着色アップリケを備えたタイヤ
本発明は、タイヤ(10)であって、タイヤは、転動面を備えたトレッド(40)と、トレッドに形成された少なくとも1つの凹部(90)とを有し、凹部は、転動面上に開口し、凹部は、底壁(91)及びただ1つの側壁(92)によって画定され、タイヤは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケ(100;1001,1002)を更に有し、アップリケは、アップリケの黒色以外の色の部分がトレッドの外側に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるように凹部内に挿入されると共に接着剤(110)によって底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定されていることを特徴とするタイヤに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のタイヤに関する。本発明は、特に、外面に貼り付けられた装飾用アップリケを有するタイヤ及びタイヤを装飾し又はカスタマイズする(自分好みにする)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのサイドウォールに装飾用アップリケ及び/又はタイヤに関する情報を提供するアップリケを提供する手法が周知である。米国特許第2188866号明細書に示されているように、ゴムへの貼り付け用に設計された転写図(又は「図柄」)の使用が遙か1940年にさかのぼって提案された。米国特許第4461795号明細書は、タイヤのサイドウォールへの特に文字の形態のアップリケの結合手段を教示している。同じ原理は、米国特許第5300164号明細書において利用されている。米国特許第5904794号明細書に教示されているように熱加硫可能な着色インクを用いることも又先行技術である。多大な技術的努力がタイヤのサイドウォール上でのバーコードの表示に傾注された。米国特許第5824397号明細書の発明は、この一例である。
【0003】
多くの特許文献がタイヤのサイドウォール上における装飾及び/又は情報の表現を記載しているが、タイヤのトレッド上における装飾及び情報の表現を記載している特許文献は殆どない。これは、1つには、トレッドの特定の役割により説明でき、トレッドは、タイヤが転動している表面との接触を確立してこの接触状態を維持するためのものである。これは、車両のグリップ及びそれ故に車両のユーザの安全性にとって極めて重要なので、タイヤを装飾し又はカスタマイズし、或いはタイヤに関する情報をタイヤに印付ける手段をサイドウォールに制限することが好ましい場合が多い。
【0004】
それにもかかわらず、2つの例外に注目することができる。第1に、部分的に又は全体的に着色されているトレッドを備えたタイヤを提供する試みがなされている。一例は、米国特許出願公開第2002/0144761号明細書であり、この米国特許出願公開明細書は、着色サイドウォール及び着色溝を備えたトレッドを有するタイヤを記載している。部分的に着色されたトレッドを備えるタイヤは、ミシュラン(Michelin)社によってCoraldoという商標名で市販されている。この種のタイヤでは、装飾的外観がタイヤの性能を低下させることはない。というのは、トレッド自体は、着色材料で作られ、従って、装飾的効果は、トレッドの構造又は機能を変えないで得られるからである。しかしながら、装飾効果を得る場合には製造プロセスの複雑さを大幅に増大させるという犠牲を払わなければならない。とうのは、互いに異なる着色材料を作って張り付けなければならないからである。したがって、これら技術は、タイヤのユーザに自分のタイヤをカスタマイズすると共に自分自身の個人的趣味に合わせて装飾的効果を作る機会を提供するためには不適切である。
【0005】
第2の例外は、タイヤのサイドウォールとは異なり、トレッドがタイヤの寿命全体にわたって相当に摩耗するよう設計されている場合である。摩耗度が、特に濡れた表面上におけるタイヤの性能を損なうほど大きくならないようにするのに役立つ手段として、摩耗標識がトレッド内に設けられている。着色ゴムコンパウンドの使用が想定される場合が多く、例えば、仏国特許第1480472号明細書は、タイヤの色とコントラストをなし、トレッドの摩耗許容限度に達したときに見えるようになる着色材料を含むトレッドを提供している。仏国特許第797713号明細書は、トレッド内でのゴムのブロックの加硫を教示しており、ブロックは、互いに異なる色の2つの部分に斜めに分割される。トレッドが摩耗すると、表面上に見える色の分布が変化し、即ち、ブロックの目に見える部分が色を完全に変えると、タイヤを交換しなければならない。米国特許第4226274号明細書は、同一原理の利用のより最近の例を示している。
【0006】
これら特許文献の全てにおいて、着色要素は、トレッド中に加硫される。その目的は、タイヤが路面上で転動しているときにトレッド要素の全ての受ける高い応力及び相当な加熱に耐えることにある。接着剤による結合方式は、結合部分が短い使用期間後に剥がれる恐れがあるので、これまで決して考えられていなかったように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2188866号明細書
【特許文献2】米国特許第4461795号明細書
【特許文献3】米国特許第5300164号明細書
【特許文献4】米国特許第5904794号明細書
【特許文献5】米国特許第5824397号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0144761号明細書
【特許文献7】仏国特許第1480472号明細書
【特許文献8】仏国特許第797713号明細書
【特許文献9】米国特許第4226274号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的のうちの1つは、タイヤのユーザにタイヤをカスタマイズし又は装飾する簡単な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、転動面を備えたトレッドを有するタイヤの装飾方法であって、次のステップ、即ち、
(A)トレッドに設けられた凹部を用意するステップを有し、凹部は、転動面上に開口しており、凹部は、底壁及びただ1つの側壁によって画定され、
(B)黒色以外の色の少なくとも一部分を備えたアップリケを凹部内に貼り付けるステップを有し、
(C)アップリケの黒色以外の色の部分がトレッドの外部に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるようにアップリケを接着剤によって凹部の底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定するステップを有することを特徴とする方法に関する本発明の一観点に従って達成される。
【0010】
底壁及び側壁は、必ずしも、互いに別個独立のものである必要はなく、これらを合体させても良いことは注目されるべきである。例えば、半球形の凹部内において、同一の壁が底壁と側壁の両方を形成する。
【0011】
考慮対象の凹部が側壁を1つしか備えていないということにより、溝が2つの側壁を有する場合、これら溝が上述の意味での凹部であるとは考えられない。
【0012】
当業者であれば理解されるように、「黒色以外」の色という記載を選択した理由は、タイヤトレッドがほぼ間違いなく黒色であるからである。本発明を黒色以外の或る特定の色をもつトレッドに対して実施すべき場合、アップリケは、この色以外の色の少なくとも一部分を備えなければならない。
【0013】
本発明の方法により、製造方法を複雑にしないで着色デザインで装飾されたタイヤを得ることが可能である。
【0014】
本発明の別の観点は、タイヤであって、タイヤは、転動面を備えたトレッドと、トレッドに形成された少なくとも1つの凹部とを有し、凹部は、転動面上に開口し、凹部は、底壁及びただ1つの側壁によって画定され、タイヤは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケを更に有し、アップリケは、アップリケの黒色以外の色の部分がトレッドの外側に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるように凹部内に挿入されると共に接着剤によって底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定されていることを特徴とするタイヤに関する。
【0015】
本出願人は、驚くべきことに、しかも予想とは逆に、タイヤのかかる凹部内に接着剤により結合されたアップリケは、トレッドの受ける応力に対して良好な耐性を示すことを発見した。
【0016】
有利な一実施形態によれば、アップリケは、底壁の少なくとも一部分に固定される。このアップリケは、好ましくは、底壁の表面の少なくとも80%を覆う。
【0017】
装飾は、アップリケが転動面の外側に突き出ていない場合に応力に対して良好に抵抗する。アップリケの寿命は、アップリケが転動面の完全に半径方向内側に位置するのに十分凹部が深い場合、即ち、アップリケの半径方向最も外側の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置している場合に最も長い。
【0018】
凹部を多くの互いに異なる仕方で、特にタイヤがモールド内で加硫される場合に成形によって作ることができ、この場合、凹部を作らなければならないのは、タイヤ製造業者である。別法として、加硫済みタイヤを穴あけし又はフライス加工することによって凹部を作ることができ、これは、エンドユーザが自分の装飾したいと思っているトレッド上の場所にアップリケを追加するという可能性をもたらす。
【0019】
好ましい一実施形態によれば、凹部の側壁は、閉鎖された(閉じられた)表面である。本明細書における説明の範囲内において、タイヤが新品である場合にトレッドの転動面との側壁の交差部が閉じられた曲線であり、即ち、端点のない曲線である場合に「閉鎖表面(closed surface)」であると考えられる。これとは対照的に、凹部の側壁は、タイヤが新品である場合にトレッドの転動面との側壁の交差部が開いた曲線であり、即ち、2つの端点を備えた曲線である場合に「開放(開かれた)表面(open surface)」であると考えられる。凹部の側壁が閉鎖表面である場合、アップリケは、タイヤから剥がれないよう特に良好に保護される。
【0020】
タイヤの側壁が閉鎖表面であるかどうかを判定する場合、凹部中に開口したサイプは無視されるべきである。事実上、凹部の側壁が閉鎖表面であり、アップリケの半径方向最も外側の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置している場合、凹部を包囲している転動面がタイヤの転動している路面と接触した場合に凹部の容積部内に閉じこめられた空気を逃がすことができるサイプを提供することが有利である。これは、特に、タイヤが転動しているときにタイヤによって生じる騒音の観点において有利である。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、凹部の側壁は、疑似閉鎖表面である。凹部の側壁は、タイヤが新品である場合にタイヤの転動面との側壁の交差部が開放曲線であり、即ち、2つの端点C1,C2を備えた曲線であり且つ端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lの長さが直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離よりも短い場合に「疑似閉鎖表面(quasi-closed surface)」であると考えられる。側壁が疑似閉鎖である凹部は、アップリケを依然として保護する。というのは、側壁が凹部の側方開口部に向かって幅が狭くなっていることにより、アップリケが開口部中に変位しないようになるからである。
【0022】
好ましくは、端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lの長さは、直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離の50%よりも小さく、より好ましくは、直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離の20%未満である。
【0023】
本発明の別の観点は、本明細書において開示する方法に従ってタイヤを装飾するキットであって、キットは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケを含み、アップリケは、タイヤトレッドに設けられた凹部内に挿入されるよう設計されており、凹部は、転動面上に開口し、凹部は、底壁及び側壁によって画定され、キットは、アップリケを凹部の底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定するのに適した接着剤を更に含むことを特徴とするキットに関する。
【0024】
キットは、好ましくは、少なくとも本発明の実施形態の方法のステップ(B)及びステップ(C)(上述した)に関する1組の説明書を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】先行技術のモーターサイクル用タイヤの略図である。
【図2】先行技術のモーターサイクル用タイヤの略図である。
【図3】先行技術のモーターサイクル用タイヤの概略半径方向断面図である。
【図4】本発明の実施形態としてのタイヤのトレッドの概略平面図である。
【図5】図4に示されたタイヤの一部の概略半径方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態としてのタイヤのトレッドの概略平面図である。
【図7】図6に示されたタイヤの一部の概略半径方向断面図である。
【図8】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図9】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図10】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図11】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図12】本発明の実施形態としてのタイヤの略図である。
【図13】本発明の実施形態としてのタイヤの略図である。
【図14】本発明の実施形態に従ってタイヤを有するトレッドブロックの斜視図である。
【図15】疑似閉鎖表面である側壁を備えた凹部を示す図である。
【図16】疑似閉鎖表面である側壁を備えた凹部を示す図である。
【図17】本発明の実施形態としてのタイヤの一部の概略周方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
「半径方向」という用語を用いる際、当業者の間で用いられるこの言葉の数種類の異なる使い方を区別することが重要である。まず第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点(箇所)P1が点P2よりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点P1は、点P2の「半径方向内側」に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P3が点P4よりもタイヤの回転軸線から見て遠くに位置する場合、点P3は、点P4の「半径方向外側」に位置すると呼ばれる。半径方向距離について説明している場合、かかる用語についてもこの意味が当てはまる。「半径方向内側(又は外側)に向かって」という表現は、小さくなっていく(大きくなっていく)半径に向かうことを意味する。かかる用語のこの意味は、半径方向距離について説明する場合にも当てはまる。
【0027】
しかしながら、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。注目されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、最も広い意味に解されなければならず、細線は、細線の構成材料又はゴムとのその結合性を促進するために実施される表面処理とは無関係に、モノフィラメント、マルチフィラメント、コード、ヤーン(糸)又はこれらと同等の集成体の形態をした細線を含む。
【0028】
最後に、「半径方向断面」という用語は、タイヤの回転軸線を含む平面に沿って取った断面を意味している。
【0029】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点P5が点P6よりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点P5は、点P6の「軸方向内側」に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P7が点P8よりもタイヤの中間平面から見て遠くに位置する場合、点P7は、点P8の「軸方向外側」に位置すると呼ばれる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0030】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。「周方向断面」は、タイヤの回転軸線に垂直な平面で取った断面である。
【0031】
「転動面」は、本明細書では、タイヤが転動しているときに路面に接触するタイヤのトレッド上の全ての点を意味している。
【0032】
「ゴムコンパウンド」という表現は、少なくともエラストマー及び充填剤を含む配合ゴムを意味している。
【0033】
図1及び図2は、先行技術のタイヤ10、この場合モーターサイクル用タイヤの略図である。タイヤ10は、クラウン補強材(図1では見えない)を備えたクラウンを有し、クラウン補強材の頂部にはトレッド40が設けられ、他方、2つのサイドウォール30がクラウンから半径方向内方に延び、2つのビード20がサイドウォール30の半径方向内側に位置している。トレッド40は、複数本の溝50を有する。タイヤの回転軸線70も又図2に示されており、図2は、タイヤを平面図で示している。
【0034】
図3は、先行技術のタイヤ10、この場合も又モーターサイクル用タイヤの半部の概略半径方向断面図である。タイヤ10は、ホイールリム(図示せず)に接触するよう設計された2つのビード20を有し、各ビード20は、環状補強構造体、この場合ビードワイヤ25を有している。2つのサイドウォール30は、ビード20から半径方向外方に延び、そして少なくとも1枚の補強プライを備えたクラウン補強材45を有するクラウンに合体し、このクラウン補強材の頂部上にはトレッド40が半径方向に位置している。タイヤ10は、ビード20からサイドウォール30を通ってクラウンまで延びるカーカス補強材60を更に有している。カーカス補強材60は、ビードワイヤ25周りの折り返し部又は巻き上げ部によって2つのビード20の各々内に繋留されている。
【0035】
図4は、本発明の方法のステップ(B)及びステップ(C)の前後における本発明のタイヤ10のトレッドの概略平面図である。図5は、このタイヤ10の一部を図4に示された軸線I‐Iで取った半径方向断面で示している。
【0036】
特許請求の範囲に記載された方法のステップ(A)では、円筒形凹部90をトレッド40内に穴あけし又はフライス加工する。これは、タイヤ製造業者によって提供される説明書に従って且つ認可されたツールを用いて正規の且つ訓練を受けた作業員によって実施されなければならない。これは、トレッド表面のどのような改造であってもこれによりタイヤの摩耗、タイヤのグリップ及びタイヤによって生じる騒音に対して結果をもたらすのでなおさらそうである。いずれの場合においても、このステップを実施する人は、タイヤの寿命中に摩耗するトレッドの深さを超えて穴あけしてはならない。明らかなこととして、ドリルは、タイヤベルトに決して接触してはならない。したがって、安全上のマージンを常に観察する必要がある。凹部を開ける場合、タイヤは、タイヤをデフレートさせ又は極めて低い圧力に(0.3バール以下)にインフレートさせるべきである。
【0037】
穴あけは、標準型ドリル、例えば木材を穴あけするために用いられるドリルで実施されるのが良い。変形例として、グラインダ若しくはカッタ又は加熱状態のブレードを用いても良い。また、非常に高く加圧された(2000〜4000バール)水ジェット又はレーザビームを用いたアブレーションによって凹部を作ることが可能である。変形例として、タイヤをモールド内で加硫するときに円筒形凹部90をタイヤ中に成形しても良い。
【0038】
軸線80の左側に位置したトレッド40の半部は、タイヤを本発明の方法のステップ(A)後に見える状態で示しており、円筒形の凹部90がトレッド40に穴あけされている。各凹部90は、2つの壁、即ち、転動面上に開口した円筒形側壁92(図5参照)及び円形底壁91(図5参照)によって画定されている。凹部90の側壁92は、「閉鎖表面」であり、トレッドの転動面とのこの側壁の交差部は、円に近い。ステップ(B)では、アップリケ100、この場合、着色面(「スマイリー」(ニコニコマーク))を備えた筒体が凹部90内に配置される。アップリケ100は、底壁の表面の90%を覆い、それにより、アップリケを凹部90内に再現可能な仕方で配置するのが容易になる。ステップ(C)では、このアップリケを接着剤層110によって凹部の底壁91に固定し、その結果、軸線80の右側に位置するトレッド40の半部に示されているようにアップリケの着色面がトレッドの外側に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるようになる。
【0039】
図6及び図7は、本発明の別のタイヤ10を示している。このタイヤ10が成形されていたときに、凹部90がトレッドの中心に設けられた。これら特定の凹部90は、楕円形の断面を有している。凹部90の底部の全体を覆っていない薄いアップリケ100が図7で理解できるように凹部の底壁91に貼り付けられており、図7は、このタイヤ10の半部を図6に示されている軸線II‐IIで取った半径方向断面で示している。
【0040】
図8は、本発明の方法で用いられるよう設計された極めて簡単なアップリケ100を概略的に示している。この種のアップリケは、多くの材料、例えば弾性材料(シリコーン、ゴム等)、テキスタイル材料、軟質又は硬質マイクロフォーム材料、硬質材料(金属、PVC等)、皮革、ベルベット等で作製可能である。接着剤層110も又図示されている。
【0041】
多種多様な接着剤を用いることができ、例は、アクリル系接着剤(例えば、シアノアクリレート)、シリコーン系接着剤、ポリウレタン系接着剤(接触又は非接触)、ウレタン系接着剤、ラテックスを主成分とする接着剤、天然ゴムを主成分とする接着剤、ホットメルト接着剤、ナノプレン溶剤、ニトリル、SBR等である。
【0042】
当然のことながら、複合アップリケ、例えば図9に示されているアップリケを用いることも可能である。この図に示されているアップリケは、2つの層101,102を有している。例えば、フォーム層が剛性の層に取り付けられ、或いは着色層がトレッドの材料中に含まれている着色生成物の移動に対するバリヤとして働く層に取り付けられるのが良い。別の例は、或る特定の剛性を全体に与える内側ゴム層に取り付けられた再帰反射性ストリップ(例えば、3M(登録商標Scotcilite(登録商標)のストリップ)により形成された外側層である。
【0043】
図10は、別の複合アップリケを示すと共に本発明の方法がタイヤをカスタマイズしようと思っている人に与える優れた芸術的自由度を示している。図9のアップリケと同様、図10のアップリケは、2つの層を有する。内側層102は、構造的機能を有し、外側層101は、装飾的である。アップリケは、互いに異なる色の2つのデザイン121,122及び溝130を有している。接着剤層110も又図示されている。
【0044】
このアップリケは、当然のことながら、花の形をしていて中央穴を備えた図11に示されているアップリケ100の場合と同様、複雑な幾何学的形状を有するのが良い。
【0045】
図12及び図13は、本発明のタイヤを概略的に示すと共に本発明の方法により得ることができる多種多様な装飾的効果を示している。
【0046】
図12に示されているタイヤ10は、モーターサイクル用タイヤである。このタイヤは、周方向溝51及び一方の側がサイドウォール30上に開口した凹部52を有し、これら凹部の側壁は、疑似閉鎖表面である。アップリケ1002がこれら凹部内に結合されている。タイヤは、凹部90を更に有し、この凹部の側壁は、閉鎖表面である。アップリケ1001が凹部90の底壁に固定されている。
【0047】
本発明は、モーターサイクル用タイヤには何ら限定されない。図13は、乗用車用のタイヤを示しており、この場合、トレッドは多色アップリケ1001,1002を備えた複雑な幾何学的形状の数個の凹部90を有し、これら凹部は全て、閉鎖側壁92を有している。
【0048】
上述したように、凹部の側壁が閉鎖表面であるかどうかを判定する場合、凹部内に開口したサイプは無視されるべきである。換言すると、これは、サイドウォールが上記において定義されている「閉鎖表面」ではないと考えられるようにするサイプが存在するからというわけではない。当業者には周知であるように、かかるサイプは、代表的には、トレッドの転動面上のこれらの最も大きな寸法方向に垂直な方向に沿って測定して0.3〜1.5mmの幅を有する。かかるサイプの存在によって凹部内のアップリケの保護が損なわれるわけではなく、それどころか、このことは、積極的な効果を有する場合がある。この状況は、図14に示されており、この場合、2つのサイプ141,142がトレッドブロック41に設けられた凹部90内に開口している。凹部90を包囲している転動面がタイヤの転動する路面と接触したときにアップリケ100と路面との間で凹部内に閉じこめられた空気は、これらサイプ141,142を通って逃げ出ることができる。これは、タイヤが転動しているときにタイヤによって生じる騒音を考慮すると有利である。
【0049】
「疑似閉鎖」側壁を備えた凹部90の一例が図15に示されており、この図15は、トレッドブロック41の平面図である。凹部の側壁は、トレッドの転動面との交差部C(図16)を有している。交差部Cは、2つの端点C1,C2を備えた開放曲線である。これら端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lは、直線Lに平行に測定して任意の2つの交差点C相互間の最大距離Mの約40%である長さを有する。
【0050】
図4〜図7及び図12〜図14に示されたアップリケは、転動面から突き出ておらず、これらアップリケの厚さは、これらの半径方向最も外側の末端を形成する1つ又は複数の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置するようなものである。しかしながら、これは、図20に示されているように本発明の必須の特徴ではなく、図20は、本発明のタイヤのトレッドの一部を周方向断面で概略的に示している。トレッドは、フォームアップリケ100が結合される(接着剤層110が見える)凹部を有し、その結果、アップリケは、これが転動面と面一をなすまで凹部を満たしている。このように、アップリケは、トレッド40と一緒に摩耗する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のタイヤに関する。本発明は、特に、外面に貼り付けられた装飾用アップリケを有するタイヤ及びタイヤを装飾し又はカスタマイズする(自分好みにする)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤのサイドウォールに装飾用アップリケ及び/又はタイヤに関する情報を提供するアップリケを提供する手法が周知である。米国特許第2188866号明細書に示されているように、ゴムへの貼り付け用に設計された転写図(又は「図柄」)の使用が遙か1940年にさかのぼって提案された。米国特許第4461795号明細書は、タイヤのサイドウォールへの特に文字の形態のアップリケの結合手段を教示している。同じ原理は、米国特許第5300164号明細書において利用されている。米国特許第5904794号明細書に教示されているように熱加硫可能な着色インクを用いることも又先行技術である。多大な技術的努力がタイヤのサイドウォール上でのバーコードの表示に傾注された。米国特許第5824397号明細書の発明は、この一例である。
【0003】
多くの特許文献がタイヤのサイドウォール上における装飾及び/又は情報の表現を記載しているが、タイヤのトレッド上における装飾及び情報の表現を記載している特許文献は殆どない。これは、1つには、トレッドの特定の役割により説明でき、トレッドは、タイヤが転動している表面との接触を確立してこの接触状態を維持するためのものである。これは、車両のグリップ及びそれ故に車両のユーザの安全性にとって極めて重要なので、タイヤを装飾し又はカスタマイズし、或いはタイヤに関する情報をタイヤに印付ける手段をサイドウォールに制限することが好ましい場合が多い。
【0004】
それにもかかわらず、2つの例外に注目することができる。第1に、部分的に又は全体的に着色されているトレッドを備えたタイヤを提供する試みがなされている。一例は、米国特許出願公開第2002/0144761号明細書であり、この米国特許出願公開明細書は、着色サイドウォール及び着色溝を備えたトレッドを有するタイヤを記載している。部分的に着色されたトレッドを備えるタイヤは、ミシュラン(Michelin)社によってCoraldoという商標名で市販されている。この種のタイヤでは、装飾的外観がタイヤの性能を低下させることはない。というのは、トレッド自体は、着色材料で作られ、従って、装飾的効果は、トレッドの構造又は機能を変えないで得られるからである。しかしながら、装飾効果を得る場合には製造プロセスの複雑さを大幅に増大させるという犠牲を払わなければならない。とうのは、互いに異なる着色材料を作って張り付けなければならないからである。したがって、これら技術は、タイヤのユーザに自分のタイヤをカスタマイズすると共に自分自身の個人的趣味に合わせて装飾的効果を作る機会を提供するためには不適切である。
【0005】
第2の例外は、タイヤのサイドウォールとは異なり、トレッドがタイヤの寿命全体にわたって相当に摩耗するよう設計されている場合である。摩耗度が、特に濡れた表面上におけるタイヤの性能を損なうほど大きくならないようにするのに役立つ手段として、摩耗標識がトレッド内に設けられている。着色ゴムコンパウンドの使用が想定される場合が多く、例えば、仏国特許第1480472号明細書は、タイヤの色とコントラストをなし、トレッドの摩耗許容限度に達したときに見えるようになる着色材料を含むトレッドを提供している。仏国特許第797713号明細書は、トレッド内でのゴムのブロックの加硫を教示しており、ブロックは、互いに異なる色の2つの部分に斜めに分割される。トレッドが摩耗すると、表面上に見える色の分布が変化し、即ち、ブロックの目に見える部分が色を完全に変えると、タイヤを交換しなければならない。米国特許第4226274号明細書は、同一原理の利用のより最近の例を示している。
【0006】
これら特許文献の全てにおいて、着色要素は、トレッド中に加硫される。その目的は、タイヤが路面上で転動しているときにトレッド要素の全ての受ける高い応力及び相当な加熱に耐えることにある。接着剤による結合方式は、結合部分が短い使用期間後に剥がれる恐れがあるので、これまで決して考えられていなかったように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2188866号明細書
【特許文献2】米国特許第4461795号明細書
【特許文献3】米国特許第5300164号明細書
【特許文献4】米国特許第5904794号明細書
【特許文献5】米国特許第5824397号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0144761号明細書
【特許文献7】仏国特許第1480472号明細書
【特許文献8】仏国特許第797713号明細書
【特許文献9】米国特許第4226274号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的のうちの1つは、タイヤのユーザにタイヤをカスタマイズし又は装飾する簡単な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、転動面を備えたトレッドを有するタイヤの装飾方法であって、次のステップ、即ち、
(A)トレッドに設けられた凹部を用意するステップを有し、凹部は、転動面上に開口しており、凹部は、底壁及びただ1つの側壁によって画定され、
(B)黒色以外の色の少なくとも一部分を備えたアップリケを凹部内に貼り付けるステップを有し、
(C)アップリケの黒色以外の色の部分がトレッドの外部に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるようにアップリケを接着剤によって凹部の底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定するステップを有することを特徴とする方法に関する本発明の一観点に従って達成される。
【0010】
底壁及び側壁は、必ずしも、互いに別個独立のものである必要はなく、これらを合体させても良いことは注目されるべきである。例えば、半球形の凹部内において、同一の壁が底壁と側壁の両方を形成する。
【0011】
考慮対象の凹部が側壁を1つしか備えていないということにより、溝が2つの側壁を有する場合、これら溝が上述の意味での凹部であるとは考えられない。
【0012】
当業者であれば理解されるように、「黒色以外」の色という記載を選択した理由は、タイヤトレッドがほぼ間違いなく黒色であるからである。本発明を黒色以外の或る特定の色をもつトレッドに対して実施すべき場合、アップリケは、この色以外の色の少なくとも一部分を備えなければならない。
【0013】
本発明の方法により、製造方法を複雑にしないで着色デザインで装飾されたタイヤを得ることが可能である。
【0014】
本発明の別の観点は、タイヤであって、タイヤは、転動面を備えたトレッドと、トレッドに形成された少なくとも1つの凹部とを有し、凹部は、転動面上に開口し、凹部は、底壁及びただ1つの側壁によって画定され、タイヤは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケを更に有し、アップリケは、アップリケの黒色以外の色の部分がトレッドの外側に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるように凹部内に挿入されると共に接着剤によって底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定されていることを特徴とするタイヤに関する。
【0015】
本出願人は、驚くべきことに、しかも予想とは逆に、タイヤのかかる凹部内に接着剤により結合されたアップリケは、トレッドの受ける応力に対して良好な耐性を示すことを発見した。
【0016】
有利な一実施形態によれば、アップリケは、底壁の少なくとも一部分に固定される。このアップリケは、好ましくは、底壁の表面の少なくとも80%を覆う。
【0017】
装飾は、アップリケが転動面の外側に突き出ていない場合に応力に対して良好に抵抗する。アップリケの寿命は、アップリケが転動面の完全に半径方向内側に位置するのに十分凹部が深い場合、即ち、アップリケの半径方向最も外側の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置している場合に最も長い。
【0018】
凹部を多くの互いに異なる仕方で、特にタイヤがモールド内で加硫される場合に成形によって作ることができ、この場合、凹部を作らなければならないのは、タイヤ製造業者である。別法として、加硫済みタイヤを穴あけし又はフライス加工することによって凹部を作ることができ、これは、エンドユーザが自分の装飾したいと思っているトレッド上の場所にアップリケを追加するという可能性をもたらす。
【0019】
好ましい一実施形態によれば、凹部の側壁は、閉鎖された(閉じられた)表面である。本明細書における説明の範囲内において、タイヤが新品である場合にトレッドの転動面との側壁の交差部が閉じられた曲線であり、即ち、端点のない曲線である場合に「閉鎖表面(closed surface)」であると考えられる。これとは対照的に、凹部の側壁は、タイヤが新品である場合にトレッドの転動面との側壁の交差部が開いた曲線であり、即ち、2つの端点を備えた曲線である場合に「開放(開かれた)表面(open surface)」であると考えられる。凹部の側壁が閉鎖表面である場合、アップリケは、タイヤから剥がれないよう特に良好に保護される。
【0020】
タイヤの側壁が閉鎖表面であるかどうかを判定する場合、凹部中に開口したサイプは無視されるべきである。事実上、凹部の側壁が閉鎖表面であり、アップリケの半径方向最も外側の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置している場合、凹部を包囲している転動面がタイヤの転動している路面と接触した場合に凹部の容積部内に閉じこめられた空気を逃がすことができるサイプを提供することが有利である。これは、特に、タイヤが転動しているときにタイヤによって生じる騒音の観点において有利である。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、凹部の側壁は、疑似閉鎖表面である。凹部の側壁は、タイヤが新品である場合にタイヤの転動面との側壁の交差部が開放曲線であり、即ち、2つの端点C1,C2を備えた曲線であり且つ端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lの長さが直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離よりも短い場合に「疑似閉鎖表面(quasi-closed surface)」であると考えられる。側壁が疑似閉鎖である凹部は、アップリケを依然として保護する。というのは、側壁が凹部の側方開口部に向かって幅が狭くなっていることにより、アップリケが開口部中に変位しないようになるからである。
【0022】
好ましくは、端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lの長さは、直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離の50%よりも小さく、より好ましくは、直線Lに平行に測定して曲線Cの任意の2つの点相互間の最大距離の20%未満である。
【0023】
本発明の別の観点は、本明細書において開示する方法に従ってタイヤを装飾するキットであって、キットは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケを含み、アップリケは、タイヤトレッドに設けられた凹部内に挿入されるよう設計されており、凹部は、転動面上に開口し、凹部は、底壁及び側壁によって画定され、キットは、アップリケを凹部の底壁又は側壁の少なくとも一部分に固定するのに適した接着剤を更に含むことを特徴とするキットに関する。
【0024】
キットは、好ましくは、少なくとも本発明の実施形態の方法のステップ(B)及びステップ(C)(上述した)に関する1組の説明書を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】先行技術のモーターサイクル用タイヤの略図である。
【図2】先行技術のモーターサイクル用タイヤの略図である。
【図3】先行技術のモーターサイクル用タイヤの概略半径方向断面図である。
【図4】本発明の実施形態としてのタイヤのトレッドの概略平面図である。
【図5】図4に示されたタイヤの一部の概略半径方向断面図である。
【図6】本発明の実施形態としてのタイヤのトレッドの概略平面図である。
【図7】図6に示されたタイヤの一部の概略半径方向断面図である。
【図8】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図9】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図10】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図11】本発明の実施形態としての方法で用いられるよう設計されたアップリケの略図である。
【図12】本発明の実施形態としてのタイヤの略図である。
【図13】本発明の実施形態としてのタイヤの略図である。
【図14】本発明の実施形態に従ってタイヤを有するトレッドブロックの斜視図である。
【図15】疑似閉鎖表面である側壁を備えた凹部を示す図である。
【図16】疑似閉鎖表面である側壁を備えた凹部を示す図である。
【図17】本発明の実施形態としてのタイヤの一部の概略周方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
「半径方向」という用語を用いる際、当業者の間で用いられるこの言葉の数種類の異なる使い方を区別することが重要である。まず第1に、この表現は、タイヤの半径を意味している。この意味では、点(箇所)P1が点P2よりもタイヤの回転軸線の近くに位置する場合、点P1は、点P2の「半径方向内側」に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P3が点P4よりもタイヤの回転軸線から見て遠くに位置する場合、点P3は、点P4の「半径方向外側」に位置すると呼ばれる。半径方向距離について説明している場合、かかる用語についてもこの意味が当てはまる。「半径方向内側(又は外側)に向かって」という表現は、小さくなっていく(大きくなっていく)半径に向かうことを意味する。かかる用語のこの意味は、半径方向距離について説明する場合にも当てはまる。
【0027】
しかしながら、細線又は補強材は、細線又は補強材の補強要素が周方向と80°以上且つ90°以下の角度をなす場合に「半径方向」と呼ばれる。注目されるべきこととして、本明細書においては、「細線」という用語は、最も広い意味に解されなければならず、細線は、細線の構成材料又はゴムとのその結合性を促進するために実施される表面処理とは無関係に、モノフィラメント、マルチフィラメント、コード、ヤーン(糸)又はこれらと同等の集成体の形態をした細線を含む。
【0028】
最後に、「半径方向断面」という用語は、タイヤの回転軸線を含む平面に沿って取った断面を意味している。
【0029】
「軸方向」は、タイヤの回転軸線に平行な方向である。点P5が点P6よりもタイヤの中間平面の近くに位置する場合、点P5は、点P6の「軸方向内側」に位置すると呼ばれる。これとは逆に、点P7が点P8よりもタイヤの中間平面から見て遠くに位置する場合、点P7は、点P8の「軸方向外側」に位置すると呼ばれる。タイヤの「中間平面」は、タイヤの回転軸線に垂直であり且つ各ビードの環状補強構造体から等距離のところに位置する平面である。
【0030】
「周方向」は、タイヤの半径と軸方向の両方に対して垂直な方向である。「周方向断面」は、タイヤの回転軸線に垂直な平面で取った断面である。
【0031】
「転動面」は、本明細書では、タイヤが転動しているときに路面に接触するタイヤのトレッド上の全ての点を意味している。
【0032】
「ゴムコンパウンド」という表現は、少なくともエラストマー及び充填剤を含む配合ゴムを意味している。
【0033】
図1及び図2は、先行技術のタイヤ10、この場合モーターサイクル用タイヤの略図である。タイヤ10は、クラウン補強材(図1では見えない)を備えたクラウンを有し、クラウン補強材の頂部にはトレッド40が設けられ、他方、2つのサイドウォール30がクラウンから半径方向内方に延び、2つのビード20がサイドウォール30の半径方向内側に位置している。トレッド40は、複数本の溝50を有する。タイヤの回転軸線70も又図2に示されており、図2は、タイヤを平面図で示している。
【0034】
図3は、先行技術のタイヤ10、この場合も又モーターサイクル用タイヤの半部の概略半径方向断面図である。タイヤ10は、ホイールリム(図示せず)に接触するよう設計された2つのビード20を有し、各ビード20は、環状補強構造体、この場合ビードワイヤ25を有している。2つのサイドウォール30は、ビード20から半径方向外方に延び、そして少なくとも1枚の補強プライを備えたクラウン補強材45を有するクラウンに合体し、このクラウン補強材の頂部上にはトレッド40が半径方向に位置している。タイヤ10は、ビード20からサイドウォール30を通ってクラウンまで延びるカーカス補強材60を更に有している。カーカス補強材60は、ビードワイヤ25周りの折り返し部又は巻き上げ部によって2つのビード20の各々内に繋留されている。
【0035】
図4は、本発明の方法のステップ(B)及びステップ(C)の前後における本発明のタイヤ10のトレッドの概略平面図である。図5は、このタイヤ10の一部を図4に示された軸線I‐Iで取った半径方向断面で示している。
【0036】
特許請求の範囲に記載された方法のステップ(A)では、円筒形凹部90をトレッド40内に穴あけし又はフライス加工する。これは、タイヤ製造業者によって提供される説明書に従って且つ認可されたツールを用いて正規の且つ訓練を受けた作業員によって実施されなければならない。これは、トレッド表面のどのような改造であってもこれによりタイヤの摩耗、タイヤのグリップ及びタイヤによって生じる騒音に対して結果をもたらすのでなおさらそうである。いずれの場合においても、このステップを実施する人は、タイヤの寿命中に摩耗するトレッドの深さを超えて穴あけしてはならない。明らかなこととして、ドリルは、タイヤベルトに決して接触してはならない。したがって、安全上のマージンを常に観察する必要がある。凹部を開ける場合、タイヤは、タイヤをデフレートさせ又は極めて低い圧力に(0.3バール以下)にインフレートさせるべきである。
【0037】
穴あけは、標準型ドリル、例えば木材を穴あけするために用いられるドリルで実施されるのが良い。変形例として、グラインダ若しくはカッタ又は加熱状態のブレードを用いても良い。また、非常に高く加圧された(2000〜4000バール)水ジェット又はレーザビームを用いたアブレーションによって凹部を作ることが可能である。変形例として、タイヤをモールド内で加硫するときに円筒形凹部90をタイヤ中に成形しても良い。
【0038】
軸線80の左側に位置したトレッド40の半部は、タイヤを本発明の方法のステップ(A)後に見える状態で示しており、円筒形の凹部90がトレッド40に穴あけされている。各凹部90は、2つの壁、即ち、転動面上に開口した円筒形側壁92(図5参照)及び円形底壁91(図5参照)によって画定されている。凹部90の側壁92は、「閉鎖表面」であり、トレッドの転動面とのこの側壁の交差部は、円に近い。ステップ(B)では、アップリケ100、この場合、着色面(「スマイリー」(ニコニコマーク))を備えた筒体が凹部90内に配置される。アップリケ100は、底壁の表面の90%を覆い、それにより、アップリケを凹部90内に再現可能な仕方で配置するのが容易になる。ステップ(C)では、このアップリケを接着剤層110によって凹部の底壁91に固定し、その結果、軸線80の右側に位置するトレッド40の半部に示されているようにアップリケの着色面がトレッドの外側に位置すると共にアップリケに向いた視点から見えるようになる。
【0039】
図6及び図7は、本発明の別のタイヤ10を示している。このタイヤ10が成形されていたときに、凹部90がトレッドの中心に設けられた。これら特定の凹部90は、楕円形の断面を有している。凹部90の底部の全体を覆っていない薄いアップリケ100が図7で理解できるように凹部の底壁91に貼り付けられており、図7は、このタイヤ10の半部を図6に示されている軸線II‐IIで取った半径方向断面で示している。
【0040】
図8は、本発明の方法で用いられるよう設計された極めて簡単なアップリケ100を概略的に示している。この種のアップリケは、多くの材料、例えば弾性材料(シリコーン、ゴム等)、テキスタイル材料、軟質又は硬質マイクロフォーム材料、硬質材料(金属、PVC等)、皮革、ベルベット等で作製可能である。接着剤層110も又図示されている。
【0041】
多種多様な接着剤を用いることができ、例は、アクリル系接着剤(例えば、シアノアクリレート)、シリコーン系接着剤、ポリウレタン系接着剤(接触又は非接触)、ウレタン系接着剤、ラテックスを主成分とする接着剤、天然ゴムを主成分とする接着剤、ホットメルト接着剤、ナノプレン溶剤、ニトリル、SBR等である。
【0042】
当然のことながら、複合アップリケ、例えば図9に示されているアップリケを用いることも可能である。この図に示されているアップリケは、2つの層101,102を有している。例えば、フォーム層が剛性の層に取り付けられ、或いは着色層がトレッドの材料中に含まれている着色生成物の移動に対するバリヤとして働く層に取り付けられるのが良い。別の例は、或る特定の剛性を全体に与える内側ゴム層に取り付けられた再帰反射性ストリップ(例えば、3M(登録商標Scotcilite(登録商標)のストリップ)により形成された外側層である。
【0043】
図10は、別の複合アップリケを示すと共に本発明の方法がタイヤをカスタマイズしようと思っている人に与える優れた芸術的自由度を示している。図9のアップリケと同様、図10のアップリケは、2つの層を有する。内側層102は、構造的機能を有し、外側層101は、装飾的である。アップリケは、互いに異なる色の2つのデザイン121,122及び溝130を有している。接着剤層110も又図示されている。
【0044】
このアップリケは、当然のことながら、花の形をしていて中央穴を備えた図11に示されているアップリケ100の場合と同様、複雑な幾何学的形状を有するのが良い。
【0045】
図12及び図13は、本発明のタイヤを概略的に示すと共に本発明の方法により得ることができる多種多様な装飾的効果を示している。
【0046】
図12に示されているタイヤ10は、モーターサイクル用タイヤである。このタイヤは、周方向溝51及び一方の側がサイドウォール30上に開口した凹部52を有し、これら凹部の側壁は、疑似閉鎖表面である。アップリケ1002がこれら凹部内に結合されている。タイヤは、凹部90を更に有し、この凹部の側壁は、閉鎖表面である。アップリケ1001が凹部90の底壁に固定されている。
【0047】
本発明は、モーターサイクル用タイヤには何ら限定されない。図13は、乗用車用のタイヤを示しており、この場合、トレッドは多色アップリケ1001,1002を備えた複雑な幾何学的形状の数個の凹部90を有し、これら凹部は全て、閉鎖側壁92を有している。
【0048】
上述したように、凹部の側壁が閉鎖表面であるかどうかを判定する場合、凹部内に開口したサイプは無視されるべきである。換言すると、これは、サイドウォールが上記において定義されている「閉鎖表面」ではないと考えられるようにするサイプが存在するからというわけではない。当業者には周知であるように、かかるサイプは、代表的には、トレッドの転動面上のこれらの最も大きな寸法方向に垂直な方向に沿って測定して0.3〜1.5mmの幅を有する。かかるサイプの存在によって凹部内のアップリケの保護が損なわれるわけではなく、それどころか、このことは、積極的な効果を有する場合がある。この状況は、図14に示されており、この場合、2つのサイプ141,142がトレッドブロック41に設けられた凹部90内に開口している。凹部90を包囲している転動面がタイヤの転動する路面と接触したときにアップリケ100と路面との間で凹部内に閉じこめられた空気は、これらサイプ141,142を通って逃げ出ることができる。これは、タイヤが転動しているときにタイヤによって生じる騒音を考慮すると有利である。
【0049】
「疑似閉鎖」側壁を備えた凹部90の一例が図15に示されており、この図15は、トレッドブロック41の平面図である。凹部の側壁は、トレッドの転動面との交差部C(図16)を有している。交差部Cは、2つの端点C1,C2を備えた開放曲線である。これら端点C1,C2を互いに結ぶ直線Lは、直線Lに平行に測定して任意の2つの交差点C相互間の最大距離Mの約40%である長さを有する。
【0050】
図4〜図7及び図12〜図14に示されたアップリケは、転動面から突き出ておらず、これらアップリケの厚さは、これらの半径方向最も外側の末端を形成する1つ又は複数の箇所がトレッドの転動面の半径方向内側に位置するようなものである。しかしながら、これは、図20に示されているように本発明の必須の特徴ではなく、図20は、本発明のタイヤのトレッドの一部を周方向断面で概略的に示している。トレッドは、フォームアップリケ100が結合される(接着剤層110が見える)凹部を有し、その結果、アップリケは、これが転動面と面一をなすまで凹部を満たしている。このように、アップリケは、トレッド40と一緒に摩耗する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ(10)であって、前記タイヤは、転動面を備えたトレッド(40)と、前記トレッドに形成された少なくとも1つの凹部(90)とを有し、前記凹部は、前記転動面上に開口し、前記凹部は、底壁(91)及びただ1つの側壁(92)によって画定され、前記タイヤは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケ(100;1001,1002)を更に有し、前記アップリケは、前記アップリケの黒色以外の色の前記部分が前記トレッドの外側に位置すると共に前記アップリケに向いた視点から見えるように前記凹部内に挿入されると共に接着剤(110)によって前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定されている、タイヤ。
【請求項2】
前記アップリケは、前記底壁の少なくとも一部分に固定されている、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記アップリケは、前記底壁の表面の少なくとも80%を覆っている、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記アップリケ(100)の半径方向最も外側の箇所は、前記トレッド(40)の前記転動面の半径方向内側に位置している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記凹部の前記側壁は、閉鎖表面である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記凹部の前記側壁は、閉鎖表面であり、少なくとも1つのサイプが前記凹部内に開口している、請求項4記載のタイヤ。
【請求項7】
前記凹部の前記側壁は、疑似閉鎖表面である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
転動面を備えたトレッド(40)を有するタイヤ(10)の装飾方法であって、次のステップ、即ち、
(A)前記トレッドに設けられた凹部(90)を用意するステップを有し、前記凹部は、前記転動面上に開口しており、前記凹部は、底壁(91)及びただ1つの側壁(92)によって画定され、
(B)黒色以外の色の少なくとも一部分を備えたアップリケ(100;1001〜1002)を前記凹部内に貼り付けるステップを有し、
(C)前記アップリケの黒色以外の色の前記部分が前記トレッドの外部に位置すると共に前記アップリケに向いた視点から見えるように前記アップリケを接着剤(110)によって前記凹部の前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定するステップを有する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法に従ってタイヤを装飾するキットであって、前記キットは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケ(100)を含み、前記アップリケは、前記タイヤトレッドに設けられた凹部(90)内に挿入されるよう設計されており、前記凹部は、前記転動面上に開口し、前記凹部は、底壁及び側壁によって画定され、前記キットは、前記アップリケを前記凹部の前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定するのに適した接着剤(110)を更に含む、キット。
【請求項10】
少なくとも請求項8記載の方法の前記ステップ(B)及びステップ(C)に関する1組の説明書を更に含む、請求項9記載のキット。
【請求項1】
タイヤ(10)であって、前記タイヤは、転動面を備えたトレッド(40)と、前記トレッドに形成された少なくとも1つの凹部(90)とを有し、前記凹部は、前記転動面上に開口し、前記凹部は、底壁(91)及びただ1つの側壁(92)によって画定され、前記タイヤは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケ(100;1001,1002)を更に有し、前記アップリケは、前記アップリケの黒色以外の色の前記部分が前記トレッドの外側に位置すると共に前記アップリケに向いた視点から見えるように前記凹部内に挿入されると共に接着剤(110)によって前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定されている、タイヤ。
【請求項2】
前記アップリケは、前記底壁の少なくとも一部分に固定されている、請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】
前記アップリケは、前記底壁の表面の少なくとも80%を覆っている、請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】
前記アップリケ(100)の半径方向最も外側の箇所は、前記トレッド(40)の前記転動面の半径方向内側に位置している、請求項1〜3のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記凹部の前記側壁は、閉鎖表面である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記凹部の前記側壁は、閉鎖表面であり、少なくとも1つのサイプが前記凹部内に開口している、請求項4記載のタイヤ。
【請求項7】
前記凹部の前記側壁は、疑似閉鎖表面である、請求項1〜4のうちいずれか一に記載のタイヤ。
【請求項8】
転動面を備えたトレッド(40)を有するタイヤ(10)の装飾方法であって、次のステップ、即ち、
(A)前記トレッドに設けられた凹部(90)を用意するステップを有し、前記凹部は、前記転動面上に開口しており、前記凹部は、底壁(91)及びただ1つの側壁(92)によって画定され、
(B)黒色以外の色の少なくとも一部分を備えたアップリケ(100;1001〜1002)を前記凹部内に貼り付けるステップを有し、
(C)前記アップリケの黒色以外の色の前記部分が前記トレッドの外部に位置すると共に前記アップリケに向いた視点から見えるように前記アップリケを接着剤(110)によって前記凹部の前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定するステップを有する、方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法に従ってタイヤを装飾するキットであって、前記キットは、黒色以外の色の少なくとも一部分を備えた少なくとも1つのアップリケ(100)を含み、前記アップリケは、前記タイヤトレッドに設けられた凹部(90)内に挿入されるよう設計されており、前記凹部は、前記転動面上に開口し、前記凹部は、底壁及び側壁によって画定され、前記キットは、前記アップリケを前記凹部の前記底壁又は前記側壁の少なくとも一部分に固定するのに適した接着剤(110)を更に含む、キット。
【請求項10】
少なくとも請求項8記載の方法の前記ステップ(B)及びステップ(C)に関する1組の説明書を更に含む、請求項9記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−520789(P2012−520789A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500243(P2012−500243)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053479
【国際公開番号】WO2010/106112
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053479
【国際公開番号】WO2010/106112
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】
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