;
を有する、方法。
【請求項2】
前記表面メッシュの中で直接に、前記表面メッシュの頂点及びエッジに対応する頂点及びエッジを含む体積のメッシュを形成する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された一点から、前記選択された一点からの距離に基づくタイムスタンプを前記表面メッシュの頂点のそれぞれに割り当てるfast marching法を実行する段階
をさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
タイムスタンプ値の閾値に基づいてポリゴンの一区画を選択する段階
をさらに有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記相互作用の点は前記表面メッシュの前記表面上の前記選択された一点である、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
引きバネは前記区画の頂点のそれぞれに追加される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記引きバネの第一の端部は前記表面メッシュの頂点に付され、さらに前記引きバネの第二の端部は前記体積のメッシュの対応する頂点に付される、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記引きバネのそれぞれは静止長がゼロである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記引きバネのバネ係数は対応する前記タイムスタンプ値に基づいて重み付けされる、
請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記頂点のそれぞれの質点は、対応する前記タイムスタンプ値に基づいて重み付けされる、
請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記頂点のそれぞれの質点は、画像勾配に基づいて重み付けされる、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記解剖学的構造の、互いに接続される複数の点を含む2Dの輪郭を描画する段階
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記2Dの輪郭の複数の点の一つを、前記表面メッシュの表面上の選択された一点と接続する段階
をさらに有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
解剖学的構造を区分けするシステムであって:
一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始し;
バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる;
プロセッサと、
前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する;
ディスプレイと;
ユーザが前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加できるよう構成され、
一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる
ユーザインターフェースと;
を有する、システム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記表面メッシュの中で直接に、前記表面メッシュの頂点及びエッジに対応する頂点及びエッジを含む体積のメッシュを形成する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記選択された一点から、前記選択された一点からの距離に基づくタイムスタンプを前記表面メッシュの頂点のそれぞれに割り当てるfast marching法を実行する、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ユーザインターフェースは、ユーザがタイムスタンプ値の閾値に基づいてポリゴンの一区画を選択できるよう構成され、
プロセッサは、引きバネを前記区画の中の頂点のそれぞれに追加する、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ユーザインターフェースは、ユーザが前記解剖学的構造の、互いに接続される複数の点を含む2Dの輪郭を描画できるよう構成される、
請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記ユーザインターフェースは、ユーザが前記2Dの輪郭の複数の点の一つを、前記表面メッシュの表面上の選択された一点と接続できるよう構成される、
請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータに:
一連の体積の画像から、前記解剖学的構造の、頂点及びエッジを含む複数のポリゴンから形成される表面メッシュを生成する区分けアルゴリズムを開始する段階と;
バネを前記表面メッシュの前記エッジのそれぞれに割り当て、さらに質点を前記表面メッシュの前記頂点のそれぞれに割り当てる段階と;
前記表面メッシュ及び前記解剖学的構造の2Dの表示を含む、再配列された2Dの表示を表示する段階と;
前記表面メッシュの表面上の選択された一点に基づいて引きバネを前記表面メッシュに追加する段階と;
一つの相互作用の点を通じて前記表面メッシュの一部分を移動させる段階と;
を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−522558(P2012−522558A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502835(P2012−502835)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050897
【国際公開番号】WO2010/113051
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】