説明

真空断熱パネル及びこれを製造する方法

本発明は、真空断熱パネル及びこれを製造する方法に関するもので、(a)ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造した複数枚のガラス繊維ボードを積層して芯材を形成すること、(b)表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材を形成すること、(c)生石灰(CaO)粉末をパウチに包装して製造したゲッターを形成すること、(d)前記ゲッターを前記芯材の上部に付着させたり、前記芯材の表面に挿入すること、及び(e)前記外被材を用いて封止体を形成した後、(d)段階の芯材を入れて真空状態で密封させることを含む真空断熱パネルを提供することによって、真空断熱パネルの長期耐久性を向上できる発明に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱パネル及びこれを製造する方法に関するもので、真空断熱パネルを構成する芯材、外被材及びゲッターの素材及び層間構成を再構成することによって、長期耐久性及び熱伝導率の低い真空断熱パネルを製造する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空断熱パネルは、ガスバリア性に優れた複合プラスチックラミネートフィルムからなる封止体に、芯材として連続気泡硬質プラスチック発泡体や無機物などを収納して内部を減圧した後、周縁のガスバリア性フィルム同士の積層部分をヒートシーリングすることによって製造される。
【0003】
一般に、真空断熱パネルは、外装封止体を通過して空気や水分が透過したり、又は内部で二酸化炭素や有機ガスが発生するので、時間の経過と共に真空度が少しずつ低下し、それによって熱伝導率が大きくなり、高度の断熱性を維持できないという問題を有する。
【0004】
このような基本的な問題を解決するために、従来技術に係る真空断熱パネルは、芯材素材として、主に有機バインダーにガラス繊維を混合した材料を使用した。
【0005】
また、芯材として、バインダーを用いずに熱圧着工程で製造した無バインダーグラスウールタイプの素材も使用されており、バインダーで表面のみを硬化処理したバインダーグラスウールタイプの素材も使用された。
【0006】
このうち、無バインダーグラスウールタイプは、初期熱伝導率に優れるが、真空断熱パネルの加工時に表面に凹凸が発生し、長期耐久性能に欠けるものとして知られている。
【0007】
次に、バインダーグラスウールタイプは、表面状態が平坦であるため凹凸の問題はないが、初期熱伝導率及び長期耐久性能において劣悪な特性を示している。
【0008】
外被材の場合、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する一般の真空包装用材料を主に適用している。
【0009】
このとき、真空断熱パネルの加工時、折り曲げ部分での金属バリア層のクラックによって断熱パッドの性能が劣化するという問題がある。
【0010】
ゲッターは、水分のみを吸収する素材、又はガス及び水分を同時に吸収できる素材を適用しており、素材自体の吸収性能と適用量を通して真空断熱パネル内部の真空度を維持する役割をする。
【0011】
上述したように、既存は、芯材として無バインダーグラスウールタイプ、無機バインダーで表面処理したグラスウールタイプを使用し、外被材としてはAlホイルと有機フィルムを積層した形態を使用し、ゲッター材としては水分及びガスを吸収できる素材を応用することによって真空断熱材を製作した。
【0012】
このとき、長期耐久性能は、0.010Kcal/mhr℃を基準にすると、8年以下の寿命を有するようになり、10年以上の寿命を要求する建築分野のみならず、家電分野への適用時に信頼性に問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、芯材をガラス繊維と無機バインダーを用いて製造し、製紙法を用いて優れた断熱特性を有する芯材を提供し、ビニル系樹脂がコーティングされた外被材を使用することによってガスバリア性及び遮断性を向上させ、石灰粉末のゲッター材を使用することによって吸湿性を極大化させる真空断熱パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
併せて、本発明は、前記のような全ての因子を最適化することによって、少なくとも10年以上の長期耐久性能を有することができる真空断熱パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、(a)ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造した複数枚のガラス繊維ボードを積層して芯材を形成すること、(b)表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材を形成すること、(c)生石灰(CaO)粉末をパウチに包装して製造したゲッターを形成すること、(d)前記ゲッターを前記芯材の上部に付着させたり、前記芯材の表面に挿入すること、及び(e)前記外被材を用いて封止体を形成した後、(d)段階の芯材を入れて真空状態で密封させることを含むことを特徴とする。
【0016】
ここで、前記ガラス繊維としては、直径が0.1〜10μmの短繊維を使用し、前記無機バインダーとしては、水、シリカパウダー及び水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水ガラスを使用することによって4〜10mmの厚さのガラス繊維ボードを形成し、前記ガラス繊維ボードを1〜3枚積層することによって芯材を形成することを特徴とする。
【0017】
次に、前記外被材の表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンフィルムの積層構造で形成し、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上部には、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂より選ばれた一つ以上からなるビニル系樹脂をコーティングすることを特徴とする。
【0018】
また、前記外被材の金属バリア層としてはAlホイルを使用し、前記外被材の接着層としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)より選ばれた一つ以上のプラスチックフィルムを使用して製造することを特徴とする。このとき、前記外被材の前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂を用いて接着させることを特徴とする。
【0019】
その次に、前記生石灰(CaO)としては、純度95%以上のものを使用し、前記パウチは、クレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成することを特徴とする。
【0020】
その次に、前記封止体に前記芯材を入れて真空状態で形成する真空度は、0.1〜10Paにすることを特徴とする。
【0021】
併せて、本発明に係る真空断熱パネルは、上述した製造方法を用いて芯材、ゲッター及び外被材を含む構造で形成することを特徴とする。
【0022】
ここで、前記芯材は、直径が20μm以下の気孔を含み、80%以上の気孔率を有することを特徴とし、前記ゲッターは、25%以上の水分吸収率を有することを特徴とし、前記真空断熱パネルの10年後の予想熱伝導率は、0.006Kcal/mhr℃以下であることを特徴とする。
【0023】
併せて、本発明の一実施例に係る真空断熱パネルは、ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造された複数枚のガラス繊維ボードが積層されてなる芯材と、前記芯材の上部に付着されたり、前記芯材の表面に挿入され、生石灰(CaO)粉末をパウチに包装した形態で構成されるゲッターと、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有し、前記芯材及びゲッターの外表面を真空状態で密封させる外被材とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、気孔率が80%以上、気孔直径が20μm以下の特性を有する芯材を使用することによって、断熱性能を極大化できるという効果を提供する。
【0025】
併せて、本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、外被材の表面保護層の上部にビニル系樹脂をコーティングすることによって、Alホイルによる欠陥を防止し、ガスバリア性及び遮断性を向上できるという効果を提供する。
【0026】
併せて、本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、高純度の生石灰粉末をゲッター材として使用することによって、少量でも水分25%以上の吸収率を確保できるようにし、表面の凹凸を最小化できるという効果を提供する。
【0027】
併せて、上述した本発明の特性によって真空断熱パネルの長期耐久性能を少なくとも10年以上に増加できるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る真空断熱パネルを構成する芯材を示した断面図である。
【図2】本発明に係る真空断熱パネルを構成する外被材を示した断面図である。
【図3】本発明に係る外被材のコーティング層を示した断面図である。
【図4】本発明に係るゲッターを示した平面図である。
【図5】本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【図6】本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【図7】本発明の一実施例及び比較例に係る真空断熱パネルの長期耐久性を比較して評価したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、長期耐久性に優れた真空断熱材を製作するために、芯材のみならず、外被材とゲッター材を最適化することを特徴とする。
【0030】
以下では、本発明に係る真空断熱パネル及びこれを製造する方法についてより詳細に説明する。
【0031】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述する各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
【0032】
本発明に係る真空断熱パネルの製造方法は、まず、ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造した複数枚のガラス繊維ボードを積層して芯材を形成する。
【0033】
次に、表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材を形成する。
【0034】
その次に、生石灰(CaO)粉末をパウチに包装して製造したゲッターを形成する。
【0035】
その次に、前記ゲッターを前記芯材の上部に付着させたり、前記芯材の表面に挿入し、前記外被材を用いて封止体を形成した後、封止体に芯材を入れて真空状態で密封させ、真空断熱パネルを完成する。
【0036】
以下では、まず、芯材を製造する方法及びその具体的な構造について説明する。
【0037】
図1は、本発明に係る真空断熱パネルを構成する芯材を示した断面図である。
【0038】
図1を参照すると、4〜10mmの3枚のガラス繊維ボード100a、100b、100cが積層された芯材100が設けられている。
【0039】
ここで、ガラス繊維ボード100a、100b、100cは、ガラス繊維を無機バインダーに分散させて製造するが、ガラス繊維としては、0.1〜10μmの直径を有する短繊維を使用することが望ましい。
【0040】
そして、無機バインダーとしては、水、シリカパウダー及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる水ガラスを使用することが望ましい。
【0041】
このとき、製紙法を用いることによって、気孔率が80%以上でありながらも優れた断熱ボード特性を有するガラス繊維ボードを形成することができる。また、ガラス繊維の直径が0.1μm未満である場合は、粒子が過度に小さくなり、ボードの形状が正常に形成されないおそれがあり、ガラス繊維の直径が10μmを超える場合は、ガラス繊維ボードの気孔直径が20μmを超えるようになり、断熱特性が低下するおそれがある。
【0042】
本発明に係る製紙法は、無機バインダーとガラス繊維の撹拌過程、無機バインダーとガラス繊維の混合物をボード化する過程、圧着ロ−ルを用いて脱水した後、熱風によって乾燥する過程及び規格に合わせてガラス繊維ボードを切断する切断過程からなる。
【0043】
このようにして芯材を完成すると、芯材を覆う封止体の製作のための外被材を形成し、その具体的な形状及び製造方法は次の通りである。
【0044】
図2は、本発明に係る真空断熱パネルを構成する外被材を示した断面図である。
【0045】
図2を参照すると、接着層200の上部には、金属バリア層210及び表面保護層220、230が順次形成される。
【0046】
ここで、接着層200は、ヒートシーリングによって互いに熱融着される層であって、真空状態を維持させる機能をする。したがって、接着層200は、熱融着が容易な高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピルレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)より選ばれた一つ以上の熱可塑性プラスチックフィルムで形成し、十分なシーリング特性を提供するために1〜100μmの厚さで形成することが望ましい。
【0047】
次に、接着層200の上部にガス遮断及び芯材保護のためのバリア層として6〜7μmの厚さの金属薄膜を形成する。このとき、一般に、Alホイル金属バリア層210が最も多く使用されており、Alホイルより優れた特性を有する薄膜が明らかになっていない状態であるので、本発明でもAlホイルを用いる。このとき、Alは、金属素材であるので、折り曲げ時にクラックが発生するという問題が発生しうるが、これを防止するために、金属バリア層210の上部に表面保護層220、230を形成する。
【0048】
本発明に係る外被材の表面保護層は、10〜14μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)220及び20〜30μmの厚さのナイロン230フィルムの積層構造で形成することが望ましい。このとき、金属バリア層210で発生するクラックの程度が深刻な場合、ポリエチレンテレフタレート/ナイロンフィルムにも損傷が加えられるが、本発明では、これを防止するために、ポリエチレンテレフタレート層の上部にビニル系樹脂層をコーティングして使用する。
【0049】
図3は、本発明に係る外被材のコーティング層を示した断面図である。
【0050】
図3を参照すると、本発明に係る外被材の最外郭フィルム230cとして、ポリエチレンテレフタレート層230a及びビニル系樹脂層230bの積層構造を見ることができる。ここで、ビニル系樹脂層としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂より選ばれた一つ以上からなるビニル系樹脂を使用することが望ましい。
【0051】
併せて、外被材の気密特性をより向上させるために、前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂を用いて接着させることが望ましい。
【0052】
このように外被材を形成することによって、本発明に係る真空断熱パッドは、最上の気密性と長期耐久性能を有するようになる。
【0053】
このとき、外部の温度変化によって外被材の内部でガス及び水分が発生しうるが、これを防止するためにゲッターを使用しており、以下では、本発明に係るゲッターについて説明する。
【0054】
図4は、本発明に係るゲッターを示した平面図である。
【0055】
図4を参照すると、パウチ310に入れた生石灰(CaO)300を見ることができる。本発明では、純度95%以上の生石灰粉末を使用し、パウチ310もクレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成することによって25%以上の水分吸収性能を確保できるようにする。このとき、全体の断熱パッドの厚さを考慮し、ゲッターの厚さは2mm以内にすることが望ましい。
【0056】
上述したように、本発明に係る芯材、外被材及びゲッターの形成を完了すると、これらを組み合わせて真空断熱パッドを製造する。
【0057】
まず、外被材を用いて封止体を製造した後、封止体内に芯材を入れて真空状態で密封する方法を使用するが、このとき、芯材の表面にゲッターを付着させたり、ゲッターの一部を埋めて使用することが望ましく、その具体的な形態は、下記の図5及び図6に示した。
【0058】
併せて、封止体内部の真空度は0.1〜10Paにすることが望ましい。真空度が0.1Pa未満の場合は生産効率が低下し、真空度が10Paを超える場合は初期熱性能及び長期耐久性が低下するおそれがある。
【0059】
図5及び図6は、本発明に係る真空断熱パネル及びその製造方法を示した断面図である。
【0060】
図5は、芯材400の表面にゲッター410を付着させた状態で外被材420を用いて密封した状態の真空断熱パネルを示したもので、図6は、芯材500の内部にゲッター510を挿入した状態で外被材520を密封した状態の真空断熱パネルを示したものである。
【0061】
このように製造された真空断熱パネルは、いずれも優れた長期耐久性能を発揮しており、以下では、その具体的な実施例を説明する。
【0062】
[実施例1、2]
まず、図1を参照して説明したガラス繊維ボードを10×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の大きさに製造した後、1〜3枚を積層して芯材を形成した。
【0063】
ここで、1枚のガラス繊維ボードを適用した例を実施例1に設定し、3枚のガラス繊維ボードを積層した例を実施例2に設定した。
【0064】
次に、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm、ナイロンフィルム25μm、Alホイル6μm及び線形低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの構造で形成された外装封止体を形成した。
【0065】
その次に、純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れた2個のゲッターを図6のように芯材の表面に挿入した。
【0066】
その次に、芯材を封止体に挿入した後、10Paの真空度状態で密封し、本発明に係る真空断熱パネルを製造した。
【0067】
[比較例1、2]
10×300×400mm(厚さ×幅×長さ)のバインダーグラスウールタイプのガラス繊維ボードを製造した後、1〜3枚を積層して芯材を形成した。
【0068】
ここで、1枚のガラス繊維ボードを適用した例を比較例1に設定し、3枚のガラス繊維ボードを積層した例を比較例2に設定した。
【0069】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)12μm、ナイロンフィルム25μm、Alホイル7μm及び線形低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム50μmの構造で形成された外装封止体を形成した。
【0070】
その次に、純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れた2個のゲッターを図6のように芯材の表面に挿入した。
【0071】
その次に、芯材を封止体に挿入した後、10Paの真空度状態で密封して真空断熱パネルを製造した。
【0072】
[比較例3、4]
図1を参照して説明したガラス繊維ボードを10×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の大きさに製造した後、1〜3枚を積層して芯材を形成した。
【0073】
ここで、1枚のガラス繊維ボードを適用した例を比較例3に設定し、3枚のガラス繊維ボードを積層した例を比較例4に設定した。
【0074】
次に、実施例1、2の外装封止体構造のうち表面保護層からナイロンフィルムを除いた外装封止体を形成した。
【0075】
その次に、純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れた2個のゲッターを図6のように芯材の表面に挿入した。
【0076】
その次に、芯材を封止体に挿入した後、10Paの真空度状態で密封して真空断熱パネルを製造した。
【0077】
[比較例5、6]
図1を参照して説明したガラス繊維ボードを10×300×400mm(厚さ×幅×長さ)の大きさに製造した後、1〜3枚を積層して芯材を形成した。
【0078】
ここで、1枚のガラス繊維ボードを適用した例を比較例5に設定し、3枚のガラス繊維ボードを積層した例を比較例6に設定した。
【0079】
次に、実施例1、2の外装封止体構造のうち表面保護層からPVDCコーティング層及びPETフィルムを除いた外装封止体を形成した。
【0080】
その次に、純度95%の生石灰(CaO)25gをパウチに入れた2個のゲッターを図6のように芯材の表面に挿入した。
【0081】
その次に、芯材を封止体に挿入した後、10Paの真空度状態で密封して真空断熱パネルを製造した。
【0082】
[性能試験及び評価]
上述した実施例及び比較例に係る真空断熱パネルを85℃の恒温チャンバにそれぞれ入れて10日間維持しながら、全体加熱を実施していないものと熱伝導率を比較した。このとき、熱伝導率の測定にはHC―074・300(英弘精機株式会社製)熱伝導測定器を使用した。次に、加速ファクターを適用して0〜10年までの熱伝導率を予測し、その結果を下記の表1及び図7に示した。
【0083】
【表1】

【0084】
図7は、本発明の一実施例及び比較例1、2に係る真空断熱パネルの長期耐久性を比較して評価したグラフである。
【0085】
前記表1及び図7を参照すると、比較例1、2の熱伝導率の増加量は時間の経過と共に急激に上昇する一方、本発明に係る実施例1、2の熱伝導率の増加量は緩慢に変化することが分かる。
【0086】
また、10年後の熱伝導率を見ると、本発明に係る実施例1は、0.006Kcal/mhr℃以下として依然として優れた真空断熱性能を維持する一方、比較例1は、0.01Kcal/mhr℃として一般のポリウレタンフォーム(PU Foam)の半分水準まで上昇し、真空断熱特性が著しく低下したことが分かる。併せて、前記グラフの変化量は線形的な増加量を示すので、実施例2及び比較例2も、実施例1及び比較例1と類似した水準に変化することを容易に予測することができる。
【0087】
比較例3〜6は、本発明に係る真空断熱パネルとは異なり、外被材の表面保護層を除いた構造である。すなわち、比較例3、4の外被材は、ナイロンフィルムを除いた構造であって、比較例5、6の外被材は、PVDCコーティング層及びPETフィルムを除いた構造である。表1を見ると、比較例3〜6は、真空断熱パネルの長期耐久性が著しく低下したことを確認することができる。
【0088】
したがって、上述した本発明の真空断熱パネルは、断熱性能を極大化できる構造を提供すると同時に、長期耐久性能を少なくとも10年以上に増加できるという効果を提供する。
【0089】
以上、添付の図面を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。したがって、以上説明した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものでないと理解しなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造した複数枚のガラス繊維ボードを積層して芯材を形成すること;
(b)表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有する外被材を形成すること;
(c)生石灰(CaO)粉末をパウチに包装して製造したゲッターを形成すること;
(d)前記ゲッターを前記芯材の上部に付着させたり、前記芯材の表面に挿入すること;及び
(e)前記外被材を用いて封止体を形成した後、(d)段階の芯材を入れて真空状態で密封させることを含むことを特徴とする真空断熱パネルの製造方法。
【請求項2】
前記ガラス繊維は、直径が0.1〜10μmの短繊維であることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項3】
前記無機バインダーは、水、シリカパウダー及び水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水ガラスであることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項4】
前記ガラス繊維ボードは4〜10mmの厚さで形成し、1〜3枚を積層することを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項5】
前記外被材の表面保護層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロンフィルムの積層構造であることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項6】
前記ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上部にはビニル系樹脂がコーティングされたことを特徴とする、請求項5に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項7】
前記ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂より選ばれた一つ以上であることを特徴とする、請求項6に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項8】
前記外被材の金属バリア層はAlホイルであることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項9】
前記外被材の接着層は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―ビニルアルコール共重合体(EVOH)より選ばれた一つ以上のプラスチックフィルムであることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項10】
前記外被材の前記表面保護層、金属バリア層及び接着層は、それぞれポリウレタン(PU)系樹脂を用いて接着させることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項11】
前記生石灰(CaO)の純度は95%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項12】
前記パウチは、クレープ紙及びポリプロピレン(PP)含浸不織布で形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項13】
前記真空状態の真空度は0.1〜10Paであることを特徴とする、請求項1に記載の真空断熱パネルの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のうちいずれか1項の方法で製造され、芯材、ゲッター及び外被材を含む構造で形成されることを特徴とする真空断熱パネル。
【請求項15】
前記芯材は、直径が20μm以下の気孔を含み、80%以上の気孔率を有することを特徴とする、請求項14に記載の真空断熱パネル。
【請求項16】
前記ゲッターは25%以上の水分吸収率を有することを特徴とする、請求項14に記載の真空断熱パネル。
【請求項17】
前記真空断熱パネルの10年後の予想熱伝導率は0.006Kcal/mhr℃以下であることを特徴とする、請求項14に記載の真空断熱パネル。
【請求項18】
ガラス繊維を無機バインダーに分散させた後、製紙法を用いて製造された複数枚のガラス繊維ボードが積層されてなる芯材;
前記芯材の上部に付着されたり、前記芯材の表面に挿入され、生石灰(CaO)粉末をパウチに包装した形態であるゲッター;及び
表面保護層、金属バリア層及び接着層の積層構造を有し、前記芯材及びゲッターの外表面を真空状態で密封させる外被材を含む真空断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−508652(P2013−508652A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536717(P2012−536717)
【出願日】平成23年1月4日(2011.1.4)
【国際出願番号】PCT/KR2011/000027
【国際公開番号】WO2011/083948
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】