説明

着色ポリオキシメチレン成形用組成物およびこれにより製造された成形部品

【課題】加工中に安定で、無視できるホルムアルデヒド放出、表面欠陥、及び高い色堅牢度を有するポリオキシメチレン成形用組成物を提供する。
【解決手段】成分(A):0.1〜5.0重量%の着色剤、成分(B):0.01〜0.5重量%の窒素含有安定剤、成分(C):0.05〜1重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、成分(D):0.001〜0.5重量%の脂肪酸金属塩、および成分(I):ポリオキシメチレンポリマーを含む、着色ポリオキシメチレン成形用組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、着色成形品または着色押出物を製造するのに好適な着色ポリオキシメチレン成形用組成物に関する。これにより製造された製品は、特に加工の間安定であり、ホルムアルデヒドの放出が少なく、欠陥のない表面と高い色堅牢度において優れたものである。本出願はドイツ特許出願DE10126787.8とDE10047488.8の関連出願であり、ここに参考文献として組み込む。したがってこれら出願の開示は本特許出願の内容の一部を構成する。
【0002】
約40年前に市場に導入されて以来、ポリオキシメチレン類は種々の用途において非常に有用なエンジニアリング材料として確立されてきている。POMは広範な用途、特に自動車製造における構造材料、電気産業、および医療エンジニアリングにおいて用途を見出している。このような例は、POM製造工業の応用法に関するパンフレットに見出すことが出来る。POM成形用組成物はあるレベルの機械特性、例えば剛性、硬度、および靱性を有することが要求され、これによりこのような材料を歯車の歯、レバー、およびその他多くのもののような産業部品に用いることが出来るようになる。POMコポリマー製造工業のパンフレットに公表されている降伏応力の数字は、60〜70N/mm2にわたる。この中には非修飾コポリマーの引張弾性率に関して2400〜3100N/mm2という数字が見られる。破断点伸びについては10〜30%の間の数字が見られる。
【0003】
POM成形用組成物の有利な特性に基づき、ポリオキシメチレンを目に見える場所にも使用し、用途の場をさらに拡大する必要がある。このためにかかる材料を光学的、すなわち色に関して適合させる必要がしばしばある。この目的のために顔料やポリマー溶解性染料の形で着色剤をPOM成形用組成物に混合する。
【0004】
POMは特に着色が非常に困難であることが常識である(Damm, W.およびHermann, E., Gaechter, Mueller, Plastic Additives, 3rd Edition 1989, p. 730)。この材料の異質の物質、特に酸や酸性基を含有する異質物質(着色剤の多くにしばしば当てはまる)に対する感度により、加工中の材料の破壊やそれに続くホルムアルデヒドの放出を招く可能性があり、成形品の製造におけるかかる材料の有用性に非常に不利な影響を及ぼす。POM製品の最も重要な市場の一つである自動車産業は、POM成形品からのホルムアルデヒドの放出を測定する特別な分析法を開発した(VDA [ドイツ自動車製造者協会]の推薦、No.275,Dokumentation Kraftfahwesen e.V. July 1994)。
【0005】
着色POM成形用組成物が、製品と材料のいずれの特性からも、いかなる減損をも伴わないようにするために、着色POM成形用組成物の破壊は抑制されなければならない。この目的は安定剤の添加により満たされる。しかし、今のところ安定剤を添加しても高放出という欠点を軽減することは出来なかった。さらにホルムアルデヒド放出の減少を引き起こす既知の安定剤および安定剤系は、他の材料要求特性、殊に色堅牢度および表面品質に対して不利な影響を及ぼすだけでなく、機械特性のプロフィールや成形品への沈積(deposit)の形成についても不利な影響を及ぼす。
【0006】
加工特性に鑑みて着色ポリオキシメチレン成形用組成物に課せられた要求は、近年徐々に増加している。一方で自動車、電気および医療のエンジニアリングセクターにおける使用のためのポリオキシメチレン成形品の製造のために、射出成形用金型内でホットランナー技術を用いることが増えている。他方、射出成形用金型だけでなく成形品の外観(geometry)も著しく複雑になってきている。このような開発により着色ポリアセタール成形用組成物は加工の間比較的高温に曝され、この場合これまで商業的に入手できる着色ポリアセタール成形用組成物は高いホルムアルデヒド放出と表面欠陥とを引き起こす。
【0007】
JP07331028は着色ポリオキシメチレンコポリマー組成物を記載する。立体的ヒンダードフェノールの添加の他にアミン置換トリアジン、金属塩、2〜10の炭素原子を有する多価アルコールと10〜32の炭素原子を有する脂肪酸とのエステル、および10を超える炭素原子を有する脂肪酸のアミド、水、アミン化合物およびアルコールを添加している。
【0008】
JP07173368は立体的ヒンダードフェノール、アミノ置換アミノ化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物またはアルコキシドまたはそれらと無機酸との塩、脂肪酸金属塩および高級脂肪酸のアミドから構成される着色ポリオキシメチレン成形用組成物を記載する。
【0009】
WO0516734はホルムアルデヒド臭を減少させたポリアセタールを請求している。この組成物では、ポリアセタール顆粒の表面に多価アルコールと脂肪酸とのエステルを塗布している。
【0010】
EP562856は減少した放出と改良された成形品表面とを有するポリオキシメチレン組成物を記載する。この成形用組成物は0.01〜5%の立体的ヒンダードフェノール、0.01〜10%のメラミン−ホルムアルデヒド縮合体、および0.05〜4%の脂肪酸と多価アルコールとのエステルから構成される。
【0011】
引用した従来技術に記載された上述の全ての組成物は、充分に低いホルムアルデヒド放出を導かない。
上述したように顔料のキャリヤー材料としてPOMを使用することは既知であるが、今のところ存在する、加工の間の化学的不安定性とそれに伴う成形品からのホルムアルデヒド放出という欠点を満足に直すものはない。存在する安定剤系はホルムアルデヒド放出の減少に導くが成形品表面に欠陥を形成するかあるいは色堅牢度の減少を招く。
【0012】
したがって目的は、これまでに観測されたホルムアルデヒドの放出を実質的に減少させた新規な着色POM成形用組成物を開発することである。かかる成形用組成物から製造された成形品は欠陥のない表面と高い色堅牢度とを有し、他に知られているPOMの有利な特性から減損することがない。
【0013】
この目的は、以下の成分を含むポリオキシメチレン成形用組成物により達成される:
成分(A):0.1〜5.0重量%の着色剤、
成分(B):0.01〜0.5重量%の窒素含有安定剤、
成分(C):0.05〜1重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、
成分(D):0.001〜0.5重量%の脂肪酸金属塩
但し、ここで成形用組成物はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物またはアルコキシドあるいはこれらの無機酸との塩を含まない。
【0014】
本発明の一つの有利な案において、成形用組成物はさらに以下の成分(E)〜(H)を含み:
成分(E):1.0重量%までのカルボン酸金属塩、
成分(F):1.0重量%までの立体的ヒンダードフェノール化合物、
成分(G):1.0重量%までの、ベンゾチアゾール誘導体またはベンゾフェノン誘導体または芳香族ベンゾエート誘導体からなる群から選択される少なくとも1の安定剤、
成分(H):0.5重量%までの、光安定剤としての立体的ヒンダードアミン(HALS)、および
成分(I):ポリオキシメチレンポリマー
そしてここで適切には40重量%までの他の従来の添加剤を含む。
【0015】
驚くべきことに、ポリオキシメチレン成形用組成物の進歩的な構成の結果、着色剤の選択は特にPOMに好適な従来の着色剤に限定する必要がなくなる。さらに驚くべきことに、進歩的な構成を有する着色ポリオキシメチレン成形用組成物は非常に低いホルムアルデヒド放出と高い加工安定性とを有し、このような本発明の成形用組成物から製造された成形品は非常に低いホルムアルデヒド放出、欠陥のない表面および高い色堅牢度を有することが分かった。重量%で表される量は、成形用組成物の総重量を基準とする。
【0016】
着色剤(A)として、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%の任意の所望の無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、またはコバルトブルー、あるいは有機顔料および有機着色剤、例えばフタロシアニン類、アントラキノン類、またはカーボンブラックなどを個々にあるいは混合物として、あるいはポリマー溶解性染料と一緒に用いることが出来る。
【0017】
本発明の成形用組成物は0.01〜0.5重量%、好ましくは0.03〜0.3重量%の窒素含有安定剤(B)を含む。好適な窒素含有安定剤は少なくとも1の窒素原子をヘテロ原子とし、これに隣接してアミノ置換炭素原子かカルボニル基を有するヘテロ環化合物、例えばピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリドン、アミノピリジン、およびこれらから誘導される化合物である。一般的なタイプの有利な化合物は、アミノピリジン、例えばメラミン、2,6−ジアミノピリジン、置換または二量体のアミノピリジンおよびこれらから調製される混合物である。さらに有利なものはポリアミドおよびジシアンジアミド、尿素およびその誘導体、およびピロリドンおよびこれらから誘導される化合物である。好適なピロリドンの例は、例えばイミダゾリジノンおよびこれから誘導される化合物、例えばヒダントイン(その誘導体は特に有利である)およびアラントイン(その誘導体は特に有利である)である。さらに特に有利なものはトリアミノ−1,3,5−トリアジン(メラミン)およびその誘導体、およびメチロールメラミンである。非常に特に好ましいのはメラミン、メチロールメラミン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体およびアラントインである。窒素含有安定剤は個々にあるいは組み合わせで用いることが出来る。
【0018】
成分(C)として、0.05〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル(C)、10〜32、好ましくは24〜32の炭素原子を有する高級脂肪酸と2〜8、好ましくは2〜5の炭素原子を有する多価アルコールとのエステルを用いる。酸は完全にエステル化されている必要はなく、部分的にエステル化されているだけのもの及び/又は部分的にケン化されているものであってもよい。特に好ましいアルコール類は、エチレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール及びペンタエリスリトールであり;脂肪酸の中では、モンタン酸が特に好ましい。特に好ましいエステルはグリコールまたはグリセロールとモンタン酸とのジエステル(Licowachs E及びLicolub WE4、製造者:Clariant AG)である。
【0019】
成分(D)として、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%、より好ましくは0.01〜0.1重量%の脂肪酸金属塩(D)が本発明の成形用組成物に存在する。10〜32の炭素原子を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩または他の二価の金属イオン、例えばZn2+の塩、例えばステアリン酸塩、ラウリル酸塩、オレイン酸塩、ベヘン酸塩、モンタン酸塩及びパルミチン酸塩が用いられる。脂肪酸は不飽和あるいは飽和のいずれであってもよく、水酸基またはアミノ基で置換されていても良い。好ましいのはステアリン酸及びモンタン酸のアルカリ金属塩または亜鉛塩である。
【0020】
本発明の成形用組成物のさらなる成分である成分(E)〜(H)は、任意のものであり、要求される特性プロフィールを達成するために必ずしも存在する必要があるものではない。しかしこれら各成分は低放出、欠陥のない表面、及び色堅牢度のうち少なくとも1の特性を改善する。
【0021】
成分(E)として、0.0〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.05重量%、より好ましくは0.05〜0.2重量%の短鎖カルボン酸の金属塩(E)を存在させることが可能である。全ての一価または二価の金属イオンが可能であるが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましい。短鎖カルボン酸は3〜8の炭素原子を有する。好ましいのはプロピオン酸塩、クエン酸塩、及びピルビン酸塩である。クエン酸カルシウムは特に好ましい。
【0022】
成形用組成物は0.0〜1.0重量%、好ましくは0.0〜0.4重量%、より好ましくは0.0〜0.1重量%の立体的ヒンダードフェノール化合物(F)を含有することができる。かかる化合物の例として、商業的に入手可能なものは、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010、Ciba Geigy)、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](Irganox 245, Ciba Geigy)、3,3’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオノヒドラジド](Irganox MD 1024, Ciba Geigy)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 259, Ciba Geygy)、または3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(Lowinox BHT, Great Lakes)である。好ましいのは、Irganox 1010及び特にIeganox 245である。
【0023】
成形用組成物はさらに0.0〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.9重量%、より好ましくは0.02〜0.8重量%のベンゾトリアゾール誘導体またはベンゾフェノン誘導体または芳香族ベンゾエート誘導体からなる群から選択される少なくとも1の安定剤(G)を含有することができる。好ましいのは2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(1,1−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール(Tinuvin 234[Ciba Geigy]として商業的に入手可能)である。
【0024】
成分(H)として、本発明の成形用組成物に0.0〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.4重量%、特に好ましくは0.4重量%の光安定剤として用いられる立体的ヒンダードアミン(HALS)を存在させることが可能である。好ましいのは2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル化合物、すなわちビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin 770, Ciba Geigy)またはコハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンのポリマー(Tinuvin 622, Ciba Geigy)である。
【0025】
着色成形用組成物のベース材料として用いられるポリオキシメチレンポリマー(I)はポリオキシメチレンホモポリマーまたはポリオキシメチレンコポリマーであって良い。この種のポリマーは当業者に周知であり文献にも記載されており、例えば「Saechtling, Kunststoff-Taschenbuch, Hanser-Verlag, 27th edition, page 462-465」(ここに参考文献として組み込む)等がある。ホモポリマーは一般にホルムアルデヒドかトリオキサンの重合により調製でき、重合はカチオン的にあるいはアニオン的に開始させることが可能である。しかし好ましいのはオキシメチレン単位がオキシアルキレン単位も含有するポリオキシメチレンコポリマーであり、アルキレン基は2〜8の炭素原子を有する線状または分岐のものである可能性がある。特に好ましいのはポリマー鎖中に本質的にオキシメチレン及びオキシエチレン単位を有するポリオキシメチレンポリマーである。ポリマー構造単位中のオキシメチレン単位の割合は0.1〜15モル%、好ましくは0.2〜10モル%である。ISO1133にしたがって190℃で2.16kgの適用重量(applied weight)で測定したメルトインデックスMFIは0.5〜75g/10分、好ましくは2〜60g/10分、及びさらに好ましくは5〜35g/10分である。数値的な平均分子量は、150〜160℃でジメチルアセトアミド中でGPCで測定して、少なくとも5000g/モルであり、100,000g/モルを超えない。個々のPOMコポリマーに代わり、異なる構成において異なるコポリマーの混合物を用いることが可能である。POMコポリマーは周知の製造法により調製することができる。一つの可能な製法は、トリオキサンとジオキソランとを標準量のBF3とメチラールとの存在下で共重合させることである。本発明のポリオキシメチレン成形用組成物は概して少なくとも30重量%、より有利には少なくとも40重量%、特に有利には少なくとも50重量%のポリオキシメチレンポリマーを含有する。本発明のポリオキシメチレン成形用組成物は、99.839重量%までのポリオキシメチレンポリマー成分(I)、有利には99.369重量%まで、99.84重量%または99.836重量%、99.69重量%が特に有利である。本発明のさらに好ましいバージョンは実施例により明らかである。
【0026】
本発明の成形用組成物は、さらに通常の添加剤を個々にあるいは混合物として、40重量%までの量で含んでいてもよく、例としては、核剤、例えばポリオキシメチレンターポリマー類またはタルク、充填剤、例えばガラスビーズ、ウォラストナイト、ローム、ジスルフィドモリブデンまたはグラファイト、無機または有機繊維、例えばガラス繊維、炭素繊維またはアラミド繊維、長さ>3mm、特に長さ5ないし50mmのガラス繊維、熱可塑性または熱硬化性ポリマー添加剤またはエラストマー、例えばポリエチレン、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリブタジエン、またはポリスチレン、または核を1,3−ブタジエン、イソプレン、n−ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、またはこれらの混合物を重合させて調製し、シェルをスチレン、アクリロニトリルまたはメタ(アクリレート)を重合させて調製した他のグラフトコポリマーである。
【0027】
本発明の特に好ましい態様は、2つの成分間の相互作用が、特に低いホルムアルデヒド放出を呈するという驚くべき発見により、特定の構成のポリオキシメチレン成形用組成物である。前記成形用組成物とは、以下の成分:
上述した成分(A)及び(B)、
(C1)x重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル、
(C2)y重量%の部分的に加水分解した多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステル(ここでxは0.01重量%を超え、yは0.99重量%未満であり、そしてxとyの和は1.0重量%未満である)、
(D)0.0〜0.5重量%の脂肪酸金属塩、
及び、適切には、さらに上述の成分(E)〜(I)
を含む。
【0028】
驚くべきことに、成分(C1)と(C2)との混合物を用いることによって、二つの成分間の相互作用に基づいて特に低い放射特性が達成できることが分かり、これはホルムアルデヒド放出レベルには好都合である。この相互作用の結果、成分(D)の存在は必ずしも必要ではなくなり、着色ポリオキシメチレンから作られた成形品からのホルムアルデヒド放出に関して相当厳しい要求が課せられた場合に用いることができる。さらに用いられる(D)は、更なるホルムアルデヒド放出の低減をもたらすからである。
【0029】
xの量は0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(C1)、すなわち多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルである。10〜32の炭素原子、好ましくは24〜32の炭素原子を有する高級脂肪酸と、2〜8の炭素原子、好ましくは2〜5の炭素原子を有する多価アルコールとのエステルを用いることができる。多価アルコールは完全にエステル化されている必要はなく、部分的にエステル化されているものでもよい。好ましいアルコールはエチレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール、及びペンタエリスリトールであり、このとき、脂肪酸のうち好ましいのはモンタン酸である。特に好ましいエステルはグリコールまたはグリセロールとモンタン酸とのジエステル(Licowachs E及びLicolub WE4、製造者:Clariant AG)である。
【0030】
yの量は0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%の成分(C2)であり、部分的に加水分解された多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルであり得る。これらは、10〜32の炭素原子、好ましくは24〜32の炭素原子を有する高級脂肪酸と、2〜8の炭素原子、好ましくは2〜5の炭素原子を有する多価アルコールとの、部分的に加水分解されたエステルである。部分的に加水分解されたエステルは完全エステルを金属水酸化物と反応させて調製できる。部分的にエステル化された多価アルコールと対応する脂肪酸の金属塩との、部分的に加水分解されたエステルの混合物を用いることもできる。
【0031】
好ましいアルコールはエチレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール、及びペンタエリスリトールであり、このとき、脂肪酸のうち好ましいのはモンタン酸である。好ましい金属は一価または二価のイオンの形を生じるもの、すなわちアルカリ金属及びアルカリ土類金属である。特に好ましいのは、ブチレングリコールとモンタン酸との、部分的に加水分解されたエステルであり、過剰のモンタン賛嘆には水酸化カルシウムで加水分解されているものである(Licowachs OP、製造者:Clariant AG)。
【0032】
本発明の着色POM成形用組成物は顆粒化、押出、コンパウンド化等の従来の混合技術を用いて製造することができる。本発明の成形用組成物は好ましくはポリオキシメチレンポリマーと着色剤及び安定剤を混合して、次いでその混合物を顆粒化することにより製造される。本発明の好ましい形態は、詳細な説明には存在していないが、実施例から明らかである。
【0033】
本発明の着色POM成形用組成物は実質的に低いレベルの放出を特徴とする。ホルムアルデヒドの放出の低減は成形用組成物の製造、すなわち顆粒化の間だけでなく加工の間にも観察される。つまり本発明のポリオキシメチレン組成物は職業上の衛生と職場の安全に寄与することが可能である。しかし特に、射出成形または押出によって製造される成形品からのホルムアルデヒドの放出が実質的に低減している。このようにしてホルムアルデヒド放出レベルは、VDA 275にしたがって壁厚1mmのシートを24時間貯蔵した後に測定した値は一般に20mg/kg未満、好ましくは10mg/kg未満である。
【0034】
本発明の成形用組成物とこれらから製造される成形品は、高い色堅牢度を有する。色堅牢度または色安定性とは、DIN 6174にしたがって測定される色差ΔE(成形用組成物の加工の後またはこれから製造された成形品の使用の間に生じる)が小さい。着色ポリオキシメチレン成形品のユーザーは色堅牢度に関し苛酷な要求を課する。自動車産業では例えば自動車に使用するポリマー成形品の耐候性試験を一般にフロリダやアリゾナで行う;すなわち色堅牢度は高温及び日光の両方への曝露にも保証されなければならない。このような条件は一般に実験室でシミュレートされる:例えば自動車内装に適用される場合は、試験は中央標準PV 1303(熱光線堅牢度試験)(1993年12月のPV 1303の第三次修正)にしたがって、100℃の黒板で、サンプルチャンバ温度65℃、相対湿度20%及び300〜400nmの強度60W/m2のキセノン光を当てて行う(詳細にはDIN 75202参照)。DIN 54001にしたがってグレースケールステップを用いた、成形品の色変化が報告されている。本発明の成形用組成物から製造された成形品は、UV安定剤(G)と(H)とを含む場合、PV 1303熱光線堅牢度試験の苛酷な要求に見合う。しかし成分(G)及び(H)を含まない成形用組成物でも、光線または高温に曝露された時に驚くべき色堅牢度を呈する。このような成形用組成物はおもちゃ、電気製品または医療エンジニアリング部門における使用のための成形品を製造するのに特に適切である。
【0035】
欠陥のない表面とは射出成形によってスパッタリング、変色、局所的色差、あるいは汚れなどを生じることなく複雑な表面を製造することができる能力を意味する。射出成形による複雑な表面の製造、すなわちスピーカーグリルなどの場合、加工業者はホットランナー技術を採用するようになっている。ポリマー溶融物は一般に2以上のホットランナーノズルを通じて成形チャンバに注入される。ホットランナー及びノズル内で生じる温度は一般に高く、ポリオキシメチレンポリマーの場合は材料の破断を引き起こしうる。このような高温による材料への応力の結果、従来の成分のポリオキシメチレン成形用組成物で欠陥のない表面を製造するのはしばしば不可能であった。プラスチック加工業者の前提では、不満足な温度安定性は加工中における不備の度合いが高いとされており、ポリオキシメチレン成形用組成物の経済的な加工を損なうことになる。本発明の成形用組成物を用いると複雑な成形品についても欠陥のない表面を実現することが可能である。
【0036】
市販のPOM製品に課せられる通常の要求に対応する本発明の成形用組成物の機械的特性は、適用分野及びPOMの従来の加工技術が制限なく利用できるようなものである。
【0037】
本発明の成形用組成物の利用分野は特に輸送手段、例えば自動車、航空機などの内装及びライニング、家庭用品、おもちゃ、乳児用衣服、及び電気製品、電機部品及び電気機器である。本発明の成形用組成物は医療用途のための器具、道具または部品を製造するのに特に適切である。市販の製品の水準と比較すると、本発明にしたがって製造される成形用組成物は、最低のホルムアルデヒド放出を呈し、欠陥のない表面を有し、かつ成形品が光や熱に長時間曝露されても高い色堅牢度を有する。以下の実施例は本発明の特に有利な点を表すものであるが、本発明がこれら実施例に制限されることを意図したものではない。
【0038】
この特許明細書に言及される全ての文献はここに参考文献として組み込まれる。かかる文献はしたがって本特許明細書の開示内容の一部を構成する。
【実施例】
【0039】
以下の実施例では、材料の特性は以下の方法により測定した:
メルトインデックス(MFI)はISO1133に従い190℃、2.16kgの適用重量で測定;
引張弾性率はISO527に従い
降伏応力はISO527に従い
破断点伸びはISO527に従った。
ホルムアルデヒド放出:着色POM成形用組成物を用いて壁厚1mmのシートを作成する。24時間の貯蔵の後、VDA 275に従ってシートからのホルムアルデヒド放出を測定した(VDA [ドイツ自動車製造者協会]推薦のNo. 275、Dokumentation Kraftfahwesen e. V. July 1994)。
試験片の製造:ポリアセタール顆粒を射出成形して80×50×1mmの板状にする。Kraus Maffei KM 120/340B射出成形機を用い、以下の射出成形パラメータを従う:溶融温度 195℃、フロント流速 200mm/秒、金型壁温度 85℃、維持圧力 900バール、維持圧縮時間 30秒間、冷却時間 10秒間、背圧 0〜10バール。試験に先立って試験片を24時間標準的な環境のキャビネット、すなわち23℃、相対湿度50%で貯蔵する。
試験:50mLのDI水の上にステンレススチール製のフックを取り付けた1リットルのガラス瓶に2つの試験片を吊るし、強制乾燥キャビネットで60℃で3時間貯蔵する。試験片を試験瓶から取り出す。5mLのサンプル溶液を試験管にピペットでとり、95℃で10分間加熱した。次いで3mLのアセチルラクトンと3mLの20%強度の酢酸アンモニウムの溶液とを試験管に加える。ホルムアルデヒドと試薬の形態のジアセチルジヒドロルチジン複合体(412nmの吸収が測光的に観測される)を一緒にする。サンプル溶液の吸収からホルムアルデヒド濃度を計算する。
PV 1303の色堅牢度(熱光線堅牢度):着色POM成形用組成物を用いて壁圧1mmのシートを作成する。シートをVolkswagen AGの中央標準PV 1303(第三次修正PV 1303、1993年12月)に従って試験し、キセノン試験器具1200CPS(Heraeus)のキセノンアークシンクロ露光(xenon arc synchronization exposure)する。DIN 54001に従ってグレースケールを測定した。DIN 6173 T2に従うMacbeth Spectra Light 色マッチング源(color matching source)を用いた。DIN 75202 データシート3/91に従って、繰り返し試験の前後の、光色堅牢度6ステップの色差を測定することによって、終点を決めた。各サンプルについて5〜10回の連続サイクルの後、DIN 54001に従ってグレースケールのステップを測定した。10サイクルの試験の総運転時間は360時間であった。PV 1303の試験において、分析中のサンプルの背後に白色ポリエステル不織布を置く。露光は黒板温度100℃、サンプルチャンバ温度65℃、相対湿度20%、及び300nmないし400nmのキセノン光強度60W/m2で行う。さらに詳細にはDIN 75202を参照のこと。露光時間の終点はDIN 75202に従って決める。これは、試験片に光堅牢度スケールの標準着色度(standard coloration)6の光を露光することにより行う。露光した部分と、グレースケールのステップ3に対応する露光していない部分との間のコントラストが標準着色度6に達したときに終点に達している。コントラストは分光光度計を用いて比色的に測定する。CIELAB価4.3が測定されたときに終点に達している。露光した成形品の色変化はDIN 54001のグレースケールのステップにより表現する。
成形品の表面品質:4つのホットランナーを有するホットランナー金型で製造したスピーカーグリルパネルについて表面品質の測定を行った。グリルはホットランナー温度205℃〜265℃の間で10℃刻みで製造した。ホットランナーノズル温度180℃、射出速度45mm/秒、射出圧力88バール、射出時間1.28秒間、スクリュー速度70rpm、シリンダー195℃、及び金型温度80℃だった。このような条件下で得られるグリルパネルの表面を、欠陥(スパッタ汚れ、変色)の数を目視で数えることにより査定した。1つのホットランナー温度における表面欠陥の数を10個のスピーカーグリルについて平均した。
【0040】
以下の本発明の実施例及び比較実施例の顆粒に関する材料試験の結果を表1〜3に示す。
実施例1:ベースポリマー(ポリオキシメチレンコポリマー)の製造
温度80℃、圧力約1バールのバッチ反応器に94.4重量%のトリオキサン、5.6重量%のジオキソラン及び800ppmのメチラールを充填した。この混合物に30ppmのBF3を加えた。量はモノマー混合物の総量に基づく。30秒間の誘導時間の後、重合反応を開始した。形成された粗ポリマーを水/トリエチルアミン混合物中に懸濁し、次いで170℃で水/メタノール(10/90)混合物中で加水分解した。室温まで冷却する際にポリマーを微細粉末として沈殿させた。ポリマーを減圧濾過し、水で洗浄して乾燥した。得られた生成物のメルトインデックス(MFI)は27g/10分だった。
【0041】
実施例2:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
510gのGranufin Samt 64、90gのKronos 2220、35.33gのPV Echtrosa E01、18.67gのHeliogen Blau K 7090、30gのIrganox 245、70gのメラミン、200gのLicowachs E、100gのクエン酸カルシウム、400gのTinuvin 234、200gのTinuvin 770、30gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー100kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0042】
実施例3:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicowachs E、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、4.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0043】
実施例4:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicowachs OP、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、4.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0044】
実施例5:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicowachs E、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、4.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0045】
実施例6:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、15gのLicowachs E、15gのLicowachs OP、15gのクエン酸カルシウム、4.5gのステアリン酸マグネシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0046】
実施例7:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、6gのアラントイン、30gのLicowachs E、15gのクエン酸カルシウム、7.5gのステアリン酸マグネシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0047】
実施例8
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicowachs E、15gのクエン酸カルシウム、7.5gのステアリン酸マグネシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0048】
実施例9:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicolub WE 4、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、4.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0049】
実施例10:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
105gのPV Echtgelb HG、1.65gのCrano-Rot DPP-BP、0.3gのBraun EKX 881、0.135gのSchwarz EKV 80030、45gのIrganox 245、7.5gのメラミン、30gのLicowachs E、15gのクエン酸カルシウム、7.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0050】
実施例11:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
596gのRenolschwarz VE、45gのSicotangelb K 2112、60gのKronos 2220、13gのRenolbraun EKX 881、30gのIrganox 245、70gのメラミン、200gのLicowachs E、100gのクエン酸カルシウム、400gのTinuvin 234、200gのTinuvin 770、30gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー100kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0051】
実施例12:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
190gのアセチレンブラック、330gのKronos 2220、240gのSicotangelb K 2112、20gのRenolbraun EKX 881、300gのIrganox 245、200gのLicowachs E、70gのメラミン、50gのステアリン酸マグネシウム、400gのTinuvin 234、400gのTinuvin 770、13kgのParaloid EXL 2600(製造者Rohm&Haas)、及びポリオキシメチレンベースポリマー100kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0052】
この実施例で用いたポリオキシメチレンベースポリマーは実施例1に従い製造した。しかし実施例1とは異なり、350ppmのメチラールを加えた。ベースポリマーのメルトインデックス(MFI)は9g/10分だった。
【0053】
比較実施例1
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、4.5gのメラミン、30gのLicowachs C、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0054】
比較実施例2:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、30gのLicowachs E、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0055】
比較実施例3:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、4.5gのIrganox 245、10.5gのメラミン、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、4.5gのステアリン酸マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0056】
比較実施例4:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
225gのKronos 2220、30gのLicowachs C、4.5gのIrganox 245、15gのクエン酸カルシウム、60gのTinuvin 234、30gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0057】
比較実施例5:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、15gのメラミン、30gのLicowachs E、7.5gのステアリン酸マグネシウム、7.5gの酸化マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0058】
比較実施例6:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
110gのKronos 2220、40gのRenolschwarz VE、4gのTitanorange 6994、1.3gのRenolrot EKEA 06、15gのメラミン、30gのLicowachs E、7.5gのステアリン酸マグネシウム、7.5gの水酸化マグネシウム、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー15kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0059】
比較実施例7:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
596gのRenolschwarz VE、45gのSicotangelb K 2112、60gのKronos 2220、13gのRenolbraun EKX 881、30gのIrganox 245、30gのメラミン、200gのLicowachs C、100gのクエン酸カルシウム、400gのTinuvin 234、200gのTinuvin 770、及び実施例1からのポリオキシメチレンベースポリマー100kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0060】
比較実施例8:
以下の成分を組み合わせてHenschelミキサーで均一に混合した:
190gのアセチレンブラック、330gのKronos 2220、240gのSicotangelb K 2112、20gのRenolbraun EKX 851、600gのIrganox 245、200gのLicowachs C、50gのEurelon、30gのジシアンジアミド、400gのTinuvin 234、400gのTinuvin 770、13kgのParaloid EXL 2600(製造者Rohm&Haas)及びポリオキシメチレンベースポリマー100kg。混合物を二軸押出機で顆粒化した。
【0061】
この比較実施例で用いたポリオキシメチレンベースポリマーは実施例12に従って製造した。しかし、製造の間、350ppmのメチラールを加えた。ベースポリマーのメルトインデックス(MFI)は9g/10分だった。
【0062】
本発明の実施例及び比較実施例の顆粒から射出成形により成形して、引張弾性率、降伏応力、及び破断点伸びの測定のための試験片、及びホルムアルデヒド放出及び色堅牢度の測定のためのシートとした。実施例11からの顆粒と比較実施例7からの顆粒を用いて、射出成形によりスピーカーグリルパネルを製造した。本発明の実施例の機械的試験と色堅牢度試験の結果は表1に示し、同じく比較実施例の者は表2に示した。表3はスピーカーグリルパネル状の表面欠陥の形成の分析の結果を示す(本発明の実施例11及び比較実施例7)。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):0.1〜5.0重量%の着色剤、
成分(B):0.01〜0.5重量%の窒素含有安定剤、
成分(C1)がx重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルであり、成分(C2)がy重量%の多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸との部分的に加水分解されたエステルであり、前記部分的に加水分解されたエステルが金属水酸化物と反応した完全エステルの反応生成物を含み、xが0.1〜0.5重量%、かつyが0.1〜0.5重量%であり、前記成分(C1)と前記成分(C2)が成分(C)を形成し、
成分(D):0.0〜0.5重量%の脂肪酸マグネシウム塩、
成分(I):ポリオキシメチレンポリマー
を含む、着色ポリオキシメチレン成形用組成物であって、ここで適切には、40重量%までの他の従来の添加剤を含むが、該成形用組成物は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物あるいはアルコキシド、またはそれらの無機酸との塩を含まないことを特徴とする、前記成形用組成物。
【請求項2】
成分(A)が0.5〜20.重量%、成分(B)が0.03〜0.3重量%、成分(C1)が0.1〜0.5重量%、成分(C2)が0.1〜0.5重量%、および成分(D)が0.01〜0.2重量%を含む、請求項1に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項3】
前記成分(D)が0.01〜0.1重量%存在する請求項1または2に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項4】
前記成分(A)が二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、フタロシアニン、アントラキノン、またはカーボンブラック、あるいはこれらの混合物、またはポリマー溶解性染料と一緒の混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項5】
成分(E)が0.05〜0.2重量%の短鎖カルボン酸金属塩、
成分(F)が0.4重量%までの立体的ヒンダードフェノール化合物、
成分(G)が0.01〜0.9重量%の、ベンゾトリアゾール誘導体および芳香族ベンゾエート誘導体からなる群から選択される少なくとも1の安定剤、および
成分(H)が0.01〜0.4重量%の光安定剤としての立体的ヒンダードアミン(HALS)の1またはそれ以上をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項6】
成分(B)が、少なくとも1の窒素原子をヘテロ原子として有しており、それに隣接してアミノ置換炭素原子かカルボニル基を有するヘテロ環化合物、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリドン、アミノピリジンまたはこれらから誘導される化合物、メラミン、2,6−ジアミノピリジン、置換または二量体のアミノピリジン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアミド類、ジシアンジアミド、尿素またはその誘導体、ピロリドンまたはこれから誘導される化合物、イミダゾリジノンまたはこれから誘導される化合物、ヒダントインおよびその誘導体、アラントインまたはその誘導体、またはこれら化合物から調製される混合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、無機顔料、有機顔料もしくは有機着色剤、これらの混合物、またはポリマー溶解性染料とともに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項8】
前記成分(C1)が多価アルコールと10〜32の炭素原子を有する高級脂肪酸のエステルであり、前記成分(C2)が2〜8の炭素原子を有する多価アルコールと少なくとも1の脂肪酸との部分的に加水分解されたエステルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項9】
前記成分(C1)がモンタン酸と多価アルコールとのエステル、および/または多価アルコール成分としてエチレングリコール、グリコール、ブチレングリコールまたはペンタエルスリトールと少なくとも1の脂肪酸とのエステルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項10】
前記成分(D)が10〜32の炭素原子を有する飽和及び/又は不飽和脂肪酸のマグネシウム塩である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形用組成物を製造することを含む、ポリアセタール成形用組成物の表面欠陥の数の減少および/またはホルムアルデヒドの放出の減少及び/又は着色安定の方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の着色ポリオキシメチレン成形用組成物を含むフィルム。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形用組成物を含む、減少したホルムアルデヒドの放出および/または欠陥のない表面及び/又は高い色安定性を有する成形品。

【公開番号】特開2012−237009(P2012−237009A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−178174(P2012−178174)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【分割の表示】特願2002−530654(P2002−530654)の分割
【原出願日】平成13年9月17日(2001.9.17)
【出願人】(598029656)ティコナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (32)
【氏名又は名称原語表記】Ticona GmbH
【Fターム(参考)】