説明

短い免疫調節性オリゴヌクレオチド

本発明は、免疫系の調節に関する。より具体的には、本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体化合物の使用による免疫系の調節に関する。本発明は、既存の免疫賦活性オリゴヌクレオチドよりも安価な免疫賦活剤を提供する。本発明による免疫賦活剤は、好ましい態様においては、種系統にわたって免疫刺激を引き起こすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、免疫系の調節に関する。より具体的には、本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体化合物(oligonucleotide-derived compound)の使用による免疫系の調節に関する。
【0002】
関連分野の概要
Tokunaga et al, J. Natl. Cancer Inst. 72:955-962 (1984); Messina et al., J. Immunol. 147: 1759-1764 (1991); Krieg et al., Nature 374: 546-549 (1995); Sato et al, Science 273: 352-354 (1996)は、細菌性および合成オリゴデオキシリボヌクレオチド(CpG DNA)中でのある配列状況におけるCpGジヌクレオチドの存在は、脊椎動物の先天性免疫反応であるT細胞およびB細胞を活性化することが知られていることを教示する。
【0003】
Yamamoto et al., Jpn. J. Cancer Res. 79: 866-873 (1988); Halpern et al., Cell Immunol., 167: 72-78 (1996); Klinman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93: 2879-2883 (1996); Zhao et al., Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7: 495-502 (1997)は、CpG DNAによる免疫細胞の活性化が、IFN-γ、IL-12、TNF-αおよびIL-6を含む多くのサイトカインの分泌を引き起こし、表面補助刺激分子の発現を刺激することを教示する。
【0004】
Krieg et al., supra; Yamamoto et al., J. Immunol. 148; 4072-4076 (1992); Tokunaga et al., Microbiol. Immunol. 36: 55-66 (1992); Liang et al., J. Clin. Invest. 98: 1119-1129 (1996); Hartmann et al., J. Immunol. 164: 1617-1624 (2000)は、CpGジヌクレオチドおよびこのジヌクレオチドに隣接する配列の存在が、DNAの免疫賦活性の決定において重要な役割を果たすこと、パリンドロームまたは非パリンドロームヘキサマー配列(P1P2CGP3P4)におけるCpGジヌクレオチドが免疫賦活に必要であること、そしてさらに、PuPuCGPyPyおよびPuTCGモチーフがそれぞれマウスおよびヒト免疫系を最適に活性化することを教示する。
【0005】
これらの発見は、オリゴヌクレオチドが免疫賦活剤として有用であることを立証しているが、かかる使用に関するいくつかの問題がいまだに存在している。例えば、長いオリゴヌクレオチドは作製に高い費用がかかり、そしてフランキング配列の種特異性は、あらゆる特定のオリゴヌクレオチドの利用範囲を制限している。したがって、より安価な免疫賦活剤、そして好ましくは種交差的な有効性を有する免疫賦活剤に対する必要性が存在する。
【0006】
発明の簡単な概要
本発明は、現存する免疫賦活性オリゴヌクレオチドよりも安価に作製できる免疫賦活剤を提供する。本発明による免疫賦活剤は、好ましい態様において、種系統にわたって免疫賦活を惹起することができる。驚くべきことに、本発明者らは、適切なリンカーと一緒に結合している短いオリゴヌクレオチドベースの剤が、安価に作製可能であり、そして多数の種において免疫賦活を引き起こすように設計され得ることを発見した。
【0007】
1番目の側面において、本発明は、イムノマーであって、一緒に結合している2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチド分枝を含み、そして、構造:5’−NnpYpRpNnp3’−Lm−3’NnpRpYpNn−5’;式中、各Nは、独立してヌクレオシド、ヌクレオシド類似体;アラビノヌクレオシドまたは脱塩基(abasic)糖から選択され;各pは、独立して天然または修飾インターヌクレオシド連鎖であり;少なくとも1つのYは、シトシン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキルシトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシド、あるいは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンからなる群から選択され、ここで前記塩基が2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである場合には、これは前記塩基の1位を介してペントースの1’位に共有結合しており;少なくとも1つのRは、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドからなる群から選択され;Lは非ヌクレオチドリンカーであり;各nは、独立して0〜4の数値であり、但し、いずれの分枝も6ヌクレオチドを超えることはなく;mは0〜10の数値であり、そして各Nは、任意にかつ独立に、非ヌクレオチドリンカーと共有結合していてもよい、
を有する、前記イムノマーを提供する。
【0008】
図面の簡単な説明
図1は、BALB/cマウス脾臓細胞培養物の濃度依存的なサイトカイン誘導(A)、ならびにイムノマー1(正方形)、2(円)、3(三角形)および4(逆三角形)の3μg/mLの濃度における、BALB/c(B)、C57BL/6(C)およびCH3/HeJ(D)マウス脾臓細胞培養物において誘導されたIL-6に対するIL-2の比を示す。
図2は、10.0μg/mLのイムノマー濃度でのBALB/cマウス脾臓細胞培養物およびJ774マクロファージ細胞培養物におけるIL-12分泌の誘導により決定された、短いイムノマーにおけるCpGジヌクレオチドの前のヌクレオチドの効果を示す。
【0009】
図3Aは、10.0μg/mLのイムノマーで1時間刺激後のJ774マクロファージにおけるNF-κBの活性化を立証するゲルを示す。レーン1は培地処置コントロール;レーン2はヒト特異的CpG DNA2;レーン3はコントロール非CpG DNA5;レーン4はマウス特異的CpG DNA1;レーン5は0.1μg/mLのLPS;レーン6はイムノマー3;そしてレーン7はイムノマー4である。
図3Bは、イムノマーによる濃度10.0μg/mLで30分間の活性化後のJ774マクロファージにおけるp38リン酸化を示す。レーン1は培地処置コントロール;レーン2はマウス特異的CpG DNA1;レーン3はイムノマー3;レーン4はイムノマー4;レーン5はヒト特異的CpG DNA2;そしてレーン6は0.1μg/mLのLPSである。全p38の含量は、下のパネルに示されている。
【0010】
図4は、短いイムノマーを1.0μg/mLの濃度で72時間処置後の、ヒト抹消血単核細胞(hPBMC)におけるIL-12、IFN-γ、IL-6およびIL-10分泌の誘導を示す。
図5Aは、イムノマーを1.0μg/mLの濃度におけるコンアルブミン感作AKR/Jマウス脾臓細胞培養におけるIL-5(上)およびIFN-γ(下)分泌の誘導を示す。Aは、感作されているがイムノマーにより処置されていないアレルゲン(コンアルブミン)を表す。
図5Bは、MCF-7ヒト乳癌移植片を有するヌードマウスにおけるイムノマー3の抗腫瘍活性を示す。コントロールは、生理食塩水により処置したマウスの群を表す。*は統計的に有意な値を表す(p<0.01)
【0011】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、免疫系の調節に関する。より具体的には、本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体化合物の使用による免疫系の調節に関する。ここで引用されている特許および刊行物は、当業者の知識に反映されており、それによりそれらの全体が参照により組み込まれる。かかる参考文献の教示と本明細書との間に矛盾がある場合には、本明細書が優先する。
【0012】
本発明は、現存する免疫賦活性オリゴヌクレオチドよりも安価に作製できる免疫賦活剤を提供する。本発明による免疫賦活剤は、好ましい態様において、種系統にわたって免疫賦活を惹起することができる。驚くべきことに、本発明者らは、適切なリンカーと一緒に結合している短いオリゴヌクレオチドベースの剤が、安価に作製可能であり、そして多数の種において免疫賦活を引き起こすように設計され得ることを発見した。
【0013】
1番目の側面において、本発明は、イムノマーであって、一緒に結合している2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチド分枝を含み、そして、構造:5’−NnpYpRpNnp3’−Lm−3’NnpRpYpNn−5’;式中、各Nは、独立してヌクレオシド、ヌクレオシド類似体;アラビノヌクレオシドまたは脱塩基(abasic)糖から選択され;各pは、独立して天然または修飾インターヌクレオシド連鎖であり;少なくとも1つのYは、シトシン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキルシトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシド、あるいは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンからなる群から選択され、ここで前記塩基が2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである場合には、これは前記塩基の1位を介してペントースの1’位に共有結合しており;少なくとも1つのRは、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドからなる群から選択され;Lは非ヌクレオチドリンカーであり;各nは、独立して0〜4の数値であり、但し、いずれの分枝も6ヌクレオチドを超えることはなく;mは0〜10の数値であり、そして各Nは、任意にかつ独立に、非ヌクレオチドリンカーと共有結合していてもよい、
を有する、前記イムノマーを提供する。
【0014】
本発明のためには、「非ヌクレオチドリンカー」は、限定なく、約2オングストローム〜約200オングストロームの長さを有するリンカー、C2-C18アルキルリンカー、エチレングリコールリンカー、ポリエチレングリコールリンカー、2−アミノブチル−1,3−プロパンジオールリンカー、および分枝アルキルリンカー、非環式アルキルリンカー、環式アルキルリンカー、アリールまたはヘテロアリールリンカー、複素環式リンカー、ポリアルコールリンカー、ペプチドリンカー、脂質リンカーおよび炭水化物リンカーから選択され、ここでこれらはそれぞれ置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
【0015】
本発明のためには「オリゴヌクレオチド」とは、複数の結合したヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドをいう。前記オリゴヌクレオチドはゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源から得ることができるが、好ましくは合成方法により産生される。好ましい態様においては、各ヌクレオシド単位は複素環塩基および、ペントフラノシル、2'−デオキシペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2'−デオキシ−2'−置換アラビノース、2'−O−置換アラビノースまたは六単糖基を含む。ヌクレオシド残基は多くの知られたインターヌクレオシド結合によって互いに結合され得る。前記インターヌクレオシド結合は限定されることなく、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、アルキルホスホネート、アルキルホスホノチオエート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カーボネート、カルボアルコキシ、アセトアミデート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホネート、架橋ホスホロチオエート、およびスルホンインターヌクレオシド連鎖を含む。
【0016】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた1または2以上の立体特異的インターヌクレオシド連鎖(例えば、(Rp)−または (Sp)−ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、あるいはホスホトリエステル連鎖)を有するポリヌクレオシドをも含む。ここでいう用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は、いずれの前記インターヌクレオシド連鎖を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを明確に意味し、前記連鎖はホスフェート基を含むか含まないかを問わない。ある好ましい態様においては、これらインターヌクレオシド連鎖はホスホジエステル、ホスホロチオエート、あるいはホスホロジチオネート連鎖、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なく、タンパク質基、親油性基、インターカレート剤、ジアミン、葉酸、コレステロール、およびアダマンタンを含む付加的置換基を有するポリヌクレオシドを包含する。用語「オリゴヌクレオチド」はまた、限定なくペプチド核酸(PNA)、ホスフェート基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、モルホリノ骨格オリゴヌクレオチドおよびアルキルリンカーやアミノリンカーをもつ骨格部分を有するオリゴヌクレオチドを含む、ポリマーを包含する他のいかなる核酸塩基をも含む。
【0018】
本発明のオリゴヌクレオチドは、天然に存在するヌクレオシド、修飾ヌクレオシドまたはこれらの混合物を含むことができる。ここでいう用語「修飾ヌクレオシド」とは、修飾複素環塩基、修飾糖部分またはそれらの組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは、ここで述べるような非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。いくつかの態様おいては、修飾ヌクレオシドは2'−置換リボヌクレオシド、アラビノヌクレオシドまたは2'−デオキシ−2'−置換アラビノシドである。
【0019】
本発明のためには、用語「2'−置換リボヌクレオシド」または「2'−置換アラビノシド」は、ペントース部分の2’位におけるヒドロキシル基が置換されて2'−置換または2'−O−置換リボヌクレオシドとなるリボヌクレオシドを含む。好ましくは、そのような置換は、1〜6の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、あるいは、6〜10の炭素原子を有するアリール基によりなされ、そのようなアルキルまたはアリール基は置換されていなくてもよく、あるいは、例えばハロ(halo)、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシロキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルボアルコキシ、またはアミノ基に置換されていてもよい。そのような2'−O−置換リボヌクレオシドまたは2'−O−置換アラビノシドの例は、限定なく2'−O−メチルリボヌクレオシドまたは2'−O−メチルアラビノシドおよび2'−O−メトキシエチルリボヌクレオシドまたは2'−O−メトキシエチルアラビノシドを含む。
【0020】
用語「2'−置換リボヌクレオシド」または「2'−置換アラビノシド」はまた、2'−ヒドロキシル基が1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む低級アルキル基、または、アミノもしくはハロ基により置換されているリボヌクレオシドまたはアラビノヌクレオシドを含む。そのような2'−置換リボヌクレオシドまたは2'−置換アラビノシドの例は、限定なく2'−アミノ、2'−フルオロ、2'−アリル、および2'−プロパルジルリボヌクレオシドまたはアラビノシドを含む。
【0021】
用語「オリゴヌクレオチド 」はハイブリッドまたはキメラオリゴヌクレオチドを含む。「キメラオリゴヌクレオチド」は、1種以上のインターヌクレオシド連鎖を有するオリゴヌクレオチドである。そのようなキメラオリゴヌクレオチドの好ましい例は、ホスホロチオエート、ホスホジエステル、またはホスホロジチオネート部位およびアルキルホスホネートまたはアルキルホスホノチオエート結合などの非イオン結合を含む(例えばPederson et al. U.S. Patent No. 5, 635,377 および5, 366, 878などを参照)。
【0022】
「ハイブリッドオリゴヌクレオチド」は、1種以上のヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドである。そのようなハイブリッドオリゴヌクレオチドの好ましい例は、リボヌクレオチド、または2'−置換リボヌクレオチド部位、およびデオキシリボヌクレオチド部位を含む(例えばMetelevおよびAgrawal、U. S. Patent No. 5,652,355、6,346,614 および 6,143,881を参照)。
【0023】
2番目の側面においては、本発明は、脊椎動物において免疫反応を調節する方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、本発明の1番目の側面によるイムノマーを脊椎動物に投与することを含む。本発明の目的において、用語「脊椎動物」は、限定なく、魚類、鳥類または哺乳動物を含む。ここでいう用語「哺乳動物」は、限定なく、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトを含む。「免疫反応の調節」とは、B細胞誘導、T細胞誘導、サイトカイン誘導、ナチュラルキラー細胞誘導、特異的細胞表面マーカーの発現、ケモカイン誘導ならびに、樹状細胞、単球およびマクロファージなどの抗原提示細胞の活性化のうちの1つまたは2つ以上における増加または減少、あるいは活性化を意味する。
【0024】
3番目の側面においては、本発明は、疾患を有する脊椎動物を処置するための方法を提供する。本発明のこの側面による方法は、本発明の1番目の側面によるイムノマーを脊椎動物に投与することを含む。用語「脊椎動物」は前に述べた通りである。
【0025】
本発明のこの側面による方法において、イムノマーまたはイムノマー複合体の投与は、限定されることなく、非経口、経口、舌下、経皮、局所、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、を含む適切な経路により、また、遺伝子銃や皮膚パッチにより、あるいは、目薬またはうがい薬の形でなされ得る。イムノマーの治療組成物の投与は、疾患の症状または代理マーカーが低減するのに有効な投与量および期間で、既知の方法を用いて行われ得る。全身投与の場合は、治療組成物は好ましくはイムノマーの血中レベルが約0.0001マイクロモル〜約10マイクロモルに達する十分な濃度で投与される。局所投与のためには、これよりもより一層低い濃度で有効であってもよく、より一層高い濃度でも耐容性であり得る。好ましくは、イムノマーの総投与量の範囲は患者1人1日あたり約0.001mgから1日体重あたり200mgまでである。単一の処置として、本発明の治療組成物の1種または2種以上を治療に有効な濃度で、同時にまたは連続的に個体へ投与することが望ましい。
【0026】
下記例は、さらに、本発明のより具体的なある好ましい態様を説明するために提供されるものであって、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0027】
例1
オリゴマーの合成および精製
β−シアノエチルホスホルアミデートを用い、PerSeptive Biosystem's 8990 Expedite DNA synthesizerにおいて製造者の指示にしたがって、1〜2μモルスケールでCpG DNAおよびイムノマーを合成した。dA、dG、dCおよびdTのホスホルアミデートは、PE Biosystems (Foster City, CA)から入手した。C3リンカーホスホルアミデートは、Glen Research Corporation (Sterling, VA)から入手した。イムノマーは、パラレル合成を用いて、ChemGenes (Wilmington, MA)から入手したDiDMT保護グリセリルリンカーを有する固体担体上で合成された。Beaucage試薬(R.I.Chemicals, Orange, CA)を抗酸化剤として用い、ホスホロチオエート部分修飾を得た。イムノマーは、標準的プロトコールを用いて脱保護し、HPLCにより精製し、そして洗浄のためにUSP品質滅菌水に対して透析を行った(Braun, Irving, CA)。
【0028】
イムノマーは、凍結乾燥して蒸留水に再度溶解し、濃度を260nmにおけるUV吸収により決定した。全てのイムノマーについて、純度および分子量をそれぞれCGEおよびMALDI-TOF質量分析(Applied Biosystem's Voyager-DE(登録商標) STR Biospectrometry(登録商標) Workstaion, Foster City, CA)により特徴づけした(表1)。CGEおよび/または変性PAGEにより測定したところ、全長イムノマーの純度は89〜95%の範囲にあり、残りは1または2ヌクレオチド短かった(n−1およびn−2)。Limulus assay(Bio-Whittaker, Walkersville, MD)により測定したところ、全てのCpG DNAは0.075 EU/mL未満のエンドトキシンを含有していた。
【0029】
【表1】

【0030】
a:矢印はCpGジヌクレオチドの5’→3’方向性を示す;XおよびYリンカーの化学構造を下記に示す;
b:イムノマー構造の線図であり、ボックスは配列中におけるCpGジヌクレオチドの位置を表し、直線および波線はそれぞれヌクレオチド配列およびリンカーの位置を表す;c:リンカーを除くイムノマー中の各セグメントの長さ。
【化1】

【0031】
例2
細胞培養条件および試薬
4〜8週齢のBALB/c、C57BL/6またはC3H/HeJマウスからの脾臓細胞を、標準的条件下、RPMI完全培地中で培養した。マウスJ774マクロファージ(American Type Culture Collection, Rockville, MD)を、10%(v/v)FCSおよび抗生物質(100 IU/mLのペニシリンG/ストレプトマイシン)を補充したダルベッコ改変イーグル培地中で培養した。全ての他の培養試薬はMediatech(Gaithersburg, MD)から購入した。
【0032】
例3
新鮮マウス血液およびヒト血液からのPBMCの単離
標準的条件下、Ficoll-Paque密度勾配遠心法(Histopaque-1077, Sigma, St.Louis, MO)により、新鮮に採血されたC57BL/6マウス血液または健常なヒトボランティアの血液から末梢血単核細胞を単離した。
【0033】
例4
マウスにおけるTh2免疫反応の確立
4〜6週齢のAKR/J雄性マウスをJackson Labs(Bar Harbor, Maine)から入手した。マウスに、PBS 100μL中、ImjectAlumアジュバント(Pierce, Rockford, IL)と共に200μgのコンアルブミン(Sigma)を0日、7日に腹腔内注射により投与し、14日および21日には鼻腔内に投与した。マウスは、最後の投与から72時間後にCO2吸入によって犠牲にした。脾臓を摘出し、上記の通り単一細胞懸濁液を調製した。脾臓細胞は、イムノマーを異なる濃度で2時間処置し、その後50μg/mLのコンアルブミンにより処置した。72時間後に上清を回収して、下記のようにELISAによりIL-5およびIFN-γのレベルを測定した。
【0034】
例5
サイトカインELISA
マウス脾臓細胞またはマウスJ774細胞をそれぞれ5×106または1×106細胞/mLで24ウェルディッシュに播種した。TEバッファー(10mM Tris-HCl, pH 7.5, 1mM EDTA)に溶解されたCpG DNAを、細胞培養物に対して最終濃度が0.03、0.1、0.3、1.0、3.0または10.0μg/mLになるように加えた。その後、細胞を37℃で24時間インキュベートし、上清をELISAアッセイのために回収した。各濃度についてトリプリケート(triplicate)で各CpG DNAについて2回または3回ずつ実験を行った。サイトカインの抗体およびスタンダードを含む必要な試薬は、PharMingen(San Jose, CA)から購入した。
【0035】
例6
マウス脾腫アッセイ
雌性BALB/cマウス(4〜6週、19〜21gm)を3匹ずつのマウス群に分けた。CpG DNAを滅菌PBSに溶解し、5 mg/kgの投与量でマウスに皮下投与した(SC)。マウスを犠牲にし、脾臓を回収して重量を測定した。
【0036】
例7
J774細胞核抽出物の調製およびEMSA
CpG DNAを処置したJ774細胞におけるNF-κB活性化を行い、従来のEMSAにより解析した(例えば、Yu et al., Biochem. Biophys. Res. Common. 297:83-90(2002)参照)。
【0037】
例8
J774細胞可溶化物の調製およびウエスタンブロッティング
ウエスタンブロッティングによりリン酸化および全p38MAPキナーゼを検出するために、J774細胞を血清を減少させた培地(0.5%FCS)中で培養し、その後イムノマーにより30分間刺激した。刺激後、細胞を氷冷PBSにより洗い、Cell Signaling Technology(Beverly, MA)により提供されたプロトコールの通り、2%SDSサンプルバッファー中に可溶化した。粗可溶化物を10%ポリアクリルアミドReadyGels(BioRad, Hercules, CA)で分離し、ニトロセルロース膜上にブロットした。膜をリン酸化−p38MAPキナーゼ(Thr 180/Tyr 182)抗体でプローブし、増強化学発光キット(enhanced chemiluminescence kit)(PE Life Science, Boston, MA)を用いて可視化した。次いで、ブロットをストリップし、内在性p38MAPKタンパク質の全体レベルを検出するp38MAPKに対する抗体により再プローブした。全ての抗体はCell Signaling Technologiesから購入した。
【0038】
例9
インビボヌードマウスモデルおよび処置計画
動物の使用および管理プロトコールは、アラバマ大学バーミンガム校の動物の使用および管理施設委員会により承認された。雌性胸腺欠損ヌードマウス(nu/nu、4〜6週齢)をFrederick Cancer Research and Development Center (Federick, MD, USA)から得て、MDF-7細胞を接種した。MCF-7異種移植片(50〜100mg)を有する動物を、ランダムに種々の処置群に分け、0.5mg/kgの用量で短いイムノマー3または生理食塩水(コントロール)を毎週1日目、3日目および5日目に皮下注射により処置した。一般的な臨床観察ならびに体重および腫瘍増殖によりマウスを観察した。腫瘍増殖は、キャリパー(caliper)を用いて、腫瘍の長径および短径を測定することにより記録した。腫瘍質量(g)は、式1/2a×b2、式中、「a」および「b」はそれぞれ長径および短径(cm)である、を用いて算出された。
【0039】
例10
マウス脾臓細胞およびPBMC培養物における短いイムノマーの活性
全てのイムノマーは、BALB/c、C57BL/6およびC3H/HeJマウス脾臓細胞培養物において、典型的な2種のサイトカイン、IL-12およびIL-6の濃度依存的な誘導を示した。予想されたように、マウス特異的配列モチーフを含むCpG DNA1は、一般的にア、ヒト特異的配列モチーフを有するCpG DNA2よりもより優れた活性を示した(表2)。より低い濃度においては、イムノマー3および4は、一般的に、BALB/cマウス細胞において1および2により観察されたサイトカインレベルの中間のサイトカインレベルが誘導された。しかしながら、高い濃度においては、短いイムノマーがマウス特異的‘GACGTT’モチーフを含んでいないにも拘わらず、3および4の活性は1の活性と同じかそれを超えていた。
【0040】
マウス脾臓細胞培養の3系統において3.0μg/mLの濃度で1〜5により誘導されたIL-12およびIL-6のレベルは、表2に示されている。レベルは、マウスの系統により変化し、配列(1vs2)およびCpG DNAの構造に依存している。コントロールイムノマー5はバックグラウンドと同様のサイトカインレベルを産生し、CpGジヌクレオチドの必要性を示している。一般的には、短いイムノマーについては、CpG DNA1および2と比較して、より高いIL-6に対するIL-12の比が観察された(図1B)。LPS非応答性の系統であるC3H/HeJマウス脾臓細胞培養物において得られた結果は、イムノマー活性はTLR4受容体に作用するLPSの汚染によるものでないことを示唆している。
【0041】
前に、我々は、オリゴヌクレオチドにおける複数のCpGジヌクレオチドの存在は、単一コピーにより有意に活性を増加させないことを示した。ここでは、コントロールオリゴ6は、C3リンカーを介して5’→3’結合されたヘプタマー(heptamer)を含むCpGを2コピー含有している。オリゴ6は、C57BL/6マウス脾臓細胞培養アッセイにおいて、それぞれ3.0μg/mLの濃度の1および3により、2833±341および2870±760pg/mLのIL-12、ならびに24276±4740および14256±3304pg/mLのIL-6が誘導されたのに比べ、同じ濃度で501±21pg/mLのIL-12および514±164pg/mLのIL-6を誘導した。これらの結果は、3および4で観察された活性が、CpGジヌクレオチドが2コピー存在することによるものではなく、これらの受容体認識についての最適構造によるものであることを確認している。
【0042】
BALB/cマウス骨髄由来の樹状細胞およびマクロファージ培養物においては、短いイムノマー3は、CpG DNA1と比較して、同様のレベルのIL-12、IFN-γを誘導したが、有意に少ないレベルのIL-6、TNF-αおよび一酸化窒素(NO)を誘導した(データ示さず)。
脾臓細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)とは異なる細胞集団の小集団からなる。細胞集団のこの違いが異なる活性をもたらし得るかどうかを調べるため、我々は、C3H/HeJマウス末梢血からPBMCを単離し、短いイムノマーのIL-12およびIL-6分泌誘導能を試験した。10μg/mLのイムノマー濃度において得られた結果が表2に示されている。イムノマー3および4は、脾臓細胞におけるのと同様のサイトカイン誘導を示した。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
a:培地またはビークル(PBS)コントロール;b:5mg/kgの単回投与量でイムノマーを皮下投与した48時間後に得られた、群あたりの3匹のマウスの平均脾臓重量;c:3.0μg/mLのイムノマー濃度における;d:10.0μg/mLのイムノマー濃度における。NTおよびNDは、それぞれ試験していないおよび検出されないことを示している。
【0046】
例11
脾臓重量または脾腫の増加により決定される、短いイムノマーのインビボ活性
さらに免疫賦活活性を試験するために、イムノマー1〜4を5mg/kgの単回投与量でBALB/cマウスに皮下注射し、マウスの脾臓重量(群あたり3匹)を48時間後に測定した[17,32,33]。1〜4についてそれぞれ、153、138、146および125mg(全て±10mg)の平均重量が観察されたのに対し、PBS処置したコントロールは75±6mgであった。TCGTTGTを2コピー含む6を用いた処置により72時間後に123±7mgとなり、細胞培養においてこの化合物がより低活性であることを要約している。さらにこれらの結果は、インビトロで観察された免疫賦活活性を確認している。
【0047】
例12
免疫賦活活性におけるCGジヌクレオチドの前のヌクレオチドの影響
Yu et al., Bioorg. Med. Chem. 11:459-464(2003)は最近、P1における無塩基デオキシヌクレオシド置換を含むP1P2CGP3P4モチーフの活性が、P2に存在するヌクレオシド(A、C、GまたはT)の性質により影響されることを示した。我々は短いイムノマーにおいてP1を完全に削除したので、P2における異なるヌクレオシドの効果を評価した。各5’末端にTの代わりにA、GまたはCを有する3のアナログを合成した。一般的に、A、GまたはCを有するものは、3と比べてより低いサイトカインの誘導しまたは全くサイトカインを誘導しなかった(BALB/c脾臓細胞培養物およびJ774細胞培養物におけるIL-12の分泌が図2に示されている)。
【0048】
例13
短いイムノマーは、J774細胞培養物においてNF-κBおよびp38MAPキナーゼ経路を活性化する
Stacey et al., J. Immunol. 157:2116-2122(1996)およびYi et al., J. Immunol. 161:4493-4497(1998)は、CpG DNAが、サイトカイン遺伝子の発現に重要な役割を果たすNF-κBおよびp38MAPキナーゼシグナル経路を活性化することを教示する。短いイムノマーが同じメカニズムにより働くかどうかを調べるため、我々は、J774細胞核抽出物におけるNF-κBの活性化について研究した(図3A)。予想されたように、マウス特異的な配列を有するCpG DNA1はNF-κBを活性化し(レーン4)、同様にレーン5においてLPSも活性化した(図3A)。対照的に、ヒト特異的な配列を含むCpG DNA2はNF-κBを活性化せず(レーン2)、マウス特異的なCpG DNA配列に対する受容体の特異性を示唆している。2つの5’到達可能末端およびGTCGTTというヒト特異的モチーフに対する5ヌクレオチド相同性を有する、イムノマー3および4は、1と同程度までNF-κBを活性化し(レーン6および7)、短いイムノマーがマウス受容体により認識されていることを示唆している。
【0049】
さらに、短いイムノマーによるストレスキナーゼ経路の活性化を調べるため、イムノマー処置後のJ774マクロファージにおけるp38MAPキナーゼ活性を調べた(図3B)。処置後30分以内にJ774細胞可溶化物におけるリン酸化産物の存在により示されるように、3および4の両方がストレス活性化経路を活性化し(レーン3および4)、同様に1(レーン2)およびLPS(レーン6)も活性化した。対照的に、ヒト特異的CpGモチーフを含む2は、ストレス活性化経路を活性化しなかった。NF-κBの活性化と一致して、1、3および4は、J774細胞培養物におけるIL-12およびIL-6を誘導したが、2および5は誘導しなかった(データ示さず)。
【0050】
例14
ヒトPBMCにおける免疫反応
さらに、短いイムノマーを、ヒトPBMCを刺激してサイトカインIL-12、IL-6IL-10およびIFN-γを分泌する能力について試験した。1μg/mLの濃度で単一の健常な提供者から得られた代表的なデータを図4に示す。予想されたように、マウス特異的CpG DNA1はヒト特異的な2よりも低いサイトカイン産生を誘導した。短いイムノマー3および4は、ヒト特異的CpG DNA2と同様かまたはそれよりも高いサイトカイン誘導レベルとなった。CpG DNA6は、3および4と同じ数のCpGヌクレオチドを含有しているにも拘わらず、2、3および4よりも低いサイトカイン誘導を示した。これらの結果は、免疫刺激に効果を及ぼすのは、イムノマーの構造であって、CpGモチーフの数ではないことを示している。
【0051】
例15
アレルゲン感作脾臓細胞培養におけるIL-5およびIFN-γ分泌に対する短いイムノマーの効果
アレルギー性気道反応に関連するTh2サイトカインにおける短いイムノマーの処置効果を評価するため、コンアルブミンを処置したAKR/Jマウスから得られた脾臓細胞培養物における分泌されたIL-5およびIFN-γを測定した。イムノマーを処置しない場合には、コンアルブミンにより感作された脾臓細胞は、顕著に高いレベルのIL-5を分泌し、低いレベルのIFN-γを分泌し、Th2タイプの反応が主であることを示唆している(図5)。アレルゲンによりプライムされた脾臓細胞をイムノマーにより処置した場合には、濃度依存的なIL-5分泌の減少とIFN-γ分泌の増加が観察された。図5Aは、10μg/mLのイムノマー濃度におけるIL-5(上図)およびIFN-γ(下図)の分泌レベルを示す。これらのデータは、短いイムノマーはインビトロにおいてTh1タイプのサイトカイン分泌を惹起するだけではなく、強力にTh2反応を抑制し、したがって強力なアジュバントとして有用であることを示唆している。
【0052】
例16
ヒト乳癌MCF-7異種移植片を有するヌードマウスにおける短いイムノマーの抗腫瘍活性
短いイムノマーの潜在的なインビトロ活性が、インビボ抗腫瘍活性として解釈され得るかどうかを調べるため、我々は、野生型p53を発現するMCF-7乳癌異種移植片を有するヌードマウスに週3回、一回あたり0.5mg/kgの用量で短いイムノマー3を皮下投与した。比較的低い用量において、イムノマー3は、24日目には、生理食塩水コントロールと比較してMCF-7腫瘍増殖を51%阻害した(p<0.01)(図5B)。これらの腫瘍研究はさらに、短いイムノマーが、強力な免疫賦活の結果としてインビボで強力な抗腫瘍活性を示すことを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1Aは、イムノマー1(正方形)、2(円)、3(三角形)および4(逆三角形)のBALB/cマウス脾臓細胞培養物における濃度依存的なサイトカイン誘導を示す図である。図1Bは、イムノマー1、2、3および4の3μg/mLの濃度におけるBALB/cマウス脾臓細胞培養物において誘導されたIL-6に対するIL-2の比を示す図である。図1Cは、イムノマー1、2、3および4の3μg/mLの濃度におけるC57BL/6マウス脾臓細胞培養物において誘導されたIL-6に対するIL-2の比を示す図である。図1Dは、イムノマー1、2、3および4の3μg/mLの濃度におけるCH3/HeJマウス脾臓細胞培養物において誘導されたIL-6に対するIL-2の比を示す図である。
【0054】
【図2】BALB/cマウス脾臓細胞培養物およびJ774マクロファージ細胞培養物におけるIL-12分泌の誘導により決定された、短いイムノマーにおけるCpGジヌクレオチドの前のヌクレオチドの効果を示す図である。
【図3】図3Aは、10.0μg/mLのイムノマーで1時間刺激後のJ774マクロファージにおけるNF-κBの活性化を立証するゲルを示す図である。図3Bは、イムノマーによる濃度10.0μg/mLで30分間の活性化後のJ774マクロファージにおけるp38リン酸化を示す図である。
【0055】
【図4】短いイムノマーを1.0μg/mLの濃度で72時間処置後の、ヒト抹消血単核細胞(hPBMC)におけるIL-12、IFN-γ、IL-6およびIL-10分泌の誘導を示す図である。
【図5】図5Aは、イムノマーを1.0μg/mLの濃度におけるコンアルブミン感作AKR/Jマウス脾臓細胞培養におけるIL-5(上)およびIFN-γ(下)分泌の誘導を示す図である。図5Bは、MCF-7ヒト乳癌移植片を有するヌードマウスにおけるイムノマー3の抗腫瘍活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノマーであって、一緒に結合している2つまたは3つ以上のオリゴヌクレオチド分枝を含み、そして、構造:
5’−NnpYpRpNnp3’−Lm−3’NnpRpYpNn−5’;式中、各Nは、独立してヌクレオシド、ヌクレオシド類似体;アラビノヌクレオシドまたは脱塩基糖から選択され;各pは、独立して天然または修飾インターヌクレオシド連鎖であり;少なくとも1つのYは、シトシン、5−ヒドロキシシトシン、N4−アルキルシトシン、4−チオウラシルまたは他の非天然ピリミジンヌクレオシド、あるいは2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンからなる群から選択され、ここで前記塩基が2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンである場合には、これは前記塩基の1位を介してペントースの1’位に共有結合しており;少なくとも1つのRは、グアニン、2−アミノ−6−オキソ−7−デアザプリン、2−アミノ−6−チオプリン、6−オキソプリンまたは他の非天然プリンヌクレオシドからなる群から選択され;Lは非ヌクレオチドリンカーであり;各nは、独立して0〜4の数値であり、但し、いずれの分枝も6ヌクレオチドを超えることはなく;mは0〜10の数値であり、そして各Nは、任意にかつ独立に、非ヌクレオチドリンカーと共有結合していてもよい、
を有する、前記イムノマー。
【請求項2】
請求項1に記載のイムノマーを脊椎動物に投与することを含む、脊椎動物において免疫反応を調節する方法。
【請求項3】
脊椎動物が、魚類、鳥類および哺乳動物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
哺乳動物が、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載のイムノマーを脊椎動物に投与することを含む、疾患を有する脊椎動物を処置する方法。
【請求項6】
脊椎動物が、魚類、鳥類および哺乳動物からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
哺乳動物が、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
処置されるべき疾患が、癌、自己免疫疾患、気道炎症、喘息、アレルギーおよび病原体により惹起される疾患からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ワクチン、アレルゲン、抗原、抗体、モノクローナル抗体、化学療法剤、抗生剤、脂質、DNAワクチン、およびミョウバンなどの他のアジュバントからなる群から選択される剤を投与することをさらに含む、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−531510(P2007−531510A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536535(P2006−536535)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/000789
【国際公開番号】WO2004/071468
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】