説明

真空断熱パネル

【課題】軽量で、厚みが小さく且つ断熱性能に優れた真空断熱パネルを提供する。
【解決手段】一対の側板101,102を対向配置し、これら側板101,102の各辺に沿って4枚の枠材103〜106を配置することによって、密閉空間120を形成する。そして、排気口119を用いて、密閉空間120を真空引きする。密閉空間120内には、側板101,102と略平行に、例えばステンレス製の内板110が配置される。内板110は複数の貫通孔111を備えており、各貫通孔111には突起部112が貫通・配置される。突起部112が、側板101,102の内側面に先端部で当接することにより、これら側板101,102が支えられる。突起部112は、内板110よりも熱伝導率が低い材料、例えばガラス又はセラミックで形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空パネルの内部空間を真空引きしてなる真空断熱パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
断熱パネルは、冷蔵庫、保冷容器等の筐体や、航空輸送用コンテナの壁材等に使用されている。従来より、断熱パネルとして、一対の側板の間に発泡ウレタンや発泡ポリスチレン等の断熱材を埋設したものが知られている。しかし、これらの断熱材を用いて断熱パネルを作製する場合、十分な断熱性を得るためには、非常に厚い断熱材が必要になる。
【0003】
また、中空パネルの内部空間を真空引きすることによって、かかるパネルの断熱性を向上させる技術が、従来より知られている。このような断熱パネルは、真空断熱パネルと呼ばれている。真空断熱パネルによれば、断熱材を使用しただけの場合と比較して、断熱性を向上させることができる。しかし、真空断熱パネルでは、内部空間の気圧と大気圧との差によって側板が変形して、側板どうしが接触し、側板間で直接熱が伝導するようになってしまうおそれがある。このため、真空断熱パネルには、かかる変形を抑えるための補強手段を設けることが望ましい。
【0004】
例えば、下記特許文献1の技術では、凹凸を有する鋼板を積層することによって、真空断熱パネルの変形を抑制している(特許文献1の段落[0015]、図1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−114028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術は、複数枚の鋼板を使用するため、真空断熱パネルの重量が大きくなるという欠点がある。
【0007】
また、かかる鋼板を介して2枚の側板の間で熱が伝導するようになるので、真空断熱パネルの断熱性能を悪化させるという欠点がある。
【0008】
さらには、このような鋼板を積層したので、真空断熱パネルの厚みを十分に低減することができないという欠点もある。例えば、このような真空断熱パネルを用いて輸送用コンテナを作製する場合が考えられるが、輸送用コンテナでは外形寸法が予め規定されている場合が多い。このため、真空断熱パネルの厚みが大きいほど内部容積が小さくなってしまい、積載容量が減ってしまう。
【0009】
本発明の課題は、軽量で、厚みが小さく且つ断熱性能に優れた真空断熱パネルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明に係る真空断熱パネルは、対向配置された一対の側板とこれら側板の各辺に沿って配置された4枚の枠材とを用いて形成された密閉空間と、該密閉空間を真空引きするための排気口と、前記密閉空間内に、前記一対の側板と略平行に配置された、内板と、少なくとも一方の前記側板の内側面に当接することにより、前記密閉空間の内外の気圧差によって前記一対の側板が変形することを抑制するために、該内板に設けられた、複数の突起部と、を有する真空断熱パネルであって、前記突起部が、前記内板よりも熱伝導率の低い材料で形成されたことを特徴とする。
【0011】
本願発明においては、前記突起部は、前記内板に設けられた貫通孔に挿通された状態で配置され、且つ、該突起部の両端部分が、それぞれ、前記一対の側板の各内側面に当接することが望ましい。
【0012】
本願発明においては、前記突起部は、前記側板にそれぞれ当接する各先端部分が、略円錐形であることが望ましい。
【0013】
本願発明においては、前記突起部が、ガラス又はセラミックで形成されることが望ましい。
【0014】
本願発明においては、前記内板の側面に1個又は複数個の軽量化用貫通孔が設けられることが望ましい。
【0015】
本願発明においては、前記枠材は、平板の中央部分を挟む側部をそれぞれ鈍角に折り曲げられ、且つ、該側部のそれぞれの端部を互いに平行となるように折り曲げられ、これらの端部で、対応する前記側板に面接触すると共に、前記中央部分とそれぞれの前記側部との境界部付近に、それぞれの前記側板に設けられた凸部が当接されることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明によれば、一対の側板と略平行に内板を配置し、該内板よりも熱伝導率が低い複数の突起部を当該内板に配置し、これら突起部を側板に当接させることによって、内部空間の気圧と大気圧との差による側板の変形を抑える。このため、本願発明によれば、突起部と側板との接触面積を非常に小さくすることができる。
【0017】
従って、本願発明に係る真空断熱パネルでは、突起部と側板との間を伝導する熱が、非常に少ない。その結果、本願発明に係る真空断熱パネルによれば、非常に優れた断熱性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】発明の実施の形態1に係る真空断熱パネルの全体構成を示す概念図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】(a)は図1(b)に符号Xで示した部分を拡大して示す概略的断面図、(b)は図1に示した突起部の概略的斜視図である。
【図3】発明の実施の形態1に係る真空断熱パネルを用いて作製された収容箱の一例を示す概念図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図4】発明の実施の形態1に係る真空断熱パネルを用いて作製された収容箱の他の例を示す概念図であり、(a)は外観斜視図、(b)は部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る真空断熱パネルについて、図面を用いて説明する。
[発明の実施の形態1]
【0020】
図1は、第1の実施形態に係る真空断熱パネル100の全体構成を示す概念図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0021】
図1に示したように、本実施形態の真空断熱パネル100では、一対の側板101,102が、互いに向き合うように配置されている。また、側板101,102の間には、内板110が配置されている。さらに、側板101,102の各辺に沿って、枠材103〜106が配置されており、側板101,102及び枠材103〜106はそれぞれ互いに密着固定されている。これにより、側板101,102と枠材103〜106とによる密閉空間120が形成されている。この密閉空間120は、排気管119を用いて、例えば高真空に真空引きされる。なお、本願で「高真空」とはJIS規格に規定された高真空、すなわち気圧が10−5Pa以上10−1Pa以下の状態をいう。本実施形態の真空断熱パネル100が中真空や低真空でも使用できることは、もちろんである。
【0022】
以下、真空断熱パネル100の構成について、詳細に説明する。図2において、(a)は図1(b)に符号Xで示した部分の拡大図、(b)は図1に示した突起部の概略的側面図である。
【0023】
側板101,102としては、例えばステンレス等の金属板を使用することができる。本実施形態では、SUS304−H(バネ材)を使用している。また、本実施形態では、側板101,102の寸法を、550mm×550mmとした。側板101,102の厚さは、例えば0.2〜0.8mmが好ましいが、ここでは約0.5mmとした。また、側板101,102としては、外側面101a,102aが鏡面処理されたものを使用できる。
【0024】
枠材103としては、例えばステンレス等の金属板を使用することができる。図2(a)に示したように、中央部分103aを挟む側部103b,103cを鈍角に折り曲げ、さらに端部103d,103eを互いに平行となるように折り曲げることで形成される。中央部分103aと側部103b,103cとの境界部付近には、側板101,102の凹部101b,102bが当接される。枠材103の全幅W1は例えば12mmであり、また、側板101,102との接触部分の長さW2は例えば5mm以下である。端部103d,103eは側板101,102の縁部付近と面接触している。
【0025】
このような構造によれば、側板101,102と側部103b,103cとの間に高真空の空間が形成されるので、該側板101,102と該側部103b,103cとの熱伝導を低く抑えることができる。また、側板101,102から端部103d,103eに伝搬した熱の大部分を、この枠材102で放熱させることができる。枠材102の放熱性を高めるためには、該枠材103の全長(すなわち、側板101,102間で熱が伝導するときの伝導経路の長さ)を長くするほど望ましい。本実施形態では、密閉空間120内を高真空にするので、該密閉空間120内外の気圧差により、中央部分103a付近が凹部101b,102bによって両側から押圧される。これにより、枠材103の全長を長くしても、十分な強度を得ることができる。なお、側板101,102間の距離よりも熱伝導の経路長の方が長くなるような折り曲げ形状であれば、他の形状であっても良い。図2(a)では枠材103のみを示したが、他の枠材104〜106の構造も同様である。
【0026】
本実施形態では、枠材103〜106の金属材料としてSUS304−Hを使用し、また、枠材103〜106の厚みをそれぞれ約0.2mmとした。そして、これら枠材103〜106をシーム溶接等で固定することにより、図1(a)に点線で示したような、真空断熱パネル100の枠109を組み立てた。さらに、側板101,102の各辺に沿ってシーム溶接を施すことにより、枠材103〜106と側板101,102とを溶接部201,202で密着固定した。シーム溶接とは、抵抗溶接の一種であり、ローラ電極を用いて加圧且つ通電しながら電極を回転させることにより、溶接対象物を連続的に溶接する方法である。なお、枠材103〜106や側板101,102の固定には、例えばアーク溶接等の、他の固定方法を使用してもよい。但し、かかる固定方法としては、ガスが発生しないような方法を採用することが望ましい。密閉空間120内の真空引き後に溶接部分からガスが漏れ出すと、真空度が低下して断熱効果が損なわれるおそれがあるためである。
【0027】
内板110としては、例えばステンレス等の金属を使用することができる。本実施形態では、内板110の形成材料として、SUS304−Hを使用した。内板110の厚さは、約0.2mmとした。断熱性を高めるため、内板110は、枠材103〜106と接触しないように配置される。
【0028】
内板110には、多数の貫通孔111が設けられている。貫通孔111の直径は、例えば6mmである。この貫通孔111には、突起部112が挿通される。本実施形態の突起部112は、図2(b)に示したように、小径の円柱部112a(例えば高さ2mm、直径6mm)と大径の円柱部112b(例えば高さ1mm、直径8mm)とが、一方の端面同士が接するように一体形成される。さらに、小径の円柱部112aの他方の端面には小径で略円錐形の先端部112c(例えば高さ3mm、直径6mm)が、大径の円柱部112cの他方の端面には大径で略円錐状の先端部112d(例えば高さ4mm、直径8mm)が、それぞれ一体に形成されている。本実施形態では、これらの突起部112は、単に、小径の円柱部112a及び先端部112cを貫通孔111に挿通することのみで、内板110に保持される。そして、密閉空間120内では、突起部112の一方の先端部112cが、側板102の内側面に当接して該側板102を支え、また、突起部112の他方の先端部112dが、側板101の内側面に当接して該側板101を支える。
【0029】
先端部112c,112dを略円錐形としたのは、突部112と側板101,102との接触面積を小さくして、熱伝導を抑制するためのである。突部112と側板101,102との熱伝導を抑えることにより、突起部112を介して側板101,102間に熱が伝導し難くすることができる。
【0030】
該突起部112は、側板101,102や内板110の形成材料よりも熱伝導率の小さい材料で形成される。本実施形態では、突起部112を、ガラスで形成した。ここで、内板110の形成材料であるSUSの熱伝導率は例えば18W/mK(Wはワット、mはメートル、Kはケルビン)であるのに対して、ガラスの熱伝導率は例えば0.7W/mKである。
【0031】
このようにして、本実施形態によれば、密閉空間120内の真空引きに起因する側板101,102の変形を抑えることができ且つ熱伝導率が非常に低い突起部112を、安価に形成することができる。
【0032】
なお、側板101,102や内板110よりも熱伝導率の低いものであれば、ガラス以外の材料で突起部112を形成することも可能である。但し、本実施形態の真空断熱パネル100では、突起部112への荷重が最大15Kg程度になる(低真空、中真空及び高真空において、ほぼ同じである)。このため、かかる荷重に対して十分な強度を得られるような材料で、突起部112を形成することが望ましい。例えば、セラミックは、熱伝導率が0.6W/mK程度であり且つ強度も十分に大きいため、本実施形態の突起部112として好適である。加えて、突起部112をセラミックで形成する場合、当該突起部112の加工が容易になるという利点もある。
【0033】
本実施形態では、内板110に、軽量化用貫通孔113を複数個設けた。また、軽量化用貫通孔113を設けることにより、密閉空間120内の真空引きを行う際に、空気の流れを容易にすることもできる。軽量化用貫通孔113の寸法や個数等は、任意である。但し、真空断熱パネル100を軽量にするためには、内板110の強度に問題が生じない範囲内で、軽量化用貫通孔113の総面積を大きくすることが望ましい。例えば、軽量化用貫通孔113の直径は30mmであり、また、該軽量化用貫通孔113のピッチは38mmである。
【0034】
排気管119は、密閉空間120を真空引きするために使用される。排気管119の種類等は限定されないが、密閉空間120内を長期間にわたって真空状態(例えば、高真空)に維持できるような処理が施されることが望ましい。本実施形態では、排気管119を二重パイプ構造とし、外側パイプとして直径約10mm且つ長さ約1mmのステンレス・パイプを使用し、内側パイプとして銅パイプを使用した。そして、真空引き後にプレス加工して排気管119を高圧着し、さらに、排気管119の外側先端を溶接した。これにより、密閉空間120の内部への大気ガスの侵入を防止することができて、密閉空間120が例えば高真空に維持される。
【0035】
図3は、本実施形態の真空断熱パネル100を用いて収容箱を作製した例であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)のB−B断面図である。
【0036】
図3(a)に示したように、この収容箱300は、略正六面体の形状を有しており、6枚の真空断熱パネル100を用いて作製される。なお、図3(a)では、3枚の真空断熱パネル100−1〜100−3のみを示した。
【0037】
枠体301としては、例えば、硬質発泡樹脂が使用される。図3(b)に示したように、枠体301は、隣接する2枚の真空断熱パネル100(図3(b)では真空断熱パネル100−1,100−2)の端部及びその近傍をそれぞれ覆うようにして、これら二枚の真空断熱パネル100を平面が直角になるように固定する。これにより、6枚の真空断熱パネル100の各辺を、隣接する他の真空断熱パネル100に固定して、略正六面体の収容箱300を作製することができる。
【0038】
なお、収容箱300に貨物を収容する場合や該収容箱300から貨物を取り出す場合には、枠体301を図3(b)の上方向に引き抜いて真空断熱パネル100−1を取り外せばよい。
【0039】
図4は、本実施形態の真空断熱パネル100を用いて作成した収容箱の他の例であり、(a)は外観斜視図、(b)は部分断面図である。
【0040】
図4の例では、上部開口401aを有する箱型の収容箱本体401を、1枚の真空断熱パネルによって形成する。このため、側板402,403及び内板404は、それぞれ、三次元プレス加工で箱型に形成される。そして、内板404に突起部112を装填して、外側の側板402内に収容し、さらに、この内板404内に内側の側板403収容する。収容箱本体401の上部開口401aは、図示しない蓋部によって塞ぐことができる。蓋部としては、図1及び図2に示したような真空断熱パネル100と同様の構成のものが使用できる。
【0041】
以下、本実施形態に係る真空断熱パネル100の原理について説明する。
【0042】
本実施形態に係る真空断熱パネル100を使用する場合、密閉空間120内を例えば高真空(中真空又は低真空でもよい)に設定する。このため、密閉空間120内の空気対流による熱伝導(側板101,102間の熱伝導)を非常に少なくすることができるので、十分に高い断熱性を得ることができる。
【0043】
その一方で、密閉空間120内を高真空にすると、該密閉空間120の負圧によって、側板101,102が内側に変形しようとする。かかる変形を抑制する方法としては、強度の高い側板を使用する方法や内板を使用する方法が考えられる。しかしながら、この変形を抑制するために強度の高い側板を使用する場合、かかる側板の板厚を厚くする必要が生じるので、真空断熱パネル100の総重量が大きくなってしまう。また、上記特許文献1のような補強手段を使用する場合も、内板自体の重量が大きいために真空断熱パネル100の総重量が大きくなってしまう。
【0044】
これに対して、本実施形態では、内板110に複数の貫通孔111を設けて、該貫通孔111にそれぞれ突起部112を挿通し、更に、かかる突起部112の両端を側板101,102に当接させて支持させることとした。このため、内板110を非常に薄く形成しても、側板101,102に対して十分な補強を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、真空断熱パネル100を軽量化しつつ十分な強度を得ることができる。
【0045】
本発明者の検討によれば、密閉空間120内が高真空の場合であっても、このような突起部112を使用するだけで十分な強度を得ることができた。
【0046】
また、本実施形態では、突起部112を、側板101,102や内板110よりも熱伝導性の小さい材料であるガラス等で形成した。このため、突起部112を介して側板101,102間に熱が伝導し難く、従って、非常に優れた断熱性能を得ることができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、枠材103〜106を図2(a)のような折り曲げ構造としたので、これら枠材103〜106の放熱性を高めることができ、この点でも、非常に優れた断熱性能を得ることができる。
【0048】
このように、本実施形態の真空断熱パネル100は、密閉空間120内を真空状態(高真空、中真空又は低真空)にし、且つ、突起部112や枠材103〜106を介した熱伝導が小さい。このため、パネル厚さを非常に薄くしても、十分に高い断熱性能を得ることができる。すなわち、本実施形態によれば、断熱性能の高い真空断熱パネル100を、非常に薄く形成することができる。本実施形態の真空断熱パネル100では、パネル厚さは11mm、両側板101,102間の熱伝導率は0.00030W/mKであった。これに対して、発泡ウレタンを用いた断熱パネルの熱伝導率は、0.02W/mK程度である。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、軽量で、厚みが小さく且つ断熱性能に優れた真空断熱パネルを提供することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、内板110の貫通孔111に突起部112を挿通して、該突起部112の両端部を側板101,102に当接させる構造としたが、側板101,102や内板110よりも熱伝導率の低い突起部で側板101,102の内側面を支持する構造であれば、他の構造であっても本発明の効果を得ることができる。例えば、貫通孔111を設けずに、短尺の突起部を内板110の両側表面に固定して、それぞれ対応する側板101,102に当接させることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の真空断熱パネルは、例えば輸送用コンテナ、保存容器、冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機、建築物の壁材、溶鉱炉の遮熱板等、あらゆる用途の断熱材に使用できる。
【符号の説明】
【0052】
100 真空断熱パネル
101,102 側板
103〜106 枠材
109 枠
110 内板
111 貫通孔
112 突起部
113 軽量化用貫通孔
119 排気管
120 密閉空間
201,202 シーム溶接による溶接部分
300,400 収容箱
301 枠体
401 収容箱本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対の側板とこれら側板の各辺に沿って配置された4枚の枠材とを用いて形成された密閉空間と、
該密閉空間を真空引きするための排気口と、
前記密閉空間内に、前記一対の側板と略平行に配置された、内板と、
少なくとも一方の前記側板の内側面に当接することにより、前記密閉空間の内外の気圧差によって前記一対の側板が変形することを抑制するために、該内板に設けられた、複数の突起部と、
を有する真空断熱パネルであって、
前記突起部が、前記内板よりも熱伝導率の低い材料で形成されたことを特徴とする真空断熱パネル。
【請求項2】
前記突起部は、前記内板に設けられた貫通孔に挿通された状態で配置され、
該突起部の両端部分が、それぞれ、前記一対の側板の各内側面に当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の真空断熱パネル。
【請求項3】
前記突起部は、前記側板にそれぞれ当接する各先端部分が、略円錐形であることを特徴とする請求項2に記載の真空断熱パネル。
【請求項4】
前記突起部が、ガラス又はセラミックで形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空断熱パネル。
【請求項5】
前記内板の側面に1個又は複数個の軽量化用貫通孔が設けられたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の真空断熱パネル。
【請求項6】
前記枠材は、平板の中央部分を挟む側部をそれぞれ鈍角に折り曲げられ、且つ、該側部のそれぞれの端部を互いに平行となるように折り曲げられ、
これらの端部で、対応する前記側板に面接触すると共に、
前記中央部分とそれぞれの前記側部との境界部付近に、それぞれの前記側板に設けられた凸部が当接される、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の真空断熱パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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