説明

石油製品の貯蔵・輸送装置

本発明の石油製品の貯蔵・輸送装置は、缶体外壁(1)、取付け口(3)、ブロック用蓋板(5)、給油管(6)、排油管(7)、点検口(13)および呼吸口(10)を含む。外壁(1)の内側には、取付け口(3)または給油管(6)、排油管(7)に固定される膜(2)が設けられ、当該膜(2)の残り部分は、タンクの外壁(1)と離間するようになっている。給油管(6)、排油管(7)は、缶体頂部または底部に設けられ、給油管(6)、排油管(7)の両方ともバルブ(15)および急速継手(22)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧、常圧条件下における石油製品の貯蔵および輸送装置に関し、石油製品の貯蔵および輸送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、石油製品の輸送、貯蔵および使用として、パイプライン輸送、タンク車輸送、タンカローリー輸送、油槽船輸送、タンクファームまたはガソリンスタンドでの貯蔵タンクによる貯蔵、設備の油箱(oil box)による貯蔵などの方法が挙げられる。そのうち、タンクファームでは、石油製品の貯蔵にフローティングルーフ(floating roof)技術を利用することで、90%以上の呼吸損失を減少している。一方、そのほかの方法は、いずれも大・小呼吸(breathing)現象が発生するので、石油製品の蒸発損失、品質劣化および環境汚染を引き起こすため、火災や爆発などの潜在的な危険性がある。
以下、ガソリンを例にして説明する。
【0003】
中国石油化工集団公司環境保護局編制の「石油製品販売業界のガソリンガス排出制御標準」によれば、ガソリンは、タンク車による輸送、タンクファームまたはガソリンスタンドでの貯蔵タンクによる貯蔵などの段階で約1%の損耗が発生する。また、中国では、毎年5000万トン以上のガソリンを消耗使用するが、その中で、50万トンを超えるガソリンが損耗されている。現在、ガソリン価格は既に7000元/トンを超えており、損失額は35億元も超える。しかし、これは、設備(自動車など)の油箱の損耗を考慮していない場合の損耗に過ぎない。
【0004】
さらに、ガソリンスタンドはほとんど都市周辺にあるし、油蒸気により環境が汚染されるが、1単位分の油蒸気によりその体積の2000倍程度の空気が汚染され、5000万トンのガソリンは輸送販売中、少なくとも自体体積の5倍の油蒸気を形成し、その体積は約3.4億平方メートルとなり、汚染される空気は6800億平方メートルもある。なお、油蒸気は、紫外線照射で空気中の有害ガスと化学反応を発生し、毒性の強い二次汚染物を形成して、人間の健康を危害し、オゾン層を破壊する(北京は、オリンピック開催前に全てのガソリンスタンドに対して回収改良を行った)。また、油蒸気は火災や爆発を発生する危険性を増やす。火災および爆発事故は、生態環境に対しより大きい破壊性を有している。
また、空気中の水蒸気は呼吸に伴って油タンク中に混入され、温度が下がるとタンク内で凝縮水になって、石油製品の品質を影響する。
なお、ガソリンの他にも、揮発性の高い石油製品として、溶媒油、ナフサ、航空燃油、軽油および原油などがあり、このため、毎年発生する蒸発損耗もより多くなり、環境に対する汚染がもっと大きくなる。
【0005】
一部のタンク車、ガソリンスタンドおよびタンクファームにおいて、吸収、凝縮、吸着または膜分離の技術を用いて回収したとしても、回収には大きな投資が必要し、またエネルギー消耗も発生し、回収も不完全である。タンクファームにある回収装置の価格は1台あたり500〜1500万人民元にも達し、ガソリンスタンドにある回収装置の価格も1台あたり30〜100万元に達する。中国の台湾および大陸で使っている設備の運行からみると、故障率が高く、運行のメンテナンス費用が高いので経済的ではない。また、大抵の油蒸気は最終的に燃焼処理されるが、空気が混合された油蒸気は輸送中に高危険性を有している。このため、油蒸気の発生源から抑えるのが基本となり、これによって、少ないコストで優れた効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の石油製品の貯蔵・輸送中で発生する、タンクファームまたはガソリンスタンドの油タンク、タンク車、タンカローリーおよび設備の油箱など装置の呼吸損失、およびこれによる環境保護、安全性、品質などの問題を克服するために、本発明は、膜が設けられた石油製品の貯蔵・輸送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る石油製品の貯蔵・輸送装置は、缶体外壁1、取付け口3、ブロック用蓋板5、給油管6、排油管7、点検口13および呼吸口10を備え、外壁1の内側には、取付け口3または給油管6、排油管7の配置位置に固定される膜2が設けられ、当該膜2の残り部分は、缶体外壁1と離間するようになっており、給油管6、排油管7は、缶体の頂部または底部に設けられ、両方にもバルブ15および急速継手22が設けられている。膜2により構成された貯油チャンバー12は、石油製品を密閉して貯蔵し、膜2の大部分は呼吸作用に伴って波打ちを発生する。
【0008】
微視的にみると、蒸発とは、液体分子が液面から離れる現象である。液体分子は、一部の分子が大量の運動エネルギーを持つように、不規則な運動において相互衝突し、この運動エネルギーが、液面から飛び出すときの液体分子間の引力を克服するエネルギーより大きい場合は、液面から離脱できて蒸気になる。
【0009】
可撓性膜で液面を覆うと、液体分子の脱出路が遮断され、膜により油と空気とが隔離されるため、呼吸作用が膜外で発生され、油蒸気が空気中に入ることを避ける。これにより、貯蔵・輸送の安全性を向上させ、火災や爆発の危険性を減少することができ、酸化または水の混入による油の品質に影響を与えることを避け、また、可撓性構造は、衝突の抵抗などの外力への対応に有利である。
【0010】
タンク車、ガソリンスタンドにおける油タンクおよび自動車の油箱に本発明を適用すると、密閉式貯蔵・輸送が実現でき、油と空気との直接呼吸を避け、都市の油蒸気による汚染を消去し、安全性を向上させる。
【0011】
油蒸気、空気、発火物は油タンク火災を引き起こす三つの要因であるため、油を膜で完全に覆って空気と隔離することで、火災発生の危険性を減少し、油タンク車、油槽または油箱などの安全性を向上させることができる。
【0012】
また、貯油時、可撓性膜を油面に覆うことで、呼吸作用が膜外で発生し、これにより、油蒸気と空気との直接呼吸を避けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下のような効果を奏する。
油蒸気と空気との直接呼吸を避け、環境を保護する。
タンクファームの輸送環境を改善し、作業員の健康が保護できる。
呼吸損失を避け、エネルギーを節約する。
【0014】
油と空気とを隔離して、安全性を向上させる。
蒸留による損失を避け、油の品質を確保する。
油と空気との接触を遮断して、酸化による油の品質への影響を避ける。
空気中の凝縮水または雨水の混入による油の品質への影響を避ける。
【0015】
接着防止能力の強い薄膜を選ぶことで、沈殿物の付着を効率的に減少し、洗浄しやすい。
防腐食性に優れた薄膜を選ぶことで、点検作業を減少し、点検によるリスクを低減する。
油タンクに多層構造の膜を用いることで、一つのタンクに多種の油を収容することができ、且つ容積調整を可能にし、輸送効率を向上させる。
衝突抵抗力を増強し、可撓性膜を用いることで、タンクに損傷があった場合に油の漏れを避けることができる。
【0016】
油蒸気回収の改善および底部における油保存の改善に対する投資を減少することができる。
本発明は、通常の油タンク、タンク車、設備の油箱などに適用でき、ほとんどの油蒸気汚染を消去することができ、浮き屋根式タンクの盤沈下事故を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の全体構造を示す図である。
【図2】図2は、本発明の膜の多層構造を示す図である。
【図3】図3は、本発明の複合膜の構造を示す図である。
【図4】図4は、本発明においてボルトで膜を取付け口に固定した場合の構造を示す図である。
【図5】図5は、本発明においてボルトで膜を給油管/排油管のフランジに固定した場合の構造を示す図である。
【図6】図6は、本発明において接着剤で膜を固定した場合の構造を示す図である。
【図7】図7は、本発明においてボルトで膜を固定した場合の構造を示す図である。
【図8】図8は、本発明においてボルトと接着剤とによって膜を固定した構造を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態(油タンク一)を示す構造図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態(油タンク二)を示す構造図である。
【図11】図11は、本発明の第3の実施形態(水平型貯油タンク)を示す構造図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施形態(設備の油箱一)を示す構造図である。
【図13】図13は、本発明の第5の実施形態(設備の油箱二)を示す構造図である。
【図14】図14は、本発明の第4の実施形態(設備の油箱に配した給油ノズル)を示す構造図である。
【図15】図15は、本発明の第6の実施形態(膜の被覆で内部浮き屋根を取替したタンク)構造の一例を示す構造図である。
【図16】図16は、本発明の第7の実施形態(膜の被覆で内部浮き屋根を取替したタンク)構造の一例を示す構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面および実施形態に基づいて、本発明をより詳しく説明する。
【0019】
第1の実施形態
図9に示すように、油タンク一(膜は底部および頂部に固定されている)は、缶体外壁1、取付け口3、ブロック用蓋板5、給油管6、排油管7、点検口13および呼吸口10を備え、給油管6は缶体頂部に配置され、排油管7は缶体底部に配置されており、外壁1の内側には膜2が設けられ、外壁1と膜2との間には保温層16が設けられ、保温層16は外壁1に密接されており、また、膜2は、上部の取付け口3と底部排油管7のフランジ35が配置されている箇所に固定され、膜2の残り部分は保温層16と離間した状態で設けられており、給油管6および排油管7は、いずれにもバルブ15および急速継手22設けられている。
【0020】
膜2は、正常な使用範囲において柔軟で耐折性を持ち、相応する油および油中の不純物に対して耐腐食性があり、正常な使用温度に耐え、燃焼しにくく、通気もせず、帯電防止(導電)性を持っている。フッ素プラスチック、ポリウレタン、ニトリルブタジエンゴム、エチレンビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、シリコーンゴムなどの耐油材料を用い、改質(グラファイトまたはカーボンブラックを用いて導電性を増加)することで、上記要求を満足し、或いは、その他の材料(例えば、ポリエチレンなど)と共に複合膜を構成する。複合膜は、図3に示すように、内層37、中間層38、外層39から構成され、複合膜の内層37は、耐油性および耐異物性を持つ帯電防止(導電)層であり、中間層38はガスバリア層であり、外層39は耐摩耗性、難燃性、防水性をもつ抗酸化抗紫外線層である。なお、この複合膜は、3層、5層、7層または9層構造を有してもよいし、例えばフッ素プラスチック薄膜のような、上記性能を有する単層膜から構成されてもよい。膜材料は、貯蔵物の種類によって選ばれる。
【0021】
貯蔵物が非塩化物、エーテル類の物質である場合には、改質したフッ素プラスチック薄膜またはガラス繊維布など、改質したフッ素塗料をディッピングして製作したワニスクロスを用いることができ、貯蔵物が水を含まない油製品である場合には、エチレンビニル共重合樹脂、改質したポリウレタン、ニトリルブタジエンゴム、改質したナイロンなどを内層に用い、エチレンビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデンを中間層であるガスバリア層に用い、カーボンブラックを添加した改質のポリエチレンを、耐摩耗性、難燃性、防水性をもっている、外層である抗酸化抗紫外線層に用いることができる。
【0022】
缶体外壁1は金属材料またはプラスチックから構成され、帯電防止(導電)機能を有している。
取付け口3および排油管7において、膜2の固定は、図4、図5に示すように、ボルトまたは接着剤による固定方式を用いてもよいし、ボルトと接着剤とを共に用いた固定方式を用いてもよい。
【0023】
図6に示すように、接着剤による固定方式を用いた場合には、膜2を、導電接着剤36で取付け口3および排油管7の周りの外壁1に固着し、導電接着剤36を、膜2の内層37(帯電防止層)および外壁1の帯電防止層と接続し、これにより帯電を消去する。
【0024】
図7に示すように、ボルトによる固定方式を用いた場合は、ボルト32、導電パッド33を用いて固定し、これによって、静電が導出される。
図8に示すように、ボルトと接着剤とによる固定方式を用いた場合には、ボルト32、導電パッド33および導電接着剤36を同時に用いて固定し、これにより静電を導出する。
【0025】
また、図4に示すように、取付け口3での固定方式として、ボルトによる固定方式を用いた場合は、膜2を、ボルト32、導電パッド33によって取付け口3に固定し、導電パッド33は、単層または二層構造を有し、静電が導出されるように、膜2の内層37(帯電防止層)および外壁1の帯電防止層と接続している。
【0026】
また、図5に示すように、排油管7のフランジ35での固定方式として、ボルトによる固定方式を用いた場合は、膜2を、ボルト32、導電パッド33によって排油管7のフランジ35に固定し、導電パッド33は、単層または二層構造を有し、静電が導出されるように、膜2の内層37(帯電防止層)および外壁1の帯電防止層と接続している。
【0027】
膜2で構成された貯油チャンバー12の容積が外壁1の容積以上である場合、貯油チャンバー12が完全に空になった状態から安全容量まで注入された状態までの間で、膜2が受けられる力が小さくなるように、膜2が受けられる力を外壁1に十分伝達することができる。
【0028】
油がタンクの急速継手22とバルブ15を通じて給油管6、フランジ35から膜2の内部に流入されて、貯油チャンバー12に貯蔵された場合、膜2は、徐々に膨張されて保温層16に密着され、受けられる力を外壁1に伝達し、膜2と保温層16との間に存在する空気は、呼吸口10により排出される。
【0029】
油が膜2の内部からフランジ35、バルブ15、排油管7を通じて排出される場合、膜2は徐々に縮減され、空気が呼吸口10から保温層16と膜2との間に入る。
給油管6と排油管7は、いずれにもバルブ15とタンクの急速継手22に設けられているので、密閉的な排油または給油が実現できる。貯蔵中、膜2は常に油面を覆っているので、油の揮発を防止し、油の密閉した貯蔵、輸送を行うことができる。
【0030】
油の温度が、一部の油製品の蒸留沸点を超える場合、沸騰による油蒸気は、安全な圧力条件下で膜2の内部に収容貯蔵され、膜2および外壁1の組合せは、最高温度環境下の飽和蒸気圧に対応でき、これによって、気液が平衡状態に達し、温度が下がるときに飽和蒸気を再凝結して液体状態にする。
【0031】
頂部における取付け口3には安全バルブ11が設けられて、圧力が高すぎる場合に低沸点蒸留による油蒸気を排出して、圧力を下げる。ここで、排出される油蒸気には空気が混合されていないため、処理がより安全で便利となる。
【0032】
また、保温層16を設けて、タンクに対する太陽光および気温の温度影響を減少し、地域の太陽光、気温に応じて、および石油製品への要求によって、保温が必要ない場合は、保温層16を設けなくてもよい。
【0033】
例えば、中国で、貯蔵倉庫が地下にある場合、表在層の地温が20℃以下であるため、輸送中の保温を強化して、油温度が沸点に達することを効率的に避けることができる。
【0034】
多種の石油製品(例えば、異なる規格番号のガソリン、軽油)を同時に輸送するとき、1両のタンク車に複数の取付け口3、膜2および給油管6、排油管7を設置して、複数種類の油製品を輸送することができる。なお、容積は需要によって調整することができる。
【0035】
保温層16(保温層16を設けない場合は外壁1)と膜2との間に漏れ検知センサー14を設けて、膜2に漏れがあるか否かを検出することができる。
貯油チャンバー12の内部に液位センサー34を設けて、液位を検出し、貯蔵物の体積を計量し、油の過注入を避けることができる。
【0036】
また、タンク頂部に点検口13を設けて、点検の他に、アンロード時において、作業員がタンクの内部に入って油を完全に排出することができる。さらに、油を注入時に、給油状況が把握でき、油の過注入を避けることができる。
【0037】
第2の実施形態
図10に示すように、油タンク二(膜は底部に固定されている)は、タンクの外壁1、給油管6、タンクの底部に設けられた給・排油管6(給油管6と排油管7との結合体)、呼吸口10を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、外壁1と膜2との間には保温層16が設けられ、保温層16は外壁1に密接されている。また、膜2は、給・排油管6のフランジ35に固定され、膜2の残り部分は保温層16と離間した状態で設けられており、給・排油管6には、バルブ15および急速継手22設けられている。
【0038】
取付け口3は、安全バルブ11、浮標17、ホース18および排出管19から構成された安全排出機構に接続され、圧力が高すぎる場合に、低沸点蒸留による油蒸気を排出して、圧力を下げる。なお、浮標17は、油蒸気が発生時、常に安全バルブ11を液面上に浮かせる。排出される油蒸気には空気が混合されていないため、処理をより安全で便利に行うことができる。
【0039】
膜2の給・排油管6での固定方式は、上記第1の実施形態における、膜2を排油管7に固定する方式と同じであるため、ここでは説明を省略する。
この以外の構造は第1の実施形態とほぼ同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
新製造の油タンクにおいて、点検口13を給・排油管6に設置し、給・排油管6のフランジ35に設置することができ、点検口13を開くと、膜2全体を取り出して点検することができる。この場合でも呼吸口10は頂部に位置しているので、呼吸に有利となる。
【0041】
第3の実施形態
図11に示すように、水平型貯油タンクは、タンクの外壁1、取付け口3、ブロック用蓋板5、給油管6、排油管7、点検口13および呼吸口10を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、膜2は、取付け口3に固定され、膜2の残り部分は外壁1と離間した状態で設けられており、給油管6および排油管7は、いずれにもバルブ15および急速継手22が設けられている。
【0042】
排油管7の下部には排油ポンプ8と排油ポンプカバー9が設置されており、ここで、排油ポンプ8はタンク外に設置されてよい。
なお、外壁1は、金属材料またはプラスチックにより構成され、帯電防止(導電)機能を有している。
必要によって、上記第1の実施形態のように、保温層16を設けることも可能である。
【0043】
膜2の取付け口3での固定方式は、上記第1の実施形態における、膜2を取付け口3に固定する方式と同じであるため、ここでは説明を省略する。
上述した以外の構成は第1の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0044】
第4の実施形態
図12に示すように、油箱一(排油ポンプは油箱の内部に設置されている)は、油箱の外壁1、給油管6、排油管7、呼吸口10、油箱給油管20、油箱頂部点検蓋板23(取付け口3に相当する)を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、膜2は、油箱底部に配置された排油ポンプ8の底部、排油管7および排油ポンプカバー9および排油口24と油箱と接触位置、油箱頂部における油箱給油管20の周囲、油箱頂部点検蓋板23の膜固定部の4ヵ所で固定されており、膜2の残り部分は保温層16と離間した状態で設けられている。油箱給油管20には、チャッキバルブ21、安全バルブ11、油箱急速継手22が設けられており、油箱底部には排油ポンプ8、排油ポンプカバー9、排油口24が設けられている。
【0045】
排油ポンプ8の底部および油箱頂部点検蓋板23の膜固定部の4ヵ所において、膜2の固定はボルトによる固定方式を用い、油箱頂部に配置されている油箱給油管20の周囲の膜固定部の4ヵ所において、膜2の固定は粘着固定方式を用いる。詳しくは、第1の実施形態の対応する内容を参照すればいい。
【0046】
なお、膜2の材料として、第1の実施形態を参照すればいい。
油箱への給油に合わせるためには、図14に示すように、現在の給油ノズルの構造を改良し、元の給油口を給油ノズルの急速継手26に改造し、排気管を通気口27に改造することができる。
【0047】
給油時、装置の油箱は、給油ノズルの急速継手26および油箱の急速継手22を介して給油ノズル25と接続し、給油ノズルの通気口27は呼吸口10を介して油箱の外壁1の内部まで挿入されている。なお、設定値による給油が可能であるため、油箱の安全容量まで注入できるように自動制御することが可能であり、油箱内の油が安全容量に達した場合には、膜により給油ノズルの通気口27を封止して、給油を停止すればいい。
【0048】
油が油箱急速継手22からチャッキバルブ21を介して油箱の膜2の内部に注入された場合、膜2は膨張し、膜2と外壁1との間にあるガスは呼吸口10から排出され、油が排油管7を経由して排出した場合、膜2は徐々に縮小し、呼吸口10から空気が膜2と外壁1との間に入る。なお、油面は常に膜2により覆われているため、揮発が防止できる。
【0049】
また、排油ポンプカバー9を設けることで、膜2による排油ポンプ8、給油管6への詰まりを避け、且つ、排油ポンプ8を油中に浸漬させて温度を下げる。なお、排油ポンプカバー9は、格子状である。
【0050】
排油口24から排油した後、油箱頂部点検蓋板23を開いて排油ポンプ8を点検することができる。
油箱の圧力が高すぎる場合は、安全バルブ11を開いて圧力を下げればいい。
【0051】
設備(自動車)にトラブルが発生したとき、油箱に切れ目が発生したとしても、膜により油の漏れを防止することができ、車両が発火し燃焼、爆発することを避けることができる。
【0052】
第5の実施形態
図13に示すように、油箱二(排油ポンプは油箱の外部に設置されている)は、油箱の外壁1、給油管6、排油管7、呼吸口10、油箱給油管20を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、膜2は、油箱下部に配置された給油管6および油箱頂部に配置された油箱給油管20の周囲の膜固定部の4ヵ所で固定され、且つ膜2の残り部分は外壁1と離間した状態で設けられている。油箱給油管20には、チャッキバルブ21、安全バルブ11、油箱急速継手22が設けられ、排油ポンプ8は油箱の外部に設けられており、なお、点検口13、点検バルブ40も設けられている。
【0053】
点検バルブ40を閉じた後は、点検口13を通じて排油ポンプ8の点検が行われる。
【0054】
給油管6および油箱給油管20の周囲の膜固定部の4ヵ所において、膜2の固定は粘着固定方式を用いる。詳しくは、第1の実施形態の対応する内容を参照すればいい。
上述した以外の構成は第4の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
第6の実施形態
図15に示すように、膜の被覆で内部浮き屋根を取替したタンクは、タンクの外壁1、給油管6、排油管7を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、膜2によりタンクの外壁1の上半部が覆われており、膜2は外壁1の中下部の膜固定部の4ヵ所に固定され、且つ膜2の残り部分は外壁1と離間した状態で設けられている。また、給油管6および排油管7は、いずれにもバルブ15および急速継手22が設けられている。さらに、タンクの底部には排汚管29が設けられ、タンクの底部の縁部には点検口13が設けられている。膜2は油面に完全に覆われており、膜2の外部の空気は呼吸口10を介して呼吸に参与して、油と空気とが隔離される。
【0056】
膜固定部の4ヵ所において、膜2と外壁1との固定は、粘着固定方式とボルトによる固定方式をともに用いている。詳しくは、第1の実施形態の対応する内容を参照すればいい。
なお、膜2の材料として、第1の実施形態を参照すればいい。
【0057】
貯油チャンバー12が大きいときは、図2に示すように、膜を3〜5層の多層構造に形成し、膜2の間に隔室28を形成し、隔室28に漏れ検知センサー14を設置することで、安定性および隔位置検出を向上ささせ、点検が便利となる。石油製品の熱遮断が必要な場合は、隔室28内に柔軟性のある発泡材(例えばポリウレタン)と不活性ガス(例えば窒素)とを充填し、必要ではない場合は、隔室28を真空状態とすればよい。
【0058】
タンクの内部には、安全バルブ11、浮標17、ホース18および排出管19から構成された安全排出機構が設置され、圧力が高すぎる場合に、低沸点蒸留による油蒸気を排出する。なお、浮標17は、油蒸気が発生時、常に安全バルブ11を液面上に浮かせる。排出される油蒸気には空気が混合されていないため、燃焼処理がより安全で便利となる。
【0059】
給油管6および排油管7は、いずれにもバルブ15および急速継手22設けられているので、密閉的な排油または給油が実現できる。貯蔵中、膜2は常に油面を覆っているので、油の揮発を防止することができる。これにより、密閉的に油の貯蔵、輸送を実現する。
排汚管29は油中の汚水を排出するために用いられるが、貯蔵された油に汚水がないときには、排汚管29を設けなくてもよい。
【0060】
第7の実施形態
図16に示すように、膜の被覆で外部浮き屋根を取替したタンクは、タンクの外壁1、給油管6、排油管7を備え、外壁1の内側には膜2が設けられ、膜2によりタンクの外壁1の縦壁および底部の隅角部にある膜固定部の4ヵ所に固定され、且つ膜2の残り部分は外壁1と離間した状態で設けられている。また、給油管6および排油管7は、いずれにもバルブ15および急速継手22設けられている。さらに、タンクの底部には排汚管29が設けられ、タンクの底部の縁部には点検口13が設けられている。膜2は油面に完全に覆われており、膜2の外部の空気は呼吸口10を介して呼吸に参与して、油と空気とが隔離される。
【0061】
なお、タンクの底部の縁部に採雨管30および排水口31を設けたので、膜2の外部に落とされた雨水を排出することができる。ここで、採雨管は、穴が形成されているスクリーン管である。
上述した以外の構成は第6の実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0062】
本発明の石油製品の貯蔵・輸送装置は、低圧、常圧条件下の油製品の他に、メタノール、エタノールのような他の貯蔵物に適用でき、または、低圧、常圧条件下の貯蔵に適宜な液体状態の化学製品にも適用できる。もちろん、水の輸送にも適用できる。
【0063】
以上のように、図面および具体的な実施形態によって本発明を詳しく説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の範囲内で種々の変更は、
【符号の説明】
【0064】
1 外壁
2 膜
3 取付け口
4 膜固定部
5 ブロック用蓋板
6 給油管
7 排油管
8 排油ポンプ
9 排油ポンプカバー
10 呼吸口
11 安全バルブ
12 貯油チャンバー
13 点検口
14 漏れ検知センサー
15 バルブ
16 保温層
17 浮標
18 ホース
19 排出管
20 油箱給油管
21 チャッキバルブ
22 急速継手
23 油箱頂部点検蓋板
24 排油口
25 給油ノズル
26 給油ノズルの急速継手
27 給油ノズルの通気口
28 隔室
29 排汚管
30 採雨管
31 排水口
32 ボルト
33 導電パッド
34 液位センサー
35 フランジ
36 導電接着剤
37 内層
38 中間層
39 外層
40 点検バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体外壁(1)、取付け口(3)、ブロック用蓋板(5)、給油管(6)、排油管(7)、点検口(13)および呼吸口(10)を備える石油製品の貯蔵・輸送装置であって、外壁(1)の内側には、取付け口(3)または給油管(6)、排油管(7)の配置位置に固定される膜(2)が設けられ、当該膜(2)の残り部分は、缶体外壁(1)と離間するようになっており、給油管(6)、排油管(7)は、缶体頂部または底部に設けられ、給油管(6)、排油管(7)の両方ともバルブ(15)および急速継手(22)が設けられていることを特徴とする石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項2】
上記膜(2)は、フッ素プラスチック、ポリウレタン、エチレンビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、シリコーンゴム、ナイロンまたはニトリルブタジエンゴムで構成された可撓性複合膜であり、当該複合膜において、内層(37)は耐油性および耐異物性を持つ帯電防止層であり、中間層(38)はガスバリア層であり、外層(39)は耐摩耗性、難燃性、防水性をもつ抗酸化抗紫外線層であることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項3】
上記膜(2)は多層構造を有し、層間の空間には隔壁が設けられ、その空間を複数の隔室(28)に区画し、各々の隔室(28)の内部には、漏れ検知センサー(14)が設けられ、隔室(28)内には発砲剤および不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項4】
上記膜(2)は、取付け口(3)の配置位置において、ボルト(32)によりブロック用蓋板(5)を介して導電パッド(33)に固定され、または、導電接着剤(36)により固定され、または、両方の組合せを介して固定されており、膜(2)は、給油管(6)および排油管(7)の配置位置において、ボルト(32)によりフランジ(35)を介して導電パッド(33)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項5】
上記導電パッド(33)、導電接着剤(36)は、膜(2)の内層(37)および外壁(1)の帯電防止層に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項6】
上記外壁(1)には膜固定部(4)が設けられており、膜(2)の対応する部位は、ボルト(32)、導電パッド(33)、導電接着剤(36)および膜固定部(4)により固着されていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項7】
上記給油管(6)、排油管(7)が缶体頂部に設けられている場合、取付け口(3)に安全バルブ(11)が設けられ、上記給油管(6)、排油管(7)が缶体底部に設けられている場合、膜(2)内に安全バルブ(11)が設けられるようになっており、安全バルブ(11)には浮標(17)が設けられ、且つホース(18)および排出管(19)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項8】
上記外壁(1)と膜(2)との間には、保温層(16)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項9】
上記保温層(16)と膜(2)との間には漏れ検知センサー(14)が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。
【請求項10】
上記膜(2)の内部には液位センサー(34)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の石油製品の貯蔵・輸送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2012−500160(P2012−500160A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522370(P2011−522370)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【国際出願番号】PCT/CN2009/073036
【国際公開番号】WO2010/017744
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511039625)深▲せん▼市特爾環保貯運技術有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN TANER ENVIROMENTAL STORAGE AND TRANSPORATION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1707J, Baolicheng Garden Office Building, Chuangye North Road, Nanyou Avenue, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong, 518054 (CN)
【Fターム(参考)】