説明

着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子

【課題】アミン価の高い分散剤や酸価のない分散剤を用いた場合であっても、アルカリ現像性に優れた着色組成物を提供する。
【解決手段】(A)着色剤、(B)アミン価が5mgKOH/g以上である分散剤、(C)下記式(1)で表される繰り返し単位を有するバインダー樹脂、及び(D)多官能性単量体を含有することを特徴とする着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタに有用な着色層の形成に用いられる着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(特許文献1〜2)が知られている。また、黒色材料を含有する光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(特許文献3)も知られている。さらに、着色樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(特許文献4)も知られている。
【0003】
ところで、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる微粒化された顔料を安定に分散するには、分散剤を用いることが有効であることが知られている。特許文献5では、近年の高度に微粒化された顔料を少量の添加量で効果よく分散するため、アミン価が80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下のブロック共重合体を分散剤として用いることが提案されている。しかしながら、このようにアミン価の高い分散剤や、或いは酸価のない分散剤を用いると、アルカリ現像液に対する現像速度が遅い等、アルカリ現像性が悪化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2009−25813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、アミン価の高い分散剤や酸価のない分散剤を用いた場合であっても、アルカリ現像性に優れた着色組成物を提供することにある。
さらに本発明の目的は、上記着色組成物から形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、ビニル安息香酸系単量体を重合したバインダー樹脂を含有せしめることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、(A)着色剤、(B)アミン価が5mgKOH/g以上である分散剤、(C)下記式(1)で表される繰り返し単位を有するバインダー樹脂、及び(D)多官能性単量体を含有することを特徴とする着色組成物を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは相互に独立に水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは1又は2である。)
【0010】
また、本発明は、該着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供するものである。ここで、「着色層」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス等を意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色組成物は、アミン価の高い分散剤や酸価のない分散剤を用いた場合であっても、アルカリ現像性に優れる。
したがって、本発明の着色組成物は、カラー液晶表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
着色組成物
以下、本発明の着色組成物の構成成分について説明する。
【0013】
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては着色性を有すれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタ等の用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には、着色剤として、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、カラーフィルタには耐熱性が求められることから、有機顔料、無機顔料が好ましい。
【0014】
有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0015】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0016】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0017】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0018】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
【0019】
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0020】
本発明においては、有機顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0021】
また、無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
【0022】
これらの着色剤は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。
本発明においては、(A)着色剤を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
本発明の着色組成物を画素の形成に用いる場合、画素には高精細な発色が求められることから、(A)着色剤としては、発色性の高い着色剤が好ましく、具体的には有機顔料が好ましく用いられる。
一方、本発明の着色組成物をブラックマトリックスの形成に用いる場合、ブラックマトリックスには遮光性が要求されることから、(A)着色剤としては有機顔料又はカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0024】
(A)着色剤の含有量は、透明性及び色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、着色組成物の全固形分中5〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることが更に好ましい。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。本発明の着色組成物は、着色剤の含有量が、着色組成物の全固形分中、30重量%以上となる場合であっても、アルカリ現像性に優れる。
【0025】
−(B)分散剤−
本発明の着色組成物は、分散剤として、アミン価(単位mgKOH/g。以下同様。)が5以上である分散剤(以下、「特定分散剤」ということがある。)を含有するものである。微粒化された着色剤を安定に分散するという意味においては、特定分散剤のアミン価は、10以上であることが好ましく、70以上であることがさらに好ましい。一方、特定分散剤のアミン価が200を超えると、着色組成物のアルカリ現像性が著しく低下するおそれがあり、特定分散剤のアミン価は、150以下であることが好ましい。本発明の着色組成物は、分散剤のアミン価が高くなっても、優れたアルカリ現像性を有する。
また、特定分散剤の酸価(単位mgKOH/g。以下同様。)は、微粒化された着色剤を安定に分散するという意味においては、低いことが好ましく、0であることがさらに好ましい。本発明の着色組成物は、分散剤の酸価が0であっても、優れたアルカリ現像性を有する。
ここで、アミン価とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なHClに当量のKOHのmg数を表す。また酸価とは、分散剤固形分1gを中和するのに必要なKOHのmg数を表す。
【0026】
特定分散剤としては、上記したアミン価を有するものであれば特に限定されないが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0027】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、Disperbyk−142(不揮発成分=60%、アミン価=43、酸価=46、ビックケミー(BYK)社製)、Disperbyk−145(不揮発成分=100%、アミン価=71、酸価=76、ビックケミー(BYK)社製)、Disperbyk−2000(不揮発成分=40%、アミン価=4、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)、Disperbyk−2001(不揮発成分=46%、アミン価=19、酸価=29、ビックケミー(BYK)社製)、Disperbyk−2020(不揮発成分=70%、アミン価=38、酸価=35、ビックケミー(BYK)社製)、Disperbyk−9076(不揮発成分=96%、アミン価=44、酸価=38、ビックケミー(BYK)社製)、BYK−LPN6919(不揮発成分=60%、アミン価=72、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)、BYK−LPN21116(不揮発成分=40%、アミン価=29、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース24000(不揮発成分=100%、アミン価=42、酸価=25、ルーブリゾール(株)社製)、アジスパーPB−711(不揮発成分=40%、アミン価=45、酸価=0、味の素ファインテクノ(株)製)、アジスパーPB−821(不揮発成分=100%、アミン価=10、酸価=17、味の素ファインテクノ(株)製)、アジスパーPB−822(不揮発成分=100%、アミン価=17、酸価=14、味の素ファインテクノ(株)製)、アジスパーPB−881(不揮発成分=100%、アミン価=17、酸価=17、味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトT−6000(不揮発成分=100%、アミン価=15、酸価=22、川研ファインケミカル(株)製)、ヒノアクトT−8000(不揮発成分=100%、アミン価=14、酸価=4、川研ファインケミカル(株)製)、ヒノアクトT−8000E(不揮発成分=100%、アミン価=26、酸価=4、川研ファインケミカル(株)製)、ヒノアクトT−9050(不揮発成分=50%、アミン価=87、酸価=6、川研ファインケミカル(株)製)、ヒノアクトKF−1300M(不揮発成分=100%、アミン価=18.6、酸価=17、川研ファインケミカル(株)製)等を挙げることができる。
特定分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0028】
本発明においては、分散剤として、特定分散剤と共に、特定分散剤以外の公知のカチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができる。また、分散助剤として、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等の顔料誘導体を、分散剤と共に使用することもできる。
【0029】
特定分散剤の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、好ましくは0.5〜100質量部、更に好ましくは5〜70質量部である。また、分散剤の全量に対する特定分散剤の含有割合は、好ましくは25質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。かかる態様で分散剤を含有せしめることにより、コントラスト比の高い画素を形成することができ、且つ保存安定性、現像性にも優れた着色組成物を得ることができる。
【0030】
−(C)バインダー樹脂−
本発明の着色組成物は、(C)バインダー樹脂として、上記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(c)」ということがある。)を有する重合体(以下、「重合体(C)」ということがある。)を含有するものである。本発明の着色組成物は、重合体(C)を含有することにより、優れたアルカリ現像性を有する。繰り返し単位(c)は、従来使用されてきた(メタ)アクリル酸系単量体に由来する繰り返し単位より酸性度が高く、また、ベンゼン環のパイ電子の効果により着色剤表面への吸着作用を有するためと考えられる。
【0031】
上記式(1)において、Rは全て水素原子であることが好ましい。上記繰り返し単位(c)を与える単量体としては、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【0032】
【化2】

【0033】
(上記式中、Rは、上記式(1)におけるRと同義である。)
【0034】
本発明において、繰り返し単位(c)を与える単量体としては、上記式(1−1)で表される化合物が好ましく、特に、上記式(1−1)においてRが水素原子である化合物、即ちp−ビニル安息香酸が好ましい。
繰り返し単位(c)を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
重合体(C)は、繰り返し単位(c)と共に、他の繰り返し単位を有することができる。他の繰り返し単位を与える単量体としては、上記繰り返し単位(c)を与える単量体と共重合可能な化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、N位置換マレイミド、脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、(メタ)アクリル酸エステル(但し、上記脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体を除く。)、芳香族ビニル化合物(但し、上記繰り返し単位(c)を与える単量体を除く。)、不飽和カルボン酸(但し、上記繰り返し単位(c)を与える単量体を除く。)、不飽和ジカルボン酸の無水物等を挙げることができる。
【0036】
上記N位置換マレイミドとしては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(アクリジニル)マレイミド等を挙げることができる。
また、上記脂環式炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、デカヒドロ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0037】
また、上記エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン等を挙げることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0038】
また、上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ビニルフェノール、p−イソプロペニルフェノール等を挙げることができる。
また、上記不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、上記不飽和ジカルボン酸の無水物としては、無水マレイン酸等を挙げることができる。
他の繰り返し単位を与える単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0039】
重合体(C)において、繰り返し単位(c)の含有割合は、好ましくは2〜80質量%、さらに好ましくは5〜70質量%である。このような範囲で繰り返し単位(c)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0040】
本発明においては、繰り返し単位(c)のカルボキシル基の一部を、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のオキシラニル基を有するエチレン性不飽和化合物と反応させることにより、重合体側鎖に重合性不飽和結合を導入することができる。また、繰り返し単位(c)を与える単量体と、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和単量体とを共重合した重合体に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等の不飽和イソシアナート化合物を反応させることにより、重合体側鎖に重合性不飽和結合を導入することができる。また、繰り返し単位(c)を与える単量体と、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物を共重合した重合体に、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和化合物を反応させることにより、重合体側鎖に重合性不飽和結合を導入することもできる。
【0041】
重合体(C)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」ということがある。)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。Mwが小さすぎると、得られる被膜の残膜率等が低下したり、パターン形状、耐熱性等が損なわれたり、また電気特性が悪化するおそれがあり、一方大きすぎると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたり、またスリットノズル方式による塗布時に乾燥異物が発生し易くなるおそれがある。
また、重合体(C)のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」ということがある。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0042】
重合体(C)は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0043】
本発明において、重合体(C)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、バインダー樹脂として、重合体(C)と共に、繰り返し単位(c)を有さないバインダー樹脂を使用することができる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−140654号公報、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報、特開2008−181095号公報等に開示されている各種の共重合体を挙げることができる。
【0044】
本発明において、重合体(C)の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、5〜1,000質量部、好ましくは10〜500質量部である。また、バインダー樹脂の全量に対する重合体(C)の含有割合は、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。このような態様でバインダー樹脂を含有せしめることにより、アルカリ現像性、保存安定性、色度特性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0045】
−(D)多官能性単量体−
本発明において(D)多官能性単量体とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、(D)多官能性単量体としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0046】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0047】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0048】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0049】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、メラミン、ベンゾグアナミン又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0050】
これらの多官能性単量体のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ未露光部の基板上及びおよび遮光層上に地汚れ、膜残り等を発生し難い点で特に好ましい。
本発明において、(D)多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0051】
本発明における(D)多官能性単量体の含有量は、(C)バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に20〜300質量部が好ましい。この場合、多官能性単量体の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、多官能性単量体の含有量が多すぎると、本発明の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下し、未露光部の基板上あるいは遮光層上に地汚れ、膜残り等が発生しやすくなる傾向がある。
【0052】
−(E)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることにより、着色組成物に感放射線性を付与することもできる。ここでいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本発明に用いる(E)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記(C)多官能性単量体の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0053】
本発明において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0054】
本発明における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0055】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0056】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0057】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、さらに感度を改良することができる点で好ましい。
【0058】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0059】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0060】
本発明において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0061】
本発明において、光重合開始剤の含有量は、(C)多官能性単量体100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。この場合、光重合開始剤の含有量が少なすぎると、露光による硬化が不十分となるおそれがあり、一方多すぎると、形成された着色層が現像時に基板から脱落しやすくなる傾向がある。
【0062】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0063】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(D)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(D)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0064】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0065】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;
【0066】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド又はラクタム類
等を挙げることができる。
【0067】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
上記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
さらに、上記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
上記高沸点溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0069】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。
【0070】
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができ、例えば、(A)〜(D)成分を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に、混合することにより調製することができる。好ましい着色組成物の調製方法としては、(A)着色剤を溶媒中、(B)分散剤の存在下で、場合により(C)成分の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液とし、次いで、この着色剤分散液に、(B)〜(D)成分と、必要に応じてさらに追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0071】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成された着色層を備えるものである。
カラーフィルタを製造する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色感放射線性組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は青色の着色剤が分散された各着色感放射線性組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、各液状組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0072】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0073】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
着色感放射線性組成物の液状組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.6〜8.0μm、好ましくは1.2〜5.0μmである。
【0074】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/mが好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。
このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
【0075】
また、カラーフィルタを製造する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法も知られている。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の着色剤が分散された本発明の着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、赤色の画素パターンを形成する。
次いで、緑色または青色の着色剤が分散された各着色組成物の液状組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターンおよび青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
【0076】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。このようにして、インクジェット方式により形成された画素の膜厚は、ブラックマトリックスの厚さと同程度である。
このようにして得られる本発明のカラーフィルタは、諸特性に優れるため、カラー液晶表素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に極めて有用である。
【0077】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0079】
本実施例で使用した分散剤を以下に示す。なお、かっこ内には、不揮発成分100質量%に換算した各分散剤のアミン価及び酸価を示す。
b−1:アジスパーPB−881(アミン価=17、酸価=17%、味の素ファインテクノ(株)製)
b−2:Disperbyk−2000(アミン価=10、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)
b−3:BYK−LPN21116(アミン価=73、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)
b−4:BYK−LPN6919(アミン価=120、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)
b−5:BYK−LPN21324(アミン価=0、酸価=0、ビックケミー(BYK)社製)
【0080】
着色剤分散液の調製
調製例1
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー150=50/35/15(質量比)混合物13質量部、分散剤(b−1)4質量部(不揮発成分=100質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート83質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(A−1)を調製した。
【0081】
調整例2
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー150=50/35/15(質量比)混合物13質量部、分散剤(b−2)溶液10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤(A−2)を調整した。
【0082】
調整例3
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー150=50/35/15(質量比)混合物13質量部、分散剤(b−3)溶液10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤(A−3)を調整した。
【0083】
調整例4
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー150=50/35/15(質量比)混合物13質量部、分散剤(b−4)溶液6.5質量部(不揮発成分=60質量%)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80.5質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤(A−4)を調整した。
【0084】
調整例5
(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー150=50/35/15(質量比)混合物13質量部、分散剤(b−5)溶液10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート77質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤(A−5)を調整した。
【0085】
(C)バインダー樹脂の合成
合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、p−ビニル安息香酸50質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート18質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=15,700、Mn=8,400であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C−1)」とする。
【0086】
合成例2
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、p−ビニル安息香酸25質量部、メタクリル酸15質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート18質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=13,300、Mn=7,100であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C−2)」とする。
【0087】
合成例3
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、p−ビニル安息香酸40質量部、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製、商品名アロニックスM−110)20質量部、n−ブチルメタクリレート20質量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=14,500、Mn=7,800であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C−3)」とする。
【0088】
合成例4
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、p−ビニル安息香酸30質量部、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート20質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート18質量部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=13,500、Mn=7,200であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C−4)」とする。
【0089】
合成例5
上記合成例3で得られたバインダー樹脂(B−3)を含む溶液200質量部、グリシジルメタクリレート6.6質量部、重合禁止剤として4−メトキシフェノール0.05質量部及び触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイド0.64質量部をフラスコに仕込み、100℃の温度で10時間反応させた。得られた反応液をイオン交換水で4回水洗し、減圧濃縮を行うことにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=13,700、Mn=7,300であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(C−5)」とする。
【0090】
比較合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート38質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=12,200、Mn=6,500であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(c−1)」とする。
【0091】
比較合成例2
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136質量部を仕込み、窒素ガスを注入しながら80℃に加温した。同温度で、メタクリル酸30質量部、スチレン10質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部及び2−エチルヘキシルメタクリレート38質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部に溶解させた溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート24質量部に溶解させた溶液を、同時に2時間かけて滴下した。その後、反応溶液の温度を100℃に上昇させ、この温度を1時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。得られたバインダー樹脂は、Mw=12,900、Mn=6,900であった。このバインダー樹脂を「バインダー樹脂(c−2)」とする。
【0092】
実施例1
着色感放射線性組成物の調製
着色剤分散液(A−1)100質量部、(C)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(C−1)29質量部(固形分濃度=32質量%)、(D)多官能性単量体としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート13.9質量部、フッ素系界面活性剤0.1質量部、(E)光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン1.5質量部と2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.5重量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度25%の液状組成物(S−1)を調製した。
液状組成物(S−1)について、下記の手順にしたがって、評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0093】
コントラスト比の評価
液状組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、80℃のホットプレートで3分間プレベークを行って塗膜を形成した。スピンコーターの回転数を変えて同様の操作により、膜厚の異なる3枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を2,000J/mの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に220℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行って、硬化膜を形成した。
得られた3枚の硬化膜について、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)を測定した。
次いで、硬化膜が形成された基板を2枚の偏向板で挟み、背面側から蛍光灯(波長範囲380〜780nm)で照射しつつ前面側の偏向板を回転させ、輝度計LS−100(ミノルタ(株)製)により透過する光強度の最大値と最小値を測定した。そして、各々の硬化膜について、最大値を最小値で除した値をコントラスト比とした。測定結果より、色度座標値x=0.660でのコントラスト比を求めた。
【0094】
保存安定性の評価
液状組成物(S−1)の調製直後の粘度を、E型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。また、液状組成物(S−1)を遮光ガラス容器に充填し、密閉状態で23℃にて14日間静置した後、E型粘度計(東京計器製)を用いて再度粘度を測定した。そして、調製直後の粘度に対する14日間保存後の粘度の増加率を算出し、増加率が5%未満の場合を「A」、5%以上10%未満の場合を「B」、10%以上の場合を「C」として評価した。
【0095】
抜け時間の評価
液状組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、100℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.7μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、フォトマスクを介して、400J/m2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に、23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液を1.0kgf/cm2の現像圧(ノズル径1mm)で吐出することによりシャワー現像を行った。この際、未露光部の塗膜が完全に剥離するまでの時間(抜け時間)を測定した。そして、抜け時間が60秒未満の場合を「A」、60秒以上120秒未満の場合を「B」、120秒以上の場合を「C」として評価した。この時間が短いほど、現像速度が速く、カラーフィルタ製造のタクトタイムを短縮できるという利点がある。
【0096】
パターン欠けの評価
液状組成物(S−1)を、ガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、100℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.7μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、基板上の塗膜に、高圧水銀ランプを用い、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を、フォトマスクを介して、400J/m2の露光量で露光した。その後、基板上の塗膜に、23℃の0.04重量%水酸化カリウム水溶液を1.0kgf/cm2の現像圧(ノズル径1mm)で吐出することによりシャワー現像を行った。現像時間は、上記抜け時間+30秒とした。次いで、超純水を1.5kgf/cm2 のリンス圧(ノズル径1mm)で60秒間吐出することによりリンス処理を行い、更に220℃で30分間ポストベークを行って、基板上に90μmのストライプ状画素パターンを形成した。得られたストライプ状画素パターンを光学顕微鏡(拡大倍率200倍)により観察し、パターンエッジの欠けの有無を観察した。そして、一視野内に確認されるパターンエッジの欠けの個数が10個未満の場合を「A」、10個以上30個未満の場合を「B」、30個以上の場合を「C」として評価した。
【0097】
実施例2〜8及び比較例1〜5
液状組成物の着色剤分散液及び(C)バインダー樹脂成分の種類を表1に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、液状組成物(S−2)〜(S−13)を調製した。
次いで、液状組成物(S−1)に代えてそれぞれ液状組成物(S−2)〜(S−13)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
【0098】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)アミン価が5mgKOH/g以上である分散剤、(C)下記式(1)で表される繰り返し単位を有するバインダー樹脂、及び(D)多官能性単量体を含有することを特徴とする着色組成物。
【化1】

(式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは相互に独立に水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、nは1又は2である。)
【請求項2】
前記式(1)で表される繰り返し単位が、p−ビニル安息香酸に由来する繰り返し単位である、請求項1に記載の着色組成物。
【請求項3】
更に(E)光重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載の着色組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えてなるカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項4に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。

【公開番号】特開2011−158501(P2011−158501A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17632(P2010−17632)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】