説明

眼科用組成物

【課題】廉価であって、角膜傷害に対する修復効果が高い角膜保護剤及び眼科用組成物。
【解決手段】角膜上皮細胞の増殖効果を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を有効成分とする角膜保護剤及びこれを含有する眼科用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角膜保護剤及び眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粘膜組織である角膜細胞は、本来、涙液の膜により保護されている。しかしながら、涙液の量や質の変化によってドライアイ状態になると、この保護効果が低下し、角膜が外部刺激を受けて傷つきやすくなる。例えば、アレルギー発症時に目をこする等の物理的刺激を加えると、この刺激によって角膜細胞が傷つけられる。また、コンタクトレンズ装着者の角膜は、レンズ装脱着による物理的刺激によって傷つく可能性が高い。さらに、コンタクトレンズ装着により、角膜細胞が酸素不足に陥りやすく、細胞の代謝が阻害されるため、傷害を受けると、その治癒が遅くなる。特にソフトコンタクトレンズの場合、一旦装着してしまうと刺激に対する感度が鈍くなるため、角膜細胞が傷つけられていることを自覚せずに装用を続け、角膜上皮傷害が進行し、角膜浸潤、角膜潰瘍など重症化してしまうこともある。
【0003】
この様な重篤な疾患を避けるための対処方法において、傷害を受けた角膜上皮細胞の修復が最も重要なステップとなる。従来の角膜上皮傷害の対処方法としては、例えば、人工涙液型点眼薬の使用により感染や乾燥を防いで自然治癒を待つといった消極的な方法や、ヒアルロン酸ナトリウムやフィブロネクチンを配合した点眼薬で傷害治癒を促進する方法(例えば、特許文献1及び2参照)等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、従来の点眼薬では、角膜上皮傷害の治癒効果が充分でなく、さらに安定性や抗原性、原料費用等の面で問題があった。このため、角膜上皮傷害に対する修復効果が高く、かつ廉価な角膜保護剤が求められている。
【特許文献1】特開平1−238530
【特許文献2】特開平5−310592
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、廉価であって、角膜傷害に対する修復効果が高い角膜保護剤、及びこれを含む眼科用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと略すことがある)、特に特定量のメトキシル基及びヒドロキシプロポキシル基を有するHPMCが角膜上皮細胞の増殖及び修復作用を有することを見出した。従来、HPMCは、粘稠化剤として眼科用薬に多用されてきたが、HPMC自身が角膜上皮細胞の増殖効果及び修復効果を有することは知られていない。さらに、本発明者らはこの角膜上皮細胞増殖作用が、コンドロイチン硫酸又はその塩類との併用によって増強されることを見出した。本発明は、上記知見を基礎としてさらに研究を重ねた結果、完成されたものである。
【0007】
本発明は、以下の角膜保護剤及び眼科用組成物を提供する。
項1.ヒドロキシプロピルメチルセルロースを有効成分とする角膜保護剤。
項2.ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、メトキシル基を19〜24%及びヒドロキシプロポキシル基を1〜12%含むものである、請求項1に記載の角膜保護剤。
項3.さらにコンドロイチン硫酸又はその塩類を含有する項1又は2に記載の角膜保護剤。
項4.コンドロイチン硫酸の塩類が、コンドロイチン硫酸ナトリウムである項3に記載の角膜保護剤。
項5.項1〜4のいずれかに記載の角膜保護剤を含有する、眼科用組成物。
項6.メトキシル基を19〜24%及びヒドロキシプロポキシル基を1〜12%含むヒドロキシプロピルメチルセルロース及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を含有する、眼科用組成物。
項7.コンドロイチン硫酸の塩類が、コンドロイチン硫酸ナトリウムである、項6に記載の眼科用組成物。
【0008】
以下、本発明の角膜保護剤及び眼科用組成物について詳述する。
(1)角膜保護剤
本発明の角膜保護剤において有効成分として使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、下記の構造を有する。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、―OR〜−ORは、同一又は異なって、ヒドロキシル基、メトキシル基又はヒドロキシプロポキシル基を表す。ただし、n個存在する−OR〜−ORの少なくとも1個は、メトキシル基であり、且つ1個はヒドロキシプロポキシル基である。)
本発明において使用されるHPMCとしては、従来公知の化学合成方法に従って、例えば、セルロースをメチル化又はヒドロキシプロピル化して合成されたものを用いることができる。また、商業的に入手したものを用いてもよい。商業的に入手できるものとして、例えば、HPMC2910、HPMC2906及びHPMC2208(信越化学工業(株)製のメトローズ60SH、メトローズ65SH、メトローズ90SH、TC−5等);メトセルシリーズ(ダウ・ケミカル日本株式会社製のメトセルE、メトセルF、メトセルK等);マーポローズ(松本油脂製薬株式会社製のマーポローズ60MP、マーポローズ65MP、マーポローズ90MP等)等を使用することができる。これらのHPMCうち、本発明においては、HPMC2208を用いることが好ましい。
【0011】
本発明において使用されるHPMCは、メトキシル基を15〜32%程度、好ましくは15〜30%程度、より好ましくは19〜24%程度含み、ヒドロキシプロポキシル基を1〜15%程度、好ましくは1〜14%程度、より好ましくは1〜12%程度含む。
【0012】
HPMC2910は、メトキシル基を28〜30%程度、ヒドロキシプロポキシル基を7〜12%程度含む。
【0013】
HPMC2906は、メトキシル基を27〜30%程度、ヒドロキシプロポキシル基を4〜7.5%程度含む。
【0014】
HPMC2208は、メトキシル基を19〜24%程度、ヒドロキシプロポキシル基を4〜12%程度含む。
【0015】
ここで、HPMCに含まれるメトキシル基及びヒドロキシプロポキシル基は、分子量の比として百分率で表され、次のように求められる。
【0016】
セルロースのグルコース環単位当たりの3つのヒドロキシル基を除いた分子量は約111であり、メトキシル基の分子量が約31、ヒドロキシプロポキシル基の分子量は約75、ヒドロキシル基の分子量は約17である。セルロースのグルコース環単位当たり、メトキシル基で置換されたヒドロキシル基の平均個数をx個、ヒドロキシプロポキシル基で置換されたヒドロキシル基の平均個数をy個とすると、グルコース環単位当たりの見かけの分子量は、111+31×x+75×y+17×(3−x−y)となる。従って、メトキシル基含量は、31×x/(111+31×x+75×y+17×(3−x−y))×100(%)から求められる。同じくヒドロキシプロポキシル基含量は、75×y/(111+31×x+75×y+17×(3−x−y))×100(%)から求められる。
【0017】
また、本発明において使用されるHPMCの平均分子量の範囲は、1〜100万程度、好ましくは7〜100万程度、より好ましくは10〜30万程度である。
【0018】
このようなHPMCは、それ自身が角膜上皮細胞の増殖作用を有しており、単独で角膜保護を目的として使用することができる。特にHPMC2208は、その効果が顕著である。また、上記のHPMCを2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明では、さらに、これらのHPMCをコンドロイチン硫酸又はその塩類と併用することでより高い角膜保護効果を得られる。
【0020】
本発明において使用されるコンドロイチン硫酸又はその塩類としては、コンドロイチン硫酸、ならびにコンドロイチン硫酸の有機酸塩;アルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩等が挙げられ、例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウムを使用することができる。コンドロイチン硫酸ナトリウムは、例えば、生化学工業株式会社製 コンドロイチン硫酸ナトリウム「生化学」注射用として、商業的に入手することが可能である。本発明においては、コンドロイチン硫酸の塩類を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
本発明の角膜保護剤には、さらに、眼科用薬剤の分野において慣用されている防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、安定化剤、界面活性剤、pH調整剤、香料等の各種成分を任意に含有させてもよい。これらの成分の具体例については、下記(2)において詳述する。また、これらの成分の配合量は、本発明の効果を損なわない限り、当該分野において通常使用されている量に従えばよい。
【0022】
本発明の角膜保護剤は、HPMCを単独で有効成分として使用する場合、例えば、角膜保護剤100重量%に対してHPMCを0.01〜18重量%程度、好ましくは0.02〜17重量%程度、より好ましくは0.05〜15重量%程度含有する。この配合割合に従って、必要に応じて滅菌精製水等にHPMCを溶解することにより、本発明の角膜保護剤を調製することができる。
【0023】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用する場合であれば、本発明の角膜保護剤100重量%に対してHPMCを0.01〜18重量%程度、好ましくは0.02〜17重量%程度、より好ましくは0.05〜15重量%程度;コンドロイチン硫酸又はその塩類を0.005〜5重量%程度、好ましくは0.005〜3重量%程度、より好ましくは0.01〜3重量%程度含有する。
【0024】
HPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類を1/800〜500程度、好ましくは1/620〜150程度、より好ましくは1/220〜20程度である。
【0025】
上記の配合割合に従って、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を混合するか、又は必要に応じて滅菌精製水等に両成分を溶解することにより、本発明の角膜保護剤を調製することができる。
【0026】
本発明において、角膜保護とは、様々な要因によって引き起こされる角膜傷害に対して、その進行を抑制し、また、角膜傷害の発生を予防するように角膜組織を処置することを指す。本発明の角膜保護剤は、角膜上皮細胞増殖作用又は角膜修復作用を発揮することで、角膜傷害の進行の抑制、好ましくは治癒をもたらすことができる。また、角膜傷害の発生を事前に予防する作用を有する。
【0027】
角膜傷害としては、例えば、乾燥(ドライアイ等)、異物(コンタクトレンズ等)、目をこする、紫外線暴露等の物理的刺激;薬物による細胞毒性、酸・アルカリによる腐食等の化学的要因;細菌や真菌、ウイルス、アカントアメーバ属の感染等に起因する角膜上皮剥離、角膜びらん、角膜浸潤、角膜潰瘍等が含まれる。
【0028】
細菌類の感染による角膜潰瘍等は、角膜の傷害をきっかけにして細菌類が侵入、感染して発症するため、角膜損傷の修復を促進することによって、予防することができる。さらに、角膜上皮細胞の増殖により、角膜上皮の下に位置するボウマン膜、角膜固有質、デスメ膜、角膜内皮の損傷を予防することができる。
【0029】
本発明の角膜保護剤は、従来公知の他の活性成分と併用することができる。
【0030】
併用することができる他の活性成分としては、例えば、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、dl−塩酸メチルエフェドリン等の充血除去剤;メチル硫酸ネオスチグミン、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸、サリチル酸メチル、トラネキサム酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム等の消炎・収斂剤;塩酸イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル、マレイン酸クロルフェニラミン等の抗ヒスタミン剤;フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等の水溶性ビタミン類;ビタミンA類(例えば酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)、ビタミンE類(酢酸トコフェロール(例えば、酢酸d−α−トコフェロール)等の脂溶性ビタミン類;L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のアミノ酸類;スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等のサルファ剤;塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等の無機塩類等が挙げられる。
【0031】
上記の活性成分は、その1種を単独で本発明の角膜保護剤と併用してもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
【0032】
(2)眼科用組成物
本発明は、さらに、上記の角膜保護剤を含有する眼科用組成物を提供する。眼科用組成物は、該角膜保護剤を含有する水性点眼剤、非水性点眼剤、懸濁性点眼剤、乳濁性点眼剤、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ等を装用した状態でも点眼が可能な点眼剤等の点眼剤;眼軟膏剤;洗眼剤;コンタクトレンズ装着液、洗浄液、保存液、殺菌液等のコンタクトレンズ用剤等として調製することができる。
【0033】
本発明の角膜保護剤を含有する点眼剤を調製する場合、HPMCを単独で有効成分としたとき、HPMCの配合割合は、点眼剤100重量%に対し0.01〜18重量%、好ましくは0.02〜17重量%、より好ましくは0.05〜15重量%である。
【0034】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用して有効成分とする場合、HPMCの配合割合は、点眼剤100重量%に対し0.01〜18重量%、好ましくは0.02〜17重量%、より好ましくは0.05〜15重量であり、コンドロイチン硫酸又はその塩類の配合割合は、0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。本発明の点眼剤におけるHPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類を1/360〜500程度、好ましくは1/340〜150程度、より好ましくは1/150〜20程度、さらに好ましくは1/140〜20程度である。
【0035】
点眼剤の投与量は、投与される人の健康状態、症状の程度等により適宜選択されるが、例えば、1回あたり、1滴あたり約50μlを1〜3滴程度点眼すればよい。この投与は、1日あたり3〜6回程度繰り返すことができ、これにより角膜上皮細胞の増殖/修復効果を得ることができる。
【0036】
本発明の角膜保護剤を含有する眼軟膏剤を調製する場合、HPMCを単独で有効成分とする場合、眼軟膏剤100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜18重量%、好ましくは0.02〜17重量%、より好ましくは0.05〜15重量%である。
【0037】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用して有効成分とする場合、眼軟膏剤100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜18重量%、好ましくは0.02〜17重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、コンドロイチン硫酸又はその塩類の配合割合は、0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。本発明の眼軟膏剤におけるHPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類1/360〜500程度、好ましくは1/340〜150程度、より好ましくは1/150〜20程度である。
【0038】
本発明の角膜保護剤を含有する洗眼剤を調製する場合、HPMCを単独で有効成分としたとき、洗眼剤100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜4重量%、好ましくは0.02〜3.1重量%、より好ましくは0.05〜2.2重量%である。
【0039】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用して有効成分とする場合、洗眼剤100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜4重量%、好ましくは0.02〜3.1重量%、より好ましくは0.05〜2.2重量%、コンドロイチン硫酸又はその塩類の配合割合は0.005〜0.1重量%、好ましくは0.005〜0.05重量%、より好ましくは0.01〜0.05重量%である。本発明の洗眼剤におけるHPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類1/800〜10程度、好ましくは1/620〜3程度、より好ましくは1/220〜1程度である。
【0040】
本発明の角膜保護剤を含有するコンタクトレンズ装着液を調製する場合、HPMCを単独で有効成分としたとき、コンタクトレンズ装着液100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.1〜4.7重量%、好ましくは0.2〜4.2重量%、より好ましくは0.25〜4重量%である。
【0041】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用して有効成分とする場合、コンタクトレンズ装着液100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.1〜4.7重量%、好ましくは0.2〜4.2重量%、より好ましくは0.25〜4重量%、コンドロイチン硫酸又はその塩類として、0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。本発明のコンタクトレンズ装着液におけるHPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類1/94〜50程度、好ましくは1/84〜15程度、より好ましくは1/40〜4程度である。
【0042】
コンタクトレンズ洗浄液として調製する場合、HPMCを単独で有効成分としたとき、コンタクトレンズ洗浄液100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜3.1重量%、好ましくは0.02〜3重量%、より好ましくは0.05〜2.2重量%である。
【0043】
また、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用して有効成分とする場合、コンタクトレンズ洗浄液100重量%に対して、HPMCの配合割合は0.01〜3.1重量%、好ましくは0.02〜3重量%、より好ましくは0.05〜2.2重量%、コンドロイチン硫酸又はその塩類として、0.005〜0.5重量%、好ましくは0.005〜0.3重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%である。本発明のコンタクトレンズ洗浄液におけるHPMCとコンドロイチン硫酸又はその塩類の配合比(重量比)は、HPMC1に対して、コンドロイチン硫酸又はその塩類1/620〜50程度、好ましくは1/600〜50程度、より好ましくは1/220〜2程度である。
【0044】
本発明の眼科用組成物には、さらに、通常の眼科用組成物に慣用されている各種添加成分、例えば、担体、粘稠化剤、界面活性剤、糖類、防腐剤、等張化剤、無機塩類、キレート剤、pH調整剤、緩衝剤、香料、抗酸化剤、局所麻酔剤等を配合することができる。以下、各添加剤の例を挙げるが、本発明において使用される各種添加剤は、これらに限定されない。
【0045】
担体としては、滅菌精製水、生理食塩水等の水性溶剤;非水性溶剤として綿実油、大豆油、落花生油等の植物油が挙げられる。
【0046】
粘稠化剤として、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、カゼイン、寒天、アルギン酸、α−シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ゼラチン、コラーゲン、ペクチン、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、エラスチン、ヘパリン、ヘパリノイド、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の多糖類又はその誘導体、セラミド、マクロゴール、グリセリン、ポピドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0047】
界面活性剤として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の高級脂肪酸エステル、ポリソルベート80やポリオキシエチレンソルビンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどのグリシン型,ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型,イミダゾリン型などの両性界面活性剤;POE(10)ラウリルエーテルリン酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテルリン酸及びその塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウムなどのN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−ココイルメチルタウリンナトリウムなどのN−アシルタウリン塩、テトラデセンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのPOEアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などの陰イオン界面活性剤;アルキルアミン塩、アルキル4級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなど)、アルキルピリジニウム塩(塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウムなど)などの陽イオン界面活性剤などが挙げられる。なお、括弧内の数字は付加モル数を示す。
【0048】
特に、本発明の眼科用組成物をコンタクトレンズの洗浄液として調製する場合、該洗浄液には、洗浄作用を有し、タンパク質、脂質、多糖等の汚れを効率よく乳化し、分散除去できる界面活性剤を配合することが好ましい。この様な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(15)オクチルフェニルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(4)ノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレン(3)セチルエーテル硫酸ナトリウム、グリセリルモノステアレート、デカグリセリルモノミリステート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、ポリオキシエチレン(6)アルキルエーテル酢酸ナトリウム等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上組み合わせて本発明のコンタクトレンズの洗浄液に配合することができる。その配合量は、通常、0.1〜20重量%程度である。
【0049】
糖類としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、スクロース、セロビオース、ラクトース、プルラン、ラクツロース、ラフィノース、マルチトール等及びこれらの薬学的に許容される塩類が挙げられる。
【0050】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル(パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)、アクリノール、塩化メチルロザニリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、アルキルポリアミノエチルグリシン、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、クロロブタノール、イソプロパノール、エタノール、フェノキシエタノール、リン酸ジルコニウムの銀、亜鉛、酸化亜鉛などの担持体、銀亜鉛アルミノケイ酸塩、チメロサール、デヒドロ酢酸、クロルキシレノール、クロロフェン、レゾルシン、チモール、ヒノキチオール、スルファミン、リゾチーム、ラクトフェリン、トリクロサン、8−ヒドロキシキノリン、ウンデシレン酸、カプリル酸、プロピオン酸、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸トリクロカルバン、ハロカルバン、チアベンダゾール、ポリリジン、過酸化水素、塩化ポリドロニウム等が挙げられる。
【0051】
等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコール、糖類(ブトウ糖,マンニトール,ソルビトールなど)等が挙げられる。
【0052】
必要に応じ、上記の等張化剤を用いて、発明の眼科用組成物を生理学的に許容される範囲の浸透圧に調整することが望ましい。このような浸透圧としては、150〜600mOsm程度、好ましくは170〜550mOsm程度、より好ましくは200〜430mOsm程度であり、生理食塩液に対する浸透圧比は、通常、0.55〜2.2程度、好ましくは0.6〜2.0程度、特に好ましくは0.7〜1.5程度である。
【0053】
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、チオ硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
キレート剤として、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸,EDTA)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、クエン酸、酒石酸、リン酸類(ポリリン酸、ヘキサメタリン酸、メタリン酸)、コハク酸、トリヒドロキシメチルアミノメタン、ニトリロトリ酢酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸またはこれらの塩等が挙げられる。
【0055】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)等が挙げられる。
【0056】
緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤等が挙げられる
必要に応じ、上記のpH調整剤及び/又は緩衝剤を用いて、発明の眼科用組成物を生理学的に許容されるpHに調整することが望ましい。本発明の眼科用組成物のpHは、通常、4〜10程度、好ましくは4.5〜9程度、特に好ましくは5〜8程度の範囲内に調整される。
【0057】
香料(清涼化剤)としては、メントール、カンフル、ボルネオール、ユーカリ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ゲラニオール等が挙げられる。
【0058】
抗酸化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等が挙げられる。
【0059】
局所麻酔剤としては、クロロブタノール等が挙げられる。
【0060】
また、本発明の眼科用組成物をコンタクトレンズの洗浄液として調製する場合、該洗浄液中には、さらに洗浄力を高めるために蛋白質分解酵素、脂質分解酵素、多糖類分解酵素等を含有させることができる。これらは、本発明の洗浄液の使用時に別途添加することもできる。
【0061】
本発明の眼科用組成物には、上記の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、従来公知の溶解補助剤、着色剤等を適宜添加することができる。
【0062】
本発明の眼科用組成物は、従来公知の方法に従って調製することができる。得られる組成物には、必要に応じて濾過・滅菌処理、容器への充填等の工程を加えることができる。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、HPMC、或いはHPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を有効成分として、優れた角膜上皮細胞の増殖作用を有する角膜保護剤を提供することができる。また、本発明の角膜保護剤は、従来公知の方法に従って、種々の眼科用組成物に幅広く適用することが可能である。さらに、HPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類は、比較的安価に入手できることから、低価格で、優れた角膜保護作用を有する角膜保護剤及び眼科用組成物を提供することができる。
【0064】
本発明において有効成分として使用されるHPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類は、安定であるために安全性が高いものである。また、本発明の角膜保護剤及び眼科用組成物は、点眼した際に刺激性が極めて低いうえ、保湿効果に優れるだけでなく、目の乾燥感を解消する効果の持続性が高いものである。加えて、コンタクトレンズ装着時には、一般に、目の乾燥によるレンズの眼球への張り付き、目の痛み、目の疲れ、充血等を起こし易いが、本発明の角膜保護剤又は眼科用組成物は、ソフト/ハードコンタクトレンズへの取込やそれらの品質に悪影響を与えないものであるため、各種コンタクトレンズを装着したままでも点眼できる利点がある。
【0065】
このように、本発明の角膜保護剤又は眼科用組成物は、安全性が高く、使用感にも優れていることから、長期にわたって安全かつ違和感なく使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、処方例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0067】
以下に本発明の処方例を示す。なお、表1〜4中の数値は、重量%を表す。また、表4中、装着液又は洗浄液は、コンタクトレンズの装着液又は洗浄液である。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【試験例1】
【0072】
ウサギ角膜上皮細胞を用いて、HPMCの角膜上皮細胞増殖作用を確認した。培養条件及び測定方法は、以下の通りである。
【0073】
6ウェル培養プレート上に、正常ウサギ角膜上皮細胞(NRCE2:クラボウ社製)を1×10個/ウェルで播種した。培養液として、無血清ウサギ角膜上皮細胞増殖用培地(RCGM2:クラボウ社製)を使用し、37℃、5%CO条件下で培養を行った。24時間後、培養液を除去し、ヒドロキシエチルセルロースのみを添加した無血清ウサギ角膜上皮細胞増殖用培地(コントロール)又は下記表5に示す濃度になるように各成分を配合した同培地を各ウェルに加え、さらに3日培養した。
【0074】
培地の粘度は、第14改正日本薬局方に記載の一般試験法、45.粘度測定法、第2法 回転粘度計法(2)単一円筒形回転粘度計の項に記載された方法に従って、以下の条件で測定し、30mPa・sになるようにヒドロキシエチルセルロースで調整した。
【0075】
B型粘度計であるデジタル粘度計(型名:DV−II+、ブルックフィールド社製)を用い、スピンドルはULAを用いて、20℃における粘度を測定した。測定条件は、3rpmである。
【0076】
【表5】

【0077】
培養終了後、培養液を除去してトリプシン/EDTA溶液(クラボウ社製)にて細胞を回収し、トリパンブルー染色後に血球計算板にて細胞数を測定した。
【0078】
HECのみを添加した培地(コントロール)にて測定された細胞数を1として、各成分を含んだ培地における細胞数を比較した結果を図1に示す。
【0079】
表5及び下記に示す表6中、ヒアルロン酸ナトリウムは、キューピー(株)製ヒアルロンサンHA−AM;コンドロイチン硫酸ナトリウムは、生化学工業(株)製コンドロイチン硫酸ナトリウム「生化学」注射用;HPMCは、信越化学工業(株)製メトローズ90SH−4000(培地4,8,12、16,18)、90SH−100(培地5,9)、60SH−4000(培地6,10)、65SH−4000(培地7,11);ヒドロキシエチルセルロース(表中はHECと表記)は、ダイセル化学工業(株)製HECダイセルSE−900である。HPMCの平均分子量は、それぞれ、メトローズ90SH−4000:約30万、90SH−100:約10万、メトローズ60SH−4000:約30万、メトローズ65SH−4000:約30万である。
【試験例2】
【0080】
HPMC単独、或いはHPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を、下記表6の濃度(試験例1の1/5濃度)になるように培地に添加した場合の角膜上皮細胞の増殖効果を観察した。何も成分を添加しない無血清ウサギ角膜上皮細胞増殖用培地を、コントロール(培地13)として使用した。試験例1の方法に従って、粘度を計測した。ただし、測定条件は60rpmである。培養条件及び測定方法は、試験例1に記載の通りである。
【0081】
【表6】

【0082】
コントロールにて測定された細胞数を1として、各成分を含んだ培地における細胞数を比較した結果を図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】HPMC単独、或いはHPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を併用した場合の、角膜上皮細胞の増殖効果を表す。
【図2】試験例1の1/5濃度に調製した場合のHPMC単独、或いはHPMC及びコンドロイチン硫酸又はその塩類の添加による、角膜上皮細胞の増殖効果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースを有効成分とする角膜保護剤。
【請求項2】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、メトキシル基を19〜24%及びヒドロキシプロポキシル基を1〜12%含むものである、請求項1に記載の角膜保護剤。
【請求項3】
さらにコンドロイチン硫酸又はその塩類を含有する請求項1又は2に記載の角膜保護剤。
【請求項4】
コンドロイチン硫酸の塩類が、コンドロイチン硫酸ナトリウムである請求項3に記載の角膜保護剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の角膜保護剤を含有する、眼科用組成物。
【請求項6】
メトキシル基を19〜24%及びヒドロキシプロポキシル基を1〜12%含むヒドロキシプロピルメチルセルロース及びコンドロイチン硫酸又はその塩類を含有する、眼科用組成物。
【請求項7】
コンドロイチン硫酸の塩類が、コンドロイチン硫酸ナトリウムである、請求項6に記載の眼科用組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−282586(P2006−282586A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104992(P2005−104992)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】