説明

眼鏡装着型表示装置

【課題】装着者が見やすい位置に表示画像を提示する。
【解決手段】筐体3の第1の部分4aは、眼鏡10のテンプル10aに固定され、眼鏡に装着した状態で一方のテンプル10aに沿って支持される。また、第2の部分4bは、表示すべき画像の画像光を眼球に向けて射出するための画像光射出部5を先端部に有し、第1の部分4aの前方から眼鏡10の対応するレンズ10cに沿いレンズ10cの前方に延在する。筐体3は、眼鏡の左右方向から見たとき、第1の部分4aに対して第2の部分4bが下方向に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡装着型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼鏡に固定して使用する眼鏡装着型表示装置が提案されている。眼鏡装着型表示装置は、通常使用される眼鏡に対して着脱容易に構成されたアタッチメント等により、眼鏡に固定支持される。一般に、眼鏡装着型表示装置は、電気基板や表示素子等を収める本体部と表示素子からの表示画像を装着者の左右いずれかの眼に送り込むための接眼光学部を備える。本体部を眼鏡フレームなどに固定することにより、接眼光学部が装着者の眼前に配置され、表示画像の観察が可能になる。
【0003】
眼鏡装着型表示装置では、左右いずれの眼に対しても適用可能なように、上下対称な形状とすることが多い。たとえば、本体部を細長い直方体形状とし、その先端部に表示画像を眼球に導光するための画像表示部を接続した眼鏡装着型表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この眼鏡装着型表示装置は、上下が対称形であることから、本体部を眼鏡の左右いずれのテンプルに装着しても使用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−091748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1に記載のような上下対称形の眼鏡装着型表示装置では、本体部の中心線は眼鏡テンプルに沿って水平に延び、表示画像も、基本的に装着者の真正面位置に表示される。しかし、一般に、人間にとって見易く疲れにくい視線の位置は、水平面よりやや下方とされる。従って、上述のような真正面位置に画像を表示する眼鏡装着型表示装置を長時間使用した場合には、疲労を生じることが懸念される。
【0006】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、装着者の見やすい位置に表示画像を提示することが可能な眼鏡装着型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する請求項1に係る眼鏡装着型表示装置の発明は、
眼鏡に装着された状態で一方のテンプルに支持され、該テンプルに沿って延在する第1の部分と、表示すべき画像の画像光を眼球に向けて射出するための画像光射出部を先端部に有し、前記第1の部分の前方から前記眼鏡の対応するレンズに沿い該レンズの前方に延在する第2の部分とを含む筐体を備え、
該筐体は、前記眼鏡の左右方向である側面から見たとき、前記第1の部分に対して前記第2の部分が下方向に傾斜していることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記第1の部分は、延在方向が前記眼鏡のテンプルに略平行となるように支持されることを特徴とするものである
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の眼鏡装着型表示装置において、
眼鏡に装着された状態で、前記第1の部分の延在方向に沿う中心線を含み、前記眼鏡の左右方向に平行な面を第1の平面とし、前記第2の部分の延在方向に沿う中心線を含み前記眼鏡の左右方向に平行な面を第2の平面とするとき、前記第2の平面は前記第1の平面に対して5度から20度傾いていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の眼鏡装着型表示装置において、
眼鏡に装着した状態で、前記第1の平面と前記第2の平面とは、前記眼鏡のレンズよりも眼球側で交差することを特徴するものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記第2の平面は、眼鏡に装着した状態で、装着者の眼球中心を通ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項3から5のいずれか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体の前記第2の部分は接眼光学部を保持し、前記第2の平面は、前記接眼光学部の光軸経路からなる面と一致することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項3から6のいずれか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体の前記第1の部分は、前記第1の平面に対して平行な方向における寸法が、前記第1の平面に対して垂直な方向における寸法よりも小さく、前記筐体の前記第2の部分は、前記第2の平面に対して垂直な方向における寸法が、前記第2の平面に対して平行な方向における寸法よりも小さいことを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項3から7の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体の前記第2の部分の前記第2の平面に対して垂直な方向における寸法は、前記第1の部分の前記第1の平面に対して垂直な方向における寸法よりも小さいことを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項3から8の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体の前記第2の部分の内部には表示パネルが内蔵されており、前記表示パネルの少なくとも2辺は第1の平面に対して傾いており、かつ、前記第2の平面に対して平行に配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項1から9の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体は、前記眼鏡の左右方向である側面から見たとき、前記第1の部分は前記眼鏡のテンプルが隠れる位置に配置され、前記第2の部分は前記眼鏡のヨロイ部が上に見える位置に配置されることを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の眼鏡装着型表示装置において、
前記筐体の上面部の屈曲点は、前記眼鏡のヒンジ部よりも耳側であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置において、
前記筐体の前記第2の部分の少なくとも一部は、ヒトの平均的な瞳孔径サイズである4mmよりも薄くなっていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置において、
前記筐体内部には電気基板が内蔵され、前記電気基板は前記筐体に収まる屈曲形状であることを特徴とするものである。
【0020】
請求項14に係る発明は、請求項1から13のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置において、
前記筐体の前記第1の部分は、前記眼鏡のテンプル部に対して2箇所以上で固定されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、筐体を眼鏡の左右方向(側面)から見たとき、第1の部分に対して前記第2の部分が下方向に傾斜しているので装着者が見やすい位置に表示画像を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る眼鏡装着型表示装置を眼鏡に装着した状態を示す図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は上面図である。
【図2】装着者が頭部に装着した状態における、図1の眼鏡装着型表示装置と眼球との位置関係を示す図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は上面図である。
【図3】本体部の筐体に内蔵された電気基板および導光部内の接眼光学部を眼球の位置とともに示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
本発明の実施の形態に係る眼鏡装着型表示装置を眼鏡に装着した状態を示す図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は上面図である。なお、以下の説明において、前、後、上、下、右、左とは、眼鏡装着型表示装置を装着者の頭部に装着した状態で、装着者からみた前、後、上、下、右、左の各方向を意味するものとする。したがって、前後方向とは、眼鏡の略テンプルに沿う方向(いわゆる正面方向)であり、左右方向とは眼鏡の左右のヒンジを結ぶ方向(いわゆる側方)である。
【0025】
図1(a)および図1(b)に示すように、眼鏡装着型表示装置1は、右眼に画像を表示するタイプのものであり、棒状の本体部3aと棒状の導光部3bとから構成される筐体3を備える。
【0026】
本体部3aの一方の側面には、眼鏡10のテンプル10aに取り付けるための、2つの固定部2aおよび2bが設けられている。固定部2aは、本体部3aの長手方向(延在方向)の後端部付近に配置され、固定部2bは本体部3aの長手方向の中央付近に配置される。これら固定部2aおよび2bには溝が形成されており、この溝に眼鏡10のテンプル部10aを挟み込むことにより、眼鏡装着型表示装置1がテンプル10aに対して固定される。このように、2箇所で固定することにより、眼鏡装着型表示装置1が安定して支持される。
【0027】
図1(a)に示すように、眼鏡10に取り付けた状態で、本体部3aの後側部分はテンプル10aに沿うように、好ましくは、長手方向がテンプル10aと略平行に配置される。中心線をテンプル10aと略平行としたことにより、2箇所以上での支持が容易となり、眼鏡装着型表示装置1を眼鏡10に強固に固定することができる。一方、本体部3aの前側部分は斜め下方向に傾斜している。本体部3aの後側に位置する中心線がテンプルに沿う部分を第1の部分4aと呼ぶ。
【0028】
本体部3aは、画像を表示するための表示パネル7と表示パネル7を駆動するための電気回路の電気基板6を備える(図3参照)。表示パネル7は、本体部3aの先端部付近に配置される。表示パネル7と電気基板6については、図3を用いて後述する。
【0029】
導光部3bは、表示パネル7からの表示画像を、装着者の眼球11の前方に導光して、画像光射出部5から眼球11に向けて射出する。このため、導光部3bは、本体部3aの前方の先端部から、眼鏡10のレンズ10cのレンズ面に沿ってレンズ10cの前側に延在する。図1(a)に示すように、左右方向(側方)から見た場合、導光部3bは本体部3aの前側の屈曲部分と直線的に接続されている。このため、画像光射出部5は、レンズ10cの中央よりやや下側で、レンズ10cの表面に対向する。本体部3aの斜め下方に傾斜した前側部分と、導光部3bとは、第2の部分4bを構成する。
【0030】
第1の部分4aと第2の部分4bは1つの筐体によって構成されており、その傾斜部は固定されているため、調整することなく安定して常に見やすい位置に画像を表示させることができる。また、稼動部がないために複雑な機構を必要とせず、小型で破損しづらい装置とすることができる。
【0031】
また、図1(a)に示すように、筐体3を眼鏡の左右方向である側面から見たとき、第1の部分4aは眼鏡10のテンプル10aが隠れる位置に位置し、第2の部分4bは、眼鏡装着型表示装置のヨロイ10dの下側に位置する。眼鏡装着型表示装置1を、眼鏡10に対して、第1の部分がテンプル10aを隠すように固定することによって、眼鏡装着型表示装置1を眼鏡10に対してより強固に固定することができ、装置全体を小さく見せることができる。また、筐体3の第2の部分4bをヨロイ部が上に見える位置に配置することで、表示画像を見やすい位置に表示し、ヨロイ4dやリム4eとの干渉を避けることができる。
【0032】
さらに、筐体3の第1の部分4aの上面部と第2の部分4bの上面部との間の屈曲点Pは、眼鏡10のヒンジ部10bよりも耳側にある。このような構成とすることにより、筐体3と眼鏡10のヨロイ10dとの干渉を避けることができる。
【0033】
以下、第1の部分4aの中心線を含み、眼鏡の左右方向に平行な面を第1の平面Sとする。第1の平面Sは、筐体3の第1の部分4aの中心線を含む水平面となる。また、第2の部分4b、すなわち本体部3aの前側から導光部3bのレンズの前側に延在する部分の中心線を含み、眼鏡の左右方向に平行な面を第2の平面Sとする。なお、中心線とは、筐体の長手方向(延在方向)の各位置で、長手方向に垂直な各断面の中心(断面形状の重心)位置を繋いだ線である。第2の平面Sは、図1(a)の紙面に対して垂直で装着者から見たとき前方が斜め下方向に傾いた面となる。第2の平面は第1の平面に対して5度から20度傾いている。
【0034】
さらに、眼鏡10に装着した状態で、第1の平面Sと前記第2の平面Sとは、眼鏡10のレンズ10cよりも眼球側の点Pで交差する。このようにすることによって、第1の部分4aが眼鏡のテンプルの高さと略一致する高さとなり、テンプルへの固定がし易い一方、眼鏡のリム部10eとヨロイ10dとを接続する部分では、筐体3がそれらの下側を通るので眼鏡10と筐体3との干渉を避けることができる。
【0035】
また、筐体3の第1の部分4aの寸法は、第1の平面Sに対して垂直な方向よりも第1の平面Sに対して平行な方向に薄く、筐体3の導光部3bの寸法は、第2の平面Sに対して平行な方向よりも垂直な方向に薄い。筐体3の後方の第1の部分4aを薄くすることにより、横方向の出っ張りの少ない目立たない形状とする一方、筐体3前方の導光部3bを垂直方向に薄くすることによって、装着者の視界を極力遮らないようにすることができる。
【0036】
特に、導光部4bの画像光射出部5が設けられた部分の第2の平面Sに垂直方向の厚さdは、ヒトの平均的な瞳孔径サイズである4mmよりも薄くなっている。画像射出部5をヒトの瞳孔径よりも薄くすることにより、シースルー効果が得られる。すなわち、眼鏡装着型表示装置1の装着者は、表示パネル7の表示画像と、背景視野とを重ねあわせた画像を観察することができる。
【0037】
また、筐体3の第2の部分4bの第2の平面Sに対して垂直な方向における寸法は、第1の部分4aの第1の平面Sに対して垂直な方向における寸法よりも小さい。こうすることによって、第2の部分4bの第2の平面Sに対して垂直な方向における寸法を、第1の部分4aの第1の平面Sに対して垂直な方向における寸法と同等かそれ以上としたときに比べ、眼鏡10のリム部10e、ヨロイ10dとの干渉を防ぎ、且つ、装着者の視野内で筐体3により生じる死角を少なくすることができる。
【0038】
図2は、装着者が頭部に装着した状態における、図1の眼鏡装着型表示装置と眼球との位置関係を示す図であり、図2(a)は眼球11側から見た側面図、図2(b)は上面図である。
【0039】
図2(a)に示すように、第2の平面Sは、眼鏡10に装着した状態で、装着者の眼球11の中心11aを通る。したがって、導光部3bに内蔵される接眼光学部の光軸を装着者の略眼球中心11aに一致させることができる。これによって、装置の小型化が図れると共に、装着者にとって最も見やすい位置に表示画像を表示することができる。
【0040】
第2の部分4bの第1の部分4aに対する好適な傾斜角は以下のように定めることができる。まず、眼鏡レンズの傾斜は、約5〜10度とすることが一般的であり、その角度に合わせた傾斜角とすることができる。また、VDT作業等で推奨されるパソコンモニター画面の視線位置は、下方10〜15度程度といわれており、その位置に合わせることで疲れにくい画像表示を提供することも可能である。また、常時見続けない用途、外界視界を優先する場合には、例えば常時装着して使用していて、時折メールの着信を短時間で確認するような場合では、15〜20度程度が好ましい。いずれも、水平方向に対して、下方側に傾斜していることで、見易く使い易い表示画像を提供することが可能である。つまり、第1の平面Sと第2の平面Sとの成す角を5〜20度とすることで、見易く使い易い表示画像を提供することが可能である。
【0041】
図3は、本体部の筐体に内蔵された電気基板および本体部から画像射出部に到る接眼光学部を眼球の位置とともに示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は上面図である。
【0042】
図3(a),(b)に示すように、筐体3には、電気基板6と、表示パネル7と、第1の導光部材21、第2の導光部材22および接眼レンズ23を含む接眼光学部20とが内蔵されている。電気基板6と表示パネル7は、筐体3の本体部3aの内部に配置され、コネクタ8、フレキシブルケーブル9を介して接続されている。
【0043】
電気基板6は、無線または有線により外部のコンピュータ機器と接続され、画像表示のためのデータを受信し、コネクタ8およびフレキシブルケーブル9を介して、表示する表示画像の画像信号を表示パネル7に出力する。電気基板6は、本体部3aの第1の部分4aから第2の部分4bにかけて延在し、第1の部分4aと第2の部分4bとの間の屈曲に対応した屈曲形状を有する。これにより、小型化および組み立て性向上等の効果が得られる。
【0044】
表示パネル7は矩形形状を有し、第2の部分4bであって電気基板6の先端付近に、電気基板6の表面上に沿って配置されている。表示パネル7の各辺は、電気基板6の屈曲に対応して、第1の平面Sに対して傾いている。一方、表示パネル7は、第2の平面Sに対しては垂直かつ、矩形形状を成す4辺のうちの平行な2辺が第2の平面Sに沿う方向となっている。
【0045】
一方、接眼光学部を構成する第1の導光部材21、第2の導光部材22および接眼レンズ23は、第2の部分に位置する本体部3a内から導光部3b内に延在する。すなわち、接眼光学部は、第2の部分に保持される。
【0046】
第1の導光部材21は、光透過性の高い樹脂材料またはガラス材料により構成され、第2の平面Sに垂直な第1面21a、第2面21b、第3面21cおよび第4面21dと、第2の平面Sを等距離に挟んで第2の平面Sに平行な第5面21eおよび第6面21fとの6面を有する6面体プリズムである。第1面21aと第2面21bは、略平行な面である。第2面21bは、表示パネル7に沿う面であり、表示パネル7と隣接して対向し、表示パネル7の表示画像の画像光が入射する入射部21gを有している。第三面21cは第1面21aと第2面21bとの間で後方に位置する反射面であり、第2面21bとの間で鋭角を成している。第4面21dは、第1面21aと第2面21bとの間で前方に位置する面である。
【0047】
第2の導光部材22は、光透過性の高い樹脂材料またはガラス材料により構成され、第2の平面Sに垂直な第1面22a、第2面22b、第3面22cおよび第4面22dと、第2の平面Sを等距離に挟んで第2の平面Sに平行または22c面側よりも22d面側が細くなるテーパー形状を形成する第5面22eおよび第6面22fとの6面を有する棒状の6面体プリズムである。第1面22aは、第1の導光部材21の第4面21dに対向し、第4面21dに略平行な平面である。また、第2面22bは第1面22aよりも前方に位置する第1面22aに平行な反射面である。第3面22cと第4面22dとは、第1面22aと第2面22bとの間であって、それぞれ本体部3a側と接眼レンズ23側に設けられている反射面であり、第1面22aと鋭角を成している。また、第1面22aは、第1の導光部材21の第4面21dに対向して隣接する入射部22gと、導光部3bの先端部に配設された後述する接眼レンズ23の入射面23aに対向する出射部22hを有する。
【0048】
接眼レンズ23は、正の屈折力を有するレンズであり、第2の導光部材22の出射部22hに対向する平面である入射面23aと、凸面である出射面23bを有する。画像光射出部5は、接眼レンズ23により構成される。なお第2の導光部材22の出射部22hと接眼レンズ23の入射面23との間はエアギャップとなっている。
【0049】
また、第1の導光部材21の第5面21eと第6面21fとの間および第2の導光部材22の第5面22eと第6面22fとの間は、表示パネル7の上下方向の幅に同等または若干広い距離だけ離間している。さらに、第5面22eと第6面22fは接眼レンズ23側に向かって細くすることで接眼レンズ近傍の導光部材22の上下方向の幅は表示パネル7の上下方向の幅よりも小さくすることができる。同様に接眼レンズ23の上下方向の幅は表示パネル7の上下方向の幅よりも小さくすることができる。さらに、これら第1の導光部材21、第2の導光部材22および接眼レンズ23の光軸経路は、第2の平面Sに一致するように構成される。
【0050】
以上のような接眼光学部20の構成により、表示パネル7の表示画像の画像光は、第1の導光部材21の入射部21gから、第1の導光部在21内に入射する。第1の導光部材21に入射した画像光は、第3面21cにより、前方に向けて反射され、第4面21dから出射される。
【0051】
第1の導光部材21の第4面21dを出射した画像光は、エアギャップ24を介して、第1面22aの本体部3a側に位置する入射部23gから第2の導光部材22に入射する。入射部23gから入射した画像光は、第3面22cにより第1面22aおよび第2面22bに対して傾きを有する方向に反射される。これにより、第3面22cにより反射された画像光は、第1面22a、第2面22b、第1面22aの順に順次第2導光部材内で反射され、導光部3bの先端に位置する画像光射出部5の近くまで導光される。その後、画像光は、第4面22dで反射され、第1面22aの出射部22hから出射される。このように、第2の導光部材22の内部で5回反射させる構成とすることにより、第2の導光部材22の前方への奥行きを小さくすることができる。
【0052】
第2の導光部材22の出射部22hを出射した画像光は、エアギャップ25を介して、接眼レンズ23の入射面23aに入射し、出射面23bで屈折され、眼球中心11aへ向けて出射される。なお、導光部材22の出射部22hと接眼レンズ23の入射面23aとの間のエアギャップは、入射面23aの手前で第2面22bで反射されて来た画像光の一部が、第1面22aで反射されることなく、直接接眼レンズ23に入射することを抑制する。
【0053】
以上のように、表示パネル7からの画像光は、導光部3b内の接眼光学部20で第2の平面Sに垂直な面でのみ反射され、光軸経路が第2の平面S上に沿って装着者の眼球11に入射する。このため、表示パネル7の表示画像は、傾きの無い画像として観察される。このように、傾斜した第2の部分4bとその導光部3b内の接眼光学部20に合わせて表示パネル7を傾斜させることにより、装着者の視野内で表示画面が傾いて見えることなく、適切な向きで見やすい画像を提供することが容易となる。
【0054】
また、第2の平面と接眼光学部の光軸経路からなる面とが一致するので、表示画像が装着者の視野内の見やすい位置に表示される。
【0055】
さらに、導光部材22の接眼レンズ23側および接眼レンズ23は表示パネル7の上下方向の幅よりも小さくなっており、人間の平均的な瞳孔径である4mmよりも小さな上下幅とすることでシースルー効果が得られる。
【0056】
なお、表示パネル7は、電気基板6の前側に表示パネル7の表面を電気基板6の表面に垂直にして、すなわち、表示パネル7を前方斜め下方向に向けて、配置することも可能である。本実施の形態では、電気基板6上に電気基板6に沿うように配置することにより、本体部3aの厚みをより薄くしている。
【0057】
また、電気基板6に対して、表示パネル7は左右面どちらでも配置可能な構造とする。すなわち、図3(b)に示すように、電気基板6上には左眼用のコネクタ8’が、コネクタ8とは反対側の面に設けられており、左眼用の眼鏡装着型表示装置では、これにフレキシブルケーブル9’および表示パネル7’を取り付ける。このように、同一の基板を左右何れの眼用の眼鏡装着型表示装置にも適用できるようにして、コストを低減することができる。
【0058】
以上のような構成によって、筐体3の第1の部分4a(本体部3aの後側)は、眼鏡10のテンプル10aに、2箇所の固定部により固定される。さらに、筐体3の第2の部分4bは、下方向に傾斜しているので、電気基板6の画像信号により表示パネル7に表示された表示画像は、導光部3bを介して、眼球11の正面より下方から入射する。これによって、装着者の視界には水平視線よりも5〜20度下方に表示画像が表示される。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、眼鏡装着型表示装置は横方向に見たとき、第1の部分に対して前記第2の部分が下方向に傾斜しているので装着者が見やすい位置に表示画像を提示することができる。
【0060】
また、眼鏡装着型表示装置は、棒状の本体部の第1の部分を、眼鏡テンプルに平行に2点で支持するようにしたので、眼鏡に対して安定して強固に固定することができる。
【0061】
さらに、眼鏡装着型表示装置は、第1の部分の上面部と第2の部分の上面部との屈曲点が、眼鏡のヒンジ部よりも耳側になるように構成し、第2の部分を眼鏡のヨロイが上に見える位置に配置し、第1の平面と第2の平面との交差する部分を眼鏡のレンズよりも眼球側の点となるように構成したので、テンプルへの固定がし易い一方、眼鏡のヨロイやリムなどとの干渉を避けることができる。
【0062】
また、第2の平面が装着者の眼球の中心を通り、表示パネルの平行な2辺が第2の平面に沿う方向であり、接眼光学部の光軸経路が第2の平面と一致するので、表示パネルの画像は装着者の視野内に傾きがなく、見易い画像として表示される。
【0063】
さらに、第2の部分の接眼光学部を、光透過性の高い樹脂材料またはガラス材料により構成された小型の導光部材を用いて構成したので、第2の部分を安定して支えることができ、且つ、装置全体を小型で軽量に構成することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。たとえば、上記の実施の形態では、右眼用の眼鏡装着型表示装置について説明したが、左眼用の眼鏡装着型表示装置も同様に構成することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 眼鏡装着型表示装置
2a,2b 固定部
3 筐体
3a 本体部
3b 導光部
4a 第1の部分
4b 第2の部分
5 画像光射出部
6 電気基板
7 表示パネル
8 コネクタ
9 フレキシブルケーブル
10 眼鏡
10a テンプル
10b ヒンジ
10c レンズ
10d ヨロイ
11 眼球
11a 眼球中心
20 接眼光学部
21 第1の導光部材
21a 第1面
21b 第2面
21c 第3面
21d 第4面
21e 第5面
21f 第6面
21g 入射部
22 第2の導光部材
22a 第1面
22b 第2面
22c 第3面
22d 第4面
22e 第5面
22f 第6面
22g 入射部
22h 出射部
23 接眼レンズ
23a 入射面
23b 出射面
24,25 エアギャップ
S1 第1の平面
S2 第2の平面
P1 上側屈曲点
P2 交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡に装着された状態で一方のテンプルに支持され、該テンプルに沿って延在する第1の部分と、表示すべき画像の画像光を眼球に向けて射出するための画像光射出部を先端部に有し、前記第1の部分の前方から前記眼鏡の対応するレンズに沿い該レンズの前方に延在する第2の部分とを含む筐体を備え、
該筐体は、前記眼鏡の左右方向である側面から見たとき、前記第1の部分に対して前記第2の部分が下方向に傾斜していることを特徴とする眼鏡装着型表示装置。
【請求項2】
前記第1の部分は、延在方向が前記眼鏡のテンプルに略平行となるように支持されることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項3】
眼鏡に装着された状態で、前記第1の部分の延在方向に沿う中心線を含み、前記眼鏡の左右方向に平行な面を第1の平面とし、前記第2の部分の延在方向に沿う中心線を含み前記眼鏡の左右方向に平行な面を第2の平面とするとき、前記第2の平面は前記第1の平面に対して5度から20度傾いていることを特徴とする請求項1または2に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項4】
眼鏡に装着した状態で、前記第1の平面と前記第2の平面とは、前記眼鏡のレンズよりも眼球側で交差することを特徴する請求項3に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項5】
前記第2の平面は、眼鏡に装着した状態で、装着者の眼球中心を通ることを特徴とする請求項3または4に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項6】
前記筐体の前記第2の部分は接眼光学部を保持し、前記第2の平面は、前記接眼光学部の光軸経路からなる面と一致することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項7】
前記筐体の前記第1の部分は、前記第1の平面に対して平行な方向における寸法が、前記第1の平面に対して垂直な方向における寸法よりも小さく、前記筐体の前記第2の部分は、前記第2の平面に対して垂直な方向における寸法が、前記第2の平面に対して水平な方向における寸法よりも小さいことを特徴とする請求項3から6の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項8】
前記筐体の前記第2の部分の前記第2の平面に対して垂直な方向における寸法は、前記第1の部分の前記第1の平面に対して垂直な方向における寸法よりも小さいことを特徴とする請求項3から7の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項9】
前記筐体の前記第2の部分の内部には表示パネルが内蔵されており、前記表示パネルの少なくとも2辺は第1の平面に対して傾いており、かつ、前記第2の平面に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項3から8の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記眼鏡の左右方向である側面から見たとき、前記第1の部分は眼鏡のテンプルが隠れる位置に配置され、前記第2の部分は眼鏡のヨロイ部が上に見える位置に配置されることを特徴とする請求項1から9の何れか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項11】
前記筐体の上面部の屈曲点は、前記眼鏡のヒンジ部よりも耳側であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の眼鏡装着型表示装置。
【請求項12】
前記筐体の前記第2の部分の少なくとも一部は、ヒトの平均的な瞳孔径サイズである4mmよりも薄くなっていることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項13】
前記筐体内部には電気基板が内蔵され、前記電気基板は前記筐体に収まる屈曲形状であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項14】
前記筐体の前記第1の部分は、前記眼鏡のテンプル部に対して2箇所以上で固定されることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の頭部装着型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−65193(P2012−65193A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208469(P2010−208469)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】