説明

短距離通信用の近接検出

ホームネットワークの電子装置(10i、30i、40i、50i、60i)が相互に検出する検知領域(310)を有する方法及びシステムが提供される。この検知領域(310)は、ホームネットワーク(100、300、400、500、600)の部外者の参加を削減する。所定の装置形式に特有の検知領域(110)を可能にするために、代替実施例では、特定の検知領域(110)の大きさ及び形状が、携帯性のような装置特性に依存して作られ得る。また、装置の感度は装置要件を満たすように調整され得る。装置(10i、30i、40i、50i、60i)は、相互に近くに配置されてネットワークを形成し、装置が検知されない場合、例えば装置(10i、30i、40i、50i、60i)がホームネットワーク(100、300、400、500、600)から離れたときに、他のユーザインタフェースの表示及び通信が任意選択で無効になり、他人が装置を見つけることができなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置のホームネットワークの検知領域に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームネットワークの全ての共通の無線(802.11x、Bluetooth)標準は、通信のためにネットワークサービスエリア内で全ての装置を特定する装置発見機構を実装する。典型的には、これらのサービスエリアは〜10メートル(例えばBluetoothの本来の出力クラス(original))から30メートル(例えば802.11a/b/g)まで変化するが、将来的に〜10センチメートル(例えばBluetoothの短い出力クラス(short))から〜100メートル(例えばBluetoothの長い出力クラス(long))までの範囲が予想される。このように、装置はその範囲(受信サービスエリア)内の全ての装置の概要を構築する。都会の環境では、このことは、装置が隣接のもの若しくは通行するものにより認識されること、又は隣接のもの若しくは通行するものから装置を認識することのように、“望ましくない”動作を生じることがある。ユーザにとってのこの“望ましくない”動作は、場合によってはプライバシーの問題(不可視が好ましい一方で他人に可視になる)を意味し、検出装置のサービスエリア内に存在するため、検出装置のユーザインタフェース(UI:user interface)に現れる全ての種類の装置で困惑することを意味する。
【0003】
ほとんどの発見プロトコルは、他人に対して不可視になるモードを提供するが、この問題の一部しか解決しない。この“不可視(invisibility)”はまた、アドホックネットワークで潜在的な候補になるユーザの独自の装置を含む。他の機構は、信頼を受けた装置の“ペアリング(pairing)”を使用する。これは、最初に“ペア”を確立するために必要な1つの装置の“望ましくない”可視性を有する点に留意すべきである。典型的には、この機構は、“可視”になり個人識別番号を入力するために、ユーザ介入を必要とする。ペアの形成は、装置が必ずしもその“ペア”の装置に対する通信範囲内にあることを意味するのではない点に留意すべきである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、通信するための潜在的な装置のキー(例えば装置情報とユーザ情報とのうち少なくとも1つを有する)を発見するために、直接の環境を検知する機能を備えた装置が有効にする装置検知領域のためのシステム及び方法を提供する。本発明の1つの利点は、いつ、どこで、何の装置が通信に選択されるかを、単にこれらの装置を相互の近接に加えることによりユーザが制御するという点である。
【0005】
静止型家庭用電化(CE:Consumer Electronic)製品(例えば、TV、ディスクシステム、ラジオ)及び移動体CE装置(例えば、電話、カメラ、PDA、記憶容器、MP3プレイヤ)から医療システム(例えば、携帯用画面、携帯用ECG)に及ぶアドホックネットワークの一部になり得る如何なるシステムも、本発明のシステム及び方法に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の説明は、限定目的ではなく、例示目的で提供されていることが当業者にわかる。本発明の要旨及び特許請求の範囲内にある多数の変形が存在することを当業者は認識する。既知の機能及び動作の不要な詳細は、本発明をあいまいにしないように、この説明から省略されることがある。
【0007】
この説明において、“ネットワーク”という用語はまた、ピア・ツー・ピア通信をも意味する。
【0008】
図1は、各CE装置に適用される本発明の実施例を使用してネットワーク化される可能性のあるCE装置の代表的な家庭内のセットを示している。図1に示すように、各CE装置は、無線リンクを通じて複数の無線チャネルを介して相互に通信している複数の他のCE装置に結合されている。本発明の主な原理は、各装置に近接したもの(すなわち、10センチメートルのオーダでの検知領域)に各装置の可視性を制限する検知領域機構を提供することである。本発明の好ましい実施例は、10センチメートル以下の固定の検知領域を提供する。
【0009】
しかし、あるCE装置は容易に動かされ(例えば、ハンドヘルドコンピュータ101、ラップトップ102)、あるものは移動しない(例えば、プリンタ104、スキャナ106、テレビ104、FAX105)。従って、代替の好ましい実施例では、CE装置の検知領域は、変更するCE装置の携帯性に従った大きさになる。
【0010】
従って、実質的には、如何なるCE装置も本発明の実施例で変更され得る。全てのCE装置は大きい程度及び小さい程度の携帯性を有するため、好ましい実施例では、携帯性の小さい装置(例えばテレビ104及びプリンタ103)の間で異なる大きさの検知領域が使用され、これらの携帯性の小さいCE装置の家庭内での柔軟な配置が可能になる。好ましい実施例では、各CE装置は、送信出力及び受信感度のうち少なくとも1つを有し、送信出力及び受信感度は、CE装置が参加するネットワーク環境に調整され得るもの又は予め設定されたもののうち1つである。
【0011】
本発明に従って変更された装置は、図2のブロック図に示すアーキテクチャを備えたシステムを有してもよい。各CE装置は、アンテナ201と、トランシーバ202と、検出論理モジュール203と、メモリ204と、記憶装置205とを有してもよい。図2の例示的なシステム200は、説明目的に過ぎない。この説明は、特定のCE装置を説明する際に一般的に使用される用語を参照することがあるが、説明及び概念は、図2に示すものと異なるアーキテクチャを有するシステムを含み、他の処理システムにも同様に当てはまる。
【0012】
動作中に、トランシーバ202は、受信信号及び所望の送信データを対応するデジタルデータに変換するアンテナ201に結合される。検出論理モジュール203による変換された受信信号の処理を通じて、CE装置は、通信する潜在的な他のCE装置のキーを発見するために、その直接の環境を検知する。これらの発見されたキーは検出論理モジュール203によりメモリ204に格納される。記憶装置204は、送信出力レベル及び受信感度のような装置の特定の設定と、標準的なCE装置の形式、機能及び対応する表示アイコンのような他のデータとを格納する。格納されたデータ205への更新は、更新論理モジュール206による適切な制御で、アンテナ201及びトランシーバ202を介して受信される。代替実施例では、検出論理モジュール203は、その予め設定された検知領域内で他のCE装置を検知したか否かに応じて、他のCE装置のユーザインタフェースの使用及び/又は通信を有効及び無効にする。
【0013】
典型的には、“検知領域”はネットワークのサービスエリアよりかなり小さいが(〜10センチメートル)、最大では通信を保証するためにネットワークのサービスエリアに等しくなる。CE装置のキーはこのような検知領域内のみで“可視”になるため、前述のような“望ましくない”動作が回避され得る。従って、ユーザが2つ以上の装置をネットワークに参加させようとする場合、ユーザは相互に近接してこれらの装置を配置し、それによって、これらの装置が無線リンクを介して相互に通信することが可能になる。このように、ユーザは、いつ、どこで、何と装置が通信してもよいかを制御する。
【0014】
代替実施例は、キーが装置情報(例えば、形式、機能)及び/又はユーザ情報(例えば、認証鍵、フィンガープリント情報)を有してもよいように、キーの“豊かさ”の拡張を有する。また、例えば異なる送信出力及び/異なる受信感度を使用することによるサービスエリアの装置間での非対称の検知領域、ネットワークの装置の複数の表現(例えばUIでどのように表されるか)、CE装置がその検知領域内で他の装置を検知した場合にのみ通信を可能にすること、検知領域がどの程度の大きさであるか(例えば10cm)を認識するため、ユーザに有用な意味の制御を提供して通信を無効にすること(不可視になること)を有する。これによって、ユーザが他のものへの可視性を認識する。
【0015】
図3A−Cは、特定のネットワークのサービスエリア(点線のブロックで示す)内の“アドホックネットワークの検知領域”の好ましい実施例を示している。点線の円305は、各装置の“検知領域”を示している。図3Aに示す状態では、装置301、302、303は、検知領域を有しておらず、ネットワークレベルで発見するための既知の機構に頼らなければならない。図3Bに示す状態では、装置301、302、303は“検知領域”を有しているが、範囲外であるため相互に検知しない。従って、それらは認められず、通信しない(しかし、1つのネットワークサービスエリア内に存在するため、ネットワークレベルでの発見を使用してもよい)。図3Cに示す状態では、装置301及び装置302は相互の検知領域に存在するため、認めて通信を開始する。装置303はこの通信に参加しない。装置303は装置301と装置302との間の全ての通信を依然として“受信”してもよい点に留意すべきである。図3B−Cの検知領域は円であるが、装置の検知領域の形状は装置により使用されるアンテナに依存し、検知エリアは形状及び領域を変えてもよいことが当業者にわかる。
【0016】
[代替実施例1]
図4を参照して、Bluetoothアドホックネットワーク400が以下の装置:TV401、カメラ機能付携帯情報端末(PDA)402及び携帯用ハードディスク403を有することを仮定する。これらの装置が相互に10メートルの範囲内にある限り、通信してもよい。“検知領域”を生成するために、タグ(読み取り機)の形式の短距離検知技術が装置に追加される。タグの符号化は、装置が一意に特定され得るように行われる。タグ読み取り機は、相互に短距離(〜10cm)にある場合にのみ、これらのタグを読み取ることができる。PDA402により格納されている写真をTV画面401に表示するために、ユーザはPDA402をTV401の近くに置きさえすればよく、写真がTV401に表示される。同様に、携帯用ハードディスク403は、そのオーディオ/ビデオコンテンツをTV401で表示するために、TV401の近くに置かれてもよい。
【0017】
[代替実施例2]
図5を参照して、802.11ネットワーク500が以下の装置:タグ読み取り機を備えた装置TV501及びそれぞれタグを備えた2つの携帯用MP3プレイヤ502.1、502.2を有することを仮定する。双方のオーディオ装置502.1、502.2がTV501の検知領域内にあるときに、TVのUIはその音楽の全てを組み合わせたプレイリストを自動的に生成する。
【0018】
[代替実施例3]
図6を参照して、Bluetoothアドホックネットワーク600が以下の装置:タグ読み取り機を備えたプリンタ601及びタグを備えたカメラ機能付PDA602を有することを仮定する。電話602をプリンタ601の近くに持っていくことにより、PDA602はプリンタ601を検知する。その結果、電話602は現在‘アクティブ状態’のファイル(例えば選択された写真)を印刷するように提示する。ユーザは単に受け入れ、写真がプリンタ601で印刷される。
【0019】
本発明の好ましい実施例について図示及び説明したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく、様々な変更及び変形が行われてもよく、等価なものがその要素に代用されてもよいことが当業者にわかる。更に、中心の対象を逸脱することなく、本発明の特定の状況及び教示に多数の変更が行われてもよい。従って、本発明は、本発明を実行するために検討されたベストモードとして開示されている特定の実施例に限定されず、本発明は特許請求の範囲内にある全ての実施例を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例が適用されるCE装置の一般的な家庭内のセット
【図2】本発明を実行するために使用され得るハードウェアの例
【図3】本発明の実施例による3つの装置のアドホックネットワークの検知領域
【図4】本発明の実施例に従ってTVに画像を表示するBluetoothネットワーク
【図5】本発明の実施例に従って変更されたIEEE802.11ネットワーク
【図6】本発明の実施例に従って携帯用装置に格納されたファイルを印刷するBluetoothネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に複数の装置の検知領域を実施する方法であって:
サービスエリア内で装置を有するサービスエリアとして前記複数の装置のうち装置の検知エリアを規定し、前記サービスエリアで前記装置は前記複数の装置のうち他の装置に対して可視になるステップと;
他の装置が前記サービスエリア内に存在するか否かに従って、前記他の装置に対する装置の可視性を制限するステップと;
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって:
受信信号のキーの存在に従って他の装置の存在を検出するステップと;
前記装置が送信信号にキーを含めることにより自分を可視にするステップと;
を更に有する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
他の装置が前記検知領域内で検出されたか否かに依存して、前記他の装置のユーザインタフェースの使用及び通信のうち少なくとも1つをそれぞれ有効及び無効にするステップを更に有する方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記規定するステップは、所定の固定の形状及び領域のうち少なくとも1つとして、前記複数の装置のうち各装置の検知領域のサービスエリアを規定するステップを更に有する方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記所定の固定のものは、10cm以下の最大の大きさを有する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記規定するステップは、前記装置の携帯性の特性に従って前記検知領域の領域及び形状を規定するステップを更に有する方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記領域は、前記装置が携帯性の小さいほど領域が大きくなり、携帯性の大きいほど領域が小さくなるように、前記装置の持ち運び携帯性の特性の容易さに反比例するように増加する方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数の装置のうち各装置に送信出力と受信感度とのうち少なくとも1つを提供するステップを更に有する方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記送信出力及び前記受信感度のうち少なくとも1つを設定するステップは、所定の固定値に設定されることを更に有する方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって:
前記複数の装置が参加するネットワーク環境を提供するステップと;
提供されたネットワーク環境に従って前記送信出力と前記受信感度とのうち少なくとも1つを調整するステップと;
を更に有する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって:
前記ネットワーク環境は、Bluetooth shortとBluetooth longとIEEE802.11a/b/gとのうち少なくとも1つである方法。
【請求項12】
複数の装置の間で通信を可能にする方法であって:
前記複数の装置のうち各装置に、請求項1に従って実施された検知領域を提供するステップと;
その他装置の提供された検知領域内に前記複数の装置のうち各装置を配置するステップと;
を有する方法。
【請求項13】
形状及び大きさを有する検知領域を装置に提供するシステムであって:
前記検知領域内で他の装置に信号を送信して他の装置から信号を受信するアンテナに結合されたトランシーバと;
i.前記トランシーバにより受信された信号から前記検知領域内の装置を検出し;
ii.前記検知領域内の他の装置に自分を可視にするために前記トランシーバを介して信号を送信する;
ように構成された検出論理モジュールと;
前記検出論理モジュールに結合され、検出された装置情報を格納するメモリと;
前記検出論理モジュールに結合され、装置特有の設定の永続的な記憶を提供する記憶装置と;
を有するシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記装置特有の設定は、前記検知領域の領域、前記検知領域の形状、前記検知領域の最大の大きさ、送信出力レベル、受信感度、検出用の標準装置形式、その機能、記憶装置に格納されるデータに対応する表示アイコンのうち少なくとも1つを有するシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、
前記検出論理モジュールは、
iii.受信信号のキーの存在に従って装置を検出し;
iv.送信信号にキーを含めることにより、自分を可視にする;
ように更に構成されるシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、
前記検知領域の最大の大きさは、所定の固定値であるシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記所定の固定値は、10cm以下であるシステム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムであって、
前記最大の大きさは、前記装置の携帯性の特性に従って決定されるシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
前記携帯性の特性は、持ち運びの容易さであり、
前記最大の大きさは、前記装置が携帯性の小さいほど前記最大の大きさが大きくなり、携帯性の大きいほど前記最大の大きさが小さくなるように、前記携帯性の特性に反比例するように変化するシステム。
【請求項20】
請求項13に記載のシステムであって、
前記検出論理モジュールは、送信出力と受信感度とのうち少なくとも1つを制御するように更に構成されるシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
前記送信出力と前記受信感度とのうち少なくとも1つは、その制御のために前記検出論理モジュールにより所定の固定値に設定されるシステム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムであって、
前記検出論理モジュールは、前記装置が参加するネットワーク環境に従って前記送信出力と前記受信感度とのうち少なくとも1つを調整するように更に構成されるシステム。
【請求項23】
請求項20に記載のシステムであって、
前記ネットワーク環境は、Bluetooth shortとBluetooth longとIEEE802.11a/b/gとのうち少なくとも1つであるシステム。
【請求項24】
請求項16に記載のシステムであって、
前記検出論理モジュールは、
v.他の装置が前記検出領域内で検出されたか否かに応じて、前記他の装置のユーザインタフェースの使用及び通信のうち少なくとも1つをそれぞれ有効及び無効にする
ように更に構成されるシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−520942(P2007−520942A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548545(P2006−548545)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050120
【国際公開番号】WO2005/069556
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】