看板掲示用サインポール
【課題】 看板の大型化に伴い、サインポールも大型化しているが、サインポールを設置しようとする場所の周囲には、上下水道管などの埋設物や架線類、植栽、塀などの既存施設が存在している場所が多く、これらの健全性を維持しながら、基礎工事を行うことは、次第に困難になりつつある。
【解決手段】 地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に下部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールにおいて、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼を付設し、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板を固着し、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起を形成すると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトを3本以上放射状に取付けた。
【解決手段】 地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に下部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールにおいて、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼を付設し、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板を固着し、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起を形成すると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトを3本以上放射状に取付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱に看板を取付ける看板掲示用サインポール、詳しくは、基礎コンクリートが必要なく、施工及び撤去が容易で、十分な強度を有し、信頼性も高い看板掲示用サインポールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
看板を掲示する為のサインポールは、商品や役務等を広告、告知する為、道路沿いなど多くの場所に設置されているが、従来から存在しているサインポールの多くは、コンクリート基礎で支柱が支持される構造、つまり、アンカー体を埋め込んだ基礎コンクリートを設置した後、支柱をアンカー体に接続して立設する方式を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−19706公報
【特許文献2】特開2001−306007公報
【特許文献3】特開2004−279722公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の看板の大型化に伴い、サインポールも大型化しており、その結果、基礎コンクリートも大型化し、施工工事が大規模にならざるを得ず、それに伴い工事コストも増大していた。ちなみに、高さ10mのサインポールの場合、地盤の状態にもよるが、基礎コンクリートの寸法は、幅と長さが2.5m、深さが1.5m程度の大きさを必要としていた。又、軟弱地盤の場合には、基礎コンクリートの下部を地盤改良してからコンクリートを打設する場合が多く、当然ながらその分コストも余分にかかっていた。又、都市部では、地盤の掘削に伴う残土の排出作業も容易ではなく、商店街の店舗営業中のサインポール工事において発生する掘削残土などは、景観上も大きな問題であった。
【0006】
更に、サインポールを設置しようとする場所の周囲には、排水溝などの道路施設、上下水道管などの埋設物、通信線などの架線類、街路樹などの植栽、塀などの隣接構造物等々さまざまな既存施設があり、これらの健全性を持続しながら、大きな基礎コンクリートを設ける工事は、次第に難しくなりつつある。
【0007】
一方、サインポールの使用年限は比較的短く、10年程度で撤去されることが多いが、この際の基礎コンクリートの撤去工事も、手間、時間及びコストが相当にかかるといった問題があった。
【0008】
前記特許文献1乃至3に開示された技術は、いずれも上記課題を解決することを意図して発明されたものである。
【0009】
即ち、特許文献1には、杭状の基礎材を設置した後、基礎材上端に設けたフランジと支柱下端のフランジを接合したり、基礎材の中に支柱を挿入し、ボルトや翼を用いて支柱を基礎材に固定する看板の設置方法が開示されているが、これらの方法は、いずれも、支柱の鉛直精度が基礎材の設置精度に左右されるという欠点を持つ。又、基礎材の設置精度は通常1/100から1/200程度であるが、サインポールがこの程度の鉛直精度では、通行人が目視で傾いていることがわかり、構造上は問題なくとも、外観上は大きな問題となる。又、支柱と基礎材との接触部が非常に狭く、暴風時の風圧力が繰り返し作用すると、接触部がずれたり損傷したりする恐れがあり、構造上の問題もあった。
【0010】
又、特許文献2には、ポール看板におけるポールの基端部を地表面から適宜の深さに掘削されて形成された埋設用縦穴内に挿入した後に、ポールの基端部における外周と埋設用縦穴の内周との間に出現する空間部にコンクリートを充填し、この充填したコンクリートの固化によってポールを立設させてなるポール看板の立設方法において、上記の空間部に充填したコンクリートが固化するまでの間にポールが傾倒することを阻止する自立幇助部材をポールの基端部に取り付けた状態でこのポールの基端部を上記の埋設用縦穴内に挿入する様にしたポール看板の立設方法が開示されているが、この方法では、基礎の構築の際、穴掘り、鋼管等の挿入、コンクリート充填という3ステップが必要となり、基礎の構築にコストがかかるという欠点があった。又、下端のポール保持部の構造が不安定で強度上の信頼性も低く、しかも、ポール保持部を設けるために広いスペースが必要であり、鋼管等の内径はポール本体径の数倍(明細書では700〜900mm)必要となり、非常に不経済であった。また、前記特許文献
1に開示されているものと同様に、ポール本体と基礎との接触部面積が小さく、構造上の安全性に不安が残っていた。
【0011】
更に、特許文献3には、ポール埋設用縦穴を掘削した後、ポール基端部を挿入してからコンクリートを充填してポールを固定する際に、コンクリートが硬化するまでポールを自立させるために、数例の自立幇助部材を用いることが開示されている。しかし、いずれの自立幇助部材も、コンクリート硬化前の仮支持材としては機能するが、ポールの鉛直精度の確保という点では役に立っておらず、ポールの鉛直精度は、穴の掘削精度や太径パイプの設置精度で決まってしまうという問題点が存在していた。
【0012】
本発明者は、看板掲示用サインポール設置に関する上記各問題点に鑑み、設置及び撤去が容易で、掘削残土が発生せず、既設設置物が錯綜している都市部においても、工事がしやすく、十分な強度を有し、信頼性にもすぐれ、上記従来技術の問題点をほぼ解消することが出来るサインポールを開発することに成功し、本発明として、ここに提案するのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に下部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼を付設し、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板を固着し、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起を形成すると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトを3本以上放射状に取付け、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填して鋼管杭と支柱とを一体化させることにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
サインポールを設置しようとする地盤中に、鋼管杭をその螺旋翼のねじ込み作用により、回転貫入させ、杭頭が地表面付近に露出した状態にし、しかる後、支柱の脚部を鋼管杭に挿入する。脚部の開口部は位置決め用突起の傾斜面に案内されて閉塞板の上面に突き当たり、位置決め用突起によって、支柱の下端の位置決めが固定される。この状態において、鋼管杭の壁面に形成されているネジ穴にボルトを差し込み、ボルトの先端を支柱の周壁外面に突き当て、ボルトのねじ込み量を調整することにより、支柱が鉛直になる様に調整し、この状態で、硬化性流動物を鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に充填して鋼管杭と支柱とを一体化し、サインポール設置を完了する。
【0015】
回転貫入により鋼管杭を地盤中にねじ込んで基礎とするので、基礎コンクリートが不要で、掘削残土も発生せず、都市部での工事も容易で、工事の障害となりやすい既存設置があっても工事が可能で、撤去する際には逆回転させることで鋼管杭を容易に引き抜けるので、撤去作業も容易である。又、支柱の鉛直精度も確実に確保でき、基礎となる鋼管杭と支柱の接合部を硬化性流動物で固めているので、十分な接合強度を有し、すぐれた信頼性を有する。
【0016】
更に、鋼管抗に付設されている螺旋翼は地盤中において、鉛直支持力増強にも役立っており、非常に柔らかな地盤中にも杭先端を留められるので、軟弱地盤にもサインポールを安定的に設置出来る等の効果を有し、従来のものに比べ、格段にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る看板掲示用サインポールの実施例1の全体の正面図。
【図2】同じく、その要部の拡大縦断面図。
【図3】同じく、その位置決め用突起の拡大斜視図。
【図4】同じく、位置決め用突起の他の例を用いた要部の拡大縦断面図。
【図5】同じく、ボルトの取付け位置を変更した例の要部の拡大縦断面図。
【図6】図4の横断面図。
【図7】根巻きコンクリートを形成した例の縦断面図。
【図8】ずれ止め用突条を形成した例の縦断面図。
【図9】実施例2の要部の拡大縦断面図。
【図10】実施例3において用いる離間距離保持具の一例の正面図。
【図11】実施例3において用いる離間距離保持具の他の例の正面図。
【図12】実施例3の工事途中の状況の正面図。
【図13】実施例3の完成状況の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
回転貫入により、地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に挿入する支柱からサインポールを構成すると共に、位置決め用突起、ボルト等によって、支柱の鉛直精度を保持し、硬化性流動物によって、両者の接合強度を維持する様にした点に最大の特徴が存する。
【実施例1】
【0019】
図中1はこの発明に係る看板掲示用サインポールの実施例1の全体の正面図、図2はその要部の拡大縦断面図である。
【0020】
図中、1は支柱、2は鋼管杭であり、この看板掲示用サインポールは地盤3に立設する鋼管杭2と、この鋼管杭2に脚部を挿入して支持される支柱1とかから構成されている。
【0021】
鋼管杭2は円筒状をなしており、下端付近の外周には、地盤3中に回転掘進させる為の螺旋翼4が付設されており、その杭頭内径側には、その軸芯と直交する方向、即ち横向きに、円盤状をなした閉塞板5が、内径側を塞ぐ様に、その内周壁面6との溶接等により、強固に固着されている。
【0022】
なお、この閉塞板5の固着位置は、支柱1の外径の略1.5〜3倍に相当する長さ分だけ、鋼管杭2の杭頭開口部より下った位置となっている。ちなみに、1.5倍を下回ると、支柱1と鋼管杭2の接合箇所の強度が著しく低下する為、好ましくなく、逆に、3倍を超えても、接合箇所の強度はそれ程上がらず、支柱1の挿入量が増す分だけ不経済となるので、好ましくない。
【0023】
又、この実施例においては、鋼管杭2は円筒状をなしているが、長方形や正方形など方形断面の鋼管を用いても良い。
【0024】
支柱1は、看板24を保持する長尺状をなした鋼管であり、この支柱1には、看板取り付け用のブラケット(図示省略)があらかじめ付設されている。
【0025】
又、この支柱1も鋼管杭2と同様、円筒状のもののほか、正方形や長方形など方形断面のものを用いることが出来、看板24を保持するという性質上、方形断面のものを用いる場合が多い。
【0026】
一方、この閉塞板5の上面には、鋼管杭2の内径側に支柱1の脚部を挿入した際、支柱1の軸芯と鋼板杭2の軸芯とが一致する様に、支柱1の下端部の位置決めを行う位置決め用突起7が形成されている。この位置決め用突起7は、図2に示す様に、下端が支柱1の内径側直径Aよりわずかに短い長さ、上端がそれより更に短い長さを有する台形状をなした肉厚の鋼板10を十字形に組合せたものであり、閉塞板5の上面中央に、閉塞板5の軸芯と一致する様に、溶接されて強固に固着せしめられている。
【0027】
更に、鋼管杭2の杭頭付近の壁面には、軸芯と直交する方向に、等間隔で、3個以上のネジ穴8が形成されており、該ネジ穴8にそれぞれボルト11を、内側に向ってねじ込める様になっている。
【0028】
なお、ネジ穴8を鋼管杭2の杭頭付近の壁面に設けにくい場合やコストがかかる場合には、図5に示す様に、ネジ穴25を設けた鉄片26を鋼管杭2の貫入後に、杭頭上端縁に溶接等によって固着せしめる様にしても良い。
【0029】
又、上記実施例においては、位置決め用突起7は閉塞板5の中央に設けられているが、図4に示す様に、上辺より下辺が長いテーパ状の鋼板からなる位置決め用突起16を3個以上、放射状に、閉塞板5の上面と鋼管杭2の内周壁面とに接する様に取付けても良く、この構造は、鋼管杭2と支柱1の径差が大きいときには有効である。又、支柱1の肉厚が薄い場合や鋼管杭2への差し込み長さが短い場合には、曲げモーメントを受けた際に、断面変形しない様に、図4に示す様に、脚部の下端近傍内径側に補強材28を固定しても良い。
【0030】
支柱1と鋼管杭2とは、上記の通りの構成を有するものであり、サインポール設置しようとする地盤3中に、鋼管杭2をその螺旋翼4のネジ込み作用により、回転貫入させ、杭頭が地表面14付近に露出した状態にする。鋼管杭2の回転貫入は、クローラ式ややぐら式の回転駆動機構を持った杭打ち機によって実施可能であり、掘削残土は排出されない。なお、最近では、非常に狭い現場でも施工可能なやぐら式杭打ち機が開発されており、これを用いれば都市部におけるサインポール設置工事にも十分対応出来る。
【0031】
鋼管杭2の回転貫入が完了したなら、杭打ち機やクレーンなどにより支柱1を吊り、その脚部を鋼管杭2に挿入する。脚部の開口部13は位置決め用突起7の傾斜面29に案内されて閉塞板5の上面に突き当たり、位置決め用突起7によって、支柱1の下端の位置決めが行われる。
【0032】
この状態において、鋼管杭2の周壁面に形成されているネジ穴8にボルト11を差し入れ、ボルト11の先端を支柱1の周壁外面に突き当て、ボルト11のねじ込み量を調整することにより、支柱1が鉛直になる様に調整する。なお、ボルト11をねじ込みやすくする為に、図2に示す様に、地表面14付近の土砂を少し掘っておくと良い。
【0033】
位置決め用突起7とボルト11によって支柱1の脚部上端と下端はそれぞれ位置決めされ、支柱1は仮固定されたことになり、この状態で、硬化性流動物12を鋼管杭2と支柱1とに挟まれた空間に充填して鋼管杭2と支柱1とを一体化し、サインポール設置を完了する。
【0034】
硬化性流動物12としては、コンクリート、モルタル、合成樹脂等が例示されるが、無収縮モルタルは、充填が容易であり、硬化後に隙間が発生せず、結合が強固であるので、硬化性流動物12として最も好ましい。
【0035】
なお、支柱1と鋼管杭2の接合箇所付近の鋼管杭2の腐食防止と外観向上を図る為、図7に示す様に、根巻きコンクリート15を形成しても良い。
【0036】
又、鋼管杭2と支柱1との径差が大きい場合や支柱1の差し込み長さが短い場合には、鋼管杭2に挿入されている支柱1が曲げモーメントを受けると、硬化した硬化性流動物12と支柱1あるいは鋼管杭2との間にズレが発生し、接合強度が大きく低下する恐れがあるが、図8に示す様に、鉄筋や平鋼などからなるずれ止め用突条27を支柱1の脚部や鋼管杭2の杭頭内面に設けると、ずれの発生を効果的に阻止することが出来る。
【0037】
実施例1は上記の通りの構成を有するものであり、回転貫入により鋼管杭2を地盤中にねじ込んで基礎とするので、基礎コンクリートが不要で、掘削残土も発生せず、都市部での工事も容易で、工事の障害となりやすい既存設置があっても工事が可能で、逆回転させることで鋼管杭2を容易に引き抜けるので、撤去作業も容易である。
【0038】
又、支柱1の鉛直精度も確実に確保でき、基礎となる鋼管杭2と支柱1の接合部を硬化性流動物12で固めているので、十分な接合強度を有し、高い信頼性を持つ。
【0039】
更に、鋼管抗2に付設されている螺旋翼4は地盤中において、鉛直支持力増強にも役立っており、非常に柔らかな地盤中にも杭先端を留められるので、軟弱地盤にもサインポールを安定的に設置出来る、等の効果を有し、従来のもののに比べ、格段にすぐれている。
【実施例2】
【0040】
図9は、この発明に係るサインポールの実施例2の要部の縦断面図であり、この実施例2においては、前述の実施例1における支柱1の鉛直精度調整の為のボルト11の代わりに、楔17を用いている
即ち、上方へ行くに従い、厚さが大きくなった台形状をなした3個以上の楔17を、鋼管杭2の杭頭開口部と支柱1の外周との間の隙間に等間隔で打ち込み、その打ち込み量(上端開口部からの挿入量)を調整することにより、支柱1の鉛直精度を調整する様にしている。他の部分は、前述の実施例1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。この実施例2は、鋼管杭2の杭頭にボルトを取付けられない場合に有効である。
【実施例3】
【0041】
実施例3は、図13に示す様な、2本の支柱からなるサインポールや3本以上の支柱からなる野立て形サインポールに関するものであり、図12に示す様に、一対の鋼管杭2,2’は、離間距離保持具18によって相互に連結されて、地盤3への設置が行われる様になっている。
【0042】
離間距離保持具18は、図10に示す様に、長方形をなした一対の鋼板19,19をその長手方向側面同士を突き合わせ、接合箇所を小鋼板とボルトからなる複数の留め具20によって取りはずし自在に固定したものであり、接合箇所、即ち長手方向軸芯に沿って、鋼管杭2の外径よりわずかに大きい内径の透孔21が所定間隔で形成されたものである。
【0043】
なお、離間距離保持具18は、図11に示す様に棒状体22の両端に、蝶番で繋がれた2分割型円環材23を取付けたものでも良い。
【0044】
他の部分は、前述の実施例1と同じであるので、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
この実施例3は、一対の鋼管杭2,2’を立設し、図13に示す様な2本タイプのサインポールなどを設置する際に用いるものであり、先行の鋼管杭2を地盤3中に回転貫入させた後、新たに貫入させる鋼管杭2’(後行杭)の螺旋翼4が地盤3中に入り始めた程度の段階で、貫入済みの鋼管杭2(先行杭)の杭頭部と貫入中の鋼管杭2’(後行杭)の胴体部とを鋼板19,19で挟み込み、留め具20で留めて離間距離保持具18を一対の鋼管杭2,2’に取付ける。この状態において、鋼管杭2’(後行杭)の所定深度までの回転貫入作業を行えば、2本の鋼管杭2,2’の離間距離は一定に保たれる。
【0046】
この様にして、鋼管杭2’(後行杭)の貫入作業が終了したら、前述の実施例1の場合と同様に、支柱1の立設作業を行い、2本タイプのサインポールの設置を完了する。、なお、立設作業後、離間距離保持具18は、そのまま残置させても良く、取りはずしても良い。図11に示す2分割型円環材23を用いた離間距離保持具18’を用いた場合も、同様な工程で作業を行う。
【0047】
更に、3本以上鋼管杭及び支柱からなるサインポールからなる野立て形サインポールの場合も同様であり、隣接した鋼管杭2,2’同士を離間距離保持具18あるいは18’によって連結して鋼管杭2,2’の立設作業を行えば、離間距離は常に一定に保持される。
【0048】
この実施例3においては、離間距離保持具18あるいは18’を用いているので、一対の鋼管杭2,2’の離間距離の精度を従来の基礎コンクリートにアンカーを埋め込むタイプと同程度に高めることが出来、2本タイプや3本以上の野立て形サインポールを高い精度で設置出来る効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
看板の掲示用だけではなく、太陽光発電パネル支持用のポール、風力発電機用ポール、あるいは、道路の信号柱や標識柱などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1.支柱
2.鋼管杭
3.地盤
4.螺旋翼
5.閉塞板
6.内周壁面
7.位置決め用突起
8.ネジ穴
10.鋼板
11.ボルト
12.硬化性流動物
13.開口端
14.地表面
15.根巻きコンクリート
16.位置決め用突起
17.楔
18.離間距離保持具
19.鋼板
20.留め具
21.透孔
22.棒状体
23.二分割型円環材
24.看板
25.ネジ穴
26.鉄片
27.ずれ止め用突条
28.補強材
29.傾斜面
【技術分野】
【0001】
この発明は、支柱に看板を取付ける看板掲示用サインポール、詳しくは、基礎コンクリートが必要なく、施工及び撤去が容易で、十分な強度を有し、信頼性も高い看板掲示用サインポールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
看板を掲示する為のサインポールは、商品や役務等を広告、告知する為、道路沿いなど多くの場所に設置されているが、従来から存在しているサインポールの多くは、コンクリート基礎で支柱が支持される構造、つまり、アンカー体を埋め込んだ基礎コンクリートを設置した後、支柱をアンカー体に接続して立設する方式を用いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−19706公報
【特許文献2】特開2001−306007公報
【特許文献3】特開2004−279722公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の看板の大型化に伴い、サインポールも大型化しており、その結果、基礎コンクリートも大型化し、施工工事が大規模にならざるを得ず、それに伴い工事コストも増大していた。ちなみに、高さ10mのサインポールの場合、地盤の状態にもよるが、基礎コンクリートの寸法は、幅と長さが2.5m、深さが1.5m程度の大きさを必要としていた。又、軟弱地盤の場合には、基礎コンクリートの下部を地盤改良してからコンクリートを打設する場合が多く、当然ながらその分コストも余分にかかっていた。又、都市部では、地盤の掘削に伴う残土の排出作業も容易ではなく、商店街の店舗営業中のサインポール工事において発生する掘削残土などは、景観上も大きな問題であった。
【0006】
更に、サインポールを設置しようとする場所の周囲には、排水溝などの道路施設、上下水道管などの埋設物、通信線などの架線類、街路樹などの植栽、塀などの隣接構造物等々さまざまな既存施設があり、これらの健全性を持続しながら、大きな基礎コンクリートを設ける工事は、次第に難しくなりつつある。
【0007】
一方、サインポールの使用年限は比較的短く、10年程度で撤去されることが多いが、この際の基礎コンクリートの撤去工事も、手間、時間及びコストが相当にかかるといった問題があった。
【0008】
前記特許文献1乃至3に開示された技術は、いずれも上記課題を解決することを意図して発明されたものである。
【0009】
即ち、特許文献1には、杭状の基礎材を設置した後、基礎材上端に設けたフランジと支柱下端のフランジを接合したり、基礎材の中に支柱を挿入し、ボルトや翼を用いて支柱を基礎材に固定する看板の設置方法が開示されているが、これらの方法は、いずれも、支柱の鉛直精度が基礎材の設置精度に左右されるという欠点を持つ。又、基礎材の設置精度は通常1/100から1/200程度であるが、サインポールがこの程度の鉛直精度では、通行人が目視で傾いていることがわかり、構造上は問題なくとも、外観上は大きな問題となる。又、支柱と基礎材との接触部が非常に狭く、暴風時の風圧力が繰り返し作用すると、接触部がずれたり損傷したりする恐れがあり、構造上の問題もあった。
【0010】
又、特許文献2には、ポール看板におけるポールの基端部を地表面から適宜の深さに掘削されて形成された埋設用縦穴内に挿入した後に、ポールの基端部における外周と埋設用縦穴の内周との間に出現する空間部にコンクリートを充填し、この充填したコンクリートの固化によってポールを立設させてなるポール看板の立設方法において、上記の空間部に充填したコンクリートが固化するまでの間にポールが傾倒することを阻止する自立幇助部材をポールの基端部に取り付けた状態でこのポールの基端部を上記の埋設用縦穴内に挿入する様にしたポール看板の立設方法が開示されているが、この方法では、基礎の構築の際、穴掘り、鋼管等の挿入、コンクリート充填という3ステップが必要となり、基礎の構築にコストがかかるという欠点があった。又、下端のポール保持部の構造が不安定で強度上の信頼性も低く、しかも、ポール保持部を設けるために広いスペースが必要であり、鋼管等の内径はポール本体径の数倍(明細書では700〜900mm)必要となり、非常に不経済であった。また、前記特許文献
1に開示されているものと同様に、ポール本体と基礎との接触部面積が小さく、構造上の安全性に不安が残っていた。
【0011】
更に、特許文献3には、ポール埋設用縦穴を掘削した後、ポール基端部を挿入してからコンクリートを充填してポールを固定する際に、コンクリートが硬化するまでポールを自立させるために、数例の自立幇助部材を用いることが開示されている。しかし、いずれの自立幇助部材も、コンクリート硬化前の仮支持材としては機能するが、ポールの鉛直精度の確保という点では役に立っておらず、ポールの鉛直精度は、穴の掘削精度や太径パイプの設置精度で決まってしまうという問題点が存在していた。
【0012】
本発明者は、看板掲示用サインポール設置に関する上記各問題点に鑑み、設置及び撤去が容易で、掘削残土が発生せず、既設設置物が錯綜している都市部においても、工事がしやすく、十分な強度を有し、信頼性にもすぐれ、上記従来技術の問題点をほぼ解消することが出来るサインポールを開発することに成功し、本発明として、ここに提案するのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に下部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼を付設し、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板を固着し、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起を形成すると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトを3本以上放射状に取付け、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填して鋼管杭と支柱とを一体化させることにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
サインポールを設置しようとする地盤中に、鋼管杭をその螺旋翼のねじ込み作用により、回転貫入させ、杭頭が地表面付近に露出した状態にし、しかる後、支柱の脚部を鋼管杭に挿入する。脚部の開口部は位置決め用突起の傾斜面に案内されて閉塞板の上面に突き当たり、位置決め用突起によって、支柱の下端の位置決めが固定される。この状態において、鋼管杭の壁面に形成されているネジ穴にボルトを差し込み、ボルトの先端を支柱の周壁外面に突き当て、ボルトのねじ込み量を調整することにより、支柱が鉛直になる様に調整し、この状態で、硬化性流動物を鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に充填して鋼管杭と支柱とを一体化し、サインポール設置を完了する。
【0015】
回転貫入により鋼管杭を地盤中にねじ込んで基礎とするので、基礎コンクリートが不要で、掘削残土も発生せず、都市部での工事も容易で、工事の障害となりやすい既存設置があっても工事が可能で、撤去する際には逆回転させることで鋼管杭を容易に引き抜けるので、撤去作業も容易である。又、支柱の鉛直精度も確実に確保でき、基礎となる鋼管杭と支柱の接合部を硬化性流動物で固めているので、十分な接合強度を有し、すぐれた信頼性を有する。
【0016】
更に、鋼管抗に付設されている螺旋翼は地盤中において、鉛直支持力増強にも役立っており、非常に柔らかな地盤中にも杭先端を留められるので、軟弱地盤にもサインポールを安定的に設置出来る等の効果を有し、従来のものに比べ、格段にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る看板掲示用サインポールの実施例1の全体の正面図。
【図2】同じく、その要部の拡大縦断面図。
【図3】同じく、その位置決め用突起の拡大斜視図。
【図4】同じく、位置決め用突起の他の例を用いた要部の拡大縦断面図。
【図5】同じく、ボルトの取付け位置を変更した例の要部の拡大縦断面図。
【図6】図4の横断面図。
【図7】根巻きコンクリートを形成した例の縦断面図。
【図8】ずれ止め用突条を形成した例の縦断面図。
【図9】実施例2の要部の拡大縦断面図。
【図10】実施例3において用いる離間距離保持具の一例の正面図。
【図11】実施例3において用いる離間距離保持具の他の例の正面図。
【図12】実施例3の工事途中の状況の正面図。
【図13】実施例3の完成状況の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
回転貫入により、地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に挿入する支柱からサインポールを構成すると共に、位置決め用突起、ボルト等によって、支柱の鉛直精度を保持し、硬化性流動物によって、両者の接合強度を維持する様にした点に最大の特徴が存する。
【実施例1】
【0019】
図中1はこの発明に係る看板掲示用サインポールの実施例1の全体の正面図、図2はその要部の拡大縦断面図である。
【0020】
図中、1は支柱、2は鋼管杭であり、この看板掲示用サインポールは地盤3に立設する鋼管杭2と、この鋼管杭2に脚部を挿入して支持される支柱1とかから構成されている。
【0021】
鋼管杭2は円筒状をなしており、下端付近の外周には、地盤3中に回転掘進させる為の螺旋翼4が付設されており、その杭頭内径側には、その軸芯と直交する方向、即ち横向きに、円盤状をなした閉塞板5が、内径側を塞ぐ様に、その内周壁面6との溶接等により、強固に固着されている。
【0022】
なお、この閉塞板5の固着位置は、支柱1の外径の略1.5〜3倍に相当する長さ分だけ、鋼管杭2の杭頭開口部より下った位置となっている。ちなみに、1.5倍を下回ると、支柱1と鋼管杭2の接合箇所の強度が著しく低下する為、好ましくなく、逆に、3倍を超えても、接合箇所の強度はそれ程上がらず、支柱1の挿入量が増す分だけ不経済となるので、好ましくない。
【0023】
又、この実施例においては、鋼管杭2は円筒状をなしているが、長方形や正方形など方形断面の鋼管を用いても良い。
【0024】
支柱1は、看板24を保持する長尺状をなした鋼管であり、この支柱1には、看板取り付け用のブラケット(図示省略)があらかじめ付設されている。
【0025】
又、この支柱1も鋼管杭2と同様、円筒状のもののほか、正方形や長方形など方形断面のものを用いることが出来、看板24を保持するという性質上、方形断面のものを用いる場合が多い。
【0026】
一方、この閉塞板5の上面には、鋼管杭2の内径側に支柱1の脚部を挿入した際、支柱1の軸芯と鋼板杭2の軸芯とが一致する様に、支柱1の下端部の位置決めを行う位置決め用突起7が形成されている。この位置決め用突起7は、図2に示す様に、下端が支柱1の内径側直径Aよりわずかに短い長さ、上端がそれより更に短い長さを有する台形状をなした肉厚の鋼板10を十字形に組合せたものであり、閉塞板5の上面中央に、閉塞板5の軸芯と一致する様に、溶接されて強固に固着せしめられている。
【0027】
更に、鋼管杭2の杭頭付近の壁面には、軸芯と直交する方向に、等間隔で、3個以上のネジ穴8が形成されており、該ネジ穴8にそれぞれボルト11を、内側に向ってねじ込める様になっている。
【0028】
なお、ネジ穴8を鋼管杭2の杭頭付近の壁面に設けにくい場合やコストがかかる場合には、図5に示す様に、ネジ穴25を設けた鉄片26を鋼管杭2の貫入後に、杭頭上端縁に溶接等によって固着せしめる様にしても良い。
【0029】
又、上記実施例においては、位置決め用突起7は閉塞板5の中央に設けられているが、図4に示す様に、上辺より下辺が長いテーパ状の鋼板からなる位置決め用突起16を3個以上、放射状に、閉塞板5の上面と鋼管杭2の内周壁面とに接する様に取付けても良く、この構造は、鋼管杭2と支柱1の径差が大きいときには有効である。又、支柱1の肉厚が薄い場合や鋼管杭2への差し込み長さが短い場合には、曲げモーメントを受けた際に、断面変形しない様に、図4に示す様に、脚部の下端近傍内径側に補強材28を固定しても良い。
【0030】
支柱1と鋼管杭2とは、上記の通りの構成を有するものであり、サインポール設置しようとする地盤3中に、鋼管杭2をその螺旋翼4のネジ込み作用により、回転貫入させ、杭頭が地表面14付近に露出した状態にする。鋼管杭2の回転貫入は、クローラ式ややぐら式の回転駆動機構を持った杭打ち機によって実施可能であり、掘削残土は排出されない。なお、最近では、非常に狭い現場でも施工可能なやぐら式杭打ち機が開発されており、これを用いれば都市部におけるサインポール設置工事にも十分対応出来る。
【0031】
鋼管杭2の回転貫入が完了したなら、杭打ち機やクレーンなどにより支柱1を吊り、その脚部を鋼管杭2に挿入する。脚部の開口部13は位置決め用突起7の傾斜面29に案内されて閉塞板5の上面に突き当たり、位置決め用突起7によって、支柱1の下端の位置決めが行われる。
【0032】
この状態において、鋼管杭2の周壁面に形成されているネジ穴8にボルト11を差し入れ、ボルト11の先端を支柱1の周壁外面に突き当て、ボルト11のねじ込み量を調整することにより、支柱1が鉛直になる様に調整する。なお、ボルト11をねじ込みやすくする為に、図2に示す様に、地表面14付近の土砂を少し掘っておくと良い。
【0033】
位置決め用突起7とボルト11によって支柱1の脚部上端と下端はそれぞれ位置決めされ、支柱1は仮固定されたことになり、この状態で、硬化性流動物12を鋼管杭2と支柱1とに挟まれた空間に充填して鋼管杭2と支柱1とを一体化し、サインポール設置を完了する。
【0034】
硬化性流動物12としては、コンクリート、モルタル、合成樹脂等が例示されるが、無収縮モルタルは、充填が容易であり、硬化後に隙間が発生せず、結合が強固であるので、硬化性流動物12として最も好ましい。
【0035】
なお、支柱1と鋼管杭2の接合箇所付近の鋼管杭2の腐食防止と外観向上を図る為、図7に示す様に、根巻きコンクリート15を形成しても良い。
【0036】
又、鋼管杭2と支柱1との径差が大きい場合や支柱1の差し込み長さが短い場合には、鋼管杭2に挿入されている支柱1が曲げモーメントを受けると、硬化した硬化性流動物12と支柱1あるいは鋼管杭2との間にズレが発生し、接合強度が大きく低下する恐れがあるが、図8に示す様に、鉄筋や平鋼などからなるずれ止め用突条27を支柱1の脚部や鋼管杭2の杭頭内面に設けると、ずれの発生を効果的に阻止することが出来る。
【0037】
実施例1は上記の通りの構成を有するものであり、回転貫入により鋼管杭2を地盤中にねじ込んで基礎とするので、基礎コンクリートが不要で、掘削残土も発生せず、都市部での工事も容易で、工事の障害となりやすい既存設置があっても工事が可能で、逆回転させることで鋼管杭2を容易に引き抜けるので、撤去作業も容易である。
【0038】
又、支柱1の鉛直精度も確実に確保でき、基礎となる鋼管杭2と支柱1の接合部を硬化性流動物12で固めているので、十分な接合強度を有し、高い信頼性を持つ。
【0039】
更に、鋼管抗2に付設されている螺旋翼4は地盤中において、鉛直支持力増強にも役立っており、非常に柔らかな地盤中にも杭先端を留められるので、軟弱地盤にもサインポールを安定的に設置出来る、等の効果を有し、従来のもののに比べ、格段にすぐれている。
【実施例2】
【0040】
図9は、この発明に係るサインポールの実施例2の要部の縦断面図であり、この実施例2においては、前述の実施例1における支柱1の鉛直精度調整の為のボルト11の代わりに、楔17を用いている
即ち、上方へ行くに従い、厚さが大きくなった台形状をなした3個以上の楔17を、鋼管杭2の杭頭開口部と支柱1の外周との間の隙間に等間隔で打ち込み、その打ち込み量(上端開口部からの挿入量)を調整することにより、支柱1の鉛直精度を調整する様にしている。他の部分は、前述の実施例1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。この実施例2は、鋼管杭2の杭頭にボルトを取付けられない場合に有効である。
【実施例3】
【0041】
実施例3は、図13に示す様な、2本の支柱からなるサインポールや3本以上の支柱からなる野立て形サインポールに関するものであり、図12に示す様に、一対の鋼管杭2,2’は、離間距離保持具18によって相互に連結されて、地盤3への設置が行われる様になっている。
【0042】
離間距離保持具18は、図10に示す様に、長方形をなした一対の鋼板19,19をその長手方向側面同士を突き合わせ、接合箇所を小鋼板とボルトからなる複数の留め具20によって取りはずし自在に固定したものであり、接合箇所、即ち長手方向軸芯に沿って、鋼管杭2の外径よりわずかに大きい内径の透孔21が所定間隔で形成されたものである。
【0043】
なお、離間距離保持具18は、図11に示す様に棒状体22の両端に、蝶番で繋がれた2分割型円環材23を取付けたものでも良い。
【0044】
他の部分は、前述の実施例1と同じであるので、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0045】
この実施例3は、一対の鋼管杭2,2’を立設し、図13に示す様な2本タイプのサインポールなどを設置する際に用いるものであり、先行の鋼管杭2を地盤3中に回転貫入させた後、新たに貫入させる鋼管杭2’(後行杭)の螺旋翼4が地盤3中に入り始めた程度の段階で、貫入済みの鋼管杭2(先行杭)の杭頭部と貫入中の鋼管杭2’(後行杭)の胴体部とを鋼板19,19で挟み込み、留め具20で留めて離間距離保持具18を一対の鋼管杭2,2’に取付ける。この状態において、鋼管杭2’(後行杭)の所定深度までの回転貫入作業を行えば、2本の鋼管杭2,2’の離間距離は一定に保たれる。
【0046】
この様にして、鋼管杭2’(後行杭)の貫入作業が終了したら、前述の実施例1の場合と同様に、支柱1の立設作業を行い、2本タイプのサインポールの設置を完了する。、なお、立設作業後、離間距離保持具18は、そのまま残置させても良く、取りはずしても良い。図11に示す2分割型円環材23を用いた離間距離保持具18’を用いた場合も、同様な工程で作業を行う。
【0047】
更に、3本以上鋼管杭及び支柱からなるサインポールからなる野立て形サインポールの場合も同様であり、隣接した鋼管杭2,2’同士を離間距離保持具18あるいは18’によって連結して鋼管杭2,2’の立設作業を行えば、離間距離は常に一定に保持される。
【0048】
この実施例3においては、離間距離保持具18あるいは18’を用いているので、一対の鋼管杭2,2’の離間距離の精度を従来の基礎コンクリートにアンカーを埋め込むタイプと同程度に高めることが出来、2本タイプや3本以上の野立て形サインポールを高い精度で設置出来る効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
看板の掲示用だけではなく、太陽光発電パネル支持用のポール、風力発電機用ポール、あるいは、道路の信号柱や標識柱などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1.支柱
2.鋼管杭
3.地盤
4.螺旋翼
5.閉塞板
6.内周壁面
7.位置決め用突起
8.ネジ穴
10.鋼板
11.ボルト
12.硬化性流動物
13.開口端
14.地表面
15.根巻きコンクリート
16.位置決め用突起
17.楔
18.離間距離保持具
19.鋼板
20.留め具
21.透孔
22.棒状体
23.二分割型円環材
24.看板
25.ネジ穴
26.鉄片
27.ずれ止め用突条
28.補強材
29.傾斜面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に脚部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼が付設されており、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板が固着されており、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起が形成されていると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトが3本以上放射状に取り付けられており、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填し、鋼管杭と支柱とを一体化させることを特徴とする看板掲示用サインポール。
【請求項2】
位置決め用突起が、下端が支柱の内径よりわずかに短い長さを、上端が下端より更に短い長さを有する台形状をなした肉圧の鋼板を十字形に組み合わせてなり、閉塞板の上面中央に、閉塞板の軸芯と一致する様に固着されていることを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項3】
上辺より下辺が長いテーパー状の鋼板からなる位置決め用突起を3個以上、放射状に、閉塞板の上面と鋼管杭2の内周壁面とに固定したことを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項4】
支柱の脚部及び鋼管杭の杭頭内面の少なくともどちらか一方に、ずれ止め用突条を形成したことを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項5】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に脚部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼が付設されており、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板が固着されており、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起が形成されていると共に、上方へ行くに従って、厚さが大きくなる台形状をなした3個以上の楔7を、鋼管杭の杭頭開口部と支柱の外周との間の隙間に等間隔で打ち込む様になっており、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填し、鋼管杭と支柱とを一体化させることを特徴とする看板掲示用サインポール。
【請求項6】
請求項1に係る看板掲示用サインポールの鋼管杭を一対、取りはずし自在の離間距離保持具によって、離間距離を保持した状態でそれぞれ立設させる様にしたことを特徴とする2本タイプの看板掲示用サインポール。
【請求項7】
請求項5に係る看板掲示用サインポールの鋼管杭を一対、取りはずし自在の離間距離保持具によって、離間距離を保持した状態でそれぞれ立設させる様にしたことを特徴とする2本タイプの看板掲示用サインポール。
【請求項1】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に脚部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼が付設されており、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板が固着されており、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起が形成されていると共に、上端寄りの壁面には、挿入された支柱をその周囲から押圧挟持するボルトが3本以上放射状に取り付けられており、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填し、鋼管杭と支柱とを一体化させることを特徴とする看板掲示用サインポール。
【請求項2】
位置決め用突起が、下端が支柱の内径よりわずかに短い長さを、上端が下端より更に短い長さを有する台形状をなした肉圧の鋼板を十字形に組み合わせてなり、閉塞板の上面中央に、閉塞板の軸芯と一致する様に固着されていることを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項3】
上辺より下辺が長いテーパー状の鋼板からなる位置決め用突起を3個以上、放射状に、閉塞板の上面と鋼管杭2の内周壁面とに固定したことを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項4】
支柱の脚部及び鋼管杭の杭頭内面の少なくともどちらか一方に、ずれ止め用突条を形成したことを特徴とする請求項1記載の看板掲示用サインポール。
【請求項5】
地盤に立設する鋼管杭と、この鋼管杭に脚部を挿入して支持される支柱とからなる看板掲示用サインポールであって、鋼管杭は、筒状をなし、下端付近外周には、地盤中に回転掘進させる為の螺旋翼が付設されており、杭頭内径側には、軸芯と直交する方向に内径側を塞ぐ閉塞板が固着されており、該閉塞板の上面には、前記支柱を挿入した際に、支柱の軸芯と鋼管杭の軸芯とが一致する様に、支柱下端部の位置決めを行う位置決め用突起が形成されていると共に、上方へ行くに従って、厚さが大きくなる台形状をなした3個以上の楔7を、鋼管杭の杭頭開口部と支柱の外周との間の隙間に等間隔で打ち込む様になっており、鋼管杭と支柱とに挟まれた空間に硬化性流動物を充填し、鋼管杭と支柱とを一体化させることを特徴とする看板掲示用サインポール。
【請求項6】
請求項1に係る看板掲示用サインポールの鋼管杭を一対、取りはずし自在の離間距離保持具によって、離間距離を保持した状態でそれぞれ立設させる様にしたことを特徴とする2本タイプの看板掲示用サインポール。
【請求項7】
請求項5に係る看板掲示用サインポールの鋼管杭を一対、取りはずし自在の離間距離保持具によって、離間距離を保持した状態でそれぞれ立設させる様にしたことを特徴とする2本タイプの看板掲示用サインポール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−255917(P2012−255917A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129015(P2011−129015)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(592198404)千代田工営株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]