研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法
【課題】 研削砥石の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法を提供すること。
【解決手段】 回転軸X1に沿って伸延した支持部112を有し、この支持部112の先端にワーク200を研削する研削砥石113を保持した状態で支持部112を回転させる回転手段110と、修正冶具121を有し、回転中の研削砥石113に対して修正冶具121を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手120を備える研削砥石用修正装置100であって、支持部112に対して前進後退可能であり、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するガイド手段130を設けた。
【解決手段】 回転軸X1に沿って伸延した支持部112を有し、この支持部112の先端にワーク200を研削する研削砥石113を保持した状態で支持部112を回転させる回転手段110と、修正冶具121を有し、回転中の研削砥石113に対して修正冶具121を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手120を備える研削砥石用修正装置100であって、支持部112に対して前進後退可能であり、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するガイド手段130を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークを研削する研削砥石は、一般的に砥粒を結合剤で固めたものであり、微小な気孔を多数含んでいる。砥粒が脱落したり気孔に異物が詰まったりして表面から露出する砥粒が埋没すると、目詰まり状態となって切れ味が低下する。そこで、例えば定期的にドレッシングして、研削砥石の表面状態を整える必要がある。また、ワークを研削することによって研削砥石は磨耗し、その形状が後退していく。その際、研削面が均一に後退せずに、研削面形状が所望形状からずれる場合があるが、このような場合には、ツルーイングして形状を整える必要がある。
【0003】
これら修正作業(ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方)は、回転軸に沿って伸延した支持部先端に研削砥石を固定し、研削砥石を含む支持部を回転させた状態で研削砥石に修正冶具(ドレッサ又はツルア)を当接することにより実施される。
【0004】
ところで、ワークの形状及び研削部位によっては、研削面に当接しないように研削砥石を保持する支持部を細くする必要がある。この場合、支持部の剛性が小さいため、支持部の長さ、研削砥石の重量、回転速度等によっては支持部に振れが生じることとなる。特に研削砥石がワークの内面を研削する小径砥石の場合、支持部がより細いので振れが生じやすい。また、回転手段(例えばスピンドル)への取り付け誤差(回転軸と支持部の中心軸とのずれ)によって、支持部に振れが生じることもある。
【0005】
本発明者も、回転中の支持部に振れが生じることを確認している。このように振れが生じると、研削面への修正冶具の接触にばらつきが生じるので、安定して研削砥石を修正することができない。すなわち、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度が低下する。
【0006】
これに対し、例えば特許文献1に内研用小径砥石の成形方法及び内研用小径砥石の成形装置が開示されている。この構成によると2個のロータリドレッサ(以下修正冶具と示す)を用い、それぞれの中心軸を内研用小径砥石(以下研削砥石と示す)の軸心とほぼ同一平面上に位置せしめるとともに、ほぼ平行にならしめ、これら1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつけた形で、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する。従って、1対の修正冶具のそれぞれの研削力が相殺される形になり、修正冶具の接触による軸部(以下支持部と示す)の撓みの発生を軽減することができる。また、支持部の振れが生じたとしても、1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつけることで振れを抑え、安定して研削砥石を修正することができる。
【特許文献1】特開2001−162530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示す構成の場合、1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつける構成である。従って、1対の修正冶具の中心軸と研削砥石の軸心とが平行でなければ、それぞれの修正冶具による研削力を相殺することができない。従って、例えば円錐形状のように、研削砥石の形状によっては上記構成を適用するのが困難である。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、研削砥石の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に請求項1〜20に記載の発明は、回転軸に沿って伸延した支持部を有し、この支持部の先端にワークを研削する研削砥石を保持した状態で支持部を回転させる回転手段と、修正冶具を有し、回転中の研削砥石に対して修正冶具を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手段とを備える研削砥石用修正装置に関する発明である。
【0010】
先ず請求項1に記載のように、支持部に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部に当接することで支持部の振れを抑制するガイド手段を備えることを特徴とする。
【0011】
このように本発明によると、回転中の支持部に当接することで支持部の振れを抑制(少なくとも低減)するガイド手段を備えるので、研削砥石の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、回転手段及び前記修正手段の動作を制御する制御手段と、回転による支持部又は研削砥石の振れを検出する振れ検出手段とを備え、制御手段は、振れ検出手段からの信号に基づいて、支持部に対するガイド手段の接触状態を制御し、この制御状態で研削砥石を修正するように修正手段及び回転手段の動作を制御する構成とすることが好ましい。
【0013】
このような構成とすると、支持部又は研削砥石の振れに応じてガイド手段を支持部に当接させることができるので、効率よく支持部の振れを抑制することができる。しかしながら、例えば予め振れ量が分かっているような場合には、振れ検出をせず、ガイド手段を所定量前進させて、支持部の振れを抑制する構成としても良い。
【0014】
請求項3に記載のように、ガイド手段が支持部に当接するガイド部と、ガイド部を移動させるアクチュエータとにより構成される場合、制御手段が、検出手段からの信号に基づいてアクチュエータを制御する構成とすれば良い。
【0015】
その際、ガイド部を、請求項4に記載のように、支持部に当接する部位が凹んだ略V字状としても良いし、請求項5に記載のように、略U字状としても良い。このように構成すると、1つのガイド手段によって異なる複数方向から支持部に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載のように、振れ検出手段から支持部の振れ検出を示す信号を受けた時点で、制御手段は、支持部に向けて前進するようにガイド手段を制御しても良い。このような構成とすると、振れが生じた際に、自動的にガイド手段を支持部に当接させることができる。
【0017】
しかしながら、振れが必ず生じる場合には、請求項7に記載のように、振れ検出手段がガイド手段と一体的であり、ガイド手段が支持部に接触した際の反力を検出する構成としても良い。この構成の場合、ガイド手段が支持部に接触するまで支持部の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。具体的には、ガイド手段が支持部に接触した際に受ける反力には、支持部の振れによる応力が加算され、振れ検出手段からの信号は振れに応じた振幅を有する波形となる。従って、支持部の振れを検出することができる。
【0018】
また、振れ検出手段とガイド手段とを一体的に構成しているので、装置構成を簡素化することができる。このような振れ検出手段としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0019】
ここで、反力を検出する構成の振れ検出手段の場合、ガイド手段によって支持部を押すほど、支持部からの反力が強くなる。また、振れに応じた振幅は、ガイド手段によって押されるほど振れ幅が規制されて小さくなる。従って、振れに応じた振幅が所定値以下となる反力以上であって、支持部が反りすぎない反力未満の所定範囲内となった状態で、修正することが好ましい。例えば請求項8に記載のように、制御手段は、振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態でアクチュエータの動作を停止させ、この停止状態で研削砥石を修正する構成とすることができる。
【0020】
また、請求項9に記載のように、制御手段は、支持部の振動位相からずれた位相でガイド部が振動するようにアクチュエータを制御し、この制御状態で研削砥石を修正する構成としても良い。この場合、支持部の振動の少なくとも一部をガイド部の振動によって相殺することがができるので、支持部の振れを抑制することができる。
【0021】
特に請求項10に記載のように、制御手段は、振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で、支持部の振動位相からずれた位相でガイド部が振動するようにアクチュエータを制御する構成とすると、ガイド部の移動量が少なくて良いので、支持部の振動周波数にガイド部の振動周波数を合わせやすくなる。すなわち、支持部の振れをより抑制することができる。
【0022】
尚、請求項11に記載のように、ガイド部の振動位相を、支持部の振動位相に対して略180度ずれた構成とすると、支持部の振れをより抑制することができる。その際、振幅をほぼ等しくすると尚良い。
【0023】
請求項12に記載のように、修正手段による修正直後の研削砥石の修正状態を検出する修正状態検出手段を備え、制御手段は、修正状態検出手段からの信号に基づいて研削砥石の修正状態良否を判定し、否判定の場合には、研削砥石を再度修正するように回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作を制御する構成としても良い。
【0024】
この場合、装置内で修正状態の評価をすることができ、必要に応じて自動的に再修正することができるので、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる。
【0025】
尚、請求項13に記載のように、修正直後の研削砥石によって研削されたワークの研削状態を検出する研削状態検出手段を備え、制御手段は、研削状態検出手段からの信号に基づいてワークの研削状態良否を判定し、否判定の場合には、研削砥石を再度修正するように回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作を制御する構成としても良い。この場合も、装置内で修正状態の評価をすることができ、必要に応じて自動的に再修正することができるので、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる。
【0026】
しかしながら本構成の場合、1つのワークを試し研削する形であり、研削砥石の修正状態が不良である場合には、1つの不良品が発生することとなる。また、ワークを研削する分、評価までに余分な時間がかかる。従って、製品歩留及び再修正までのロス時間の点から、請求項12に示す構成の方が好ましい。
【0027】
請求項14に記載のように、再度修正する場合、制御手段は、回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件にて制御する構成としても良い。同一条件にて再度修正を行っても良いが、同一条件の場合再度修正状態が不良となる場合も考えられる。そこで、例えばガイド手段の移動速度を低下させたり、回転手段の回転速度を低下させるなどして、支持部に振れが生じる条件を緩和したり、より精度良く振れを抑制できる条件に変更し、修正状態が良となるようにすると良い。
【0028】
請求項15に記載のように、制御手段による判定結果を外部に出力する報知手段を備えた構成としても良い。これにより、修正状態不良が生じた場合には報知(表示、警報等)するので、設備異常等がないかこのタイミングで作業員が確認することができる。尚、この報知手段を、設備異常等を知らせる手段と併用しても良い。
【0029】
請求項16に記載のように、ガイド手段と修正冶具との間に、研削砥石を含む支持部を配置した構成とすると良い。この場合、ガイド手段と修正冶具によって研削砥石を含む支持部を挟むので、同一側にガイド手段と修正冶具を配置する場合よりも、研削砥石を含む支持部を安定して保持することができる。
【0030】
請求項17に記載のように、研削砥石として、ワークの内面を研削する小径砥石に好適である。ワークの内面を研削する小径砥石の場合、その直径が数mm程度であり、また、内面に接触しないように支持部の径が小径砥石の直径以下に設定される。従って、回転時に振れが生じやすい。それに対し、請求項1〜17いずれかに記載の発明であれば、支持部の振れを抑制し、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0031】
請求項1〜17いずれかに記載の発明は、研削砥石の形状によらず支持部の振れを抑制することができるので、請求項18に記載のように、研削砥石として、修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部に、支持部に支持された状態で回転軸に対して傾斜する傾斜部を有する構成にも適用が可能である。
【0032】
尚、請求項19に記載のように、修正冶具はロータリドレッサであり、修正手段はロータリドレッサを回転させる構成としても良い。この構成が修正冶具側の一般的な構成であるが、上記構成に限定されるものではない。例えば、修正冶具を回転させずに研削砥石に接触させる構成としても良い。
【0033】
次に、請求項20〜34に記載の発明は、ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、研削砥石の形状及び表面状態の少なくとも一方を修正する研削砥石の修正方法に関するものである。
【0034】
先ず請求項20に記載のように、回転軸に沿って伸延した支持部先端に研削砥石を固定した状態で、支持部を回転させる始動ステップと、支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を、回転中の支持部に当接させて支持部の振れを抑制する抑制ステップと、支持部の振れが抑制された状態で、回転中の研削砥石に修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正ステップとを備えることを特徴とする。
【0035】
このように本発明によると、支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を回転中の支持部に当接させて支持部の振れを抑制(少なくとも低減)し、その抑制状態で修正を行うので、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。また、ガイド手段を支持部に当接させるので、研削砥石の形状に関係なく、支持部の振れを抑制することができる。
【0036】
請求項21に記載のように、振れ検出手段にて、回転中の支持部又は研削砥石の振れを検出する検出ステップを備え、抑制ステップにおいて、検出ステップにて検出された振れに基づいて、支持部に当接するガイド手段の接触状態を調整することが好ましい。本発明の作用効果は、請求項2に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0037】
請求項22に記載のように、検出ステップにおいて、回転中の支持部又は研削砥石の振れが検出された時点で、抑制ステップにおいて、ガイド手段を支持部に向けて前進させるようにしても良い。本発明の作用効果は、請求項6に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0038】
請求項23に記載のように、検出ステップにおいて、振れ検出手段は、ガイド手段が支持部に接触した際の反力を検出しても良い。
【0039】
この構成の場合、ガイド手段が支持部に接触するまで支持部の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。具体的には、ガイド手段が支持部に接触した際に受ける反力には、支持部の振れによる応力が加算され、振れ検出手段からの信号は振れに応じた振幅を有する波形となる。従って、支持部の振れを検出することができる。尚、このような振れ検出手段としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0040】
請求項24〜27に記載の発明の作用効果は、請求項8〜11に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0041】
請求項28に記載のように、修正ステップ後に、研削砥石の修正状態を検出し、その良否を判定する修正状態判定ステップを備え、判定ステップにおいて否判定された場合、研削砥石を再度修正しても良い。本発明の作用効果は、請求項12に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0042】
請求項29に記載のように、修正ステップ後に、修正直後の研削砥石によって研削されたワークの研削状態を検出し、その良否を判定する研削状態判定ステップを備え、判定ステップにおいて否判定された場合、研削砥石を再度修正しても良い。本発明の作用効果は、請求項13に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0043】
請求項30に記載の発明の作用効果は、請求項14に記載の発明の作用効果と同様であるのでその記載を省略する。
【0044】
請求項31〜34に記載の発明の作用効果は、請求項16〜19に記載の発明の作用効果と同様であるのでその記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る研削砥石用修正装置について説明する前に、従来構成の研削砥石用修正装置及びその問題点について、図1及び図2を用いて簡単に説明する。図1は、従来の研削砥石用修正装置を説明するための概略構成図であり、一部(修正手段)を断面で示している。図2は、支持部の振れを説明するための模式図である。
【0046】
図1に示すように、従来の研削砥石用修正装置100は、研削砥石113を回転させる回転手段110と、研削砥石113の形状及び/または表面状態を修正する修正手段120とにより構成される。
【0047】
回転手段110は、スピンドル111の回転軸X1に沿って伸延した形状の支持部(クイルとも言う)112を有しており、例えば一体化されたモータを駆動させることによりスピンドル111を回転させ、研削砥石113を保持した状態で支持部112を回転軸X1周りに回転させるように構成されている。
【0048】
支持部112は一般的に超硬等の金属材料から構成されている。また、研削砥石113もCBN等の一般的な材料を用いて構成されている。
【0049】
修正手段120は、回転中の研削砥石113の研削面に対して修正冶具121を当接させて、研削面の修正を行うものである。例えば図1に示すように、修正冶具121としてロータリドレッサを適用し、修正冶具121を回転させた状態で回転中の研削砥石113に接触させて、ドレッシング及び/またはツルーイングを実施するように構成されている。
【0050】
ところで、研削砥石113によって研削されるワークの形状及び研削部位によっては、研削面に支持部112が当接しないように、支持部112を細くする必要がある。この場合、支持部112の剛性が小さいため、支持部112の長さ、研削砥石113の重量、スピンドル111の回転速度等によっては支持部112に振れが生じることとなる。特に研削砥石113がワークの内面を研削する小径砥石の場合、支持部112がより細く、研削面に当接しないように長い(伸延した形状である)ので振れが生じることとなる。また、回転手段110のスピンドル111に支持部112を取り付ける誤差(回転軸X1と支持部112の中心軸とのずれ)によって、支持部112に振れが生じることもある。
【0051】
これについては、本発明者が実際に振れが生じることを確認している。例えば内面研削用の小径(例えば5mmφ)の研削砥石113を、それよりも径が細く(例えば4mmφ)、長い(例えば7cm)支持部112に固定して確認したところ、図2に示すように、回転に伴って研削砥石113を含む支持部112の振れ(破線で示す)が確認された。この振れは回転に伴って増幅し、例えば100000rpmにおいて20μm程度であった。
【0052】
このように、支持部112に振れが生じていると、研削砥石113の研削面への修正冶具121の接触にばらつきが生じるので、安定して研削砥石113を修正することができない。すなわち、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度が低下する。
【0053】
これに対し、次に本実施形態に係る研削砥石用修正装置について図3〜図5を用いて説明する。尚、以下においては、上記した従来構成の研削砥石用修正装置100(図1)と構成要素が同じものについては同一符号にて示す。図3は、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図4は、研削砥石113の形状を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。図4(b)においては、台座を省略して図示している。図5は、本実施形態の特徴部分であるガイド手段の構成を示す側面図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100も、研削砥石113を回転させる回転手段110と、研削砥石113の形状及び/または表面状態を修正する修正手段120を有している。そして、支持部112に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するガイド手段130をさらに有している。
【0055】
尚、本実施形態における研削砥石113は、CBNとビトリファイド系の結合剤から構成されており、ワークの内面を研削する小径砥石として構成されている。具体的には、図4(a),(b)に示すように、支持部112に支持された状態で回転軸X1に対して傾斜した傾斜部113aと、傾斜部113aに連結し、回転軸X1に対して平行な柱部113bとにより構成される。尚、符号113cは、研削砥石113を支持部112に固定するための台座であり、台座113cの一部が研削砥石113に固定され、一部が支持部112に固定されている。また、直径D1は5mmφであり、長さL1は8mmである。
【0056】
ガイド手段130は、支持部112に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するように構成されている。本実施形態においては、図3及び図5に示すように、支持部112に当接するガイド部131と、ガイド部131を支持部112に対して前進後退(矢印方向)させるアクチュエータ132とにより構成される。尚、アクチュエータ132の形態は電気式、油圧、空圧等特に限定されるものではない。
【0057】
このように本実施形態に係る研削砥石用修正装置100によると、アクチュエータ132を制御することにより、回転中の支持部112にガイド部131を接触させて、支持部112の振れを抑制(少なくとも低減)することができる。従って、従来のように研削砥石113を1対の修正冶具121によって挟みこむ構成ではないので、研削砥石113の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、図5に示すようにガイド部131の支持部112に当接する部位を、前進方向に対して凹んだ略V字状としている。具体的には、伸延方向に直交する面において略V字状とし、当接させた状態で、略V字状の傾斜面の少なくとも一方にて支持部112を保持する構成としている。このように構成すると、1つのガイド部131によって異なる複数方向から支持部112に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部112の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。さらには、図3に示すように、ガイド部131によって支持部112の所定範囲を保持する構成としている。従って、より安定して振れを抑制することができる。尚、ガイド部131の形状は上記例に限定されるものではない。また、ガイド部131は1つに限定されるものではなく、複数設けて、複数箇所で支持部112に接触する構成としても良い。
【0059】
さらに、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、回転による支持部112又は研削砥石113の振れを検出する振れ検出手段140を有している。従って、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112に対するガイド部131の接触状態を制御し、効率よく支持部112の振れを抑制することができる。制御については後述する。しかしながら、例えば予め振れ量が分かっている場合、振れ検出をせず、ガイド部131を所定量前進させて、支持部112の振れを抑制する構成としても良い。
【0060】
振れ検出手段140は、回転による支持部112又は研削砥石113の振れを検出するものであれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、図3及び図5に示すように、ガイド手段130と一体的であり、ガイド部131が支持部112に接触した際の反力を検出するように構成されている。この構成の場合、ガイド部131が支持部112に接触するまで支持部112の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。
【0061】
具体的には、支持部112に接触した際に受ける反力には支持部112の振れによる応力が加算される。従って、振れ検出手段140からの信号は、図6に示すように振れに応じた振幅を有する波形となり、支持部112の振れを検出することができる。尚、支持部112を押す(支持部112に対する送り量が増す)ほど、支持部112からの反力が強くなる。図6は、振れ検出手段140の検出信号を示す模式図である。
【0062】
また、振れ検出手段140とガイド手段130とを一体的に構成しているので、装置構成を簡素化することができる。このような振れ検出手段140としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0063】
尚、図5において、符号133は、ガイド部131及び振れ検出手段140を支持し、アクチュエータ132の動作に連動するアーム部であり、符号134はガイド部131と振れ検出手段140を連結し、ガイド部131が受けた反力を振れ検出手段140に伝達する連結部である。このように、振れ検出手段140はガイド部131とアーム部133との間に配置されている。
【0064】
次に、上記構成の研削砥石用修正装置100による研削砥石113の修正方法の一例を、図6〜9を用いて説明する。図7は、研削砥石用修正装置100の制御構成を示すブロック図である。図8は、修正処理を示すフローである。図9は、修正処理の各ステップを示す図であり、(a)は始動ステップ、(b)は抑制ステップ及び検出ステップ、(c)は修正ステップを示す図である。尚、図9(a)〜(c)において、一部(修正手段120)を断面で示している。
【0065】
図7に示すように研削砥石用修正装置100は、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112の振れを抑制するようにガイド手段130のアクチュエータ132を制御する制御手段150を有している。すなわち、この制御手段150は、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112に対するガイド部131の接触状態を制御する。
【0066】
尚、制御手段150は、回転手段110及び修正手段120の動作も制御する。また、制御手段150は比較判定手段も兼ねており、例えば記憶手段151に格納された基準信号と振れ検出手段140からの信号を比較判定し、所定の制御信号を出力するように構成されている。
【0067】
このように構成される研削砥石用修正装置100において、制御手段150は研削砥石113が支持部112に固定された状態で、回転手段110のモータに駆動信号を出力する。これにより、スピンドル111が所望の回転数(例えば30000〜150000rpm)で回転される。このステップが図9(a)に示す始動ステップである。
【0068】
回転手段110が動作されると、制御手段150はガイド手段130のアクチュエータ132に速度V1で前進するように駆動信号を出力する(S100)。これにより、ガイド部131が支持部112に向けて前進される。
【0069】
振動する(振れている)支持部112にガイド部131が接触すると、ガイド部131が受けた反力が振れ検出手段140に伝達され、図6に示すように、振れ検出手段140の出力が立つ。従って、出力が最初に立ったポイントを接触点(開始点)とすることができる。この接触点を示す信号を振れ検出手段140から受けると、制御手段150は、ガイド手段130のアクチュエータ132に速度V1よりも低速の速度V2で前進後退するように駆動信号を出力する(S110)。
【0070】
このように、支持部112に接触するまで速度V1として移動時間を短縮(修正時間を短縮)し、接触後は速度V2として支持部112に無理な応力をかけることなく、振れが小さくなるように精度良くガイド部131を位置決めする構成としている。尚、アクチュエータ132(ガイド部131)の移動速度については上記例に限定されるものではない。全て同じ速度としても良いし、さらに細かく制御しても良い。
【0071】
ここで、ガイド部131が支持部112を押す(支持部112に対する送り量が増す)ほど、支持部112からの反力が強くなる。また、振れは小さくなる。従って、制御手段150は、振れ検出手段140の出力が、図6に示すように、振れに応じた振幅が所定値以下となるα以上であって、支持部112が反りすぎないβ未満の所定範囲内にあるか否かを判定(S120)する。すなわち、振れ検出手段140の出力がα以上β未満となるように、振れ検出手段140の信号に基づいて、アクチュエータ132の動作を制御(前進後退指令を出力)する。これらS110及びS120が、図9(b)に示す抑制ステップ及び検出ステップである。
【0072】
振れ検出手段140の出力がα以上β未満となると、制御手段150は、アクチュエータ132に対して動作停止指令を出力する(S130)。そして、この停止状態で回転する研削砥石113の研削面に対して修正冶具121が所望の状態で接触するように、回転手段110及び修正手段120の少なくとも一方に対して、修正作業実行指令を出力する(S140)。これにより、研削砥石113が修正される。本実施形態においては、修正手段120に修正作業実行指令を出力し、これにより修正手段120が回転及び移動されて、研削砥石113に修正冶具121が接触されるように構成されている。このステップが図9(c)に示す修正ステップである。以上で修正処理が終了となる。
【0073】
このように本実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法によると、支持部112の振れに応じて、振れを小さくするようにガイド部131を支持部112に当接させることができるので、効率よく支持部112の振れを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、図9(c)に示すように、ガイド手段130のガイド部131と修正冶具121との間に、研削砥石113を含む支持部112を配置して修正を行う構成としている。従って、修正時に、修正冶具121とガイド部131とによって研削砥石113を含む支持部112を挟むので、同一側に修正冶具121とガイド部131を配置する場合よりも、研削砥石113を含む支持部112を安定して保持しつつ修正することができる。しかしながら、修正冶具121とガイド部131の配置は上記例に限定されるものではない。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図10〜12に基づいて説明する。図10は、本実施の形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図11は、原理を説明するための補足図である。図12は、修正処理を示すフローである。
【0076】
第2の実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0077】
図10に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、第1の実施形態に係る研削砥石用修正装置100と構成要素が同一である。第1の実施形態と異なる点は、ガイド部131を振動(図中の矢印)させながら、修正冶具121を研削砥石113に接触させて修正作業を実施する点にある。
【0078】
第1の実施形態に記載したように、回転に伴って支持部112には振れ(振動)が生じる。そこで、本実施形態においては、図11に示すように、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131を振動させることで、ガイド部131の振動により支持部112の振動を相殺し、支持部112の振れを抑制(少なくとも低減)する。そして、この制御状態で研削砥石113を修正するので、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0079】
本実施形態においては、図11に示すように、ガイド部131の振動位相を支持部112の振動位相に対して略180度ずれた構成としている。従って、支持部112の振れをより効率よく抑制することができる。その際、両者の振幅をほぼ等しくすると尚良い。
【0080】
尚、研削砥石113の修正手順は以下の通りである。S200〜S220までは、第1の実施形態に記載した図8のS100〜S120と同じであるのその記載を省略する。
【0081】
振れ検出手段140の出力がα以上β未満となると、制御手段150は、振幅成分抽出部(図示略)に振れ検出手段140の出力の振れによる振幅成分を抽出する処理(振幅成分抽出処理)の実行を指令し、振幅成分抽出部は振幅成分抽出処理を実行する(S230)。これにより、振れによる信号が形成される。
【0082】
次いで、制御手段150は、この信号に基づいて、ガイド手段130のアクチュエータ132に対して振動するように制御指令を出力する(S240)。これにより、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131を振動(微動)され、支持部112の振れが抑制される。
【0083】
そしてこの振動状態で、制御手段150は、回転する研削砥石113の研削面に対して修正冶具121が所望の状態で接触するように、回転手段110及び修正手段120の少なくとも一方に対して、修正作業実行指令を出力する(S250)。これにより、研削砥石113が修正される。本実施形態においては、修正手段120に修正作業実行指令を出力し、これにより修正手段120が回転及び移動されて、研削砥石113に修正冶具121が接触されるように構成されている。以上で修正処理が終了となる。
【0084】
尚、本実施形態において、制御手段150は、振れ検出手段140の出力がα以上β未満となった状態で、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131が振動するようにアクチュエータ132を制御する構成としている。この場合、振動によるガイド部131の移動量が少なくて良いので、支持部112の振動周波数にガイド部131の振動周波数を合わせやすくなる。すなわち、支持部112の振れをより抑制することができる。しかしながら、ガイド部131を振動させるタイミングは上記例に限定されるものではない。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図13〜15に基づいて説明する。図13は、本実施の形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図14は、研削砥石用修正装置100の制御構成を示すブロック図である。図15は、修正状態評価処理を示すフローである。
【0086】
第3の実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法は、第1又は第2の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0087】
図13,14に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、第1の実施形態に示す研削砥石用修正装置100の構成に対して、さらに研削砥石113の修正状態を検出する修正状態検出手段160を付加した点を特徴とする。
【0088】
修正状態検出手段160としては、研削砥石113の修正状態(形状及び/または表面状態)を検出することができるものであれば良い。接触式、非接触式のいずれでも良い。本実施形態においては、接触式の修正状態検出手段160を適用している。
【0089】
第1又は第2の実施形態に示す修正処理が終了した時点で、図15に示すように修正状態検出手段160は修正直後の研削砥石113の修正状態を検出する(S300)。本実施形態においては、修正手段120が退避位置まで移動された状態で、修正状態検出手段160が研削砥石113に接触し、その修正状態を検出する。
【0090】
そして、制御手段150は、修正状態検出手段160からの信号を例えば記憶手段151に予め記憶された基準データと比較し、研削砥石113の修正状態良否を判定する(S310)。その結果、良判定の場合には、修正状態評価処理は終了し、続いて研削砥石113によるワークの研削処理が実行される。また、不良判定の場合には、第1又は第2の実施形態に示す修正処理(S100〜S140,S200〜S250)が再度実行される。
【0091】
このように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法によれば、装置100内で修正状態の評価をすることができる。また、その評価結果に基づいて、不良の場合には研削砥石113を自動的に再修正することができる。従って、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる
尚、図14に示すように、制御手段150による判定結果を外部に報知(表示、警報等)する報知手段170を備えた構成としても良い。これにより、例えば修正状態不良が生じた場合に、設備異常等がないか作業員が即座に確認することができる。尚、この報知手段170を、設備異常や修正処理完了等を知らせる報知手段と併用して使用する構成としても良い。
【0092】
尚、本実施形態においては、修正直後の研削砥石113の修正状態を検出する構成例を示した。しかしながら、修正状態検出手段160に代わって、図16に示すように、修正直後の研削砥石113によって研削されたワーク200の研削状態を検出する研削状態検出手段161を備える構成としても良い。この場合、制御手段150は、研削状態検出手段161からの信号に基づいてワーク200の研削状態良否を判定し、不良判定の場合には、研削砥石113を再度修正処理するように制御すれば良い。図16は、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100の変形例を示す図であり、一部(修正手段120,支持手段180、ワーク200)を断面で示している。
【0093】
しかしながら本構成の場合、1つのワーク200を試し研削する形であり、研削砥石113の修正状態が不良である場合には、1つの不良品が発生することとなる。また、ワーク200を研削する分、評価までに余分な時間がかかる。従って、製品歩留及び再修正までのロス時間の点から、修正状態検出手段160による構成の方が好ましい。
【0094】
研削状態検出手段161としては、研削されたワーク200の研削状態(形状及び/または表面状態)を検出することができるものであれば良い。接触式、非接触式のいずれでも良い。図16においては、ワーク200の内面201を接触式の研削状態検出手段161にて検出する構成としている。尚、図16中において、符号180は、ワーク200を支持する支持手段であり、符号181はワーク200をクランプするクランプ部である。
【0095】
また、本実施形態においては、不良判定の場合、同一条件で再度修正処理が実行される例を示した。しかしながら、再度修正する場合、制御手段150が、回転手段110、修正手段120、及びガイド手段130の動作の少なくとも1つを、前回の修正処理条件とは異なる条件にて制御する構成としても良い。同一条件の場合、再度修正状態が不良となる場合が考えられる。そこで、支持部112に振れが生じる条件を緩和したり、より精度良く振れを抑制できる条件に変更する(例えばガイド部131の移動速度を低下、スピンドル111の回転速度を低下等)ことで、修正状態が良となるようにすると良い。しかしながら、このような処置をすると、一般的に修正処理時間が長くなる。
【0096】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施することができる。
【0097】
本実施形態においては、研削砥石113として、ワーク200の内面201を研削する小径砥石を対象とする例を示した。しかしながら、対象となる研削砥石113の構成は上記例に限定されるものではない。また、その形状が、支持部112に支持された状態で回転軸X1に対して傾斜した傾斜部113aと、傾斜部113aに連結し、回転軸X1に対して平行な柱部113bとにより構成される例を示した。しかしながら、それ以外の形状の研削砥石113に対しても本発明の適用が可能である。
【0098】
また、本実施形態においては、研削砥石113を支持する支持部112の径が研削砥石113の直径よりも小さい例を示した。しかしながら、支持部112の構成は上記例に限定されるものではない。回転軸X1に沿って伸延し、先端に研削砥石113を支持する構成であり、回転に伴って振れ(振動)が生じるものであれば本発明の適用が可能である。
【0099】
また、本実施形態においては、修正手段120の修正冶具121がロータリドレッサである例を示した。しかしながら、上記構成に限定されるものではない。例えば、修正冶具121を回転させずに研削砥石113に接触させる構成としても良い。
【0100】
また、本実施形態においては、ガイド手段130を構成するガイド部131の支持部112に当接する部位が、ガイド部131の前進方向に対して(支持部112に対して)凹んだ略V字状である例を示した。しかしながら、ガイド部131の形状は上記例に限定されるものではない。例えば、図17に示すように、ガイド部131の前進方向に対して(支持部112に対して)凹んだ略U字状としても良い。この場合も、略V字状同様、1つのガイド部131によって異なる複数方向から支持部112に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部112の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。図17は、ガイド部131の変形例を示す図である。
【0101】
また、本実施形態においては、支持部112又は研削砥石113の振れを検出する振れ検出手段140として、ガイド部131が支持部112から受けた反力の一部として支持部112の振れを検出する構成の振れ検出手段140を示した。しかしながら、振れ検出手段140は上記例に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、研削砥石113の変位を振れとして検出するものでも良い。この場合、ガイド部131が支持部112に接触する前の状態でも、支持部112の振れを検出することができる。このような構成においては、振れ検出手段140から支持部112の振れ検出を示す信号を受けた時点で、制御手段150が、支持部112に向けてガイド部131が前進するようにアクチュエータ132の動作を制御することができる。すなわち、振れが生じた場合にだけ(必要に応じて)、自動的にガイド部131を支持部112に当接させることができる。その際、振れが所定のレベルを超えた場合に、アクチュエータ132の動作を制御するようにしても良い。図18は、振れ検出手段140の変形例を示す図である。
【0102】
また、ガイド手段130の配置は本実施形態に示したものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】従来構成の研削砥石用修正装置を説明するための概略構成図である。
【図2】支持部の振れを説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図4】研削砥石の形状を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図5】ガイド手段の構成を示す側面図である。
【図6】振れ検出手段の検出信号を示す模式図である。
【図7】制御構成を示すブロック図である。
【図8】修正処理を示すフローである。
【図9】修正処理の各ステップを示す図であり、(a)は始動ステップ、(b)は抑制ステップ及び検出ステップ、(c)は修正ステップを示す図である。
【図10】第2実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図11】原理を説明するための補足図である。
【図12】修正処理を示すフローである。
【図13】第3実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図14】制御構成を示すブロック図である。
【図15】修正状態評価処理を示すフローである。
【図16】研削砥石用修正装置の変形例を示す図である。
【図17】ガイド部の変形例を示す図である。
【図18】振れ検出手段の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
100・・・研削砥石用修正装置
110・・・回転手段
112・・・支持部
113・・・研削砥石
113a・・・傾斜部
120・・・修正手段
121・・・修正冶具
130・・・ガイド手段
131・・・ガイド部
132・・・アクチュエータ
140・・・振れ検出手段
150・・・制御手段
160・・・修正状態検出手段
161・・・研削状態検出手段
200・・・ワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワークを研削する研削砥石は、一般的に砥粒を結合剤で固めたものであり、微小な気孔を多数含んでいる。砥粒が脱落したり気孔に異物が詰まったりして表面から露出する砥粒が埋没すると、目詰まり状態となって切れ味が低下する。そこで、例えば定期的にドレッシングして、研削砥石の表面状態を整える必要がある。また、ワークを研削することによって研削砥石は磨耗し、その形状が後退していく。その際、研削面が均一に後退せずに、研削面形状が所望形状からずれる場合があるが、このような場合には、ツルーイングして形状を整える必要がある。
【0003】
これら修正作業(ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方)は、回転軸に沿って伸延した支持部先端に研削砥石を固定し、研削砥石を含む支持部を回転させた状態で研削砥石に修正冶具(ドレッサ又はツルア)を当接することにより実施される。
【0004】
ところで、ワークの形状及び研削部位によっては、研削面に当接しないように研削砥石を保持する支持部を細くする必要がある。この場合、支持部の剛性が小さいため、支持部の長さ、研削砥石の重量、回転速度等によっては支持部に振れが生じることとなる。特に研削砥石がワークの内面を研削する小径砥石の場合、支持部がより細いので振れが生じやすい。また、回転手段(例えばスピンドル)への取り付け誤差(回転軸と支持部の中心軸とのずれ)によって、支持部に振れが生じることもある。
【0005】
本発明者も、回転中の支持部に振れが生じることを確認している。このように振れが生じると、研削面への修正冶具の接触にばらつきが生じるので、安定して研削砥石を修正することができない。すなわち、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度が低下する。
【0006】
これに対し、例えば特許文献1に内研用小径砥石の成形方法及び内研用小径砥石の成形装置が開示されている。この構成によると2個のロータリドレッサ(以下修正冶具と示す)を用い、それぞれの中心軸を内研用小径砥石(以下研削砥石と示す)の軸心とほぼ同一平面上に位置せしめるとともに、ほぼ平行にならしめ、これら1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつけた形で、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する。従って、1対の修正冶具のそれぞれの研削力が相殺される形になり、修正冶具の接触による軸部(以下支持部と示す)の撓みの発生を軽減することができる。また、支持部の振れが生じたとしても、1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつけることで振れを抑え、安定して研削砥石を修正することができる。
【特許文献1】特開2001−162530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示す構成の場合、1対の修正冶具によって研削砥石を挟みつける構成である。従って、1対の修正冶具の中心軸と研削砥石の軸心とが平行でなければ、それぞれの修正冶具による研削力を相殺することができない。従って、例えば円錐形状のように、研削砥石の形状によっては上記構成を適用するのが困難である。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑み、研削砥石の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる研削砥石用修正装置及び研削砥石の修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に請求項1〜20に記載の発明は、回転軸に沿って伸延した支持部を有し、この支持部の先端にワークを研削する研削砥石を保持した状態で支持部を回転させる回転手段と、修正冶具を有し、回転中の研削砥石に対して修正冶具を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手段とを備える研削砥石用修正装置に関する発明である。
【0010】
先ず請求項1に記載のように、支持部に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部に当接することで支持部の振れを抑制するガイド手段を備えることを特徴とする。
【0011】
このように本発明によると、回転中の支持部に当接することで支持部の振れを抑制(少なくとも低減)するガイド手段を備えるので、研削砥石の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、回転手段及び前記修正手段の動作を制御する制御手段と、回転による支持部又は研削砥石の振れを検出する振れ検出手段とを備え、制御手段は、振れ検出手段からの信号に基づいて、支持部に対するガイド手段の接触状態を制御し、この制御状態で研削砥石を修正するように修正手段及び回転手段の動作を制御する構成とすることが好ましい。
【0013】
このような構成とすると、支持部又は研削砥石の振れに応じてガイド手段を支持部に当接させることができるので、効率よく支持部の振れを抑制することができる。しかしながら、例えば予め振れ量が分かっているような場合には、振れ検出をせず、ガイド手段を所定量前進させて、支持部の振れを抑制する構成としても良い。
【0014】
請求項3に記載のように、ガイド手段が支持部に当接するガイド部と、ガイド部を移動させるアクチュエータとにより構成される場合、制御手段が、検出手段からの信号に基づいてアクチュエータを制御する構成とすれば良い。
【0015】
その際、ガイド部を、請求項4に記載のように、支持部に当接する部位が凹んだ略V字状としても良いし、請求項5に記載のように、略U字状としても良い。このように構成すると、1つのガイド手段によって異なる複数方向から支持部に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。
【0016】
請求項6に記載のように、振れ検出手段から支持部の振れ検出を示す信号を受けた時点で、制御手段は、支持部に向けて前進するようにガイド手段を制御しても良い。このような構成とすると、振れが生じた際に、自動的にガイド手段を支持部に当接させることができる。
【0017】
しかしながら、振れが必ず生じる場合には、請求項7に記載のように、振れ検出手段がガイド手段と一体的であり、ガイド手段が支持部に接触した際の反力を検出する構成としても良い。この構成の場合、ガイド手段が支持部に接触するまで支持部の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。具体的には、ガイド手段が支持部に接触した際に受ける反力には、支持部の振れによる応力が加算され、振れ検出手段からの信号は振れに応じた振幅を有する波形となる。従って、支持部の振れを検出することができる。
【0018】
また、振れ検出手段とガイド手段とを一体的に構成しているので、装置構成を簡素化することができる。このような振れ検出手段としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0019】
ここで、反力を検出する構成の振れ検出手段の場合、ガイド手段によって支持部を押すほど、支持部からの反力が強くなる。また、振れに応じた振幅は、ガイド手段によって押されるほど振れ幅が規制されて小さくなる。従って、振れに応じた振幅が所定値以下となる反力以上であって、支持部が反りすぎない反力未満の所定範囲内となった状態で、修正することが好ましい。例えば請求項8に記載のように、制御手段は、振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態でアクチュエータの動作を停止させ、この停止状態で研削砥石を修正する構成とすることができる。
【0020】
また、請求項9に記載のように、制御手段は、支持部の振動位相からずれた位相でガイド部が振動するようにアクチュエータを制御し、この制御状態で研削砥石を修正する構成としても良い。この場合、支持部の振動の少なくとも一部をガイド部の振動によって相殺することがができるので、支持部の振れを抑制することができる。
【0021】
特に請求項10に記載のように、制御手段は、振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で、支持部の振動位相からずれた位相でガイド部が振動するようにアクチュエータを制御する構成とすると、ガイド部の移動量が少なくて良いので、支持部の振動周波数にガイド部の振動周波数を合わせやすくなる。すなわち、支持部の振れをより抑制することができる。
【0022】
尚、請求項11に記載のように、ガイド部の振動位相を、支持部の振動位相に対して略180度ずれた構成とすると、支持部の振れをより抑制することができる。その際、振幅をほぼ等しくすると尚良い。
【0023】
請求項12に記載のように、修正手段による修正直後の研削砥石の修正状態を検出する修正状態検出手段を備え、制御手段は、修正状態検出手段からの信号に基づいて研削砥石の修正状態良否を判定し、否判定の場合には、研削砥石を再度修正するように回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作を制御する構成としても良い。
【0024】
この場合、装置内で修正状態の評価をすることができ、必要に応じて自動的に再修正することができるので、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる。
【0025】
尚、請求項13に記載のように、修正直後の研削砥石によって研削されたワークの研削状態を検出する研削状態検出手段を備え、制御手段は、研削状態検出手段からの信号に基づいてワークの研削状態良否を判定し、否判定の場合には、研削砥石を再度修正するように回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作を制御する構成としても良い。この場合も、装置内で修正状態の評価をすることができ、必要に応じて自動的に再修正することができるので、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる。
【0026】
しかしながら本構成の場合、1つのワークを試し研削する形であり、研削砥石の修正状態が不良である場合には、1つの不良品が発生することとなる。また、ワークを研削する分、評価までに余分な時間がかかる。従って、製品歩留及び再修正までのロス時間の点から、請求項12に示す構成の方が好ましい。
【0027】
請求項14に記載のように、再度修正する場合、制御手段は、回転手段、修正手段、及びガイド手段の動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件にて制御する構成としても良い。同一条件にて再度修正を行っても良いが、同一条件の場合再度修正状態が不良となる場合も考えられる。そこで、例えばガイド手段の移動速度を低下させたり、回転手段の回転速度を低下させるなどして、支持部に振れが生じる条件を緩和したり、より精度良く振れを抑制できる条件に変更し、修正状態が良となるようにすると良い。
【0028】
請求項15に記載のように、制御手段による判定結果を外部に出力する報知手段を備えた構成としても良い。これにより、修正状態不良が生じた場合には報知(表示、警報等)するので、設備異常等がないかこのタイミングで作業員が確認することができる。尚、この報知手段を、設備異常等を知らせる手段と併用しても良い。
【0029】
請求項16に記載のように、ガイド手段と修正冶具との間に、研削砥石を含む支持部を配置した構成とすると良い。この場合、ガイド手段と修正冶具によって研削砥石を含む支持部を挟むので、同一側にガイド手段と修正冶具を配置する場合よりも、研削砥石を含む支持部を安定して保持することができる。
【0030】
請求項17に記載のように、研削砥石として、ワークの内面を研削する小径砥石に好適である。ワークの内面を研削する小径砥石の場合、その直径が数mm程度であり、また、内面に接触しないように支持部の径が小径砥石の直径以下に設定される。従って、回転時に振れが生じやすい。それに対し、請求項1〜17いずれかに記載の発明であれば、支持部の振れを抑制し、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0031】
請求項1〜17いずれかに記載の発明は、研削砥石の形状によらず支持部の振れを抑制することができるので、請求項18に記載のように、研削砥石として、修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部に、支持部に支持された状態で回転軸に対して傾斜する傾斜部を有する構成にも適用が可能である。
【0032】
尚、請求項19に記載のように、修正冶具はロータリドレッサであり、修正手段はロータリドレッサを回転させる構成としても良い。この構成が修正冶具側の一般的な構成であるが、上記構成に限定されるものではない。例えば、修正冶具を回転させずに研削砥石に接触させる構成としても良い。
【0033】
次に、請求項20〜34に記載の発明は、ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、研削砥石の形状及び表面状態の少なくとも一方を修正する研削砥石の修正方法に関するものである。
【0034】
先ず請求項20に記載のように、回転軸に沿って伸延した支持部先端に研削砥石を固定した状態で、支持部を回転させる始動ステップと、支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を、回転中の支持部に当接させて支持部の振れを抑制する抑制ステップと、支持部の振れが抑制された状態で、回転中の研削砥石に修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正ステップとを備えることを特徴とする。
【0035】
このように本発明によると、支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を回転中の支持部に当接させて支持部の振れを抑制(少なくとも低減)し、その抑制状態で修正を行うので、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。また、ガイド手段を支持部に当接させるので、研削砥石の形状に関係なく、支持部の振れを抑制することができる。
【0036】
請求項21に記載のように、振れ検出手段にて、回転中の支持部又は研削砥石の振れを検出する検出ステップを備え、抑制ステップにおいて、検出ステップにて検出された振れに基づいて、支持部に当接するガイド手段の接触状態を調整することが好ましい。本発明の作用効果は、請求項2に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0037】
請求項22に記載のように、検出ステップにおいて、回転中の支持部又は研削砥石の振れが検出された時点で、抑制ステップにおいて、ガイド手段を支持部に向けて前進させるようにしても良い。本発明の作用効果は、請求項6に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0038】
請求項23に記載のように、検出ステップにおいて、振れ検出手段は、ガイド手段が支持部に接触した際の反力を検出しても良い。
【0039】
この構成の場合、ガイド手段が支持部に接触するまで支持部の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。具体的には、ガイド手段が支持部に接触した際に受ける反力には、支持部の振れによる応力が加算され、振れ検出手段からの信号は振れに応じた振幅を有する波形となる。従って、支持部の振れを検出することができる。尚、このような振れ検出手段としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0040】
請求項24〜27に記載の発明の作用効果は、請求項8〜11に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0041】
請求項28に記載のように、修正ステップ後に、研削砥石の修正状態を検出し、その良否を判定する修正状態判定ステップを備え、判定ステップにおいて否判定された場合、研削砥石を再度修正しても良い。本発明の作用効果は、請求項12に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0042】
請求項29に記載のように、修正ステップ後に、修正直後の研削砥石によって研削されたワークの研削状態を検出し、その良否を判定する研削状態判定ステップを備え、判定ステップにおいて否判定された場合、研削砥石を再度修正しても良い。本発明の作用効果は、請求項13に記載の発明の作用効果と同様であるので、その記載を省略する。
【0043】
請求項30に記載の発明の作用効果は、請求項14に記載の発明の作用効果と同様であるのでその記載を省略する。
【0044】
請求項31〜34に記載の発明の作用効果は、請求項16〜19に記載の発明の作用効果と同様であるのでその記載を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態に係る研削砥石用修正装置について説明する前に、従来構成の研削砥石用修正装置及びその問題点について、図1及び図2を用いて簡単に説明する。図1は、従来の研削砥石用修正装置を説明するための概略構成図であり、一部(修正手段)を断面で示している。図2は、支持部の振れを説明するための模式図である。
【0046】
図1に示すように、従来の研削砥石用修正装置100は、研削砥石113を回転させる回転手段110と、研削砥石113の形状及び/または表面状態を修正する修正手段120とにより構成される。
【0047】
回転手段110は、スピンドル111の回転軸X1に沿って伸延した形状の支持部(クイルとも言う)112を有しており、例えば一体化されたモータを駆動させることによりスピンドル111を回転させ、研削砥石113を保持した状態で支持部112を回転軸X1周りに回転させるように構成されている。
【0048】
支持部112は一般的に超硬等の金属材料から構成されている。また、研削砥石113もCBN等の一般的な材料を用いて構成されている。
【0049】
修正手段120は、回転中の研削砥石113の研削面に対して修正冶具121を当接させて、研削面の修正を行うものである。例えば図1に示すように、修正冶具121としてロータリドレッサを適用し、修正冶具121を回転させた状態で回転中の研削砥石113に接触させて、ドレッシング及び/またはツルーイングを実施するように構成されている。
【0050】
ところで、研削砥石113によって研削されるワークの形状及び研削部位によっては、研削面に支持部112が当接しないように、支持部112を細くする必要がある。この場合、支持部112の剛性が小さいため、支持部112の長さ、研削砥石113の重量、スピンドル111の回転速度等によっては支持部112に振れが生じることとなる。特に研削砥石113がワークの内面を研削する小径砥石の場合、支持部112がより細く、研削面に当接しないように長い(伸延した形状である)ので振れが生じることとなる。また、回転手段110のスピンドル111に支持部112を取り付ける誤差(回転軸X1と支持部112の中心軸とのずれ)によって、支持部112に振れが生じることもある。
【0051】
これについては、本発明者が実際に振れが生じることを確認している。例えば内面研削用の小径(例えば5mmφ)の研削砥石113を、それよりも径が細く(例えば4mmφ)、長い(例えば7cm)支持部112に固定して確認したところ、図2に示すように、回転に伴って研削砥石113を含む支持部112の振れ(破線で示す)が確認された。この振れは回転に伴って増幅し、例えば100000rpmにおいて20μm程度であった。
【0052】
このように、支持部112に振れが生じていると、研削砥石113の研削面への修正冶具121の接触にばらつきが生じるので、安定して研削砥石113を修正することができない。すなわち、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度が低下する。
【0053】
これに対し、次に本実施形態に係る研削砥石用修正装置について図3〜図5を用いて説明する。尚、以下においては、上記した従来構成の研削砥石用修正装置100(図1)と構成要素が同じものについては同一符号にて示す。図3は、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図4は、研削砥石113の形状を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。図4(b)においては、台座を省略して図示している。図5は、本実施形態の特徴部分であるガイド手段の構成を示す側面図である。
【0054】
図3に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100も、研削砥石113を回転させる回転手段110と、研削砥石113の形状及び/または表面状態を修正する修正手段120を有している。そして、支持部112に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するガイド手段130をさらに有している。
【0055】
尚、本実施形態における研削砥石113は、CBNとビトリファイド系の結合剤から構成されており、ワークの内面を研削する小径砥石として構成されている。具体的には、図4(a),(b)に示すように、支持部112に支持された状態で回転軸X1に対して傾斜した傾斜部113aと、傾斜部113aに連結し、回転軸X1に対して平行な柱部113bとにより構成される。尚、符号113cは、研削砥石113を支持部112に固定するための台座であり、台座113cの一部が研削砥石113に固定され、一部が支持部112に固定されている。また、直径D1は5mmφであり、長さL1は8mmである。
【0056】
ガイド手段130は、支持部112に対して前進後退可能に設けられ、回転中の支持部112に当接することで支持部112の振れを抑制するように構成されている。本実施形態においては、図3及び図5に示すように、支持部112に当接するガイド部131と、ガイド部131を支持部112に対して前進後退(矢印方向)させるアクチュエータ132とにより構成される。尚、アクチュエータ132の形態は電気式、油圧、空圧等特に限定されるものではない。
【0057】
このように本実施形態に係る研削砥石用修正装置100によると、アクチュエータ132を制御することにより、回転中の支持部112にガイド部131を接触させて、支持部112の振れを抑制(少なくとも低減)することができる。従って、従来のように研削砥石113を1対の修正冶具121によって挟みこむ構成ではないので、研削砥石113の形状によらずドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0058】
また、本実施形態においては、図5に示すようにガイド部131の支持部112に当接する部位を、前進方向に対して凹んだ略V字状としている。具体的には、伸延方向に直交する面において略V字状とし、当接させた状態で、略V字状の傾斜面の少なくとも一方にて支持部112を保持する構成としている。このように構成すると、1つのガイド部131によって異なる複数方向から支持部112に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部112の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。さらには、図3に示すように、ガイド部131によって支持部112の所定範囲を保持する構成としている。従って、より安定して振れを抑制することができる。尚、ガイド部131の形状は上記例に限定されるものではない。また、ガイド部131は1つに限定されるものではなく、複数設けて、複数箇所で支持部112に接触する構成としても良い。
【0059】
さらに、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、回転による支持部112又は研削砥石113の振れを検出する振れ検出手段140を有している。従って、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112に対するガイド部131の接触状態を制御し、効率よく支持部112の振れを抑制することができる。制御については後述する。しかしながら、例えば予め振れ量が分かっている場合、振れ検出をせず、ガイド部131を所定量前進させて、支持部112の振れを抑制する構成としても良い。
【0060】
振れ検出手段140は、回転による支持部112又は研削砥石113の振れを検出するものであれば特に限定されるものではない。本実施形態においては、図3及び図5に示すように、ガイド手段130と一体的であり、ガイド部131が支持部112に接触した際の反力を検出するように構成されている。この構成の場合、ガイド部131が支持部112に接触するまで支持部112の振れを検出することはできないが、接触した時点から振れを検出することができる。
【0061】
具体的には、支持部112に接触した際に受ける反力には支持部112の振れによる応力が加算される。従って、振れ検出手段140からの信号は、図6に示すように振れに応じた振幅を有する波形となり、支持部112の振れを検出することができる。尚、支持部112を押す(支持部112に対する送り量が増す)ほど、支持部112からの反力が強くなる。図6は、振れ検出手段140の検出信号を示す模式図である。
【0062】
また、振れ検出手段140とガイド手段130とを一体的に構成しているので、装置構成を簡素化することができる。このような振れ検出手段140としては、圧電素子等から構成される圧力センサを適用することができる。
【0063】
尚、図5において、符号133は、ガイド部131及び振れ検出手段140を支持し、アクチュエータ132の動作に連動するアーム部であり、符号134はガイド部131と振れ検出手段140を連結し、ガイド部131が受けた反力を振れ検出手段140に伝達する連結部である。このように、振れ検出手段140はガイド部131とアーム部133との間に配置されている。
【0064】
次に、上記構成の研削砥石用修正装置100による研削砥石113の修正方法の一例を、図6〜9を用いて説明する。図7は、研削砥石用修正装置100の制御構成を示すブロック図である。図8は、修正処理を示すフローである。図9は、修正処理の各ステップを示す図であり、(a)は始動ステップ、(b)は抑制ステップ及び検出ステップ、(c)は修正ステップを示す図である。尚、図9(a)〜(c)において、一部(修正手段120)を断面で示している。
【0065】
図7に示すように研削砥石用修正装置100は、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112の振れを抑制するようにガイド手段130のアクチュエータ132を制御する制御手段150を有している。すなわち、この制御手段150は、振れ検出手段140からの信号に基づいて、支持部112に対するガイド部131の接触状態を制御する。
【0066】
尚、制御手段150は、回転手段110及び修正手段120の動作も制御する。また、制御手段150は比較判定手段も兼ねており、例えば記憶手段151に格納された基準信号と振れ検出手段140からの信号を比較判定し、所定の制御信号を出力するように構成されている。
【0067】
このように構成される研削砥石用修正装置100において、制御手段150は研削砥石113が支持部112に固定された状態で、回転手段110のモータに駆動信号を出力する。これにより、スピンドル111が所望の回転数(例えば30000〜150000rpm)で回転される。このステップが図9(a)に示す始動ステップである。
【0068】
回転手段110が動作されると、制御手段150はガイド手段130のアクチュエータ132に速度V1で前進するように駆動信号を出力する(S100)。これにより、ガイド部131が支持部112に向けて前進される。
【0069】
振動する(振れている)支持部112にガイド部131が接触すると、ガイド部131が受けた反力が振れ検出手段140に伝達され、図6に示すように、振れ検出手段140の出力が立つ。従って、出力が最初に立ったポイントを接触点(開始点)とすることができる。この接触点を示す信号を振れ検出手段140から受けると、制御手段150は、ガイド手段130のアクチュエータ132に速度V1よりも低速の速度V2で前進後退するように駆動信号を出力する(S110)。
【0070】
このように、支持部112に接触するまで速度V1として移動時間を短縮(修正時間を短縮)し、接触後は速度V2として支持部112に無理な応力をかけることなく、振れが小さくなるように精度良くガイド部131を位置決めする構成としている。尚、アクチュエータ132(ガイド部131)の移動速度については上記例に限定されるものではない。全て同じ速度としても良いし、さらに細かく制御しても良い。
【0071】
ここで、ガイド部131が支持部112を押す(支持部112に対する送り量が増す)ほど、支持部112からの反力が強くなる。また、振れは小さくなる。従って、制御手段150は、振れ検出手段140の出力が、図6に示すように、振れに応じた振幅が所定値以下となるα以上であって、支持部112が反りすぎないβ未満の所定範囲内にあるか否かを判定(S120)する。すなわち、振れ検出手段140の出力がα以上β未満となるように、振れ検出手段140の信号に基づいて、アクチュエータ132の動作を制御(前進後退指令を出力)する。これらS110及びS120が、図9(b)に示す抑制ステップ及び検出ステップである。
【0072】
振れ検出手段140の出力がα以上β未満となると、制御手段150は、アクチュエータ132に対して動作停止指令を出力する(S130)。そして、この停止状態で回転する研削砥石113の研削面に対して修正冶具121が所望の状態で接触するように、回転手段110及び修正手段120の少なくとも一方に対して、修正作業実行指令を出力する(S140)。これにより、研削砥石113が修正される。本実施形態においては、修正手段120に修正作業実行指令を出力し、これにより修正手段120が回転及び移動されて、研削砥石113に修正冶具121が接触されるように構成されている。このステップが図9(c)に示す修正ステップである。以上で修正処理が終了となる。
【0073】
このように本実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法によると、支持部112の振れに応じて、振れを小さくするようにガイド部131を支持部112に当接させることができるので、効率よく支持部112の振れを抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態においては、図9(c)に示すように、ガイド手段130のガイド部131と修正冶具121との間に、研削砥石113を含む支持部112を配置して修正を行う構成としている。従って、修正時に、修正冶具121とガイド部131とによって研削砥石113を含む支持部112を挟むので、同一側に修正冶具121とガイド部131を配置する場合よりも、研削砥石113を含む支持部112を安定して保持しつつ修正することができる。しかしながら、修正冶具121とガイド部131の配置は上記例に限定されるものではない。
【0075】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図10〜12に基づいて説明する。図10は、本実施の形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図11は、原理を説明するための補足図である。図12は、修正処理を示すフローである。
【0076】
第2の実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0077】
図10に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、第1の実施形態に係る研削砥石用修正装置100と構成要素が同一である。第1の実施形態と異なる点は、ガイド部131を振動(図中の矢印)させながら、修正冶具121を研削砥石113に接触させて修正作業を実施する点にある。
【0078】
第1の実施形態に記載したように、回転に伴って支持部112には振れ(振動)が生じる。そこで、本実施形態においては、図11に示すように、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131を振動させることで、ガイド部131の振動により支持部112の振動を相殺し、支持部112の振れを抑制(少なくとも低減)する。そして、この制御状態で研削砥石113を修正するので、ドレッシング及び/又はツルーイングの精度を確保することができる。
【0079】
本実施形態においては、図11に示すように、ガイド部131の振動位相を支持部112の振動位相に対して略180度ずれた構成としている。従って、支持部112の振れをより効率よく抑制することができる。その際、両者の振幅をほぼ等しくすると尚良い。
【0080】
尚、研削砥石113の修正手順は以下の通りである。S200〜S220までは、第1の実施形態に記載した図8のS100〜S120と同じであるのその記載を省略する。
【0081】
振れ検出手段140の出力がα以上β未満となると、制御手段150は、振幅成分抽出部(図示略)に振れ検出手段140の出力の振れによる振幅成分を抽出する処理(振幅成分抽出処理)の実行を指令し、振幅成分抽出部は振幅成分抽出処理を実行する(S230)。これにより、振れによる信号が形成される。
【0082】
次いで、制御手段150は、この信号に基づいて、ガイド手段130のアクチュエータ132に対して振動するように制御指令を出力する(S240)。これにより、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131を振動(微動)され、支持部112の振れが抑制される。
【0083】
そしてこの振動状態で、制御手段150は、回転する研削砥石113の研削面に対して修正冶具121が所望の状態で接触するように、回転手段110及び修正手段120の少なくとも一方に対して、修正作業実行指令を出力する(S250)。これにより、研削砥石113が修正される。本実施形態においては、修正手段120に修正作業実行指令を出力し、これにより修正手段120が回転及び移動されて、研削砥石113に修正冶具121が接触されるように構成されている。以上で修正処理が終了となる。
【0084】
尚、本実施形態において、制御手段150は、振れ検出手段140の出力がα以上β未満となった状態で、支持部112の振動位相からずれた位相でガイド部131が振動するようにアクチュエータ132を制御する構成としている。この場合、振動によるガイド部131の移動量が少なくて良いので、支持部112の振動周波数にガイド部131の振動周波数を合わせやすくなる。すなわち、支持部112の振れをより抑制することができる。しかしながら、ガイド部131を振動させるタイミングは上記例に限定されるものではない。
【0085】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図13〜15に基づいて説明する。図13は、本実施の形態に係る研削砥石用修正装置100の概略構成を示す図であり、一部(修正手段120)を断面で示している。図14は、研削砥石用修正装置100の制御構成を示すブロック図である。図15は、修正状態評価処理を示すフローである。
【0086】
第3の実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法は、第1又は第2の実施形態によるものと共通するところが多いので、以下、共通部分については詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0087】
図13,14に示すように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100は、第1の実施形態に示す研削砥石用修正装置100の構成に対して、さらに研削砥石113の修正状態を検出する修正状態検出手段160を付加した点を特徴とする。
【0088】
修正状態検出手段160としては、研削砥石113の修正状態(形状及び/または表面状態)を検出することができるものであれば良い。接触式、非接触式のいずれでも良い。本実施形態においては、接触式の修正状態検出手段160を適用している。
【0089】
第1又は第2の実施形態に示す修正処理が終了した時点で、図15に示すように修正状態検出手段160は修正直後の研削砥石113の修正状態を検出する(S300)。本実施形態においては、修正手段120が退避位置まで移動された状態で、修正状態検出手段160が研削砥石113に接触し、その修正状態を検出する。
【0090】
そして、制御手段150は、修正状態検出手段160からの信号を例えば記憶手段151に予め記憶された基準データと比較し、研削砥石113の修正状態良否を判定する(S310)。その結果、良判定の場合には、修正状態評価処理は終了し、続いて研削砥石113によるワークの研削処理が実行される。また、不良判定の場合には、第1又は第2の実施形態に示す修正処理(S100〜S140,S200〜S250)が再度実行される。
【0091】
このように、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100及び研削砥石113の修正方法によれば、装置100内で修正状態の評価をすることができる。また、その評価結果に基づいて、不良の場合には研削砥石113を自動的に再修正することができる。従って、再修正が必要である場合のロス時間を短縮することができる
尚、図14に示すように、制御手段150による判定結果を外部に報知(表示、警報等)する報知手段170を備えた構成としても良い。これにより、例えば修正状態不良が生じた場合に、設備異常等がないか作業員が即座に確認することができる。尚、この報知手段170を、設備異常や修正処理完了等を知らせる報知手段と併用して使用する構成としても良い。
【0092】
尚、本実施形態においては、修正直後の研削砥石113の修正状態を検出する構成例を示した。しかしながら、修正状態検出手段160に代わって、図16に示すように、修正直後の研削砥石113によって研削されたワーク200の研削状態を検出する研削状態検出手段161を備える構成としても良い。この場合、制御手段150は、研削状態検出手段161からの信号に基づいてワーク200の研削状態良否を判定し、不良判定の場合には、研削砥石113を再度修正処理するように制御すれば良い。図16は、本実施形態に係る研削砥石用修正装置100の変形例を示す図であり、一部(修正手段120,支持手段180、ワーク200)を断面で示している。
【0093】
しかしながら本構成の場合、1つのワーク200を試し研削する形であり、研削砥石113の修正状態が不良である場合には、1つの不良品が発生することとなる。また、ワーク200を研削する分、評価までに余分な時間がかかる。従って、製品歩留及び再修正までのロス時間の点から、修正状態検出手段160による構成の方が好ましい。
【0094】
研削状態検出手段161としては、研削されたワーク200の研削状態(形状及び/または表面状態)を検出することができるものであれば良い。接触式、非接触式のいずれでも良い。図16においては、ワーク200の内面201を接触式の研削状態検出手段161にて検出する構成としている。尚、図16中において、符号180は、ワーク200を支持する支持手段であり、符号181はワーク200をクランプするクランプ部である。
【0095】
また、本実施形態においては、不良判定の場合、同一条件で再度修正処理が実行される例を示した。しかしながら、再度修正する場合、制御手段150が、回転手段110、修正手段120、及びガイド手段130の動作の少なくとも1つを、前回の修正処理条件とは異なる条件にて制御する構成としても良い。同一条件の場合、再度修正状態が不良となる場合が考えられる。そこで、支持部112に振れが生じる条件を緩和したり、より精度良く振れを抑制できる条件に変更する(例えばガイド部131の移動速度を低下、スピンドル111の回転速度を低下等)ことで、修正状態が良となるようにすると良い。しかしながら、このような処置をすると、一般的に修正処理時間が長くなる。
【0096】
以上本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、種々変更して実施することができる。
【0097】
本実施形態においては、研削砥石113として、ワーク200の内面201を研削する小径砥石を対象とする例を示した。しかしながら、対象となる研削砥石113の構成は上記例に限定されるものではない。また、その形状が、支持部112に支持された状態で回転軸X1に対して傾斜した傾斜部113aと、傾斜部113aに連結し、回転軸X1に対して平行な柱部113bとにより構成される例を示した。しかしながら、それ以外の形状の研削砥石113に対しても本発明の適用が可能である。
【0098】
また、本実施形態においては、研削砥石113を支持する支持部112の径が研削砥石113の直径よりも小さい例を示した。しかしながら、支持部112の構成は上記例に限定されるものではない。回転軸X1に沿って伸延し、先端に研削砥石113を支持する構成であり、回転に伴って振れ(振動)が生じるものであれば本発明の適用が可能である。
【0099】
また、本実施形態においては、修正手段120の修正冶具121がロータリドレッサである例を示した。しかしながら、上記構成に限定されるものではない。例えば、修正冶具121を回転させずに研削砥石113に接触させる構成としても良い。
【0100】
また、本実施形態においては、ガイド手段130を構成するガイド部131の支持部112に当接する部位が、ガイド部131の前進方向に対して(支持部112に対して)凹んだ略V字状である例を示した。しかしながら、ガイド部131の形状は上記例に限定されるものではない。例えば、図17に示すように、ガイド部131の前進方向に対して(支持部112に対して)凹んだ略U字状としても良い。この場合も、略V字状同様、1つのガイド部131によって異なる複数方向から支持部112に接触することができるので、一方向のみから接触する構成と比べて、支持部112の振動を規制することができる。すなわち、より効率的に振れを抑制することができる。図17は、ガイド部131の変形例を示す図である。
【0101】
また、本実施形態においては、支持部112又は研削砥石113の振れを検出する振れ検出手段140として、ガイド部131が支持部112から受けた反力の一部として支持部112の振れを検出する構成の振れ検出手段140を示した。しかしながら、振れ検出手段140は上記例に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、研削砥石113の変位を振れとして検出するものでも良い。この場合、ガイド部131が支持部112に接触する前の状態でも、支持部112の振れを検出することができる。このような構成においては、振れ検出手段140から支持部112の振れ検出を示す信号を受けた時点で、制御手段150が、支持部112に向けてガイド部131が前進するようにアクチュエータ132の動作を制御することができる。すなわち、振れが生じた場合にだけ(必要に応じて)、自動的にガイド部131を支持部112に当接させることができる。その際、振れが所定のレベルを超えた場合に、アクチュエータ132の動作を制御するようにしても良い。図18は、振れ検出手段140の変形例を示す図である。
【0102】
また、ガイド手段130の配置は本実施形態に示したものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】従来構成の研削砥石用修正装置を説明するための概略構成図である。
【図2】支持部の振れを説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図4】研削砥石の形状を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図5】ガイド手段の構成を示す側面図である。
【図6】振れ検出手段の検出信号を示す模式図である。
【図7】制御構成を示すブロック図である。
【図8】修正処理を示すフローである。
【図9】修正処理の各ステップを示す図であり、(a)は始動ステップ、(b)は抑制ステップ及び検出ステップ、(c)は修正ステップを示す図である。
【図10】第2実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図11】原理を説明するための補足図である。
【図12】修正処理を示すフローである。
【図13】第3実施形態に係る研削砥石用修正装置の概略構成を示す図である。
【図14】制御構成を示すブロック図である。
【図15】修正状態評価処理を示すフローである。
【図16】研削砥石用修正装置の変形例を示す図である。
【図17】ガイド部の変形例を示す図である。
【図18】振れ検出手段の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
100・・・研削砥石用修正装置
110・・・回転手段
112・・・支持部
113・・・研削砥石
113a・・・傾斜部
120・・・修正手段
121・・・修正冶具
130・・・ガイド手段
131・・・ガイド部
132・・・アクチュエータ
140・・・振れ検出手段
150・・・制御手段
160・・・修正状態検出手段
161・・・研削状態検出手段
200・・・ワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に沿って伸延した支持部を有し、この支持部の先端にワークを研削する研削砥石を保持した状態で前記支持部を回転させる回転手段と、
修正冶具を有し、回転中の前記研削砥石に対して前記修正冶具を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手段とを備える研削砥石用修正装置であって、
前記支持部に対して前進後退可能に設けられ、回転中の前記支持部に当接することで前記支持部の振れを抑制するガイド手段を備えることを特徴とする研削砥石用修正装置。
【請求項2】
前記回転手段及び前記修正手段の動作を制御する制御手段と、
回転による前記支持部又は前記研削砥石の振れを検出する振れ検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号に基づいて、前記支持部に対する前記ガイド手段の接触状態を制御し、この制御状態で前記研削砥石を修正するように前記修正手段及び前記回転手段の動作を制御することを特徴とする研削砥石用修正装置。
【請求項3】
前記ガイド手段は、前記支持部に当接するガイド部と、前記ガイド部を移動させるアクチュエータとにより構成され、
前記制御手段は、前記検出手段からの信号に基づいて、前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記支持部に当接する部位が凹み、略V字状となっていることを特徴とする請求項3に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記支持部に当接する部位が凹み、略U字状となっていることを特徴とする請求項3に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記振れ検出手段から前記支持部の振れ検出を示す信号を受けた時点で、前記ガイド手段が前記支持部に向けて前進するように制御することを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項7】
前記振れ検出手段は、前記ガイド手段と一体的に構成されており、前記ガイド手段が前記支持部に接触した際の反力を検出することを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で前記アクチュエータの動作を停止させ、この停止状態で前記研削砥石を修正することを特徴とする請求項7に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記支持部の振動位相からずれた位相で前後ガイド部が振動するように前記アクチュエータを制御し、この制御状態で前記研削砥石を修正することを特徴とする請求項7に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド部が振動するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項9に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項11】
前記ガイド部の振動位相は、前記支持部の振動位相に対して略180度ずれていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項12】
前記修正手段による修正直後の前記研削砥石の修正状態を検出する修正状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記修正状態検出手段からの信号に基づいて前記研削砥石の修正状態良否を判定し、否判定の場合には、前記研削砥石を再度修正するように前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作を制御することを特徴とする請求項2〜11いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項13】
修正直後の前記研削砥石によって研削された前記ワークの研削状態を検出する研削状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記研削状態検出手段からの信号に基づいて前記ワークの研削状態良否を判定し、否判定の場合には、前記研削砥石を再度修正するように前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作を制御することを特徴とする請求項2〜11いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項14】
再度修正する場合、前記制御手段は、前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件にて制御することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項15】
前記制御手段による判定結果を外部に出力する報知手段を備えることを特徴とする請求項12〜14いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項16】
前記ガイド手段と前記修正冶具との間に、前記研削砥石を含む前記支持部を配置したことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項17】
前記研削砥石は、前記ワークの内面を研削する小径砥石であることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項18】
前記研削砥石は、前記修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部として、前記支持部に支持された状態で前記回転軸に対して傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項1〜17いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項19】
前記修正冶具はロータリドレッサであり、
前記修正手段は前記ロータリドレッサを回転させることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項20】
ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、前記研削砥石の形状及び表面状態の少なくとも一方を修正する研削砥石の修正方法であって、
回転軸に沿って伸延した支持部先端に前記研削砥石を固定した状態で、前記支持部を回転させる始動ステップと、
前記支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を、回転中の前記支持部に当接させて前記支持部の振れを抑制する抑制ステップと、
前記支持部の振れが抑制された状態で、回転中の前記研削砥石に前記修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正ステップとを備えることを特徴とする研削砥石の修正方法。
【請求項21】
振れ検出手段にて、回転中の前記支持部又は前記研削砥石の振れを検出する検出ステップを備え、
前記抑制ステップにおいて、前記検出ステップにて検出された振れに基づいて、前記支持部に当接する前記ガイド手段の接触状態を調整することを特徴とする請求項20に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項22】
前記検出ステップにおいて、回転中の前記支持部又は前記研削砥石の振れが検出された時点で、前記抑制ステップにおいて、前記ガイド手段を前記支持部に向けて前進させることを特徴とする請求項21に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項23】
前記検出ステップにおいて、前記振れ検出手段は、前記ガイド手段が前記支持部に接触した際の反力を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項21に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項24】
前記振れ検出手段の検出信号が所定の範囲内となった状態で前記ガイド手段の駆動を停止させ、この停止状態で前記修正ステップを実施することを特徴とする請求項23に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項25】
前記抑制ステップにおいて、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド手段を振動させて、前記支持部の振れを抑制することを特徴とする請求項23に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項26】
前記振れ検出手段の検出信号が所定の範囲内となった状態で、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド手段を振動させて、前記支持部の振れを抑制することを特徴とする請求項25に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項27】
前記ガイド手段の振動位相は、前記支持部の振動位相に対して略180度ずれていることを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項28】
前記修正ステップ後に、前記研削砥石の修正状態を検出し、その良否を判定する修正状態判定ステップを備え、
前記判定ステップにおいて否判定された場合、前記研削砥石を再度修正することを特徴とする請求項20〜27いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項29】
前記修正ステップ後に、修正直後の前記研削砥石によって研削された前記ワークの研削状態を検出し、その良否を判定する研削状態判定ステップを備え、
前記判定ステップにおいて否判定された場合、前記研削砥石を再度修正することを特徴とする請求項20〜27いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項30】
再度修正する場合、前記始動ステップにおける前記支持部の回転状態、前記抑制ステップにおける前記ガイド手段の駆動状態、及び前記修正ステップにおける前記修正冶具の修正動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件とすることを特徴とする請求項28又は請求項29に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項31】
前記ガイド手段と前記修正冶具との間に、前記研削砥石を含む前記支持部を配置したことを特徴とする請求項20〜30いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項32】
前記研削砥石は、前記ワークの内面を研削する小径砥石であることを特徴とする請求項20〜31いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項33】
前記研削砥石は、前記修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部として、前記支持部に支持された状態で前記回転軸に対して傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項20〜32いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項34】
前記修正冶具はロータリドレッサであることを特徴とする請求項20〜34いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項1】
回転軸に沿って伸延した支持部を有し、この支持部の先端にワークを研削する研削砥石を保持した状態で前記支持部を回転させる回転手段と、
修正冶具を有し、回転中の前記研削砥石に対して前記修正冶具を当接させてドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正手段とを備える研削砥石用修正装置であって、
前記支持部に対して前進後退可能に設けられ、回転中の前記支持部に当接することで前記支持部の振れを抑制するガイド手段を備えることを特徴とする研削砥石用修正装置。
【請求項2】
前記回転手段及び前記修正手段の動作を制御する制御手段と、
回転による前記支持部又は前記研削砥石の振れを検出する振れ検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号に基づいて、前記支持部に対する前記ガイド手段の接触状態を制御し、この制御状態で前記研削砥石を修正するように前記修正手段及び前記回転手段の動作を制御することを特徴とする研削砥石用修正装置。
【請求項3】
前記ガイド手段は、前記支持部に当接するガイド部と、前記ガイド部を移動させるアクチュエータとにより構成され、
前記制御手段は、前記検出手段からの信号に基づいて、前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記支持部に当接する部位が凹み、略V字状となっていることを特徴とする請求項3に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記支持部に当接する部位が凹み、略U字状となっていることを特徴とする請求項3に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記振れ検出手段から前記支持部の振れ検出を示す信号を受けた時点で、前記ガイド手段が前記支持部に向けて前進するように制御することを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項7】
前記振れ検出手段は、前記ガイド手段と一体的に構成されており、前記ガイド手段が前記支持部に接触した際の反力を検出することを特徴とする請求項2〜5いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で前記アクチュエータの動作を停止させ、この停止状態で前記研削砥石を修正することを特徴とする請求項7に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記支持部の振動位相からずれた位相で前後ガイド部が振動するように前記アクチュエータを制御し、この制御状態で前記研削砥石を修正することを特徴とする請求項7に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記振れ検出手段からの信号が所定範囲内となった状態で、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド部が振動するように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項9に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項11】
前記ガイド部の振動位相は、前記支持部の振動位相に対して略180度ずれていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項12】
前記修正手段による修正直後の前記研削砥石の修正状態を検出する修正状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記修正状態検出手段からの信号に基づいて前記研削砥石の修正状態良否を判定し、否判定の場合には、前記研削砥石を再度修正するように前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作を制御することを特徴とする請求項2〜11いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項13】
修正直後の前記研削砥石によって研削された前記ワークの研削状態を検出する研削状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記研削状態検出手段からの信号に基づいて前記ワークの研削状態良否を判定し、否判定の場合には、前記研削砥石を再度修正するように前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作を制御することを特徴とする請求項2〜11いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項14】
再度修正する場合、前記制御手段は、前記回転手段、前記修正手段、及び前記ガイド手段の動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件にて制御することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項15】
前記制御手段による判定結果を外部に出力する報知手段を備えることを特徴とする請求項12〜14いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項16】
前記ガイド手段と前記修正冶具との間に、前記研削砥石を含む前記支持部を配置したことを特徴とする請求項1〜15いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項17】
前記研削砥石は、前記ワークの内面を研削する小径砥石であることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項18】
前記研削砥石は、前記修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部として、前記支持部に支持された状態で前記回転軸に対して傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項1〜17いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項19】
前記修正冶具はロータリドレッサであり、
前記修正手段は前記ロータリドレッサを回転させることを特徴とする請求項1〜18いずれか1項に記載の研削砥石用修正装置。
【請求項20】
ワークを研削する研削砥石に修正冶具を接触させて、前記研削砥石の形状及び表面状態の少なくとも一方を修正する研削砥石の修正方法であって、
回転軸に沿って伸延した支持部先端に前記研削砥石を固定した状態で、前記支持部を回転させる始動ステップと、
前記支持部に対して前進後退可能に設けられたガイド手段を、回転中の前記支持部に当接させて前記支持部の振れを抑制する抑制ステップと、
前記支持部の振れが抑制された状態で、回転中の前記研削砥石に前記修正冶具を接触させて、ドレッシング及びツルーイングの少なくとも一方を実施する修正ステップとを備えることを特徴とする研削砥石の修正方法。
【請求項21】
振れ検出手段にて、回転中の前記支持部又は前記研削砥石の振れを検出する検出ステップを備え、
前記抑制ステップにおいて、前記検出ステップにて検出された振れに基づいて、前記支持部に当接する前記ガイド手段の接触状態を調整することを特徴とする請求項20に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項22】
前記検出ステップにおいて、回転中の前記支持部又は前記研削砥石の振れが検出された時点で、前記抑制ステップにおいて、前記ガイド手段を前記支持部に向けて前進させることを特徴とする請求項21に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項23】
前記検出ステップにおいて、前記振れ検出手段は、前記ガイド手段が前記支持部に接触した際の反力を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項21に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項24】
前記振れ検出手段の検出信号が所定の範囲内となった状態で前記ガイド手段の駆動を停止させ、この停止状態で前記修正ステップを実施することを特徴とする請求項23に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項25】
前記抑制ステップにおいて、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド手段を振動させて、前記支持部の振れを抑制することを特徴とする請求項23に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項26】
前記振れ検出手段の検出信号が所定の範囲内となった状態で、前記支持部の振動位相からずれた位相で前記ガイド手段を振動させて、前記支持部の振れを抑制することを特徴とする請求項25に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項27】
前記ガイド手段の振動位相は、前記支持部の振動位相に対して略180度ずれていることを特徴とする請求項25又は請求項26に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項28】
前記修正ステップ後に、前記研削砥石の修正状態を検出し、その良否を判定する修正状態判定ステップを備え、
前記判定ステップにおいて否判定された場合、前記研削砥石を再度修正することを特徴とする請求項20〜27いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項29】
前記修正ステップ後に、修正直後の前記研削砥石によって研削された前記ワークの研削状態を検出し、その良否を判定する研削状態判定ステップを備え、
前記判定ステップにおいて否判定された場合、前記研削砥石を再度修正することを特徴とする請求項20〜27いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項30】
再度修正する場合、前記始動ステップにおける前記支持部の回転状態、前記抑制ステップにおける前記ガイド手段の駆動状態、及び前記修正ステップにおける前記修正冶具の修正動作の少なくとも1つを、前回の条件とは異なる条件とすることを特徴とする請求項28又は請求項29に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項31】
前記ガイド手段と前記修正冶具との間に、前記研削砥石を含む前記支持部を配置したことを特徴とする請求項20〜30いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項32】
前記研削砥石は、前記ワークの内面を研削する小径砥石であることを特徴とする請求項20〜31いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項33】
前記研削砥石は、前記修正冶具によって修正される部位の少なくとも一部として、前記支持部に支持された状態で前記回転軸に対して傾斜する傾斜部を有することを特徴とする請求項20〜32いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【請求項34】
前記修正冶具はロータリドレッサであることを特徴とする請求項20〜34いずれか1項に記載の研削砥石の修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−15056(P2007−15056A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199305(P2005−199305)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]