説明

相互情報共有システム

【課題】 遠隔会議システムなどの相互情報共有システムにおいて、会議中および会議後の保存ファイル(議事録)における手書きデータの入力者(=発言者)を確認することができるシステムを提供すること。
【解決手段】 データが入力された拠点端末が入力されたデータを各端末に送信する時に、データと一緒に端末ごとにユニークな拠点IDを配信し、データを受信した各端末はそのデータと拠点IDを組として、データ情報リストに保存し、データの表示時は、データと一緒にその拠点情報を表示する。また、データのファイルへの保存時も、データと拠点IDの組を保存し、読み込み時は、データと一緒にその拠点情報を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば遠隔会議システムにおける遠隔会議端末などのネットワークに接続可能な端末を有する相互情報共有システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク技術の発達によって、遠隔地にある端末同士を接続し、双方向に情報を共有できるようになっている。遠隔地にある工場間を接続することで、映像や音声、会議の資料データ、資料データの上に注釈を入れるのに必要なオブジェクトデータを共有でき、これらの技術を用いた遠隔会議システムが普及し始めている。
従来の遠隔会議システムは、複数の遠隔会議端末がネットワークに接続され、サーバ等に設けられたデータ共有部によってデータの共有を行う。それぞれの遠隔会議端末には入力装置が接続され、共有化された資料データに対してのオブジェクト入力操作を双方から行うことができる。また、こうして作成されたデータは議事録として保存することが可能である。
この種の従来技術として下記の特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2006−5589 この特許文献1に開示されたものは、議事録などのデータの印刷時に属性を表示させるものであるが、遠隔会議中にリアルタイムに当該データを作成した(会議で発言した)拠点属性を表示したり、また保存済みのデータ表示時(議事録表示時)に作成拠点に関する属性の表示・非表示を切り替えることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の会議であれば、声と顔により発言者が分かるが、手書きデータによる遠隔会議の場合は、複数の拠点から手書きデータを書きこまれると、誰が何を書いているのか分からなくなる。
また、会議後の保存済みのデータを議事録として表示する場合、各データを誰が書いたのか確認することができない。つまり、発言者を確認することができない。
【0005】
本発明の目的は、会議中または会議後に、どの発言を誰がしたのかを把握可能にし、その結果として、会議の進行をスムーズにし、会議後のデータの議事録の作成を容易にすることができる相互情報共有システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る相互情報システムは、オブジェクト共有手段を有する複数の端末装置から成る相互情報共有システムであって、
前述端末装置が、
前記複数の端末装置における操作者などの拠点情報を拠点識別情報と共に記憶した第1の記憶手段と、
入力手段を用いて操作者によって入力されたデータに対し自装置の拠点識別情報を付加して他の端末装置に送信する手段と、
他の端末装置から受信したデータに付加された拠点識別情報により前記第1の記憶手段を検索し、当該拠点識別情報に対応した拠点情報を取得し、他の端末装置から受信したデータについてその送信元における操作者などの拠点情報を受信データに付加して表示すると共に、他の端末装置から受信したデータについてその送信元における操作者などの拠点情報を付加して記憶する第2の記憶手段とを備えることを特徴とする。
また、指定されたデータについてのみ拠点情報を表示・非表示にする切り替え手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各端末から入力されたデータには操作者などの拠点識別情報が付加された他の端末に送信し、各端末においては拠点識別情報に基づき操作者などの拠点情報を付加して受信データを表示するため、例えば遠隔会議システムにおける遠隔会議中または会議後に、どの発言を誰がしたのを一目瞭然に把握可能になり、結果的に、会議の進行をスムーズにし、会議後のデータの議事録の作成を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る相互情報共有システムの一実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る相互情報共有システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
本実施形態の相互情報共有システムは、複数のクライアント端末101,102をネットワーク接続することによって実現するデータ共有部103を備えている。
各クライアント端末101,102には、それぞれ電子ペンやマウスなどのクライアント入力装置104,105が接続されており、手書きメモなどの図形データの入力を行うことが可能である。
このデータ共有はサーバモジュール経由で各クライアント端末101,102にデータを配信するか、サーバモジュールなしでクライアント端末同士でデータを配信することにより行われる。
【0009】
図2は、各クライアント端末における操作者などの拠点情報の表示が可能な相互情報共有システムの一例を示した概略図である。
遠隔会議参加前に拠点情報登録部201は、クライアント端末Aの拠点情報を拠点情報ファイル210に格納する。
遠隔会議への参加時、参加処理部202は、拠点情報ファイル210から拠点情報を取り出し、データ送信部211へ渡す。また、参加処理部202は、クライアント端末Aにユニークな拠点IDを生成する。
データ送信部211は、遠隔会議に参加しているクライアント端末すべてへ拠点情報を配信することで、各クライアント端末の拠点情報を全クライアント端末で共有する。(サーバモジュールを使用する場合は、クライアント端末Aからサーバモジュールで拠点情報を送付後、サーバモジュールが、クライアント端末すべてへ拠点情報を配信する)。
クライアント端末は、拠点情報を受信した場合、拠点情報リスト213に拠点情報を格納する。
データ入力装置209により入力があった場合、データ入力部203により入力を手書きデータなどの図形データに構成し、データ情報リスト212に格納すると同時にデータ表示部204により、表示装置208にデータを表示する。そして、この図形データと拠点IDを通信部211に渡す。
通信部211は、会議に参加しているクライアント端末すべてへ図形データと拠点IDを配信することで、図形データとその図形データを作成したクライアント端末の拠点IDを全クライアント端末で共有する。
クライアント端末は、通信部211から、図形データと拠点IDを受信した場合、データ情報リスト212に図形データを格納し、データ表示部204に図形データを渡すことで、表示装置208に図形を表示する。また、拠点IDに対応した拠点情報を拠点情報リスト213から取り出し、データ表示部204により表示装置208に表示する。
【0010】
データ入出力部206により、データをファイルに保存する際は、拠点情報リスト213およびデータ情報リスト212の内容を保存する。
データ入出力部206により、データをファイルから読み込む場合は、読み込んだ内容を拠点情報リスト213およびデータ情報リスト212に展開する。
拠点属性情報対象指示部207により拠点情報表示スイッチ214のオン・オフを切り替え、オンの場合に拠点属性情報表示の対象となっているデータの表示時は、拠点IDからそれに対応する拠点情報を拠点情報リスト213から取り出し、データ表示部204により表示装置208に表示する。
【0011】
図3は、拠点情報リスト213およびデータ情報リスト212の例である。
拠点情報リスト213は、各拠点が、その参加時に、その拠点情報を全拠点に配布することで、全拠点が全拠点の拠点情報を拠点情報リストとして持つ。この拠点情報リスト213は、拠点IDをユニークなキーとして、指定した拠点情報を取得可能である。拠点情報には、拠点IDの他に、例えば拠点名、操作者(発言者)、参加時間、拠点のIPアドレスなどが含まれる。
データ情報リスト212は、各拠点が、データ入力時に、そのデータ情報を、全拠点に配布することで全拠点が会議で保持している全データの情報をデータ情報リストとして持つ。このデータ情報リスト212は、オブジェクトIDをキーとして、指定したデータ情報を取得可能である。また、データを入力した拠点の拠点IDを持つ。
データ情報にはオブジェクトID・拠点IDの他に、例えば、データ描画オブジェクトの表示矩形・タイプ・構成点列情報・属性情報・作成時間などが含まれる。
拠点情報表示フラグは、ユーザの操作によりオン・オフを設定することが可能で、オンのデータは拠点情報を画面に表示する。
【0012】
図4は、手書き中のクライアントAの画面と、クライアント画面(受信側)である。
電子ペンを401の位置から402の位置まで動かした場合、カーソル(ペン)移動データ404が作成され、カーソル移動データ404と拠点IDが通信部211により各クライアントに配信される。
カーソル移動データと拠点IDを受信したクライアントは、移動データと共に拠点IDから取得した拠点情報をウインドウ405〜407305のような形で表示する。
この移動データ404と拠点IDの配信および、受信クライアントでの移動データの表示と拠点情報の表示は、ペンが動くごとに行われる。
【0013】
図5は、保存済みの手書きデータを表示した場合のクライアント画面である。
選択枠506などで手書きデータを選択し、「拠点情報を表示」ボタン501を押すと、拠点情報表示スイッチ214をオンにすると共に、選択された手書きデータの拠点情報表示フラグがオンにし、ウインドウ502、503、504、505のような形でデータを入力したクライアントの拠点情報を表示する。
また、拠点情報を表示するウインドウ502、503、504、505には、「×」印のクローズボタンを表示し、そのクローズボタンを押すと、指定したデータの拠点情報ウインドウのみを非表示にすることが可能である。
再度、「拠点情報を表示」ボタン501を押すと、拠点情報表示スイッチをオフにし、すべての拠点情報ウインドウを非表示にする。
【0014】
図6は、拠点情報を表示を開始する条件、表示位置、表示を終了する条件の一覧である。
手書きデータ入力中の拠点情報は、条件607により表示する。手書き完了後のデータの拠点情報は、条件608および条件609により表示する。
表示した拠点情報は、条件607、608、609に提示した表示終了条件の他に、個別に拠点情報表示ウインドウ604、605、606の右下のクローズボタン押下により、個別に表示を終了することが可能である。
更に、「拠点情報表示ボタン」610をオフにすることにより、すべての拠点情報表示を終了することが可能である。
【0015】
図7は、遠隔会議中に手書き入力を行った場合の入力側のクライアントおよびその他のクライアントの処理を示すフローチャートである。
クライアント(入力側)で、手書きデータの入力が開始されると、入力された座標データからなる新規手書きデータが作成され、そのクライアントの拠点IDと一緒にサーバを介して各クライアントへ配信する(ステップ701)。
次に、手書き入力が完了されるまで、逐次電子ペンなどの入力装置が動くごとに、手書きデータを入力装置から受け取り(ステップ703)、手書きデータを更新後、更新された手書きデータとそのクライアントの拠点IDを各クライアントへ配信する(ステップ704)。また、画面上のデータの更新表示も行う(ステップ705)。
【0016】
拠点IDと新規手書きデータを受信したクライアントは、新規手書きデータをデータ情報リスト212に格納後、画面に新規データ手書きデータを表示する(ステップ706)。
更に拠点IDと拠点情報リスト213から、拠点情報を取得し(ステップ707)、手書きデータから手書きデータの最終入力位置を取得し(ステップ708)、手書きデータの最終入力位置に拠点情報を表示する(ステップ709)。そして、入力待ち状態に戻る。
【0017】
拠点IDと更新手書きデータを受信した場合も、新規手書きデータ受信時と同様に、ステップ710〜ステップ713で、手書きデータの更新表示と拠点情報の表示を行う。そして、入力待ち状態に戻る。
手書きデータの更新が例えば3秒間発生しない場合は、拠点情報の表示を終了する(ステップ714)。
【0018】
図8は、データ保存時の処理を示すフローチャートである。
データの保存時は、各拠点の拠点IDと拠点情報をファイルに書き込み(ステップ801)、全てのデータについて、拠点IDなどを含むデータ情報をファイルに書き込む(ステップ803)。
【0019】
図9は、データ読み込み時の処理を示すフローチャートである。
データ読み込み時は、各拠点の拠点IDと拠点情報をファイルから読み込み(ステップ901)、全てのデータについて、拠点IDなどを含むデータ情報をファイルから読む込み(ステップ903)。
【0020】
図10は、データ表示時の処理を示すフローチャートである。
まず、データ情報リスト212に格納された全てのデータのぞれぞれ(データ[i]))について、データ[i]を画面に表示後(ステップ1002)、拠点情報表示スイッチ(拠点情報表示ボタンなどによりオン・オフを切り替え可能)214がオンかチェックし(ステップ1003)、オンの場合は表示対象のデータ[i]の拠点情報表示フラグがオンになっているかチェックする。オンになっている場合は、データ[i]の拠点IDをキーに拠点情報リスト213から拠点情報を取得し(ステップ1005)、受信データの右下に拠点情報を表示する。(ステップ1006)
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る相互情報共有システムの実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】拠点情報の表示が可能な相互情報共有システムの一例を示した概略図である。
【図3】拠点情報リストおよびデータ情報リストの例である。
【図4】手書き中のクライアントの画面とクライアント画面(受信側)の例を示す図である。
【図5】保存済みの手書きデータを表示した場合のクライアント画面例を示す図である。である。
【図6】拠点情報を表示を開始する条件、表示位置、表示を終了する条件の一覧である。
【図7】遠隔会議中に手書き入力を行った場合の入力側のクライアントおよびその他のクライアントの処理を示すフローチャートである。
【図8】データ保存時の処理を示すフローチャートである。
【図9】データ読み込み時の処理を示すフローチャートである。
【図10】データ表示時の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
101 クライアント端末
102 クライアント端末
103 データ共有部
201 拠点情報登録部
205 拠点情報表示部
206 データ入力部
207 拠点属性表示対象表示部
208 表示装置
210 拠点情報ファイル
212 データ情報リスト
213 拠点情報リスト
214 拠点情報スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクト共有手段を有する複数の端末装置から成る相互情報共有システムであって、
前述端末装置が、
前記複数の端末装置における操作者などの拠点情報を拠点識別情報と共に記憶した第1の記憶手段と、
入力手段を用いて操作者によって入力されたデータに対し自装置の拠点識別情報を付加して他の端末装置に送信する手段と、
他の端末装置から受信したデータに付加された拠点識別情報により前記第1の記憶手段を検索し、当該拠点識別情報に対応した拠点情報を取得し、他の端末装置から受信したデータについてその送信元における操作者などの拠点情報を受信データに付加して表示すると共に、他の端末装置から受信したデータについてその送信元における操作者などの拠点情報を付加して記憶する第2の記憶手段とを備えることを特徴とする相互情報共有システム。
【請求項2】
指定されたデータについてのみ拠点情報を表示・非表示にする切り替え手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の相互情報共有システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−26701(P2010−26701A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186008(P2008−186008)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】