真菌および酵母種の同定用診断標的としてのeIF2γ遺伝子
本発明は酵母または真菌の種の診断キットであって、少なくともeIF2γ遺伝子又はその対応するmRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の真菌および酵母種を検出するための核酸プライマーおよびプローブに関する。より詳細には、本発明は、eIF2γ遺伝子(EF-2遺伝子としても既知)、それに関連した対応するRNA、特異的なプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチド並びに真菌および酵母種間の検出および/または識別のための診断分析での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母および真菌の感染は、免疫不全患者の間で疾患率および大量死の主要な原因を意味する。酵母および真菌感染のリスクがある免疫不全患者の数は毎年増え続け、疾患を引き起こす真菌および酵母の因子のスペクトルも同様である。真菌感染、特に侵襲性の真菌感染による大量死は、特定のリスク群で30%以上である。数々の有効な抗真菌剤が増えているが、しかし抗真菌薬に対する内因性および出現抵抗の両方の認識にあるものである。これら因子は、実験室試験における費用抑制の増大した必要性の一因となり、試験手順で実験室統合につながる。
【0003】
侵襲性真菌感染は増加している。2003年には900万人ものリスクを抱えた患者がいると見込まれ、そのうち120万人の感染は進行している。カンジダ種およびアスペルギルス種が、免疫低下患者に感染する最も顕著な病原菌としてランクされている。特に、感染が、泌尿器、呼吸器系および血流においてステント、カテーテルおよび整形の継ぎ目の挿入部位では普通である。およそ、10%の既知のカンジダ種がヒトへの感染にかかわる。侵襲性カンジダ症はカンジダが血流に進入する際に起こり、アメリカ合衆国において8/100,000の人口確率で発生すると見込まれ、その死亡率は40%である。カンジダ・アルビカンスは血流感染の4番目に最も一般的な原因である。アスペルギルスは、通常一部の患者において生命を危うくする侵襲性感染まで進行し得る肺性の感染として発生し、そしてその死亡率は90%以上である。新生の真菌症因子は、フサリウム属種、シドスポリウム属種、接合菌類とトリコスポロン種を含む("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。
【0004】
移植および外科術後患者、新生児、癌患者、糖尿病患者およびHIV/AIDの者を含む免疫不全患者は、侵襲性真菌感染を発現するリスクが高い(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004)。多くの重度の敗血症のケースが毎年報告されている。医学的マネージメントの改善にもかかわらず、敗血症はまだ集中治療医学における最大の挑戦の一つを構成する。敗血症を引き起こすのに関与する微生物(バクテリア、真菌、酵母)は、乏しい感度(25〜82%)の微生物学的培養法を用いて病院検査室で伝統的に検出され、該方法は極めて時間がかかり、通常完了するのに2〜5日、そして真菌感染の診断には最大8日かかる。酵母や真菌により起こる感染の確定診断は、大抵特異的因子の臨床上の検体からの回収および識別、または明確な形態的特徴を有する真菌の顕微鏡による確認のいずれかに基づいている。
【0005】
しかしながら、これらの方法では感染因子に関して決定的な証明を得ることができない多くのケースがある。この場合、特異的なホスト抗体応答の検出を用いることができるが、これは再び患者の免疫状態の影響を受ける。バクテリア、酵母または真菌により通常生ずる血流感染の検出および同定では時間が重要である。効果的な治療は、速やかにかつ効率的に感染源を見つけ、抗生物質または抗真菌薬ついての適切な決断をなすことに依存する。病原菌を正しく同定した後だけに、特異的な抗生物質または抗真菌薬を用いる標的治療を始めることができる。多くの医師は、酵母および真菌の早期診断のためにより良好な生体外での増幅および直接検出の診断方法の発達を知りたがっている(("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。最近、ロシュ社は臨床上サンプルにおけるバクテリア、真菌および酵母のDNAの検出用のリアルタイムPCR系アッセイを販売した(Septifast*11)。したがって、臨床部門の生物分析用途に対し臨床的に重要なバクテリアおよび真菌の病原体用の新規で迅速な診断試験の開発が明らかに必要である。これが、核酸診断法(NAD)試験の用途に対する新規な真菌および酵母核酸標的を同定するように本発明者らを導いた。
【0006】
真菌および酵母核酸を基にした診断法は、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、RNA転写物およびその関連するDNA/RNA領域に重く焦点を置いている。rRNA遺伝子は、すべての真菌種に高度に保存され、また分岐かつ独特な遺伝子間転写スペーサー領域を含有する。リボソームrRNAは3つの遺伝子、すなわち大きいサブユニット遺伝子(28S)、小サブユニット遺伝子(18S)および5.8S遺伝子を含む。28Sと18SrRNA遺伝子が5.8SrRNAと二つの内部転写スペーサー(ITS1およびITS2)によって分離されている。ITS領域は多数の配列多型を含むため、多くの研究者がこれらを標的とすることに集中した(Atkins and Clark, 2004)。rRNA遺伝子はまた、真菌ゲノム中に10コピー以上を有する多コピー遺伝子である。
【0007】
多くの群が、真菌および酵母感染用の新たなアッセイを発展させることに取り組んでいる。米国特許出願公開第2004/044193号明細書は、多数の態様の中でカンジダ・アルビカンスの転写因子CaTEC1、そのインヒビター、カンジダ感染に関連する疾患の診断および治療方法、ヌクレオチド配列、タンパク、ホスト細胞および/または抗体を含む診断用および医薬品用の組成物に関するものである。国際公開第WO0183824号は、カンジダ・アルビカンスおよび/またはカンジダ・デゥブィニエンシスからリボソーム核酸を検出するためのハイブリダイゼーション分析プローブおよび修飾オリゴヌクレオチドに関するものである。米国特許第6017699号明細書および米国特許第5426026号明細書は、五つの医学的に重要なカンジダ種からDNAを増幅および種分化するのに使用できるDNAプライマーのセットに関するものである。米国特許第6747137号明細書は、カンジダ感染の診断に有用な配列を開示する。様々な酵母および真菌種の診断のために、欧州特許第0422872号明細書と米国特許5658726は、18SrRNA遺伝子を基にしたプローブを開示し、米国特許第5958693号明細書は、28SrRNAを基にしたプローブを開示する。米国特許第6017366号明細書は、様々なカンジダ種に対する核酸を基にした診断に使用するためのキチンシンターゼ遺伝子を基にした配列を開示する。
【0008】
より早くより正確な診断方法の発展が、特に変異ゲノム配列を有する耐性の毒性株の増大した母集団を生じさせる現代の抗真菌治療により起こる選択圧を考慮すると、必要であること明らかである。感染の微生物原因を早期に診断し得る方法は、感染を治療するための特異的に狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬の選択を可能にする(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004; Datamonitor report: Stakeholder Opinion-Sepsis, under reaction to an overreaction, 2006)。真核開始因子2(eIF2)は、eIF2アルファ(eIF2α)、eIF2ベータ(eIF2β)およびeIF2ガンマ(eIF2γ)の3つのサブユニットから成るヘテロ三量体である。eIF2は、イニシエータtRNAのリボソームへのGTP依存送達に要求されるヘテロ三量体Gタンパクである真核生物の翻訳開始因子2である。eIF2ガンマサブユニット(eif2γ)は、微生物に対する分子的診断標的として特許された真核生物の翻訳伸長因子EF-Tuに類似したアミノ酸配列を持つ(Alone and Dever, 2006; Dorris et ah, 1995; Erickson et al, 1996 and 1997)
【発明の概要】
【0009】
現在、eIF2γの171の配列が、2つの注釈つきカンジダ・アルビカンスのeIF2γ配列およびカンジダ・アルビカンスのeIF2γと78%の相同性を有する一つのカンジダ・グラブラタの仮定上タンパクを含む3つのカンジダ種および6つのアスペルギルス種配列、すなわち3つのeIF2γとして注釈付けられた配列と3つの仮定上配列を包含するNCBI GenBankデータベースで入手可能である。その公表された配列は、長さで約1600個の塩基対であり、カンジダ種とアスペルギルス種の種同定用のPCRプライマーおよびプローブ設計に適した多数の配列領域を提供する。カンジダに関して、本発明者らはカンジダ・アルビカンスの塩基対(bp)位置1040に対しbp位置718に等価なeIF2γ遺伝子の領域に焦点をあわせた。アスペルギルスに関して、本発明者らはアスペルギルス・フミガタスのbp位置374に対しbp位置121に等価なeIF2γの領域を増幅するためのプライマーを設計した。
【0010】
(定義)
「合成オリゴヌクレオチド」は、ゲノムDNAまたは生物体に直接由来しない2つ以上のヌクレオチド塩基の核酸ポリマーの分子を参照する。合成オリゴヌクレオチドの用語は、化学的に作製または生体外で酵素的に合成したDNA、RNAおよびDNA/RNAハイブリッドを含むことを意図するものである。
【0011】
「オリゴヌクレオチド」は、共有結合で結合した二つ以上のヌクレオチドサブユニットを有するヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、普通約10から約100のヌクレオチドである。ヌクレオチドサブユニットの糖類は、リボース、デオキシリボースまたはOMeのような修飾誘導体とすることができる。複数のヌクレオチドサブユニットを、リン酸ジエステルリンケージ、修飾されたリンケージのようなリンケージによるか、又は相補的標的ヌクレオチド配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成を阻害しない非ヌクレオチドリンケージ部分により結合することができる。修飾されたリンケージは、標準のリン酸ジエステルリンケージをホスホロチオエートリンケージ、メチルホスホネートリンケージまたは中性のペプチドリンケージのような異なったリンケージで置換したものを含む。また、窒素含有塩基類似物を本発明に係るオリゴヌクレオチドの成分としてもよい。
【0012】
「標的核酸」は、標的核酸配列を含む核酸である。「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」または「標的配列」は、相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成をし得る特異なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列である。
【0013】
「オリゴヌクレオチドプローブ」は、標的核酸配列に十分に相補的なヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドで、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出可能なハイブリッドプローブ:標的デュプレックスを形成することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、単離化学種で、また高い厳しさのハイブリッド形成条件下ではハイブリッド形成を妨げない限り標的した領域の外側に付加的ヌクレオチドを含んでもよい。非相補的な配列、例えばプロモーター配列、制限エンドヌクレアーゼ認識部位サイト、または触媒活性サイトのような所望の二次または三次構造を付与する配列を用いて、発明したプローブを用いる検出を容易にすることができる。オリゴヌクレオチドプローブを任意にラジオアイソトープ、蛍光性部分、化学発光、ナノ粒子部分、酵素またはリガンドのような検出可能部分で標識付けすることができ、これを用いて、標的配列に対するプローブのハイブリッド形成を検出または確認することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、約10から約100ヌクレオチド長のサイズ範囲にあるのが好ましいが、プローブは500ヌクレオチド長と同等又はそれ以上、または10ヌクレオチド長未満とする事が可能である。
【0014】
「ハイブリッド」または「デュプレックス」は、二つの単鎖核酸配列間にワトソン・クリック塩基対又は相補的な塩基間の非標準塩基対により形成した複合体である。「ハイブリッド形成」は、核酸の二つの相補鎖を一緒にして二重鎖構造(「ハイブリッド」または「デュプレックス」)を形成する方法である。「真菌」又は「酵母」は、真菌界の生物体を意味し、また子嚢真菌門のあらゆる生物体に向ける。
【0015】
「相補性」は、DNAまたはRNAの単鎖の塩基配列によって得た物性で、ハイブリッド又は二本鎖DNA:DNA、RNA:RNA又はDNA:RNAを当該鎖上のワトソン・クリック塩基対間の水素結合により形成すねことができる。アデニン(A)は通常チミン(T)またはウラシル(U)を補完し、一方グアニン(G)は通常シトシン(C)を補完する。
【0016】
「厳しさ」の用語は、ハイブリッド形成およびその後の処理工程中にある温度、イオン強度および溶媒組成を述べるのに使用する。当業者は、「厳しさ」の条件がこれらパラメーターを個別にまたは一緒に変えることにより変更し得ることを認識する。高い厳しさの条件下では、高度に相補的な核酸ハイブリッドのみが形成され、十分程度の相補性を持たないハイブリッドは形成されない。従って、分析条件の厳しさは、ハイブリッドを形成する二つの核酸鎖間で必要な相補性の値を決定する。厳しさの条件を選択して標的と非標的核酸で形成されたハイブリッド間の安定性の違いを最大化する。
【0017】
「高い厳しさ」の条件では、核酸塩基対化が高頻度の相補塩基配列を有する核酸フラグメント間でのみ起きる(例えば、高い厳しさ条件下でのハイブリッド形成が約85−100%の同一性、好ましくは約70−100%の同一性のホモログ間で起き得る)。中間の厳しさの条件では、核酸塩基対化が中間頻度の相補塩基配列を有する核酸の間で起こる(例えば、「中間厳しさ」の条件下でのハイブリッド形成が約50−70%の同一性のホモログ間で起こり得る)。従って、「弱い」または「低い」厳しさの条件が、遺伝子的に様々な生物から得た核酸では、相補的な配列の頻度が通常低いので、しばしば要求される。
【0018】
「高い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き0.1xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0019】
「中間厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き1.0xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものでである。
【0020】
「低い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.1%SDS、5xデンハード試薬(50xデンハードは500ml当たり5gのフィコール(タイプ400、ファルマシア社)、5gのBSA(フラクションV、シグマ社)を含む)および100マイクロg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き5xSSPE、0.1%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0021】
核酸生体外増幅を基にした儀出との関連では、「厳しさ」を生体外増幅技術に特有の温度条件およびイオン性緩衝液条件を適用することにより達成する。例えば、PCRおよびリアルタイムPCRとの関連では、「厳しさ」がオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリッド形成用で、かつプローブのリアルタイムPCRハイブリッド形成に関する特異的な温度およびイオン緩衝液強度を標的核酸の生体外増幅のために標的核酸へ適用することによって達成される。
【0022】
当業者は、本発明の実質的に対応するプローブが付託された配列から変わり、同じ標的核酸配列に対しまだハイブリッド形成をし得ることを理解するであろう。かかる核酸からの変化が、配列中の同一塩基の百分率、すなわちプローブとその標的配列との間で完璧に相補的な塩基の百分率を単位として提示することができる。本発明のプローブは、これら百分率が100%から80%または約10塩基標的配列における0塩基不一致から約10塩基標的配列における約2塩基不一致である場合に、核酸配列に実質的に対応する。好ましい実施態様では、百分率が約100%から約85%である。より好ましい実施態様では、百分率が約90%から約100%であり、他の好ましい実施態様では百分率が約95%から約100%である。「十分に相補的」または「実質的に相補的」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出のために安定であるハイブリッドを形成するに十分な量の近接する相補的なヌクレオチドを有する核酸を意味する。実質的に相補的とは、所定の基準配列に対し少なくとも90%の同一性、例えば、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列に言及することもできる。
【0023】
二つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連での用語「同一」またはパーセント「同一」は、後述するデフォルトパラメーターを有するBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いるか、または手動配置および視覚検査により測定して、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの同じかまたは特定の百分率(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域において最大一致のために比較および配列した際の特定領域に対し90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより高い同一性)を有する二つ以上の配列またはサブ配列を指す(例えば、NCBIウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等参照)。かかる配列を「実質的に同一」とする。この定義はまた、テスト配列の相補体に引用するか、または適用することができる。この定義はまた、削除および/または追加した配列並びに置換した配列も含む。後述するように、好ましいアルゴリズムは間隙等の説明をすることができる。同一性は、好ましくは少なくとも約25アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域、より好ましくは50〜100アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域に存在する。
【0024】
配列比較に関して、通常一つの配列が参照配列として作用し、これに対しテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、テストおよび参照配列をコンピュータに入れ、所要に応じて配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指令する。好ましくは、初期設定パラメーターを用いるか、または代替パラメーターを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータを基にして参照配列に対するテスト配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0025】
ここで用いる「比較ウィンドウ」は、20〜600、通常約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群から選択した数の連続位置のいずれか一つの部分への言及を含み、ここで二つの配列を最適に整えた後、ある配列を同一数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較のための配列の配置方法は当業界で周知である。比較のための配列の最適な配置を、例えばスミスとウォーターマンAdv. Appl. Math. 2:482 (1981)の部分的相同性アルゴリズムによるか、ニードルマンとワンチJ. MoI. Biol. 48:443 (1970) の相同性配置アルゴリズムによるか、ピアースンとリプマンProc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似方法の検索によるか、これらアルゴリズムのコンピュータ処理遂行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)によるか、または手動配置および視覚検査(Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1987-2005, Wiley Interscience参照)によって実施できる。
【0026】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはアルツシュル他のNuc.Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al, J. MoI. Biol. 215:403-410 (1990)にそれぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST2.0をここに記述したパラメーターで用いて、本発明の核酸およびタンパクのパーセント配列同一性を決定する。BLAST分析を行うためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationを通じて公に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードで並べた際にある正の値の限界値Tを合致または満足する問い合わせ配列における長さWの短いワードを識別することによって先ず高いスコアの配列対(HSP)を識別することを包含する。Tは近傍ワードスコア閾値として引用する(Altschul et al., supra)。これら初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索開始用のシーズとして作用する。累積的な配置スコアを増大することができる限り、ワードヒットはそれぞれの配列に沿って両方向に伸張する。ヌクレオチド配列に関しては、累積的なスコアがパラメータM(一対の合致残基の得点スコアであり、常に>0)およびN(不適合残基のペナルティスコア、常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、スコアマトリックスを用いて累積的なスコアを算出する。各方向のワードヒットの伸長は、累積的配置スコアがその最大達成値から量Xだけ下落するか、累積的なスコアが一つ以上の負のスコア残基配置の蓄積によりゼロ以下となるか、またはいずれかの配列の端に到達したときに中断される。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、配置の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、規定値として11のワード長さ(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、規定値として3のワード長さ、10の期待値(E)、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. ScL USA 89:10915 (1989)を参照)、50の配列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。
【0027】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその一本鎖または二本鎖形のポリマー、およびその相補体である。この用語は、既知のヌクレオチド類似体または修正された骨格残基またはリンケージを含む核酸を包含し、合成、天然物および非天然物であり、参照核酸と類似の結合特性を有し、参照ヌクレオチドに類似した方法で代謝される。かかる類似体の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸塩、メチルホスホン酸塩、不斉メチルホスホン酸塩、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
「核酸ハイブリッド」または「プローブ:標的デュプレックス」は二本鎖で、水素結合した構造、好ましくは約10〜約100のヌクレオチド長、より好ましくは14〜50のヌクレオチド長である構造を意味するが、これはある程度オリゴヌクレオチドプローブの全体長さに依存する。該構造は、例えば化学発光または蛍光検出、オートラジオグラフィー、電気化学的分析またはゲル電気泳動によって検出されるに十分安定である。このようなハイブリッドは、RNA:RNA、RNA:DNAまたはDNA:DNAデュプレックス分子を含む。
【0029】
「RNAおよびDNA等価物」は、同じ相補的な塩基対ハイブリッド形成特性を有するRNAおよびDNA分子に関連する。RNAおよびDNA等価物は、異なる糖類(すなわちリボース対デオキシリボース)を有し、RNAのウラシルおよびDNAのチミンの存在により相違し得る。RNAおよびDNA等価物間の違いは、等価物が同じ程度の特定配列に対する相補性を有するので、実質的に対応する核酸配列の違いに寄与しない。
【0030】
「優先的にハイブリッド形成する」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下でオリゴヌクレオチドプローブがその標的核酸をハイブリッド形成して、安定なプローブ:非標的ハイブリッド(他の生物由来の非標的核酸の存在を示す)を形成することなく安定なプローブ:標的ハイブリッド(標的核酸の存在を示す)を形成することを意味する。従って、プローブは非標的核酸に比べて十分に大きな範囲で標的核酸をハイブリッド形成し、当業者がこれら種(例えばカンジダ)の存在を正確に検出し、他の生命体から区別することができる。優先的なハイブリッド形成は、従来既知で、ここに記載した技術を用いて測定することができる。
【0031】
「セラノスティクス診断」法とは、疾患を診断し、正しい治療レジームを選択し、治療への患者の反応をモニタする診断テストの使用を意味する。本発明のセラノスティクス診断は、患者から集めたサンプル、標本または検体への本発明のNAD分析の使用に基づいてもよい。
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の目的は、一つ以上の酵母および真菌類の種を検出し、同定するための配列および/または診断アッセイを提供することにある。本発明者らは、eIF2γ遺伝子配列を使用してカンジダ属eIF2γ遺伝子およびアスペルギルス属eIF2γ遺伝子に特異的なプライマーを設計した。かかるプライマーは、酵母および真菌類の種の検出だけでなくて、カンジダ属およびアスペルギルス属種間の識別を可能にする。これは、共生生物としてカンジダ属を含むサンプルにおいて真菌類の病原体を識別したい場合、汎用プライマーを使用する方法が成功しないかもしれない従来技術以上の効果がある。カンジダ属が増幅処理で真菌類の病原体を打ち負かし、優先的に増幅して疾患の原因病原体を検出するのに失敗をもたらす高い可能性がある。本発明は、異なるカンジダ属種間および異なるアスペルギルス属種の中の区別を可能にするプライマーおよびプローブを更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部またはその対応するmRNAに結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える酵母および/または真菌類の種の検出および識別用診断キットを提供する。オリゴヌクレオチドプローブは、eIF2γ遺伝子またはその対応するmRNAの一部に対して実質的に相同的または実質的に相補的な配列を有し得る。従って、これは相補DNAまたはRNA分子と結合またはハイブリッド形成することができる。eIF2γ遺伝子は、真菌類のeIF2γ遺伝子であってもよい。eIF2γ遺伝子は、酵母のeIF2γ遺伝子であってもよい。核酸分子は、合成でもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置718〜1040の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置790〜934の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・グラブラタeIF2γ遺伝子の塩基対位置872〜972の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・パラプシロシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置151〜274の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・トロピカリスeIF2γ遺伝子の塩基対位置140〜270の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・クルセイeIF2γ遺伝子の塩基対位置115〜224の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置121〜374の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置164〜261の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フラヴァスeIF2γ遺伝子の塩基対位置155〜252の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・ニガーeIF2γ遺伝子の塩基対位置92〜189の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・テレウスeIF2γ遺伝子の塩基対位置149〜246の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。当業者は、これら領域と等価の配列が他の生物で見出すことができるが、必ずしも同一位置にないことを認識する。
【0034】
オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1、2、84、85、86、87、88、108、109、110、111、125または138の配列、若しくはかかる配列と実質的に相同または実質的に相補である配列を有することができ、eIF2γ遺伝子用のプローブとしても作用することができる。本キットは、ひとつ以上のかかるプローブを備えてもよい。特に、該キットは、複数個のこのようなプローブを備えることができる。加えて、かかるキットは、例えば細菌種またはウイルスのような他の生物用の付加的なプローブを備えてもよい。
【0035】
本キットは、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備えてもよい。当該キットは、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび/または少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを適当に含むことができ、前記フォワード増幅プライマーが配列番号3、5、89、91、93、95、97、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119、120、135または136からなる群から選択した配列若しくはこれに対し実質的に相同または相補的で、eIF2γ遺伝子用フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列を有するか、および/または前記リバース増幅プライマーが配列番号4、6、90、92、94、96、98、106、107、121、122、123、124または137からなる群から選択した配列若しくはこれに対し実質的に相同または相補的で、eIF2γ遺伝子用リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列を有する。
【0036】
カンジダ属eIF2γポリヌクレオチドの検出に有用なキットは、配列番号1、84、85、86、87、88または138からなる群から選択するか、または配列番号1、84、85、86、87、88または138によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える。当該キットは、配列番号5、89、91、93、95、97、135または136からなる群から選択するか、又は配列番号5、89、91、93、95、97、135または136により優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号6、90、92、94、96、98、137からなる群から選択するか、若しくは配列番号6、90、92、94、96、98または137により優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成するリバースプライマーを更に備えてもよい。
【0037】
カンジダ・アルビカンスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号1、84または138からなる群から選択するか、若しくは配列番号1、84または138によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号5、89、135または136からなる群から選択するか、若しくは配列番号5、89、135または136によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号6、90または137からなる群から選択するか、若しくは配列番号6、90または137によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0038】
カンジダ・グラブラタeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号85からなる群から選択するか、若しくは配列番号85によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号91からなる群から選択するか、若しくは配列番号91によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号92からなる群から選択するか、若しくは配列番号92によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0039】
カンジダ・パラプシロシスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号86からなる群から選択するか、若しくは配列番号86によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号93からなる群から選択するか、若しくは配列番号93によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または、配列番号94からなる群から選択するか、若しくは配列番号94によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0040】
カンジダ・トロピカリシスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号87からなる群から選択するか、若しくは配列番号87によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号95からなる群から選択するか、または配列番号95によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号96からなる群から選択するか、若しくは配列番号96によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0041】
カンジダ・クルセイeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号88からなる群から選択するか、若しくは配列番号88によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号97からなる群から選択するか、若しくは配列番号97によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号98からなる群から選択するか、若しくは配列番号98によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0042】
アスペルギルス属eIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するための診断キットは、配列番号2、108、109、110、111または125からなる群から選択するか、若しくは配列番号2、108、109、110、111または125によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える。当該キットは、配列番号3、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119または120からなる群から選択するか、若しくは配列番号3、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119または120によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号4、106、107、121、122、123または124からなる群から選択するか、若しくは配列番号4、106、107、121、122、123または124によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0043】
アスペルギルス・フミガタスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号2、111または125からなる群から選択するか、または配列番号2、111または125によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号3、112、113、115、117、119または120からなる群から選択するか、若しくは配列番号3、112、113、115、117、119または120によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号4、106、121、123または124からなる群から選択するか、若しくは配列番号4、106、121、123または124によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0044】
アスペルギルス・フラヴァスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号110からなる群から選択するか、若しくは配列番号110によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号104または114からなる群から選択するか、または配列番号104または114によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号106、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号106、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0045】
アスペルギルス・ニガーeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号108からなる群から選択するか、若しくは配列番号108によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号104、114または116からなる群から選択するか、若しくは配列番号104、114または116によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号107、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号107、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0046】
アスペルギルス・テレウスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号109からなる群から選択するか、若しくは配列番号109によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号105、115または118からなる群から選択するか、若しくは配列番号105、115または118によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号107、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号107、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0047】
同定された配列は、生体外DNA/RNA増幅に基づいた検出システムのみならず、シグナル増幅に基づいた検出システムにも適している。さらに、適当な標的として同定された本発明の配列は、有利で、本発明の態様をグループまたは種特異的標的に指向させ得るある領域において重要な遺伝子内配列異質性を有することと、また本発明の態様を酵母および真菌類の診断用の直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術および核酸生体外増幅技術での使用のための遺伝子特異性の酵母および真菌類プライマーおよびプローブに指向させ得るある領域で重要な配列均一性を有することの利点を付与する。eIF2γ配列が診断検査法のマルチ試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0048】
本発明の配列の利点の1つは、密接に関連した酵母および真菌類の種間の遺伝子内eIF2γヌクレオチド配列多様性が酵母および真菌類の検出用診断検査での使用のための特異的なプライマーおよびプローブを設計することを可能にするということである。eIF2γヌクレオチド配列の両方のDNAおよびRNAを、診断検査における直接検出、シグナル増幅検出および生体外増幅技術で用いることができる。eIF2γ配列が診断検査法におけるマルチ試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0049】
本キットは、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備えてもよい。該キットは、eIF2γ遺伝子の一部用のフォワードおよびリバースプライマーを適当に含む。
【0050】
eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスのeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から塩基対位置1040までの遺伝子領域の一部と等価してもよい。特に好ましいのは、eIF2γカンジダ・アルビカンス遺伝子の一部用のプローブおよび/またはカンジダ・アルビカンスのeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から塩基対位置1040に等価な遺伝子領域の一部用のプローブを備えるキットである。塩基対位置718から塩基対位置1040に等価な配列は、他の生物においても見出すことができるが、必ずしも同じ位置ではない。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスの塩基対位置121から塩基対位置374までの遺伝子領域の一部と等価としてもよい。特に好ましいのは、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の一部用のプローブおよび/またはアスペルギルス・フミガタスの塩基対位置121から塩基対位置374に等価な遺伝子領域の一部用のプローブを備えるキットである。塩基対位置121から塩基対位置374に等価な配列は、他の生物においても見出すことができるが、必ずしも同じ位置ではない。当該キットはまた、追加のプライマーまたはプローブを含んでもよい。プライマーは、配列番号3から配列番号6までの群から選択した配列、またはその配列に実質的に相同的または実質的に相補的な配列を有してもよく、eIF2γ遺伝子用プライマーとしても作用することができる。
【0051】
本キットは、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含んでもよく、ここで前記フォワード増幅プライマーが配列番号3または配列番号5からなる群から選択した配列若しくはそれに対し実質的に相同または相補的な配列を有し、eIF2γ遺伝子用のフォワード増幅プライマーとしても作用することができ、また前記リバース増幅プライマーが配列番号4または配列番号6からなる群から選択した配列若しくはそれに対し実質的に相同または相補的な配列を有し、eIF2γ遺伝子用のリバース増幅プライマーとしても作用することができる。該診断キットは、直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づくものとすることができる。
【0052】
本発明はまた、配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135からなる群から選択した核酸分子、およびそれに対し実質的に相同またはその一部に実質的に相補的で、かつeIF2γ遺伝子に基づいた診断法の機能を有する配列を提供する。当該核酸分子は、配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135の核酸分子の一部に実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含んでもよい。本発明はまた、下記の工程:
(i) 試験サンプルを適切な条件下で上述した少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程、
(iii) 陽性に特定する二本鎖の存在であるプローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程を備えることを特徴とする試験サンプル中の標的生物を検出する方法を提供する。
【0053】
本発明の核酸分子およびキットを診断アッセイに用いて、一つ以上の酵母および/または真菌種の存在を検出するか、患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を減らすように設計した治療レジームの効率を評価する方法でまたは患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を測定するか、または環境中の酵母および/または真菌汚染を測定してもよい。かかる環境は、病院、食品サンプル、例えば水のような環境サンプル、製造過程中のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要としている最終製品でもよい。
【0054】
本発明のキットおよび核酸分子は、eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用いることができる一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いることができる。崩壊剤は、アンチセンスRNA、PNAおよびsiRNAからなる群から選択することができる。
【0055】
本発明のある実施態様においては、種特異的なプローブを含む核酸分子を用いて、同じ属の種を識別することができる。
【0056】
本発明のオリゴヌクレオチドは、酵母および真菌類の標的生物の核酸を検出するための組成物で提供してもよい。かかる組成物は、組成物の意図した使用に見合った緩衝液、酵素、洗剤、塩類等を含むことができる。また、ここに記載する少なくとも一つの合成オリゴヌクレオチドを含むような本発明の組成物、キットおよび方法が、合成オリゴヌクレオチドの代わりにまたは一緒に合成ヌクレオチド断片と実質的に同じ配列を有する天然オリゴヌクレオチドを含んでもよいと想定される。
【0057】
本発明はまた、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含む標的酵母および/または真菌類生物用の生体外増幅診断キットを提供し、ここで前記フォワード増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、フォワード増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択し、また前記リバース増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、リバース増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択する。
【0058】
本発明はまた、候補酵母および/または真菌類の種の存在を検出するための診断キットを提供し、候補酵母および/または真菌類の種のeIF2γ遺伝子の配列に実質的に相補的または実質的に相同である配列からなる一つ以上のDNAプローブを備える。本発明はまた、eIF2γ遺伝子またはそれのmRNA転写体、酵母および/または真菌類のeIF2γ遺伝子またはそのmRNA転写体、酵母eIF2γ遺伝子またはそのmRNA転写体の一つ以上に実質的に相同または実質的に相補的なヌクレオチド配列、すなわち配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135の一つ以上を有する一つ以上の合成オリゴヌクレオチドを提供する。
【0059】
ヌクレオチドは、DNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、RNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、DNA、RNAおよびPNAの混合物を含んでもよい。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含んでもよい。本発明の配列(および本発明の方法、キット、組成物および分析に関する配列)は、eIF2γ遺伝子のコード化領域の一部に実質的に相同であるように選択してもよい。遺伝子は、標的酵母または真菌類の生物からの遺伝子であってもよい。本発明の配列は、該配列の一部分にプローブ:標的デュプレックスを形成し得るに十分であることが好ましい。
【0060】
本発明はまた、標的酵母または真菌類の生物用の診断キットを提供するもので、本発明のオリゴヌクレオチド(合成でもよい)に実質的に相同または実質的に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを備える。生体外増幅プライマーとしての使用に適した配列が、オリゴヌクレオチドプローブとしての使用にも適しているのはいうまでもなく、増幅プライマーが約15ヌクレオチドおよび約30ヌクレオチド(より好ましくは約15〜約23、最も好ましくは約20〜約23)間の相補的な部分を有することが好ましく、本発明のオリゴヌクレオチドプローブが任意適当な長さでもあってもよい。当業者は、異なるハイブリッド形成および/またはアニーリングの条件が選択したオリゴヌクレオチドプローブの長さ、性質および構造(例えばライトサイクラー用ハイブリッド形成プローブ対、Taqman5´エクソヌクレアーゼプローブ、ヘアピンループ構造等)および配列に依存していることがわかるであろう。
【0061】
本発明のキットおよびアッセイはまた、オリゴヌクレオチドプローブを表面に固定して提供してもよい。このような表面は、ビーズ、膜、カラム、計量棒、ナノ粒子、診断プレートのウェルまたは反応チューブの内側のような反応室の内面、キャピラリーまたは容器等とすることができる。
【0062】
標的酵母または真菌類の生物は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ、アスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択することができる。
【0063】
標的酵母生物は、すでに実験的に示した所定のセットのプライマー用のカンジダ属種であり、より好ましくはカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイからなる群から選択することができる。
【0064】
これらの状況下で、本発明の増幅プライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブは、一つ以上若しくは大部分または実質的に全ての標的酵母生物集団の所望生物を同定し得るように遺伝子特異的または属特異的な領域に設計されてもよい。
【0065】
標的真菌類の生物は、すでに実験的に示した所定セットのプライマー用のアスペルギルス属種であり、より好ましくはアスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択することができる。
【0066】
試験サンプルは、標的酵母および/または真菌類の生物の細胞を含んでもよい。本方法はまた、前記試験サンプルに存在し得る標的酵母または真菌類生物のあらゆる細胞から核酸を解放する工程を備えてもよい。理想的には、試験サンプルは、患者から得られたサンプル(綿棒、血液、尿、唾液、気管支の洗浄歯の試験片、皮膚試験片、頭皮試験片、移植器官生検、大便、粘液または排泄物サンプルなど)の溶解物である。試験サンプルは、食品サンプル、水サンプル、環境サンプル、最終製品、最終製品または製造過程の産業試料であってもよい。
【0067】
本発明はまた、一つ以上の酵母または真菌類の種の存在の診断アッセイへの配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135のいずれか一つの使用を提供する。当該種は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエ、カンジダ・シフェリイ、アスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択してもよい。
【0068】
本発明はまた、セラノスティクス診断、食品の安全診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断での使用のために本発明の合成オリゴヌクレオチドの一つ以上を含むキットを提供する。当該キットは、適切なサンプル収集計測器、試薬容器、緩衝材、標識化成分、溶液、洗剤および補助溶液からなる群から選択した物品の一つ以上を含むこともできる。本発明はまた、臨床診断、セラノスティクス診断、食品安全性診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断への本発明の配列、組成物、ヌクレオチド断片、アッセイおよびキットの使用を提供する。
【0069】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、酵母および/または真菌類の種の検出用診断核酸ベースアッセイに用いてもよい。
【0070】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を診断アッセイに用いて、患者の酵母および/または真菌類の滴定濃度を測定することができる。滴定濃度を生体外で計量してもよい。
【0071】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を患者の酵母および/または真菌類滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価する方法に用いることができ、これは治療レジームの一つ以上のキー・ステージで患者の酵母および/または真菌類滴定濃度を評価(生体内方法または生体外方法によって)する工程を備える。適切なキー・ステージは、治療前、治療の間、および治療後を含んでもよい。治療レジームは、調合薬のような抗真菌薬を含んでもよい。
【0072】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、例えば病院において潜在的な酵母および/または真菌類汚染を測定するための診断アッセイに用いてもよい。
【0073】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いてもよい。適当な崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択することができる。
【0074】
本発明を、以下の図を参照して説明する。以下の詳細な説明および添付の図は単に例示および説明であり、本発明の更なる説明を提供することを目的とし、いかなる形であれ本発明の範囲を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】カンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:718-1040)。
【図2】アスペルギルス・フミガタス(XM_746974.2)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:121-374)。
【図3】TaqManプローブP1-CaneIF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、4種の他のカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタス由来のDNAのパネルを用いて試験し、試験した3つのカンジダ・アルビカンス株を検出し、他のカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタス由来のDNAとの交差反応は見られなかった。
【図4】TaqManプローブP1-AspeIF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくアスペルギルス・フミガタス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、6種の密接に関連したアスペルギルス属種およびカンジダ・アルビカンス由来のDNAのパネルに対して試験し、3つのアスペルギルス・フミガタス株を検出し、他のアスペルギルス属種およびカンジダ・アルビカンス由来のDNAとの交差反応は見られなかった。
【図5】カンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:99)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:664-1040)。
【図6】カンジダ・グラブラタ(XM_447610.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:100)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:872-972)。
【図7】カンジダ・パラプシロシス(作製配列CBS 604)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:101)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:151-274)。
【図8】カンジダ・トロピカリス(作製配列CBS 94)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:102)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:140-270)。
【図9】カンジダ・クルセイ(作製配列CBS 573)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:103)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:115-224)。
【図10】TaqManプローブALEF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、14株のカンジダ・アルビカンスおよび19種の他のカンジダ属由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した14株のカンジダ・アルビカンスを検出した。(b)他の19種のカンジダ属種由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイの感度を、カンジダ・アルビカンス由来のテンプレートDNAのさまざまなインプットを用いて試験した。アッセイのLODが1−5の細胞均等物の間にあるとわかった。
【図11】TaqManプローブGlabAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・グラブラタ用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、10株のカンジダ・グラブラタ、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した10株のカンジダ・グラブラタを検出した。(b)19種の他のカンジダ属またはアスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜2細胞均等物であるとわかった。
【図12】TaqManプローブParAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・パラプシロシス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、12株のカンジダ・パラプシロシス、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)12株のカンジダ・パラプシロシスを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜10細胞均等物であることがわかった。
【図13】TaqManプローブTropicAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・トロピカリシス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロットであり、アッセイの特異性を、12株のカンジダ・トロピカリシス、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した12株のカンジダ・トロピカリシスを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜20細胞均等物であることがわかった。
【図14】TaqManプローブKrusAを有するeIF2遺伝子に基づくカンジダ・クルセイ用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロットであり、アッセイの特異性を、9株のカンジダ・クルセイ、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した9株のカンジダ・クルセイを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜2細胞均等物であることがわかった。
【図15】アスペルギルス・フミガタス(作製配列7273)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:50)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:164-261)。
【図16】アスペルギルス・フラバス(作製配列117.62)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:122)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:155-252)。
【図17】アスペルギルス・ニガー(6727の作製配列)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:58)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:92-189)。
【図18】アスペルギルス・テレウス(5677の作製配列)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:64)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:149-246)。
【図19】アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図20】アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図21】アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラバスおよびアスペルギルス・ニガーのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図22】アスペルギルス・フミガタスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
(材料および方法)
(細胞培養)
臨床的に関連したカンジダ属種の一群の地理的に異なった株を、多くの培養群から得た。カンジダ属種を、振盪培養器内のサブロー・ブロス(4%wt/volブドウ糖、1%wt/volペプトン、1.5%寒天)で37°Cで48時間培養した。アスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスおよびその他密接に関連した種)を、サブロー・ブロス(4%のwt/volブドウ糖、1%のwt/volペプトン、1.5%の寒天)または寒天で25°Cで3-4日間培養した。
【0077】
(DNA 抽出)
カンジダ属およびc属種由来の細胞を、DNA単離の前にリチカーゼまたはザイモラーゼ酵素で予備処理した。MagNA Pure System(Roche Molecular Systems社)をメーカー説明書に沿ってMagNA pure YeastおよびBacterial isolationキットIIIまたはQiagen Plantキットと組み合わせて用いてカンジダ属およびアスペルギルス属種からDNAを単離した。
【0078】
(カンジダおよびアスペルギルス種のeIF2γ遺伝子のシークエンシング)
カンジダまたはアスペルギルス種のeIF2遺伝子の公的に入手可能な配列をNCBIデータベースから取得し、Clustal Wを用いて整列させた。
【0079】
PCRプライマーセットCaneIF2-F/CaneIF2-Rがカンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のヌクレオチド位置718からヌクレオチド位置1040に等価なカンジダ属種のeIF2γ遺伝子領域を増幅するように設計した(表1、図1)。PCRプライマーセットAspeIF2-F/AspeIF2-Rがアスペルギルス・フミガタス(XM_746974.2)のヌクレオチド位置121からヌクレオチド位置374に等価なアスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の領域を増幅するように設計した(表1)。eIF2遺伝子領域を、表2に概説した試薬および表3に記載した熱サイクル条件を用いるiCycler BioRad PCR機械またはPTC200 Peltier thermocycler(MJ Research)に対する従来のPCRによってカンジダ属およびアスペルギルス属種の範囲において増幅した。配列情報を作製するために、20のカンジダ属種を表わす合計72株を、前記プライマーセットでの増幅のためにiCycler BioRad PCR機械に対する従来のPCRにより試験した。
【0080】
PCR生成物が、15のカンジダ属種、すなわちカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・デゥブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ、および7のアスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロール、アスペルギルス・ニドランス)およびネオサルトリア・フィシェリについて生成した。PCR反応生成物を、メーカーの説明書によるRoche High Pure PCR 生成物精製キットまたはExoSAP-ITキット(USB)で精製し、その後フォワード増幅プライマーCaneIF2-FまたはAspeIF2-Fを用いたSequiserveによって配列決定した。
【0081】
DNA配列情報が、15のカンジダ属種(カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・デゥブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ−)および7つのアスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロール、アスペルギルス・ニドランス)およびネオサルトリア・フィシェリについて生成した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
(結果)
(プライマーおよびプローブ設計)
カンジダ種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列を、カンジダ種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。アスペルギルス種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列情報を、アスペルギルス種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。種特異性のプローブを、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスで収集したeIF2γ配列情報に基づいて設計した(表4)。
【0089】
(リアルタイムPCR)
図1および2は、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスの増幅および検出用のPCRプライマーおよびTaqMan DNAプローブの相対的位置を示す。カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスの同定用のTaqManプローブの特異性は、表5および6に概説した試薬および熱サイクル条件を用いるライトサイクラーに対するリアルタイムPCRアッセイで証明された。eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスアッセイのために、PCRプライマーCaneIF2-F/CaneIF2-RをTaqManプローブ、P l-CaneIF2と併用した。カンジダ・アルビカンスの検出用アッセイの特異性は、密接に関連したカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・アルビカンスリアルタイムPCRアッセイに含めることにより確認された。該アッセイは、試験した3つのカンジダ・アルビカンス株を検出したが、試験した他のいかなるカンジダ種由来のDNAまたはアスペルギルス・フミガタスDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。図3は、カンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイおよびカンジダ・アルビカンス用のアッセイの特異性を示す。
【0090】
eIF2γ遺伝子に基づくアスペルギルス・フミガタスアッセイについては、PCRプライマーAspeIF2-F/AspeIF2-RをTaqManプローブ、Pl-AspeIF2と併用した。アスペルギルス・フミガタスの検出用アッセイの特異性は、密接に関連したアスペルギルス種およびカンジダ・アルビカンスの範囲からのDNAをアスペルギルス・フミガタスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認された。該アッセイは、アスペルギルス・フミガタスを検出したが、試験したカンジダ・アルビカンスまたは他のいかなるアスペルギルス属種由来のDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。図4は、アスペルギルス・フミガタスリアルタイムPCRアッセイおよびアスペルギルス・フミガタス用アッセイの特異性を示す。
【0091】
(カンジダ属種)
(プライマーおよびプローブ設計)
カンジダ属種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列をカンジダ属種のeIF2γ遺伝子のための新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。種特異性のプローブを、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリス、および、カンジダ・パラプシロシスについて収集したeIF2γ配列情報に基づいて設計した(表7および8)。図5ないし9は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・パラプシロシスの増幅および検出用PCRプライマーおよびTaqMan DNAプローブの相対的位置を示す。
【0092】
【表7】
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
(リアルタイムPCR)
カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・パラプシロシスの同定用TaqManプローブの特異性を、表10(a)および(b)で概説した熱サイクル条件を用いるライトサイクラーに対するリアルタイムPCRアッセイで証明した。
【0096】
【表10】
【0097】
eIF2γ遺伝子に基づいたカンジダ・アルビカンスのアッセイに関して、表7および8に列挙したプライマーおよびプローブの評価に続いて、PCRプライマーCEF3F/CEFR1をTaqManプローブALEF2と併用した。カンジダ・アルビカンスの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ種の範囲からのDNAをカンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した14のカンジダ・アルビカンス株を検出したが、試験した他のいかなる19のカンジダ種由来のDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの感度を、カンジダ・アルビカンスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、1-5の細胞均等物の間にあるとわかった(図10)。
【0098】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・グラブラタアッセイについて、PCRプライマーGlabFl/GlabRlをTaqManプローブ、GlabAと併用した。カンジダ・グラブラタの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・グラブラタリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した10のカンジダ・グラブラタ株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・グラブラタ由来のテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜2細胞均等物であるとわかった(図11)。
【0099】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・パラプシロシスアッセイについて、PCRプライマーParaFl/ParaRlをTaqManプローブ(ParA)と併用した。カンジダ・パラプシロシスの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・パラプシロシスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した12のカンジダ・パラプシロシス株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・パラプシロシスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODは、〜10の細胞均等物であることが分かった(図12)。
【0100】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・トロピカリスアッセイについて、PCRプライマーTropicFl/TropicRlをTaqManプローブ(TropicA)と併用した。カンジダ・トロピカリス検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・トロピカリスリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した12のカンジダ・トロピカリス株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しなかったかまたは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・パラプシロシスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜20の細胞均等物であるとわかった(図13)。
【0101】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・クルセイアッセイについて、PCRプライマーKrusFl/KrusRlをTaqManプローブ(KrusA)と併用した。カンジダ・クルセイ検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・クルセイのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した9つのカンジダ・クルセイ株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しなかったか又は交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・クルセイのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜2の細胞均等物であるとわかった(図14)。
【0102】
(アスペルギルス属種)
(プライマーおよびプローブ設計)
アスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の公的に入手可能な配列を、アスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した(図15-18)。プライマーおよびプローブが、アスペルギルス属種を増幅および検出するように設計された。標的の一つ以上の種を増幅し得るようにプライマーを設計した。EF2_l_fowは、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_2_fowは、アスペルギルス・フラヴァスおよびアスペルギルス・ニガーを増幅するように設計された。EF2_l_revは、アスペルギルス・フミガタスを増幅するように設計された。EF2_3_revは、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_7_fowは、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・フラヴァスを増幅するように設計された。EF2_8_fowは、アスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_9 fowは、アスペルギルス・フミガタスを増幅するように設計された。EF2_5 revは、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラヴァスおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_6_revは、アスペルギルス・ニガーを増幅するように設計された。これらアッセイに用いるプライマーおよびプローブを、表11に列挙する。
【0103】
【表11】
【0104】
(リアルタイムPCR)
アッセイ排他性を表12に概説したパネルで調べた。
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
(アッセイ排他性の評価)
アッセイ排他性の初期評価を、表12に概説したパネルおよび表13に概説したプライマーおよびプローブで調査した。95℃で10秒間および60℃で30秒間のアニーリングを50サイクル行ったアッセイの結果は、該アッセイが設計された種のみの排他的な検出に特異的であることを示す。
【0108】
アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのアッセイを、それぞれの種の9つの入手可能な組織内株での包含性について試験した。EF2_7_fowおよびEF2_5_revをアスペルギルス・フラヴァスのアッセイに用いた。EEF2_7_fowおよびEF2_6_revがアスペルギルス・ニガーのアッセイ用プライマー対であり、F2_8_fowおよびEF2_5_revはアスペルギルス・テレウスのアッセイに含まれた。95℃で5秒間および60℃で10秒間の45サイクルアニーリング条件を、各々のアッセイに適用した。全ての株が、関連した特異的なプローブによって検出された(図19)。
【0109】
同じプライマーの組合せおよび熱サイクル条件をアスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアペルギルス・テレウス用のLODアッセイに用いた。これら3つのアッセイのそれぞれのLODが、一反応当たり5細胞均等物であるとわかった。(図20)
【0110】
同じアッセイ条件を用いて、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのアッセイの排他性を試験した。三つのアッセイのそれぞれが、アッセイに含まれる他の密接に関連したアスペルギルス属種との交差反応なしに標的の種だけを検出する特異的なものであるとわかった。全てのサンプルを3通りで試験した。(図21)
【0111】
アスペルギルス・フミガタスのアッセイのLODを、95℃で10秒間および60℃で30秒間の50サイクルのアスペルギルス・フミガタスアニーリング条件を含む熱サイクル条件下で行った。このアッセイのLODが、10-1の細胞均等物であるとわかった。(図22)
【0112】
(考察)
免疫不全患者間の酵母および真菌感染の数は拡大している。この増加の一因は、抗真菌剤に対して多くの酵母および真菌種の耐性種の増加である。従って、酵母および真菌類種の早期の診断を可能にする速くて正確な診断法を開発する必要がある。早期の診断は、感染を治療するために特異的な狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬を選択することができることにある。本発明は、一つ以上の酵母および真菌類の種を検出および同定するための配列および/または診断アッセイを提供する。本発明者らは、カンジダおよびアスペルギルス種のeIF2γ遺伝子の配列を利用して、この遺伝子の領域に特異的なプライマーおよびプローブを設計する。eIF2γ配列は、ある領域において重要な遺伝子内配列異質性を有し、一方他において重要な均質性を有するが、その特性は、eIF2γを酵母および真菌類の種の特異的な標的の検出を目的とするプライマーおよびプローブの設計および属特異的な診断標的の検出のそれぞれに理想的な候補とする。
【0113】
本発明は、酵母および真菌類の種の検出を可能にするばかりか、カンジダ属およびアスペルギルス属種の識別をも可能にする。異なるカンジダ属種および異なるアスペルギルス属種の間の識別を可能にすることが更なる本発明の目的である。
【0114】
本発明に関して本願明細書において用いる「備える/からなる」および「有する/含む」の用語は、表明した特徴、整数、工程または成分の存在を特定するのに用いるが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、成分またはその群の存在または追加を排除するものではない。明確にするため、別々の実施例の場面に記載されている、特定の本発明の特徴は、実施例の単一でも組合せでも提供してもよいと認識している。反対に、簡潔さのために、単一の実施例の場面に記載している、多様な本発明の特徴は、別々にまたはいかなる適切な補助組み合わせで提供してもよい。本願明細書において開示されるいかなる配列もPatentln3.3ソフトウェアの付属の配列リストのその副本の異なる限り、テキストのこの本文の範囲内の配列は正しいバージョンである。
【0115】
(配列番号)
プローブ、オリゴヌクレオチド等の部位を太字で表記および下線を引く。
Nまたはx=あらゆるヌクレオチド;w=a/t、m=a/c、r=a/g、k=g/t、s=c/g、y=c/t、h=a/t/c、v=a/g/c、d=a/g/t、b=g/t/c。場合によっては、特異的な変質オプションを括弧において示す:例えば:(a/g)は、AかGである。
【0116】
(引用文献)
Alone PV, Dever TE.
Direct binding of translation initiation factor eIF2gamma-G domain to its GTPase- activating and GDP-GTP exchange factors eIF5 and eIF2B epsilon. J Biol Chem. 2006
May 5;281(18):12636-44. Epub 2006 Mar 7. Dorris DR, Erickson FL, Hannig EM.
Mutations in GCDl 1, the structural gene for eIF-2 gamma in yeast, alter translational regulation of GCN4 and the selection of the start site for protein synthesis. EMBO J.
1995 May 15;14(10):2239-49 Erickson FL, Harding LD, Dorris DR, Hannig EM. Functional analysis of homo logs of translation initiation factor 2gamma in yeast. MoI
Gen Genet. 1997 Feb 27;253(6):711-9. Erickson FL, Hannig EM.
Ligand interactions with eukaryotic translation initiation factor 2: role of the gamma- subunit. EMBO J. 1996 Nov 15;15(22):6311-20.
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の真菌および酵母種を検出するための核酸プライマーおよびプローブに関する。より詳細には、本発明は、eIF2γ遺伝子(EF-2遺伝子としても既知)、それに関連した対応するRNA、特異的なプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチド並びに真菌および酵母種間の検出および/または識別のための診断分析での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
酵母および真菌の感染は、免疫不全患者の間で疾患率および大量死の主要な原因を意味する。酵母および真菌感染のリスクがある免疫不全患者の数は毎年増え続け、疾患を引き起こす真菌および酵母の因子のスペクトルも同様である。真菌感染、特に侵襲性の真菌感染による大量死は、特定のリスク群で30%以上である。数々の有効な抗真菌剤が増えているが、しかし抗真菌薬に対する内因性および出現抵抗の両方の認識にあるものである。これら因子は、実験室試験における費用抑制の増大した必要性の一因となり、試験手順で実験室統合につながる。
【0003】
侵襲性真菌感染は増加している。2003年には900万人ものリスクを抱えた患者がいると見込まれ、そのうち120万人の感染は進行している。カンジダ種およびアスペルギルス種が、免疫低下患者に感染する最も顕著な病原菌としてランクされている。特に、感染が、泌尿器、呼吸器系および血流においてステント、カテーテルおよび整形の継ぎ目の挿入部位では普通である。およそ、10%の既知のカンジダ種がヒトへの感染にかかわる。侵襲性カンジダ症はカンジダが血流に進入する際に起こり、アメリカ合衆国において8/100,000の人口確率で発生すると見込まれ、その死亡率は40%である。カンジダ・アルビカンスは血流感染の4番目に最も一般的な原因である。アスペルギルスは、通常一部の患者において生命を危うくする侵襲性感染まで進行し得る肺性の感染として発生し、そしてその死亡率は90%以上である。新生の真菌症因子は、フサリウム属種、シドスポリウム属種、接合菌類とトリコスポロン種を含む("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。
【0004】
移植および外科術後患者、新生児、癌患者、糖尿病患者およびHIV/AIDの者を含む免疫不全患者は、侵襲性真菌感染を発現するリスクが高い(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004)。多くの重度の敗血症のケースが毎年報告されている。医学的マネージメントの改善にもかかわらず、敗血症はまだ集中治療医学における最大の挑戦の一つを構成する。敗血症を引き起こすのに関与する微生物(バクテリア、真菌、酵母)は、乏しい感度(25〜82%)の微生物学的培養法を用いて病院検査室で伝統的に検出され、該方法は極めて時間がかかり、通常完了するのに2〜5日、そして真菌感染の診断には最大8日かかる。酵母や真菌により起こる感染の確定診断は、大抵特異的因子の臨床上の検体からの回収および識別、または明確な形態的特徴を有する真菌の顕微鏡による確認のいずれかに基づいている。
【0005】
しかしながら、これらの方法では感染因子に関して決定的な証明を得ることができない多くのケースがある。この場合、特異的なホスト抗体応答の検出を用いることができるが、これは再び患者の免疫状態の影響を受ける。バクテリア、酵母または真菌により通常生ずる血流感染の検出および同定では時間が重要である。効果的な治療は、速やかにかつ効率的に感染源を見つけ、抗生物質または抗真菌薬ついての適切な決断をなすことに依存する。病原菌を正しく同定した後だけに、特異的な抗生物質または抗真菌薬を用いる標的治療を始めることができる。多くの医師は、酵母および真菌の早期診断のためにより良好な生体外での増幅および直接検出の診断方法の発達を知りたがっている(("Stakeholder Insight: Invasive fungal infections", Datamonitor, 2004年1月)。最近、ロシュ社は臨床上サンプルにおけるバクテリア、真菌および酵母のDNAの検出用のリアルタイムPCR系アッセイを販売した(Septifast*11)。したがって、臨床部門の生物分析用途に対し臨床的に重要なバクテリアおよび真菌の病原体用の新規で迅速な診断試験の開発が明らかに必要である。これが、核酸診断法(NAD)試験の用途に対する新規な真菌および酵母核酸標的を同定するように本発明者らを導いた。
【0006】
真菌および酵母核酸を基にした診断法は、リボソームRNA(rRNA)遺伝子、RNA転写物およびその関連するDNA/RNA領域に重く焦点を置いている。rRNA遺伝子は、すべての真菌種に高度に保存され、また分岐かつ独特な遺伝子間転写スペーサー領域を含有する。リボソームrRNAは3つの遺伝子、すなわち大きいサブユニット遺伝子(28S)、小サブユニット遺伝子(18S)および5.8S遺伝子を含む。28Sと18SrRNA遺伝子が5.8SrRNAと二つの内部転写スペーサー(ITS1およびITS2)によって分離されている。ITS領域は多数の配列多型を含むため、多くの研究者がこれらを標的とすることに集中した(Atkins and Clark, 2004)。rRNA遺伝子はまた、真菌ゲノム中に10コピー以上を有する多コピー遺伝子である。
【0007】
多くの群が、真菌および酵母感染用の新たなアッセイを発展させることに取り組んでいる。米国特許出願公開第2004/044193号明細書は、多数の態様の中でカンジダ・アルビカンスの転写因子CaTEC1、そのインヒビター、カンジダ感染に関連する疾患の診断および治療方法、ヌクレオチド配列、タンパク、ホスト細胞および/または抗体を含む診断用および医薬品用の組成物に関するものである。国際公開第WO0183824号は、カンジダ・アルビカンスおよび/またはカンジダ・デゥブィニエンシスからリボソーム核酸を検出するためのハイブリダイゼーション分析プローブおよび修飾オリゴヌクレオチドに関するものである。米国特許第6017699号明細書および米国特許第5426026号明細書は、五つの医学的に重要なカンジダ種からDNAを増幅および種分化するのに使用できるDNAプライマーのセットに関するものである。米国特許第6747137号明細書は、カンジダ感染の診断に有用な配列を開示する。様々な酵母および真菌種の診断のために、欧州特許第0422872号明細書と米国特許5658726は、18SrRNA遺伝子を基にしたプローブを開示し、米国特許第5958693号明細書は、28SrRNAを基にしたプローブを開示する。米国特許第6017366号明細書は、様々なカンジダ種に対する核酸を基にした診断に使用するためのキチンシンターゼ遺伝子を基にした配列を開示する。
【0008】
より早くより正確な診断方法の発展が、特に変異ゲノム配列を有する耐性の毒性株の増大した母集団を生じさせる現代の抗真菌治療により起こる選択圧を考慮すると、必要であること明らかである。感染の微生物原因を早期に診断し得る方法は、感染を治療するための特異的に狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬の選択を可能にする(Datamonitor report: Stakeholder opinion -Invasive fungal infections, options outweigh replacements 2004; Datamonitor report: Stakeholder Opinion-Sepsis, under reaction to an overreaction, 2006)。真核開始因子2(eIF2)は、eIF2アルファ(eIF2α)、eIF2ベータ(eIF2β)およびeIF2ガンマ(eIF2γ)の3つのサブユニットから成るヘテロ三量体である。eIF2は、イニシエータtRNAのリボソームへのGTP依存送達に要求されるヘテロ三量体Gタンパクである真核生物の翻訳開始因子2である。eIF2ガンマサブユニット(eif2γ)は、微生物に対する分子的診断標的として特許された真核生物の翻訳伸長因子EF-Tuに類似したアミノ酸配列を持つ(Alone and Dever, 2006; Dorris et ah, 1995; Erickson et al, 1996 and 1997)
【発明の概要】
【0009】
現在、eIF2γの171の配列が、2つの注釈つきカンジダ・アルビカンスのeIF2γ配列およびカンジダ・アルビカンスのeIF2γと78%の相同性を有する一つのカンジダ・グラブラタの仮定上タンパクを含む3つのカンジダ種および6つのアスペルギルス種配列、すなわち3つのeIF2γとして注釈付けられた配列と3つの仮定上配列を包含するNCBI GenBankデータベースで入手可能である。その公表された配列は、長さで約1600個の塩基対であり、カンジダ種とアスペルギルス種の種同定用のPCRプライマーおよびプローブ設計に適した多数の配列領域を提供する。カンジダに関して、本発明者らはカンジダ・アルビカンスの塩基対(bp)位置1040に対しbp位置718に等価なeIF2γ遺伝子の領域に焦点をあわせた。アスペルギルスに関して、本発明者らはアスペルギルス・フミガタスのbp位置374に対しbp位置121に等価なeIF2γの領域を増幅するためのプライマーを設計した。
【0010】
(定義)
「合成オリゴヌクレオチド」は、ゲノムDNAまたは生物体に直接由来しない2つ以上のヌクレオチド塩基の核酸ポリマーの分子を参照する。合成オリゴヌクレオチドの用語は、化学的に作製または生体外で酵素的に合成したDNA、RNAおよびDNA/RNAハイブリッドを含むことを意図するものである。
【0011】
「オリゴヌクレオチド」は、共有結合で結合した二つ以上のヌクレオチドサブユニットを有するヌクレオチドポリマーである。オリゴヌクレオチドは、普通約10から約100のヌクレオチドである。ヌクレオチドサブユニットの糖類は、リボース、デオキシリボースまたはOMeのような修飾誘導体とすることができる。複数のヌクレオチドサブユニットを、リン酸ジエステルリンケージ、修飾されたリンケージのようなリンケージによるか、又は相補的標的ヌクレオチド配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成を阻害しない非ヌクレオチドリンケージ部分により結合することができる。修飾されたリンケージは、標準のリン酸ジエステルリンケージをホスホロチオエートリンケージ、メチルホスホネートリンケージまたは中性のペプチドリンケージのような異なったリンケージで置換したものを含む。また、窒素含有塩基類似物を本発明に係るオリゴヌクレオチドの成分としてもよい。
【0012】
「標的核酸」は、標的核酸配列を含む核酸である。「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」または「標的配列」は、相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成をし得る特異なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列である。
【0013】
「オリゴヌクレオチドプローブ」は、標的核酸配列に十分に相補的なヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドで、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出可能なハイブリッドプローブ:標的デュプレックスを形成することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、単離化学種で、また高い厳しさのハイブリッド形成条件下ではハイブリッド形成を妨げない限り標的した領域の外側に付加的ヌクレオチドを含んでもよい。非相補的な配列、例えばプロモーター配列、制限エンドヌクレアーゼ認識部位サイト、または触媒活性サイトのような所望の二次または三次構造を付与する配列を用いて、発明したプローブを用いる検出を容易にすることができる。オリゴヌクレオチドプローブを任意にラジオアイソトープ、蛍光性部分、化学発光、ナノ粒子部分、酵素またはリガンドのような検出可能部分で標識付けすることができ、これを用いて、標的配列に対するプローブのハイブリッド形成を検出または確認することができる。オリゴヌクレオチドプローブは、約10から約100ヌクレオチド長のサイズ範囲にあるのが好ましいが、プローブは500ヌクレオチド長と同等又はそれ以上、または10ヌクレオチド長未満とする事が可能である。
【0014】
「ハイブリッド」または「デュプレックス」は、二つの単鎖核酸配列間にワトソン・クリック塩基対又は相補的な塩基間の非標準塩基対により形成した複合体である。「ハイブリッド形成」は、核酸の二つの相補鎖を一緒にして二重鎖構造(「ハイブリッド」または「デュプレックス」)を形成する方法である。「真菌」又は「酵母」は、真菌界の生物体を意味し、また子嚢真菌門のあらゆる生物体に向ける。
【0015】
「相補性」は、DNAまたはRNAの単鎖の塩基配列によって得た物性で、ハイブリッド又は二本鎖DNA:DNA、RNA:RNA又はDNA:RNAを当該鎖上のワトソン・クリック塩基対間の水素結合により形成すねことができる。アデニン(A)は通常チミン(T)またはウラシル(U)を補完し、一方グアニン(G)は通常シトシン(C)を補完する。
【0016】
「厳しさ」の用語は、ハイブリッド形成およびその後の処理工程中にある温度、イオン強度および溶媒組成を述べるのに使用する。当業者は、「厳しさ」の条件がこれらパラメーターを個別にまたは一緒に変えることにより変更し得ることを認識する。高い厳しさの条件下では、高度に相補的な核酸ハイブリッドのみが形成され、十分程度の相補性を持たないハイブリッドは形成されない。従って、分析条件の厳しさは、ハイブリッドを形成する二つの核酸鎖間で必要な相補性の値を決定する。厳しさの条件を選択して標的と非標的核酸で形成されたハイブリッド間の安定性の違いを最大化する。
【0017】
「高い厳しさ」の条件では、核酸塩基対化が高頻度の相補塩基配列を有する核酸フラグメント間でのみ起きる(例えば、高い厳しさ条件下でのハイブリッド形成が約85−100%の同一性、好ましくは約70−100%の同一性のホモログ間で起き得る)。中間の厳しさの条件では、核酸塩基対化が中間頻度の相補塩基配列を有する核酸の間で起こる(例えば、「中間厳しさ」の条件下でのハイブリッド形成が約50−70%の同一性のホモログ間で起こり得る)。従って、「弱い」または「低い」厳しさの条件が、遺伝子的に様々な生物から得た核酸では、相補的な配列の頻度が通常低いので、しばしば要求される。
【0018】
「高い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き0.1xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0019】
「中間厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.5%SDS、5xデンハード試薬および100μg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き1.0xSSPE、1.0%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものでである。
【0020】
「低い厳しさ」の条件は、約500ヌクレオチド長のプローブを用いる場合、5xSSPE(43.8g/l NaCl、6.9g/l NaH2PO4H2Oおよび1.85g/l EDTA、NaOHで7.4にph調整)、0.1%SDS、5xデンハード試薬(50xデンハードは500ml当たり5gのフィコール(タイプ400、ファルマシア社)、5gのBSA(フラクションV、シグマ社)を含む)および100マイクロg/mlの変性サーモン精液DNAからなる溶液中42℃で結合またはハイブリッド形成をし、引き続き5xSSPE、0.1%SDSを含む溶液中42℃で洗浄することと同等のものである。
【0021】
核酸生体外増幅を基にした儀出との関連では、「厳しさ」を生体外増幅技術に特有の温度条件およびイオン性緩衝液条件を適用することにより達成する。例えば、PCRおよびリアルタイムPCRとの関連では、「厳しさ」がオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリッド形成用で、かつプローブのリアルタイムPCRハイブリッド形成に関する特異的な温度およびイオン緩衝液強度を標的核酸の生体外増幅のために標的核酸へ適用することによって達成される。
【0022】
当業者は、本発明の実質的に対応するプローブが付託された配列から変わり、同じ標的核酸配列に対しまだハイブリッド形成をし得ることを理解するであろう。かかる核酸からの変化が、配列中の同一塩基の百分率、すなわちプローブとその標的配列との間で完璧に相補的な塩基の百分率を単位として提示することができる。本発明のプローブは、これら百分率が100%から80%または約10塩基標的配列における0塩基不一致から約10塩基標的配列における約2塩基不一致である場合に、核酸配列に実質的に対応する。好ましい実施態様では、百分率が約100%から約85%である。より好ましい実施態様では、百分率が約90%から約100%であり、他の好ましい実施態様では百分率が約95%から約100%である。「十分に相補的」または「実質的に相補的」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下で検出のために安定であるハイブリッドを形成するに十分な量の近接する相補的なヌクレオチドを有する核酸を意味する。実質的に相補的とは、所定の基準配列に対し少なくとも90%の同一性、例えば、95、96、97、98、99または100%の同一性を有する配列に言及することもできる。
【0023】
二つ以上の核酸またはポリペプチド配列との関連での用語「同一」またはパーセント「同一」は、後述するデフォルトパラメーターを有するBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いるか、または手動配置および視覚検査により測定して、同じであるアミノ酸残基またはヌクレオチドの同じかまたは特定の百分率(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域において最大一致のために比較および配列した際の特定領域に対し90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより高い同一性)を有する二つ以上の配列またはサブ配列を指す(例えば、NCBIウェブサイトncbi.nlm.nih.gov/BLAST/等参照)。かかる配列を「実質的に同一」とする。この定義はまた、テスト配列の相補体に引用するか、または適用することができる。この定義はまた、削除および/または追加した配列並びに置換した配列も含む。後述するように、好ましいアルゴリズムは間隙等の説明をすることができる。同一性は、好ましくは少なくとも約25アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域、より好ましくは50〜100アミノ酸またはヌクレオチド長さである領域に存在する。
【0024】
配列比較に関して、通常一つの配列が参照配列として作用し、これに対しテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用するときは、テストおよび参照配列をコンピュータに入れ、所要に応じて配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指令する。好ましくは、初期設定パラメーターを用いるか、または代替パラメーターを指定することができる。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータを基にして参照配列に対するテスト配列のパーセント配列同一性を計算する。
【0025】
ここで用いる「比較ウィンドウ」は、20〜600、通常約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群から選択した数の連続位置のいずれか一つの部分への言及を含み、ここで二つの配列を最適に整えた後、ある配列を同一数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較のための配列の配置方法は当業界で周知である。比較のための配列の最適な配置を、例えばスミスとウォーターマンAdv. Appl. Math. 2:482 (1981)の部分的相同性アルゴリズムによるか、ニードルマンとワンチJ. MoI. Biol. 48:443 (1970) の相同性配置アルゴリズムによるか、ピアースンとリプマンProc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似方法の検索によるか、これらアルゴリズムのコンピュータ処理遂行(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI)によるか、または手動配置および視覚検査(Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1987-2005, Wiley Interscience参照)によって実施できる。
【0026】
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはアルツシュル他のNuc.Acids Res. 25:3389-3402 (1977)およびAltschul et al, J. MoI. Biol. 215:403-410 (1990)にそれぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST2.0をここに記述したパラメーターで用いて、本発明の核酸およびタンパクのパーセント配列同一性を決定する。BLAST分析を行うためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Informationを通じて公に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードで並べた際にある正の値の限界値Tを合致または満足する問い合わせ配列における長さWの短いワードを識別することによって先ず高いスコアの配列対(HSP)を識別することを包含する。Tは近傍ワードスコア閾値として引用する(Altschul et al., supra)。これら初期近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索開始用のシーズとして作用する。累積的な配置スコアを増大することができる限り、ワードヒットはそれぞれの配列に沿って両方向に伸張する。ヌクレオチド配列に関しては、累積的なスコアがパラメータM(一対の合致残基の得点スコアであり、常に>0)およびN(不適合残基のペナルティスコア、常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列に関しては、スコアマトリックスを用いて累積的なスコアを算出する。各方向のワードヒットの伸長は、累積的配置スコアがその最大達成値から量Xだけ下落するか、累積的なスコアが一つ以上の負のスコア残基配置の蓄積によりゼロ以下となるか、またはいずれかの配列の端に到達したときに中断される。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、配置の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、規定値として11のワード長さ(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、規定値として3のワード長さ、10の期待値(E)、BLOSUM62スコアマトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. ScL USA 89:10915 (1989)を参照)、50の配列(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。
【0027】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその一本鎖または二本鎖形のポリマー、およびその相補体である。この用語は、既知のヌクレオチド類似体または修正された骨格残基またはリンケージを含む核酸を包含し、合成、天然物および非天然物であり、参照核酸と類似の結合特性を有し、参照ヌクレオチドに類似した方法で代謝される。かかる類似体の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸塩、メチルホスホン酸塩、不斉メチルホスホン酸塩、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0028】
「核酸ハイブリッド」または「プローブ:標的デュプレックス」は二本鎖で、水素結合した構造、好ましくは約10〜約100のヌクレオチド長、より好ましくは14〜50のヌクレオチド長である構造を意味するが、これはある程度オリゴヌクレオチドプローブの全体長さに依存する。該構造は、例えば化学発光または蛍光検出、オートラジオグラフィー、電気化学的分析またはゲル電気泳動によって検出されるに十分安定である。このようなハイブリッドは、RNA:RNA、RNA:DNAまたはDNA:DNAデュプレックス分子を含む。
【0029】
「RNAおよびDNA等価物」は、同じ相補的な塩基対ハイブリッド形成特性を有するRNAおよびDNA分子に関連する。RNAおよびDNA等価物は、異なる糖類(すなわちリボース対デオキシリボース)を有し、RNAのウラシルおよびDNAのチミンの存在により相違し得る。RNAおよびDNA等価物間の違いは、等価物が同じ程度の特定配列に対する相補性を有するので、実質的に対応する核酸配列の違いに寄与しない。
【0030】
「優先的にハイブリッド形成する」とは、高い厳しさのハイブリッド形成条件下でオリゴヌクレオチドプローブがその標的核酸をハイブリッド形成して、安定なプローブ:非標的ハイブリッド(他の生物由来の非標的核酸の存在を示す)を形成することなく安定なプローブ:標的ハイブリッド(標的核酸の存在を示す)を形成することを意味する。従って、プローブは非標的核酸に比べて十分に大きな範囲で標的核酸をハイブリッド形成し、当業者がこれら種(例えばカンジダ)の存在を正確に検出し、他の生命体から区別することができる。優先的なハイブリッド形成は、従来既知で、ここに記載した技術を用いて測定することができる。
【0031】
「セラノスティクス診断」法とは、疾患を診断し、正しい治療レジームを選択し、治療への患者の反応をモニタする診断テストの使用を意味する。本発明のセラノスティクス診断は、患者から集めたサンプル、標本または検体への本発明のNAD分析の使用に基づいてもよい。
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の目的は、一つ以上の酵母および真菌類の種を検出し、同定するための配列および/または診断アッセイを提供することにある。本発明者らは、eIF2γ遺伝子配列を使用してカンジダ属eIF2γ遺伝子およびアスペルギルス属eIF2γ遺伝子に特異的なプライマーを設計した。かかるプライマーは、酵母および真菌類の種の検出だけでなくて、カンジダ属およびアスペルギルス属種間の識別を可能にする。これは、共生生物としてカンジダ属を含むサンプルにおいて真菌類の病原体を識別したい場合、汎用プライマーを使用する方法が成功しないかもしれない従来技術以上の効果がある。カンジダ属が増幅処理で真菌類の病原体を打ち負かし、優先的に増幅して疾患の原因病原体を検出するのに失敗をもたらす高い可能性がある。本発明は、異なるカンジダ属種間および異なるアスペルギルス属種の中の区別を可能にするプライマーおよびプローブを更に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部またはその対応するmRNAに結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える酵母および/または真菌類の種の検出および識別用診断キットを提供する。オリゴヌクレオチドプローブは、eIF2γ遺伝子またはその対応するmRNAの一部に対して実質的に相同的または実質的に相補的な配列を有し得る。従って、これは相補DNAまたはRNA分子と結合またはハイブリッド形成することができる。eIF2γ遺伝子は、真菌類のeIF2γ遺伝子であってもよい。eIF2γ遺伝子は、酵母のeIF2γ遺伝子であってもよい。核酸分子は、合成でもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置718〜1040の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置790〜934の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・グラブラタeIF2γ遺伝子の塩基対位置872〜972の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・パラプシロシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置151〜274の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・トロピカリスeIF2γ遺伝子の塩基対位置140〜270の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・クルセイeIF2γ遺伝子の塩基対位置115〜224の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置121〜374の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置164〜261の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フラヴァスeIF2γ遺伝子の塩基対位置155〜252の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・ニガーeIF2γ遺伝子の塩基対位置92〜189の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・テレウスeIF2γ遺伝子の塩基対位置149〜246の遺伝子領域の一部と等価であってもよい。当業者は、これら領域と等価の配列が他の生物で見出すことができるが、必ずしも同一位置にないことを認識する。
【0034】
オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1、2、84、85、86、87、88、108、109、110、111、125または138の配列、若しくはかかる配列と実質的に相同または実質的に相補である配列を有することができ、eIF2γ遺伝子用のプローブとしても作用することができる。本キットは、ひとつ以上のかかるプローブを備えてもよい。特に、該キットは、複数個のこのようなプローブを備えることができる。加えて、かかるキットは、例えば細菌種またはウイルスのような他の生物用の付加的なプローブを備えてもよい。
【0035】
本キットは、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備えてもよい。当該キットは、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび/または少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを適当に含むことができ、前記フォワード増幅プライマーが配列番号3、5、89、91、93、95、97、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119、120、135または136からなる群から選択した配列若しくはこれに対し実質的に相同または相補的で、eIF2γ遺伝子用フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列を有するか、および/または前記リバース増幅プライマーが配列番号4、6、90、92、94、96、98、106、107、121、122、123、124または137からなる群から選択した配列若しくはこれに対し実質的に相同または相補的で、eIF2γ遺伝子用リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列を有する。
【0036】
カンジダ属eIF2γポリヌクレオチドの検出に有用なキットは、配列番号1、84、85、86、87、88または138からなる群から選択するか、または配列番号1、84、85、86、87、88または138によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える。当該キットは、配列番号5、89、91、93、95、97、135または136からなる群から選択するか、又は配列番号5、89、91、93、95、97、135または136により優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号6、90、92、94、96、98、137からなる群から選択するか、若しくは配列番号6、90、92、94、96、98または137により優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成するリバースプライマーを更に備えてもよい。
【0037】
カンジダ・アルビカンスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号1、84または138からなる群から選択するか、若しくは配列番号1、84または138によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号5、89、135または136からなる群から選択するか、若しくは配列番号5、89、135または136によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号6、90または137からなる群から選択するか、若しくは配列番号6、90または137によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0038】
カンジダ・グラブラタeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号85からなる群から選択するか、若しくは配列番号85によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号91からなる群から選択するか、若しくは配列番号91によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号92からなる群から選択するか、若しくは配列番号92によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0039】
カンジダ・パラプシロシスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号86からなる群から選択するか、若しくは配列番号86によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号93からなる群から選択するか、若しくは配列番号93によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または、配列番号94からなる群から選択するか、若しくは配列番号94によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0040】
カンジダ・トロピカリシスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号87からなる群から選択するか、若しくは配列番号87によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号95からなる群から選択するか、または配列番号95によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号96からなる群から選択するか、若しくは配列番号96によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0041】
カンジダ・クルセイeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号88からなる群から選択するか、若しくは配列番号88によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号97からなる群から選択するか、若しくは配列番号97によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号98からなる群から選択するか、若しくは配列番号98によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0042】
アスペルギルス属eIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するための診断キットは、配列番号2、108、109、110、111または125からなる群から選択するか、若しくは配列番号2、108、109、110、111または125によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備える。当該キットは、配列番号3、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119または120からなる群から選択するか、若しくは配列番号3、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119または120によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号4、106、107、121、122、123または124からなる群から選択するか、若しくは配列番号4、106、107、121、122、123または124によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0043】
アスペルギルス・フミガタスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号2、111または125からなる群から選択するか、または配列番号2、111または125によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号3、112、113、115、117、119または120からなる群から選択するか、若しくは配列番号3、112、113、115、117、119または120によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および/または配列番号4、106、121、123または124からなる群から選択するか、若しくは配列番号4、106、121、123または124によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0044】
アスペルギルス・フラヴァスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号110からなる群から選択するか、若しくは配列番号110によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号104または114からなる群から選択するか、または配列番号104または114によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号106、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号106、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0045】
アスペルギルス・ニガーeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号108からなる群から選択するか、若しくは配列番号108によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号104、114または116からなる群から選択するか、若しくは配列番号104、114または116によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号107、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号107、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0046】
アスペルギルス・テレウスeIF2γポリヌクレオチドを検出または同定するためのキットは、配列番号109からなる群から選択するか、若しくは配列番号109によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブを備え、また配列番号105、115または118からなる群から選択するか、若しくは配列番号105、115または118によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのフォワードプライマー、および配列番号107、122または123からなる群から選択するか、若しくは配列番号107、122または123によって優先的にハイブリッド形成するのと同じヌクレオチド配列に優先的にハイブリッド形成する少なくとも一つのリバースプライマーを更に備える。
【0047】
同定された配列は、生体外DNA/RNA増幅に基づいた検出システムのみならず、シグナル増幅に基づいた検出システムにも適している。さらに、適当な標的として同定された本発明の配列は、有利で、本発明の態様をグループまたは種特異的標的に指向させ得るある領域において重要な遺伝子内配列異質性を有することと、また本発明の態様を酵母および真菌類の診断用の直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術および核酸生体外増幅技術での使用のための遺伝子特異性の酵母および真菌類プライマーおよびプローブに指向させ得るある領域で重要な配列均一性を有することの利点を付与する。eIF2γ配列が診断検査法のマルチ試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0048】
本発明の配列の利点の1つは、密接に関連した酵母および真菌類の種間の遺伝子内eIF2γヌクレオチド配列多様性が酵母および真菌類の検出用診断検査での使用のための特異的なプライマーおよびプローブを設計することを可能にするということである。eIF2γヌクレオチド配列の両方のDNAおよびRNAを、診断検査における直接検出、シグナル増幅検出および生体外増幅技術で用いることができる。eIF2γ配列が診断検査法におけるマルチ試験機能およびオートメーションを可能にする。
【0049】
本キットは、eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備えてもよい。該キットは、eIF2γ遺伝子の一部用のフォワードおよびリバースプライマーを適当に含む。
【0050】
eIF2γ遺伝子の一部分は、カンジダ・アルビカンスのeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から塩基対位置1040までの遺伝子領域の一部と等価してもよい。特に好ましいのは、eIF2γカンジダ・アルビカンス遺伝子の一部用のプローブおよび/またはカンジダ・アルビカンスのeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から塩基対位置1040に等価な遺伝子領域の一部用のプローブを備えるキットである。塩基対位置718から塩基対位置1040に等価な配列は、他の生物においても見出すことができるが、必ずしも同じ位置ではない。eIF2γ遺伝子の一部分は、アスペルギルス・フミガタスの塩基対位置121から塩基対位置374までの遺伝子領域の一部と等価としてもよい。特に好ましいのは、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の一部用のプローブおよび/またはアスペルギルス・フミガタスの塩基対位置121から塩基対位置374に等価な遺伝子領域の一部用のプローブを備えるキットである。塩基対位置121から塩基対位置374に等価な配列は、他の生物においても見出すことができるが、必ずしも同じ位置ではない。当該キットはまた、追加のプライマーまたはプローブを含んでもよい。プライマーは、配列番号3から配列番号6までの群から選択した配列、またはその配列に実質的に相同的または実質的に相補的な配列を有してもよく、eIF2γ遺伝子用プライマーとしても作用することができる。
【0051】
本キットは、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含んでもよく、ここで前記フォワード増幅プライマーが配列番号3または配列番号5からなる群から選択した配列若しくはそれに対し実質的に相同または相補的な配列を有し、eIF2γ遺伝子用のフォワード増幅プライマーとしても作用することができ、また前記リバース増幅プライマーが配列番号4または配列番号6からなる群から選択した配列若しくはそれに対し実質的に相同または相補的な配列を有し、eIF2γ遺伝子用のリバース増幅プライマーとしても作用することができる。該診断キットは、直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づくものとすることができる。
【0052】
本発明はまた、配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135からなる群から選択した核酸分子、およびそれに対し実質的に相同またはその一部に実質的に相補的で、かつeIF2γ遺伝子に基づいた診断法の機能を有する配列を提供する。当該核酸分子は、配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135の核酸分子の一部に実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含んでもよい。本発明はまた、下記の工程:
(i) 試験サンプルを適切な条件下で上述した少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程、
(iii) 陽性に特定する二本鎖の存在であるプローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程を備えることを特徴とする試験サンプル中の標的生物を検出する方法を提供する。
【0053】
本発明の核酸分子およびキットを診断アッセイに用いて、一つ以上の酵母および/または真菌種の存在を検出するか、患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を減らすように設計した治療レジームの効率を評価する方法でまたは患者内の酵母および/または真菌の滴定濃度を測定するか、または環境中の酵母および/または真菌汚染を測定してもよい。かかる環境は、病院、食品サンプル、例えば水のような環境サンプル、製造過程中のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要としている最終製品でもよい。
【0054】
本発明のキットおよび核酸分子は、eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用いることができる一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いることができる。崩壊剤は、アンチセンスRNA、PNAおよびsiRNAからなる群から選択することができる。
【0055】
本発明のある実施態様においては、種特異的なプローブを含む核酸分子を用いて、同じ属の種を識別することができる。
【0056】
本発明のオリゴヌクレオチドは、酵母および真菌類の標的生物の核酸を検出するための組成物で提供してもよい。かかる組成物は、組成物の意図した使用に見合った緩衝液、酵素、洗剤、塩類等を含むことができる。また、ここに記載する少なくとも一つの合成オリゴヌクレオチドを含むような本発明の組成物、キットおよび方法が、合成オリゴヌクレオチドの代わりにまたは一緒に合成ヌクレオチド断片と実質的に同じ配列を有する天然オリゴヌクレオチドを含んでもよいと想定される。
【0057】
本発明はまた、少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを含む標的酵母および/または真菌類生物用の生体外増幅診断キットを提供し、ここで前記フォワード増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、フォワード増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択し、また前記リバース増幅プライマーを実質的に相同または相補的で、リバース増幅プライマーとしても作用し得る一つ以上の配列からなる群から選択する。
【0058】
本発明はまた、候補酵母および/または真菌類の種の存在を検出するための診断キットを提供し、候補酵母および/または真菌類の種のeIF2γ遺伝子の配列に実質的に相補的または実質的に相同である配列からなる一つ以上のDNAプローブを備える。本発明はまた、eIF2γ遺伝子またはそれのmRNA転写体、酵母および/または真菌類のeIF2γ遺伝子またはそのmRNA転写体、酵母eIF2γ遺伝子またはそのmRNA転写体の一つ以上に実質的に相同または実質的に相補的なヌクレオチド配列、すなわち配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135の一つ以上を有する一つ以上の合成オリゴヌクレオチドを提供する。
【0059】
ヌクレオチドは、DNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、RNAを含んでもよい。ヌクレオチドは、DNA、RNAおよびPNAの混合物を含んでもよい。ヌクレオチドは、合成ヌクレオチドを含んでもよい。本発明の配列(および本発明の方法、キット、組成物および分析に関する配列)は、eIF2γ遺伝子のコード化領域の一部に実質的に相同であるように選択してもよい。遺伝子は、標的酵母または真菌類の生物からの遺伝子であってもよい。本発明の配列は、該配列の一部分にプローブ:標的デュプレックスを形成し得るに十分であることが好ましい。
【0060】
本発明はまた、標的酵母または真菌類の生物用の診断キットを提供するもので、本発明のオリゴヌクレオチド(合成でもよい)に実質的に相同または実質的に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを備える。生体外増幅プライマーとしての使用に適した配列が、オリゴヌクレオチドプローブとしての使用にも適しているのはいうまでもなく、増幅プライマーが約15ヌクレオチドおよび約30ヌクレオチド(より好ましくは約15〜約23、最も好ましくは約20〜約23)間の相補的な部分を有することが好ましく、本発明のオリゴヌクレオチドプローブが任意適当な長さでもあってもよい。当業者は、異なるハイブリッド形成および/またはアニーリングの条件が選択したオリゴヌクレオチドプローブの長さ、性質および構造(例えばライトサイクラー用ハイブリッド形成プローブ対、Taqman5´エクソヌクレアーゼプローブ、ヘアピンループ構造等)および配列に依存していることがわかるであろう。
【0061】
本発明のキットおよびアッセイはまた、オリゴヌクレオチドプローブを表面に固定して提供してもよい。このような表面は、ビーズ、膜、カラム、計量棒、ナノ粒子、診断プレートのウェルまたは反応チューブの内側のような反応室の内面、キャピラリーまたは容器等とすることができる。
【0062】
標的酵母または真菌類の生物は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ、アスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択することができる。
【0063】
標的酵母生物は、すでに実験的に示した所定のセットのプライマー用のカンジダ属種であり、より好ましくはカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイからなる群から選択することができる。
【0064】
これらの状況下で、本発明の増幅プライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブは、一つ以上若しくは大部分または実質的に全ての標的酵母生物集団の所望生物を同定し得るように遺伝子特異的または属特異的な領域に設計されてもよい。
【0065】
標的真菌類の生物は、すでに実験的に示した所定セットのプライマー用のアスペルギルス属種であり、より好ましくはアスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択することができる。
【0066】
試験サンプルは、標的酵母および/または真菌類の生物の細胞を含んでもよい。本方法はまた、前記試験サンプルに存在し得る標的酵母または真菌類生物のあらゆる細胞から核酸を解放する工程を備えてもよい。理想的には、試験サンプルは、患者から得られたサンプル(綿棒、血液、尿、唾液、気管支の洗浄歯の試験片、皮膚試験片、頭皮試験片、移植器官生検、大便、粘液または排泄物サンプルなど)の溶解物である。試験サンプルは、食品サンプル、水サンプル、環境サンプル、最終製品、最終製品または製造過程の産業試料であってもよい。
【0067】
本発明はまた、一つ以上の酵母または真菌類の種の存在の診断アッセイへの配列番号1から配列番号135、好ましくは配列番号1〜74および配列番号84〜135のいずれか一つの使用を提供する。当該種は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・ デュブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエ、カンジダ・シフェリイ、アスペルギルス・フミガタス、ネオサルトリア・フィシェリ、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロールおよびアスペルギルス・ニドランスからなる群から選択してもよい。
【0068】
本発明はまた、セラノスティクス診断、食品の安全診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断での使用のために本発明の合成オリゴヌクレオチドの一つ以上を含むキットを提供する。当該キットは、適切なサンプル収集計測器、試薬容器、緩衝材、標識化成分、溶液、洗剤および補助溶液からなる群から選択した物品の一つ以上を含むこともできる。本発明はまた、臨床診断、セラノスティクス診断、食品安全性診断、工業細菌学診断、環境モニタリング、獣医学的診断、バイオ・テロリズム診断への本発明の配列、組成物、ヌクレオチド断片、アッセイおよびキットの使用を提供する。
【0069】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、酵母および/または真菌類の種の検出用診断核酸ベースアッセイに用いてもよい。
【0070】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を診断アッセイに用いて、患者の酵母および/または真菌類の滴定濃度を測定することができる。滴定濃度を生体外で計量してもよい。
【0071】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を患者の酵母および/または真菌類滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価する方法に用いることができ、これは治療レジームの一つ以上のキー・ステージで患者の酵母および/または真菌類滴定濃度を評価(生体内方法または生体外方法によって)する工程を備える。適切なキー・ステージは、治療前、治療の間、および治療後を含んでもよい。治療レジームは、調合薬のような抗真菌薬を含んでもよい。
【0072】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、例えば病院において潜在的な酵母および/または真菌類汚染を測定するための診断アッセイに用いてもよい。
【0073】
核酸分子、組成物、キットまたは方法を、eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価に用いてもよい。適当な崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択することができる。
【0074】
本発明を、以下の図を参照して説明する。以下の詳細な説明および添付の図は単に例示および説明であり、本発明の更なる説明を提供することを目的とし、いかなる形であれ本発明の範囲を制限しない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】カンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:718-1040)。
【図2】アスペルギルス・フミガタス(XM_746974.2)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:121-374)。
【図3】TaqManプローブP1-CaneIF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、4種の他のカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタス由来のDNAのパネルを用いて試験し、試験した3つのカンジダ・アルビカンス株を検出し、他のカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタス由来のDNAとの交差反応は見られなかった。
【図4】TaqManプローブP1-AspeIF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくアスペルギルス・フミガタス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、6種の密接に関連したアスペルギルス属種およびカンジダ・アルビカンス由来のDNAのパネルに対して試験し、3つのアスペルギルス・フミガタス株を検出し、他のアスペルギルス属種およびカンジダ・アルビカンス由来のDNAとの交差反応は見られなかった。
【図5】カンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:99)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:664-1040)。
【図6】カンジダ・グラブラタ(XM_447610.1)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:100)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:872-972)。
【図7】カンジダ・パラプシロシス(作製配列CBS 604)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:101)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:151-274)。
【図8】カンジダ・トロピカリス(作製配列CBS 94)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:102)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:140-270)。
【図9】カンジダ・クルセイ(作製配列CBS 573)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:103)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:115-224)。
【図10】TaqManプローブALEF2を有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、14株のカンジダ・アルビカンスおよび19種の他のカンジダ属由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した14株のカンジダ・アルビカンスを検出した。(b)他の19種のカンジダ属種由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイの感度を、カンジダ・アルビカンス由来のテンプレートDNAのさまざまなインプットを用いて試験した。アッセイのLODが1−5の細胞均等物の間にあるとわかった。
【図11】TaqManプローブGlabAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・グラブラタ用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、10株のカンジダ・グラブラタ、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した10株のカンジダ・グラブラタを検出した。(b)19種の他のカンジダ属またはアスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜2細胞均等物であるとわかった。
【図12】TaqManプローブParAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・パラプシロシス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロット図であり、アッセイの特異性を、12株のカンジダ・パラプシロシス、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)12株のカンジダ・パラプシロシスを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜10細胞均等物であることがわかった。
【図13】TaqManプローブTropicAを有するeIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・トロピカリシス用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロットであり、アッセイの特異性を、12株のカンジダ・トロピカリシス、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した12株のカンジダ・トロピカリシスを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜20細胞均等物であることがわかった。
【図14】TaqManプローブKrusAを有するeIF2遺伝子に基づくカンジダ・クルセイ用のリアルタイムPCRアッセイからの増幅プロットであり、アッセイの特異性を、9株のカンジダ・クルセイ、19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスおよびサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAのパネルを用いて試験した。(a)試験した9株のカンジダ・クルセイを検出した。(b)19種の他のカンジダ属、アスペルギルス・フミガタスまたはサッカロマイセス・セレビシエ由来のDNAとの交差反応は見られなかった。(+)コントロールのみからシグナルを得た。(c)アッセイのLODが、〜2細胞均等物であることがわかった。
【図15】アスペルギルス・フミガタス(作製配列7273)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:50)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:164-261)。
【図16】アスペルギルス・フラバス(作製配列117.62)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:122)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:155-252)。
【図17】アスペルギルス・ニガー(6727の作製配列)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:58)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:92-189)。
【図18】アスペルギルス・テレウス(5677の作製配列)のeIF2γにおけるプライマー結合部位(灰色のハイライト)およびプローブ(太字のテキスト)(配列番号:64)を示し、標的増幅領域に下線を引く(標的領域の位置:149-246)。
【図19】アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図20】アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図21】アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラバスおよびアスペルギルス・ニガーのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【図22】アスペルギルス・フミガタスのリアルタイムPCRの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
(材料および方法)
(細胞培養)
臨床的に関連したカンジダ属種の一群の地理的に異なった株を、多くの培養群から得た。カンジダ属種を、振盪培養器内のサブロー・ブロス(4%wt/volブドウ糖、1%wt/volペプトン、1.5%寒天)で37°Cで48時間培養した。アスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスおよびその他密接に関連した種)を、サブロー・ブロス(4%のwt/volブドウ糖、1%のwt/volペプトン、1.5%の寒天)または寒天で25°Cで3-4日間培養した。
【0077】
(DNA 抽出)
カンジダ属およびc属種由来の細胞を、DNA単離の前にリチカーゼまたはザイモラーゼ酵素で予備処理した。MagNA Pure System(Roche Molecular Systems社)をメーカー説明書に沿ってMagNA pure YeastおよびBacterial isolationキットIIIまたはQiagen Plantキットと組み合わせて用いてカンジダ属およびアスペルギルス属種からDNAを単離した。
【0078】
(カンジダおよびアスペルギルス種のeIF2γ遺伝子のシークエンシング)
カンジダまたはアスペルギルス種のeIF2遺伝子の公的に入手可能な配列をNCBIデータベースから取得し、Clustal Wを用いて整列させた。
【0079】
PCRプライマーセットCaneIF2-F/CaneIF2-Rがカンジダ・アルビカンス(XM_715569.1)のヌクレオチド位置718からヌクレオチド位置1040に等価なカンジダ属種のeIF2γ遺伝子領域を増幅するように設計した(表1、図1)。PCRプライマーセットAspeIF2-F/AspeIF2-Rがアスペルギルス・フミガタス(XM_746974.2)のヌクレオチド位置121からヌクレオチド位置374に等価なアスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の領域を増幅するように設計した(表1)。eIF2遺伝子領域を、表2に概説した試薬および表3に記載した熱サイクル条件を用いるiCycler BioRad PCR機械またはPTC200 Peltier thermocycler(MJ Research)に対する従来のPCRによってカンジダ属およびアスペルギルス属種の範囲において増幅した。配列情報を作製するために、20のカンジダ属種を表わす合計72株を、前記プライマーセットでの増幅のためにiCycler BioRad PCR機械に対する従来のPCRにより試験した。
【0080】
PCR生成物が、15のカンジダ属種、すなわちカンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリシス、カンジダ・デゥブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ、および7のアスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロール、アスペルギルス・ニドランス)およびネオサルトリア・フィシェリについて生成した。PCR反応生成物を、メーカーの説明書によるRoche High Pure PCR 生成物精製キットまたはExoSAP-ITキット(USB)で精製し、その後フォワード増幅プライマーCaneIF2-FまたはAspeIF2-Fを用いたSequiserveによって配列決定した。
【0081】
DNA配列情報が、15のカンジダ属種(カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・パラプシロシス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・デゥブリニエンシス、カンジダ・ ギリエルモンディ、カンジダ・ノルベジエンシス、カンジダ・ファマータ、カンジダ・ハエムロニ、カンジダ・ケフィール、カンジダ・ユティリス、カンジダ・ビスワナチー、カンジダ・ルシタニアエおよびカンジダ・シフェリイ−)および7つのアスペルギルス属種(アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・クラバトゥス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・テレウス、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ベルシコロール、アスペルギルス・ニドランス)およびネオサルトリア・フィシェリについて生成した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
(結果)
(プライマーおよびプローブ設計)
カンジダ種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列を、カンジダ種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。アスペルギルス種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列情報を、アスペルギルス種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。種特異性のプローブを、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスで収集したeIF2γ配列情報に基づいて設計した(表4)。
【0089】
(リアルタイムPCR)
図1および2は、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスの増幅および検出用のPCRプライマーおよびTaqMan DNAプローブの相対的位置を示す。カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・フミガタスの同定用のTaqManプローブの特異性は、表5および6に概説した試薬および熱サイクル条件を用いるライトサイクラーに対するリアルタイムPCRアッセイで証明された。eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・アルビカンスアッセイのために、PCRプライマーCaneIF2-F/CaneIF2-RをTaqManプローブ、P l-CaneIF2と併用した。カンジダ・アルビカンスの検出用アッセイの特異性は、密接に関連したカンジダ属種およびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・アルビカンスリアルタイムPCRアッセイに含めることにより確認された。該アッセイは、試験した3つのカンジダ・アルビカンス株を検出したが、試験した他のいかなるカンジダ種由来のDNAまたはアスペルギルス・フミガタスDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。図3は、カンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイおよびカンジダ・アルビカンス用のアッセイの特異性を示す。
【0090】
eIF2γ遺伝子に基づくアスペルギルス・フミガタスアッセイについては、PCRプライマーAspeIF2-F/AspeIF2-RをTaqManプローブ、Pl-AspeIF2と併用した。アスペルギルス・フミガタスの検出用アッセイの特異性は、密接に関連したアスペルギルス種およびカンジダ・アルビカンスの範囲からのDNAをアスペルギルス・フミガタスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認された。該アッセイは、アスペルギルス・フミガタスを検出したが、試験したカンジダ・アルビカンスまたは他のいかなるアスペルギルス属種由来のDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。図4は、アスペルギルス・フミガタスリアルタイムPCRアッセイおよびアスペルギルス・フミガタス用アッセイの特異性を示す。
【0091】
(カンジダ属種)
(プライマーおよびプローブ設計)
カンジダ属種のeIF2γ遺伝子用の公的に入手可能な配列をカンジダ属種のeIF2γ遺伝子のための新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した。種特異性のプローブを、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリス、および、カンジダ・パラプシロシスについて収集したeIF2γ配列情報に基づいて設計した(表7および8)。図5ないし9は、カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・パラプシロシスの増幅および検出用PCRプライマーおよびTaqMan DNAプローブの相対的位置を示す。
【0092】
【表7】
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
(リアルタイムPCR)
カンジダ・アルビカンス、カンジダ・グラブラタ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・トロピカリスおよびカンジダ・パラプシロシスの同定用TaqManプローブの特異性を、表10(a)および(b)で概説した熱サイクル条件を用いるライトサイクラーに対するリアルタイムPCRアッセイで証明した。
【0096】
【表10】
【0097】
eIF2γ遺伝子に基づいたカンジダ・アルビカンスのアッセイに関して、表7および8に列挙したプライマーおよびプローブの評価に続いて、PCRプライマーCEF3F/CEFR1をTaqManプローブALEF2と併用した。カンジダ・アルビカンスの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ種の範囲からのDNAをカンジダ・アルビカンスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した14のカンジダ・アルビカンス株を検出したが、試験した他のいかなる19のカンジダ種由来のDNAを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの感度を、カンジダ・アルビカンスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、1-5の細胞均等物の間にあるとわかった(図10)。
【0098】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・グラブラタアッセイについて、PCRプライマーGlabFl/GlabRlをTaqManプローブ、GlabAと併用した。カンジダ・グラブラタの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・グラブラタリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した10のカンジダ・グラブラタ株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・グラブラタ由来のテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜2細胞均等物であるとわかった(図11)。
【0099】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・パラプシロシスアッセイについて、PCRプライマーParaFl/ParaRlをTaqManプローブ(ParA)と併用した。カンジダ・パラプシロシスの検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・パラプシロシスのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した12のカンジダ・パラプシロシス株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しないか、もしくは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・パラプシロシスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODは、〜10の細胞均等物であることが分かった(図12)。
【0100】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・トロピカリスアッセイについて、PCRプライマーTropicFl/TropicRlをTaqManプローブ(TropicA)と併用した。カンジダ・トロピカリス検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・トロピカリスリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した12のカンジダ・トロピカリス株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しなかったかまたは交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・パラプシロシスのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜20の細胞均等物であるとわかった(図13)。
【0101】
eIF2γ遺伝子に基づくカンジダ・クルセイアッセイについて、PCRプライマーKrusFl/KrusRlをTaqManプローブ(KrusA)と併用した。カンジダ・クルセイ検出用アッセイの特異性を、密接に関連したカンジダ属種、サッカロマイセス・セルビシエおよびアスペルギルス・フミガタスの範囲からのDNAをカンジダ・クルセイのリアルタイムPCRアッセイに含めることによって確認した。該アッセイは、試験した9つのカンジダ・クルセイ株を検出したが、試験した19の他のいかなるカンジダ属種からのDNAまたはサッカロマイセス・セルビシエまたはアスペルギルス・フミガタスを検出しなかったか又は交差反応しなかった。アッセイの初期感度を、カンジダ・クルセイのテンプレートDNAのさまざまな入力を用いて試験した。アッセイのLODが、〜2の細胞均等物であるとわかった(図14)。
【0102】
(アスペルギルス属種)
(プライマーおよびプローブ設計)
アスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の公的に入手可能な配列を、アスペルギルス属種のeIF2γ遺伝子の新しく作製した配列情報で整列させ、バイオ情報科学ツールを用いて分析した(図15-18)。プライマーおよびプローブが、アスペルギルス属種を増幅および検出するように設計された。標的の一つ以上の種を増幅し得るようにプライマーを設計した。EF2_l_fowは、アスペルギルス・フミガタスおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_2_fowは、アスペルギルス・フラヴァスおよびアスペルギルス・ニガーを増幅するように設計された。EF2_l_revは、アスペルギルス・フミガタスを増幅するように設計された。EF2_3_revは、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_7_fowは、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・フラヴァスを増幅するように設計された。EF2_8_fowは、アスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_9 fowは、アスペルギルス・フミガタスを増幅するように設計された。EF2_5 revは、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・フラヴァスおよびアスペルギルス・テレウスを増幅するように設計された。EF2_6_revは、アスペルギルス・ニガーを増幅するように設計された。これらアッセイに用いるプライマーおよびプローブを、表11に列挙する。
【0103】
【表11】
【0104】
(リアルタイムPCR)
アッセイ排他性を表12に概説したパネルで調べた。
【0105】
【表12】
【0106】
【表13】
【0107】
(アッセイ排他性の評価)
アッセイ排他性の初期評価を、表12に概説したパネルおよび表13に概説したプライマーおよびプローブで調査した。95℃で10秒間および60℃で30秒間のアニーリングを50サイクル行ったアッセイの結果は、該アッセイが設計された種のみの排他的な検出に特異的であることを示す。
【0108】
アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのアッセイを、それぞれの種の9つの入手可能な組織内株での包含性について試験した。EF2_7_fowおよびEF2_5_revをアスペルギルス・フラヴァスのアッセイに用いた。EEF2_7_fowおよびEF2_6_revがアスペルギルス・ニガーのアッセイ用プライマー対であり、F2_8_fowおよびEF2_5_revはアスペルギルス・テレウスのアッセイに含まれた。95℃で5秒間および60℃で10秒間の45サイクルアニーリング条件を、各々のアッセイに適用した。全ての株が、関連した特異的なプローブによって検出された(図19)。
【0109】
同じプライマーの組合せおよび熱サイクル条件をアスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアペルギルス・テレウス用のLODアッセイに用いた。これら3つのアッセイのそれぞれのLODが、一反応当たり5細胞均等物であるとわかった。(図20)
【0110】
同じアッセイ条件を用いて、アスペルギルス・フラヴァス、アスペルギルス・ニガーおよびアスペルギルス・テレウスのアッセイの排他性を試験した。三つのアッセイのそれぞれが、アッセイに含まれる他の密接に関連したアスペルギルス属種との交差反応なしに標的の種だけを検出する特異的なものであるとわかった。全てのサンプルを3通りで試験した。(図21)
【0111】
アスペルギルス・フミガタスのアッセイのLODを、95℃で10秒間および60℃で30秒間の50サイクルのアスペルギルス・フミガタスアニーリング条件を含む熱サイクル条件下で行った。このアッセイのLODが、10-1の細胞均等物であるとわかった。(図22)
【0112】
(考察)
免疫不全患者間の酵母および真菌感染の数は拡大している。この増加の一因は、抗真菌剤に対して多くの酵母および真菌種の耐性種の増加である。従って、酵母および真菌類種の早期の診断を可能にする速くて正確な診断法を開発する必要がある。早期の診断は、感染を治療するために特異的な狭いスペクトルの抗生物質または抗真菌薬を選択することができることにある。本発明は、一つ以上の酵母および真菌類の種を検出および同定するための配列および/または診断アッセイを提供する。本発明者らは、カンジダおよびアスペルギルス種のeIF2γ遺伝子の配列を利用して、この遺伝子の領域に特異的なプライマーおよびプローブを設計する。eIF2γ配列は、ある領域において重要な遺伝子内配列異質性を有し、一方他において重要な均質性を有するが、その特性は、eIF2γを酵母および真菌類の種の特異的な標的の検出を目的とするプライマーおよびプローブの設計および属特異的な診断標的の検出のそれぞれに理想的な候補とする。
【0113】
本発明は、酵母および真菌類の種の検出を可能にするばかりか、カンジダ属およびアスペルギルス属種の識別をも可能にする。異なるカンジダ属種および異なるアスペルギルス属種の間の識別を可能にすることが更なる本発明の目的である。
【0114】
本発明に関して本願明細書において用いる「備える/からなる」および「有する/含む」の用語は、表明した特徴、整数、工程または成分の存在を特定するのに用いるが、一つ以上の他の特徴、整数、工程、成分またはその群の存在または追加を排除するものではない。明確にするため、別々の実施例の場面に記載されている、特定の本発明の特徴は、実施例の単一でも組合せでも提供してもよいと認識している。反対に、簡潔さのために、単一の実施例の場面に記載している、多様な本発明の特徴は、別々にまたはいかなる適切な補助組み合わせで提供してもよい。本願明細書において開示されるいかなる配列もPatentln3.3ソフトウェアの付属の配列リストのその副本の異なる限り、テキストのこの本文の範囲内の配列は正しいバージョンである。
【0115】
(配列番号)
プローブ、オリゴヌクレオチド等の部位を太字で表記および下線を引く。
Nまたはx=あらゆるヌクレオチド;w=a/t、m=a/c、r=a/g、k=g/t、s=c/g、y=c/t、h=a/t/c、v=a/g/c、d=a/g/t、b=g/t/c。場合によっては、特異的な変質オプションを括弧において示す:例えば:(a/g)は、AかGである。
【0116】
(引用文献)
Alone PV, Dever TE.
Direct binding of translation initiation factor eIF2gamma-G domain to its GTPase- activating and GDP-GTP exchange factors eIF5 and eIF2B epsilon. J Biol Chem. 2006
May 5;281(18):12636-44. Epub 2006 Mar 7. Dorris DR, Erickson FL, Hannig EM.
Mutations in GCDl 1, the structural gene for eIF-2 gamma in yeast, alter translational regulation of GCN4 and the selection of the start site for protein synthesis. EMBO J.
1995 May 15;14(10):2239-49 Erickson FL, Harding LD, Dorris DR, Hannig EM. Functional analysis of homo logs of translation initiation factor 2gamma in yeast. MoI
Gen Genet. 1997 Feb 27;253(6):711-9. Erickson FL, Hannig EM.
Ligand interactions with eukaryotic translation initiation factor 2: role of the gamma- subunit. EMBO J. 1996 Nov 15;15(22):6311-20.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
eIF2γまたはその対応mRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つオリゴヌクレオチドプローブを備えることを特徴とする酵母または真菌の種の診断キット。
【請求項2】
前記eIF2γ遺伝子の一部が、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から1040、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置790から934、カンジダ・グラブラタeIF2γ遺伝子の塩基対位置872から972、カンジダ・パラプシロシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置151から274、カンジダ・トロピカリシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置140から270、カンジダ・クルセイeIF2γ遺伝子の塩基対位置115から224、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置121から374、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置164から261、アスペルギルス・フラヴァスeIF2γ遺伝子の塩基対位置155から252、アスペルギルス・ニガーeIF2γ遺伝子の塩基対位置92から189またはアスペルギルス・テレウスeIF2γ遺伝子の塩基対位置149から246の遺伝子領域の一部と等価である請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記少なくとも一つプローブを、配列番号1,2,84,85,86,87,88,108,109,110,111,125または138からなる群、またはそれに対し実質的に類似または相補的で、プローブとしても作用し得る配列から選択する請求項1または請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項5】
前記eIF2γ遺伝子の少なくとも一部用の少なくともフォワードプライマーおよび少なくとも一つのリバースプライマーを備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを備え、前記フォワード増幅プライマーを配列番号3、5、89、91、93、95、97、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119、120、135または136からなる群またはそれに対し実質的に類似または相補的で、前記eEF2γ遺伝子用フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択し、また前記リバース増幅プライマーを配列番号4、6、90、92、94、96、98、106、107、121、122、123、124または137からなる群またはそれに対し実質的に類似または相補的で、前記eEF2γ遺伝子用リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択する前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づく請求項6に記載の診断用キット。
【請求項8】
配列番号1から配列番号73および配列番号84〜135並びにそれに対し若しくはその一部に対し実質的に相同又は実質的に相補的で、eIF2γ遺伝子に基づいた診断の機能を有する配列からなる群から選択される核酸分子。
【請求項9】
請求項10に記載の核酸分子の一部と実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを備える核酸分子。
【請求項10】
試験サンプル中の標的生物を検出するに当たり、
(i) 前記試験サンプルを適切な条件下でeIF2γ遺伝子またはその対応するmRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程と、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程と、
(iii) プローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、該デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程とを備えることを特徴とする検出方法。
【請求項11】
前記プローブを、配列番号1、2、84、85、86、87、88、108、109、110、11 1、125または138からなる群、またはそれに対し実質的に相同または実質的に相補的で、eIF2γ遺伝子用プローブとしても作用し得る配列から選択する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
酵母および/または真菌類の種の一つ以上の存在を検出するための診断アッセイへの請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項13】
患者内の酵母および/または真菌類の滴定濃度を測定するための診断アッセイへの請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項14】
患者内の酵母および/または真菌類の滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価するに当たり、
請求項1〜7のいずれかに記載されたキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子を前記治療レジームの一つ以上のキー段階で使用することを備える評価方法。
【請求項15】
環境中の酵母または真菌類の汚染を測定するための診断アッセイへの請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項16】
前記環境が病院、食品サンプル、水のような環境サンプル、製造過程のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要とする最終製品である請求項15に記載の使用。
【請求項17】
eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価への請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項18】
前記崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択する請求項17に記載の使用。
【請求項19】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載されたキット。
【請求項20】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載された核酸。
【請求項21】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載された方法。
【請求項1】
eIF2γまたはその対応mRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つオリゴヌクレオチドプローブを備えることを特徴とする酵母または真菌の種の診断キット。
【請求項2】
前記eIF2γ遺伝子の一部が、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置718から1040、カンジダ・アルビカンスeIF2γ遺伝子の塩基対位置790から934、カンジダ・グラブラタeIF2γ遺伝子の塩基対位置872から972、カンジダ・パラプシロシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置151から274、カンジダ・トロピカリシスeIF2γ遺伝子の塩基対位置140から270、カンジダ・クルセイeIF2γ遺伝子の塩基対位置115から224、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置121から374、アスペルギルス・フミガタスeIF2γ遺伝子の塩基対位置164から261、アスペルギルス・フラヴァスeIF2γ遺伝子の塩基対位置155から252、アスペルギルス・ニガーeIF2γ遺伝子の塩基対位置92から189またはアスペルギルス・テレウスeIF2γ遺伝子の塩基対位置149から246の遺伝子領域の一部と等価である請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記少なくとも一つプローブを、配列番号1,2,84,85,86,87,88,108,109,110,111,125または138からなる群、またはそれに対し実質的に類似または相補的で、プローブとしても作用し得る配列から選択する請求項1または請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記eIF2γ遺伝子の少なくとも一部の増幅用の少なくとも一つのプライマーを更に備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項5】
前記eIF2γ遺伝子の少なくとも一部用の少なくともフォワードプライマーおよび少なくとも一つのリバースプライマーを備える前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
少なくとも一つのフォワード生体外増幅プライマーおよび少なくとも一つのリバース生体外増幅プライマーを備え、前記フォワード増幅プライマーを配列番号3、5、89、91、93、95、97、104、105、112、113、114、115、116、117、118、119、120、135または136からなる群またはそれに対し実質的に類似または相補的で、前記eEF2γ遺伝子用フォワード増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択し、また前記リバース増幅プライマーを配列番号4、6、90、92、94、96、98、106、107、121、122、123、124または137からなる群またはそれに対し実質的に類似または相補的で、前記eEF2γ遺伝子用リバース増幅プライマーとしても作用し得る配列から選択する前記請求項のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
直接的な核酸検出技術、シグナル増幅核酸検出技術、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写媒体増幅(TMA)、分岐DNA技術(bDNA)およびローリングサークル増幅技術(RCAT)の一つ以上から選択した核酸生体外増幅技術、または他の生体外酵素増幅技術に基づく請求項6に記載の診断用キット。
【請求項8】
配列番号1から配列番号73および配列番号84〜135並びにそれに対し若しくはその一部に対し実質的に相同又は実質的に相補的で、eIF2γ遺伝子に基づいた診断の機能を有する配列からなる群から選択される核酸分子。
【請求項9】
請求項10に記載の核酸分子の一部と実質的に相同または実質的に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを備える核酸分子。
【請求項10】
試験サンプル中の標的生物を検出するに当たり、
(i) 前記試験サンプルを適切な条件下でeIF2γ遺伝子またはその対応するmRNAの少なくとも一部に結合し得る少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプローブと混合する工程と、
(ii) 前記オリゴヌクレオチドを有する試験サンプル中に存在し得るあらゆる核酸を高い厳しさの条件下でハイブリッド形成してプローブ:標的デュプレックスを形成する工程と、
(iii) プローブ:標的デュプレックスが存在するかを求め、該デュプレックスの存在が試験サンプル中の標的生物の存在を積極的に同定する工程とを備えることを特徴とする検出方法。
【請求項11】
前記プローブを、配列番号1、2、84、85、86、87、88、108、109、110、11 1、125または138からなる群、またはそれに対し実質的に相同または実質的に相補的で、eIF2γ遺伝子用プローブとしても作用し得る配列から選択する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
酵母および/または真菌類の種の一つ以上の存在を検出するための診断アッセイへの請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項13】
患者内の酵母および/または真菌類の滴定濃度を測定するための診断アッセイへの請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項14】
患者内の酵母および/または真菌類の滴定濃度を減らすように設計された治療レジームの有効性を評価するに当たり、
請求項1〜7のいずれかに記載されたキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子を前記治療レジームの一つ以上のキー段階で使用することを備える評価方法。
【請求項15】
環境中の酵母または真菌類の汚染を測定するための診断アッセイへの請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項16】
前記環境が病院、食品サンプル、水のような環境サンプル、製造過程のサンプルのような産業サンプル、または生物汚染度または質の評価を必要とする最終製品である請求項15に記載の使用。
【請求項17】
eIF2γ遺伝子機能を崩壊させるのに用い得る一つ以上の崩壊剤の同定および/または特徴評価への請求項1〜7のいずれかに記載のキット若しくは請求項8または9に記載の核酸分子の使用。
【請求項18】
前記崩壊剤を、アンチセンスRNA、PNA、siRNAからなる群から選択する請求項17に記載の使用。
【請求項19】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載されたキット。
【請求項20】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載された核酸。
【請求項21】
添付図を参照して実質的に本明細書に記載された方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2011−524746(P2011−524746A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513002(P2011−513002)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057337
【国際公開番号】WO2009/150241
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057337
【国際公開番号】WO2009/150241
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(509237767)ナショナル ユニバーシティー オブ アイルランド, ゴールウェイ (12)
【Fターム(参考)】
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