説明

研削砥石および研削砥石の製造方法

【課題】 研削材の形態制御が容易で、研削材を基材に固着するための結合剤が不要な、工具寿命が長い研削砥石を提供する。
【解決手段】 合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができるとともに、研削材間の空間に切り粉を取り込むチップポケットを有する構造となるため、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。さらに、研削剤を直接固着する基材は従来の結合剤に比べて熱伝導率が高い金属からなるため、砥石および被研削物の熱的損傷を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械加工に用いる研削砥石に関するものであり、特に研削材を基材に埋設した研削砥石に関する。
【背景技術】
【0002】
研削砥石は、研削材となる砥粒を用いて被加工体表面の精密仕上げを行う機械加工用の工具の1つであり、主に砥粒や結合材などから構成される。砥粒は必要に応じた硬度を有する材料からなる粒であり、結合材は砥粒同士を結合するか、砥粒を基材に保持する材料である。
【0003】
この砥粒と結合材の組合せによって研削砥石の構成を変えることができる。たとえば、砥粒同士を結合材により結合して構成した研削砥石や、砥粒を結合材により基材上に保持して構成した研削砥石などが知られている。
【0004】
砥粒同士を結合材により結合して構成した研削砥石として、結合材を用いて切り粉保持機能,自生発刃機能および冷却機能を有する砥粒同士を結合した研削砥石などが提案されている(例えば、特許文献1)。この研削砥石によれば、切り粉保持機能を有することにより、研削時に発生した切り粉を一時的に砥粒内に留めることができる。また、自生発刃機能を有することにより、工具寿命を長くすることができる。さらに、冷却機能を有することにより、研削時に生じる研削熱を低くすることができる。
【0005】
一方、砥粒を結合材により基材上に保持して構成した研削砥石として、結合材を用いて基材上に自生発刃機能を有する超硬粒子を保持した研削砥石などが提案されている(例えば、特許文献2)。この研削砥石によれば、自生発刃機能を有することにより、工具寿命を長くすることができる。
【0006】
しかしながら、いずれの研削砥石においても、切り粉保持機能,自生発刃機能または冷却機能などの機能を有する砥粒を形成するには、粉砕や焼成などを行うだけでなく、必要に応じた添加剤を用いる必要がある。また、砥粒は結合材を用いて結合または保持する必要がある。さらに、より精密な研削を行うために必要となる粒径が極めて小さい砥粒を形成することや、粒径が極めて小さい砥粒を結合または保持し続けることは困難である。したがって、より精密な研削砥石において、目詰まりを防ぐように砥粒の形態を簡単に制御し、工具寿命が長い研削砥石を形成するのが困難であった。
【0007】
精密な研削砥石において、砥粒の形態制御を比較的簡単に行い、工具寿命を長くするためには、砥粒としてナノサイズで棒状の構造体(ナノロッド)などを用いればよいはずである。ナノロッドを形成する方法として、基材表面上にナノロッドを形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3)。
【特許文献1】特開2002−346934号公報
【特許文献2】特開平6−15571号公報
【特許文献3】特表2006−508888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術において、研削材となる砥粒同士を結合材により結合して構成した研削砥石として、結合材を用いて切り粉保持機能,自生発刃機能および冷却機能を有する砥粒同士を結合した研削砥石によれば、切り粉保持機能を有することにより、研削時に発生した切り粉を一時的に砥粒内に留めることができる。また、自生発刃機能を有することにより、工具寿命を長くすることができる。さらに、冷却機能を有することにより、研削時に生じる研削熱を低くすることができる。
【0009】
一方、研削材となる砥粒を結合材により基材上に保持して構成した研削砥石として、結合材を用いて基材上に自生発刃機能を有する超硬粒子を保持した研削砥石によれば、自生発刃機能を有することにより、工具寿命を長くすることができる。
【0010】
しかしながら、いずれの研削砥石においても、切り粉保持機能,自生発刃機能または冷却機能などの機能を有する砥石を形成するには,気孔の導入が不可欠であった。さらに、より精密な研削を行うために必要となる粒径が極めて小さい砥粒が必要であるが、粒径が極めて小さい砥粒を結合または保持することは困難である。また、極めて微細な砥粒からなる砥石は、同時に切り粉の逃げ場所になる空間(チップポケット)が小さいため,切り粉が被研削物にダメージを与えることが避けられなかった。したがって、より精密な研削砥石において、目詰まりを防ぐように砥粒の形態を簡単に制御し、工具寿命が長い研削砥石を形成するのが困難であった。
【0011】
精密な研削砥石において、砥粒の形態制御が比較的簡単に行え、工具寿命を長くする可能性があるナノロッドを形成する方法は、基材表面上にナノロッドを蒸着することによって形成する方法である。
【0012】
しかしながら、文献中に記載されているナノロッドの用途は、ミクロシステム,バイオセンサー,流体装置または電子放射源などであり、ナノロッドを砥粒とした研削砥石として用いることには考えが及んでいなかった。さらに、ナノロッドは基材表面上に蒸着されている構成であるため、強度的にもナノロッドを砥粒とした研削砥石として用いることが困難であった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、研削材の形態制御が容易で、研削材を基材に固着するための結合剤が不要な、工具寿命が長い研削砥石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1記載の研削砥石は、合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2記載の研削砥石は、請求項1において、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3記載の研削砥石は、請求項1又は2のいずれか1つにおいて、前記金属酸化物は、Alからなることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4記載の研削砥石は、請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項5記載の研削砥石は、請求項1〜3のいずれか1つにおいて、前記研削材の形状は、板状であることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項6記載の研削砥石は、請求項5において、前記研削材の直径は、200nm〜1μmであることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項7記載の研削砥石は、請求項5において、前記研削材の長さは、100nm〜20μmであることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項8記載の研削砥石は、請求項5において、前記研削材の数密度は、前記基材表面の単位面積あたり0.1〜10本/μmであることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項9記載の研削砥石の製造方法は、合金からなる基材を酸化して基材内部に金属酸化物からなる研削材を形成する内部酸化工程と、前記研削材周辺に存在する前記基材の少なくとも一部を研磨することにより除去して前記研削材を前記基材表面に突出させる研磨工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項10記載の研削砥石の製造方法は、請求項9において、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項11記載の研削砥石の製造方法は、請求項9又は10のいずれか1つにおいて、前記金属酸化物は、Alからなることを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項12記載の研削砥石の製造方法は、9〜11のいずれか1つにおいて、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項13記載の研削砥石の製造方法は、請求項9〜11のいずれか1つにおいて、前記研削材の形状は、板状であることを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項14記載の研削砥石の製造方法は、請求項9〜13にいずれか1つにおいて、前記内部酸化温度は、900〜1200℃であることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項15記載の研削砥石の製造方法は、請求項9〜14のいずれか1つにおいて、前記研磨工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングによることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の請求項1によれば、合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができ、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。さらに、研削剤を直接固着する基材は従来の結合剤に比べて熱伝導率が高い金属からなるため、砥石および被研削物の熱的損傷を軽減することができる。加えて,研削材間の空間に切り粉を取り込むチップポケットが形成されるため、切り粉による被研削物へのダメージを軽減することができる。
【0030】
本発明の請求項2によれば、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことにより、Alからなる研削材を備えた研削砥石を提供することができる。
【0031】
本発明の請求項3によれば、前記金属酸化物は、Alからなることにより、硬度および靱性に優れた研削砥石を提供することができる。
【0032】
本発明の請求項4によれば、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることにより、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石を提供することができる。
【0033】
本発明の請求項5によれば、前記研削材の形状は、板状であることにより、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石を提供することができる。
【0034】
本発明の請求項6によれば、前記研削材の直径は、200nm〜1μmであることにより、砥石の番手を制御することのできる研削砥石を提供することができる。
【0035】
本発明の請求項7によれば、前記研削材の長さは、100nm〜20μmであることにより、研削材を基材に埋設しやすく、基材表面からの研削材の突出量を制御しやすいだけでなく、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。
【0036】
本発明の請求項8によれば、前記研削材の数密度は、前記基材表面の単位面積あたり0.1〜10本/μmであることにより、砥石の番手を制御することのできる研削砥石を提供することができる。
【0037】
本発明の請求項9によれば、合金からなる基材を酸化して基材内部に金属酸化物からなる研削材を形成する内部酸化工程と、前記研削材周辺に存在する前記基材の少なくとも一部を研磨することにより除去して前記研削材を前記基材表面に突出させる研磨工程とを含むことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができ、工具寿命が長い研削砥石の製造方法を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。
【0038】
本発明の請求項10によれば、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことにより、内部酸化工程において、合金中のAlを選択的に内部酸化させることによって、金属酸化物を合金内部に形成することのできる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0039】
本発明の請求項11によれば、前記金属酸化物は、Alからなることにより、合金中に含まれるAlを内部酸化させることによって形成することのできる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0040】
本発明の請求項12によれば、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることにより、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0041】
本発明の請求項13によれば、前記研削材の形状は、板状であることにより、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0042】
本発明の請求項14によれば、前記内部酸化温度は、少なくともNi(Al)の場合は900〜1200℃であることにより、合金中のAlを選択的に内部酸化することによってAlからなる研削材を合金中に埋設されたまま形成することができ、形成される研削材の形状を通じて砥石の番手または研削材の突出量などを制御することのできる工具寿命が長い研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0043】
本発明の請求項15によれば、前記研磨工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングによることにより、研削材周辺に存在する基材の少なくとも一部を研磨することによって除去して研削材を基材表面に突出させることができる。特に、研磨工程としてウェットエッチングを行った場合は、研削材に損傷を与えることなく、大面積または多量の基材を研磨することができる。また、研磨工程としてドライエッチングを行った場合は、研削材を凝集させることなく、基材を研磨することができる。また、基材をより微細に加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の研削砥石は、合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことを特徴とするものである。
【0045】
本発明の合金は、Alを含む2種類以上の金属元素からなる合金であれば特定のものに限定されないが、AlおよびAlよりイオン化傾向が低いか酸化物生成の標準ギブスエネルギ変化がAlよりも十分正に大きい金属元素を少なくとも1つ含む合金であるのが好ましい。AlおよびAlよりイオン化傾向が低いか酸化物生成の標準ギブスエネルギ変化がAlよりも十分正に大きい金属元素を少なくとも1つ含む合金を用いることにより、Alの選択酸化によりAlからなる研削材を得ることができる。合金は、たとえば、Ni(Al),Fe(Al),Co(Al)などからなる3元系以上の合金であってもよい。
【0046】
本発明の金属酸化物は、基材となる合金中に含まれる金属元素からなる金属酸化物であれば特定のものに限定されないが、Alからなる金属酸化物であるのが好ましい。Alからなる金属酸化物を用いることにより、硬度および靱性に優れた研削砥石を提供することができる。
【0047】
本発明の研削材は、形状または寸法が特定のものに限定されないが、研削材の形状は、棒状,針状または板状であるのが好ましい。研削材の形状が棒状ないし針状であることにより、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石を提供することができる。また、形状が板状であることにより、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石を提供することができる。
【0048】
また、本発明の研削材の寸法は、直径が200nm〜1μm,長さが100nm〜20μm,数密度が0.1〜10本/μmであるのが好ましい。研削材の直径,長さ,数密度を上記の範囲で制御することができるため、研削砥石表面の粗さを示す砥石の番手を制御することのできる研削砥石を提供することができる。また、研削材を基材に埋設しやすく、基材表面からの研削材の突出量を制御しやすいだけでなく、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。
【0049】
さらに、本発明の研削材は、研削材の少なくとも一部が基材となる合金に埋設されるのが好ましい。研削材の少なくとも一部が合金に埋設されたことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができ、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。さらに、研削剤を直接固着する基材は従来の結合剤に比べて熱伝導率が高い金属からなるため、砥石および被研削物の熱的損傷を軽減することができる。
【0050】
本発明の研削砥石の製造方法は、合金からなる基材を酸化して基材内部に金属酸化物からなる研削材を形成する内部酸化工程と、前記研削材周辺に存在する前記基材の少なくとも一部を研磨することにより除去して前記研削材を前記基材表面に突出させる研磨工程とを含むことを特徴とするものである。
【0051】
本発明の合金は、Alを含む2種類以上の金属元素からなる合金であれば特定のものに限定されないが、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含む合金であるのが好ましい。AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含む合金を用いることにより、内部酸化工程において、合金中のAlを選択的に内部酸化させることができ、研削材を基材内部に形成することのできる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0052】
本発明の金属酸化物は、基材となる合金中に含まれる金属元素からなる金属酸化物であれば特定のものに限定されないが、Alからなる金属酸化物であるのが好ましい。Alからなる金属酸化物は、合金中に含まれるAlを内部酸化させることによって形成することができる。
【0053】
本発明の研削材は、形状または寸法が特定のものに限定されないが、研削材の形状は、棒状,針状または板状であるのが好ましい。研削材の形状が棒状ないし針状である場合は、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石の製造方法を提供することができる。また、研削材の形状が板状である場合は、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0054】
本発明の内部酸化は、酸素が合金などの基材内部に拡散して、合金を構成する元素からなる酸化物を形成する酸化過程のことを指す。また、内部酸化温度は900〜1200℃であるのが好ましい。内部酸化温度を900〜1200℃とすることにより、合金中のAlを選択的に内部酸化することによってAlからなる研削材を基材中に埋設されたまま形成することができ、形成される研削材の形状を通じて砥石の番手または研削材の突出量などを制御することのできる工具寿命が長い研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0055】
本発明の研磨工程は、研削材周辺に存在する基材の少なくとも一部を除去して研削材を合金表面に突出させることのできる研磨であれば特定のものに限定されないが、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより行うのが好ましい。研磨工程がウェットエッチングまたはドライエッチングにより行われることにより、研削材周辺に存在する基材の少なくとも一部を研磨することによって除去して研削材を合金表面に突出させることができる。特に、研磨工程としてウェットエッチングを行った場合は、研削材に損傷を与えることなく、大面積または多量の基材を研磨することができる。また、研磨工程としてドライエッチングを行った場合は、研削材を凝集させることなく、基材を研磨することができる。また、基材をより微細に加工することができる。
【0056】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0057】
以下、本発明の研削砥石の製造方法の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0058】
本実施例では、研削砥石の基材としてNi(Al)合金を用いた。Ni(Al)合金は、Niに対してAlを1〜10mol%程度含んでいる合金である。なお、合金中のAl組成は10mol%以上であってもよい。
【0059】
本実施例では、基材となるNi(Al)合金に対して内部酸化工程と研磨工程とを行うことにより研削砥石を製造した。
【0060】
まず、基材の内部酸化工程を行った。本実施例では、内部酸化工程として、Ni(Al)合金を真空加熱炉中で高温加熱することによって、Ni(Al)合金内部にAlからなる研削材を形成した。
【0061】
本実施例で用いた真空加熱炉は、真空排気することが可能なチャンバー,チャンバー内の酸素分圧を一定にする酸素分圧保持剤およびチャンバーを加熱するためのヒーターから構成されている。基材となるNi(Al)合金および酸素分圧保持剤となるNi/NiO粉末をチャンバー内に配置した後に、ヒーターによりチャンバー内の雰囲気全体を加熱することによってNi(Al)合金内部に存在するAlを選択的に酸化した。内部酸化条件は、昇温速度が400K/h(130℃/h),保持温度が900−1200℃,保持時間が12hである。なお、酸素分圧保持材は、Ni/NiO粉末に限定されず、内部酸化条件に応じてチャンバー内の酸素分圧を保持できる材料であればよい。
【0062】
本実施例のように、Ni(Al)合金を基材とする場合は、チャンバー内にNi/NiO粉末を配置した状態でNi(Al)合金を酸化することにより、チャンバー内の酸素分圧を一定にし、Ni(Al)合金のAlを選択的に酸化させることができる。なお、通し穴の開いたNi(Al)合金の穴にPtワイヤーを通してチャンバー内に吊るしてNi/NiO粉末と共にチャンバー内に配置してもよい。
【0063】
内部酸化工程を行った後のNi(Al)合金の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)法により観察した。
【0064】
図1は、各Al組成を有するNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化した後のNi(Al)合金の断面SEM像である。
【0065】
図1の(a)はAlを1mol%含有したNi(Al)合金,(b)はAlを2.5mol%含有したNi(Al)合金,(c)はAlを5mol%含有したNi(Al)合金,(d)はAlを7.5mol%含有したNi(Al)合金,(e)はAlを10mol%含有したNi(Al)合金をそれぞれ内部酸化した後の断面SEM像である。
【0066】
図1(a)〜(e)の断面SEM像より、合金表面近傍に形成された金属酸化物であるAlは、Ni(Al)合金のAl組成または内部酸化温度によらず粒状であるのに対し、合金内部に形成された金属酸化物であるAlは、Ni(Al)合金のAl組成または内部酸化温度によってナノサイズで棒状の構造体(ナノロッド)またはナノサイズで板状の構造体となることを確認した。本実施例では、形成されたAlを研削材とした。
【0067】
また、内部酸化温度900,1100,1200℃においても、同様に金属酸化物の形状を観察した結果、ナノロッドが得られる条件は、内部酸化温度900℃にて少なくともAlを5.0〜10.0mol%含有したNi(Al)合金を内部酸化する,内部酸化温度1000℃にて少なくともAlを2.5〜10.0mol%含有したNi(Al)合金を内部酸化する,Ni(Al)合金のAl組成によらず酸化温度1100〜1200℃で内部酸化することであることを確認した。
【0068】
一方、上記のナノロッドが得られない条件において得られる金属酸化物は、粒状または板状であり、内部酸化温度900℃にてAlを1mol%含有したNi(Al)合金を内部酸化することにより得られることを確認した。
【0069】
なお、Alを10mol%含有したNi(Al)を内部酸化することにより、合金内部にナノロッドを形成してもよい。また、合金表面にNiO皮膜が形成される内部酸化条件により合金を内部酸化して、NiOからなる酸化皮膜およびAlからなるナノロッドを形成してもよい。
【0070】
得られた断面SEM像より、内部酸化層深さを求めた。
【0071】
図2は、Ni(Al)合金の内部酸化温度に対する内部酸化層深さのグラフを示す。グラフの横軸は内部酸化温度であり、縦軸は内部酸化層深さである。図2のグラフより、Al含有量が一定の場合は、内部酸化温度が高いほど、内部酸化層深さが深くなることを確認した。また、内部酸化温度が1100℃以上の高温側においては、Ni(Al)合金中のAl含有量が少ないほど、内部酸化層深さが深くなることを確認した。
【0072】
次に、基材の研磨工程を行った。本実施例では、内部酸化工程を行なった後のNi(Al)合金表面に対して予備研磨を行った後に、電解研磨を行った。電解研磨を行うことにより、内部酸化工程により形成したAlからなる研削材周辺に存在するNiを選択的に研磨して除去し、研削材をNi(Al)合金表面に突出させた。
【0073】
予備研磨として、湿式研磨およびバフ研磨することによって、Ni(Al)合金の表面を鏡面研磨した。さらに、以下の条件において電解研磨を行った。電解質は、硫酸(HSO,99.5%)と蒸留水とを容積比6:4で混合した希硫酸である。電解質中に被研磨体となるNi(Al)合金を陽極として配置し、対極となるNiを陰極として配置した。また、陽極−陰極間に電源となるポテンショガルバノスタットを電気的に接続した。上記の構成で電解研磨を行う場合、電解研磨の程度は、ポテンショガルバノスタットの出力条件に依存する。本実施例では、ポテンショガルバノスタットの出力条件により、Ni(Al)合金中に形成されたAlからなる研削材の突出量を制御した。ポテンショガルバノスタットの出力は、たとえば、印加電圧が1.5〜4.0V,印加時間が数10秒〜数10分程度で十分であるが、必要に応じて変化させてもよい。
【0074】
研磨工程を行った後のNi(Al)合金の断面をSEM法により観察した。
【0075】
図3は、各Al組成を有するNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化し、電解研磨を行った後のNi(Al)合金の断面SEM像である。
【0076】
図3の(a)はAlを1mol%含有したNi(Al)合金,(b)はAlを2.5mol%含有したNi(Al)合金,(c)はAlを5mol%含有したNi(Al)合金,(d)はAlを7.5mol%含有したNi(Al)合金,(e)はAlを10mol%含有したNi(Al)合金をそれぞれ内部酸化し、電解研磨した後の断面SEM像である。
【0077】
図3(a)〜(e)の断面SEM像より、図1において、合金表面近傍に形成された粒状のAlは、Niと共に除去することができ、合金内部に形成された研削材となるAlは、Alの一部が合金中に埋設されたまま固着することができることを確認した。また、合金内部に形成された研削材の形状は、内部酸化工程において形成されたAlの形状を維持していることを確認した。さらに、内部酸化温度900,1100,1200℃においても、内部酸化工程において形成されたAlは形状を維持したまま合金中に埋設されたまま固着することができることを確認した。
【0078】
特に、Alを1mol%含有したNi(Al)はいずれの内部酸化温度で内部酸化を行った場合においても、電解研磨することによって粒状または板状のAlが得られることを確認した。この粒状または板状のAlも同様に研削材として用いることができる。また、Alを2.5mol%含有したNi(Al)は、内部酸化温度によって得られるAlの形状が異なり、酸化温度が1000℃以下においてはナノロッドが得られるが、酸化温度1100℃以上においては、ナノロッドおよび板状の構造体が得られることを確認した。さらに、5.0〜10.0mol%Alを含有したNi(Al)からは、いずれの内部酸化温度においても、ナノロッドが得られることを確認した。
【0079】
図4は、Alを5mol%含有したNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化し、電解研磨を行った後のNi(Al)合金の平面および断面SEM像である。
【0080】
図4(a)は平面SEM像であり、図4(b)は断面SEM像である。SEM像より、
電解研磨後にNi(Al)合金表面に突出したAlからなるナノロッドは、ナノロッドの長軸方向が基材に対して垂直な方向に配列していることを確認した。また、Ni(Al)合金表面に突出したナノロッドの直径は300nm,突出長さは3〜5μm,密度は4本/μm程度であることを確認した。
【0081】
図5は、内部酸化温度1000℃における内部酸化層深さに対するAlからなるナノロッドの直径のグラフを示す。グラフの横軸は内部酸化層深さであり、縦軸はナノロッドの直径である。また、図6は、内部酸化温度1000℃における内部酸化層深さに対するAlからなるナノロッドの数密度のグラフを示す。グラフの横軸は内部酸化層深さであり、縦軸はナノロッドの数密度である。ナノロッドの数密度は、Ni(Al)合金の単位面積あたりのナノロッドの本数より求めた。
【0082】
内部酸化温度1000℃においては、内部酸化層深さが深くなるほど、ナノロッドの直径は大きくなり、ナノロッドの数密度が低くなることを確認した。また、内部酸化層深さに対するナノロッドの直径の変化量は、Ni(Al)合金中のAl含有量に依存しないが、ナノロッドの数密度の変化量は、Ni(Al)合金中のAl含有量が大きいほど、小さくなることを確認した。
【0083】
図7は、内部酸化温度1200℃における内部酸化層深さに対するAlからなるナノロッドの直径のグラフを示す。グラフの横軸は内部酸化層深さであり、縦軸はナノロッドの直径である。また、図8は、内部酸化温度1200℃における内部酸化層深さに対するAlからなるナノロッドの数密度のグラフを示す。グラフの横軸は内部酸化層深さであり、縦軸はナノロッドの数密度である。ナノロッドの数密度は、Ni(Al)合金の単位面積あたりのナノロッドの本数より求めた。
【0084】
内部酸化温度1200℃においては、内部酸化層深さが深くなるほど、ナノロッドの直径は大きくなり、ナノロッドの数密度が低くなることを確認した。また、内部酸化層深さに対するナノロッドの直径の変化量は、Ni(Al)合金中のAl含有量が大きいほど、大きくなるが、ナノロッドの数密度の変化量は、Ni(Al)合金中のAl含有量に依存しないことを確認した。
【0085】
上記の結果は、合金の内部酸化温度,内部酸化層深さまたは合金中のAl含有量を制御することにより、合金内部に形成する研削材の形態,寸法または密度などを制御することができることを示唆している。また、内部酸化層深さが深くなるにつれて、研削材となるAlからなるナノロッドの直径を大きくすることができるため、研削材と基材とをより強固に固着させることができることを示唆している。さらに、内部酸化層深さが深くなるにつれて、研削材となるAlからなるナノロッドの密度を低くすることができ、ナノロッド周辺に気孔部を設けることができるため、この研削材と基材とからなる研削砥石自体に切り粉保持機能や冷却機能などの機能を持たせることができることを示唆している。加えて、研削材となるAlからなるナノロッドの長さを長くし、基材にナノロッドをより深めに埋設しておくことができることを示唆している。仮に、研削加工時において研削材となるAlが損傷した場合は、再び研磨を行うことによって、基材中に埋設されているAlを基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることができることも示唆している。
【0086】
以上のように、基材となるNi(Al)合金に対して内部酸化工程と研磨工程とを行うことにより製造した研削砥石を用いて、研削加工試験を行った。
【0087】
図9は、本実施例で製造した研削加工試験に用いた研削砥石のSEM像である。SEM像中の棒状の構造体が研削材となるAlナノロッドである。研削加工試験に用いた研削砥石は、内部酸化温度1200℃,保持時間12hにより内部酸化し、電解研磨を行うことにより製造したものである。合金表面に突出したナノロッドの直径は800nm〜1μm,突出長さは3〜5μm,密度は4本/μm程度である。
【0088】
研削加工試験として、炭素鋼上に形成された酸化皮膜(FeO)を上記の研削砥石を用いて、10回程度摩擦した後に、摩擦前後の炭素鋼上の酸化皮膜のSEM像を比較した。さらに、従来の研削砥石を用いて同様の研削加工試験を行い、摩擦後の炭素鋼上の酸化皮膜のSEM像を比較した。
【0089】
図10は、研削前の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像であり、図11は、本発明の研削砥石を用いて研削した後の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像である。
【0090】
また、図12は、従来の研削砥石となるAl砥粒を用いた超精密研磨フィルム(#8000)のSEM像である。図13は、従来の研削砥石を用いて研削した後の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像である。
【0091】
図10および図11より、本発明の研削砥石を用いて研削加工試験を行った結果、炭素鋼上の酸化皮膜を研削することにより、酸化皮膜表面に無数の極めて細い線状の研削痕を確認した。また、図11および図13より、本発明の研削砥石を用いた研削は、従来の研削砥石である研磨フィルムでの研削と同等な研削特性が得られることを確認した。
【0092】
以上のように、本発明の研削砥石は、合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができ、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。さらに、研削剤を直接固着する基材は従来の結合剤に比べて熱伝導率が高い金属からなるため、砥石および被研削物の熱的損傷を軽減することができる。加えて、研削材間の空間に切り粉を取り込むチップポケットが形成されるため、切り粉による被研削物へのダメージを軽減することができる。
【0093】
また、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことにより、Alからなる研削材を備えた研削砥石を提供することができる。
【0094】
また、前記金属酸化物は、Alからなることにより、硬度および靱性に優れた研削砥石を提供することができる。
【0095】
また、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることにより、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石を提供することができる。
【0096】
また、前記研削材の形状は、板状であることにより、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石を提供することができる。
【0097】
また、前記研削材の直径は、200nm〜1μmであることにより、砥石の番手を制御することのできる研削砥石を提供することができる。
【0098】
また、前記研削材の長さは、100nm〜20μmであることにより、研削材を基材に埋設しやすく、基材表面からの研削材の突出量を制御しやすいだけでなく、工具寿命が長い研削砥石を提供することができる。
【0099】
また、前記研削材の数密度は、前記基材表面の単位面積あたり0.1〜10本/μmであることにより、砥石の番手を制御することのできる研削砥石を提供することができる。
【0100】
本発明の研削砥石の製造方法は、合金からなる基材を酸化して基材内部に金属酸化物からなる研削材を形成する内部酸化工程と、前記研削材周辺に存在する前記基材の少なくとも一部を研磨することにより除去して前記研削材を前記基材表面に突出させる研磨工程とを含むことにより、研削材を基材に固着するための結合剤を用いずに、研削材を基材に強固に固着することができ、工具寿命が長い研削砥石の製造方法を提供することができる。仮に、研削加工時において研削材が損傷した場合は、再び研磨工程を行ってもよい。再び研磨工程を行うことによって、基材中に埋設されている研削材を基材表面に突出させることができ、より工具寿命を長くすることもできる。
【0101】
また、前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことにより、内部酸化工程において、合金中のAlを選択的に内部酸化させることによって、金属酸化物を合金内部に形成することのできる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0102】
また、前記金属酸化物は、Alからなることにより、合金中に含まれるAlを内部酸化させることによって形成することのできる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0103】
また、前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることにより、研削方向によらず、加工痕の幅がほぼ一定な研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0104】
また、前記研削材の形状は、板状であることにより、棒状ないし針状と同様に加工できる研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0105】
また、前記内部酸化温度は、900〜1200℃であることにより、合金中のAlを選択的に内部酸化することによってAlからなる研削材を合金中に埋設されたまま形成することができ、形成される研削材の形状を通じて砥石の番手または研削材の突出量などを制御することのできる工具寿命が長い研削砥石の製造方法を提供することができる。
【0106】
また、前記研磨工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングによることにより、研削材周辺に存在する基材の少なくとも一部を研磨することによって除去して研削材を基材表面に突出させることができる。特に、研磨工程としてウェットエッチングを行った場合は、研削材に損傷を与えることなく、大面積または多量の基材を研磨することができる。また、研磨工程としてドライエッチングを行った場合は、研削材を凝集させることなく、基材を研磨することができる。また、基材をより微細に加工することができる。
【0107】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例では、基材としてNi(Al)合金を用いたが、これに限らず、Fe(Al),Co(Al)などからなる3元系以上の合金などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の研削砥石の製造方法による各Al組成を有するNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化した後のNi(Al)合金の断面SEM像である。
【図2】本発明の研削砥石の製造方法によるNi(Al)合金の内部酸化温度に対する内部酸化層深さのグラフである。
【図3】本発明の研削砥石の製造方法による各Al組成を有するNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化し、電解研磨を行った後のNi(Al)合金の断面SEM像である。
【図4】本発明の研削砥石の製造方法によるAlを5mol%含有したNi(Al)合金を内部酸化温度1000℃にて内部酸化し、電解研磨を行った後のNi(Al)合金の平面および断面SEM像である。
【図5】本発明の研削砥石の製造方法による内部酸化温度1000℃における内部酸化層深さに対するロッドの直径のグラフである。
【図6】本発明の研削砥石の製造方法による内部酸化温度1000℃における内部酸化層深さに対するロッドの密度のグラフである。
【図7】本発明の研削砥石の製造方法による内部酸化温度1200℃における内部酸化層深さに対するロッドの直径のグラフである。
【図8】本発明の研削砥石の製造方法による内部酸化温度1200℃における内部酸化層深さに対するロッドの密度のグラフである。
【図9】本発明の研削砥石の製造方法により得られた研削砥石のSEM像である。
【図10】本発明の研削砥石の製造方法による研削砥石を用いて研削する前の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像である。
【図11】本発明の研削砥石の製造方法による研削砥石を用いて研削した後の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像である。
【図12】従来の研削砥石のSEM像である。
【図13】従来の研削砥石を用いて研削した後の炭素鋼上の酸化皮膜の平面SEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合金からなる基材と、金属酸化物からなる研削材とを備えた研削砥石であって、前記研削材の少なくとも一部が前記基材に埋設されたことを特徴とする研削砥石。
【請求項2】
前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1に記載の研削砥石。
【請求項3】
前記金属酸化物は、Alからなることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載の研削砥石。
【請求項4】
前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の研削砥石。
【請求項5】
前記研削材の形状は、板状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の研削砥石。
【請求項6】
前記研削材の直径は、200nm〜1μmであることを特徴とする請求項5に記載の研削砥石。
【請求項7】
前記研削材の長さは、100nm〜20μmであることを特徴とする請求項5に記載の研削砥石。
【請求項8】
前記研削材の数密度は、前記基材表面の単位面積あたり0.1〜10本/μmであることを特徴とする請求項5に記載の研削砥石。
【請求項9】
合金からなる基材を酸化して基材内部に金属酸化物からなる研削材を形成する内部酸化工程と、前記研削材周辺に存在する前記基材の少なくとも一部を研磨することにより除去して前記研削材を前記基材表面に突出させる研磨工程とを含むことを特徴とする研削砥石の製造方法。
【請求項10】
前記合金は、AlおよびAlよりイオン化傾向が低い金属元素を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項9に記載の研削砥石の製造方法。
【請求項11】
前記金属酸化物は、Alからなることを特徴とする請求項9又は10のいずれか1つに記載の研削砥石の製造方法。
【請求項12】
前記研削材の形状は、棒状ないし針状であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の研削砥石の製造方法。
【請求項13】
前記研削材の形状は、板状であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の研削砥石の製造方法。
【請求項14】
前記内部酸化温度は、900〜1200℃であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1つに記載の研削砥石の製造方法。
【請求項15】
前記研磨工程は、ウェットエッチングまたはドライエッチングによることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1つに記載の研削砥石の製造方法。


【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−161978(P2008−161978A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−354606(P2006−354606)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(304021288)国立大学法人長岡技術科学大学 (458)
【Fターム(参考)】