説明

睡眠日誌作成支援装置

【課題】就寝者に対して非接触かつ無拘束で検出した就寝者の体動情報に基づいて就寝者の睡眠状態を睡眠日誌作成に必要な正確さで判定することができ、睡眠日誌を作成するための情報を就寝者の自然な睡眠を妨げることなく高い精度で得ることができるようにする。
【解決手段】差分算出手段51、ゼロクロス計数手段52、温度ノイズ補正手段53、演算処理手段54、睡眠状態判定手段55、温度補正手段56、就寝状態検出手段57、補正値作成手段58及び睡眠日誌作成手段59を備えた。差分算出手段51及びゼロクロス計数手段52により、焦電型赤外線センサ4の検出データから所定時間間隔毎における比較的大きな就寝者の体動を生じた回数を時系列に並べた時系列データを作成し、温度ノイズ補正手段53による補正及び演算処理手段54による演算処理を施した後に、睡眠状態判定手段55において基準値と比較して睡眠状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時の人の体動を検出した結果に基づいて、一定期間にわたって睡眠日誌を作成するために必要な情報を自動的に記録する睡眠日誌作成支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康を維持するためには、良質かつ適度な状態の睡眠の確保が不可欠である。睡眠状態を評価するためには、就寝時から起床時までの睡眠時間及び睡眠の深浅等の睡眠状態を知る必要があり、睡眠に関して悩みや不満のある人の健康リスクを回避するための、日常的に個人が記録可能な手段として、一定期間にわたって就寝時刻及び起床時刻とまどろみ状態か安定した睡眠状態かの区別と、を記録した睡眠日誌が用いられている。
【0003】
ところが、就寝者自身が睡眠の深浅を正確に測定することはできないだけでなく、就寝者本人が毎日の就寝時刻及び起床時刻を記録し続けるには強い継続意思を必要とするため、長期間にわたる精度の高い睡眠日誌を作成することは難しい。
【0004】
このため、就寝中の就寝者の睡眠時間や睡眠状態を自動的に検出することが考えられるが、ベッド等の寝具の人体接触部分に装置を設けたり、就寝者自身に検出機器を装着させたりすると、就寝者の自然な睡眠を妨げる可能性があり、就寝者の日常の睡眠時間や睡眠状態を記録できるとは限らない。例えば、就寝中における睡眠の深浅は就寝者の脳波を測定することによって正確に計測することができるが、脳波の測定には専門的技術により就寝者に測定器具を装着させる必要があるとともに、非接触かつ無拘束で就寝者の脳波を測定することは原理的に不可能である。
【0005】
そこで、非接触かつ無拘束で睡眠状態を検出する装置として、就寝中の人体の頭部から発せられる赤外線を検出する焦電型赤外線センサ及びサーモパイルを用いて、ベッド内に就寝者がいるか否かを検出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、焦電型赤外線センサ等の体動検知センサを備え、睡眠中の就寝者の体動情報を検出し、この情報を記録及び表示するようにした装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−005180号公報
【特許文献2】特開2002−315738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、ベッド内等の就寝位置における就寝者の有無を検出することはできるかもしれないが、就寝中の就寝者が睡眠しているか覚醒しているかを検出することはできない。したがって、特許文献1に記載された装置では、就寝中の睡眠状態を計測することはできず、睡眠日誌を自動的に作成することもできない。
【0008】
また、特許文献2に開示された装置では、体動検知センサによって就寝者の体動情報を検出することはできるが、検出された体動情報を用いて睡眠状態を自動的に判定することができず、睡眠日誌を自動的に作成することもできない。
【0009】
即ち、就寝者は、就寝位置に横たわった就寝状態であっても必ずしも睡眠しているとは限らず、横になってはいるものの覚醒している場合もある。通常、就寝中の就寝者は覚醒時において体動を伴うが、睡眠中であっても寝返り等の体動が現れる。また、一旦睡眠状態に入った後に起床するまでの間に覚醒する場合もあり、このような就寝者にも体動が現れる。
【0010】
したがって、就寝中の体動情報の有無と睡眠中であるか否かとは必ずしも一致せず、体動情報をそのまま睡眠状態の判断に用いることはできないため、検出した体動情報に基づいて睡眠状態を判定する手段を備えていない特許文献2に開示された装置では、睡眠日誌の作成に必要な情報としての就寝中における睡眠状態を得ることができない。
【0011】
この発明は、就寝者の睡眠状態に応じて体動情報の内容が異なることに着目してなされたものであり、その目的は、就寝者に対して非接触かつ無拘束で検出した就寝者の体動情報に基づいて就寝者の睡眠状態を睡眠日誌作成に必要な正確さで判定することができ、睡眠日誌を作成するための情報を就寝者の自然な睡眠を妨げることなく高い精度で得ることができる睡眠日誌作成支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の睡眠日誌作成支援装置は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えたものである。
【0013】
(1)就寝位置における就寝者の体動を検出する体動検出センサと、就寝者の就寝時から起床時までの体動検出センサの一定の微小時間毎の検出信号のそれぞれについて差分値を算出する差分算出手段と、差分算出手段の算出結果が予め設定された閾値を切る回数を所定時間間隔毎に計数して時系列データを作成するゼロクロス計数手段と、ゼロクロス計数手段によって作成された時系列データをそれぞれが互いに異なる睡眠状態に対応した単一又は複数の基準値と比較して所定時間間隔毎の睡眠状態を判定する睡眠状態判定手段と、睡眠状態判定手段の判定結果を累積的に記憶する記憶手段と、記憶手段の記憶内容を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この構成においては、就寝者から検出した体動情報の差分値が閾値を切る回数が所定時間間隔毎に計数され、就寝時から起床時までの間に時系列に並んだ複数の計数値からなる時系列データが作成される。この時系列データを構成する複数の計数値のそれぞれが、睡眠状態に応じて予め設定された単一又は複数の基準値と比較され、この比較結果が累積的に記憶される。したがって、非接触かつ無拘束で測定された所定時間間隔毎の比較的大きな体動を生じた回数の計数結果が基準値と比較され、所定時間間隔毎に比較的大きな体動を生じた回数の多少に応じて、就寝時から起床時までの間に睡眠状態が連続して判定される。
【0015】
(2)上記(1)の構成において、就寝者の就寝状態及び起床状態を検出する就寝状態検出手段をさらに備え、記憶手段は就寝状態検出手段が就寝者の就寝状態を検出した時から起床状態を検出するまでの間における睡眠状態判定手段の判定結果を累積的に記憶することを特徴とする。
【0016】
この構成においては、就寝状態検出手段の検出した就寝者の就寝状態及び起床状態に基づいて、就寝者の就寝時から起床時までの間における睡眠状態の判定結果が累積的に記憶される。したがって、就寝者の就寝時から起床時までの睡眠状態を記録した睡眠日誌が作成される。
【0017】
(3)上記(2)の構成において、就寝状態検出手段は、就寝位置における温度変化を検出する体温検出手段であることを特徴とする。
【0018】
この構成においては、就寝者の就寝状態及び起床状態が就寝位置における温度変化に基づいて自動的に検出される。したがって、就寝者自身が就寝時及び起床時を記録することなく、就寝者の就寝時から起床時までの睡眠状態を記録した睡眠日誌が自動的に作成される。
【0019】
(4)上記(2)の構成において、就寝状態検出手段は、就寝時及び起床時に入力操作を受け付ける操作部材であることを特徴とする。
【0020】
この構成においては、就寝者の就寝状態及び起床状態が就寝者の入力操作に基づいて検出される。したがって、就寝者自身の睡眠行動としての入力操作に基づいて、就寝者の就寝時から起床時までの睡眠状態を記録した睡眠日誌が作成される。
【0021】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかの構成において、体動検出手段は就寝者から発せられる赤外線を検出する焦電型赤外線センサであり、就寝位置が配置された就寝場所における空気の温度を検出する空気温度検出手段と、空気温度検出手段の検出結果に基づいてゼロクロス計数手段によって作成された時系列データを補正する温度補正手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成においては、焦電型赤外線センサが就寝者から発せられる赤外線を体動情報として検出し、この検出結果に基づいて作成された時系列データが就寝場所における空気の温度によって補正される。したがって、就寝者から発せられる赤外線を非接触かつ無拘束の状態で検出する場合には空気の温度変化が検出結果にノイズとして影響を与えるが、焦電型赤外線センサの検出結果からノイズとしての空気の温度変化が除去される。
【0023】
(6)上記(3)の構成において、前記就寝位置が配置された就寝場所における空気の温度を検出する空気温度検出手段と、前記空気温度検出手段の検出結果に基づいて前記体温検出手段の検出結果を補正する補正手段と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0024】
この構成においては、体温検出手段が就寝者の体温に基づいて検出した就寝状態及び起床状態が、就寝場所における空気の温度によって補正される。したがって、就寝者から発せられる赤外線を非接触かつ無拘束の状態で検出する場合には空気の温度変化が検出結果にノイズとして影響を与えるが、体温検出手段の検出結果からノイズとしての空気の温度変化が除去される。
【発明の効果】
【0025】
この発明の睡眠日誌作成支援装置によれば、非接触かつ無拘束で測定された所定時間間隔毎の比較的大きな体動の発生回数の計数結果を基準値と比較し、所定時間間隔毎に比較的大きな体動を生じた回数の多少に応じて睡眠状態を連続して判定し、これを自動的に記録することができる。これによって、睡眠日誌の作成に必要な情報を就寝者の自然な睡眠を妨げることなく高い精度で得ることができ、正確な睡眠日誌の作成に資することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る睡眠日誌作成支援装置を適用した睡眠日誌作成装置1の側面図である。睡眠日誌作成装置1は、筐体2の一部に透光部材によって構成された検出面3を備えている。筐体2の内部には、この発明の体動検出センサである焦電型赤外線センサ4及びサーモパイル5が検出面3に対向して収納されている。焦電型赤外線センサ4は、この発明の体動検出センサである。サーモパイル5は、この発明の就寝状態検出手段である。
【0027】
睡眠日誌作成装置1の側面には、蓋体6が開閉自在に配置されている。蓋体6を開放すると、筐体2の内部に配置されたジャック7が外部に露出する。ジャック7には、一例としてUSBメモリ等の可搬型記録媒体のプラグが接続される。
【0028】
筐体2の前面には、ディスプレイ8及び出力用スイッチ9が配置されている。ディスプレイ8は、出力用スイッチ9の操作に応じて後述する睡眠日誌を表示する。ディスプレイ8はジャック7と選択的に配置することもできる。ジャック7に可搬型記録媒体が接続された状態で出力スイッチ9が操作された際に、睡眠日誌の表示データを可搬型記録媒体に書き込み、睡眠日誌の表示データが書き込まれた可搬型記録媒体を図外のパーソナルコンピュータのジャックに接続することにより、パーソナルコンピュータのモニタにおいて表示することとすれば、ディスプレイ8及びスイッチ9を備える必要はない。また、睡眠日誌をディスプレイ8のみにおいて表示することとすれば、ジャック7を備える必要はない。
【0029】
なお、プリンタ10を筐体2の内部に配置し、出力用スイッチ9が操作された際にプリンタ10のみから睡眠日誌を印字出力することとすれば、ジャック7及びディスプレイ8を備える必要はない。ただし、ジャック7及びディスプレイ8とともにプリンタ10を備えることもできる。これらジャック7、ディスプレイ8及びプリンタ10がこの発明の出力手段に相当する。
【0030】
筐体2の前面の上部には、スリット11が形成されている。筐体2の内部においてスリット11に対向する位置には、室温センサ12が配置されている。室温センサ12は、この発明の空気温度検出手段である。
【0031】
図2は、上記睡眠日誌作成装置1の使用状態を示す図である。睡眠日誌作成装置1は、ベッド等の就寝位置20が配置される寝室等の就寝場所30の壁面31等に取り付けられる。睡眠日誌作成装置1は、就寝場所30の図示しない天井面に取り付けるものであってもよい。また、睡眠日誌作成装置1は、就寝場所30における就寝位置20の配置位置や就寝場所30自体が変更される場合を考慮して、壁面31等に着脱自在に取り付けることもできる。
【0032】
睡眠日誌作成装置1の焦電型赤外線センサ4は、就寝位置20において枕が置かれる部分21から発生する赤外線を検出面3を介して検出する。睡眠日誌作成装置1のサーモパイル5は、就寝位置20において枕が置かれる部分21における熱を検出面3を介して検出する。睡眠日誌作成装置1の室温センサ12は、就寝場所30の空気の温度をスリット11を介して検出する。
【0033】
図3は、この発明の第1の実施形態に係る睡眠日誌作成装置1の構成を示すブロック図である。睡眠日誌作成装置1は、CPU40にROM41、RAM42、ディスプレイコントローラ43、プリンタドライバ44、A/D変換器45〜47、ジャック7及びスイッチ9を接続して構成されている。CPU40は、ROM41に予め書き込まれたプログラム及びデータに基づいて処理動作を行い、この間に入出力されるデータをRAM42に書き込む。RAM42は、この発明の記憶手段である。
【0034】
ディスプレイコントローラ43は、CPU40から供給される睡眠日誌の表示データをディスプレイ8に表示する。プリンタドライバ44は、CPU40から供給される睡眠日誌の印字データに基づいてプリンタ10を駆動する。A/D変換器45〜47のそれぞれは、焦電型赤外線センサ4、サーモパイル5及び室温センサ12の検出信号をディジタルデータに変換してCPU40に入力する。
【0035】
CPU40の内部には、差分算出手段51、ゼロクロス計数手段52、温度補正手段53、演算処理手段54、睡眠状態判定手段55、補正手段56、就寝状態検出手段57、補正値作成手段58及び睡眠日誌作成手段59を備えている。
【0036】
差分算出手段51は、A/D変換器45から一例として25msecのサンプリング間隔で入力される焦電型赤外線センサ4の検出データと、前回入力された検出データとの差分を算出し、変化量データとして出力する。ゼロクロス計数手段52は、一例として20secの所定時間間隔毎における差分算出手段51から出力された変化量データが予め設定された閾値を超える回数を計数し、複数の計数値を時系列に並べた時系列データとして出力する。
【0037】
したがって、この時系列データは、所定時間間隔毎における焦電型赤外線センサ4の検出データが比較的大きく変化した回数を時系列に並べたものでり、焦電型赤外線センサ4の検出データは就寝者の体動の変化量に応じて変動することから、所定時間間隔毎における比較的大きな就寝者の体動を生じた回数を時系列に並べたものである。
【0038】
なお、ゼロクロス計数手段52において用いる閾値は、外部からの振動等の就寝者の体動以外による焦電型赤外線センサ4の検出データの変動を除去すべく、焦電型赤外線センサ4の精度等を考慮して実験的に決定することができる。
【0039】
補正値作成手段58は、A/D変換器46から入力される室温センサ12の検出データに基づいて補正データを作成し、温度補正手段53及び補正手段56に供給する。
【0040】
温度補正手段53は、ゼロクロス計数手段52が出力した時系列データを補正値作成手段58から供給される補正データに基づいて補正する。焦電型赤外線センサ4は非接触かつ無拘束の状態で就寝者から発せられた赤外線を検出する。このため、焦電型赤外線センサ4の検出信号には焦電型赤外線センサ4と就寝者との間の空気温度の影響を受け、就寝場所30の室温の変動が焦電型赤外線センサ4の検出信号にノイズとして現れる可能性がある。そこで、温度補正手段53は、ゼロクロス計数手段52が出力した時系列データにおいて室温の変動によるものを除外し、就寝者の比較的大きな体動の回数のみを表す時系列データに補正する。
【0041】
演算処理手段54は、温度補正手段53による補正を受けた時系列データに統計学的な演算処理を施す。この演算処理は、例えば重み付け移動平均処理であり、一例として7点重み付け移動平均処理が行われる。この処理を行うことにより、時系列データにおける急激な変動が抑えられ、データとしての信頼性が向上する。
【0042】
睡眠状態判定手段55は、演算処理手段54による演算処理が施された時系列データを予め設定された基準値と比較し、睡眠状態を判定する。例えば、就寝中における覚醒している状態と睡眠している状態とを峻別する場合には単一の基準値が用いられ、睡眠中における睡眠の深浅の度合いをも峻別する場合には複数の基準値が必要となる。これら単一又は複数の基準値は、焦電型赤外線センサ4の精度をも考慮して、脳波の検出データ等との比較により、実験的に決定することができでる。
【0043】
例えば、脳波の検出データから、覚醒している状態であると判断される場合の所定時間間隔における比較的大きな体動回数と、睡眠している状態であると判断される場合の所定時間間隔における比較的大きな体動回数と、を求め、両者の間の回数を基準値とすることで、所定時間間隔毎の比較的大きな体動回数から覚醒している状態であるか睡眠している状態であるかが判定される。
【0044】
また、睡眠の深浅の各レベルのそれぞれにおいて比較的大きな体動回数の差異がみられる場合には、各レベル毎の体動回数の間の回数を複数の基準値とすることで、所定時間間隔毎の比較的大きな体動回数から睡眠している状態における睡眠の深浅のレベルが判定される。
【0045】
この結果、例えば、就寝者が比較的大きな体動を繰り返し行った回数が、基準値より多い場合には覚醒している状態であると判定され、基準値より少ない場合には睡眠している状態であると判定される。睡眠状態判定手段55は、所定時間間隔毎の判定データを順次に睡眠日誌作成手段59に出力する。
【0046】
補正手段56は、A/D変換器47から入力されたサーモパイル5の検出データを、補正値作成手段58から供給される補正データに基づいて補正する。サーモパイル5も非接触かつ無拘束の状態で就寝者の体温を測定するため、サーモパイル5の検出データはサーモパイル5と就寝者との間の空気温度の影響を受け、就寝場所30の室温の変動がサーモパイル5の検出信号にノイズとして現れる可能性がある。そこで、補正手段56は、A/D変換器47から入力された検出データにおいて室温の変動によるものを除外し、就寝者の体温のみをデータに補正する。
【0047】
就寝状態検出手段57は、補正手段56において補正された検出データを所定の比較値と比較し、就寝位置20における就寝者の有無を判定した結果である就寝状態データ及び起床状態データを睡眠日誌作成手段59に供給する。
【0048】
睡眠日誌作成手段59は、図示しない時計回路から時刻情報の供給を受けている。睡眠日誌作成手段59は、就寝状態検出手段57から就寝状態データが入力された時から起床状態データが入力される時までの間において、睡眠状態判定手段55から入力される所定時間間隔毎の判定データを時刻情報に基づく時間軸に沿って累積的に記録した1日分の睡眠日誌データを作成し、RAM42に格納する。RAM42は、複数日分の睡眠日誌データを順次記憶する。
【0049】
CPU40は、出力用スイッチ9が操作されると、RAM42に記憶されている例えば1カ月分の睡眠日誌データを読み出し、一例として図4に示す睡眠日誌61の表示データ、ファイルデータ又は印字データを作成し、それぞれディスプレイコントローラ43、ジャック7又はプリンタドライバ44に供給する。
【0050】
以上のように、睡眠日誌作成装置1は、所定時間間隔における就寝者の比較的大きな体動の回数に基づいて就寝者の睡眠状態を容易かつ正確に判定し、睡眠日誌を自動的に作成することができる。就寝者の体動は、焦電型赤外線センサ4によって非接触かつ無拘束の状態で検出されるため、就寝者の自然な睡眠を妨げることがない。
【0051】
図5は、この発明の第2の実施形態に係る睡眠日誌作成支援装置を適用した睡眠日誌作成装置1′の構成を示すブロック図である。睡眠日誌作成装置1′は、図3に示した睡眠日誌作成装置1におけるサーモパイル5、A/D変換器47、温度補正手段56及び就寝状態検出手段57に代えて、入力スイッチ60を備えたものであり、その他の構成は睡眠日誌作成装置1と同様である。入力スイッチ60は、この発明の操作部材である。
【0052】
入力スイッチ60は、就寝者自身による就寝時及び起床時における就寝状態及び起床状態の入力操作を受け付ける。就寝者は、就寝時に入力スイッチ60を操作して就寝状態の開始タイミングを入力し、起床時に入力スイッチ60を操作して就寝状態の終了タイミングを入力する。睡眠日誌作成手段59は、入力スイッチ60の操作による就寝状態の開始タイミングから終了タイミングまでの間において、睡眠状態判定手段55から入力される所定時間間隔毎の判定データを時刻情報に基づく時間軸に沿って累積的に記録した睡眠日誌を作成し、RAM42に書き込む。
【0053】
このように、入力スイッチ60を設けることにより、就寝者に睡眠行動としてのスイッチの操作を習慣づけることになり、就寝者の安定した睡眠習慣の形成に役立つ。
【0054】
なお、睡眠日誌作成装置1及び1′において、焦電型赤外線センサ4の精度、及び、ゼロクロス計数手段52における閾値の選択等により、時系列データにおけるノイズの影響を十分に除去できる場合には、室温センサ12、A/D変換器46、温度補正手段53、補正手段56及び補正値算出手段58を省略することができる。
【0055】
また、睡眠日誌の構成は、必ずしも図4に示すように睡眠状態の判定結果を示すものである必要はなく、体動量の評価や解析に用いられる演算処理手段54の出力を時系列的に記録した体動回数データであってもよい。
【0056】
さらに、ゼロクロス計数手段52の出力又は温度ノイズ補正手段53の出力が十分な信頼性を備えたものである場合には、演算処理手段54を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る睡眠日誌作成支援装置を適用した睡眠日誌作成装置1の側面図である。
【図2】上記睡眠日誌作成装置1の使用状態の一例を示す図である。
【図3】上記睡眠日誌作成装置1の構成を示すブロック図である。
【図4】上記睡眠日誌作成装置1によって作成される睡眠日誌の一例を示す図である。
【図5】この発明の第2の実施形態に係る睡眠日誌作成支援装置を適用した睡眠日誌作成装置1′の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1 睡眠日誌作成装置
4 焦電型赤外線センサ(体動検出センサ)
5 サーモパイル(体温検出手段)
7 ジャック(出力手段)
8 ディスプレイ(出力手段)
10 プリンタ(出力手段)
12 室温センサ(空気温度検出手段)
51 差分算出手段
52 ゼロクロス計数手段
53 温度補正手段
55 睡眠状態判定手段
56 補正手段
57 就寝状態検出手段
59 睡眠日誌作成手段
60 入力スイッチ(操作部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝位置における就寝者の体動を検出する体動検出センサと、就寝者の就寝時から起床時までの前記体動検出センサの一定の微小時間毎の検出信号のそれぞれについて差分値を算出する差分算出手段と、前記差分算出手段の算出結果が予め設定された閾値を切る回数を所定時間間隔毎に計数して時系列データを作成するゼロクロス計数手段と、前記ゼロクロス計数手段によって作成された前記時系列データをそれぞれが互いに異なる睡眠状態に対応した単一又は複数の基準値と比較して前記所定時間間隔毎の睡眠状態を判定する睡眠状態判定手段と、睡眠状態判定手段の判定結果を累積的に記憶する記憶手段と、記憶手段の記憶内容を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする睡眠日誌作成支援装置。
【請求項2】
就寝者の就寝状態及び起床状態を検出する就寝状態検出手段をさらに備え、前記記憶手段は前記就寝状態検出手段が就寝者の就寝状態を検出した時から起床状態を検出するまでの間における前記睡眠状態判定手段の判定結果を累積的に記憶することを特徴とする請求項1に記載の睡眠日誌作成支援装置。
【請求項3】
前記就寝状態検出手段は、就寝位置における温度変化を検出する体温検出手段であることを特徴とする請求項2に記載の睡眠日誌作成支援装置。
【請求項4】
前記就寝状態検出手段は、就寝時及び起床時に入力操作を受け付ける操作部材であることを特徴とする請求項2に記載の睡眠日誌作成支援装置。
【請求項5】
前記体動検出手段は就寝者から発せられる赤外線を検出する焦電型赤外線センサであり、前記就寝位置が配置された就寝場所における空気の温度を検出する空気温度検出手段と、前記空気温度検出手段の検出結果に基づいて前記ゼロクロス計数手段によって作成された時系列データを補正する温度補正手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の睡眠日誌作成支援装置。
【請求項6】
前記就寝位置が配置された就寝場所における空気の温度を検出する空気温度検出手段と、前記空気温度検出手段の検出結果に基づいて前記体温検出手段の検出結果を補正する補正手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の睡眠日誌作成支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−280408(P2006−280408A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100555(P2005−100555)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度、経済産業省、新連携対策委託事業、産業再生法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000001074)クロイ電機株式会社 (49)
【出願人】(391061037)日本電気化学株式会社 (7)
【Fターム(参考)】