睡眠および覚醒状態の自動検出
スペクトルデータから低出力の周波数帯域情報を決定する。低出力の周波数帯域情報を獲得するのに有益な、調整されたソースデータを決定するため、より高出力の周波数帯域に比べ、低出力の周波数帯域内で出力のダイナミックレンジを増加させるよう、未処理の信号データを調整することができる。低出力の周波数帯域情報は、様々な未処理信号データの分析に使用することが可能である。例えば、睡眠状態を決定するために、睡眠期間からの対象の脳波検査データ内の低出力の周波数帯域情報を使用することができる。同様に、自動全周波数スペクトル脳波検査信号分析は、睡眠品質の評価、病的状態の検出、睡眠状態に対する薬物の効果の決定を含む、特別な分析に有用となり得る。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年5月10日に出願された米国仮出願番号60/679,951に対する優先権を主張する。先行出願の開示は、本出願の一部である(さらに参照により援用される)と解釈される。
【背景技術】
【0002】
睡眠状態やその他の脳の活動は一般に、脳波検査またはEEG信号で分析される。人が眠りに就くと、脳の活動が変調され、異なる睡眠の深さや段階を表す。典型的な人では、睡眠状態は、徐波睡眠またはSWSとして知られる第1の睡眠状態から始まり、経時的に遷移する。SWSでは、低周波数高出力EEG活動がある。睡眠は、いわゆる中間的睡眠状態へと軽くなる。他の睡眠状態はレム睡眠として知られ、低出力EEG活動を特徴とする。
【0003】
EEG信号は、比較的高い周波数の信号が比較的低い振幅、つまり比較的低い出力を有する分布に従う。このいわゆる1/f分布は、最も低い周波数で最も高い振幅が現れることを意味する。
【0004】
睡眠段階を決定するためのEEG信号は、従来Rechtschaffen−Kales法で分析されてきた。この方法は、低出力の周波数に対する自動信号分析技術の限界に起因して、手作業での睡眠EEG信号の評価に依存することがある。Rechtschaffen−Kales法は、統計学的に有意な高周波数でのシフトは、非常に低い振幅に起因して、通常人間の評価者には検出不可能であるため、非常に信頼性が無く時間のかかるものとなり得る。さらに、Rechtschaffen−Kales法は、時間および空間分解能が低い傾向があり、すべての変数を知ることができるわけではなく、また、手動あるいは自動で評価したかにかかわらず、ユーザー間の一致率が低くなる。残念ながら、人工ニューラルネットワーク分類子などの代替となる睡眠状態決定法は、通常複数のチャネルに依存し、かつ人間の能力に従う傾向があるため、品質を大幅に向上させることなく決定の時間を改善するものである。
【発明の開示】
【0005】
本出願は、データ内の情報のダイナミックレンジを増加させるために、脳波の活動を示す正規化するデータを説明する。
【0006】
実施態様は、睡眠状態を自動的に決定するためのこの情報を使用して説明する。睡眠の質、病態、および投薬効果を自動的に評価する他の適用を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0008】
【図2】ソースデータを調整するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0009】
【図3】時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0010】
【図4】対象の睡眠状態の情報を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0011】
【図5】対象の睡眠状態の情報を決定するための別の例となるシステムのブロック図である。
【0012】
【図6】対象での睡眠状態を決定するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0013】
【図7】対象での睡眠状態を分類するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0014】
【図8】睡眠状態からの対象の病態を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0015】
【図9】睡眠状態に基づく対象の病態を決定するためのコンピュータを実装した例となる方法を示すフローチャートである。
【0016】
【図10】対象のためにカスタマイズ化された睡眠スコアを同時に決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0017】
【図11】例となる一晩のEEGソースデータ周波数出力スペクトル図のスクリーンショットである。
【0018】
【図12】例となる調整技術を適用した後で、図11に示す例となる一晩のEEGソースデータのスクリーンショットである。
【0019】
【図13】図12に示す、例となる調整された一晩のEEGソースデータの2時間枠のスクリーンショットである。
【0020】
【図14】図12に示す、一晩のEEGスペクトル内の高出力および低出力の周波数帯域の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0021】
【図15】図14に示す、一晩のスペクトル内の高出力および低出力の周波数帯域の例となる視覚化の2時間40分の時間枠のスクリーンショットである。
【0022】
【図16】図12の一晩のEEGスペクトルの例となる5次元パラメーター空間視覚化のスクリーンショットである。
【0023】
【図17】図16に示す一晩のEEG視覚化の例となる5次元パラメーター空間視覚化の2時間の時間枠のスクリーンショットである。
【0024】
【図18】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0025】
【図19】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の別の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0026】
【図20】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態のさらに別の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0027】
【図21】図20のEEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の例となる視覚化の別の有利な点からのスクリーンショットである。
【0028】
【図22】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図23】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図24】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図25】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【0029】
【図26】2つ以上の睡眠状態の特徴を有する過渡的な睡眠状態を示す周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【0030】
【図27】特徴的な睡眠状態の代表となる標準的スペクトルを区別する睡眠段階分離の程度の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0031】
【図28】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図29】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図30】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。、
【図31】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図32】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0032】
【図33】EEGスペクトルデータに基づき、麻酔ネコの分類された麻酔状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0033】
【図34】EEGスペクトルデータに基づきヒト対象の分類された睡眠状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0034】
【図35】説明した技術で実装することができる、対象における分類睡眠状態のためのさらに別の例となる方法を示すフローチャートである。
【0035】
【図36】説明した技術で実装することができる、例となるコンピュータシステムである。
【0036】
【図37】情報を抽出するために、適切な周波数の時間枠をさらに決定するよう正規化されたスペクトル図に適用される、単独の要素分析の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0037】
【図38】何時間にもわたり、図37の単独の要素の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0038】
【図39】アルツハイマー病を患うヒト対象からの一晩のEEG視覚化の周波数帯域の例となる5次元パラメーター空間視覚化の6時間30分の時間枠のスクリーンショットである。
【0039】
【図40】鳥からの分類された半脳睡眠の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0040】
【図41】二重正規化を使用する別の実施態様の動作のフローチャートを例証する。
【0041】
【図42a−42c】生のスペクトル図、単一の正規化されたスペクトル図、および二重正規化されたスペクトル図をそれぞれ示す。
【0042】
【図43】時間の経過に対して望ましい周波数を示す。
【0043】
【図44】これらの周波数のダイアグラムを示す。
【0044】
【図45】データの3次元ビューを示す。
【0045】
【図46】周波数のスペクトルフラグメンテーションのグラフを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本システムの一つの重要な認識は、EEG信号における低周波数帯域は時折最も多くのエネルギーを有し、それ故、多くの研究者に、そのような低周波数帯域を誤って過度に分析させる結果となることである。しかしながら、これらの比較的低い周波数において出力の増大が発見された一つの理由は、発明者により、頭がい骨の低域通過の特徴となることが発見されたことである。他の理由もまた、比較的低い周波数における出力の増大に貢献する場合もある。
【0047】
取得されたEEG信号は、低出力の周波数信号であり、信号での出力が周波数に逆に関連、例えば、反比例する1/f分布に附随する。
【0048】
EEG信号は通常、時期と称される連続インクリメントにおいて時間内に調査されている。例えば、睡眠を分析するためのEEG信号を使用する場合、睡眠を、分析に使用する1つ以上の時期に分割してもよい。走査の時間枠を使用して、時期を異なる区分に分割することができ、ここで走査の時間枠は、時系列のインクリメントの異なる区分を画定する。走査の時間枠はスライディングウィンドウを経て移動することができ、ここでスライディングウィンドウの区分は、重複時系列の順序を有する。あるいは、時期は、例えば、全体的な時系列にわたることもできる。
【0049】
本出願に従い、睡眠状態の異なる形態を測定してもよい。行動的、身体的、信号的特徴を表す区別できる睡眠または覚醒状態として睡眠状態を説明する。本出願において参照される睡眠状態には、徐波睡眠またはSWS、レム睡眠またはREM、インターまたはIS状態とも称される中間睡眠状態、および覚醒状態が含まれる。覚醒状態は、実際には睡眠状態の一部である場合もあり、また覚醒状態は、不眠症によって記銘力または覚醒レベルに特徴付けることもできる。中間睡眠はまた、中間−1睡眠および中間−2睡眠として特徴付けることもできる。
【0050】
アーチファクトはまた、EEGを獲得する間に取得してもよい。アーチファクトは、EEGを不正確に伝えるデータである。例えば、EEGに登録した使用者体内の動きはアーチファクトである場合がある。アーチファクト例には、筋収縮などが含まれる。
【0051】
実施例1−例となるソースデータ
【0052】
本明細書に説明される任意の実施態様では、脳波検査(EEG)データ、心電図記録データ(EKG)、電気眼球図記録データ(EOG)、筋電図検査データ(EMG)、局所電場電位(LFP)データ、スパイク列データ、音波および圧力波を含む波動データ、1/f分布などのデータの周波数スペクトルにわたる多様な周波数のための出力のダイナミックレンジにおける差異がある場所を示すどんなデータをも含む多様なソースデータを分析することができる。ソースデータには、ソースデータ内の低出力の周波数で保存されたコード化されたデータを含むことができる。
【0053】
実施例2−少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定する例となるシステム
【0054】
図1は、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定するための例となるシステム100を示す。
【0055】
少なくとも1つの低出力の周波数帯域102を有するソースデータを取得し、ソフトウェア104に入力して低出力の周波数情報106を決定する。
【0056】
ソフトウェア104は、本明細書で説明するような技術のいかなる組み合わせも使用することができ、ソースデータのための低出力の周波数情報106を決定する。
【0057】
少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定する方法を以下に詳細を説明する。
【0058】
実施例3−ソースデータを調整するための例となる方法
【0059】
図2は、ソースデータを調整するための例となる方法200を示す。例えば、方法200は、図1のシステム100内に実装することができる。
【0060】
202では、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータを受信する。例えば、対象に対する脳波検査ソースデータを受信することができる。ソースデータは、単一のチャネルまたは複数のチャネルを経て受信することができる。
【0061】
204では、ソースデータは、2番目に高い出力周波数帯域ソースデータと比較して、ソースデータの周波数スペクトルの少なくとも1つの低出力の周波数帯内の出力に対するダイナミックレンジを増加させるよう調整する。正規化および周波数重み付けを含み、本明細書に説明する多くの調整技術を使用することができる。実施態様では、脳波検査のソースデータは、比較的高い出力で、比較的低い周波数帯域データと相対的な低出力で、比較的高い周波数帯域データを増加させるよう正規化し、より一般には、異なる信号部分の出力を正規化する。
【0062】
ソースデータを調整した後で、様々な他の処理を使用することができる。例えば、調整されたソースデータの視覚化を与えることができる。さらに、低出力の周波数情報は、調整されたソースデータから抽出することができる。例えば、低出力の周波数情報は、調整された脳波検査ソースデータから抽出することができる。比較的高い出力周波数情報もまた、調整されたソースデータから抽出することができる。
【0063】
この実施例または他のいかなる実施例に説明した方法は、1つ以上のコンピュータ−可読の媒体でのコンピュータで実行可能な命令を経て実行されるコンピュータに実装される方法であってもよい。示しているいかなるアクションも、信号処理システムまたは他のどんな信号データ分析システム内に組み込まれるソフトウェアによって実行することができる。
【0064】
実施例4−時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法
【0065】
図3は、時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法300を示す。例えば。方法300は、図1のシステム100内に実装することができる。
【0066】
302では、少なくとも低出力の周波数帯域を有するソースデータを受信する。例えば、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有する脳波検査データを受信することができる。前記データでのアーチファクトはソースデータから除去することができる。例えば、アーチファクトデータは、ソースデータから手作業で除去する、またはフィルタリング(例えば、DCフィルタリング)またはデータ平滑化技術によってソースデータから自動的にフィルタリングすることができる。ソースデータはまた、要素分析により前処理することもできる。
【0067】
304では、ソースデータは1つ以上の時期に分割され、ここでそれぞれの時期は、前記シリーズからのデータの一部である。例えば、ソースデータは、様々な分離技術によって複数の時間区分に分割することができる。走査の時間枠およびスライディングウィンドウは、ソースデータを時系列インクリメントに分離させるのに使用することができる。
【0068】
306では、時間を越えて1つ以上の時期の出力における差異のために1つ以上の時期を正規化する。例えば、1つ以上の周波数でのそれぞれの時期の出力は、時間を越えて正規化し、抽出情報のための適切な周波数の時間枠を決定することができる。かかる正規化は、低出力の、1つ以上の周波数(例えば、デルタ、ガンマ、および同等物)での出力における統計的に重要な変化を明らかにすることができる。いかなる周波数帯域でも、分析するために明らかにされ、また使用することができる。適切な周波数の時間枠を確立した後で、1つ以上の時期のそれぞれのために情報を計算することができる。かかる情報には、低周波数出力(例えば、デルタ出力)、高周波数出力(例えば、ガンマ出力)、標準偏差、最大振幅(例えば、ピークの絶対値の最高値)およびその種類を含むことができる。さらに、ガンマ出力/デルタ出力、デルタの時間導関数、ガンマ出力/デルタ出力の時間導関数および同等物などの情報を作成する1つ以上の時期のそれぞれのために計算された情報についての計算をすることができる。時間導関数は、先行する時期および後続する時期にわたり算出することができる。情報を計算した後、その次に1つ以上の時期にわたりその情報を正規化することができる。Zスコアの算出および他の類似した技術を含む様々なデータ正規化の技術を実施することができる。
【0069】
308では、時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するためのソースデータの調整の結果は、データの1つ以上の時期として提示することができる。例えば、周波数重み付けの時期は、調整されたソースデータとして提示することができる。
【0070】
実施例5−睡眠状態を決定するための例となるシステム
【0071】
対象のための情報
【0072】
図4は、対象のために睡眠状態の情報を決定するための例となるシステム400を示す。対象402のための脳波検査データを取得し、ソフトウェア404に入力して、対象406のための睡眠状態の情報を決定する。
【0073】
ソフトウェア404は、本明細書に説明しているものなど、どんな技術の組み合わせも使用し、対象406のための睡眠状態の情報を決定することができる。
【0074】
対象のための睡眠状態の情報を決定するための方法を以下に詳細に説明する。
【0075】
実施例6−対象のための睡眠状態の情報を決定するのための別の例となるシステム
【0076】
図5は、対象のために睡眠状態の情報を決定するための例となるシステム500を示す。
【0077】
対象502のための脳波検査データを取得し、分割器504に入力して、データを1つ以上の時期に分割する。実地では、時期は類似した(例えば、同じ)長さである。時期の長さは、構成可能なパラメーターによって調整することができる。1つ以上の時期は、順に、正規化器506に入力し、時間を越えて1つ以上の時期での周波数データを正規化することにより、周波数は、脳波検査データの1つ以上の時期に重み付けをする。1つ以上の周波数重み付け時期は、その次に、分類器508へ入力され、データを睡眠状態に分類することにより、対象510のために睡眠状態の情報を生成する。
【0078】
対象のために睡眠状態の情報を決定するための方法を以下に詳細に説明する。
【0079】
実施例7−対象のために睡眠状態を決定するための例となる方法
【0080】
図6は、対象における睡眠状態を決定するための例となる方法600を示す。例えば、方法600は、図5のシステム500または図4のシステム400内に実装することができる。
【0081】
602では、対象のための脳波検査(EEG)データを受信する。例えば、周波数スペクトの第2の周波数帯域と比較して周波数スペクトルの少なくとも1つの低出力の第1の周波数帯域における出力のための比較的低いダイナミックレンジを示す、脳波検査データを受信することができる。
【0082】
604では、対象のための脳波検査データを1つ以上の時期に分割する。例えば、様々な分離技術によって1つ以上の時期にEEGデータを分割することができる。走査の時間枠およびスライディングウィンドウは、EEGデータを1つ以上の時期に分離するために使用することができる。ソースデータはまた、分割の間、分割に先立って、または分割後直流フィルタリングによってフィルタリングすることもできる。ソースデータはまた、要素分析(例えば、主要素分析または単独要素分析)によって前処理することもできる。
【0083】
図11は、1秒のインクリメントの間隔で3秒の時期にわたり分割されている、典型的な対象の一晩のEEGソースデータの周波数出力のスペクトル図のスクリーンショットである。出力帯域を陰影付けで表示し、ここで白色の陰影付けの領域は、暗い陰影付けの領域よりも出力が比較的高い。したがって、比較的高い周波数(例えば、ガンマ)は、一晩のEEGデータにおいて、比較的低い周波数(例えば、デルタ、シータおよび同等物)より低い出力を示す。
【0084】
606では、1つ以上の時期の周波数出力を、時間を越えて重み付けをする。例えば、1つ以上の周波数でのそれぞれの時期の出力は、時間を越えて正規化し、抽出情報のための適切な周波数の時間枠を決定することができる。かかる正規化は、低出力の、1つ以上の周波数(例えば、デルタ、ガンマ、および同等物)での出力における統計的に重要な変化を明らかにすることができる。さらに、それぞれの時期は、時間とともに最も高い相対出力を有する周波数によって表し、抽出情報のために適切な周波数の時間枠を決定することができる。あるいは、要素分析(例えば、主要素分析(PCA)または単独要素分析(ICA))を正規化の後利用し、抽出情報のために適切な周波数の時間枠をさらに決定することができる。例えば、図37および図38は、フィルター(例えば、スクリーンショット3700)を意味し、また何時間にもわたる単独要素(例えば、スクリーンショット3800)を表現するよう正規化した後に使用された要素分析のスクリーンショットである。いかなる周波数帯域も分析のために明らかにされ、使用することができる。
【0085】
適切な周波数の時間枠を確立した後で(例えば、周波数の重み付けをした後で)、1つ以上の時期のそれぞれのために情報を計算することができる。かかる情報には、低周波数出力(例えば、デルタ出力)、高周波数出力(例えば、ガンマ出力)、標準偏差、最大振幅(例えば、ピークの絶対値の最高値)およびその種類を含むことができる。さらに、ガンマ出力/デルタ出力、デルタの時間導関数、ガンマ出力/デルタ出力の時間導関数および同等物などの情報を作成する1つ以上の時期のそれぞれのために計算された情報についての計算をすることができる。時間導関数は、先行する時期および後続する時期にわたり算出することができる。情報を計算した後、その次に1つ以上の時期にわたりそれを正規化することができる。Zスコアの算出および同等物を含む様々なデータ正規化の技術を実施することができる。
【0086】
図12は、1つ以上の時期の例となる周波数出力を、時間を越えて重み付けをした後、図11に示した例となる一晩のEEGソースデータのスクリーンショットである。比較的高い周波数データは今では明確に視認できる。図13は、図12に示した例となる調整された一晩のEEGソースデータの2時間の時間枠のスクリーンショットである。図14は、図12に示した一晩のEEGスペクトル図内の高い(例えば、ガンマ)、および低い(例えば、デルタ)出力周波数帯域の例となる視覚化のスクリーンショットである。図15は、図14に示した高い、および低い出力周波数帯域の例となる視覚化の2時間40分の時間枠のスクリーンショットである。
【0087】
図16は、図12の一晩のEEGスペクトル図の例となる5次元パラメーター空間視覚化のスクリーンショットである。5つのパラメーター(例えば、変数)は、周波数に重み付けをした後、1つ以上の時期のそれぞれのために計算される情報である。図17は、図16に示した一晩のEEG視覚化の例となる5次元パラメーター空間視覚化の2時間の時間枠のスクリーンショットである。
【0088】
608では、対象における睡眠状態は、1つ以上の周波数重み付け時期に基づき分類する。例えば、1つ以上の周波数重み付け時期は、K平均法によるクラスタ化を含む多様ないかなるクラスタリング技法によってでもクラスタ化することができる。時期(例えば、デルタ出力、ガンマ出力、標準偏差、最大振幅(ガンマ/デルタ)、デルタの時間導関数、(ガンマ/デルタおよびその種類)の時間導関数から計算された情報についてクラスタ化を行うことができる。クラスタ化においてパラメーター空間(例えば、使用される情報のタイプ)を決定するために要素分析(例えば、PCAまたはICA)を使用することができる。
【0089】
クラスタ化に続き、睡眠状態の指示を時期に割り当てることができる。時期に指示された睡眠状態はその後、時期によって表される時間帯での対象における睡眠状態の描写として提示することができる。分類はまた、手作業で決定された睡眠状態を組み込むことができる(手作業で決定された「覚醒」対「眠っている」睡眠状態)。さらに、アーチファクト情報(例えば、運動データ、貧弱な信号データ、または同等物)は、分類において使用することができる。
【0090】
実施例8−例となる睡眠状態の分類技術
【0091】
時期が表す睡眠状態によって、時期を分類することができる。高周波数情報、低周波数情報、または高および低周波数情報の両方に基づき、正規化された変数(例えば、時期に対して計算された情報)により時期を分類することができる。例えば、REM睡眠状態の時期は、比較的高い周波数でのSWSより比較的高い相対出力、および比較的低い周波数でのSWSより比較的低い相対出力を有することができる。同様に、SWS睡眠状態の時期は、比較的高い周波数でのREMより比較的低い相対出力、および比較的低い周波数でのREMより比較的高い相対出力を有することができる。さらに、NREMおよびNSWS睡眠の両方として最初に分類された時期(例えば、高および低周波数のどちらにおいても低い相対出力を有する時期)は、中間睡眠として分類することができ、またREMおよびSWS睡眠の両方として分類された時期(例えば、高および低周波数のどちらにおいても高い相対出力を有する時期)は異常値をして分類することができる。さらに、NREMおよびNSWS睡眠の両方として最初に分類された時期は、中間段階I睡眠として分類することができ、またREMおよびSWS睡眠の両方として最初に分類された時期は、中間段階II睡眠として分類することができる。さらに、睡眠状態は、紡錘体、K複合波、および他の部分を探すために分類作業に分割することができる。1つの睡眠状態として最初に分類された時期のどんな群も、分類詳細のレベルの増加に従って、複数のサブ分類された睡眠状態に分割することができる。例えば、SWSとして分類された時期の群は、2つの特徴的なタイプのSWSとして差再分類することができる。
【0092】
実施例9−例となるアーチファクト分類技術
【0093】
アーチファクトデータ(例えば、運動データ、貧弱な信号データ、および同等物)はまた、睡眠状態分類に使用することができる。例えば、アーチファクトは、睡眠状態の指示が最初に割り当てられた時期が、隣接するアーチファクトデータのために新しい睡眠状態の指示を再割り当てるかどうかを分析するのに使用することができる。例えば、先行する運動アーチファクトまたは覚醒時期を有するREMの睡眠状態の指示が割り当てられた時期は、覚醒の睡眠状態の指示を再割り当てすることができる。さらに、例えば、時期は、覚醒状態の間の起こることが多い大きな運動アーチファクトよりもむしろ大きなSWS睡眠の時期を表す可能性が高いので、続いて起こるSWS時期を有するアーチファクト時期は、SWSの睡眠状態の指示を再割り当てすることができる。そのようにして、例えば、データ平滑化技術においてアーチファクトデータを使用することができる。
【0094】
実施例10−例となる平滑化技術
【0095】
睡眠状態を割り当てる間は、どんな様々なデータ平滑化技術も使用することができる。例えば、数字(例えば、0および1)を指示した睡眠状態を表すのに使用することができる。その次に、隣接する時期の睡眠状態の指示の数字を平均して、時期のうちの1つが不正確に睡眠状態の指示を割り当てられるかどうかを決定する。例えば、SWS−NSWS−SWS(およびREM−NREM−REM)からの突然の飛越しは、睡眠データでは稀である。したがって、時期の群が、睡眠状態において突然の飛越しを表す睡眠状態の指示を割り当てるならば、平滑化技術は、割り当ての正確さを改善するために適用することができる。
【0096】
例えば、0がSWSを表すシナリオでは、1はNSWSおよび隣接する5つの時期に存在する次の睡眠状態の指示を表し、00100、その後5つの睡眠状態の平均は0.2ということになる。このような場合では、1(SWS)の睡眠指示を最初に割り当てられて中間の時期は、0(NSWS)の睡眠状態の指示を再割り当てされることになる。同じ技術をREM対NREMのために使用してもよく、ここで同じ5つの隣接する時期のための第2のセットの睡眠指示が決定される。例えば、1はREMを表し、0はNREMを表し、また次の指示は、5つの隣接する時期、00100のために終了することができる。再び、5つの睡眠状態の平均は、0.2ということになる。再び、1(REM)の指示を最初に割り当てられた中間の時期は、0(NREM)の睡眠状態の指示を再割り当てすることになる。かかる平滑化技術は、睡眠状態の指示の割り当ての正確さを改善することができる。
【0097】
実施例11−対象における睡眠状態を分類するための例となる方法
【0098】
図7は、対象における睡眠状態を分類するための例となる方法をフローチャートに示す。例えば、方法700は、図5のシステム500内、図4のシステム400内または方法600の608を分類するすることにより実装することができる。
【0099】
702では、1つ以上の周波数重み付け時期を得る。例えば、方法600の606に重みをかけるステップから決定される周波数重み付け時期を得ることができる。
【0100】
704では、1つ以上の周波数重み付け時期は、クラスタ化される。例えば、1つ以上の周波数重み付け時期は、K平均法でクラスタ化するステップを含む、いずれかの様々なクラスタ技術によりクラスタ化することが可能である。クラスタ化するステップは、時期から算出された情報(例えば、デルタパワー、ガンマパワー、標準偏差、最大振幅(ガンマ/デルタ)、デルタの時間導関数、ガンマ/デルタ、およびその分類時間導関数)により実施することができる。クラスタ化された睡眠状態の例となる視覚化は、図18および19に示される。図18は、デルタ、ガンマ/デルタを介してクラスタ化された時期、およびデルタの時間導関数を示す。そのような方法において、REMのような時期は、視覚的に槍先に似た線を形成する。図19は、デルタを介してクラスタ化された時期、ガンマ/デルタ、および(ガンマ/デルタ)の時間導関数を示す。そのような方法において、SWSのような時期は、視覚的に槍先に似た線を形成する。さらに、睡眠状態をクラスタ化した例となる視覚化は、図20および21に示され、クラスタ化するステップは、主成分分析を介して派生したパラメーター(例えば、変数)を使用して実施された。
【0101】
706では、睡眠状態の指示を1つ以上のクラスタ化された周波数重み付け時期に割り当てる。例えば、徐波睡眠指示を低周波数で有意な相対的出力がある時期に割り当て、レム睡眠指示を高周波数で有意な相対的出力がある時期に割り当てる。例えば、REM睡眠は、SWSと比べると、ガンマ/デルタが高く、(ガンマ/デルタ)の時間導関数の絶対値が高い数値を示しのに対し、SWSは、REM睡眠よりもデルタが高く、デルタの時間導関数の絶対値が高い数値を示す。さらに、例えば、標準偏差は、睡眠状態の指示を割り当てるステップにおいて使用することができる。同時期に徐波睡眠指示およびレム睡眠指示の双方を割り当てることが可能である。そのような場合において、異常値または中間―2睡眠の新たな睡眠状態の指示に時期を再度割り当てることができる。別法として、非徐波睡眠指示およびノンレム睡眠指示の双方に時期を割り当てることができる。そのような場合において、中間睡眠または中間―1睡眠の新たな睡眠状態の指示に時期を再度割り当てることができる。例えば、高周波数がデルタおよびパラメーター空間デルタにより分割することにより発現する場合、異常値指示がREMとSWSとの間で交差することができる一方、ガンマ/デルタ、合成による分析(導関数(デルタ))、合成による分析(導関数(ガンマ/デルタ))、および、任意的に、標準偏差、および中間睡眠指示は、NREMとNSWSとの間で交差することができる。別法として、例えば、単独のデルタまたは標準偏差を有するデルタが、NSWSからSWSを決定するために使用され、単独のガンマまたは単独の合成による分析を有するガンマ(導関数(デルタ))または標準偏差を有するガンマは、NREMからREMを決定するために使用され、その後、中間―2睡眠指示がREMとSWSとの間で交差できる一方、中間―1睡眠指示は、NREMとNSWSとの間で交差できる。いずれかの様々なデータ平滑化技術は、睡眠状態を割り当てるステップの間、使用することができる。アーチファクトデータはまた、睡眠状態を割り当てるステップの間、使用することができる。
【0102】
708では、睡眠状態の指示は、1つ以上の時期により表された期間に対する睡眠状態の指示として示される。睡眠状態は、時間を越えて睡眠統計の形式で示すことができる。例えば、図28、29、30、31、および32は、時間の機能として、時期を指定した睡眠状態に対する睡眠統計の提示を表す。例えば、図28において、スクリーンショット2800は、対象に対する脳波検査データの夜間、時間ごとに各睡眠状態のタイプを百分率で睡眠状態の密度を表す。図29において、スクリーンショット2900は、毎時間にわたる各睡眠段階の平均発現の長さを表す。図30において、スクリーンショット3000は、毎時間にわたる各睡眠段階の発現数を表す。図31において、スクリーンショット3100は、毎時間の連続するREM睡眠状態の間隔で平均時間間隔を表す。図32において、スクリーンショット3200は、夜間にわたる期間の偏移を表す。
【0103】
さらに、1つ以上の周波数重み付け時期は、類似の睡眠状態の指示を有する1つ以上の時期により表される期間における対象に対する睡眠状態の標準的スペクトルの典型として表すことができる。例えば、同一の睡眠状態の指示を有するとして指定される時期のグループの中間内の時期を選択でき、そのスペクトルは、睡眠状態の標準的スペクトルとして表すことができる。別法として、類似の睡眠状態の指示を有する1つ以上の時期の平均加重出力に一番近い加重出力を有する時期を選択でき、そのスペクトルは、睡眠状態の標準的スペクトルとして表すことができる。例えば、図22、23、24、25、および26は、EEGスペクトル図データ分析に基づく、対象における様々な睡眠状態のための時期の例となる視覚化のスクリーンショット(例えば、スクリーンショット2200はSWS、スクリーンショット2300は、REM睡眠、スクリーンショット2400は、中間睡眠、スクリーンショット2500は、覚醒状態、スクリーンショット2600は一時的である)である。
【0104】
さらに、睡眠状態の指示は、成功に対して手動採点法の機能として示すことができ、品質尺度は、(例えば、単一変数および多変数一元配置分散分析、睡眠密度に対する各期間を算出する回帰係数、発現数、平均発現の長さ、サイクル時間、および同等のものを含む睡眠状態の指示分離の統計値)を示すことができる。品質尺度を示すステップの例となる視覚化は、図27に示される。スクリーンショット2700は、特徴的な睡眠状態の典型的な標準的スペクトルを区別する睡眠段階分離の程度の例となる視覚化を表す。例えば、独立成分分析(ICA)は、ICAを各睡眠状態に示された標準的スペクトルまたは平均スペクトルに適用することにより、現在の睡眠状態において睡眠段階分離の質を固定するために使用することができる。いずれかの様々な分類技術は、初期に睡眠段階分類の質を決定するために使用することができる。
【0105】
実施例12−睡眠状態から対象の病態を決定するステップの例となるシステム
【0106】
図8は、睡眠状態から対象の病態を決定するステップの例となるシステム800を示す。
【0107】
対象802に対する脳波検査データを取得し、対象806の病態を決定するために睡眠状態分析器804にそれを入力する。
【0108】
対象により示された睡眠状態から対象の病態を決定するための方法は、脳波検査データを分析するステップから決定したように、下記に詳細を記載した。
【0109】
実施例13−睡眠状態から対象の病態を決定するステップのための例となるコンピュータで実装される方法
【0110】
図9は、睡眠状態から対象の病態を決定するステップのための例となるコンピュータで実装される方法900を示す。コンピュータで実装される方法900は、図8のシステム800を利用することができる。
【0111】
902では、対象脳波検査データを得る。例えば、周波数スペクトル内の第2周波数帯域と比較して、周波数スペクトル内の少なくとも1つの低出力第1周波数帯域における出力に対するダイナミックレンジが低い事を示す脳波検査データを得ることができる。
【0112】
904では、脳波検査データは周波数分析で分析される。例えば、周波数分析は、方法200の調整204であることができる。
【0113】
906では、対象における睡眠状態は、周波数分析に基づいて割り当てられる。例えば、図7の睡眠状態を分類するための方法700は、対象における睡眠状態を割り当てるために使用することができる。
【0114】
908では、睡眠状態に基づいて、対象における病態を検出することができる。例えば、睡眠状態を個人のために取得し、睡眠状態が正常睡眠か異常睡眠であるかを決定するために分析することができる。異常睡眠は、病態を示すことができた。例えば、睡眠状態を病態を有する個人から取得し、病態を有する典型を表す例となる特徴的な「病態」睡眠状態の分析結果および/または睡眠状態の統計値を生成するために一般的な属性を分析することができる。そのような分析結果または統計値は、対象が病態または病態のいずれの初期指標を有するか否かを検出するために、対象に対して決定する睡眠状態を比較するために使用することができる。いずれの様々な病態を検出および/または分析することができる。例えば、睡眠関連の病態は、てんかん、アルツハイマー病、うつ病、脳損傷、不眠症、下肢静止不能症候群、および睡眠時無呼吸を含むことができる。例えば、睡眠ポリグラフ計によると、アルツハイマー病を患う対象は、認知症の範囲に比較してレム睡眠の減少を示すことができる。
【0115】
実施例14−対象に対する専用睡眠スコアを動的に決定するステップのための例となるシステム
【0116】
図10は、対象に対する専用睡眠スコアを動的に決定するステップのための例となるシステムを示す。
【0117】
データ収集装置1002は、睡眠期間から対象のために脳波検査データを取得することができる。
【0118】
データノーマライザー1004は、低出力の周波数情報を決定するために、脳波検査データにアクセスできる。
【0119】
データプレゼンター1006は、少なくとも低出力の周波数情報に基づいて対象の睡眠状態を示すことができる。
【0120】
図5の方法500、図6の方法600、図7の方法700など、対象の特別な睡眠スコアを動的に決定する方法がここに開示される。
【0121】
実施例15−模範的病態
【0122】
ここで開示される技術において、多様な病態は対象に関し取得されたソースデータから決定される。例えば、うつ病、脳損傷、癲癇およびアルツハイマー病は,対象に関して取得されたソースデータから決定された睡眠状態から決定される病態である。例えば、図39はここで開示される技術の用途の画面例3900で、アルツハイマー病を患う対象となるヒトから獲得された一晩のEEGからアルツハイマー病の特性を示す睡眠状態を決定する。
【0123】
実施例16−睡眠に影響を与える模範的薬物および化学物質
【0124】
ここで開示される技術において、対象睡眠状態への薬物および化学物質の影響は、対象から取得されたソースデータを分析することで決定される。例えば、睡眠状態はアルコール、ニコチンおよびコカインの使用によって変化する。睡眠に影響を与える模範的薬物は、ステロイド、テオフィリン、充血除去剤、ベンゾジアゼピン、抗鬱剤、モノアミン酸化酵素抑制剤(例えば、フェネルジンおよびMoclobemide)、選択的セロトニン再取り込み抑制剤(例えば、フルオキセチン(Prozac(R)の名称で流通))およびSertralie(Zoloft(R)の名称で流通)、チロキシン、経口避妊薬、降圧剤、抗ヒスタミン剤、神経弛緩薬、アンフェタミン、バルビツール酸系睡眠薬、麻酔薬、その他。
【0125】
実施例17−模範的睡眠統計
【0126】
ここで開示される技術において、多様な統計は調節されたソースデータから生成される。例えば、睡眠統計は睡眠状態に分類され調節されたソースEEGデータから生成される。模範的睡眠統計は、睡眠段階の密度、睡眠段階のエピソード数、睡眠段階の平均的持続時間、サイクル時間、睡眠段階の時間間隔、睡眠段階の分類統計,睡眠の開始、レム睡眠の潜時、動向回帰係数、動向の統計的優位性の測定、その他を含む情報を構成する。
【0127】
実施例18−ある期間にわたって対象の睡眠状態を決定する方法の模範的実施
【0128】
動物王国の主要分類群において、睡眠は共通し、偏在するが、あまり理解されていない。低いレベルの精神物理学的な知覚および運動タスクに関する人体研究から、睡眠が以下のタスク学習で見られる性能損失を修正するという証拠が多く提出されている(Karni et al.1994;Mednick et al.2002;Mednick et at.2003;Fenn et al.2003)。動物研究では、睡眠中の「再生」に関する証拠が提供されたが、この「再生」は性能の強化に関わる睡眠プロセスの中心的部分である。
【0129】
睡眠中、キンカチョウ(Taeniopygia guttataのrobustus archistriatalis;RA)神経細胞、鳴き声のシステムがさえずりのパターンを同時に繰り返し、その鳥の鳴き声の再生に反応することが最近わかった(Dave&Margoliash,2000)。キンカチョウの鳴き声の発達段階において、若鳥は成鳥などが鳴く新規の音声素材に触れた次の日から鳴き声のパターンを変化させる(Tchernichovski et al.2001)。決定的な証拠はないが、若鳥の鳴き声学習、または成鳥の鳴き声の維持には、睡眠が必要となり、または睡眠から利得を得ている。
【0130】
鳴き声学習または維持における睡眠の役割を調査するにあたり、スズメ目鳥の睡眠状態に関する限られた知識によって阻害される。前回の調査では、キンカチョウの異なる睡眠段階については報告されていない。(Nick&Konishi,2002;Hahnloser et al.,2002)対照的に、スズメ目鳥を含むその他の鳥に関する研究(Ayala−Guerrero et al.,1988;Szymczak et al.,1993;Rattenborg et al.,2004)では、この門におけるレム睡眠に関して報告された。さらに、ラットの海馬では、神経細胞の再生に関する異なるパターンが、異なる睡眠段階中に生じることが知られている。(Buzsaki,1989;Wilson&McNaughton,1994;Louie&Wilson,2001)従って、キンカチョウの睡眠段階について調査された。
【0131】
電極の種類、帯域および位置を決定するために、ウレタン(20%、約90 1.11、1時間)で麻酔をかけられた鳥で一連の急性実験がまず行われた。信号の振幅および信頼度によって判断された最適なEEGレコーディングは、小脳の接地とともに硬膜に接触した厚みのあるプラチナ電極(A−M systems、WA)を異なるように組み合わせて使用することで取得される。レコーディングおよび接地電極に関する定位の座標はそれぞれ以下のとおりである:(1.5R,3L)、(3R,2L)および(0.5C,OL)。
【0132】
それから5羽の鳥は麻酔をかけられ、3mmのL型プラチナ電極を前述の部位に埋め込まれ、その電極の後ろ2mmを硬膜に中間側面軸に沿って正接する。電極のインピーダンスは0.15Ohmsであった。半脳の浅い眠りを評定するために、3羽の鳥がニ方向EEG電極を埋め込まれる。電極は、デンタルアクリルで基部に固定され、上部コネクターに精銅ワイヤー(A−M systems,WA)で接着される。鳥は術後3日間が与えられ、レコーディング環境に慣らされる。
【0133】
レコーディング中、鳥の頭部につながった光のケーブルが頭上水銀電流転換器(Drangonfly Inc,WV)に接続される。このセットアップにより、鳥がケージ内で自由に動き回ることができ、抑制誘発ストレスは睡眠体系に影響を与えると知られていることから、動物を抑制することよりも望ましい(Altman et al.,1972)。16:8明暗サイクルの暗期に、睡眠中の鳥の直接的観察と電気生理学レコーディングが結合する。鳥は赤外線(IR)光を浴び、赤外線カメラ(Ikegama,Japan)で監視される。戦略的に接地された鏡により、目、頭および体の動きを監察することが容易になる。EEGは1Kによって増幅され、1kHzでサンプリングされ、1〜100Hzでフィルタリングされた。低周波数アーチファクトを示すある1羽において、データが2〜100Hzで漏れた。60Hzノッチフィルターも、信号−騒音率を改善するために使用された。
【0134】
データ分析において高い信頼性を得るために、データは手作業および自動で得られる。自動スコアリングは、3秒のEEG時期の視覚検査に頼り、同時に目、頭部および体の動きといった顕性行動もスコアリングされる。自動スコアリングはそれぞれの時期を、アーチファクトも含む、レム、ノンレムまたは覚醒と分類する。自動スコアリングは睡眠データに限られる。段階分類および単一チャンネルEEGデータの定量化に関する、睡眠パラメトリックEEG自動認識システム(SPEARS)が使用される。高スペクトル、時間的および統計的結果を統合するために1秒のスライディングウィンドウを利用して、EEGは200Hzまでダウンサンプルされ、直流フィルターされ、3秒間分析される。スペクトルの漏れを最小限に抑え、周波数領域の統計的結果を上げるために、EEC出力スペクトルが標準的なマルチテーパ推定法(Thomson、1982)に従って2つの直交テーパに対し計算された。
【0135】
1〜4Hz(デルタ)および30〜55Hz(ガンマ)周波数バンドは段階分類のため選択される。デルタおよびガンマ/デルタはそれぞれNSWS(非SWS)からSWSを、ノンレム睡眠かレム睡眠を分類するために使用される。分類は平均法クラスタリングアルゴリズムで実施され、追加変数:標準偏差およびデルタと(ガンマ/デルタ)の時間導関数の絶対値、の包含によって精錬される。それぞれの時期に、時間導関数は、Matlab"gradient"機能を利用して、前期および後期を算出する。最初の分類は、アーチファクト自由睡眠データによって実施される。その後、睡眠アーチファクトは、睡眠アーチファクトが第一前アーチフェクト自由時期(覚醒時期にはならず、さもなくばアーチフェクトは自動スコアリングで覚醒アーチフェクトと分類される)のスコアを得る覚醒時期でない限り、直後の第一非アーチファクト時期と同じスコアを帰する。本発明は自動スコアリングとの一致率を著しく減少することはなかった(表1)。睡眠アーチフェクトを除去またはスコアリングしないことが睡眠エピソードを縮めたり駄目にしたりすることで、計算された密度、平均値、時期の平均数、各段階の長さを変更してしまうため、睡眠アーチフェクトを含むことが大事である。
【0136】
最初の分類に続き、各時期のスコアは、5秒のスライディングウィンドウを使用することで容易になり、これは自動スコアリングによって分離されなかった短いアーチファクトによるスコアの堕落を最小限にするためである。レムまたはSWSとスコアされなかった時期は、中間(INTER)と分類される。逆に、レムおよびSWS両方に属するとされた時期は、外れ値と分類される。データでは、数少ない外れ値が見られる(表1)。
【0137】
レム、SWSおよび中間時期は、デルタ、ガンマ/デルタ、標準偏差と、デルタおよび(ガンマ/デルタ)導関数に定義された5次元スペースの主成分によって定義された3次元スペース(図20〜21)で視覚化できる(図16〜17)。それぞれの鳥は、5次元クラスタリングスペース上の多変量ANOVAは、レム、SWSおよび中間段階分類に対し、P<0.001を産出した。
【0138】
MATLAB"silhouette"機能を利用すると、SWS、レム、中間および覚醒時期の最も代表的な例は、自動的に発生する。(図22、23、24、25および26)
【0139】
手動および自動スコアリングの一致は、レム睡眠と評定されたそれぞれの時期を分類することで、手動または自動スコアリングがエラーであった場合のみ、算出される。手動および自動スコアリングの時間的結果を考えると、一般的一致率は極めて高い(表1)。
【0140】
自動分析に基づいて、段階密度(図28)、平均エピソード数(図30)と持続時間(図29)、中間REM間隔(図31)および段階移行(図32)が算出される(表1)。全ての分析はMatlab(MathWorks Inc,MA)で実施される。
【0141】
表1 5羽の鳥の5夜の睡眠の段階統計
【0142】
段階密度、平均エピソードの持続時間と数、および段階遷移が決定された。各段階から中間段階への遷移の割合と、中間段階からその他の段階への遷移の割合を示す。両半球にインプラントされた鳥(動物1〜3)に関しては、半脳の睡眠が報告され、EEGおよびビデオの目視検査、および異常値が無いことにより決定されるような、最も信頼性のあるデータを使用してその他の統計が半脳に対し計算された。段階密度に対し回帰係数が計算され、毎時間のREM間の間隔はSWSとREMの概日分布を反映する(*=[r2>0.5およびp<0.05]、§=[r2>0.5およびp=0.05]、£は時間2〜8に対し計算された値、εは時間1〜7に対し計算された値)。自動評価と手動評価の間の一致率は、アーチファクト除去あり/無しで決定された。
【表1】
【0143】
記録の分析は、キンカチョウが少なくとも3つの明確な睡眠の段階、つまりSWS、REMおよび中間的睡眠を表していることを示している。SWSは、デルタ帯域で顕著な出力を持った大振幅EEG信号があった(図14〜17)。REMは非常に小さい振幅の「覚醒状」EEG信号(図23)を特徴とし、典型的には約±30μVの、NREMよりも高い出力をガンマ(図14および15)に持ち、これは現在のところ哺乳類にのみ検出されている特徴である(Maloneyら、1997年;Canteroら、2004年)。中間の時期は非常に変わりやすい振幅があり、±50μV前後で、デルタ帯域にもガンマ帯域に顕著な出力はない(図14、15および24)。中間の段階は以前は哺乳類にのみ観察されていた(Gottesmannら、1984年;Glinら、1991年;KirovおよびMoyanova、2002年)。正常な概日パターンおよびシフトした概日スケジュールの鳥は両方とも、これら3つの睡眠段階を示した。
【0144】
SWSの時期は、夜の初期にはREMおよび中間のエピソードよりも長く、哺乳類型の分布に従い、一晩を通して持続時間が減少して(図29)、段階密度の全体的な減少へとつながる(図28)(表1)。
【0145】
NREMの間は、鳥はゆっくりと規則的に呼吸し、目と頭の動きは決まったパターンをとらずREMのものとは非常にはっきりと区別される。片方の目は開いており、もう一方の目は閉じているという例もいくつか見られた。開いた目の反対側の半球は低振幅高周波数EEGを示し、一方閉じた目の反対側の半球はSWSの揺らぎを示した。これらの半脳の睡眠の例が占める割合は、通常、暗期の5%未満であり(表1)、明期ではより高い頻度だった。そのような半脳の睡眠のパターンは、他の鳥の種、クジラ目、およびその他の海洋哺乳類に対して過去に検出されている(Mukhametovら、1984年;Mukhametovら、1987年;Szymczakら、1996年;Rattenborgら、1999年;Lyaminら、2002年)。
【0146】
典型的には、REMエピソードは、夜の初期には短く、一晩を通じて長くなっていく(図29)とともに、エピソードの数も増加していき(図30)、REM間の間隔は、一晩を通じて短くなっていく「哺乳類型」の傾向を示すようになる(図31)(表1)。REMは、その他の種に見られるように(Siegelら、1999年)、目や頭の微妙な単収縮運動と関連して確実に生じた。目の動きは、毎秒1サッカード程度であった。頭の動きはそれほど確実ではなかったが、発生したときには目の方向性のある動きに従う傾向があった。頭の動きは、何も装着していないそのままの動物において目の動きに関連して観察されたため、頭の動きは、REMの頸筋弛緩の間取り付けられたケーブルの重みによる頭の位置のずれに起因するものではなかった。
【0147】
中間の時期は短く、数が多かった。中間の状態は、通常、密度(図28)、時期の平均持続時間(図29)、および1時間あたりの平均エピソード数(図30)の点で、REMおよびSWSよりも一晩を通して安定していた。哺乳類の場合と同様、中間段階は一貫して(これに限定されるわけではないが)SWSとREMの間の遷移期として働いた(図32)(表1)。
【0148】
すべての鳥において、NREMでは、約500ミリ秒続く大きなピーク間のEEG過渡信号が検出された(図26)。これらの信号は、哺乳類のK複合波の記述(RowanおよびTolunsky、2003年)を連想させる。K複合波は、哺乳類以外の種においては過去に観察されていないようである。
【0149】
キンカチョウの睡眠EEGに関する過去の研究では、SWSのみが報告されている。この研究は、EEG電極を埋め込む適した場所を見つけることだけでなく、おそらくは習慣的な記録構成の性質から動物が拘束されず、また睡眠を誘発するためのメラトニンなどの薬剤の必要性を回避したために、NSWS(REMおよび中間段階)を検出することに成功している。ある研究(Mintzら、1998年)では、ハトにおいて、メラトニンの導入はSWSを誘発することが示されている。メラトニンがキンカチョウにおいても同様の効果を持ち、それにより観測可能な夜のNSWSの量が減少する(Hahnloserら、2002年)可能性があることは否定できない。
【0150】
データ分析技術は、REM睡眠検出の主要な差別化要素である、比較的低い出力における出力の変化を解決することを可能にした。また、自動化分析は、手作業による評価を、人間の評価者により容易に検出可能な覚醒状態およびアーチファクトに限定した。さらに、自動化EEG評価は、人間の偏りがデータ分析に反映し寄与する傾向がある、任意に定義された閾値、最尤法、あるいは監視非線形分類器には依存せず、全夜統計に依存した(Gervasoniら)。
【0151】
結果は、哺乳類型の睡眠特性が哺乳類と鳥類両方に同時に現れているということを示唆している。ここに開示されるデルタおよびガンマ出力活性間の相互にかみ合う基本パターン(図14および15)は、睡眠中に哺乳類の皮質に観察されるもの(Destexhe、ContrerasおよびSteriade、1999年)と極めて類似している。さらに、我々が観察した信号のいくつかは、明確に哺乳類の皮質に帰属されている(AmzicaおよびSteriade、1998年)。しかし鳥は大きな層状皮質に欠いており、皮質は哺乳類型睡眠特性の発達のせいぜい十分条件ではあっても必要条件ではない可能性を示している。逆に、鳥は確かに非層状形態の哺乳類皮質の相同体を有していると考えられる(Karten、1997年)。これらの極めて興味深い可能性のどちらが正しいのかを評価するには、今後細胞および分子レベルでの研究が必要であろう。
【0152】
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【0165】
【0166】
実施例19―ある期間にわたる対象の睡眠状態を決定するための典型的方法
【0167】
図35は、ある期間にわたる対象の睡眠状態を決定するためのさらに他の典型的方法3500を示す。方法3500は、ここに開示される様々な技術を取り入れている。
【0168】
実施例20―典型的変換技術
【0169】
時系列データにおける様々な周波数に対する出力を決定するための信号処理に使用されるデータ変換法は様々である。ここに開示されるように、変換法には、マルチテーパ変換、フーリエ変換、ウェーブレット変換が含まれてもよい。ソース信号において複数の時系列または時期で表現される様々な周波数に対する出力を測定するためのその他のいかなる変換法も使用することができる。
【0170】
実施例21―データのグループを区別するための典型的計算法
【0171】
データを明確に異なるクラスに区別するための信号計算処理に使用される、クラスタ化および分類の方法は様々である。ここで開示されるように、使用されるクラスタ化方法はK平均クラスタ化であるが、データのグループを区別するための信号計算処理であればいかなるものも使用できる。同様に、ここに開示されるように、成因分析(例えば、主成分分析や独立成分分析)などの分類法が使用される。
【0172】
計算方法の概要を以下に述べる。
【0173】
クラスタ化(またはクラスタ分析)は、クラスが事前に知られておらず、これらのクラスをデータから発見することを目標とする教師なし学習である。例えば、遺伝子発現プロファイルを使用して新たな腫瘍クラスを特定することは、教師なし学習の形態である。
【0174】
分類(またはクラス予測)は、クラスが事前に定義されており、ラベルを付けた対象のセットから分類の基本を理解し、将来のラベルなしの観測のための予測器を構築することを目的とする、教師あり学習である。例えば、悪性度を既知のクラスに分類することは、教師あり学習の形態である。
【0175】
クラスタ化:
【0176】
クラスタ化は、以下のようないくつかの明確に区別されるステップを伴う。
【0177】
対象間の適切な距離を拡散させる。
【0178】
クラスタ化アルゴリズムを選択し適用する。
【0179】
クラスタ化の手順は一般に、階層法とパーティション法の2つのカテゴリに分類される。階層法は分割(トップダウン)または凝集(ボトムアップ)となり得る。階層的クラスタ法は樹形図または系統樹を生成する。階層法により、すべての対象が一つのクラスタに収まる最小のセットから、それぞれの観測点がそれぞれのクラスタに収まる最大のセットまでの、クラスタの階層が提供される。
【0180】
パーティション法には通常、クラスタ数の指定が必要である。そして、対象をクラスタに割り当てる機構が決定されなければならない。これらの方法は、相互に排他的および包括的なグループの事前に指定された数kまで、データを分割する。この方法は、ある基準が満たされるまで、観測点をクラスタに繰り返し再割り当てする(例えば、クラスタ内の二乗和を最小化する)。パーティション法の例としては、K平均クラスタ法、Partitioning Around Medoids(PAM)法、自己組織化マップ(SOM)法、モデルベースのクラスタ法などがある。
【0181】
効率的で正確なアルゴリズムが使用できるということが大きく起因して、実践されているほとんどの方法は凝集型階層法である。しかし、どちらのクラスタ法も、それぞれに利点と欠点がある。階層法の利点としては、少なくとも凝集型クラスタ化では高速計算が挙げられ、また欠点としては、柔軟性がなく、その方法で以前下された誤った決定を後に訂正することができないことが挙げられる。パーティション法の利点は、そのような方法が最適性基準を(近似的に)満足するクラスタを提供できる点などであり、欠点としては、初期k値が必要であり、この方法では計算時間が長いなどが挙げられる。
【0182】
要約すると、クラスタ化は、以下を含む様々な理由により、分類よりも困難な問題である。
【0183】
ラベル付きの観測の学習セットがない。
【0184】
通常グループ数が未知である。
【0185】
暗黙的に、クラスタ法に使用される関連特性および距離測定値の両方をすでに選択していなければならない。
【0186】
分類:
【0187】
統計、機械学習、および心理統計学に関連する技術を使用することができる。分類器の例としては、ロジスティック回帰、判別分析(一次または二次)、主成分分析(PCA)、最近傍分類器(k−最近傍)、分類・回帰ツリー(CART)、マイクロアレイ、ニューラルネットワークおよび多項式対数線形モデルの予測解析、サポートベクトルマシン、集合分類器(バギング、ブースティング、フォレスト)、および進化アルゴリズムなどがある。
【0188】
ロジスティック回帰:
【0189】
ロジスティック回帰は、従属(応答)変数が二値変数(すなわち、通常いくつかの結果イベントの有無を表す2つの値(通常0または1で符号化される)しかとらない)であり、従属(入力)変数が連続的か分類別、あるいはその両方である場合に使用される、線形回帰の変化形である。例えば、医学研究においては、患者(患畜)は生存または死亡し、あるいは臨床サンプルはあるウイルスの抗体に対し陽性または陰性である。
【0190】
通常の回帰とは異なり、ロジスティック回帰は、従属変数の一次結合として従属変数を直接モデル化せず、また従属変数を正規分布しているとも仮定しない。代わりに、ロジスティック回帰は、説明変数の一次結合としてイベント発生の確率の関数をモデル化する。ロジスティック回帰に関し、このように確率を説明変数に関連付ける関数はロジスティック関数であり、これは説明変数の一次結合の値に対しプロットした場合、S字形状を有する。
【0191】
ロジスティック回帰は、ロジスティック回帰モデルをデータにフィッティングし、様々な説明変数パターンをそのフィッティングされた確率に基づき類別することにより、分類に使用される。その後、順次データの分類は、共変量パターンおよび推定された確率に基づく。
【0192】
判別分析:
【0193】
要約すると、判別分析は空間の点としてのサンプルを表し、そしてその点を分類する。線形判別分析(LDA)は、2つのクラスに属する点を最も良く分類する最適な平面を見つける。二次判別分析(QDA)は最適な(二次)曲面を見つける。どちらの方法もある種の分類エラーを最適化しようとするものである。
【0194】
フィッシャーの線形判別分析(FLDAまたはLDA):
【0195】
LDAは、群内平方和に対する群間平方和の比率の大きいデータの一次結合(判別変数)を見つけ、判別変数について平均ベクトルがxに最も近いクラスにより観測点xのクラスを予測する。LDAの利点としては、テストケースの予測されたクラスが最も近い平均を持つクラスである場合には単純で直観的であり、実際によい成果をもって実行することができる、ということが挙げられる。LDAの欠点としては以下が挙げられる。
【0196】
線形判別の境界が十分柔軟ではない場合がある。
【0197】
特性がクラス内で異なる分布を持つ場合がある。
【0198】
特性が多すぎる場合は、過度のパラメータ化と、パラメータ推定値の高い分散性に起因して、結果が急激に悪化する場合がある。
【0199】
再近傍分類器:
【0200】
最近傍法は、ユークリッド距離や、2つのデータセット間の相関関係を差し引いた距離など、観測点間の距離の測定値に基づく。K最近傍分類器は、観測点xを以下のように類別することにより機能する。
【0201】
xに最も近い学習セット内のk個の観測点を見つける。
【0202】
多数決によりxのクラスを予測する、すなわち、これらのk個の近傍点のうち最も一般的なクラスを選択する。通常、非常にうまくいくのは、k=1の単純な分類器である。無関係の変数、あるいは関係がほとんとない、もしくは全くない雑音の変数が非常に多いと、最近傍分類器の結果は著しく悪化する。
【0203】
分類ツリー:
【0204】
分類ツリーは、例えば、ある規則(特性変数閾値)に従って1つのサンプルを2つのサブサンプルに分割するのに使用される。それぞれのサブサンプルをさらに分割することも可能である。二分木構造の分類器は、サブセット(ノード)をその下の2つのサブセットに繰り返し分割するにより構築される。ツリーのそれぞれの末端のサブセットはクラスのラベルが割り当てられ、得られたパーティションは分類器に対応する。ツリー構築の3つの主要な側面には、分割の選択(各ノードで、不純物を最も減少させる分割が選ばれる)、ノード終端の宣言または分割の継続の決定(大きなツリーにするには、ツリーの枝を選択的に上方に払いサブツリーのシーケンスを減少させる)、各終端ノードのクラスへの割り当て(各終端ノードに対し、誤判別の確率の代替推定値を最小化するクラスが選ばれる)が含まれる。
【0205】
マイクロアレイの予測分析:
【0206】
これらの方法は、最近傍縮小重心(nearest shrunken centroid)法を利用する。各クラスの第1の標準化重心が計算される。そして、各クラスの重心が、全てのクラスの全体の重心に向かって、いわゆる閾値(ユーザーにより選ばれる)の分だけ縮小される。縮小は、重心を閾値の分だけゼロに向かって移動させること、ゼロにぶつかる場合はゼロと等価に設定することから成る。
【0207】
人工ニューラルネットワーク:
【0208】
人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルの主要な要素は、情報処理システムの新規な構造である。これは、神経細胞に類似し、シナプスに類似した重み付けされた結合により相互に繋がった、高度に相互接続された多くの処理要素より成る。すべての分類法と同様、一度ANNを既知のサンプルで学習させれば、サンプルを自動的に予測することができるようになる。
【0209】
サポートベクトルマシン:
【0210】
サポートベクトルマシンは、二値分類(パターン認識)および実数値関数近似(回帰予測)のタスクを実行する学習機械である。サポートベクトルマシンは、そのn次元入力スペースをより高次元の特性スペースに非線形的にマッピングする。この高次元特性スペースでは、線形分類器が構築される。
【0211】
集合分類器:
【0212】
この方法は、ばらつきのある学習セットのバージョンから構築された予測器を集めることにより機能する。分類では、多数決により予測器の複数のバージョンが集められる。ブートストラッピングは、元の学習セットと同じサイズのばらつきのある学習セットが、学習セットの非パラメトリックブートストラップ複製である、つまり学習セットから復元してランダムに引き出される、バギングの最も単純な形態である。パラメトリックブートストラッピングでは、多変量ガウス分布の混合に従い、ばらつきのある学習セットが生成される。ランダムフォレスティングはツリー分類器同士(または他のもの)との組み合わせであり、それぞれのツリーは、フォレスト内のすべてのツリーのランダムベクトルの値に依存する。ブーストでは、分類器は重み付けされた学習セットに対し構築され、以前の分類結果に依存する。まず、すべてのオブジェクトには等しい重みがあり、第1の分類器がこのデータセットに対し構成される。その後、その分類器の結果に従い、重みが変更される。間違って分類されたオブジェクトはより大きな重みがつけられ、次の分類器は再び重みをつけられた学習セットに対してブーストされる。このように、学習セットと分類器のシーケンスが得られ、次にそれが決定での単純な多数決または重み付けされた多数決により組み合わせられる。
【0213】
実施例22―典型的睡眠データプレゼンタ
【0214】
本明細書におけるいずれの実施例でも、睡眠状態データに基づき、電子形態または紙ベースの報告書を提示することができる。そのような報告書として、対象の特別な睡眠状態情報、睡眠状態統計、病的状態、睡眠に対する薬剤上および/または化学的効果などを挙げることができる。スクリーニングテストの推奨や行動の変化などもまた提示することができる。いくつかの実施例では、特定の睡眠データや低周波数情報の結果が示されているが、その他の睡眠データプレゼンタやデータの可視化が使用されてもよい。
【0215】
実施例23―対象の典型的睡眠状態情報
【0216】
ここに開示されるいかなる技術を用いても、様々な対象から典型的な睡眠状態の情報を取得することができる。図33は、麻酔をかけられたネコの、分析されたEEGスペクトルデータに基づき分類された麻酔状態の典型的な可視化の画面例3300を含んでいる。画面例3300では、例えば、SWS分類は深い麻酔状態に対応し、REM睡眠分類は軽い麻酔状態に対応し、INTER睡眠分類は中程度の麻酔状態に対応する。そのようにして、ここに開示される技術を使用してヒトまたはその他の哺乳類の対象における麻酔状態を決定することができる。図34は、分析されたEEGスペクトルデータに基づき分類されたヒトの対象における睡眠状態の典型的な可視化の画面例3400を含む。
【0217】
実施例24―技術の典型的な利点と応用
【0218】
このデータ分析が実行される速度、特別かつ教師なしの分析という性質、および以前に無視されたあるいは分析されていない低出力の周波数情報を抽出できるという能力により、様々な研究分野においてこの方法論は特に魅力的となっている。様々な数の状態、様々な数の識別規則、適合性のあるキャリブレーション、様々な時間分解能、および様々なスペクトル分解能を使用して、この技術は高い適合性をもつことができる。ソースデータを調整して調整ソースデータを生成することは、病的状態、ならびに薬剤上および化学的効果の試験における動物の信号データを分析することに特に適用可能である。本発明のいずれの実施例においても、低い周波数であるが極めて多様な周波数データを抽出し分析することができる(データの時間的パターンの発見など)。応用として、株式市場データの分析(価格変動が小さいことから他の場合では無視される一般的な変動性を決定するために、安値株を分析するなど)から、暗号化されたデータへのアクセス(音波のうち、低出力かつ非常に高いあるいは非常に低い周波数で記憶されるモールス信号データなど)、そしていくつかの空間周波数をもつ視覚映像の分析まで、多様な使用が挙げられる。同様に、ここに開示される技術は、生成された睡眠状態の情報による、対象の特別な睡眠品質の決定に使用することができる。
【0219】
本発明のいずれの実施例においても、一つのチャネルまたは複数のチャネルから受信したソースデータに本方法を使用することができる。本方法は、チャネル間の比較を行ないながら、複数のチャネルからのソースデータに独立して適用することができる。例えば、脳のそれぞれの半球から受信した独立したEEGチャネルデータから半脳の睡眠を決定することができる。図40は、鳥の脳のそれぞれの半球から受信した独立したEEGチャネルデータから決定された半脳の睡眠の画面例4000を示す。あるいは、本方法を複数のチャネルからのソースデータに同時に適用し、結合された複数チャネルのソースデータを分析することができる。例えば、対象のEEGチャネルデータとEMGチャネルデータを同時に分析して、覚醒状態対REM睡眠状態を決定することができ、それにより、EMGデータが高振幅に該当する場合、EEGデータ分析からREMに指定された睡眠状態を、覚醒睡眠状態として再割り当てすることができる。
【0220】
さらに、本発明のいずれの実施例でも、ノイズ除去ソース分離(denoising source separation;dss)などの方法を、ここで開示される方法と組み合わせて使用して、睡眠状態を決定することができる。例えば、dssは低周波数情報を使用してREM睡眠を決定することができる。
【0221】
ここに開示される技術は、特に低出力の周波数情報の分析に有益となり得るが、高周波数と低周波数が同じ出力分布をもつ信号などの様々な信号から、クラスタ化を行い睡眠段階を決定することにも適用可能である。また、スペクトル分析、段階分類および信頼性の尺度に関する技術を使用することができる。
【0222】
実施例25―典型的なデータ可視化
【0223】
ここに開示されるいずれの技術においても、典型的なデータ可視化は、そのデータの異なる側面を描写するために色を利用することができる。例えば、分類されたデータ(例えば、REM、SWS、INTERなどの睡眠状態の分類)は、その分類されたデータの可視化のために、それぞれの分類状態に色分けすることができる。あるいは、分類されたデータの可視化のために、グレースケールを使用してそれぞれの分類状態に分けることができる。
【0224】
実施例26−行動分析の例となるコンピュータシステム
【0225】
図36及び以下の説明は、上記解説したソフトウェアの適切なコンピュータ環境(例えば、コンピュータプログラム)の一般的かつ簡潔な解説である。上記解説した方法は、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムモジュールを構成)を実装する。プログラムモジュールは、タスクを実行するルーチン、プログラム、目的、要素及びデータを含み、上記解説した技術を実装するデータタイプを実行する。
【0226】
図36は、デスクコンピュータの基本的構成を図示しており、前記技術は別のコンピュータシステム構成、例えばマルチプロセッサーシステム、マイクロプロセッサを用いたまたはプログラム可能な消費荷電製品、ミニコンピュータ本体などに、実装される。前記技術は、パフォーマンスを高めるために処理装置と同時にタスクを実行する分散型コンピュータ環境にも利用される。例えば、タスクが同時に複数のコンピュータで実行される、単一コンピュータで複数のプロセッサーが実行される、またはその両方が可能である。分散型コンピュータ環境において、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモート記憶装置に設置される。例えば、コードは、インターネットを通じてアクセスのためにローカル装置/サーバー上に保管され、ここで分析からのデータがローカル装置/サーバーによりアップロードおよび処理され、その結果がプリントおよび/またはダウンロードされる。
【0227】
図36に図示されたコンピュータシステムは、ここで開示された前記技術を実装するのに適し、プロセシングユニット3621、システムメモリ3622、およびシステムメモリからプロセシングユニット3621を含む多様なシステム要素を相互に連結するシステムバス3623を有するコンピュータ3620を含む。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バスおよびバスアーキテクチャーを利用したローカルバスを含む数種類のバス構成を含む。システムメモリは、リードオンリーメモリ(ROM)3624およびランダムアクセスメモリ(RAM)3625を構成する。非揮発性システム(例えば、BIOS)はROM3624で保管され、例えばスタートアップ中パーソナルコンピュータ3620内の要素間で情報を伝達する基本的ルーチンを含む。パーソナルコンピュータ3620はさらに、ハードディスクドライブ3627、例えばリムーバルディスク3629から読み込むまたは書き込むための磁気ディスクドライブ3628、例えば、CD−ROMディスク3631から読み込むまたはその他光媒体から読み込むまたは書き込むための光ディスドライブを含む。ハードディスクドライブ3627、磁気ディスクドライブ3628および光ディスク3630は、ハードディスクドライブインターフェース3632、磁気ディスクドライブインターフェース3633および光ドライブインターフェース3634によってそれぞれシステムバス3623に接続されている。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、データ、データ構成、コンピュータ実行可能命令(ダイナミック・リンク・ライブラリおよび実行可能ファイルなどのプログラムコードを含む)、およびパーソナルコンピュータ3620に関連するその類の不揮発性記憶装置を構成する。コンピュータ可読媒体の上記解説は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスクおよびCDに言及しているが、磁気カセット、フラッシュメモリカード、DVDなどコンピュータが読み込み可能なその他媒体も含む。
【0228】
プログラムモジュールの多くはドライブおよびRAM3625に保管され、オペレーティングシステム3635、1つ以上のアプリケーションプログラム3636、その他プログラムモジュール3637およびプログラムデータ3638を含む。ユーザーは、キーボード3640およびマウス3642などのポインティングデバイスを通してパーソナルコンピュータ3620にコマンドおよび情報を入力する。その他のインプットデバイス(図示されず)は、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送用パラボラアンテナ、スキャナーなどを含む。前記および別のインプットデバイスは通常、システムバスに接続されたシリアルポートインターフェース3646を通してプロセシングユニットに接続されるが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)など別のインターフェースによっても接続される。モニター3647または別のディスプレイ装置も、ディスプレイコントローラーまたはビデオアダプター3648などのインターフェースを通してシステムバス3623に接続される。モニターに加え、パーソナルコンピュータは一般的に、スピーカーやプリンターなどその他周辺オウトプットデバイス(図示されず)を含む。
【0229】
上記コンピュータシステムは一例にすぎない。前記技術は、多様な構成で実装することが可能である。さらに、ソースデータを収集および分析する多様なアプローチが可能である。例えば、データは収集分析され、結果は適切に異なるコンピュータ上で現れる。それに加え、ハードウェアでは多様なソフトウェアアスペクトが実装可能であり、またその逆も可能である。さらに、前記技術への紙面上のアプローチも可能であり、例えば、アルゴリズムの解釈に関する説明を活用する純粋な紙面上のアプローチや、スキャニング技術およびデータ分析ソフトウェアを活用する一部紙面上のアプローチがある。
【0230】
実施例27−例となるコンピュータ実装法
【0231】
ここで開示されるコンピュータ実装方法は、自動システムのソフトウェアによって稼動されたソフトウェアにより実行される(例えば、コンピュータシステム)。完全自動(例えば、ヒトの介在なく)または半自動オペレーション(例えば、ヒトの介在によるコンピュータプロセシング)がある。パラメーターの調整または結果の熟考など、ユーザーの介在が望ましい場合もある。
【0232】
前述のソフトウェアは、前述した機能を実行するためにコンピュータ実行可能命令を含む1つ以上のコンピュータ可読媒体上に、記憶される。前述の媒体は有形(例えば、身体の)媒体である。
【0233】
例となる実施態様において本発明の本質を図示および解説したが、当該技術分野に従事するものには解説された実施例が例証であることは明らかであり、本発明の本質から逸脱することなく配置および詳細において変更が可能である。前記実施例の技術は1つ以上の別の実施例と組み合わせが可能である。
【0234】
別の実施態様では、ダイナミックレンジをさらに増大させる二重正規化を利用する。この実施態様は、鳥を対象としている前述の実施態様よりも、ヒトの睡眠を対象にしたデータを解説、重要視している。さらに、前述の実施態様において上記に解説された用途、正規化の技術およびクラスタリングは、当該実施態様にも同等に適用可能である。
【0235】
本実施態様は、前述の実施態様の多くの特徴を活用し、改良を加えた。本実施態様は、脳波の動きを分析する。脳波からの信号、例えばEEGは、脳波の周波数がfである時、脳波の出力量が1/fに比例する指標を辿る。出力量は逆に周波数に比例する。前述の実施態様を参考にして解説したとおり、信号の高い周波数部分は振幅電圧が低いため、1/fスペクトル分布は信号の高い周波数部分を不明瞭にする傾向がある。
【0236】
元来、EEGを表す脳波を観察する人間は、高い周波数と相対的な、実質的情報を確かなものとできない。この理由の多くを本発明者が仮定した。1つの理由には、脳波活動の高い周波数は頭蓋骨から浸透するが、これは頭蓋骨の身体構造が低域通過フィルターとして働くからである。
【0237】
前述の実施態様は、例えばZスコア(を算出する)を利用して、どのように正規化が脳波信号からの情報を分析するかを解説する。前記に実行された分析は周波数の出力情報を正規化する。正規化するにはZスコア(を算出する)を利用するのが望ましいが、別のデータ正規化も利用可能である。利用された正規化はZスコア(を算出する)など単位なしが望ましい。当該技術分野では周知のZスコア(を算出する)は分布の包絡線の形を変化させずに、分布を正規化するために使用される。Zスコア(を算出する)は本質上、標準偏差へと変化する。ユニットを正規化したそれぞれのZスコア(を算出する)は信号の平均と相対的な信号の出力量を反映する。スコアは、それぞれの平均偏差から平均を引いて、平均偏差フォームに変換される。そしてスコアは標準偏差と相対的に正規化される。Zスコアで正規化された全てのユニットは1と同等の標準偏差を有する。
【0238】
上記は、Zスコアを使用した正規化を述べているが、Tスコアなど、その他の正規化も実行可能であることを理解されたい。
【0239】
上記実施態様は、特定帯域内における毎周波数の出力の正規化を解説する。帯域は、0〜100hz、または128hz、500hzまでの範囲となる。周波数の帯域はサンプリングレートによってのみ限定される。例となる30KHzのサンプリングレートでは、15KHzまでの分析が可能である。
【0240】
本実施態様に従って、追加の正規化が実行され、ここでそれぞれの周波数に関し時間を越えて出力を正規化する。周波数および時間を超えて正規化された情報に関する結果は、二重正規化スペクトル図を作成するために使用される。
【0241】
この実施態様は、脳波データから追加の情報を取得し、分析されたデータから自動的に睡眠の異なる段階を検知することを解説する。検知される睡眠の段階は、徐波睡眠(SWS)、レム睡眠(REM)、中間睡眠(IIS)および覚醒状態を含むがこれに限らない。重要な特性によると、脳波活動の単一チャネル(ヒトの頭蓋骨上の単一部から取得される)が分析に用いられる。
【0242】
図41のフローチャートに従ってオペレーションが実行され、これは本明細書で記載されたどのコンピュータでも、またネットワークを渡ってでも、またはその他の別の方法においても、実行可能である。4100でデータが取得される。前述のとおり、取得されたデータはヒトまたはその他の対象からのEEG情報の1つのチャンネルとなり得る。取得されたEEGデータは、例えば256Hzサンプリングレートを利用して収集され、高周波率でサンプリングされることができる。データは例えば30秒時期など時期に分類することができ、周波数によって特徴をなす。
【0243】
4110で、第1の周波数の正規化が実行される。出力情報は各周波数ビンのZスコア(を算出する)技術を利用して正規化される。実施態様において、ビンは1〜100Hzまで拡張し、30ビン/Hzである。正規化は時間を超えて実行される。これにより正規化されたスペクトル図またはNSが作られ、これは信号からの各周波数帯域に実質上同じ重みをかける。実施態様において、各30秒時期は、その時期で最大のZスコアを有する周波数である「望ましい周波数」を表す。
【0244】
これにより、望ましい周波数空間と呼ばれる特別な周波数空間を作る。図42Aは未加工のスペクトル図を、図42Bは正規化されたスペクトルを示す。それぞれの時期は、例えば図43の30秒分割または図44の1秒スライディングウィンドウは、最大Zスコアを有する周波数で表される。図44は、どのように異なるパターンに広く分離されるかを示す。
【0245】
これらのパターンがどのように形成されたかを分析することで、パターンの特徴の分析が可能となる。例えば、Wまたは覚醒状態はアルファ帯域、7〜12Hzまたはベータ帯域(15〜25Hz)と特徴づけられた分析によって見出される。
【0246】
中間睡眠は1〜4Hz帯域のデルタ値および12〜15Hzのスピンドル周波数を示す。中間睡眠は、高い周波数の活動およびガンマ帯域3〜90Hzも示す。驚くべきことに、レム睡眠はデルタおよびシータ周波数で小型帯域を確定し、短期変動睡眠は広域スペクトル活性に支配されている。
【0247】
異なる睡眠状態はゆえに判別関数に従って画定され、ここで判別関数は特定部位で特定の活性をおよび別の部位で不活性を求める。どの部位の周波数が活性を有し、また有さないかで、前記関数は睡眠状態を評価する。
【0248】
より一般的には、ダイナミックスペクトルスコアはどれも補正データ上で実行される。判別関数は、複数の周波数帯域においてそれぞれ、特定値を必要とするか、特定の活性度の有無を単に必要とするかもしれない。判別関数は単に周波数対応の包絡線に一致するかもしれない。判別関数はスペクトルおよびフラグメンテーションおよび時間的なフラグメンテーションに注視する。
【0249】
4120は、周波数を越えて実行する第2の正規化を示す。4120での第2の正規化は二重正規化スペクトルを形成する。これは、帯域がより明瞭である新たな周波数空間を生み出す。第2の正規化は図42Cで示され、明るい部位の帯域は正値を、暗い部位の帯域は負値を表している。
【0250】
二重正規化スペクトルは、空間内で値を最大限に分離するフィルターを形成するために使用される。図43は、時間の関数において望ましい周波数のグラフを示し、周波数の異なるクラスタを表す。
【0251】
4130は、二重に正規化された周波数上で実行されたクラスタリング技術を示す。例えば、クラスタリング技術は、前述の実施態様で解説されたK平均法がある。図43で図示されるとおり、クラスタはグループを構成する。図44は、異なる状態の間の域、例えば帯域4400がどのように複数の異なるクラスタを構成するかを図示する。各クラスタは睡眠状態を示す。
【0252】
クラスタは、実際複次元クラスタであり、図45で図示されるように、クラスタ自体が追加情報を発見できるようグラフ化される。次元数は、クラスタ変数の数値による。これは、どのように二重正規化スペクトル図がより多くの測定特徴を有するかを示す。図45は実際異なる特徴の3次元グラフであり、異なる状態を検知する。分析はしかし、徐波睡眠が、時間および周波数に関し、レム睡眠または覚醒状態よりも安定していることを明らかにした。中間睡眠はしばしば徐波睡眠への中間的存在となる。
【0253】
平均の測定は周波数を越えて正規化された出力で広がり、スペクトルフラグメンテーションを表す図46で図示される通り、スペクトルフラグメンテーションが可能であることを示す。フラグメンテーション値は、異なる状態において時間的なフラグメンテーションに基づき、判別関数の一部として活用される。
【0254】
例えば:
【0255】
NSおよび2NS値にそれぞれ対応するZおよびZZを使用:
【0256】
w_filter=mean(ZZ(12−15Hz))+mean(ZZ(1−4Hz))+mean(ZZ(4−7Hz)).
【0257】
nrem_filter=mean(ZZ(60−100Hz))+mean(ZZ(4−7Hz))−[mean(ZZ(12−15Hz))+mean(ZZ(25−60Hz))+mean(ZZ(15−25Hz))]
【0258】
sws_filter=mean(Z(4−7Hz))+mean(Z(7−12Hz))
【0259】
フラグメンテーション値は以下の通りである:
【0260】
Spectral_frag=mean(abs(grad_f(ZZ(1−100Hz))));
【0261】
Spectral_temp=mean(abs(grad_t(ZZ(1−100Hz))));
【0262】
grad_fおよびgrad_tが2次元隣接グラディエントZZに一致する場所。
【0263】
この2つの関数は、二重に正規化されたスペクトル上で評価され、ノンレム睡眠におけるアーチファクト運動で発生した全ての周波数において、均一上昇を利用し、Wは単独に正規化されたスピクトルにおいて異常に上昇したフラグメンテーション値を引き出す。
【0264】
これらのフラグメンテーション値は判別関数の一部として利用される。重要なことは、上記に説明した通り、判別関数は一般的に手動技術を含む前記の分析技術からは明確にならない。
【0265】
計算は分割によって特徴付けられ、また重複時間枠またはスライディングウィンドウを利用し、時間的な登録を増加させる。これにより、多くの技術がこれまで実現可能となってきた。オンザフライを特徴づけることによって、ダイナミックスペクトルスコアを利用した睡眠状態と、脳波信号だけを利用した覚醒状態とを区別することが可能となった。
【0266】
別のアスペクトは、自動的にEEG情報を取得する機械、およびEEG情報を分析し睡眠状態に関する情報を決定するコンピュータを含む。例えば、前記情報は実際の睡眠状態または睡眠状態のその他の部分を含む。前記コンピュータは、睡眠状態を示す情報を記憶する不揮発性メモリを含み、睡眠状態を示す情報をリモート装置で伝達するワイヤレスネットワーク接続を含む。ユーザーは、睡眠を特徴づけるために、機械または前記機械に接続された電極を着用できる。
【0267】
上記は、情報が睡眠状態を決定するためにどのように利用されるかを説明している。これらの技術は睡眠状態を特徴づけるその他のアプリケーションおよびその他の技術に利用される。アプリケーションは患者が各自の睡眠状態および睡眠状態に基づく脳機能の変化として予め決定された変数に基づき、特定の薬剤を服用するかの決定を含む。別のアプリケーションは、アルコールの消費を決定する脳波信号を分析するが、例えば「アルコール検出器」として使用されるシステムの構築などである。
【0268】
一般構成および技術、さらにより一般的な目標を実現する異なる方法を遂げるために用いられるより特定の実施態様が、本明細書で開示される。
【0269】
上記で詳細を開示している実施態様は少数であるが、その他の実施態様も可能で、本発明者は本明細書にその他の実施態様が含まれると解釈する。本明細書は別の方法で成されるより一般的な目標を実現する特定の実施例を解説する。本開示内容は、例となることを目的とし、請求項は当該技術分野において通常技量を有する人には予測可能でる変更または代替案を含むと指定する。例えば、他の用途は可能であり、その他の判別関数および特性も可能である。上記は「望ましい周波数」に関して周波数を特徴づけるよう広範囲にわたり解説しているが、情報のより正確な特性も可能であることに留意する。また、上記はEGGデータより睡眠状態を決定することおよび睡眠状態の決定の異なる種類にのみ言及しているが、別の用途も熟考されることを理解する。
【0270】
また、本発明者は「〜する方法」という用語を用いた請求項は35 USC 112第6節で解釈されることを意図する。さらに明細書からの非限定は、請求項において限定について表記されていない限り、どの請求項にも適用される。
【0271】
本明細書で開示される前記コンピュータは、一般用途またはワークステーションなど特定用途のどのコンピュータでも可能である。前記コンピュータは、WindowsXP、LinuxまたはMacintoshコンピュータを搭載するペンティアムクラスのコンピュータでもよい。前記コンピュータは、PDA、携帯またはラップトップなどの携帯用コンピュータでもよい。
【0272】
プログラムはC、Java、Brew、またはその他プログラミング用語で書かれている。プログラムは、磁気、光またはコンピュータハードドライブ、リムーバブルディスク、メモリースティック、SD媒体またはリムーバブル媒体などの、記憶媒体に内在する。プログラムはネットワークをサーバーまたは本明細書に記載するオペレーションを実行するためにローカル機械に信号を伝達するその他機械を利用して、ネットワークを動かす。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2005年5月10日に出願された米国仮出願番号60/679,951に対する優先権を主張する。先行出願の開示は、本出願の一部である(さらに参照により援用される)と解釈される。
【背景技術】
【0002】
睡眠状態やその他の脳の活動は一般に、脳波検査またはEEG信号で分析される。人が眠りに就くと、脳の活動が変調され、異なる睡眠の深さや段階を表す。典型的な人では、睡眠状態は、徐波睡眠またはSWSとして知られる第1の睡眠状態から始まり、経時的に遷移する。SWSでは、低周波数高出力EEG活動がある。睡眠は、いわゆる中間的睡眠状態へと軽くなる。他の睡眠状態はレム睡眠として知られ、低出力EEG活動を特徴とする。
【0003】
EEG信号は、比較的高い周波数の信号が比較的低い振幅、つまり比較的低い出力を有する分布に従う。このいわゆる1/f分布は、最も低い周波数で最も高い振幅が現れることを意味する。
【0004】
睡眠段階を決定するためのEEG信号は、従来Rechtschaffen−Kales法で分析されてきた。この方法は、低出力の周波数に対する自動信号分析技術の限界に起因して、手作業での睡眠EEG信号の評価に依存することがある。Rechtschaffen−Kales法は、統計学的に有意な高周波数でのシフトは、非常に低い振幅に起因して、通常人間の評価者には検出不可能であるため、非常に信頼性が無く時間のかかるものとなり得る。さらに、Rechtschaffen−Kales法は、時間および空間分解能が低い傾向があり、すべての変数を知ることができるわけではなく、また、手動あるいは自動で評価したかにかかわらず、ユーザー間の一致率が低くなる。残念ながら、人工ニューラルネットワーク分類子などの代替となる睡眠状態決定法は、通常複数のチャネルに依存し、かつ人間の能力に従う傾向があるため、品質を大幅に向上させることなく決定の時間を改善するものである。
【発明の開示】
【0005】
本出願は、データ内の情報のダイナミックレンジを増加させるために、脳波の活動を示す正規化するデータを説明する。
【0006】
実施態様は、睡眠状態を自動的に決定するためのこの情報を使用して説明する。睡眠の質、病態、および投薬効果を自動的に評価する他の適用を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0008】
【図2】ソースデータを調整するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0009】
【図3】時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0010】
【図4】対象の睡眠状態の情報を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0011】
【図5】対象の睡眠状態の情報を決定するための別の例となるシステムのブロック図である。
【0012】
【図6】対象での睡眠状態を決定するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0013】
【図7】対象での睡眠状態を分類するための例となる方法を示すフローチャートである。
【0014】
【図8】睡眠状態からの対象の病態を決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0015】
【図9】睡眠状態に基づく対象の病態を決定するためのコンピュータを実装した例となる方法を示すフローチャートである。
【0016】
【図10】対象のためにカスタマイズ化された睡眠スコアを同時に決定するための例となるシステムのブロック図である。
【0017】
【図11】例となる一晩のEEGソースデータ周波数出力スペクトル図のスクリーンショットである。
【0018】
【図12】例となる調整技術を適用した後で、図11に示す例となる一晩のEEGソースデータのスクリーンショットである。
【0019】
【図13】図12に示す、例となる調整された一晩のEEGソースデータの2時間枠のスクリーンショットである。
【0020】
【図14】図12に示す、一晩のEEGスペクトル内の高出力および低出力の周波数帯域の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0021】
【図15】図14に示す、一晩のスペクトル内の高出力および低出力の周波数帯域の例となる視覚化の2時間40分の時間枠のスクリーンショットである。
【0022】
【図16】図12の一晩のEEGスペクトルの例となる5次元パラメーター空間視覚化のスクリーンショットである。
【0023】
【図17】図16に示す一晩のEEG視覚化の例となる5次元パラメーター空間視覚化の2時間の時間枠のスクリーンショットである。
【0024】
【図18】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0025】
【図19】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の別の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0026】
【図20】EEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態のさらに別の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0027】
【図21】図20のEEGスペクトルデータに基づき分類された睡眠状態の例となる視覚化の別の有利な点からのスクリーンショットである。
【0028】
【図22】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図23】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図24】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【図25】一定期間対象における特徴的な睡眠状態に指示される周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【0029】
【図26】2つ以上の睡眠状態の特徴を有する過渡的な睡眠状態を示す周波数重み付け時期を表す標準的スペクトルのスクリーンショットである。
【0030】
【図27】特徴的な睡眠状態の代表となる標準的スペクトルを区別する睡眠段階分離の程度の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0031】
【図28】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図29】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図30】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。、
【図31】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【図32】1つ以上の時期の睡眠状態の指示に従い、対象に対する睡眠状態の統計値の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0032】
【図33】EEGスペクトルデータに基づき、麻酔ネコの分類された麻酔状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0033】
【図34】EEGスペクトルデータに基づきヒト対象の分類された睡眠状態の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0034】
【図35】説明した技術で実装することができる、対象における分類睡眠状態のためのさらに別の例となる方法を示すフローチャートである。
【0035】
【図36】説明した技術で実装することができる、例となるコンピュータシステムである。
【0036】
【図37】情報を抽出するために、適切な周波数の時間枠をさらに決定するよう正規化されたスペクトル図に適用される、単独の要素分析の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0037】
【図38】何時間にもわたり、図37の単独の要素の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0038】
【図39】アルツハイマー病を患うヒト対象からの一晩のEEG視覚化の周波数帯域の例となる5次元パラメーター空間視覚化の6時間30分の時間枠のスクリーンショットである。
【0039】
【図40】鳥からの分類された半脳睡眠の例となる視覚化のスクリーンショットである。
【0040】
【図41】二重正規化を使用する別の実施態様の動作のフローチャートを例証する。
【0041】
【図42a−42c】生のスペクトル図、単一の正規化されたスペクトル図、および二重正規化されたスペクトル図をそれぞれ示す。
【0042】
【図43】時間の経過に対して望ましい周波数を示す。
【0043】
【図44】これらの周波数のダイアグラムを示す。
【0044】
【図45】データの3次元ビューを示す。
【0045】
【図46】周波数のスペクトルフラグメンテーションのグラフを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本システムの一つの重要な認識は、EEG信号における低周波数帯域は時折最も多くのエネルギーを有し、それ故、多くの研究者に、そのような低周波数帯域を誤って過度に分析させる結果となることである。しかしながら、これらの比較的低い周波数において出力の増大が発見された一つの理由は、発明者により、頭がい骨の低域通過の特徴となることが発見されたことである。他の理由もまた、比較的低い周波数における出力の増大に貢献する場合もある。
【0047】
取得されたEEG信号は、低出力の周波数信号であり、信号での出力が周波数に逆に関連、例えば、反比例する1/f分布に附随する。
【0048】
EEG信号は通常、時期と称される連続インクリメントにおいて時間内に調査されている。例えば、睡眠を分析するためのEEG信号を使用する場合、睡眠を、分析に使用する1つ以上の時期に分割してもよい。走査の時間枠を使用して、時期を異なる区分に分割することができ、ここで走査の時間枠は、時系列のインクリメントの異なる区分を画定する。走査の時間枠はスライディングウィンドウを経て移動することができ、ここでスライディングウィンドウの区分は、重複時系列の順序を有する。あるいは、時期は、例えば、全体的な時系列にわたることもできる。
【0049】
本出願に従い、睡眠状態の異なる形態を測定してもよい。行動的、身体的、信号的特徴を表す区別できる睡眠または覚醒状態として睡眠状態を説明する。本出願において参照される睡眠状態には、徐波睡眠またはSWS、レム睡眠またはREM、インターまたはIS状態とも称される中間睡眠状態、および覚醒状態が含まれる。覚醒状態は、実際には睡眠状態の一部である場合もあり、また覚醒状態は、不眠症によって記銘力または覚醒レベルに特徴付けることもできる。中間睡眠はまた、中間−1睡眠および中間−2睡眠として特徴付けることもできる。
【0050】
アーチファクトはまた、EEGを獲得する間に取得してもよい。アーチファクトは、EEGを不正確に伝えるデータである。例えば、EEGに登録した使用者体内の動きはアーチファクトである場合がある。アーチファクト例には、筋収縮などが含まれる。
【0051】
実施例1−例となるソースデータ
【0052】
本明細書に説明される任意の実施態様では、脳波検査(EEG)データ、心電図記録データ(EKG)、電気眼球図記録データ(EOG)、筋電図検査データ(EMG)、局所電場電位(LFP)データ、スパイク列データ、音波および圧力波を含む波動データ、1/f分布などのデータの周波数スペクトルにわたる多様な周波数のための出力のダイナミックレンジにおける差異がある場所を示すどんなデータをも含む多様なソースデータを分析することができる。ソースデータには、ソースデータ内の低出力の周波数で保存されたコード化されたデータを含むことができる。
【0053】
実施例2−少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定する例となるシステム
【0054】
図1は、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定するための例となるシステム100を示す。
【0055】
少なくとも1つの低出力の周波数帯域102を有するソースデータを取得し、ソフトウェア104に入力して低出力の周波数情報106を決定する。
【0056】
ソフトウェア104は、本明細書で説明するような技術のいかなる組み合わせも使用することができ、ソースデータのための低出力の周波数情報106を決定する。
【0057】
少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータから低出力の周波数情報を決定する方法を以下に詳細を説明する。
【0058】
実施例3−ソースデータを調整するための例となる方法
【0059】
図2は、ソースデータを調整するための例となる方法200を示す。例えば、方法200は、図1のシステム100内に実装することができる。
【0060】
202では、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有するソースデータを受信する。例えば、対象に対する脳波検査ソースデータを受信することができる。ソースデータは、単一のチャネルまたは複数のチャネルを経て受信することができる。
【0061】
204では、ソースデータは、2番目に高い出力周波数帯域ソースデータと比較して、ソースデータの周波数スペクトルの少なくとも1つの低出力の周波数帯内の出力に対するダイナミックレンジを増加させるよう調整する。正規化および周波数重み付けを含み、本明細書に説明する多くの調整技術を使用することができる。実施態様では、脳波検査のソースデータは、比較的高い出力で、比較的低い周波数帯域データと相対的な低出力で、比較的高い周波数帯域データを増加させるよう正規化し、より一般には、異なる信号部分の出力を正規化する。
【0062】
ソースデータを調整した後で、様々な他の処理を使用することができる。例えば、調整されたソースデータの視覚化を与えることができる。さらに、低出力の周波数情報は、調整されたソースデータから抽出することができる。例えば、低出力の周波数情報は、調整された脳波検査ソースデータから抽出することができる。比較的高い出力周波数情報もまた、調整されたソースデータから抽出することができる。
【0063】
この実施例または他のいかなる実施例に説明した方法は、1つ以上のコンピュータ−可読の媒体でのコンピュータで実行可能な命令を経て実行されるコンピュータに実装される方法であってもよい。示しているいかなるアクションも、信号処理システムまたは他のどんな信号データ分析システム内に組み込まれるソフトウェアによって実行することができる。
【0064】
実施例4−時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法
【0065】
図3は、時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するソースデータを調整するための例となる方法300を示す。例えば。方法300は、図1のシステム100内に実装することができる。
【0066】
302では、少なくとも低出力の周波数帯域を有するソースデータを受信する。例えば、少なくとも1つの低出力の周波数帯域を有する脳波検査データを受信することができる。前記データでのアーチファクトはソースデータから除去することができる。例えば、アーチファクトデータは、ソースデータから手作業で除去する、またはフィルタリング(例えば、DCフィルタリング)またはデータ平滑化技術によってソースデータから自動的にフィルタリングすることができる。ソースデータはまた、要素分析により前処理することもできる。
【0067】
304では、ソースデータは1つ以上の時期に分割され、ここでそれぞれの時期は、前記シリーズからのデータの一部である。例えば、ソースデータは、様々な分離技術によって複数の時間区分に分割することができる。走査の時間枠およびスライディングウィンドウは、ソースデータを時系列インクリメントに分離させるのに使用することができる。
【0068】
306では、時間を越えて1つ以上の時期の出力における差異のために1つ以上の時期を正規化する。例えば、1つ以上の周波数でのそれぞれの時期の出力は、時間を越えて正規化し、抽出情報のための適切な周波数の時間枠を決定することができる。かかる正規化は、低出力の、1つ以上の周波数(例えば、デルタ、ガンマ、および同等物)での出力における統計的に重要な変化を明らかにすることができる。いかなる周波数帯域でも、分析するために明らかにされ、また使用することができる。適切な周波数の時間枠を確立した後で、1つ以上の時期のそれぞれのために情報を計算することができる。かかる情報には、低周波数出力(例えば、デルタ出力)、高周波数出力(例えば、ガンマ出力)、標準偏差、最大振幅(例えば、ピークの絶対値の最高値)およびその種類を含むことができる。さらに、ガンマ出力/デルタ出力、デルタの時間導関数、ガンマ出力/デルタ出力の時間導関数および同等物などの情報を作成する1つ以上の時期のそれぞれのために計算された情報についての計算をすることができる。時間導関数は、先行する時期および後続する時期にわたり算出することができる。情報を計算した後、その次に1つ以上の時期にわたりその情報を正規化することができる。Zスコアの算出および他の類似した技術を含む様々なデータ正規化の技術を実施することができる。
【0069】
308では、時間とともに周波数のスペクトルにわたる出力における差異を説明するためのソースデータの調整の結果は、データの1つ以上の時期として提示することができる。例えば、周波数重み付けの時期は、調整されたソースデータとして提示することができる。
【0070】
実施例5−睡眠状態を決定するための例となるシステム
【0071】
対象のための情報
【0072】
図4は、対象のために睡眠状態の情報を決定するための例となるシステム400を示す。対象402のための脳波検査データを取得し、ソフトウェア404に入力して、対象406のための睡眠状態の情報を決定する。
【0073】
ソフトウェア404は、本明細書に説明しているものなど、どんな技術の組み合わせも使用し、対象406のための睡眠状態の情報を決定することができる。
【0074】
対象のための睡眠状態の情報を決定するための方法を以下に詳細に説明する。
【0075】
実施例6−対象のための睡眠状態の情報を決定するのための別の例となるシステム
【0076】
図5は、対象のために睡眠状態の情報を決定するための例となるシステム500を示す。
【0077】
対象502のための脳波検査データを取得し、分割器504に入力して、データを1つ以上の時期に分割する。実地では、時期は類似した(例えば、同じ)長さである。時期の長さは、構成可能なパラメーターによって調整することができる。1つ以上の時期は、順に、正規化器506に入力し、時間を越えて1つ以上の時期での周波数データを正規化することにより、周波数は、脳波検査データの1つ以上の時期に重み付けをする。1つ以上の周波数重み付け時期は、その次に、分類器508へ入力され、データを睡眠状態に分類することにより、対象510のために睡眠状態の情報を生成する。
【0078】
対象のために睡眠状態の情報を決定するための方法を以下に詳細に説明する。
【0079】
実施例7−対象のために睡眠状態を決定するための例となる方法
【0080】
図6は、対象における睡眠状態を決定するための例となる方法600を示す。例えば、方法600は、図5のシステム500または図4のシステム400内に実装することができる。
【0081】
602では、対象のための脳波検査(EEG)データを受信する。例えば、周波数スペクトの第2の周波数帯域と比較して周波数スペクトルの少なくとも1つの低出力の第1の周波数帯域における出力のための比較的低いダイナミックレンジを示す、脳波検査データを受信することができる。
【0082】
604では、対象のための脳波検査データを1つ以上の時期に分割する。例えば、様々な分離技術によって1つ以上の時期にEEGデータを分割することができる。走査の時間枠およびスライディングウィンドウは、EEGデータを1つ以上の時期に分離するために使用することができる。ソースデータはまた、分割の間、分割に先立って、または分割後直流フィルタリングによってフィルタリングすることもできる。ソースデータはまた、要素分析(例えば、主要素分析または単独要素分析)によって前処理することもできる。
【0083】
図11は、1秒のインクリメントの間隔で3秒の時期にわたり分割されている、典型的な対象の一晩のEEGソースデータの周波数出力のスペクトル図のスクリーンショットである。出力帯域を陰影付けで表示し、ここで白色の陰影付けの領域は、暗い陰影付けの領域よりも出力が比較的高い。したがって、比較的高い周波数(例えば、ガンマ)は、一晩のEEGデータにおいて、比較的低い周波数(例えば、デルタ、シータおよび同等物)より低い出力を示す。
【0084】
606では、1つ以上の時期の周波数出力を、時間を越えて重み付けをする。例えば、1つ以上の周波数でのそれぞれの時期の出力は、時間を越えて正規化し、抽出情報のための適切な周波数の時間枠を決定することができる。かかる正規化は、低出力の、1つ以上の周波数(例えば、デルタ、ガンマ、および同等物)での出力における統計的に重要な変化を明らかにすることができる。さらに、それぞれの時期は、時間とともに最も高い相対出力を有する周波数によって表し、抽出情報のために適切な周波数の時間枠を決定することができる。あるいは、要素分析(例えば、主要素分析(PCA)または単独要素分析(ICA))を正規化の後利用し、抽出情報のために適切な周波数の時間枠をさらに決定することができる。例えば、図37および図38は、フィルター(例えば、スクリーンショット3700)を意味し、また何時間にもわたる単独要素(例えば、スクリーンショット3800)を表現するよう正規化した後に使用された要素分析のスクリーンショットである。いかなる周波数帯域も分析のために明らかにされ、使用することができる。
【0085】
適切な周波数の時間枠を確立した後で(例えば、周波数の重み付けをした後で)、1つ以上の時期のそれぞれのために情報を計算することができる。かかる情報には、低周波数出力(例えば、デルタ出力)、高周波数出力(例えば、ガンマ出力)、標準偏差、最大振幅(例えば、ピークの絶対値の最高値)およびその種類を含むことができる。さらに、ガンマ出力/デルタ出力、デルタの時間導関数、ガンマ出力/デルタ出力の時間導関数および同等物などの情報を作成する1つ以上の時期のそれぞれのために計算された情報についての計算をすることができる。時間導関数は、先行する時期および後続する時期にわたり算出することができる。情報を計算した後、その次に1つ以上の時期にわたりそれを正規化することができる。Zスコアの算出および同等物を含む様々なデータ正規化の技術を実施することができる。
【0086】
図12は、1つ以上の時期の例となる周波数出力を、時間を越えて重み付けをした後、図11に示した例となる一晩のEEGソースデータのスクリーンショットである。比較的高い周波数データは今では明確に視認できる。図13は、図12に示した例となる調整された一晩のEEGソースデータの2時間の時間枠のスクリーンショットである。図14は、図12に示した一晩のEEGスペクトル図内の高い(例えば、ガンマ)、および低い(例えば、デルタ)出力周波数帯域の例となる視覚化のスクリーンショットである。図15は、図14に示した高い、および低い出力周波数帯域の例となる視覚化の2時間40分の時間枠のスクリーンショットである。
【0087】
図16は、図12の一晩のEEGスペクトル図の例となる5次元パラメーター空間視覚化のスクリーンショットである。5つのパラメーター(例えば、変数)は、周波数に重み付けをした後、1つ以上の時期のそれぞれのために計算される情報である。図17は、図16に示した一晩のEEG視覚化の例となる5次元パラメーター空間視覚化の2時間の時間枠のスクリーンショットである。
【0088】
608では、対象における睡眠状態は、1つ以上の周波数重み付け時期に基づき分類する。例えば、1つ以上の周波数重み付け時期は、K平均法によるクラスタ化を含む多様ないかなるクラスタリング技法によってでもクラスタ化することができる。時期(例えば、デルタ出力、ガンマ出力、標準偏差、最大振幅(ガンマ/デルタ)、デルタの時間導関数、(ガンマ/デルタおよびその種類)の時間導関数から計算された情報についてクラスタ化を行うことができる。クラスタ化においてパラメーター空間(例えば、使用される情報のタイプ)を決定するために要素分析(例えば、PCAまたはICA)を使用することができる。
【0089】
クラスタ化に続き、睡眠状態の指示を時期に割り当てることができる。時期に指示された睡眠状態はその後、時期によって表される時間帯での対象における睡眠状態の描写として提示することができる。分類はまた、手作業で決定された睡眠状態を組み込むことができる(手作業で決定された「覚醒」対「眠っている」睡眠状態)。さらに、アーチファクト情報(例えば、運動データ、貧弱な信号データ、または同等物)は、分類において使用することができる。
【0090】
実施例8−例となる睡眠状態の分類技術
【0091】
時期が表す睡眠状態によって、時期を分類することができる。高周波数情報、低周波数情報、または高および低周波数情報の両方に基づき、正規化された変数(例えば、時期に対して計算された情報)により時期を分類することができる。例えば、REM睡眠状態の時期は、比較的高い周波数でのSWSより比較的高い相対出力、および比較的低い周波数でのSWSより比較的低い相対出力を有することができる。同様に、SWS睡眠状態の時期は、比較的高い周波数でのREMより比較的低い相対出力、および比較的低い周波数でのREMより比較的高い相対出力を有することができる。さらに、NREMおよびNSWS睡眠の両方として最初に分類された時期(例えば、高および低周波数のどちらにおいても低い相対出力を有する時期)は、中間睡眠として分類することができ、またREMおよびSWS睡眠の両方として分類された時期(例えば、高および低周波数のどちらにおいても高い相対出力を有する時期)は異常値をして分類することができる。さらに、NREMおよびNSWS睡眠の両方として最初に分類された時期は、中間段階I睡眠として分類することができ、またREMおよびSWS睡眠の両方として最初に分類された時期は、中間段階II睡眠として分類することができる。さらに、睡眠状態は、紡錘体、K複合波、および他の部分を探すために分類作業に分割することができる。1つの睡眠状態として最初に分類された時期のどんな群も、分類詳細のレベルの増加に従って、複数のサブ分類された睡眠状態に分割することができる。例えば、SWSとして分類された時期の群は、2つの特徴的なタイプのSWSとして差再分類することができる。
【0092】
実施例9−例となるアーチファクト分類技術
【0093】
アーチファクトデータ(例えば、運動データ、貧弱な信号データ、および同等物)はまた、睡眠状態分類に使用することができる。例えば、アーチファクトは、睡眠状態の指示が最初に割り当てられた時期が、隣接するアーチファクトデータのために新しい睡眠状態の指示を再割り当てるかどうかを分析するのに使用することができる。例えば、先行する運動アーチファクトまたは覚醒時期を有するREMの睡眠状態の指示が割り当てられた時期は、覚醒の睡眠状態の指示を再割り当てすることができる。さらに、例えば、時期は、覚醒状態の間の起こることが多い大きな運動アーチファクトよりもむしろ大きなSWS睡眠の時期を表す可能性が高いので、続いて起こるSWS時期を有するアーチファクト時期は、SWSの睡眠状態の指示を再割り当てすることができる。そのようにして、例えば、データ平滑化技術においてアーチファクトデータを使用することができる。
【0094】
実施例10−例となる平滑化技術
【0095】
睡眠状態を割り当てる間は、どんな様々なデータ平滑化技術も使用することができる。例えば、数字(例えば、0および1)を指示した睡眠状態を表すのに使用することができる。その次に、隣接する時期の睡眠状態の指示の数字を平均して、時期のうちの1つが不正確に睡眠状態の指示を割り当てられるかどうかを決定する。例えば、SWS−NSWS−SWS(およびREM−NREM−REM)からの突然の飛越しは、睡眠データでは稀である。したがって、時期の群が、睡眠状態において突然の飛越しを表す睡眠状態の指示を割り当てるならば、平滑化技術は、割り当ての正確さを改善するために適用することができる。
【0096】
例えば、0がSWSを表すシナリオでは、1はNSWSおよび隣接する5つの時期に存在する次の睡眠状態の指示を表し、00100、その後5つの睡眠状態の平均は0.2ということになる。このような場合では、1(SWS)の睡眠指示を最初に割り当てられて中間の時期は、0(NSWS)の睡眠状態の指示を再割り当てされることになる。同じ技術をREM対NREMのために使用してもよく、ここで同じ5つの隣接する時期のための第2のセットの睡眠指示が決定される。例えば、1はREMを表し、0はNREMを表し、また次の指示は、5つの隣接する時期、00100のために終了することができる。再び、5つの睡眠状態の平均は、0.2ということになる。再び、1(REM)の指示を最初に割り当てられた中間の時期は、0(NREM)の睡眠状態の指示を再割り当てすることになる。かかる平滑化技術は、睡眠状態の指示の割り当ての正確さを改善することができる。
【0097】
実施例11−対象における睡眠状態を分類するための例となる方法
【0098】
図7は、対象における睡眠状態を分類するための例となる方法をフローチャートに示す。例えば、方法700は、図5のシステム500内、図4のシステム400内または方法600の608を分類するすることにより実装することができる。
【0099】
702では、1つ以上の周波数重み付け時期を得る。例えば、方法600の606に重みをかけるステップから決定される周波数重み付け時期を得ることができる。
【0100】
704では、1つ以上の周波数重み付け時期は、クラスタ化される。例えば、1つ以上の周波数重み付け時期は、K平均法でクラスタ化するステップを含む、いずれかの様々なクラスタ技術によりクラスタ化することが可能である。クラスタ化するステップは、時期から算出された情報(例えば、デルタパワー、ガンマパワー、標準偏差、最大振幅(ガンマ/デルタ)、デルタの時間導関数、ガンマ/デルタ、およびその分類時間導関数)により実施することができる。クラスタ化された睡眠状態の例となる視覚化は、図18および19に示される。図18は、デルタ、ガンマ/デルタを介してクラスタ化された時期、およびデルタの時間導関数を示す。そのような方法において、REMのような時期は、視覚的に槍先に似た線を形成する。図19は、デルタを介してクラスタ化された時期、ガンマ/デルタ、および(ガンマ/デルタ)の時間導関数を示す。そのような方法において、SWSのような時期は、視覚的に槍先に似た線を形成する。さらに、睡眠状態をクラスタ化した例となる視覚化は、図20および21に示され、クラスタ化するステップは、主成分分析を介して派生したパラメーター(例えば、変数)を使用して実施された。
【0101】
706では、睡眠状態の指示を1つ以上のクラスタ化された周波数重み付け時期に割り当てる。例えば、徐波睡眠指示を低周波数で有意な相対的出力がある時期に割り当て、レム睡眠指示を高周波数で有意な相対的出力がある時期に割り当てる。例えば、REM睡眠は、SWSと比べると、ガンマ/デルタが高く、(ガンマ/デルタ)の時間導関数の絶対値が高い数値を示しのに対し、SWSは、REM睡眠よりもデルタが高く、デルタの時間導関数の絶対値が高い数値を示す。さらに、例えば、標準偏差は、睡眠状態の指示を割り当てるステップにおいて使用することができる。同時期に徐波睡眠指示およびレム睡眠指示の双方を割り当てることが可能である。そのような場合において、異常値または中間―2睡眠の新たな睡眠状態の指示に時期を再度割り当てることができる。別法として、非徐波睡眠指示およびノンレム睡眠指示の双方に時期を割り当てることができる。そのような場合において、中間睡眠または中間―1睡眠の新たな睡眠状態の指示に時期を再度割り当てることができる。例えば、高周波数がデルタおよびパラメーター空間デルタにより分割することにより発現する場合、異常値指示がREMとSWSとの間で交差することができる一方、ガンマ/デルタ、合成による分析(導関数(デルタ))、合成による分析(導関数(ガンマ/デルタ))、および、任意的に、標準偏差、および中間睡眠指示は、NREMとNSWSとの間で交差することができる。別法として、例えば、単独のデルタまたは標準偏差を有するデルタが、NSWSからSWSを決定するために使用され、単独のガンマまたは単独の合成による分析を有するガンマ(導関数(デルタ))または標準偏差を有するガンマは、NREMからREMを決定するために使用され、その後、中間―2睡眠指示がREMとSWSとの間で交差できる一方、中間―1睡眠指示は、NREMとNSWSとの間で交差できる。いずれかの様々なデータ平滑化技術は、睡眠状態を割り当てるステップの間、使用することができる。アーチファクトデータはまた、睡眠状態を割り当てるステップの間、使用することができる。
【0102】
708では、睡眠状態の指示は、1つ以上の時期により表された期間に対する睡眠状態の指示として示される。睡眠状態は、時間を越えて睡眠統計の形式で示すことができる。例えば、図28、29、30、31、および32は、時間の機能として、時期を指定した睡眠状態に対する睡眠統計の提示を表す。例えば、図28において、スクリーンショット2800は、対象に対する脳波検査データの夜間、時間ごとに各睡眠状態のタイプを百分率で睡眠状態の密度を表す。図29において、スクリーンショット2900は、毎時間にわたる各睡眠段階の平均発現の長さを表す。図30において、スクリーンショット3000は、毎時間にわたる各睡眠段階の発現数を表す。図31において、スクリーンショット3100は、毎時間の連続するREM睡眠状態の間隔で平均時間間隔を表す。図32において、スクリーンショット3200は、夜間にわたる期間の偏移を表す。
【0103】
さらに、1つ以上の周波数重み付け時期は、類似の睡眠状態の指示を有する1つ以上の時期により表される期間における対象に対する睡眠状態の標準的スペクトルの典型として表すことができる。例えば、同一の睡眠状態の指示を有するとして指定される時期のグループの中間内の時期を選択でき、そのスペクトルは、睡眠状態の標準的スペクトルとして表すことができる。別法として、類似の睡眠状態の指示を有する1つ以上の時期の平均加重出力に一番近い加重出力を有する時期を選択でき、そのスペクトルは、睡眠状態の標準的スペクトルとして表すことができる。例えば、図22、23、24、25、および26は、EEGスペクトル図データ分析に基づく、対象における様々な睡眠状態のための時期の例となる視覚化のスクリーンショット(例えば、スクリーンショット2200はSWS、スクリーンショット2300は、REM睡眠、スクリーンショット2400は、中間睡眠、スクリーンショット2500は、覚醒状態、スクリーンショット2600は一時的である)である。
【0104】
さらに、睡眠状態の指示は、成功に対して手動採点法の機能として示すことができ、品質尺度は、(例えば、単一変数および多変数一元配置分散分析、睡眠密度に対する各期間を算出する回帰係数、発現数、平均発現の長さ、サイクル時間、および同等のものを含む睡眠状態の指示分離の統計値)を示すことができる。品質尺度を示すステップの例となる視覚化は、図27に示される。スクリーンショット2700は、特徴的な睡眠状態の典型的な標準的スペクトルを区別する睡眠段階分離の程度の例となる視覚化を表す。例えば、独立成分分析(ICA)は、ICAを各睡眠状態に示された標準的スペクトルまたは平均スペクトルに適用することにより、現在の睡眠状態において睡眠段階分離の質を固定するために使用することができる。いずれかの様々な分類技術は、初期に睡眠段階分類の質を決定するために使用することができる。
【0105】
実施例12−睡眠状態から対象の病態を決定するステップの例となるシステム
【0106】
図8は、睡眠状態から対象の病態を決定するステップの例となるシステム800を示す。
【0107】
対象802に対する脳波検査データを取得し、対象806の病態を決定するために睡眠状態分析器804にそれを入力する。
【0108】
対象により示された睡眠状態から対象の病態を決定するための方法は、脳波検査データを分析するステップから決定したように、下記に詳細を記載した。
【0109】
実施例13−睡眠状態から対象の病態を決定するステップのための例となるコンピュータで実装される方法
【0110】
図9は、睡眠状態から対象の病態を決定するステップのための例となるコンピュータで実装される方法900を示す。コンピュータで実装される方法900は、図8のシステム800を利用することができる。
【0111】
902では、対象脳波検査データを得る。例えば、周波数スペクトル内の第2周波数帯域と比較して、周波数スペクトル内の少なくとも1つの低出力第1周波数帯域における出力に対するダイナミックレンジが低い事を示す脳波検査データを得ることができる。
【0112】
904では、脳波検査データは周波数分析で分析される。例えば、周波数分析は、方法200の調整204であることができる。
【0113】
906では、対象における睡眠状態は、周波数分析に基づいて割り当てられる。例えば、図7の睡眠状態を分類するための方法700は、対象における睡眠状態を割り当てるために使用することができる。
【0114】
908では、睡眠状態に基づいて、対象における病態を検出することができる。例えば、睡眠状態を個人のために取得し、睡眠状態が正常睡眠か異常睡眠であるかを決定するために分析することができる。異常睡眠は、病態を示すことができた。例えば、睡眠状態を病態を有する個人から取得し、病態を有する典型を表す例となる特徴的な「病態」睡眠状態の分析結果および/または睡眠状態の統計値を生成するために一般的な属性を分析することができる。そのような分析結果または統計値は、対象が病態または病態のいずれの初期指標を有するか否かを検出するために、対象に対して決定する睡眠状態を比較するために使用することができる。いずれの様々な病態を検出および/または分析することができる。例えば、睡眠関連の病態は、てんかん、アルツハイマー病、うつ病、脳損傷、不眠症、下肢静止不能症候群、および睡眠時無呼吸を含むことができる。例えば、睡眠ポリグラフ計によると、アルツハイマー病を患う対象は、認知症の範囲に比較してレム睡眠の減少を示すことができる。
【0115】
実施例14−対象に対する専用睡眠スコアを動的に決定するステップのための例となるシステム
【0116】
図10は、対象に対する専用睡眠スコアを動的に決定するステップのための例となるシステムを示す。
【0117】
データ収集装置1002は、睡眠期間から対象のために脳波検査データを取得することができる。
【0118】
データノーマライザー1004は、低出力の周波数情報を決定するために、脳波検査データにアクセスできる。
【0119】
データプレゼンター1006は、少なくとも低出力の周波数情報に基づいて対象の睡眠状態を示すことができる。
【0120】
図5の方法500、図6の方法600、図7の方法700など、対象の特別な睡眠スコアを動的に決定する方法がここに開示される。
【0121】
実施例15−模範的病態
【0122】
ここで開示される技術において、多様な病態は対象に関し取得されたソースデータから決定される。例えば、うつ病、脳損傷、癲癇およびアルツハイマー病は,対象に関して取得されたソースデータから決定された睡眠状態から決定される病態である。例えば、図39はここで開示される技術の用途の画面例3900で、アルツハイマー病を患う対象となるヒトから獲得された一晩のEEGからアルツハイマー病の特性を示す睡眠状態を決定する。
【0123】
実施例16−睡眠に影響を与える模範的薬物および化学物質
【0124】
ここで開示される技術において、対象睡眠状態への薬物および化学物質の影響は、対象から取得されたソースデータを分析することで決定される。例えば、睡眠状態はアルコール、ニコチンおよびコカインの使用によって変化する。睡眠に影響を与える模範的薬物は、ステロイド、テオフィリン、充血除去剤、ベンゾジアゼピン、抗鬱剤、モノアミン酸化酵素抑制剤(例えば、フェネルジンおよびMoclobemide)、選択的セロトニン再取り込み抑制剤(例えば、フルオキセチン(Prozac(R)の名称で流通))およびSertralie(Zoloft(R)の名称で流通)、チロキシン、経口避妊薬、降圧剤、抗ヒスタミン剤、神経弛緩薬、アンフェタミン、バルビツール酸系睡眠薬、麻酔薬、その他。
【0125】
実施例17−模範的睡眠統計
【0126】
ここで開示される技術において、多様な統計は調節されたソースデータから生成される。例えば、睡眠統計は睡眠状態に分類され調節されたソースEEGデータから生成される。模範的睡眠統計は、睡眠段階の密度、睡眠段階のエピソード数、睡眠段階の平均的持続時間、サイクル時間、睡眠段階の時間間隔、睡眠段階の分類統計,睡眠の開始、レム睡眠の潜時、動向回帰係数、動向の統計的優位性の測定、その他を含む情報を構成する。
【0127】
実施例18−ある期間にわたって対象の睡眠状態を決定する方法の模範的実施
【0128】
動物王国の主要分類群において、睡眠は共通し、偏在するが、あまり理解されていない。低いレベルの精神物理学的な知覚および運動タスクに関する人体研究から、睡眠が以下のタスク学習で見られる性能損失を修正するという証拠が多く提出されている(Karni et al.1994;Mednick et al.2002;Mednick et at.2003;Fenn et al.2003)。動物研究では、睡眠中の「再生」に関する証拠が提供されたが、この「再生」は性能の強化に関わる睡眠プロセスの中心的部分である。
【0129】
睡眠中、キンカチョウ(Taeniopygia guttataのrobustus archistriatalis;RA)神経細胞、鳴き声のシステムがさえずりのパターンを同時に繰り返し、その鳥の鳴き声の再生に反応することが最近わかった(Dave&Margoliash,2000)。キンカチョウの鳴き声の発達段階において、若鳥は成鳥などが鳴く新規の音声素材に触れた次の日から鳴き声のパターンを変化させる(Tchernichovski et al.2001)。決定的な証拠はないが、若鳥の鳴き声学習、または成鳥の鳴き声の維持には、睡眠が必要となり、または睡眠から利得を得ている。
【0130】
鳴き声学習または維持における睡眠の役割を調査するにあたり、スズメ目鳥の睡眠状態に関する限られた知識によって阻害される。前回の調査では、キンカチョウの異なる睡眠段階については報告されていない。(Nick&Konishi,2002;Hahnloser et al.,2002)対照的に、スズメ目鳥を含むその他の鳥に関する研究(Ayala−Guerrero et al.,1988;Szymczak et al.,1993;Rattenborg et al.,2004)では、この門におけるレム睡眠に関して報告された。さらに、ラットの海馬では、神経細胞の再生に関する異なるパターンが、異なる睡眠段階中に生じることが知られている。(Buzsaki,1989;Wilson&McNaughton,1994;Louie&Wilson,2001)従って、キンカチョウの睡眠段階について調査された。
【0131】
電極の種類、帯域および位置を決定するために、ウレタン(20%、約90 1.11、1時間)で麻酔をかけられた鳥で一連の急性実験がまず行われた。信号の振幅および信頼度によって判断された最適なEEGレコーディングは、小脳の接地とともに硬膜に接触した厚みのあるプラチナ電極(A−M systems、WA)を異なるように組み合わせて使用することで取得される。レコーディングおよび接地電極に関する定位の座標はそれぞれ以下のとおりである:(1.5R,3L)、(3R,2L)および(0.5C,OL)。
【0132】
それから5羽の鳥は麻酔をかけられ、3mmのL型プラチナ電極を前述の部位に埋め込まれ、その電極の後ろ2mmを硬膜に中間側面軸に沿って正接する。電極のインピーダンスは0.15Ohmsであった。半脳の浅い眠りを評定するために、3羽の鳥がニ方向EEG電極を埋め込まれる。電極は、デンタルアクリルで基部に固定され、上部コネクターに精銅ワイヤー(A−M systems,WA)で接着される。鳥は術後3日間が与えられ、レコーディング環境に慣らされる。
【0133】
レコーディング中、鳥の頭部につながった光のケーブルが頭上水銀電流転換器(Drangonfly Inc,WV)に接続される。このセットアップにより、鳥がケージ内で自由に動き回ることができ、抑制誘発ストレスは睡眠体系に影響を与えると知られていることから、動物を抑制することよりも望ましい(Altman et al.,1972)。16:8明暗サイクルの暗期に、睡眠中の鳥の直接的観察と電気生理学レコーディングが結合する。鳥は赤外線(IR)光を浴び、赤外線カメラ(Ikegama,Japan)で監視される。戦略的に接地された鏡により、目、頭および体の動きを監察することが容易になる。EEGは1Kによって増幅され、1kHzでサンプリングされ、1〜100Hzでフィルタリングされた。低周波数アーチファクトを示すある1羽において、データが2〜100Hzで漏れた。60Hzノッチフィルターも、信号−騒音率を改善するために使用された。
【0134】
データ分析において高い信頼性を得るために、データは手作業および自動で得られる。自動スコアリングは、3秒のEEG時期の視覚検査に頼り、同時に目、頭部および体の動きといった顕性行動もスコアリングされる。自動スコアリングはそれぞれの時期を、アーチファクトも含む、レム、ノンレムまたは覚醒と分類する。自動スコアリングは睡眠データに限られる。段階分類および単一チャンネルEEGデータの定量化に関する、睡眠パラメトリックEEG自動認識システム(SPEARS)が使用される。高スペクトル、時間的および統計的結果を統合するために1秒のスライディングウィンドウを利用して、EEGは200Hzまでダウンサンプルされ、直流フィルターされ、3秒間分析される。スペクトルの漏れを最小限に抑え、周波数領域の統計的結果を上げるために、EEC出力スペクトルが標準的なマルチテーパ推定法(Thomson、1982)に従って2つの直交テーパに対し計算された。
【0135】
1〜4Hz(デルタ)および30〜55Hz(ガンマ)周波数バンドは段階分類のため選択される。デルタおよびガンマ/デルタはそれぞれNSWS(非SWS)からSWSを、ノンレム睡眠かレム睡眠を分類するために使用される。分類は平均法クラスタリングアルゴリズムで実施され、追加変数:標準偏差およびデルタと(ガンマ/デルタ)の時間導関数の絶対値、の包含によって精錬される。それぞれの時期に、時間導関数は、Matlab"gradient"機能を利用して、前期および後期を算出する。最初の分類は、アーチファクト自由睡眠データによって実施される。その後、睡眠アーチファクトは、睡眠アーチファクトが第一前アーチフェクト自由時期(覚醒時期にはならず、さもなくばアーチフェクトは自動スコアリングで覚醒アーチフェクトと分類される)のスコアを得る覚醒時期でない限り、直後の第一非アーチファクト時期と同じスコアを帰する。本発明は自動スコアリングとの一致率を著しく減少することはなかった(表1)。睡眠アーチフェクトを除去またはスコアリングしないことが睡眠エピソードを縮めたり駄目にしたりすることで、計算された密度、平均値、時期の平均数、各段階の長さを変更してしまうため、睡眠アーチフェクトを含むことが大事である。
【0136】
最初の分類に続き、各時期のスコアは、5秒のスライディングウィンドウを使用することで容易になり、これは自動スコアリングによって分離されなかった短いアーチファクトによるスコアの堕落を最小限にするためである。レムまたはSWSとスコアされなかった時期は、中間(INTER)と分類される。逆に、レムおよびSWS両方に属するとされた時期は、外れ値と分類される。データでは、数少ない外れ値が見られる(表1)。
【0137】
レム、SWSおよび中間時期は、デルタ、ガンマ/デルタ、標準偏差と、デルタおよび(ガンマ/デルタ)導関数に定義された5次元スペースの主成分によって定義された3次元スペース(図20〜21)で視覚化できる(図16〜17)。それぞれの鳥は、5次元クラスタリングスペース上の多変量ANOVAは、レム、SWSおよび中間段階分類に対し、P<0.001を産出した。
【0138】
MATLAB"silhouette"機能を利用すると、SWS、レム、中間および覚醒時期の最も代表的な例は、自動的に発生する。(図22、23、24、25および26)
【0139】
手動および自動スコアリングの一致は、レム睡眠と評定されたそれぞれの時期を分類することで、手動または自動スコアリングがエラーであった場合のみ、算出される。手動および自動スコアリングの時間的結果を考えると、一般的一致率は極めて高い(表1)。
【0140】
自動分析に基づいて、段階密度(図28)、平均エピソード数(図30)と持続時間(図29)、中間REM間隔(図31)および段階移行(図32)が算出される(表1)。全ての分析はMatlab(MathWorks Inc,MA)で実施される。
【0141】
表1 5羽の鳥の5夜の睡眠の段階統計
【0142】
段階密度、平均エピソードの持続時間と数、および段階遷移が決定された。各段階から中間段階への遷移の割合と、中間段階からその他の段階への遷移の割合を示す。両半球にインプラントされた鳥(動物1〜3)に関しては、半脳の睡眠が報告され、EEGおよびビデオの目視検査、および異常値が無いことにより決定されるような、最も信頼性のあるデータを使用してその他の統計が半脳に対し計算された。段階密度に対し回帰係数が計算され、毎時間のREM間の間隔はSWSとREMの概日分布を反映する(*=[r2>0.5およびp<0.05]、§=[r2>0.5およびp=0.05]、£は時間2〜8に対し計算された値、εは時間1〜7に対し計算された値)。自動評価と手動評価の間の一致率は、アーチファクト除去あり/無しで決定された。
【表1】
【0143】
記録の分析は、キンカチョウが少なくとも3つの明確な睡眠の段階、つまりSWS、REMおよび中間的睡眠を表していることを示している。SWSは、デルタ帯域で顕著な出力を持った大振幅EEG信号があった(図14〜17)。REMは非常に小さい振幅の「覚醒状」EEG信号(図23)を特徴とし、典型的には約±30μVの、NREMよりも高い出力をガンマ(図14および15)に持ち、これは現在のところ哺乳類にのみ検出されている特徴である(Maloneyら、1997年;Canteroら、2004年)。中間の時期は非常に変わりやすい振幅があり、±50μV前後で、デルタ帯域にもガンマ帯域に顕著な出力はない(図14、15および24)。中間の段階は以前は哺乳類にのみ観察されていた(Gottesmannら、1984年;Glinら、1991年;KirovおよびMoyanova、2002年)。正常な概日パターンおよびシフトした概日スケジュールの鳥は両方とも、これら3つの睡眠段階を示した。
【0144】
SWSの時期は、夜の初期にはREMおよび中間のエピソードよりも長く、哺乳類型の分布に従い、一晩を通して持続時間が減少して(図29)、段階密度の全体的な減少へとつながる(図28)(表1)。
【0145】
NREMの間は、鳥はゆっくりと規則的に呼吸し、目と頭の動きは決まったパターンをとらずREMのものとは非常にはっきりと区別される。片方の目は開いており、もう一方の目は閉じているという例もいくつか見られた。開いた目の反対側の半球は低振幅高周波数EEGを示し、一方閉じた目の反対側の半球はSWSの揺らぎを示した。これらの半脳の睡眠の例が占める割合は、通常、暗期の5%未満であり(表1)、明期ではより高い頻度だった。そのような半脳の睡眠のパターンは、他の鳥の種、クジラ目、およびその他の海洋哺乳類に対して過去に検出されている(Mukhametovら、1984年;Mukhametovら、1987年;Szymczakら、1996年;Rattenborgら、1999年;Lyaminら、2002年)。
【0146】
典型的には、REMエピソードは、夜の初期には短く、一晩を通じて長くなっていく(図29)とともに、エピソードの数も増加していき(図30)、REM間の間隔は、一晩を通じて短くなっていく「哺乳類型」の傾向を示すようになる(図31)(表1)。REMは、その他の種に見られるように(Siegelら、1999年)、目や頭の微妙な単収縮運動と関連して確実に生じた。目の動きは、毎秒1サッカード程度であった。頭の動きはそれほど確実ではなかったが、発生したときには目の方向性のある動きに従う傾向があった。頭の動きは、何も装着していないそのままの動物において目の動きに関連して観察されたため、頭の動きは、REMの頸筋弛緩の間取り付けられたケーブルの重みによる頭の位置のずれに起因するものではなかった。
【0147】
中間の時期は短く、数が多かった。中間の状態は、通常、密度(図28)、時期の平均持続時間(図29)、および1時間あたりの平均エピソード数(図30)の点で、REMおよびSWSよりも一晩を通して安定していた。哺乳類の場合と同様、中間段階は一貫して(これに限定されるわけではないが)SWSとREMの間の遷移期として働いた(図32)(表1)。
【0148】
すべての鳥において、NREMでは、約500ミリ秒続く大きなピーク間のEEG過渡信号が検出された(図26)。これらの信号は、哺乳類のK複合波の記述(RowanおよびTolunsky、2003年)を連想させる。K複合波は、哺乳類以外の種においては過去に観察されていないようである。
【0149】
キンカチョウの睡眠EEGに関する過去の研究では、SWSのみが報告されている。この研究は、EEG電極を埋め込む適した場所を見つけることだけでなく、おそらくは習慣的な記録構成の性質から動物が拘束されず、また睡眠を誘発するためのメラトニンなどの薬剤の必要性を回避したために、NSWS(REMおよび中間段階)を検出することに成功している。ある研究(Mintzら、1998年)では、ハトにおいて、メラトニンの導入はSWSを誘発することが示されている。メラトニンがキンカチョウにおいても同様の効果を持ち、それにより観測可能な夜のNSWSの量が減少する(Hahnloserら、2002年)可能性があることは否定できない。
【0150】
データ分析技術は、REM睡眠検出の主要な差別化要素である、比較的低い出力における出力の変化を解決することを可能にした。また、自動化分析は、手作業による評価を、人間の評価者により容易に検出可能な覚醒状態およびアーチファクトに限定した。さらに、自動化EEG評価は、人間の偏りがデータ分析に反映し寄与する傾向がある、任意に定義された閾値、最尤法、あるいは監視非線形分類器には依存せず、全夜統計に依存した(Gervasoniら)。
【0151】
結果は、哺乳類型の睡眠特性が哺乳類と鳥類両方に同時に現れているということを示唆している。ここに開示されるデルタおよびガンマ出力活性間の相互にかみ合う基本パターン(図14および15)は、睡眠中に哺乳類の皮質に観察されるもの(Destexhe、ContrerasおよびSteriade、1999年)と極めて類似している。さらに、我々が観察した信号のいくつかは、明確に哺乳類の皮質に帰属されている(AmzicaおよびSteriade、1998年)。しかし鳥は大きな層状皮質に欠いており、皮質は哺乳類型睡眠特性の発達のせいぜい十分条件ではあっても必要条件ではない可能性を示している。逆に、鳥は確かに非層状形態の哺乳類皮質の相同体を有していると考えられる(Karten、1997年)。これらの極めて興味深い可能性のどちらが正しいのかを評価するには、今後細胞および分子レベルでの研究が必要であろう。
【0152】
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【0165】
【0166】
実施例19―ある期間にわたる対象の睡眠状態を決定するための典型的方法
【0167】
図35は、ある期間にわたる対象の睡眠状態を決定するためのさらに他の典型的方法3500を示す。方法3500は、ここに開示される様々な技術を取り入れている。
【0168】
実施例20―典型的変換技術
【0169】
時系列データにおける様々な周波数に対する出力を決定するための信号処理に使用されるデータ変換法は様々である。ここに開示されるように、変換法には、マルチテーパ変換、フーリエ変換、ウェーブレット変換が含まれてもよい。ソース信号において複数の時系列または時期で表現される様々な周波数に対する出力を測定するためのその他のいかなる変換法も使用することができる。
【0170】
実施例21―データのグループを区別するための典型的計算法
【0171】
データを明確に異なるクラスに区別するための信号計算処理に使用される、クラスタ化および分類の方法は様々である。ここで開示されるように、使用されるクラスタ化方法はK平均クラスタ化であるが、データのグループを区別するための信号計算処理であればいかなるものも使用できる。同様に、ここに開示されるように、成因分析(例えば、主成分分析や独立成分分析)などの分類法が使用される。
【0172】
計算方法の概要を以下に述べる。
【0173】
クラスタ化(またはクラスタ分析)は、クラスが事前に知られておらず、これらのクラスをデータから発見することを目標とする教師なし学習である。例えば、遺伝子発現プロファイルを使用して新たな腫瘍クラスを特定することは、教師なし学習の形態である。
【0174】
分類(またはクラス予測)は、クラスが事前に定義されており、ラベルを付けた対象のセットから分類の基本を理解し、将来のラベルなしの観測のための予測器を構築することを目的とする、教師あり学習である。例えば、悪性度を既知のクラスに分類することは、教師あり学習の形態である。
【0175】
クラスタ化:
【0176】
クラスタ化は、以下のようないくつかの明確に区別されるステップを伴う。
【0177】
対象間の適切な距離を拡散させる。
【0178】
クラスタ化アルゴリズムを選択し適用する。
【0179】
クラスタ化の手順は一般に、階層法とパーティション法の2つのカテゴリに分類される。階層法は分割(トップダウン)または凝集(ボトムアップ)となり得る。階層的クラスタ法は樹形図または系統樹を生成する。階層法により、すべての対象が一つのクラスタに収まる最小のセットから、それぞれの観測点がそれぞれのクラスタに収まる最大のセットまでの、クラスタの階層が提供される。
【0180】
パーティション法には通常、クラスタ数の指定が必要である。そして、対象をクラスタに割り当てる機構が決定されなければならない。これらの方法は、相互に排他的および包括的なグループの事前に指定された数kまで、データを分割する。この方法は、ある基準が満たされるまで、観測点をクラスタに繰り返し再割り当てする(例えば、クラスタ内の二乗和を最小化する)。パーティション法の例としては、K平均クラスタ法、Partitioning Around Medoids(PAM)法、自己組織化マップ(SOM)法、モデルベースのクラスタ法などがある。
【0181】
効率的で正確なアルゴリズムが使用できるということが大きく起因して、実践されているほとんどの方法は凝集型階層法である。しかし、どちらのクラスタ法も、それぞれに利点と欠点がある。階層法の利点としては、少なくとも凝集型クラスタ化では高速計算が挙げられ、また欠点としては、柔軟性がなく、その方法で以前下された誤った決定を後に訂正することができないことが挙げられる。パーティション法の利点は、そのような方法が最適性基準を(近似的に)満足するクラスタを提供できる点などであり、欠点としては、初期k値が必要であり、この方法では計算時間が長いなどが挙げられる。
【0182】
要約すると、クラスタ化は、以下を含む様々な理由により、分類よりも困難な問題である。
【0183】
ラベル付きの観測の学習セットがない。
【0184】
通常グループ数が未知である。
【0185】
暗黙的に、クラスタ法に使用される関連特性および距離測定値の両方をすでに選択していなければならない。
【0186】
分類:
【0187】
統計、機械学習、および心理統計学に関連する技術を使用することができる。分類器の例としては、ロジスティック回帰、判別分析(一次または二次)、主成分分析(PCA)、最近傍分類器(k−最近傍)、分類・回帰ツリー(CART)、マイクロアレイ、ニューラルネットワークおよび多項式対数線形モデルの予測解析、サポートベクトルマシン、集合分類器(バギング、ブースティング、フォレスト)、および進化アルゴリズムなどがある。
【0188】
ロジスティック回帰:
【0189】
ロジスティック回帰は、従属(応答)変数が二値変数(すなわち、通常いくつかの結果イベントの有無を表す2つの値(通常0または1で符号化される)しかとらない)であり、従属(入力)変数が連続的か分類別、あるいはその両方である場合に使用される、線形回帰の変化形である。例えば、医学研究においては、患者(患畜)は生存または死亡し、あるいは臨床サンプルはあるウイルスの抗体に対し陽性または陰性である。
【0190】
通常の回帰とは異なり、ロジスティック回帰は、従属変数の一次結合として従属変数を直接モデル化せず、また従属変数を正規分布しているとも仮定しない。代わりに、ロジスティック回帰は、説明変数の一次結合としてイベント発生の確率の関数をモデル化する。ロジスティック回帰に関し、このように確率を説明変数に関連付ける関数はロジスティック関数であり、これは説明変数の一次結合の値に対しプロットした場合、S字形状を有する。
【0191】
ロジスティック回帰は、ロジスティック回帰モデルをデータにフィッティングし、様々な説明変数パターンをそのフィッティングされた確率に基づき類別することにより、分類に使用される。その後、順次データの分類は、共変量パターンおよび推定された確率に基づく。
【0192】
判別分析:
【0193】
要約すると、判別分析は空間の点としてのサンプルを表し、そしてその点を分類する。線形判別分析(LDA)は、2つのクラスに属する点を最も良く分類する最適な平面を見つける。二次判別分析(QDA)は最適な(二次)曲面を見つける。どちらの方法もある種の分類エラーを最適化しようとするものである。
【0194】
フィッシャーの線形判別分析(FLDAまたはLDA):
【0195】
LDAは、群内平方和に対する群間平方和の比率の大きいデータの一次結合(判別変数)を見つけ、判別変数について平均ベクトルがxに最も近いクラスにより観測点xのクラスを予測する。LDAの利点としては、テストケースの予測されたクラスが最も近い平均を持つクラスである場合には単純で直観的であり、実際によい成果をもって実行することができる、ということが挙げられる。LDAの欠点としては以下が挙げられる。
【0196】
線形判別の境界が十分柔軟ではない場合がある。
【0197】
特性がクラス内で異なる分布を持つ場合がある。
【0198】
特性が多すぎる場合は、過度のパラメータ化と、パラメータ推定値の高い分散性に起因して、結果が急激に悪化する場合がある。
【0199】
再近傍分類器:
【0200】
最近傍法は、ユークリッド距離や、2つのデータセット間の相関関係を差し引いた距離など、観測点間の距離の測定値に基づく。K最近傍分類器は、観測点xを以下のように類別することにより機能する。
【0201】
xに最も近い学習セット内のk個の観測点を見つける。
【0202】
多数決によりxのクラスを予測する、すなわち、これらのk個の近傍点のうち最も一般的なクラスを選択する。通常、非常にうまくいくのは、k=1の単純な分類器である。無関係の変数、あるいは関係がほとんとない、もしくは全くない雑音の変数が非常に多いと、最近傍分類器の結果は著しく悪化する。
【0203】
分類ツリー:
【0204】
分類ツリーは、例えば、ある規則(特性変数閾値)に従って1つのサンプルを2つのサブサンプルに分割するのに使用される。それぞれのサブサンプルをさらに分割することも可能である。二分木構造の分類器は、サブセット(ノード)をその下の2つのサブセットに繰り返し分割するにより構築される。ツリーのそれぞれの末端のサブセットはクラスのラベルが割り当てられ、得られたパーティションは分類器に対応する。ツリー構築の3つの主要な側面には、分割の選択(各ノードで、不純物を最も減少させる分割が選ばれる)、ノード終端の宣言または分割の継続の決定(大きなツリーにするには、ツリーの枝を選択的に上方に払いサブツリーのシーケンスを減少させる)、各終端ノードのクラスへの割り当て(各終端ノードに対し、誤判別の確率の代替推定値を最小化するクラスが選ばれる)が含まれる。
【0205】
マイクロアレイの予測分析:
【0206】
これらの方法は、最近傍縮小重心(nearest shrunken centroid)法を利用する。各クラスの第1の標準化重心が計算される。そして、各クラスの重心が、全てのクラスの全体の重心に向かって、いわゆる閾値(ユーザーにより選ばれる)の分だけ縮小される。縮小は、重心を閾値の分だけゼロに向かって移動させること、ゼロにぶつかる場合はゼロと等価に設定することから成る。
【0207】
人工ニューラルネットワーク:
【0208】
人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルの主要な要素は、情報処理システムの新規な構造である。これは、神経細胞に類似し、シナプスに類似した重み付けされた結合により相互に繋がった、高度に相互接続された多くの処理要素より成る。すべての分類法と同様、一度ANNを既知のサンプルで学習させれば、サンプルを自動的に予測することができるようになる。
【0209】
サポートベクトルマシン:
【0210】
サポートベクトルマシンは、二値分類(パターン認識)および実数値関数近似(回帰予測)のタスクを実行する学習機械である。サポートベクトルマシンは、そのn次元入力スペースをより高次元の特性スペースに非線形的にマッピングする。この高次元特性スペースでは、線形分類器が構築される。
【0211】
集合分類器:
【0212】
この方法は、ばらつきのある学習セットのバージョンから構築された予測器を集めることにより機能する。分類では、多数決により予測器の複数のバージョンが集められる。ブートストラッピングは、元の学習セットと同じサイズのばらつきのある学習セットが、学習セットの非パラメトリックブートストラップ複製である、つまり学習セットから復元してランダムに引き出される、バギングの最も単純な形態である。パラメトリックブートストラッピングでは、多変量ガウス分布の混合に従い、ばらつきのある学習セットが生成される。ランダムフォレスティングはツリー分類器同士(または他のもの)との組み合わせであり、それぞれのツリーは、フォレスト内のすべてのツリーのランダムベクトルの値に依存する。ブーストでは、分類器は重み付けされた学習セットに対し構築され、以前の分類結果に依存する。まず、すべてのオブジェクトには等しい重みがあり、第1の分類器がこのデータセットに対し構成される。その後、その分類器の結果に従い、重みが変更される。間違って分類されたオブジェクトはより大きな重みがつけられ、次の分類器は再び重みをつけられた学習セットに対してブーストされる。このように、学習セットと分類器のシーケンスが得られ、次にそれが決定での単純な多数決または重み付けされた多数決により組み合わせられる。
【0213】
実施例22―典型的睡眠データプレゼンタ
【0214】
本明細書におけるいずれの実施例でも、睡眠状態データに基づき、電子形態または紙ベースの報告書を提示することができる。そのような報告書として、対象の特別な睡眠状態情報、睡眠状態統計、病的状態、睡眠に対する薬剤上および/または化学的効果などを挙げることができる。スクリーニングテストの推奨や行動の変化などもまた提示することができる。いくつかの実施例では、特定の睡眠データや低周波数情報の結果が示されているが、その他の睡眠データプレゼンタやデータの可視化が使用されてもよい。
【0215】
実施例23―対象の典型的睡眠状態情報
【0216】
ここに開示されるいかなる技術を用いても、様々な対象から典型的な睡眠状態の情報を取得することができる。図33は、麻酔をかけられたネコの、分析されたEEGスペクトルデータに基づき分類された麻酔状態の典型的な可視化の画面例3300を含んでいる。画面例3300では、例えば、SWS分類は深い麻酔状態に対応し、REM睡眠分類は軽い麻酔状態に対応し、INTER睡眠分類は中程度の麻酔状態に対応する。そのようにして、ここに開示される技術を使用してヒトまたはその他の哺乳類の対象における麻酔状態を決定することができる。図34は、分析されたEEGスペクトルデータに基づき分類されたヒトの対象における睡眠状態の典型的な可視化の画面例3400を含む。
【0217】
実施例24―技術の典型的な利点と応用
【0218】
このデータ分析が実行される速度、特別かつ教師なしの分析という性質、および以前に無視されたあるいは分析されていない低出力の周波数情報を抽出できるという能力により、様々な研究分野においてこの方法論は特に魅力的となっている。様々な数の状態、様々な数の識別規則、適合性のあるキャリブレーション、様々な時間分解能、および様々なスペクトル分解能を使用して、この技術は高い適合性をもつことができる。ソースデータを調整して調整ソースデータを生成することは、病的状態、ならびに薬剤上および化学的効果の試験における動物の信号データを分析することに特に適用可能である。本発明のいずれの実施例においても、低い周波数であるが極めて多様な周波数データを抽出し分析することができる(データの時間的パターンの発見など)。応用として、株式市場データの分析(価格変動が小さいことから他の場合では無視される一般的な変動性を決定するために、安値株を分析するなど)から、暗号化されたデータへのアクセス(音波のうち、低出力かつ非常に高いあるいは非常に低い周波数で記憶されるモールス信号データなど)、そしていくつかの空間周波数をもつ視覚映像の分析まで、多様な使用が挙げられる。同様に、ここに開示される技術は、生成された睡眠状態の情報による、対象の特別な睡眠品質の決定に使用することができる。
【0219】
本発明のいずれの実施例においても、一つのチャネルまたは複数のチャネルから受信したソースデータに本方法を使用することができる。本方法は、チャネル間の比較を行ないながら、複数のチャネルからのソースデータに独立して適用することができる。例えば、脳のそれぞれの半球から受信した独立したEEGチャネルデータから半脳の睡眠を決定することができる。図40は、鳥の脳のそれぞれの半球から受信した独立したEEGチャネルデータから決定された半脳の睡眠の画面例4000を示す。あるいは、本方法を複数のチャネルからのソースデータに同時に適用し、結合された複数チャネルのソースデータを分析することができる。例えば、対象のEEGチャネルデータとEMGチャネルデータを同時に分析して、覚醒状態対REM睡眠状態を決定することができ、それにより、EMGデータが高振幅に該当する場合、EEGデータ分析からREMに指定された睡眠状態を、覚醒睡眠状態として再割り当てすることができる。
【0220】
さらに、本発明のいずれの実施例でも、ノイズ除去ソース分離(denoising source separation;dss)などの方法を、ここで開示される方法と組み合わせて使用して、睡眠状態を決定することができる。例えば、dssは低周波数情報を使用してREM睡眠を決定することができる。
【0221】
ここに開示される技術は、特に低出力の周波数情報の分析に有益となり得るが、高周波数と低周波数が同じ出力分布をもつ信号などの様々な信号から、クラスタ化を行い睡眠段階を決定することにも適用可能である。また、スペクトル分析、段階分類および信頼性の尺度に関する技術を使用することができる。
【0222】
実施例25―典型的なデータ可視化
【0223】
ここに開示されるいずれの技術においても、典型的なデータ可視化は、そのデータの異なる側面を描写するために色を利用することができる。例えば、分類されたデータ(例えば、REM、SWS、INTERなどの睡眠状態の分類)は、その分類されたデータの可視化のために、それぞれの分類状態に色分けすることができる。あるいは、分類されたデータの可視化のために、グレースケールを使用してそれぞれの分類状態に分けることができる。
【0224】
実施例26−行動分析の例となるコンピュータシステム
【0225】
図36及び以下の説明は、上記解説したソフトウェアの適切なコンピュータ環境(例えば、コンピュータプログラム)の一般的かつ簡潔な解説である。上記解説した方法は、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムモジュールを構成)を実装する。プログラムモジュールは、タスクを実行するルーチン、プログラム、目的、要素及びデータを含み、上記解説した技術を実装するデータタイプを実行する。
【0226】
図36は、デスクコンピュータの基本的構成を図示しており、前記技術は別のコンピュータシステム構成、例えばマルチプロセッサーシステム、マイクロプロセッサを用いたまたはプログラム可能な消費荷電製品、ミニコンピュータ本体などに、実装される。前記技術は、パフォーマンスを高めるために処理装置と同時にタスクを実行する分散型コンピュータ環境にも利用される。例えば、タスクが同時に複数のコンピュータで実行される、単一コンピュータで複数のプロセッサーが実行される、またはその両方が可能である。分散型コンピュータ環境において、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモート記憶装置に設置される。例えば、コードは、インターネットを通じてアクセスのためにローカル装置/サーバー上に保管され、ここで分析からのデータがローカル装置/サーバーによりアップロードおよび処理され、その結果がプリントおよび/またはダウンロードされる。
【0227】
図36に図示されたコンピュータシステムは、ここで開示された前記技術を実装するのに適し、プロセシングユニット3621、システムメモリ3622、およびシステムメモリからプロセシングユニット3621を含む多様なシステム要素を相互に連結するシステムバス3623を有するコンピュータ3620を含む。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バスおよびバスアーキテクチャーを利用したローカルバスを含む数種類のバス構成を含む。システムメモリは、リードオンリーメモリ(ROM)3624およびランダムアクセスメモリ(RAM)3625を構成する。非揮発性システム(例えば、BIOS)はROM3624で保管され、例えばスタートアップ中パーソナルコンピュータ3620内の要素間で情報を伝達する基本的ルーチンを含む。パーソナルコンピュータ3620はさらに、ハードディスクドライブ3627、例えばリムーバルディスク3629から読み込むまたは書き込むための磁気ディスクドライブ3628、例えば、CD−ROMディスク3631から読み込むまたはその他光媒体から読み込むまたは書き込むための光ディスドライブを含む。ハードディスクドライブ3627、磁気ディスクドライブ3628および光ディスク3630は、ハードディスクドライブインターフェース3632、磁気ディスクドライブインターフェース3633および光ドライブインターフェース3634によってそれぞれシステムバス3623に接続されている。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、データ、データ構成、コンピュータ実行可能命令(ダイナミック・リンク・ライブラリおよび実行可能ファイルなどのプログラムコードを含む)、およびパーソナルコンピュータ3620に関連するその類の不揮発性記憶装置を構成する。コンピュータ可読媒体の上記解説は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスクおよびCDに言及しているが、磁気カセット、フラッシュメモリカード、DVDなどコンピュータが読み込み可能なその他媒体も含む。
【0228】
プログラムモジュールの多くはドライブおよびRAM3625に保管され、オペレーティングシステム3635、1つ以上のアプリケーションプログラム3636、その他プログラムモジュール3637およびプログラムデータ3638を含む。ユーザーは、キーボード3640およびマウス3642などのポインティングデバイスを通してパーソナルコンピュータ3620にコマンドおよび情報を入力する。その他のインプットデバイス(図示されず)は、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送用パラボラアンテナ、スキャナーなどを含む。前記および別のインプットデバイスは通常、システムバスに接続されたシリアルポートインターフェース3646を通してプロセシングユニットに接続されるが、パラレルポート、ゲームポートまたはユニバーサルシリアルバス(USB)など別のインターフェースによっても接続される。モニター3647または別のディスプレイ装置も、ディスプレイコントローラーまたはビデオアダプター3648などのインターフェースを通してシステムバス3623に接続される。モニターに加え、パーソナルコンピュータは一般的に、スピーカーやプリンターなどその他周辺オウトプットデバイス(図示されず)を含む。
【0229】
上記コンピュータシステムは一例にすぎない。前記技術は、多様な構成で実装することが可能である。さらに、ソースデータを収集および分析する多様なアプローチが可能である。例えば、データは収集分析され、結果は適切に異なるコンピュータ上で現れる。それに加え、ハードウェアでは多様なソフトウェアアスペクトが実装可能であり、またその逆も可能である。さらに、前記技術への紙面上のアプローチも可能であり、例えば、アルゴリズムの解釈に関する説明を活用する純粋な紙面上のアプローチや、スキャニング技術およびデータ分析ソフトウェアを活用する一部紙面上のアプローチがある。
【0230】
実施例27−例となるコンピュータ実装法
【0231】
ここで開示されるコンピュータ実装方法は、自動システムのソフトウェアによって稼動されたソフトウェアにより実行される(例えば、コンピュータシステム)。完全自動(例えば、ヒトの介在なく)または半自動オペレーション(例えば、ヒトの介在によるコンピュータプロセシング)がある。パラメーターの調整または結果の熟考など、ユーザーの介在が望ましい場合もある。
【0232】
前述のソフトウェアは、前述した機能を実行するためにコンピュータ実行可能命令を含む1つ以上のコンピュータ可読媒体上に、記憶される。前述の媒体は有形(例えば、身体の)媒体である。
【0233】
例となる実施態様において本発明の本質を図示および解説したが、当該技術分野に従事するものには解説された実施例が例証であることは明らかであり、本発明の本質から逸脱することなく配置および詳細において変更が可能である。前記実施例の技術は1つ以上の別の実施例と組み合わせが可能である。
【0234】
別の実施態様では、ダイナミックレンジをさらに増大させる二重正規化を利用する。この実施態様は、鳥を対象としている前述の実施態様よりも、ヒトの睡眠を対象にしたデータを解説、重要視している。さらに、前述の実施態様において上記に解説された用途、正規化の技術およびクラスタリングは、当該実施態様にも同等に適用可能である。
【0235】
本実施態様は、前述の実施態様の多くの特徴を活用し、改良を加えた。本実施態様は、脳波の動きを分析する。脳波からの信号、例えばEEGは、脳波の周波数がfである時、脳波の出力量が1/fに比例する指標を辿る。出力量は逆に周波数に比例する。前述の実施態様を参考にして解説したとおり、信号の高い周波数部分は振幅電圧が低いため、1/fスペクトル分布は信号の高い周波数部分を不明瞭にする傾向がある。
【0236】
元来、EEGを表す脳波を観察する人間は、高い周波数と相対的な、実質的情報を確かなものとできない。この理由の多くを本発明者が仮定した。1つの理由には、脳波活動の高い周波数は頭蓋骨から浸透するが、これは頭蓋骨の身体構造が低域通過フィルターとして働くからである。
【0237】
前述の実施態様は、例えばZスコア(を算出する)を利用して、どのように正規化が脳波信号からの情報を分析するかを解説する。前記に実行された分析は周波数の出力情報を正規化する。正規化するにはZスコア(を算出する)を利用するのが望ましいが、別のデータ正規化も利用可能である。利用された正規化はZスコア(を算出する)など単位なしが望ましい。当該技術分野では周知のZスコア(を算出する)は分布の包絡線の形を変化させずに、分布を正規化するために使用される。Zスコア(を算出する)は本質上、標準偏差へと変化する。ユニットを正規化したそれぞれのZスコア(を算出する)は信号の平均と相対的な信号の出力量を反映する。スコアは、それぞれの平均偏差から平均を引いて、平均偏差フォームに変換される。そしてスコアは標準偏差と相対的に正規化される。Zスコアで正規化された全てのユニットは1と同等の標準偏差を有する。
【0238】
上記は、Zスコアを使用した正規化を述べているが、Tスコアなど、その他の正規化も実行可能であることを理解されたい。
【0239】
上記実施態様は、特定帯域内における毎周波数の出力の正規化を解説する。帯域は、0〜100hz、または128hz、500hzまでの範囲となる。周波数の帯域はサンプリングレートによってのみ限定される。例となる30KHzのサンプリングレートでは、15KHzまでの分析が可能である。
【0240】
本実施態様に従って、追加の正規化が実行され、ここでそれぞれの周波数に関し時間を越えて出力を正規化する。周波数および時間を超えて正規化された情報に関する結果は、二重正規化スペクトル図を作成するために使用される。
【0241】
この実施態様は、脳波データから追加の情報を取得し、分析されたデータから自動的に睡眠の異なる段階を検知することを解説する。検知される睡眠の段階は、徐波睡眠(SWS)、レム睡眠(REM)、中間睡眠(IIS)および覚醒状態を含むがこれに限らない。重要な特性によると、脳波活動の単一チャネル(ヒトの頭蓋骨上の単一部から取得される)が分析に用いられる。
【0242】
図41のフローチャートに従ってオペレーションが実行され、これは本明細書で記載されたどのコンピュータでも、またネットワークを渡ってでも、またはその他の別の方法においても、実行可能である。4100でデータが取得される。前述のとおり、取得されたデータはヒトまたはその他の対象からのEEG情報の1つのチャンネルとなり得る。取得されたEEGデータは、例えば256Hzサンプリングレートを利用して収集され、高周波率でサンプリングされることができる。データは例えば30秒時期など時期に分類することができ、周波数によって特徴をなす。
【0243】
4110で、第1の周波数の正規化が実行される。出力情報は各周波数ビンのZスコア(を算出する)技術を利用して正規化される。実施態様において、ビンは1〜100Hzまで拡張し、30ビン/Hzである。正規化は時間を超えて実行される。これにより正規化されたスペクトル図またはNSが作られ、これは信号からの各周波数帯域に実質上同じ重みをかける。実施態様において、各30秒時期は、その時期で最大のZスコアを有する周波数である「望ましい周波数」を表す。
【0244】
これにより、望ましい周波数空間と呼ばれる特別な周波数空間を作る。図42Aは未加工のスペクトル図を、図42Bは正規化されたスペクトルを示す。それぞれの時期は、例えば図43の30秒分割または図44の1秒スライディングウィンドウは、最大Zスコアを有する周波数で表される。図44は、どのように異なるパターンに広く分離されるかを示す。
【0245】
これらのパターンがどのように形成されたかを分析することで、パターンの特徴の分析が可能となる。例えば、Wまたは覚醒状態はアルファ帯域、7〜12Hzまたはベータ帯域(15〜25Hz)と特徴づけられた分析によって見出される。
【0246】
中間睡眠は1〜4Hz帯域のデルタ値および12〜15Hzのスピンドル周波数を示す。中間睡眠は、高い周波数の活動およびガンマ帯域3〜90Hzも示す。驚くべきことに、レム睡眠はデルタおよびシータ周波数で小型帯域を確定し、短期変動睡眠は広域スペクトル活性に支配されている。
【0247】
異なる睡眠状態はゆえに判別関数に従って画定され、ここで判別関数は特定部位で特定の活性をおよび別の部位で不活性を求める。どの部位の周波数が活性を有し、また有さないかで、前記関数は睡眠状態を評価する。
【0248】
より一般的には、ダイナミックスペクトルスコアはどれも補正データ上で実行される。判別関数は、複数の周波数帯域においてそれぞれ、特定値を必要とするか、特定の活性度の有無を単に必要とするかもしれない。判別関数は単に周波数対応の包絡線に一致するかもしれない。判別関数はスペクトルおよびフラグメンテーションおよび時間的なフラグメンテーションに注視する。
【0249】
4120は、周波数を越えて実行する第2の正規化を示す。4120での第2の正規化は二重正規化スペクトルを形成する。これは、帯域がより明瞭である新たな周波数空間を生み出す。第2の正規化は図42Cで示され、明るい部位の帯域は正値を、暗い部位の帯域は負値を表している。
【0250】
二重正規化スペクトルは、空間内で値を最大限に分離するフィルターを形成するために使用される。図43は、時間の関数において望ましい周波数のグラフを示し、周波数の異なるクラスタを表す。
【0251】
4130は、二重に正規化された周波数上で実行されたクラスタリング技術を示す。例えば、クラスタリング技術は、前述の実施態様で解説されたK平均法がある。図43で図示されるとおり、クラスタはグループを構成する。図44は、異なる状態の間の域、例えば帯域4400がどのように複数の異なるクラスタを構成するかを図示する。各クラスタは睡眠状態を示す。
【0252】
クラスタは、実際複次元クラスタであり、図45で図示されるように、クラスタ自体が追加情報を発見できるようグラフ化される。次元数は、クラスタ変数の数値による。これは、どのように二重正規化スペクトル図がより多くの測定特徴を有するかを示す。図45は実際異なる特徴の3次元グラフであり、異なる状態を検知する。分析はしかし、徐波睡眠が、時間および周波数に関し、レム睡眠または覚醒状態よりも安定していることを明らかにした。中間睡眠はしばしば徐波睡眠への中間的存在となる。
【0253】
平均の測定は周波数を越えて正規化された出力で広がり、スペクトルフラグメンテーションを表す図46で図示される通り、スペクトルフラグメンテーションが可能であることを示す。フラグメンテーション値は、異なる状態において時間的なフラグメンテーションに基づき、判別関数の一部として活用される。
【0254】
例えば:
【0255】
NSおよび2NS値にそれぞれ対応するZおよびZZを使用:
【0256】
w_filter=mean(ZZ(12−15Hz))+mean(ZZ(1−4Hz))+mean(ZZ(4−7Hz)).
【0257】
nrem_filter=mean(ZZ(60−100Hz))+mean(ZZ(4−7Hz))−[mean(ZZ(12−15Hz))+mean(ZZ(25−60Hz))+mean(ZZ(15−25Hz))]
【0258】
sws_filter=mean(Z(4−7Hz))+mean(Z(7−12Hz))
【0259】
フラグメンテーション値は以下の通りである:
【0260】
Spectral_frag=mean(abs(grad_f(ZZ(1−100Hz))));
【0261】
Spectral_temp=mean(abs(grad_t(ZZ(1−100Hz))));
【0262】
grad_fおよびgrad_tが2次元隣接グラディエントZZに一致する場所。
【0263】
この2つの関数は、二重に正規化されたスペクトル上で評価され、ノンレム睡眠におけるアーチファクト運動で発生した全ての周波数において、均一上昇を利用し、Wは単独に正規化されたスピクトルにおいて異常に上昇したフラグメンテーション値を引き出す。
【0264】
これらのフラグメンテーション値は判別関数の一部として利用される。重要なことは、上記に説明した通り、判別関数は一般的に手動技術を含む前記の分析技術からは明確にならない。
【0265】
計算は分割によって特徴付けられ、また重複時間枠またはスライディングウィンドウを利用し、時間的な登録を増加させる。これにより、多くの技術がこれまで実現可能となってきた。オンザフライを特徴づけることによって、ダイナミックスペクトルスコアを利用した睡眠状態と、脳波信号だけを利用した覚醒状態とを区別することが可能となった。
【0266】
別のアスペクトは、自動的にEEG情報を取得する機械、およびEEG情報を分析し睡眠状態に関する情報を決定するコンピュータを含む。例えば、前記情報は実際の睡眠状態または睡眠状態のその他の部分を含む。前記コンピュータは、睡眠状態を示す情報を記憶する不揮発性メモリを含み、睡眠状態を示す情報をリモート装置で伝達するワイヤレスネットワーク接続を含む。ユーザーは、睡眠を特徴づけるために、機械または前記機械に接続された電極を着用できる。
【0267】
上記は、情報が睡眠状態を決定するためにどのように利用されるかを説明している。これらの技術は睡眠状態を特徴づけるその他のアプリケーションおよびその他の技術に利用される。アプリケーションは患者が各自の睡眠状態および睡眠状態に基づく脳機能の変化として予め決定された変数に基づき、特定の薬剤を服用するかの決定を含む。別のアプリケーションは、アルコールの消費を決定する脳波信号を分析するが、例えば「アルコール検出器」として使用されるシステムの構築などである。
【0268】
一般構成および技術、さらにより一般的な目標を実現する異なる方法を遂げるために用いられるより特定の実施態様が、本明細書で開示される。
【0269】
上記で詳細を開示している実施態様は少数であるが、その他の実施態様も可能で、本発明者は本明細書にその他の実施態様が含まれると解釈する。本明細書は別の方法で成されるより一般的な目標を実現する特定の実施例を解説する。本開示内容は、例となることを目的とし、請求項は当該技術分野において通常技量を有する人には予測可能でる変更または代替案を含むと指定する。例えば、他の用途は可能であり、その他の判別関数および特性も可能である。上記は「望ましい周波数」に関して周波数を特徴づけるよう広範囲にわたり解説しているが、情報のより正確な特性も可能であることに留意する。また、上記はEGGデータより睡眠状態を決定することおよび睡眠状態の決定の異なる種類にのみ言及しているが、別の用途も熟考されることを理解する。
【0270】
また、本発明者は「〜する方法」という用語を用いた請求項は35 USC 112第6節で解釈されることを意図する。さらに明細書からの非限定は、請求項において限定について表記されていない限り、どの請求項にも適用される。
【0271】
本明細書で開示される前記コンピュータは、一般用途またはワークステーションなど特定用途のどのコンピュータでも可能である。前記コンピュータは、WindowsXP、LinuxまたはMacintoshコンピュータを搭載するペンティアムクラスのコンピュータでもよい。前記コンピュータは、PDA、携帯またはラップトップなどの携帯用コンピュータでもよい。
【0272】
プログラムはC、Java、Brew、またはその他プログラミング用語で書かれている。プログラムは、磁気、光またはコンピュータハードドライブ、リムーバブルディスク、メモリースティック、SD媒体またはリムーバブル媒体などの、記憶媒体に内在する。プログラムはネットワークをサーバーまたは本明細書に記載するオペレーションを実行するためにローカル機械に信号を伝達するその他機械を利用して、ネットワークを動かす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳波の活動を示すデータを取得するステップと、
少なくとも1つの周波数帯域における前記データの出力レベルを別の周波数帯域でのデータと相対的に変化させるため、前記データの前記少なくとも1つの周波数帯域を正規化し、脳波の活動示す正規化されたデータを形成するステップと、
脳波の活動を示す前記正規化されたデータを分析し、前記分析から睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記分析するステップは、前記正規化されたデータを自動的にクラスタ化してクラスタにするステップと、前記分析するステップにおいて前記クラスタを使用して前記パラメーターを決定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記正規化するステップは、前記データのZスコアを算出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データ正規化する第2のステップであって、前記分析するステップに先立ち、二重正規化されたデータを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の正規化するステップは、時間を越えて周波数を正規化するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の正規化するステップはそれぞれ、前記正規化するステップのためにZスコアを使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数を定義するステップと、前記判別関数を使用して前記二重正規化されたデータから睡眠状態を決定するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記判別関数は、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
任意の特定の時間において前記最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を特徴付けるステップと、前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定するステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
判別関数が、存在する周波数、および存在しない周波数に関して睡眠状態を定義する場合には、好ましい周波数の関数として判別関数を定義するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記二重正規化されたデータのフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記フラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
睡眠状態を示す前記パラメーターは、現在の時刻に応じた推定睡眠状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
睡眠状態を示す前記パラメーターは、ありそうに思われる薬物消費を示す情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記正規化するステップは、コンピュータを使用して前記データを変更するステップを実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ソースデータからアーチファクトを除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記正規化するステップに先立って、前記ソースデータを複数の時間区分に分割するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分離するステップは、走査の時間枠またはスライディングウィンドウのうちの1つを使用するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分離するステップは、
全時系列と、
重複時系列と、
非重複系列と
から成る群から選択される少なくとも1つの時系列のインクリメントを決定するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ある期間にわたって対象の睡眠状態を決定するための方法であって、
前記期間にわたって前記対象の脳波データを受信するステップであって、前記脳波データは、周波数スペクトルでの第2の周波数帯域と比較して、前記周波数スペクトルでの、少なくとも1つの低出力の第1の周波数帯域において、比較的低い出力のダイナミックレンジを示すステップと、
前記脳波データを1つ以上の時期に分割するステップと、
時間にわたり前記1つ以上の時期の周波数出力に重みをかけるステップであって、前記第2の周波数帯域と比較して前記周波数スペクトルの前記低出力の周波数帯域内で、出力の前記ダイナミックレンジを増大し、1つ以上の周波数重み付け時期を生成するステップを含む、前記重みをかけるステップと、
前記1つ以上の周波数重み付け時期に基づき前記対象の睡眠状態を分類するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記対象の睡眠状態を分類するステップは、
前記1つ以上の周波数重み付け時期をクラスタ化するステップと、
前記クラスタ化に従い、睡眠状態の指定を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップと、
前記1つ以上の周波数重み付け時期によって表される前記期間、前記対象の睡眠状態を示す前記睡眠状態の指定を与えるステップと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の周波数重み付け時期をクラスタ化するステップは、K平均法でクラスタ化するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
要素分析により前記脳波検査データを前処理するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の睡眠状態を分類するステップは、単独の要素分析を前記1つ以上の周波数重み付け時期に適用するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
睡眠状態を分類するステップは、手作業で決定した睡眠状態を組み込むステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
睡眠状態の指示を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップは、
少なくとも低周波数情報に基づき、非徐波睡眠の指示から徐波睡眠の指示を決定するステップと、
少なくとも高周波数情報に基づき、ノンレム睡眠の指示からレム睡眠の指示を決定するステップと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
徐波睡眠指示を、低周波数で著しく重みをかける出力を有する時期に割り当てるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
レム睡眠の指示を、高周波数で著しく重みをかける出力を有する時期に割り当てるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
睡眠状態の指示を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップは、平滑窓を前記1つ以上の重みをかける時期に適用するステップであって、前記平滑化は、前記1つ以上の重みをかける時期を越えて睡眠状態の指示を平均化するステップを含むことができるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
類似している睡眠状態の指示を有する前記1つ以上の時期によって表される前記期間前記対象の前記睡眠状態を代表するの標準的スペクトルとして1つ以上の周波数重み付け時期を与えるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
単独の要素分析により前記標準的スペクトルを分析して睡眠状態の分類の信頼を確立するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の周波数重み付け時期の前記睡眠状態の指示に従い、前記対象の睡眠統計を与えるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
正規化されたデータを二重に形成するための前記分類に先立って、第2の寸法に従って前記データを正規化するための第2の重みをかける出力をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の重みをかけるステップは、時間を越えて少なくとも1つの周波数を正規化するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記重みをかけるステップおよび前記第2の重みをかけるステップはそれぞれ、Zスコアを使用して正規化するステップを実行する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数を定義するステップと、前記判別関数を使用して前記二重正規化されたデータから睡眠状態を決定するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記判別関数は、すなわち、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
任意の特定の時間において前記最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を特徴付けるステップと、前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
判別関数が、存在する周波数、および存在しない周波数に関して睡眠状態を定義する場合には、前記好ましい周波数の関数として判別関数を定義するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記二重正規化されたデータのスペクトルのフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記スペクトルのフラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記二重正規化されたデータの時間的なフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記時間的なフラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
脳波の活動を示す少なくとも1つの信号を受信して、別の周波数帯域でのデータと相対的に前記少なくとも1つの周波数帯域でのデータの出力レベルを変化させるために、前記信号の少なくとも1つの周波数帯域を正規化して脳波の活動を示す正規化されたデータを形成し、また脳波の活動を示す前記正規化されたデータを使用して睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するコンピュータデバイスを備える装置。
【請求項42】
前記コンピュータデバイスは、前記データのZスコアを算出することによって前記正規化するステップを実行する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記コンピュータは、前記データの第2の正規化するステップを実行するよう動作して、前記データを使用するのに先立って、二重正規化されたデータを形成する、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記コンピュータによって実行される前記第2の正規化するステップは、時間を越えて周波数を正規化するステップを含む、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記コンピュータは複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数に基づき動作し、また前記判別関数を使用して前記正規化されたデータから睡眠状態を決定する、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記判別関数は、すなわち、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項46に記載の装置。
【請求項47】
前記コンピュータは、任意の特定の時間において最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を決定するよう動作し、また前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定する、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
前記コンピュータは、前記分析するステップの一部として前記二重正規化されたデータのフラグメンテーションを決定する、請求項43に記載の装置。
【請求項49】
前記信号を取得するよう接続される、脳波の電極をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項50】
脳波信号を示す情報を受信する第1の受信部分と、
脳波の活動を示す正規化されたデータを形成し、また脳波の活動を示す前記正規化されたデータを使用して睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するよう、前記脳波信号の少なくとも1つの周波数帯域で正規化する処理部分と
を備える装置。
【請求項51】
前記処理部分は、前記データのZスコアを算出することにより前記正規化するステップを実行する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記処理部分は、2つの別個の、前記データを正規化するステップを実行し、前記データを使用するのに先立って、二重正規化されたデータを形成する、請求項50に記載の装置。
【請求項1】
脳波の活動を示すデータを取得するステップと、
少なくとも1つの周波数帯域における前記データの出力レベルを別の周波数帯域でのデータと相対的に変化させるため、前記データの前記少なくとも1つの周波数帯域を正規化し、脳波の活動示す正規化されたデータを形成するステップと、
脳波の活動を示す前記正規化されたデータを分析し、前記分析から睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記分析するステップは、前記正規化されたデータを自動的にクラスタ化してクラスタにするステップと、前記分析するステップにおいて前記クラスタを使用して前記パラメーターを決定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記正規化するステップは、前記データのZスコアを算出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データ正規化する第2のステップであって、前記分析するステップに先立ち、二重正規化されたデータを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の正規化するステップは、時間を越えて周波数を正規化するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2の正規化するステップはそれぞれ、前記正規化するステップのためにZスコアを使用する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数を定義するステップと、前記判別関数を使用して前記二重正規化されたデータから睡眠状態を決定するステップとをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記判別関数は、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
任意の特定の時間において前記最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を特徴付けるステップと、前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定するステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
判別関数が、存在する周波数、および存在しない周波数に関して睡眠状態を定義する場合には、好ましい周波数の関数として判別関数を定義するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記二重正規化されたデータのフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記フラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
睡眠状態を示す前記パラメーターは、現在の時刻に応じた推定睡眠状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
睡眠状態を示す前記パラメーターは、ありそうに思われる薬物消費を示す情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記正規化するステップは、コンピュータを使用して前記データを変更するステップを実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ソースデータからアーチファクトを除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記正規化するステップに先立って、前記ソースデータを複数の時間区分に分割するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分離するステップは、走査の時間枠またはスライディングウィンドウのうちの1つを使用するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分離するステップは、
全時系列と、
重複時系列と、
非重複系列と
から成る群から選択される少なくとも1つの時系列のインクリメントを決定するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ある期間にわたって対象の睡眠状態を決定するための方法であって、
前記期間にわたって前記対象の脳波データを受信するステップであって、前記脳波データは、周波数スペクトルでの第2の周波数帯域と比較して、前記周波数スペクトルでの、少なくとも1つの低出力の第1の周波数帯域において、比較的低い出力のダイナミックレンジを示すステップと、
前記脳波データを1つ以上の時期に分割するステップと、
時間にわたり前記1つ以上の時期の周波数出力に重みをかけるステップであって、前記第2の周波数帯域と比較して前記周波数スペクトルの前記低出力の周波数帯域内で、出力の前記ダイナミックレンジを増大し、1つ以上の周波数重み付け時期を生成するステップを含む、前記重みをかけるステップと、
前記1つ以上の周波数重み付け時期に基づき前記対象の睡眠状態を分類するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
前記対象の睡眠状態を分類するステップは、
前記1つ以上の周波数重み付け時期をクラスタ化するステップと、
前記クラスタ化に従い、睡眠状態の指定を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップと、
前記1つ以上の周波数重み付け時期によって表される前記期間、前記対象の睡眠状態を示す前記睡眠状態の指定を与えるステップと、
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の周波数重み付け時期をクラスタ化するステップは、K平均法でクラスタ化するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
要素分析により前記脳波検査データを前処理するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記対象の睡眠状態を分類するステップは、単独の要素分析を前記1つ以上の周波数重み付け時期に適用するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
睡眠状態を分類するステップは、手作業で決定した睡眠状態を組み込むステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
睡眠状態の指示を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップは、
少なくとも低周波数情報に基づき、非徐波睡眠の指示から徐波睡眠の指示を決定するステップと、
少なくとも高周波数情報に基づき、ノンレム睡眠の指示からレム睡眠の指示を決定するステップと
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
徐波睡眠指示を、低周波数で著しく重みをかける出力を有する時期に割り当てるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
レム睡眠の指示を、高周波数で著しく重みをかける出力を有する時期に割り当てるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
睡眠状態の指示を前記1つ以上の周波数重み付け時期に割り当てるステップは、平滑窓を前記1つ以上の重みをかける時期に適用するステップであって、前記平滑化は、前記1つ以上の重みをかける時期を越えて睡眠状態の指示を平均化するステップを含むことができるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
類似している睡眠状態の指示を有する前記1つ以上の時期によって表される前記期間前記対象の前記睡眠状態を代表するの標準的スペクトルとして1つ以上の周波数重み付け時期を与えるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
単独の要素分析により前記標準的スペクトルを分析して睡眠状態の分類の信頼を確立するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つ以上の周波数重み付け時期の前記睡眠状態の指示に従い、前記対象の睡眠統計を与えるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
正規化されたデータを二重に形成するための前記分類に先立って、第2の寸法に従って前記データを正規化するための第2の重みをかける出力をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の重みをかけるステップは、時間を越えて少なくとも1つの周波数を正規化するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記重みをかけるステップおよび前記第2の重みをかけるステップはそれぞれ、Zスコアを使用して正規化するステップを実行する、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数を定義するステップと、前記判別関数を使用して前記二重正規化されたデータから睡眠状態を決定するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記判別関数は、すなわち、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
任意の特定の時間において前記最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を特徴付けるステップと、前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
判別関数が、存在する周波数、および存在しない周波数に関して睡眠状態を定義する場合には、前記好ましい周波数の関数として判別関数を定義するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記二重正規化されたデータのスペクトルのフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記スペクトルのフラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記二重正規化されたデータの時間的なフラグメンテーションを分析するステップと、前記分析するステップの一部として前記時間的なフラグメンテーションを使用するステップとをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
脳波の活動を示す少なくとも1つの信号を受信して、別の周波数帯域でのデータと相対的に前記少なくとも1つの周波数帯域でのデータの出力レベルを変化させるために、前記信号の少なくとも1つの周波数帯域を正規化して脳波の活動を示す正規化されたデータを形成し、また脳波の活動を示す前記正規化されたデータを使用して睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するコンピュータデバイスを備える装置。
【請求項42】
前記コンピュータデバイスは、前記データのZスコアを算出することによって前記正規化するステップを実行する、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記コンピュータは、前記データの第2の正規化するステップを実行するよう動作して、前記データを使用するのに先立って、二重正規化されたデータを形成する、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記コンピュータによって実行される前記第2の正規化するステップは、時間を越えて周波数を正規化するステップを含む、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記コンピュータは複数の異なる睡眠状態の前記二重正規化されたデータの特徴を表す判別関数に基づき動作し、また前記判別関数を使用して前記正規化されたデータから睡眠状態を決定する、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
前記判別関数は、すなわち、睡眠状態を定義するための、特定の帯域に存在し、また他の特定の帯域に存在しない周波数に関する関数である、請求項46に記載の装置。
【請求項47】
前記コンピュータは、任意の特定の時間において最も高い標準値を有する周波数として好ましい周波数を決定するよう動作し、また前記好ましい周波数を分析して前記少なくとも1つのパラメーターを決定する、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
前記コンピュータは、前記分析するステップの一部として前記二重正規化されたデータのフラグメンテーションを決定する、請求項43に記載の装置。
【請求項49】
前記信号を取得するよう接続される、脳波の電極をさらに備える、請求項41に記載の装置。
【請求項50】
脳波信号を示す情報を受信する第1の受信部分と、
脳波の活動を示す正規化されたデータを形成し、また脳波の活動を示す前記正規化されたデータを使用して睡眠状態を示す少なくとも1つのパラメーターを決定するよう、前記脳波信号の少なくとも1つの周波数帯域で正規化する処理部分と
を備える装置。
【請求項51】
前記処理部分は、前記データのZスコアを算出することにより前記正規化するステップを実行する、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記処理部分は、2つの別個の、前記データを正規化するステップを実行し、前記データを使用するのに先立って、二重正規化されたデータを形成する、請求項50に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公表番号】特表2008−544772(P2008−544772A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511330(P2008−511330)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/018120
【国際公開番号】WO2006/122201
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.ペンティアム
3.JAVA
4.WINDOWS
【出願人】(507373449)ザ サルク インスティテュート フォー バイオロジカル スタディーズ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/018120
【国際公開番号】WO2006/122201
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.ペンティアム
3.JAVA
4.WINDOWS
【出願人】(507373449)ザ サルク インスティテュート フォー バイオロジカル スタディーズ (1)
【Fターム(参考)】
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