説明

眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法

【課題】パルス形状及び継続期間が、様々な水晶体超音波吸引術の用途及び手術に合わせて操作できるような方法のニーズを満たす。
【解決手段】線形上昇成分をプログラムする工程と、線形減衰成分をプログラムする工程と、マルチセグメントを備えるパルスを発生させる工程とを具備し、第一セグメントが第一振幅から第二振幅まで増加する線形上昇成分を備え、第二セグメントが第一セグメントの終端で開始すると共に第二振幅であり、第三セグメントが第二振幅から第三振幅まで減少する線形減衰成分を備え、線形上昇成分及び線形減衰成分が、パルスを発生させる出力要素を稼働及び停止させることによって生じる自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされていることを特徴とする眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科手術分野、特に、水晶体超音波吸引手術装置の超音波ハンドピースによって生じる超音波エネルギーのパルスの形状、配列、及び継続期間の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の目は、角膜と呼ばれる外側の透明な部分を通って光を伝達し、その光を水晶体によって網膜上に像の焦点を合わせることによって視覚化するように機能するものである。そして、焦点を合わされた像の質は、眼球の大きさや形状、そして、角膜や水晶体の透明度といった多くの要素に左右される。加齢や病気によって水晶体の透明度が低下すると、網膜に伝達される光が減少することから、視力が低下する。こうした眼球の水晶体における欠陥は、医学的には、白内障として知られている。この病気の一般的な治療方法は、手術によって水晶体を除去し、そして、水晶体の機能を眼内レンズ(IOL)に置き換えることである。アメリカ合衆国では、白内障にかかった水晶体の多くを水晶体超音波吸引術と呼ばれる外科手術により除去している。この手術では、薄い切断先端部又は切断針が病気の水晶体内に挿入され、超音波振動する。そして、水晶体を眼球外へ吸引できるように、振動している切断先端部が水晶体を液化又は乳化させる。一旦除去された病気の水晶体は、眼内レンズによって置き換えられる。
【0003】
眼の手術に適した標準的な超音波の手術用機器は、超音波駆動式のハンドピースと取付型の切断先端部(attached cutting tip)と灌流スリーブ若しくは他の適切な灌流機器と電子制御装置とを有している。また、ハンドピース組立品は、電気ケーブル又はコネクタとフレキシブルチューブとによって上記電子制御装置に取り付けられている。外科医は、電子制御装置にセットされる出力を最大出力量にまで要求するためにフットペダルを押下することによって、ハンドピースの取付型の切断先端部に伝達されると共に組織に加えられる超音波エネルギー量を制御する。一方、フレキシブルチューブは、ハンドピース組立品を通じて灌流液を眼球に供給したり眼球から吸引液を汲み上げたりする。
【0004】
ハンドピースの作動部は、圧電性結晶に取り付けられて中心に位置する中空の共鳴棒又はホーンである。水晶体超音波吸引術中、圧電性結晶は、制御装置によって制御され、ホーンと取付型の切断先端部との両方を駆動するのに必要な超音波振動を供給する。これら圧電性結晶とホーンとの組立品は、フレキシブルなマウンティングによって、ハンドピースの中空の本体又は外郭構造内に支持されている。また、ハンドピース本体の遠位端は、縮径部又はノーズコーンとして終端している。ノーズコーンは、灌流スリーブを受けるための雄ネジを有する。同様に、ホーン内の穴の遠位端は、切断先端部の雄ネジを受けるための雌ネジを有する。また、灌流スリーブは、ノーズコーンの雄ネジに留められる雌ネジを備えた穴を有する。切断先端部は、灌流スリーブの開口端を越えて所定の量だけ突出するよう調整される。
【0005】
使用時に、切断先端部及び灌流スリーブの遠位端は、角膜、強膜、又は他の部分の所定の幅の小さい切開部内へ挿入される。ある公知の切断先端部は、圧電性結晶駆動の超音波ホーンによって灌流スリーブ内で長手軸線に沿って超音波で振動し、それによって、選択されたその部位の組織を乳化する。中空の切断先端部の穴はホーンの穴に連通し、そしてハンドピースから電子制御装置への吸引チューブに連通する。他の適切な切断先端部は、長手方向と捻れ方向の両方の振動を作り出す圧電性要素を有する。このような切断先端部の一つの実施例は、特許文献1に記載されており、ここで引用することによって本明細書の記載に替えることとする。
【0006】
電子制御装置内の減圧源又はバキューム源は、眼球から切断先端部の開口遠位端、切断先端部及びホーンの穴、そして吸引チューブを介して収集装置内へ乳化組織を汲み上げ、或いは吸引する。乳化組織の吸引は、灌流スリーブの内面と切断先端部との間の小さい環状のギャップを通して手術部位に注入される生理食塩水又は他の灌流液によって助長される。
【0007】
ある公知の外科技術は、誘発される乱視の危険性を減らすために、前眼房内の切開部を可能な限り小さくすることである。これら小さい切開部は、振動する切断先端部に当接して灌流スリーブを圧迫する非常に狭い傷口となる。灌流スリーブと振動する切断先端部との間の摩擦は熱を生じさせる。切断先端部内を流れる吸引された灌流液の冷却効果によって、切断先端部が組織を過熱し、焼いてしまう危険性が減少する。
【0008】
いくつかの公知の手術装置は、固定幅のパルスの振幅を、フットペダルのようなコントローラを使用して変化させることができる「パルスモード」を用いている。他の公知の手術装置は、周期的な固定幅で一定の振幅の一連のパルスの各パルスの後に「オフ」時間が続く。「オフ」時間はコントローラを使用して変化させることができる。他の公知の装置は、最初の最大出力レベルがあり、低い出力レベルが後に続くパルスを用いている。例えば、特許文献2には、ゼロから最初の最大出力レベルに上昇し、その後、低い出力レベルに減少するパルスが記載されている。
【0009】
公知の手術装置が効果的に用いられてきた一方で、それらは、より優れたパルスの制御を種々の手術機器及び用途で用いることができるようにすることによって改良可能である。例えば、方形パルス又は矩形パルスを用いる公知の手術装置は、一般的に、最大出力レベルに非常に素早く増加する出力レベルを備えている。鋭いパルスの遷移は、水晶体物質を保持し、乳化する能力を減少させる。特に、水晶体物質が、バキュームによって超音波ハンドピースの先端部に保持されるとき、最大出力レベルに至るまでの非常に早い(ほとんど即座の)パルスの傾斜が、水晶体物質を先端部から非常に素早く離すように移動させるか又は押圧する。そして、これは水晶体物質の切断を困難にしてしまう。言い換えると、急速な出力遷移のために、水晶体物質を保持し又は位置あわせする超音波先端部のバキュームと、水晶体物質を乳化する能力との間に不均衡が生じてしまう。
【0010】
他の公知の装置は、低い出力又は出力無しでも十分な場合でさえも、高い出力レベルで動作している。例えば、矩形パルスに関して、最初の高い出力レベルは、水晶体物質を乳化するための出力を提供するために必要とされるかもしれない。しかし、水晶体物質が取り除かれ又は乳化された後は、さらなる出力は必要とされていない。水晶体物質の除去又は乳化後にも同じ出力量を加える矩形パルスによって、組織に加えられる過度の熱が生じ、患者に害を及ぼしてしまう。
【0011】
さらに、いくつかの公知の手術装置によって用いられているパルスパターンは、キャビテーション効果を十分に減少させることはない。キャビテーションは、超音波先端部の往復運動に起因する小さい泡から構成される。この運動によって、低圧ポケット及び高圧ポケットが生じる。超音波先端部が後方へ移動すると、それによって、局所的に低圧となって液体が蒸発し、泡が発生する。泡は、超音波先端部が前方へ移動すると圧縮され、急激に縮小する。泡を急激に縮小すると、不要な熱及び力を生じさせ、外科手術を困難にし、そして、患者に危険を与えてしまう。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6402769号明細書
【特許文献2】国際出願第PCT/US2004/007318号明細書
【特許文献3】米国特許第3589363号明細書
【特許文献4】米国特許第4223676号明細書
【特許文献5】米国特許第4246902号明細書
【特許文献6】米国特許第4493694号明細書
【特許文献7】米国特許第4515583号明細書
【特許文献8】米国特許第4589415号明細書
【特許文献9】米国特許第4609368号明細書
【特許文献10】米国特許第4869715号明細書
【特許文献11】米国特許第4922902号明細書
【特許文献12】米国特許第4989583号明細書
【特許文献13】米国特許第5154694号明細書
【特許文献14】米国特許第5359996号明細書
【特許文献15】米国特許第6179808号明細書
【特許文献16】米国特許第6261283号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それ故、パルス形状及び継続期間が、様々な水晶体超音波吸引術の用途及び手術に合わせて操作できるような方法の必要性が存在し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
眼科手術装置で使用するエネルギーを発生させる方法は一つの実施形態による。上記方法は、線形上昇成分及び線形減衰成分をプログラムする工程であって、これら成分が、パルスを発生させる出力要素を稼働及び停止させることによって生じる自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされている工程を有する。また、上記方法はマルチセグメントを備えるパルスを発生させる工程を有する。第一セグメントは、第一振幅から第二振幅まで増加する線形上昇成分を有する。第二セグメントは、第一セグメントの終端で開始すると共に第二振幅である。第三セグメントは、第二振幅から第三振幅まで減少する線形減衰成分を有する。
【0015】
別の実施形態によれば、眼科手術装置で使用するエネルギーを発生させる方法は、それぞれがマルチセグメントを有する複数のパルスを発生させる工程を有する。第一パルスセグメントは、約5から500ミリセカンド内で第一振幅から第二振幅まで線形に増加する。第二パルスセグメントは、所定の時間、第二振幅である。第三パルスセグメントは、約5から500ミリセカンド内で第二振幅及び第三振幅の間で線形に減少する。第一パルスセグメントが上昇する割合及び第三パルスセグメントが減衰する割合は、パルスを発生させる出力要素を稼働及び停止させることによって生じる自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされている。
【0016】
種々の実施形態において、線形上昇成分は、出力要素が稼働しているとき、自然上昇よりもゆっくりと増加する。線形減衰成分は、出力要素が停止しているとき、自然減衰よりもゆっくりと減衰する。第一振幅はゼロでもゼロではなくてもよい。線形上昇成分は、線形減衰成分が減少する割合と略同じ割合で増加してもよいし、より早く増加してもよい。第三振幅は第一振幅と略同じでもよいし、より大きくてもよい。
【0017】
別の実施形態によれば、眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法は、第一矩形パルスセグメント及び第二矩形パルスセグメントを有する複数のパルスを発生させる工程を具備する。第一矩形パルスセグメントは、所定の時間、第一振幅であり、第二矩形パルスセグメントは、所定の時間、第二振幅である。第二矩形パルスセグメントの開始は、第一矩形パルスセグメントの終了に続く。第二振幅は第一振幅よりも大きい。マルチセグメントパルスは、増加する出力のセグメントが二つよりも多く有してもよく、例えば、三つ、四つ、五つ、及び他の数を有してもよい。
【0018】
第一矩形パルスセグメント及び第二矩形パルスセグメントは、略同じ継続時間でもよく、第一矩形パルスの出力及び第二矩形パルスの出力はフットペダルのようなコントローラに応じて調節可能であってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここで図面を参照すると、同じ参照符号は、全図面を通して対応する同じ部分を表す。
【0020】
本明細書は、例えば、水晶体超音波吸引手術に用いる手術装置を制御するために超音波エネルギーのパルスを操作する方法の実施形態を記載している。これら実施形態は、適切なハードウェア制御及びソフトウェア制御を介して市販の手術装置又は手術制御装置によって実施される。図1及び図2は例示的な手術装置を示す。
【0021】
図1は、一つの適切な装置を示し、76134テキサス州フォートワースQ−148サウスフリーウェイ6201にあるアルコン研究所から入手可能なINFINITI(登録商標)ヴィジョンシステムに相当する。図2(a)はこの装置で使用可能な例示的な制御装置100を示す。
【0022】
制御装置100は超音波ハンドピース112を操作するために用いられ、制御モジュール若しくはCPU116を備える制御コンソール114と、吸引のバキューム若しくは蠕動ポンプ118と、ハンドピースの電力供給源120と、(INFINITI(登録商標)システムのような)灌流の流量若しくは圧力センサー122と、バルブ124とを有している。ここで引用することによって本明細書の記載に替えることとする特許文献3から14に記載される超音波ハンドピース及び切断先端部のような、種々の超音波ハンドピース112及び切断先端部が、限定されることなく利用可能である。CPU116は、任意の適切な、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、コンピュータ、又はデジタルロジックコントローラであってもよい。ポンプ118は、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベンチュリポンプ、又は他の適切なポンプであってもよい。電力供給源120は任意の超音波ドライバであってもよい。灌流圧センサー122は種々の市販のセンサーであってもよい。バルブ124は、ソレノイド作動のピンチバルブのような任意の適切なバルブであってもよい。生理食塩水のような灌流液の注入は、ボトル又はバッグに入って提供される市販の灌流溶液でもよいが、生理食塩水源126によって行われてもよい。
【0023】
使用時に、灌流圧センサー122は、灌流ライン130,132,134を介してハンドピース112及び灌流液源126に接続されている。灌流圧センサー122は、灌流液源126からハンドピース112への灌流液の流量又は圧力を測定し、ケーブル136を介してその情報をCPU116に提供する。CPU116は、ソフトウェアコマンドを使用して制御コンソール114の動作パラメータを制御するために、灌流液の流量データを用いる。例えば、CPU116は、ケーブル142を介してハンドピース112及び先端部113に送られる電力供給源120の出力を、ケーブル140を介して変化させる。また、CPU116は、ケーブル144を介してポンプ118及び/又はバルブの動作を変化させるために、灌流圧センサー122によって供給されるデータを用いる。ポンプ118は、ライン146を介してハンドピース112から、ライン148を介して収集容器128内へ灌流液を吸引する。また、CPU116は、灌流圧センサー122、及び電力供給源120の適合した出力によって供給されるデータを用いて、ユーザーに可聴音を鳴らす。このような手術装置に関するさらなる詳細は、ここで引用することによって本明細書の記載に替えることとする特許文献14,15に明らかにされている。
【0024】
制御コンソール114は、ハンドピース112に伝達されるパルスを制御且つ操作し、そして、手術中に用いられるハンドピースのパルスの出力を制御するようにプログラムされている。図2(b)及び図2(c)を参照すると、パルスは、パケットで又はオンの期間及びオフの期間で発生する。図示した実施例において、パルスは50%の負荷サイクルである。実際に、オン時間、オフ時間、及び負荷サイクルは様々な用途で使用可能である。
【0025】
以下の記載は、100%の最大出力レベルが、最大到達出力(すなわち、超音波先端部の最大の行程又は変位)であると想定する。言い換えると、50%の出力は最大到達出力の半分を示す。出力レベルは、最大到達出力の百分率(%)で表される。前述の例示的な水晶体超音波吸引手術装置で用いられるパルス操作の実施形態は、図3から図21に示され、図2(b)及び図2(c)に示すようなパルスのマイクロバースト又はパケットのようにまとめられている。パルスのパケット又はバーストが超音波ハンドピースに提供され、略対応する出力を超音波先端部で発生させる。
【0026】
図3を参照すると、一つの実施形態によれば、各パルス300の上昇成分310及び減衰成分320の一つ又は両方が、自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされている。例えば、上昇成分310及び減衰成分320は、パルスを発生させるために増幅器をオン及びオフに切り替えることによって発生する自然上昇及び自然減衰とは別々に、一次関数及び/又は非線形関数でプログラムされている。当業者にとって、いくつかのパルス(例えば、方形パルス及び矩形パルス)が、低い出力レベル及び最大出力レベル間で即時の鋭い遷移を備える「理想の」方形パルス又は矩形パルスとして一般に表されるということは明らかであろう。しかし、実際には、このようなパルスは、例えば、負荷又はインピーダンスによって生じる指数関数的上昇の時間又は指数関数的減衰の時間のような、自然上昇の時間及び自然減衰の時間を有する。例えば、標準的な自然減衰の時間は約4ミリセカンド(ms)である。その一方、実施形態は、上昇関数及び/又は減衰関数をセット又はプログラムすることによって増幅器をオン及びオフに切り替えることによって生じる自然の遷移とは別々に、線形上昇時間及び線形減衰時間を制御することを対象にしている。
【0027】
上昇成分310及び減衰成分320並びに上昇時間312及び減衰時間322を制御することによって、様々なパルスの形状を特定の手術用途及び手術装置のために発生させることができるので有利である。例えば、出力が徐々に増加するようにプログラムされた上昇成分310を有するパルスによって、水晶体物質をより正確に位置合わせすることが可能となる。例えば、段階的な出力の遷移は、ハンドピースの先端部から水晶体物質を離すように早めに押圧することはない。その一方、最小から最大への鋭い遷移を有するパルスを使用する公知の装置は、先端部から水晶体物質を素早く離すように不注意に押圧し、それ故、外科手術が複雑になる。従って、プログラムされた上昇成分を有するパルスは、水晶体物質の位置合わせ及び切断並びに外科手術の効果を改善することが可能である。さらに、減衰成分及びパルス時間をプログラムすることによって、眼球に伝達されるエネルギーをより少なくすることが可能となり、その結果、組織の加熱が少なくなる。
【0028】
一つの実施形態によれば、プログラムされた上昇成分及び/又は減衰成分は、一次関数に従ってプログラムされる。図3に示す実施形態において、各パルス300は、二つの線形成分、すなわち、線形上昇成分310及び線形減衰成分320でプログラムされている。線形上昇成分310は第一振幅から第二振幅まで増加している。中間成分330は第二振幅で線形上昇成分310及び線形減衰成分320間に延びている。線形減衰成分320は第二振幅から第三振幅まで減少している。
【0029】
線形上昇成分310は線形上昇時間312を有し、線形減衰成分320は線形減衰時間322を有し、最大振幅成分330は最大振幅時間又はアクティブ時間又は「オン」時間332を有する。一般に、より高い出力レベルに到達するためにはより多くの時間が必要とされるので、線形上昇時間312及び線形減衰時間322は、パルスの最大出力レベルに応じて変化する。
【0030】
一つの実施形態において、線形上昇時間312は約5msから約500msにプログラムされている。パルスが100%の出力に到達する必要がある場合には、線形上昇時間312の継続期間がより長くなるだろう。しかし、パルスが100%の出力よりも少ない出力に到達すればよい場合には、線形上昇時間312は、例えば5ms未満又は約5msのように、より短くすることができる。線形上昇時間312の継続期間は、増加する出力レベルと共に増加し、制御コンソール114を使用して適切にプログラム可能である。必要ならば、線形成分が増加する割合は、増幅器のような出力コンポーネントを保護するために制限可能である。
【0031】
一つの実施形態によれば、線形減衰時間322は約5msから約500msにプログラムされている。一つの実施形態において、線形減衰時間322は、出力が線形に減衰し、出力の約70%が約2ms以内で消散し、出力の約98%が約4ms以内で消散するように、制御コンソール114を使用してプログラムされている。線形減衰時間322は線形上昇時間312よりも長く又は同じか又はより短くてもよい。例えば、図3は線形上昇時間312よりも長い線形減衰時間322を示す。線形減衰時間322は、自然減衰時間よりも長いか又はゆっくりにすることが可能である。また、上昇率及び減衰率は、パルスが対称的で且つプログラムされた上昇成分及び減衰成分の両方を有するように同一であってもよい。
【0032】
最大振幅時間又はアクティブ時間又は「オン」時間332は様々な用途で変更可能である。最大振幅時間は約5msから約500msである。図示した実施形態において、中間成分330は、(第二振幅で)一定の振幅を有する。別の実施形態において、最大振幅時間の持続時間は、例えば、所要の出力に応じて、その結果生じる熱を考慮に入れて5ms未満である。さらに別の実施形態において、振幅は、例えば、線形上昇成分310及び線形減衰成分320間で増加若しくは減少するように、中間成分330に亘って変化する。
【0033】
図示した実施形態において、線形上昇成分310はゼロではないレベルで始まる。別の実施形態において、線形上昇成分310はゼロのレベルで始まる。最初の出力レベルは、特定の外科手術及び手術装置の構成に依存する。同様に、線形減衰成分320はゼロの出力レベル又はゼロではない出力レベルで終了してもよい。図3は略同一の第一振幅及び第三振幅を示す。別の実施形態において、それらは異なってもよい。例えば、線形減衰成分320の終端での第三振幅は第一振幅よりも大きくてもよい。
【0034】
別の実施形態において、プログラムされた上昇成分及び/又は減衰成分は、非線形成分であってもよい。非線形成分は、対数関数、指数関数、及び他の非線形関数に従ってプログラムされてもよい。図3は、限定としてではなく説明のために、線形上昇成分及び線形減衰成分を示す。しかし、上昇成分及び減衰成分の一方又は両方は非線形関数でプログラムされてもよい。
【0035】
別の実施形態による図4を参照すると、パルス400は、図3に示すような中間成分330を有するというよりもむしろ、第二振幅の最大点410で交わる線形上昇成分310及び線形減衰成分320でプログラムされている。図示した実施形態において、プログラムされた上昇時間312及び減衰時間322は等しい。線形上昇成分310及び線形減衰成分320は中間点で交わっている。別の実施形態において、図3に関して前述のように、線形上昇時間312及び線形減衰時間322は5msから500msにプログラムされている。従って、上昇時間及び減衰時間は等しくはなく、最大点410は中間点ではない。
【0036】
別の実施形態に関する図5から図8を参照すると、一つ又は複数の線形成分及び/又は非線形成分を有するパルスは、他のパルス及びパルスパターンと組み合わせられる。限定としてではなく説明のため、図5から図8はプログラムされた線形成分を有するパルスを示すが、一つ又は複数のプログラムされた線形成分はプログラムされた非線形成分と置換可能である。
【0037】
図5は、第一矩形パルス510と、第二矩形パルス520と、線形減衰成分を備えるパルス530と、線形上昇成分を備えるパルス540と、図4に示すパルスと同様に、線形上昇成分及び線形減衰成分を備えるパルス550とを有するパルスの配列又は組み合わせ500を示す。
【0038】
図6は、図3に示すパルスと同様に、線形上昇成分及び線形減衰成分並びに中間成分を備えるパルス610と、矩形パルス620と、パルス620よりも長い継続期間を備える矩形パルス630と、線形減衰成分を備えるパルス640と、線形上昇成分を備えるパルス650とを有する別の実施形態によるパルスの配列又は組み合わせ600を示す。
【0039】
図7は、線形減衰成分を備えるパルス710と、減少する振幅を備えるマルチセグメントの矩形パルス720と、線形減衰成分を備えるパルス730と、線形減衰成分を備えるパルス740と、図4に示すパルスと同様に、線形上昇成分及び線形減衰成分の両方を備えるパルス750と、別の矩形パルス760とを有するパルスの配列又は組み合わせ700の更に別の実施形態を示す。
【0040】
図8は、同じ最大振幅を備えるパルス及び線形成分を備える少なくとも一つのパルスの配列又は組み合わせ800のさらに別の実施形態を示す。具体的には、図8は、線形減衰成分を備えるパルス810と、減少する振幅を備えるマルチセグメントの矩形パルス820と、線形減衰成分を備えるパルス830と、線形減衰成分を備えるパルス840と、図4に示すパルスと同様に、線形上昇成分及び線形減衰成分の両方を備えるパルス850と、矩形パルス860とを示す。
【0041】
図5から図8に示すように、パルスのパケットにおける各パルスは、それが、例えば、異なる振幅、継続期間、形状、プログラムされた線形成分の数及び/又は出力に基づいて、他のパルスと区別できる特性を有する。さらに、パルスの組み合わせは、異なる数のパルスと、異なる数の矩形パルス及び方形パルスと、複数の線形成分を備える異なる数のパルスと、一つの線形成分を備える異なる数のパルスと、二つの線形成分を備える異なる数のパルスと、二つの線形成分及び一定の振幅の成分を備える異なる数のパルスとを有する。従って、実施形態では、外科医は、特定の外科手術及び水晶体超音波吸引手術装置に合うようにパルスをカスタマイズする。
【0042】
図5から図8に示すように、矩形パルス及び一つ又は複数の線形成分を備えるパルスは、例えば、パルス配列の開始部分又は終端部分で、又はそれらの間のどこかで、様々な位置及び配列に配置可能である。矩形パルス(又は他の形状のパルス)及び線形成分を備えるパルスの順序は、使用される手術用途及び装置に応じて変更可能である。あるパルスは、他のタイプのパルスとグループ化され、或いは混在してもよい。
【0043】
例えば、図5を参照すると、矩形パルス510及び520がグループ化され、線形成分を備えるパルス530,540,550がグループ化される。別の実施形態において、一つ又は複数の非矩形パルスは、矩形パルスが様々なタイプのパルスと混在するように、矩形パルス間にある。同様に、線形成分を備えない一つ又は複数のパルスは、プログラムされた線形成分を備えるパルス間に位置してもよい。
【0044】
別の実施形態において図9から図14を参照すると、プログラムされた線形成分を備えるパルスは、各パルスが連続的に減少する出力又は増加する出力を備えるパルスのパターンに含まれている。図9から図11は、各パルスが連続的により高くなる出力を備えるパルスの配列を示し、図12から図14は、各パルスが連続的に減少する出力を備えるパルスの配列を示す。
【0045】
図9を参照すると、別の実施形態は、パルス910,920,930,940,950を備えるパルスの配列又は組み合わせ900を有し、その各パルスは図3に示すパルスと同様である。各連続のパルスは前のパルスよりも高い出力(P1からP5)を有する。例えば、パルス930は、パルス920の出力P2よりも大きい出力P3を有する。
【0046】
図10は、パルスの配列又は組み合わせ1000がパルス1010,1020,1030,1040,1050を備える別の実施形態を示し、その各パルスは、図4に示すパルスと同様である。各連続のパルスは前のパルスよりも高い出力を有する。
【0047】
図11は、パルスの配列又は組み合わせ1100が、矩形パルスのような様々な形状及び大きさのパルスを備えるパルスと、線形成分を備える少なくとも一つのパルスとを備えるさらに別の実施形態を示す。各連続のパルスは前のパルスよりも高い出力を有する。最初の低い出力レベル及びその後の増加する出力レベルを備えるパルスの配列又はグループは、水晶体物質を乳化するために徐々に出力を増加させる間に、超音波ハンドピースの先端部で水晶体物質を効果的に保持すると共に制御するのに有効である。
【0048】
別の実施形態による図12を参照すると、パルスの配列又は組み合わせ1200は、パルス1210,1220,1230,1240,1250を備え、その各パルスは、図3に示すパルスと同様である。各パルスは、プログラムされた線形上昇成分310及びプログラムされた線形減衰成分320を備える。各パルスは、前のパルスと比べて減少した出力を有する。例えば、パルスP3はパルスP2よりも小さい出力であり、パルスP4はパルスP3よりも低い出力である。
【0049】
別の実施形態において図13を参照すると、パルスの配列又はグループは、パルス1310,1320,1330,1340,1350を備える。各パルスは、図4に示すパルスと同様であり、各パルスは、前のパルスに比べて減少した出力を有する。図14は、時間と共に減少する出力を備える、パルス1410,1420,1430,1440,1450の配列又は組み合わせ1400のさらに別の実施形態を示す。組み合わせ1400は、矩形パルスのような様々な形状及び大きさを有するパルスと線形成分を備えるパルスとを備える。
【0050】
図15から図19を参照すると、別の実施形態は、フットペダル又はフットスイッチのようなコントローラに応じて異なるパルスモード間でパルスを変換させることを対象としている。一つの実施形態によれば、パルスはバーストモード及びパルスモード間で変換される。パルスパターンは、移動留め又は位置表示器によって定められてもよいし、定められなくてもよい四つのフットペダル位置に関連して示される。当業者にとって、フットペダル又はフットスイッチが他の数の位置を有してもよく、ここで記載した遷移がフットペダルの押下と解放によって行われてもよいということは明らかであろう。
【0051】
図15を参照すると、「バースト」モードは、超音波出力の周期的な固定幅で一定振幅の一連のパルス1500を提供し、そのそれぞれは、「オフ」時間1510が後に続く。パルス1500間のオフ時間1510は、フットペダルを移動又は押下することによって外科医が入力することによって制御される。言い換えると、バーストモードにおいて、各パルス1500は、固定の「オン」時間1520及び可変の「オフ」時間1510を有し、「オフ」時間1510は、ユーザーのフットペダル操作に基づいて調節される。バーストモードのパルスは、約5msから約500msのアクティブ時間を有する。バースト又は「オフ時間」の間隔は、(フットペダルが十分に低くなり、出力が持続するときの)約0msから約2.5sである。オフ時間は、例えば、必要な冷却又は放熱の望ましい量のような用途及び装置に依存する。バーストモードのパルスは、図15に示すような「固定バースト」モードのパルスであり、或いは、図16に示すような「線形バースト」モードのパルスである。固定バーストモードに関して、フットペダルを押下することによって、オフ時間1510を減少させる一方で、パルスの振幅は一定のままである。線形バーストモードに関して、フットペダルを押下することによって、オフ時間1500を減少させ、さらに、振幅を調節する。図示した実施形態において、フットペダルを押下することによって、振幅を増加させる。従って、固定バーストモード及び線形バーストモードの両方に関して、出力の「オフ」時間1510が調節され、パルスの振幅は調節されてもいいし、されなくてもよい。
【0052】
特に、図15及び図16は四つの位置におけるフットペダルを示す。フットペダルが最初は位置1にあり、位置2に押下されると、オフ時間1510が減少する。固定幅で一定の振幅のパルス1500の数が、フットペダルが押下されるにつれて増加する。フットペダルが位置2から位置3に押下されると、オフ時間1510は、最終的には、所定のオフ時間1510、例えば、オン時間1520又は別の適切な時間に到達する。フットペダルを位置3から位置4にさらに押下することによって、オフ時間1510をゼロ、すなわち、100%オン時間1520に減少させる(持続モード)。同様の工程は、パルスが線形バーストモードのパルスであり、また、フットペダルが異なる位置間に移動されるとパルスの振幅が増加すること以外、図16に示されている。
【0053】
「パルス」モードに関して図17を参照すると、固定幅のパルス1700の振幅が、フットペダルの位置に従って変化する。図示した実施形態において、振幅はフットペダルを押下することによって増加する。
【0054】
図18及び図19を参照すると、別の実施形態は、フットペダルの移動に応じて、バーストモード及びパルスモード間でパルスを変換させることを対象としている。図18はバーストモードからパルスモードに遷移していることを示す。フットペダルは、オフ時間1510を減少させるために位置1から位置2へ押下される。オフ時間1510は、フットペダルが位置2から位置3へ押下されるときにさらに減少する。フットペダルがさらに押下されるにつれて、ある期間において、固定幅で一定の振幅のパルスの数が増加する。フットペダルがさらに押下されると、オフ時間1510は、最終的に、オン時間1520又は別の適切な値のような所定の値に到達する。図示した実施形態において、所定の値は、オン時間1520に等しい。そして、パルスの振幅は、オフ時間1510がオン時間1520(又は別の適切な値)と等しくなった後に調節され、それによって、ハンドピースによって生じるエネルギーを増加させ、バーストモードからパルスモードへパルスを変換させる。
【0055】
別の実施形態において図19を参照すると、パルスはパルスモードからバーストモードのパルスへ変換される。装置が最初にパルスモードであってフットペダルが位置4に押下されると、フットペダルを最初に解放することによって、パルスの振幅を減少させる。振幅が所定の振幅に到達した後、フットペダルをさらに解放することによって、バーストモードを調節し、出力の「オフ」時間1510を増加させることとなり、それによって、超音波先端部113を冷却するために、一定時間でより少ない固定幅のパルス1500とより小さい出力とを超音波先端部113に提供する。
【0056】
図18及び図19に示すように、外科医は、例えば、フットペダルを押下し、解放するような、単一のコントローラの操作をすることによって、バーストモード及びパルスモード間を切り替えることができるので有利である。この処理は、これらの変換が、異なるパルスモードに変化させることに関する他の方法、例えば、ディスプレイ画面又はインターフェースでパラメータを調節するような方法で、中断及び調節をすることなく達成されるので特に有利である。その代わりに、実施形態は、外科医の脚の自然な連続的な運動の一部として、フットペダルを押下及び解放することによっても、連続的なパルスの遷移を可能にし、それによって手術用機器の形状及び操作を簡略化し、外科手術を簡略化するので有利である。
【0057】
さらに別の実施形態において図20を参照すると、各パルスの出力量は、マルチステップパルス又はマルチセグメントパルス2000を利用することによって徐々に増加させることができる。当業者にとって、マルチセグメントパルスが、二つ、三つ、四つ、及び他の数のセグメントを有してもよいということは明らかであろう。従って、図20に示す二つのセグメントパルスは、限定としてではなく説明のために提供されている。
【0058】
図示した実施形態において、第一ステップ2010は、その後のステップ2020よりも小さい出力である。例えば、図20に示すように、第一パルスセグメント2010は、所定の時間だけ第一振幅であり、次いで、第二パルスセグメント2020は、所定の時間だけ第二振幅である。水晶体物質の切断中に先端部から水晶体物質が不注意に離れてしまうような、低い出力レベルから最大出力レベルまでの、典型的には矩形のような急激な遷移とは対照的に、低い出力からより高い出力へ徐々に遷移させるマルチセグメントパルスを構成することによって、水晶体物質をより正確に保持し且つ乳化する能力が提供される。別の実施形態において図21を参照すると、マルチセグメントパルス2100は、三つ以上の増加する振幅のセグメントを有してもよい。図示した実施形態において、パルスは、三つのパルスセグメント2110,2120,2130を有する。他のパルスは、必要に応じて、四つ、五つ、そして他の数のパルスセグメントを有してもよい。
【0059】
前述の様々なパルス及びパルスのパターンは、ハンドピースの変換器要素にパケットで伝達される超音波エネルギーのパルスである。例えば、図2(b)及び図2(c)に示すように、超音波エネルギーは、オフ期間によって分離されたパルスの断続的なパケットとして圧電性要素に伝達される。前述の本発明の別の実施形態によるパルスパターンは、これらが「オン」時間中で且つこれらのパケット内で超音波ハンドピースの圧電性要素に伝達される。
【0060】
例えば、図22は、図10に示すような、連続的に増加する出力を有する超音波エネルギーのパルスのパケットを示す。別の実施例として、図23は、図13に示すような、連続的に減少する出力を有する超音波エネルギーのパルスのパケットを示す。当業者にとって、パケットがパルスの一つ又は複数のグループを有してもよく、パケットがパルスの一つのグループの端部又はパルスの一つのグループの中間で終了してもよいということは明らかであろう。例えば、図22及び図23は、パルスの一つのグループ内の第二パルスで終了するパケットを示す。また、パケットは、パルスのグループ内の最後のパルスで終了してもよい。従って、図22及び図23は、限定としてではなく説明のために提供される。また、当業者にとって、本明細書に記載されたパルスの実施形態は、超音波ハンドピースを制御するためにパケットで構成され又はまとめられる必要がないということは明らかであろう。
【0061】
種々の実施形態に対する先の記載を参照してきたが、当業者にとって、実態のない改良、変更、及び置換を、実施形態の範囲から逸脱することなく記載された実施形態になすことができるということは明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】様々な実施形態で用いられる例示的な水晶体超音波吸引手術装置を示す。
【図2】(a)は例示的な水晶体超音波吸引手術装置の構成要素を示すブロック図を示し、(b)及び(c)は水晶体超音波吸引手術装置で用いるパルスを示す。
【図3】一つの実施形態による、線形上昇成分及び線形減衰成分並びに一定の最大振幅成分を備えるパルスを示す。
【図4】別の実施形態による、最大点で交わる線形上昇成分及び線形減衰成分を備えるパルスを示す。
【図5】さらに別の実施形態による、矩形パルスを備えるパルス及び線形成分を備えるパルスの組み合わせを示す。
【図6】さらに別の実施形態による、矩形パルスを備えるパルス及び線形成分を備えるパルスの組み合わせを示す。
【図7】さらに別の実施形態による、矩形パルスを備えるパルス及び線形成分を備えるパルスの組み合わせを示す。
【図8】さらに別の実施形態による、同じ振幅の矩形パルスを備えるパルス及び線形成分を備えるパルスの組み合わせを示す。
【図9】一つの実施形態による、線形上昇成分及び線形減衰成分を備え、連続的に増加する出力を備える一定振幅の成分を備えるパルスを示す。
【図10】さらに別の実施形態による、最大点で交わると共に連続的に増加する出力を備える線形上昇成分及び線形減衰成分を備えるパルスを示す。
【図11】一つの実施形態による、連続的に増加する出力を備える矩形パルス及び線形成分を有するパルスの組み合わせを示す。
【図12】一つの実施形態による、線形上昇成分及び線形減衰成分を備え、連続的に減少する出力を備える一定の振幅成分を備えるパルスを示す。
【図13】別の実施形態による、最大点で交わる線形上昇成分及び線形減衰成分を備えると共に連続的に減少する出力を備えるパルスを示す。
【図14】別の実施形態による、連続的に減少する出力を備える矩形パルス及び線形成分を有するパルスの組み合わせを示す。
【図15】公知の固定バーストモードのパルスを示す。
【図16】公知の線形バーストモードのパルスを示す。
【図17】公知のパルスモードのパルスを示す。
【図18】一つの実施形態による、コントローラに応じて、バーストモードのパルスからパルスモードのパルスへの連続的な変化を示す。
【図19】別の実施形態による、コントローラに応じて、パルスモードのパルスからバーストモードのパルスへの連続的な変化を示す。
【図20】さらに別の実施形態による、増加する振幅を伴う二つのパルスセグメントを備えるマルチセグメントの矩形パルスを示す。
【図21】増加する振幅を伴う三つのパルスセグメントを備える別の実施形態による、マルチセグメントの矩形パルスを示す。
【図22】図10に示す超音波エネルギーのパルスのパケットを示す。
【図23】図13に示す超音波エネルギーのパルスのパケットを示す。
【符号の説明】
【0063】
100 制御装置
112 ハンドピース
114 制御コンソール
116 CPU
118 ポンプ
120 電力供給源
122 圧力センサー
124 バルブ
300 パルス
310 上昇成分
312 上昇時間
320 減衰成分
322 減衰時間
330 中間成分
332 オン時間
510 第一矩形パルス
520 第二矩形パルス
530 線形減衰成分を備えるパルス
540 線形上昇成分を備えるパルス
550 線形上昇成分及び線形減衰成分を備えるパルス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法において、線形上昇成分をプログラムする工程と、線形減衰成分をプログラムする工程と、マルチセグメントを備えるパルスを発生させる工程とを具備し、第一セグメントが第一振幅から第二振幅まで増加する前記線形上昇成分を備え、第二セグメントが前記第一セグメントの終端で開始すると共に前記第二振幅であり、第三セグメントが前記第二振幅から第三振幅まで減少する前記線形減衰成分を備え、前記線形上昇成分及び線形減衰成分が、前記パルスを発生させる出力要素を稼働及び停止させることによって生じる自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記線形上昇成分が、前記出力要素が稼働しているとき、自然上昇よりもゆっくりと増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線形減衰成分が、前記出力要素が停止しているとき、自然減衰よりもゆっくりと減衰することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一振幅がゼロであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一振幅がゼロではないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記線形上昇成分が、前記線形減衰成分が減少する割合と略同じ割合で増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記線形上昇成分が、前記線形減衰成分が減少するよりも早く増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第二振幅が略一定の振幅であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第三振幅が前記第一振幅と略同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第三振幅が前記第一振幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法において、複数のパルスを発生させる工程であって、各パルスが、約5から500ミリセカンド内で第一振幅から第二振幅まで線形に増加する第一パルスセグメントと、所定の時間、前記第二振幅である第二パルスセグメントと、約5から500ミリセカンド内で前記第二振幅及び第三振幅の間で線形に減少する第三パルスセグメントとを有する工程を具備し、前記第一パルスセグメントが上昇する割合及び前記第三パルスセグメントが減衰する割合が、前記パルスを発生させる出力要素を稼働及び停止させることによって生じる自然上昇及び自然減衰とは別々にプログラムされていることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記第三振幅が前記第一振幅と略同じであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第三振幅が前記第一振幅よりも大きいことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第一振幅がゼロであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記第一振幅がゼロではないことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第二振幅が略一定であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
眼科手術機器で使用するエネルギーを発生させる方法において、複数のパルスを発生させる工程であって、各パルスが、所定の時間、第一振幅である第一矩形パルスセグメントと、所定の時間、第二振幅である第二矩形パルスセグメントとを有する工程を具備し、前記第二矩形パルスセグメントの開始が前記第一矩形パルスセグメントの終了に続き、前記第二振幅が前記第一振幅よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記第一矩形パルスセグメント及び前記第二矩形パルスセグメントが略同じ継続期間であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
コントローラに応じて前記第一矩形パルスセグメント及び前記第二矩形パルスセグメントを増加させる工程をさらに具備することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラがフットペダルであり、該フットペダルの移動に応じて前記第一矩形パルスセグメントの振幅及び前記第二矩形パルスセグメントの振幅を増加させる工程をさらに具備することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記各パルスが、第三矩形パルスセグメントを有し、該第三矩形パルスセグメントの振幅が前記第二振幅よりも大きいことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−61624(P2007−61624A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233478(P2006−233478)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(500319044)アルコン,インコーポレイティド (87)
【Fターム(参考)】