説明

睡眠状態の検出

自動装置が、睡眠状態を特定する方法論を提供し、睡眠状態の特定は、持続的気道陽圧装置等の圧力治療装置による、睡眠機能不全のある呼吸の治療と併せることができる。呼吸空気流量の測定値に基づいて、呼吸特性が抽出されて、覚醒状態、睡眠安定性、睡眠状態を検出し、及び/又は睡眠品質評価を実行する。この方法論は、専用コンピュータ、呼吸空気流量を測定する監視装置、及び/又は検出された状態に基づいて呼吸治療計画を提供する呼吸治療装置によるデータ解析のために実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、睡眠の状態及び関連する特性を検出する方法及び装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2009年7月16日に出願された米国仮特許出願第61/226,069号の出願日の利益を主張するものであり、この仮特許出願の開示内容を引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。
【背景技術】
【0003】
OSAを有する患者は、睡眠中、患者の覚醒によってのみ終わる再発性無呼吸又は減源呼吸を経験する場合がある。これらの再発性呼吸機能不全事象は、睡眠を途切れさせ、交感神経系を刺激する。これは、患者に対して、(自動車両事故の可能性を伴う)日中の眠気、不良な精神作用、記憶の問題、抑鬱、及び過度の緊張を含む深刻な結果を有する可能性がある。OSAを有する患者は、大きないびきをかく傾向も有し、そのため、配偶者の睡眠も乱れる。
【0004】
患者は、睡眠を中断させる場合がある他の事象も経験することがある。例えば、周期的な四肢運動(PLM)は、睡眠中の四肢の繰り返される痙攣又は攣縮である。これらの四肢運動事象は、睡眠を乱し、日中の眠気に繋がる場合、睡眠障害とみなすことができる。
【0005】
OSAを有する患者は通常、持続的気道陽圧法(CPAP)を用いて治療される。陽圧は、吸気中、患者の気道が潰れるのを防ぎ、それにより、再発性呼吸系事象(例えば、無呼吸又は減呼吸)並びにそれらの続発症を防ぐ。そのような呼吸治療装置は、患者の呼吸サイクル中、適切なときに1つ以上の治療圧力で清潔で呼吸可能なガス(breathable gas)(通常、酸素補給あり又はなしの空気)の供給を患者に供給するように機能することができる。
【0006】
呼吸治療装置は通常、フロー生成器と、エアフィルタと、マスク又はカニューレと、フロー生成器をマスクに接続する空気送達管と、様々なセンサと、マイクロプロセッサに基づくコントローラとを備える。フロー生成器は、サーボ制御されるモーター及びインペラーを備えることができる。フロー生成器は、モーター速度制御への代替として、患者に送達される圧力を変更する手段として、空気を大気中に排出可能な弁を備えることもできる。センサは、特に、圧力変換器、フローセンサ等を用いてモーター速度、ガス体積流量、及び流出圧を測定する。この装置は、任意選択的に、空気送達管の経路に加湿及び/又は加熱要素を備えることができる。コントローラは、一体化されたデータ検索/転送機能及び表示機能とともに、又はこれら機能なしでデータ記憶容量を含みうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの装置は通常、無呼吸又は減呼吸型の睡眠障害呼吸事象を検出するように構成することができ、通常、睡眠についてのより詳細な情報をユーザに提供しない。したがって、睡眠のこれらの状態及び他の状態を検出して、睡眠の品質をより完全に評価する方法及び装置を開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術のいくつかの実施の形態の第1の態様は、睡眠品質を検出する方法及び装置を提供することである。
【0009】
本技術のいくつかの実施の形態の別の態様は、睡眠状態を検出する方法及び装置を提供することである。
【0010】
本技術のいくつかの実施の形態の更なる態様は、睡眠安定性を検出する方法及び装置を提供することである。
【0011】
本技術のいくつかの実施の形態のまた更なる態様は、睡眠からの覚醒を検出する方法及び装置を提供することである。
【0012】
いくつかの実施の形態は、プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠状態を検出する方法を含む。該プロセッサの該方法は、呼吸フローの測定値(measure)から複数の呼吸特性を求めることを含む。これはまた、ノンレム睡眠状態及びレム睡眠状態を含む潜在的な睡眠状態から状態を検出することも含む。該状態を検出することは、前記求められた呼吸特性に基づくことができる。次に、プロセッサは、前記検出された状態を示すことができる。
【0013】
いくつかの実施の形態では、前記潜在的な睡眠状態は目覚め状態を更に含みうる。同様に、前記レム睡眠状態は軽いレム状態とすることができ、前記潜在的な睡眠状態は深いレム状態も含みうる。
【0014】
いくつかの実施の形態では、前記プロセッサは、前記複数の呼吸特性からのデータを用いて、各潜在的な睡眠状態間の遷移を表す確率を計算することにより前記検出される状態を求め、前記計算された確率のうちの最も確からしい確率の関数として前記検出される状態を求める。任意選択的に、前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフロー変動の測定値、呼気ピークフロー変動の測定値、呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率の測定値、呼気ピークフロー位置変動の測定値、呼気ピークフローのエリアの測定値、呼気ピークフローのエリア変動の測定値、呼気ピークフローから吸気が開始するまでの時間の測定値、最後に確認された呼吸からの時間変動の測定値、高呼吸頻度期間の測定値、及び吸気時間変動の測定値のうちの1つ以上のものを含みうる。
【0015】
上記方法のうちの1つ以上のものは、該方法(複数の場合もあり)を用いて構成されたコントローラを含む睡眠状態検出装置として実施することができる。コントローラは、任意選択的に、フローセンサと結合して、呼吸可能なガスの流れを測定することができる。このとき、コントローラは、プロセッサ制御されるフロー生成器を備え、検出された状態に基づいて制御された呼吸圧力治療計画を提供することもできる。
【0016】
本技術のいくつかの実施の形態は、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類するようにプロセッサを制御する方法を含みうる。該プロセッサの該方法は、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めることを含みうる。プロセッサは、前記複数の呼吸特性から乱れを検出することができる。該乱れは、覚醒状態を示すことができる。次に、プロセッサは、前記乱れが非呼吸関連の覚醒であるか否かを評価することができる。次に、プロセッサは、前記検出された乱れが、呼吸機能不全の症状以外の事象に基づく覚醒を表すことを示すことができる。
【0017】
いくつかの実施の形態では、前記評価は、フロー平坦化検出等の呼吸フロー制限を示す測定値を求めることを含みうる。前記評価することは、呼吸フロー制限がないことを検出することを含みうる。いくつかのそのような実施の形態では、前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値、及び吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値のうちの1つ以上のものを含みうる。任意選択的に、上述した、前記乱れが非呼吸関連の覚醒であるか否かを評価することは、睡眠状態の検出に基づくことができる。前記評価することは、マスク漏れに起因する覚醒を検出することができるように、マスク漏れを検出することを含むこともできる。
【0018】
上述した方法のうちの1つ以上のものは、該方法(複数の場合もあり)を用いて構成されたコントローラを含む睡眠覚醒状態分類装置として実施することができる。コントローラは、任意選択的に、フローセンサに結合して、呼吸可能なガスの流れを測定することができる。このとき、コントローラは、プロセッサ制御されるフロー生成器を備え、検出された睡眠覚醒状態に基づいて制御された呼吸圧力治療計画を提供することもできる。
【0019】
また更なる実施の形態では、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠の安定性を評価するにあたり、プロセッサを制御する方法を実施することができる。プロセッサの方法は、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めることを含みうる。該方法は、前記複数の呼吸特性から乱れを検出することであって、該乱れは覚醒状態を示す、検出することを含むこともできる。該方法は、前記乱れの程度を求めることを含むこともできる。該程度は前記覚醒状態が睡眠を中断した度合いを示すことができる。次に、プロセッサは、乱れの程度を示すことができる。
【0020】
いくつかの実施の形態では、前記乱れの程度を求めることは、前記乱れに起因する呼吸特性と前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な呼吸特性との比率を計算することを含みうる。このような例では、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表すことができる。この実施の形態のいくつかの例では、前記乱れに起因する呼吸特性(複数の場合もあり)は、吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値、及び吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値、のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0021】
任意選択的に、前記乱れの程度を求めることは、前記乱れに起因する複数の呼吸特性の分散と、前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な複数の呼吸特性の分散との比率の平均を計算することを含むことができ、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表す。
【0022】
さらに、いくつかの実施の形態では、前記プロセッサの前記方法は、前記求められた乱れの程度及び患者の特性データから自律神経活性化のレベルを求めることを更に含みうる。例えば、前記自律神経活性化は、心拍変動性のデータ値及び/又はパルス遷移時間のデータ値を含みうる。したがって、前記自律神経活性化のレベルを求めることは、心拍変動性の値及びパルス遷移時間の値のうちの少なくとも一方を選択することを含みうる。前記選択することは、前記求められた乱れの程度、並びに患者の年齢及び患者の体重等の前記患者の特性データが索引付けられたデータ構造にアクセスすることを含みうる。
【0023】
上述した方法のうちの1つ以上のものは、該方法(複数の場合もあり)を用いて構成されたコントローラを含む睡眠安定性評価装置として実施することができる。コントローラは、任意選択的に、フローセンサに結合して、呼吸可能なガスの流れを測定することができる。このとき、コントローラは、プロセッサ制御されるフロー生成器を備え、評価された睡眠安定性に基づいて制御された呼吸圧力治療計画を提供することもできる。
【0024】
本技術のいくつかの実施の形態では、プロセッサを制御する方法は、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める。該方法では、前記プロセッサは、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求める。該方法は、前記複数の呼吸特性から睡眠状態測定値及び睡眠安定性も求める。次に、該方法は、前記睡眠状態測定値及び前記安定性測定値から睡眠品質インデックスを求め示す。
【0025】
前記睡眠品質インデックスは、治療セッションの求められた睡眠時間と前記睡眠安定性測定値との比率を用いてプロセッサにより導出することができる。いくつかの実施の形態では、前記睡眠品質インデックスは、治療セッション中の睡眠時間と前記睡眠安定性測定値との比率の関数として導出することができる。前記睡眠品質インデックスは、前記治療セッション中の目覚め期間の持続時間の関数として導出することもできる。いくつかの実施の形態では、前記睡眠状態測定値は、レム状態、ノンレム状態、及び目覚め状態のうちの少なくとも1つ並びに前記睡眠状態測定値の持続時間の測定値を含みうる。さらに、前記睡眠安定性測定値は、求められる流れの乱れ及び該流れの乱れの前のフローデータの関数として導出することができる。加えて、前記睡眠安定性測定値を求めることは、前記流れの乱れに基づいて睡眠からの覚醒を検出することを含むこともできる。
【0026】
上述した方法のうちの1つ以上のものは、該方法(複数の場合もあり)を用いて構成されたコントローラを含む睡眠安定性評価装置として実施することができる。コントローラは、任意選択的に、フローセンサに結合して、呼吸可能なガスの流れを測定することができる。このとき、コントローラは、プロセッサ制御されるフロー生成器を備え、評価された睡眠安定性に基づいて制御された呼吸圧力治療計画を提供することもできる。
【0027】
本技術のまた更なる実施の形態は、周期的な呼吸を検出する方法を含みうる。該方法は、呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めることを含みうる。該方法は、前記呼吸特性のセットを閾値処理することを更に含みうる。該方法は、前記閾値処理に基づいて周期的な呼吸状態を検出することを更に含みうる。いくつかのこのような実施の形態では、前記呼吸特性のセットは、吸気フロー曲線のエリアを含みうる。例えば、前記呼吸特性のセットは、換気の測定値と呼吸時間との比率を含みうる。該方法は、カウンタの関数として前記周期的な呼吸状態を設定することも含みうる。任意選択的に、前記カウンタは処理された呼吸の数を表すことができる。
【0028】
いくつかの実施の形態では、本方法は、周期的な呼吸を検出する装置として実施することができる。例えば、プロセッサは、呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求め、該呼吸特性のセットを閾値処理し、該閾値処理に基づいて周期的な呼吸状態を検出するように構成することができる。
【0029】
本技術のいくつかの追加の実施の形態は、睡眠の開始を検出する方法を含みうる。該方法は、呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めることを含みうる。該方法は、前記呼吸特性のセットを閾値処理することを含むこともできる。次に、該方法は、前記閾値処理に基づいて睡眠状態スコアを求めることを含みうる。この睡眠状態スコアは睡眠状態を示すことができる。次に、該方法は、前記閾値処理及び前記求められた睡眠状態スコアの関数として睡眠の開始を検出することを含みうる。いくつかのこのような実施の形態では、前記呼吸特性のセットは、求められた呼気ピークフロー位置の関数を含みうる。任意選択的に、前記関数は、(a)前記呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率と、(b)いくつかの呼吸にわたって求められる複数の前記比率の平均との差とすることができる。さらに、該方法は、前記検出することに基づいて、治療セッションの最初の睡眠期間への遷移を表す睡眠開始インデックスを出力することを含むこともできる。
【0030】
いくつかの実施の形態では、本方法は、睡眠開始を検出する装置として実施することができる。例えば、呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めるように構成することができる。前記プロセッサは、前記呼吸特性のセットを閾値処理し、該閾値処理に基づいて睡眠状態スコアを求め、該閾値処理及び該求められた睡眠状態スコアに基づいて睡眠開始状態を検出するように構成することもできる。
【0031】
また更なる実施の形態では、本技術は呼吸治療装置を含む。該装置は、患者との境界面に対し大気圧よりも高い圧力で呼吸可能なガスの流れをで生成するフロー生成器を備えることができる。該装置は、患者の呼吸に起因する呼吸可能なガスの流れを測定するフローセンサを更に備えることができる。該装置は、前記フロー生成器及び前記フローセンサに結合されたコントローラを更に備えることができる。1つ以上のプロセッサ等のこのコントローラは、実質的に前記フローセンサからの流れの測定値からのデータに基づいて、複数の睡眠状態のうちの1つを検出するように構成することができる。該検出された睡眠状態に基づいて呼吸圧力治療計画を制御するように構成されたコントローラを更に備えることができる。
【0032】
例えば、この呼吸圧力治療計画は、呼気圧力緩和の制御を含むことができ、前記コントローラは、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、前記呼気圧力緩和の圧力低減量を低減する。さらに、前記呼吸圧力治療計画は、呼気圧力緩和制御を含むことができ、前記コントローラは、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが覚醒に起因する状態である場合、前記呼気圧力緩和の圧力低減量を増大させる。またさらに、前記呼吸圧力治療計画は、前記流れの測定値のデータから事象を検出することを含むことができ、前記事象は無呼吸及び減呼吸のうちの少なくとも一方を含み、前記事象は、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、スコア付けされる。任意選択的に、検出された事象は、検出された睡眠状態に関連付けて別個に報告することができる。
【0033】
いくつかの実施の形態では、前記呼吸圧力治療計画は、治療圧力レベルの自動調整を含むことができ、前記コントローラは、呼吸異常の検出に応答して前記治療圧力レベルを増大させ、睡眠安定性インデックスと閾値との比較に応答して、前記治療圧力レベルを低減させる。
【0034】
またさらに、前記呼吸圧力治療計画は、流れの測定値からの心臓性フローの検出を含むことができ、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、前記心臓性フローの検出は制御される。この呼吸圧力治療計画は、心臓性フローの存在の前記検出に基づいて中枢的な無呼吸の検出を含みうる。このような場合、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出される1つはノンレム状態とすることができる。
【0035】
本呼吸技術の追加の特性が、以下の詳細な考察、図面、及び特許請求の範囲の検討から明らかになるであろう。
【0036】
本技術は、限定ではなく例として添付図面の図に示され、図面中、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本技術の睡眠状態検出装置のコントローラの例のブロック図である。
【図2】呼吸フロー信号の吸気及び呼気ピークフロー変動特性の図である。
【図3】呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率及び呼気ピークの或る割合よりも下のエリアを含む呼吸フロー信号の更なる特性を示す図である。
【図4】呼気ピークフローの或る割合からの時間及び最後に確認された吸気からの時間を含む呼吸フロー信号の更なる特性の図である。
【図5】呼吸フロー信号の高呼吸頻度特性の図である。
【図6】吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリア、及びピークフローの或る割合から呼気ピークフロー位置までの時間を含む呼吸フロー信号の更なる特性の図である。
【図7】装置を制御して、フローセンサからのデータに基づいて睡眠状態を検出する方法論の実施形態の例の流れ図である。
【図8】装置を制御して、フローセンサからのデータを用いて非呼吸関連覚醒を検出する方法論の実施形態の例の流れ図である。
【図9】装置を制御して、フローセンサからのデータを用いて睡眠安定性測定値を検出する方法論の実施形態の例の流れ図である。
【図10】装置を制御して、フローセンサからのデータを用いて睡眠品質測定値を検出する方法論の実施形態の例の流れ図である。
【図11】本技術の睡眠状態検出装置の例を示す図である。
【図12】本技術の検出方法論の実施に適した構成要素の例を含む減呼吸検出装置内のコントローラのブロック図である。
【図13】本技術のいくつかの実施形態における覚醒検出モジュールの例の処理方法論を示すブロック図である。
【図14】本技術の覚醒検出器の例における特徴を閾値処理する入力値及び出力値の例を有する一般的な閾値関数のグラフの例を示す。
【図15】本技術のいくつかの実施形態における睡眠安定性検出モジュールの例の処理方法論を示すブロック図である。
【図16】睡眠安定性検出器の例における漏れを考慮するために、睡眠安定性スコアを調整する関数の例のグラフを示す。
【図17】睡眠安定性検出器の例における特徴を閾値処理する入力値及び出力値の例を有する一般的な閾値関数のグラフの例を示す。
【図18】本技術のいくつかの実施形態における周期的呼吸状態検出モジュールの例の処理方法論を示すブロック図である。
【図19】本技術の周期的呼吸状態検出器の例における特徴を閾値処理する入力値及び出力値を有する一般的な閾値関数のグラフの例を示す。
【図20】睡眠状態検出器の例の処理方法論を示す図である。
【図21】睡眠状態検出器の実施形態の例において検出可能な睡眠条件状態(condition state)を実施する有限状態機械の状態図を示す。
【図22】目覚めている人からの通常の呼吸空気流信号のグラフである。
【図23】睡眠中の人からの通常の呼吸空気流信号のグラフである。
【図23−A】ノンレム睡眠遷移として特性化することができる呼吸フロー信号のグラフである。
【図24】本技術の睡眠状態検出器により解析される特徴の一般的な閾値関数のグラフの例を示す。
【図25】図24のグラフを用いて特徴を閾値処理する入力値及び出力値の例を有する表を含む。
【図26】睡眠状態の特定に用いられる状態遷移確率を支配する規則の値の例を有する3つの表を有する。
【図27】睡眠状態の特定に用いられる状態遷移確率を支配する追加の規則の値の例を有する4つの表を有する。
【図28】睡眠品質評価モジュールの例の処理構成要素のブロック図である。
【図29】図28の睡眠品質評価モジュールの睡眠状態閾値処理関数を示すグラフである。
【図30】図28の睡眠品質評価モジュールの睡眠安定性インデックス閾値処理関数を示すグラフである。
【図31】図28の睡眠品質評価モジュールの覚醒データ閾値処理関数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に示されるように、本技術の実施形態は、1つ以上のプロセッサを有して、本明細書において更に詳細に説明するアルゴリズム等の特定の睡眠状態及び/又は睡眠覚醒検出方法論を実施することができるコントローラ104を有する睡眠状態検出デバイス102又は装置を含みうる。実施形態の例では、コントローラのシステムは、コントローラの様々な側面を制御する複数の構成要素又はモジュールを有することができる。構成要素又はモジュールは、集積チップ、メモリ、及び/又は他の制御命令、データ、若しくは情報記憶媒体を用いて実施することができる。例えば、そのような検出方法論を包含したプログラム命令をデバイス又は装置のメモリ内の集積チップに符号化して、特定用途向け集積チップ(ASIC)を形成することができる。そのような命令は、代替又は追加として、それらの命令が中に存在する適切なデータ記憶媒体を用いてソフトウェア又はファームウェアとしてロードされ、そして、1つ以上のプログラム可能なプロセッサを制御することができる。
【0039】
図1の例示的な実施形態では、コントローラ104は、呼吸フロー信号からのデータにアクセスすることができ、又は別の形でオプションのフロー測定モジュール105を含みうる。そのようなモジュールを用いて、コントローラは呼吸フローを直接測定することができる。したがって、プロセッサは、前の睡眠セッションからの前に記録された呼吸フローデータに基づいて、本明細書においてより詳細に説明するように、睡眠状態の評価又は検出を制御することができる。代替的に、検出は、フローセンサを用いたフローデータの現在の測定を用いる呼吸フロー信号の測定と同時に、睡眠セッション中に実行することができる。したがって、いくつかの実施形態では、装置自体を、任意選択的に、実施される方法論と併用される呼吸フロー信号を測定するフローセンサで実施することができる。例えば、鼻カニューラ若しくはマスクへの流れ又は鼻カニューラ若しくはマスクを通る流れは、呼吸気流計及び差圧変換器、又は1束の管若しくは導管を利用してフロー信号を導出する装置のような同様の装置を用いて測定することができる。任意選択的に、フロー信号は、2005年11月2日に出願されたPCT/AU2005/001688号に記載されるモーター電流センサ等の他のセンサから推測することができる。この出願の開示全体は、相互参照によって引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。
【0040】
本明細書においてより詳細に考察するように、フローデータは、フロー制限検出モジュール106、無呼吸及び/又は減呼吸(AHI)検出モジュール108、呼吸フロー特性又は特徴抽出モジュール110、並びに漏れ検出モジュール112等のオプションのモジュールにより処理することができる。AHI検出モジュール108は、無呼吸及び減呼吸事象を特定するにあたり、睡眠状態検出モジュール114からの入力を利用することもできる。フロー制限検出モジュール106、AHI検出モジュール108、及び呼吸特徴抽出モジュール110からの出力信号又はデータは、覚醒検出モジュール114により処理することができる。同様に、漏れ検出モジュール112及び呼吸特徴抽出モジュール110からの出力は、睡眠状態検出モジュール118により処理することができる。さらにまた、覚醒検出モジュール114及び患者特性データ記憶装置122からの出力信号又はデータは、睡眠安定性検出モジュール116により処理することができる。次に、睡眠品質検出/評価モジュール120が、睡眠安定性検出モジュール116、患者特性データ記憶装置122モジュール、及び睡眠状態検出モジュール118からの出力データ又は信号を処理することができる。次に、睡眠品質評価モジュール120からの出力信号又はデータは、ユーザインターフェースモジュール124を用いて表示し、かつ/又はフィードバック制御モジュール126への入力として機能することができ、フィードバック制御モジュール126は、圧力治療による治療の設定等の治療制御処理モジュール128の設定を変更又は調整するように機能する。
【0041】
本技術のいくつかの実施形態では、コントローラの検出器及びモジュールは、以下の特徴及び機能を有して実施することができる。
【0042】
A.患者特性(複数の場合もあり)記憶モジュール
このモジュールは、睡眠状態検出装置102を利用して患者のデータ及び情報特性の記憶を制御することができる。データは、ユーザインターフェースモジュール124を介して入力することができ、ユーザインターフェースモジュール124は、任意選択的に、キーボードや、パネルのボタンや、タッチスクリーン等を含みうる。例えば、モジュールの制御下で、この装置は、年齢、性別、体重、身長、BMI、及び/又は既存状態データ(例えば、心拍変動に潜在的に影響する場合がある健康状態、空気流パターンに違いを生み出すのに潜在的に関与する場合がある健康状態、他の現在の生理学的状態等)等の1つ以上の患者の特性を選択又は入力するように、患者又は臨床医に促すことができる。そのような健康状態は、例えば、喘息、気腫、慢性心血管疾患を含みうる。次に、装置の他のモジュールが記憶されたデータを利用することができる。
【0043】
これらの患者特性を利用して、本明細書において説明される方法論の出力を重み付けすることができる。例えば、異なる睡眠状態を検出する際に比較するあらゆる患者の平均として用いることができる絶対的な空気流特徴がない場合がある。したがって、患者の特性を用いて、特徴抽出器の感度(又は呼吸特性を比較する閾値)を調整することができる。このようにして、様々な患者について、空気流の特性の有意性をより正確に評価することができる。例えば、年齢が50歳を超える患者は、当然ながら、上気道の安定性がより低い。したがって、本技術のシステム又は方法は、そのような患者のフロー安定性の評価への厳しさを選択的に低くすることができる。
【0044】
システムによる患者の特性の他の用途について本明細書においてより詳細に説明する。
【0045】
B.フロー制限検出モジュール
呼吸フロー制限検出モジュール106は、フロー信号データから呼吸フローの制限の測定値を検出するように構成することができる。例えば、装置は、2008年5月9日に出願された国際出願PCT/AU08/000647号(国際公開第2008/138040号として公開)及び2007年8月17日に出願された米国仮特許出願第60/965,172号に開示されているファジーフロー制限測定値等のフロー制限の測定値を検出するように構成することができ、これら出願の開示内容は、引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。任意選択的に、フローデータの平坦化を解析することにより、フロー制限を検出するように構成することができる。例えば、平坦化は、米国特許第5,704,345号に開示される方法により特定することができる。この特許の開示内容は、引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。
【0046】
C.AHI検出モジュール
いくつかの実施形態では、フローデータを処理して、減呼吸及び/又は無呼吸を検出又はスコア付けすることができる(例えば、閉塞性無呼吸及び/又は中枢的な無呼吸)。例えば、装置は、米国特許第6,138,675号及び同第6,029,665号に記載の任意の方法により閉塞性無呼吸、部分閉塞性無呼吸、及び/又は中枢的な無呼吸を検出するように構成することができる。これらの特許の開示全体は、相互参照によって引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。
【0047】
いくつかの実施形態では、AHI検出モジュール108は、漏れ検出モジュール112に基づいて事象のスコア付けを除外するように変更することができる。例えば、漏れが検出される場合、漏れが検出されなくなるまで、いかなる同時のスコア付け事象もディセーブルすることができる。このようにして、合計マスク装着時間に関してAHIを計算することができる。すなわち、患者の合計睡眠時間ではなく、患者が実際にマスクを装着していた時間である。この結果、フロー生成器(FG)の性能の過大評価を防ぐことができる。
【0048】
したがって、いくつかの実施形態では、AHIは、任意選択的に、平坦化インジケータ及び漏れインジケータと組み合わせて、睡眠品質に単純な洞察をもたらすことができる単純な睡眠品質スコアを提供することができる。
【0049】
D.漏れ検出モジュール
したがって、いくつかの実施形態では、フローデータを処理して、マスクのずれに関連付けられた漏れ又は高漏出等の漏れの存在を検出することができる。例えば、高漏出は、或る量の閾値を超える漏れ(例えば、約0.4リットル毎秒(1/s)を超える漏れ)とみなすことができる。更なる例として、装置は、米国特許第6,152,129号及び/又は同第6,532,957号に記載の任意の方法により、漏れが生じているか又は生じた場合を検出するように構成することができる。これらの特許の開示全体は、相互に参照して引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。漏れ検出は、任意選択的に、マスク漏れによる睡眠からの覚醒の分類を支援し、上述したような漏れの存在下でのAHIスコア付けを除外するように機能することができる。
【0050】
E.特徴抽出モジュール
1つ以上の呼吸フロー特性を特徴抽出モジュール110により求めることができる。通常の実施形態では、特徴は、呼吸フローデータを処理することにより求めることができる。任意選択的に、特徴は、呼吸単位又はいくつかの呼吸サイクルを含むスライド窓の使用により計算することができる。次に、特徴は、インジケータ又はシステムのその他のモジュールへの入力として機能することができる。例えば、測定特性のうちの1つ以上のものからのデータに応じて、他のモジュールにおいて、フローデータを用いて睡眠状態についての様々な結論を引き出すことができる。以下は、フローデータから検出又は特定できる特徴の例である。
【0051】
1.吸気ピークフロー変動
この呼吸フロー特性は、吸気ピークフローの分散を計算することにより求めることができる。そのような特性を図2に示す。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて求めることができる。図2に示されるように、計算は、連続した呼吸群の吸気ピークフロー値202を利用する。適した閾値を用いて状態検出器により評価する場合、この値は以下の異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:高レベルの吸気ピークフロー変動を示す。
(b)レム睡眠状態:中程度のレベルの吸気ピークフロー変動を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:最小レベルの吸気ピークフロー変動を示す。
この吸気ピークフロー変動特徴は、本明細書では「IPFV」と記される。
【0052】
2.呼気ピークフロー変動
この呼吸フロー特性は、呼気ピークフローの分散を計算することにより求めることができる。そのような特性を図2に示す。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて求めることができる。図2に示されるように、計算は、連続した呼吸群の呼気ピークフロー値204を利用する。適した閾値を用いて状態検出器により評価する場合、この値は以下の異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:高レベルの呼気ピークフロー変動を示す。
(b)レム睡眠状態:中程度のレベルの呼気ピークフロー変動を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:最小レベルの呼気ピークフロー変動を示す。
この呼気ピークフロー変動特徴は、本明細書では「EPFV」と記される。
【0053】
3.呼気ピークフロー位置/呼気時間比率
図3に示されるように、この呼吸フロー特性は、合計呼気時間(TE)に対する呼気の開始から呼気ピークフロー(TPE)に達するまでにかかる時間の比率として計算することができる。比率は図3に示される。適した閾値を用いて状態検出器により評価する場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:睡眠状態と比較して大きな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率を示す。
(b)レム睡眠状態:目覚め状態と比較して小さな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:目覚め状態と比較して小さな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率を示す。
【0054】
4.呼気ピークフロー位置/呼気時間比率変動
この呼吸フロー特性は、前の特性である比率の変動(例えば、分散)として計算することができる。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて求めることができる。適した閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値は、以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:呼吸毎に大きな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率変動を示す。
(b)レム睡眠状態:呼吸毎に小さな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率変動を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:呼吸毎に小さな呼気ピークフロー位置/呼気時間比率変動を示す。
【0055】
5. 75%呼気ピークフロー未満のエリア
この呼吸フロー特性は、呼気ピークフローの呼気フロー曲線のエリアの或る割合(例えば、75%と100%との間)として計算することができる。呼気ピークフローエリアの例306を図3に示す。適した閾値を用いて状態検出器により評価する場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:75%呼気ピークフロー未満のより大きなエリアを示す。
(b)レム睡眠状態:75%呼気ピークフロー未満の小さな7エリアを示す。
(c)ノンレム睡眠状態:75%呼気ピークフロー未満の小さなエリアを示す。
【0056】
6. 75%呼気ピークフロー未満のエリアの変動
この呼吸フロー特性は、前の特性であるエリアの変動(例えば、分散)として計算することができる。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて求めることができる。適した閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:呼吸毎に75%呼気ピークフロー未満のエリアのより大きな変動を示す。
(b)レム睡眠状態:呼吸毎に75%呼気ピークフロー未満のエリアの小さな変動を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:呼吸毎に75%呼気ピークフロー未満のエリアの小さな変動を示す。
【0057】
7. 75%呼気ピークフローから吸気を開始するまでの時間
この呼吸フロー特性は、呼気ピークフローの立ち上がり部分のピークフローの或る割合(例えば、75%)から次の吸気が開始されるまでの時間として計算することができる。この特性を図4に示す。適した閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:75%呼気ピークフローから吸気開始まで、より遅い立ち上がり時間を示す。
(b)レム睡眠状態:75%呼気ピークフローから吸気開始まで、より早い立ち上がり時間を示す。
(c)ノンレム睡眠状態:75%呼気ピークフローから吸気開始まで、より早い立ち上がり時間を示す。
【0058】
8.最後に確認された呼吸からの時間
この呼吸フロー特性は、最後に確認された吸気からの時間として計算することができる。この特性を図4に示す。そのような特性は、本明細書においてより詳細に説明する覚醒検出器により、適した閾値を用いて評価することができる。
【0059】
9.最後に確認された呼吸からの時間の変動性
この呼吸フロー特性は、前の特性である最後に確認された吸気からの時間の変動(例えば、分散)として計算することができる。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて特定することができる。適した閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:呼吸毎に最後に確認された呼吸からの時間の大きな変動を示す。
(b)レム睡眠:呼吸毎に最後に確認された呼吸からの時間の中程度の変動を示す。
(c)ノンレム睡眠:呼吸毎に最後に確認された呼吸からの時間の小さな変動を示す。
この最後に確認された呼吸からの時間の変動性特徴は、本明細書では「TSLBV」と記すことができる。
【0060】
10.高呼吸頻度期間
この呼吸フロー特性は、スライド呼吸期間(例えば、15の呼吸)にわたる高頻度呼吸の任意の小さな部分のスキャンにより計算することができる。この特性を図5に示す。適した閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値はレム呼吸を示すことができる。
【0061】
11.吸気時間変動性
この呼吸フロー特性は、吸気時間の変動(例えば、分散)として計算することができる。変動は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて特定することができる。適したい閾値を用いて状態検出器により評価される場合、この値は以下のように異なる睡眠状態を示すことができる。
(a)目覚め状態:吸気時間の大きな変動を示す。
(b)レム睡眠:吸気時間の中程度の変動を示す。
(c)ノンレム睡眠:吸気時間の小さな変動を示す。
【0062】
12.呼吸一貫性チェッカー
この特徴は、いくつかの呼吸(例えば、5つの呼吸)の期間にわたる呼吸毎の以下の呼吸フロー特性に一貫性があるか否かを判断するために実施することができる。一貫性チェックは、吸気時間、吸気ピークフロー位置、呼気時間、呼気ピークフロー位置を考慮する。特性の小さな差は一貫していると考えることができる。
【0063】
13.特徴一貫性チェッカー
この特徴は、前に識別された呼吸フロー特性(例えば、特性1〜12)の複数の呼吸期間(例えば、30の呼吸)にわたる変動をチェックする。例えば、いくつかの呼吸(例えば、30)の期間にわたる任意の特徴の自動解析は、任意の特徴が一貫性を有するか、又は有意な変動を有するかを識別することができる。例えば、目覚めている期間において、ピークフロー変動性特徴は、睡眠期間中よりも平均で高くなる。そのような値は、30の呼吸の期間等にわたって、計算される都度、必要とされる目覚めの閾値を超えるわけではないが、評価することができる閾値を有意な割合で超えることができる。
【0064】
14. 95%吸気ピークフローに達するまでの時間
この呼吸フロー特性は、呼吸が吸気の開始から吸気ピークフローの或る割合(例えば、95%)に達するまでにかかる時間として計算することができる。参照文字T_95を用いて、この95%時間特性を図6に示す。この呼吸フロー特性の特徴は、覚醒検出モジュール114による評価に利用することができる。
【0065】
15. 75%吸気ピークフローを超えるエリア
この呼吸フロー特性は、吸気ピークフローの或る割合(例えば、75%)を超える吸気ピークフロー曲線のエリアとして計算することができる。この呼吸フロー特性の特徴は、覚醒検出モジュール114による評価に利用することができる。75%時間特性(T_75)は、呼吸が吸気ピークフローの或る割合(例えば、95%)に達する時間であり、75%時間特性を求めてから、図6の陰影を付けた領域で示されるエリアを計算することができる。75%吸気ピークフロー特徴を超えるこのエリアは、本明細書では「IP75A」と記すことができる。
【0066】
16. 75%吸気ピークフローを超えるエリアの変動
この呼吸フロー特性は、前の呼吸フロー特性であるエリアの分散として計算することができる。分散は、複数の呼吸(例えば、5つの呼吸)を含むスライド窓を用いて求めることができる。この呼吸フロー特性の特徴は、覚醒検出モジュール114による評価に利用することができる。75%吸気ピークフローを超えるエリアの変動特徴は、本明細書では「I75AV」と記すことができる。
【0067】
17. 95%吸気ピークフローから呼気ピークフローまでの時間
この呼吸フロー特性は、吸気ピークフロー曲線の立ち上がり側の或る割合(例えば、95%)から呼気ピークフロー位置までの時間として計算することができる。この呼吸フロー特性は、覚醒検出モジュール114による評価に利用することができる。
【0068】
18.前の呼吸の3mvTtotに対する現在の呼吸の3mvTtotの比率
3mvTtot比率は、現在の呼吸からの3mvTtotを前の呼吸からの3mvTtotで除算したものとして計算することができる。3mvTtotは、平均分換気(例えば、3分換気)と合計呼吸期間(例えば、現在の呼吸の持続時間の時間期間)との比率として求めることができる。分換気は、前の数分(例えば、約2分〜5分であるが、好ましくは3分)中に行われる平均換気として求めることができる。
【0069】
19.現在の呼吸IPkFlowの或る割合に対する現在の呼吸IPkFlow
吸気フローの現在の呼吸からのピーク吸気フロー(IPkFlow)とピーク吸気フロー(IPkFlow)の或る割合(例えば、75%)との比率である。この特徴は、本明細書では「PF75PF」として記すことができる。
【0070】
F.睡眠/目覚め検出モジュール
睡眠状態検出モジュール118に関連付けられた方法論の例を図7に示す。本質的に、検出器は、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータから睡眠状態を検出する方法論を用いて実施することができる。770において、本方法は、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めることを含みうる。そのような呼吸特性の抽出は、睡眠状態検出器に統合することができるが、この抽出は、特徴抽出モジュール110から提供されるデータに対応することができる。772において、睡眠検出器の方法は、ノンレム睡眠状態、レム睡眠状態、相動性レム(Phasic REM)状態、持続性レム状態、深いレム睡眠状態、及び/又は軽いレム睡眠状態のうちの1つ以上のもの等の潜在的な睡眠状態から状態を検出することも含みうる。774において、状態の検出は、求められた呼吸特性に基づくことができる。そのような実施形態では、この状態検出は、これらの状態のいずれも、呼吸フローセンサにより測定されるデータから、従来の睡眠段階センサ特定技法(すなわち、脳電図(E.E.G.)センサ、筋電図検査(E.M.G.)センサ、及び電気眼球図記録(E.O.G.)センサからのデータ解析)又は呼吸努力バンド(respiratory effort band)なしで検出できるという意味で、実質的に、求められる呼吸特性に基づく。次に、プロセッサは、検出された状態を示すことができる。例えば、プロセッサは、検出された状態をメモリに記憶し、別のモジュール(例えば、睡眠品質評価モジュール120)の入力に適用し、かつ/又はユーザインターフェースモジュール124のディスプレイ等への出力として生成することができる。
【0071】
実施形態の一例では、フロー信号から抽出された呼吸特性を処理して、マルコフ分類システムとして睡眠状態を分類することができる。そのような実施形態では、非静止マルコフ分類システムを利用して、患者の睡眠状態を識別することができる。
【0072】
マルコフモデルという名称は、このシステムを解析できるようにする仮定のうちの1つ、すなわち、マルコフ性に由来する。マルコフ性は、システムの現在の状態が与えられる場合、システムの将来の進化はその過去から独立していることを述べる。各ステップにおいて、システムは、或る確率分布に従って、その状態を現在の状態から別の状態に変更するか、又は同じ状態に留まることができる。状態の変更は遷移と呼ばれ、様々な状態変更に関連付けられた確率は、遷移確率と呼ばれる。
【0073】
数学的に、マルコフ性は、
【数1】

として表すことができ、式中、
Xはランダム変数であり、
Nは特定の状態を表す数である。
【0074】
Pr(Xn+1=x|X=x)は、より一般的にはPi,j(i=x,j=x)として表される。これらの計算は、状態xからxへの状態遷移の確率を求める。状態遷移行列が、状態が他の状態の任意の1つに変更する(又は単に現在の状態に留まる)確率を含みうる。本技術の実施形態のうちのいくつかの文脈の中では、睡眠状態はランダム変数であり、いくつかの可能な状態が存在することができる(例えば、ノンレム睡眠状態、目覚め状態、及びレム睡眠状態の場合には3つの状態)。したがって、この例では、3次元状態遷移行列が計算される。追加の状態がある場合、行列及び計算は適宜増大される。
【0075】
したがって、いくつかの実施形態では、以下の方法論を実施して、特徴抽出モジュールから入力することができる呼吸特性又は特徴から睡眠状態を求めることができる。
【0076】
(1)状態遷移表の計算
状態遷移表は、非静止とする(例えば、経時変化する)ことができ、これは、遷移確率がフロー信号から抽出される特徴(これも経時変化する)に対して有する直接的な依存性に起因する。或る特徴は、上述した特定の睡眠段階の特性である。そのような特徴(例えば、特徴抽出モジュールからの)の任意の数の組み合わせを用いて、これらの状態遷移確率を導出することができる。確率は、各呼吸特性の閾値セットから求めることができる。閾値セットは、経験的解析を通じて求め、確率評価のために装置に記録することができる。したがって、睡眠状態が更新される都度、遷移表を再計算することができる。これは、呼吸単位で実行することができる。3つの状態の場合、各状態から他の状態への遷移及び各状態からそれ自体の状態への遷移を表す9つの遷移がある。
【0077】
(2)前の状態に基づく現在の状態(例えば、ノンレム睡眠、目覚め、及びレム睡眠)の確率の計算
漏れ検出モジュール112からの出力は、任意選択的に、行列の確率の調整子(conditioner)を提供することができる。例えば、高レベルの漏れが検出される場合、フロー信号の安定性が低いか、又はそうでなければ任意の特定の睡眠状態を示す度合いが低いことを予想することができる。目覚め状態を示す場合さえもあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、方法論は、睡眠状態確率の重みを適宜変更して、漏れの影響を低減することができる。
【0078】
(3)最も可能性が高い睡眠状態の出力
したがって、睡眠状態検出モジュールは、呼吸フロー信号を分類し、解析して、或る睡眠段階を関連付けることにより、検出された様々な状態を示す睡眠/目覚めインジケータ又はインデックスを生成することができる(例えば、1=目覚め、2=ノンレム、3=レム、又は1=目覚め、2=ノンレム、3=軽いレム、4=深いレム等)。そのような手法の利点は、方法が各状態の持続時間を記録するために用いられる場合、合計睡眠時間を示すものを提供することができることである。この方法は、患者の睡眠構造(例えば、目覚め間隔、非急速眼球運動(NREM)睡眠間隔、急速眼球運動(REM)睡眠間隔、深い急速眼球運動(DREM)睡眠間隔、及び/又は軽い急速眼球運動(LREM)睡眠間隔のタイミング、頻度、及び持続時間等)についての情報を提供するために実施することもできる。さらに、この方法は、そのようなインデックスがAHI検出モジュールとともに用いられるとき、上述したように、合計睡眠時間を特に参照してAHI特定を行うことができるようにAHI計算を改良するために実施することもできる。
【0079】
睡眠状態検出器実施形態の例
本技術の更なる実施形態の例では、睡眠状態検出モジュール119は、図20のブロック流れ図に示される処理を用いて構成することができる。処理は、患者の睡眠状態の計算を表す。このために、従来のR&K PSGに基づくスコア付けは、睡眠を6つの段階に分ける。
i)目覚め
ii)ノンレム段階1
iii)ノンレム段階2
iv)ノンレム段階3
v)ノンレム段階4
vi)レム
【0080】
この種の睡眠段階スコア付けは、EEG、EOG、及び呼吸努力バンドを含む多くの異なる生体信号に基づく。本実施形態では、睡眠状態は、主に呼吸フロー信号の解析に基づいて推定される。このため、R&K PSGの全ての段階を有する詳細な睡眠構造の特性化は、このモジュールを用いて実施されない。むしろ、本実施形態による睡眠段階検出は、以下の4つの段階に圧縮される。
i)目覚め
ii)ノンレム睡眠遷移(事実上、段階1睡眠)
iii)ノンレム睡眠(段階2、3、4)
iv)レム
【0081】
このために、目覚め状態及びレム睡眠状態は、R&K睡眠スコア付けと同様であるものとみなすことができる。呼吸フローとの関連でのこれらの状態を図22(目覚め)及び図12(ノンレム)に示す。ノンレム睡眠状態は、段階3及び4(徐波睡眠)及び段階2の部分であるとみなすことができる。呼吸フローは、この段階中、図23に示されるように安定しており、メトロノームのようである。呼吸フローとの関連でのノンレム睡眠状態2114を図23のノンレム睡眠領域に示す(ボックスNRSとして示される)。この領域は、検出器によりノンレム睡眠状態2114として特性化することができる。
【0082】
ノンレム睡眠T(遷移)は、事実上、段階1睡眠であり、目覚めから睡眠への遷移がある。睡眠の開始時には、通常、いくらかのレベルの換気睡眠不安定性がある(目覚めから睡眠へのCO設定点の変更に起因する)。これは通常、睡眠の段階1に関連付けられ、段階2まで延びることもある(通常、EEGにおいて見ることができる)。呼吸フローは、この期間中、不規則である傾向がある。目覚め状態の不規則期間(AP)の例を図22に示す。このパターンの換気不安定性は、夜の最初の目覚め−睡眠遷移のみに限られない。患者が覚醒し、再び眠りに遷移しようとする場合、夜遅い部分で潜在的に発生する可能性がある。
【0083】
上記参照した状態が検出されると、本実施形態の検出器は、フローセンサからの呼吸空気流を表すデータに基づく上述した特徴抽出器110の1つ以上の特徴を処理する。状態検出は、患者特性データ122からの患者の特性(例えば、年齢、BMI、性別、現在の生理学的状態)、覚醒モジュール144からのデータ、及び/又は漏れ検出モジュール112からのデータに更に基づくことができる。
【0084】
この実施形態では、有限状態機械が実施されて、睡眠段階を分類する。図21に示されるように、3つの基本的な状態:目覚め状態2110、レム睡眠状態2112、及びノンレム睡眠状態2114が定義される。遷移確率を計算することにより、各呼吸サイクルの終わりに新しい睡眠状態が求められる。或る状態から次の状態又は同じ状態への遷移は、図21に示される遷移確率(遷移確率T11、T12等として記される)のうちの最も高い確率に基づく。
【0085】
理論上、患者は、任意の或る状態から別の状態に任意の時点で遷移する確率を有する。しかし、睡眠の生理学は、動的な数量であり、プロセス全体にランダム性の要素があるようになっている。したがって、各呼吸サイクルの終わりに遷移確率を調整し更新すべきである。次に、睡眠状態が、これらの遷移確率に基づいて計算される。さらに、調整を実施して、睡眠中に発生し得る不安定性(周期的な呼吸として見られることもある)を考慮することができる。有限機械の追加の状態であるノンレム睡眠遷移状態2116も定義され、持続した量の睡眠不安定性が検出される場合、状態機械はこのノンレム睡眠遷移状態に遷移する。呼吸フローとの関連でのこのノンレム睡眠T状態2116を図23−Aに示す。グラフでは、睡眠の開始時に発生する睡眠不安定性領域(ボックスSOIとして示される)は、検出器によりノンレム睡眠T状態2116として特性化することができる。
【0086】
この睡眠状態検出モジュールの例119の処理方法論について、これより図20に関連して説明する。モジュールによる睡眠状態の検出は、上述したように、特徴抽出器110の特徴のうちの1つ以上の解析に基づくことができる。呼吸フローの測定値に基づいて、特徴抽出器110は特徴のうちの1つ以上のものを求めることができる。この実施形態の例では、IPFV(吸気ピークフロー変動性)特徴、EPFV(呼気ピークフロー変動性)特徴、TSLBV(最後の呼吸からの時間の変動性)特徴、及びI75AV(吸気ピークフローの75%を超えるエリアの変動性)特徴を解析することができる。
【0087】
各特徴は閾値処理器2010に提供され、閾値処理器2010において、図24及び図25に示される例等の1つ以上の閾値関数が、特徴サブセットの各特徴に適用される。しかし、状態の数に応じて、各特徴は通常、図25の表に示されるように、可能な基本睡眠状態毎の閾値に適用される。
【0088】
例えば、IPFV特徴の閾値処理の場合、図24のグラフ2450の関数を、可能な睡眠状態毎に表IPFV(図25において参照文字2540Aの表として示される)からとられる入力値の例IA、IB、IC、及びID並びに出力値の例OA、OB、OC、及びODを用いて実施することができる。上述したように、これらの表中、入力値IA、IB、IC等は、入力値の連続した範囲を表す。したがって、表IPFV(図25において参照文字2540Aの表として示される)の場合、IAは、0.001未満から0.001を含め最高で0.001までの範囲である。IBは、IAの範囲よりも大きく、0.003を含め最高で0.003までの範囲の値である。ICは、IBの範囲よりも大きく、0.009を含め最高で0.009までの範囲の値である。IDは、ICの範囲よりも大きく、10を含め最高で10までの範囲の値であり、これは可能な最大入力値であるとみなすことができる。例えば、求められた値0.003を有するIPFV特徴の場合、睡眠状態の重みとみなすことができる0.1の出力値が、IPFV特徴の目覚め状態に起因する出力として選択される。さらに、0.8の出力値が、IPFV特徴のノンレム状態に起因する出力として選択され、0.1の出力値が、IPFV特徴のレム状態に起因する出力として選択される。同様に、EPFV特徴の出力重みが選択される。しかし、EPFV特徴の場合、各状態のグラフ2450の関数の入力値及び出力値は、EPFV表(図25において参照文字2540Bの表として示される)の値に基づく。同様に、基本的な睡眠状態に起因する重みが、各表(図25において参照文字2540Cの表TSLBV及び参照文字2540Dの表I75AVとして示される)を用いてTSLBV特徴及び175AV特徴に対して決められる。
【0089】
特定の値が図25の表に示されるが、これらが単なる例であることが理解されるであろう。他の値を実施することもでき、患者群又は特定の患者のいずれかから経験的に決定することができる。したがって、これらの値は、機械学習技法及びパターン認識技法に基づく処理を用いて学習することができる。採用することができる技法の例には、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法が含まれる。
【0090】
次に、出力重みはパターン適用器2014に提供される。この処理において、様々な個々の特徴のパターンのデータが組み合わせられる。このために、特徴のいくつかのサブセットに関連付けられた重みが、個々の特徴と比較するよりも睡眠段階を示す程度がより高い情報を含む可能性が高い。したがって、パターンは、睡眠段階を示す情報を集合的に表す1つ以上の特徴とみなすことができる。さらに、或る範囲のパターンを集合的に利用して、睡眠段階を識別することができる。この点に関して、理想的なこれらのパターンのセットは、以下の条件を満たす情報を含む。
【0091】
i)パターンは睡眠段階に固有の情報を含む。
【0092】
ii)任意の2つのパターンは、睡眠段階についての同じ情報を含まない。
【0093】
最初の条件は比較的容易に満たすことができるが、2番目の条件はより難しいことがある。呼吸フロー信号の性質及び続けて計算される特徴を考えると、重複がわずかであるか、又は重複がないパターンを生成することは困難な作業である。したがって、これらのパターンの賢明な組み合わせを実施して、必要な情報を取得することができる。
【0094】
例えば、一実施形態では、パターン適用器は、以下のパターン(P1、P2、P3、P4、及びP5)を実施することができる。
パターンID 特徴サブセット
P1 IPFV、EPFV、TSLBV
P2 IPFV、EPFV
P3 TSLBV
P4 IPFV
P5 IPFV、I75AV
【0095】
パターンに基づいて、各睡眠段階の閾値処理器からの特徴重みが、例えば、重みを合算することにより組み合わせされる。したがって、パターン(P・・・P)毎及び段階(S・・・S)毎に、I×N個のパターンのスコアが生成される。上記の5つのパターンの例かつ3つの状態の場合、20個のパターンのスコアがある(すなわち、P1_awake、P1_NREM_sleep、P1_rem、・・・、P5_awake、P5_NREM_sleep、P5_nrem)。
【0096】
全体のパターン重み計算の例は以下である。
用いられる特徴:IPFV、EPFV、TSLBV
閾値関数からの特徴の重み(wn)
目覚めスコア:
IPFV:w11
EPFV:W12
TSLBV:w13
ノンレム睡眠スコア:
IPFV:w21
EPFV:w22
TSLBV:w23
レム睡眠スコア:
IPFV:w31
EPFV:w32
TSLBV:w33
用いられるパターン:
パターンID 特徴サブセット
P1 IPFV、EPFV、TSLBV
P2 IPFV、EPFV
P3 TSLBV
パターン重みを計算する:
P1_awake=α*(w11+w12+w13)
P1_NREM_sleep=β*(w21+w22+w23)
P1_rem=μ*(w31+w32+w33)
P2_awake=α1*(w11+w12)
P2_NREM_sleep=β1*(w21+w22)
P2_rem=μ1*(w31+w32)
P3_awake=α2*w13
P3_NREM_sleep=β2*w23
P3_rem=μ2*w33
【0097】
この計算では、バイアス係数α、β、μ、α1、β1、μ1、α2、β2、及びμ2を上に示すように実施することができる。係数は、患者特性データ122の患者特性のうちの1つ以上のものに基づいて、パターンスコア付けにいくらかの調整を実施できるようにすることができる。例えば、特定の患者特性のいずれも、特定のパターンが特定の状態を示す程度を大きく又は小さくする傾向がない場合、これらのうちの1つ以上のものを1に設定することができる。しかし、他の値を用いることもでき、患者の特性に基づいて経験的に決めることができる。
【0098】
次に、未処理睡眠状態計算器2016が、各状態スコアを組み合わせることにより、各状態に特定の未処理睡眠状態スコアを生成する。上記例では、次に、未処理睡眠状態計算器2016は、以下の未処理目覚めスコアを生成する。
Awake=P1_awake+P2_awake+P3_awake;
NREM_Sleep=P1_NREM_sleep+P2_NREM_sleep+P3_NREM_sleep;
REM=(P1_rem+P2_rem+P3_rem)*{REM_Enhancer_Index);
【0099】
この実施形態では、レム増強係数(「REM_Enhancer_Index」と示される)を利用することができる。この係数は、図20に示されるレム状態エンハンサ2030により生成される。レム状態エンハンサ2030の処理を本明細書においてより詳細に考察する。これは本質的に、未処理レム睡眠スコアを調整する(例えば、乗算により)追加の重みを提供する。
【0100】
一般に、この処理では、ノンレム状態、レム状態、又は目覚め状態等のパターンに基づくスコアに関してのみ重みが計算される。図21のグラフのノンレム睡眠T状態は、パターン依存スコアではなく「状態」依存スコアであるとみなすことができる。この点に関して、この遷移状態のいかなる値も、図27の遷移確率に関して本明細書においてより詳細に考察する確率計算時の周期的状態及び覚醒状態に基づく。
【0101】
次に、状態遷移確率計算器2018により未処理状態スコアが処理される。この処理は一般に、本明細書において考察される確率方法により、図21のチャートにおいて識別される遷移確率等の状態遷移確率を求めることを含む。これらの確率は、睡眠段階計算プロセスにおける更なる調整ステップとみなすことができる。確率値の例を図26及び図27の表に示す。一般に、遷移確率は、例えば、乗算により、所与の状態の未処理スコアと組み合わせて、変更睡眠状態スコアを生成することができる。このようにして、未処理睡眠スコアを遷移確率でバイアスすることができる。しかし、ノンレム睡眠T状態のために、未処理状態スコアは、遷移確率がこの状態の変更状態スコアになるように、1であると仮定することができる。
【0102】
この点に関して、睡眠の生理学の性質を考えると、睡眠状態を判断する際に考慮されるランダム性の要素がある。例えば、最初の目覚めフェーズ(すなわち、睡眠の開始前)は、夜全体を通して続く目覚め状態よりも大きくなる(例えば、より長い時間期間となる)可能性がより高い。夜の最初の睡眠段階は、患者が特定のレム睡眠機能不全を有する場合を除き、レム相ではないはずである。したがって、状態遷移確率を決める際に、或る規則を適用して、これらの条件のうちのいくつかを考慮することができる。これらの遷移条件及び他の関連付けられた確率の例を図26及び図27を参照して本明細書においてより詳細に考察する。
【0103】
さらに、遷移確率のうちのいくつかは、本明細書においてより詳細に考察される睡眠開始インデックスに基づくことができる。一般に、睡眠開始インデックスは、バイナリインデックスとすることができる。例えば、インデックスが値1を示す場合、これは、患者が睡眠中である(ノンレム睡眠又はノンレム睡眠Tのいずれか)であることを表す。同様に、インデックスが0を示す場合、これは、患者が目覚め状態であることを表す。しかし、患者が夜の最初の目覚め状態にあり、このインデックスが0を示す場合、3つの睡眠状態のうちの任意の状態への状態変更を支配する全ての遷移確率はゼロになる(例えば、睡眠開始インデックスが0の場合、T12、T13、及びT14が0になる)。
【0104】
変更睡眠状態スコアに基づいて、次に、状態選択器2020は次の睡眠段階を判断することができる。変更睡眠段階スコアの比較により、次の状態を選択することができる。例えば、最大のスコアを有する変更睡眠状態スコアを、図21の状態機械の状態のうちの検出される状態とみなすことができる。
【0105】
睡眠状態検出に関して考察される検出方法論のプロセスは、以下の例により考慮することができる。

有限機械の現在の睡眠状態=目覚め状態2110
計算された未処理睡眠状態スコア:
Awake=0.1
NREM_Sleep=0.5
REM_Sleep=0.2
NREM_Sleep_T=1
現在の睡眠状態に基づく必要な遷移確率は、T11、T12、T13、T14である。T11、T13、及びT14に関して表2600Aを参照することができ、規則6がこの例に適用されると仮定することができる。T12に関して表2700Aを参照することができ、規則2が適用されると仮定することができる。
T11=0.45
T12=0
T13=0.45
T14=0.1
変更睡眠状態スコア:
Awake=Awake*T11=0.045
NREM_Sleep_T=T12=0
NREM_Sleep=NREM_Sleep*T13=0.225
REM_Sleep=REM_Sleep*T14=0.02
NREM_Sleepが最高スコアを有するため、次の睡眠段階をNREM_Sleep状態2114に設定することができる。
【0106】
G.レム状態エンハンサ
レム状態は、呼吸空気流信号のみを解析する場合、検出が最も難しい睡眠状態である。したがって、いくつかの特殊化された特徴を特に実施して、「レム型」空気流の特徴を捕捉し、レム睡眠検出を増強することができる。これらの特徴の組み合わせられた出力は、増強レム状態を提供し、部分的に、図20に示されるレム状態エンハンサ2030の処理により実施することができる。
【0107】
例えば、任意選択的に、少なくとも部分的に処理特徴抽出器110により実施することができる以下の追加の特徴を決めることができる。このために、呼吸空気流が捕捉され処理されて、以下のレム固有の特徴を計算することができる。
【0108】
1)VtRat−これは、現在の吸気の換気量(Vtcurr)と前の呼吸の換気量(Vtprev)との単純な比率である。いくつかの実施形態では、この比率は以下の方程式に従って計算することができる。
【数2】

【0109】
2)正弦曲線からの偏差−この特徴は、現在の吸気呼吸の振幅及び周波数に基づく正弦波形を求める。次に、推定正弦曲線と実際の吸気呼吸プロファイルとの間で減算を実行し、結果がバッファーに記憶される。次に、バッファー内の値の分散が計算される。正弦曲線は、患者の呼吸プロファイルに基づいて変更することができる。例えば、機械学習又はパターン認識処理を利用することができる。このために採用することができる技法の例は、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法を含みうる。実施態様の例では、可変の振幅及び周波数を有する単純な平方根正弦プロファイルを用いることができる。したがって、このプロファイルに基づいて、計算の例は以下のように数学的に表すことができる。
【数3】

式中、αは振幅であり、ωは周波数であり、tは時間であり(連続領域では時間であり、離散時間ではサンプル数)、Ψは位相である。
【0110】
3)特徴一貫性インデックス−このインデックスは、特徴セットが設定された閾値をどの程度一貫して超えるかの測定値である。以下のステップがこのインデックスの計算に関わる。
i.呼吸の集まりが取得され、上記参照した特徴が、呼吸毎に計算され、閾値バッファーに記憶される。例えば、5つの呼吸を取得し、それらの呼吸に関連付けられた求められた特徴が、閾値バッファーに記憶される。
ii.特徴が閾値関数に適用される。閾値関数は、上述したものと同様である。特徴セットの特徴値が設定された閾値を超える都度、一貫性カウンタが増分される(例えば、1だけ)。例えば、5つの呼吸のセットでは、特徴が呼吸のうちの4つで閾値を超える場合、一貫性カウンタは4になる。
iii.次に、特徴一貫性インデックスが、特徴一貫性カウンタと合計呼吸集まりサンプルサイズとの比率をとることにより導出される。例えば、カウンタが4であり、用いられた呼吸の合計集まりが5であった場合、特徴一貫性インデックスは80%になる。
【0111】
次に、レム状態エンハンサ2030により、上述したようにRemEnhancerインデックスとして機能する特徴一貫性インデックスを出力することができる。
【0112】
H.遷移確率規則
上述したように、遷移確率は、未処理睡眠スコアを調整して、変更睡眠スコアを生成する。しかし、これらの確率がどのようにして計算されるかを定義する前に、自然な睡眠サイクルについてのいくつかの一般的なポイントを考慮することができる。
(a)夜の最初の目覚め期間(すなわち、睡眠の開始)は、夜の最も長い目覚め期間になる可能性が高い。
(b)続く目覚め期間は、目覚める外部原因(例えば、マスクの再調整、トイレに行く、他の人又は夜間性喘息発作等の任意の医療状態により起こされる)がある場合を除き、120秒を超えて続かない。
(c)目覚め状態からの最初の睡眠遷移は、患者がレム睡眠機能不全を有する場合を除き、レム睡眠ではない。
(d)自然な睡眠サイクルの一環として、20分〜30分を超える間、深い睡眠にあった患者は、小さな目覚めに近づきつつある。
【0113】
上記に基づいて、以下の規則が定義されている。しかし、上記情報((a)〜(d))を解釈し、対応する規則を定義する多くの方法がある。したがって、以下の規則及び規則に関連付けられた遷移確率値は、単なる例である。機械学習技法又はパターン認識技法により、他の規則及び値を導出することもできる。採用することができるそのような技法の例には、クラスター解析、サポートベクトターマシン、及びベイズ式分類法が含まれる。
規則:
規則1−患者は、夜の最初の目覚め期間にあり、10分以下の間、目覚めていた。
規則2−患者は、夜の最初の目覚め期間にあり、10分を超えるが、20分以下の間、目覚めていた。
規則3−患者は、夜の最初の目覚め期間にあり、20分を超える間、目覚めていた。
規則4−患者は、夜の2番目の目覚めフェーズにあり、10分以下の間、この状態であった。
規則5−患者は、夜の2番目の目覚めフェーズにあり、10分を超えるが、20分以下の間、この状態であった。
規則6−患者は、夜の2番目の目覚めフェーズにあり、20分を超える間、この状態であった。
規則7−患者は、目覚め状態の3番目又は後期フェーズにあり、60分以下の間、この状態であった。
規則8−患者は、目覚め状態の3番目又は後期フェーズにあり、60分を超える間、この状態であった。
規則9−治療を開始してからの時間は、20分以下である。
規則10−治療を開始してからの時間は、20分を超え、患者は、20分以下の間、ノンレム睡眠状態であった。
規則11−治療を開始してからの時間は、20分を超え、患者は、20分を超えるが、30分以下の間、ノンレム睡眠状態であった。
規則12−治療を開始してからの時間は、20分を超え、患者は、30分を超える間、ノンレム睡眠状態であった。
規則13−患者は、10分以下の間、レム睡眠状態であった。
規則14−患者は、10分を超えるが、20分以下の間、レム睡眠状態であった。
規則15−患者は、20分を超える間、レム睡眠状態であった。
【0114】
図26の表(すなわち、表2600A、表2600B、表2600C、及び表2600D)は、状態遷移確率を支配するために実施することができる、確率値へのこれらの規則の関連付けをまとめたものである。この実施形態では、1つの特定の規則のみが一度に適用可能である。どの規則が現在の条件(例えば、現在の睡眠状態、今の睡眠状態で費やされた時間、及び夜の睡眠時間の全体的なポイント)を満たすかに基づいて、上述したように、表の出力を遷移確率として適用することができる。例えば、処理により、規則5が真であり、機械の現在の状態が目覚めであると判断される場合、遷移確率T11は0.9になり、T13は0.05になり、T14は0.05になる。表の残りの遷移確率も同様に求めることができる。
【0115】
I.周期的呼吸及び覚醒に基づく遷移確率
図20に示されるように、状態遷移確率計算器2018により遷移確率を求める際の別の規則セットは、周期的呼吸検出器及び覚醒検出器の出力に基づくことができる。例えば、周期的状態検出器は、ノンレム睡眠T状態への遷移及びノンレム睡眠T状態からの遷移を制御する。このために、以下の規則の例及び図27の表に示される関連する値も、状態遷移確率値を支配することができる。
【0116】
規則
規則1−患者の現在の状態は目覚めである。
周期的状態カウンタは0である(すなわち、患者は0呼吸の間、周期的状態であった)。
【0117】
規則2−患者の現在の状態は目覚めである。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、50以下である(すなわち、患者は0よりも多いが50以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
【0118】
規則3−患者の現在の状態は目覚めである。
周期的状態カウンタは50よりも大きい(すなわち、患者は50よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
【0119】
規則4−患者の現在の状態はノンレム睡眠である。
周期的状態カウンタは0である(すなわち、患者は0呼吸の間、周期的状態であった)。
【0120】
規則5−患者の現在の状態はノンレム睡眠である。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、50以下である(すなわち、患者は0よりも多いが50以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和=0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む−したがって、和=0の場合、覚醒は前の50の呼吸にわたって検出されなかった)。
【0121】
規則6−患者の現在の状態はノンレム睡眠である。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、50以下である(すなわち、患者は0よりも多いが50以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和>0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。このため、覚醒の和がゼロより大きい場合、1つ以上の覚醒が前の50の呼吸にわたって検出された)。
【0122】
規則7−患者の現在の状態はノンレム睡眠である。
周期的状態カウンタは50よりも大きい(すなわち、患者は50よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和=0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。したがって、和=0の場合、覚醒は前の50の呼吸にわたって検出されなかった)。
【0123】
規則8−患者の現在の状態はノンレム睡眠である。
周期的状態カウンタは50よりも大きい(すなわち、患者は50よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和>0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。このため、和が0よりも大きい場合、1つ以上の覚醒が前の50の呼吸にわたって検出された)。
【0124】
規則9−患者の現在の状態はノンレム睡眠Tである。
周期的状態カウンタは0である(すなわち、患者は0呼吸の間、周期的状態であった)。
【0125】
規則10−患者の現在の状態はノンレム睡眠Tである。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、50以下である(すなわち、患者は0よりも多いが50以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和=0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。したがって、和=0の場合、覚醒は前の50の呼吸にわたって検出されなかった)。
【0126】
規則11−患者の現在の状態はノンレム睡眠Tである。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、50以下である(すなわち、患者は0よりも多いが50以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和>0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。このため、和が0よりも大きい場合、1つ以上の覚醒が前の50の呼吸にわたって検出された)。
【0127】
規則12−患者の現在の状態はノンレム睡眠Tである。
周期的状態カウンタは50よりも大きい(すなわち、患者は50よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和=0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む−したがって、和=0の場合、覚醒は前の50の呼吸にわたって検出されなかった)。
【0128】
規則13−患者の現在の状態はノンレム睡眠Tである。
周期的状態カウンタは50よりも大きい(すなわち、患者は50よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
覚醒状態バッファー和>0(このバッファーは、前の50の呼吸からの前の50の覚醒状態値からの値を含む。このため、和が0よりも大きい場合、1つ以上の覚醒が前の50の呼吸にわたって検出された)。
【0129】
規則14−患者の現在の状態はレム睡眠である。
周期的状態カウンタは0である(すなわち、患者は0呼吸の間、周期的状態であった)。
【0130】
規則15−患者の現在の状態はレム睡眠である。
周期的状態カウンタは0よりも大きいが、100以下である(すなわち、患者は0よりも多いが100以下の呼吸の間、周期的状態であった)。
【0131】
規則16−患者の現在の状態はレム睡眠である。
周期的状態カウンタは100よりも大きい(すなわち、患者は100よりも多い呼吸の間、周期的状態であった)。
【0132】
図27の表(すなわち、表2700A、表27000B、表2700C、及び表2700D)は、状態遷移確率を支配するために実施することができる、確率値へのこれらの規則の関連付けをまとめたものである。規則のうちの1つ以上の評価に基づくとともに、最後の呼吸において機械が前に検出した特定の状態に応じて、上述したように、遷移確率として表の出力を適用することができる。例えば、処理により、規則11が真であり、機械の現在の状態がノンレム睡眠T状態2116であると判断される場合、遷移確率T22は0になる(表2700Cに示される)。表の残りの遷移確率も同様に求めることができる。
【0133】
J.覚醒検出モジュール
覚醒検出モジュール114は、呼吸フローデータが睡眠からの覚醒を表すか否かを判断することができる。この点に関して、睡眠からの覚醒は、フロー信号の乱れを生じさせることができる。したがって、このモジュールの基本機能は、そのような乱れを探してフロー信号からのデータをスキャンし、乱れが発生したか否かを示すことである。例えば、乱れが特徴抽出モジュール110の呼吸特性から検出される場合、モジュールは、睡眠安定性モジュールに対し、フロー乱れの経過(passage)を含む信号又はデータを生成することができる。任意選択的に、フロー乱れからのデータ及び乱れに先行するフロー信号期間(例えば、15呼吸前まで)からのデータを含むように、データパケットを生成することができる。データは、本明細書においてより詳細に説明するような乱れの更なる分類のために用いることができる。
【0134】
任意選択的に、上述したように特徴抽出モジュール110からの呼吸特性を利用することに加えて、追加の呼吸特性を計算することもできる。例えば、以下の呼吸特性を求めることができる。
(1)吸気ピークフローの或る割合(例えば、95%)に達するまでの時間。
(2)吸気ピークフローの或る割合(例えば、75%)を超えるエリア。
(3)吸気ピークフローの或る割合(例えば、75%)を超えるエリアの変動。
(4)吸気ピークフローの或る割合(例えば、95%)から呼気ピークフローまでの時間。
【0135】
次に、実施形態は、呼吸特性のうちの1つ以上のものを用いて乱れを検出することができる。例えば、フロー乱れは、すぐ上に記した呼吸特性1〜4を評価することにより検出することができる。これらの特徴は、フロー乱れのインジケータとみなすことができる。任意選択的に、これらの特性は、上述した呼吸特徴とともに、又は上述した呼吸特徴なしで、経験的に決定された閾値のセットと比較して、乱れを検出することができる。比較により、十分な乱れがフロー信号に発生したことが示される場合、モジュールは、例えば、正の信号又はデータインジケーション(例えば、はいの場合、1、いいえの場合、0)を出力することにより、それを示すことができる。
【0136】
したがって、モジュールの方法論の例は、以下のように呼吸単位で進むことができる。
(1)特徴抽出器から特徴をインポートする。
(2)すぐ上に記した追加の特徴(1〜4)を計算する。
(3)現在の睡眠状態を睡眠状態検出モジュールからインポートする。
(4)フロー乱れが存在するか否かを判断する。
(5)フロー乱れがある場合、睡眠状態をチェックする。患者が睡眠状態にある場合、乱れ及び前の呼吸(例えば、15の呼吸)からのフローデータを収集し、データを出力する(例えば、睡眠品質モジュールに)。フロー乱れがあり、患者が睡眠状態にない場合、措置を講じる必要はない。呼吸にフロー乱れがない場合、措置を講じる必要はない。
【0137】
いくつかの実施形態では、次に、各フロー乱れを表すデータを解析して、覚醒が存在するか否かを判断することができる。覚醒が検出される場合、更なる解析により、以下のタイプのうちの1つに覚醒を特性化することができる:
(i)無呼吸に関連する覚醒、
(ii)減呼吸に関連する覚醒、
(iii)呼吸努力に関連する覚醒、
(iv)口の漏れによる非呼吸性、
(v)周期的な四肢運動(PLM)による非呼吸性、
(vi)高漏出による非呼吸性、
(vii)非呼吸性−自然な覚醒。
【0138】
例えば、特徴抽出モジュール110からの上述した呼吸特性を表すデータを用いて、重みを各特徴に関連付けることができるように、特徴を閾値関数に適用することができる。フロー乱れ特徴が、閾値関数の重み付け出力から導出される。フロー信号を更に解析して、上述した事象のいずれがフロー乱れに先行したかを調べる。続けて、フロー乱れを覚醒として特性化することができる。モジュールの出力は、任意選択的に、(a)覚醒のタイプ及び(b)覚醒の持続時間を含みうる。
【0139】
覚醒検出器実施形態の例
本技術の更なる実施形態の例では、覚醒検出モジュール114は、図13のブロック流れ図に示される処理を用いて構成することができる。この例では、フロー生成器のフローセンサに関連付けられた呼吸空気流又はフィルタリングされたフローが、特徴抽出器に提供され、特徴抽出器により処理される。このプロセスでは、特徴抽出器により求められた上述の呼吸特徴の特定のサブセットが利用される。特徴のこのサブセットは、任意選択的に、上述したIP75A(すなわち、75%吸気ピークフローを超える吸気フロー曲線のエリア)特徴、3mvTtot(すなわち、現在の3分換気とTtot(合計呼吸時間)との比率)特徴、及びPF75PF(すなわち、吸気ピークフローと75%吸気ピークフローとの比率)特徴のみを含みうる。各特徴は閾値処理器1310に提供され、閾値処理器1310において、図14に示される例等の1つ以上の閾値関数が、特徴サブセットの各特徴に適用される。この例は特定の特徴を用いるが、他の実施形態が、他のセット(例えば、全ての特徴)、又は特徴抽出器により求められた、上述した呼吸フローに基づく特徴の任意の組み合わせを有するサブセットに基づくことができることが理解されるであろう。
【0140】
この例では、IP75A特徴が閾値処理される場合、図14のグラフ1450の関数を、表IP75A(参照文字1440Aの表として示される)からとられる入力値の例IA及びIB並びに出力値の例OA及びOBを用いて実施することができる。表中、入力値IA、IB、IC等は、入力値の連続した範囲を表す。したがって、表IP75Aの場合、IAは、2.5未満から2.5を含め最高で2.5までの範囲の値である。IBは、IAよりも大きいか、又は2.5よりも大きい範囲の値である。例えば、2.5以下の求められた値を有するIP75A特徴の場合、乱れ重みとみなすことができる0.05の出力が、IP75A特徴に起因する出力として選択される。同様に、3mvTtot特徴の出力重みが選択される。しかし、3mvTtot特徴の場合、グラフ1450の関数の入力値及び出力値は、3mvTtot表(参照文字1440Bの表として示される)の値に基づくことになる。同様に、グラフ1450の関数により、PF75PF表(参照文字1440Cの表として示される)の値に基づいて、PF75PF特徴の出力重みが選択される。特定の値が図14の表に示されるが、これらが単なる例であることが理解されることに留意する。他の値を実施することもでき、患者群又は特定の患者のいずれかから経験的に決定することができる。したがって、これらの値は、機械学習技法及びパターン認識技法に基づく処理を用いて学習することができる。これに採用することができる技法の例には、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法が含まれる。
【0141】
閾値処理器から出力される3つの重みは、フロー乱れ計算器1312の処理において、重みの合算等により組み合わせられ、フロー乱れ特徴を生成する。フロー乱れ計算器1312の処理は、乱れ特徴の重みを経験的に選ぶことができる覚醒閾値と更に比較して、乱れ特徴が覚醒事象を表すか否かを示す。覚醒事象を示す場合、覚醒フラグが設定される。
【0142】
覚醒フラグの肯定的な指示に基づいて、覚醒事象に関連付けられたフローデータを前事象分類器1314により評価して、覚醒に繋がったか、又は覚醒を生じさせた可能性がある特定の事象を識別する。例えば、識別された前事象は、呼吸関連性(例えば、閉塞性若しくは中枢的な無呼吸事象、閉塞性若しくは中枢的な減呼吸事象、又はフロー制限事象)又は非呼吸関連性(例えば、周期的な四肢運動(PLM)事象及び/又は漏れ事象(例えば、口の漏れ若しくは高漏出))とすることができる。これらの事象のいずれも見つからない場合、覚醒を自然な覚醒として分類することができる。いくつかの実施形態では、これらの前事象を識別する処理は、分類器1314の処理に統合することができる。しかし、図13に示されるように、この処理は、任意選択的に、検出結果を分類器1314に通信する離散した検出器により実施することもできる。最後に、覚醒検出器114は、覚醒のタイプ及び/又は持続時間を示す信号又はデータとすることができる覚醒特徴を出力する。例えば、口の漏れに関連する覚醒、無呼吸に関連する覚醒、フロー制限に関連する覚醒、PLMに関連する覚醒、自然な覚醒等として識別することができる。覚醒の持続時間は、覚醒フラグが覚醒を示すように設定されてから、覚醒が発生していないことを示すように変更されるときまでの時間期間として決定することができる。代替的に、時間期間は呼吸数とすることができる。
【0143】
K.睡眠安定性検出モジュール
本技術のいくつかの実施形態では、実施される睡眠安定性検出モジュール116は、複数の関数を用いて実施することができる。例えば、覚醒検出モジュールと併せて、モジュールは、(1)検出されたフロー乱れを分類し、(2)フロー乱れ強度のレベル(例えば、覚醒の程度)を等級付け、かつ/又は(3)自律神経活性化のレベルを推定することができる。
【0144】
覚醒検出モジュール114及び睡眠安定性検出モジュール116に関連付けられた方法論の例を図8に示す。本質的に、モジュールは、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータから睡眠覚醒状態を検出又は分類する方法論を用いて実施することができる。880において、方法論は、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めることを含みうる。これは、検出モジュールに統合するか、又は特徴抽出モジュール110等の別のモジュールから提供することができる。882において、乱れは、上述したように、複数の呼吸特性から検出される。乱れは覚醒状態を示すことができる。任意選択的に、884において、本明細書においてより詳細に考察されるように、方法論は、乱れが非呼吸関連の覚醒であるか否かを評価することができる。次に、886において、モジュールは、検出された乱れが、呼吸機能不全の症状以外の事象からの覚醒を表すことを示すことができる。例えば、モジュールは、判断を表すデータをメモリに記憶し、別のモジュール(例えば、睡眠品質モジュール120)の入力に適用し、かつ/又はユーザインターフェースモジュール124のディスプレイ等に出力として生成することができる。そのような非呼吸機能不全関連の事象は、例えば、周期的な四肢運動に関連付けられた事象とすることができる。したがって、検出された非呼吸性覚醒は、周期的な四肢運動又は検出された漏れに起因したものとすることができる。換言すれば、周期的な四肢運動の1つ若しくは複数の発生又は周期的な四肢運動の期間は、覚醒又は乱れを検出し、呼吸機能不全症状の同時性又は同期性の欠如(例えば、フロー制限がないか、有意ではないこと、フロー平坦化がないか、有意ではないこと、閉塞がないか、有意ではないこと等)を検出することから、識別することができる。
【0145】
覚醒検出モジュール114及び睡眠安定性検出モジュール116に関連付けられた更なる方法論の例を図9に示す。本質的に、モジュールは、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠安定性を評価する方法論を用いて実施することができる。990において、方法は、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めることを含みうる。これは、検出モジュールに統合するか、又は特徴抽出モジュール110等の別のモジュールから提供することができる。992において、上述したように、覚醒状態を示す場合がある乱れが、複数の呼吸特性から検出される。994において、乱れの程度が求められる。乱れの程度は、覚醒状態が睡眠を中断した程度を示すことができる。次に、プロセッサは、乱れの程度を示すことができる。例えば、プロセッサは、計算された乱れの程度を表すデータをメモリに記憶し、別のモジュール(例えば、睡眠品質モジュール120)の入力に適用し、かつ/又はユーザインターフェースモジュール124のディスプレイ等に出力として生成することができる。
【0146】
以下の実施形態の例では、フロー乱れが、分類され等級付けられてから、患者の自律神経活性化のレベルを推定するためのインデックスとしても用いられる。この実施形態では、以下のステップを実施することができる。
【0147】
(1)フロー乱れデータパケットを覚醒検出器から受信する。
これは、任意選択的に、乱れを検出するために、モジュール自体が測定フロー信号を処理しない場合に行うことができる。
【0148】
(2)データパケットのフロー乱れの発生前の期間のデータを解析して、乱れを分類する。
例えば、フロー乱れの直前に無呼吸又は減呼吸等の呼吸事象が検出されている場合、パケットの乱れを呼吸関連の覚醒とみなすことができる。そのような事象がフロー乱れの前に発生していない場合、パケットの乱れを、呼吸機能不全よりもむしろ周期的な四肢運動に起因する覚醒等の非呼吸性として分類することができる。
【0149】
任意選択的に、漏れ検出モジュール112により漏れも同時に検出されている場合、装置は、覚醒又は乱れを、非呼吸性であるが、マスクの弁のような漏れに起因するものとして分類することができる。
【0150】
(3)フロー乱れの長さ(例えば、持続時間)及び強度を計算する。
例えば、乱れの長さは、乱れにかかる、求められるか若しくは計算される持続時間又は時間(例えば、秒又は分)とすることができる。長さを求めることに加えて、いくつかの実施形態では、強度(例えば、乱れの程度)を求めることができる。例えば、強度値は、乱れのデータと乱れ前の呼吸データとの比率として計算することができる。例えば、強度値は、(a)データパケットのフロー乱れ部分の分散(例えば、フロー乱れ中のフロー信号からのサンプル)と、(b)乱れ前のいくつかの呼吸(例えば、15の呼吸)のフローデータの分散(例えば、フロー乱れ前のフロー信号からのサンプル)との比率として計算することができる。任意の呼吸特性もそのような比率の計算に利用することができる。
【0151】
任意選択的に、求められた強度値を利用して、乱れ中の患者の自律神経活性化を推定することができる。例えば、モジュールは、ルックアップテーブルを有するメモリを含むか、又はそのようなメモリにアクセスすることができる。ルックアップテーブルは、自律神経活性化のレベル(例えば、心拍変動の値、パルス遷移時間(PTT)の値等)へのフロー乱れの強度のデータマッピングを含みうる。したがって、自律神経活性化値へのインデックスとして、強度を利用することができる。任意選択的に、テーブルは、患者特性記憶モジュール122により処理されるデータにより更に索引付けすることができる。そのような場合、テーブルは、異なるクラスの患者のデータを含みうる。したがって、装置を利用する特定の患者の年齢、ボディマスインデックス(BMI)、体重、身長、及び/又は他の疾病状態若しくは現在の生理学的状態等の特定の患者の特性に従い、推定される自律神経活性化の特定を更に索引付けることができる。そのようなテーブルは、任意選択的に、大規模データマイニングの実行を通じて開発して、異なるクラスの患者におけるフロー乱れの強度及び続く自律神経の変化(例えば、心拍変動性(HRV)及びパルス遷移時間(PTT))を比較し関連付けることができる。
【0152】
(4)睡眠安定性スコアを睡眠品質インデックスモジュールに示す。
強度値、長さ、自律神経活性化値、識別される乱れのタイプ等は、任意選択的に、装置のメモリに記憶し、他の評価モジュール(例えば、睡眠品質評価モジュール120)により用い、かつ/又はユーザインターフェースモジュール124の視覚的出力ディスプレイに表示することができる。
【0153】
要約すれば、呼吸治療(例えば、気道陽圧)による治療の目的は、患者の呼吸関連の乱れを低減し、それにより、睡眠の安定性を増大させることである。したがって、睡眠安定性検出モジュールの実施形態は、患者の睡眠セッション中に発生する睡眠関連の乱れのレベルを定量化する。例えば、そのようなモジュールを有する検出器は、各呼吸サイクルの終わりに、睡眠の乱れのレベルを示す0〜1のスコアを生成することができる。そのような場合、1のスコアが最大の睡眠安定性を示すことができる。そして、スコアは、スコアが0に低減するにつれて、漸次的に低い睡眠安定性レベルを等級付けることができる。
【0154】
このために、いくつかの実施形態では、特徴抽出器106により求められる特徴のうちのいくつか又は全てを1つ以上の閾値関数に適用することにより、重みを各特徴に適用することができる。任意選択的に、これらの閾値関数は、患者特性データ122からの患者特性のうちのいくつか又は全てにより調整することができる。次に、呼吸の乱れ値を、閾値関数(複数の場合もあり)の重み付けられた出力から計算することができる。次に、この値を、本明細書において考察される漏れ検出モジュール112及び覚醒検出モジュール114からの出力により重み低減することができる。次に、睡眠安定性スコアを、いくつかの呼吸にわたって求められた重み低減された値の移動平均(rolling average)(例えば、15の呼吸の移動平均等の約5〜30の範囲)として計算することができる。
【0155】
睡眠安定性検出器の実施形態の例
睡眠安定性検出モジュール116のそのような実施形態の例は、図15のブロック流れ図に示される処理を用いて構成することができる。この例では、呼吸の空気流又はフロー生成器のフローセンサに関連付けられたフィルタリングされた流れは、特徴抽出器に提供され、特徴抽出器により処理される。このプロセスでは、特徴抽出器により求められた上述した呼吸特徴の特定のサブセットが利用される。特徴のこのサブセットは、任意選択的に、それぞれ上述したIPFV(すなわち、吸気ピークフロー変動)特徴、EPFV(すなわち、呼気ピークフロー変動)特徴、TSLBV(すなわち、最後の呼吸からの時間変動)特徴、及びI75AV(すなわち、75%吸気ピークフローを超えるエリアの変動)特徴のみを含みうる。各特徴は閾値処理器1410に提供され、閾値処理器1410において、図16に示される例等の1つ以上の閾値関数が、特徴サブセットの各特徴に適用される。この例は特定の特徴を用いるが、他の実施形態が、他のセット(例えば、全ての特徴)、又は特徴抽出器により求められた、上述した呼吸フローに基づく特徴の任意の組み合わせを有するサブセットに基づくことができることが理解されるであろう。
【0156】
この例では、IPFV特徴を閾値処理する場合、図16のグラフ1650の関数を、表IPFV(参照文字1640Aの表として示される)からとられる入力値の例IA、IB、IC、及びID並びに出力値の例OA、OB、OC、及びODを用いて実施することができる。表において上述したように、入力値IA、IB、IC等は、入力値の連続した範囲を表す。したがって、表IPFVの場合、IAは、0.001未満から0.001を含め最高で0.001までの範囲である。IBは、IAの範囲よりも大きく、0.003を含め最高で0.003までの範囲の値である。ICは、IBの範囲よりも大きく、0.009を含め最高で0.009までの範囲の値である。IDは、ICの範囲よりも大きく、10を含め最高で10までの範囲の値であり、これは可能な最大入力値であるとみなすことができる。例えば、求められた値0.003を有するIPFV特徴の場合、乱れの重みとみなすことができる0.8の出力値が、IPFV特徴に起因する出力として選択される。同様に、EPFV特徴の出力重みが選択される。しかし、EPFV特徴の場合、グラフ1650の関数の入力値及び出力値は、EPFV表(参照文字1640Bの表として示される)の値に基づく。同様に、グラフ1650の関数により、TSLBV表(参照文字1640Cの表として示される)の値に基づいて、TSLBV特徴の出力重みが選択される。同様に、グラフ1650の関数により、I75AV表(参照文字1640Dの表として示される)の値に基づいて、I75AV特徴の出力重みが選択される。特定の値が図16の表に示されるが、これらが単なる例であることが理解されることに留意する。他の値を実施することもでき、患者群又は特定の患者のいずれかから経験的に決定することができる。したがって、これらの値は、機械学習技法及びパターン認識技法に基づく処理を用いて学習することができる。このために採用することができる技法の例には、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法が含まれる。
【0157】
次に、スコア付け構成要素1512での未処理スコア処理において、閾値処理器1510からの重みを合算する等により、重みを組み合わせることによって、未処理乱れスコアが求められる。次に、或るシステム状態に基づいて、スコア付け構成要素1512からの未処理スコアを調整又は重み低減することができる。例えば、図15に示されるように、未処理スコアは、漏れ検出モジュール又は覚醒モジュールから検出される漏れ状態及び/又は覚醒状態に基づいて調整することができる。
【0158】
例えば、図17に示される関数の例等の重み低減関数から求められる重み低減係数により、未処理乱れスコアを重み低減することによって、現在の呼吸からの変更乱れスコア1522を求めることができる。したがって、図17の関数を利用して、現在の漏れレベルを考慮することができる。この例では、システムに、高漏出検出器により特定される高レベルの漏れ(例えば、約0.4l/sを超える漏れ)がある場合、実際の呼吸空気流信号の信号対雑音比(SNR)が大幅に低減する場合がある。そのような状況では、未処理乱れスコアを重み低減して、この低SNRを考慮に入れることができる。図17の閾値は、漏れレベルが0.3l/sに達すると、出力重み低減係数を用いて睡眠安定性を線形に重み低減する。漏れが0.5l/sに達すると、睡眠安定性スコアは0になる。
【0159】
同様に、重み低減構成要素を利用して、覚醒検出器からの現在の覚醒状態を考慮することができる。例えば、呼吸、漏れ、及びPLMに関連する覚醒が、患者の睡眠を乱れし、睡眠安定性スコアをこれらのタイプの覚醒中に利用するべきである。しかし、検出される自然な覚醒は、患者の自然な睡眠パターンの一部分とみなすことができる。そのような場合、求められる特定の呼吸の睡眠安定性スコアは、検出される自然な覚醒に一致するとき、無視することができる。したがって、重み低減器1514は入力覚醒特徴を評価することができ、自然な覚醒が検出される場合、変更乱れスコアが現在の呼吸の睡眠安定性スコアにカウントされないようにするように構成することができる。
【0160】
次に、移動平均フィルタ等のフィルタ1516が、重み低減器1514からの変更乱れスコアを処理することができる。例えば、重み低減器の出力を、10〜20のスコアの範囲内の数であるが、好ましくは15等の過去のいくつかの数の求められたスコアにわたって平均することができる。最後に、フィルタの出力は、睡眠安定性インデックスとみなすことができる睡眠安定性スコア1520とみなすことができる。
【0161】
L.睡眠品質評価モジュール
睡眠品質評価モジュール120を実施して、睡眠品質を評価することができる。いくつかの実施形態では、評価又は検出は、他のモジュールの出力に基づくことができる。睡眠品質評価モジュール120に関連付けられた方法論の例を図10に示す。本質的に、この方法論は、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める。1000において、前のモジュールの入力と同様に、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性が求められる。これは、モジュールの一部分として、又は別のモジュール(例えば、特徴抽出モジュール110)の一部分として統合することができる。次に、1002及び1004のそれぞれにおいて、本方法は、上述したように、複数の呼吸特性から睡眠状態測定値及び睡眠安定性測定値を求めることを含む。次に、1006及び1008のそれぞれにおいて、本方法は、睡眠状態測定値及び安定性測定値から1つ以上の睡眠品質インデックスを求めて示す。したがって、1つ以上のインデックスは、装置のメモリに記憶し、他の評価モジュール(例えば、フィードバックモジュール126)により用い、及び/又はユーザインターフェースモジュール124の視覚的出力ディスプレイに表示することができる。
【0162】
例えば、実施形態は、以下のステップを用いて実施することができる。
(1)インデックスとして睡眠期間(例えば、レム、ノンレム、深いレム、軽いレム、相動性レム、持続性レム、全ての睡眠状態等)の長さを計算する。
(2)睡眠安定性のレベルと合計睡眠時間との比率をインデックスとして計算する。例えば、睡眠安定性インデックスを合計睡眠時間インデックスで除算することができる。これは、安定性インデックスを正規化するように機能することができる。
(3)夜間中の目覚めている期間の長さをインデックスとして用いてこの比率を重み付けする。このようなステップは、目覚めの頻度を考慮に入れることができる。例えば、合計目覚め時間は集合的に数Xとすることができる。しかし、この数がY個の小さな目覚め期間で構成され、かつこの数Yが大きい場合、覚醒期間を重み付け係数で説明することができる。換言すれば、睡眠安定性数を夜間中の目覚めの頻度で更に正規化することができる。
(4)インデックスとしての個々の患者の特性の結果として、バイアスを考慮するように比率を重み付けする。いくつかの場合、目覚め状態の期間増大に向けて或るレベルのバイアスが存在する場合がある。特定の患者の入力された特性に起因するそのようなバイアスに基づく重み付け係数を利用して、比率を更に正規化することができる。
(5)インデックスセットとして最終的な睡眠品質スコアを出力する。
【0163】
任意選択的に、このモジュールは、インデックスとして、フィードバックのために或る夜から次の夜への目覚めから睡眠へのブレークダウン期間数を監視又は記録することもできる。そのような1つ以上の数は、目覚め期間の数、合計目覚め時間、睡眠期間の数、及び/又は合計睡眠時間として計算することができる単純な数とすることができる。任意選択的に、これは、月等の期間にわたって平均された数(複数の場合もあり)として提供することができる。日毎の数(複数の場合もあり)を提供することもできる。そのような情報は、睡眠構造についてのいくらかの単純なフィードバックを患者に提供することができる。
【0164】
このモジュールの出力は、記録し、フィードバックのために用い、かつ/又は患者及び/若しくは臨床医に表示することができる。例えば、このモジュールの出力は、ユーザインターフェースモジュール124を通じて表示することができ、かつ/又は治療アルゴリズム処理モジュール128に戻すか、若しくはフィードバックして、フロー生成器の適応制御をリアルタイムで実施することができる。フィードバックは、治療への短期変更及び/又は長期変更(例えば、数週間又は数ヶ月)を実施するように機能することができる。
【0165】
睡眠品質検出器の例
睡眠品質評価モジュール120の実施形態の更なる例を図28〜図31を参照して考慮することができる。一般に、この睡眠品質検出器での処理は、睡眠安定性インデックス、睡眠状態識別子、及び/又は覚醒インデックス等のシステムの他の処理データの評価を含みうる。入力データは、呼吸単位で睡眠品質インデックス(SQI)を変更する動的な力(複数の場合もあり)として機能することができる。評価モジュールの処理を図28のブロック図に示す。この実施形態では、入力データは閾値処理器2810A、2810B、及び2810Cに適用される。
【0166】
評価モジュールが睡眠状態識別子を処理する場合、閾値処理器2810Aは、図29に示される関数等の関数を用いて実施することができる。この場合、閾値処理器2810Aの出力は、睡眠状態識別子に基づいて−0.05〜0.5の範囲内の重みとすることができる。一般に、図29の関数は、ノンレム睡眠が最高の正の影響を有する一方で、目覚めが最高の負の影響を有することを示す。この点に関して、入力状態識別子が目覚め状態2110を表す場合、出力重みは−0.5である。状態識別子がノンレム睡眠T状態2116を表す場合、出力重みは−0.3である。状態識別子がノンレム睡眠状態2114を表す場合、出力重みは0.5である。状態機械が追加の検出状態を含む場合、追加の重み値を閾値処理器により実施することができる。
【0167】
また更なる実施形態では、レム状態の検出の結果として、睡眠品質インデックスへの調整を行うことができる。例えば、レム状態期間が検出される場合、睡眠品質インデックスを正に重み付けすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、睡眠品質インデックスは、1つ以上のレム状態で費やされた全体時間の長さの関数として増大させることができる。任意選択的に、睡眠品質インデックスは、検出されるレム期間の数の増大の関数として増大させることができる。またさらに、睡眠品質インデックスは、レム状態検出が発生する夜間睡眠の特定の時点の関数として増大させることができる。更なる実施形態では、レム状態(複数の場合もあり)の検出の結果として、睡眠品質インデックスへのいかなる調整も行われない場合がある。
【0168】
評価モジュールが睡眠安定性インデックス又は睡眠安定性スコアを処理する場合、閾値処理器2810Bを、図30に示される関数等の関数を用いて実施することができる。この場合、閾値処理器2810Bの出力も、睡眠安定性インデックスに基づいて−0.05〜0.5の範囲内の重みとすることができる。入力睡眠安定性インデックスと出力重みとの関連付けは、関数線3010で表される。例えば、約0.3という睡眠安定性インデックスの入力は、結果として約0.1の出力重みを生じさせることができる。
【0169】
評価モジュールが、覚醒タイプ等の覚醒データを処理する場合、閾値処理器2810Cを、図31に示される関数等の関数を用いて実施することができる。この場合、閾値処理器2810Cの出力も、睡眠安定性インデックスに基づいて−0.05〜0.5の範囲内の重みとすることができる。この点に関して、入力覚醒タイプが無呼吸を表す場合、出力重みは−0.5である。入力覚醒タイプが減呼吸を表す場合、出力重みは−0.4である。入力覚醒タイプがRERA(呼吸努力関連の覚醒)を表す場合、出力重みは−0.1である。入力覚醒タイプが、口漏れ又は高漏出等の漏れを表す場合、出力重みは−0.5である。最後に、入力覚醒タイプが自然な覚醒を表す場合、出力重みは0である。
【0170】
次に、閾値処理器(複数の場合もあり)の出力に基づいて、睡眠品質調整器2812は、0〜1の実数値とすることができる睡眠品質インデックスを設定する。例えば、係数として閾値処理器の重みを睡眠品質インデックスに適用することにより、既存の睡眠品質インデックスを上下させることができる。例えば、睡眠品質インデックスは、負の重み係数との乗算により低減させるか、又は正の重み係数による乗算により増大させることができる。代替的に、閾値関数が入力データに基づいてそれぞれ正又は負の場合、閾値処理器は単純に、真値又は偽値を出力することができる。次に、真値又は偽値は、整数値等の睡眠品質インデックスの増分又は減分をそれぞれ制御することができる。この評価は一般に、(a)或る覚醒が一般に、睡眠品質を低減するのに対し、或る覚醒がないことが睡眠品質を増大させることができ、(b)睡眠安定性の低減が睡眠品質を低減させ、(c)いくつかの睡眠状態がよりよい睡眠品質を示すという前提に基づくことができる。
【0171】
図29〜図31の上述した関数では、重みは、睡眠品質の適したインジケータとして、0〜1とすることができる睡眠品質インデックスの出力が可能なように選ばれており、1は最良の品質であり、0は最低の品質である。しかし、所望の睡眠品質インデックスの性質に応じて、他の重み値及びインジケータ値を選ぶこともできる。
【0172】
M.フィードバック制御モジュール
したがって、いくつかの実施形態では、システムのこれらのモジュールの出力は、プロセッサ制御されるフロー生成器により提供される圧力治療による治療(例えば、持続的気道陽圧治療(「CPAP」))等の治療制御アルゴリズムへの変更を制御するように機能することができる。例えば、睡眠品質評価出力又は睡眠状態出力は、フィードバック制御モジュール126にフィードバックすることができる。次に、フィードバック制御モジュールは、例えば、患者に与えられる圧力治療の瞬間的な量及び長期量のレベルを制御することができる。このフィードバック制御モジュールは、命令又は制御信号をフロー生成器又は治療制御処理モジュール128に送信することにより、送達される治療に対する動的又は短期の変更及び/又は静的又は長期の変更を実施することができる。
【0173】
一例では、動的フィードバック制御は、様々な睡眠状態出力に基づくことができる。例えば、患者がまず、検出された目覚め状態にいる場合、送達される治療を最小レベルに保つことができる。同様に、呼吸検出ルーチン(例えば、AHIモジュール)を、ディセーブルにするか、又はそうでなければ、いかなるフロー乱れに対する感度もより低くなるように重み付けして、AHI事象を治療する圧力調整を別の形で回避又は最小化するように、設定することができる。患者が検出される睡眠状態に遷移すると、フィードバック制御モジュールは、フロー乱れ又はAHI事象に対する感度をより高めるように、コントローラを設定することができる。検出される深い睡眠(例えば、深いレム状態又はレム状態)の期間中、圧力治療アルゴリズムの感度レベルを最大に設定して、検出される事象を完全に治療/検出される事象に完全に応答することができる。さらに任意選択的に、装置が、検出される覚醒及び/又は目覚め状態で目覚めることを検出する場合、治療を徐々に一定の速度で減少又は低減して、患者が睡眠により快適に戻れるようにすることができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、フィードバック制御モジュールは、治療制御への静的な変更を実施することができる。例えば、睡眠品質インデックスを長期フィードバックに用いることができる。患者の睡眠パターンが、睡眠品質インデックスへの変更により監視されるように、経時変化する場合、治療アルゴリズムの感度レベルをそれに従って調整することができる。例えば、睡眠品質インデックスの向上は、治療レベルの低減を制御することができる。同様に、睡眠品質インデックスの減少は、治療レベルの増大を制御することができる。そのような長期の変更は、任意選択的に、制御される時間期間、例えば、或る数の治療セッション後初めて、毎月の初め、又は月に等しい治療期間等で実施することができる。
【0175】
また更なる実施形態では、追加の目覚めから睡眠へのブレークダウンスコアを実施して、治療への変更を制御することができる。例えば、長期期間(例えば、1ヶ月)にわたり目覚め期間の割合が大きくなるか、又は増大する場合、スコアに基づく係数により圧力制御アルゴリズムを重み付けして、より程度の大きな治療を提供することができる。
【0176】
以下の追加のフィードバック実施形態の例は、上述したモジュールの出力に基づいて実施することができる。
【0177】
A.目覚め呼気圧力緩和(EPR)
いくつかの呼吸圧力治療装置では、圧力制御は、呼気圧力緩和(EPR)特徴を含みうる。そのような装置は、国際特許出願番号PCT/US2004019598号(公開番号WO2004/112680号)及び対応する米国特許第7,128,069号に記載されており、これらの開示内容は、引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。EPR特徴は、患者が睡眠をより容易に達成できるようにする快適性を患者に提供することができる。一般に、EPR制御は、吸気中に治療処置圧力を送達している間、各患者の呼気の検出を受けて、治療圧力治療設定から或る量(例えば、cm HO)だけ送達される治療圧力を自動的に低減する。そのような圧力治療制御は、本技術に基づいて変更することができる。通常、患者が一旦眠ると、EPRは、患者に対して望まれる最大の治療恩恵を提供しない場合があるという点で、患者の治療に対する必要性は低いとみなすことができる。したがって、検出される睡眠状態に基づいて、ランプ時間を実施し、これによってEPRを制御することができる。例えば、装置が、患者が目覚め状態にいることを検出する場合は常に、EPR制御をオンにするか、又はそうでなければ上述したように動作させて、呼気中の圧力を低減することができる。しかし、睡眠状態検出モジュールが、患者がノンレム睡眠T、ノンレム睡眠、又はレム睡眠に入ったことを検出すると、EPR機能は、呼気中の低減を回避するように解除することができる。任意選択的に、EPR制御機能は、目覚め状態から睡眠関連状態への遷移を検出されると、いくつかの呼吸サイクル又は時間期間中、治療処置圧力の低減量を徐々に減少させることにより、徐々に解除することができる。このEPR機能の解除は睡眠の開始時に実施することができるが、任意選択的に、治療セッション全体を通じて動的に実施することさえも可能である。例えば、睡眠の開始後、睡眠状態検出モジュールが、患者が(例えば、目覚め状態に入り、或る時間期間にわたり目覚め状態に留まることにより)睡眠状態から目覚め状態に戻ったことを検出する場合、EPR機能を再開(又はいくつかの呼吸サイクル又は時間期間中、治療処置圧力の低減量を徐々に上昇させることにより、徐々に再開)することができる。次に、上述したように、患者の睡眠状態が更に検出されると、EPRを続けて解除する(例えば、徐々に)ことができる。
【0178】
B.呼吸事象報告
いくつかの実施形態では、睡眠状態検出は、検出された事象がどのようにスコア付けられるかを制御することができる。例えば、呼吸治療装置により検出することができるいくつかの事象は、これらが装置により検出される場合であっても、事象スコアの一部分として報告されないことがある。例えば、無呼吸、減呼吸、覚醒、マスク漏れ、及び/又は口漏れ等の検出される呼吸事象は、事象が目覚め状態の検出と同時に検出される場合、特定の事象タイプスコアの一部分として報告されないことがある。そのような場合、治療装置の制御アルゴリズムは、検出アルゴリズムがそのような事象をスコア付けする前に、患者がノンレム睡眠T、ノンレム睡眠、又はレム睡眠状態にあることを確認することができる。任意選択的に、全ての事象をスコア付けすることができるが、各事象のスコア付けは、事象が発生した検出された様々な睡眠状態に基づいて、又は事象が目覚めている時間中に発生したか、それとも睡眠時間中に発生したかに基づいて分類することができる。例えば、治療セッションの目覚めている時間中の無呼吸数をスコア付けすることができ、治療セッションの睡眠時間(例えば、睡眠関連状態)中の無呼吸数を別個にスコア付けすることができる。したがって、スコア付けされた事象は、事象が発生した検出された睡眠状態等に関連付けて、検出された状態に基づいて装置により出力として報告することができる。
【0179】
C.治療変更制御
いくつかの呼吸治療装置では、治療処置圧力を装置により自動的に設定することができる。例えば、いくつかの圧力治療装置は、患者の呼吸の異常を探して呼吸フロー信号を解析し、異常を治療するために、圧力を調整することができる。OSA患者の場合、これらの異常はフロー制限、いびき、及び閉塞性無呼吸とみなすことができる。圧力治療装置は、これらの事象のうちの1つ以上のものを検出すると、事象の深刻さに基づいて圧力治療の或る所定の最大までの増大を制御する。いくつかのそのような圧力治療装置では、そのような増大の後、流れの異常がなくなる(すなわち、もはや検出されない)場合、装置は、圧力治療の低減を自動的に制御して、或る所定の最小値(例えば、患者の医師により設定される)に減少させることができる。しかし、いくつかの場合では、事象は素早く連続して発生し、この素早い連続により、圧力治療が不必要に増減されることに繋がる可能性があるため、これは最も望ましいシナリオではないことがある。したがって、本技術の態様を用いる場合、そのような圧力制御アルゴリズムを変更することができる。例えば、圧力制御アルゴリズムは、検出された異常を治療するように構成することができ、これらの異常が更に検出されない場合に圧力を単純に低減するのではなくむしろ、制御は、睡眠安定性インデックスと閾値との比較に基づいて、上述した睡眠安定性インデックスが「高/許容可能」レベルに戻るまで、上昇した治療レベルに治療を保つことができる。治療圧力の増大後、閾値に達すると、圧力を所定の最小値まで低減又は徐々に減少させることができる。そのような「高/許容可能」レベルを表す閾値は、例えば、既存の臨床データのデータマイニングにより経験的に事前に決定することができる。したがって、治療圧力設定の低減は、呼吸異常の検出がないことに代えて、又は検出がないことに加えて、睡眠安定性インデックスに基づくことができる。
【0180】
D.心肺カップリング(CPC:cardiopulmonary coupling)の評価
CPCは、心拍と呼吸速度とのカップリングを測定する興味深い数量である。CPCに対して多くの用途があるが、最も関係のある2つは、中枢的な無呼吸と閉塞性無呼吸とを区別可能であるとともに、全体的な睡眠品質を測定することである。呼吸は、呼吸フロー信号を介して容易に導出される。しかし、心拍の導出は少し困難である。呼吸フローからの心拍の測定は、全体的な呼吸フロー信号の心臓性フロー要素を解析することにより行われる。例えば、米国特許第5,704,345号には、心臓性空気流を検出するいくつかの方法が記載されており、この特許の開示内容を引用することにより、本明細書の一部を成すものとする。心臓性フローは、肺への心臓の拍動による呼吸フロー信号の小さな振動である。心臓性フローは、治療の全ての時間で容易に区別可能である訳ではない。特に、目覚め、ノンレム睡眠T、及びレム睡眠で困難である可能性がある。しかし、安定した睡眠又はノンレム睡眠中、心臓性フロー信号をより正確に検出することが可能である。したがって、心臓性フローを検出する自動方法は、睡眠の安定部分の検出が発生するのを待つように制御することができ、これらの睡眠部分中、装置は次に、手順を実行して、心臓性空気流を特定し、かつ/又はCPCインデックスを計算することができる。換言すれば、特定の睡眠状態(例えば、ノンレム睡眠状態)の検出は、心臓性フローの検出を始動又は可能にすることができる一方で、他の状態(例えば、ノンレムT、レム、又は目覚め)は、心臓性空気流特定手順を回避することができる。したがって、心臓性空気流特定手順は、睡眠状態の検出に基づくことができる。例えば、一実施形態では、睡眠状態に基づいて、無呼吸が検出される場合、心臓性空気流特定手順を用いて、閉塞性無呼吸と中枢的な無呼吸とを区別することができる。したがって、治療装置のコントローラが無呼吸の開始を検出するとともに、睡眠状態が安定状態(例えば、ノンレム状態)であることを検出する場合、CPC検出器又はコントローラのプロセスは、心臓性空気流検出(例えば、心臓性空気流呼吸の有無)に基づいてどのタイプの無呼吸が発生したか(例えば、中枢的又は閉塞性)を判定できるようにすることができる。
【0181】
N.周期的呼吸状態検出モジュール
いくつかの実施形態では、睡眠状態検出装置102は、図18に示されるモジュール等の周期的呼吸状態検出モジュール1880を実施することができる。この点に関して、睡眠中、高レベルの呼吸不安定性を有する睡眠の部分が存在する場合がある。大抵、これは周期的な性質のものとすることができる。特に、患者が目覚めから睡眠に遷移しつつある期間又は大きな覚醒に続く期間中、体の呼吸コントローラは、リズムを失い、そして不安定な呼吸パターンを生じさせる可能性がある。周期的呼吸状態検出モジュールの目的は、睡眠中のそのような部分を識別することである。いくつかの実施形態では、これは、呼吸フローセンサからの呼吸フロー信号データを処理し、患者が所与の呼吸に関して周期的な呼吸を経験しているか否かを示す周期的呼吸状態出力(例えば、周期的呼吸状態変数は、yesの場合に1であり、noの場合に0である)を出力することにより、検出することができる。
【0182】
例えば、そのようなモジュールは、上述したように、特徴抽出器110の特徴のうちの1つ以上の解析に基づくことができる。モジュールのそのような実施形態に関連付けられた処理は、図18の詳細と併せて考慮することができる。呼吸フローの測定値に基づいて、特徴抽出器110は、上述した特徴のうちの1つ以上のものを求めることができる。例えば、この実施形態の例では、3mvTtot特徴及びIP75A特徴を解析することができる。上述したように、IP75A特徴は、75%吸気ピークフローを超える吸気フロー曲線のエリアであり、3mvTtot特徴は、現在の3分換気とTtot(合計呼吸時間)との比率である。
【0183】
各特徴は閾値処理器1810に提供され、閾値処理器1810において、図19に示される例等の1つ以上の閾値関数が、特徴サブセットの各特徴に適用される。この例では、I75AV特徴を閾値処理する場合、図19のグラフ1950の関数を、表I75AV(参照文字1940Aの表として示される)からとられる入力値の例IA、IB、及びIC並びに出力値の例OA、OB、及びOCを用いて実施することができる。これらの表において上述したように、入力値IA、IB、IC等は、入力値の連続した範囲を表す。したがって、表I75AV(図19において参照文字1940Aの表として示される)の場合、IAは、0.01未満から0.01を含め最高で0.01までの範囲である。IBは、IAの範囲よりも大きく、0.035を含め最高で0.035までの範囲の値である。ICは、IBの範囲よりも大きく、10を含め最高で10までの範囲の値であり、これは可能な最大入力値であるとみなすことができる。例えば、求められた値0.035を有するI75AV特徴の場合、周期的状態重みとみなすことができる1の出力値が、I75AV特徴に起因する出力として選択される。同様に、3mvTtot特徴の出力重みが選択される。しかし、3mvTtot特徴の場合、グラフ1950の関数の入力値及び出力値は、3mvTtot表(参照文字1940Bの表として示される)の値に基づく。特定の値が図19の表に示されるが、これらが単なる例であることが理解されることに留意する。他の値を実施することもでき、患者群又は特定の患者のいずれかから経験的に決定することができる。したがって、これらの値は、機械学習技法及びパターン認識技法に基づく処理を用いて学習することができる。採用することができる技法の例には、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法が含まれる。
【0184】
次に、これらの周期的状態重みは、未処理周期的状態計算器1882により処理することができる。未処理周期的状態スコアは、以下の方法により求めることができる。
IF(O_psT1==1)THEN 未処理周期的状態=1
ELSE IF((O_psT1==0)AND(O_psT2==1))THEN
未処理周期的状態=1
ELSE 未処理周期的状態=0
但し、O_psT1は、I75AV特徴に起因する周期的状態重みであり、
O_psT2は、3mvTtot特徴に起因する周期的状態重みである。
【0185】
次に、周期的状態出力(例えば、周期的呼吸状態が検出されたか否か)を以下の方法論に従って求めることができる。
未処理周期的状態スコアが1の場合:
a.周期的状態出力を1に設定する。
b.周期的状態カウンタを1だけ増分する。
c.安定睡眠カウンタを0に設定する。
未処理周期的状態スコアが0である場合、安定睡眠カウンタがカウンタ閾値(例えば、約5〜15の範囲であるが、好ましくは10である)未満であるか否かをチェックする。
安定睡眠カウントがカウンタ閾値以下(例えば、<=10)である場合、
a.周期的状態出力を1に設定する。
b.周期的状態カウンタを1だけ増分する。
c.安定睡眠カウンタを1だけ増分する。
安定睡眠カウントがカウンタ閾値を超える(例えば、>10)場合、
a.周期的状態出力を0に設定する。
b.安定睡眠カウンタを1だけ増分する。
【0186】
この実施形態では、適したカウンタ閾値は10に設定することができるが、何等かの他の経験的に決定された値とすることもできる。例えば、本方法論のいくつかの実施形態では、カウンタ閾値は、機械学習技法及びパターン認識技法に基づく処理の結果として設定することができる。そのような技法には、クラスター解析、サポートベクターマシン、及びベイズ式分類法、又は他の同様の機械学習技法を含めることができる。
【0187】
O.睡眠開始モジュール
睡眠の開始を正確に検出することは、患者の睡眠パターン及び睡眠の全体的な品質への非常に興味深い洞察を提供することができる。睡眠の開始を正確に検出することは、睡眠状態を正確に検出するにあたっても重要とすることができる。したがって、睡眠状態検出装置102のいくつかの実施形態では、インデックスを実施して、特定の睡眠セッションでの目覚めから睡眠への最初の遷移を検出又は計算することができる。睡眠への遷移は、ノンレム睡眠又はノンレム睡眠Tのいずれかとすることができ、後述する実施態様において、いずれの状態がより高い遷移確率を有するかに依存することができる。このとき、続く睡眠状態への遷移は、本明細書において上述した睡眠状態モジュールにより支配することができる。
【0188】
実施態様の例では、睡眠開始検出モジュールは、特徴抽出器110からとられる1つ以上の呼吸フローに基づく特徴を表すデータを入力として利用することができる。例えば、睡眠開始検出は、以下の特徴セットの解析により実施することができる。
1)EPFL比率−この特徴は、呼気ピークフロー位置と合計呼気期間との比率であり、任意選択的に、時間単位(例えば、秒)ではなくサンプル(例えば、いくつかのサンプル)で定義することができる。
2)EPFL差特徴−この特徴は、現在のEPFL比率を測定し、設定された時間期間にわたる平均EPFL比率を減算する。例えば、設定される時間期間は、10〜20の範囲であるが、好ましくは15である前のいくつかの数の呼吸とすることができる。
睡眠開始の検出は、以下に基づくこともできる。
3)未処理睡眠状態スコア−これは、睡眠状態について上述したように、睡眠状態検出器から出力されるスコアとすることができる。
【0189】
次に、睡眠開始検出器を、上述した入力データに基づいて睡眠の開始を検出するにあたり、以下の処理方法論を用いて実施することができる。これは、少なくとも患者が睡眠の開始に遷移するまで、呼吸単位で求めることができる。
1)睡眠−覚醒遷移インデックス(0に事前設定することができる)を導出する。
If(EPFL差特徴>=T1)OR(未処理睡眠状態スコア>=T2)THEN(睡眠−覚醒遷移インデックスを1だけ増分する)
2)IF(睡眠−覚醒遷移インデックス>=T3)THEN 睡眠開始=1(すなわち、この睡眠開始インデックスは、睡眠状態検出モジュールを用いる人が夜の最初の睡眠期間に遷移したことを表すものと解釈することができる)。
【0190】
これらの実施形態では、T1閾値、T2閾値、及びT3閾値は、患者群の既知のデータを用いて経験的に決定することができる。これらの閾値は、特定の患者について決定し、装置内に設定することもできる。
【0191】
したがって、睡眠開始インデックスは、開始時等に事前設定(例えば、0に)されて、最初の睡眠の開始が発生していないことを表すバイナリスイッチ又はフラグとみなすことができる。この例では、インデックスが続けて1に設定される場合、検出器を用いる人は、睡眠中であるとみなすことができる(例えば、睡眠セッション(例えば、夜)の最初の睡眠開始))。その他の場合、患者は目覚め状態にあるとみなすことができる(例えば、検出器を用いる特定のセッションの最初の睡眠状態にまだなっていない)。このようにして、装置は、目覚め状態から睡眠状態への複数の遷移を有する一般的又は特定の治療セッションの睡眠の開始(睡眠への最初の遷移)を続く睡眠への遷移から区別するように構成することができる。
【0192】
P.呼吸治療装置
コントローラは、監視型装置又はデータ解析装置においてフィードバックなしで実施することができるが、上述したいくつかの実施形態は、フロー生成器を有するコントローラを実施することができる。例えば、図11に示されるように、睡眠状態検出装置は、任意選択的に、そのような制御に適したセンサ(例えば、圧力センサ及び/又はフローセンサ1106)を有するサーボ制御されるブロワー等のフロー生成器1110を有して実施することができる。
【0193】
CPAP治療に関連付けられた治療圧力レベル等の呼吸治療又は圧力治療計画は、装置のコントローラにより送達することができる。そのような治療圧力レベルは、睡眠機能不全呼吸(SDB)を有する患者の治療に適することができる、本明細書において上述した睡眠状態の検出に応答して自動的に調整することができる。他の圧力調整方式を実施することもできる。圧力は、マスク、カニューラ、及び供給管等の患者インターフェース1108を介して患者に送達することができる。
【0194】
この実施形態では、ディスプレイ1120が、睡眠状態検出装置102の筐体の外面に取り付けられる。この実施形態に示されるように、次に、コントローラ104をディスプレイと同じ筐体内に収容することができる。次に、装置のモジュールからの出力を任意選択的に、装置のディスプレイ1120上でユーザ若しくは臨床医に表示し、又はそうでなければ装置のメモリから他の装置、システム、若しくはコンピュータに転送することができる。したがって、次に、コントローラは、任意選択的に、例えば、有線通信ポート(例えば、イーサネット(登録商標)通信カード及び接続)(図示せず)又は無線通信ポート(例えば、ブルートゥース送受信機)(図示せず)を介した、他のコンピュータに基づくシステムとのインターネットを通じた通信を含め、他の外部機器と通信するように構成することもできる。
【0195】
Q.コントローラ構造の例
コントローラ104のシステム構造の例を図12のブロック図に示す。図では、睡眠状態検出装置102は、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ1208を有する汎用コンピュータにより実施することができる。装置は、上述したようなモジュールからのデータ(例えば、睡眠状態、持続時間、睡眠品質インデックス、AHI、漏れ検出データ、及び/又は安定性インデックス等)、本明細書において説明したような結果又はグラフをモニター又はLCDパネル等のディスプレイに出力するディスプレイインターフェース1210を含むこともできる。上述したように、フロー生成器の治療を調整するか、データを入力するか、又は別の形で本明細書において説明される方法論を作動若しくは動作させるために、例えば、キーパッドや、タッチパネルや、制御ボタンや、マウス等のユーザ制御/入力インターフェース1214を含めることもできる。装置は、プログラミング命令、フローデータ、圧力データ、睡眠品質データ、睡眠状態データ、睡眠安定性データ、覚醒データ、及び上述したモジュールの他の出力若しくは入力等のデータを受信/送信するバス等のセンサ又はデータインターフェース1214も含みうる。
【0196】
装置は、上述した方法論及びモジュールの制御命令及びデータを含むメモリ/データ記憶構成要素1220も含む。例えば、1222において、メモリ/データ記憶構成要素1220は、測定及び/又は特徴抽出等のフロー信号処理のための記憶されたプロセッサ制御命令を含みうる。1224において、これらは、本明細書においてより詳細に考察されるフロー制限検出、AHI検出、漏れ検出、覚醒検出、睡眠状態検出、睡眠安定性検出、及び/又は睡眠品質検出のための記憶されたプロセッサ制御命令を含むこともできる。1226において、メモリ/データ記憶構成要素1220は、フィードバック処理及び圧力制御調整等の呼吸治療制御のためのプロセッサ制御命令を含むこともできる。最後に、メモリ/データ記憶構成要素1220は、フローデータ、検出された呼吸特性、乱れデータ、検出された減呼吸及び無呼吸事象(AHI)、睡眠状態、安定性及び覚醒の事象及びインデックス、睡眠期間時間、睡眠品質インデックス、患者特性、リポート、並びにグラフ等のこれらの方法論のための記憶データを1228において含むこともできる。
【0197】
いくつかの実施形態では、上述した方法論を制御するプロセッサ制御命令及びデータは、ソフトウェアが汎用コンピュータにロードされると、汎用コンピュータが本明細書において考察される任意の方法論に従って専用コンピュータとして機能することができるように、汎用コンピュータにより使用されるソフトウェアとしてコンピュータ可読記録媒体内に含みうる。
【0198】
上記説明及び添付図面において、特定の用語、等式、及び図面符号を記載して、本技術の全体的な理解を提供する。いくつかの場合、用語及び符号は、本技術の実施に要求されない特定の詳細を暗示することができる。例えば、検出方法論のプロセスステップは、或る順序で、特に離散したモジュールを参照して図に示されているが、そのような順序及びモジュール化は要求されない。そのような順序を変更することができ、かつ/又はその態様を並列に実行することもできることを当業者は認識するであろう。或るモジュールのいくつかの態様を他のモジュールのいくつかの態様と組み合わせて、本技術の離散した特徴を実施することができることを当業者は認識するであろう。さらに、システム全体を特に図1の実施形態を参照して説明したが、別個の特徴を他の呼吸治療及び/又は監視システムにおいて別個に、又は異なる組み合わせで実施することもできる。さらに、特定の値及び閾値を有する表を示したが、経験的データ及び/又は機械学習から決定することができる他の値を利用することもできることが理解されるであろう。
【0199】
したがって、本明細書における技術を特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態が本技術の原理及び用途の単なる例示であることが理解されよう。したがって、多くの変更を例示的な実施形態に行うことができること、並びに本技術の趣旨及び範囲から逸脱せずに他の構成を考案できることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠状態を検出する方法であって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めるステップと、
ノンレム睡眠状態及びレム睡眠状態を含む潜在的な睡眠状態から、前記求められた呼吸特性に基づく状態を検出するステップと、
前記検出された状態を示すステップと
を含んでなる、プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠状態を検出する方法。
【請求項2】
前記潜在的な睡眠状態は目覚め状態を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レム睡眠状態は軽いレム状態であり、前記潜在的な睡眠状態は深いレム状態を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記複数の呼吸特性からのデータを用いて、各潜在的な睡眠状態間の遷移を表す確率を計算することにより前記検出される状態を求め、前記計算された確率のうちの最も確からしい確率の関数として前記検出される状態を求める、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー位置変動の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローのエリアの測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローのエリア変動の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローから吸気が開始するまでの時間の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の呼吸特性は、最後に確認された呼吸からの時間変動性の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の呼吸特性は、高呼吸頻度期間の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の呼吸特性は、吸気時間変動性の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の呼吸特性は、(a)呼気ピークフロー変動の測定値、(b)呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率の測定値、(c)呼気ピークフロー位置変動の測定値、(d)呼気ピークフローのエリアの測定値、(e)呼気ピークフローのエリア変動の測定値、(f)呼気ピークフローから吸気が開始するまでの時間の測定値、(g)最後に確認された呼吸からの時間変動性の測定値、(h)高呼吸頻度期間の測定値、及び(i)吸気時間変動性の測定値のうちの2つ以上のセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
プロセッサは、前記検出された状態に基づいて呼吸圧力治療計画を更に制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
睡眠状態検出装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを有して、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータにアクセスするコントローラであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求め、
前記求められた呼吸特性に基づいて、ノンレム睡眠状態及びレム睡眠状態を含む潜在的な睡眠状態から状態を検出し、
前記検出された状態を示すように更に構成される、コントローラ
を備える、睡眠状態の検出装置。
【請求項19】
前記潜在的な睡眠状態は、目覚め状態を更に含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項20】
前記レム睡眠状態は軽いレム状態であり、前記潜在的な睡眠状態は深いレム状態を更に含む、請求項19に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記複数の呼吸特性からのデータを用いて、各潜在的な睡眠状態間の遷移を表す確率を計算することにより前記検出される状態を求め、前記計算された確率のうちの最も確からしい確率の関数として前記検出される状態を求める、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項22】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項23】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項24】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項25】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフロー位置変動の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項26】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローのエリアの測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項27】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローのエリア変動の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項28】
前記複数の呼吸特性は、呼気ピークフローから吸気が開始するまでの時間の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項29】
前記複数の呼吸特性は、最後に確認された呼吸からの時間変動性の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項30】
前記複数の呼吸特性は、高呼吸頻度期間の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項31】
前記複数の呼吸特性は、吸気時間変動性の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項32】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフロー変動の測定値を含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項33】
前記複数の呼吸特性は、(a)呼気ピークフロー変動の測定値、(b)呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率の測定値、(c)呼気ピークフロー位置変動の測定値、(d)呼気ピークフローのエリアの測定値、(e)呼気ピークフローのエリア変動の測定値、(f)呼気ピークフローから吸気が開始するまでの時間の測定値、(g)最後に確認された呼吸からの時間変動性の測定値、(h)高呼吸頻度期間の測定値、及び(i)吸気時間変動性の測定値のうちの2つ以上のセットを含む、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項34】
呼吸可能なガスの流れを測定するフローセンサを更に備え、前記コントローラはプロセッサ制御されるフロー生成器を更に備え、該コントローラは、前記検出された状態に基づいて呼吸圧力治療計画を制御するように構成される、請求項18に記載の睡眠状態の検出装置。
【請求項35】
睡眠状態の検出システムであって、
呼吸可能なガスの測定フローを表すデータにアクセスし、呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求める手段と、
前記求められた呼吸特性に基づいて、ノンレム睡眠状態及びレム睡眠状態を含む潜在的な睡眠状態から状態を検出する手段と、
前記検出された状態を示す手段と
を備える、睡眠状態の検出システム。
【請求項36】
呼吸可能なガスの流れを測定する手段を更に備える、請求項35に記載の睡眠状態の検出システム。
【請求項37】
前記検出された状態に基づいて呼吸可能なガスの流れを生成するフロー生成手段を更に備える、請求項36に記載の睡眠状態の検出システム。
【請求項38】
プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する方法であって、該プロセッサの該方法は、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めるステップと、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出するステップと、
前記乱れが非呼吸関連覚醒であるか否かを評価するステップと、
前記検出された乱れが、呼吸機能不全の症状以外の事象に基づく覚醒を表すことを示すステップと
を含む、プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する方法。
【請求項39】
前記評価するステップは、呼吸フロー制限を示す測定値を求めることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記評価するステップは、呼吸フロー制限がないことを検出することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記呼吸フロー制限を示す測定値は、フロー平坦化の検出を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記乱れが非呼吸関連覚醒であるか否かを評価するステップは、睡眠状態の検出に基づく、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記評価するステップは、マスク漏れを検出し、それにより、マスク漏れに起因する覚醒を検出することを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記プロセッサは、前記乱れを示すステップに基づいて呼吸圧力治療計画を制御する、請求項38に記載の方法。
【請求項49】
前記示すステップは、周期的な四肢運動の発生を識別することを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを有して、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータにアクセスするコントローラであって、
前記測定フローを表すデータから複数の呼吸特性を求め、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出し、
前記乱れが呼吸関連覚醒であるか否かを評価し、
前記検出された乱れが、呼吸機能不全の症状以外の事象に基づく覚醒を表すことを示すように更に構成される、コントローラ、
を備える、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する装置。
【請求項51】
前記評価は、呼吸フロー制限を示す測定値を求めることを含む、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記評価は、呼吸フロー制限がないことを検出することを更に含む、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記呼吸フロー制限を示す測定値は、フロー平坦化の検出を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値を含む、請求項50に記載の装置。
【請求項55】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値を含む、請求項50に記載の装置。
【請求項56】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値を含む、請求項50に記載の装置。
【請求項57】
前記複数の呼吸特性は、吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値を含む、請求項50に記載の装置。
【請求項58】
前記乱れが非呼吸関連覚醒であるか否かを評価することは、睡眠状態の検出に基づく、請求項50に記載の装置。
【請求項59】
前記評価することは、マスク漏れを検出し、それにより、マスク漏れによる覚醒が検出されることを更に含む、請求項50に記載の装置。
【請求項60】
フロー生成器と、呼吸可能なガスの流れを測定するフローセンサとを更に備え、前記プロセッサは、前記検出された乱れを示すことに基づいて呼吸圧力治療計画を制御する、請求項50に記載の装置。
【請求項61】
前記コントローラは、周期的な四肢運動の発生を識別することにより前記検出された乱れを示す、請求項50に記載の装置。
【請求項62】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類するシステムであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求める手段と、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出する手段と、
前記乱れが非呼吸関連覚醒であるか否かを評価する手段と、
前記検出される乱れが、呼吸機能不全の症状以外の事象に基づく覚醒を表すことを示す手段と
を備える、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類するシステム。
【請求項63】
前記呼吸フローを測定する手段を更に備える、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記評価する手段の出力に基づいて、呼吸可能なガスの流れを生成するフロー生成手段を更に備える、請求項63に記載のシステム。
【請求項65】
プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠安定性を評価する方法であって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めるステップと、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出するステップと、
前記覚醒状態が睡眠を中断した度合いを示す、前記乱れの程度を求めるステップと、
前記乱れの程度を示すステップと
を含んでなる、プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠安定性を評価する方法。
【請求項66】
前記乱れの程度を求めるステップは、前記乱れに起因する呼吸特性と前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な呼吸特性との比率を計算することを含み、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表す、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記乱れに起因する呼吸特性は、(a)吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値、(b)吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値、(c)吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値、及び(d)吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値、のうちの少なくとも1つを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記乱れの程度を求めるステップは、前記乱れに起因する複数の呼吸特性の分散と、前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な複数の呼吸特性の分散との比率の平均を計算することを含み、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表す、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記乱れの程度及び患者の特性データから自律神経活性化のレベルを求めるステップを更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記自律神経活性化は、心拍変動性のデータ値及びパルス遷移時間のデータ値のうちの少なくとも一方を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記自律神経活性化のレベルを求めることは、心拍変動性の値及びパルス遷移時間の値のうちの少なくとも一方のデータ値を選択することを含み、前記選択することは、前記乱れの程度及び前記患者の特性データが索引付けられたデータ構造にアクセスすることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記患者の特性データは、患者の年齢及び患者の体重のうちの少なくとも一方を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記プロセッサは、前記検出される乱れを示すステップに基づいて呼吸圧力治療計画を制御する、請求項65に記載の方法。
【請求項74】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを有して、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータにアクセスするコントローラであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求め、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出し、
前記覚醒状態が睡眠を中断する程度を示す、前記乱れの程度を求め、
前記乱れの程度を示すように更に構成される、コントローラ
を備える、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類する装置。
【請求項75】
前記乱れの程度を求めることは、前記乱れに起因する呼吸特性と前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な呼吸特性との比率を計算することを含み、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表す、請求項74に記載の装置。
【請求項76】
前記乱れに起因する呼吸特性は、(a)吸気ピークフローの或る割合に達するまでの時間の測定値、(b)吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの測定値、(c)吸気ピークフローの或る割合を超えるエリアの変動の測定値、及び(d)吸気ピークフローの或る割合から呼気ピークフローまでの時間の測定値、のうちの少なくとも1つを含む、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記乱れの程度を求めることは、前記乱れに起因する複数の呼吸特性の分散と、前記乱れが発生する前のフローデータに起因する一般的な複数の呼吸特性の分散との比率の平均を計算することを含み、前記フローデータは複数の呼吸サイクルを表す、請求項74に記載の装置。
【請求項78】
前記乱れの程度及び患者の特性データから自律神経活性化のレベルを求めることを更に含む、請求項74に記載の装置。
【請求項79】
前記自律神経活性化は、心拍変動性のデータ値及びパルス遷移時間のデータ値のうちの少なくとも一方を含む、請求項78に記載の装置。
【請求項80】
前記自律神経活性化のレベルを求めることは、心拍変動性の値及びパルス遷移時間の値のうちの少なくとも一方のデータ値を選択することを含み、前記選択することは、前記乱れの程度及び前記患者の特性データが索引付けられたデータ構造にアクセスすることを含む、請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記患者の特性データは、患者の年齢及び患者の体重のうちの少なくとも一方を含む、請求項80に記載の装置。
【請求項82】
フロー生成器と、呼吸可能なガスの流れを測定するフローセンサとを更に備え、前記プロセッサは、前記検出された乱れを示すことに基づいて呼吸圧力治療計画を制御する、請求項74に記載の装置。
【請求項83】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠覚醒状態を分類するシステムであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求める手段と、
前記複数の呼吸特性から、覚醒状態を示す乱れを検出する手段と、
前記覚醒状態が睡眠を中断した度合いを示す、前記乱れの程度を求める手段と、
前記乱れの程度を示す手段と
を備える、システム。
【請求項84】
前記呼吸フローを測定する手段を更に備える、請求項83に記載のシステム。
【請求項85】
前記求める手段の出力に基づいて、呼吸可能なガスの流れを生成するフロー生成手段を更に備える、請求項84に記載のシステム。
【請求項86】
プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める方法であって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求めるステップと、
実質的に前記複数の呼吸特性に基づいて睡眠状態測定値を求めるステップと、
前記複数の呼吸特性から睡眠安定性測定値を求めるステップと、
前記睡眠状態測定値及び前記安定性測定値から睡眠品質インデックスを求めるステップと、
前記睡眠品質インデックスを示すステップと
を含んでなる、プロセッサを制御して、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める方法。
【請求項87】
前記睡眠品質インデックスは、治療セッション中の睡眠時間と前記睡眠安定性測定値との比率の関数として導出される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記睡眠品質インデックスは、前記治療セッション中の目覚め期間の持続時間の関数として更に導出される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記睡眠状態測定値は、レム状態、ノンレム状態、及び目覚め状態のうちの少なくとも1つ、並びに前記睡眠状態測定値の持続時間の測定値を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記睡眠安定性測定値は、求められる流れの乱れ及び該流れの乱れの前のフローデータの関数として導出される、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記睡眠安定性測定値を求めることは、前記流れの乱れに基づいて睡眠からの覚醒を検出することを更に含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記睡眠品質インデックスは、フロー生成器により供給される治療を設定するフィードバック制御システムにおいて機能する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを有して、呼吸可能なガスの測定フローを表すデータにアクセスするコントローラであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求め、
実質的に前記複数の呼吸特性に基づいて睡眠状態測定値を求め、
前記複数の呼吸特性から睡眠安定性測定値を求め、
前記睡眠状態測定値及び前記安定性測定値から睡眠品質インデックスを求め、
前記睡眠品質インデックスを示すように更に構成される、コントローラ
を備える、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求める装置。
【請求項94】
前記睡眠品質インデックスは、治療セッション中の睡眠時間と前記睡眠安定性測定値との比率の関数として導出される、請求項93に記載の装置。
【請求項95】
前記睡眠品質インデックスは、前記治療セッション中の目覚め期間の持続時間の関数として更に導出される、請求項95に記載の装置。
【請求項96】
前記睡眠状態測定値は、レム状態、ノンレム状態、及び目覚め状態のうちの少なくとも1つ、並びに前記睡眠状態測定値の持続時間の測定値を含む、請求項93に記載の装置。
【請求項97】
前記睡眠安定性測定値は、求められる流れの乱れ及び該流れの乱れの前のフローデータの関数として導出される、請求項93に記載の装置。
【請求項98】
前記睡眠安定性測定値を求めることは、前記流れの乱れに基づいて睡眠からの覚醒を検出することを更に含む、請求項97に記載の装置。
【請求項99】
フロー生成器及びフローセンサを更に備えて、呼吸可能なガスの流れを測定し、前記プロセッサは、前記検出される乱れを示すことに基づいて呼吸圧力治療計画を制御する、請求項93に記載の装置。
【請求項100】
前記睡眠品質インデックスは、フロー生成器により供給される治療を調整するフィードバック制御を実施する、請求項93に記載の装置。
【請求項101】
呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求めるシステムであって、
呼吸フローの測定値から複数の呼吸特性を求める手段と、
実質的に前記複数の呼吸特性に基づいて睡眠状態測定値を求める手段と、
前記複数の呼吸特性から睡眠安定性測定値を求める手段と、
前記睡眠状態測定値及び前記安定性測定値から睡眠品質インデックスを求める手段と、
前記睡眠品質インデックスを示す手段と
を備える、呼吸可能なガスの測定フローから睡眠品質インジケータを求めるシステム。
【請求項102】
前記呼吸フローを測定する手段を更に備える、請求項101に記載のシステム。
【請求項103】
前記求める手段の出力に基づいて呼吸可能なガスの流れを生成するフロー生成手段を更に備える、請求項102に記載のシステム。
【請求項104】
前記睡眠品質インデックスは、フロー生成器により供給される治療を設定するフィードバック制御システムにおいて用いられる、請求項101に記載のシステム。
【請求項105】
周期的な呼吸を検出する方法であって、
呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めるステップと、
前記呼吸特性のセットを閾値処理するステップと、
前記閾値処理に基づいて周期的な呼吸状態を検出するステップと
を含む、周期的な呼吸を検出する方法。
【請求項106】
前記呼吸特性のセットは、吸気フロー曲線のエリアを含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記呼吸特性のセットは、換気の測定値と呼吸時間との比率を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
カウンタの関数として前記周期的な呼吸状態を設定することを更に含む、請求項105に記載の方法。
【請求項109】
前記カウンタは処理された呼吸の数を表す、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
周期的な呼吸を検出する装置であって、
呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めるように構成されたプロセッサを備えており、
前記プロセッサは、前記呼吸特性のセットを閾値処理し、該閾値処理に基づいて周期的な呼吸状態を検出するように更に構成される、周期的な呼吸を検出する装置。
【請求項111】
前記呼吸特性のセットは、吸気フロー曲線のエリアを含む、請求項110に記載の装置。
【請求項112】
前記呼吸特性のセットは、換気の測定値と呼吸時間との比率を含む、請求項110に記載の装置。
【請求項113】
カウンタの関数として前記周期的な呼吸状態を設定することを更に含む、請求項110に記載の装置。
【請求項114】
前記カウンタは処理された呼吸の数を表す、請求項113に記載の装置。
【請求項115】
睡眠の開始を検出する方法であって、
呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めるステップと、
前記呼吸特性のセットを閾値処理するステップと、
前記閾値処理に基づいて、睡眠状態スコアを求めるステップであって、該睡眠状態スコアは睡眠状態を示す、求めるステップと、
前記閾値処理及び前記求められた睡眠状態スコアの関数として睡眠の開始を検出するステップと
を含む、睡眠の開始を検出する方法。
【請求項116】
前記呼吸特性のセットは、求められた呼気ピークフロー位置の関数を含む、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記関数は、(a)前記呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率と、(b)いくつかの呼吸にわたって求められる複数の前記比率の平均との差である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記検出するステップに基づいて、治療セッションの最初の睡眠期間への遷移を表す睡眠開始インデックスを出力するステップを更に含む、請求項115に記載の方法。
【請求項119】
睡眠開始を検出する装置であって、
呼吸フローの測定値から呼吸特性のセットを求めるように構成されたプロセッサを備えており、
前記プロセッサは、前記呼吸特性のセットを閾値処理し、該閾値処理に基づいて睡眠状態スコアを求め、該閾値処理及び該求められた睡眠状態スコアに基づいて睡眠開始状態を検出するように更に構成される、装置。
【請求項120】
前記呼吸特性のセットは、求められた呼気ピークフロー位置の関数を含む、請求項119に記載の装置。
【請求項121】
前記関数は、(a)前記呼気ピークフロー位置と呼気時間との比率と、(b)いくつかの呼吸にわたって求められる複数の前記比率の平均との差である、請求項120に記載の装置。
【請求項122】
前記検出することに基づいて、治療セッションの最初の睡眠期間への遷移を表す睡眠開始インデックスを出力することを更に含む、請求項119に記載の装置。
【請求項123】
呼吸治療装置であって、
患者との境界面に対し大気圧よりも高い圧力で呼吸可能なガスの流れを生成するフロー生成器と、
患者の呼吸に起因する前記呼吸可能なガスの流れを測定するフローセンサと、
前記フロー生成器及び前記フローセンサに結合されたコントローラであって、実質的に前記フローセンサからの流れの測定値からのデータに基づいて複数の睡眠状態のうちの1つを検出するように構成され、該検出された睡眠状態に基づいて呼吸圧力治療計画を制御するように更に構成される、コントローラと
を備える、呼吸治療装置。
【請求項124】
前記呼吸圧力治療計画は、呼気圧力緩和制御を含み、前記コントローラは、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、前記呼気圧力緩和の圧力低減量を低減する、請求項123に記載の装置。
【請求項125】
前記呼吸圧力治療計画は、呼気圧力緩和の制御を含み、前記コントローラは、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが覚醒に起因する状態である場合、前記呼気圧力緩和の圧力低減量を増大させる、請求項123に記載の装置。
【請求項126】
前記呼吸圧力治療計画は、前記流れの測定値のデータから事象を検出することを含み、前記事象は無呼吸及び減呼吸のうちの少なくとも一方を含み、前記事象は、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、スコア付けされる、請求項123に記載の装置。
【請求項127】
検出された事象は、検出された睡眠状態に関連付けて別個に報告される、請求項123に記載の装置。
【請求項128】
前記呼吸圧力治療計画は、治療圧力レベルの自動調整を含み、前記コントローラは、呼吸異常の検出に応答して前記治療圧力レベルを増大させ、睡眠安定性インデックスと閾値との比較に応答して、前記治療圧力レベルを低減させる、請求項123に記載の装置。
【請求項129】
前記呼吸圧力治療計画は、流れの測定値からの心臓性フローの検出を含み、前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つが睡眠に起因する状態である場合、前記心臓性フローの検出は制御される、請求項123に記載の装置。
【請求項130】
前記呼吸圧力治療計画は、心臓性フローの存在の前記検出に基づいて中枢的な無呼吸の検出を含む、請求項129に記載の装置。
【請求項131】
前記複数の睡眠状態のうちの前記検出された1つはノンレム状態である、請求項129に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図23−A】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2012−532703(P2012−532703A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519848(P2012−519848)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000894
【国際公開番号】WO2011/006199
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
【Fターム(参考)】