説明

石抜き精米機

【課題】糠の排出位置を隣の糠袋に切り替える際に特別な装置が不要であり、しかも、糠袋及び製品用の米袋を付け替える際、袋の付け替え作業に手間を要しない石抜き精米機を提供する。
【解決手段】糠回収装置8は、精米機6で発生する糠を吸引する単一のサイクロン8aと、サイクロン8a下部に設けた排出装置8eと、排出装置8eを、サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋N1,N2直上に移動させる移動機構8h,8i,8kとを備えており、石抜き機7の選別ケース7cの揺り下げ側に設けた精品排出樋7eが、糠回収装置8と隣り合うように設置し、精品排出樋7e下方に設置した精品袋Sが、サイクロン8a下方に設置した複数の糠受袋N1,N2と横一列に並べられる配置構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石抜き精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイン精米施設に用いられる自動精米装置として、例えば、特許文献1に開示されものがある。このものは、精米室を複数回循環して玄米を精米し及び研米する精米装置を備えたもので、循環経路の途中にチャージタンクを設け、精米装置の排出経路側にチャージタンク側又は製品ホッパー側に切換える切替手段を設け、精米及び研米の初期は未精米及び未研米をチャージタンク側に切り替え、初期循環の精米及び研米を一時貯留するよう構成し、精米及び研米終了行程で精米及び研米を精米室に戻す構成としたものである。そして、この自動精米装置では、精米網等から漏下される糠を処理する除糠サイクロン装置が機械室内に設けられ、この機械室のサイクロン下部には、該サイクロンから分離落下される糠を受ける糠受ボックスを配置している。
【0003】
そして、糠受ボックス内へ操作室側から袋受ドアを開いて糠袋の挿入が可能となるよう、仕切壁の一部には糠受ボックスに対向して下端の蝶番の周りに開閉可能な袋受ドアが設けられ、該袋受ドア全面、又は一部が透明材で形成されていて、内部を透視可能に構成し、袋受ドアを手前側に回動させるようハンドルが取り付けられている。この構成により、使用者は操作室側から袋受ドアを開いて糠袋をセットすると、精米が終了すれば、糠を持ち帰ることができるのである。
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、糠受ボックス内へ操作室側から袋受ドアを開いて糠袋の挿入が可能となるよう、仕切壁の一部には糠受ボックスに対向して下端の蝶番の周りに開閉可能な袋受ドアを設ける構成にあっては、新しい糠袋の付け替え作業の際に、いちいち袋受ドアを開放して糠袋を装着した後、袋受ドアを閉鎖してサイクロンの排出部が糠袋直上の適正な位置にあるか否か確認する必要があり、作業が煩わしいといった問題がある。
【0005】
また、複数の糠袋をあらかじめ用意しておき、これに順次糠を袋詰して作業効率を向上させる技術もあるが、そのために、糠の排出位置を隣の糠袋に切り替える切換装置が必要となり、製造コスト高となる問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2005−262102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点にかんがみ、糠の排出位置を隣の糠袋に切り替える際に特別な装置が不要であり、しかも、糠袋及び製品用の米袋を付け替える際、袋の付け替え作業に手間を要しない石抜き精米機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、玄米を搗精する精米機(6)と、搗精された米粒中に混入する異物を選別・除去する石抜き機(7)とを、機体中央で上下に位置するようそれぞれを配設するとともに、該精米機(6)及び石抜き機(7)で構成される機体中央一側部には、前記精米機(6)に玄米を供給する揚穀機(4)を立設する一方、該揚穀機(4)下部の前面壁(4a)側に玄米投入ホッパー(3)を設け、さらに、前記機体中央他側部には、前記精米機(6)で発生した糠を回収する糠回収装置(8)を配設した石抜き精米機であって、前記糠回収装置(8)は、前記精米機(6)で発生する糠を吸引する単一のサイクロン(8a)と、該サイクロン(8a)の下部に設けた排出装置(8e)と、該排出装置(8e)を、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)直上に移動させる移動機構(8h,8i,8K)とを備えており、前記石抜き機(7)は、内部に送風ファンが内装された箱形の機枠(7a)と、該機枠(7a)に対して揺動可能に支持された選別ケース(7c)とを備え、該選別ケース(7c)の揺り下げ側に設けた精品排出樋(7e)が、前記糠回収装置(8)隣り合うように設置し、該精品排出樋(7e)下方に設置した精品袋(S)が、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)と横一列に並べられる配置構成とする、という技術的手段を講じた。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、玄米を搗精する精米機(6)及び搗精された米粒中に混入する異物を選別・除去する石抜き機(7)が機体中央で上下に位置するように配設され、機体中央一側部には、前記精米機(6)に玄米を供給する揚穀機(4)を立設する一方、該揚穀機(4)下部の前面壁(4a)側に玄米投入ホッパー(3)を設け、さらに、前記機体中央他側部には、前記精米機(6)で発生した糠を回収する糠回収装置(8)を配設してあるから、精米機(6)及び石抜き機(7)を別々に設置するよりも省スペースとなり、しかも、精米機(6)を石抜き機7よりも上方に設けてあり、該精米機(6)から排出された米粒を玄米投入ホッパー(3)側へ流下させて循環搗精を行うか、又は次工程の石抜き機(7)に流下させて異物の選別・除去を行うかの選択が可能となる。
【0010】
そして、前記糠回収装置(8)は、排出装置(8e)を、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)直上に移動させる移動機構(8h)を備え、前記石抜き機(7)の選別ケース(7c)の揺り下げ側に設けた精品排出樋(7e)が、前記糠回収装置(8)隣り合うように設置され、該精品排出樋(7e)下方に設置した精品袋(S)が、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)と横一列に並べられる配置構成としてあるから、排出装置(8e)を隣の糠受袋(N2)に切り替える際には、作業者が移動機構(8h)を手で持って手動で摺動させることにより移動可能であり、特別な駆動装置が不要で製造コストも安価となる。また、糠回収装置(8)側に各袋(N1,N2,S)が横一列に並べられた配置構成であり、糠受袋(N1,N2)及び精品袋(S)の付け替え作業の際は、作業者の負担が最小限で済み、手間を要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る石抜き精米機を示す斜視図であり、図2は同石抜き精米機を別の方向から見たときの斜視図であり、図3は同石抜き精米機の糠回収装置を示す斜視図であり、図4は同石抜き精米機からカバーを取り去ったときの玄米投入ホッパー、精米機及び石抜き機等の配管を示す概略図であり、図5は同石抜き精米機の内部構造を示す縦断面図であり、図6は石抜き機からカバーを取り去ったときの斜視図である。
【0012】
図1乃至図6において、石抜き精米機本体1は、台部2bをヒンジ部2aによって回動させて折り畳み可能に形成した玄米袋の載置台2と、玄米を受け入れるための角錐状の玄米投入ホッパー3と、玄米投入ホッパー3底部に設けられた投入口(図示せず)を開口させるシャッター3aと、該シャッター3aの開放により玄米投入ホッパー3内の玄米を揚穀する揚穀機4と、揚穀された玄米を一時待機させる貯留タンク5と、貯留タンク5から供給される玄米を、精白米又は無洗米に精白する精米機6と、精白された精白米中又は無洗米中に混在する石、ガラス等の異物を選別・除去する石抜き機7と、前記精米機6で発生する糠粉をサイクロンコレクターに吸引させ、該サイクロンコレクターの下部に設けたロータリーバルブから糠を排出する構成の糠回収装置8とを備えている。
【0013】
上記構成の石抜き精米機1本体の配置構成を述べると、前記精米機6及び石抜き機7が、機体中央で上下に位置するようそれぞれ配設されるとともに、該精米機6及び石抜き機7で構成される機体中央一側部には、前記揚穀機4を立設する一方、該揚穀機4下部の前面壁4a側に玄米投入ホッパー3が設けられ、さらに、前記機体中央他側部に前記糠回収装置8を配設している。これにより、精米機6及び石抜き機7を別々に設置するよりも省スペースとなり、しかも、精米機6が石抜き機7よりも上方に設けてあり、該精米機6から排出された米粒を玄米投入ホッパー3側へ流下させて循環搗精を行うか、又は次工程の石抜き機7に流下させて異物の選別・除去を行うかの選択が可能となる。
【0014】
また、本実施形態の石抜き精米機1は、コインタイマー等(図示せず)を電気的に接続してコインの投入により揚穀機4、精米機6、石抜き機7、及び糠回収装置8の各モータが所定時間駆動されるように構成し、利用者が玄米を持ち込んで各自で精米を行う無人精米施設に適用することもできる。
【0015】
図示するように、精米機6には、その上方に揚穀機4により揚穀された玄米を一時待機させる貯留タンク5が載置される一方、精米機6の前面壁6aには(図4乃至図6参照)、精白室内の調圧ダイヤル9、穀粒供給シャッター10用のレバー10a、操作パネル11及び精品排出樋12が設けられている。この精品排出樋12には、把手13aの回動により、搗精処理済みの米粒を二方向に切り替え可能な二方向切換弁13を内装するとともに、石抜き機7側へ案内する石抜き機投入樋14と玄米ホッパー3側へ案内する玄米戻し樋15とを分岐して配設しており、精米初期及び精米終期には二方向切換弁13を玄米戻し樋15側に切り替えておき、米粒を玄米投入ホッパー3へ還元させて循環搗精を行うと、精米初期及び精米終期に生じるムラ搗きを防止することができる。
【0016】
図4及び図6に示すように、石抜き機7は、内部に送風ファンが内装された箱形の機枠7aと、該機枠7aに対して揺動可能に支持された多孔選別板7bからなる選別ケース7cとから主要部が構成され、石抜き機7の揺り上げ側が玄米投入ホッパー3側へ、揺り下げ側が糠回収装置8側へそれぞれ向くように架台7hにより載置固定されている。そして、機枠7aの揺り上げ側に石屑を排出する石抜き樋7dが、揺り下げ側に精品を排出する精品排出樋7eがそれぞれ設けられている。さらに、該精品排出樋7e下方に設置した精品袋Sは、前記糠回収装置8下方に設置した複数の糠受袋N1,N2と横一列に並べられる配置構成としてある。符号7fは石抜き樋7dからの石屑や選別ケース7c上に溜まった残留米を回収するための石・残留米回収箱であり、符号7gは選別ケース7cの多孔選別板を通過した砕米を回収するための砕米回収箱である。なお、符号Sは精品を袋詰めするための紙袋であり、符号Nは除糠サイクロン8aからの糠を袋詰めするための紙袋であり、図6の符号43は石抜き機7の全体を覆うカバーである。
【0017】
図5は石抜き精米機の内部構造を示すため、図4のA−A’を破断した縦断面図である。精米機6は、図5に示すように、貯留タンク5と連通するホッパー16と、前記穀粒供給シャッター10下方に設けられた供給路17と、送穀室18と、送穀ロール19と、精白室20と、精白ロール21とを備えており、ホッパー16に供給された玄米が送穀室18へ供給され、この送穀室18内の玄米を送穀室18内の送穀ロール19によって精白室20へと移送し、この精白室20の排出口33をバネ34の付勢力によって押圧する抵抗蓋35、及び精白室20内で回転する精白ロール21によって玄米を攪拌しながら搗精圧力をかけて糠層を除去する構成である。精白ロール21の表面には、精白筒20内の長手方向において、前記送穀ロール19による穀粒の移送とは逆方向に移送する精米突条22が形成される(図5に示す精白ロール21の例では、送穀ロール19のリード角とは逆方向であり、リード角を約22.5°〜30°に形成した突条としている。)。
【0018】
前記供給路17内には、該供給路17内の流路幅を調整する流量調整シャッター23が設けられており、ホッパー16に供給された玄米を一定流量で安定的に送穀室18へ供給することができる。前記送穀室18は、横軸24と同軸上の円筒25によって構成されている。
【0019】
前記精白室20は、多孔板又は網体によって形成される多孔壁除糠筒26によって構成され、該多孔壁除糠筒26の一端を円筒25のフランジ25aにより固定し、他端は排出口を形成するフランジ33aにより固定する。そして、前記精白ロール21及び送穀ロール19は、主軸24に軸装されており、その軸端部に軸着した回転プーリ27と、回転用モータ28に軸着したモータプーリ29との間に巻回されたベルト30によって、主軸24が毎分1800回以上の回転数で回転するように構成されている。符号31はテンションプーリである。なお、前記主軸24を中空状するとともに、精白ロール21の突条22に沿って穿孔した噴風溝32を設け、主軸24から噴風溝32を介して精白室20内に除糠用の噴風を送給する構成としてもよい。
【0020】
前記精白室20の排出口33は、バネ34の付勢力によって押圧する抵抗蓋35を設ける。該抵抗蓋35には、機壁の外方に延びる連結棒36が連結され、該連結棒36の中間部には前記バネ34が嵌装され、前記調圧ダイヤル9の回転に伴って連結棒36が左右に摺動してバネ34の付勢力の強弱が調整できる構成となっている。符号45は精品排出用の傾斜シュートである。また、貯留タンク5には揚穀機4から供給される穀粒の供給用開口部40が穿設されるとともに、貯留タンク5からのオーバーフロー用開口部44が穿設され、該開口部44には、オーバーフロー樋41を接続して満量になった米粒を玄米投入ホッパー3に還元することができる構成となっている。
【0021】
符号37は除糠室38を形成する集糠樋であり、集糠管39を介して図4に示す除糠サイクロン8aの糠吸入口8bに連絡している。また、図4に示す除糠サイクロン8aは、該サイクロン8a下流の排気管8c側に吸引排風機8dを設け、サイクロン8a下部にロータリーバルブ8eを設けた構成である。吸引排風機8dとしては、精白室20での吸引静圧が約500Pa(5×10−3気圧)以上となる大型の吸引ファンを採用するのが好ましい。これにより、精白室20においては、米粒表面の糠切れの向上及び米粒の温度上昇抑制の効果があり、糠回収装置8においては、排風機8d内への糠の付着防止や、ロータリーバルブ8eによる間欠的な糠排出による糠の飛散防止の効果がある。符号8fはバルブモータであり、符号8gは糠排出樋である。また、除糠サイクロン8aは、図2、図3及び図4に示すように、支点8iを支点とするサイクロンベース8kに支持されており、さらに、該サイクロンベース8kには、カバー8jから突出する回動レバー8hが設けられおり、該レバー8hを摺動することにより、除糠サイクロン8aが支点8iを中心に回動させ、ロータリーバルブ8e下方の糠排出樋8gを第一糠受袋N1直上又は第二糠受袋N2直上に移動可能な構成となっている。これにより、特別な駆動装置が不要で製造コストも安価となる。また、糠受袋N1,N2及び精品袋Sの付け替え作業の際は、糠回収装置8側に各袋N1,N2,Sが横一列に並べられた配置構成であり、作業者が移動する負担が最小限で済み、手間を要しない。
【0022】
なお、糠回収装置8には、図7に示すように、サイクロン8a下方に設置した複数の糠受袋N1,N2を覆う密閉ボックス42を設けることも可能である。これにより、糠受袋N1,N2で糠を回収する際の糠粉の舞い上がりを防止することができる。符号46は一部を透明材で形成したドアであり、符号47はドア46を閉鎖してロックするための尾錠金具(バックル)である。
【0023】
以下、上記構成における作用を説明する。石抜き精米機の利用者が原料となる玄米を玄米投入ホッパー3内に投入するとともに、あらかじめ玄米戻し樋15側に二方向切換弁13を切換え、調圧ダイヤル9を「0」にセットしておく。次いで、精米に必要な所定金額を図示しないコインタイマーに投入すると、操作パネル11が操作可能となり、この状態で運転スイッチをオンすると石抜き精米機1の各駆動部が所定時間駆動することになる。これにより、玄米投入ホッパー3内の玄米は揚穀機4により揚穀され、貯留タンク5を介して下方の精米機6に供給される。精米機6では、穀粒供給シャッター10のノブ10aを引いてシャッター10を開き、前記調圧ダイヤル9を所望の位置にセットし直す。玄米は、供給路17であらかじめ調整した流量調整シャッター22よって一定流量で安定的に送穀室18へ供給されることになる。
【0024】
送穀室18へ供給された玄米は、送穀ロール19の回転作用によって精白室20に送り込まれ、この精白室20の排出口28を押圧する抵抗蓋37、及び精白室20内で回転する精白ロール21によって玄米を攪拌しながら搗精圧力をかけて糠層を除去し、精米が行われる。精白室20内で回転する精白ロール21は、毎分1800回以上の回転数で回転され、かつ、精白ロールの表面は、穀粒の移送方向とは逆方向に移送する精米突条22が形成され、しかも、精白室20での吸引静圧が500Pa以上に維持されているから、精白ロール21の高速回転により精米の高効率化を実現するとともに、逆方向にねじった精米突条22により米粒を精米室20の中間部に押し戻そうとする作用が生じ、これにより、高速回転による米粒どうしが高速で擦れ合って滑るという発熱ロスを防止し得て、さらには、精白室20での吸引静圧が高いことにより、米粒表面の糠切れ促進及び米粒の温度上昇の抑制が可能となる。
【0025】
以上の作用により、玄米は多孔壁除糠筒26にこすりつけられたり、精米突条22により米粒を押し戻して搗精されたりすることで糠層が除去されるとともに、米粒表面の溝部に詰まった微細な糠粉等も同時に吸引除去される。そして、排出口33及び精品排出樋12から取り出された米粒は、該米粒を水とともに攪拌して得られる洗米水の濁度が40ppm以下という基準の無洗米に仕上がっている。一方、精米室20で除去された糠は、除糠室38から集糠管37を介して除糠サイクロン8aに集糠された後、除糠サイクロン8a下部のロータリーバルブ8eを介して紙袋Nに回収されることになる。
【0026】
洗米水の濁度とは、水と共に試料米を攪拌して得られる洗米水の濁度の測定値であり、一例をあげると、精米試料20gを三角フラスコに入れ、200mlの水を注ぎ、ゴム栓をして振とう器(ヤマト科学(株)製 形式SA−31A等)により10分間振とう(144〜150サイクル/分)する。得た洗米水50mlを10倍に希釈して濁度計(野田通信社製 型式M−204等)で3回測定する。その平均値が濁度である。
【0027】
精米機6における搗精初期は精白室20内の圧力が低いためムラ搗きになりやすく、二方向切換弁13、玄米戻し樋15、玄米投入ホッパー3、揚穀機4、貯留タンク5を介して精米機6に返還され、再搗精されることになる。そして、例えば搗精開始から約20秒を経過して、利用者が目視により所望の白度(又は濁度)に達したと判断すれば、二方向切換弁13を石抜き機投入樋14側に切換えて石抜き作業が開始される。
【0028】
石抜き選別機7においては、精米機6から排出された白米又は無洗米とこれらに混入する石屑との混合粒は、石抜き機7の選別ケース7b上に供給され、白米は精品排出樋7eから排出されて紙袋Sに袋詰めされるとともに、石屑は揺り上げ側に寄せられて石抜き樋7cから排出されることになる。また、選別ケース7b上に溜まった残留米は石・残留米回収箱7eに、選別ケース7bの多孔選別板を通過した砕米は砕米回収箱7fにそれぞれ回収されることになる。
【0029】
以上のように精米処理および無洗米加工処理が行われるのであるが、本発明の石抜き精米機1では、精米工程を一回通すことで砕粒が発生するおそれはほとんどなく、簡便に無洗米を製造することができる。しかも、載置台2と、玄米投入ホッパー3と、揚穀機4と、貯留タンク5と、精米機6と、石抜き機7と、除糠装置8とがコンパクトに一体化しており、スーパーや百貨店などの米の販売店舗であっても小さいスペースで設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る石抜き精米機を示す斜視図である
【図2】同石抜き精米機を別の方向から見たときの斜視図である。
【図3】同石抜き精米機の糠回収装置を示す斜視図である。
【図4】同石抜き精米機からカバーを取り去ったときの玄米投入ホッパー、精米機及び石抜き機等の配管を示す概略図である。
【図5】同石抜き精米機の内部構造を示す縦断面図である。
【図6】石抜き機からカバーを取り去ったときの斜視図である。
【図7】石抜き精米機の糠回収装置下方に設置した密閉ボックスを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 石抜き精米機本体
2 載置台
3 玄米投入ホッパー
4 揚穀機
5 貯留タンク
6 精米機
7 石抜き機
8 糠回収装置
9 調圧ダイヤル
10 穀粒供給シャッター
11 操作パネル
12 精品排出樋
13 二方向切換弁
14 石抜き機投入樋
15 玄米戻し樋
16 ホッパー
17 供給路
18 送穀室
19 送穀ロール
20 精白室
21 精白ロール
22 精米突条
23 流量調整シャッター
24 横軸
25 円筒
26 多孔壁除糠筒
27 回転プーリ
28 回転用モータ
29 モータプーリ
30 ベルト
31 テンションプーリ
32 噴風溝
33 排出口
34 バネ
35 抵抗蓋
36 連結棒
37 集糠樋
38 除糠室
39 集糠管
40 供給用開口部
41 オーバーフロー樋
42 密閉ボックス
43 カバー
44 オーバーフロー用開口部
45 傾斜シュート
46 ドア
47 尾錠金具(バックル)
48 揚穀機用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米を搗精する精米機(6)と、搗精された米粒中に混入する異物を選別・除去する石抜き機(7)とを、機体中央で上下に位置するようそれぞれを配設するとともに、該精米機(6)及び石抜き機(7)で構成される機体中央一側部には、前記精米機(6)に玄米を供給する揚穀機(4)を立設する一方、該揚穀機(4)下部の前面壁(4a)側に玄米投入ホッパー(3)を設け、さらに、前記機体中央他側部には、前記精米機(6)で発生した糠を回収する糠回収装置(8)を配設した石抜き精米機であって、
前記糠回収装置(8)は、前記精米機(6)で発生する糠を吸引する単一のサイクロン(8a)と、該サイクロン(8a)の下部に設けた排出装置(8e)と、該排出装置(8e)を、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)直上に移動させる移動機構(8h,8i,8k)とを備えており、
前記石抜き機(7)は、内部に送風ファンが内装された箱形の機枠(7a)と、該機枠(7a)に対して揺動可能に支持された選別ケース(7c)とを備え、該選別ケース(7c)の揺り下げ側に設けた精品排出樋(7e)が、前記糠回収装置(8)と隣り合うように設置し、
該精品排出樋(7e)下方に設置した精品袋(S)が、前記サイクロン(8a)下方に設置した複数の糠受袋(N1,N2)と横一列に並べられる配置構成としたことを特徴とする石抜き精米機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate